(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077918
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】成形品用ラベル、ラベル付き成形品、及びラベル付き成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20230530BHJP
B29C 51/14 20060101ALI20230530BHJP
B29C 51/10 20060101ALI20230530BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20230530BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20230530BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20230530BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
B32B27/00 M
B29C51/14
B29C51/10
C08J5/18 CFD
B32B27/36
B65D65/40 D
B65D25/20 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191425
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鉄本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】河村 明
【テーマコード(参考)】
3E062
3E086
4F071
4F100
4F208
【Fターム(参考)】
3E062AA03
3E062AB14
3E062DA01
3E062DA02
3E062DA07
3E062JA08
3E062JB04
3E086AA02
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3E086BA04
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3E086CA01
4F071AA43
4F071AC10
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4F100AK41A
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4F208MC01
4F208MG04
4F208MH06
4F208MW02
4F208MW23
(57)【要約】
【課題】加熱成形性とリサイクル性を高いレベルで両立することができる、成形品用ラベル、ラベル付き成形品、及びラベル付き成形品の製造方法を提供すること。
【解決手段】非晶性ポリエステルフィルムを含む基材層10と、基材層10の少なくとも一方の表面に設けられたポリエステル系粘着剤層12と、を含み、下記の初期粘着力が、1.0N/25mm以上である、成形品用ラベル1を提供する。
初期粘着力:JIS Z0237:2009に準拠し、23℃環境下で、成形品用ラベルの試験片を非晶性ポリエステル試験板にローラ圧着しながら貼付し、貼付から30秒以内に、剥離速度300mm/分の条件で、試験片を、非晶性ポリエステル試験板に対して180°の角度で引き剥がす試験方法により測定される粘着力。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶性ポリエステルフィルムを含む基材層と、
前記基材層の少なくとも一方の表面に設けられたポリエステル系粘着剤層と、
を含み、
下記の初期粘着力が、1.0N/25mm以上である、
成形品用ラベル。
初期粘着力:JIS Z0237:2009に準拠し、23℃環境下で、成形品用ラベルの試験片を非晶性ポリエステル試験板にローラ圧着しながら貼付し、貼付から30秒以内に、剥離速度300mm/分の条件で、試験片を、非晶性ポリエステル試験板に対して180°の角度で引き剥がす試験方法により測定される粘着力。
【請求項2】
前記非晶性ポリエステルフィルムは、100℃で5分間処理した際のMD方向の熱収縮率が、2.0%以上5.0%以下である、
請求項1に記載の成形品用ラベル。
【請求項3】
前記非晶性ポリエステルフィルムは、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)フィルムである、
請求項1又は2に記載の成形品用ラベル。
【請求項4】
前記基材層の前記ポリエステル系粘着剤層と反対側の表面に設けられた、コート層を更に含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の成形品用ラベル。
【請求項5】
前記成形品用ラベルは、非晶性ポリエステル樹脂を含む樹脂製の成形品の表面に貼付して使用される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の成形品用ラベル。
【請求項6】
前記成形品用ラベルを構成する樹脂層が、全てポリエステル樹脂層である、
請求項1~5のいずれか一項に記載の成形品用ラベル。
【請求項7】
非晶性ポリエステル樹脂を含む樹脂製の成形品と、
前記成形品の表面に貼付された請求項1~6のいずれか一項に記載の成形品用ラベルと、
を含む、ラベル付き成形品。
【請求項8】
成形品用ラベルが成形品に貼付されたラベル付き成形品の製造方法であって、
