(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077570
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】レンズ装置
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
G02B15/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190881
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】391044915
【氏名又は名称】株式会社コシナ
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(72)【発明者】
【氏名】田村 圭
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA06
2H087MA13
2H087NA08
2H087PA13
2H087PA16
2H087PB17
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA22
2H087QA26
2H087QA34
2H087QA41
2H087QA45
2H087RA36
2H087RA41
2H087RA45
2H087SA57
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA66
2H087SA72
2H087SB05
2H087SB15
2H087SB23
2H087SB32
2H087SB43
2H087UA06
(57)【要約】
【課題】 ズーミング調整の全域で温度による影響を抑制し、良好な色収差補正を行うとともに、温度変動時のピントずれや解像性能の低下を解消する。
【解決手段】 拡大側Eから順に、負の屈折力の第1レンズ群G1,正の屈折力の第2レンズ群G2,負の屈折力の第3レンズ群G3,正の屈折力の第4レンズ群G4,正又は負の屈折力の第5レンズ群G5,正の屈折力の第6レンズ群G6,正の屈折力の第7レンズ群G7を有するレンズ構成部Mpと、ズーミング調整時に、第1レンズ群G1及び第7レンズ群G7を不動とし、かつ第2レンズ群G2乃至第6レンズ群G6をそれぞれ光軸方向Dcへ独立して移動させるとともに、フォーカシング調整時に、第2レンズ群G2のみを光軸方向Dcへ移動させるレンズ調整部Mcとを備え、ズーミング調整時の移動ストロークが最も大きいレンズ群に所定の条件1及び2満たす第一特定正レンズLxを含める。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡大側から順に複数のレンズ群を備えるレンズ装置において、拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群,正の屈折力を有する第2レンズ群,負の屈折力を有する第3レンズ群,正の屈折力を有する第4レンズ群,正又は負の屈折力を有する第5レンズ群,正の屈折力を有する第6レンズ群,正の屈折力を有する第7レンズ群を有するレンズ構成部と、ズーミング調整時に、前記第1レンズ群及び前記第7レンズ群を不動とし、かつ前記第2レンズ群乃至前記第6レンズ群をそれぞれ光軸方向へ独立して移動させるとともに、フォーカシング調整時に、前記第2レンズ群のみを光軸方向へ移動させるレンズ調整部とを備え、ズーミング調整時の移動ストロークが最も大きいレンズ群に正レンズ(以下、第一特定正レンズ)を含め、この第一特定正レンズを、d線のアッベ数をνdxとし、温度20-40℃におけるd線の相対屈折率の温度係数をKx(=dn/dT〔1E-6/℃〕)としたとき、以下の(条件1)及び(条件2)を満たすように形成してなる光学系を備えることを特徴とするレンズ装置。
νdx>65 … (条件1)
Kx>-1.0 … (条件2)
【請求項2】
前記光学系は、広角端における全系の焦点距離をfwとし、望遠端における全系の焦点距離をftとしたとき、以下の(条件3)を満たすことを特徴とする請求項1記載のレンズ装置。
[ft/fw]>1.55 … (条件3)
【請求項3】
前記光学系は、広角端における全系の焦点距離をfwとし、望遠端における全系の焦点距離をftとしたとき、以下の(条件4)を満たすことを特徴とする請求項1又は2記載のレンズ装置。
0<[fpx/fw]<5 … (条件4)
【請求項4】
前記第一特定正レンズは、C線,F線,g線の屈折率をそれぞれnCx,nFx,ngxとしたとき、Px=[ngx-nFx]/[nFx-nCx]により定義される部分分散比Pxとアッベ数νdxにより、(ΔPg,F)x=Px+[0.001694×νdx]-0.6445として定義される異常分散性(ΔPg,F)xが、以下の(条件5)を満たすことを特徴とする請求項1,2又は3記載のレンズ装置。
