(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077653
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】容器移載装置及び移載システム
(51)【国際特許分類】
B65G 47/90 20060101AFI20230530BHJP
B65G 60/00 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
B65G47/90 A
B65G60/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191000
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小柳 充弘
【テーマコード(参考)】
3F072
【Fターム(参考)】
3F072AA12
3F072GD01
3F072GD06
3F072JA07
3F072KB03
3F072KE04
3F072KE07
(57)【要約】
【課題】省スペース化に有利な容器移載装置及び移載システムを提供する。
【解決手段】容器移載装置は、段ばらしエリアと、段ばらしエリアに対して隣接する反転エリアと、反転エリアに対して隣接し、段ばらしエリアに対して対角の位置にある作業エリアと、段ばらしエリアと作業エリアとの双方に対して隣接し、反転エリアに対して対角の位置にある段積みエリアと、段ばらしエリアの段積みされた複数の容器から、一つの容器をばらし容器として切り出す段ばらし手段と、ばらし容器を段ばらしエリアから反転エリアに移送する第一移送手段と、反転エリアにおいて、ばらし容器の向きを、スタッキング状態で段積み可能になるように、必要に応じて反転させる反転手段と、ばらし容器を反転エリアから作業エリアに移送する第二移送手段と、ばらし容器を作業エリアから段積みエリアに移送する第三移送手段と、段積みエリアにおいて容器を段積みする段積み手段とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車にネスティング状態で段積みされた容器を受け入れ可能な段ばらしエリアと、
前記段ばらしエリアに対して平面的に隣接する反転エリアと、
前記反転エリアに対して平面的に隣接し、前記段ばらしエリアに対して対角の位置にある作業エリアと、
前記段ばらしエリアと前記作業エリアとの双方に対して平面的に隣接し、前記反転エリアに対して対角の位置にある段積みエリアと、
前記段ばらしエリアの台車に段積みされた複数の容器を昇降部により全体を持ち上げたのち、最下段の容器だけを分離し、直上の容器を把持することで複数の容器を前記昇降部により持ち上げることで、一つの容器をばらし容器として切り出す段ばらし手段と、
前記昇降部により持ち上げられた全体の複数の容器の下に入り、前記段ばらし手段により切り出された前記ばらし容器を載置して前記段ばらしエリアから前記反転エリアに水平に移送する第一移送手段と、
前記反転エリアにおいて、前記ばらし容器の向きが、スタッキング状態で段積み可能な向きになるように、必要に応じて前記ばらし容器の向きを反転させる反転手段と、
前記ばらし容器を前記反転エリアから前記作業エリアに水平に移送する第二移送手段と、
前記ばらし容器を前記作業エリアから前記段積みエリアに水平に移送する第三移送手段と、
前記段積みエリアにおいて前記容器をスタッキング状態で段積みし、最終的に別な台車へ、スタッキング状態の複数の容器全体を載置する段積み手段と、
を備え、
前記段ばらしエリアは前記段積みエリアとともに横から台車が差し込み可能に両エリアの外に向く辺がなく、そのほかの外に向く辺が閉じている下部フレームを有し、前記下部フレームでは、少なくとも前記反転エリアと前記作業エリアとの間に位置する支柱は立設せず、他の下部フレーム外辺からは適宜立設する支柱によって支えられる上部フレームを有すること
を特徴とする容器移載装置。
【請求項2】
前記第一移送手段は、前記段ばらしエリアと前記反転エリアとの間で移動可能な回転台を含み、
前記反転手段は、前記反転エリアにおいて前記回転台を180度回転可能であり、
前記ばらし容器を載せた前記回転台を前記第一移送手段が前記段ばらしエリアから前記反転エリアに移動させた後、前記ばらし容器の向きを反転させる必要がある場合には、前記反転手段が前記回転台を前記反転エリアにおいて180度回転させる請求項1に記載の容器移載装置。
【請求項3】
前記第二移送手段は、移送対象となる前記ばらし容器である第一ばらし容器が、前記作業エリアにある前記ばらし容器である第二ばらし容器に隣接する状態となる途中位置にまで、前記第一ばらし容器を移送する第一移送動作と、前記第三移送手段により前記第二ばらし容器が前記作業エリアから搬出された後に、前記途中位置にある前記第一ばらし容器が前記作業エリア内に入るように前記第一ばらし容器を移送する第二移送動作とを実行する請求項1または請求項2に記載の容器移載装置。
【請求項4】
前記作業エリアにおいて前記ばらし容器を載せる作業台を備え、
前記第三移送手段は、前記作業エリアと前記段積みエリアとの間で移動可能な移動台を含み、
前記移動台が前記作業エリアに移動すると前記作業台の上面の下に前記移動台の上面が入り込む請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の容器移載装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の容器移載装置と、
物品を把持して、前記作業エリアにある前記ばらし容器内に前記物品を入れるロボットと、
を備え、
前記ロボットの基部は、前記反転エリア及び前記作業エリアの少なくとも一方の領域の真上に相当する範囲内の位置に固定されている移載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器移載装置及び移載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送コンベヤ上を搬送される、例えば食品などを物品把持装置で把持し、その食品を多数並べるように容器に収容する容器への物品詰め込み装置などがある。このような食品などを複数詰め込む容器は、番重と業界では呼ばれ、またはコンテナとも呼ばれる運搬容器である。
