IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-免震装置 図1
  • 特開-免震装置 図2
  • 特開-免震装置 図3
  • 特開-免震装置 図4
  • 特開-免震装置 図5
  • 特開-免震装置 図6
  • 特開-免震装置 図7
  • 特開-免震装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077571
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】免震装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/04 20060101AFI20230530BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
F16F15/04 P
F16F15/02 E
F16F15/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190882
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳永 修一
【テーマコード(参考)】
3J048
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048AC01
3J048AD11
3J048BA08
3J048BD06
3J048BE12
3J048BG04
3J048DA01
(57)【要約】
【課題】滑り材に砂や埃などのゴミが付着することを抑制可能な免震装置を提供する。
【解決手段】免震装置は、弾性体と、前記弾性体の積層方向の両端面に固定された第1フランジ部及び第2フランジ部と、を備え、前記第1フランジ部は、前記弾性体に固定された第1内側フランジと、第1構造体に固定される第1外側フランジと、前記第1内側フランジと前記第1外側フランジとを相対変位させる第1滑り材と、を備え、前記第1滑り材は、前記第1内側フランジと前記第1外側フランジとによって覆われ、前記第1外側フランジは、前記第1内側フランジに相対変位可能に取り付けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性体と、前記弾性体の積層方向の両端面に固定された第1フランジ部及び第2フランジ部と、を備え、
前記第1フランジ部は、前記弾性体に固定された第1内側フランジと、第1構造体に固定される第1外側フランジと、前記第1内側フランジと前記第1外側フランジとを相対変位させる第1滑り材と、を備え、
前記第1滑り材は、前記第1内側フランジと前記第1外側フランジとによって覆われ、
前記第1外側フランジは、前記第1内側フランジに相対変位可能に取り付けられている、免震装置。
【請求項2】
前記第1内側フランジ及び/又は前記第1外側フランジは、前記第1外側フランジを前記第1内側フランジに取り付けるボルトを挿通するための第1挿通孔を備え、
前記第1挿通孔は、前記弾性体の外周方向に沿った長孔である、請求項1に記載の免震装置。
【請求項3】
前記第2フランジ部は、前記弾性体に固定された第2内側フランジと、第2構造体に固定される第2外側フランジと、前記第2内側フランジと前記第2外側フランジとを相対変位させる第2滑り材と、を備え、
前記第2滑り材は、前記第2内側フランジと前記第2外側フランジとによって覆われ、
前記第2外側フランジは、前記第2内側フランジに相対変位可能に取り付けられている、請求項1又は2に記載の免震装置。
【請求項4】
前記第2内側フランジ及び/又は前記第2外側フランジは、前記第2外側フランジを前記第2内側フランジに取り付けるボルトを挿通するための第2挿通孔を備え、
前記第2挿通孔は、前記弾性体の外周方向に沿った長孔である、請求項3に記載の免震装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、免震装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、弾性体と、弾性体の端面に固定されたフランジ部と、構造体にフランジ部を回転可能に固定する連結治具と、を備える、免震装置が開示されている。当該フランジ部は、フランジ部の下端面に配置された滑り材を備えており、当該連結治具は、フランジ部の外周面に沿って延在する環状部材と、滑り材と構造体との間に配置される滑り板と、を備えている。これにより、免震装置にねじれ方向の力が加わった際に、滑り材と滑り板とが摺動して連結治具に対してフランジ部が回転し、弾性体のねじれ変形を抑制している。
