(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077513
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】電子薬歴システム、電子薬歴システムの制御方法、電子薬歴プログラム及び、記録媒体
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20230530BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190805
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】309005238
【氏名又は名称】アクシスルートホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 一馬
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】電子薬歴における未入力箇所の解消をより簡易に行うことができる電子薬歴システム、電子薬歴システムの制御方法、電子薬歴プログラム及び、記録媒体を提供する。
【解決手段】電子薬歴システムはメインサーバ10と薬局側端末とを備え、メインサーバ10は、患者側に対して行った服薬指導の内容、及び、調剤にあたり要する行為の少なくとも一方の情報について未入力状態である場合に、未入力状態である旨を現在表示中の画像上に重ねて表示させると共に、当該未入力状態を解消するための操作画面に遷移するための遷移ボタンを表示させる表示制御部11を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の薬歴を記録する電子薬歴システムであって、
患者側に対して行った服薬指導の内容、及び、調剤にあたり要する行為の少なくとも一方の情報について未入力状態である場合に、未入力状態である旨を現在表示中の画像上に重ねて表示させると共に、当該未入力状態を解消するための操作画面に遷移するための遷移ボタンを表示させる表示制御部、
を備えることを特徴とする電子薬歴システム。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記情報について未入力状態であって、薬歴の保存が指示された場合に、未入力状態である旨を現在表示中の画像上に重ねて表示させると共に、当該未入力状態を解消するための操作画面に遷移するための前記遷移ボタンを表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の電子薬歴システム。
【請求項3】
前記表示制御部は、疑義照会、及び、処方薬が禁忌に該当するか否かの少なくとも1つについて未入力状態である場合、未入力状態である患者の初期画面を表示する際に、未入力状態である旨を当該初期画面上に重ねて表示させると共に、当該未入力状態を解消するための操作画面に遷移するための前記遷移ボタンを表示させる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電子薬歴システム。
【請求項4】
前記表示制御部は、処方薬が禁忌に該当するか否かについて未入力状態である場合、未入力状態である患者の初期画面を表示する際に、未入力状態であるである旨を当該初期画面上に重ねて表示させると共に、禁忌に該当しなかった旨を入力する確認ボタンを表示させる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電子薬歴システム。
【請求項5】
過去の服薬指導の情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記表示制御部は、今回入力された服薬指導の情報が前記記憶部により記憶される前回のものと同じである場合、前回と同じである旨を現在表示中の画像上に重ねて表示させる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子薬歴システム。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記記憶部により記憶される過去の服薬指導の情報を今回の服薬指導の情報の入力欄に転載させる転載ボタンを表示させる
ことを特徴とする請求項5に記載の電子薬歴システム。
【請求項7】
前記表示制御部は、患者側に対して行った服薬指導の内容に予め登録した禁止ワードが記載されている場合、禁止ワードが記載されている旨を現在表示中の画像上に重ねて表示させる
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電子薬歴システム。
【請求項8】
前記表示制御部は、患者の併用薬に関する情報を複数箇所において入力可能とされる場合において、複数箇所における併用薬に関する情報同士に矛盾があるとき、併用薬の情報に矛盾がある旨を現在表示中の画像上に重ねて表示させると共に、当該矛盾がある状態を解消するための操作画面に遷移するための前記遷移ボタンを表示させる
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電子薬歴システム。
【請求項9】
患者の薬歴を記録する電子薬歴システムの制御方法であって、
患者側に対して行った服薬指導の内容、及び、調剤にあたり要する行為の少なくとも一方の情報について未入力状態である場合に、未入力状態である旨を現在表示中の画像上に重ねて表示させると共に、当該未入力状態を解消するための操作画面に遷移するための遷移ボタンを表示させる表示制御工程、
を備えることを特徴とする電子薬歴システムの制御方法。
【請求項10】
患者の薬歴を記録する電子薬歴システムの電子薬歴プログラムであって、
患者側に対して行った服薬指導の内容、及び、調剤にあたり要する行為の少なくとも一方の情報について未入力状態である場合に、未入力状態である旨を現在表示中の画像上に重ねて表示させると共に、当該未入力状態を解消するための操作画面に遷移するための遷移ボタンを表示させる表示制御工程、
をコンピュータに実行させる電子薬歴プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の電子薬歴プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子薬歴システム、電子薬歴システムの制御方法、電子薬歴プログラム及び、記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば薬剤師が患者側に行うべき服薬指導の概要を表示する電子薬歴システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電子薬歴システムは、例えば処方監査における確認行為や服薬指導等を行ったにもかかわらず、これらの内容について未入力の記載漏れ箇所があった場合に、薬剤師に注意喚起を促すことが好ましい。しかし、例えば未入力の記載漏れ箇所があった場合に画面上で当該箇所の色を変える等の注意喚起を行う機能を搭載していたとしても、その画面を開いていない等の種々の事情から未入力箇所の解消に多くの時間が掛かってしまう可能性があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、電子薬歴における未入力箇所の解消をより簡易に行うことができる電子薬歴システム、電子薬歴システムの制御方法、電子薬歴プログラム及び、記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子薬歴システムは、患者の薬歴を記録する電子薬歴システムであって、患者側に対して行った服薬指導の内容、及び、調剤にあたり要する行為の少なくとも一方の情報について未入力状態である場合に、未入力状態である旨を現在表示中の画像上に重ねて表示させると共に、当該未入力状態を解消するための操作画面に遷移するための遷移ボタンを表示させる表示制御部、を備える。
