(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077693
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】制御システム、及び中継装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/68 20060101AFI20230530BHJP
E05F 15/77 20150101ALI20230530BHJP
【FI】
E06B9/68 A
E05F15/77
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191072
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】大塚 啓成
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクター タン
(72)【発明者】
【氏名】和田 賢一
【テーマコード(参考)】
2E042
2E052
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042CA01
2E042CA15
2E042CB05
2E042CB12
2E042CB17
2E052AA01
2E052AA04
2E052BA07
2E052CA05
2E052EB01
2E052EC03
2E052EC04
2E052GC10
2E052KA08
2E052KA25
(57)【要約】
【課題】制御システムの使用性を高めることが可能となる、制御システム、及び中継装置を提供すること。
【解決手段】制御システム1は、建物の複数の開口部2の各々に設けられた複数の開閉装置10と、複数の開閉装置10と通信可能な中継装置80とを備えるシステムであって、複数の開閉装置10の各々は、開口部2を開閉する開閉体40と、操作信号に基づいて、開閉体40を開閉移動させる開閉制御部と、を備え、中継装置80は、操作装置から緊急操作信号が受信された場合又は所定操作が受け付けられた場合には、緊急操作信号を複数の開閉装置10に送信する中継部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の複数の開口部の各々に設けられた複数の開閉装置と、前記複数の開閉装置と通信可能な中継装置であり、前記開閉装置を操作する操作装置から受信した操作信号を前記複数の開閉装置に中継する中継装置と、を備える制御システムであって、
前記複数の開閉装置の各々は、
前記開口部を開閉する開閉体と、
前記操作信号に基づいて、前記開閉体を開閉移動させる開閉制御手段と、を備え、
前記操作信号は、前記開閉体の開閉移動又は/及び当該開閉移動の停止を緊急に行うための緊急操作信号を含み、
前記中継装置は、前記操作装置から前記緊急操作信号が受信された場合又は所定操作が受け付けられた場合には、前記緊急操作信号を前記複数の開閉装置に送信する中継手段を備える、
制御システム。
【請求項2】
前記中継手段は、前記操作装置から前記緊急操作信号が受信された場合又は前記所定操作が受け付けられた場合には、前記複数の開閉装置から前記緊急操作信号に対する応答信号が受信されたか否かに関わらず、前記緊急操作信号を前記複数の開閉装置に順次送信する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記中継手段は、前記操作装置から受信された前記緊急操作信号以外の前記操作信号が保留されている保留状態において、前記操作装置から前記緊急操作信号が受信された場合には、当該保留されている前記操作信号をすべて破棄した後に、前記緊急操作信号を前記複数の開閉装置に順次送信する、
請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記中継手段は、前記操作装置から前記緊急操作信号が受信された場合には、前記複数の開閉装置への前記緊急操作信号の順次送信を複数回繰り返す、
請求項2又は3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記複数の開閉装置の各々は、前記緊急操作信号以外の前記操作信号を受信した場合には、当該操作信号に対する前記応答信号を送信し、前記緊急操作信号を受信した場合には、当該緊急操作信号に対する前記応答信号を送信しない送信手段を備える、
請求項2から4のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項6】
前記緊急操作信号は、前記複数の開閉装置の各々が当該緊急操作信号を受信可能とするための受信コード情報を含み、
前記中継手段は、前記操作装置から前記緊急操作信号が受信された場合又は前記所定操作が受け付けられた場合には、前記緊急操作信号を1回送信することにより、当該緊急操作信号を前記複数の開閉装置に中継可能とする、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項7】
建物の複数の開口部の各々に設けられた複数の開閉装置であって、前記開口部を開閉する開閉体をそれぞれ備える複数の開閉装置と通信可能な中継装置であり、前記開閉装置を操作する操作装置から受信した操作信号を前記複数の開閉装置に中継する中継装置であって、
前記操作信号は、前記開閉体の開閉移動又は/及び当該開閉移動の停止を緊急に行うための緊急操作信号を含み、
前記操作装置から前記緊急操作信号が受信された場合又は所定操作が受け付けられた場合には、前記緊急操作信号を前記複数の開閉装置に送信する中継手段を備える、
中継装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、及び中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の複数の開口の各々に設けられた複数の電動シャッター装置の各々におけるシャッターカーテンの開閉制御を行うためのシステムが提案されている。このようなシステムとしては、例えば、複数の電動シャッター装置の各々に設けられた複数の送受信子機と、携帯通信端末から送信された信号を複数の送受信子機に中継する送受信親機とを備えるシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、このシステムにおいては、ユーザが携帯通信端末の画面に表示された複数の操作スイッチであって、各電動シャッター装置のシャッターカーテンの開閉移動及び当該開閉移動の停止を指示する複数の操作スイッチ(具体的には、開ボタン、閉ボタン、停止ボタンをそれぞれ有する複数の操作スイッチ)を操作することで、携帯通信端末から当該操作された操作スイッチに対応する開放信号、閉鎖信号、又は停止信号が送信され、当該送信された開放信号等が送受信親機を介して対応する送受信子機に受信されることにより、当該送受信子機によって受信された開放信号等に基づいて当該送受信子機に設けられている電動シャッター装置のシャッターカーテンの開閉制御を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記従来のシステムにおいては、上述したように、携帯通信端末から送信された開放信号等が送受信親機を介して対応する送受信子機に受信されることにより、当該送受信子機によって受信された開放信号等に基づいて当該送受信子機に設けられている電動シャッター装置のシャッターカーテンの開閉制御を行うので、例えば、複数の電動シャッター装置のシャッターカーテンの開閉移動を停止させる場合には、ユーザが携帯通信端末において複数の停止ボタンを操作することにより、携帯通信端末から複数の停止信号が送信され、当該送信された複数の停止信号が送受信親機を介して複数の送受信子機に受信されることから、複数の開閉装置において緊急に行われる開閉体の開閉移動又は当該開閉移動の停止を迅速に行うことが難しくなるおそれがあった。よって、システムの使用性を高める観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記従来技術における課題を解決するためのものであって、制御システムの使用性を高めることが可能となる、制御システム、及び中継装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の制御システムは、建物の複数の開口部の各々に設けられた複数の開閉装置と、前記複数の開閉装置と通信可能な中継装置であり、前記開閉装置を操作する操作装置から受信した操作信号を前記複数の開閉装置に中継する中継装置と、を備える制御システムであって、前記複数の開閉装置の各々は、前記開口部を開閉する開閉体と、前記操作信号に基づいて、前記開閉体を開閉移動させる開閉制御手段と、を備え、前記操作信号は、前記開閉体の開閉移動又は/及び当該開閉移動の停止を緊急に行うための緊急操作信号を含み、前記中継装置は、前記操作装置から前記緊急操作信号が受信された場合又は所定操作が受け付けられた場合には、前記緊急操作信号を前記複数の開閉装置に送信する中継手段を備える。
