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特開2023-776エジェクタ及びこれを備える真空発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000776
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】エジェクタ及びこれを備える真空発生装置
(51)【国際特許分類】
   F04F 5/44 20060101AFI20221222BHJP
   F04F 5/20 20060101ALI20221222BHJP
   F04F 5/46 20060101ALI20221222BHJP
   B25J 15/06 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
F04F5/44 E
F04F5/20 A
F04F5/46 A
B25J15/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101784
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】松村 憲一
【テーマコード(参考)】
3C707
3H079
【Fターム(参考)】
3C707FS03
3C707FU01
3C707KV15
3H079AA14
3H079AA18
3H079BB01
3H079CC21
3H079CC23
3H079DD02
3H079DD08
3H079DD22
3H079DD27
(57)【要約】
【課題】切換弁、エジェクタ、配管の設置スペースを減少し、組立作業の労力負担を軽減可能なエジェクタ、真空発生装置を提供する。
【解決手段】エジェクタ20は、内部流路27を有したエジェクタボディ21と、圧縮空気を噴出するノズル部23及びこれからの圧縮空気で負圧を発生させるデフューザ部24を備えた負圧発生機構22を有する。エジェクタボディは、切換弁40の弁ボディ41を固定的に取付る第1取付面20aと、マニホールドベース10のベースボディ18を固定的に取付る第2取付面20bを有する。第1取付面は切換弁の第1出力ポートAを接続して負圧発生機構に圧縮空気を供給する第1流入ポート28aを有し、このポートは供給流路28を通じてノズル部に連通し、第2取付面はマニホールドベースの負圧入力ポートを接続して負圧を外部に出力する負圧供給ポート29cを有し、このポートは負圧連通流路29を通じてデフューザ部に連通する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気の作用下で負圧を発生させるエジェクタであって、
前記エジェクタは、
内部に内部流路が形成されたエジェクタボディと、
前記流路に接続されて圧縮空気を噴出させるノズル部、及び、前記ノズル部から噴出された圧縮空気により負圧を発生させると共にその圧縮空気を外部へと排気するデフューザ部を備えた負圧発生機構と、を有し、
前記エジェクタボディは、
切換弁のボディである弁ボディを固定的に取り付けるための第1取付面と、マニホールドベースのボディであるベースボディを固定的に取り付けるための第2取付面と、を有し、
前記エジェクタボディの前記第1取付面には、前記切換弁の前記弁ボディに開設された出力ポートを接続して前記負圧発生機構に圧縮空気を供給するための流入ポートが開設されていて、前記流入ポートは、前記エジェクタボディ内の前記内部流路のうちの正圧供給流路を通じて前記ノズル部に連通されており、
前記エジェクタボディの前記第2取付面には、前記マニホールドベースの前記ベースボディに開設された負圧入力ポートを接続して前記負圧発生機構で発生させた負圧を外部に出力するための負圧供給ポートが開設されていて、前記負圧供給ポートは、前記エジェクタボディ内の前記内部流路のうちの負圧連通流路を通じて前記デフューザ部に連通されている、
ことを特徴とするエジェクタ。
【請求項2】
前記第1取付面には、前記切換弁の前記弁ボディに開設された切換弁側給気流入ポートを接続して圧縮空気を前記切換弁に供給するためのエジェクタ側給気ポートが開設され、
前記第2取付面には、前記マニホールドベースの前記ベースボディに開設された給気ポートを接続して圧縮空気を流入するための給気流入ポートが開設されており、
前記エジェクタ側給気ポートと前記給気流入ポートとは、前記エジェクタボディ内の前記内部流路のうちの給気連通流路を通じて連通されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ。
【請求項3】
前記第1取付面の前記流入ポートは、前記切換弁の前記弁ボディに開設された第1出力ポート及び第2出力ポートの夫々を接続するための第1流入ポート及び第2流入ポートを有し、
前記第1流入ポート及び前記第2流入ポートのいずれか一方が前記内部流路を通じて前記ノズル部に連通し、
前記第1流入ポート及び前記第2流入ポートのいずれか他方が前記内部流路を通じて前記負圧供給ポートに連通している、
ことを特徴とする請求項2に記載のエジェクタ。
【請求項4】
前記負圧供給ポートは、前記マニホールドベースの前記ベースボディに開設された第1負圧流入ポート及び第2負圧流入ポートの夫々を接続して負圧を供給するための第1負圧供給ポート及び第2負圧供給ポートを有し、
前記第1負圧供給ポート及び前記第2負圧供給ポートと前記デフューザ部とは、前記内部流路のうちの前記負圧連通流路を通じて連通され、
前記第1流入ポート及び前記第2流入ポートのいずれか他方と前記負圧連通流路とは、前記内部流路のうちの流入連通流路を通じて連通されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のエジェクタ。
【請求項5】
前記流入連通流路には、前記負圧供給ポート側へ流れる空気の流量を制御するための絞り部が設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載のエジェクタ。
【請求項6】
前記負圧連通流路には、前記負圧連通流路から前記デフューザ部側への空気の流れを許容する一方、前記デフューザ部から前記負圧連通流路への空気の流れを規制するチェック弁が設けられている、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のエジェクタ。
【請求項7】
前記デフューザ部の下流側には、前記デフューザ部から吐出する圧縮空気を排出するための排出ポートが設けられている、
ことを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載のエジェクタ。
【請求項8】
請求項3から7のいずれかに記載の前記エジェクタと、前記エジェクタの前記第2取付面に取り付けられた前記マニホールドベースと、前記エジェクタの前記第1取付面に取り付けられた前記切換弁と、を有する真空発生装置であって、
前記切換弁は、
軸方向の一端側から他端側へと延びる弁孔及び前記弁孔に連通する複数のポートが形成された前記弁ボディと、
前記弁ボディの前記弁孔内に軸方向に摺動自在に収容されたスプールと、
前記スプールの軸方向両端に配され、前記スプールを軸方向他端側の他端側切換位置へと移動させ、且つ前記スプールを軸方向一端側の一端側切換位置へ移動させる第1駆動部及び第2駆動部と、
前記スプールを前記一端側切換位置と前記他端側切換位置との中間の相互に異なる位置である第1中間切換位置及び第2中間切換位置へと選択的に移動させるスプール移動機構部と、を有し、
前記複数のポートは、前記エジェクタの前記第1流入ポートを接続する前記第1出力ポートと、前記エジェクタの前記第2流入ポートを接続する前記第2出力ポートと、前記エジェクタの前記第1取付面に開設された前記エジェクタ側給気ポートを接続して圧縮空気が供給される前記切換弁側給気流入ポートと、を有し、
前記スプール移動機構部は、
前記スプールを前記一端側切換位置に移動させた状態から、前記第2駆動部による前記スプールの押圧を解除した時に、前記スプールを前記第1中間切換位置へと移動させ、
前記スプールを前記他端側切換位置に移動させた状態から、前記第1駆動部による前記スプールの押圧を解除した時に、前記スプールを前記第2中間切換位置へと移動させ、
前記第1中間切換位置では、前記ノズル部に連通する前記第1出力ポート及び前記第2出力ポートのいずれか一方と前記切換弁側給気流入ポートとを連通し、他のポートを遮断して相互に連通しない連通状態となり、
前記第2中間切換位置では、前記複数のポートが全て遮断されて相互に連通しない非連通状態となる、
ことを特徴とする真空発生装置。
【請求項9】
前記スプールは、ばね座軸を同軸上に有していて、