(ΔPg,F)x>0.005 … (条件5)
【請求項5】
前記第一特定正レンズは、-30乃至+70℃における線膨張係数をαx〔1E-7/℃〕としたとき、以下の(条件6)を満たすことを特徴とする請求項1-4のいずれかに記載のレンズ装置。
αx<90 … (条件6)
【請求項6】
前記光学系は、前記第一特定正レンズに対して拡大側に位置するレンズ群における最も縮小側に位置する正レンズ(以下、第二特定正レンズ)のd線のアッベ数をνdyとし、温度20-40℃におけるd線の相対屈折率の温度係数をKyとしたとき、以下の(条件7)及び(条件8)を満たすことを特徴とする請求項1-5のいずれかに記載のレンズ装置。
νdy>65 … (条件7)
Ky>-1.0 … (条件8)
【請求項7】
前記第二特定正レンズは、C線,F線,g線の屈折率をそれぞれnCy,nFy,ngyとしたとき、Py=[ngy-nFy]/[nFy-nCy]により定義されるPyとアッベ数νdyにより、(ΔPg,F)y=Py+[0.001694×νdy]-0.6445として定義される異常分散性(ΔPg,F)yが、以下の(条件9)を満たすことを特徴とする請求項6記載のレンズ装置。
(ΔPg,F)y>0.005 … (条件9)
【請求項8】
前記第二特定正レンズは、-30乃至+70℃における線膨張係数をαy〔1E-7/℃〕としたとき、以下の(条件10)を満たすことを特徴とする請求項6又は7記載のレンズ装置。
αy<95 … (条件10)
【請求項9】
前記光学系は、前記第二特定正レンズと負レンズを接合した接合レンズを備え、この接合レンズの焦点距離をfB,前記第二特定正レンズの焦点距離をfpy,広角端における全系の焦点距離をfwとしたとき、以下の(条件11)及び(条件12)を満たすことを特徴とする請求項1記載のレンズ装置。
0<[fpy/fw]<5 … (条件11)
-0.050<[fw/fB]<-0.005 … (条件12)
【請求項10】
前記光学系は、投射光学系に適用することを特徴とする請求項1-9のいずれかに記載のレンズ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ等に備える投射光学系に用いて好適なレンズ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクタからスクリーン等に映像を投射する投射光学系(投射レンズ)を備えたレンズ装置としては、特許文献1に記載される投射用ズームレンズ及び特許文献2に記載される投射光学系が知られている。
【0003】
特許文献1の投射用ズームレンズは、高いズーム比、小さいFナンバを持ち、倍率色収差が小さく抑えられ、高いMTF特性、解像力特性を備え、表示デバイス側がテレセントリックである投射用ズームレンズの実現を目的としたものであり、具体的には、拡大側から順に、負の第1レンズ群G1,正の第2レンズ群G2,第3レンズ群G3,第4レンズ群G4,負の第5レンズ群G5,正または負の第6レンズ群G6,正の第7レンズ群G7を配し、第4,第5レンズ群間に開口絞りSを配してなり、変倍に際して第2~第6レンズ群が移動し、広角端から望遠端への変倍時に、第1・第2レンズ群間隔、第1・第3レンズ群間隔、第1・第4レンズ群間隔が、何れも減少するように移動が行なわれ、広角端における全系の焦点距離:fw,第1レンズ群の焦点距離:fl,第2レンズ群の焦点距離:f2,第3レンズ群の焦点距離:f3,第4レンズ群の焦点距離:f4が、1.3<|f|/fw<1.9,0.6<f2/f3<3.5,0.4<f4/f3<3.7を満足するように構成したものである。
【0004】
また、特許文献2の投射光学系は、簡易な構成で、適切な像面湾曲を調整可能な投射光学系の提供を目的としたものであり、具体的には、投射光学系を構成するに際し、光軸上のパワーと最周辺部の子午断面のパワーとが互いに異なる第1レンズと、第1レンズに隣接する第2レンズと、軸外主光線と光軸とが交わる位置に配置された絞りとを有し、第1レンズと第2レンズとの光軸方向における間隔の変化により、投射像の像面湾曲を調整することが可能となるように構成するとともに、さらに、所定の条件式を満たすように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-200454号公報
【特許文献2】特開2017-126036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した投射用ズームレンズ及び投射光学系をはじめ従来のレンズ装置は、次のような課題も存在した。
【0007】