【0003】
ところで、環状部材及び滑り板は、構造体のみにボルトで共締め固定されており、特許文献1には、免震装置の設置前において、これらをフランジ部に取り付ける旨の記載又は示唆はされていない。これにより、環状部材及び滑り板は、免震装置の設置現場で取り付けられていると推察される。
【0004】
免震装置の設置現場で環状部材及び滑り板をフランジ部に取り付けると、フランジ部の下端面に配置された滑り材が設置現場で露出し、滑り材の摺動面に砂や埃などのゴミが付着する恐れがある。滑り材の摺動面に砂や埃などのゴミが付着すると、フランジ部と滑り材との摺動性が悪化し、弾性体のねじれ変形の抑制効果が悪化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-105462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、滑り材に砂や埃などのゴミが付着することを抑制可能な免震装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の免震装置は、弾性体と、前記弾性体の積層方向の両端面に固定された第1フランジ部及び第2フランジ部と、を備え、前記第1フランジ部は、前記弾性体に固定された第1内側フランジと、第1構造体に固定される第1外側フランジと、前記第1内側フランジと前記第1外側フランジとを相対変位させる第1滑り材と、を備え、前記第1滑り材は、前記第1内側フランジと前記第1外側フランジとによって覆われ、前記第1外側フランジは、前記第1内側フランジに相対変位可能に取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る免震装置の正面図
図2図1のII-II線断面図
図3図1のIII-III線断面図
図4】実施形態2に係る免震装置の断面図
図5】実施形態3に係る免震装置の断面図
図6】実施形態4に係る免震装置の断面図
図7】他の実施形態に係る免震装置の断面図
図8】他の実施形態に係る免震装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態1]
まずは、実施形態1に係る免震装置について、図1図3を参照しながら説明する。なお、各図(図4図8も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0010】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る免震装置1は、弾性体2と、弾性体2の積層方向(上下方向)の両端面に固定された第1フランジ部3及び第2フランジ部4と、を備える。本実施形態において、第1フランジ部3は、弾性体2の下方に配置され、第2フランジ部4は、弾性体2の上方に配置されているが、これに限られない。例えば、第1フランジ部3は、弾性体2の上方に配置され、第2フランジ部4は、弾性体2の下方に配置されてもよい。
【0011】
弾性体2は、第1フランジ部3と第2フランジ部4との間に配置されている。本実施形態において、弾性体2は、ゴムによって上下方向に積層された円柱状に形成されているが、これに限られない。例えば、弾性体2は、金属板とゴムとを交互に積層されたものであってもよい。また、例えば、弾性体2は、角柱状に形成されていてもよい。
【0012】
図2に示すように、第1フランジ部3は、建物基礎などの第1構造体X1にボルト(不図示)で固定されている。第1フランジ部3と第1構造体X1との間に下側ベースプレートを介在させる場合もある。第1フランジ部3は、弾性体2に固定された第1内側フランジ31と、第1構造体X1に固定される第1外側フランジ32と、第1内側フランジ31と第1外側フランジ32とを相対変位させる第1滑り材33と、を備える。第1外側フランジ32は、第1内側フランジ31に相対変位可能に取り付けられている。
【0013】