前記スプール移動機構部は、前記ばね座軸に軸方向に移動自在に設けられた軸方向一端側の第1ばね座及び軸方向他端側の第2ばね座と、前記第1ばね座と前記第2ばね座との間に設けられたばね部材と、を有し、
前記ばね座軸は、軸方向の両端に前記第1及び前記第2ばね座を当接させる一対の当接部を有し、前記第1及び第2ばね座を前記一対の当接部に当接させた状態において、前記ばね部材は縮設されており、
前記弁ボディの前記弁孔には、前記スプール移動機構部を間に配したその軸方向両側に、前記第1及び第2ばね座を当接させる一対のストッパ部が設けられており、
前記一対の当接部間の軸方向長さをX、前記一対のストッパ部間の軸方向長さをY、前記第1及び第2駆動部のそれぞれによる前記スプールのストローク長さをS1,S2としたとき、X<Y、Y-X<S1,S2の関係を有している、
ことを特徴とする請求項8に記載の真空発生装置。
【請求項10】
前記弁孔には、前記スプール移動機構部を収容して軸方向に延びるばね収容室が設けられ、
前記ばね収容室は、軸方向両端部に径方向外側へ延びる一対の端壁を有し、
前記一対の端壁の夫々は、前記第1及び第2ばね座が当接する前記ストッパ部を有している、
ことを特徴とする請求項9に記載の真空発生装置。
【請求項11】
前記一対の当接部は、前記ばね座軸の軸方向の一端から径方向外側へ突出して前記第1ばね座と当接可能な第1段部と、前記ばね座軸の軸方向の他端から径方向外側へ突出して前記第2ばね座と当接可能な第2段部と、を有し、
前記スプールは、
前記第1ばね座が前記ばね収容室の軸方向一方側の前記端壁及び前記第1段部に当接し、且つ前記第2ばね座が前記第2段部に当接した状態で前記第1中間切換位置に切り換えられ、
前記第2ばね座が前記ばね収容室の軸方向他方側の前記端壁及び前記第2段部に当接し、且つ前記第1ばね座が前記第1段部に当接した状態で前記第2中間切換位置に切り換えられる、
ことを特徴とする請求項10に記載の真空発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力空気を通過させて負圧状態を発生させるエジェクタ及びこれを備える真空発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のエジェクタは、例えば特許文献1の図7に開示されているように、真空吸着装置等の真空発生装置に組み込まれている。特許文献1に記載の真空吸着装置は、切換弁と真空発生装置と吸着パッド等を有してなる。切換弁は、内部にスプールが摺動可能に収容されており、スプールの移動に応じて圧縮空気をエジェクタに供給する。また切換弁には、コンプレッサ等から吐出される圧縮空気を流すための給気配管と、圧縮空気をエジェクタに供給するための供給配管が接続されている。
【0003】
エジェクタは、圧縮空気を噴出するノズル部と、ノズル部からの圧縮空気の噴出に伴って吸引される空気を圧縮空気と混合した後に吐出するデフューザ部とを有しており、エジェクタには、供給配管と吸着パッドに繋がる真空配管とが接続されている。真空配管内が負圧になると、吸着パッド内も負圧になって、吸着パッドの開口側端面によってワークを吸着することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6―264900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の真空吸着装置は、エジェクタと切換弁が別個になっているので、両者を設置するための設置スペースが大きくなってしまう。また、両者の取り付けも個々に行い、さらに両者を配管で接続しなければならず、作業工数が多くなり労力負担の増大を避けることができない。
【0006】
そこで、本発明の技術的課題は、エジェクタに切換弁や配管等を接続する場合に、切換弁、エジェクタ及び配管の設置スペースの増大、及び作業の労力負担の増大を抑制可能なエジェクタ及びこれを備える真空発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るエジェクタは、圧縮空気の作用下で負圧を発生させるエジェクタであって、前記エジェクタは、内部に内部流路が形成されたエジェクタボディと、前記流路に接続されて圧縮空気を噴出させるノズル部、及び、前記ノズル部から噴出された圧縮空気により負圧を発生させると共にその圧縮空気を外部へと排気するデフューザ部を備えた負圧発生機構と、を有し、前記エジェクタボディは、切換弁のボディである弁ボディを固定的に取り付けるための第1取付面と、マニホールドベースのボディであるベースボディを固定的に取り付けるための第2取付面と、を有し、前記エジェクタボディの前記第1取付面には、前記切換弁の前記弁ボディに開設された出力ポートを接続して前記負圧発生機構に圧縮空気を供給するための流入ポートが開設されていて、前記流入ポートは、前記エジェクタボディ内の前記内部流路のうちの正圧供給流路を通じて前記ノズル部に連通されており、前記エジェクタボディの前記第2取付面には、前記マニホールドベースの前記ベースボディに開設された負圧入力ポートを接続して前記負圧発生機構で発生させた負圧を外部に出力するための負圧供給ポートが開設されていて、前記負圧供給ポートは、前記エジェクタボディ内の前記内部流路のうちの負圧連通流路を通じて前記デフューザ部に連通されている、ことを特徴とする。
【0008】
この場合において、好ましくは、前記第1取付面には、前記切換弁の前記弁ボディに開設された切換弁側給気流入ポートを接続して圧縮空気を前記切換弁に供給するためのエジェクタ側給気ポートが開設され、前記第2取付面には、前記マニホールドベースの前記ベースボディに開設された給気ポートを接続して圧縮空気を流入するための給気流入ポートが開設されており、前記エジェクタ側給気ポートと前記給気流入ポートとは、前記エジェクタボディ内の前記内部流路のうちの給気連通流路を通じて連通されている。
【0009】
また、好ましくは、前記第1取付面の前記流入ポートは、前記切換弁の前記弁ボディに開設された第1出力ポート及び第2出力ポートの夫々を接続するための第1流入ポート及び第2流入ポートを有し、前記第1流入ポート及び前記第2流入ポートのいずれか一方が前記内部流路を通じて前記ノズル部に連通し、前記第1流入ポート及び前記第2流入ポートのいずれか他方が前記内部流路を通じて前記負圧供給ポートに連通している。
【0010】
また、好ましくは、前記負圧供給ポートは、前記マニホールドベースの前記ベースボディに開設された第1負圧流入ポート及び第2負圧流入ポートの夫々を接続して負圧を供給するための第1負圧供給ポート及び第2負圧供給ポートを有し、前記第1負圧供給ポート及び前記第2負圧供給ポートと前記デフューザ部とは、前記内部流路のうちの負圧連通流路を通じて連通され、前記第1流入ポート及び前記第2流入ポートのいずれか他方と前記負圧連通流路とは、前記内部流路のうちの流入連通流路を通じて連通されている。
【0011】
また、好ましくは、前記流入連通流路には、前記負圧供給ポート側へ流れる空気の流量を制御するための絞り部が設けられている。さらに、好ましくは、前記負圧連通流路には、前記負圧連通流路から前記デフューザ部側への空気の流れを許容する一方、前記デフューザ部から前記負圧連通流路への空気の流れを規制するチェック弁が設けられている。また、好ましくは、前記デフューザ部の下流側には、前記デフューザ部から吐出する圧縮空気を排出するための排出ポートが設けられている。
【0012】
また、本発明に係わる真空発生装置は、請求項3から7のいずれかに記載の前記エジェクタと、前記エジェクタの前記第2取付面に取り付けられた前記マニホールドベースと、前記エジェクタの前記第1取付面に取り付けられた前記切換弁と、を有する真空発生装置であって、前記切換弁は、軸方向の一端側から他端側へと延びる弁孔及び前記弁孔に連通する複数のポートが形成された前記弁ボディと、前記弁ボディの前記弁孔内に軸方向に摺動自在に収容されたスプールと、前記スプールの軸方向両端に配され、前記スプールを軸方向他端側の他端側切換位置へと移動させ、且つ前記スプールを軸方向一端側の一端側切換位置へ移動させる第1駆動部及び第2駆動部と、前記スプールを前記一端側切換位置と前記他端側切換位置との中間の相互に異なる位置である第1中間切換位置及び第2中間切換位置へと選択的に移動させるスプール移動機構部と、を有し、前記複数のポートは、前記エジェクタの前記第1流入ポートを接続する前記第1出力ポートと、前記エジェクタの前記第2流入ポートを接続する前記第2出力ポートと、前記エジェクタの前記第1取付面に開設された前記エジェクタ側給気ポートを接続して圧縮空気が供給される前記切換弁側給気流入ポートと、を有し、前記スプール移動機構部は、前記スプールを前記一端側切換位置に移動させた状態から、前記第2駆動部による前記スプールの押圧を解除した時に、前記スプールを前記第1中間切換位置へと移動させ、前記スプールを前記他端側切換位置に移動させた状態から、前記第1駆動部による前記スプールの押圧を解除した時に、前記スプールを前記第2中間切換位置へと移動させ、