下記特許文献1に開示された物品移載装置は、作業エリアに例えば食品などコンテナに詰められる物品を送り込む搬送部と、作業エリアにコンテナを供給する供給部と、作業エリアに送り込まれた物品を、コンテナに収納するロボットと、ロボットによって物品が収納されたコンテナを作業エリアから排出する排出部と、供給部と排出部を制御する制御部とを備える。作業エリアは、第一作業エリアと第二作業エリアとに分けられる。制御部は、ロボットが一方の作業エリアでコンテナに物品を収納している間に、排出部を制御して、他方の作業エリアから物品の収納されたコンテナを排出させるとともに、供給部を制御して、その作業エリアに新たなコンテナを供給させる。物品を収納するコンテナは、同じ向きに重ねると、密に積層することができ(ネスティングという。)、交互に向きを変えると、内部に物品が収納できる空間を残して積層できる(スタッキングという。)ようになっている。供給部には、密に積層つまりネスティングされて段積みされたコンテナから一箱ずつコンテナを取り出す段ばらし装置が接続される。排出部には、内部に物品収納空間を残して積層つまりスタッキングされて物品の収納されたコンテナを一段ずつ積み上げる段積み装置が接続される。段ばらし装置には、空コンテナの向きを180度変える回転板が組み込まれている。段ばらし装置には、コロコンベヤ上のコンテナの向きを検知する図示しないセンサが設けられ、その検知信号からコンテナの向きを変える必要があるときは、回転板がコンテナを持ち上げて180度回転した後、それをコロコンベヤ上に降ろすようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、手狭になった既存のラインに導入することができるコンパクトな物品移載装置を提供するとしているが、特許文献1に開示された物品移載装置が備える段ばらし装置の回転板は、段積みされたコンテナの真下の位置で、コンテナを回転させる。この段ばらし装置では、段積みされたコンテナを支持するための支柱と、回転板により回転するコンテナとが接触しないように、回転板の回転中心から遠ざけた位置に支柱を配置する必要がある。そして、もともと作業エリアが2つあり、実際にロボットが作業するのは一つ側だけで、もう一方は空の状態で待ちとなる無駄なスペースを必要とする。そして、2つの作業エリア間を振れ回るロボットの支点からのアーム長分広いスペースが必要となる。このため、物品移載装置が大型化しやすく、大きい設置スペースが必要になるという課題がある。また、供給部と排出部とを作業エリアの下段に共通通路として配置して、空のコンテナは、下方から作業エリアにせり上げ、物品で満杯になったコンテナは、下方へおろして排出する、という経路がもともと交錯するので、コンテナ同士の衝突事故が非常に発生しやすい配置となっているという問題もある。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、省スペース化に有利で、かつコンパクトながら容器の運搬経路が単純一方向の衝突事故が生じる可能性の低い、容器移載装置及び移載システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る容器移載装置は、台車にネスティング状態で段積みされた容器を受け入れ可能な段ばらしエリアと、段ばらしエリアに対して平面的に隣接する反転エリアと、反転エリアに対して平面的に隣接し、段ばらしエリアに対して対角の位置にある作業エリアと、段ばらしエリアと作業エリアとの双方に対して平面的に隣接し、反転エリアに対して対角の位置にある段積みエリアと、段ばらしエリアの台車に段積みされた複数の容器を昇降部により全体を持ち上げたのち、最下段の容器だけを分離し、直上の容器を把持することで複数の容器を昇降部により持ち上げることで、一つの容器をばらし容器として切り出す段ばらし手段と、昇降部により持ち上げられた全体の複数の容器の下に入り、段ばらし手段により切り出されたばらし容器を載置して段ばらしエリアから反転エリアに水平に移送する第一移送手段と、反転エリアにおいて、ばらし容器の向きが、スタッキング状態で段積み可能な向きになるように、必要に応じてばらし容器の向きを反転させる反転手段と、ばらし容器を反転エリアから作業エリアに水平に移送する第二移送手段と、ばらし容器を作業エリアから段積みエリアに水平に移送する第三移送手段と、段積みエリアにおいて容器をスタッキング状態で段積みし、最終的に別な台車へ、スタッキング状態の複数の容器全体を載置する段積み手段と、を備え、段ばらしエリアは段積みエリアとともに横から台車が差し込み可能に両エリアの外に向く辺がなく、そのほかの外に向く辺が閉じている下部フレームを有し、下部フレームでは、少なくとも反転エリアと作業エリアとの間に位置する支柱は立設せず、他の下部フレーム外辺からは適宜立設する支柱によって支えられる上部フレームを有することを特徴とするものである。
本開示に係る移載システムは、上記容器移載装置と、物品を把持して、作業エリアにあるばらし容器内に物品を入れるロボットと、を備え、ロボットの基部は、反転エリア及び作業エリアの少なくとも一方の領域の真上に相当する範囲内の位置に固定されているものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、省スペース化に有利で、かつコンパクトながら容器の運搬経路が単純一方向の衝突事故が生じる可能性の低い、容器移載装置及び移載システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1による容器移載装置及び移載システムの正面図である。
【
図2】実施の形態1による移載システムの左側面図である。
【
図3】実施の形態1による容器移載装置の右側面図である。
【
図4】実施の形態1による容器移載装置の右側面図である。
【
図5】実施の形態1による容器移載装置及び移載システムの平面図である。
【
図6】昇降部、昇降機構、及び支柱を、容器移載装置の内側から見た立面図である。
【
図7】実施の形態1による容器移載装置のうち、第一移送手段及び反転手段等を含む部分の正面図である。
【
