(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077928
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】接合装置および接合方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20230530BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
H01L21/02 B
G01B11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191437
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110859
【氏名又は名称】キヤノンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 堅一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 亮
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 隆行
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA01
2F065FF04
2F065FF15
2F065FF51
2F065JJ19
2F065JJ26
(57)【要約】
【課題】第1物体の所定箇所に第2物体を接合させる際の位置決めを第1方向および第2方向に関して高い精度で実現するために有利な技術を提供する。
【解決手段】第1物体に第2物体を接合させる接合装置に係り、前記接合装置は、前記第1物体を保持する第1保持部と、前記第2物体を保持する第2保持部と、第1方向および第2方向に関して前記第1保持部と前記第2保持部との相対位置を変更する位置決め機構と、前記第1物体を撮像する第1カメラと、前記第2物体を撮像する第2カメラと、前記第2保持部および前記第1カメラを支持する支持部と、前記第1カメラの出力および前記第2カメラの出力に基づいて、前記第1物体の接合対象箇所に対して前記第2物体が位置決めされるように、前記第1方向および前記第2方向に関して前記位置決め機構を制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1物体に第2物体を接合させる接合装置であって、
前記第1物体を保持する第1保持部と、
前記第2物体を保持する第2保持部と、
第1方向および第2方向に関して前記第1保持部と前記第2保持部との相対位置を変更する位置決め機構と、
前記第1物体を撮像する第1カメラと、
前記第2物体を撮像する第2カメラと、
前記第2保持部および前記第1カメラを支持する支持部と、
前記第1カメラの出力および前記第2カメラの出力に基づいて、前記第1物体の接合対象箇所に対して前記第2物体が位置決めされるように、前記第1方向および前記第2方向に関して前記位置決め機構を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする接合装置。
【請求項2】
前記第1保持部および前記第2カメラを支持する支持構造を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の接合装置。
【請求項3】
前記支持構造は、前記第2保持部に前記第2物体を搬送する経路の側の第1端面と、前記第1端面の反対側の第2端面とを有し、前記第2カメラは、前記支持構造の中心を通り前記第1端面に平行な仮想面と前記第1端面との間に配置されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の接合装置。
【請求項4】
前記第2カメラは、前記第2保持部に前記第2物体を搬送する経路における所定位置と前記第1保持部との間に配置されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の接合装置。
【請求項5】
前記支持部は、前記経路の側の第3端面と、前記第3端面の反対側の第4端面とを有し、前記第1カメラは、前記支持部の中心を通り前記第3端面に平行な仮想面と前記第3端面との間に配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の接合装置。
【請求項6】
前記位置決め機構は、前記支持構造を移動させることによって前記相対位置を変更する、
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項7】
前記支持構造の位置を計測するための計測器を更に備え、
前記制御部は、前記計測器による計測結果に基づいて前記支持構造がフィードバック制御されるように前記位置決め機構を制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の接合装置。
【請求項8】
前記計測器は、干渉計またはエンコーダーを含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の接合装置。
【請求項9】
前記位置決め機構は、前記支持部を移動させることによって前記相対位置を変更する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項10】
前記支持部の位置を計測するための計測器を更に備え、
前記制御部は、前記計測器による計測結果に基づいて前記支持部が位置決めされるように前記位置決め機構をフィードバック制御する、
ことを特徴とする請求項9に記載の接合装置。
【請求項11】
前記計測器は、干渉計またはエンコーダーを含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の接合装置。
【請求項12】
前記第1保持部を支持する支持構造を更に備え、
前記第1保持部と前記第2カメラとは、互いに異なる支持体によって支持される、
ことを特徴とする請求項1に記載の接合装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記第1カメラの出力に基づいて特定される前記第1物体の前記接合対象箇所の位置と、前記第2カメラの出力に基づいて特定される前記第2物体の位置と、に基づいて、前記第1物体の前記接合対象箇所に対して前記第2物体が位置決めされるように前記位置決め機構を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項14】
前記第1方向および前記第2方向は、水平面に沿った方向であり、前記位置決め機構は、前記第1方向および前記第2方向の他、前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向に平行な軸周りの回転に関して、前記相対位置を変更する、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記第1カメラを使って前記第1物体の複数の接合対象箇所の位置を特定する処理を行い、その後、前記第1物体の前記複数の接合対象箇所に対して、前記第2物体を含む複数の物体がそれぞれ接合されるように前記位置決め機構を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記第1カメラを使って前記第1物体の複数の計測対象箇所の位置を計測し、前記複数の計測対象箇所の個数は、前記複数の接合対象箇所の個数より少ない、ことを特徴とする請求項15に記載の接合装置。
【請求項17】
第1物体に第2物体を接合させる接合方法であって、
第1保持部によって前記第1物体を保持する第1保持工程と、
第2保持部によって前記第2物体を保持する第2保持工程と、
前記第1保持部によって保持された前記第1物体を撮像する第1撮像工程と、
前記第2保持部によって保持された前記第2物体を撮像する第2撮像工程と、
前記第1撮像工程で撮像された画像、および、前記第2撮像工程で撮像された画像に基づいて、前記第1物体の接合対象箇所に対して前記第2物体が位置決めされるように、第1方向および第2方向に関して前記第2物体を位置決めし接合する接合工程と、
を含むことを特徴とする接合方法。
【請求項18】
第1物体に第2物体を接合させる接合方法であって、
第1保持部によって前記第1物体を保持する第1保持工程と、
第2保持部によって前記第2物体を保持する第2保持工程と、
前記第1保持部によって保持された前記第1物体を撮像した画像に基づいて前記第1物体の複数の接合対象箇所の位置を決定する第1計測工程と、
前記第2保持部によって保持された前記第2物体を撮像した撮像に基づいて前記第2物体の位置を決定する第2計測工程と、
前記第1計測工程で決定された前記複数の接合対象箇所の1つに対して、前記第2計測工程で決定された前記第2物体の位置に基づいて前記第2物体を位置決めし接合する接合工程と、を含み、
前記複数の接合対象箇所の全てに対して、前記第2計測工程および前記接合工程を実施する、
ことを特徴とする接合方法。
【請求項19】
第1物体を準備する工程と、
第2物体を準備する工程と、
請求項17又は18に記載の接合方法に従って前記第1物体に前記第2物体を接合させた接合物を形成する工程と、
前記接合物を処理して物品を得る工程と、