前記第1中間切換位置では、前記ノズル部に連通する前記第1出力ポート及び前記第2出力ポートのいずれか一方と前記切換弁側給気流入ポートとを連通し、他のポートを遮断して相互に連通しない連通状態となり、前記第2中間切換位置では、前記複数のポートが全て遮断されて相互に連通しない非連通状態となる、ことを特徴とする。
【0013】
この場合において、前記スプールは、ばね座軸を同軸上に有していて、前記スプール移動機構部は、前記ばね座軸に軸方向に移動自在に設けられた軸方向一端側の第1ばね座及び軸方向他端側の第2ばね座と、前記第1ばね座と前記第2ばね座との間に設けられたばね部材と、を有し、前記ばね座軸は、軸方向の両端に前記第1及び前記第2ばね座を当接させる一対の当接部を有し、前記第1及び第2ばね座を前記一対の当接部に当接させた状態において、前記ばね部材は縮設されており、前記弁ボディの前記弁孔には、前記スプール移動機構部を間に配したその軸方向両側に、前記第1及び第2ばね座を当接させる一対のストッパ部が設けられており、前記一対の当接部間の軸方向長さをX、前記一対のストッパ部間の軸方向長さをY、前記第1及び第2駆動部のそれぞれによる前記スプールのストローク長さをS1,S2としたとき、X<Y、Y-X<S1,S2の関係を有している。
【0014】
また、好ましくは、前記弁孔には、前記スプール移動機構部を収容して軸方向に延びるばね収容室が設けられ、前記ばね収容室は、軸方向両端部に径方向外側へ延びる一対の端壁を有し、前記一対の端壁の夫々は、前記第1及び第2ばね座が当接する前記ストッパ部を有している。さらに、好ましくは、前記一対の当接部は、前記ばね座軸の軸方向の一端から径方向外側へ突出して前記第1ばね座と当接可能な第1段部と、前記ばね座軸の軸方向の他端から径方向外側へ突出して前記第2ばね座と当接可能な第2段部と、を有し、前記スプールは、前記第1ばね座が前記ばね収容室の軸方向一方側の前記端壁及び前記第1段部に当接し、且つ前記第2ばね座が前記第2段部に当接した状態で前記第1中間切換位置に切り換えられ、前記第2ばね座が前記ばね収容室の軸方向他方側の前記端壁及び前記第2段部に当接し、且つ前記第1ばね座が前記第1段部に当接した状態で前記第2中間切換位置に切り換えられる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、エジェクタに切換弁や配管等を接続する場合に、切換弁、エジェクタ及び配管の設置スペースが増大し、及び作業の労力負担が増大するのを抑制可能なエジェクタ及びこれを備える真空発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係わる真空発生装置を含んだ連設集合体の外観斜視図である。
図2】第1実施形態に係わる3位置切換弁を有した真空発生装置の断面図である。
図3】第1実施形態に係わる真空発生装置の負圧作動時の動作説明図である。
図4】第1実施形態に係わる真空発生装置の真空破壊時(正圧供給時)の動作説明図である。
図5】第1実施形態に係わる真空発生装置の真空保持状態時の動作説明図である。
図6】第1実施形態に係わる真空発生装置の第1変形例を示す断面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係わる4位置切換弁を有した真空発生装置の断面図である。
図8】第2実施形態に係わる切換弁のスプールが一端側切換位置に切り換わった状態の断面図である。
図9】第2実施形態に係わる切換弁のスプールが第1中間切換位置に切り換わった状態の断面図である。
図10】第2実施形態に係わる切換弁のスプールが第2中間切換位置に切り換わった状態の断面図である。
図11】第2実施形態に係わる切換弁のスプールが他端側切換位置に切り換わった状態の断面図である。
図12】第2実施形態に係わる真空発生装置の負圧作動時の動作説明図である。
図13】第2実施形態に係わる真空発生装置の負圧保持状態を示す動作説明図である。
図14】第2実施形態に係わる真空発生装置の真空破壊時(正圧供給)の動作説明図である。
図15】第2実施形態に係わる真空発生装置の真空破壊(正圧供給)の停止状態を示す動作説明図である。
図16】本発明の第3実施形態に係わる2位置切換弁を有した真空発生装置の負圧作動時の動作説明図である。
図17】第3実施形態に係わる真空発生装置の真空破壊時(大気圧供給)の動作説明図である。
図18】第3実施形態における変形例の2位置切換弁を有した真空発生装置の負圧作動時の動作説明図である。
図19】第3実施形態における変形例の2位置切換弁を有した真空発生装置の真空破壊時(大気圧供給)の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係るエジェクタ及びこれを備える真空発生装置について説明する。なお、本実施形態では、エジェクタは真空発生装置の一部を構成するため、エジェクタについては真空発生装置の説明のなかで記載する。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、真空発生装置1と切換弁ブロック91とポートブロック92とエンドブロック93とを上下方向に対して直交する幅方向に並べて一体化した連設集合体90を示している。連設集合体90を構成するこれらの機器は、図1に示すように、幅方向を向く側面同士を突き合わせて、例えば図示しないタイロッドを介して接離可能に連結されている。切換弁ブロック91は、マニホールドベース91a上に切換弁91bを搭載して構成され、ポートブロック92は、前面側に供給ポート92a及び排出ポート92bを有して構成される。エンドブロック93は、前面側に複数のコネクタ93aが設けられて、切換弁ブロック91や真空発生装置1の切換弁91b、40に設けられたソレノイドに対して電力及び電気信号を供給する。
【0019】
真空発生装置1は、図1及び図2に示すように、マニホールドベース10と、マニホールドベース10上に搭載されたエジェクタ20と、エジェクタ20上に搭載された切換弁40とを有してなる。マニホールドベース10は、マニホールドベース10のボディであるベースボディ18を有し、このベースボディ18は、給気孔11と、第1排出孔12及び第2排出孔13と、第1負圧ポート14及び第2負圧ポート15とを有した公知のものである。本実施形態では、ベースボディ18は幅方向に対して直交する前後方向に延びる直方体状に形成されており、ベースボディ18の前面には第1負圧ポート14及び第2負圧ポート15が突出して設けられている。第1負圧ポート14及び第2負圧ポート15の夫々の後端部には、ベースボディ18内に形成された第1負圧流路16及び第2負圧流路17が連通し、これら負圧流路16、17は、上方へ屈曲して延びてベースボディ18の上端面18aに開口(以下、「第1負圧流入ポート16a、第2負圧流入ポート17a」と記す。)している(図3参照)。
【0020】
ベースボディ18の上側には、後側から前側へ向かって第1排出孔12、給気孔11、第2排出孔13が間隔を有して順次配設されており、これら第1排出孔12、給気孔11、第2排出孔13は、夫々がベースボディ18の両側面間を貫通している。給気孔11はポートブロック92(図1参照)の供給ポート92aに連通し、第1排出孔12及び第2排出孔13はポートブロック92の排出ポート92bに連通している。給気孔11には、これから分岐して上方へ延びる給気流路11aが連通し、給気流路11aの上端部は、ベースボディ18の上端面18aに開口(以下、「給気ポート11b」と記す。)している。
【0021】
第1排出孔12及び第2排出孔13には、夫々から分岐して上方へ延びる第1排出分岐流路12a及び第2排出分岐流路13aが連通する。第1排出分岐流路12aの上端部は、第1負圧流路16の上端面18aに対する開口位置よりも後側に開口(以下、「第1排出流入ポート12b」と記す。)し(図3参照)、第2排出分岐流路13aの上端部は、第2負圧流路17の上端面18aに対する開口位置よりも前側に開口(以下、「第2排出流入ポート13b」と記す。)する(図3参照)。また、給気流路11aの給気ポート11bは、第1負圧流路16及び第2負圧流路17の夫々の開口位置の間に開口する。即ち、ベースボディ18の上端面18aには、図3に示すように、後側から前側に向かって第1排出分岐流路12a、第1負圧流路16、給気流路11a、第2負圧流路17、第2排出分岐流路13aの夫々のポート12b,16a、11b、17a、13bが順次開口している。
