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特開2023-77705ゲームプログラム、ゲーム装置、ゲームシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077705
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】ゲームプログラム、ゲーム装置、ゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/79 20140101AFI20230530BHJP
   A63F 13/58 20140101ALI20230530BHJP
   A63F 13/65 20140101ALI20230530BHJP
   A63F 13/30 20140101ALI20230530BHJP
【FI】
A63F13/79
A63F13/58
A63F13/65
A63F13/30
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191096
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】奥山 幹樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲
(72)【発明者】
【氏名】津原 一成
(72)【発明者】
【氏名】川上 智司
(72)【発明者】
【氏名】北口 里英
(72)【発明者】
【氏名】田中 大将
(72)【発明者】
【氏名】植村 文子
(57)【要約】
【課題】ゲームの興趣性を向上させることが可能なゲームプログラムを提供する。
【解決手段】ゲームプログラムは、制御部56を、ユーザの仮想空間内の役割を特定する役割特定手段565と、ユーザの現実世界のユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段566と、現実世界のユーザ情報に基づいて、役割に対応するユーザ属性を第1ユーザが有しているか否かを判定するユーザ属性判定手段567と、ユーザ属性をユーザが有している場合、ユーザ属性に基づいて、役割に対応する仮想属性をユーザに付与する属性付与手段568と、として機能させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
第1ユーザの仮想空間内の役割を特定する役割特定手段と、
前記第1ユーザの現実世界のユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段と、
前記現実世界のユーザ情報に基づいて、前記役割に対応するユーザ属性を前記第1ユーザが有しているか否かを判定するユーザ属性判定手段と、
前記ユーザ属性を前記第1ユーザが有している場合、前記ユーザ属性に基づいて、前記役割に対応する仮想属性を前記第1ユーザに付与する属性付与手段と、として機能させる
ゲームプログラム。
【請求項2】
前記属性付与手段は、前記第1ユーザが前記ユーザ属性を有している場合、前記第1ユーザが前記ユーザ属性を有していない場合と比較して、前記役割に基づいて前記第1ユーザがゲームを進行させることを有利または不利にする仮想属性を前記第1ユーザに付与する
請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記ユーザ属性は、複数のレベルを含んでおり、
前記属性付与手段は、前記レベルに応じて、前記役割に基づいて前記第1ユーザが前記仮想空間における行動を実行させる上での有利の度合い、または不利の度合いを変化させる
請求項2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記属性付与手段は、前記役割に基づいて前記第1ユーザが前記行動を実行させることにより前記第1ユーザの前記仮想属性を更新する
請求項3に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記仮想属性には、第1仮想属性と、第2仮想属性とが含まれ、
前記属性付与手段は、前記役割に基づいて前記第1ユーザが前記行動を実行させることにより前記第1仮想属性のレベルが所定のレベルに達することに基づいて、前記第1ユーザの前記仮想属性の更新として、前記第2仮想属性を前記第1ユーザに付与する
請求項4に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記第1ユーザとは別のユーザを第2ユーザとするとき、
前記属性付与手段は、前記第1ユーザが前記ユーザ属性を有している場合、前記第1ユーザが前記ユーザ属性を有していない場合と比較して、前記第2ユーザが前記仮想空間における行動を実行させることを有利または不利にするように前記第2ユーザを補助することが可能な仮想属性を前記第1ユーザに付与する
請求項2~5のいずれか一項に記載のゲームプログラム。
【請求項7】
前記ユーザ属性には、現実世界の認定機関により承認される第1認定情報が含まれている
請求項1~6のいずれか一項に記載のゲームプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、
ゲームの進行による前記第1ユーザのプレイ履歴に基づいて、現実世界において前記第1ユーザが利用可能であって、且つ前記ユーザ属性と関連した第2認定情報を前記第1ユーザに発行する認定情報発行手段として更に機能させる
請求項1~7のいずれか一項に記載のゲームプログラム。
【請求項9】
前記第2認定情報は、現実世界の認定機関による承認により現実世界で利用可能となる情報である
請求項8に記載のゲームプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータを、
前記第2認定情報を管理する管理手段として更に機能させ、
前記管理手段は、前記第1ユーザに関連付けられている端末装置とは別の端末装置からのアクセスに基づいて前記第2認定情報を前記別の端末装置に提供する
請求項8または9に記載のゲームプログラム。
【請求項11】
前記コンピュータを、
前記仮想空間において前記第1ユーザから他のユーザに対する役務の提供または仮想媒体の提供を可能とするゲーム実行手段と、
前記第1ユーザから前記他のユーザへの前記役務の提供の対価または前記仮想媒体の提供の対価として現実世界における通貨に換金可能な仮想通貨を前記第1ユーザに関連付ける仮想通貨付与手段と、として更に機能させる
請求項8~10のいずれか一項に記載のゲームプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータを、
前記役務の提供、前記仮想媒体の提供、または前記仮想通貨の受領に応じて前記第1ユーザにポイントを付与するポイント付与手段として更に機能させ、
前記認定情報発行手段は、前記第1ユーザに付与されるポイントの蓄積量に基づいて前記第2認定情報を前記第1ユーザに発行する
請求項11に記載のゲームプログラム。
【請求項13】
前記ポイント付与手段は、前記仮想属性に基づいて前記第1ユーザに対するポイントの付与を優遇する
請求項12に記載のゲームプログラム。
【請求項14】
前記ゲーム実行手段は、前記仮想属性または前記ポイントに基づいて、前記役務の提供または前記仮想媒体の提供を優遇する
請求項12または13に記載のゲームプログラム。
【請求項15】
第1ユーザのゲーム内の役割を特定する役割特定部と、
前記第1ユーザの現実世界のユーザ情報を取得するユーザ情報取得部と、
前記現実世界のユーザ情報に基づいて、前記役割に対応するユーザ属性を前記第1ユーザが有しているか否かを判定するユーザ属性判定部と、
前記ユーザ属性を前記第1ユーザが有している場合、前記ユーザ属性に基づいて、前記役割に対応する仮想属性を前記第1ユーザに付与する属性付与部と、を備える
ゲーム装置。
【請求項16】
第1ユーザのゲーム内の役割を特定する役割特定部と、
前記第1ユーザの現実世界のユーザ情報を取得するユーザ情報取得部と、
前記現実世界のユーザ情報に基づいて、前記役割に対応するユーザ属性を前記第1ユーザが有しているか否かを判定するユーザ属性判定部と、
前記ユーザ属性を前記第1ユーザが有している場合、前記ユーザ属性に基づいて、前記役割に対応する仮想属性を前記第1ユーザに付与する属性付与部と、を備える
ゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームプログラム、ゲーム装置、およびゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1に記載のゲーム装置では、ユーザが所望のキャラクタを操作することで仮想空間を探索可能である。仮想空間内では広告などを設置することが可能である。このゲーム装置では、仮想空間内における各ユーザの行動履歴から広告を設置するのに適した仮想空間内の土地の認定や地価の算出が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-248844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるようなゲーム装置では、現実世界と仮想空間とに何らかの繋がりを設けることができれば、ゲームの興趣性を更に向上させることが可能であると考えられる。