を含むことを特徴とする物品製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合装置および接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1物体を第2物体に対して位置決めする装置が記載されている。該装置は、該第2物体に対して直線移動する移動体を備え、該移動体には、該第1物体を保持する保持部と、該第2物体の位置を特定する位置特定手段とが、該移動体の移動方向に沿って所定の間隔を開けて取り付けられている。該装置は、更に、該移動体の該移動方向に沿って配置されたスケールを備えている。該移動体には、更に、該スケールの目盛に基づいて該保持部の位置を検出する第1位置検出部と、該第2物体の位置に対応する該スケールの目盛位置を検出する第2位置検出部とが、該移動体の該移動方向に沿って該所定の間隔を開けて取り付けられている。該装置は、更に、該第1位置検出部が該目盛位置を検出する位置に該移動体を移動させて該第1物体を該第2物体に対して位置決めする制御部を備えている。該装置によれば、該スケールが熱膨張したとしても、該第2物体に対して該第1物体を高い精度で位置決めすることができる。しかし、該装置では、該移動体の移動方向が1つの方向である。したがって、該装置は、該1つの方向に関してのみ、該第1物体を該第2物体に対して高い精度で位置決めすることができるに過ぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、第1物体の所定箇所に第2物体を接合させる際の位置決めを第1方向および第2方向に関して高い精度で実現するために有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの側面は、第1物体に第2物体を接合させる接合装置に係り、前記接合装置は、前記第1物体を保持する第1保持部と、前記第2物体を保持する第2保持部と、第1方向および第2方向に関して前記第1保持部と前記第2保持部との相対位置を変更する位置決め機構と、前記第1物体を撮像する第1カメラと、前記第2物体を撮像する第2カメラと、前記第2保持部および前記第1カメラを支持する支持部と、前記第1カメラの出力および前記第2カメラの出力に基づいて、前記第1物体の接合対象箇所に対して前記第2物体が位置決めされるように、前記第1方向および前記第2方向に関して前記位置決め機構を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第1物体の所定箇所に第2物体を接合する際の位置決めを第1方向および第2方向に関して高い精度で実現するために有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の接合装置の構成を模式的に示す図。
【
図2】第1実施形態の接合装置におけるウェーハステージの構成例を示す図。
【
図3】第1実施形態の接合装置における接合方法を示すフローチャート。
【
図4】第1実施形態の接合装置におけるダイ接合位置のオフセットを算出する方法を示すフローチャート。
【
図5】第2実施形態の接合装置の構成を模式的に示す図。
【
図6】第2実施形態の接合装置におけるウェーハステージの構成例を示す図。
【
図7】第3実施形態の接合装置の構成を模式的に示す図。
【
図8】第3実施形態の接合装置におけるボンディングステージの構成例を示す図。
【
図9】第4実施形態の接合装置の構成を模式的に示す図。
【
図10】第4実施形態の接合装置におけるボンディングステージの構成例を示す図。
【
図11】第5実施形態の接合装置の構成を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
以下の説明では、第1物体としては半導体デバイスが形成されたウェーハ、第2物体としては半導体デバイスを含む個片化されたダイとして説明するが、第1物体および第2物体は、これらに限定されず、発明の要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0010】
例えば、第1物体は、シリコンウェーハ、配線が形成されたシリコンウェーハ、ガラスウェーハ、配線が形成されたガラスパネル、配線が形成された有機パネル(PCB)、金属パネルであってもよい。あるいは、第1物体は、半導体デバイスが形成されたウェーハに対して半導体デバイスが形成されたダイが接合された基板でありうる。
【0011】
例えば、第2物体は、いくつかの個片化されたダイを積み重ねたものや、材料の小片、光学素子、MEMS等の構造物であってもよい。
【0012】
接合方式についても、特定の接合方式に制限されない。例えば、接合方式は、接着剤による接合、仮接着剤による仮接合、ハイブリッドボンディングによる接合、原子拡散接合、真空貼り合わせ、バンプ接合などであってもよく、様々な仮接合、永久接合の方式が利用できる。
【0013】
ここで、産業上の適用例について説明する。第1の適用例としては、積層メモリーの製造を挙げることができる。積層メモリーの製造への適用時は、第1物体は、メモリーが形成されたウェーハであってよく、第2物体は、個片化されたダイとしてのメモリーであってよい。通常は、8層などの積層が行われるため、8層目の接合においては、第1物体は、ウェーハ上にすでに6層のメモリーが接合された基板でありうる。なお、最終層は、メモリーを駆動するドライバーであってもよい。
【0014】
第2の適用例としては、プロセッサーのヘテロジニアスインテグレーションを挙げることができる。これは、従来のプロセッサーが1つの半導体チップの中に、ロジック回路およびSRAMを組み込んだSoCが主流であったのに対して、各素子に最適なプロセスを適用して別々のウェーハで作成し、それらを接合してプロセッサーを製造するものである。これにより、プロセッサーのコストダウンと歩留まり向上を実現することができる。ヘテロジニアスインテグレーションへの適用時は、第1物体は、半導体デバイスであるロジックデバイスが形成されたウェーハであってよく、第2物体は、プロービング後に個片化されたSRAM、アンテナまたはドライバーのダイであってよい。通常は異なるダイが順次接合されるので、第1物体では、接合物が順次増えてゆき、例えば、SRAMから接合を開始する場合には、SRAMの次の素子を接合する際には、ロジックウェーハにSRAMが接合されているものが第1物体となる。なお、複数のダイを接合する場合には、接合の順番としては、ボンディングヘッドが接合済みのダイと干渉しないように、薄いダイから接合していくことが望ましい。
【0015】
第3の適用例としては、シリコンインターポーザを用いた2.5D接合を挙げることができる。シリコンインターポーザとは、シリコンウェーハ上に配線が形成されたものである。2.5D接合とは、シリコンインターポーザを用いて、個片化されたダイを接合して、ダイ間の電気的な接合を行うものである。シリコンインターポーザへのダイ接合への適用時は、第1物体は、配線が形成されたシリコンウェーハであってよく、第2物体は、個片化されたダイであってよい。通常は複数種類のダイがシリコンインターポーザに接合されるので、第1物体には、シリコンインターポーザにいくつかのダイが接合済みのものも含まれる。なお、複数のダイを接合する場合には、接合の順番としては、ボンディングヘッドが接合済みのダイと干渉しないように、薄いダイから接合していくことが望ましい。
【0016】
第4の適用例としては、有機インターポーザ、もしくはガラスインターポーザを用いた2.1D接合を挙げることができる。有機インターポーザとは、パッケージ基板として用いられる有機パネル(PCB基板、CCL基板)上に配線が形成されものであり、ガラスインターポーザとは、ガラスパネル上に配線が形成されたものである。2.1D接合とは、有機インターポーザもしくはガラスインターポーザに個片化されたダイを接合して、インターポーザ上の配線でダイ間の電気的な接合を行うものである。有機インターポーザへのダイ接合への適用時には、第1物体は配線が形成された有機パネルであり、ガラスインターポーザへのダイ接合への適用時は、第1物体は、配線が形成されたガラスパネルであってよく、第2物体は、個片化されたダイであってよい。通常は複数種類のダイが有機インターポーザやガラスインターポーザに接合されるので、第1物体には、有機インターポーザやガラスインターポーザにいくつかのダイが接合済みのものも含まれる。なお、複数のダイを接合する場合には、接合の順番としては、ボンディングヘッドが接合済みのダイと干渉しないように、薄いダイから接合していくことが望ましい。
【0017】
第5の適用例としては、ファンアウトパッケージ製造工程の仮接合を挙げることができる。個片化されたダイをモールド樹脂でウェーハ状に再構成してパッケージ化するファンアウトウェーハレベルパッケージが知られている。また、個片化されたダイをパネル状に再構成してパッケージ化するファンアウトパネルレベルパッケージが知られている。パッケージ化の際に、ダイからバンプへの再配線形成、もしくは異種ダイ間を接合する再配線がモールドされた再構成基板上に形成される。この際に、ダイの配列精度が低いと、ステップアンドリピート方式の露光装置を用いて再配線パターンを転写する際に、再配線パターンをダイに高精度に位置合わせできなくなってしまう。そのため、配列精度よくダイを並べることが求められている。ファンアウトパッケージ製造工程への適用時には、第1物体は、金属パネルなどの仮接合を行う基板であってよく、第2物体は、個片化されたダイであってよい。個片化されたダイは、仮接合剤によって金属パネルなどの基板へ仮接合されうる。その後、モールド装置により、ウェーハ、もしくはパネル形状にモールドされ、モールド後に、金属パネルなどの基板から剥離することにより、再構成ウェーハ、もしくは再構成パネルが製造される。この接合に適用する場合には、モールド工程による配列変形を補正するように、接合装置による接合位置を調整することが望ましい。
【0018】
第6の適用例としては、異種基板接合を挙げることができる。例えば、赤外画像センサーの分野において、InGaAsが高感度材料として知られている。光を受光するセンサー部としてInGaAsを使用して、データを取り出すロジック回路には高速処理を実現しうるシリコンを使用して、高感度で高速な赤外画像センサーを製造することができる。しかし、InGaAsの結晶は、4インチなどの小径のウェーハしか量産化されておらず、シリコンウェーハで主流となっている300mmよりも小型である。そのため、ロジック回路を形成した300mmシリコンウェーハの上に、個片化したInGaAs基板を接合する方法が提案されている。このように異なる材料からなり、基板サイズが違うものを接合する異種基板接合にも、接合装置を適用できる。異種基板接合への適用時には、第1物体をシリコンウェーハなどの大口径の基板とし、第2の物体をInGaAsなどの材料の小片とすることができる。なお、材料の小片は、結晶をスライスしたものであるが、四角形に切り出しておくことが望ましい。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の接合装置BDの構成を模式的に示す図である。
図1においては、XYZ座標系によって方向が示されている。典型的には、XY平面は水平面に対して平行な面であり、Z軸は鉛直方向に平行な軸である。X軸、Y軸、Z軸は、互直交あるいは交差する方向の例として示されている。他の図面においても同様である。