【0007】
また、本発明に係る電子薬歴システムの制御方法は、患者の薬歴を記録する電子薬歴システムの制御方法であって、患者側に対して行った服薬指導の内容、及び、調剤にあたり要する行為の少なくとも一方の情報について未入力状態である場合に、未入力状態である旨を現在表示中の画像上に重ねて表示させると共に、当該未入力状態を解消するための操作画面に遷移するための遷移ボタンを表示させる表示制御工程、を備える。
【0008】
また、本発明に係る電子薬歴プログラムは、上記工程をコンピュータに実行させるものであり、記録媒体はこの電子薬歴プログラムを記録したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子薬歴における各記録事項について漏れが生じてしまう可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る電子薬歴システムを示す構成図である。
【
図2】
図1に示したメインサーバの詳細構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2に示した表示制御部により表示される表示画像を示す図であり、ログイン画面を示している。
【
図4】
図2に示した表示制御部により表示される表示画像を示す図であり、来局者一覧画面を示している。
【
図5】
図2に示した表示制御部により表示される表示画像を示す図であり、服薬指導画面を示している。
【
図6】
図2に示した表示制御部により表示される表示画像を示す図であり、
図5に示した今回服薬指導表示領域の拡大図を示している。
【
図7】
図2に示した表示制御部により表示される表示画像を示す図であり、指導支援画面を示している。
【
図8】
図2に示した表示制御部により表示される表示画像を示す図であり、確認事項入力画面を示している。
【
図9】
図2に示した表示制御部により表示される表示画像を示す図であり、頭書き登録画面を示している。
【
図10】
図2に示した表示制御部により表示される表示画像を示す図であり、処方監査画面を示している。
【
図11】
図2に示した表示制御部により表示される表示画像を示す図であり、疑義照会画面を示している。
【
図12】
図2に示した表示制御部により表示される表示画像を示す図であり、疑義照会の内容が反映された服薬指導画面を示している。
【
図13】
図2に示した表示制御部により表示される表示画像を示す図であり、
図5に示す過去服薬指導表示領域と今回服薬指導表示領域との対比を示し、(a)はクリック操作前を示し、(b)はクリック操作後を示している。
【
図14】
図2に示した表示制御部により表示される表示画像を示す図であり、併用薬入力画面を示している。
【
図15】
図2に示した表示制御部により表示される表示画像を示す図であり、第1の警告画面を示している。
【
図16】
図2に示した表示制御部により表示される表示画像を示す図であり、第2の警告画面を示している。
【
図17】
図2に示した表示制御部により表示される表示画像を示す図であり、第3の警告画面を示している。
【
図18】
図2に示した表示制御部により表示される表示画像を示す図であり、第4の警告画面を示している。
【
図19】
図2に示した表示制御部により表示される表示画像を示す図であり、第5の警告画面を示している。
【
図20】本実施形態に係る電子薬歴システムの制御方法を示す第1のフローチャートである。
【
図21】本実施形態に係る電子薬歴システムの制御方法を示す第2のフローチャートである。
【
図22】本実施形態に係る電子薬歴システムの制御方法を示す第3のフローチャートである。
【
図23】本実施形態に係る電子薬歴システムの制御方法を示す第4のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0012】
図1は、本実施形態に係る電子薬歴システムを示す構成図である。
図1に示すように電子薬歴システム1は、メインサーバ10と、複数の薬局側端末20とによって構成されている。メインサーバ10は、本実施形態に係る電子薬歴システム1を構成する電子薬歴プログラムが記録されていると共に、薬局側端末20に対して行われた操作等に対応した処理を実行するものである。電子薬歴プログラムはメインサーバ10内のハードディスクやフラッシュメモリ等の所定の記録媒体に記録されている。薬局側端末20は、薬剤師等によって操作されるものであって、メインサーバ10に接続すると共に所定のログイン操作が行われることで薬剤師に対して服薬指導画面等を提供するものである。
【0013】
なお、図示を省略するが、メインサーバ10及び薬局側端末20は他の機器やサーバ等にも接続されており、レセプトコンピュータ又はレセプトコンピュータとの接続を中継する中継器等から、処方箋データを読み込むことができる構成となっている。また、処方箋データは、上記に限らず、手入力されたり、患者が保有する端末や薬局側において設置される機器から送信等される画像データを読み込むことによっても、電子薬歴システム1に提供されてもよい。
【0014】
図2は、
図1に示したメインサーバ10の詳細構成を示すブロック図である。
図2に示すように、メインサーバ10は、表示制御部11と、記憶部12と、決定部13とを備えている。表示制御部11は、薬局側端末20からの要求に応じて、薬局側端末20の表示部に画像表示させるものである。
【0015】
図3~
図19は、
図2に示した表示制御部11により表示される表示画像を示す図であり、
図3はログイン画面を示している。表示制御部11は、薬局側端末20がメインサーバ10に接続すると、
図3に示すログイン画面を表示させる。
図3に示すように、表示制御部11は、ログイン画面として、ユーザーID入力欄C1と、パスワード入力欄C2と、企業コード入力欄C3と、ログインボタンB1と、指定部Pと、記述部N1とを表示させる。
【0016】
ユーザーID入力欄C1は、薬剤師個人のユーザーIDを入力する欄であり、パスワード入力欄C2は、薬剤師個人のパスワードを入力する欄である。企業コード入力欄C3は、薬剤師が所属する企業のコードを入力する欄である。ログインボタンB1は、クリック等の指定操作がされることで、ログインを試みるためのボタンである。ログインボタンB1が指定操作されると、薬局側端末20は、入力欄C1~C3に入力された各情報をメインサーバ10に送信する。メインサーバ10は、入力欄C1~C3に入力された各情報が全て正しい場合にログインを許可し、いずれかの情報が正しくない場合にログインを拒否する。