【0022】
ベースボディ18の上端面18aは、前後方向に沿って延びる平面状の長方形に形成されており、後述するエジェクタ20の第2取付面20bに接触して固定的に取り付けられる。
【0023】
次に、切換弁40について説明する。切換弁40は、図2に示すように、公知のパイロット式3位置切換弁であり、5ポート弁としての構成を有している。切換弁40は、軸L方向(前後方向)に延びて切換弁40のボディである弁ボディ41を有する。弁ボディ41は、軸L方向一端側(後側)から軸L方向他端側(前側)へ向かって5つのポートEA、A、P、B、EBを有する主ボディ42と、主ボディ42の後端に順次連結された第1ピストンカバー43及びパイロット弁部44と、主ボディ42の前端に順次連結されたばねカバー46及び第2ピストンカバー47とを有して形成されている。
【0024】
5つのポートEA、A、P、B、EBは、軸L方向中央の切換弁側給気流入ポートPと、切換弁側給気流入ポートPの両側に位置する第1出力ポートA(出力ポート)及び第2出力ポートB(出力ポート)と、第1出力ポートAより第1ピストンカバー43側に位置する第1排出ポートEAと、第2出力ポートBより第2ピストンカバー47側に位置する第2排出ポートEBとである。
【0025】
主ボディ42及びばねカバー46の内部には、5つのポートEA、A、P、B、EBが連通する断面が円形の弁孔48が軸L方向に沿って貫通している。弁孔48の内部には、スプール50が弁孔48の軸L方向に摺動自在に挿入されている。スプール50は、その軸L方向長さが弁孔48のそれよりも僅かに短く形成されていて、スプール50の軸L方向両端には、ピストン室43a,47a内に摺動自在に収容された第1ピストン51及び第2ピストン52が夫々当接し又は離反するように設けられている。
【0026】
第1ピストン51及び第2ピストン52は、パイロット空気圧の作用を受けてスプール50を、図3に示す他端側切換位置P2、図4に示す一端側切換位置P1に切り換えるものである。第1ピストン51及び第2ピストン52は同一形状を有しており、第1ピストン51の受圧面51aは第1パイロット室43bに面し、第2ピストン52の受圧面52aは第2パイロット室47bに面している。第1パイロット室43b及び第2パイロット室47bは同一の形状を有している。
【0027】
パイロット弁部44には、第1パイロット弁44a及び第2パイロット弁44bが設けられている。本実施形態では、第1パイロット弁44a及び第2パイロット弁44bは、第1ピストンカバー43よりも後側に配設されており、軸L方向に対して直交する上下方向の上側に第1パイロット弁44aが、下側に第2パイロット弁44bが夫々配設されている。
【0028】
第1パイロット弁44aは、第1パイロット出力通路44cを通じて第1パイロット室43bに接続され、第2パイロット弁44bは、第2パイロット出力通路44dを通じて第2パイロット室47bに接続されており、両パイロット弁44a,44bは、パイロット供給通路42aを通じて切換弁側給気流入ポートPに接続されている。第1及び第2パイロット出力通路44c、44dとパイロット供給通路42aは、弁ボディ41の内部に形成されている。
【0029】
更に、第1ピストン51の背面が面する背面室43cと、第2ピストン52の背面が面する背面室47cとは、開放路49を通じて夫々大気に開放されている。
【0030】
スプール50は、図2に示すように、軸L方向において、後側から前側へ向かって、弁孔48の後側に気密かつ摺動自在に嵌合された第1気密部53、第1環状凹部54、第1ランド部55、第2環状凹部56、第2ランド部57、第3環状凹部58、第3ランド部59、第4環状凹部60、第4ランド部61、第5環状凹部62、及び弁孔48の前側に気密かつ摺動自在に嵌合された第2気密部63が順次設けられており、これらは何れも軸Lを中心とした円柱状に形成されている。すなわち、スプール50には、これら環状凹部54,56,58,60,62と、弁部としてのランド部55,57,59,61とが軸L方向に沿って交互に形成されている。
【0031】
これら気密部53、63及びランド部55,57,59,61の径方向外側の摺動面には、パッキン64が夫々装着されており、これらパッキン64により隣接するポートEA、A、P、B、EB間の流路を開閉する。第2気密部63の前端には、径方向外側に向かって延びる環状の第1段部63aが形成されている。
【0032】
このように構成された切換弁40は、図2及び図3に示すように、第1パイロット弁44aがオンになって第1パイロット室43bに切換弁側給気流入ポートPから圧縮空気がパイロット流体として供給されると共に、第2パイロット弁44bがオフになって第2パイロット室47bが大気に開放されると、第1ピストン51がパイロット流体圧により第2ピストン52側に向けて押圧されるため、図3に示すようには、スプール50は弁孔48内を第2ピストン52側に移動して他端側切換位置P2に切り換わる。
【0033】
また、図4に示すように、第2パイロット弁44bがオンになって第2パイロット室47bに切換弁側給気流入ポートPから圧縮空気がパイロット流体として供給されると共に、第1パイロット弁44aがオフになって第1パイロット室43bが大気に開放されると、第2ピストン52がパイロット流体圧により第1ピストン51側に向けて押圧されるため、スプール50は弁孔48内を第1ピストン51側に移動して一端側切換位置P1に切り換わる。
【0034】
スプール50の軸L方向他端(以下、「前端」と記す。)には、図3に示すように、ばね座軸65が軸L方向(図2参照)に沿って延びており、このばね座軸65には第1ばね座66a及び第2ばね座66bが前後方向に移動自在に設けられている。第1ばね座66aと第2ばね座66bとの間には、圧縮ばね67が設けられており、この圧縮ばね67は、第1ばね座66a及び第2ばね座66b間において圧縮された状態で挿入されている。ばね座軸65の前端には、前方へ延びる被押圧部68が形成されており、被押圧部68は、円柱状に形成されて、スプール50と同軸上に延びてばね座軸65よりも大径であり、且つ弁孔48の内径よりも小径である。被押圧部68の後端部には、後方側を向く環状の第2段部68aが形成されている。
【0035】
ばねカバー46内には、第1ばね座66a、第2ばね座66b及び圧縮ばね67を取り囲むようにして軸L方向に延びるばね収容室69が形成されている。ばね収容室69は、断面視において円形状であって弁孔48の内径よりも大径であって、ばねカバー46の後端から前方へ延びる。ばね収容室69の後端には、径方向内側から外側へ向かって延びる環状の端壁69aが形成され、また、ばね収容室69の前端には、径方向内側から外側へ向かって延びる環状の端壁69bが形成されている。
【0036】
第1ばね座66a及び第2ばね座66bは、図5に示すように、圧縮ばね67によって第1ばね座66aが第1段部63aに当接し、且つ第2ばね座66bが第2段部68aに当接するように付勢されている。ここで、ばね収容室69の前後方向両側の端壁69a,69b間の長さYは、スプール50の第1段部63a及び第2段部68a間の長さXと同一である。このため、第1ばね座66aが第1段部63aに当接し、且つ第2ばね座66bが第2段部68aに当接した状態では、第1ばね座66aは、更に、ばね収容室の後側の端壁69aに当接する共に、第2ばね座66bは、更に、ばね収容室69の前側の端壁69bに当接する。
【0037】
本実施形態では、第1ばね座66aが第2気密部63の第1段部63a及びばね収容室69の後側の端壁69aに当接し、且つ第2ばね座66bが被押圧部68の第2段部68a及びばね収容室69の前側の端壁69bに当接した状態で、スプール50は中立切換位置Psに移動する。スプール50が中立切換位置Psに切り換えられると、切換弁40は、すべてのポートEA、A、P、B、EBを遮断した非連通状態となる。
【0038】
また、図4に示すように、スプール50が一端側切換位置P1に切り換えられると、切換弁40は、切換弁側給気流入ポートPと第2出力ポートBとが連通すると共に、第1出力ポートAと第1排出ポートEAとが連通し、かつ第2排出ポートEBが遮断された第2の連通状態となる。また、切換弁40は、図3に示すように、スプール50が他端側切換位置P2に切り換えられると、切換弁側給気流入ポートPと第1出力ポートAとが連通すると共に、第2出力ポートBと第2排出ポートEBとが連通し、かつ第1排出ポートEAが遮断された第2の連通状態となる。
【0039】