【0019】
接合装置BDは、
図1に示すように、マウント2によって制振されたベース1の上に配置されたピックアップ部3およびボンディング部4を備えうる。
図1には、1つのベース1の上にピックアップ部3およびボンディング部4が搭載された例が示されているが、ピックアップ部3およびボンディング部4は、別々のベース上に個別に搭載されていてもよい。接合装置BDは、第1物体としてのウェーハ6上の接合対象箇所に第2物体としてのダイ51を位置決めし接合するように構成されうる。ダイ51は、ダイシングフレーム5に貼られたダイシングテープによって保持された状態で提供されうる。接合装置BDはまた、ピックアップ部3およびボンディング部4を制御する制御部CNTを備えうる。制御部CNTは、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Arrayの略。)などのPLD(Programmable Logic Deviceの略。)、又は、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略。)、又は、プログラムが組み込まれた汎用又は専用のコンピュータ、又は、これらの全部または一部の組み合わせによって構成されうる。
【0020】
ピックアップ部3は、ピックアップヘッド31と、リリースヘッド32とを含みうる。ピックアップ部3は、ウェーハ6に接合するべきダイ51をリリースヘッド32によってダイシングテープから剥離し、このダイ51をピックアップヘッド31で吸引によって保持しうる。ピックアップヘッド31は、例えば、ダイ51を180度回転させて、ボンディング部4のボンディングヘッド423に渡しうる。ピックアップヘッド31は、ダイ51の接合面に接触しうる。そこで、ハイブリッドボンディングなどのように表面を活性化させて接合を行う接合方法への適用例においては、接合面に接触する表面をダイヤモンドライクカーボン(DLC)コートや、フッ素コートなどの安定性が高い表面にすることや、高密度なピン形状などの接触面積の小さい形状として接触面積を減らすことが望ましい。もしくは、ベルヌーイチャックのような非接触なハンドリング方法や、側面やエッジ部を保持することで接合面に接触しないことも考えられる。
【0021】
ボンディング部4は、ステージ定盤41と、上部ベース42とを備えうる。ステージ定盤41の上には、第1保持部としてのウェーハステージ43が搭載されうる。ウェーハステージ43は、リニアモーターなどの駆動機構436により、X軸方向(第1方向)およびY軸方向(第2方向)に関して駆動されうる。駆動機構436は、更に、ウェーハステージ43をZ軸方向(第3方向)に平行な軸周りの回転に関して駆動するように構成されてもよい。駆動機構436がウェーハステージ43をZ軸方向に平行な軸周りの回転に関して駆動する代わりに、ボンディングヘッド423がダイ51をZ軸方向に平行な軸周りの回転に関して駆動してもよい。駆動機構436は、第1保持部としてのウェーハチャック433(あるいはウェーハ6)と第2保持部としてのボンディングヘッド423(あるいはダイ51)との相対位置を変更する位置決め機構を構成しうる。
【0022】
ウェーハステージ43には、第2カメラとしてのダイ観察カメラ431が搭載されうる。ダイ観察カメラ431は、ボンディングヘッド423によって保持された第2物体としてのダイ51の特徴箇所の位置を検出するための第2検出器である。ウェーハステージ43には、バーミラー432が設けられうる。バーミラー432は、干渉計422のターゲットとして使用されうる。ウェーハステージ43には、第1保持部としてのウェーハチャック433が搭載されうる。ウェーハチャック433は、第1物体としてのウェーハ6を保持する。
【0023】
図1の例では、ウェーハステージ43は、第1保持部としてのウェーハチャック433、および、第2カメラとしてのダイ観察カメラ431を支持する支持構造として機能する。支持構造としてのウェーハステージ43は、第2保持部としてのボンディングヘッド423に第2物体としてのダイ51を搬送する経路の側の第1端面(
図1では左側端面)と、該第1端面の反対側の第2端面(
図1では右側端面)とを有しうる。第2カメラとしてのダイ観察カメラ431は、該支持構造の中心を通り該第1端面に平行な仮想面と該第1端面との間に配置されうる。あるいは、他の観点では、第2カメラとしてのダイ観察カメラ431は、第2保持部としてのボンディングヘッド423に第2物体としてのダイ51を搬送する経路における所定位置と第1保持部としてのウェーハチャック433との間に配置されうる。このような構成は、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51をダイ観察カメラ431で観察するためにウェーハステージ43を駆動する量を小さくし、スループットを向上するために有利である。
【0024】
上部ベース42には、第1カメラとしてのウェーハ観察カメラ421が搭載されうる。ウェーハ観察カメラ421は、ウェーハチャック433によって保持された第1物体としてのウェーハ6の特徴箇所の位置を検出するための第1検出器である。制御部CNTは、ウェーハ観察カメラ421を使って検出されたウェーハ6の特徴箇所の位置に基づいて、ウェーハ6上の複数の接合対象箇所の位置を特定あるいは計算するように構成されうる。上部ベース42には、更に、バーミラー432を使ってウェーハステージ43の位置を計測するための干渉計422が搭載されうる。上部ベース42には、更に、ピックアップヘッド31から渡される第2物体としてのダイ51を受け取って保持し、ウェーハ6の接合対象箇所に接合するボンディングヘッド423が搭載されうる。ボンディングヘッド423は、第2物体としてのダイ51を保持する第2保持部としての機能も有する。
【0025】
図1の例では、上部ベース42は、支持部であり、該支持部は、第2保持部としてのボンディングヘッド423、および、第1カメラとしてのウェーハ観察カメラ421を支持するように構成される。支持部としての上部ベース42は、第2保持部としてのボンディングヘッド423に第2物体としてのダイ51を搬送する経路の側の第3端面(
図1では左側端面)と、該第3端面の反対側の第4端面(
図1では右側端面)とを有しうる。第1カメラとしてのウェーハ観察カメラ421は、該支持部の中心を通り該第3端面に平行な第2仮想面と該第3端面との間に配置されうる。このような構成は、ウェーハチャック433によって保持されたウェーハ6をウェーハ観察カメラ421で観察するためにウェーハステージ43を駆動する量を小さくし、スループットを向上するために有利である。
【0026】
第1物体としてのウェーハ6の接合対象箇所に対して第2物体としてのダイ51を接合する際には、ボンディングヘッド423がダイ51をZ軸の負方向(下方)に駆動してウェーハ6の接合対象箇所にダイ51を接合させうる。あるいは、駆動機構436がウェーハステージ43をZ軸の正方向(上方)に駆動することによってダイ51をウェーハ6の接合対象箇所に接合させうる。あるいは、不図示の駆動機構によってウェーハチャック433をZ軸の正方向(上方)に駆動することによって、ダイ51をウェーハ6の接合対象箇所に接合させうる。
【0027】
また、上記説明では、ピックアップヘッド31がダイ51を180度回転させてボンディングヘッド423に渡す。しかし、第1ダイ保持部および第2ダイ保持部を備えて、途中で第1ダイ保持部から第2ダイ保持部にダイ51を渡し、第2ダイ保持部からボンディングヘッド423にダイ51を渡してもよい。あるいは、ボンディングヘッド423を駆動する駆動機構を設けて、ボンディングヘッド423がダイ51を受けるようにボンディングヘッド423を駆動してもよい。また、生産性を向上させるために、複数のピックアップ部、複数のピックアップヘッド、複数のリリースヘッド、複数のボンディングヘッドを備えてもよい。
【0028】
図2は、ウェーハステージ43をZ軸の正方向から見た図である。ウェーハ6は、ウェーハチャック433によって保持される。ウェーハ6あるいはウェーハステージ43は、互いに直交あるいは交差するX軸方向(第1方向)およびY軸方向(第2方向)、および、それらに直交するZ軸方向(第3方向)に平行な軸周りの回転に関して位置決めされうる。そのため、ウェーハステージ43には、バーミラー432、より詳しくはバーミラー432a、432bが設けられうる。バーミラー432aは、干渉計422a、422cのターゲットとして機能しうる。制御部CNTは、干渉計422aの出力に基づいてウェーハステージ43のX軸方向の位置を検出することができ、また、干渉計422a、422cの出力に基づいてウェーハステージ43のZ軸方向に平行な軸周りの回転を検出することができる。バーミラー432bは、干渉計422bのターゲットとして機能しうる。制御部CNTは、干渉計422bの出力に基づいてウェーハステージ43のY軸方向の位置を検出することができる。制御部CNTは、干渉計422a、422b、422cの出力に基づいて、X軸方向、Y軸方向、および、それらに直交するZ軸方向に平行な軸周りの回転に関して、ウェーハ6あるいはウェーハステージ43をフィードバック制御するように構成されうる。干渉計422および制御部CNTは、前述の位置決め機構の構成要素として理解されてもよい。
【0029】
ウェーハステージ43の上面には、基準プレート434が設けられうる。基準プレート434には、複数のマーク434a、434b、434cが配置されうる。基準プレート434は、熱膨張率が低い材料で構成され、高い位置精度でマークが描画されうる。一例において、基準プレート434は、石英基板の上に、半導体リソグラフィー工程の描画方法を用いてマークが描画されて構成されうる。基準プレート434は、ウェーハ6の表面と略同一高さの表面を有し、ウェーハ観察カメラ421で観察されうるが、基準プレート434を観察するためのカメラが別に設けられてもよい。ウェーハステージ43は、大きな範囲で駆動される粗動ステージと、小さな範囲で高精度に駆動される微動ステージとを組み合わせた構成を有しうる。このような構成において、ダイ観察カメラ431、バーミラー432a、432b、ウェーハチャック433、基準プレート434は、高精度な位置決めを実現するために、微動ステージに設けられうる。
【0030】