本開示の目的は、ゲームの興趣性を向上させることが可能なゲームプログラム、ゲーム装置、およびゲームシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の側面は、コンピュータを、
第1ユーザの仮想空間内の役割を特定する役割特定手段と、
前記第1ユーザの現実世界のユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段と、
前記現実世界のユーザ情報に基づいて、前記役割に対応するユーザ属性を前記第1ユーザが有しているか否かを判定するユーザ属性判定手段と、
前記ユーザ属性を前記第1ユーザが有している場合、前記ユーザ属性に基づいて、前記役割に対応する仮想属性を前記第1ユーザに付与する属性付与手段と、として機能させる
ゲームプログラムである。
【0006】
第1の側面において、前記属性付与手段は、前記第1ユーザが前記ユーザ属性を有している場合、前記第1ユーザが前記ユーザ属性を有していない場合と比較して、前記役割に基づいて前記第1ユーザがゲームを進行させることを有利または不利にする仮想属性を前記第1ユーザに付与することができる
第1の側面において、前記ユーザ属性は、複数のレベルを含んでおり、
前記属性付与手段は、前記レベルに応じて、前記役割に基づいて前記第1ユーザが前記仮想空間における行動を実行させる上での有利の度合い、または不利の度合いを変化させることができる。
【0007】
第1の側面において、前記属性付与手段は、前記役割に基づいて前記第1ユーザが前記行動を実行させることにより前記第1ユーザの前記仮想属性を更新することができる。
第1の側面において、前記仮想属性には、第1仮想属性と、第2仮想属性とが含まれ、
前記属性付与手段は、前記役割に基づいて前記第1ユーザが前記行動を実行させることにより前記第1仮想属性のレベルが所定のレベルに達することに基づいて、前記第1ユーザの前記仮想属性の更新として、前記第2仮想属性を前記第1ユーザに付与することができる。
【0008】
第1の側面において、前記第1ユーザとは別のユーザを第2ユーザとするとき、
前記属性付与手段は、前記第1ユーザが前記ユーザ属性を有している場合、前記第1ユーザが前記ユーザ属性を有していない場合と比較して、前記第2ユーザが前記仮想空間における行動を実行させることを有利または不利にするように前記第2ユーザを補助することが可能な仮想属性を前記第1ユーザに付与することができる。
【0009】
第1の側面において、前記ユーザ属性には、現実世界の認定機関により承認される第1認定情報が含まれていてもよい。
第1の側面において、前記コンピュータを、
ゲームの進行による前記第1ユーザのプレイ履歴に基づいて、現実世界において前記第1ユーザが利用可能であって、且つ前記ユーザ属性と関連した第2認定情報を前記第1ユーザに発行する認定情報発行手段として更に機能させることができる。
【0010】
第1の側面において、前記第2認定情報は、現実世界の認定機関による承認により現実世界で利用可能となる情報であってもよい。
第1の側面において、前記コンピュータを、
前記第2認定情報を管理する管理手段として更に機能させ、
前記管理手段は、前記第1ユーザに関連付けられている端末装置とは別の端末装置からのアクセスに基づいて前記第2認定情報を前記別の端末装置に提供することができる。
【0011】
第1の側面において、前記コンピュータを、
前記仮想空間において前記第1ユーザから他のユーザに対する役務の提供または仮想媒体の提供を可能とするゲーム実行手段と、
前記第1ユーザから前記他のユーザへの前記役務の提供の対価または前記仮想媒体の提供の対価として現実世界における通貨に換金可能な仮想通貨を前記第1ユーザに関連付ける仮想通貨付与手段と、として更に機能させることができる。
【0012】
第1の側面において、前記コンピュータを、
前記役務の提供、前記仮想媒体の提供、または前記仮想通貨の受領に応じて前記第1ユーザにポイントを付与するポイント付与手段として更に機能させ、
前記認定情報発行手段は、前記第1ユーザに付与されるポイントの蓄積量に基づいて前記第2認定情報を前記第1ユーザに発行することができる。
【0013】
第1の側面において、前記ポイント付与手段は、前記仮想属性に基づいて前記第1ユーザに対するポイントの付与を優遇することができる。
第1の側面において、前記ゲーム実行手段は、前記仮想属性または前記ポイントに基づいて、前記役務の提供または前記仮想媒体の提供を優遇することができる。
【0014】
第2の側面は、
第1ユーザのゲーム内の役割を特定する役割特定部と、
前記第1ユーザの現実世界のユーザ情報を取得するユーザ情報取得部と、
前記現実世界のユーザ情報に基づいて、前記役割に対応するユーザ属性を前記第1ユーザが有しているか否かを判定するユーザ属性判定部と、
前記ユーザ属性を前記第1ユーザが有している場合、前記ユーザ属性に基づいて、前記役割に対応する仮想属性を前記第1ユーザに付与する属性付与部と、を備える
ゲーム装置である。
【0015】
第3の側面は、
第1ユーザのゲーム内の役割を特定する役割特定部と、
前記第1ユーザの現実世界のユーザ情報を取得するユーザ情報取得部と、
前記現実世界のユーザ情報に基づいて、前記役割に対応するユーザ属性を前記第1ユーザが有しているか否かを判定するユーザ属性判定部と、
前記ユーザ属性を前記第1ユーザが有している場合、前記ユーザ属性に基づいて、前記役割に対応する仮想属性を前記第1ユーザに付与する属性付与部と、を備える
ゲームシステムである。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、ゲームの興趣性を向上させることが可能なゲームプログラム、ゲーム装置、およびゲームシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態のゲームシステムの概略構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態のゲーム用サーバ装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態の資格情報等管理サーバ装置の概略構成を示すブロック図である。
図4】第1実施形態のゲーム装置の概略構成を示すブロック図である。
図5】第1実施形態のゲームの概要を模式的に示す図である。
図6】第1実施形態のゲームにおける業務、現実世界の能力、仮想空間の業務レベル、必要信用度、信用度の付与上限値、および仮想通貨の取得上限値の関係を示す図である。
図7】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図8】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図9】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図10】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図11】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図12】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図13】第1実施形態のゲームシステムの動作例を示すフローチャートである。
図14】第2実施形態のユーザDBに記憶されている情報の一例を模式的に示す図である。
図15】第2実施形態のゲームにおいてユーザに付与される認定情報の一例を示す図である。
図16】第2実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図17】第2実施形態のゲームシステムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
本開示のゲームシステム1の第1実施形態について図面を参照して説明する。
<ゲームの説明>
図1に示されるゲームシステム1では、ゲーム用サーバ装置2、資格情報等管理サーバ装置3、および複数のゲーム装置5が通信ネットワーク6を介して互いに通信可能に接続されており、ゲーム装置5においてゲームが実行される。
【0019】
本実施形態のゲームは、ゲームシステム1において実行されるオンラインのゲームである。このゲームでは、ゲーム装置5のユーザが、プレイヤキャラクタを仮想ゲーム空間内で活動させることができる。具体的には、ユーザは、プレイヤキャラクタを介して仮想空間内のサービスを利用したり、他のユーザとコミュニケーションを取ったりすることができる。
【0020】
本実施形態のゲームでは、仮想空間内に現実世界と類似の経済圏が形成されており、仮想空間を通じて現実世界と類似の体験がプレイヤキャラクタを介してユーザに提供される。例えばユーザは、プレイヤキャラクタを操作して仮想空間内で各種活動、例えば他のユーザにサービスを提供したり、他のユーザに仮想媒体を販売したりすることができる。仮想媒体とは、ゲームに関する要素を表した電子データであって、仮想空間内で使用可能なアイテム、仮想空間内に存在する土地などである。
【0021】
