(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077575
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】油中水型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20230530BHJP
A61K 8/894 20060101ALI20230530BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20230530BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230530BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20230530BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230530BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20230530BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/894
A61K8/891
A61K8/37
A61K8/31
A61K8/34
A61K8/49
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190886
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000147213
【氏名又は名称】株式会社成和化成
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 正人
(72)【発明者】
【氏名】土井 美沙季
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB332
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC391
4C083AC392
4C083AD111
4C083AD112
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD171
4C083AD641
4C083AD642
4C083BB04
4C083CC05
4C083DD32
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】肌へ塗布した際に優れた使用感を有し、保存中においても分離や油浮きがなく、粘度変化の少ない安定性に優れた油中水型乳化化粧料を提供する。
【解決手段】特定のシリコーン界面活性剤並びに、エステル油、シリコーン油又は炭化水素油から選ばれる油剤で構成される油中水型乳化化粧料がグリセリン、ジグリセリン、グリセリルアスコルビン酸又はその塩によるべたつきを抑制し、さらには安定性に優れた化粧料となる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)~(C)を含有することを特徴とする油中水型乳化化粧料。
(A)シリコーン界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上
(B)エステル油、シリコーン油、炭化水素油から選ばれる1種又は2種以上
(C)グリセリン、ジグリセリン、グリセリルアスコルビン酸又はその塩から選ばれる1種又は2種以上
【請求項2】
前記成分(C)が、ビスグリセリルアスコルビン酸であることを特徴とする請求項1に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
前記成分(A)がポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンから選ばれることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項4】
前記成分(B)がトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチコン、ミネラルオイル及びスクワランからなる群より選ばれることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の油中水型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存安定性に優れ、さらには皮膚に適用した場合にはべたつきを抑制した優れた使用感を発揮する油中水型乳化化粧料に関する。より詳しくは、特定のシリコーン界面活性剤、特定の油剤、及びグリセリン、ジグリセリン、グリセリルアスコルビン酸又はその塩を含有する油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
油中水型乳化化粧料は、油性成分、水性成分、乳化剤を用いて調製されるが、油中水型乳化化粧料に使用される従来の乳化剤は肌へ塗布した際、べたつきの原因となりやすく、優れた使用感を有する油中水型乳化化粧料が求められてきた。さらに、油中水型乳化化粧料は水中油型乳化化粧料と比べて分散相(水相)の合一が起きやすく、経時的に分離を起こしやすい欠点があり、安定な油中水型乳化化粧料を得るのが難しいという問題があり、その解決が求められていた。
【0003】