ここで、基準プレート434を用いてウェーハステージ43の原点位置、倍率、X軸およびY軸の方向(回転)と直交度を保証する方法を説明する。マーク434aをウェーハ観察カメラ421で観察し、ウェーハ観察カメラ421の出力画像の中心にマーク434aが位置する時の干渉計の出力値をウェーハステージ43の原点とする。次に、マーク434bをウェーハ観察カメラ421で観察し、ウェーハ観察カメラ421の出力画像の中心にマーク434bが位置する時の干渉計の出力値に基づいて、ウェーハステージ43のY軸の方向(回転)とY軸方向の倍率を決定する。次に、マーク434cをウェーハ観察カメラ421で観察し、ウェーハ観察カメラ421の出力画像の中心にマーク434cが位置する時の干渉計の出力値に基づいて、ウェーハステージ43のX軸の方向(回転)とX軸方向の倍率を決定する。
【0031】
つまり、基準プレート434のマーク434bからマーク434aの方向を接合装置BDのY軸、マーク434cからマーク434aの方向を接合装置BDのX軸として、軸の方向と直交度とのキャリブレーションを行うことができる。また、マーク434bとマーク434aとの間隔を接合装置BDのY軸のスケール基準、マーク434cとマーク434aとの間隔を接合装置BDのX軸のスケール基準としてキャリブレーションを行うことができる。干渉計は、気圧変動や温度変動によってその光路の屈折率が変化し、これによって計測値が変動してしまうため、任意のタイミングでキャリブレーションを行い、ウェーハステージ43の原点位置、倍率、回転、直交度を保証することが望ましい。干渉計の計測値の変動を低減するために、ウェーハステージ43が配置された空間を温調チャンバーで覆い、温調チャンバー内の温度を制御することが望ましい。
【0032】
なお、本実施形態では、ウェーハステージ上の基準プレートをウェーハ観察カメラで観察する形態を説明したが、基準プレートを上部ベースに取り付けて、ダイ観察カメラで観察しても、ウェーハステージの原点位置、倍率、回転、直交度を保証することができる。
【0033】
以上の説明は、基準プレートを観察してキャリブレーションを行う例に関するものである。これに代えて、例えば、基準面への突き当て動作によるキャリブレーションを行ってもよいし、白色干渉計などのように絶対値が保証されている位置計測器を用いて、高精度な位置決めを行ってもよい。
【0034】
以下、
図3のフローチャートを参照しながら第1実施形態における接合方法について説明する。この接合方法は、制御部CNTによって制御される。ステップ1001では、第1物体としてのウェーハ6が接合装置BDに搬入され、ウェーハチャック433によって保持される(第1保持工程)。異物が接合面に付着すると接合不良を引き起こすので、接合装置BD内は、例えばクラス1程度の清浄度が高い空間とされうる。ウェーハ6も、清浄度を高く保つために、FOUPなどのように密閉度が高く清浄度が高く保たれた容器に収容され、その容器から接合装置BD内に搬入されうる。また、清浄度を高めるために、ウェーハ6の搬入後に、接合装置BD内でウェーハ6が洗浄されてもよい。また、接合のための前処理も実施されうる。例えば、接着剤による接合の場合には、ウェーハ6に接着剤が塗布され、ハイブリッドボンディングの場合には、ウェーハ6の表面を活性させる処理が実施されうる。ウェーハ6は、不図示のプリアライナーによって、ノッチまたはオリフラとウェーハ外形位置とに基づいて大まかに位置決めされて、ウェーハステージ43上の第1保持部としてのウェーハチャック433に搬送され、ウェーハチャック433によって保持される。
【0035】
ステップ1002では、ウェーハ観察カメラ421を用いてウェーハ6の特徴箇所(計測対象箇所)の位置が計測され、それに基づいて接合対象箇所の位置が決定される。ここで、ウェーハ6の特徴箇所(計測対象箇所)の位置と接合対象箇所との位置関係(相対位置)は既知である。ウェーハ観察カメラ421によってウェーハ6の特徴箇所を撮像するためのフォーカス調整は、ウェーハ観察カメラ421内にフォーカス調整機構を備えることによって提供されうる。あるいは、フォーカス調整は、ウェーハステージ43にZ軸駆動機構を備えて、Z軸駆動機構によってウェーハ6をZ軸に関して駆動することによって提供されてもよい。ウェーハ6には、アライメント用のアライメントマークが形成されている場合が多いが、アライメントマークが形成されていない場合には位置が特定できる特徴箇所が計測されうる。制御部CNTは、ウェーハ観察カメラ421にウェーハ6の特徴箇所を撮像させ(第1撮像工程)、ウェーハ観察カメラ421の出力画像の中心に対する特徴箇所の像の相対位置を特徴箇所(計測対象箇所)の位置として検出することができる。
【0036】
接合装置BDの基準点に対するマークの相対位置を高精度に計測するためにオフセット量を事前に求めてもよい。これは、基準プレート434のマークがウェーハ観察カメラ421の視野に入るようにウェーハステージ43を駆動し、ウェーハ観察カメラ421でそのマークの位置を計測する処理を含みうる。その時のウェーハステージ43の駆動位置とウェーハ観察カメラ421を使って計測されたマークの位置とに基づいて、ウェーハ観察カメラ421を使って計測される位置に対するオフセット量を決定することができる。ここで、接合装置BDの基準点は、一般的には、基準プレート434の特定のマーク位置とされることが多いが、基準となる位置であれば別の場所でもよい。
【0037】
干渉計もしくはエンコーダーによる回転方向の計測範囲は狭いため、ウェーハステージ43によって補正できる回転量は小さい。そのため、ウェーハ6の回転量が大きい場合には、回転を補正してウェーハ6を保持しなおすことが望ましい。保持しなおした場合には、再度ウェーハ6の搭載位置を計測する必要がある。また、この動作の間において、ウェーハ上のマーク計測時のオートフォーカス動作の中で、もしくは不図示の第1高さ計測器を用いて、ウェーハ6の接合面の表面位置を計測してもよい。ウェーハ6の厚さにはバラツキがあるので、接合動作の際にウェーハ6とダイ51とのギャップを高精度に管理するためには、ウェーハ6の表面位置を計測することが有利である。
【0038】
ウェーハステージ43は、基準プレート434を用いて原点位置、倍率、X軸とY軸の方向(回転)と直交度が保証されるので、ウェーハステージ43の原点位置、および、X軸、Y軸を基準として、ウェーハ6の特徴箇所(計測対象箇所)の位置が計測されうる。ウェーハ6は、接合対象箇所(あるいは、接合対象としての半導体デバイス)を一定の周期で有しうる。これらの接合対象箇所(半導体デバイス)は、複数の層が半導体製造装置で高精度に位置決めされて製造されているため、一般的にはナノレベルの精度を有する周期で接合対象箇所(半導体デバイス)が繰り返して配列している。そのため、ステップ1002におけるウェーハアライメントでは、全ての接合対象箇所(半導体デバイス)のそれぞれに対応する特徴箇所の位置を計測する必要はない。そこで、制御部CNTは、接合対象箇所の個数よりも少ない個数の計測対象箇所の位置を計測し、計測結果を統計処理することで、複数の接合対象箇所の位置を決定する処理(第1計測工程)を実行するように構成されうる。このような制御は、特許文献1で開示されているダイの接合毎に接合個所の計測する方法と比較して、スループットの向上に有利である。ここで、複数の計測対象箇所は、半導体デバイスの配列情報に基づいて決定することができる。制御部CNTは、複数の接合目標対象箇所の位置を決定するために、複数の計測対象箇所の位置の計測結果に基づいて、複数の接合目標対象箇所の繰り返し配列の原点位置と、X軸およびY軸の方向の回転量および直交度と、繰返し周期の倍率誤差を算出しうる。
【0039】
また、ウェーハチャック433は、ウェーハ6の温度を調整する温調機能を有することが望ましい。これは、シリコンウェーハの熱膨張係数が3ppm/℃であり、300mm径のウェーハの場合、温度が1℃上昇すると、最外周で150mm×0.000003=0.00045mm=450nmも位置が動いてしまうからである。ウェーハアライメント後に接合位置が移動してしまうと、高い位置精度で接合を行うことができないため、ウェーハの温度を0.1度以下の精度で安定させることが望ましい。
【0040】
第1物体が、配線が形成されたインターポーザの場合は、複数の接合対象箇所は、半導体デバイスの配列ではなく、繰り返し形成されている配線の配列に基づいて決定される。また、1物体が、パターンを有しないウェーハまたはパネルの場合には、ステップ1002のウェーハアライメントは実施されない。
【0041】
以下、第1物体としてのウェーハの搬入およびウェーハアライメントと並行して、あるいは、その後に実施される第2物体としてのダイの動きを説明する。ステップ2001では、ダイサーで個片化されたダイ51がダイシングテープ上に配列されたダイシングフレーム5が接合装置BDに搬入される。ここで、異物が接合面に付着すると接合不良を引き起こすため、ダイシングフレームは、密閉度が高く清浄度が高く保たれている容器を使って運搬されうる。また、清浄度を高めるために接合装置BD内でダイシングフレーム5上のダイ51が洗浄されてもよい。ダイシングフレーム5は、不図示のプリアライナーによって、ダイシングフレームの外形基準で、回転方向とシフト位置が大まかに位置決めされうる。
【0042】
ステップ2002では、第2物体としてのダイ51がピックアップヘッド31によってピックアップされる。具体的には、ピックアップするべきダイ51の位置にピックアップヘッド31とリリースヘッド32が位置決めされうる。そして、ピックアップするべきダイ51がピックアップヘッド31によって吸引されながら、リリースヘッド32によってダイ51からダイシングテープが剥離され、ピックアップヘッド31によってダイ51が保持されうる。ピックアップするべきダイ51は、例えば、接合装置BDに対してオンラインで伝達される良品ダイ(KGD:Known Good Die)情報に基づいて決定されうる。通常は、良品ダイのみがピックアップされるが、ウェーハ6の不良デバイスの個所に不良ダイ(KBD:Known Bad Die)を接合する場合には不良ダイがピックアップされる。
【0043】