【0017】
指定部Pは、クリック等の指定操作がされることで、本実施形態に係る電子薬歴システム1の使用方法や更新情報を表示させるためのものである。記述部N1は、本実施形態に係る電子薬歴システム1のお知らせを表示するものである。
【0018】
図4は来局者一覧画面を示している。ログインが許可されると、表示制御部11は、
図4に示す来局者一覧画面を表示させる。来局者一覧画面には、処方箋データが入力済みである患者等のデータが表示されている。
【0019】
来局者一覧画面には、服薬指導の入力状況、調剤日、受付番号、患者氏名、患者の生年月日等、処方箋が発行された医療機関等、及び、服薬指導を行う薬剤師名が表示されている。具体的に説明すると、特定の患者(患者太郎)について、服薬指導の入力状況に「未入力」、調剤日に「R3/09/09(5h経過)」、受付番号に「7」、患者氏名に「患者太郎」、患者の生年月日等に「S62/05/05 34歳」、処方箋が発行された医療機関に「○○病院」、及び、服薬指導を行う薬剤師名に「薬剤次郎」と表示されている。
【0020】
来局者一覧画面では、このような表示内容自体が患者指定ボタンB2となっており、複数の患者指定ボタンB2のうちいずれかの患者指定ボタンB2が指定されると、
図5に示す患者個人の服薬指導画面(患者の初期画面)に遷移するようになっている。
【0021】
図5は服薬指導画面を示している。患者指定ボタンB2が指定されると、表示制御部11は、服薬指導画面を表示させる。服薬指導画面は、概略的に3つの表示領域A1~A3を有し、これらの3つの表示領域A1~A3を同一画面上に並べて表示することで、各表示領域A1~A3の内容が対比可能とされたものである。
【0022】
第1表示領域A1は、表示画面上において左側に設けられている領域である。この第1表示領域A1には、患者の氏名や年齢等の患者属性情報と、初回来局日やかかりつけ薬剤師等の来局情報と、アレルギー等の患者の体質、既往歴、併用薬、服薬状況及び体重等の頭書き情報とが表示される。この頭書き情報は、初回来局時に確認されると共に、定期的に確認されるものである。このため、頭書き情報には、確認した最新日の情報が記載(併記)されることが好ましい。加えて、最新日が現時点よりも所定期間以上古い場合には最新日を特定色(例えばピンク)で表現する等注意喚起を促すことが好ましい。さらに、最新日が本日である場合には最新日について所定色(例えば緑)で表現する等情報が当日登録のものであることを示すことが好ましい。
【0023】
第2表示領域A2は、患者の過去の薬歴を表示する領域である。第2表示領域A2は、過去日付等指定欄C4と、過去処方箋表示領域A21と、過去服薬指導表示領域A22とを有している。過去日付等指定欄C4は、ドロップダウン形式により、過去の来局日や受診病院及び受診科を選択するための欄である。過去処方箋表示領域A21と過去服薬指導表示領域A22とは、過去の処方箋データと過去に行った服薬指導の内容とを表示するための領域である。例えば、過去日付等指定欄C4において前回の来局日が指定された場合、過去処方箋表示領域A21には前回の処方箋データが表示され、過去服薬指導表示領域A22には前回行った服薬指導の内容が表示される。なお、第2表示領域A2には、適宜、過去処方箋表示領域A21と過去服薬指導表示領域A22との2つ以外の表示領域が設けられていてもよい。
【0024】
第3表示領域A3は、患者の今回の薬歴を表示する領域である。この第3表示領域A3には、今回の処方箋データを表示するための今回処方箋表示領域(図示せず)が表示される。さらに、第3表示領域A3には、今回患者側に行った服薬指導の内容を記載するための今回服薬指導表示領域A31と、今回行った確認事項の内容を入力するための今回確認事項表示領域A32とが表示される。なお、第3表示領域A3には、適宜、今回処方箋表示領域、今回服薬指導表示領域A31、及び、今回確認事項表示領域A32の3つ以外の表示領域が設けられてもよい。
【0025】
図6は、
図5に示した今回服薬指導表示領域A31の拡大図を示している。
図2に示すメインサーバ10の決定部13は、読み込んだ処方箋データ、及び患者の年齢に基づいて、今回患者に行うべき服薬指導の項目を決定する機能を有している。このため、例えば処方箋データにハイリスク薬が含まれている場合、
図5及び
図6に示すように、今回服薬指導表示領域A31には、ハイリスク薬に関して服薬指導をすべきことを明らかにするためのハイリスク薬の項目I1が形成されている。また、患者が6歳未満の乳幼児である場合、今回服薬指導表示領域A31には、乳幼児に関する服薬指導をすべきことを明らかにするための乳幼児の項目I1’が形成されることとなる。同様に、処方箋データに一包化する旨が含まれている場合、今回服薬指導表示領域A31には、一方化に関する服薬指導をすべきことを明らかにするための一包化の項目I1’’が形成されることとなる。
【0026】
このように、本実施形態に係る電子薬歴システム1は、読み込んだ処方箋データ、及び患者の年齢に基づいて、今回患者に行うべき服薬指導の項目を決定し、この項目(例えば空欄状態のハイリスク薬の項目I1や乳幼児の項目I1’)を今回服薬指導表示領域A31に表示させる。これにより、本実施形態に係る電子薬歴システム1は、薬剤師が行ったハイリスク薬に関する服薬指導や乳幼児に関する服薬指導等の内容について記載忘れしてしまうことを防止している。
【0027】
さらに、
図5に示すように、薬剤師によって今回の服薬指導の内容や確認事項の内容が入力されるまでは、今回服薬指導表示領域A31と今回確認事項表示領域A32とは多くが空欄となっている。本実施形態に係る電子薬歴システム1では、このような空欄を基本的にクリック操作(マウスによるクリック操作のみならず薬局側端末20がタッチパネル端末で構成される場合には画面タッチも含む)で埋めることができる構成となっている。特に空欄についてはクリック操作を行ったにもかかわらず文章化されて埋められることとなる。
【0028】
まず、今回服薬指導表示領域A31には指導支援ボタンB3が表示されている(指導支援ボタンB3は服薬指導画面の上部にも表示されている)。指導支援ボタンB3が指定されると、表示制御部11は、
図7に示す指導支援画面を表示させる。
【0029】
図7に示す指導支援画面において表示制御部11は、患者側に行うべき服薬指導の内容を表示する。また、指導支援画面において表示制御部11は、操作部O1,O2を表示する。操作部O1,O2は、患者側に行った服薬指導の内容をクリック操作により選択するものである。なお、患者側に行うべき服薬指導の内容(候補を含む)は決定部13によって決定される。
【0030】
詳細に説明すると、指導支援画面では、医薬品基準、重大な副作用基準、分類別基準、及び患者主観基準の4つの基準で行うべき服薬指導の内容が表示されている。具体的に
図7に示す例では、医薬品基準のタブが指定されていることから、画面左側には医薬品一覧Lが表示されている。この医薬品一覧Lには、医療機関で発行された今回の処方箋に記載の医薬品が表示されている。例えば医薬品一覧Lから「ロキソニン錠60mg」が指定されたとすると、表示制御部11は、指導支援画面の右側に「ロキソニン錠60mg」に対応した服薬指導の内容欄CFを表示させる。