図9】実施の形態1による容器移載装置のうち、回転台、作業台、第二移送手段等を含む部分の左側面図である。
【
図10】実施の形態1による容器移載装置のうち、回転台、作業台、第二移送手段等を含む部分の左側面図である。
【
図13】実施の形態1による容器移載装置のうち、第三移送手段等を含む部分の正面図である。
【
図14】実施の形態1による容器移載装置のうち、第三移送手段等を含む部分の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、説明を簡略化または省略する。各図においては、作図の都合上、一部の構成要素の図示が省略されている場合がある。本開示で角度に言及した場合において、和が360度となる優角と劣角とがあるときには原則として劣角の角度を指すものとし、和が180度となる鋭角と鈍角とがある場合には原則として鋭角の角度を指すものとする。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による容器移載装置1及び移載システム12の正面図である。
図2は、実施の形態1による移載システム12の左側面図である。
図3及び
図4は、実施の形態1による容器移載装置1の右側面図である。
図5は、実施の形態1による容器移載装置1及び移載システム12の平面図である。
図3及び
図4は、
図2とは反対側から見た図である。
図1では、容器移載装置1の一部の構成の図示が省略されている。
図2では、容器移載装置1の図示が省略されている。
【0011】
容器移載装置1は、容器95を取り扱う。容器95は、蓋がない運搬容器あるいはコンテナに相当する。本実施の形態における容器95は、一般に「番重」とも呼ばれるものに相当する。
図3中で右側にある複数の容器95は、「ネスティング状態」で段積みされている。ネスティング状態とは、複数の空の容器95が入れ子になって積み重なった状態である。
図3中で左側にある複数の容器95は、「スタッキング状態」で段積みされている。スタッキング状態とは、個々の容器95の内部に、物品90を収納する空間が形成されるように、複数の容器95が積み重なった状態である。容器95の向きを揃えて複数の容器95を積み重ねると、ネスティング状態になる。容器95の向きを、一つずつ互い違いにして、複数の容器95を積み重ねると、スタッキング状態になる。
【0012】
本実施の形態において、容器95は、平面視において実質的に長方形となる外形を有する。すなわち、容器95は、平面視において、長辺と短辺とを有する。
【0013】
図5に示すように、平面視において、容器移載装置1は、段ばらしエリア2と、反転エリア3と、作業エリア4と、段積みエリア5とを備える。反転エリア3は、段ばらしエリア2に対して平面的に隣接する。平面視において、作業エリア4は、反転エリア3に対して隣接し、かつ、段ばらしエリア2に対して平面的に対角の位置にある。段積みエリア5は、段ばらしエリア2と作業エリア4との双方に対して平面的に隣接し、かつ、反転エリア3に対して平面的に対角の位置にある。
【0014】
平面視において、容器移載装置1が占有する領域の形状は、実質的に長方形となる。その長方形の領域を、縦半分と横半分とに分割して得られる、1/4ずつの小さい長方形の領域のそれぞれが、段ばらしエリア2と、反転エリア3と、作業エリア4と、段積みエリア5とに相当する。本実施の形態であれば、段ばらしエリア2と、反転エリア3と、作業エリア4と、段積みエリア5とが、このようにまとまって配置されたことで、容器移載装置1が占有するスペースを小さくする上で有利になり、省スペース化が可能となる。
【0015】
図3に示すように、段ばらしエリア2は、ネスティング状態で段積みされた、複数の空の容器95を受け入れ可能な領域である。図示の例のように、ネスティング状態で段積みされた容器95が、台車96の上に載せられた状態で、段ばらしエリア2に搬入されてもよい。ネスティング状態で段積みされた容器95が段ばらしエリア2に搬入されるときの入口は、
図5中で下側に向いている。
【0016】
段積みエリア5は、作業エリア4にて容器95に物品90が入れられた後に、その容器95がスタッキング状態で段積みされる領域である。スタッキング状態で段積みされた容器95が段積みエリア5から搬出されるときの出口は、
図5中で下側に向いている。
図3に示すように、スタッキング状態で段積みされた複数の容器95は、段積みエリア5に置かれた台車96の上に載せられてもよい。
【0017】
図1及び
図3に示すように、容器移載装置1の下方は、ボックス鋼材を溶接した下部フレーム52にてしっかり強固な基盤が形成されている。後述するように反転エリア3及び作業エリア4を含む領域の上方にロボット13を吊設するための上部フレーム20を設けるため、それに準じた支柱21と同じ強度以上のボックス鋼材で基盤となる下部フレーム52を形成する。下部フレーム52は、台車96の受け入れのため段ばらしエリア2及び段積みエリア5の外に向かう辺を撤去してある。すなわち、下部フレーム52は、
図5中で容器移載装置1が占有する長方形領域の底辺に、鋼材が配置されておらず、そのほかの外に向く辺が閉じている形状を有する。
図1に示す通り、振れ回る重量物のロボット13をリジッドに吊設する上部フレーム20以外の、段ばらしエリア2及び段積みエリア5の支柱17,18及び支柱49は、昇降機構16がある程度自立して下部フレーム52から固定が取れているので、支柱21と比べると細くてよい。下部フレーム52では、少なくとも反転エリア3と作業エリア4との間に位置する支柱は立設していない。上部フレーム20は、下部フレーム52の他の外辺から適宜立設する支柱21によって支えられる。
【0018】
容器移載装置1は、段ばらし手段6と、第一移送手段7と、反転手段8と、第二移送手段9と、第三移送手段10と、段積み手段11とをさらに備える。段ばらし手段6は、段ばらしエリア2の段積みされた複数の容器95から、一つの容器95を切り出す。本開示では、段ばらし手段6により切り出された容器95を「ばらし容器97」と呼ぶ場合がある。
【0019】
第一移送手段7は、段ばらし手段6により切り出されたばらし容器97を、段ばらしエリア2から、反転エリア3に移送する。
