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  • 特開-襟口の開度調整機構 図1
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  • 特開-襟口の開度調整機構 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077645
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】襟口の開度調整機構
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/002 20060101AFI20230530BHJP
   A41D 13/005 20060101ALI20230530BHJP
   A41D 27/00 20060101ALI20230530BHJP
   A41D 27/28 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D13/005 103
A41D27/00 A
A41D27/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190991
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】507213101
【氏名又は名称】株式会社ザックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土井 淳一
【テーマコード(参考)】
3B011
3B035
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AC02
3B011AC03
3B035AA03
3B035AB03
3B035AC15
(57)【要約】
【課題】ファン付衣服の襟口に着目し、連続的に襟口の開度調整ができるほか、ファン付衣服を着用した状態でも襟口の開度調整ができる襟口の開度調整機構を提供する。
【解決手段】襟刳24の外側に位置固定されたコードストッパ12と、折り返し部分111から延びる上条112及び下条113がコードストッパ12を通してから襟刳24の内側に引き込まれ、襟刳24の内側に固定されることにより、襟刳24の内側に掛け渡された状態となるコード11とから構成され、コードストッパ12は、コード11の上条112及び下条113をそれぞれ挿通する2個の挿通孔121を備え、コード11は、常態としてコードストッパ12の挿通孔121より断面が大きく、引っ張るとコードストッパ12の挿通孔121の断面以下に縮径する弾性を備えた紐体であるファン付衣服2の襟口の開度調整機構1である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
襟又は襟刳の外側に位置固定されたコードストッパと、
折り返し部分から延びる2条がコードストッパを通してから襟又は襟刳の内側に引き込まれ、襟又は襟刳の内側に固定されることにより、襟又は襟刳の内側に掛け渡された状態となるコードとから構成され、
コードストッパは、コードの2条をそれぞれ挿通する2個の挿通孔を備え、
コードは、常態としてコードストッパの挿通孔より断面が大きく、引っ張るとコードストッパの挿通孔の断面以下に縮径する弾性を備えた紐体である
ファン付衣服の襟口の開度調整機構。
【請求項2】
コードストッパは、挿通孔が長尺な筒状である
請求項1記載のファン付衣服の襟口の開度調整機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン付衣服における襟口の開度調整機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ファン付衣服は、例えば腰付近に設けたファンにより外気を取り込み、着用者の身体に沿って流れる空気が汗を蒸発させる際の気化熱の作用により、着用者の身体を冷却する。このため、ファン付衣服は、十分な冷却作用を発揮する観点から、円滑な空気の流れを形成することが肝要となる。具体的には、メッシュ生地等の通気性面による空気の通り道を衣服内部に形成するほか、袖口(袖と手首との間の開口)や襟口(襟と首との間の開口)が潰れないように開いた状態を確保し、空気の排出を円滑にする。
【0003】