即ち、使用するレンズの色収差を補正するため、一般的には、アッベ数の高い材質により形成された正レンズが用いられるが、このようなアッベ数の高い材質の多くは、負の大きな屈折率温度係数を有するため、温度が変動した際には、いわゆるピントずれや解像性能の低下を招く問題があった。
【0008】
特に、ズーミング比の大きいレンズ装置において、ズーミングの際に大きく繰り出すレンズ群の中に、高アッベ数かつ負の大きな屈折率温度係数を有する材質で形成された正レンズを含む場合、広角端と望遠端とで温度変動時の光学性能の変化に大きな差が生じるため、ズーム全域で温度の影響を抑えることが難しくなり、逆に低アッベ数の材質を用いた場合には、十分な色収差補正を行うことができなくなる。ズーム比が大きいほどこれらの影響がより大きくなる傾向があった。
【0009】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したレンズ装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するため、拡大側Eから順に複数のレンズ群G1…を備えるレンズ装置1を構成するに際して、拡大側Eから順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1,正の屈折力を有する第2レンズ群G2,負の屈折力を有する第3レンズ群G3,正の屈折力を有する第4レンズ群G4,正又は負の屈折力を有する第5レンズ群G5,正の屈折力を有する第6レンズ群G6,正の屈折力を有する第7レンズ群G7を有するレンズ構成部Mpと、ズーミング調整時に、第1レンズ群G1及び第7レンズ群G7を不動とし、かつ第2レンズ群G2乃至第6レンズ群G6をそれぞれ光軸方向Dcへ独立して移動させるとともに、フォーカシング調整時に、第2レンズ群G2のみを光軸方向Dcへ移動させるレンズ調整部Mcとを備え、ズーミング調整時の移動ストロークが最も大きいレンズ群(G4)に正レンズ(以下、第一特定正レンズ)Lxを含め、この第一特定正レンズLxを、d線のアッベ数をνdxとし、温度20-40℃におけるd線の相対屈折率の温度係数をKx(=dn/dT〔1E-6/℃(n:屈折率,T:温度〔℃〕)〕としたとき、νdx>65(条件1),及びKx>-1.0(条件2)を満たすように形成した光学系100を備えることを特徴とする。
【0011】
この場合、発明の好適な態様により、光学系100を構成するに際し、広角端における全系の焦点距離をfwとし、望遠端における全系の焦点距離をftとしたとき、[ft/fw]>1.55(条件3)を満たすように構成することができるとともに、第一特定正レンズLxの焦点距離をfpxとしたとき、0<[fpx/fw]<5(条件4)を満たすように構成することができる。また、第一特定正レンズLxは、C線,F線,g線の屈折率をそれぞれnCx,nFx,ngxとしたとき、Px=[ngx-nFx]/[nFx-nCx]により定義される部分分散比Pxとアッベ数νdxにより、(ΔPg,F)x=Px+[0.001694×νdx]-0.6445として定義される異常分散性(ΔPg,F)xが(ΔPg,F)x>0.005(条件5)を満たすことができるとともに、-30乃至+70℃における線膨張係数をαx〔1E-7/℃〕としたとき、αx<90(条件6)を満たすように構成することが望ましい。
【0012】
さらに、光学系100を構成するに際し、第一特定正レンズLxに対して拡大側Eに位置するレンズ群G1-G3における最も縮小側Sに位置する正レンズ(以下、第二特定正レンズ)Lyのd線のアッベ数をνdyとし、温度20-40℃におけるd線の相対屈折率の温度係数をKyとしたとき、νdy>65(条件7),及びKy>-1.0(条件8)を満たすように構成することができる。また、この第二特定正レンズLyは、C線,F線,g線の屈折率をそれぞれnCy,nFy,ngyとしたとき、Py=[ngy-nFy]/[nFy-nCy]により定義されるPyとアッベ数νdyにより、(ΔPg,F)y=Py+[0.001694×νdy]-0.6445として定義される異常分散性(ΔPg,F)yが、(ΔPg,F)y>0.005(条件9)を満たすとともに、-30乃至+70℃における線膨張係数をαy〔1E-7/℃〕としたとき、αy<95(条件10)を満たすように構成することが望ましい。
【0013】
一方、光学系100は、第二特定正レンズLyと負レンズL10を接合した接合レンズJ3を備え、この接合レンズJ3の合成の焦点距離をfB,第二特定正レンズLyの焦点距離をfpy,広角端における全系の焦点距離をfwとしたとき、0<[fpy/fw]<5(条件11),-0.050<[fw/fB]<-0.005(条件12)を満たすように構成することが望ましい。なお、光学系100は、投射光学系に適用することが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