本実施形態のゲームでは、仮想空間内でプレイヤキャラクタが就くことが可能な複数の職業、例えば製造業や保険コンサルタントなどの職業が用意されている。ユーザは、複数の職業のうちのいずれかにプレイヤキャラクタを就かせることにより、その職業に対応したサービスを仮想空間内で提供することができる。例えば、仮想空間内でプレイヤキャラクタが保険コンサルタントの職業に就いている場合、ユーザは、仮想空間内に存在する各種保険サービスに関するアドバイスを他のユーザに対して行うことが可能となる。
【0022】
本実施形態のゲームでは、ユーザが仮想空間内で各種活動を行うことにより、仮想空間内で使用可能な仮想通貨を獲得することができる。例えば保険コンサルタントの職業に就いているプレイヤキャラクタを介して他のユーザに仮想通貨に関する各種アドバイスを行った場合には、報酬として、他のユーザから仮想通貨を獲得することができる。ユーザは、獲得した仮想通貨を消費することにより、他のユーザから各種サービスを受けたり、仮想空間内の仮想媒体を取得したりすることができる。
【0023】
なお、「仮想媒体をユーザが取得する」とは「仮想媒体を、ユーザを示す識別情報と関連付ける」と同義である。また、「仮想媒体をユーザが所有する」とは「仮想媒体が、ユーザを示す識別情報に関連付けられている」と同義である。
このようなゲームは、プレイステーション(登録商標)などの家庭用ゲーム機、ニンテンドースイッチ(登録商標)などの携帯用ゲーム機、もしくはパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどの電子機器であるゲーム装置5を用いて実行される。以下では、ゲーム装置5がスマートフォンである場合を例示する。
【0024】
<ゲームシステムの概要>
ゲームシステム1は、ゲーム用サーバ装置2、複数のゲーム装置5、および資格情報等管理サーバ装置3により構成される。
ゲーム用サーバ装置2は、ゲームプログラムおよびゲームデータを記憶しており、ゲーム装置5のゲームデータの管理、より詳細にはアカウント毎のゲームデータの管理を行う。
【0025】
ゲーム装置5はユーザの操作に基づいて所定のゲームを実行する。そのために、ゲーム装置5は通信ネットワーク6を介してゲーム用サーバ装置2からゲームプログラムおよびゲームデータの受信、具体的にはダウンロードおよびインストールを行う。各ユーザには、ゲーム装置5に対応付けられて、識別情報およびパスワードを含むアカウント情報が割り当てられている。このアカウント情報は、ログイン時にゲーム装置5からゲーム用サーバ装置2に送信されて、ゲーム用サーバ装置2におけるユーザ認証に利用される。
【0026】
ユーザ認証を経てゲーム用サーバ装置2とゲーム装置5との相互通信が可能となる。ログイン後、ゲーム装置5は、ゲーム進行に必要なデータ、例えばゲーム進行状況に関するデータをゲーム用サーバ装置2から受信すると、ユーザの操作に基づいてゲーム画像および音声をディスプレイ61およびスピーカ62からそれぞれ出力しつつ、ゲームを進行させる。
【0027】
資格情報等管理サーバ装置3は現実世界のユーザ情報を管理している。ユーザ情報には、現実世界でユーザが有している資格情報やユーザの実務経験などが含まれている。資格情報は、弁護士や弁理士、ファイナンシャルプランナ(以下、「FP」と称する)などの資格を有しているか否かを示す情報である。実務経験には、例えば実務の経験年数などが含まれている。資格情報等管理サーバ装置3は、ゲーム用サーバ装置2やゲーム装置5からの要求に基づいて、現実世界のユーザ情報をゲーム用サーバ装置2やゲーム装置5に提供する。
【0028】
<ゲームシステムの構成>
以下、ゲーム用サーバ装置2、資格情報等管理サーバ装置3、およびゲーム装置5の各ハードウェア構成について説明する。なお、複数のゲーム装置5のそれぞれは互いに同一の構成を有している。
【0029】
<サーバ装置の構成>
図2に示されるように、ゲーム用サーバ装置2は、ネットワークインターフェース21、記憶部22、および制御部23を有している。ネットワークインターフェース21および記憶部22はバス29を介して制御部23と電気的に接続されている。
【0030】
ネットワークインターフェース21はインターネットおよびLANなどの通信ネットワーク6を介して資格情報等管理サーバ装置3および各ゲーム装置5と通信可能に接続されている。
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、およびSSD(Solid State Drive)などで構成されている。記憶部22には、本実施形態のゲームプログラムの一部を含む各種プログラムの他、ユーザDB(Data Base)221などの各種データが記憶されている。
【0031】
ユーザDB221には、ゲームをプレイするユーザの識別番号毎に、ユーザが現実世界で有する個人識別番号、ユーザ情報、ユーザに付与された仮想媒体、およびユーザが操作するプレイヤキャラクタに関する情報などが対応付けられて記憶されている。ユーザが現実世界で有する個人識別番号は、現実社会で個人を識別することが可能な識別番号であって、例えばマイナンバーカードなどを通じて公的機関から付与されるマイナンバーである。以下では、個人識別番号がマイナンバーである場合を例に挙げて説明する。ユーザ情報は、仮想空間内におけるユーザ名、およびユーザランクなどの情報を含む。プレイヤキャラクタに関する情報は、プレイヤキャラクタのレベルやステータス、当該プレイヤキャラクタに関連付けられたアイテムなどである。また、プレイヤキャラクタに関する情報には、プレイヤキャラクタに関連付けられている仮想通貨の額や、仮想空間内の職業なども含まれている。
【0032】
図2に示される制御部23は、CPUおよび半導体メモリを有するマイクロコンピュータで構成されており、ゲーム用サーバ装置2の動作を制御する。制御部23は、各種プログラムを実行することにより、情報処理手段231、および照合手段232として機能する。本実施形態では、これらの手段231,232が情報処理部および照合部にそれぞれ相当する。
【0033】
―情報処理手段―
情報処理手段231は資格情報等管理サーバ装置3および各ゲーム装置5との間で各種データを送受信する。情報処理手段231が資格情報等管理サーバ装置3から受信する主なデータとしては、現実世界のユーザ情報などが挙げられる。情報処理手段231が資格情報等管理サーバ装置3に送信する主なデータとしては、ユーザのマイナンバーが挙げられる。情報処理手段231がゲーム装置5から受信する主なデータとしては、ゲームプログラムのダウンロード要求情報、アカウント情報、ゲームデータなどが挙げられる。情報処理手段231がゲーム装置5に送信する主なデータとしては、ゲームプログラムをゲーム装置5が受信したことを確認するための情報、ユーザが取得した仮想媒体に関する情報などが挙げられる。
【0034】
―照合手段―
照合手段232は、ゲーム装置5から受信したユーザの識別情報を用いてユーザアカウントの認証を行う。
<資格情報等管理サーバ装置>
図3に示されるように、資格情報等管理サーバ装置3は、ネットワークインターフェース31、記憶部32、および制御部33を有している。ネットワークインターフェース31および記憶部32はバス39を介して制御部33と電気的に接続されている。
【0035】
ネットワークインターフェース31はインターネットおよびLANなどの通信ネットワーク6を介してゲーム用サーバ装置2および各ゲーム装置5と通信可能に接続されている。
記憶部32は、HDD、ROM、およびSSDなどで構成されている。記憶部32には、資格情報等DB321などの各種データが記憶されている。
【0036】
資格情報等DB321には、現実世界で各ユーザに付与されているマイナンバー毎に、ユーザが現実世界で有している資格情報や、実務の経験年数などが対応付けられて記憶されている。なお、資格情報等DB321に記憶されている資格情報や実務経験などは、現実世界の各種認定機関により認定されている情報である。
【0037】
図3に示される制御部33は、CPUおよび半導体メモリを有するマイクロコンピュータで構成されており、資格情報等管理サーバ装置3の動作を制御する。制御部33は、各種プログラムを実行することにより、情報処理手段331、照合手段332、および管理手段333として機能する。本実施形態では、これらの手段331~333が情報処理部、照合部、および管理部にそれぞれ相当する。
【0038】
―情報処理手段―
情報処理手段231はゲーム用サーバ装置2および各ゲーム装置5との間で各種データを送受信する。情報処理手段231がゲーム用サーバ装置2および各ゲーム装置5から受信する主なデータとしては、ユーザのマイナンバーの情報などが挙げられる。情報処理手段231がゲーム用サーバ装置2および各ゲーム装置5に送信する主なデータとしては、ユーザの資格情報などが挙げられる。
【0039】
―照合手段―
照合手段232は、ゲーム用サーバ装置2およびゲーム装置5から送信されるマイナンバーの情報などに用いてユーザの認証を行う。
―管理手段―
管理手段333は、資格情報等DB321に記憶されている情報を管理する。
【0040】
<ゲーム装置の構成>