また、グリセリンなどの多価アルコールは肌へ保湿効果を与えることから多くの化粧料に配合されている一方で、配合量が多くなるにつれ、ネバネバとしたべたつき感を与えることが知られている。従って、肌への保湿効果とネバネバとしたべたつき感の抑制については両立させることが困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の問題点を解決し、油中水型乳化化粧料において、保存中の分離や油浮きがなく、保存安定性に優れ、また、肌へ塗布した際のべたつきを抑制した油中水型乳化化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記実情に鑑みて鋭意検討した結果、成分(A):シリコーン界面活性剤、成分(B):エステル油、シリコーン油及び炭化水素油からなる群より選ばれる油剤、成分(C):グリセリン、ジグリセリン、グリセリルアスコルビン酸又はその塩、を含有する油中水型乳化化粧料が、肌へ塗布した際にべたつき感を抑制した優れた使用感を有し、さらには保存安定性に優れた化粧料となることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
本発明は、その第1として、油中水型乳化化粧料であって、
(A)シリコーン界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上、
(B)エステル油、シリコーン油、炭化水素油から選ばれる1種又は2種以上、
(C)グリセリン、ジグリセリン、グリセリルアスコルビン酸又はその塩から選ばれる1種又は2種以上
を含有することを特徴とする。
【0007】
本発明の第2は、前記本発明の第1の油中水型乳化化粧料であって、成分(C)が、ビスグリセリルアスコルビン酸を含むものであることを特徴とする。化粧料に配合した場合の使用感の高さの観点から、成分(C)としては、ビスグリセリルアスコルビン酸、特に2,3-ジ-O-グリセリルアスコルビン酸が好ましく、これらを含むことが好ましい。本発明の第2は、この好ましい様態に該当するものである。
【0008】
本発明の第3は、前記本発明の第1又は2の油中水型乳化化粧料であって、成分(A)が、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンから選ばれることを特徴とする。成分(A)のシリコーン界面活性剤を上記成分を選択することによって、保存安定性が向上した油中水型乳化化粧料を提供することができることから好ましい。本発明の第3は、この好ましい様態に該当するものである。
【0009】
本発明の第4は、前記本発明の第1~3の油中水型乳化化粧料であって、成分(B)がトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチコン、スクワラン及びミネラルオイルからなる群より選ばれることを特徴とする。成分(B)の油剤を上記のものから選ぶことによって、本発明の油中水型乳化化粧料がより優れた使用感を示すので好ましい。本発明の第4は、この好ましい様態に該当するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、成分(A):シリコーン界面活性剤、成分(B):エステル油、シリコーン油、炭化水素油から選ばれる油剤、成分(C):グリセリン、ジグリセリン、グリセリルアスコルビン酸又はその塩を含有する油中水型乳化化粧料であり、保存中の粘度変化が少なく安定性に優れ、また肌へ塗布した際には優れた使用感を発揮する化粧料である。
さらに、本発明の油中水型乳化化粧料に成分(C)のグリセリルアスコルビン酸又はその塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有しても、安定性が損なわれることなく、保湿効果、抗酸化効果、メラニン産生抑制効果、コラーゲン産生促進効果等肌に適用した場合の好ましいスキンケア効果が付与され、べたつきもより抑制された油中水型乳化化粧料となる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の油中水型乳化化粧料を構成する成分(A):シリコーン界面活性剤、成分(B):エステル油、シリコーン油及び炭化水素油からなる群より選ばれる油剤、成分(C):グリセリン、ジグリセリン、グリセリルアスコルビン酸及びその塩、及び、本発明の油中水型乳化化粧料の形態について、以下具体的に説明する。
【0012】
[成分(A):シリコーン界面活性剤]
本発明の化粧料に含有される成分(A)のシリコーン界面活性剤としては、通常化粧料に用いられるものであればよく、特に限定されないが、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン、部分架橋型ポリグリセリン変性シリコーンなどが挙げられる。
【0013】
前記シリコーン界面活性剤としては、例えば、PEG-11メチルエーテルジメチコン、PEG/PPG-20/22ブチルエーテルジメチコン、PEG-9ジメチコン、PEG-3ジメチコン、PEG-9メチルエーテルジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-32メチルエーテルジメチコン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体等のポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のポリグリセリン変性シリコーン、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)クロスポリマー等の部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン、(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー、(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー、(ポリグリセリル-3/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)クロスポリマー等の部分架橋型ポリグリセリン変性シリコーン等が挙げられる。
【0014】