【0031】
さらに、表示制御部11は、内容欄CFに、薬剤師等によってクリック操作される操作部O1,O2を表示させる。第1操作部O1は、「効能効果[詳細版]」及び「効能効果[簡易版]」に示されるように、欄の全体をクリック操作によって指定するための操作部である。第2操作部O2は、第2操作部O2は、「主な副作用」及び「重大な副作用の「ショック」の初期症状」等に示されるように、クリック操作によって選択的に指定するための操作部である。
【0032】
薬剤師は、
図7に示す指導支援画面において、操作部O1,O2をクリック操作し、入力ボタンB4を指定することで、今回患者側に行った服薬指導の内容を入力することができる。これにより、表示制御部11は、クリック操作した内容を、例えば
図6に示すように、実行済みの服薬指導の内容として今回服薬指導表示領域A31の空欄部分に表示させる。特に実行済みの服薬指導の内容は、
図6等に示すように文章化されて表示される。
【0033】
このように、本実施形態に係る電子薬歴システム1では、服薬指導に関する多数の空欄をクリック操作で埋めることができ、より簡易に服薬指導や処方監査の記載を行うことができる構成となっている。
【0034】
再度
図5を参照する。今回確認事項表示領域A32には確認事項ボタンB5が表示されている(確認事項ボタンB5は服薬指導画面の上部にも表示されている)。確認事項ボタンB5が指定されると、表示制御部11は確認事項入力画面を表示させる。
【0035】
図8に示す確認事項入力画面では、後述する頭書き情報とは別に、患者が来局する毎に確認すべき事項が表示されている。具体的に確認事項入力画面には、服薬状況・残薬状況、手帳活用の有無、他科受診・併用薬、副作用・薬物アレルギー、体質・食物アレルギー等、及び、疾病に関する情報を選択するための選択ボタンB6と入力欄C5とが表示されている。薬剤師は、選択ボタンB6を選択したり入力欄C5に文字入力したりしたうえで、入力ボタンB7を指定することで、確認事項を入力することができる。なお、
図8における図示を省略するが、確認事項には、他の内容が含まれていてもよい。
【0036】
入力ボタンB7が指定されると、表示制御部11は、選択操作等された内容を確認済みの内容として
図5に示す今回確認事項表示領域A32の空欄部分に表示させることとなる。
【0037】
さらに、
図5に示す第1表示領域A1には、頭書き登録ボタンB8が表示されている。頭書き登録ボタンB8が指定されると、表示制御部11は、
図9に示すように、頭書き情報を登録するための頭書き登録画面を表示させる。頭書き情報の確認等は、薬剤師が調剤を行うにあたり要する行為であって、調剤前に行われる必要がある。
【0038】
頭書き登録画面では、
図9に示すように、他科受診・併用薬、副作用・薬物アレルギー、体質・食物アレルギー等、及び、疾病に関する情報を登録するための登録ボタンB9と入力欄C6とが表示されている。薬剤師は、登録ボタンB9を指定したり入力欄C6に文字入力したりしたうえで、入力ボタンB10を指定することで、頭書き情報を登録することができる。なお、
図9における図示を省略するが、頭書き情報は、薬学的管理に必要な患者の生活像、後発医薬品の使用に関する患者の意向、合併症、服薬状況(残薬の状況を含む。)、乳幼児における体重、及び、患者の服薬中の体調の変化等の情報も登録可能となっている。
【0039】
入力ボタンB10が指定されると、表示制御部11は、
図5に示す第1表示領域A1の表示内容を更新することとなる。
【0040】
加えて、薬剤師は調剤を行う前に処方監査を行う必要がある。処方監査とは、疑義照会(薬同士の飲み合わせやアレルギーによる禁忌に基づく照会)や生活情報との禁忌チェック等を行うものである。薬剤師は、このような重大なチェックを行ってから調剤行為を行うこととなる。
【0041】
図10は処方監査画面を示している。処方監査画面は
図5に示す服薬指導画面の上部の処方監査ボタンB15が指定されることによって表示される。処方監査画面について詳細に説明する。
【0042】
表示制御部11は、
図10に示す処方監査画面内に、患者自身の禁忌薬である個別禁忌薬(製品一致)の項目I2や、患者にとって成分が禁忌である個別禁忌薬(成分一致)の項目I21を表示させる。さらに、表示制御部11は、処方監査画面内に、小児等において用量を超過している旨の用量超過の項目I3、今回の処方内容について成分が重複している旨の項目I4、医師に確認を要する禁忌薬であることを示す疾病禁忌の項目I5、及び、患者に確認を要する禁忌薬であることを示す適応症禁忌の項目I6を表示させる。
【0043】
さらに、表示制御部11は、項目I6に確認操作部(確認ボタン)O3を表示させる。薬剤師が適応症禁忌の項目I6について患者側に確認を行った場合に確認操作部O3がクリック操作される。確認操作部O3がクリック操作されると、表示制御部11は、表示制御部11によって表示されていた確認内容を実行済みの内容として
図5に示した今回服薬指導表示領域A31に表示させる。
【0044】
なお、
図10において生活情報に関する内容の図示を省略しているが、例えば医薬品と特定の食品とが禁忌等の関係にある場合、特定の食品について摂取状況を確認するようにされている。
【0045】
また、表示制御部11は、項目I2,I21,I3,I5に疑義照会ボタンB11を表示させる。薬剤師は項目I2,I21,I3,I5に関して医師に確認(疑義照会)を行う必要がある。このため、疑義照会ボタンB11が指定されると、表示制御部11は、
図11に示す疑義照会画面を表示させる。特に
図11は、項目I21におけるロキソニン錠60mgに関する疑義照会ボタンB11が指定された場合の疑義照会画面を示しており、予めロキソニン錠60mgについてチェックが入力済みとなっている。なお、処方監査画面は閉じるボタンB12が指定されると閉じられることとなる。
【0046】
図11に示す疑義照会画面では医師に対して行う疑義照会の詳細を入力するようになっている。特に、疑義照会画面では、問合せ日時の項目I7、問合せた薬剤師である薬局担当者の項目I8、問合せ内容の項目I9、及び、問合せ結果の項目I10が必須の入力項目となっている。これらの項目I7~I10について内容が入力されたうえで入力ボタンB13が指定されると、
図12に示すように、服薬指導画面の疑義照会表示領域A33に疑義照会の内容(「同系統の薬剤でアレルギーがあったため」という疑義照会理由と「Dr.承認済み」という疑義照会結果)が反映される。なお、
図12の疑義照会表示領域A33には、別途「用量が超過しているため」という疑義照会理由と「用量変更済み」という疑義照会結果についても反映されている。
【0047】
一方、キャンセルボタンB14が指定されると、表示制御部11は、例えば
図10に示す処方監査画面を再表示させる。なお、
図5に示すように服薬指導画面の上部には疑義照会ボタンB11が表示されている。薬剤師は、疑義照会ボタンB11を指定することによっても
図11に示す疑義照会画面を表示させることができる。
【0048】
さらに、
図2に示す決定部13は、前回の服薬指導の内容に基づいて今回行うべき服薬指導の内容を決定する機能を有している。例えば