図4に示されるように、ゲーム装置5には、ディスプレイ61、スピーカ62、およびタッチパッド63が外部接続または内蔵されている。また、ゲーム装置5は、ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、記憶部55、および制御部56を有している。ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、および記憶部55はバス59を介して制御部56と電気的に接続されている。
【0041】
ネットワークインターフェース51は、ゲーム用サーバ装置2および資格情報等管理サーバ装置3との間で各種データを送受信するために通信ネットワーク6に通信可能に接続されている。
グラフィック処理部52は、制御部56から出力されるゲーム画像情報に基づいて動画形式でゲーム画像を描画する。ゲーム画像には、キャラクタおよび仮想ゲーム空間に関する各種オブジェクトが含まれる。グラフィック処理部52は、例えば液晶型のディスプレイ61に接続されており、動画形式で描画されたゲーム画像をゲーム画面としてディスプレイ61上に表示する。
【0042】
オーディオ処理部53は、スピーカ62に接続されており、制御部56の指示に基づいてゲーム音声を再生および合成するとともに、そのゲーム音声をスピーカ62から出力させる。
操作部54は、タッチパッド63に接続されており、操作および入力に関するデータをタッチパッド63との間で送受信する。ユーザはタッチパッド63をタッチ操作することでゲーム装置5に操作信号を入力することができる。
【0043】
記憶部55はHDD、SSD、RAM、およびROMなどで構成されている。記憶部55には、ゲーム用サーバ装置2からダウンロードしたゲームデータ、ゲームプログラムの一部を含む各種プログラム、およびゲーム装置5のアカウント情報などが格納されている。
制御部56は、CPUや半導体メモリを有するマイクロコンピュータで構成されており、ゲーム装置5の動作を制御する。制御部56は、各種プログラムを実行することにより、通信手段561、ゲーム実行手段562、仮想通貨付与手段563、ポイント付与手段564、役割特定手段565、ユーザ情報取得手段566、ユーザ属性判定手段567、属性付与手段568、音声制御手段569、および表示制御手段570として機能する。
【0044】
―通信手段―
通信手段561はネットワークインターフェース51を介してゲーム用サーバ装置2および資格情報等管理サーバ装置3と通信を行う。
通信手段561は、操作部54がタッチパッド63から受信した各種操作信号に基づいて、ゲーム用サーバ装置2および資格情報等管理サーバ装置3が把握可能な情報を生成するとともに、その情報をゲーム用サーバ装置2および資格情報等管理サーバ装置3に送信する。
【0045】
例えば通信手段561はアカウント情報、新たなゲームデータのダウンロード要求情報などをゲーム用サーバ装置2に送信する。また、通信手段561は、ダウンロード要求情報に応じてゲーム用サーバ装置2から送信される新たなゲームデータなどを受信する。
さらに、通信手段561は、ユーザのマイナンバーの情報を資格情報等管理サーバ装置3に送信する。また、通信手段561は、マイナンバーの送信に基づいて資格情報等管理サーバ装置3から送信される現実世界のユーザ情報などを受信する。
【0046】
―ゲーム実行手段、ポイント付与手段、仮想通貨付与手段―
ゲーム実行手段562は、ユーザによるタッチパッド63の操作に基づいて、ゲームデータに含まれる仮想ゲーム空間オブジェクトおよびテクスチャなどのデータを、記憶部55から読み込む、またはゲーム用サーバ装置2から受信する。ゲーム実行手段562は、仮想ゲーム空間オブジェクトおよびテクスチャなどのデータを用いてゲームプログラムを実行しつつ、2次元または3次元のゲーム画像情報を生成する。ゲーム画像情報がグラフィック処理部52により処理されることで、その処理後のゲーム画像がディスプレイ61に逐次表示される。
【0047】
ゲーム実行手段562は、ゲーム画像上に、ゲーム装置5のユーザの操作に基づいてキャラクタを配置させて、そのユーザの操作およびゲームの進行状況に応じて仮想ゲーム空間におけるキャラクタの行動を制御する。
例えば、ゲーム実行手段562は、ゲーム開始時にユーザがタッチパッド63を操作して複数の職業のうちのいずれかを選択すると、選択された職業をユーザおよびプレイヤキャラクタに関連付ける。その後、ゲーム実行手段562は、タッチパッド63に対するユーザの操作に基づいてプレイヤキャラクタを仮想空間内で動作させる。例えば、ゲーム実行手段562は、タッチパッド63に対するユーザの操作に基づいて、他のユーザへの役務の提供または仮想媒体の提供を仮想空間内で実行する。
【0048】
具体的には、ゲーム実行手段562は、仮想空間内でユーザが保険コンサルタントの職業に就いている場合、タッチパッド63に対するユーザの操作に基づいて他のユーザとのチャットを実行する。このゲーム内のチャット機能を通じて、例えば図5に示されるように、保険コンサルタントの職業に就いているユーザAが、相談者であるユーザBに対して、ゲーム内の保険に関して各種アドバイスを提供することができる。
【0049】
また、ゲーム実行手段562は、仮想空間内でユーザが製造業の職業に就いている場合、タッチパッド63に対するユーザの操作に基づいて、ゲーム内で製造された仮想媒体を他のユーザに譲渡する。
ポイント付与手段564は、仮想空間内で所定のユーザから他のユーザへの役務の提供、または仮想媒体の提供が行われた場合、所定のユーザに信用度のパラメータを付与する。本実施形態では、信用度のパラメータがポイントに相当する。また、仮想通貨付与手段563は、仮想空間内で所定のユーザから他のユーザへの役務の提供の対価または仮想媒体の提供の対価として仮想通貨を所定のユーザに関連付ける。したがって、本実施形態のゲームでは、仮想空間内でユーザが職業に対応した活動をプレイヤキャラクタを介して行う都度、その活動内容に応じた信用度のパラメータおよび仮想通貨がユーザに関連付けられる。
【0050】
例えば、仮想空間内でユーザAがユーザBに対して図5に示されるように保険コンサルタントに関するサービスを提供した後、その業務に関する報酬としてユーザAが1000コインの仮想通貨をユーザBに提示したとする。この報酬に関してユーザAおよびユーザBが合意した場合、仮想通貨付与手段563は、ユーザBの仮想通貨の残高から1000コインを減算するとともに、ユーザAの仮想通貨の残高に1000コインを加算する。また、図5に示されるように、ユーザAの今回のサービスに対してユーザBがゲーム内で「+5」の評価値を付けた場合、ポイント付与手段564は、その評価値に対応したプラスの信用度をユーザAに関連付ける。この場合、ユーザAの信用度の蓄積値が増加する。
【0051】
なお、ユーザAのサービスに対してユーザBがゲーム内でマイナスの評価値を付けた場合、ポイント付与手段564は、その評価値に対応したマイナスの信用度をユーザAに関連付ける。また、ポイント付与手段564は、例えば仮想空間内でのユーザAの口コミの評価が悪かったり、ゲーム内でユーザAにクレームが入ったりした場合、マイナスの信用度をユーザAに関連付ける。マイナスの信用度がユーザAに関連付けられると、ユーザAの信用度の蓄積値が減少する。なお、信用度の蓄積値はマイナスの値になる場合もある。
【0052】
また、仮想通貨付与手段563は、タッチパッド63に対するユーザの操作に基づいて、ユーザに関連付けられる仮想通貨を現実世界における通貨、例えば日本円に換金する。
本実施形態のゲームでは、信用度の蓄積値のパラメータが、仮想空間内で活動する際の業務範囲を拡大させたり、取得可能な仮想通貨の上限値を増加させるために用いられる。
【0053】
具体的には、図6に示されるように、仮想空間内の保険コンサルタントに関しては、「補佐/雑用」、「一部のコンサルタント業務」、「通常のコンサルタント業務」、「高度なコンサルタント業務」、および「さらに高度なコンサルタント業務」の5段階の業務レベルが設けられている。ゲーム実行手段562はユーザの現在の業務レベルに基づいてプレイヤキャラクタの仮想空間内での業務可能範囲を設定する。
【0054】
例えばユーザの現在の業務レベルが「補佐/雑用」である場合、ゲーム実行手段562は、仮想空間内で提供可能な保険コンサルタントの全ての業務のうち、ごく限られた一部の業務のみをユーザがゲーム内で選択できるようにする。すなわち、保険コンサルタントの業務に関するプレイヤキャラクタの行動のほとんどを制限する。
【0055】
一方、ユーザの現在の業務可能範囲が「さらに高度なコンサルタント業務」である場合、ゲーム実行手段562は、仮想空間内で提供可能な保険コンサルタントの全ての業務をユーザがゲーム内で選択できるようにする。すなわち、コンサルタント業務に関するプレイヤキャラクタの行動の制限を解除する。
【0056】
ゲーム実行手段562は、「補佐/雑用」、「一部のコンサルタント業務」、「通常のコンサルタント業務」、「高度なコンサルタント業務」の順で、より上位の業務をユーザがゲーム内で選択できるようにする。
図6に示されるように、各業務レベルには信用度の付与上限値が設定されている。信用度の付与上限値は、仮想空間内での一回の業務遂行の際にユーザに付与される信用度の付与上限値を示している。例えばユーザの現在の業務レベルが「一部のコンサルタント業務」である場合、ポイント付与手段564は、ユーザが保険コンサルタントに対応した業務をプレイヤキャラクタを介して他のユーザに対して行った際に、その業務に対する他のユーザの口コミの評価に応じて「5」を上限値として、すなわち「1」から「5」の範囲の信用度をユーザに関連付ける。