(a)長尺のポリエステル樹脂製のシートの表面に、一定の間隔で成形品用ラベルを連続的に貼付することによって、成形品用ラベル付きシートを得る、ラベリング工程と、
(b)前記成形品用ラベル付きシートに、成形品の形状に対応する形状を、熱成形により連続的に賦形することによって、容体シートを得る、熱成形工程と、
(c)前記容体シートを、成形品単位で分断する、切断工程と、
を含み、
少なくとも前記(a)工程及び(b)工程を連続的に実施することによって、前記ラベル付き成形品を連続的に製造し、
前記成形品用ラベルは、非晶性ポリエステルフィルムを含む基材層と、前記基材層の少なくとも一方の表面に設けられたポリエステル系粘着剤層と、を含む、
ラベル付き成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品用ラベル、ラベル付き成形品、及びラベル付き成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スーパーやコンビニの食品売り場等においては、ポリエステル等の樹脂製の容器に食品が詰められて販売されている。例えば、弁当、総菜、卵等の包装用容器として、容器本体及び蓋体等の成形品が用いられており、特に、近年は、ポリエステルの中でも、ポリエステルの液晶性を低下させて非晶質(非晶性)とすることで、要求特性に応えることを狙って、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)を用いた容器の使用が検討されたりもしている。
【0003】
例えば、特許文献1には、A-PETシートを加熱して一次延伸後一次熱固定した延伸A-PETシートと、未延伸A-PETフィルム又は未延伸A-PETシートとをドライラミネートで一体化した積層シートを、熱成形機の金型で加熱成形し成形による二次延伸配向結晶によって結晶化を高めたものであって、食品を収納することを特徴とする耐熱透明A-PET容器が開示されている。
【0004】
一方で、容器等の成形品には、産地、消費期限、及びバーコード等の情報や、装飾等の意匠性を付与するために、成形品用ラベル(「粘着ラベル」等と呼ばれることもある。)が貼付されている。
【0005】
例えば、特許文献2には、基層である非晶性線状飽和ポリエステル樹脂層の内面に、ガラス転移温度85℃以下の共重合ポリエステル、又は、該ポリエステルを含む他のタイプのポリエステル等とのブレンド樹脂をヒートシール層として配し、該層の反対層の外面に、該ヒートシール層とブロッキングを防止することを目的に、ポリブチレンテレフタレートを複合したことを特徴とする熱成形用ポリエステルシートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-280218号公報
【特許文献2】特開平07-009645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した樹脂製の成形品に貼付する成形品用ラベルについては、加熱成形性とリサイクル性の両立について、未だ改善の余地がある。
【0008】
例えば、上述した成形品用ラベルを成形品(例えば、容器本体、蓋体等の各種容器)に貼付したラベル付き成形品を作製する方法として、ラベル貼付装置等によって成形品用ラベルを貼付する方法等が採用されている。これに関して、発明者らは、ラベル貼付装置等によって作製する際に、熱成形用の樹脂製のシートにあらかじめ成形品用ラベルを貼付して積層体とし、その後に、これを成形品の形状に加工・成形する熱成形工程を行う方法等も検討した。しかし、従来の成形品用ラベルでは、こういった製造方法の工夫を試みたとしても、加熱成形性とリサイクル性を高いレベルで両立できていないのが実情である。
【0009】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、加熱成形性とリサイクル性を高いレベルで両立することができる、成形品用ラベル、ラベル付き成形品、及びラベル付き成形品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上述した目的を達成するために更に鋭意検討した結果、非晶性ポリエステルフィルムを含む基材層と、基材層の少なくとも一方の表面に設けられたポリエステル系粘着剤層と、を含み、初期粘着力が、1.0N/25mm以上である、成形品用ラベルとすることに知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0012】
(1)
非晶性ポリエステルフィルムを含む基材層と、前記基材層の少なくとも一方の表面に設けられたポリエステル系粘着剤層と、を含み、下記の初期粘着力が、1.0N/25mm以上である、成形品用ラベルである。
初期粘着力:JIS Z0237:2009に準拠し、23℃環境下で、成形品用ラベルの試験片を非晶性ポリエステル試験板にローラ圧着しながら貼付し、貼付から30秒以内に、剥離速度300mm/分の条件で、試験片を、非晶性ポリエステル試験板に対して180°の角度で引き剥がす試験方法により測定される粘着力。
(2)
前記非晶性ポリエステルフィルムは、100℃で5分間処理した際のMD方向の熱収縮率が、2.0%以上5.0%以下である、(1)に記載の成形品用ラベルである。
(3)
前記非晶性ポリエステルフィルムは、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)フィルムである、(1)又は(2)に記載の成形品用ラベルである。
(4)