図5に示す過去服薬指導表示領域A22には、前回の服薬指導の内容が表示されており、その内容の1つには、指導項目I11が表示されている。決定部13は、このような指導に応じた服薬指導を今回行うべきと判断する。
【0049】
図13は、
図5に示す過去服薬指導表示領域A22と今回服薬指導表示領域A31との対比を示し、(a)はクリック操作前を示し、(b)はクリック操作後を示している。
図13(a)に示すように、表示制御部11は、前回の服薬指導として「[リンデロンV軟膏0.12%]副作用として皮膚の刺激感等の症状がでることがあるため症状が出れば相談するよう指導。」という指導項目I11を表示している。さらに、表示制御部11は、過去服薬指導表示領域A22の指導項目I11に確認操作部O4を表示させている。なお、表示制御部11は、
図13(a)に示す状態で今回服薬指導表示領域A31の確認項目I12を空欄で表示させている。
【0050】
ここで、薬剤師が確認操作部O4をクリック操作したとすると、表示制御部11は、決定部13によって決定されていた前回の服薬指導に基づく今回の服薬指導の内容を実行済みの内容として確認項目I12に表示させる。これにより、本実施形態に係る電子薬歴システム1は、前回の服薬指導の内容に基づく今回の服薬指導の内容に応じた記載を簡易にすることができる。特に、前回の服薬指導の内容を示す過去服薬指導表示領域A22と、今回の服薬指導の内容を記載するための今回服薬指導表示領域A31とを同一画面上に表示させると共に、確認操作部O4を過去服薬指導表示領域A22の指導項目I11に表示させている。このため、薬剤師に前回の服薬指導の内容について参照することを促すこととなる。この結果、例えば確認操作部O4が確認項目I12に表示されて、薬剤師が前回の服薬指導の内容を把握することなくクリック操作されてしまう可能性を低減させることができる。
【0051】
さらに、
図5に示すように、今回確認事項表示領域A32には併用薬入力ボタンB17が表示されている。この併用薬入力ボタンB17が指定されると、表示制御部11は併用薬入力画面を表示させる。なお、
図14に示す併用薬入力画面は、
図8の併用薬入力ボタンB17が指定されることによっても表示されるようになっている。
【0052】
図14に示す併用薬入力画面においては検索欄C7が設けられている。検索欄C7には、YJコード、剤形、及び医薬品名による検索が可能である旨の表示がされている。検索結果は、検索結果欄C8に表示されるようになっている。なお、
図14に示す例においては、検索欄C7に何ら文字が入力されていないことから、検索結果欄C8には全ての医薬品が表示されている。
【0053】
検索欄C7に何らかの文字が入力された場合には検索が実行され、検索結果欄C8には、検索によりヒットした医薬品のみが表示される。ここで、検索結果欄C8に表示される医薬品の表示項目そのものが指定ボタンB18となっており、いずれかの指定ボタンB18(医薬品)が指定されることで、併用薬を選択可能となっている。
【0054】
併用薬が選択された状態で入力ボタンB19が指定されると、
図12の今回確認事項表示領域A32には併用薬表示領域A321が形成され、併用薬が表示されることとなる。
【0055】
以上のような各種電子薬歴の記載に関する操作が行われた後、
図5に示す服薬指導画面の保存ボタンB20が指定されると、更新された全ての内容がメインサーバ10の記憶部12に記憶されることとなる。すなわち、実行済みとされた処方監査や服薬指導の内容、更新等された頭書きの内容、及び、今回確認された確認事項の内容の全てがメインサーバ10の記憶部12に記憶されることとなる。なお、記憶部12は、各画面の終了時点や所定時間間隔で記憶を行うようにしてもよい。
【0056】
ここで、表示制御部11は、保存ボタンB20が指定されたときに、今回患者に対して行った服薬指導の内容(すなわち今回服薬指導表示領域A31の内容)、及び、調剤に要する行為(すなわち、処方監査における疑義照会や禁忌チェック、及び、頭書き登録の内容)に未入力の箇所があった場合、現在表示中の画像上に
図15に示す警告画面を重ねて表示(ポップアップ表示)させる。
図15に示すように、警告画面には、未入力箇所を指摘する記述部N2~N4と、未入力状態を解消するための操作画面(疑義照会画面、処方監査画面、指導支援画面、頭書き登録画面等)に遷移するための遷移ボタンB21とが表示されている。このため、薬剤師は、記述部N2~N4を参照して未入力箇所を把握すると共に、遷移ボタンB21を操作することで未入力状態を解消するための操作画面に遷移することができ、遷移先でスムーズに未入力状態を解消することができる。
【0057】
加えて、本実施形態において表示制御部11は、より重大な内容について未入力である場合、
図4に示した患者指定ボタンB2が指定されて患者の初期画面(服薬指導画面)が表示される際に
図15に示したような警告画像を患者の初期画面上にポップアップ表示させる。重大な内容とは、特定の薬が禁忌である旨の個別禁忌薬(製品一致)の項目I2、特定の成分が禁忌である旨の個別禁忌薬(成分一致)の項目I21、小児等において用量を超過している旨の用量超過の項目I3、及び、患者の疾病との関係から禁忌となる疾病禁忌の項目I5に関する疑義照会、及び、適応症禁忌の項目I6の禁忌チェックや生活情報との関連による禁忌チェックをいう。従って、表示制御部11は、患者の初期画面を開いた時点で項目I2,I21,I3,I5,I6等が未入力である場合、
図15に示したような警告画像をポップアップ表示させる。このように患者の初期画面を開いた時点で重大な内容について未入力である場合に警告画面をポップアップ表示させることで、より注意喚起するようになっている。
【0058】
ここで、適応症禁忌の項目I6の禁忌チェックや生活情報との関連による禁忌チェックについては、警告画面上に遷移ボタンB21を表示させて画面遷移を促すのではなく、
図16に示すような警告画面を表示してもよい。すなわち、
図16に示すように、遷移ボタンB21に代えて、
図10を参照して説明した確認操作部O3を表示するようにしてもよい。この場合、警告画面には、薬剤師が確認操作部O3をクリック操作してもよいかを判断するために充分な内容の記述部N5が表示されることとなる。このように、電子薬歴システム1では、警告画面に確認操作部O3が表示されて画面遷移を伴うことなく未入力状態が解消されるようになっていてもよい。
【0059】
さらに、本実施形態に係る電子薬歴システム1は、
図5、
図13(a)及び
図13(b)に示すように、過去服薬指導表示領域A22にDoボタン(転載ボタン)B22を表示している。薬剤師はDoボタンB22を指定すると、過去の服薬指導の内容を今回の服薬指導の内容としてコピーすることができる。このため、処方薬が似ている場合にはDoボタンB22を指定したうえで前回との相違点を入力すればよく、利便性の向上が図られている。
【0060】
ここで、過去服薬指導表示領域A22に前回の服薬指導の内容が表示されているときに、薬剤師がDoボタンB22を指定し、その後前回の服薬指導との相違点を入力することなく、保存ボタンB20を指定した場合には、
図17に示す警告画面を表示するようにしてもよい。