【0057】
図6に示されるように、各業務レベルには必要信用度が設けられている。必要信用度は、該当する業務レベルに上昇するために必要な信用度の値を示している。例えばユーザの現在の信用度が「200」である場合、ゲーム実行手段562は、ユーザの業務レベルを「通常のコンサルタント業務」に設定する。したがって、本実施形態のゲームでは、ゲームプレイを通じて仮想空間内で職業に対応した活動を行って信用度を蓄積することにより、その職業の業務レベルを上昇させること、換言すれば仮想空間内でのユーザの業務範囲を拡大することができる。
【0058】
―役割特定手段、ユーザ情報取得手段、ユーザ属性判定手段、属性付与手段―
本実施形態のゲームでは、例えばゲーム開始時に所定の職業を選択した場合、通常は、その職業の業務レベルが最も低いレベルに設定された状態でゲームが開始される。すなわち、保険コンサルタントの職業をユーザが選択した場合には、図6に示されるように、そのユーザは、「補佐/雑用」の業務レベルでゲームを開始することになる。この初期状態から業務レベルを「一部のコンサルタント業務」に上昇させるためには、保険コンサルタントの業務を仮想空間内で繰り返し実行して信用度のパラメータを「50」まで上昇させる必要がある。
【0059】
本実施形態では、このような業務レベルの設定方法を基本としつつ、現実世界のユーザ情報に基づいて仮想空間内でのゲームプレイを優遇する。例えばユーザが現実世界でFP3級の資格を有している場合、そのユーザがゲーム開始時に保険コンサルタントの職業を選択すると、「一部のコンサルタント業務」の業務レベルを有している状態でゲームを開始することができる。このようなゲーム機能を提供するために、制御部56は、図4に示されるように役割特定手段565、ユーザ情報取得手段566、ユーザ属性判定手段567、および属性付与手段568として更に機能する。
【0060】
役割特定手段565は、ユーザの仮想空間内の職業を特定する。具体的には、役割特定手段565は、ゲーム開始時にユーザがタッチパッド63を操作して複数の職業のうちのいずれかを選択すると、その選択された職業をユーザの仮想空間内の役割として特定する。例えばゲーム開始時にユーザが保険コンサルタントの職業を選択した場合、役割特定手段565は、保険コンサルタントをユーザの仮想空間内の職業として特定する。本実施形態では、仮想空間内の職業が仮想空間内の役割に相当する。
【0061】
ユーザ情報取得手段566は現実世界のユーザ情報を取得する。ユーザ情報取得手段566は、例えばユーザが職業を選択した後にタッチパッド63を操作してマイナンバーを入力すると、入力されたマイナンバーを通信手段561を介して資格情報等管理サーバ装置3に送信することにより、資格情報等管理サーバ装置3から現実世界のユーザ情報を取得する。
【0062】
ユーザ属性判定手段567は、ユーザ情報取得手段566により取得された現実世界のユーザ情報に基づいて、仮想空間内の職業に対応する資格や実務経験をユーザが有しているか否かを判定する。例えば仮想空間内のユーザの職業として保険コンサルタントが選択されている場合、ユーザ属性判定手段567は、保険コンサルタントに対応する資格や実務経験、具体的にはFPの資格や実務経験をユーザが有しているか否かを現実世界のユーザ情報に基づいて判定する。
【0063】
具体的には、図6に示されるように、ユーザ属性判定手段567は、ユーザ情報取得手段566により取得された現実世界のユーザ情報に基づいて、ユーザがFP3級、FP2級、FP1級を有しているか否か、および2年以上の実務経験を有しているか否かを判定する。本実施形態では、ユーザが有している資格や実務経験がユーザ属性に相当する。
【0064】
属性付与手段568は、仮想空間内のプレイヤキャラクタの職業に対応する資格や実務経験をユーザが有している場合、その資格や実務経験に基づいて、仮想空間内の職業に対応するゲーム内の仮想属性をユーザに付与する。例えば仮想空間内のユーザの職業として保険コンサルタントが選択されている場合、属性付与手段568は、図6に示されるように、ユーザが有している資格および実務経験に基づいてゲーム開始時の業務レベルを決定する。具体的には、ユーザがFP3級の資格を有している場合、属性付与手段568は、「一部のコンサルタント業務」の業務レベルをユーザに関連付ける。これに対して、FP3級よりも上位のFP2級やFP3級の資格をユーザが有している場合、属性付与手段568は、「高度なコンサルタント業務」の業務レベルや、「さらに高度なコンサルタント業務」の業務レベルをユーザに関連付ける。このように、本実施形態のゲームでは、現実世界のユーザ情報に基づいて仮想空間内でのゲームプレイが優遇される。
【0065】
―音声制御手段―
音声制御手段569は、ゲームの実行にあたり、ゲーム装置5に対するユーザの操作などに基づいてスピーカ62の音声出力を制御する。
―表示制御手段―
表示制御手段570は、ゲームの実行にあたり、ゲーム装置5に対するユーザの操作などに基づいてディスプレイ61の表示出力を制御する。例えば、表示制御手段570は、キャラクタの確認画面やガチャの実施画面などをディスプレイ61に表示する。
【0066】
次に、図7図12を参照して、表示制御手段570によりディスプレイ61に表示される画面の例を説明する。
表示制御手段570は、ユーザがゲームを開始した際に、図7に示される職業選択画面70をディスプレイ61に表示させる。職業選択画面70には、仮想空間内で就くことが可能な複数の職業に対応した選択ボタン701~706が設けられている。ユーザが例えば保険コンサルタントの職業選択ボタン704を操作した場合、図8に示される連携要否選択画面71がディスプレイ61に表示される。図8に示されるように、連携要否選択画面71には、連携ボタン711、および非連携ボタン712が設けられている。
【0067】
連携ボタン711は、現実世界のユーザ情報を仮想空間に連携する際に操作されるボタンである。ユーザが連携ボタン711を操作した場合、表示制御手段570は、図9に示される連携方法選択画面72をディスプレイ61に表示する。連携方法選択画面72には、第1選択ボタン721、第2選択ボタン722、および第3選択ボタン723が設けられている。
【0068】
第1選択ボタン721は、マイナンバーなどの資格情報を利用してユーザの資格情報や実務経験の認証を行う際に操作されるボタンである。ユーザが第1選択ボタン721を操作した後に表示される画面においてマイナンバーを入力すると、表示制御手段570は、図10に示される認証情報確認画面73をディスプレイ61に表示する。認証情報確認画面73が表示されている間に、ユーザが入力したマイナンバーがゲーム装置5から資格情報等管理サーバ装置3に送信されるとともに、そのマイナンバーに関連付けられた資格情報や実務経験の情報が資格情報等管理サーバ装置3からゲーム装置5に送信される。このようにして資格情報や実務経験の情報をゲーム装置5が受信すると、表示制御手段570は、図11に示される資格情報確認画面74をディスプレイ61に表示する。
【0069】
図11に示されるように、資格情報確認画面74には、資格情報表示領域741、承認ボタン742、キャンセルボタン743、および追加ボタン744が設けられている。
資格情報表示領域741は、資格情報等管理サーバ装置3から送信されたユーザの資格情報や実務経験の情報などが表示される領域である。
【0070】
承認ボタン742は、資格情報表示領域741に表示されているユーザの資格情報や実務経験の情報に誤りがない場合に操作されるボタンである。ユーザが承認ボタン742を操作した場合、資格情報表示領域741に表示されているユーザの資格情報や実務経験に応じた業務レベルを有した状態でゲームの本編が開始される。
【0071】
キャンセルボタン743は、これまでの操作を中止して、図7に示される職業選択画面70に戻る際に操作されるボタンである。
追加ボタン744は、ユーザが有している資格情報を追加する際に操作されるボタンである。
【0072】
一方、図9に示される連携方法選択画面72において、第2選択ボタン722は、ユーザが有する実務証明書などを利用してユーザの実務経験の認証を行う際に操作されるボタンである。ユーザは、第2選択ボタン722を選択した後、例えば実務証明書をアップロードする作業を行うことにより、ユーザが有する実務経験の認証を行うことができる。
【0073】
また、第3選択ボタン723は、ゲーム装置5が提供する認定試験をユーザが受けることによりユーザの資格情報や実務経験の認証を行う際に操作されるボタンである。ユーザが第3選択ボタン723を操作すると、例えばユーザの実務経験を確認するための認定試験が開始される。この認定試験で合格基準に達することに基づいて、ユーザの実務経験が認証されて、ユーザが実際に資格を有している場合と同様にゲーム開始時の業務レベルが優遇される。
【0074】
図8に示される連携要否選択画面71において、非連携ボタン712は、現実世界のユーザ情報を連携させることなくゲームを開始する際に操作されるボタンである。ユーザが非連携ボタン712を操作すると、表示制御手段570は、図12に示されるチュートリアル開始画面75をディスプレイ61に表示する。