図5の例において、段ばらしエリア2から反転エリア3への移送方向は、ばらし容器97の長辺に平行な方向である。
【0020】
反転手段8は、反転エリア3において、ばらし容器97の向きが、スタッキング状態で段積み可能な向きになるように、必要に応じてばらし容器97の向きを反転させる。
【0021】
第二移送手段9は、ばらし容器97を反転エリア3から作業エリア4に移送する。
図5の例において、反転エリア3から作業エリア4への移送方向は、ばらし容器97の短辺に平行な方向である。後述するように、作業エリア4では、ロボット13により、ばらし容器97内に物品90が入れられる。
【0022】
第三移送手段10は、物品90が入れられた後のばらし容器97を作業エリア4から段積みエリア5に移送する。
図5の例において、作業エリア4から段積みエリア5への移送方向は、ばらし容器97の長辺に平行な方向である。
【0023】
段積み手段11は、作業エリア4から第三移送手段10により段積みエリア5に移送された、ばらし容器97、すなわち容器95を、段積みエリア5において、スタッキング状態で段積みする。
【0024】
図5中の回転軌跡RTは、反転エリア3でばらし容器97が回転するときのばらし容器97の外縁の軌跡に相当する円である。容器移載装置1あるいは移載システム12が備える支柱21は、回転軌跡RTに接しないように、ばらし容器97の回転中心から遠ざけた位置に配置されている。回転軌跡RTの半径を、以下、「ばらし容器97の回転半径」と呼ぶ場合がある。
【0025】
図4に示すように、段ばらし手段6は、容器95を把持することのできる昇降部15と、昇降部15を鉛直方向に移動させる昇降機構16とを備える。段ばらしエリア2にある容器95の両側の位置に、それぞれ、昇降部15及び昇降機構16が設けられている。段ばらしエリア2と段積みエリア5との境界に設置された支柱17に、一方の昇降機構16が取り付けられている。支柱18は、支柱17の位置から、段ばらしエリア2を横断した位置にある。支柱18に、もう一方の昇降機構16が取り付けられている。昇降機構16は、例えば、ボールねじとサーボモータとを用いたものでもよい。
【0026】
昇降部15は、容器95の例えば上部フランジ部や上部のへこみ部に係合するように突出する位置と、容器95に接触しないように退避した位置とに移動可能なツメを備える。
図4は、昇降部15がツメを突出させることで容器95を掴んだ状態を示している。
図3では、作図の都合上、下に移動した位置にある昇降部15と、上に移動した位置にある昇降部15との両方が描かれているが、実際には、段ばらし手段6は、昇降部15を一組だけ備える。
【0027】
ここで、本実施の形態とは異なり、仮に、ばらし容器97を段ばらしエリア2で回転させるように構成された比較例を想定する。この比較例では、ばらし容器97が段ばらしエリア2で回転するときの回転軌跡に接しないように、昇降機構16及び支柱17,18を配置する必要がある。すなわち、昇降機構16あるいは支柱17,18と、段ばらしエリア2の中心との最短距離が、ばらし容器97の回転半径よりも長くなるようにする必要がある。これでは、進退可能な爪を支持する長いブラケットが水平方向に必要となり、無駄に部材を太くして重量がかさみ昇降機構16まで肥大化する。それゆえ、比較例の装置では、占有面積が大きくなりやすく、省スペース化が困難である。
【0028】
これとは対照的に、本実施の形態であれば、ばらし容器97を段ばらしエリア2において回転させる必要がないので、昇降機構16及び支柱17,18の位置を、上記の比較例よりも、段ばらしエリア2の中心に近づけることが可能となる。例えば、昇降機構16あるいは支柱17,18と、段ばらしエリア2の中心との最短距離が、ばらし容器97の回転半径よりも短くなるようにでき、昇降機構16の支柱17,18の横方向すぐに進退可能な爪を配置することも可能となる。それゆえ、容器移載装置1の占有面積を小さくする上で、より有利になり、さらに省スペース化が図れる。
【0029】
図1に示すように、実施の形態1による移載システム12は、容器移載装置1と、ロボット13とを備える。ロボット13は、ロボットアーム19と、ロボットアーム19の先端に設けられたロボットハンド(図示省略)とを有する。ロボット13は、ロボットハンドにより複数の物品90を並べた物品列を把持して、ロボットアーム19を動かし、作業エリア4にあるばらし容器97内に物品90の物品列を90度変位させて入れる。作業エリア4にあるばらし容器97は、作業台26の上に載っている。
【0030】
反転エリア3及び作業エリア4を含む領域の上方に、上部フレーム20が設けられている。上部フレーム20は、少なくともその四隅に配置された支柱21によって支えられている。ロボット13は、上部フレーム20から吊り下げられるように、設けられている。ロボット13の基部22は、反転エリア3及び作業エリア4の少なくとも一方の領域の真上に相当する範囲内の位置において、上部フレーム20に対して固定されている。このように、本実施の形態であれば、段積みされた容器95が昇降するエリアではなく1個のばらし容器97が平面的に移動するエリアの空間上空である反転エリア3あるいは作業エリア4の上方にロボット13が設置されているので、ロボット13を設置するスペースを別途に必要とすることがない。このため、移載システム12の占有面積を小さくする上で、より有利になり、さらなる省スペース化が図れる。
【0031】
図1及び
図2に示すように、本実施の形態の移載システム12は、整列装置23と、移載システム12の外部(
図1の左側外側)から図示しない上流コンベヤに載って運ばれる物品90を、受け取り導入するコンベヤ24とを備える。移載システム12の上流側の装置から、物品90が、例えば、1秒に1個程度の速さで図示しない上流コンベヤにより、移載システム12のコンベヤ24へ流れてくる。整列装置23は、ひとつづつ切り分けて並べられてコンベヤ24により搬送された物品90をプッシャにより直交して側に設置された整列コンベヤ53によって物品90の側面を密接して並べる。物品90は、例えば、握り飯、パン、サンドイッチ、弁当、菓子、野菜、総菜、加工食品などでもよいし、食品以外の製品ものでもよい。ロボット13のロボットハンドは、例えば、物品90を真空吸着して把持するものでもよいし、物品90を掬い上げるようにして把持するものでもよいが、複数の物品90の物品列を崩さずに把持して空中へ持ち上げる。