【0007】
請求項2に記載の制御システムは、請求項1に記載の制御システムにおいて、前記中継手段は、前記操作装置から前記緊急操作信号が受信された場合又は前記所定操作が受け付けられた場合には、前記複数の開閉装置から前記緊急操作信号に対する応答信号が受信されたか否かに関わらず、前記緊急操作信号を前記複数の開閉装置に順次送信する。
【0008】
請求項3に記載の制御システムは、請求項2に記載の制御システムにおいて、前記中継手段は、前記操作装置から受信された前記緊急操作信号以外の前記操作信号が保留されている保留状態において、前記操作装置から前記緊急操作信号が受信された場合には、当該保留されている前記操作信号をすべて破棄した後に、前記緊急操作信号を前記複数の開閉装置に順次送信する。
【0009】
請求項4に記載の制御システムは、請求項2又は3に記載の制御システムにおいて、前記中継手段は、前記操作装置から前記緊急操作信号が受信された場合には、前記複数の開閉装置への前記緊急操作信号の順次送信を複数回繰り返す。
【0010】
請求項5に記載の制御システムは、請求項2から4のいずれか一項に記載の制御システムにおいて、前記複数の開閉装置の各々は、前記緊急操作信号以外の前記操作信号を受信した場合には、当該操作信号に対する前記応答信号を送信し、前記緊急操作信号を受信した場合には、当該緊急操作信号に対する前記応答信号を送信しない送信手段を備える。
【0011】
請求項6に記載の制御システムは、請求項1に記載の制御システムにおいて、前記緊急操作信号は、前記複数の開閉装置の各々が当該緊急操作信号を受信可能とするための受信コード情報を含み、前記中継手段は、前記操作装置から前記緊急操作信号が受信された場合又は前記所定操作が受け付けられた場合には、前記緊急操作信号を1回送信することにより、当該緊急操作信号を前記複数の開閉装置に中継可能とする。
【0012】
請求項7に記載の中継装置は、建物の複数の開口部の各々に設けられた複数の開閉装置であって、前記開口部を開閉する開閉体をそれぞれ備える複数の開閉装置と通信可能な中継装置であり、前記開閉装置を操作する操作装置から受信した操作信号を前記複数の開閉装置に中継する中継装置であって、前記操作信号は、前記開閉体の開閉移動又は/及び当該開閉移動の停止を緊急に行うための緊急操作信号を含み、前記操作装置から前記緊急操作信号が受信された場合又は所定操作が受け付けられた場合には、前記緊急操作信号を前記複数の開閉装置に送信する中継手段を備える。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の制御システム、及び請求項7に記載の中継装置によれば、中継装置は、操作装置から緊急操作信号が受信された場合又は所定操作が受け付けられた場合には、緊急操作信号を複数の開閉装置に送信する中継手段を備えるので、複数の開閉装置への緊急操作信号の中継を迅速に行うことができる。よって、複数の開閉装置において緊急に行われる開閉体の開閉移動又は/及び当該開閉移動の停止を迅速に行うことができ、制御システムの使用性を向上させることができる。
【0014】
請求項2に記載の制御システムによれば、中継手段は、操作装置から緊急操作信号が受信された場合又は所定操作が受け付けられた場合には、複数の開閉装置から緊急操作信号に対する応答信号が受信されたか否かに関わらず、緊急操作信号を複数の開閉装置に順次送信するので、緊急操作信号を順次送信する場合に、複数の開閉装置への緊急操作信号の中継を迅速に行うことができ、複数の開閉装置において緊急な開閉体の開閉移動又は/及び当該開閉移動の停止を迅速に行うことができる。
【0015】
請求項3に記載の制御システムによれば、中継手段は、保留状態において、操作装置から緊急操作信号が受信された場合には、保留されている操作信号をすべて破棄した後に、緊急操作信号を複数の開閉装置に順次送信するので、保留状態において緊急操作信号を優先して中継でき、複数の開閉装置への緊急操作信号の中継を一層迅速に行うことができる。さらに、保留されている操作信号をすべて破棄でき、複数の開閉装置において緊急な開閉体の開閉移動の停止が行われた後に、当該操作信号に基づいて開閉体の開閉移動又は/及び当該開閉移動の停止が行われることを回避できる。
【0016】
請求項4に記載の制御システムによれば、中継手段は、操作装置から緊急操作信号が受信された場合には、複数の開閉装置への緊急操作信号の順次送信を複数回繰り返すので、複数の開閉装置への緊急操作信号の中継を確実に行うことができ、当該中継の信頼度を高めることができる。
【0017】
請求項5に記載の制御システムによれば、複数の開閉装置の各々が、緊急操作信号以外の操作信号を受信した場合には、当該操作信号に対する応答信号を送信し、緊急操作信号を受信した場合には、当該緊急操作信号に対する応答信号を送信しない送信手段を備えるので、不必要に応答信号を送信することを回避でき、開閉装置の制御性を高めることができる。
【0018】
請求項6に記載の制御システムによれば、中継手段は、操作装置から緊急操作信号が受信された場合又は所定操作が受け付けられた場合には、緊急操作信号を1回送信することにより、当該緊急操作信号を複数の開閉装置に中継可能とするので、緊急操作信号を1回送信することで複数の開閉装置に中継でき、複数の開閉装置への緊急操作信号の中継を迅速且つ効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る制御システムの概要を示す図である。
【
図2】開閉側制御ユニットの電気的構成を示したブロック図である。
【
図3】中継装置の電気的構成を示したブロック図である。
【
図4】実施の形態1に係る中継処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る制御システム、及び中継装置の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、建物の複数の開口部の各々に設けられた複数の開閉装置と、複数の開閉装置と通信可能な中継装置であり、開閉装置を操作する操作装置から受信した操作信号を複数の開閉装置に中継する中継装置と、を備える制御システムに関するものである。
【0022】
ここで、「建物」の具体的な構造や種類については任意であるが、例えば、公共施設、商業施設、戸建て住宅、アパートやマンションの如き集合住宅等を含む概念である。
【0023】
また、「開口部」とは、建物の躯体の一部分(例えば、壁材、床材、天井材等)において出入口や窓を設置するために形成された開口である。
【0024】
また、「開閉装置」の具体的な種類については任意であるが、例えば、シャッター装置(一例として、窓シャッター、重量シャッター、軽量シャッター等)、扉装置(一例として、開き戸、引戸、折れ戸等)、及び、窓装置等を含む概念である。また、開閉装置の開閉体の開閉方向については、例えば上下方向、左右方向、前後方向等が該当する。また、開閉装置の駆動方式は任意であり、例えば、「電動式の開閉装置」等が該当する。
【0025】
また、「操作装置」の具体的な種類については任意であるが、例えば、開閉装置用の遠隔操作装置であって、開閉装置を遠隔操作するための遠隔操作装置と、遠隔操作装置とは異なる端末装置であって、操作信号を送信可能な通信装置(一例として、携帯端末、管理サーバ等)とを含む概念であるが、実施の形態では、操作信号を送信可能にするアプリがインストールされている携帯端末(具体的には、スマートフォン)として説明する。
【0026】
また、「操作信号」の具体的な種類については任意であるが、例えば、開放信号、閉鎖信号、停止信号、及び緊急操作信号を含む概念である。
【0027】
このうち、「開放信号」は、開閉体を開放移動させるための信号であり、「閉鎖信号」は、開閉体を閉鎖移動させるための信号であり、「停止信号」は、開閉体の開閉移動を停止させるための信号である。
【0028】
また、「緊急操作信号」は、開閉体の開閉移動又は/及び当該開閉移動の停止を緊急に行うための信号である。この緊急操作信号は、例えば、開閉体の開放移動を緊急に行うための緊急開放信号、開閉体の閉鎖移動を緊急に行うための緊急閉鎖信号、及び開閉体の開閉移動の停止を緊急に行うための緊急停止信号を含む概念であるが、実施の形態では、緊急停止信号として説明する。