特許文献1が開示するファン付衣服は、襟口が潰れないように開いた状態を確保する手段として、襟(襟後部)の内側に掛け渡した調整ベルトを首に当てることにより、襟と首との間に襟口(空気排出口)を形成する。襟口は、主に襟と調整ベルトとの間に形成される。特許文献1が開示するファン付衣服は、着用者の首に調整ベルトが緊張状態で当たることにより、襟口を潰さない。また、特許文献1が開示するファン付衣服は、調整ベルトの一端側が特定位置に固着されているものの、他端側の固定位置が選択でき、襟口の大きさを調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-123987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ファン付衣服の襟口は、周囲の気温又は湿度や着用者に応じて、開度の大きさを加減できる、すなわち開度調整のできることが望ましい。特許文献1が開示するファン付衣服は、他端側の固定位置を選択できる調整ベルトによる襟口の開度調整機構を備えている。しかし、調整ベルトの他端側の固定位置が選択できるだけでは、襟口の細かな開度調整ができない。襟口の開度と冷却作用の能率とが必ずしも比例関係にあるわけではないが、ファン付衣服の着用者の好みもあることから、周囲の気温及び湿度や、着用者に応じて、襟口は連続的に開度調整できることが好ましい。
【0006】
この点、特許文献1には、一組の調整紐を結ぶ位置を変えることにより襟口の開度調整ができる従来技術が紹介されている。しかし、調整紐を結ぶ作業は面倒であり、利便性に欠ける。また、特許文献1が開示するファン付衣服や調整紐を用いる従来のファン付衣服のいずれも、着用した状態での襟口の開度調整ができない不便さがある。そこで、ファン付衣服の襟口に着目し、連続的に襟口の開度調整ができるほか、ファン付衣服を着用した状態でも襟口の開度調整ができる襟口の開度調整機構を提供すべく、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
検討の結果開発したものが、襟又は襟刳の外側に位置固定されたコードストッパと、折り返し部分から延びる2条がコードストッパを通してから襟又は襟刳の内側に引き込まれ、襟又は襟刳の内側に固定されることにより、襟又は襟刳の内側に掛け渡された状態となるコードとから構成され、コードストッパは、コードの2条をそれぞれ挿通する2個の挿通孔を備え、コードは、常態としてコードストッパの挿通孔より断面が大きく、引っ張るとコードストッパの挿通孔の断面以下に縮径する弾性を備えた紐体であるファン付衣服の襟口の開度調整機構である。襟口は、主に襟とコードとの間に形成される。
【0008】
本発明の襟口の開度調整機構は、襟又は襟刳の外側において、コードがコードストッパに保持される位置をずらすことにより、コードストッパから襟又は襟刳の内側に架け渡されるコードの長さを連続的に加減し、襟口を開度調整する。コードは、常態としてコードストッパの挿通孔より断面が大きいため、挿通孔の内面に圧接して摩擦抵抗を発生させ、挿通孔前後が膨らんで掛合してコードストッパに保持され、コードストッパに対して位置ずれしない。しかし、コードは、コードストッパの挿通孔の断面以下に縮径する弾性を備えているため、引っ張ると摩擦抵抗や膨らみによる掛合が低減し、そのままコードを引っ張って、コードストッパに保持される位置をずらすことができる。
【0009】
コードは、常態としてコードストッパの挿通孔より断面が大きく、引っ張るとコードストッパの挿通孔の断面以下に縮径する弾性を備えた紐体であればよく、例えば延在方向に外径の変化する瘤付き紐体も本発明に利用しうる。また、コードは、折り返し部分がコードストッパを挟んで襟又は襟刳より外側にあるため、折り返し部分がコードストッパに引っかかり、襟又は襟刳の内側に過度に引き込まれない。コードストッパは、2個の挿通孔を設けた一体構成でも、挿通孔をそれぞれ設けた別体構成でもよい。コードストッパは、襟又は襟刳の外側に位置固定されているため、コードだけを引っ張りやすい。
【0010】