前記成分(A)の中でも、グリフィン法を用いて算出したHLB(Hydrophile-Lipohile Balance)値が10以下のシリコーン界面活性剤であることが好ましく、5以下であることがさらに好ましい。
【0015】
中でも、保存中の粘度変化の小ささの点から、ポリグリセリン変性シリコーン又はポリエーテル変性シリコーンであることが好ましく、中でも、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンであることがさらに好ましい。前記成分(A)のシリコーン界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0016】
このようなシリコーン界面活性剤の市販品としては、信越化学工業社製のKF-6104(ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)、KF-6105(ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)、KF-6038(ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)等が挙げられる。
【0017】
前記成分(A)の含有量は、特に限定されないが、本発明の油中水型乳化化粧料の全質量に対して1.0~5.0質量%であることが好ましく、2.0~3.0質量%であることがより好ましい。含有量がこれより少なくなると、乳化化粧料の保存安定性が低下する恐れがあり、これより多くしても、含有量の増加に見合うだけの十分な効果が得られない場合がある。
【0018】
[成分(B):油剤]
本発明の油中水型乳化化粧料に含有される成分(B)の油剤は、エステル油、シリコーン油及び炭化水素油から選ばれるが、これらの中で、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限なく用いることができる。
【0019】
前記エステル油としては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸プロピレングリコール、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸エリスリチル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエチスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、2-エチルヘキサン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチル、安息香酸アルキル(C12-15)、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、(ジイソステアリン酸/水添ロジン酸)グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、トリメリト酸トリトリデシル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステアリル/2-オクチルドデシル)等が挙げられる。
【0020】
前記シリコーン油としては、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、高重合メチルポリシロキサン等のジメチルシリコーン油、メチルフェニルポリシロキサン等のメチルフェニルシリコーン油、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン油、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等の変性シリコーン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチコノール等が挙げられる。
【0021】
前記炭化水素油としては、(C13-15)アルカン、(C15-19)アルカン、(C18-21)アルカン、(C21-28)アルカン、ミネラルオイル、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマー、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、水添ポリイソブテン、水添(テトラデセニル/メチルペンタデセン)、イソドデカン、ポリブテン、ポリイソブテン、イソヘキサデカン、(C13,14)イソパラフィン、ワセリン等が挙げられる。
【0022】
前記成分(B)の中でも、肌へ適用した場合の肌なじみのよさ、べたつきのなさの点から、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチコン、ミネラルオイル、スクワランが好ましく用いられ、1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0023】
前記成分(B)の含有量は、特に限定されないが、乳化化粧料の全質量に対して10~30質量%であることが好ましく、15~25質量%であることがより好ましい。含有量がこれより少なくなると、乳化化粧料の保存安定性が低下する恐れがあり、これより多くなると、べたつきの増加等使用感に影響を与えるおそれがある。
【0024】
[成分(C):グリセリン、ジグリセリン、グリセリルアスコルビン酸又はその塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上]
(グリセリン、ジグリセリン)
本発明の油中水型乳化化粧料に含有される成分(C)のグリセリン、ジグリセリンとしては通常化粧料に用いられる成分であれば特に制限はなく、市販品を用いることができる。具体的には、阪本薬品工業社製の化粧品用濃グリセリン、ジグリセリン 801等が挙げられる。
【0025】