このような構成を有する本発明に係るレンズ装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0015】
(1) 屈折率温度係数Kxが0の近傍又は正の値を有し、かつアッベ数νdが高い材質により形成した正レンズを用いることで、ズーム全域で温度による影響を抑制しつつ、良好な色収差補正を行うことができる。これにより、温度変動が生じた場合であっても、いわゆるピントずれや解像性能の低下が生じる不具合を解消することができる。
【0016】
(2) 好適な態様により、光学系100を構成するに際し、広角端における全系の焦点距離をfwとし、望遠端における全系の焦点距離をftとしたとき、[ft/fw]>1.55(条件3)を満たすように構成すれば、特に、ズーム比の大きい光学系において効果的となり、上述した良好な色収差補正を行うことができるとともに、ピントずれ及び解像性能が低下する不具合を有効に解消することができる。
【0017】
(3) 好適な態様により、光学系100を構成するに際し、第一特定正レンズLxの焦点距離をfpxとしたとき、0<[fpx/fw]<5(条件4)を満たすように構成すれば、広角端における全系の焦点距離fwに対する第一特定正レンズLxの焦点距離fpxの比率を、適度の範囲に抑制、即ち、第一特定正レンズLxのパワーを比較的大きくできるため、光学系100全体に対する温度による影響及び色収差を十分に抑制することができる。
【0018】
(4) 好適な態様により、第一特定正レンズLxのC線,F線,g線の屈折率をそれぞれnCx,nFx,ngxとしたとき、Px=[ngx-nFx]/[nFx-nCx]により定義される部分分散比Pxとアッベ数νdxにより、(ΔPg,F)x=Px+[0.001694×νdx]-0.6445として定義される異常分散性(ΔPg,F)xが(ΔPg,F)x>0.005(条件5)を満たすように構成すれば、第一特定正レンズLxのアッベ数νdを高く設定し、かつ異常分散性を正側に大きく設定できるため、色収差補正を有効かつ効果的に行うことができる。
【0019】
(5) 好適な態様により、第一特定正レンズLxを形成するに際し、-30乃至+70℃における線膨張係数をαx〔1E-7/℃〕としたとき、αx<90(条件6)を満たすように構成すれば、第一特定正レンズLxの線膨張係数を90未満に抑制できるため、温度の変動による光学性能への影響を低減することができる。
【0020】
(6) 好適な態様により、光学系100を構成するに際し、第一特定正レンズLxに対して拡大側Eに位置するレンズ群G1-G3における最も縮小側Sに位置する第二特定正レンズLyのd線のアッベ数をνdyとし、温度20-40℃におけるd線の相対屈折率の温度係数をKyとしたとき、νdy>65…(条件7),及びKy>-1.0…(条件8)を満たすように構成すれば、温度の変動による第二特定正レンズLyの光学性能への影響を低減することができる。
【0021】
(7) 好適な態様により、第二特定正レンズLyのC線,F線,g線の屈折率をそれぞれnCy,nFy,ngyとしたとき、Py=[ngy-nFy]/[nFy-nCy]により定義されるPyとアッベ数νdyにより、(ΔPg,F)y=Py+[0.001694×νdy]-0.6445として定義される異常分散性(ΔPg,F)yが、(ΔPg,F)y>0.005(条件9)を満たすようにすれば、第二特定正レンズLyのアッベ数νdを高く設定し、かつ異常分散性を正側に大きく設定できるため、色収差補正を有効かつ効果的に行うことができる。
【0022】
(8) 好適な態様により、第二特定正レンズLyを、-30乃至+70℃における線膨張係数をαy〔1E-7/℃〕としたとき、αy<95…(条件10)を満たすようにすれば、第二特定正レンズLyの線膨張係数を95未満に抑制できるため、温度変動による光学性能への影響を低減することができる。
【0023】
(9) 好適な態様により、光学系100を構成するに際し、第二特定正レンズLyと負レンズL10を接合した接合レンズJ3を備え、この接合レンズJ3の合成の焦点距離をfB,第二特定正レンズLyの焦点距離をfpy,広角端における全系の焦点距離をfwとしたとき、0<[fpy/fw]<5(条件11),-0.050<[fw/fB]<-0.005(条件12)を満たすように構成すれば、ズーミング調整時における移動ストロークが大きいレンズ群近傍に配される第二特定正レンズLyを接合レンズJ3として構成するとともに、全系の焦点距離fwに対する接合レンズJ3の合成の焦点距離fBの比を十分に小さくしたため、接合レンズJ3近傍の変倍に大きく寄与するレンズ群パワーに大きな影響を及ぼすことなく、ズーム全域で色収差に対する効果的な補正を行うことができる。