第1滑り材33は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの樹脂が少なくとも一面(後述する摺動面)にコーティングされた円板である。第1滑り材33の上面は、第1内側フランジ31に固定(例えば、接着)され、第1滑り材33の下面(摺動面)は、第1外側フランジ32と当接している。第1滑り材33の外径は、鉛直荷重に対する第1滑り材33の耐久性を確保する観点から、弾性体2の外径の80~100%であることが好ましい。第1滑り材33は、第1内側フランジ31と第1外側フランジ32とによって覆われている。
【0014】
第1滑り材33を設けることにより、免震装置1にねじれ方向の外力が加わった際、第1滑り材33と第1外側フランジ32とが摺動し、第1内側フランジ31と第1外側フランジ32とを相対変位させることができる。これにより、弾性体2のねじれ変形を抑えることができる。なお、第1滑り材33は、上記に限られない。例えば、第1滑り材33は、PTFEなどの樹脂で形成されていてもよい。また、例えば、第1滑り材33の下面は、第1外側フランジ32に固定され、第1滑り材33の上面は、第1内側フランジ31と当接していてもよく、第1滑り材33は、第1内側フランジ31及び第1外側フランジ32のどちらにも固定されていなくてもよい。
【0015】
図2及び図3に示すように、第1内側フランジ31は、ボルト(不図示)を挿通可能な複数の第1内側挿通孔311を備える。複数の第1内側挿通孔311は、弾性体2の外周方向に等間隔に配置されている。弾性体2の外周方向は、水平方向で且つ弾性体2の外周面に沿った方向である。
【0016】
第1内側挿通孔311は、第1内側フランジ31を貫通する長孔であり、弾性体2の外周方向に沿って延びている。本実施形態において、第1内側挿通孔311は、弾性体2の中心線Lcを中心とする円弧状に形成されている。第1内側挿通孔311は、弾性体2の中心線Lcを中心とする円C1上に配置されている。第1内側挿通孔311の長さは、ボルトの本数や第1内側フランジ31の剛性などによって適宜設定される。円C1上における第1内側挿通孔311の割合は、第1内側フランジ31の剛性を確保する観点から、50%以下であることが好ましい。なお、第1内側挿通孔311は、上記に限られない。
【0017】
第1内側フランジ31は、ボルトの頭部又はボルトと係合されるナット(不図示)を収容可能な第1内側ザグリ部312を備える。第1内側ザグリ部312は、平面視において第1内側挿通孔311と重なる位置で且つ第1内側フランジ31の上面側(弾性体2側)に配置されている。第1内側ザグリ部312は、弾性体2の中心線Lcを中心とする円弧状に形成されている。なお、第1内側ザグリ部312は、上記に限られない。例えば、第1内側フランジ31は、第1内側ザグリ部312を備えない、という構成であってもよい。
【0018】
第1外側フランジ32は、ボルトを挿通可能な複数の第1外側挿通孔321を備える。複数の第1外側挿通孔321の中心は、平面視において、免震装置1の無負荷状態における第1内側挿通孔311(の円弧)の中心と重なる位置に配置されていることが好ましい。第1外側挿通孔321は、第1外側フランジ32を貫通する一般的な貫通孔である。なお、例えば、第1外側挿通孔321は、第1内側挿通孔311と実質的に同一形状(円弧状)であってもよく、第1外側挿通孔321に雌ねじが設けられていてもよい。また、例えば、第1内側挿通孔311は、一般的な貫通孔に形成され、第1外側挿通孔321は、円弧状に形成されていてもよい。
【0019】
図2に示すように、第1外側フランジ32は、ボルトの頭部又はナットを収容可能な第1外側ザグリ部322を備える。第1外側ザグリ部322は、平面視において第1外側挿通孔321と重なる位置で且つ第1外側フランジ32の下面側(第1構造体X1側)に配置されている。第1外側ザグリ部322の深さは、第1外側フランジ32の下面からボルトの頭部又はナットが飛び出すことを防止する観点から、ボルトの頭部又はナットの高さよりも大きいことが好ましい。なお、第1外側ザグリ部322は、上記に限られない。
【0020】
第1内側フランジ31は、第1外側フランジ32と回転可能に嵌合される第1内側嵌合部313を備える。本実施形態において、第1内側嵌合部313は、第1内側フランジ31の下面から下側(第1構造体X1側)に突出する円形状の突起であり、第1構造体X1からの剪断力を弾性体2に伝える剪断キーとしての役割を果たしている。第1内側嵌合部313の外径は、第1滑り材33の受圧面積確保と第1内側フランジ31及び第1外側フランジ32のコンパクト化との観点から、弾性体2の外径の90~110%であることが好ましい。第1内側フランジ31及び第1外側フランジ32をコンパクト化することによって、免震装置1の設置面積を小さくすることができる。また、免震装置1に上下方向の引張力が加わった際、第1内側フランジ31及び第1外側フランジ32がボルトによって変形(例えば、湾曲)することを抑制することができる。