図17に示すように、表示制御部11は、服薬指導の内容が前回の内容と同じである旨の記述部N6を有した警告画面を現在表示中の画像上に重ねポップアップ表示させる。これにより例えば薬剤師が前回内容を引用して服薬指導を記載してしまい薬歴の質が低下してしまうことを防止するようにしている。また、同じ記載であることを警告できることから、薬剤師に対して前回と同じ服薬指導が行われないように促すことにもつながり、ひいては服薬指導の質の向上に寄与するようにしている。
【0061】
なお、
図17に示す警告画面では、戻るボタンB23を表示しているが、戻るボタンB23に代えて、服薬指導画面へ遷移させるための遷移ボタンB21や指導支援画面へ遷移させるための遷移ボタンB21を表示するようにしてもよい。
【0062】
さらに、本実施形態に係る表示制御部11は、予め利用者側によって登録された禁止ワードが服薬指導の内容として記載された場合、
図18に示すように禁止ワードが記載されている旨の記述部N7を有した警告画面を現在表示中の画像上に重ねポップアップ表示させるようにしてもよい。これにより、例えば適切な服薬指導が行われたか疑わしく感じるようなワードを禁止して適切な薬歴とすることに貢献できるからである。
【0063】
なお、
図18に示す警告画面においても
図17に示すものと同様に、戻るボタンB23を表示しているが、戻るボタンB23に代えて、服薬指導画面へ遷移させるための遷移ボタンB21や指導支援画面へ遷移させるための遷移ボタンB21を表示するようにしてもよい。
【0064】
さらに、本実施形態においては、併用薬に関する情報の入力箇所が複数存在する。このため、メインサーバ10は、併用薬入力ボタンB17を通じて入力される併用薬表示領域A321の併用薬の内容と、頭書き情報として登録されている併用薬の内容や、今回確認事項表示欄A32に設けられる併用薬の項目A322(他科受診・併用薬)の内容とに矛盾がある場合、
図19に示すように併用薬の情報に矛盾がある旨の記述部N8を有した警告画面を現在表示中の画像上に重ねポップアップ表示させる。特に、このポップアップ表示には遷移ボタンB21が含まれることとなる。これにより、併用薬の入力の誤りをスムーズに解消できるからである。
【0065】
詳細に説明すると、メインサーバ10は、まず併用薬表示領域A321に併用薬の情報が入力されているかを判断する。併用薬表示領域A321に併用薬の情報が入力されている場合、メインサーバ10は、頭書き情報として登録されている併用薬の内容や、今回確認事項表示欄A32に設けられる併用薬の項目A322の内容を確認する。ここで、頭書き情報や併用薬の項目A322に「併用薬なし」と入力されていたり空欄等の何ら入力されていなかったりする場合には、矛盾が生じることから、
図19に示すような警告画像がポップアップ表示されることとなる。一方、頭書き情報や併用薬の項目A322に「併用薬あり」と入力されていたり入力済みの併用薬と一致する具体的な医薬品名が入力されていたりする場合、メインサーバ10は、矛盾がないと判断して
図19に示すような警告画像のポップアップ表示を実行しないこととなる。
【0066】
なお、上記においてメインサーバ10は、併用薬の入力内容の矛盾を確認するにあたり、まず併用薬表示領域A321に併用薬の情報が入力されているかを判断しているが、特にこれに限られない。例えば、メインサーバ10は、併用薬の項目A322の入力内容を判断し、これと矛盾しない内容が併用薬表示領域A321に併用薬の情報が入力されているかを確認するようにしてもよい。すなわち、メインサーバ10は、併用薬の項目A322の入力内容が「併用薬なし」であると判断した場合に、併用薬表示領域A321に併用薬の情報が入力されているときに、矛盾があると判断して
図19に示すような警告画像をポップアップ表示させてもよい。加えて、メインサーバ10は、頭書き情報として登録されている併用薬の内容と、併用薬の項目A322の内容とに矛盾があるか否かを判断して、
図19に示すような警告画像のポップアップ表示させるようにしてもよい。
【0067】
また、上記では
図15~
図19に示す警告画面が別々に示されているが、特に別々に限らず、
図15~
図19で説明した警告事象が複数同時に発生した場合には、
図15~
図19に示す警告画面が一体化されて表示されるようになっていてもよい。
【0068】
加えて、本実施形態において表示制御部11は、
図6に示す乳幼児の項目I1’について文字を自動入力のうえ表示するようになっている。詳細に説明すると、まず決定部13が乳幼児の項目I1’を表示すると決定したとする。このとき、メインサーバ10は、読み込んだ処方箋データによる処方薬が、予め(頭書き内容等として)入力されている患者の体重に基づく用量を超過しているか判断する。超過していない場合、表示制御部11は、乳幼児に関する項目I1’内に用量に問題がない旨を表示させる(「用量問題なし」と自動入力のうえ表示させる)。
【0069】
なお、メインサーバ10の判断により超過していると判断された場合には、
図10に示した用量超過の項目I3が疑義照会画面に表示されることとなる。
【0070】
次に、本実施形態に係る電子薬歴システム1の制御方法について説明する。
図20~
図23は、本実施形態に係る電子薬歴システム1の制御方法を示すフローチャートである。
【0071】
まず、
図20に示すように、メインサーバ10は、処方箋データを取得したかを判断する(S1)。処方箋データが取得されていない場合(S1:NO)、処方箋データが取得されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0072】
一方、処方箋データが取得された場合(S1:YES)、決定部13は、処方箋データの内容及び患者の年齢データに基づいて、今回患者側に行うべき服薬指導の内容を決定する(S2)。さらに、決定部13は、このタイミングで患者の前回の服薬指導の内容を参照し、前回の服薬指導の内容に基づいて、今回患者側に行うべき服薬指導の内容を決定する(S2)。加えて、この処理においては処方監査の内容についてメインサーバ10によって決定される(S2)。
【0073】
その後、
図20に示した処理は終了する。
図20に示す処理はメインサーバ10が停止するまで常時実行される。
【0074】
また、この処理と平行して
図21~
図23に示す処理が実行される。まず、薬局側端末20がメインサーバ10に接続すると、
図21に示すように表示制御部11は、薬局側端末20の表示部に
図3に示したログイン画面を表示させる(S11)。その後、メインサーバ10は、適切にログインされたかを判断する(S12)。例えばいずれかの入力欄C1~C3の内容に誤りがある場合、メインサーバ10は、適切にログインされなかったと判断し(S12:NO)、適切にログインされたと判断されるまで、この処理を繰り返す。
【0075】
一方、全ての入力欄C1~C3の内容が正しい場合、メインサーバ10は、適切にログインされたと判断し(S12:YES)、表示制御部11は、
図4に示した来局者一覧画面を表示させる(S13)。
【0076】
次に、メインサーバ10は、いずれかの患者指定ボタンB2が指定されたかを判断する(S14)。患者指定ボタンB2が指定されていない場合(S14:NO)、処理はステップS13に移行する。