コードストッパは、挿通孔が長尺な筒状であるとよい。これにより、コードは、常態として挿通孔の内面に圧接して摩擦抵抗を発生させる範囲が挿通孔の長さだけ大きくなり、かつ挿通孔前後が膨らんで掛合することで、より安定してコードストッパに保持される。この場合、挿通孔は、直線状を基本とするが、コードを引っ張ることができれば湾曲又は屈曲していてもよい。筒状の挿通孔を有するコードストッパは、大柄となり、例えばコードを引っ張る際に押さえやすい。また、筒状の挿通孔を有するコードストッパは、襟又は襟刳の外側に接続する部分が大きくなり、位置固定しやすい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ファン付衣服の襟口を連続的に開度調整でき、ファン付衣服を着用した状態で襟口の開度調整ができる襟口の開度調整機構を提供可能とする。襟口の連続的な開度調整は、襟又は襟刳の外側でコードを引っ張り、襟又は襟刳の外側に位置固定したコードストッパに保持されるコードの位置をずらすことにより、コードストッパから襟又は襟刳の内側に架け渡されるコードの長さを連続的に加減することの効果である。また、ファン付衣服を着用した状態での襟口の開度調整は、コードストッパが襟又は襟刳の外側に位置固定され、襟又は襟刳の外側で、コードストッパの前後のコードを引っ張る操作ができることによる効果である。
【0012】
筒状の挿通孔を有するコードストッパは、コードをより安定に保持できるので、例えば着用者の首が当たってコードを押しても、コードがコードストッパからずれなくなり、開度調整された襟口が安定に保形される効果が得られる。また、挿通孔を筒体としたコードストッパは、大柄になることで、押さえながらコードを引っ張りやすくなる等、取り扱いやすくする利点がある。更に、挿通孔を筒体としたコードストッパは、大柄になることで、襟又は襟刳の外側に位置固定しやすくなる等、本発明の開度調整機構の製造しやすくする利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の開度調整機構を適用したファン付衣服の一例を表す正面図である。
図2】コードを襟刳の内側に掛け渡した本例の開度調整機構を表す一部破断拡大正面図である。
図3】コードを襟刳の内側に掛け渡した本例の開度調整機構を表す一部破断拡大平面図である。
図4図3中A矢視部分拡大図である。
図5】コードの折り返し部分を引っぱり始めた状態の本例の開度調整機構を表す一部破断拡大正面図である。
図6図5中B矢視部分拡大図である。
図7】襟刳に掛け渡したコードを短くした状態の本例の開度調整機構を表す一部破断拡大正面図である。
図8】襟刳に掛け渡したコードを短くした状態の本例の開度調整機構を表す一部破断拡大平面図である。
図9】襟刳に掛け渡したコードを長くした状態の本例の開度調整機構を表す一部破断拡大正面図である。
図10】襟刳に掛け渡したコードを長くした状態の本例の開度調整機構を表す一部破断拡大平面図である。
図11】コードを襟の内側に掛け渡した別例の開度調整機構を表す一部破断拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明の開度調整機構1は、腰部に左右一対のファン27を備えるファン付衣服2に対して、例えば図1に見られるように、襟刳24の外側でコードストッパ12に通したコード11を、襟刳24の内側に掛け渡して構成される。コード11は、襟21又は襟刳24のどこから内側に取り込んでもよい。しかし、着用状態で引っ張ることを鑑みれば、襟21又は襟刳24の左側又は右側に寄った位置から取り込むようにし、折り返し部分111を前方に突出させることが好ましい。
【0015】
コードストッパ12は、図2及び図3に見られるように、襟11と共に襟刳24に縫着され、襟21の右側かつ後見頃23の襟刳24の外側に位置固定される(図示では左右逆)。本例のコードストッパ12に設けられる挿通孔121は、円筒体に設けられた長尺な直線状の円筒孔である。本例のコードストッパ12は、挿通孔121を設けた円筒体を2つ平行に並べて一体化した外観を呈し、円筒体の一方から突出させたフランジ(図示略)を襟刳24に縫着して、位置固定させている。
【0016】
コード11は、常態として円形の断面が一定で延在し、伸縮により縮径する紐体である。本例のコード11は、襟21の右側で前方に突き出した折り返し部分111から延びる上条112及び下条113を、それぞれコードストッパ12の挿通孔121に通してから、後見頃23の右側に設けられた取込孔25を通して襟刳24の内側に引き込み、襟刳24の内側に沿って掛け渡している。左方(図中右方)に延びる上条112及び下条113は、それぞれの端部をコード固定片14と共に、固定片縫着線141により、後見頃23の左側かつ襟刳24の内側に縫着し、固定している。
【0017】