【0075】
図12に示されるように、チュートリアル開始画面75にはチュートリアル開始ボタン751が設けられている。ユーザがチュートリアル開始ボタン751を操作すると、図7に示される職業選択画面70で選択された職業に対応したチュートリアルが開始される。例えば、選択された職業の概要やプレイ方法などがディスプレイ61に表示される。チュートリアルが完了すると、最も低い業務レベルでゲームが開始される。
【0076】
<ゲームシステムの動作の流れ>
次に、図13を参照して、本実施形態のゲームシステム1の動作例について説明する。
図13に示されるように、ゲーム装置5では、役割特定手段565が、まず、図7に示される職業選択画面70でユーザが職業を選択したか否かを判断する(ステップS10)。ユーザが職業を選択した場合(ステップS10:YES)、ユーザ情報取得手段566は、現実世界のユーザ情報の連携をユーザが要求しているか否かを判断する(ステップS11)。ユーザ情報取得手段566は、図8に示される連携要否選択画面71でユーザが連携ボタン711を操作した場合、現実世界のユーザ情報の連携をユーザが要求していると判断する(ステップS11:YES)。この場合、ユーザ情報取得手段566は、認証情報をユーザが入力したか否かを判断する(ステップS12)。例えば、図9に示される連携方法選択画面72の第1選択ボタン721を操作した後に表示される画面においてユーザがマイナンバーなどの認証情報を入力すると、ユーザ情報取得手段566は、認証情報をユーザが入力したと判断する(ステップS12:YES)。この場合、ユーザ情報取得手段566は、ユーザが入力したマイナンバーに基づいて資格情報等管理サーバ装置3から現実世界のユーザ情報を取得する(ステップS13)。
【0077】
続いて、ユーザ属性判定手段567は、ユーザ情報取得手段566により取得された現実世界のユーザ情報に基づいて、ユーザが選択した仮想空間内の職業に対応する現実世界の資格や実務経験をユーザが有しているか否かを判断する(ステップS14)。仮想空間内の職業に対応する現実世界の資格や実務経験をユーザが有している場合(ステップS14:YES)、属性付与手段568は、現実世界の資格や実務経験に基づいて、ゲーム開始時のプレイヤキャラクタの業務レベルを設定する(ステップS15)。仮想空間内の職業に対応する現実世界の資格や実務経験をユーザが有していない場合、(ステップS14:NO)、属性付与手段568は、ゲーム開始時のプレイヤキャラクタの業務レベルを初期レベルに設定する(ステップS17)。
【0078】
一方、ステップS12の処理においてユーザが認証情報を入力しなかった場合には(ステップS12:NO)、ユーザ情報取得手段566は他の方法でユーザの資格情報などを取得する(ステップS16)。他の方法とは、例えば図9に示される連携方法選択画面72において第2選択ボタン722を操作することにより実行可能な実務証明書の提出や、第3選択ボタン723を操作することにより実行可能な認定試験などである。ステップS16の処理に続いてステップS14以降の処理を実行する。
【0079】
ステップS11の処理において、図8に示される連携要否選択画面71でユーザが非連携ボタン712を操作した場合、ユーザ情報取得手段566は、現実世界のユーザ情報の連携をユーザが要求していないと判断する(ステップS11:NO)。この場合、属性付与手段568は、ゲーム開始時のプレイヤキャラクタの業務レベルを初期レベルに設定する(ステップS17)。
【0080】
以上をまとめると、ゲーム装置5の制御部56(コンピュータ)を、ユーザ(第1ユーザ)の仮想空間内の職業(役割)を特定する役割特定手段565と、ユーザ(第1ユーザ)の現実世界のユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段566と、現実世界のユーザ情報に基づいて仮想空間内の職業に対応する資格や実務経験(ユーザ属性)をユーザ(第1ユーザ)が有しているか否かを判定するユーザ属性判定手段567と、資格や実務経験をユーザが有している場合、資格や実務経験の情報に基づいて、仮想空間内の職業に対応する業務レベル(仮想属性)をユーザに付与する属性付与手段568と、として機能させる。
【0081】
<効果>
本実施形態のゲームシステム1では、現実世界の資格や実務経験などのユーザ情報がゲーム内の仮想空間に反映される。これにより、ユーザは、現実世界の資格や実務経験を活かしてゲーム内の仮想空間の経済圏で活躍することが可能となるため、例えば仮想空間における副業を支援することができる。よって、ゲームの興趣性を向上させることが可能である。
【0082】
属性付与手段568は、ユーザが資格や実務経験(ユーザ属性)を有している場合、ユーザが資格や実務経験を有していない場合と比較して、仮想空間内の職業に基づいてユーザがゲームを進行させることを有利にする業務レベル(仮想属性)をユーザに付与する。この構成によれば、現実世界のユーザの資格や実務経験をゲーム内の仮想空間に容易に反映させることが可能となる。
【0083】
属性付与手段568は、プレイヤキャラクタが就いた職業(役割)に基づいてユーザが仮想空間内で行動することによりユーザの業務レベル(仮想属性)を更新する。この構成によれば、仮想空間内で職業の熟練度が向上したことをユーザが実感できるため、ゲームの興趣性を更に向上させることができる。
【0084】
現実世界のユーザ情報には、資格などの現実世界の認定機関により承認される認定情報(第1認定情報)が含まれている。この構成によれば、より正確なユーザの資格情報を取得することが可能となる。
ゲーム実行手段562は、仮想空間において所定のユーザ(第1ユーザ)から他のユーザに対する役務の提供または仮想媒体の提供を可能とする。仮想通貨付与手段563は、所定のユーザから他のユーザへの役務の提供の対価または仮想媒体の提供の対価として、現実世界における通貨に換金可能な仮想通貨を所定のユーザに関連付ける。この構成によれば、現実世界に近い経済圏を仮想空間内で実現することが可能であるため、例えばユーザの副業を促進することができる。
【0085】
ポイント付与手段564は、業務レベルの段階(仮想属性)に基づいてユーザに対する信用度(ポイント)の付与を優遇する。また、ゲーム実行手段562は、業務レベル(仮想属性)または信用度(ポイント)に基づいて、仮想空間内における役務の提供または仮想媒体の提供を優遇する。この構成によれば、業務レベルを上昇させる動機付けがユーザに働くため、ゲームの興趣性を更に向上させることができる。
【0086】
<第1変形例>
ユーザが仮想空間内に就くことが可能な職業には、図7に示される職業とは別の職業が含まれていてもよい。例えば、ユーザは、仮想空間内でクリエイター業務に就くことが可能であってもよい。このゲームでは、例えば仮想空間内でユーザが作成した作品を他のユーザに販売することができる。ポイント付与手段564は、例えば作品を購入した他のユーザの作品に対する評価などに基づいて、クリエイター業務に就いているユーザに信用度のパラメータを関連付ける。このゲームでは、信用度が上昇することで、例えば仮想空間内で作成した作品を仮想空間内のより大きな取引先、例えば大企業や大規模博覧会に売り込むことが可能となる。また、このゲームでは、信用度が上昇することで、ゲーム内で制作および取引可能な作品の種類を拡大させることができる。作品の種類には、作品のサイズだけでなく、ゲーム内のみで使用可能か否かといった作品の属性や、現実世界への転用が可能か否かといった作品の属性などが含まれる。
【0087】
ユーザ情報取得手段566は、現実世界のユーザ情報として、現実世界の作品の制作履歴や受賞履歴などを資格情報等管理サーバ装置3から取得する。制作履歴とは、例えば何らかのゲームでイラストが採用されたか否かを示す情報である。属性付与手段568は、現実世界のユーザの作品の作成履歴や受賞履歴などに基づいて、仮想空間におけるクリエイター業務の初期の信用度を上昇させる。
【0088】
<第2変形例>
現実世界のユーザ情報を仮想空間に反映させる方法としては、上記実施形態の方法に限らず、任意の方法を採用することが可能である。
例えば、ユーザ情報取得手段566は、現実世界のユーザ情報として、自動車の運転履歴を取得してもよい。自動車の運転履歴には、例えば自動運転の技術で用いられる車両の運転履歴のデータや、運転免許証の点数、自動車保険の利用履歴などが含まれる。属性付与手段568は、この現実世界の自動車の運転履歴に基づいて、仮想空間内の自動車に関する運転シミュレータのレベルを設定する。また、属性付与手段568は、現実世界の自動車の運転履歴に基づいて、仮想空間内の飛行機や船舶など、自動車以外の乗り物に関する運転シミュレータへの推薦などを行う。
【0089】
また、ユーザ情報取得手段566は、現実世界のユーザ情報として、逮捕歴や犯罪履歴などを取得してもよい。この場合、属性付与手段568は、現実世界の逮捕歴や犯罪履歴などに基づいて、仮想空間内におけるプレイヤキャラクタの行動を制限する。例えば、制限方法としては、仮想空間でプレイヤキャラクタが行動可能なエリア(街)を限定したり、プレイヤキャラクタが行動可能なエリアを初期エリアに限定するといった方法がある。また、その他の制限方法としては、仮想空間内の店舗への来店を制限したり、行動を制限したりするといった方法がある。