【0021】
第1外側フランジ32は、第1内側嵌合部313と回転可能に嵌合される第1外側嵌合部323を備える。本実施形態において、第1外側嵌合部323は、第1外側フランジ32の上面から下側(第1構造体X1側)に窪んだ円形状の窪みである。第1内側嵌合部313と第1外側嵌合部323との隙間は、免震装置1に水平方向の外力が加わった際にボルトに剪断力が加わることを抑える観点から、5mm以下であることが好ましい。
【0022】
図3に示すように、第1外側フランジ32は、第1構造体X1にボルト(不図示)で固定するための複数の貫通孔326を備える。複数の貫通孔326は、第1内側フランジ31を囲うよう(弾性体2の外周方向)に等間隔に配置されている。
【0023】
図2に示すように、第2フランジ部4は、建物躯体などの第2構造体X2にボルト(不図示)で固定されている。第2フランジ部4と第2構造体X2との間に上側ベースプレートを介在させる場合もある。本実施形態において、第2フランジ部4は、第1フランジ部3と実質的に同一形状であるが、これに限られない。
【0024】
第2フランジ部4は、弾性体2に固定された第2内側フランジ41と、第2構造体X2に固定される第2外側フランジ42と、第2内側フランジ41と第2外側フランジ42とを相対変位させる第2滑り材43と、を備える。第2外側フランジ42は、第2内側フランジ41に相対変位可能に取り付けられている。なお、例えば、第2フランジ部4は、第2滑り材43を備えない一般的なフランジ板であってもよい。
【0025】
第2滑り材43は、第1滑り材33と実質的に同一である。第2滑り材43の下面は、第2内側フランジ41に固定(例えば、接着)され、第2滑り材43の上面(摺動面)は、第2外側フランジ42と当接している。第2滑り材43は、第2内側フランジ41と第2外側フランジ42とに覆われている。
【0026】
第2滑り材43を設けることにより、免震装置1にねじれ方向の外力が加わった際、第2外側フランジ42と第2滑り材43とが摺動し、第2内側フランジ41と第2外側フランジ42とを相対変位させることができる。これにより、弾性体2のねじれ変形を抑えることができる。なお、第2滑り材43は、上記に限られない。例えば、第2滑り材43の上面は、第2外側フランジ42に固定され、第2滑り材43の下面は、第2外側フランジ42と当接していてもよく、第2滑り材43は、第2内側フランジ41及び第2外側フランジ42のどちらにも固定されていなくてもよい。
【0027】
第2内側フランジ41は、ボルト(不図示)を挿通可能な複数の第2内側挿通孔411を備える。複数の第2内側挿通孔411は、弾性体2の外周方向に等間隔に配置されている。
【0028】
第2内側挿通孔411は、第2内側フランジ41を貫通する長孔であり、弾性体2の外周方向に沿って延びている。本実施形態において、第2内側挿通孔411は、第1内側挿通孔311と実質的に同一形状(図3参照)に形成されている。即ち、第2内側挿通孔411は、弾性体2の中心線Lcを中心とする円弧状に形成されている。複数の第2内側挿通孔411は、弾性体2の中心線Lcを中心とする円上に配置されている。第2内側挿通孔411は、平面視において、免震装置1の無負荷状態における第1内側挿通孔311と重なる位置に配置されている。なお、第2内側挿通孔411は、上記に限られない。
【0029】
第2内側フランジ41は、ボルトの頭部又はボルトと係合されるナット(不図示)を収容可能な第2内側ザグリ部412を備える。第2内側ザグリ部412は、平面視において第2内側挿通孔411と重なる位置で且つ第2内側フランジ41の下面側(弾性体2側)に配置されている。第2内側ザグリ部412は、弾性体2の中心線Lcを中心とする円弧状に形成されている。なお、第2内側ザグリ部412は、上記に限られない。例えば、第2内側フランジ41は、第2内側ザグリ部412を備えない、という構成であってもよい。
【0030】