ステップ2003では、ピックアップヘッド31によってピックアップされた第2物体としてのダイ51がボンディングヘッド423に搬送され、ボンディングヘッド423によって保持される(第2保持工程)。ピックアップヘッド31によってダイ51がピックアップされる際は、半導体デバイス面がピックアップヘッド31に面している。一方、ボンディングヘッド423には、半導体デバイス面の反対側の面がボンディングヘッド423に面するようにダイ51が搬送される。ボンディングヘッド423に対するダイ51の搬送は、ピックアップヘッド31がボンディングヘッド423に対して直接行ってもよいし、複数のダイ保持部を経由してなされてもよい。また、ダイ51の搬送中に接合のための前処理が実施されてもよい。前処理は、例えば、ダイの洗浄処理、接着剤による接合の場合は接着剤の塗布、ハイブリッドボンディングの場合は表面を活性させる処理を含みうる。なお、ダイ51をボンディングヘッド423に搬送する間に表面活性が非活性になる場合には、ボンディングヘッド423にダイ51を搭載後に常圧プラズマ活性装置を使って、接合表面を活性化させる処理を行うことが望ましい。
【0044】
以上で、第1物体としてのウェーハ6と第2物体としてのダイ51がそれぞれのための保持部によって保持された状態になる。続いて、接合フローを説明する。ステップ1003では、ボンディングヘッド423によって保持された第2物体としてのダイ51の位置が計測されうる(第2計測工程)。具体的には、ダイ観察カメラ431の視野にダイ51の特徴箇所が入るように駆動機構436によってウェーハステージ43が駆動されうる。フォーカス調整は、ダイ観察カメラ431内にフォーカス調整機構を備えることによって提供されてもよいし、ボンディングヘッド423にZ軸駆動機構を備えて、Z軸駆動機構によってダイ51をZ軸に関して駆動することによって提供されてもよい。フォーカス調整は、あるいは、ダイ観察カメラ431が搭載されているウェーハステージ43にZ軸駆動機構を備えて、これによってダイ観察カメラ431をZ軸に関して駆動することによって提供されてもよい。
【0045】
半導体製造工程でアライメントに使用されるアライメントマークが形成されたスクライブラインは、ダイシングにより除去されうる。したがって、ダイ51は、アライメント用のアライメントマークを有しない場合が多い。そのため、ダイ51に配置されたパッドまたはバンプの配列の終端部や、非周期的な配列を有していて、位置が特定できる領域や、ダイの外形を特徴箇所として、その位置が計測されうる。制御部CNTは、ダイ観察カメラ431にダイ51を撮像させ(第2撮像工程)、ダイ観察カメラ431の出力画像の中心に対する特徴箇所の像の相対位置に基づいて特徴箇所の位置を決定しうる。ダイ観察カメラ431を使って計測されたダイ51の位置に基づいてダイ51を接合箇所に位置決めする際のオフセット量を管理する必要があるが、その方法については後述する。
【0046】
ダイ51の位置計測の際には、ダイ51内の複数の特徴箇所の位置を計測して、ダイ51の回転量も計測することが望ましい。複数の特徴箇所の位置を計測するために、各特徴箇所の位置の計測の度にウェーハステージ43を駆動してもよいし、複数の特徴箇所を一度に観察できるようにダイ観察カメラ431の視野が設計されてもよい。ダイ51の回転は、接合時にウェーハステージ43を回転させることによってなされうるが、干渉計は回転方向の計測範囲が狭いため、ダイ51の回転量が大きい場合には、回転を補正してダイ51を保持しなおすことが望ましい。ダイ51を保持しなおした場合には、再度ダイ51の位置を計測する必要がある。また、この動作の間において、ダイの位置計測時のオートフォーカス動作の中で、もしくは不図示の第2高さ計測器を用いて、第2物体としてのダイ51の接合面の表面位置を計測してもよい。ダイ51の厚さにはバラツキがあるので、接合動作の際にウェーハ6とダイ51とのギャップを高精度に管理するためには、ダイ51の表面位置を計測することが有利である。また、ダイ51における複数の位置の高さを計測して、接合時にダイ51またはウェーハ6の姿勢を不図示のチルト機構によって調整してもよい。そのようなチルト機構は、ウェーハステージ43、ウェーハチャック433またはボンディングヘッド423に組み込まれうる。
【0047】
ステップ1004では、第1物体としてのウェーハ6の複数の接合対象箇所から選択された接合対象箇所に第2物体としてのダイ51が位置決めされるように駆動機構436によってウェーハステージ43が駆動される。この際に、制御部CNTは、干渉計422による計測結果に基づいてウェーハステージ43の位置がフィードバック制御されるように駆動機構436を制御しうる。また、この際に、制御部CNTは、ステップ1002とステップ1003で計測したウェーハ6の位置、回転量とダイ51の位置、回転量、更にはオフセット量に基づいて、ウェーハステージ43の目標位置を決定しうる。また、後述のように接合動作によってシフトが発生する場合には、制御部CNTは、その分もオフセット量として考慮する。
【0048】
ステップ1005では、第1物体としてのウェーハ6の選択された接合対象箇所に第2物体としてのダイ51が接合される(接合工程)。接合のための動作としては、ボンディングヘッド423が昇降してもよいし、ウェーハステージ43もしくはウェーハチャック433が昇降してもよい。昇降の際に位置決め精度が低下しないように、再現性が高い昇降駆動系を採用するか、フィードバック制御を継続しながら昇降がなされうる。フィードバック制御を継続しながら昇降を行うためには、ウェーハステージ43を昇降させる場合には、昇降時もバーミラーが干渉計の光路から外れないようにZ軸方向におけるバーミラーの幅を設計すればよい。一方、ボンディングヘッド423又はウェーハチャック433を昇降させる場合には、エンコーダーまたはギャップセンサーでボンディングヘッド423又はウェーハチャック433のX軸、Y軸方向の位置ずれをモニターしながらフィードバック制御すればよい。また、第1物体と第2物体とのギャップを高精度に制御するために、昇降駆動機構のZ軸方向位置を計測するためにリニアエンコーダーが設けられてもよい。また、第1物体と第2物体とが接触すると、干渉計を使ってフィードバック制御されているウェーハステージが拘束されてしまうため、フィードバック制御を停止するなど、接触の前後において制御方法を異ならせてもよい。ここまでは、ウェーハ6の接合対象箇所にダイ51を接触させるところまでを述べたが、バンプ接合の場合は、所定の圧着圧でウェーハ6にダイ51を押し付けるなどのような接合に必要なステップ、および、接合後に接合状態の観察するステップが追加されうる。
【0049】
ウェーハ6に対する1つのダイ51の接合が終了すると、ステップ1006では、制御部CNTは、第1物体としてのウェーハ6の複数の接合対象箇所のすべてに対して第2物体としてのダイ51が接合されたかをどうかを判断する。通常、1つのウェーハ6には数十から数百の半導体デバイスが配置されており、それぞれにダイ51が接合されるため、ダイ51の接合は複数回にわたって繰り返される。ウェーハ6の複数の接合対象箇所のすべてに対するダイ51の接合が終了していない場合には、ステップ2002のダイピックアップに戻る。なお、
図3の例では、ステップ1005における接合動作後に上記判断を行って、ステップ2002においてダイ51のピックアップを行う。しかし、ステップ2002におけるダイピックアップは、ステップ1003のダイアライメントからステップ1005の接合動作までの間に並行して実施されてもよい。また、1つの半導体デバイスに複数種類のダイが接合される場合は、1つの種類のダイの接合が1つのウェーハ6内のすべての半導体デバイスに対して終了した後に、次の種類のダイの接合が開始されうる。この場合は、ステップ2002におけるダイピックアップでは、次の種類のダイがピックアップされる。この際、次の種類のダイが搭載されているダイシングフレームの搬入動作など必要なステップが実施される。
【0050】
ウェーハ6の複数の接合対象箇所のすべてに対するダイ51の接合が終了した場合には、ステップ1007において、ウェーハ6が接合装置BDから搬出される。ウェーハ6は、搬入されたFOUPに戻されてもよいし、別の容器に戻されてもよい。ただし、一般的には、接合によってウェーハの厚さが変わり、ウェーハ間の隙間を接合前のウェーハに比べて広げる必要があるため、別の容器に戻される。
【0051】
以上で、1枚の第1物体に対する複数の第2物体の接合フローを説明したが、必要な枚数の第1物体に対して本動作が繰り返される。なお、ダイシングフレーム上のダイの個数と、ダイが接合されるウェーハの半導体デバイスの個数とは一般的に異なるため、ウェーハの搬入とダイシングフレームの搬入は同期しない。1つのウェーハへのダイの接合中に、ダイシングフレーム上のダイがなくなれば次のダイシングフレームを搬入する。また、1つのウェーハのすべての半導体デバイスに対するダイの接合の終了後もダイシングフレーム上のダイが残っていれば、それらのダイは次のウェーハへの接合に使用される。
【0052】
次に、
図4のフローチャートを参照しながら、ダイ観察カメラ431を使って計測されたダイ51の位置に対して、ステップ1004の接合位置駆動において反映されるオフセット量を管理する方法を説明する。
図4のフローチャートに示される処理は、制御部CNTによって制御される。
【0053】
ステップ3001では、第1物体としてのウェーハ6が接合装置SBに搬入され、ウェーハチャック433によって保持される。ウェーハ6には、ウェーハ6のアライメントに使用されるアライメントマークと後述の接合ずれを計測するためのマークとが形成されている。また、ウェーハ6は、接合対象箇所に仮接着剤を配置するなどの方法により、ダイ51の搭載後にダイ51の位置ずれが生じないように準備されうる。ウェーハ6は、不図示のプリアライナーによって、ノッチまたはオリフラとウェーハ外形位置とに基づいて大まかに位置決めされて、ウェーハステージ43上の第1保持部としてのウェーハチャック433に搬送され、ウェーハチャック433によって保持される。
【0054】
ステップ3002では、ウェーハ観察カメラ421を用いて、ウェーハ6上のアライメントマークの位置が計測され、その結果に基づいてウェーハ6の搭載位置と回転量とが計算される。また、この動作の間において、不図示の第1高さ計測器を用いて、ウェーハ6の接合面の表面位置を計測してもよい。ウェーハ6の厚さにはバラツキがあるので、接合動作の際にウェーハ6とダイ51とのギャップを高精度に管理するためには、ウェーハ6の表面位置を計測することが有利である。
【0055】