【0029】
また、「中継装置」の具体的な種類については任意であるが、開閉装置用の中継機器と、操作信号に加えて他の信号を開閉装置以外の他の装置に中継可能な中継サーバ(一例として、ネットワークサーバ、クラウドサーバ等)を含む概念であるが、実施の形態では、開閉装置用の中継機器として説明する。
【0030】
以下、実施の形態では、開閉装置が、戸建て住宅の如き建物の外壁に設けられた開口部に設置される上下開閉式且つ電動式の窓シャッターである場合について説明する。
【0031】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0032】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1に係る制御システムについて説明する。この実施の形態1は、中継装置が、緊急操作信号を複数の開閉装置に順次送信する形態である。
【0033】
(構成)
最初に、実施の形態1に係る制御システムの構成について説明する。
【0034】
以下の説明では、
図1のX方向を制御システムの左右方向(-X方向を制御システムの左方向、+X方向を制御システムの右方向)、
図1のY方向を制御システムの上下方向(+Y方向を制御システムの上方向、-Y方向を制御システムの下方向)と称し、X方向及びY方向に直交する方向を前後方向(
図1の紙面の手前側に至る方向を制御システムの前方向、
図1の紙面の奥側に至る方向を制御システムの後方向)と称する。
【0035】
制御システム1は、後述の複数の開閉装置10及び後述の中継装置80を制御するためのシステムであり、概略的に、
図1に示すように、複数の開閉装置10(
図1では、2台の開閉装置10)及び中継装置80を備えている。
【0036】
(構成-開閉装置)
まず、複数の開閉装置10の構成について説明する。
【0037】
複数の開閉装置10は、建物の躯体(例えば、建物の外壁等)に設けられた複数の開口部2(
図1では、2つの開口部2)を開閉するための装置である。これら複数の開閉装置10の各々は、
図1に示すように、各開口部2の周辺にそれぞれ1台設けられており、概略的に、収納部20、ガイドレール30、開閉体40、開閉機50、巻取軸(図示省略)、及び開閉側制御システム60をそれぞれ備えている。ただし、各開閉装置10に関する特記しない構成については、従来のシャッター装置(具体的には、上下開閉式及び電動式の窓シャッター)と同様であるものとして説明を省略する。
【0038】
また、各開閉装置10を構成する各構成要素の接続形態については、以下に示す通りに設定している。すなわち、後述する開閉側制御システム60の開閉側制御ユニット70は、開閉機50、後述する開閉側制御システム60の開閉側操作部61、位置検知部62、回転数検知部63、及び障害物検知部64の各々と配線3を介して電気的に接続されている。これにより、後述する開閉側制御ユニット70と、開閉機50、後述する開閉側操作部61、後述する位置検知部62、後述する回転数検知部63、及び後述する障害物検知部64の各々との相互間で通信又は電力供給を直接的又は間接的に行うことができる。
【0039】
なお、以下では、必要に応じて、複数の開閉装置10のうち、
図1の左側に位置する開閉装置10aを「第1開閉装置10a」と称し、
図1の右側に位置する開閉装置10bを「第2開閉装置10b」と称する。
【0040】
(構成-開閉装置-収納部)
収納部20は、開閉装置10の各部を収納するための中空体である。
図1に示すように、この収納部20は、開口部2の上端部よりも上方に設置されている。また、この収納部20の内部には、開閉機50、巻取軸、並びに、後述する開閉側制御システム60の位置検知部62、回転数検知部63、障害物検知部64、及び開閉側制御ユニット70が収容されていると共に、巻取軸にて開閉体40が巻上げられた状態では、開閉体40の少なくとも一部も、収納部20の内部に収容される。
【0041】
(構成-開閉装置-ガイドレール)
ガイドレール30は、開閉体40を開口部2の開閉方向(上下方向)に沿って移動するように案内するものである。このガイドレール30は、横断面形状が略コ字状となるように形成された長尺体であり、開閉装置10の左右の各端部において、上下方向に略沿う方向で配置されており、建物の壁に対して直接的に固定されており、又は下地材(図示省略)を介して間接的に固定されている。
【0042】
(構成-開閉装置-開閉体)
開閉体40は、巻取軸によって閉鎖移動又は開放移動されることで、開閉体40の開閉状態を切り替える遮蔽手段である。
【0043】
ここで、「開閉体40の開閉状態」とは、「全閉状態」、「全開状態」、及び「半開状態」を含む概念である。このうち、「全閉状態」とは、開閉体40によって開口部2を全閉した状態であり、全閉状態における開閉体40の位置を「全閉位置」と称する。また、「全開状態」とは、開閉体40によって開口部2を全開した状態であり、全開状態における開閉体40の位置を「全開位置」と称する。また、「半開状態」とは、開閉体40が全閉位置と全開位置との間に位置している状態である。
【0044】
この開閉体40は、
図1に示すように、複数のスラット41を備えており、各スラット41の上下の両端部に形成された嵌合部(図示省略)を介して複数のスラット41が相互に嵌合接続されている。また、この開閉体40の左右方向の両端部の各々は、ガイドレール30のコ字状の開放端部を介してガイドレール30の内部に挿入されており、上下方向においてはガイドレール30の内部をスライド移動可能であり、かつ、前後方向においてはガイドレール30の外部に脱落しないように規制されている。
【0045】
また、この開閉体40の閉鎖側端部(具体的には、開閉体40の下端部)には、座板42が接続されている。この座板42は、全閉状態において建物の床面と近接し、又は接触するように配置されたものであり、開閉体40の閉鎖側端部の左右方向全長にわたって形成されている。
【0046】
(構成-開閉装置-開閉機)
開閉機50は、巻取軸の回転を制御することによって開閉体40を電動で開閉移動させる駆動手段である。この開閉機50は、例えば公知の開閉機(一例として、ブレーキを有する開閉機、又はブレーキレスの開閉機等)等によって構成されており、
図1に示すように、収納部20の内部において、巻取軸の近傍位置に設けられている。
【0047】
(構成-開閉装置-巻取軸)
巻取軸は、開閉体40を閉鎖移動又は開放移動させるための回動軸である。この巻取軸は、例えば公知の巻取軸等を用いて構成されており、左右方向に沿って設置されている。また、この巻取軸には開閉体40の上端に連結された連結スラット(図示省略)が接続されており、この巻取軸を回転させることで、連結スラットを介して開閉体40を閉鎖移動又は開放移動させることができる。また、この巻取軸の左端部(又は右端部)がチェーン(図示省略)を介して開閉機50の出力軸に連結されているので、開閉機50の出力軸の回転に伴って巻取軸を回転させることができる。
【0048】
(構成-開閉装置-開閉側制御システム)
開閉側制御システム60は、開閉装置10を制御するためのものであり、
図1に示すように、開閉側操作部61、位置検知部62、回転数検知部63、障害物検知部64、及び開閉側制御ユニット70を備えている。
【0049】
(構成-開閉装置-開閉側制御システム-開閉側操作部)
開閉側操作部61は、開閉体40の開閉移動に関する操作入力を受け付ける開閉側操作手段である。この開閉側操作部61は、例えば公知の有線式の操作装置等を用いて構成され、
図1に示すように、開口部2の近傍に設けられており、開閉体40を電動で開放移動させる開放ボタン、電動で閉鎖移動させる閉鎖ボタン、及び電動による閉鎖移動又は開放移動を停止させる停止ボタンを備えている(いずれも図示省略)。
【0050】
また、開閉側操作部61の具体的な動作については任意であるが、実施の形態1では、開放ボタン、閉鎖ボタン、又は停止ボタンがユーザによって押圧された場合には、当該押圧されたボタンに応じた操作信号(すなわち、開放信号、閉鎖信号、停止信号)を開閉側制御ユニット70を介して開閉機50に出力することで、開閉機50によって開閉体40が電動で開閉移動させたり、あるいは開閉体40の開閉移動を電動で停止させることができる。
【0051】
(構成-開閉装置-開閉側制御システム-位置検知部、回転数検知部)
位置検知部62は、開閉体40の位置(具体的には、開閉体40の下端部の位置)を検知し、当該検知した位置を示す信号(以下、「位置信号」と称する)を所定周期で出力するための位置検知手段であり、
図1に示すように、開閉機50の内部に設けられている。