第2外側フランジ42は、ボルトを挿通可能な複数の第2外側挿通孔421を備える。複数の第2外側挿通孔421の中心は、平面視において、免震装置1の無負荷状態における第2内側挿通孔411(の円弧)の中心と重なる位置に配置されていることが好ましい。第2外側挿通孔421は、第2外側フランジ42を貫通する一般的な貫通孔である。なお、第2外側挿通孔421は、上記に限られない。
【0031】
第2外側フランジ42は、ボルトの頭部又はナットを収容可能な第2外側ザグリ部422を備える。第2外側ザグリ部422は、第2外側フランジ42の上面側に配置されている。第2外側ザグリ部422の深さは、第2外側フランジ42の上面からボルトの頭部又はナットが飛び出すことを防止する観点から、ボルトの頭部又はナットの高さよりも大きいことが好ましい。なお、第2外側ザグリ部422は、上記に限られない。
【0032】
第2内側フランジ41は、第2外側フランジ42と回転可能に嵌合される第2内側嵌合部413を備える。本実施形態において、第2内側嵌合部413は、第2内側フランジ41の上面から上側(第2構造体X2側)に突出する円形状の突起であり、第2構造体X2からの剪断力を弾性体2に伝える剪断キーとしての役割を果たしている。第2内側嵌合部413は、第1内側嵌合部313と実質的に同一形状であるが、これに限られない。
【0033】
第2外側フランジ42は、第2内側嵌合部413と回転可能に嵌合される第2外側嵌合部423を備える。本実施形態において、第2外側嵌合部423は、第2外側フランジ42の下面から上側(第2構造体X2側)に窪んだ円形状の窪みであり、第1外側嵌合部323と実質的に同一形状であるが、これに限られない。
【0034】
第2外側フランジ42は、第2構造体X2にボルト(不図示)で固定するための複数の貫通孔(不図示)を備える。複数の貫通孔は、第2内側フランジ41を囲うよう(弾性体2の外周方向)に等間隔に配置されている。
【0035】
[実施形態2]
次に、実施形態2に係る免震装置について、図4を参照しながら説明する。上記実施形態1に係る免震装置と同様の構成については、説明を省略する。
【0036】
第1内側フランジ31は、弾性体2に固定された内側フランジ本体314と、内側フランジ本体314の下側に配置される第1内側嵌合部313と、内側フランジ本体314と第1内側嵌合部313との間に嵌入される第1剪断キー315と、を備える。本実施形態において、第1内側フランジ31の外観形状は、実施形態1における第1内側フランジ31(図1参照)の外観形状と同一である。
【0037】
内側フランジ本体314及び第1内側嵌合部313は、それぞれ別体で形成された円板である。斯かる構成によれば、第1内側嵌合部313を形成する切削加工が不要となり、第1内側フランジ31の製造を容易にすることができる。第1内側嵌合部313は、免震装置1の組み立てを容易にする観点から、内側フランジ本体314に固定されていることが好ましい。
【0038】
内側フランジ本体314は、第1剪断キー315を嵌入するための凹部314aを備え、第1内側嵌合部313は、第1剪断キー315を嵌入するための凹部313aを備える。第1剪断キー315を凹部314a,313aに嵌入することにより、第1構造体X1からの剪断力を弾性体2に伝えることができる。第1剪断キー315は、内側フランジ本体314及び第1内側嵌合部313と同一の材質であることが好ましい。
【0039】
第1剪断キー315を内側フランジ本体314と第1内側嵌合部313との間に配置することにより、免震装置1と第1構造体X1との間に剪断キーが設けられた場合と比べ、免震装置1の交換作業において第2構造体X2を持ち上げる高さを小さくすることができる。これにより、免震装置1の交換作業を容易にすることができる。第2内側フランジ41についても上記の第1内側フランジ31と同様である。
【0040】
[実施形態3]
次に、実施形態3に係る免震装置について、図5を参照しながら説明する。上記実施形態1に係る免震装置と同様の構成については、説明を省略する。
【0041】
第1内側フランジ31は、弾性体2に固定された内側フランジ本体314と、内側フランジ本体314の下側に配置される第1内側嵌合部313と、を備える。本実施形態において、第1内側フランジ31の外観形状は、実施形態1における第1内側フランジ31(図1参照)の外観形状と同一である。
【0042】
