(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077565
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】車輌用標識灯のカバー
(51)【国際特許分類】
F21S 43/20 20180101AFI20230530BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20230530BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20230530BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20230530BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20230530BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20230530BHJP
F21W 105/00 20180101ALN20230530BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20230530BHJP
【FI】
F21S43/20
F21V5/04 600
F21V5/00 350
F21W103:00
F21W103:20
F21W103:35
F21W105:00
F21W103:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190872
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】杉江 直哉
(72)【発明者】
【氏名】木幡 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】近藤 真一郎
(57)【要約】
【課題】 高い機能性を確保すると共に意匠性の向上を図る。
【解決手段】 開口を有するランプハウジングに開口を覆う状態で取り付けられ光源から出射された光が透過されると共に金型を用いた射出成形によって形成される車輌用標識灯のカバーにおいて、所定の方向に延びる複数の凹部が連続して並ぶシリンドリカルレンズステップとして形成された第1のステップと、所定の方向に対して傾斜する四つの直線状の凸部によって形成された枠状部を複数有する第2のステップとを備え、四つの直線状の凸部が凹部に対して交差する状態で設けられ、複数の枠状部が所定の方向に連続して設けられた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するランプハウジングに前記開口を覆う状態で取り付けられ光源から出射された光が透過されると共に金型を用いた射出成形によって形成される車輌用標識灯のカバーであって、
所定の方向に延びる複数の凹部が連続して並ぶシリンドリカルレンズステップとして形成された第1のステップと、
前記所定の方向に対して傾斜する四つの直線状の凸部によって形成された枠状部を複数有する第2のステップとを備え、
前記四つの直線状の凸部が前記凹部に対して交差する状態で設けられ、
複数の前記枠状部が前記所定の方向に連続して設けられた
車輌用標識灯のカバー。
【請求項2】
前記所定の方向において連続する前記枠状部の連続部分と前記連続して並ぶ凹部の連続部分とが一致された
請求項1に記載の車輌用標識灯のカバー。
【請求項3】
溶融樹脂のゲートの位置が前記枠状部の連続部分にされた
請求項2に記載の車輌用標識灯のカバー。
【請求項4】
前記第1のステップは前記所定の方向が長さ方向にされ前記所定の方向と前記凹部の深さ方向にともに直交する方向が幅方向にされ、
前記凹部の幅が1mm以上15mm以下にされ、
前記凹部の深さが0.1mm以上0.4mm以下にされた
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車輌用標識灯のカバー。
【請求項5】
前記第2のステップは前記凸部の延びる方向が長さ方向にされ前記凸部の延びる方向と高さ方向にともに直交する方向が幅方向にされ、
前記凸部が断面形状において等脚台形状に形成され、
前記凸部の幅が1mm以上15mm以下にされ、
前記凸部の高さが0.2mm以下にされた
前記凸部の断面形状における底角が30度以下にされた
請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の車輌用標識灯のカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプハウジングに取り付けられ光源から出射された光が透過される車輌用標識灯のカバーについての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用標識灯には、カバーとランプハウジングによって構成された灯具外筐の内部に光源やその他の各種の光学部品が配置され、カバーの内面にレンズステップが形成されたタイプがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