切換弁40の主ボディ42の下端には、5つのポートEA、A、P、B、EBが開口する下端面42bが形成されている。下端面42bは、前後方向に沿って延びる長方形であって平面状に形成されている。この下端面42bは後述するエジェクタ20の第1取付面20aに対向配置されて固定的に取り付けられる。
【0040】
次に、エジェクタ20について説明する。エジェクタ20は、図2に示すように、内部に内部流路27が形成されたエジェクタボディ21を有する。エジェクタボディ21は、前後方向に延びた直方体状に形成されている。エジェクタボディ21は、切換弁40弁ボディ41を固定的に取り付けるための第1取付面20aと、マニホールドベース10のベースボディ18を固定的に取り付けるための第2取付面20bと、を有している。
【0041】
第1取付面20aは、エジェクタボディ21の上端に前後方向に延びた平面状に形成されており、本実施形態では、第1取付面20aは前後方向に延びる長方形状に形成されている。一方、第2取付面20bは、エジェクタボディ21の下端に前後方向に延びた平面状に形成されており、本実施形態では、第2取付面20bは前後方向に延びる長方形状に形成されている。これら第1取付面20a及び第2取付面20bは、互いに平行に延びている。
【0042】
エジェクタボディ21には、圧縮空気の作用下で負圧を発生させる負圧発生機構22と、負圧発生機構22を通過した圧縮空気を排出する排出ポート26と、エジェクタ20の内部に形成されてマニホールドベース10と切換弁40との間を連通する内部流路27と、が設けられている。
【0043】
エジェクタボディ21内の前側には負圧発生機構22が着脱可能に設けられ、エジェクタボディ21の前側端部にはデフューザ部24から排出される圧縮空気を排出する排出ポート26が設けられている。エジェクタ20で発生した負圧は、マニホールドベース10の第1及び第2負圧流路16、17及び第1及び第2負圧ポート14、15を通じて図示しない真空機器に供給される。
【0044】
負圧発生機構22は、ノズル部23とデフューザ部24とを有する。ノズル部23は、前後方向(軸L方向)に沿って延び、供給される圧縮空気を噴出する。デフューザ部24は、ノズル部23の下流側に同一軸上に配設されてノズル部23からの圧縮空気の噴出に伴って吸引される空気を圧縮空気と混合した後に吐出する。ノズル部23は、その後端部に供給流路28(正圧供給流路)が接続されており、供給流路28は、ノズル部23から後側へ延びて上方へ屈曲してエジェクタ20の第1取付面20aに開口(以下、「第1流入ポート28a」と記す。)して、圧縮空気をノズル部23の入口に導く。ノズル部23は筒状に形成されて、前後方向の途中の内径が小さく絞られた部分を有しており、ノズル部23の下流側(前方側)にデフューザ部24が配置されている。
【0045】
デフューザ部24は、前後方向に延びてノズル部23よりも長尺な筒状に形成されている。ノズル部23とデフューザ部24とは、所定の間隙25を有して配置されている。排出ポート26は、デフューザ部24の下流側(前側)に設けられて、排出空気を径方向外側へ向かって排出するように構成されている。
【0046】
ノズル部23とデフューザ部24との間の間隙25は、ノズル部23の下方に形成された連通空間25aと連通しており、連通空間25aは、エジェクタ20の下部に形成された負圧連通流路29に連通している。本実施形態では、負圧連通流路29は前後方向に沿って延びて、前後方向の途中で分岐する2つの第1負圧連通分岐流路29a及び第2負圧連通分岐流路29bを有している。第1負圧連通分岐流路29aの先端はエジェクタ20の第2取付面20bに開口(以下、「第1負圧供給ポート29c」と記す。)し、第2負圧連通分岐流路29bの先端が第1負圧連通分岐流路29aの先端よりも前側の位置に開口(以下、「第2負圧供給ポート29d」と記す。)する。第1負圧連通分岐流路29aはマニホールドベース10の第1負圧流入ポート16aを通じて第1負圧流路16に連通し、第2負圧連通分岐流路29bはマニホールドベース10の第2負圧流入ポート17aを通じて第2負圧流路17に連通する。
【0047】
エジェクタボディ21の内部には、マニホールドベース10の給気流路11aに連通する給気連通流路30が設けられている。本実施形態では、給気連通流路30は、エジェクタボディ21内において上下方向に延びて、給気連通流路30の下端がエジェクタ20の第2取付面20bに開口(以下、「給気流入ポート30a」と記す。)する。給気流入ポート30aは、第1負圧連通分岐流路29a及び第2負圧連通分岐流路29bの夫々の下端の開口(以下、「第1負圧供給ポート29c、第2負圧供給ポート29d」と記す。)の間に位置している。
【0048】
一方、給気連通流路30の上端は、供給流路28の上端の開口(第1流入ポート28a)よりも前側の位置に開口(以下、「エジェクタ側給気ポート30b」と記す。)する。すなわち、給気流入ポート30aとエジェクタ側給気ポート30bとは給気流入ポート30aを通じて連通している。
【0049】
供給流路28及び第1負圧連通分岐流路29aよりも後側には、上下方向に延びる第1排出連通流路31が設けられている。この第1排出連通流路31は、下端がエジェクタ20の第2取付面20bに開口(以下、「第1排出流出ポート31a」と記す。)して、マニホールドベース10の第1排出流入ポート12bを通じて第1排出分岐流路12aに連通する。第1排出連通流路31の上端はエジェクタ20の第1取付面20aに開口(以下、「第1排出流入ポート31b」と記す。)して、切換弁40の第1排出ポートEAに接続される。
【0050】
給気連通流路30よりも前側には、第2流入連通流路32が設けられている。第2流入連通流路32は、その上端がエジェクタ20の第1取付面20aに開口(以下、「第2流入ポート32a」と記す。)する。そして、第2流入連通流路32はその下端が負圧連通流路29に連通している。
【0051】
また、第2流入連通流路32よりも前側には、第2排出連通流路33が設けられ、第2排出連通流路33の上端はエジェクタ20の第1取付面20aに開口(以下、「第2排出流入ポート33a」と記す。)するとともに、第2排出連通流路33の下端はエジェクタ20の第2取付面20bに開口(以下、「第2排出流出ポート33b」と記す。)する。本実施形態では、第2排出連通流路33は、その切換弁40側がエジェクタ20の供給流路28の上方で塞がり、且つマニホールドベース10側がエジェクタ20の負圧連通流路29の下方で塞がっている。即ち、第2排出連通流路33は途中で塞がった非連通状態にある。
【0052】
即ち、エジェクタボディ21には、第1排出連通流路31、供給流路28、負圧連通流路29、給気連通流路30、第2流入連通流路32、第2排出連通流路33を有した内部流路27が設けられている。
【0053】
また、エジェクタ20の第1取付面20aには、第1排出流入ポート31b、第1流入ポート28a、エジェクタ側給気ポート30b、第2流入ポート32a、第2排出流入ポート33aが設けられている。第1取付面20aは、前後方向に沿って延びる平面状に形成されており、第1取付面20a上に切換弁40の下端面42bを対向配置すると、これらのポート31b、28a、30b、32a、33aが切換弁40の対応するポートEA,A,P,B,EBに接続される。
【0054】
一方、エジェクタ20の第2取付面20bには、後側から前側に向かって第1排出流出ポート31a、第1負圧供給ポート29c、給気流入ポート30a、第2負圧供給ポート29d、第2排出流出ポート33bが設けられている。第2取付面20bは、前後方向に沿って延びる平面状に形成されており、この第2取付面20bにマニホールドベース10の上端面18aを対向配置すると、これらのポート31a、29c、30a、29d、33bがマニホールドベース10の対応するポート12b、16a、11b、17a,13bに接続される。
【0055】
このように、本実施形態に係わるエジェクタ20によれば、エジェクタ20の上端部に切換弁40を固定的に取付可能な第1取付面20aを有し、エジェクタ20の下端部にマニホールドベース10を固定的に取付可能な第2取付面20bを有し、エジェクタ20の内部には、切換弁40、マニホールドベース10及びエジェクタ20内の負圧発生機構22に連通する内部流路27が設けられている。このため、エジェクタ20の第1取付面20a及び第2取付面20bに、切換弁40及びマニホールドベース10を取り付けるだけで、真空発生装置1が完成する。このため、エジェクタ20に配管等を介して切換弁40やマニホールドベース10を接続する場合と比較して、切換弁40、エジェクタ20、マニホールドベース10及び配管の設置スペースの増大を抑制するとともに、接続作業の労力負担の増大を抑制可能なエジェクタ20及びこれを備える真空発生装置1を提供することができる。
【0056】