【0077】
いずれかの患者指定ボタンB2が指定された場合(S14:YES)、メインサーバ10は
図5に示したような服薬指導画面を生成する(S15)。ここで、
図20に示したステップS2において決定部13によりハイリスク薬に関して服薬指導をすべきと決定されていた場合、メインサーバ10は、
図6を参照して説明したように、今回服薬指導表示領域A31にハイリスク薬の項目I1を生成する。乳幼児及び一包化についても同様である。さらに、乳幼児の項目I1’を生成した場合には、メインサーバ10は、処方される薬が患者の体重から演算される用量を超過しているか判断し、超過していない場合には
図6を参照して説明したように用量に問題がない旨のデータも生成する。加えて、
図20に示したステップS2において前回の服薬指導の内容に基づく今回の服薬指導の内容が決定された場合、メインサーバ10は、
図5及び
図13を参照して説明したように、過去服薬指導表示領域A22において前回の服薬指導の内容が表示されるときに合わせて、確認操作部O4を生成する。
【0078】
その後、表示制御部11は、ステップS15にて生成された服薬指導画面を表示させる(
図22:S16)。
【0079】
次に、メインサーバ10は、処方監査又は頭書きに未入力の内容があるかを判断する(S17)。処方監査又は頭書きに未入力の内容がある場合(S17:YES)、表示制御部11は、
図15及び
図16に示すような警告画面をポップアップ表示させる(S18)。
【0080】
次いで、メインサーバ10は、遷移ボタンB21が指定されたかを判断する(S19)。なお、
図16に示すように、遷移ボタンB21が表示されず、確認操作部O3が表示される場合には、ステップS19,S20の処理は省略され、ステップS21の処理が実行される。
【0081】
ステップS19の処理において遷移ボタンB21が指定されていない場合(S19:NO)、指定されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、遷移ボタンB21が指定された場合(S19:YES)、表示制御部11は、遷移先の画面を表示させる(S20)。
【0082】
次いで、メインサーバ10は、遷移先の画面において各種入力が行われて操作が完了したかを判断する(S21)。すなわち、メインサーバ10は、頭書き登録画面において入力ボタンB10が指定されたかを判断しており、処方監査画面においては閉じるボタンB12が指定されたかを判断している。また、メインサーバ10は、疑義照会画面においては入力ボタンB13又はキャンセルボタンB14が指定されたかを判断する。また、
図16に示す警告画面が表示されている場合には確認操作部O3がクリック操作されたかを判断する。
【0083】
上記各種ボタンが指定されていない場合、メインサーバ10は、遷移先の画面において操作が完了していないと判断し(S21:NO)、操作が完了したと判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0084】
一方、遷移先の画面において操作が完了したと判断した場合(S21:YES)、メインサーバ10は、入力された内容を各種画面等に反映させる(S22)。その後、処理はステップS16に移行する。
【0085】
ところで、処方監査及び頭書きに未入力の内容がない場合(S17:NO)、メインサーバ10は、保存ボタンB20が指定されたかを判断する(S23)。保存ボタンB20が指定されていない場合(S23:NO)、処理はステップS16に移行する。
【0086】
保存ボタンB20が指定された場合(S23:YES)、メインサーバ10は、処方監査、頭書き、服薬指導及び確認事項の内容に未入力があるか、並びに入力されている併用薬の情報に矛盾があるかを判断する(S24)。未入力の内容がある場合(S24:YES)、表示制御部11は、
図15及び
図16に示すような警告画面をポップアップ表示させる(S25)。また、併用薬の情報に矛盾がある場合(S24:YES)、表示制御部11は、
図19に示すような警告画面をポップアップ表示させる(S25)。その後、処理はステップS19に移行する。
【0087】
処方監査、頭書き、服薬指導及び確認事項の内容に未入力がなく、併用薬の情報に矛盾がない場合(S24:NO)、メインサーバ10は、前回の服薬指導の内容と今回の服薬指導の内容とが一致するか、及び、禁止ワードが使用されていないかを判断する(
図23:S26)。服薬指導の内容の一致又は禁止ワードが使用されている場合(S26:YES)、表示制御部11は、
図17及び
図18に示すような警告画面をポップアップ表示させる(S27)。その後、メインサーバ10は、戻るボタンB23が指定されたかを判断する(S28)。
【0088】
戻るボタンB23が指定されていないと判断した場合(S28:NO)、戻るボタンB23が指定されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、戻るボタンB23が指定されたと判断された場合(S28:YES)、処理はステップS16に移行する。
【0089】
ところで、服薬指導の内容の一致しておらず禁止ワードが使用されていない場合(S26:NO)、記憶部12は、入力された内容を記憶する(S29)。その後、
図21~
図23に示した処理は終了する。
【0090】
このようにして、本実施形態に係る電子薬歴システム1、及びその制御方法によれば、未入力状態である旨を現在表示中の画像上に重ねて表示させるため、単に未入力箇所の色を変える等の場合と比較して、より確実に薬剤師等に未入力状態であることを示すことができる。特に、遷移ボタンB21を表示しない場合には、警告画面により未入力状態であることが通知されても薬剤師等が警告画面を消して入力を行う前に他の作業が発生したときには未入力状態が解消されないことがあり得るが、遷移ボタンB21を表示することから、遷移ボタンB21の操作後に他の作業が発生しても少なくとも未入力状態の画面には遷移していることから、未入力状態が解消されなくなる可能性が低減することとなる。従って、注意喚起を行った場合に未入力状態のままとなってしまう可能性を低減することができる。
【0091】
また、薬歴の保存が指示された場合に、未入力状態である旨を現在表示中の画像上に重ねてポップアップ表示させると共に、当該未入力状態を解消するための操作画面に遷移するための遷移ボタンB21を表示させる。このため、薬歴の保存時に未入力状態である旨の注意喚起を行ったうえで、未入力状態である項目について入力を促すこととなる。すなわち、薬歴の保存という薬剤師が薬歴の記載が終わって終了するタイミングにおいて注意喚起することとなり、最後に未入力状態である薬歴を修正するように入力を行うことができる。
【0092】
また、服薬指導画面(患者の初期画面)を表示する際に、疑義照会、及び、処方薬が禁忌に該当するか否かの少なくとも1つについて未入力状態である旨を当該服薬指導画面上にポップアップ表示させると共に、当該未入力状態を解消するための操作画面に遷移するための遷移ボタンB21を表示させる。このため、疑義照会や禁忌チェックという極めて重要な項目の未入力については、患者の初期画面である服薬指導画面上に表示させることで最初に対応を促すことができる。これにより、重大な項目について未入力状態のままとなってしまう可能性を低減することができる。