このようなレンズステップが形成されたカバーを有する車輌用標識灯においては、レンズステップによって光源から出射された光が制御されるため、照射される光のムラの発生等を抑制して視認性の向上を図ることが可能である。また、レンズステップの形状やカバーにおける形成位置等に応じて外部からカバーを視認したときの見栄えが変化するため、レンズステップを所望の位置に所望の形状で形成することにより、意匠性の向上を図ることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-322904号公報
【特許文献2】特開平9-58336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなカバーにおいては、レンズステップによって光源から出射された光が制御されるため、レンズステップが高い機能性を有する形状や位置に形成されることが望まれる。
【0006】
また、レンズステップの形状や形成位置等に応じて外部からカバーを視認したときの見栄えが変化するため、高い機能性を確保した上で意匠性の向上が図られることも望まれる。
【0007】
そこで、本発明車輌用標識灯のカバーは、高い機能性を確保すると共に意匠性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車輌用標識灯のカバーは、開口を有するランプハウジングに前記開口を覆う状態で取り付けられ光源から出射された光が透過されると共に金型を用いた射出成形によって形成される車輌用標識灯のカバーであって、所定の方向に延びる複数の凹部が連続して並ぶシリンドリカルレンズステップとして形成された第1のステップと、前記所定の方向に対して傾斜する四つの直線状の凸部によって形成された枠状部を複数有する第2のステップとを備え、前記四つの直線状の凸部が前記凹部に対して交差する状態で設けられ、複数の前記枠状部が前記所定の方向に連続して設けられたものである。
【0009】
これにより、シリンドリカルレンズステップとして形成された凹部が並ぶ第1のステップと第1のステップに対して傾斜する凸部によって形成された複数の枠状部を有する第2のステップとによって光源から出射された光が制御される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シリンドリカルレンズステップとして形成された凹部が並ぶ第1のステップと第1のステップに対して傾斜する凸部によって形成された複数の枠状部を有する第2のステップとによって光源から出射された光が制御されるため、主として第1のステップによって良好な配光制御が行われ第1のステップと第2のステップの組み合わせによって被視認性が高まり、高い機能性を確保することができると共に意匠性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図2乃至
図6と共に本発明車輌用標識灯のカバーの実施の形態を示すものであり、本図は、車輌用標識灯の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明車輌用標識灯のカバーを実施するための形態について添付図面を参照して説明する。カバーは、例えば、テールランプ、ストップランプ、ターンシグナルランプ、クリアランスランプ等やこれらの各種のランプが組み合わされたコンビネーションランプである車輌用標識灯において用いられる。
【0013】
尚、以下には、車輌用標識灯からの光の出射方向を前方として前後上下左右の方向を説明する。但し、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0014】
車輌用標識灯1は、例えば、車体の左右両端部に取り付けられ、前端に開口を有するランプハウジング2とランプハウジング2の開口を閉塞するカバー3とを備えている(
図1参照)。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、灯具外筐4の内部空間が灯室5として形成されている。ランプハウジング2には前後に貫通された取付孔2aが形成されている。
【0015】
カバー3は金型を用いた射出成形によって形成されている。従って、カバー3は金型に充填された溶融樹脂が固化されることにより各部が一体に形成されている。
【0016】
灯室5にはランプユニット6が配置されている。ランプユニット6はリフレクター7とホルダー8とエクステンション9と光源10を有している。
【0017】
リフレクター7は前方に開口された浅い凹状に形成され、内面(前面)が反射面7aとして形成されている。リフレクター7には前後に貫通された挿通孔7bが形成されている。
【0018】