ステップ3003では、アライメントマーク付きガラスダイがボンディングヘッド423によって保持される。ガラスダイが用いられる理由は、接合後にウェーハ観察カメラ421を使って接合ずれを確認するためである。したがって、ダイは、ウェーハ観察カメラ421が検出する波長の光を透過する材料で構成されればよい。例えば、赤外光を用いて観察する場合は、シリコンダイでもよい。ダイには、ダイの位置計測のためのアライメントマークと、接合ずれを計測するためのマークが形成されている。
【0056】
ステップ3004では、ボンディングヘッド423によって保持されたアライメントマーク付きガラスダイの位置と回転量が計測される。また、この動作の間において、不図示の第2高さ計測器を用いて、アライメントマーク付きガラスダイの接合面の表面位置を計測してもよい。アライメントマーク付きガラスダイの厚さにはバラツキがあるので、接合動作の際にウェーハ6とダイ51とのギャップを高精度に管理するためには、アライメントマーク付きガラスダイの表面位置を計測することが有利である。また、アライメントマーク付きガラスダイにおける複数の位置の高さを計測して、接合時にダイ51またはウェーハ6の姿勢を不図示のチルト機構によって調整してもよい。そのようなチルト機構は、ウェーハステージ43、ウェーハチャック433またはボンディングヘッド423に組み込まれうる。
【0057】
ステップ3005では、ウェーハ6の複数の接合対象箇所から選択された接合対象箇所にアライメントマーク付きガラスダイが位置決めされるように駆動機構436によってウェーハステージ43が駆動される。この際に、制御部CNTは、干渉計422による計測結果に基づいてウェーハステージ43の位置がフィードバックされるように駆動機構436を制御しうる。また、この際に、制御部CNTは、ステップ3002とステップ3004で計測したウェーハ6の位置、回転量とアライメントマーク付きガラスダイの位置、回転量、更にはオフセット量に基づいて、ウェーハステージ43の目標位置を決定しうる。
【0058】
ステップ3006では、ステップ1005と同様に、ウェーハ6の選択された接合対象箇所にアライメントマーク付きガラスダイが接合される。
【0059】
ステップ3007では、接合位置が計測される。具体的には、接合ずれを計測するためのマークがウェーハ観察カメラ421の視野に入るように駆動機構436によってウェーハステージ43が駆動され、ウェーハ観察カメラ421を使ってウェーハ6とガラスダイとの接合ずれ量が計測される。接合ずれを計測するためのマークの例としては、ウェーハ側の30um幅の四角枠と、ガラスダイ側の60um幅の四角枠とを挙げることができる。2つの枠が重なるように接合して、2つの枠のずれ量から接合ずれを計算することができる。接合ずれを計測するためのマークは、四角でなく円であってもよいし、ウェーハ側のマークがアウターマーク、ダイ側のマークがインナーマークであってもよいし、2つの異なるマークを計測し、その間隔からずれ量を検出してもよい。接合ずれの決定のために、ガラスダイ内の複数個所のマークについて、ずれ量が計測されてもよい。ガラスダイ内の複数個所のマークについて計測を行うことにより、接合の回転誤差も計測することができるとともに、統計処理により計測誤差を低減しで、高精度に接合ずれを計測することが可能となる。
【0060】
ステップ3008では、制御部CNTは、ダイ観察カメラ431を使って計測された位置ずれに基づいて、オフセット量を算出する。算出されるオフセット量は、例えば、X軸方向およびY軸方向のシフト量、および、Z軸方向の軸周りの回転量を含みうる。ここで、ウェーハ6の複数の接合対象箇所の各々にガラスダイを接合して、複数の接合対象箇所の各々についてオフセット量を算出してもよい。あるいは、ウェーハ6の複数の接合対象箇所の各々にガラスダイを接合して、複数の接合対象箇所の各々について算出されるオフセット量を平均することによって最終的なオフセット量を算出してもよい。
【0061】
以下、ウェーハおよびダイの位置の計測結果、および、予め決定されたオフセット量を用いて、ウェーハにダイを接合する際の位置決めの例について説明する。なお、座標の方向との取り方によって符号は反転するが、以下の例では、図示されている座標系に従うものとする。ステップ1002で計測されたウェーハ6の位置(接合装置BDの基準点に対する位置)を(Wx、Wy)、回転量をWθとする。また、ステップ1003で撮像された画像の中心に対するダイ51の位置を(Dx、Dy)、回転量をDθとする。また、接合時に発生するシフト量を(Px、Py)、回転量をPθとする。また、ステップ3008で求められたオフセット量を(X0、Y0)、θ0とする。
【0062】
ステップ3008のオフセット量が正しく求められている場合、Wx=Wy=Wθ=Dx=Dy=Dθ=0である。ステップ3008と同じプロセスを用いた場合には、ウェーハステージ43を(X0,Y0)、θ0に送り込んで接合を行うことで、高い精度で接合を行うことができる。
【0063】
ウェーハ6の位置がウェーハステージ43の基準からずれている場合、例えば正方向にずれている場合は、その分だけ負方向にウェーハステージ43を動かすことで補正できる。よって、接合の際には、(X0-Wx,Y0-Wy)、θ0-Wθにウェーハステージ43を駆動すればよい。
【0064】
一方、ダイ51の位置がボンディングヘッド423の基準からずれている場合、例えば正方向にずれている場合は、その分だけ正方向にウェーハステージ43を動かすことで補正できる。よって、接合位置を調整するため、接合の際には、(X0-Wx+Dx,Y0-Wy+Dy)、θ0-Wθ+Dθにウェーハステージ43を駆動すればよい。
【0065】
更に、接合時に発生するシフト量は、その分ずらして接合位置とするために、正方向にずれる場合は、同じ量だけウェーハステージ43を移動させて接合を行えばよい。よって、接合の際に、(X0-Wx+Dx+Px,Y0-Wy+Dy+Py)、θ0-Wθ+Dθ+Pθにウェーハステージ43を駆動すればよい。
<第2実施形態>
以下、第2実施形態を説明するが、第2実施形態として言及しない事項は、第1実施形態に従いうる。
図5は、第2実施形態の接合装置BDの構成を模式的に示す図である。第2実施形態の接合装置BDでは、エンコーダーを用いてウェーハステージ43の位置が計測される。
【0066】
具体的には、第1実施形態の接合装置BDにおける干渉計422とバーミラー432の代わりに、第2実施形態の接合装置BDでは、エンコーダースケール424とエンコーダーヘッド435が採用されている。エンコーダーヘッド435は、ウェーハステージ43に搭載れた2次元エンコーダーヘッドである。エンコーダースケール424は、上部ベース42に搭載された2次元エンコーダースケールである。エンコーダースケール424は、ウェーハステージ43の可動域においてウェーハステージ43の位置を計測することができるように2次元のスケールを有する。エンコーダーヘッド435は、X軸方向およびY軸方向に関してウェーハステージ43の位置を計測する。
【0067】
エンコーダースケール424は、熱膨張率が低い材料で構成され、高い位置精度でスケールが描画されうる。一例において、エンコーダースケール424は、石英基板の上に、半導体リソグラフィー工程の描画方法を用いてスケールが描画されて構成されうる。ウェーハステージ43は、大きな範囲で駆動される粗動ステージの上に、小さな範囲で高精度に駆動される微動ステージが搭載された構成を有しうる。このような構成において、エンコーダーヘッド435は、高精度な位置決めをするために、微動ステージに設けられうる。制御部CNTは、エンコーダーヘッド435の出力に基づいて、X軸方向、Y軸方向、および、それらに直交するZ軸方向に平行な軸周りの回転に関して、ウェーハ6あるいはウェーハステージ43をフィードバック制御するように構成されうる。駆動機構436は、第1保持部としてのウェーハステージ43(あるいはウェーハ6)と第2保持部としてのボンディングヘッド423(あるいはダイ51)との相対位置を変更する位置決め機構を構成しうる。また、エンコーダーヘッド435および制御部CNTは、該位置決め機構の構成要素として理解されてもよい。
【0068】
図6は、ウェーハステージ43をZ軸の正方向から見た図である。
図6を参照しながら基準プレート434を用いてウェーハステージ43の原点位置、倍率、X軸およびY軸の方向(回転)と直交度を保証する方法を説明する。マーク434aをウェーハ観察カメラ421で観察し、ウェーハ観察カメラ421の出力画像の中心にマーク434aが位置する時のエンコーダーヘッド435の出力値をウェーハステージ43の原点とする。次に、マーク434bをウェーハ観察カメラ421で観察し、ウェーハ観察カメラ421の出力画像の中心にマーク434bが位置するときのエンコーダーヘッド435の出力値に基づいて、ウェーハステージ43のY軸の方向(回転)とY軸方向の倍率を決定する。次に、マーク434cをウェーハ観察カメラ421で観察し、ウェーハ観察カメラ421の出力画像の中心にマーク434cが位置する時のエンコーダーヘッド435の出力値に基づいて、ウェーハステージ43のX軸の方向(回転)とX軸方向の倍率を決定する。つまり、基準プレート434のマーク434bからマーク434aの方向を接合装置BDのY軸、マーク434cからマーク434aの方向を接合装置BDのX軸として、軸の方向と直交度とのキャリブレーションを行うことができる。また、マーク434bとマーク434aとの間隔を接合装置BDのY軸のスケール基準、マーク434cとマーク434aとの間隔を接合装置BDのX軸のスケール基準としてキャリブレーションを行うことができる。エンコーダースケール424は、熱によって膨張し、これによってエンコーダーヘッド435による計測値が変動してしまうため、任意のタイミングでキャリブレーションを行い、ウェーハステージ43の原点位置、倍率、回転、直交度を保証することが望ましい。なお、2次元のエンコーダーを採用する代わりに、X軸およびY軸の各々に関して、リニアエンコーダーを採用してもよい。
【0069】
上記の構成に代えて、複数のエンコーダーヘッドを配置し、例えば、接合対象箇所の位置に応じて複数のエンコーダーヘッドを切り替えて使用してもよく、このような構成は、フットプリントの削減に有利である。あるいは、接合対象箇所に対して対称になるように一対のエンコーダーヘッドを配置してもよく、このような構成は、位置計測精度の向上に有利である。
【0070】