本例のコード11は、折り返し部分111が前方に突出する。このため、襟刳24の内側に掛け渡す長さを調整すると、折り返し部分111の突出が過剰となり、邪魔になる虞がある。そこで、本例の開度調整機構1は、襟11と共に襟刳24に縫着される補助ループ片13を、襟21の右側かつ前見頃22の襟刳24の外側に位置固定させている。コードストッパ12から延びる折り返し部分111は、一部を補助ループ片13に挿通させることにより、突出方向を襟21に沿った範囲に制限している。
【0018】
開度調整機構1の働きを説明する。本例のファン付衣服2は、図2及び図3に見られるように、開度調整機構1により襟21とコード11との間に襟口26aが形成される。コード11は、後見頃23右側の取込孔25から後見頃23左側のコード固定片14に挟まれた間が襟刳24から離れて架け渡される。これにより、コード11が架け渡された範囲の襟刳24が後方に膨らみ、襟刳24に続く襟21が変形して襟口26a(図2中ハッチング部分)が形成される。
【0019】
コード11は、襟刳24の内側に掛け渡され、襟21の変形を導いて襟口26aを形成するだけではなく、着用者の首3の背面側に当接し、背面側では着用者の首3が襟21に直接接触しないようにする(図3参照)。これにより、着用者の首3がどのように動いても、着用者の首3が襟口26aを変形させたり、塞いだりする事態を避けることができる。このように、本発明の開度調整機構1は、着用者の首3が襟口26aに直接触れないようにし、襟口26aを保形する働きも有する。
【0020】
本発明の開度調整機構1におけるコード11は、図4に見られるように、常態としてコードストッパ12の挿通孔121より断面が大きく、引っ張るとコードストッパ12の挿通孔121の断面以下に縮径する弾性を備えた紐体である。このため、コード11は、コードストッパ12の挿通孔121内では挿通孔121の内径Hdにまで外径が縮径しているものの、挿通孔121の前後(図4中、挿通孔121の上下)で本来の外径Cd0となる膨らみが掛合し、コードストッパ12に対して前後にずれないようになっている。
【0021】
本発明の開度調整機構1は、コード11を引っ張り、コードストッパ12に保持される位置をずらして、襟口26aを開度調整する点に特徴を有する。ここで、図2及び図3に見られる状態を基準状態とし、上条112及び下条113が襟刳24の内側に取り込まれた取込孔25から上条112及び下条113の端部が固定されたコード固定片14までである襟刳24の内側に架け渡されたコード11の長さ=掛け渡し距離をLa、襟口26aの左右中間におけるコード11から襟21の内側までの長さ=襟口奥行きをDaとする。基準状態における襟口26aの開口の大きさは、掛け渡し距離Laと襟口奥行きDaとの積の1/2強である。
【0022】
例えば図5に見られるように、基準状態(図2及び図3)からコードストッパ12より前のコード11(折り返し部分111)を前方に引っ張ると、コード11は、図6に見られるように、挿通孔121より前方が縮径して挿通孔121の内径Hdより細い外径Cd1となり、挿通孔121の前(図6中、挿通孔121の上)の膨らみによる掛合や挿通孔121との摩擦抵抗が低減又は消失する。前方に引っ張るコード11は、挿通孔121の前の膨らみの掛合や挿通孔121との摩擦抵抗が低減又は消失しているので、元の外径Cd0のままである挿通孔121の後(図6中、挿通孔121の下)の膨らみを挿通孔121に引き込んで縮径させながら、比較的楽に引っ張ることができる。こうして、コード11は、コードストッパ12に保持される位置をずらす。
【0023】
コードストッパ12より前のコード11を前方に引っ張ると、相対的にコード11のコードストッパ12に保持される位置が後方に移動する。こうしてコード11のコードストッパ12に保持される位置が後方に移動すると、図7及び図8に見られるように、襟口24aの内側に架け渡されるコード11が短くなり、基準状態の襟口26aに比べて後方に突出した平面視形状の襟口26b(図7中ハッチング部分)が形成される拡大状態となる。襟口26bは、掛け渡し距離Laに比べて掛け渡し距離Lbが短くなる割合より、襟口奥行きDbが襟口奥行きDaより大きくなる割合が大きいことから、開口の大きさが大きくなる。
【0024】