【0032】
整列装置23は、コンベヤ24により搬送された物品90を、
図2中の「第一方向」に沿って並べる。本実施の形態による移載システム12は、整列装置23により整列された複数の物品90を、ロボット13のロボットハンドでまとめて把持し、ロボットアーム19を動かして、ロボットハンドで把持した物品90を、作業エリア4にあるばらし容器97内に移動させる動作を繰り返すことで、当該ばらし容器97内に物品90を詰める動作を自動で行う。図の場合、整列された複数の物品90の長手方向と、作業台26の上にあるばらし容器97の短手方向(整列された複数の物品90を収める方向)とが90度変位している。よって、ロボット13により整列された複数の物品90は、90度振れ回すので、ロボットの動作半径は大きくなる。このような例に限らず、本開示において、ロボット13のロボットハンドは、一度に物品90を一つだけ把持するものでもよいし、移載システム12が整列装置23を備えていなくてもよい。
【0033】
移載システム12は、コントローラ50を備える。コントローラ50は、容器移載装置1及び移載システム12が自動で動作するように制御する。コントローラ50は、少なくとも一つのメモリと、少なくとも一つのプロセッサとを備えていてもよい。図示の例では、上部フレーム20の上にコントローラ50が設置されている。整列装置23は、コンベヤ24上を移動してきた物品90を、第一方向に沿って、複数個、1列に並べる。第一方向は、コンベヤ24の搬送方向に対して、直交する。
図2において、コンベヤ24上の物品90は、左から右へ向かって搬送される。
【0034】
整列装置23が所定数の物品90を並べ終わると、その上方へ、ロボットアーム19がロボットハンドを空中で移動させる。その後、ロボットアーム19がロボットハンドを下降させる。ロボットハンドは、整列装置23が1列に並べた所定数の物品90を一度に把持する。図示の例では、整列装置23は、10個の物品90を1列に並べる。ロボットハンドは、10個の物品90を一度に把持する。ロボットアーム19は、ロボットハンドが把持した物品90を、整列装置23から鉛直上方へ掬い上げて移動したのち、空中を移動して、作業エリア4にあるばらし容器97の中へ移動させる。
【0035】
本実施の形態の移載システム12は、2台の整列装置23を備える。本実施の形態の移載システム12であれば、一方の整列装置23が並べた物品90をロボット13がロボットアーム19を動かしてロボットハンドにより作業エリア4のばらし容器97へ移動させている間に、他方の整列装置23が物品90を並べることができる。それゆえ、作業エリア4のばらし容器97に物品90を詰める速さが向上する。
【0036】
作業エリア4のばらし容器97にロボット13が物品90を詰め終わると、第三移送手段10が、当該ばらし容器97を作業エリア4から段積みエリア5に移送する。当該ばらし容器97が作業エリア4から搬出されると、第二移送手段9が、次のばらし容器97を作業エリア4に搬入し、ロボット13が、その搬入されたばらし容器97に、物品90を詰める動作を再び実行する。
【0037】
図4及び
図5に示すように、本実施の形態における第一移送手段7は、段ばらしエリア2と反転エリア3との間で移動可能な回転台25を含む。
図5は、回転台25が段ばらしエリア2に移動したときの状態を示している。回転台25が反転エリア3に移動したときに、反転手段8は、回転台25を180度回転可能である。コントローラ50は、ばらし容器97を載せた回転台25を第一移送手段7が段ばらしエリア2から反転エリア3に移動させた後、ばらし容器97の向きを反転させる必要がある場合には、反転手段8が回転台25を反転エリア3において180度回転させるように制御する。これにより、スタッキング状態で積み重なる状態になるように、必要に応じて、ばらし容器97の向きを確実に変えることができる。
【0038】
図3は、ネスティング状態で段積みされた18個の空の容器95が台車96に載せられて段ばらしエリア2に搬入されたときの状態を示している。この際、回転台25は、反転エリア3に位置している。
図3の状態から、段ばらし手段6は、まず、最下段の容器95を昇降部15で把持した状態で昇降部15を上昇させることにより、段積みされたすべての容器95を、台車96から持ち上げる。
図3中の容器95Aは、ネスティング状態で段積みされた18個の容器95の全部を段ばらし手段6が持ち上げたときの最上段の容器95の位置に相当する。以下の説明では、最下段の容器95を「1段目」とし、上に向かって、2段目、3段目・・・と呼ぶ場合がある。
【0039】
段積みされたすべての容器95を段ばらし手段6が持ち上げた後、第一移送手段7が回転台25を段ばらしエリア2に移動させると、最下段の容器95の下に回転台25が入り込む。その後、段ばらし手段6は、昇降部15を下降させることで、段積みされたすべての容器95を、一旦、回転台25の上に置く。次に、段ばらし手段6は、昇降部15のツメを一旦退避させてから昇降部15を少し上昇させ、昇降部15のツメを再び突出させることで、2段目の容器95を昇降部15で把持する。その後、段ばらし手段6は、昇降部15を再び上昇させることで、2段目から上の容器95をすべて持ち上げる。そうすると、
図4に示すように、最下段の容器95は、2段目の容器95から切り離されて、ばらし容器97となって、回転台25の上に残る。このとき、2段目の容器95は、ばらし容器97に接触し得ない高さにある。なお、
図4では、3段目から上の容器95の図示が省略されている。上記と同様の動作を繰り返すことで、段ばらし手段6は、段積みされた容器95を、下から一段ずつ、ばらし容器97として切り出すことができる。
【0040】
図4の状態から、第一移送手段7が回転台25を反転エリア3に移動させることで、回転台25に載ったばらし容器97が段ばらしエリア2から反転エリア3に移送される。
【0041】
図6は、昇降部15、昇降機構16、及び支柱18を、容器移載装置1の内側から見た立面図である。