以上の説明は、基準プレートを観察してのキャリブレーションを行う例に関するものである。これに代えて、例えば、基準面への突き当て動作によるキャリブレーションを行ってもよいし、エンコーダー内にキャリブレーション機構を設けて、絶対値保証されている位置計測器としてもよい。
<第3実施形態>
以下、第3実施形態を説明するが、第3実施形態として言及しない事項は、第1実施形態に従いうる。
図7は、第3実施形態の接合装置BDの構成を模式的に示す図である。第3実施形態の接合装置BDでは、ボンディングヘッド453が位置決めされることによって第1物体としてのウェーハ6と第2物体としてのダイ51との相対位置が変更あるいは調整される。
【0071】
ボンディング部4は、上部ベース42と、下部ベース44とを備えうる。上部ベース42によってボンディングステージ45が支持されうる。ボンディングステージ45は、リニアモーターなどの駆動機構437により、X軸方向(第1方向)およびY軸方向(第2方向)に関して駆動されうる。駆動機構437は、ボンディングステージ45を更にZ軸方向(第3方向)に平行な軸周りの回転に関して駆動するように構成されてもよい。駆動機構437がボンディングステージ45をZ軸方向に平行な軸周りの回転に関して駆動する代わりに、ウェーハチャック443をZ軸方向に平行な軸周りの回転に関して駆動してもよい。駆動機構437は、第1保持部としてのウェーハチャック433(あるいはウェーハ6)と第2保持部としてのボンディングヘッド453(あるいはダイ51)との相対位置を変更する位置決め機構を構成しうる。
【0072】
ボンディングステージ45には、第1カメラとしてのウェーハ観察カメラ451が搭載されうる。ウェーハ観察カメラ451は、ウェーハチャック433によって保持された第1物体としてのウェーハ6の特徴箇所の位置を検出するための第1検出器である。ボンディングステージ45には、更に、ピックアップヘッド31から渡される第2物体としてのダイ51を受け取って保持しウェーハ6の接合対象箇所に接合する第2保持部としてのボンディングヘッド453が搭載されうる。
図7の例では、ボンディングステージ45は、第2保持部としてのボンディングヘッド453、および、第1カメラとしてのウェーハ観察カメラ451を支持する支持部を構成しうる。ボンディングステージ45には、バーミラー452が設けられうる。バーミラー452は、干渉計442のターゲットとして使用されうる。
【0073】
下部ベース44には、第2カメラとしてのダイ観察カメラ441が搭載されうる。ダイ観察カメラ441は、ボンディングヘッド453によって保持された第2物体としてのダイ51の特徴箇所の位置を検出するための第2検出器である。下部ベース44には、第1保持部としてのウェーハチャック433が搭載されうる。ウェーハチャック433は、第1物体としてのウェーハ6を保持する。下部ベース44には、更に、バーミラー452を使ってボンディングステージ45の位置を計測するための干渉計442が搭載されうる。
図7の例では、下部ベース44は、第1保持部としてのウェーハチャック433、および、第2カメラとしてのダイ観察カメラ441を支持する支持構造として機能する。
【0074】
第1物体としてのウェーハ6の接合対象箇所に対して第2物体としてのダイ51を接合する際には、ボンディングヘッド453がダイ51をZ軸の負方向(下方)に駆動してウェーハ6の接合対象箇所にダイ51を接合させうる。あるいは、駆動機構437がボンディングステージ45をZ軸の負方向(下方)に駆動することによってウェーハ6の接合対象箇所にダイ51を接合させうる。あるいは、不図示の駆動機構によってウェーハチャック433をZ軸の正方向(上方)に駆動することによって、ダイ51をウェーハ6の接合対象箇所に接合させうる。
【0075】
図8は、ボンディングステージ45をZ軸の負方向から見た図である。ボンディングヘッド453は、ダイ51を保持する。ダイ51は、互いに直交あるいは交差するX軸方向(第1方向)およびY軸方向(第2方向)、および、それらに直交するZ軸方向(第3方向)に平行な軸周りの回転に関して位置決めされうる。そのため、ボンディングステージ45には、バーミラー452、より詳しくはバーミラー452a、452bが設けられうる。バーミラー452aは、干渉計422a、422cのターゲットとして機能しうる。制御部CNTは、干渉計422aの出力に基づいてボンディングステージ45のX軸方向の位置を検出することができ、干渉計422a、422cの出力に基づいてボンディングステージ45のZ軸方向に平行な軸周りの回転を検出することができる。バーミラー452bは、干渉計422bのターゲットとして機能しうる。制御部CNTは、干渉計422bの出力に基づいてボンディングステージ45のY軸方向の位置を検出することができる。制御部CNTは、干渉計422a、422b、422cの出力に基づいて、X軸方向、Y軸方向、および、それらに直交するZ軸方向に平行な軸周りの回転に関して、ダイ51あるいはボンディングステージ45をフィードバック制御するように構成されうる。干渉計422および制御部CNTは、前述の位置決め機構の構成要素として理解されてもよい。
【0076】
ボンディングステージ45の下面には、基準プレート454が設けられている。基準プレート454には、複数のマーク454a、454b、454cが配置されている。基準プレート454は、熱膨張率が低い材料で構成され、高い位置精度でマークが描画されうる。一例において、基準プレート454は、石英基板の上に、半導体リソグラフィー工程の描画方法を用いてマークが描画されて構成されうる。基準プレート454は、ダイ51の表面と略同一高さの表面を有し、ダイ観察カメラ441で観察されうるが、ダイ観察カメラ441を観察するためのカメラが別に設けられてもよい。ボンディングステージ45は、大きな範囲で駆動される粗動ステージと、小さな範囲で高精度に駆動される微動ステージとを組み合わせた構成を有しうる。このような構成において、ウェーハ観察カメラ451、バーミラー452a、452b、ボンディングヘッド453、基準プレート454は、高精度な位置決めを実現するために、微動ステージに設けられうる。
【0077】
ここで、基準プレート454を用いてボンディングステージ45の原点位置、倍率、X軸およびY軸の方向(回転)と直交度を保証する方法を説明する。マーク454aをダイ観察カメラ441で観察し、ダイ観察カメラ441の出力画像の中心にマーク454aが位置する時の干渉計の出力値をボンディングステージ45の原点とする。次に、マーク454bをダイ観察カメラ441で観察し、ダイ観察カメラ441の出力画像の中心にマーク454bが位置する時の干渉計の出力値に基づいて、ボンディングステージ45のY軸の方向(回転)とY軸の倍率を決定する。次に、マーク454cをダイ観察カメラ441で観察し、ダイ観察カメラ441の出力画像の中心にマーク454cが位置する時の干渉計の出力値に基づいて、ボンディングステージ45のX軸の方向(回転)とX軸方向の倍率を決定する。
【0078】
つまり、基準プレート454のマーク454bからマーク454aの方向を接合装置BDのY軸、マーク454cからマーク454aの方向を接合装置BDのX軸として、軸の方向と直交度とのキャリブレーションを行うことができる。また、マーク454bとマーク454aの間隔を接合装置BDのY軸のスケール基準、マーク454cとマーク454aの間隔を接合装置BDのX軸のスケール基準としてキャリブレーションを行うことができる。干渉計は、気圧変動や温度変動によってその光路の屈折率が変化し、これによって計測値が変動してしまうため、任意のタイミングでキャリブレーションを行い、ボンディングステージ45の原点位置、倍率、回転、直交度を保証することが望ましい。干渉計の計測値の変動を低減するために、ボンディングステージ45が配置された空間を温調チャンバーで覆い、温調チャンバー内の温度を制御することが望ましい。
【0079】
本実施形態では、ボンディングステージ上の基準プレートをダイ観察カメラで観察する形態を説明した。これに代えて、基準プレートを下部ベースに取り付けて、ウェーハ観察カメラで観察しても、ボンディングステージの原点位置、倍率、回転、直交度を保証することができる。
【0080】
以上の説明は、基準プレートを観察してキャリブレーションを行う例に関するものである。これに代えて、例えば、基準面への突き当て動作によるキャリブレーションを行ってもよいし、白色干渉計などのように絶対値が保証されている位置計測器を用いて、高精度な位置決めを行ってもよい。
【0081】
第3実施形態においては、接合を行う位置と干渉計が計測している箇所とが離れてしまうため、アッベ誤差を補正することが望ましい。また、ボンディングステージを挟んで両側で計測することで誤差を低減してもよい。
【0082】
以下、
図3のフローチャートを参照しながら第3実施形態の接合フローについて説明する。この接合フローは、制御部CNTによって制御される。ステップ1001では、第1物体としてのウェーハ6が接合装置BDに搬入され、ウェーハチャック433によって保持される。ウェーハ6は、不図示のプリアライナーによって、ノッチまたはオリフラとウェーハ外形位置とに基づいて大まかに位置決めされて、下部ベース44上の第1保持部としてのウェーハチャック443に搬送され、ウェーハチャック433によって保持される。
【0083】
ステップ1002では、ウェーハ観察カメラ451を用いてウェーハ6の搭載位置が計測される。フォーカス調整は、ウェーハ観察カメラ451内にフォーカス調整機構を備えることによって提供されてもよいし、ウェーハチャック443にZ軸駆動機構を備えて、Z軸駆動機構によってウェーハ6をZ軸に関して駆動することによって提供されてもよい。あるいは、フォーカス調整は、ボンディングステージ45にZ軸駆動機構を備えて、Z軸駆動機構によってウェーハ観察カメラ451をZ軸に関して駆動することによって提供されてもよい。ウェーハ6には、アライメント用のアライメントマークが形成されている場合が多いが、アライメントマークが形成されていない場合には位置が特定できる特徴箇所が計測されうる。制御部CNTは、ウェーハ観察カメラ451の出力画像の中心に対する特徴箇所の像の相対位置を特徴箇所の位置として検出することができる。
【0084】