このような構成を有する真空発生装置1は、図3に示すように、切換弁40の第2パイロット弁44bをオフにして第2ピストン52にパイロット流体圧が作用しない状態で、第1パイロット弁44aをオンにして第1ピストン51にパイロット流体圧が作用すると、スプール50が他端側切換位置P2に移動する。スプール50が他端側切換位置P2に移動した状態において、給気孔11から圧縮空気が導入されると、圧縮空気は、給気流路11a及び給気連通流路30を通じて切換弁の40切換弁側給気流入ポートPに流入する。そして圧縮空気は、切換弁側給気流入ポートPから第1出力ポートA及びエジェクタ20の供給流路28に流入する。これにより、負圧発生機構22に圧縮空気が流れることにより、負圧連通流路29,マニホールドベース10の第1及び第2負圧流路16,17を通じて真空機器の空気が吸引されて真空機器を負圧にすることができる。
【0057】
また、図3に示すように、スプール50が他端側切換位置P2に移動した状態で、第1パイロット弁44aをオフにして、第1ピストン51へのパイロット流体圧が非作用状態になると、図5に示すように、圧縮ばね67の付勢によって、第1ばね座66aが後側に移動するとともに、第1ばね座66aに当接する第2気密部63を介してスプール50が後側に移動する。そして、第1ばね座66aがばね収容室69の後側の端壁69aに当接すると、スプール50の移動が停止して、スプール50は中立切換位置Psに切り換わる。したがって、切換弁40は、すべてのポートEA,A,P,B,EBを遮断した非連通状態となるので、マニホールドベース10の第1及び第2負圧流路16,17は、閉塞された状態となり、これら負圧流路に繋がる真空機器の真空状態を維持することができる。即ち、スプール50が他端側切換位置P2に移動した状態で、停電等により第1パイロット弁44aがオフになると、スプール50が中立切換位置Psに切り換わるので、真空機器の真空状態が維持される。
【0058】
一方、図4に示すように、切換弁40の第1パイロット弁44aをオフにして第1ピストン51にパイロット流体圧が作用しない状態にして、第2パイロット弁44bをオンにして第2ピストン52にパイロット流体圧が作用すると、スプール50は一端側切換位置P1に移動する。スプール50が一端側切換位置P1に移動した状態では、給気孔11から供給される圧縮空気は、マニホールドベース10の給気流路11a、エジェクタ20の給気連通流路30、切換弁40の切換弁側給気流入ポートP、第2出力ポートB、第2流入連通流路32、負圧連通流路29を通って、マニホールドベース10の第1及び第2負圧流路16,17に流入する。従って、圧縮空気がマニホールドベース10に繋がる真空機器に供給されて、真空機器に対して真空破壊(正圧供給)をすることができる。
【0059】
ところで、前述した第1実施形態の真空発生装置1では、エジェクタ20の第2流入連通流路32は、負圧連通流路29を介してマニホールドベース10の第1及び第2負圧流路16,17に連通するので、これら負圧流路16,17を通じて圧縮空気を真空機器に供給することができるが、真空機器に供給される圧縮空気の流量を調整することができない。そこで、真空機器に供給される圧縮空気の流量を調整可能にしてもよい(第1変形例)。
【0060】
この場合、図6に示すように、第2流入連通流路32にオリフィス71を設けるとともに、オリフィス71の開口面積を調節可能にするためにオリフィス71に対してニードル弁72を移動可能に設けてもよい。オリフィス71は、第2流入連通流路32内に上下方向に間隔を有して設けられた一対の突出片32b、32bの間に形成されており、円形状に開口している。オリフィス71の開口は軸L方向を向いている。
【0061】
ニードル弁72は、前後方向に延びる円柱状に形成され、ニードル弁72の軸方向一端部(後部)は円錐状に形成されている。ニードル弁72は、この後部をオリフィス71の開口に挿入してオリフィス71に対してニードル弁72を前後方向に移動可能に設けられている。従って、オリフィス71に対してニードル弁72の後部の位置を調節することで、オリフィス71の開口面積が変化して、第2流入連通流路32を流れる圧縮空気の流量を調節することができる。
【0062】
この変形例では、エジェクタ20の前側には、前後方向に延びる孔部35が設けられており、この孔部35は、後端部が第2流入連通流路32に開口し、前端部がエジェクタ20の前面に開口している。この孔部35内にニードル弁72が前後方向に移動可能に収容されている。ニードル弁72は前側の外周面に雄ねじ部72aが設けられ、エジェクタ20の上部前側には雄ねじ部72aが螺合する不図示の雌ねじ部が設けられる。また、ニードル弁72の前端部には、摘まみ部73が設けられており、この摘まみ部73を回転させることにより、ニードル弁72をエジェクタ20に対して軸L方向に移動させて、第2流入連通流路32を流れる圧縮空気の流量を調整することができる。
【0063】
さらに、負圧連通流路29と連通空間25aとが繋がる接続位置に、負圧連通流路29から連通空間25a側への空気の流れを許容する一方、その逆側、即ち連通空間25aから負圧連通流路29側への空気の流れを規制するチェック弁74を設けてもよい(第2変形例)。このチェック弁74を設けることで、外部からデフューザ部24を通って負圧連通流路29に流れる空気を規制することができるので、負圧連通流路29からマニホールドベース10の第1及び第2負圧流路16,17に流れる空気の流量の増大を防止することができる。
【0064】
また、マニホールドベース10の第1及び第2負圧ポート14,15に圧縮空気の圧力を測定するための圧力センサ75を設けてもよい(第3変形例)。
【0065】
この場合、圧力センサ75からの検出値(真空圧力値)に基づいて、真空パッド(真空機器)にワークが吸着及び保持している状態を確認することができる。具体的には、真空機器がワークを吸着して真空圧力値が規定値に達すると、エジェクタ停止状態(全流路非連通)に切換える制御を行なってワークを保持することができる。また、エジェクタ停止中に、ワークとパッド間からエア漏れによる真空圧力の低下を圧力センサでモニターし、真空圧力値が閾値を超えたらエジェクタを再作動する制御を行うことができる。そして、これらの制御を繰り返すことで、ワークの落下を防止しつつエジェクタ作動によるエア消費を節約することができる。この第3変形例では、第2負圧ポート15に圧力センサ75を挿入し、第1負圧ポート14に真空機器を接続する場合を示したが、第1負圧ポート14に圧力センサ75を挿入し、第2負圧ポート15に真空機器を接続してもよい。
【0066】
[第2実施形態]
次に、本発明に係わる真空発生装置1の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、前述した第1実施形態との相違点を主に説明し、第1実施形態と同一態様部分については同一符号を附してその説明を省略する。
【0067】
切換弁40´は、図7に示すように、4位置切換弁である。スプール50は、第1ランド部55及び第2ランド部57の摺動面の軸L方向の幅が第3ランド部59及び第4ランド部61の摺動面の幅よりも広く、且つ第1ランド部55の摺動面の幅が第2ランド部57の摺動面の幅よりも広い。また、第1ランド部55及び第2ランド部57の夫々の摺動面には、パッキン64が2個ずつ装着されている。
【0068】
スプール50の前側には、図8から図11に示すように、スプール50を一端側切換位置P1(図8参照)と他端側切換位置P2(図11参照)との中間に位置して互いに異なる位置である第1中間切換位置P3(図9参照)及び第2中間切換位置P4(図10参照)へと選択的に移動させるスプール移動機構部76が設けられている。本実施形態では、第1中間切換位置P3は、第2中間切換位置P4よりも後側に位置している。スプール移動機構部76は、第1実施形態と同様に、スプール50の第2気密部63から延びるばね座軸65に軸L方向に移動自在に設けられた第1ばね座66a及び第2ばね座66bと、第1ばね座66aと第2ばね座66bとの間に設けられた圧縮ばね67と、を有して形成される。
【0069】
ばね収容室69の軸L方向両側の端壁69a、69b間の軸方向長さY(以下、「一対の端壁間長さY」と記す。)は、ばね座軸65の軸方向両側の第1段部63a及び第2段部68a間の軸L方向長さX(以下、「一対の段部間長さX」と記す。)よりも長い(図9参照)。
【0070】