図6に示すように、本実施の形態における段ばらし手段6は、容器95の色を識別可能なカラーセンサ27を備える。カラーセンサ27は、支柱18とは別の支柱28に対して、ブラケットを用いて取り付けられている。容器95は、その長辺の中央を境にして、半分ずつ、異なる色に着色されている。このため、容器95の所定位置の色を識別することで、容器95の向きを判別できる。カラーセンサ27は、段積みされた容器95を昇降部15が持ち上げたときに昇降部15が把持している容器95の所定位置に向かい合うように配置されている。コントローラ50は、段ばらし手段6が次に切り出す容器95、すなわち、次のばらし容器97の、所定位置の色を、カラーセンサ27により検出することで、次のばらし容器97の向きを判別できる。そのようにして、コントローラ50が、次のばらし容器97の向きを判別することで、そのばらし容器97を反転手段8が反転エリア3で反転させるか否かをコントローラ50が制御する。
【0042】
図7は、実施の形態1による容器移載装置1のうち、第一移送手段7及び反転手段8等を含む部分の正面図である。
図8は、回転台25等の平面図である。なお、
図7では、段ばらしエリア2に移動した位置にある回転台25と、反転エリア3に移動した位置にある回転台25との両方が描かれているが、実際には、回転台25は、一つだけである。また、
図7には、前述したカラーセンサ27の位置が示されている。
【0043】
図7に示すように、第一移送手段7は、回転台25を段ばらしエリア2と反転エリア3との間で移動させる台駆動部29を備える。台駆動部29は、例えば、空気圧で作動するエアシリンダでも電気で動作するシリンダのようなものでもよい。
図7の左右方向へ動作させる。反転手段8は、回転台25を180度回転させることのできるロータリアクチュエータ30を備える。ロータリアクチュエータ30は、例えば、空気圧で作動するものでもよい。ロータリアクチュエータ30は、回転台25に連結されており、回転台25とともに段ばらしエリア2と反転エリア3との間で移動する。台駆動部29が連結される基台側から立設される柱に固定された水平板に支持される複数のボール31は、回転台25の回転中心から離れた位置で、回転台25の下面に接する。これにより、支持される複数のボール31が転がり接触することで回転台25がより円滑に回転可能となる。
【0044】
回転台25の上面に対して平行に移動可能なスライドブロック32と、スライドブロック32を動かすブロック駆動部33とが、回転台25に組み込まれている。スライドブロック32は、回転台25に載ったばらし容器97の底部の長辺に対して係合可能な突出部を有する。スライドブロック32の突出部は、回転台25の上面よりも上まで突出している。ブロック駆動部33は、回転台25に載ったばらし容器97の短辺に平行な方向に、スライドブロック32を移動させる。スライドブロック32及びブロック駆動部33は、第二移送手段9の一部に相当する。ブロック駆動部33は、例えば、空気圧で作動するものでもよい。
【0045】
回転台25に載ったばらし容器97の底部の短辺を押すことのできるガイドクランプ34と、ガイドクランプ34を動かすクランプ駆動部35とが、回転台25に組み込まれている。ガイドクランプ34及びクランプ駆動部35は、ばらし容器97の両方の短辺に対して、それぞれ設けられている。クランプ駆動部35は、例えば、空気圧で作動するものでもよい。
【0046】
スライドブロック32及びブロック駆動部33が、回転台25に載ったばらし容器97を、ばらし容器97の短辺に平行な方向へ移動させる前に、コントローラ50は、両方のクランプ駆動部35により両方のガイドクランプ34を動かして、両側からばらし容器97の短辺を押す。これにより、ばらし容器97の長辺に平行な方向の位置に関して、回転台25上のばらし容器97の位置を、適正な位置に、確実に位置決めすることができる。これにより、回転台25を回転させてもばらし容器の重心と回転台25の回転中心とが合致して、例えば回転力でずれたり振り落とされたりしない。
【0047】
図9及び
図10は、実施の形態1による容器移載装置1のうち、回転台25、作業台26、第二移送手段9等を含む部分の左側面図である。
図11は、作業台26等の正面図である。
図12は、作業台26等の平面図である。
【0048】
作業台26の上面の高さは、回転台25の上面の高さと、実質的に同等になっている。
図12に示すように、作業台26には、反転エリア3で回転台25が回転したときに回転台25との接触を避けるための、円弧状の切り欠き36が形成されている。
【0049】
図9及び
図10に示すように、作業台26の上面に対して平行に移動可能なスライドブロック37と、スライドブロック37を動かすブロック駆動部38と、ブロック駆動部38ごとスライドブロック37を鉛直方向に移動させる昇降駆動部39とが、作業台26に組み込まれている。スライドブロック37、ブロック駆動部38、及び昇降駆動部39は、第二移送手段9の一部に相当する。ブロック駆動部38及び昇降駆動部39のそれぞれは、例えば、空気圧で作動するものでもよい。
【0050】
本開示では、第二移送手段9が移送する対象となるばらし容器97を「第一ばらし容器98」と呼ぶ場合がある。また、作業エリア4にあるばらし容器97を「第二ばらし容器99」と呼ぶ場合がある。
【0051】
図9及び
図10は、昇降駆動部39が、スライドブロック37及びブロック駆動部38を下に移動させたときの状態を示している。この状態では、スライドブロック37の突出部は、作業台26の上面よりも下の位置になり、第一ばらし容器98に接触することがない。昇降駆動部39が、スライドブロック37及びブロック駆動部38を上に移動させると、スライドブロック37が、符号「37A」で示す位置に移動することにより、スライドブロック37の突出部が、作業台26の上面よりも上まで突出して、第一ばらし容器98の底部に係合可能になる。
【0052】
本実施の形態における第二移送手段9は、第一ばらし容器98が第二ばらし容器99に隣接する状態となる途中位置にまで、第一ばらし容器98を移送する第一移送動作と、第三移送手段10により第二ばらし容器99が作業エリア4から搬出された後に、途中位置にある第一ばらし容器98が作業エリア4内に入るように第一ばらし容器98を移送する第二移送動作とを実行する。