前記基材層の前記ポリエステル系粘着剤層と反対側の表面に設けられた、コート層を更に含む、(1)~(3)のいずれかに記載の成形品用ラベルである。
(5)
前記成形品用ラベルは、非晶性ポリエステル樹脂を含む樹脂製の成形品の表面に貼付して使用される、(1)~(4)のいずれかに記載の成形品用ラベルである。
(6)
前記成形品用ラベルを構成する樹脂層が、全てポリエステル樹脂層である、(1)~(5)のいずれかに記載の成形品用ラベルである。
(7)
非晶性ポリエステル樹脂を含む樹脂製の成形品と、前記成形品の表面に貼付された(1)~(6)のいずれかに記載の成形品用ラベルと、を含む、ラベル付き成形品である。
(8)
成形品用ラベルが成形品に貼付されたラベル付き成形品の製造方法であって、(a)長尺のポリエステル樹脂製のシートの表面に、一定の間隔で成形品用ラベルを連続的に貼付することによって、成形品用ラベル付きシートを得る、ラベリング工程と、(b)前記成形品用ラベル付きシートに、成形品の形状に対応する形状を、熱成形により連続的に賦形することによって、容体シートを得る、熱成形工程と、(c)前記容体シートを、成形品単位で分断する、切断工程と、を含み、少なくとも前記(a)工程及び(b)工程を連続的に実施することによって、前記ラベル付き成形品を連続的に製造し、前記成形品用ラベルは、非晶性ポリエステルフィルムを含む基材層と、前記基材層の少なくとも一方の表面に設けられたポリエステル系粘着剤層と、を含む、ラベル付き成形品の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、加熱成形性とリサイクル性を高いレベルで両立することができる、成形品用ラベル、ラベル付き成形品、及びラベル付き成形品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る剥離材付きラベルの断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る成形品用ラベルを成形品に貼り付けたラベル付き成形品の部分断面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るラベル付き成形品の製造方法の説明に供する部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0016】
そして、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0017】
また、本明細書において、「略」を付した用語は、当業者の技術常識の範囲内でその「略」を除いた用語の意味を示すものであり、「略」を除いた意味自体をも含むものとする。さらに、本明細書において、「フィルム」と記載した用語は、「シート」等と呼ばれることもあるし、その逆も同様である。
【0018】
図1は、本実施形態に係る剥離材付きラベルの断面図である。
【0019】
本実施形態に係る成形品用ラベル1は、非晶性ポリエステルフィルムを含む基材層10と、基材層10の少なくとも一方の表面に設けられたポリエステル系粘着剤層12と、を含み、初期粘着力が、1.0N/25mm以上である、成形品用ラベル1である。
【0020】
(初期粘着力)
【0021】
成形品用ラベル1は、初期粘着力試験の初期粘着力が、1.0N/25mm以上である。初期粘着力の下限は、5.0N/25mm以上であることが好ましく、7.0N/25mm以上であることがより好ましく、8.0N/25mm以上であることが更に好ましい。また、初期粘着力の上限は、20.0N/25mm以下であることが好ましい。初期粘着力を上記下限値以上とすることで、成形品30に貼付した際に起こり得る、ラベルずれや、意図しない剥がれ等といった不具合の発生を抑制できる。また、後述するラベル付き成形品3の製造方法においては、熱成形用のポリエステル樹脂シートにラベリングした際に起こり得る、ラベルずれや、意図しない剥がれ等といった不具合の発生を抑制でき、その後の熱成形まで安定して行うことも可能である。そして、初期粘着力を上記上限値以下とすることで、多少の貼り直しを行うことが可能となり、ラベルとしての利便性が良好となる。
【0022】
上記の初期粘着力は、以下の方法によって測定することができる。
初期粘着力:JIS Z0237:2009に準拠し、23℃環境下で、成形品用ラベル1の試験片を非晶性ポリエステル試験板にローラ圧着しながら貼付し、貼付から30秒以内に、剥離速度300mm/分の条件で、試験片を、非晶性ポリエステル試験板に対して180°の角度で引き剥がす試験方法により測定される粘着力。
【0023】
初期粘着力の上記測定において使用する非晶性ポリエステル試験板として、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)板を使用する。そして、ローラ圧着は、2kgのゴムローラを使用して、試験片を圧着する。
【0024】
<基材層>
【0025】
基材層10は、非晶性ポリエステルフィルムを含む。ポリエステルは、通常、テレフタル酸等の多価カルボン酸と、エチレングリコール等のポリオール成分の重縮合等によって得ることができるが、例えば、溶融状態から急冷することによって、非晶質(アモルファス、未結晶状態)のポリエステルを得ることができる。非晶性ポリエステルフィルムを製造する具体例としては、シート押出加工時に冷却ロールで急速に冷却することで、非晶質状態となり、高い透明性、優れた熱成形性等を有するフィルムとして得る方法等が挙げられる。
【0026】