内側フランジ本体314及び第1内側嵌合部313は、それぞれ別体で形成された円板である。内側フランジ本体314は、第1内側嵌合部313を嵌入するための凹部314aを備える。第1内側嵌合部313を凹部314aに嵌入することにより、第1内側嵌合部313は、第1構造体X1からの剪断力を弾性体2に伝える剪断キーとしての役割を果たしている。第2内側フランジ41についても上記の第1内側フランジ31と同様である。
【0043】
[実施形態4]
次に、実施形態4に係る免震装置について、図6を参照しながら説明する。上記実施形態1に係る免震装置と同様の構成については、説明を省略する。
【0044】
第1内側フランジ31は、第1外側フランジ32と回転可能に嵌合される第1内側嵌合部313を備える。第1内側嵌合部313は、第1内側フランジ31の下面から上側(弾性体2側)に窪んだ円形状の窪みである。
【0045】
第1外側フランジ32は、第1内側嵌合部313と回転可能に嵌合される第1外側嵌合部323を備える。第1外側嵌合部323は、第1外側フランジ32の上面から上側(弾性体2側)に突出する円形状の突起であり、第1構造体X1からの剪断力を弾性体2に伝える剪断キーとしての役割を果たしている。
【0046】
第1滑り材33は、第1外側嵌合部323に固定され、第1内側嵌合部313と当接している。これにより、免震装置1にねじれ方向の外力が加わった際、第1滑り材33と第1内側フランジ31とが摺動し、第1内側フランジ31と第1外側フランジ32とを相対変位させることができる。第2内側フランジ41及び第2外側フランジ42についても上記の第1内側フランジ31及び第1外側フランジ32と同様である。
【0047】
以上、上記実施形態のように、免震装置1は、弾性体2と、弾性体2の積層方向(上下方向)の両端面に固定された第1フランジ部3及び第2フランジ部4と、を備え、第1フランジ部3は、弾性体2に固定された第1内側フランジ31と、第1構造体X1に固定される第1外側フランジ32と、第1内側フランジ31と第1外側フランジ32とを相対変位させる第1滑り材33と、を備え、第1滑り材33は、第1内側フランジ31と第1外側フランジ32とによって覆われ、第1外側フランジ32は、第1内側フランジ31に相対変位可能に取り付けられている。
【0048】
斯かる構成によれば、免震装置1の設置前に第1内側フランジ31と第1外側フランジ32とで第1滑り材33を覆うことができる。これにより、免震装置1の設置時に、第1滑り材33が露出して第1滑り材33の摺動面に砂や埃などのゴミが付着することを抑えることができる。その結果、砂や埃などのゴミが付着することによる第1滑り材33の摺動性の悪化を抑制し、弾性体2のねじれ変形を抑えることができる。また、免震装置1の設置前に第1滑り材33を免震装置1内に配置することにより、例えば、第1内側フランジ31と第1外側フランジ32との相対変位時の摩擦係数を測定することができ、摩擦係数の品質管理を行うことができる。
【0049】
また、上記実施形態のように、免震装置1において、第1内側フランジ31及び/又は第1外側フランジ32は、第1外側フランジ32を第1内側フランジ31に取り付けるボルトを挿通するための第1挿通孔(第1内側挿通孔311)を備え、第1挿通孔(第1内側挿通孔311)は、弾性体2の外周方向に沿った長孔である、という構成が好ましい。
【0050】
斯かる構成によれば、免震装置1にねじれ方向の外力が加わった際、第1内側フランジ31に固定された弾性体2を第1挿通孔(第1内側挿通孔311)に沿わせて回転させることができる。また、第1外側フランジ32を第1内側フランジ31にボルトで取り付けることにより、免震装置1の上下方向に引張力が加わった際、第1内側フランジ31が第1外側フランジ32から離れることを抑えることができる。さらに、第1内側フランジ31と第1外側フランジ32とをボルトで固定することにより、上記特許文献1の連結治具で固定した場合と比べ、第1外側フランジ32の大型化を抑えることができる。
【0051】
また、上記実施形態のように、免震装置1において、第2フランジ部4は、弾性体2に固定された第2内側フランジ41と、第2構造体X2に固定される第2外側フランジ42と、第2内側フランジ41と第2外側フランジ42とを相対変位させる第2滑り材43と、を備え、第2滑り材43は、第2内側フランジ41と第2外側フランジ42とによって覆われ、第2外側フランジ42は、第2内側フランジ41に相対変位可能に取り付けられている、という構成が好ましい。