グリセリン、ジグリセリンの含有量は、化粧料の全質量に対して5~50質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましい。含有量がこの範囲より少なくなると、肌に適用した場合に保湿効果が十分でない場合があり、この範囲より多くなると化粧料の経時安定性が低下するおそれがある。
【0026】
(グリセリルアスコルビン酸又はその塩)
本発明の油中水型乳化化粧料に含有される成分(C)のグリセリルアスコルビン酸とは、アスコルビン酸の2位、3位、5位又は6位に1以上のグリセリル基が付加したアスコルビン酸誘導体であり、具体例としては、以下に示す化合物を挙げることができる。 なお、以下の例示において、グリセリルとは、HOCH2-CH(OH)-CH2-又はHOCH2-CH(CH2OH)-で表される基を示し、アルキルとは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ベヘニル基、ベンジル基等を示し、アルケニルとは、ビニル基、アリル基、ブテニル基、イソブテニル基、クロチル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基等を示し、アシルとは、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、エイコサノイル基、ヘキサデセノイル基、オクタデセノイル基、オクタデカトリエノイル基、イコサテトラエノイル基、イソオクタノイル基、イソパルミトイル基、イソステアロイル基、2-プロピルペンタノイル基、2-ブチルヘキサノイル基、2-ペンチルヘプタノイル基等を示す。
【0027】
前記グリセリルアスコルビン酸としては、2-O-グリセリルアスコルビン酸、3-O-グリセリルアスコルビン酸、5-O-グリセリルアスコルビン酸、6-O-グリセリルアスコルビン酸、2,3-ジ-O-グリセリルアスコルビン酸、2,3,5,6-テトラ-O-グリセリルアスコルビン酸,2-O-ジグリセリルアスコルビン酸、3-O-ジグリセリルアスコルビン酸、2,3-ジ-O-ジグリセリルアスコルビン酸、2-O-グリセリル-3-O-アルキルアスコルビン酸、2-O-アルキル-3-O-グリセリルアスコルビン酸、2-O-アルキルグリセリルアスコルビン酸、3-O-アルキルグリセリルアスコルビン酸、2-O-グリセリル-5-O-アシルアスコルビン酸、2-O-グリセリル-6-O-アシルアスコルビン酸、2-O-グリセリル-3-O-アルケニルアスコルビン酸、2-O-アルケニル-3-O-グリセリルアスコルビン酸、2-O-アルケニルグリセリルアスコルビン酸、3-O-アルケニルグリセリルアスコルビン酸等が挙げられる。
【0028】
上記の例示の中でも工業的に入手しやすく、かつ、本発明の効果を十分に発現させることができるグリセリルアスコルビン酸としては、2-O-グリセリルアスコルビン酸、3-O-グリセリルアスコルビン酸、ビスグリセリルアスコルビン酸が好ましく、中でも、2,3-ジ-O-グリセリルアスコルビン酸等のビスグリセリルアスコルビン酸がさらに好ましい。
【0029】
グリセリルアスコルビン酸の塩としては、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩等の金属塩や、トリエタノールアミン塩、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール塩、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール塩等のアンモニウム塩等が挙げられる。
【0030】
グリセリルアスコルビン酸としては、市販品を用いることもできる。例えば、2,3-ジ-O-グリセリルアスコルビン酸としては成和化成社製のAmitose DGAを用いることができる。
【0031】
本発明の油中水型乳化化粧料では、グリセリン、ジグリセリン、グリセリルアスコルビン酸及びその塩からなる群より選ばれる1種を単独用いてもよいし、2種以上を混合して用いても良い。
【0032】
グリセリルアスコルビン酸又はその塩の含有量は、化粧料の全質量に対して0.1~30質量%が好ましく、0.5~25質量%がより好ましい。グリセリルアスコルビン酸又はその塩の含有量がこの範囲より少ない場合には、好ましいスキンケア効果を付与する効果を得にくくなる。一方、この範囲よりも多くしても、配合量の増加に見合う効果が得られない。
【0033】
本発明の油中水型乳化化粧料には、前記成分(A)~(C)に加えて、水を含有することができる。さらに、油中水型乳化化粧料としての効果や安定性等を損なわない限りにおいて、その用途に応じて、適宜、通常化粧料に使用される成分のような、他の成分を含有させることができる。
【0034】
例えば、成分(A)以外の界面活性剤、成分(B)以外の油性成分、保湿剤、増粘剤等の高分子化合物、美白剤、感触改良剤、薬剤、紫外線吸収剤、タンパク質、タンパク質加水分解物又はその誘導体、アミノ酸又はその誘導体、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、防腐剤、顔料、着色料、香料等の通常化粧料に使用される成分を、他の成分として、適宜配合することができる。
【0035】