図10は、第二移送手段9が第一移送動作を実行し、第二移送動作を実行する前の状態を示している。すなわち、
図10には、途中位置にある第一ばらし容器98が描かれている。一方、
図9では、作図の都合上、途中位置にある第一ばらし容器98が、半分だけ描かれている。
【0053】
第二移送手段9の第一移送動作は、ブロック駆動部33がスライドブロック32を移動させることにより、空の第一ばらし容器98を、反転エリア3から作業エリア4に向けて、押し出す動作に相当する。
図9及び
図10中の符号「32A」は、第一移送動作の前のスライドブロック32の位置を示す。
図9及び
図10中の符号「32B」は、第一移送動作の後のスライドブロック32の位置を示す。第一移送動作が行われると、
図10に示すように、空の第一ばらし容器98は、回転台25と作業台26との両方に跨った状態になる。この状態が、上述した「途中位置」に相当する。第一移送動作のときには、昇降駆動部39がスライドブロック37及びブロック駆動部38を下に移動させており、スライドブロック37が第一ばらし容器98に接触することはない。
【0054】
第一移送動作の後、第二移送手段9は、昇降駆動部39によりスライドブロック37及びブロック駆動部38を上に移動させる。これにより、スライドブロック37が符号「37A」で示す位置に上昇し、途中位置にある第一ばらし容器98の底面の凹部に、スライドブロック37の突出部が挿入する。その後、ロボット13が第二ばらし容器99に物品90を詰め終わると、第三移送手段10は、物品90が入った第二ばらし容器99を作業エリア4から段積みエリア5に向けて搬出する。物品90が入った第二ばらし容器99が作業エリア4から搬出された後、第二移送手段9は、ブロック駆動部38により、スライドブロック37を、符号「37A」で示す位置から、符号「37B」で示す位置まで移動させる。これにより、途中位置にあった空の第一ばらし容器98は、スライドブロック37とともに移動することで、作業エリア4内に入り、物品90を次に受け入れる第二ばらし容器99となる。上記のようにして、スライドブロック37及びブロック駆動部38により第一ばらし容器98を移動させる動作が、第二移送手段9の第二移送動作に相当する。
【0055】
ロボット13が第二ばらし容器99に物品90を詰め終わり、物品90が入った第二ばらし容器99が第三移送手段10により作業エリア4から搬出された後、空の第一ばらし容器98が第二移送手段9により作業エリア4内に搬入されるまでの間は、ロボット13が物品90を詰める動作を再開できない。この点に関し、本実施の形態であれば、第二移送手段9が第一移送動作と第二移送動作とを実行することで、以下の効果が得られる。ロボット13が第二ばらし容器99に物品90を詰めている間に、第一移送動作が行われることで、空の第一ばらし容器98は、第二ばらし容器99に隣接する途中位置にまで移動している。このため、物品90を詰め終わった第二ばらし容器99が第三移送手段10により作業エリア4から搬出された直後に、すでに途中位置まで来ていた空の第一ばらし容器98を、第二移送動作によって、迅速に作業エリア4内に搬入できる。それゆえ、ロボット13が物品90を詰める動作を、より早く再開できるので、タクトタイムを短縮する上で、より有利になる。
【0056】
図10から
図12に示すように、作業台26に、ツイストシリンダ40が設置されている。ツイストシリンダ40は、クランプアーム41を移動させる。クランプアーム41は、作業台26の上の第二ばらし容器99に対して、段積みエリア5側に位置する。クランプアーム41は、
図10中の、符号「41A」で示す位置と、符号「41B」で示す位置とに移動する。クランプアーム41が符号「41B」の位置にあるときには、第二ばらし容器99が段積みエリア5側に移動することをクランプアーム41が阻止する。クランプアーム41が符号「41A」の位置にあるときには、第二ばらし容器99は、クランプアーム41に当たることなく、段積みエリア5側に移動可能になる。
【0057】
図13は、実施の形態1による容器移載装置1のうち、第三移送手段10等を含む部分の正面図である。
図14は、実施の形態1による容器移載装置1のうち、第三移送手段10等を含む部分の左側面図である。これらの図に示すように、本実施の形態における第三移送手段10は、ばらし容器97を載せる上面を有する移動台42と、移動台42を作業エリア4と段積みエリア5との間で移動させる台駆動部51とを備える。作図の都合上、
図13では、作業エリア4に移動した位置にある移動台42と、段積みエリア5に移動した位置にある移動台42との両方が描かれているが、実際には、移動台42は、一つだけである。また、
図13では、移動台42の上面の図示が省略されている。台駆動部51は、例えば、空気圧で作動するものでもよい。
【0058】
図15は、移動台42の平面図である。
図14及び
図15に示すように、移動台42は、平行に配置された一対の細長い上面を有する。移動台42の一対の上面のそれぞれは、移動台42の移動方向に沿って、すなわち、ばらし容器97の長辺に平行な方向に沿って、延びている。移動台42には、平面視において、移動台42の一対の上面の間の位置に、クランプ43と、クランプ43を鉛直方向に移動させるクランプ駆動部44とが組み込まれている。クランプ駆動部44は、例えば、空気圧で作動するものでもよい。
【0059】
図13に示すように、クランプ43は、上に向かって突出する一対の突出部45を有する。クランプ駆動部44がクランプ43を上に移動させると、移動台42の上のばらし容器97の底部の二つの短辺に対して、一対の突出部45が、両側から係合する。これにより、移動台42の上のばらし容器97が、移動台42に対して、相対的に移動することが阻止される。
【0060】
移動台42の上面の高さは、作業台26の上面の高さよりも、わずかに低くなっている。移動台42が作業エリア4に移動すると、作業台26の上面の下に移動台42の上面が入り込む。
図14の左半分は、作業台26の上面の下に移動台42の上面が入り込んでおり、ばらし容器97が作業台26の上面に載っている状態を示している。これに対し、
図14の右半分は、作業台26の上面に、直接、ばらし容器97が載っている状態を示している。