襟口26bを大きくするため、コードストッパ12より前のコード11を引っ張ると、それだけ折り返し部分111が前方に突出する。本例のコード11は、折り返し部分111の一部を、襟刳24に縫着させた補助ループ片13に挿通させているため、折り返し部分111が常に襟21に沿って延びる。これにより、襟口26bを大きくさせて折り返し部分111の突出量が大きくなっても、折り返し部分111が邪魔にならず、外部の突起物等に引っかかることも少なくなる(図8参照)。
【0025】
本例のコード11は、折り返し部分111で上条112及び下条113が繋がった1本の紐体であるが、例えばコードストッパ12より前の折り返し部分111を引っ張ると、襟刳24の内側に掛け渡す上条112及び下条113の長さが個別に加減される。このため、掛け渡し距離Lbは、襟刳24の内側に掛け渡す上条112及び下条113の短い方となる。安定した襟口26bの保形には、上条112及び下条113が着用者の首3に等しく当接するように、襟刳24の内側に掛け渡す上条112及び下条113の長さの等しいことが望まれる。しかし、襟刳24の内側に掛け渡す上条112及び下条113の長さを敢えて異ならせ、着用者の姿勢に応じて好ましい襟口26bを形成してもよい。
【0026】
基準状態(図2及び図3)からコードストッパ12と取込孔25までの間のコード11を後方に引っ張ると、コード11は、上述とは逆に、挿通孔121より後方が縮径して挿通孔121の内径Hdより細い外径Cd1となり、挿通孔121の後の膨らみの掛合や挿通孔121との摩擦抵抗が低減又は消失する。後方に引っ張るコード11は、挿通孔121の後の膨らみの掛合や挿通孔121との摩擦抵抗が低減又は消失しているので、元の外径Cd0のままである挿通孔121の前の膨らみを挿通孔121に引き込んで縮径させながら、比較的楽に引っ張ることができる。こうして、コード11は、コードストッパ12に保持される位置をずらす。
【0027】
コードストッパ12と取込孔25までの間のコード11を後方に引っ張ると、相対的にコード11のコードストッパ12に保持される位置が前方に移動する。こうしてコード11のコードストッパ12に保持される位置が前方に移動すると、図9及び図10に見られるように、襟口24aの内側に架け渡されるコード11が長くなり、基準状態の襟口26aに比べて扁平に潰れた平面視形状の襟口26c(図9中ハッチング部分)が形成される縮小状態となる。襟口26cは、掛け渡し距離Laに比べて掛け渡し距離Lcが長くなる割合より、襟口奥行きDcが襟口奥行きDaより小さくなる割合が大きいことから、開口の大きさが小さくなる。
【0028】
本発明の開度調整機構1は、開度調整が段階的ではなく、襟口26a(基準状態)と襟口26b(拡大状態)との中間の大きさや、襟口26a(基準状態)と襟口26c(縮小状態)との中間の大きさも可能であり、連続的に襟口の開度調整ができる。そして、本発明の開度調整機構1は、ファン付衣服2を着用した状態で襟21に沿って延びるコード11を着用者自身が引っ張って、襟口の開度調整ができる。襟口の連続的な開度調整やファン付衣服2を着用した状態での開度調整は、従来の開度調整機構に見られない特徴である。
【0029】
本発明の開度調整機構1は、図11に見られるように、襟21の内側にコード11を掛け渡す別例の構成でも構わない。別例の開度調整機構1は、コードストッパ12や補助ループ片13が本例と同じ位置に設けられているが、取込孔25が襟21に設けられ、かつ上条112及び下条113の端部を固定するコード固定片14が襟21の内側に固定されている点が相違する。しかし、開度調整の方法は本例と同じで、コードストッパ12前後のコード11を引っ張って、コードストッパ12に保持されるコード11の位置をずらして襟口の開度調整をする。
【符号の説明】
【0030】
1 開度調整機構
11 コード
111 折り返し部分
112 上条
113 下条
12 コードストッパ
121 挿通孔
13 補助ループ片
14 コード固定片
141 固定片縫着線
2 ファン付衣服
21 襟
22 前見頃
23 後見頃
24 襟刳
25 取込孔
26a 襟口(開口中)
26b 襟口(開口大)
26c 襟口(開口小)
27 ファン
3 着用者の首
La 掛け渡し距離(中)
Lb 掛け渡し距離(大)
Lc 掛け渡し距離(小)
Da 襟口奥行き(中)
Db 襟口奥行き(大)
Dc 襟口奥行き(小)
Hd 挿通孔の内径
Cd0 常態におけるコードの外径
Cd1 引っ張った状態のコードの外径(Cd0>Hd>Cd1)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11