【0052】
回転数検知部63は、開閉機50の駆動部の回転数(以下、「駆動部の回転数」と称する。)を検知し、当該検知した回転数を示す信号(以下、「回転数信号」と称する)を所定周期で出力するための位置検知手段であり、
図1に示すように、開閉機50の内部に設けられている。
【0053】
これら位置検知部62及び回転数検知部63の具体的な構成については任意であるが、実施の形態1では、位置検知部62及び回転数検知部63の両方の機能を有するホールIC等を用いて構成されている。ただし、これに限られず、例えば、位置検知部62がエンコーダ(又はポテンションメータ)等を用いて構成され、回転数検知部63がタコジェネレータ等を用いて構成されてもよい。
【0054】
ここで、実施の形態1では、開閉側制御システム60が、上限リミットスイッチ及び下限リミットスイッチを備えていないので、後述する中継処理を実行するためには、全開位置(上限位置)及び全閉位置(下限位置)を設定する必要がある。これら全開位置及び全閉位置を設定する方法については任意であるが、例えば、以下に示す方法(以下、「手動設定方法」で設定してもよい。
【0055】
すなわち、まず、作業者が開閉側操作部61を介して所定操作を行うことで、開閉装置10の制御モードを全開位置及び全閉位置を設定するモード(以下、「リミット設定モード」と称する)に設定する。次に、リミット設定モードにおいて、開閉側操作部61の開放ボタンを操作することで、開閉体40の開閉状態を全開状態になるように開閉体40を開放移動させる。次いで、開閉体40の下端部(開閉体40の閉鎖方向側の端部)がまぐさと当接することにより、開閉機50の駆動部の電圧値又は電流値(つまり、駆動部の負荷量)が閾値に達することで、位置検知部62から取得した位置信号に対応する開閉体40の位置を全開位置として設定する。次に、作業者が開閉側操作部61の閉鎖ボタンを操作することで、開閉体40の開閉状態が全閉状態になるように開閉体40を閉鎖移動させる。続いて、開閉体40の下端部が床面と当接することにより、開閉機50の駆動部の電圧値又は電流値(つまり、駆動部の負荷量)が閾値に達することで、位置検知部62から取得した位置信号に対応する開閉体40の位置を全閉位置として設定する。
【0056】
(構成-開閉装置-開閉側制御システム-障害物検知部)
障害物検知部64は、開閉体40の開閉移動の障害になる障害物(例えば、人、動物、物等)を検知する障害物検知手段であり、例えば、公知の障害物検知センサ(一例として、過負荷検知センサ)等を用いて構成され、
図1に示すように、開閉機50の内部に設けられている。
【0057】
また、障害物検知部64による障害物の検知方法については任意であるが、例えば以下の通りに検知してもよい。すなわち、開閉体40を閉鎖移動させる毎に開閉機50の駆動部の電圧値又は電流値を経時的に取得し、当該取得した電圧値又は電流値のうち、対象とする開閉機50の閉鎖移動より1つ前の回の開閉機50の閉鎖移動において取得した電圧値又は電流値を学習値として設定する。そして、対象とする開閉機50の閉鎖移動中に取得した電圧値又は電流値が学習値を上回る回数に基づいて開閉機50が過負荷状態であるか否かを判定し、過負荷状態である場合に障害物が存在すると検知し、過負荷状態でない場合に障害物が存在しないと検知してもよい。
【0058】
また、障害物検知部64の具体的な動作については任意であるが、実施の形態1では、開閉体40の下端部が障害物と接触した場合には、障害物が検知された旨を示す障害物検知信号を開閉側制御ユニット70に出力し、開閉体40の下端部が障害物と接触していない場合には、障害物検知信号を開閉側制御ユニット70に出力しないことが該当する。
【0059】
(構成-開閉装置-開閉側制御システム-開閉側制御ユニット)
開閉側制御ユニット70は、開閉装置10の各部を相互に連動させる装置であり、
図1に示すように、開閉機50の内部(又は収納部20内であって、開閉機50の外部等)に設けられており、
図2に示すように、第1開閉側通信部71、第2開閉側通信部72、開閉側電源部73、開閉側制御部74、及び開閉側記憶部75を備えている。
【0060】
(構成-開閉装置-開閉側制御システム-開閉側制御ユニット-第1開閉側通信部)
第1開閉側通信部71は、開閉機50、開閉側操作部61、位置検知部62、回転数検知部63、又は障害物検知部64と開閉側制御ユニット70との相互間で通信を行うための第1開閉側通信手段であり、例えば、有線通信網を用いて通信を行う公知の通信手段を用いて構成されている。
【0061】
(構成-開閉装置-開閉側制御システム-開閉側制御ユニット-第2開閉側通信部)
第2開閉側通信部72は、開閉側制御ユニット70と中継装置80との相互間で通信を行うための第2開閉側通信手段であり、例えば、無線通信網を用いて通信を行う公知の通信手段(一例として、近距離無線通信用の通信手段(例えば、特定小電力無線の如き近距離無線通信規格を用いた通信手段等)、又は遠距離無線通信用の通信手段(例えば、4G、5G、又はLTE(登録商標)の如き遠距離無線通信規格を用いた通信手段等)を用いて構成されている。
【0062】
(構成-開閉装置-開閉側制御システム-開閉側制御ユニット-開閉側電源部)
開閉側電源部73は、図示しない商用電源又は電池(例えば、バッテリ等)から供給された電力を、開閉側制御ユニット70の各部に供給すると共に、開閉側操作部61、位置検知部62、回転数検知部63、又は障害物検知部64等にも供給する開閉側電源手段である。
【0063】
(構成-開閉装置-開閉側制御システム-開閉側制御ユニット-開閉側制御部)
開閉側制御部74は、開閉側制御ユニット70の各部を制御する開閉側制御手段である。具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである(なお、後述する中継装置80の中継側制御部84の構成についても同様とする)。
【0064】
また、この開閉側制御部74は、
図2に示すように、機能概念的に、開閉制御部74a及び送信部74bを備えている。
【0065】
(構成-開閉装置-開閉側制御システム-開閉側制御ユニット-開閉側制御部-開閉制御部)
開閉制御部74aは、中継装置80から受信した操作信号又は開閉側操作部61から入力が受け付けられた操作信号に基づいて、開閉体40を開閉移動させる開閉制御手段である。
【0066】
(構成-開閉装置-開閉側制御システム-開閉側制御ユニット-開閉側制御部-送信部)
送信部74bは、緊急操作信号(具体的には、緊急停止信号)以外の操作信号を受信した場合には、当該操作信号に対する応答信号を送信し、緊急操作信号を受信した場合には、当該操作信号に対する応答信号を送信しない送信手段である。
【0067】
ここで、「応答信号」とは、操作信号を受信した旨を示す情報を含む信号を意味する。
【0068】
(構成-開閉装置-開閉側制御システム-開閉側制御ユニット-開閉側記憶部)
開閉側記憶部75は、開閉側制御ユニット70の動作に必要なプログラム及び各種のデータ(例えば、自己の開閉装置10を一意に識別するための開閉装置識別情報等)を記憶する開閉側記憶手段であり、書き換え可能な記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いることができる(なお、後述する中継装置80の中継側記憶部85の構成についても同様とする)。
【0069】
(構成-中継装置)
図1に戻り、次に、中継装置80の構成について説明する。
【0070】
中継装置80は、複数の開閉装置10(具体的には、第1開閉装置10a及び第2開閉装置10b)と通信可能な装置であり、開閉装置10を操作する操作装置(具体的には、操作信号を送信可能にするアプリがインストールされているスマートフォン)から受信した操作信号を複数の開閉装置10に中継する装置である。この中継装置80は、
図1に示すように、複数の開閉装置10の周辺に設けられており、
図3に示すように、中継側操作部81、中継側通信部82、中継側電源部83、中継側制御部84、及び中継側記憶部85を備えている。なお、中継装置80に関する特記しない構成については、従来の開閉装置用の中継機器と同様であるものとして説明を省略する。
【0071】
なお、実施の形態1では、中継装置80は、中継側記憶部85に登録(記憶)されている複数の開閉装置識別情報に対応する複数の開閉装置10の各々との相互間で、操作信号等を通信するものとする。
【0072】