非晶性ポリエステルフィルムは、高い透明性を有し、優れた熱成形性等を有するため、本実施形態に係る成形品用ラベル1は、高い透明性、優れた熱成形性、良好な意匠性の付与、及び優れたリサイクル性等といった利点を発揮できる。例えば、役目を終えた樹脂製の成形品30のリサイクルの際に、成形品用ラベル1を成形品30から剥がすことなく、ラベル付き成形品3(例えば、ラベル付きの各種容器)のまま、再生処理を行うことが可能となる。
【0027】
さらに、成形品30が、非晶性ポリエステル樹脂から構成されている場合には、モノマテリアル化をより進展させることができるため、特にリサイクル性が一層向上する。例えば、成形品30が容器である場合、ポリエステル樹脂製、特に非晶性ポリエステル樹脂製のものが汎用されているところ、成形品用ラベル1と成形品30の材料の組み合わせが、互いに相溶性を有する材料の組み合わせとなるため、熱加工性やリサイクル性等が一層向上する。
【0028】
またさらに、例えば、成形品用ラベル1が貼付された成形品30を加熱溶融した際の相溶性が良いため、成形品30から成形品用ラベル1を分離する必要がなく、一体の状態で回収して、再生処理を行うことができる。さらに、その再生品の特性も低下しない。このような利点から、モノマテリアル化等に資する。
【0029】
また、詳細は後述するが、本実施形態に係る成形品用ラベル1であれば、製法上の利点も有する。基材層10として、上述したような非晶性ポリエステルフィルムを用いた成形品用ラベル1であれば、熱成形用の樹脂製のシートにあらかじめ成形品用ラベル1を貼付して積層体とし、その後に、これを成形品30の形状に加工・成形する熱成形工程を行う方法等によって、非晶性の透明で美しいラベルが一体化された成形品(ラベル付き成形品3等)を、効率よく製造することも期待できる。
【0030】
例えば、熱成形用の樹脂製のシートにあらかじめ成形品用ラベル1を貼付し、成形品30(容器等)の形状に熱成形することができる。これにより、生産性の向上、高い透明性、良好な意匠性の付与等を実現できる。さらに、ラベル付き成形品3のリサイクルにおいて、成形品30に貼付した成形品用ラベル1を剥がすことなく、再生処理を行うことも可能である。
【0031】
非晶性ポリエステルフィルムとしては、例えば、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)フィルム等が挙げられる。これらの中でも、上述した利点が一層優れている観点から、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)フィルムが好ましい。このような(A-PET)フィルムとしては、市販品を用いることもでき、例えば、RP東プラ社製の商品名「NOACRYSTAL」シリーズ、進栄化成社製の商品名「カネロン」シリーズ等が挙げられる。
【0032】
モノマテリアル材料による利点を一層向上させて、上述した各種効果を一層向上させる観点から、成形品用ラベル1を構成する樹脂層が、全てポリエステル樹脂層であることが好ましく、全て非晶性ポリエステルフィルムであることがより好ましい。
【0033】
基材層10の非晶性ポリエステルフィルムは、100℃で5分間処理した際のMD(Machine Direction)方向の熱収縮率は、2.0%以上5.0%以下であることが好ましい。熱収縮率の下限は、2.5%以上であることがより好ましく、3.0%以上であることが更に好ましい。熱収縮率の上限は、4.5%以下であることがより好ましく、4.0%以下であることが更に好ましい。熱収縮率は、以下の方法によって測定することができる。まず、測定対象であるフィルムを、MD方向100mm、CD(Cross Direction)方向10mmの短冊状にカットして試料片とする。この試料片を100℃に保持されたギアオーブン中に無緊張状態で5分間静置する。その後、これを室温中に取り出し、熱処理後の試料片のMD方向の長さ(B)を求める。そして、処理前の試料片のMD方向の長さ(A)に対する、処理前の試料片のMD方向の長さ(A)と処理後の試料片のMD方向の長さ(B)の差((A-B)/A(%))を、熱収縮率として算出することができる。
【0034】
基材層10は、非晶性ポリエステルフィルムを少なくとも含むものであればよく、例えば、単層であってもよいし、2種以上の複数層から構成されるものであってもよい。
【0035】
なお、基材層10が複数層から構成される場合であっても、基材層10を構成する層全てが、ポリエステルフィルムであることが好ましく、非晶性ポリエステルフィルムであることがより好ましい。また、基材層10を構成する層全てが、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましく、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)フィルムであることがより好ましい。
【0036】
基材層10の厚さは、特に限定されず、用途等に応じて適宜選択されるが、25μm以上500μm以下の範囲であることが好ましく、30μm以上200μm以下であることがより好ましく、40μm以上150μm以下であることが更に好ましい。基材層10の厚みを、上記下限値以上とすることで、ラベリング工程等での、剥離材層20(剥離ライナー等)からの剥離性が一層向上する。また、基材層10の厚さを、上記上限値以下とすることで、例えば、ラベリング装置に設置するためのラベルロールとした際の巻き長を、十分に長くできるため、ロールの交換頻度を少なくでき、作業効率を一層高めることができる。基材層10としては、従来公知の製膜方法、例えば、押出し法、カレンダー法、溶液コーティング法、キャスティング法等の製膜方法によって得られたものであってもよい。