【0024】
(10) 好適な態様により、光学系100を、投射光学系に適用すれば、特に、スクリーン(拡大側E)に投射するプロジェクタ等の十分な光学性能を確保しつつ、高いズーム比、更には、温度変動時の光学性能の変化が小さい光学系を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の好適実施形態に係るレンズ装置のレンズ構成部の構成図、
【
図4】同レンズ装置のワイド側における基準距離時の縦収差図、
【
図5】同レンズ装置のテレ側における基準距離時の縦収差図、
【
図6】同レンズ装置のズーミング調整時のレンズ群移動量の一覧表、
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0027】
まず、本実施形態に係るレンズ装置1の構成について、
図1-
図3を参照して具体的に説明する。
【0028】
実施形態で示すレンズ装置1は、プロジェクタに用いる投射レンズ(ズームレンズ)であり、光学系100として、投射光学系、特に、投射ズーム光学系に適用することを想定する。このように、光学系100を、投射光学系に適用すれば、スクリーンに投射するプロジェクタ等の十分な光学性能を確保しつつ、高いズーム比、更には、温度変動時の光学性能の変化が小さい光学系を実現することができる。
【0029】
図1中、Eはスクリーン等の拡大側を示し、Sは液晶パネル等の画像表示素子となる縮小側を示している。したがって、拡大側Eが光軸Dc方向の前方となり、縮小側Sが光軸Dc方向の後方となる。なお、
図1中、200は模式的に描いたプリズムを示す。
【0030】
このレンズ装置1は、大別して、レンズ構成部Mpとレンズ調整部Mcを含む光学系100を備える。レンズ構成部Mpは、
図1に示すように、七つのレンズ群により構成する。即ち、レンズ構成部Mpは、拡大側Eから順に、第1レンズ群G1,第2レンズ群G2,第3レンズ群G3,第4レンズ群G4,第5レンズ群G5,第6レンズ群G6,第7レンズ群G7を配して構成する。
【0031】
第1レンズ群G1は、拡大側Eから順に、拡大側Eに凸面を有する正メニスカスレンズL1、拡大側Eに凸面を有する負メニスカスレンズL2,L3、両凹レンズL4の四枚の単レンズにより構成し、全体で負の屈折力を有する。第2レンズ群G2は、拡大側Eから順に、縮小側Sに凸面を有する正メニスカスレンズL5と縮小側Sに凸面を有する負メニスカスレンズL6を接合した接合レンズJ1、拡大側Eに凸面を有する負メニスカスレンズL7と両凸レンズL8を接合した接合レンズJ2の二つの接合レンズにより構成し、全体として正の屈折力を有する。
【0032】
また、第3レンズ群G3は、両凸レンズL9と両凹レンズL10を接合した接合レンズJ3により構成する。この場合、両凸レンズL9は後述する第二特定レンズLyを構成する。第3レンズ群G3は、一つの接合レンズにより構成し、全体として負の屈折力を有する。第4レンズ群G4は、正の屈折力を有する両凸レンズL11、即ち、一枚の単レンズにより構成する。この両凸レンズL11は、後述する第一特定レンズLxを構成する。
【0033】
さらに、第5レンズ群G5は、拡大側Eから順に、両凸レンズL12、両凹レンズL13の二枚の単レンズにより構成し、全体で負の屈折力を有する。第6レンズ群G6は、拡大側Eから順に、両凹レンズL14と両凸レンズL15を接合した接合レンズJ4、両凸レンズL16により構成する。即ち、第6レンズ群G6は、一つの接合レンズと一枚の単レンズにより構成し、全体で正の屈折力を有する。第7レンズ群G7は、正の屈折力を有する一枚の単レンズを用いた両凸レンズL17により構成する。
【0034】
一方、レンズ調整部Mcは、
図2に示すように構成する。即ち、ズーミング調整時には、第1レンズ群G1及び第7レンズ群G7を不動とし、かつ第2レンズ群G2,第3レンズ群G3,第4レンズ群G4,第5レンズ群G5,第6レンズ群G6をそれぞれ光軸方向Dcへ独立して移動させるズーミング調整機構Mczを備える。
図6は、実施形態のレンズ装置1におけるズーミング調整機構Mczのズーミング調整時における各レンズ群G1-G7の移動量を具体的に示す。また、レンズ調整部Mcは、フォーカシング調整時に、第2レンズ群G2のみを光軸方向Dcへ移動させるフォーカシング調整機構Mcfを備えている。
【0035】
このズーミング調整機構Mcz及びフォーカシング調整機構Mcfは、不図示のカム筒等を利用した公知の調整機構により構成することができる。したがって、上述した調整機能を有する構成であれば、特定の構成に限定されるものではない。
【0036】
さらに、以上の構成において、ズーミング調整時の移動ストロークが最も大きいレンズ群は、