ここで、操作装置における操作信号の送信方法については任意であるが、実施の形態1では、操作装置の表示部に表示された複数の開放ボタン、複数の閉鎖ボタン、又は複数の停止ボタンであって、各開閉装置10に対応する複数の開放ボタン、複数の閉鎖ボタン、又は複数の停止ボタンのいずれかがユーザによって押圧されることで、当該押圧されたボタンに応じた操作信号(具体的には、当該押圧されたボタンに対応する開閉装置10を一意に識別する開閉装置識別情報を含む開放信号、閉鎖信号、又は停止信号)を送信する。
【0073】
(構成-中継装置-中継側操作部)
中継側操作部81は、各種の情報に関する操作入力を受け付けるための中継側操作手段である。この中継側操作部81は、例えばハードスイッチやタッチパネル等の公知の操作装置を用いて構成されており、中継装置80に関する各種の設定を行うための設定ボタンを備えている(図示省略)。
【0074】
(構成-中継装置-中継側通信部)
中継側通信部82は、中継装置80と開閉装置10(具体的には、開閉側制御ユニット70)及び操作装置の各々との相互間で通信を行うための中継側通信手段であり、例えば、無線通信網を用いて通信を行う公知の通信手段(一例として、近距離無線通信用の通信手段、遠距離無線通信用の通信手段、又はこれら両方の機能を有する通信手段)を用いて構成されている。
【0075】
(構成-中継装置-中継側電源部)
中継側電源部83は、図示しない商用電源又は電池から供給された電力を、中継装置80の各部に供給する中継側電源手段である。
【0076】
(構成-中継装置-中継側制御部)
中継側制御部84は、中継装置80の各部を制御する中継側制御手段であり、
図3に示すように、機能概念的に、中継部84aを備えている。
【0077】
中継部84aは、操作装置から緊急操作信号が受信された場合又は所定操作が受け付けられた場合には、緊急操作信号を複数の開閉装置10に送信する中継手段であって、操作装置から緊急操作信号以外の操作信号(具体的には、開放信号、閉鎖信号、又は停止信号)が受信された場合に、当該操作信号を複数の開閉装置10のいずれかに送信するものである。
【0078】
(構成-中継装置-中継側記憶部)
中継側記憶部85は、中継装置80の動作に必要なプログラム及び各種のデータ(例えば、各開閉装置10を一意に識別するための複数の開閉装置識別情報等)を記憶する中継側記憶手段である。
【0079】
(中継処理)
次に、このように構成された中継装置80の中継側制御部84によって実行される中継処理について説明する。以下の説明では、
図4に示す各処理の説明ではステップを「S」と略記する。
【0080】
中継処理は、操作装置から受信した操作信号を複数の開閉装置10(具体的には、第1開閉装置10a及び第2開閉装置10b)に中継するための処理である。この中継処理を実行するタイミングは任意であるが、実施の形態1では、中継装置80の電源が投入された後に起動されるものとして説明する。
【0081】
また、中継処理の前提については、各開閉装置10では、当該中継処理の前に、制御モードがリミット設定モードに設定されることで、全開位置及び全閉位置がそれぞれ設定されているものとする。
【0082】
中継処理が起動されると、
図4に示すように、SA1において中継装置80の中継部84aは、操作装置から緊急操作信号以外の操作信号(具体的には、開閉装置識別情報を含む開放信号、閉鎖信号、又は停止信号)が受信されたか否かを判定する。
【0083】
そして、中継装置80の中継部84aは、上記操作信号が受信されたと判定された場合(SA1、Yes)にはSA2へ移行し、上記操作信号が受信されていないと判定された場合(SA1、No)にはSA4へ移行する。
【0084】
なお、実施の形態1では、SA1にて受信された操作信号は、中継側記憶部85に一旦記憶され、後述のSA3にて特定の開閉装置10から当該操作信号に対する応答信号が受信されると、当該記憶された操作信号は消去されるものとする。
【0085】
SA2において中継装置80の中継部84aは、SA1にて受信された操作信号(具体的には、緊急操作信号以外の操作信号)を特定の開閉装置10(具体的には、第1開閉装置10a又は第2開閉装置10bのいずれか)に送信する。
【0086】
この上記受信された操作信号の送信方法については任意であるが、実施の形態1では以下の通りに送信する。
【0087】
すなわち、まず、中継装置80の中継部84aは、上記受信された操作信号を複数の開閉装置10に送信する。次いで、複数の開閉装置10の各々の開閉側制御部74は、上記送信された操作信号を受信した後に、当該受信した操作信号に含まれる開閉装置識別情報と、開閉側記憶部75に記憶されている開閉装置識別情報とが一致するか否かを判定する。ここで、これら開閉装置識別情報が一致する場合には、上記受信した操作信号が特定の開閉装置10に送信されたものとして、複数の開閉装置10の各々の開閉制御部74aは、当該受信した操作信号に基づいて開閉体40の開閉制御を行うと共に、複数の開閉装置10の各々の送信部74bは、応答信号(具体的には、開閉側記憶部75に記憶されている開閉装置識別情報を含む応答信号)を中継装置80に送信する。一方、これら開閉装置識別情報が一致しない場合には、上記受信した操作信号が特定の開閉装置10に送信されなかったものとして、複数の開閉装置10の各々の開閉制御部74aは、当該受信した操作信号に基づいた開閉体40の開閉制御を行わないと共に、複数の開閉装置10の各々の送信部74bは、応答信号を送信しないものとする。
【0088】
一例として、中継装置80の中継部84aによって送信される上記受信された操作信号に第1開閉装置10aを一意に識別する開閉装置識別情報が含まれる場合には、第1開閉装置10aの開閉制御部74aは、上記受信した操作信号に含まれる開閉装置識別情報と一致することから、当該操作信号に基づいて開閉体40の開閉制御を行うと共に、第1開閉装置10aの送信部74bは、第1開閉装置10aを一意に識別する開閉装置識別情報を含む応答信号を中継装置80に送信する。一方、第2開閉装置10bの開閉制御部74aは、上記受信した操作信号に含まれる開閉装置識別情報と一致しないことから、当該操作信号に基づいた開閉体40の開閉制御を行わないと共に、第2開閉装置10bの送信部74bは、応答信号を送信しない。
【0089】
この場合において、開閉制御部74aによる開閉体40の開閉制御の具体的な処理内容については任意であるが、実施の形態1では以下に示す通りとなる。
【0090】
すなわち、SA2にて送信された閉鎖信号又は開放信号が受信された場合には、開閉機50によって開閉体40を電動で閉鎖移動又は開放移動させる。また、開閉体40が電動で閉鎖移動又は開放移動している場合には、SA2にて送信された停止信号が受信された場合には、開閉機50によって当該閉鎖移動又は開放移動を停止させる。
【0091】
また、SA2にて送信された閉鎖信号又は開放信号が受信された後にユーザが操作装置の閉鎖ボタン又は開放ボタンを操作することなく開閉体40を電動で開閉体40の閉鎖移動又は開放移動できるように、閉鎖信号又は開放信号の受信が終了した場合においても、開閉機50によって当該閉鎖移動又は当該開放移動を継続させる(いわゆる、「自己保持操作による開閉体40の開閉制御」を行う)。
【0092】
また、使用時の安全性を高める観点から、例えば、SA2にて送信された操作信号に基づいた開閉体40の開閉制御を行っている場合に、開閉側操作部61を介して開放信号、閉鎖信号、又は停止信号の入力が受け付けられた場合には、SA2にて送信された操作信号に基づいた開閉体40の開閉制御を中止して、開閉側操作部61を介して入力が受け付けられた開放信号、閉鎖信号、又は停止信号に基づいて開閉体40の開閉制御を行うものとする(すなわち、開閉側操作部61を介して入力が受け付けられた開放信号等に基づいた開閉体40の開閉状態の制御を優先させる。なお、後述のSA7にて送信された緊急操作信号に基づいた開閉体40の開閉制御を行っている場合についても同様とする)。ただし、これに限らず、例えば、SA2にて送信された操作信号に基づいた開閉体40の開閉制御を行っている場合に、開閉側操作部61を介して開放信号、閉鎖信号、又は停止信号の入力が受け付けられた場合でも、SA2にて送信された操作信号に基づいた開閉体40の開閉制御を継続してもよい。
【0093】
SA3において中継装置80の中継部84aは、SA2にて送信された操作信号に対する応答信号(具体的には、開閉装置識別情報を含む応答信号)が上記特定の開閉装置10から受信されたか否かを判定する。
【0094】