【0061】
移動台42が作業エリア4に移動するときには、第三移送手段10は、クランプ駆動部44がクランプ43を下に移動させた状態にする。この状態であれば、移動台42が作業エリア4に移動するときに、クランプ43の突出部45は、作業台26に載っているばらし容器97すなわち第二ばらし容器99に、接触することがない。
【0062】
移動台42が作業エリア4に移動した後、第三移送手段10は、クランプ駆動部44によりクランプ43を上に移動させることで、作業台26上のばらし容器97の底部に、突出部45を係合させる。
【0063】
その後、作業台26上のばらし容器97にロボット13が物品90を詰め終わると、第三移送手段10は、台駆動部51により移動台42を作業エリア4から段積みエリア5に向けて移動させる。このとき、作業台26上のばらし容器97は、突出部45に押されて、作業台26の上を滑り、移動台42とともに移動する。作業台26の上面の下から、移動台42の上面が現れるにつれて、ばらし容器97は、作業台26の上面に載った状態から、移動台42の上面に直接載った状態へ、移り変わる。このようにして、本実施の形態であれば、ばらし容器97が、作業台26から移動台42へ、円滑かつ確実に、載り移ることが可能となる。なお、
図13に示すように、作業台26の、段積みエリア5側の縁部には、ばらし容器97が、作業台26の上面から移動台42の上面へ載り移るときの段差を軽減するための短いスロープ46が設けられている。
【0064】
図4に示すように、段積み手段11は、容器95を把持することのできる昇降部47と、昇降部47を鉛直方向に移動させる昇降機構48とを備える。段積みエリア5にある容器95の両側の位置に、それぞれ、昇降部47及び昇降機構48が設けられている。段ばらしエリア2と段積みエリア5との境界に設置された支柱17に、一方の昇降機構48が取り付けられている。支柱49は、支柱17の位置から、段積みエリア5を横断した位置にある。支柱49に、もう一方の昇降機構48が取り付けられている。昇降機構48は、例えば、ボールねじとサーボモータとを用いたものでもよい。
【0065】
昇降部47は、容器95の例えば上部フランジ部や上部のへこみ部に係合するように突出する位置と、容器95に接触しないように退避した位置とに移動可能なツメを備える。
図4は、昇降部47がツメを突出させることで容器95を掴んだ状態を示している。
図3では、作図の都合上、下に移動した位置にある昇降部47と、上に移動した位置にある昇降部47との両方が描かれているが、実際には、段積み手段11は、昇降部47を一組だけ備える。
【0066】
図3は、スタッキング状態で段積みされた10個の容器95が台車96に載せられて段積みエリア5に置かれているときの状態を示している。この状態において、移動台42は、作業エリア4に位置している。
図3中の容器95Bは、スタッキング状態で段積みされた10個の容器95の全部を段積み手段11が持ち上げたときの最上段の容器95の位置に相当する。
【0067】
作業エリア4にて物品90が入れられた容器95を第三移送手段10が段積みエリア5に移送する前に、段積みエリア5に容器95がある場合には、段積み手段11は、そのうちの最下段の容器95を昇降部47で把持して昇降部47を上昇させることで、段積みエリア5のすべての容器95を上に持ち上げる。その後、第三移送手段10は、移動台42に段積みエリア5に移動させる。そうすると、
図4に示すように、段積み手段11が上に持ち上げた容器95の下に、移動台42に載った容器95が入り込む。なお、
図4は、段積みエリア5に、2個目の容器95が搬入されたときの状態を示している。
【0068】
図4に示す状態から、段積み手段11は、昇降部47を下降させることで、昇降部47が把持している容器95を、移動台42に載った容器95の上に置く。前述したように、移動台42に載った容器95は、スタッキング状態で重なるように、向きが整えられている。このため、昇降部47が把持していた容器95は、移動台42に載った容器95の上に、スタッキング状態で積み重なる。
【0069】
続いて、段積み手段11は、昇降部47のツメを一旦退避させた後、移動台42上の最下段の容器95の位置まで昇降部47を下降させてから、昇降部47のツメを再び突出させる。その後、段積み手段11は、昇降部47を上昇させることで、すべての容器95を移動台42から上に持ち上げる。その後、第三移送手段10は、空になった移動台42を段積みエリア5から作業エリア4に移動させる。
【0070】
以上のような動作を繰り返すことで、段積み手段11は、作業エリア4から段積みエリア5に搬入される容器95を、一つずつ、最下段に挿入していくことができ、複数の容器95をスタッキング状態で段積みすることができる。スタッキング状態で段積みされた容器95の数が所定数に達すると、段積み手段11は、段積みされた容器95を台車96の上に載置する。
【符号の説明】
【0071】
1 容器移載装置、 2 段ばらしエリア、 3 反転エリア、 4 作業エリア、 5 段積みエリア、 6 段ばらし手段、 7 第一移送手段、 8 反転手段、 9 第二移送手段、 10 第三移送手段、 11 段積み手段、 12 移載システム、 13 ロボット、 15 昇降部、 16 昇降機構、 17 支柱、 18 支柱、 19 ロボットアーム、 20 上部フレーム、 21 支柱、 22 基部、 23 整列装置、 24 コンベヤ、 25 回転台、 26 作業台、 27 カラーセンサ、 28 支柱、 29 台駆動部、 30 ロータリアクチュエータ、 31 ボール、 32 スライドブロック、 33 ブロック駆動部、 34 ガイドクランプ、 35 クランプ駆動部、 37 スライドブロック、 38 ブロック駆動部、 39 昇降駆動部、 40 ツイストシリンダ、 41 クランプアーム、 42 移動台、 43 クランプ、 44 クランプ駆動部、 45 突出部、 46 スロープ、 47 昇降部、 48 昇降機構、 49 支柱、 50 コントローラ、 51 台駆動部、 52 下部フレーム、 53 整列コンベヤ、 90 物品、 95 容器、 96 台車、 97 ばらし容器、 98 第一ばらし容器、 99 第二ばらし容器