図6に示すように、第4レンズ群G4となり、この第4レンズ群G4を構成する両凸レンズ(正レンズ)L11は、第一特定正レンズLxとして構成する。
【0037】
この第一特定正レンズLxは、d線のアッベ数をνdxとし、温度20-40℃におけるd線の相対屈折率の温度係数をKx(=dn/dT〔1E-6/℃〕)としたとき、次の条件1及び条件2、即ち、
νdx>65 … (条件1)
Kx>-1.0 … (条件2)
を満たすように形成する。
【0038】
このように形成すれば、屈折率温度係数Kxが0の近傍又は正の値を有し、かつアッベ数νdが高い値を有するため、ズーム全域で温度影響を抑制しつつ、良好な色収差補正を行うことができる。即ち、温度変動が生じた場合であっても、いわゆるピントずれや解像性能の低下が生じる不具合を解消することができる。
【0039】
また、光学系100において、広角端における全系の焦点距離をfwとし、望遠端における全系の焦点距離をftとしたとき、次の条件3、即ち、
[ft/fw]>1.55 … (条件3)
を満たすように構成する。このようなズーム比の大きい光学系であっても、上述した良好な色収差補正を行うことができるとともに、ピントずれ及び解像性能が低下する不具合を有効に解消することができる。加えて、第一特定正レンズLxの焦点距離をfpxとしたとき、次の条件4、即ち、
0<[fpx/fw]<5 … (条件4)
を満たすように構成する。このような条件4を満たすように構成すれば、広角端における全系の焦点距離fwに対する第一特定正レンズLxの焦点距離fpxの比率を、適度の範囲に抑制、即ち、第一特定正レンズLxのパワーを比較的大きくできるため、光学系100全体に対する温度による影響及び色収差に対する影響を十分に抑制できる。
【0040】
さらに、第一特定正レンズLxのC線,F線,g線の屈折率をそれぞれnCx,nFx,ngxとしたとき、Px=[ngx-nFx]/[nFx-nCx]により定義される部分分散比Pxとアッベ数νdxにより、(ΔPg,F)x=Px+[0.001694×νdx]-0.6445として定義される異常分散性(ΔPg,F)xが次の条件5、即ち、
(ΔPg,F)x>0.005 … (条件5)
を満たすように構成する。このような条件5を満たすように構成すれば、第一特定正レンズLxのアッベ数νdを高く設定し、かつ異常分散性を正側に大きく設定できるため、色収差補正を有効かつ効果的に行うことができる。また、第一特定正レンズLxを形成するに際し、-30乃至+70℃における線膨張係数をαx〔1E-7/℃〕としたとき、次の条件6、即ち、
αx<90 … (条件6)
を満たすように構成する。このように構成すれば、第一特定正レンズLxの線膨張係数を90未満に抑制することができるため、温度変動に伴う光学性能への影響を低減することができる。
【0041】
アッベ数νdが高く、異常分散性が正側に大きい材質の場合、多くは屈折率線膨張係数が負の大きな値となり、線膨張係数も大きくなる傾向がある。例えば、温度20-40℃における屈折率温度係数は-2.0乃至-6.5〔1E-6/℃〕程度となり、-30乃至+70℃における線膨張係数は100-140〔1E-7/℃〕程度になる。そして、これらの値が大きい場合、温度変動時の光学性能への影響が無視できないが、屈折率温度係数を-1.0以上に、線膨張係数を90未満に抑制したため、温度変動による光学性能への影響を有効に低減することができる。
【0042】
他方、光学系100において、第一特定正レンズLxに対して拡大側Eに位置するレンズ群G1-G3における最も縮小側Sに位置する両凸レンズ(正レンズ)L9は、第二特定正レンズLyとして構成する。
【0043】
この第二特定正レンズLyは、d線のアッベ数をνdyとし、温度20-40℃におけるd線の相対屈折率の温度係数をKyとしたとき、次の条件7及び条件8、即ち、
νdy>65 … (条件7)
Ky>-1.0 … (条件8)
を満たすように形成する。このように形成すれば、温度が変動したことに伴う第二特定正レンズLyにおける光学性能への影響を低減することができる。
【0044】
ズーミング調整時における移動ストロークが大きい第4レンズ群G4の近傍に配される拡大側Eの第二特定正レンズLyも、第一特定正レンズLxと同様に、広角端と望遠端とでは、温度の変動に基づく影響の差が大きく出やすい。このため、上述した第一特定正レンズLxと同様に、第二特定正レンズLyの材質に対しても、温度変動時の物性の変化を抑えることができるようにした。この結果、レンズ装置1における光学性能への影響をより低減することができる。
【0045】