【0052】
斯かる構成によれば、免震装置1にねじれ方向の外力が加わった際、第2内側フランジ41と第2外側フランジ42とが相対変位し、弾性体2のねじれ変形を抑えることができる。これにより、第1内側フランジ31と第1外側フランジ32との相対変位に加えて、第2内側フランジ41と第2外側フランジ42とが相対変位することによって、弾性体2のねじれ変形をさらに抑えることができる。
【0053】
また、上記実施形態のように、免震装置1において、第2内側フランジ41及び/又は第2外側フランジ42は、第2外側フランジ42を第2内側フランジ41に取り付けるボルトを挿通するための第2挿通孔(第2内側挿通孔411)を備え、第2挿通孔(第2内側挿通孔411)は、弾性体2の外周方向に沿った長孔である、という構成が好ましい。
【0054】
斯かる構成によれば、免震装置1にねじれ方向の外力が加わった際、第2内側フランジ41に固定された弾性体2を第2挿通孔(第2内側挿通孔411)に沿わせて回転させることができる。また、第2外側フランジ42を第2内側フランジ41にボルトで取り付けることにより、免震装置1に上下方向の引張力が加わった際、第2内側フランジ41が第2外側フランジ42から離れることを抑えることができる。さらに、第2内側フランジ41と第2外側フランジ42とをボルトで固定することにより、上記連結治具で固定した場合と比べ、第2外側フランジ42の大型化を抑えることができる。
【0055】
なお、免震装置1は、上記実施形態1~4の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、免震装置1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態に係る構成や下記する各種の変更例に係る構成などを任意に一つ又は複数選択して、上記実施形態1~4に係る構成などに採用してもよいことは勿論である。
【0056】
(1)図7に示すように、第1フランジ部3において、第1内側フランジ31に設けられた第1内側嵌合部313は、第1内側フランジ31の下面から上側(弾性体2側)に窪んだ円形状の窪みであり、第1外側フランジ32は、弾性体2に固定された外側フランジ本体324と、第1内側嵌合部313に回転可能に嵌合される第1外側嵌合部323と、外側フランジ本体324と第1外側嵌合部323との間に嵌入される第1剪断キー325と、を備える、という構成であってもよい。
【0057】
斯かる構成において、外側フランジ本体324及び第1外側嵌合部323は、それぞれ別体で形成された円板である。外側フランジ本体324は、第1剪断キー325を嵌入するための凹部324aを備え、第1外側嵌合部323は、第1剪断キー325を嵌入するための凹部323aを備える。第2フランジ部4についても上記の第1フランジ部3と同様である。
【0058】
(2)図8に示すように、第1滑り材33は、複数のボールベアリング33aで構成されていてもよい。斯かる構成において、第1フランジ部3は、ボールベアリング33aを転動させるためのベアリング溝34を備える。ベアリング溝34は、弾性体2の中心線Lcを中心とする環状に形成され、同心円状に複数配置されている。ベアリング溝34は、第1内側嵌合部313及び/又は第1外側嵌合部323に配置されている。第2フランジ部4についても上記の第1フランジ部3と同様である。
【符号の説明】
【0059】
1…免震装置、2…弾性体、3…第1フランジ部、31…第1内側フランジ、311…第1内側挿通孔、312…第1内側ザグリ部、313…第1内側嵌合部、313a…凹部、314…内側フランジ本体、314a…凹部、315…第1剪断キー、32…第1外側フランジ、321…第1外側挿通孔、322…第1外側ザグリ部、323…第1外側嵌合部、323a…凹部、324…外側フランジ本体、324a…凹部、325…第1剪断キー、326…貫通孔、33…第1滑り材、33a…ボールベアリング、34…ベアリング溝、4…第2フランジ部、41…第2内側フランジ、411…第2内側挿通孔、412…第2内側ザグリ部、413…第2内側嵌合部、42…第2外側フランジ、421…第2外側挿通孔、422…第2外側ザグリ部、423…第2外側嵌合部、43…第2滑り材、X1…第1構造体、X2…第2構造体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8