この上記応答信号が受信されたか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態1では、上記受信された応答信号に含まれる開閉装置識別情報と、SA2にて送信された操作信号に含まれる開閉装置識別情報とが一致するか否かを判定し、これら開閉装置識別情報が一致する場合には応答信号が上記特定の開閉装置10から受信されたと判定し、これら開閉装置識別情報が一致しない場合には応答信号が上記特定の開閉装置10から受信されていないと判定する。また、上記応答信号が受信された場合には、中継側記憶部85に記憶されている操作信号であって、当該応答信号に対応する操作信号が消去されるものとする。
【0095】
そして、中継装置80の中継部84aは、上述した応答信号が受信されるまで待機し(SA3、No)、上述した応答信号が受信されたと判定された場合(SA3、Yes)にはSA1へ移行する(なお、上述した応答信号が受信された場合には、中継側記憶部85に記憶されている操作信号であって、当該応答信号に対応する操作信号が消去される)。
【0096】
SA4において中継装置80の中継部84aは、緊急操作信号(具体的には、緊急停止信号)を送信するタイミング(以下、「送信タイミング」と称する)が到来したか否かを判定する。
【0097】
この送信タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態1では、操作装置から緊急操作信号が受信されたか否か又は中継側操作部81を介して所定操作が受け付けられたか否かに基づいて判定し、緊急操作信号が受信された場合又は所定操作が受け付けられた場合には送信タイミングが到来したと判定し、緊急操作信号が受信されていない場合及び所定操作が受け付けられていない場合には送信タイミングが到来していないと判定する。
【0098】
なお、「所定操作」とは、例えば、中継側操作部81の設定ボタン又は/及びそれ以外のボタンが所定回数又は/及び所定時間押圧すること等が該当する。
【0099】
そして、中継装置80の中継部84aは、送信タイミングが到来したと判定された場合(SA4、Yes)にはSA5へ移行し、送信タイミングが到来していないと判定された場合(SA4、No)にはSA1へ移行する。
【0100】
SA5において中継装置80の中継部84aは、SA1にて受信された操作信号が保留されている状態(以下、「保留状態」と称する)であるか否かを判定する。
【0101】
ここで、「保留状態」は、実施の形態1では、SA1にて受信された操作信号が多数あり、又は/及び通信障害が生じていること等によって、当該受信された操作信号の少なくとも一部がSA2にて送信されずに中継装置80の中継側記憶部85に残っている(記憶されている)こと、又は/及び、当該受信された操作信号が送信されたものの、当該操作信号に対する応答信号が受信されていないことで、当該操作信号が中継装置80の中継側記憶部85に残っていること等が該当する。
【0102】
例えば、SA1にて受信された操作信号(以下、「第1の操作信号」と称する)が受信された後に、当該第1の操作信号が当該特定の開閉装置10に送信される前に、操作装置から操作信号(以下、「第2の操作信号」と称する)がさらに受信された場合には、この第2の操作信号が中継側記憶部85に残っていることから、保留状態に該当することになる。また、SA1にて受信された第1の操作信号が特定の開閉装置10に送信された後に、当該第1の操作信号に対する応答信号が当該特定の開閉装置10から受信される前に、操作装置から第2の操作信号がさらに受信された場合には、これら第1の操作信号及び第2の操作信号が中継装置80の中継側記憶部85に残っていることから、保留状態に該当することになる。
【0103】
なお、例えば、第1の操作信号が特定の開閉装置10に送信されてから所定時間内(例えば、1秒から2秒程度内)に、当該第1の操作信号に対する応答信号が当該特定の開閉装置10から受信されない場合には、中継装置80の中継部84aが、第1の操作信号を再度送信することで、応答信号を確実に受信できるようにしてもよい。
【0104】
また、実施の形態1では、SA1からSA3の処理は、SA4から後述のSA7の処理と並行して実行されるものとする。これにより、例えば、SA1からSA3の処理が並行して実行されている間に、保留状態が発生する場合がある。また、保留状態においてSA3にて応答信号が受信された場合に、SA2及びSA3の処理が並行して実行されることで、中継装置80の中継部84aは、中継側記憶部85に残っている操作信号を特定の開閉装置10に送信することが可能となり、且つ当該操作信号に対する応答信号を受信することが可能となる。
【0105】
また、この保留状態であるか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態1では、SA4の処理時において、SA1にて受信された操作信号が中継側記憶部85に残っているか否かに基づいて判定し、上記操作信号が中継側記憶部85に残っている場合には保留状態であると判定し、上記操作信号が中継側記憶部85に残っていない場合には保留状態でないと判定する。
【0106】
そして、中継装置80の中継部84aは、保留状態であると判定された場合(SA5、Yes)にはSA6へ移行し、保留状態でないと判定された場合(SA5、No)にはSA7へ移行する。
【0107】
SA6において中継装置80の中継部84aは、保留されている操作信号をすべて破棄する。
【0108】
この操作信号の破棄方法については任意であるが、例えば、SA6の処理時に中継側記憶部85に残っている操作信号をすべて消去することにより、破棄する。
【0109】
SA7において中継装置80の中継部84aは、緊急操作信号を複数の開閉装置10に送信し、その後SA1へ移行して、以降同様に、SA1からSA7の処理を繰り返す。
【0110】
この緊急操作信号の送信方法については任意であるが、実施の形態1では、複数の開閉装置10から緊急操作信号に対する応答信号が受信されたか否かに関わらず、緊急操作信号を複数の開閉装置10に順次送信すると共に、当該順次送信を複数回(例えば、2回から5回程度等)繰り返す。
【0111】
具体的には、複数の開閉装置10のいずれかの開閉装置10に当該開閉装置10を一意に識別する開閉装置識別情報を含めた緊急操作信号を送信した後に、当該送信した緊急操作信号に対する応答信号が受信されることを待つことなく、次の開閉装置10に当該開閉装置10を一意に識別する開閉装置識別情報を含めた緊急操作信号を送信するという処理を、複数の開閉装置10(具体的には、中継側記憶部85に登録されている複数の開閉装置識別情報に対応する複数の開閉装置10)のすべてに緊急操作信号が送信されるまで繰り返し、当該繰り返し処理を複数回繰り返す。
【0112】
なお、緊急操作信号に含まれる開閉装置識別情報は、例えば、中継装置80の中継部84aによって、中継装置80から送信される際に、中継側記憶部85に記憶されている開閉装置識別情報に基づいて含まれてもよい。
【0113】
一例として、第1開閉装置10aに当該第1開閉装置10aを一意に識別する開閉装置識別情報を含めた緊急操作信号を送信した後に、当該送信した緊急操作信号に対する応答信号が受信されることを待つことなく、第2開閉装置10bに当該第2開閉装置10bを一意に識別する開閉装置識別情報を含めた緊急操作信号を送信するという処理を2回繰り返すことにより、第1開閉装置10a及び第2開閉装置10bのすべてに緊急操作信号が送信されてもよい。
【0114】
この場合において、実施の形態1では、複数の開閉装置10の各々の開閉制御部74aは、緊急操作信号を受信した場合に、当該緊急操作信号に基づいて開閉体40の開閉移動を停止させる。さらに、複数の開閉装置10の各々の送信部74bは、上記受信した緊急操作信号に対する応答信号を送信しないものとすることで、不必要に応答信号を送信することを回避でき、開閉装置10の制御性を高めることができる。
【0115】
ただし、これに限らず、例えば、複数の開閉装置10の各々の送信部74bは、緊急操作信号を受信した場合に、当該緊急操作信号に対する応答信号を送信してもよい。
【0116】
このようなSA4からSA7の処理により、緊急操作信号を順次送信する場合に、複数の開閉装置10への緊急操作信号の中継を迅速に行うことができ、複数の開閉装置10において緊急な開閉体40の開閉移動の停止を迅速に行うことができる。また、保留状態において緊急操作信号を優先して中継でき、複数の開閉装置10への緊急操作信号の中継を一層迅速に行うことができる。さらに、保留されている操作信号をすべて破棄でき、複数の開閉装置10において緊急な開閉体40の開閉移動の停止が行われた後に、当該操作信号に基づいて開閉体40の開閉移動又は/及び当該開閉移動の停止が行われることを回避できる。また、緊急操作信号の順次送信を複数回繰り返すので、複数の開閉装置10への緊急操作信号の中継を確実に行うことができ、当該中継の信頼度を高めることができる。