【0090】
なお、現実世界の逮捕歴や犯罪履歴の具体的な内容に応じて仮想空間内の制限が段階的に行われてもよい。例えば、属性付与手段568は、現実世界の逮捕歴や犯罪履歴が低レベルである場合、仮想空間の店舗への入店に制限を設けずに、仮想店舗の運営者への通知のみを行う。また、属性付与手段568は、現実世界の逮捕歴や犯罪履歴が中レベルである場合、仮想空間の特定の店舗における滞在時間に制限を設ける。さらに、属性付与手段568は、現実世界の逮捕歴や犯罪履歴が高レベルである場合、仮想空間の特定の店舗への入店を禁止する。
【0091】
また、属性付与手段568は、現実世界の運転免許証の色に基づいて、仮想空間内におけるプレイヤキャラクタが運転シミュレータで運転可能なエリアを変化させてもよい。例えば、属性付与手段568は、現実世界の運転免許証の色がゴールドである場合、仮想空間内におけるプレイヤキャラクタが運転シミュレータで運転可能なエリアを拡大させてもよい。
【0092】
このように、本変形例の属性付与手段568は、ユーザが逮捕歴や犯罪履歴などを有している場合、ユーザが逮捕歴や犯罪履歴などを有していない場合と比較して、仮想空間内の職業に基づいてユーザがゲームを進行させることを不利にさせるような制限(仮想属性)をユーザに付与する。また、属性付与手段568は、逮捕歴や犯罪履歴のレベルに応じて、ユーザがゲームを進行させることを不利にさせるような制限の度合いを変化させる。さらに、属性付与手段568は、ユーザの運転免許証の色がゴールドである場合、ゴールドでない場合と比較して、仮想空間内でユーザがゲームを進行を有利にさせるような仮想属性をユーザに付与する。これらの構成によれば、現実世界のユーザの状態をゲーム内の仮想空間により的確に反映させることができる。
【0093】
<第3変形例>
ユーザが仮想空間内で就くことが可能な職業には、他のユーザの指導が仮想空間内の業務の拡大に必要な職業、例えば漁師が含まれていてもよい。このゲームでは、仮想空間内でベテラン漁師のゲーム属性を有するユーザから指導を受けつつ漁師の業務を遂行することで経験値を貯めると、漁師の職業レベルが上昇する。属性付与手段568は、職業レベルの上昇に伴って漁師のスキル範囲を拡大させる。例えば漁師の職業レベルがレベル1からレベル10に上昇した場合、属性付与手段568は、魚釣りのスキルを上昇させるとともに、関連する養殖スキルを上昇させ、さらに漁師の指導スキルを上昇させる。漁師の指導スキルが上昇することで、自身もベテラン漁師のゲーム属性を獲得することが可能となる。
【0094】
このようなゲームでは、ユーザ情報取得手段566は、現実世界のユーザ情報として、ユーザが漁師であるか否かの情報を取得してもよい。属性付与手段568は、現実世界のユーザの職業が漁師である場合、ゲーム開始時にベテラン漁師のゲーム属性をユーザに付与する。このように、現実世界のユーザ情報としては、ユーザの職業の種類や属性、スキルレベルなどを用いることが可能である。
【0095】
このように、本変形例の属性付与手段568は、仮想空間内の職業(役割)に基づいてユーザが職業に応じた行動を仮想空間内で実行することにより漁師の職業レベル(第1仮想属性のレベル)が所定のレベルに達することに基づいて、ユーザの職業レベルの更新として、養殖スキルや漁師の指導スキル(第2仮想属性)をユーザに付与する。この構成によれば、ユーザは特定の職業レベルを上昇させることにより、それに関連する職業レベルも上昇させることができるため、ゲームの興趣性を更に向上させることができる。
【0096】
また、属性付与手段568は、第1ユーザが現実世界で漁師である場合、第1ユーザが漁師でない場合と比較して、仮想空間内の第2ユーザが漁師に関する行動を実行することを有利にするように第2ユーザを指導(補助)することが可能なベテラン漁師の属性(仮想属性)を第1ユーザに付与する。この構成によれば、より的確に現実世界の業務を仮想空間に反映させることが可能となる。
【0097】
なお、属性付与手段568は、現実世界のユーザの職業の種類やスキルレベルに応じて、仮想空間内で指導可能な相手ユーザの属性を設定してもよい。例えば現実世界のユーザの職業がベテラン漁師である場合、仮想空間内において指導可能な相手ユーザは、漁師のゲーム属性を有しているユーザとなる。また、現実世界のユーザの職業が教師である場合、仮想空間内において指導可能な相手ユーザは、子供のゲーム属性を有しているユーザとなる。さらに、現実世界のユーザの職業がコンサルタントである場合、仮想空間において指導可能な相手ユーザは任意のユーザとなる。
【0098】
[第2実施形態]
本開示のゲームシステム1の第2実施形態について説明する。以下、第1実施形態のゲームシステム1との相違点を中心に説明する。
本実施形態のゲームでは、仮想空間内におけるユーザの経済活動の実績が現実世界に活用される。例えば、仮想空間における実務経験に基づいて現実世界の資格試験の受験条件が緩和される。
【0099】
具体的には、ゲーム用サーバ装置2のユーザDB221には、図14に示されるようなユーザのゲーム内の行動履歴が更に記憶されている。図14に示されるように、行動履歴には、仮想空間内の業務、実績、および得点などの項目が設けられている。
仮想空間内の業務の項目には、ユーザが仮想空間内で実際に行った業務の内容が記憶されている。例えば、ユーザが仮想空間で保険コンサルタントの職業に就いた場合、仮想空間内の業務の項目には「ゲーム内保険相談業務」という内容が記憶される。
【0100】
仮想空間内の実績の項目には、ユーザが就いた職業に対応した業務を仮想空間内で行うことにより得た実績の詳細が記憶されている。この項目には、例えば仮想空間内の実務経験の年数X11、仮想空間内で取得した信用度の蓄積値X12、業務を通じて得た仮想通貨の総獲得金額X13、業務を通じて獲得した顧客数X14、および仮想空間内の口コミの平均値X15などが記憶されている。
【0101】
得点の項目には、仮想空間内の各実績に応じてユーザが取得した得点が記憶されている。ポイント付与手段564は、例えば仮想空間内の各実績の値と、実績毎に設定された閾値との比較に基づいて、予め設定された得点をユーザに付与する。例えば、ポイント付与手段564は、仮想空間内におけるユーザの職業の実務経験年数X11が「1年≦X11<5年」を満たしている場合には100点を付与し、さらに「5年≦X11」を満たしている場合にはユーザに500点を付与する。同様に、ポイント付与手段564は、信用度の蓄積値X12、仮想通貨の総獲得金額X13、顧客数X14、および口コミの平均値X15などに基づいてユーザに得点を付与する。
【0102】
図2に破線で示されるように、ゲーム用サーバ装置2の制御部23は、図14に示される得点の合計である総得点に基づいて認定情報をユーザに付与する認定情報発行手段233として更に機能する。以下、ユーザがFP3級の資格を有しており、且つ仮想空間内の実務経験を通じて上位のFP2級の試験を受けようとしている場合を例に挙げて説明する。なお、FP2級の試験を受けるためには、FP3級の資格を有しており、且つ2年以上の実務経験を有していることが必要である。
【0103】
認定情報発行手段233は、図15に示されるように、例えばユーザの総得点Yが「Y<2000」を満たしている場合には、ユーザに認定情報を付与しない。
認定情報発行手段233は、ユーザの総得点Yが「2000≦Y<5000」を満たしている場合、そのユーザに基本認定情報を発行する。基本認定情報は、FP2級の試験を受けるために必要な実務経験の年数を、例えば「2年以上」から「1年以上」に短縮することが可能な資格を有しているという情報である。具体的には、認定情報発行手段233は、そのユーザのマイナンバーに関連付けられた基本認定情報を資格情報等管理サーバ装置3に送信する。資格情報等管理サーバ装置3の管理手段333は、ゲーム装置5から送信される基本認定情報を受信すると、その基本認定情報をユーザのマイナンバーに関連付けて資格情報等DB321に記憶させる。この資格情報等DB321に記憶された基本認定情報は、例えばFPの公的な認定機関により認定されるとユーザにより利用可能となる。具体的には、ユーザは、現実世界で1年以上の実務経験を有していれば、現実世界においてFP2級の試験を受けることが可能となる。
【0104】
認定情報発行手段233は、ユーザの総得点Yが「5000≦Y」を満たしている場合、そのユーザに上位認定情報を発行する。上位認定情報は、FP2級の試験を受けるために必要な実務経験を免除することを認定する情報である。具体的には、認定情報発行手段233は、そのユーザのマイナンバーに関連付けられた上位認定情報を資格情報等管理サーバ装置3に送信する。資格情報等管理サーバ装置3の管理手段333は、ゲーム装置5から送信される上位認定情報を受信すると、その上位認定情報をユーザのマイナンバーに関連付けて資格情報等DB321に記憶させる。この資格情報等DB321に記憶された上位認定情報も、例えばFPの公的な認定機関により認定されるとユーザにより利用可能となる。具体的には、ユーザは、現実世界で実務経験を有していない場合であっても、FP2級の試験を受けることが可能となる。
【0105】