ホルダー8は前後に貫通された筒状に形成され、後端部がリフレクター7の外周部に取り付けられている。ホルダー8は内面が反射面として形成されていてもよい。
【0019】
エクステンション9は略前後方向を向くベース面部11とベース面部11から後方に突出された筒状の被取付部12とを有している。ベース面部11には光透過孔11a、11aが上下に離隔して形成されている。光透過孔11aは、例えば、横長の矩形状に形成されている。尚、光透過孔11aの数は任意である。
【0020】
エクステンション9は被取付部12の後端部がホルダー8の前端部に取り付けられている。尚、エクステンション9は光透過孔11aを透過される光の透過率より低い透過率を有する材料によって形成され、ベース面11における光透過孔11a、11a以外の部分においても光が透過される構成にされていてもよい。
【0021】
光源10としては、例えば、電球タイプが用いられている。但し、光源10として発光ダイオード(LED)が用いられていてもよい。光源10はソケット部10aと電球部10bとを有し、ソケット部10aが取付孔2aに挿通されてランプハウジング2に取り付けられている。光源10はランプハウジング2に取り付けられた状態において、リフレクター7の挿通孔7bに挿通され電球部10bが挿通孔7bより前側に位置される。
【0022】
カバー3の内面(後面)にはステップ形成部13、13が上下に離隔して形成されている(
図1及び
図2参照)。尚、
図2はカバー3の正面図であるが、理解を容易にするためにカバー3の内面に形成されたステップ形成部13、13の各線を実線によって示している。
【0023】
ステップ形成部13、13はカバー3がホルダー2に取り付けられた状態において、それぞれエクステンション9の光透過孔11a、11aの真正面に位置されている(
図1参照)。尚、ステップ形成部13の数や形成位置は任意であり、ステップ形成部13の数は一つでもよく、上下に離隔して三つ以上が形成されていてもよい。
【0024】
ステップ形成部13は第1のステップ14と第2のステップ15によって構成されている(
図2及び
図3参照)。第1のステップ14と第2のステップ15はカバー3における同じ領域に形成されている。
【0025】
第1のステップ14はシリンドリカルレンズステップとして形成され、所定の方向、例えば、左右方向に延びる複数の凹部16が上下方向において連続して並ぶことにより形成されている(
図3及び
図4参照)。凹部16は後方に開口され、凹部16を形成する面は曲面にされている。
【0026】
第1のステップ14は車輌用標識灯1から外部へ向けて照射される光の配光上の性能要件を担保する役割を有するレンズステップであり、光を拡散する機能を有している。
【0027】
第1のステップ14は所定の方向である左右方向が長さ方向にされ所定の方向と凹部16の深さ方向(前後方向)にともに直交する方向(上下方向)が幅方向にされ、凹部16の幅W1が1mm以上15mm以下にされ、凹部16の深さH1が0.1mm以上0.4mm以下にされている。
【0028】
第2のステップ15は菱形又は正方形に形成された枠状部17が上記した所定の方向、例えば、左右方向に連続して複数設けられて構成されている(
図3参照)。枠状部17は後方に突出された四つの直線状の凸部18によって形成され、凸部18が凹部16の延びる方向に対して傾斜されている。凸部18は凹部16に対して交差した状態で形成されている。
【0029】
ステップ形成部13においては、例えば、四つの凹部16が上下に連続して形成されることにより第1のステップ14が構成され、隣り合う枠状部17、17の連続部分17aが上下方向において二つ目の凹部16と三つ目の凹部16との連続部分16aに一致されている。枠状部17は上端部17bと下端部17cがそれぞれ第1のステップ14の上下両端部に一致した位置に形成されている。
【0030】
このようにカバー3においては、枠状部17、17の連続部分17aと凹部16、16の連続部分16aとが一致されている。
【0031】
従って、隣り合う枠状部17、17の連続部分17aと隣り合う凹部16、16の連続部分16aとが同じ位置にあるため、連続して並ぶ複数の凹部16に対して枠状部17を対称な位置に形成することが可能になり、外部からカバー3が視認されたときの見栄えが向上し、カバー3の意匠性の向上を図ることができる。
【0032】
また、上記したように、凸部18が凹部16の延びる方向に対して傾斜されているため、カバー3の射出成形時に溶融樹脂の流動性が高くなり、カバー3の良好な成形性を確保することが可能にされている。
【0033】
第2のステップ15は凸部18の延びる方向が長さ方向にされ凸部18の延びる方向と高さ方向にともに直交する方向が幅方向にされている。凸部18は断面形状において等脚台形状に形成されている(
図5参照)。凸部18は幅W2が1mm以上15mm以下にされ、高さH2が0.2mm以下にされ、断面形状における底角Aが30度以下にされている。
【0034】