成分(A)以外の界面活性剤としては、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ポリグリセリル-6、イソステアリン酸ポリグリセリル-2等のポリグリセリン脂肪酸エステル、デシルグルコシド、(カプリリル/カプリル)グルコシド、セテアリルグルコシド、アラキジルグルコシド、(C12-20)アルキルグルコシド、ヤシ油アルキルグルコシド、ミリスチルグルコシド、ヘプチルグルコシド、ラウリルグルコシド等のアルキルグルコシド、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート等のソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンステロール及びその誘導体、ポリオキシエチレンラノリン及びその誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油等のノニオン性界面活性剤、高級脂肪酸石鹸、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルメチルタウリン塩、N-アシル-N-メチル-β-アラニン塩、N-アシルグリシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルカルボン酸塩、アルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸及びその塩、N-アシルサルコシン及びその塩、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸塩、ラウロイルカラスムギアミノ酸及びその塩、ココイルリンゴアミノ酸及びその塩等のアニオン性界面活性剤、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩等のアルキルアミン塩、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン等の脂肪酸アミドアルキルアミン、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等の環式4級アンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム等のカチオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシ-N-ヒドロキシイミダゾリニウムベタイン、アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルグリシン塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩、アルキルヒドロキシスルホベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0036】
成分(B)以外の油性成分としては、植物油、ロウ、高級脂肪酸、高級アルコール及びそのエーテル、油脂等を挙げることができる。
【0037】
植物油としては、マカデミアナッツ油、ユーカリ油、ヤシ油、アボカド油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ククイナッツ油、シア脂(シアバター)、カカオバター、アーモンド油、ヒマワリ油、ローズヒップ油、オリーブスクワラン、カメリアオイル、キウイフルーツシード油、ツバキ油、杏仁油、ゴマ油、大豆油、ホホバ油、ヒマシ油、ヘーゼルナッツ油、メドウフォーム油、ハッカ油、アルガンオイル、カロットオイル、ラベンダー油、シュガースクワラン、ダマスクバラ花ロウ、センチフォリアバラ花ロウ、ソケイ花ワックス、椿油、これらの水素添加物(例えば、水素添加ヒマシ油、水素添加ホホバ油、水素添加パーム油、水素添加アボカド油、水素添加大豆油等)等が挙げられる。
【0038】
ロウとしては、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、コメヌカロウ、セラックロウ、鯨ロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール、ヒマワリ種子ロウ等が挙げられる。
【0039】
高級脂肪酸としては、イソステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
【0040】
高級アルコール及びそのエーテルとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セテアリルアルコール、ミリスチルアルコール、オクタノール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、アラキジルアルコール、(C14-22)アルコール、(C20-22)アルコール、ヤシアルコール、グリセリルモノセチルエーテル、デシルテトラデカノール、バチルアルコール等が挙げられる。
【0041】
油脂としては、テオブロマグランジフロルム種子脂、マンゴー種子脂、カカオ脂、パーム油、パーム核油、ヤシ油、シア脂、ショレアステノプテラ脂、アフリカマンゴノキ核脂、アボカド脂、サラソウジュ種子脂、アストロカリウムムルムル脂、アストロカリウムムルムル種子脂、アストロカリウムツクマ種子脂、ガルシニアインディカ種子脂、トリチリアエメチカ種子脂、バシアラチホリア種子脂、ガルシニアインディカ種子脂、水素添加カカオ脂、(マカデミア種子油/水添マカデミア種子油)エステルズ、乳脂等が挙げられる。
【0042】
保湿剤としては、例えば、エトキシジグリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、マルチトール、ソルビトール、1,3-ブチレングリコール、乳酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0043】
増粘剤等の高分子化合物としては、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限はなく、アクリル酸系増粘剤、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム等のセルロース系増粘剤、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、アラビアガム、トラガカントガム、キャブロガム、グアーガム、カエサルピニアスピノサガム、デキストラン等の天然由来増粘剤、ポリビニルアルコール、高分子のジメチルポリシロキサン、ペクチン、寒天、クインスシード、デンプン、アルゲコロイド、サクシノグルカン、コラーゲン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、カルボキシメチルデンプン、アルギニン酸ナトリウム、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンアクリレート、カチオンポリマー等の増粘剤やその他の高分子化合物が挙げられる。