また、第二特定正レンズLyのC線,F線,g線の屈折率をそれぞれnCy,nFy,ngyとしたとき、Py=[ngy-nFy]/[nFy-nCy]により定義されるPyとアッベ数νdyにより、(ΔPg,F)y=Py+[0.001694×νdy]-0.6445として定義される異常分散性(ΔPg,F)yが、次の条件9、即ち、
(ΔPg,F)y>0.005 … (条件9)
を満たすように構成する。このように構成すれば、第二特定正レンズLyのアッベ数νdを高く設定し、かつ異常分散性を正側に大きく設定できるため、色収差補正を有効かつ効果的に行うことができる。加えて、第二特定正レンズLyは、-30乃至+70℃における線膨張係数をαy〔1E-7/℃〕としたとき、次の条件10、即ち、 αy<95 … (条件10)
を満たすように構成する。これにより、第二特定正レンズLyの線膨張係数を95未満に抑制できるため、温度の変動による光学性能への影響を低減できる。
【0046】
アッベ数νdが高く、異常分散性が正側に大きい材質の場合、多くは屈折率線膨張係数が負の大きな値となり、線膨張係数も大きくなる傾向がある。例えば、温度20-40℃における屈折率温度係数は-2.0乃至-6.5〔1E-6/℃〕程度となり、-30乃至+70℃における線膨張係数は100-140〔1E-7/℃〕程度になる。そして、これらの値が大きい場合、温度変動時の光学性能への影響が無視できないが、屈折率温度係数を-1.0以上に、線膨張係数を95未満に抑制したため、温度変動による光学性能への影響を低減することができる。
【0047】
さらに、この第二特定正レンズLyは、負レンズL10に対して接合した接合レンズJ3として構成するとともに、この接合レンズJ3の合成の焦点距離をfB,第二特定正レンズLyの焦点距離をfpy,広角端における全系の焦点距離をfwとしたとき、次の条件11及び条件12、即ち、
0<[fpy/fw]<5 … (条件11)
-0.050<[fw/fB]<-0.005 … (条件12)
を満たすように構成する。このように構成すれば、ズーミング調整時における移動ストロークが大きいレンズ群近傍に配される第二特定正レンズLyを接合レンズJ3として構成するとともに、全系の焦点距離fwに対する接合レンズJ3の合成の焦点距離fBの比を十分に小さくできるため、接合レンズJ3近傍の変倍に大きく寄与するレンズ群パワーに大きな影響を及ぼすことなく、ズーム全域で色収差に対する効果的な補正を行うことができる。
【0048】
なお、全系の焦点距離fwに対し、第二特定正レンズLyの焦点距離fpyが大きすぎる場合、即ち、第二特定正レンズLyのパワーが小さすぎる場合には、光学系100全系の屈折力に対する第二特定正レンズLyの寄与度が低くなるため、温度変動時の解像性能変化の抑制に対して十分な効果を期待できない。
【0049】
このように、本実施形態に係るレンズ装置1は、基本的な構成として、拡大側Eから順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1,正の屈折力を有する第2レンズ群G2,負の屈折力を有する第3レンズ群G3,正の屈折力を有する第4レンズ群G4,正又は負の屈折力を有する第5レンズ群G5,正の屈折力を有する第6レンズ群G6,正の屈折力を有する第7レンズ群G7を有するレンズ構成部Mpと、ズーミング調整時に、第1レンズ群G1及び第7レンズ群G7を不動とし、かつ第2レンズ群G2乃至第6レンズ群G6をそれぞれ光軸方向Dcへ独立して移動させるとともに、フォーカシング調整時に、第2レンズ群G2のみを光軸方向Dcへ移動させるレンズ調整部Mcとを備え、ズーミング調整時の移動ストロークが最も大きいレンズ群に第一特定正レンズLxを含め、この第一特定正レンズLxを、d線のアッベ数をνdxとし、温度20-40℃におけるd線の相対屈折率の温度係数をKx(=dn/dT〔1E-6/℃〕)としたとき、νdx>65(条件1),及びKx>-1.0(条件2)を満たすように形成した光学系100を設けたため、屈折率温度係数Kxが0の近傍又は正の値を有し、かつアッベ数νdが高い材質により形成した正レンズを用いることで、ズーム全域で温度による影響を抑制しつつ、良好な色収差補正を行うことができる。これにより、温度変動が生じた場合であっても、いわゆるピントずれや解像性能の低下が生じる不具合を解消することができる。これにより、温度変動が生じた場合であっても、いわゆるピントずれや解像性能の低下が生じる不具合を解消することができる。なお、
図3には、レンズ装置1の光線図を示す。
【0050】
表1は、本実施形態に係るレンズ装置1におけるレンズデータ(レンズ全系の面データ)を示す。
【0051】
【0052】
表1の面データは、拡大側Eから数えたレンズ面の面番号をiで示し、この面番号iは、