【0037】
<コート層等>
【0038】
本実施形態に係る成形品用ラベル1は、基材層10のポリエステル系粘着剤層12と反対側の表面に設けられた、コート層14を更に含むことが好ましい。コート層14は、基材層10の表面上に設けることができる。基材層10には、印刷インキの密着性を向上させ、印刷適性が一層向上させる観点から、コート層14を設けることが好ましい。コート層14には、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、凸版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷等の一般的な印刷方法によって、所望の印刷を施すことができる。
【0039】
コート層14を構成する材料としては、基材層10として用いる材料(例えば、A-PETフィルム等の非晶性ポリエステルフィルム等)と密着性が良い材料が、好ましい。さらに、リサイクル性の観点から、アルカリ水溶液による洗浄浸漬によって、基材層10から容易に剥離できる材料であることが好ましい。コート層14の好ましい構成としては、水系ポリエステル樹脂を含むアンカー層(不図示)と、アンカー層の表面上にポリエステルウレタン樹脂(例えば、溶剤系のポリエステルウレタン等)を含む印刷受理層(不図示)と、を含むもの等が挙げられる。ここでいう「水系」とは、水性、例えば水溶性,水分散性、及び水懸濁性のいずれかの性質を意味する。
【0040】
また、基材層10とポリエステル系粘着剤層12との密着性を向上させる目的で、所望により、コロナ放電処理等の公知の表面処理を施すことができる。表面処理は、基材層10とポリエステル系粘着剤層12との接触表面に限らず、基材層10とコート層14との接触表面にも施すことができる。これにより、本実施形態に係る成形品用ラベル1の印刷適性を一層向上させることができ、アルカリ水溶液によってアンカー層(不図示)から容易に剥離させることもできる。
【0041】
<ポリエステル系粘着剤層>
【0042】
ポリエステル系粘着剤層12は、ポリエステル系樹脂を主成分とするポリエステル系粘着剤組成物によって形成することができる。ポリエステル系粘着剤層12に使用されるポリエステル系樹脂は、特に限定されず、公知のものを使用でき、例えば、三菱ケミカル社製の「ニチゴーポリエスター(TM)」シリーズ(商品名「NP―110S50EO」、「SNT」、「NP―120S45EO」等)のポリエステル系樹脂等が挙げられる。そして、ポリエステル系粘着剤層12に使用されるポリエステル系樹脂は、例えば、多価カルボン酸成分とポリオール成分を触媒の存在下で重縮合反応させることによって製造される。
【0043】
ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、常温接着性、初期粘着力等の観点から、-70℃以上0℃以下であることが好ましい。これにより、ポリエステル系粘着剤層12は、常温で粘着性(感圧接着性)を有し、非晶性ポリエステル樹脂を含む樹脂製の成形品の表面に常温で貼付することができる。なお、ガラス転移点温度は、JIS K7121:1987に準拠して、10℃/分の昇温速度で測定して求めることができる。
【0044】
ポリエステル系樹脂の数平均分子量(Mn)は、特に限定されないが、凝集力、耐熱性、機械的強度、粘着性等の観点から、5000以上100000以下であることが好ましく、10000以上100000以下であることがより好ましく、15000以上80000以下であることが更に好ましい。ここでいう数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定される、標準ポリスチレン分子量換算値である。
【0045】
また、ポリエステル系樹脂を架橋剤によって架橋させることによって、凝集力が一層優れたものとなり、粘着剤としての性能を一層向上させることができる。かかる架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物やポリエポキシ化合物等、ポリエステル系樹脂に含まれる水酸基及び/又はカルボキシル基と反応する官能基を有する化合物が挙げられる。これらの中でも、初期粘着力、機械的強度、及び耐熱性等をより高いレベルで両立できる観点から、ポリイソシアネート化合物であることが好ましい。架橋剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
架橋剤の配合量は、ポリエステル系樹脂の分子量や用途目的等を考慮して、適宜選択できるが、ポリエステル樹脂に含まれる水酸基及び/又はカルボキシル基の1当量に対して、架橋剤に含まれる反応性基が、0.2当量以上10当量以下となる割合で架橋剤を配合することが好ましく、0.5当量以上5当量以下であることがより好ましく、0.5当量以上3当量以下であることが更に好ましい。このような配合量とすることによって、架橋剤に含まれる反応性基の当量数に基づき凝集力が一層向上するとともに、貼付後のラベルずれを一層効果的に抑制できる傾向にある。加えて、柔軟性や初期粘着力の低下も一層効果的に抑制できるため、貼付直後の剥がれ等を一層効果的に抑制できる傾向にある。
【0047】
ポリエステル系粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、従来公知の、加水分解抑制剤、軟化剤、紫外線吸収剤、安定剤、耐電防止剤、粘着付与剤等の添加剤やその他、無機又は有機の充填剤、金属粉、顔料等の粉体、粒子状等の添加剤を配合することができる。