ここで、スプール50が軸L方向へ移動する距離、即ちスプール50のストローク長さについて説明する。本実施形態では、スプール50は、図8に示す一端側切換位置P1において最も軸方向一方側(後側)に移動し、図11に示す他端側切換位置P2において最も軸方向他方側(前側)に移動する。このため、スプール50は、一端側切換位置P1と他端側切換位置P2との間の距離(ストローク長さS)を移動する。そして、本実施形態では、スプール50が軸L方向一方側から他方側へ移動するストローク長さS1(図8参照)と、スプール50が軸L方向他方側から一方側へ移動するストローク長さS2(図11参照)は同一である。また、このストローク長さS1,S2は、一対の端壁間長さYに対して一対の段部間長さXを減算した値(Y-X)よりも大きくなっている(図9参照)。すなわち、Y-X<S1,S2である。
【0071】
このため、図11に示す他端側切換位置P2に移動したスプール50を軸L方向一方側(後側)へ移動させると、図8に示すように、第1ばね座66aが一方の端壁69aに当接した状態で、第2ばね座66bを第1ばね座66a側に接近させて、スプール50を一端側切換位置P1に移動させることができる。また、一端側切換位置P1に移動したスプール50を軸L方向他方側(前側)へ移動させると、図11に示すように、第2ばね座66bが他方の端壁69bに当接した状態で、第1ばね座66aを第2ばね座66b側に接近させて、スプール50を他端側切換位置P2に移動させることができる。
【0072】
このように構成された4位置に切り換え可能な切換弁40´は、図8に示すように、第2ピストン52にパイロット空気圧を作用させると、第1ばね座66aがばね収容室69の一方の端壁69aに当接し、且つ第2ばね座66bが圧縮ばね67の付勢に抗して軸L方向一方側(後側)へ移動した状態となって、スプール50が一端側切換位置P1に切り換えられる。また、スプール50が一端側切換位置P1に切り換えられた状態で第2ピストン52へのパイロット空気圧の作用を停止すると、図9に示すように、第1ばね座66aがばね収容室69の一方の端壁69a及び第1段部63aに当接し、且つ圧縮ばね67の復帰力(弾発力)によって第2ばね座66b及びスプール50が軸L方向他方側(前側)へ移動して第2ばね座66bが第2段部68aに当接した状態となって、スプール50が第1中間切換位置P3に切り換えられる。
【0073】
さらに、スプール50は、図11に示すように、第1ピストン51にパイロット空気圧を作用させると、第2ばね座66bがばね収容室69の他方の端壁69bに当接し、且つ第1ばね座66aが圧縮ばね67の付勢に抗して軸L方向他方側(前側)へ移動した状態となって、他端側切換位置P2に切り換えられる。また、スプール50が他端側切換位置P2に切り換えられた状態で、第1ピストン51へのパイロット空気圧の作用を停止させると、図10に示すように、第2ばね座66bがばね収容室69の他方の端壁69bに当接し、且つ圧縮ばね67の復帰力(弾発力)によって第1ばね座66a及びスプール50が軸L方向一方側(後側)へ移動して第1ばね座66aが第1段部63aに当接するとともに第2段部68aに第2ばね座66bが当接した状態となって、スプール50が第2中間切換位置P4に切り換えられる。
【0074】
このように、本実施形態のスプール50は、図9及び図10に示すように、第1ピストン51及び第2ピストン52の何れにもパイロット空気圧が作用していない状態では、圧縮ばね67の復帰力(弾発力)によって第2ばね座66b及びスプール50が軸L方向他方側(前側)に移動することで切り換えられる第1中間切換位置P3と、圧縮ばね67の復帰力(弾発力)によって第1ばね座66a及びスプール50が軸L方向一方側(後側)に移動することで切り換えられて第1中間切換位置P3よりも軸方向他方側に位置する第2中間切換位置P4の2つの中間切換位置に切り換え可能である。
【0075】
そして、図8に示すように、スプール50が一端側切換位置P1に切り換えられると、切換弁40´は、切換弁側給気流入ポートP、第1出力ポートA、第2出力ポートB及び第1排出ポートEAが遮断されて相互に連通しない第1非連通状態となる。また、スプール50が第1中間切換位置P3に切り換えられると、図9に示すように、切換弁40´は、第1出力ポートA及び第1排出ポートEAが遮断されて相互に連通せず、切換弁側給気流入ポートP及び第2出力ポートBが連通した第1連通状態となる。
【0076】
また、スプール50が第2中間切換位置P4に切り換えられると、図10に示すように、切換弁40´は、切換弁側給気流入ポートP、第1出力ポートA、第2出力ポートB、第1排出ポートEA、第2排出ポートEBが全て遮断されて相互に連通しない第2非連通状態となる。さらに、スプール50が他端側切換位置P2に切り換えられると、図11に示すように、切換弁40´は、第2出力ポートB、第1排出ポートEA、第2排出ポートEBが遮断されて相互に連通せず、P供給ポート及び第1出力ポートAが連通した第2連通状態となる。
【0077】
このように構成された切換弁40´に接続されるエジェクタ20の供給流路28は、図7に示すように、切換弁40´の第2出力ポートBに接続されるエジェクタ20の第2流入ポート32aとノズル部23との間で連通している。また、切換弁40´の第1出力ポートAに連通するエジェクタ20の第1流入ポート28aと負圧連通流路29とが第1流入連通流路77を通じて連通している。
【0078】
このため、スプール50が一端側切換位置P1(図8参照)に切り換えられた状態で、第2パイロット弁44b(図7参照)への電力供給が遮断されるような緊急事態が発生した場合には、図9に示すように、圧縮ばね67の復帰力によってスプール50が切換弁側給気流入ポートPと第2出力ポートBとを連通する第1中間切換位置P3に切り換えられる。このため、図12に示すように、給気孔11から供給される圧縮空気は、マニホールドベース10の給気流路11a、エジェクタ20の給気連通流路30を通って供給流路28に流入して負圧発生機構22に供給される。そして、負圧発生機構22に圧縮空気が流れることにより、負圧連通流路29,マニホールドベース10の第1及び第2負圧流路16,17を通じて真空機器の空気が吸引されて真空機器を負圧状態にすることができる。
【0079】
また、スプール50が第1中間切換位置P3に切り換えられた状態で、第2パイロット弁44bをオンにすると、図13に示すように、スプール50は一端側切換位置P1に切り換えられる。従って、切換弁40´の全てのポートEA,A,P,B,EBが遮断された状態となるので、マニホールドベース10の第1及び第2負圧流路16,17に接続された真空機器を負圧状態に維持することができる。
【0080】
また、図14に示すように、第1パイロット弁44aだけをオンにすると、スプール50は他端側切換位置P2に切り換えられる。スプール50が他端側切換位置P2に切り換えられた状態では、給気孔11から導入された圧縮空気は、マニホールドベース10の給気流路11a、エジェクタ20の給気連通流路30、切換弁40´の切換弁側給気流入ポートP、第1出力ポートA、第1流入連通流路77、負圧連通流路29を通じて、マニホールドベース10の第1及び第2負圧流路16,17に流入する。従って、圧縮空気がマニホールドベース10に繋がる真空機器に供給されて、真空機器に対して真空破壊(正圧供給)をすることができる。
【0081】
また、スプール50が他端側切換位置P2に切り換えられた状態で、第1パイロット弁44aをオフの状態にすると、図15に示すように、スプール50は、第2中間切換位置P4に切り換えられて、切換弁40´の全てのポートEA,A,P,B,EBが遮断された状態になる。したがって、圧縮空気はマニホールドの第1及び第2負圧流路16,17に供給されなくなるので、真空機器に対する真空破壊(正圧供給)を停止することができる。
【0082】
このように、本実施形態に係わるエジェクタ20によれば、エジェクタ20の第1取付面20aに切換弁40´を装着し、第2取付面20bにマニホールドベース10を装着するだけで、真空発生装置1が完成する。このため、切換弁40´、エジェクタ20、マニホールドベース10及びこれらを接続するための配管の設置スペースの増大を抑制するとともに、接続作業の労力負担の増大を抑制可能なエジェクタ20及び真空発生装置1を提供することができる。
【0083】
[第3実施形態]
次に、本発明に係わる真空発生装置1の第3実施形態について図16図19を参照しながら説明する。第3実施形態では、前述した第1実施形態との相違点を主に説明し、第1実施形態と同一態様部分については同一符号を附してその説明を省略する。
【0084】
切換弁40´´は、図16及び図17に示すように、公知の2位置切換弁であり、本実施形態の2位置切換弁はノーマルクローズ型である。切換弁40´´は一つの第1パイロット弁44aを有しており、第1パイロット弁44aをオンにすると、スプール50の軸方向両端部に作用する圧縮空気の差圧によってスプール50が軸方向他方側(前側)の他端側切換位置P2(図16参照)に移動し、第1パイロット弁44aをオフにすると、スプール50の軸方向一端側にのみ作用する圧縮空気によってスプール50が軸方向一方側(後側)の一端側切換位置P1(図17参照)に移動するように構成されている。