図1に示した符号(数字)に一致する。これに対応して、レンズ面の曲率半径R(i)、光軸上の厚み・間隔D(i)、レンズの屈折率nd(i)、レンズのアッベ数νd(i)をそれぞれ示す。nd(i)及びνd(i)はd線(587.56〔nm〕)に対する数値である。厚み・間隔D(i)は相対向する面と面間のレンズ厚或いは空気空間を示す。なお、曲率半径R(i)と面間隔D(i)の単位は〔mm〕である。曲率半径R(i)のInfinityは平面である。屈折率nd(i)とアッベ数νd(i)の空欄は空気であることを示す。
【0053】
表2は、(a)に「第一特定正レンズLx」のレンズデータを示すとともに、(b)に「第二特定正レンズLy」のレンズデータを示す。
【0054】
【0055】
図7は、本実施形態に係るレンズ装置1の光学特性、具体的には、望遠端における全系の焦点距離ft、広角端における全系の焦点距離fw、ズーム比[ft/fw]、全画角(広角端)ω、バックフォーカスbfをそれぞれ示す。
【0056】
表2の(a)第一特定正レンズLxにおいて、νdxは「69.89」となり、「νdx>65」の条件1を満たしている。Kxは「3.6〔1E-6/℃〕」となり、「Kx>-1.0」の条件2を満たしている。fpxは「84.07〔mm〕」、[fpx/fw]は「3.43」となり、「0<[fpx/fw]<5」の条件4を満たしている。(ΔPg,F)xは「0.0057」となり、「(ΔPg,F)x>0.005」の条件5を満たしている。αxは、「63〔1E-7/℃〕」となり、「αx<90」の条件6を満たしている。
【0057】
一方、
図7において、ftは「39.09〔mm〕」、fwは「24.50〔mm〕」となる。したがって、[ft/fw]は「1.596」となり、「[ft/fw]>1.55」の条件3を満たしている。
【0058】
さらに、表2の(b)第二特定正レンズLyにおいて、νdyは「69.89」となり、「νdy>65」の条件7を満たしている。Kyは「3.6〔1E-6/℃〕」となり、「Ky>-1.0」の条件8を満たしている。(ΔPg,F)yは「0.0057」となり、「(ΔPg,F)y>0.005」の条件9を満たしている。αyは、「63〔1E-7/℃〕」となり、「αx<95」の条件10を満たしている。fpyは「49.48〔mm〕、[fpy/fw]は「2.02」となるため、「0<[fpy/fw]<5」の条件11を満たしている。fBは「-667.43〔mm〕」であり、[fw/fB]は「-0.037」となり、「-0.050<[fw/fB]<-0.005」の条件12を満たしている。
【0059】
図4及び
図5に、本実施形態に係るレンズ装置1の縦収差図を示す。
図4はWIDE側における基準距離(拡大側E=3500mm)の縦収差図を示すとともに、
図5はTELE側における基準距離(拡大側E=3500mm)の縦収差図を示す。各縦収差図は、左側から、球面収差(656.27nm,587.56nm,486.13nm,435.83nm),非点収差(550nm),歪曲収差(550nm)を示す。各スケール(1目盛)は、±0.05mm,±0.05mm,±1.0%である。
【0060】
本実施形態に係るレンズ装置1は、
図4及び
図5に示すように、WIDE側及びTELE側のいずれの縦収差も、大きな乱れがなく良好な収差特性、即ち、撮像性能(光学性能)が得られていることを確認できる。
【0061】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0062】
例えば、レンズ構成部Mpとレンズ調整部Mcの存在は、必須の構成要件となるが、レンズ構成部Mpを構成するに際し、第8レンズ群以降のレンズ群の使用を排除するものではない。また、レンズ調整部Mcに加え、絞り調整装置等の他の調整機構の追加を排除するものではない。さらに、条件1及び条件2は本発明を構成する必須の構成要件となるが、条件3-条件12は、必要に応じて採用することができる。即ち、条件3-条件12は、全ての条件を満たすことが望ましいが、満たす条件はいずれか一つの条件又は選択した二以上の条件を採用することができる。したがって、条件3-条件12の全ての条件を満たさない場合を排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係るレンズ装置は、プロジェクタ等の各種光学機器における専用レンズ或いは交換レンズを含む投射レンズ(投射ズームレンズ)として利用できる。
【符号の説明】
【0064】
1:レンズ装置,100:光学系,E:拡大側,S:縮小側,Lx:正レンズ(第一特定正レンズ),Ly:正レンズ(第二特定正レンズ),L10:負レンズ,J3:接合レンズ,G1:第1レンズ群,G2:第2レンズ群,G3:第3レンズ群,G4:第4レンズ群,G5:第5レンズ群,G6:第6レンズ群,G7:第7レンズ群,Mp:レンズ構成部,Mc:レンズ調整部,Dc:光軸方向