【0117】
このような中継処理により、複数の開閉装置10への緊急操作信号の中継を迅速に行うことができる。よって、複数の開閉装置10において緊急に行われる開閉体40の開閉移動の停止を迅速に行うことができ、制御システム1の使用性を向上させることができる。
【0118】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、中継装置80は、操作装置から緊急操作信号が受信された場合又は所定操作が受け付けられた場合には、緊急操作信号を複数の開閉装置10に送信する中継部84aを備えるので、複数の開閉装置10への緊急操作信号の中継を迅速に行うことができる。よって、複数の開閉装置10において緊急に行われる開閉体40の開閉移動の停止を迅速に行うことができ、制御システム1の使用性を向上させることができる。
【0119】
また、中継部84aは、操作装置から緊急操作信号が受信された場合又は所定操作が受け付けられた場合には、複数の開閉装置10から緊急操作信号に対する応答信号が受信されたか否かに関わらず、緊急操作信号を複数の開閉装置10に順次送信するので、緊急操作信号を順次送信する場合に、複数の開閉装置10への緊急操作信号の中継を迅速に行うことができ、複数の開閉装置10において緊急な開閉体40の開閉移動の停止を迅速に行うことができる。
【0120】
また、中継部84aは、保留状態において、操作装置から緊急操作信号が受信された場合には、保留されている操作信号をすべて破棄した後に、緊急操作信号を複数の開閉装置10に順次送信するので、保留状態において緊急操作信号を優先して中継でき、複数の開閉装置10への緊急操作信号の中継を一層迅速に行うことができる。さらに、保留されている操作信号をすべて破棄でき、複数の開閉装置10において緊急な開閉体40の開閉移動の停止が行われた後に、当該操作信号に基づいて開閉体40の開閉移動又は/及び当該開閉移動の停止が行われることを回避できる。
【0121】
また、中継部84aは、操作装置から緊急操作信号が受信された場合には、複数の開閉装置10への緊急操作信号の順次送信を複数回繰り返すので、複数の開閉装置10への緊急操作信号の中継を確実に行うことができ、当該中継の信頼度を高めることができる。
【0122】
また、複数の開閉装置10の各々が、緊急操作信号以外の操作信号を受信した場合には、当該操作信号に対する応答信号を送信し、緊急操作信号を受信した場合には、当該緊急操作信号に対する応答信号を送信しない送信部74bを備えるので、不必要に応答信号を送信することを回避でき、開閉装置10の制御性を高めることができる。
【0123】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2に係る制御システムについて説明する。この実施の形態2は、中継装置が、緊急操作信号を1回送信する形態である。ただし、実施の形態2に係る構成及び処理は、特に説明する場合を除いては実施の形態1に係る構成及び処理と同じであるものとし、同一の構成及び処理については、実施の形態1で使用したものと同一の名称又は符号を必要に応じて用いることで、その説明を省略する。
【0124】
(構成)
最初に、実施の形態2に係る制御システム1の構成について説明する。
【0125】
実施の形態2に係る制御システム1は、実施の形態1に係る制御システム1の構成と略同一に構成されている。
【0126】
(中継処理)
次に、中継処理について説明する。
【0127】
実施の形態2に係る中継処理については、
図4のSA1からSA6の処理と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0128】
図4に示すように、SA7において中継装置80の中継部84aは、緊急操作信号を複数の開閉装置10に送信し、その後SA1へ移行して、以降同様に、SA1からSA7の処理を繰り返す。
【0129】
この緊急操作信号の送信方法については任意であるが、実施の形態2では、複数の開閉装置10の各々が緊急操作信号を受信可能とするための受信コード情報(例えば、複数の開閉装置10の各々に共通する受信用の識別コードを示す受信コード情報等)を含む緊急操作信号を1回送信することにより、当該緊急操作信号を複数の開閉装置10に中継可能とする。
【0130】
なお、緊急操作信号に含まれる受信コード情報は、例えば、中継装置80の中継部84aによって中継装置80から送信される際に含まれてもよく、あるいは、操作装置の制御部によって操作装置から送信される際に含まれてもよい。
【0131】
一例として、第1開閉装置10a及び第2開閉装置10bの各々が緊急操作信号を受信可能とするための受信コード情報を含む緊急操作信号を1回送信することにより、当該緊急操作信号が第1開閉装置10a及び第2開閉装置10bに中継されてもよい。
【0132】
このようなSA7の処理により、緊急操作信号を1回送信することで複数の開閉装置10に中継でき、複数の開閉装置10への緊急操作信号の中継を迅速且つ効率的に行うことができる。
【0133】
また、このような中継処理により、実施の形態1に係る中継処理と同様に、複数の開閉装置10への緊急操作信号の中継を迅速に行うことができる。よって、複数の開閉装置10において緊急に行われる開閉体40の開閉移動の停止を迅速に行うことができ、制御システム1の使用性を向上させることができる。
【0134】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、中継部84aは、操作装置から緊急操作信号が受信された場合又は所定操作が受け付けられた場合には、緊急操作信号を1回送信することにより、当該緊急操作信号を複数の開閉装置10に中継可能とするので、緊急操作信号を1回送信することで複数の開閉装置10に中継でき、複数の開閉装置10への緊急操作信号の中継を迅速且つ効率的に行うことができる。
【0135】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0136】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0137】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。例えば、実施の形態1に係る中継装置80を、相互に通信可能に構成された複数の装置に分散して構成し、これら複数の装置の一部に中継側制御部84を設けると共に、これら複数の装置の他の一部に中継側記憶部85を設けてもよい。
【0138】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0139】
(開閉装置について)
上記実施の形態1、2では、開閉装置10の設置数が2台であると説明したが、これに限らず、例えば、3台以上であってもよい。
【0140】
また、上記実施の形態1、2では、開閉装置10が送信部74bを備えていると説明したが、これに限らず、例えば、送信部74bを省略してもよい。
【0141】
(障害物検知部について)
上記実施の形態1、2では、障害物検知部64が、過負荷検知センサを用いて構成されていると説明したが、これに限らず、例えば、座板42に設けられる座板スイッチであってもよい。
【0142】
(緊急操作信号について)
上記実施の形態1、2では、緊急操作信号が緊急停止信号であると説明したが、これに限らず、例えば、緊急開放信号又は緊急閉鎖信号であってもよい。あるいは、操作装置においてユーザの操作によって選択された緊急停止信号、緊急開放信号、又は緊急閉鎖信号のいずれかであってもよい。この場合において、例えば、複数の開閉装置10の各々の開閉制御部74aは、緊急開放信号又は緊急閉鎖信号を受信した場合に、当該緊急開放信号又は緊急閉鎖信号に基づいて開閉体40の開放移動又は閉鎖移動させてもよい。これにより、複数の開閉装置10において緊急に行われる開閉体40の開閉移動を迅速に行うことができ、制御システム1の使用性を向上させることができる。
【0143】
(中継処理について)
上記実施の形態1では、中継装置80の中継部84aは、保留状態において、操作装置から緊急操作信号が受信された場合には、保留されている操作信号をすべて破棄した後に、緊急操作信号を複数の開閉装置10に順次送信すると説明したが、これに限らない。例えば、保留されている操作信号を破棄することなく、緊急操作信号を優先して順次送信した後に、保留されている操作信号を送信してもよい。あるいは、保留されている操作信号を破棄することなく、保留されている操作信号を優先して送信した後に、緊急操作信号を複数の開閉装置10に順次送信してもよい。
【0144】