【0093】
また、服薬指導画面(患者の初期画面)を表示する際に、未入力状態である旨を当該服薬指導画面上に重ねて表示させると共に、禁忌に該当しなかった旨を入力するための確認操作部O3を表示させる。このため、禁忌という極めて重要な項目の未入力については、患者の初期画面である服薬指導画面上に表示させることで最初に対応を促すことができる。また、禁忌の確認については患者の生活情報(特定の食品を食べるか等)に基づくものもあり、患者側に確認すればよいものもある。このような項目については、確認操作部O3を操作することで禁忌に該当しなかったことを入力させることができる。これにより、重大な項目について未入力状態のままとなってしまう可能性を低減することができる。
【0094】
また、今回入力された服薬指導の情報が前回の服薬指導のものと同じである場合、その旨を現在表示中の画像上に重ねて表示するため、例えば薬剤師が前回の内容を引用して服薬指導を記載してしまい薬歴に質が低下してしまうことを防止することができる。また、同じ記載であることを警告できることから、薬剤師に対して前回と同じ服薬指導が行われないように促すことにもつながり、ひいては服薬指導の質の向上に寄与することができる。
【0095】
また、DoボタンB22を表示させるため、処方薬や患者の症状が前回と近い場合には、まずDoボタンB22を操作したうえで前回との相違点を入力すればよく、より一層未入力状態のままとなってしまう可能性を低減することができる。
【0096】
また、予め登録された禁止ワードが記載されている旨を現在表示中の画像上に重ねて表示させるため、適切な服薬指導が行われたか疑わしいワードが記載されている場合等、再度の入力を促すことができ、適切な薬歴とすることに貢献することができる。
【0097】
また、併用薬に関する情報同士に矛盾がある場合に、その旨を現在表示中の画像上に重ねて表示させると共に、遷移ボタンB21を表示させる。このため、併用薬という禁忌チェックに重要となる項目に関して特に注意を促すと共に、特に重要な項目の誤りの解消に貢献することができる。
【0098】
また、本実施形態に係る電子薬歴プログラム及び記録媒体によれば、上記した電子薬歴システム1、及びその制御方法を実現することができる。
【0099】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせてもよい。
【0100】
例えば、上記実施形態において薬局側端末20はメインサーバ10によって表示等が制御されているが、特にこれに限らず、電子薬歴プログラムが薬局側端末20にダウンロードされて、薬局側端末20自身が表示等を制御してもよい。
【0101】
また、本実施形態に係る電子薬歴システム1は、警告画面について患者の初期画面に相当する服薬指導画面上にポップアップ表示させたり、保存実行時にポップアップ表示させたりしているが、特にこれに限らず、例えば処方監査画面において適切な入力がされないまま、閉じるボタンB12が指定された場合等、各画面における入力必須事項が入力されていないときにポップアップ表示されるようになっていてもよい。この場合、遷移ボタンB21は特に表示させる必要はなく、例えば戻るボタンB23を表示させるようにしてもよい。
【0102】
さらに、本実施形態に係る電子薬歴システム1は、警告画面に遷移ボタンB21を表示させているが、警告画面を閉じたときに表示される画面(ポップアップの際に表示されていた画面)とは異なる画面に遷移するものであることが好ましい。これにより、例えば戻るボタンB23とは異なる機能を持つ遷移ボタンB21とすることができるからである。
【0103】
さらに、警告画面に遷移ボタンB21が表示される場合、遷移ボタンB21の指定操作以外の操作では警告画面が消去されないようにすることも好ましい。これにより、画面遷移させることなく警告画面が閉じられてしまうことを防止できるためである。
【0104】
また、本実施形態に係る電子薬歴システム1は、処方監査における患者側への確認内容、及び、患者側に行うべき服薬指導の内容の双方について、クリック操作による記載が可能となっているが、これに限らず、いずれか一方のみがクリック操作によって記載可能となっていてもよい。
【0105】
さらに、本実施形態に係る電子薬歴システム1は、処方監査における患者側への確認内容、及び、患者側に行うべき服薬指導の内容の多数の内容について少なくとも1つがクリック操作のみによって記載可能となっていることが好ましい。さらには、処方監査における患者側への確認内容、及び、患者側に行うべき服薬指導の内容の多数の内容の全てについて、キーボード等のよる文字入力を要することなくクリック操作のみで記載可能となっていることが好ましい。
【0106】
また、本実施形態に係る電子薬歴システム1は、いわゆる電子薬歴簿としての機能を有するものであるが、例えばレセプトコンピュータ等の他の機能を有する機器の一部機能として組み込まれたものであってもよい。
【0107】
さらに、本実施形態に係る電子薬歴システム1は、いわゆる調剤薬局で使用されることを想定して説明したが、これに限らず、介護施設や院内薬局等の他の施設内で使用されるものであってもよい。
【0108】
加えて、上記実施形態において説明した確認事項や禁忌の内容等については、法律改正、社会状況の変化及び医療の進歩等に応じて新たな項目が追加されたり減少したりすることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0109】
1 :電子薬歴システム
10 :メインサーバ
11 :表示制御部
12 :記憶部
13 :決定部
20 :薬局側端末
A1 :第1表示領域
A2 :第2表示領域
A21 :過去処方箋表示領域
A22 :過去服薬指導表示領域
A3 :第3表示領域
A31 :今回服薬指導表示領域
A32 :今回確認事項表示領域
A321:併用薬表示領域
A322:併用薬の項目
A33 :疑義照会表示領域
B1 :ログインボタン
B2 :患者指定ボタン
B3 :指導支援ボタン
B4 :入力ボタン
B5 :確認事項ボタン
B6 :選択ボタン
B7 :入力ボタン
B8 :頭書き登録ボタン
B9 :登録ボタン
B10 :入力ボタン
B11 :疑義照会ボタン
B12 :閉じるボタン
B13 :入力ボタン
B14 :キャンセルボタン
B15 :処方監査ボタン
B16 :保存ボタン
B17 :併用薬入力ボタン
B18 :指定ボタン
B19 :入力ボタン
B20 :保存ボタン
B21 :遷移ボタン
B22 :Doボタン(転載ボタン)
B23 :戻るボタン
CF :内容欄
C1 :ユーザーID入力欄
C2 :パスワード入力欄
C3 :企業コード入力欄
C4 :過去日付等指定欄
C5 :入力欄
C6 :入力欄
C7 :検索欄
C8 :検索結果欄
I1~I12,I1’,I1’’,I21 :項目
I11 :指導項目
I12 :確認項目
L :医薬品一覧
N1~N8 :記述部
O1 :第1操作部
O2 :第2操作部
O3 :確認操作部(確認ボタン)
O4 :確認操作部
P :指定部