【0044】
前記アクリル酸系増粘剤としては、例えば、ポリアクリルアミド、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、ポリアクリレート-13、ポリアクリレートクロスポリマー-6、(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸べへネス-25)クロスポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ステアレス-25)クロスポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸べへネス-25)コポリマー、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20)コポリマー、ステアレス-10アリルエーテル/アクリレーツコポリマー、カルボキシビニルポリマー等を挙げることができる。
【0045】
美白剤としては、エラグ酸、カミツレエキス、甘草エキス、ルシノール、ローズマリーエキス、アルブチン、トラネキサム酸、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸リン酸マグネシウムといったアスコルビン酸誘導体等が挙げられる。
【0046】
感触改良剤としては、アミロペクチン(アミロース)、アシル化アミノ酸又はその塩、ポリメタクリル酸メチル、窒化ホウ素、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、金属石鹸、シリコーン粉体、ポリメチルメタクリル酸メチル、ジメチルシリル化シリカ等が挙げられる。
【0047】
薬剤としては、肌荒れ防止剤又は抗炎症剤を挙げることができる。肌荒れ防止剤又は抗炎症剤としては、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリル、サリチル酸メチル、ピリドキシン塩酸塩、アラントイン、海塩、ソウハクヒエキス、アロエエキス、クチナシエキス、カミツレエキス、カンゾウエキス、ムクロジエキス、キョウニンエキス、オウゴンエキス、甜茶エキス、ビワエキス、イチョウエキス、オトギリソウエキス、セイヨウノコギリソウエキス、ベニバナエキス、トウヒエキス、サルビアエキス、シラカバエキス、チンピエキス、トウニンエキス、ガイヨウエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、ニンジンエキス、シャクヤクエキス、センキュウエキス、ゲンチアナエキス、冬虫夏草エキス、オウバクエキス、インチンコウエキス、ゲンノショウコエキス、モモ葉エキス、クマザサエキス、ヨクイニンエキス、マロニエエキス、サンザシエキス、オウレンエキス、レイシエキス、トウキンセンカエキス、ペパーミントエキス、コンフリーエキス、ブッチャーブルームエキス、ウスベニアオイエキス、ヤグルマルソウエキス、トゲナシエキス等が挙げられ、その他、育毛用薬剤、ニキビ用薬剤、ふけ・かゆみ用薬剤、腋臭防止用薬剤等も挙げることができる。
【0048】
紫外線吸収剤としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン-スルホン酸ナトリウム、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等のパラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシケイヒ酸エチル、パラメトキシケイヒ酸イソプロピル、パラメトキシケイヒ酸-2-エチルヘキシル(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル)、パラメトキシケイヒ酸ナトリウム、パラメトキシケイヒ酸カリウム、ジパラメトキシケイヒ酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル等のメトキシケイヒ酸誘導体、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ミリスチル、サリチル酸メチル等のサリチル酸誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン(t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン)、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、アントラニル酸メチル、オクトクリレン(2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸-2-エチルヘキシル)、2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシル(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)、エチルヘキシルトリアゾン及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等が挙げられ、また、上記紫外線吸収剤を内包するマイクロカプセルも挙げることができる。
【0049】