また、上記実施の形態2では、中継装置80の中継部84aは、保留状態において、操作装置から緊急操作信号が受信された場合には、保留されている操作信号をすべて破棄した後に、緊急操作信号を1回送信すると説明したが、これに限らない。例えば、保留されている操作信号を破棄することなく、緊急操作信号を優先して送信した後に、保留されている操作信号を送信してもよい。あるいは、保留されている操作信号を破棄することなく、保留されている操作信号を優先して送信した後に、緊急操作信号を1回送信してもよい。
【0145】
また、上記実施の形態1では、中継装置80の中継部84aは、操作装置から緊急操作信号が受信された場合には、複数の開閉装置10への緊急操作信号の順次送信を複数回繰り返すと説明したが、これに限らず、例えば、複数の開閉装置10への緊急操作信号の順次送信を1回のみ行ってもよい。
【0146】
また、上記実施の形態2では、中継装置80の中継部84aは、操作装置から緊急操作信号が受信された場合には、緊急操作信号を1回だけ送信すると説明したが、これに限らず、例えば、複緊急操作信号を複数回送信してもよい。
【0147】
また、上記実施の形態1、2では、SA3において応答信号を待機している間には、中継装置80の中継部84aは、送信タイミングが到来したか否かを判定しないと説明したが、これに限らない。例えば、SA3において応答信号の受信を待機している間に送信タイミングが到来したか否かを判定し、送信タイミングが到来した場合には、SA5へ移行してもよい。
【0148】
また、上記実施の形態1、2では、SA7の処理後にSA1へ移行して、中継装置80の中継部84aが、操作装置から操作信号を受信可能とすると説明したが、これに限らない。例えば、SA7の処理後に、中継装置80の中継部84aは、所定時間(例えば、3分から5分程度)経過するまで待機し、所定時間経過後にSA1へ移行してもよい。すなわち、緊急操作信号を送信した後に所定時間経過するまで操作装置から送信される操作信号を受信しないようにしてもよい。
【0149】
(付記)
付記1の制御システムは、建物の複数の開口部の各々に設けられた複数の開閉装置と、前記複数の開閉装置と通信可能な中継装置であり、前記開閉装置を操作する操作装置から受信した操作信号を前記複数の開閉装置に中継する中継装置と、を備える制御システムであって、前記複数の開閉装置の各々は、前記開口部を開閉する開閉体と、前記操作信号に基づいて、前記開閉体を開閉移動させる開閉制御手段と、を備え、前記操作信号は、前記開閉体の開閉移動又は/及び当該開閉移動の停止を緊急に行うための緊急操作信号を含み、前記中継装置は、前記操作装置から前記緊急操作信号が受信された場合又は所定操作が受け付けられた場合には、前記緊急操作信号を前記複数の開閉装置に送信する中継手段を備える。
【0150】
付記2の制御システムは、付記1に記載の制御システムにおいて、前記中継手段は、前記操作装置から前記緊急操作信号が受信された場合又は前記所定操作が受け付けられた場合には、前記複数の開閉装置から前記緊急操作信号に対する応答信号が受信されたか否かに関わらず、前記緊急操作信号を前記複数の開閉装置に順次送信する。
【0151】
付記3の制御システムは、付記2に記載の制御システムにおいて、前記中継手段は、前記操作装置から受信された前記緊急操作信号以外の前記操作信号が保留されている保留状態において、前記操作装置から前記緊急操作信号が受信された場合には、当該保留されている前記操作信号をすべて破棄した後に、前記緊急操作信号を前記複数の開閉装置に順次送信する。
【0152】
付記4の制御システムは、付記2又は3に記載の制御システムにおいて、前記中継手段は、前記操作装置から前記緊急操作信号が受信された場合には、前記複数の開閉装置への前記緊急操作信号の順次送信を複数回繰り返す。
【0153】
付記5の制御システムは、付記2から4のいずれか一項に記載の制御システムにおいて、前記複数の開閉装置の各々は、前記緊急操作信号以外の前記操作信号を受信した場合には、当該操作信号に対する前記応答信号を送信し、前記緊急操作信号を受信した場合には、当該緊急操作信号に対する前記応答信号を送信しない送信手段を備える。
【0154】
付記6の制御システムは、付記1に記載の制御システムにおいて、前記緊急操作信号は、前記複数の開閉装置の各々が当該緊急操作信号を受信可能とするための受信コード情報を含み、前記中継手段は、前記操作装置から前記緊急操作信号が受信された場合又は前記所定操作が受け付けられた場合には、前記緊急操作信号を1回送信することにより、当該緊急操作信号を前記複数の開閉装置に中継可能とする。
【0155】
付記7の中継装置は、建物の複数の開口部の各々に設けられた複数の開閉装置であって、前記開口部を開閉する開閉体をそれぞれ備える複数の開閉装置と通信可能な中継装置であり、前記開閉装置を操作する操作装置から受信した操作信号を前記複数の開閉装置に中継する中継装置であって、前記操作信号は、前記開閉体の開閉移動又は/及び当該開閉移動の停止を緊急に行うための緊急操作信号を含み、前記操作装置から前記緊急操作信号が受信された場合又は所定操作が受け付けられた場合には、前記緊急操作信号を前記複数の開閉装置に送信する中継手段を備える。
【0156】
(付記の効果)
付記1に記載の制御システム、及び付記7に記載の中継装置によれば、中継装置は、操作装置から緊急操作信号が受信された場合又は所定操作が受け付けられた場合には、緊急操作信号を複数の開閉装置に送信する中継手段を備えるので、複数の開閉装置への緊急操作信号の中継を迅速に行うことができる。よって、複数の開閉装置において緊急に行われる開閉体の開閉移動又は/及び当該開閉移動の停止を迅速に行うことができ、制御システムの使用性を向上させることができる。
【0157】
付記2に記載の制御システムによれば、中継手段は、操作装置から緊急操作信号が受信された場合又は所定操作が受け付けられた場合には、複数の開閉装置から緊急操作信号に対する応答信号が受信されたか否かに関わらず、緊急操作信号を複数の開閉装置に順次送信するので、緊急操作信号を順次送信する場合に、複数の開閉装置への緊急操作信号の中継を迅速に行うことができ、複数の開閉装置において緊急な開閉体の開閉移動又は/及び当該開閉移動の停止を迅速に行うことができる。
【0158】
付記3に記載の制御システムによれば、中継手段は、保留状態において、操作装置から緊急操作信号が受信された場合には、保留されている操作信号をすべて破棄した後に、緊急操作信号を複数の開閉装置に順次送信するので、保留状態において緊急操作信号を優先して中継でき、複数の開閉装置への緊急操作信号の中継を一層迅速に行うことができる。さらに、保留されている操作信号をすべて破棄でき、複数の開閉装置において緊急な開閉体の開閉移動の停止が行われた後に、当該操作信号に基づいて開閉体の開閉移動又は/及び当該開閉移動の停止が行われることを回避できる。
【0159】
付記4に記載の制御システムによれば、中継手段は、操作装置から緊急操作信号が受信された場合には、複数の開閉装置への緊急操作信号の順次送信を複数回繰り返すので、複数の開閉装置への緊急操作信号の中継を確実に行うことができ、当該中継の信頼度を高めることができる。
【0160】
付記5に記載の制御システムによれば、複数の開閉装置の各々が、緊急操作信号以外の操作信号を受信した場合には、当該操作信号に対する応答信号を送信し、緊急操作信号を受信した場合には、当該緊急操作信号に対する応答信号を送信しない送信手段を備えるので、不必要に応答信号を送信することを回避でき、開閉装置の制御性を高めることができる。
【0161】
付記6に記載の制御システムによれば、中継手段は、操作装置から緊急操作信号が受信された場合又は所定操作が受け付けられた場合には、緊急操作信号を1回送信することにより、当該緊急操作信号を複数の開閉装置に中継可能とするので、緊急操作信号を1回送信することで複数の開閉装置に中継でき、複数の開閉装置への緊急操作信号の中継を迅速且つ効率的に行うことができる。
【符号の説明】
【0162】
1 制御システム
2 開口部
3 配線
10 開閉装置
10a 第1開閉装置
10b 第2開閉装置
20 収納部
30 ガイドレール
40 開閉体
41 スラット
42 座板
50 開閉機
60 開閉側制御システム
61 開閉側操作部
62 位置検知部
63 回転数検知部
64 障害物検知部
70 開閉側制御ユニット
71 第1開閉側通信部
72 第2開閉側通信部
73 開閉側電源部
74 開閉側制御部
74a 開閉制御部
74b 送信部
75 開閉側記憶部
80 中継装置
81 中継側操作部
82 中継側通信部
83 中継側電源部
84 中継側制御部
84a 中継部
85 中継側記憶部