【0048】
また、ポリエステル系粘着剤組成物を用いて、ポリエステル系粘着剤層12を塗布形成する場合、溶媒として、例えば、アルコール類、アセトン、酢酸エチル、酢酸、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル(DME)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トルエン、四塩化炭素、n-ヘキサン、(水)、及びこれらの混合物等を用いてもよい。
【0049】
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、フェネチルアルコール等のモノアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のジオール類;トリエチレングリコール等のトリオール類;ポリエチレングリコール等のポリオール類が挙げられる。
【0050】
ポリエステル系粘着剤層12の貯蔵弾性率G´は、23℃、周波数1Hzにおいて、1×105Pa以上100×105Pa以下であることが好ましく、5×105Pa以上50×105Pa以下であることがより好ましい。ポリエステル系粘着剤層12の貯蔵弾性率G´が、上記上限値以下であれば、粘着力が一層担保されやすい傾向にある。ポリエステル系粘着剤層12の貯蔵弾性率G´が、上記下限値以上であれば、凝集力が一層担保されやすい傾向にある。
【0051】
粘着剤層の貯蔵弾性率G´は、ポリエステル系粘着剤層12に含まれる重合体(粘着剤)を構成するモノマーの種類、分子量及び配合比、並びに重合体の重合度、さらに架橋剤を含む場合には、架橋剤量(重合体の架橋密度)等を適宜変更することによって、調整することができる。
【0052】
ポリエステル系粘着剤層12の貯蔵弾性率G´は、動的粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、装置名「ARES」)を用いて測定することができる。2枚の剥離ライナー間に、500μm~1mmの厚み(例えば、800μm)のポリエステル系粘着剤層12を形成した積層体を、直径8mmの円盤状に打抜き、剥離ライナーを除去した後のものを、測定試料とする。そして、-50℃~150℃の温度範囲において、5℃/分の昇温速度及び周波数1Hzの剪断モードで測定を行ったときの、23℃における貯蔵弾性率G´を測定する。
【0053】
ポリエステル系粘着剤層12の厚さは、成形品用ラベル1の用途に応じて適宜選択できる。ポリエステル系粘着剤層12の厚さは、1μm以上50μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましく、10μm以上40μm以下であることが更に好ましく、10μm以上30μm以下であることがより更に好ましい。
【0054】
<剥離材層>
【0055】
本実施形態の成形品用ラベル1は、ポリエステル系粘着剤層12側の表面に、剥離材層20(剥離ライナー等)を積層して、剥離材付き成形品用ラベル2としてもよい。剥離材層20としては、ポリエステル系粘着剤層12から剥離可能な材質であればよく、特に限定されず、公知のものを使用できる。例えば、グラシン紙、コート紙、ラミネート紙等の紙や、各種プラスチックフィルムにシリコーン樹脂等の剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。本実施形態に係る剥離材付き成形品用ラベル2の一態様としては、例えば、基材層10の片面にコート層14が設けられ、その反対面にポリエステル系粘着剤層12及び剥離材層20が順次積層された構造であるものが挙げられる。このような構造の成形品用ラベル1を成形品30に貼付する場合、剥離材層20を剥がしてポリエステル系粘着剤層12を露出させ、ポリエステル系粘着剤層12を成形品30(被着体)の表面に接触させて、貼付すればよい。
【0056】
剥離材層20の厚さは、成形品用ラベル1の用途に応じて適宜選択できるが、取扱性の観点から、10μm以上200μm以下であることが好ましく、20μm以上150μm以下であることがより好ましく、30μm以上100μm以下であることが更に好ましい。
【0057】
さらに、本実施形態の作用効果が得られる範囲であれば、成形品用ラベル1に、必要に応じて、上記以外の機能層を設けてもよい。
【0058】
<成形品用ラベルの製造方法>
【0059】
本実施形態に係る成形品用ラベル1の製造方法は、特に限定されないが、例えば、基材層10の表面に、ポリエステル系粘着剤層12を積層させる工程を含む製造方法によって、製造することができる。基材層10の表面にポリエステル系粘着剤層12を積層させる方法としては、例えば、ポリエステル系粘着剤を含む組成物(ポリエステル系粘着剤組成物)を基材層10の表面に塗布することによって、ポリエステル系粘着剤層12を形成する方法等が挙げられる。ポリエステル系粘着剤組成物を塗布する方法としては、例えば、ロールコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールナイフコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
【0060】
そして、剥離材付き成形品用ラベル2とする場合は、上述した剥離材層20を、ポリエステル系粘着剤層12の表面に積層させればよい。
【0061】
<ラベル付き成形品>
【0062】
図2は、本実施形態に係る成形品用ラベルを成形品に貼り付けたラベル付き成形品の部分断面図である。