タンパク質、タンパク質加水分解物又はその誘導体としては、乳清タンパク、カゼインタンパク、シルクタンパク、小麦タンパク、米タンパク、エンドウマメタンパク、大豆タンパク、ゴマタンパク、コラーゲン、ケラチン、コンキオリン、海洋コラーゲン等のタンパク質、これらの加水分解物又はタンパク質加水分解物のアシル化、シリル化、カチオン化、グリセリル化、アルキルエステル化誘導体等が挙げられる。
【0050】
アミノ酸又はその誘導体としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン、プロリン、ヒスチジン、タウリン等のアミノ酸又はその塩、及びこれらのアシル化、シリル化、カチオン化、アルキルエステル化、グリセリル化誘導体等が挙げられる。
【0051】
酸化防止剤としては、ピロ亜硫酸ナトリウム、ビタミンE又はその誘導体、タンニン、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)等が挙げられる。
【0052】
金属イオン封鎖剤としては、エデト酸ナトリウム塩、リン酸、クエン酸、フィチン酸、エチドロン酸、グルタミン酸ジ酢酸ナトリウム塩等が挙げられる。
【0053】
pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
【0054】
防腐剤としては、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール等の1,2-アルカンジオール、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸アルキルエステル、エチルヘキシルグリセリン等のグリセリルモノアルキルエーテル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、レブリン酸、ベンジルアルコール等が挙げられる。
【0055】
上記通常化粧料に使用される成分は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0056】
本発明の油中水型乳化化粧料は、液状、乳液状、ペースト状、クリーム状、ジェル状等の剤型にして用いることができる。中でも、乳液状、クリーム状が好ましい。また、本発明の油中水型乳化化粧料は、様々な化粧料に広く適用することが可能であり、美容液、乳液、化粧下地、エモリエントクリーム、クレンジングクリーム、ハンドクリーム、ボディクリーム、ファンデーション、日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等として適用することができる。中でも、エモリエントクリーム、ハンドクリーム、ファンデーションとして好ましく適用できる。
【実施例0057】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されない。なお、実施例の表中に記載されている数値は、いずれも化粧料の全質量に対する質量%である。
【0058】
実施例1~6:保湿クリーム
表1に記載の成分(A)及び(B)を混合し、ディスパー(1400rpm)で撹拌しながら成分(C)及びその他成分を添加し、ディスパー(3000rpm)でさらに5分間撹拌することで、保湿クリームを調製した。さらに、以下に示す方法、評価基準で、安定性及びべたつきの評価を行った。これらの結果を表1に示す。
【0059】
[安定性]
調製直後の粘度、及び50℃恒温槽で8週間保存した保湿クリームの粘度をブルックフィールドLVT粘度計にて測定し、安定性について以下の評価基準で評価を行った。
【0060】
◎:調製直後に対して粘度変化が±15%未満であった
〇:調製直後に対して粘度変化が±15%以上、±25%未満であった
△:調製直後に対して粘度変化が±25%以上であった。
×:油相と水相が分離した
【0061】
[べたつき抑制の評価]
実施例1~6で作製した保湿クリーム及び対照例の水溶液を前腕内側に1cm×5cmの範囲に30mg塗布し、2分間塗り広げた後、2分間乾燥させた。乾燥後、動摩擦係数測定装置(商品名:トリニティラボ ハンディ―ラブテスターType:TL701)を用い、塗布した箇所に荷重100gをかけた後、上方に引き上げたときの付着力(応力)を測定した。実施例の成分(C)の質量%に対して100質量%となるように水を加えたものを各実施例に対する対照例の水溶液とし、対照例に対する実施例の付着力を以下の基準で評価した。
【0062】
◎:対照例の付着力と比較して保湿クリームの付着力の方が低く、付着力の変化が50%以上であった
〇:対照例の付着力と比較して保湿クリームの付着力の方が低く、付着力の変化が50%未満であった。
×:対照例の付着力と比較して保湿クリームの付着力の方が高い。
【0063】
【0064】
表1中、
*1は、信越化学工業社製のKF-6104、
*2は、信越化学工業社製のKF-6105、
*3は、信越化学工業社製のKF-6038、
*4は、成和化成社製のAmitose DGA(商品名、ビスグリセリルアスコルビン酸50質量%、グリセリン25質量%、水25質量%を含有)、
*5は、Ashland社製のeuxyl PE 9010である。
【0065】
成分(A)~(C)を配合した実施例1~6では、50℃での保存安定性が優れていることが表1の結果から明らかである。なお、グリセリン、ジグリセリン、グリセリルアスコルビン酸は、化粧料に配合することにより、化粧料に保湿性を与えるものである。実施例1~6の保湿クリームは、優れた保湿性を有するが、この優れた保湿性は、成分(C)としてグリセリン、ジグリセリン、グリセリルアスコルビン酸が配合されることにより得られると考えられる。
【0066】
また、実施例1~6において、肌へ塗布した際のべたつき抑制効果も優れていることが表1の結果から示されている。この結果より、成分(A)、(B)を組み合わせて配合している場合は、成分(C)のグリセリン、ジグリセリン、又はグリセリルアスコルビン酸を配合した場合でもべたつきの問題が抑制され、かつ保存安定性にも優れていると言える。