第2のステップ15は灯室5に配置された光源10を外部から視認し難くする機能をも有し、外部からカバー3が視認されたときの被視認性の向上を図ることが可能にされている。従って、車輌用標識灯1に用いる光源の種類に拘わらず被視認性の向上を図ることが可能であり、コストの低い電球タイプの光源10を用いることにより車輌用標識灯1の製造コストの低減を図ることができる。
【0035】
カバー3は、上記したように、金型を用いた射出成形によって形成されるが、溶融樹脂の入口であるゲートGの位置が隣り合う枠状部17、17の連続部分17aにされている(
図2参照)。
【0036】
ゲートGの位置が連続部分17aにされることにより、ゲートGの位置が凹部16、16の連続部分16aに一致された枠状部17、17の連続部分17aにされるため、ゲート痕が目立たず、カバー3の意匠性の向上を図ることができる。
【0037】
尚、ゲートGの位置はカバー3の中央部に形成されることが望ましい。ゲートGの位置がカバー3の中央部に形成されることにより、金型のキャビティにおいてカバー3の外周部を形成する領域まで溶融樹脂の高い流動性が確保され易く、ウエルドラインの発生を来すことなくカバー3の高い成形性を確保することができる。
【0038】
上記のように構成された車輌用標識灯1において、光源10から光が出射されると、出射された光がリフレクター7の反射面7aで反射され又は直射光としてカバー3へ向かう。カバー3へ向かった光はエクステンション9の光透過孔11a、11aを透過され、カバー3のステップ形成部13、13を透過されて外部へ向けて照射される。このとき光はステップ形成部13、13、特に、第1のステップ14、14によって制御された状態で外部へ向けて照射される。
【0039】
尚、カバー3のステップ形成部13、13を透過される光は、主として第1のステップ14、14によって制御されるが、第1のステップ14、14の他に第2のステップ15、15によっても制御されて外部へ向けて照射される。
【0040】
以下に、第1のステップ14と第2のステップ15の各寸法に関するシミュレーションによる測定データについて説明する(
図6参照)。
【0041】
シミュレーションによる測定において、第1のステップ14については凹部16の幅W1と深さH1を変更したときの溶融樹脂の流動性と適正な配光パターンの形成状態の二つの項目に関して確認を行い、第2のステップ15については凸部18の幅W2と高さH2と底角Aを変更したときのカバー3の成形性とカバー3の意匠性の二つの項目に関して確認を行った。
【0042】
図6において、「○」は各項目について「極めて良好」である場合を示し、「△」は各項目について「良好」である場合を示し、「×」は各項目について「不良」である場合を示している。
【0043】
凹部16の幅W1に関しては、1mm未満と1mmと8mmと10mmと15mmの場合について溶融樹脂の流動性と適正な配光パターンの形成状態の二つの項目に関して確認を行った。
【0044】
凹部16の幅W1に関する溶融樹脂の流動性について、1mm未満の場合には溶融樹脂の流動性が低くカバー3の加工ができず「不良」であることが確認されたが、1mmと8mmと10mmと15mmの場合には溶融樹脂の流動性が高く「極めて良好」であることが確認された。凹部16の幅W1に関する適正な配光パターンの形成状態について、15mmの場合には配光パターンが本来必要な配光パターンに対して僅かに不十分な形成状態になるおそれはあるものの「良好」であることが確認され、1mm未満と1mmと8mmと10mmの場合には適正な配光パターンが形成され「極めて良好」であることが確認された。
【0045】
凹部16の深さH1に関しては、0.1mmと0.2mmと0.3mmと0.4mmと0.5mm以上の場合について溶融樹脂の流動性と適正な配光パターンの形成状態の二つの項目に関して確認を行った。
【0046】
凹部16の深さH1に関する溶融樹脂の流動性について、0.5mm以上の場合にはウエルドラインが発生し「不良」であることが確認されたが、0.3mmと0.4mmの場合にはウエルドラインの発生のおそれはあるものの溶融樹脂の流動性が十分であり「良好」であることが確認され、0.1mmと0.2mmの場合には溶融樹脂の流動性が高く「極めて良好」であることが確認された。凹部16の深さH1に関する適正な配光パターンの形成状態について、0.1mmと0.2mmと0.3mmと0.4mmと0.5mm以上の何れの場合についても適正な配光パターンが形成され「極めて良好」であることが確認された。
【0047】
このように第1のステップ14の各寸法に関するシミュレーションによる測定データの結果により、「不良」の判定を除外し、凹部16の幅W1が1mm以上15mm以下にされ、凹部16の深さが0.1mm以上0.4mm以下にされることが望ましい。
【0048】