【0063】
成形品用ラベル1は、非晶性ポリエステル樹脂を含む樹脂製の成形品30の表面に貼付して使用される。すなわち、ラベル付き成形品3は、本実施形態に係る成形品用ラベル1を、成形品30に貼り付けたものである。具体的には、非晶性ポリエステル樹脂等の樹脂製の成形品30と、成形品30の表面に貼付された成形品用ラベル1と、を含む、ラベル付き成形品3である。貼付する成形品30が、複数層から構成されるものである場合、その表面層に成形品用ラベル1が貼付される。
【0064】
成形品30としては、例えば、容器本体及び蓋体等の容器類が挙げられる。具体例としては、ブリスターパック、フルーツカップ、卵パック等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
上述したように、成形品30の材料選択として、従来の二軸延伸ポリエステル樹脂等よりも熱成形性等の物性に優れる非晶性ポリエステル樹脂、さらには非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)を用いることが好まれることがある。このような成形品30と、本実施形態の成形品用ラベル1を併用することで、材料としてのモノマテリアル化が進展し、モノマテリアル包装材料として、特にリサイクル性に優れたラベル一体容器として好適に使用できる。
【0066】
このような観点から、成形品用ラベル1を構成する樹脂層が、全てポリエステル樹脂層であり、かつ、成形品30を構成する樹脂層が、全てポリエステル樹脂層であることが好ましい。さらには、成形品用ラベル1を構成する樹脂層が、全て非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)樹脂層であり、かつ、成形品30を構成する樹脂層が、全て非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)樹脂層であることが好ましい。成形品30及び成形品用ラベル1のいずれもがA-PETを材料として使用することで、ラベル付き成形品3全体としても、A-PETによる上述した各種物性の向上が期待できる。
【0067】
<ラベル付き成形品の製造方法>
【0068】
図3は、本実施形態に係るラベル付き成形品の製造方法の説明に供する部分概略図である。
【0069】
本実施形態に係るラベル付き成形品3の製造方法は、成形品用ラベル1が成形品30に貼付されたラベル付き成形品の製造方法であって、
(a)長尺のポリエステル樹脂製のシート40の表面に、一定の間隔で成形品用ラベル1を連続的に貼付することによって、成形品用ラベル付きシート4を得る、ラベリング工程と、
(b)成形品用ラベル付きシート4に、成形品30の形状に対応する形状を、熱成形により連続的に賦形することによって、容体シートを得る、熱成形工程と、
(c)容体シートを、成形品単位で分断する、切断工程と、を含み、
少なくとも(a)工程及び(b)工程を連続的に実施することによって、ラベル付き成形品3を連続的に製造し、成形品用ラベル1は、非晶性ポリエステルフィルムを含む基材層10と、基材層10の少なくとも一方の表面に設けられたポリエステル系粘着剤層12と、を含む、ラベル付き成形品3の製造方法である。以下に、その一態様を例示的に説明する。
【0070】
本実施形態に係る製造方法では、少なくとも(a)ラベリング工程を行った後に、(b)熱成形工程を行う。上述したように、成形品用ラベル1の材料と、ポリエチレン樹脂製のシートから得られる成形品30の材料は、モノマテリアル包装材料として好適な組み合わせである。よって、これらを成形品用ラベル付きシート4として一体化した後に、容器等の形状を賦形する熱成形を行っても、加工不良や、成形品30と成形品用ラベル1との剥がれ等といった不具合を十分に抑制できる。そして、不良製品の発生が少なく歩留まりが高く、かつ、連続的に製造できるため、経済性にも優れる。
【0071】
(a)工程では、長尺のポリエステル樹脂製のシート40を用いる。これは、後に成形品30を構成する部材となる。ポリエステル樹脂製のシート40としては、略矩形の長尺のシートを用いることができる。ポリエステル樹脂製のシート40の表面上に、縦横に一定の間隔で、成形品用ラベル1を貼付して、成形品用ラベル付きシート4を得る。ポリエステル樹脂製のシート40に対して成形品用ラベル1の貼付は、連続的に行うことができ、例えば、
図3において、搬送方向(矢印F)に搬送されるポリエステル樹脂製のシート40に対して、縦横に一定の間隔で、成形品用ラベル1を連続的に貼付する。
図3は、成形品用ラベル1を3行(幅方向に3個)に配置する場合を例示しているが、配置間隔及び搬送速度は、特に限定されず、好適な条件を採用することができる。これらの条件は、使用するラベル貼付装置等の構成や条件を適宜変更することで、調整可能である。また、上述したように、成形品用ラベル1は常温で接着性を有するため、(a)工程では、ポリエステル樹脂製のシート40に対して成形品用ラベル1を常温で貼付することが好ましい。これにより、ラベリング工程で加熱貼付を行う必要がなくなり、生産性が向上する。
【0072】
(b)工程では、真空・圧空成形機等を用いて、(a)工程で得られた成形品用ラベル付きシート4を加熱して軟化させ、金型等によって成形品30の形状(例えば、容器本体や蓋体の形状)に対応した形状を賦形する。賦形は、真空・圧空成形等によって行うことができる。これによって、形状が賦形された容体シートを得ることができる。
【0073】