一方、ユーザに発行された基本認定情報または上位認定情報は、ユーザが所有するゲーム装置5で出力することも可能である。具体的には、ゲーム装置5の表示制御手段570は、ユーザの総得点Yが5000点に達すると、図16に示される認定情報確認画面76をディスプレイ61に表示する。図16に示されるように、認定情報確認画面76には、承認ボタン761と、非承認ボタン762とが設けられている。ユーザが承認ボタン761を操作した場合、上位認定情報を示す画面がディスプレイ61に表示される。上位認定情報は、例えばQRコード(登録商標)などの二次元コードによりディスプレイ61に表示される。ユーザが非承認ボタン762を操作した場合には、上位認定情報がディスプレイ61に表示されることなく、例えばゲームのプレイ画面に戻る。
【0106】
次に、図17を参照して、本実施形態のゲームシステム1の動作の流れについて説明する。
図17に示されるように、ポイント付与手段564は、まず、図14に示されるような各職業に対応した実績を仮想空間内で達成したか否かを判断する(ステップS20)。ポイント付与手段564は、ユーザが仮想空間内で所定の実績を達成したと判断した場合には(ステップS20:YES)、その所定の実績に対応した得点をユーザに関連付ける(ステップS21)。
【0107】
続いて、認定情報発行手段233は、ユーザの総得点Yが認定判定値に達しているか否かを判断する(ステップS22)。認定情報発行手段233は、ユーザの総得点Yが認定判定値に達している場合には(ステップS22:YES)、ユーザに認定情報を発行する(ステップS23)。具体的には、図15に示されるように、認定情報発行手段233は、ユーザの総得点が「2000≦Y<5000」を満たしている場合には基本認定情報をユーザに発行する。また、認定情報発行手段233は、ユーザの総得点が「5000≦Y<」を満たしている場合には上位認定情報をユーザに発行する。
【0108】
<効果>
認定情報発行手段233は、ゲームの進行によるユーザ(第1ユーザ)のプレイ履歴に基づいて、現実世界においてユーザが利用可能であって、且つ資格情報(ユーザ属性)と関連した基本認定情報または上位認定情報(第2認定情報)をユーザに発行する。基本認定情報または上位認定情報(第2認定情報)は、現実世界の認定機関による承認により現実世界で利用可能となる。この構成によれば、仮想空間内の実務経験を現実世界に活かすことができるため、ゲームの興趣性を更に向上させることができる。
【0109】
ポイント付与手段564は、仮想空間内での役務の提供、仮想媒体の提供、または仮想通貨の受領に応じてユーザ(第1ユーザ)に得点(ポイント)を付与する。認定情報発行手段233は、ユーザに付与される得点の蓄積量に基づいて、基本認定情報または上位認定情報(第2認定情報)をユーザに発行する。この構成によれば、認定情報をユーザに発行する構成を容易に実現することができる。
【0110】
<第1変形例>
本変形例のゲームシステム1は、図1に破線で示されるように、保険の審査などを行う企業が所有する利用者サーバ装置4を更に備えている。利用者サーバ装置4は、ユーザに関連付けられるゲーム装置5とは別の端末装置に相当する。資格情報等管理サーバ装置3の管理手段333は、利用者サーバ装置4からのアクセスに基づいて基本認定情報または上位認定情報を利用者サーバ装置4に提供する。この構成によれば、保険の審査などを行う企業が利用者サーバ装置4を用いることにより基本認定情報や上位認定情報を活用することが可能となる。
【0111】
<第2変形例>
仮想空間の認定情報を現実世界に反映させる方法としては、上記実施形態の方法に限らず、任意の方法を採用することが可能である。
例えばユーザの仮想空間内における自動車の運転シミュレータの操作履歴に基づいて、自動車の運転に関する認定情報をユーザに発行してもよい。具体的には、ゲーム用サーバ装置2のユーザDB221には、ユーザの仮想空間内における自動車の運転シミュレータの操作履歴の情報が記憶される。ゲーム用サーバ装置2の認定情報発行手段233は、ユーザDB221に記憶されている自動車の運転シミュレータの操作履歴の情報に基づいて、自動車の運転に関する認定情報をユーザに発行するとともに、発行された運転の認定情報を資格情報等管理サーバ装置3に送信する。資格情報等管理サーバ装置3の管理手段333は、ユーザのマイナンバーに関連付けて運転の認定情報を資格情報等DB321に記憶させる。ユーザは、ゲーム装置5のタッチパッド63を操作することにより、運転の認定情報をディスプレイ61に表示させることができる。ユーザは、例えばこの運転の認定情報を現実世界の教習所の窓口で提示することにより、自動車教習所の割引、特待生扱い、一部教習内容の免除等の現実世界での特典を得ることができる。
【0112】
また、保険の企業が図1に示される利用者サーバ装置4を介して資格情報等DB321にアクセスできるようにすれば、保険の審査などに運転の認定情報を利用することができる。
さらに、警察が利用者サーバ装置4を介してゲーム用サーバ装置2のユーザDB221にアクセスできるようにすれば、ユーザの自動車の運転シミュレータの操作履歴を警察が利用できるため、例えばユーザの運転レベルを警察が把握できるようになる。これにより、警察は、ユーザの運転レベルが低いと判断した場合に運転免許証を返納するようにユーザに促すことなどが可能となる。
【0113】
一方、仮想空間内の他のプレイヤや地形オブジェクトへの暴力的行動履歴や支援的行動履歴などに基づいて、現実世界のユーザの行動を制限してもよい。具体的には、ゲーム用サーバ装置2のユーザDB221には、ユーザが仮想空間内で行った暴力的行動履歴や支援的行動履歴などが記憶される。警察や保険の企業、各種店舗の管理者、イベント会場の管理者が利用者サーバ装置4を介してゲーム用サーバ装置2のユーザDB221にアクセスできるようにすれば、例えば警察などが仮想空間内の暴力的行動履歴や支援的行動履歴を利用して、ユーザに対する行動制限や時間制限などを行うことが可能となる。なお、イベント会場の管理者に関しては、例えばチケット購入者の情報に基づいてゲーム用サーバ装置2のユーザDB221にアクセスできるようにすればセキュリティ性を確保することができる。また、警察などが仮想空間内の暴力的行動履歴および支援的行動履歴のレベルを分けて判断することで、ユーザに対する行動制限や時間制限に強弱を設けてもよい。
【0114】
さらに、仮想空間内のユーザの職業の種類、属性、アイテムなどに基づいて、現実世界でユーザに各種サービスを付与してもよい。具体的には、ゲーム用サーバ装置2のユーザDB221には、仮想空間内のユーザの職業の種類、属性、ユーザが所有している特殊アイテムの情報などが記憶されている。特殊アイテムとは、例えば仮想空間内で特定のスキルを有しているユーザのみが生成できるアイテムである。現実世界の企業は利用者サーバ装置4を介してゲーム用サーバ装置2のユーザDB221から仮想空間内のユーザの職業の種類、属性、および特殊アイテムの所有の有無などの情報を得ることができる。現実世界の企業は、ユーザの職業の種類、属性、および特殊アイテムの所有の有無などに基づいて、ユーザにクーポンを付与するなどの各種サービスをユーザに現実世界で提供することができる。これにより、現実世界の店舗への来店を促進したり、観光地への旅行を促進するなど、現実世界の企業が様々な利益を得ることが可能となる。
【0115】
[他の実施形態]
上記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であり、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0116】
上記の実施形態では、ゲーム装置5がスマートフォンである場合を例示したが、ゲーム装置5は、ゲームセンターなどに提供されるアミューズメント機器であってもよい。
上記の実施形態ではサーバ装置2~4および複数のゲーム装置5が一体となってゲームプログラムを機能させる場合を例示したが、これに限定されない。ゲームプログラムのすべての手段はサーバ装置2~4単体、ゲーム装置5単体、サーバ装置2~4およびゲーム装置5とは別の通信端末単体、これらのうちの組み合わせ可能な2つの装置(例えばサーバ装置2~4とゲーム装置5での分散処理など)に備えられていてもよい。また、サーバ装置2~4、ゲーム装置5、通信端末を一体となって機能させる場合、どの手段をどの装置にて機能させるかに関しても適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態で例示したゲーム装置5の各手段562~570について、サーバ装置2の制御部23が、各種プログラムを実行することにより、これらの手段として機能してもよい。
【0117】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0118】
1…ゲームシステム
5…ゲーム装置
56…制御部(コンピュータ)
233…認定情報発行手段
333…管理手段
562…ゲーム実行手段
563…仮想通貨付与手段
564…ポイント付与手段
565…役割特定手段(役割特定部)
566…ユーザ情報取得手段(ユーザ情報取得部)
567…ユーザ属性判定手段(ユーザ属性判定部)
568…属性付与手段(属性付与部)
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