凹部16の幅W1が1mm以上15mm以下にされ、凹部16の深さが0.1mm以上0.4mm以下にされることにより、カバー3の成形時における溶融樹脂の十分な流動性が確保されると共に配光性能に関しシリンドリカルレンズステップとしての十分な機能性が確保されるため、ウエルドラインの発生を抑制してカバー3の高い成形性を確保することができると共に車輌用標識灯1において所望の配光パターンを確実に形成することができる。
【0049】
凸部18の幅W2に関しては、1mm未満と1mmと3mmと10mmと15mmの場合についてカバー3の成形性とカバー3の意匠性の二つの項目に関して確認を行った。
【0050】
凸部18の幅W2に関するカバー3の成形性について、1mm未満の場合にはカバー3の成形性が低くカバー3の加工ができず「不良」であることが確認されたが、1mmの場合にはウエルドラインの発生のおそれはあるもののカバー3の良好な成形性が確保され「良好」であることが確認され、3mmと10mmと15mmの場合にはカバー3の高い成形性が確保され「極めて良好」であることが確認された。凸部18の幅W2に関する意匠性について、10mmと15mmの場合にはカバー3の十分な意匠性が確保され「良好」であることが確認され、1mm未満と1mmと3mmの場合にはカバー3の高い意匠性が確保され「極めて良好」であることが確認された。
【0051】
凸部18の高さH2に関しては、0mmと0.1mm未満と0.1mmと0.2mmと0.3mmの場合についてカバー3の成形性とカバー3の意匠性の二つの項目に関して確認を行った。
【0052】
凸部18の高さH2に関するカバー3の成形性について、0.3mmの場合にはウエルドラインが発生し「不良」であることが確認されたが、0.2mmの場合にはウエルドラインの発生のおそれはあるもののカバー3の良好な成形性が確保され「良好」であることが確認され、0mmと0.1mm未満と0.1mmの場合にはカバー3の高い成形性が確保され「極めて良好」であることが確認された。凸部18の高さH2に関する意匠性について、0mmの場合にはカバー3の意匠性が低く「不良」であることが確認され、1mmの場合にはカバー3の十分な意匠性が確保され「良好」であることが確認され、0.1mmと0.2mmと0.3mmの場合にはカバー3の高い意匠性が確保され「極めて良好」であることが確認された。
【0053】
凸部18の底角Aに関しては、10度未満と10度と15度と30度と35度以上の場合についてカバー3の成形性とカバー3の意匠性の二つの項目に関して確認を行った。
【0054】
凸部18の底角Aに関するカバー3の成形性について、35度以上の場合にはウエルドラインが発生し「不良」であることが確認されたが、30度の場合にはウエルドラインの発生のおそれはあるもののカバー3の良好な成形性が確保され「良好」であることが確認され、10度未満と10度と15度の場合にはカバー3の高い成形性が確保され「極めて良好」であることが確認された。凸部18の底角Aに関する意匠性について、10度未満の場合にはカバー3の十分な意匠性が確保され「良好」であることが確認され、10度と15度と30度と35度以上の場合にはカバー3の高い意匠性が確保され「極めて良好」であることが確認された。
【0055】
このように第2のステップ15の各寸法に関するシミュレーションによる測定データの結果により、「不良」の判定を除外し、凸部18の幅W2が1mm以上15mm以下にされ、凸部18の高さが0.2mm以下にされ、凸部の断面形状における底角が30度以下にされることが望ましい。
【0056】
凸部18の幅W2が1mm以上15mm以下にされ、凸部18の高さが0.2mm以下にされ、凸部の断面形状における底角が30度以下にされることにより、カバー3の成形時における溶融樹脂の十分な流動性が確保されるため、ウエルドラインの発生を抑制して高い成形性を確保することができると共に意匠性の向上を図ることができる。
【0057】
以上に記載した通り、カバー3は所定の方向に延びる複数の凹部16が連続して並ぶシリンドリカルレンズステップとして形成された第1のステップ14と、所定の方向に対して傾斜する四つの直線状の凸部18によって形成された枠状部17を複数有する第2のステップ15とを備え、四つの凸部18が凹部16に対して交差する状態で設けられ、複数の枠状部17が所定の方向に連続して設けられている。
【0058】
従って、シリンドリカルレンズステップとして形成された凹部16が並ぶ第1のステップ14と第1のステップ14に対して傾斜する凸部18によって形成された複数の枠状部17を有する第2のステップ15とによって光源から出射された光が制御される。これにより、主として第1のステップ14によって良好な配光制御が行われ第1のステップ14と第2のステップ15の組み合わせによって被視認性が高まり、高い機能性を確保することができると共に意匠性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0059】
2…ランプハウジング、3…カバー、10…光源、14…第1のステップ、15…第2のステップ、16…凹部、16a…連続部分、17…枠状部、17a…連続部分、18…凸部