なお、本実施形態では、ポリエステル樹脂製のシート40と、成形品用ラベル1との材料の親和性(例えば、相溶性等)が良好であるため、成形品用ラベル1の端部が浮いたり、剥がれたりすることがなく、かつ、透明性も維持でき、高い賦形性を実現することができる。また、成形品用ラベル1のコート層14等に、インク等で印字している場合、インクの脱落も抑制できる。成形条件は、特に限定されず、使用する成形機等の構成や条件を適宜変更することで、好適な条件となるよう調整可能である。
【0074】
(c)工程では、(a)工程及び(b)工程を行った後に、成形品単位で分断する。例えば、(b)工程では、容体シートの各容体が、熱成形工程において形成されたまま、縦横に一定の間隔で整列した状態で、搬送されてくる。これを、各容体に切断して、ラベル付き成形品3を得ることができる。本実施形態では、(a)工程及び(b)工程を連続的に実施した後に、(c)工程において成形品単位に分断することも可能である。
【実施例0075】
以下の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、%及び部は、特に断りのない限り、質量基準に基づくものである。
【0076】
<成形品用ラベル1の作製>
【0077】
(ポリエステル系粘着剤層12)
【0078】
ポリエステル系樹脂(三菱ケミカル社製、商品名「ニチゴーポリエスター(TM) NP-110S50EO」;ガラス転移温度(Tg)-50℃以下)100質量部(固形分)に対し、架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)2質量部(固形分)及び酢酸エチル40質量部を添加・混合して、粘着剤組成物を調製した。
【0079】
得られた粘着剤組成物を、グラシン紙上にシリコーン系剥離剤を塗布した剥離ライナーの表面上に、ナイフコーターを用いて、乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗布した。塗布後、90℃下で1分間乾燥させて、ポリエステル系粘着剤層12を形成した。
【0080】
(基材層10、コート層14)
【0081】
基材層10として、厚さが120μmの非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)フィルム(RP東プラ社製、商品名「NOACRYSTAL-M」)を用い、この一方の表面に、マイヤーバーを用いて、溶剤系ポリエステルウレタン樹脂を塗布後、乾燥処理し、厚さが1μmの印刷受理層(ポリエステルウレタン樹脂層)を形成した。このようにして、印刷受理層から構成されるコート層14を、基材層10の表面上に形成した。
【0082】
なお、基材層10である非晶性ポリエチレンテレフタレートフィルムは、100℃で5分間処理した際のMD方向の熱収縮率は、3.5%であった。
【0083】
そして、ポリエステル系粘着剤層12上に、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)フィルム(RP東プラ社製、商品名「NOACRYSTAL-M」)のコート層14側とは反対の表面を貼付し、巻きとり、23℃下で7日間静置して、成形品用ラベル1を得た。そして、これをロール状にして、対応するラベルロールを得た。
【0084】
(初期粘着力)
ラベルロールから必要量を切り出し、シート形状にした。これを、JIS Z0237:2009に準拠し、23℃環境下で、24時間静置した後、剥離ライナーを剥がして、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)板に、2kgのゴムローラを用いてローラ圧着しながら、粘着剤層面を貼付した。貼付した直後、及び貼付して24時間標準環境下に静置した後に、粘着力を測定した。具体的には、引張試験機により、180°方向に試験速度0.3m/分でシートを引き剥がし、粘着力を測定した。数値は、シート幅25mm当たりの引き剥がし力に換算したもの(N/25mm)である。
上記実施例の成形品用ラベル1の初期粘着力は、5.5N/25mmであった。
【0085】
次いで、成形品用ラベル1のコート層14に、UV硬化型インキを用いて印刷を施した。
【0086】
<ラベル付き成形品3の作製>
【0087】
((a)ラベリング工程)
【0088】
ラベルロールを、長さ300m、幅60mmに裁断し、ラベルサイズ35mm×35mm、ラベル間隔が3mmとなるように抜き加工を行った。このラベルロールを用いてラベリング装置によって、ラベリング速度100m/分で、熱成形用A-PETシート(ポリエステル樹脂製のシート40)に対して、連続的に貼付して、成形品用ラベル付きシート4(成形品用ラベル1が貼付された熱成形用A-PETシート)を得た。得られた成形品用ラベル付きシート4について、ラベルの端部等の浮き剥がれがないことを目視で確認した。
【0089】
((b)熱成形工程~(c)切断工程)
【0090】
成形品用ラベル付きシート4に対して、真空・圧空成形機を用いて、表面温度が120℃になるように加熱して軟化させ、雌型、アルミ金型を用い、0.5MPaの圧空をかけながら真空・圧空成形して、形状が賦形された容体シートを得た。上述した(a)工程及び(b)工程を連続的に行った後、容体シートを成形品単位に分断する切断工程を行うことによって、開口部(横172mm×縦88mm、深さが22mm)を設けた食品トレー容器の蓋(耐熱透明A-PET容器蓋)を得た。この得られた食品トレー容器蓋は、いずれも、ラベルの端部浮き剥がれがなく、透明で、変形も無く、ラベルの印刷面のインクの脱落もなかったことを、目視によって確認した。