【0085】
本実施形態では、スプール50の第2ランド部57と第3ランド部59との軸方向の間隔が第1実施形態のスプール50の対応する部分よりも狭くなっている。また、第2流入連通流路32は、供給流路28の手前で塞がっていて、負圧連通流路29とは連通していない。一方、第2排出連通流路33は、エジェクタボディ21内を上下方向に貫通して延びて、マニホールドベース10の第2排出分岐流路13aに連通している。
【0086】
第1パイロット弁44aをオンにすると、図16に示すように、スプール50が他端側切換位置P2に切り換えられて、切換弁40´´は、切換弁側給気流入ポートPと第1出力ポートAとが連通すると共に、第2出力ポートBと第2排出ポートEBとが連通し、かつ第1排出ポートEAが遮断された第1の連通状態となる。従って、給気孔11から圧縮空気が導入されると、圧縮空気は、給気流路11a及び給気連通流路30を流れて切換弁40´´の切換弁側給気流入ポートP及び第1出力ポートAを通ってエジェクタ20の供給流路28に流入する。このため、負圧発生機構22に圧縮空気が流れることにより、負圧連通流路29,マニホールドベース10の第1及び第2負圧流路16,17を介して真空機器の空気が吸引されて真空機器を負圧状態にすることができる。
【0087】
一方、第1パイロット弁44aをオフにすると、図17に示すように、スプール50が一端側切換位置P1に切り換えられて、切換弁40´´は、切換弁側給気流入ポートPと第2出力ポートBとが連通すると共に、第1出力ポートAと第1排出ポートEAとが連通し、かつ第2排出ポートEBが遮断された第2の連通状態となる。従って、マニホールドベース10の第1及び第2負圧流路16,17は、エジェクタ20の負圧連通流路29、連通空間25a、デフューザ部24、排出ポート26に連通するので、大気はこれらを通って真空機器に供給される。このため、大気圧によって真空機器を真空破壊(大気圧供給)することができる。
【0088】
なお、給気孔11から圧縮空気が導入された場合、圧縮空気は切換弁40´´の切換弁側給気流入ポートP及び第2出力ポートBを通って第2流入連通流路32に流入するが、第2流入連通流路32は負圧連通流路29に連通していないので、圧縮空気がマニホールドベース10の第1及び第2負圧流路16、17に流入することはない。このため、圧縮空気によって真空機器が真空破壊(正圧供給)されることはない。
【0089】
このように、本実施形態に係わるエジェクタ20によれば、エジェクタ20の第1取付面20aに切換弁40´´を装着し、第2取付面20bにマニホールドベース10を装着するだけで、真空発生装置1が完成する。このため、切換弁40´´、エジェクタ20、マニホールドベース10及びこれらを接続するための配管の設置スペースの増大を抑制するとともに、接続作業の労力負担の増大を抑制可能なエジェクタ20及び真空発生装置1を提供することができる。
【0090】
前述した2位置の切換弁40´´は、ノーマルクローズ型であるものを示したが、切換弁40´´は、ノーマルオープン型でもよい(第4変形例)。この切換弁40´´は、図18に示すように、公知の2位置切換弁であって、一つの第1パイロット弁44aを有している。切換弁40´´は、第1パイロット弁44aをオンにすると、スプール50の軸方向両端部に作用する圧縮空気の差圧によってスプール50が軸方向他方側(前側)の他端側切換位置P2(図19参照)に切り換えられ、第1パイロット弁44aをオフにすると、スプール50の軸方向一端側にのみ作用する圧縮空気によってスプール50が軸方向一方側(後側)の一端側切換位置P1(図18参照)に切り換えられように構成されている。
【0091】
スプール50が一端側切換位置P1に切り換えられると、切換弁40´´は、切換弁側給気流入ポートPと第2出力ポートBとが連通すると共に、第1出力ポートAと第1排出ポートEAとが連通し、かつ第2排出ポートEBが遮断された第1の連通状態となる。また、スプール50が他端側切換位置P2に切り換えられると、切換弁40´´は、図19に示すように、切換弁側給気流入ポートPと第1出力ポートAとが連通すると共に、第2出力ポートBと第2排出ポートEBとが連通し、かつ第1排出ポートEAが遮断された第2の連通状態となる。
【0092】
エジェクタ20の供給流路28は、切換弁40´´の第2出力ポートBに連通している。また、エジェクタ20の第1流入連通流路77は、切換弁40´´の第1出力ポートAに連通するが、第1流入連通流路77は負圧連通流路29の手前で塞がれている。
【0093】
従って、第1パイロット弁44aをオンにしてスプール50が他端側切換位置P2に切り換えられると、給気孔11から導入された圧縮空気は第1流入連通流路77で遮断されてエジェクタ20の第1及び第2負圧流路16,17に流入することはない。一方、負圧連通流路29は連通空間25a、デフューザ部24、排出ポート26を通じて大気に連通するので、大気は、これらを通って真空機器に供給される。このため、大気圧によって真空機器を真空破壊(大気圧供給)することができる。
【0094】
一方、第1パイロット弁44aをオフにすると、図18に示すように、スプール50は一端側切換位置P1に切り換えられる。そして、給気孔11から圧縮空気が導入されると、圧縮空気は、給気流路11a及び給気連通流路30を流れて切換弁40´´の切換弁側給気流入ポートP及び第2出力ポートBを通ってエジェクタ20の供給流路28に流入する。そして、負圧発生機構22に圧縮空気が流れることにより、負圧連通流路29,マニホールドベース10の第1及び第2負圧流路16,17を通じて真空機器の空気が吸引されて真空機器を負圧状態にすることができる。
【0095】
なお、前述した実施形態では、エジェクタ20の第1取付面20a及び第2取付面20bは、エジェクタボディ21の上端及び下端に互いに平行に延びた状態で形成された場合を示したが、これに限るものではない。第1取付面20a及び第2取付面20bは、エジェクタボディ21の上端及び下端に互いに交差する方向に延びて形成されてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 真空発生装置
10、91a マニホールドベース
11 給気孔
11a 給気流路
11b 給気ポート
12 第1排出孔
12a 第1排出分岐流路
12b、31b 第1排出流入ポート
13 第2排出孔
13a 第2排出分岐流路
13b,33a 第2排出流入ポート
14 第1負圧ポート
15 第2負圧ポート
16 第1負圧流路
16a 第1負圧流入ポート
17 第2負圧流路
17a 第2負圧流入ポート
18 ベースボディ
18a 上端面
20 エジェクタ
20a 第1取付面
20b 第2取付面
21 エジェクタボディ
22 負圧発生機構
23 ノズル部
24 デフューザ部
25 間隙
25a 連通空間
26、92b 排出ポート
27 内部流路
28 供給流路(正圧供給流路)
28a 第1流入ポート(流入ポート)
29 負圧連通流路
29c 第1負圧供給ポート(負圧供給ポート)
29d 第2負圧供給ポート(負圧供給ポート)
30 給気連通流路
30a 給気流入ポート
30b エジェクタ側給気ポート
31 第1排出連通流路
31a 第1排出流出ポート
31b 第1排出流入ポート
32 第2流入連通流路(流入連通流路)
32a 第2流入ポート(流入ポート)
33 第2排出連通流路
33a 第2排出流入ポート
33b 第2排出流出ポート
40、40´、40´´、91b 切換弁
42b 下端面
44a 第1パイロット弁
44b 第2パイロット弁
50 スプール
51 第1ピストン
52 第2ピストン
63a 第1段部
65 ばね座軸
66a 第1ばね座
66b 第2ばね座
67 圧縮ばね(ばね部材)
68 被押圧部
68a 第2段部
69 ばね収容室
69a、69b 端壁
71 オリフィス(絞り部)
72 ニードル弁(絞り部)
74 チェック弁
75 圧力センサ
76 スプール移動機構部
77 第1流入連通流路(流入連通流路)
A 第1出力ポート(出力ポート)
B 第2出力ポート(出力ポート)
EA 第1排出ポート
EB 第2排出ポート
L 軸
P 切換弁側給気流入ポート
P1 一端側切換位置
P2 他端側切換位置
P3 第1中間切換位置
P4 第2中間切換位置
Ps 中立切換位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19