接合装置BDの基準点に対するマークの相対位置を高精度に計測するためにオフセット量を事前に求めてもよい。これは、基準プレート454のマークがウェーハ観察カメラ451の視野に入るようにボンディングステージ45を駆動し、ウェーハ観察カメラ451でそのマークの位置を計測する処理を含みうる。その時のボンディングステージ45の駆動位置とウェーハ観察カメラ451を使って計測される位置に対するオフセット量を決定することができる。ここで、接合装置BDの基準点は、一般的には、基準プレート454の特定のマーク位置とされることが多いが、基準となる位置であれば別の場所でもよい。
【0085】
干渉計による回転方向の計測範囲が狭いため、ボンディングステージ45によって補正できる回転量が小さい。そのため、ウェーハ6の回転量が大きい場合には、回転を補正してウェーハ6を保持しなおすことが望ましい。保持しなおした場合には、再度ウェーハ6の搭載位置を計測する必要がある。また、この動作の間において、不図示の第1高さ計測器を用いて、ウェーハ6の接合面の表面位置を計測してもよい。ウェーハ6の厚さにはバラツキがあるので、接合動作の際にウェーハ6とダイ51とのギャップを高精度に管理するためには、ウェーハ6の表面位置を計測することが有利である。
【0086】
ボンディングステージ45は、基準プレート454を用いて原点位置、倍率、X軸とY軸の方向(回転)と直交度が保証されているので、ボンディングステージ45の原点位置、および、X軸、Y軸を基準として、搭載されたウェーハ6の位置が計測される。
【0087】
以下、第1物体としてのウェーハの搬入およびウェーハアライメントと並行して、あるいは、その後に実施される第2物体としてのダイの動きを説明する。ステップ2001では、ダイサーで個片化されたダイ51がダイシングテープ上に配列されたダイシングフレーム5が接合装置BDに搬入される。ステップ2002では、第2物体としてのダイ51がピックアップヘッド31によってピックアップされる。
【0088】
ステップ2003では、ピックアップヘッド31によってピックアップされた第2物体としてのダイ51がボンディングヘッド453に搬送される。ピックアップヘッド31によってダイ51がピックアップされる際は、半導体デバイス面がピックアップヘッド31に面している。一方、ボンディングヘッド453には、半導体デバイス面の反対側の面がボンディングヘッド453に面するようにダイ51が搬送される。ボンディングヘッド453に対するダイ51の搬送は、ピックアップヘッド31がボンディングヘッド453に対して直接行ってもよいし、複数のダイ保持部を経由してなされてもよい。また、ダイ51の搬送中に接合のための前処理が実施されうる。前処理は、例えば、ダイの洗浄処理、接着剤による接合の場合は接着剤の塗布、ハイブリッドボンディングの場合は表面を活性させる処理を含みうる。なお、ダイ51をボンディングヘッド453に搬送する間に表面活性が非活性になる場合には、ボンディングヘッド453にダイ51を搭載後に常圧プラズマ活性装置を使って、接合表面を活性化させる処理を行うことが望ましい
以上で、第1物体としてのウェーハ6と第2物体としてのダイ51がそれぞれのための保持部によって保持された状態になる。続いて接合フローを説明する。ステップ1003では、ボンディングヘッド453によって保持された第2物体としてのダイ51の位置が計測されうる。具体的には、ダイ観察カメラ441の視野にダイ51の特徴箇所が入るように駆動機構437によってボンディングステージ45が駆動されうる。フォーカス調整は、ダイ観察カメラ441内にフォーカス調整機構を備えることによって提供されてもよいし、ボンディングヘッド453にZ軸駆動機構を備えて、Z軸駆動機構によってダイ51をZ軸に関して駆動することによって提供されてもよい。
【0089】
半導体製造工程でアライメントに使用されるアライメントマークが形成されたスクライブラインは、ダイシングにより除去されうる。したがって、ダイ51は、アライメント用のアライメントマークを有しない場合が多い。そのため、ダイ51に配置されているパッドまたはバンプの配列の終端部や、非周期的な配列を有していて、位置が特定できる領域や、ダイの外形を特徴箇所として、その位置が計測されうる。制御部CNTは、ダイ観察カメラ441の出力画像の中心に対する特徴箇所の像の相対位置に基づいて特徴箇所の位置を決定しうる。ダイ観察カメラ441を使って計測されたダイ51の位置に基づいてダイ51を接合箇所に位置決めする際のオフセット量を管理する必要があるが、その方法については後述する。
【0090】
ダイ51の位置計測の際には、ダイ51内の複数の特徴箇所の位置を計測して、ダイ51の回転量も計測することが望ましい。複数の特徴箇所の位置を計測するために、各特徴箇所の位置の計測の度にボンディングステージ45を駆動してもよいし、複数の特徴箇所を一度に観察できるようにダイ観察カメラ441の視野が設計されてもよい。ダイ51の回転は、接合時にボンディングステージ45を回転させることによってなされうるが、干渉計は回転方向の計測範囲が狭いため、ダイ51の回転量が大きい場合には、回転を補正してダイ51を保持しなおすことが望ましい。ダイ51を保持しなおした場合には、再度ダイ51の位置を計測する必要がある。また、この動作の間において、不図示の第2高さ計測器を用いて、第2物体としてのダイ51の接合面の表面位置を計測してもよい。ダイ51の厚さにはバラツキがあるので、接合動作の際にウェーハ6とダイ51とのギャップを高精度に管理するためには、ダイ51の表面位置することが有利である。また、ダイ51における複数の位置の高さを計測して、接合時にダイ51またはウェーハ6の姿勢を不図示のチルト機構によって調整してもよい。そのようなチルト機構は、ウェーハチャック433またはボンディングヘッド453に組み込まれうる。
【0091】
ステップ1004では、第1物体としてのウェーハ6の複数の接合対象箇所から選択された接合対象箇所に第2物体としてのダイ51が位置決めされるように駆動機構437によってボンディングステージ45が駆動される。この際に、制御部CNTは、干渉計442による計測結果に基づいてボンディングステージ45がフィードバック制御されるように駆動機構437を制御しうる。また、この際に、制御部CNTは、ステップ1002とステップ1003で計測したウェーハ6の位置、回転量とダイ51の位置、回転量、更にはオフセット量に基づいて、ボンディングステージ45の目標位置を決定しうる。また、後述のように接合動作によってシフトが発生する場合には、制御部CNTは、その分もオフセット量として考慮する。
【0092】
ステップ1005では、第1物体としてのウェーハ6の選択された接合対象箇所に第2物体としてのダイ51が接合される。接合のための動作としては、ボンディングステージ45もしくはボンディングヘッド453が昇降してもよいし、ウェーハチャック443が昇降してもよい。昇降の際に位置決め精度が低下しないように、再現性が高い昇降駆動系を採用するか、フィードバック制御を継続しながら昇降がなされうる。フィードバック制御を継続しながら昇降を行うためには、ボンディングステージ45を昇降させる場合には、昇降時もバーミラーが干渉計の光路から外れないようにZ軸方向におけるバーミラーの幅を設計すればよい。一方、ボンディングヘッド453又はウェーハチャック443を昇降させる場合には、エンコーダー又はギャップセンサーでボンディングヘッド453又はウェーハチャック433のX軸、Y軸方向の位置ずれをモニターしながらフィードバック制御すればよい。また、第1物体と第2物体とのギャップを高精度に制御するために、昇降駆動機構のZ軸方向位置を計測するためにリニアエンコーダーが設けられてもよい。また、第1物体と第2物体とが接触すると、干渉計を使ってフィードバック制御されているボンディングステージ45が拘束されてしまうため、フィードバック制御を停止するなど、接触の前後において制御方法を異ならせてもよい。ここまでは、ウェーハ6の接合対象箇所にダイ51を接触させるところまでを述べたが、バンプ接合の場合は、所定の圧着圧でウェーハ6にダイ51を押し付けるなどのような接合に必要なステップ、および、接合後に接合状態の観察するステップが追加されうる。
【0093】
ステップ1006以降については、第1実施形態と同じであるので、説明を省略する。
【0094】
次に、
図4のフローチャートを参照しながら、ダイ観察カメラ441を使って計測されたダイ51の位置に対して、ステップ1004の接合位置駆動において反映されるオフセット量を管理する方法を説明する。
図4のフローチャートに示される処理は、制御部CNTによって制御される。
【0095】
ステップ3001では、第1物体としてのウェーハ6が接合装置SBに搬入され、ウェーハチャック433によって保持される。ウェーハ6には、ウェーハ6のアライメントに使用されるマークと接合ずれを計測するためのマークとが形成されている。また、ウェーハ6は、接合対象箇所に仮接着剤を配置するなどの方法により、ダイ51の搭載後にダイ51の位置ずれが生じないように準備されうる。ウェーハ6は、不図示のプリアライナーによって、ノッチまたはオリフラとウェーハ外径位置とに基づいて大まかに位置決めされて、下部ベース44上の第1保持部としてのウェーハチャック443に搬送され、ウェーハチャック433によって保持される。
【0096】
ステップ3002では、ウェーハ観察カメラ451を用いて、ウェーハ6上のアライメントマークの位置が計測され、その結果に基づいてウェーハ6の搭載位置と回転量とが計算される。また、この動作において、不図示の第1高さ計測器を用いて、ウェーハ6の接合面の表面位置を計測してもよい。ウェーハ6の厚さにはバラツキがあるので、接合動作の際にウェーハ6とダイ51とのギャップを高精度に管理するためには、ウェーハ6の表面位置を計測することが有利である。
【0097】
ステップ3003では、アライメントマーク付きガラスダイがボンディングヘッド453によって保持される。ガラスダイが用いられる理由は、接合後にウェーハ観察カメラ451を使って接合ずれを確認するためである。したがって、ダイは、ウェーハ観察カメラ451が検出する波長の光を透過する材料で構成されればよい。例えば、赤外光を用いて観察する場合は、シリコンダイでもよい。ダイには、ダイの位置計測のためのアライメントマークと、接合ずれを計測するためのマークが形成されている。
【0098】
ステップ3004では、ボンディングヘッド453によって保持されたアライメントマーク付きガラスダイの位置と回転量が計測される。また、この動作の間において、不図示の第2高さ計測器を用いて、アライメントマーク付きガラスダイの接合面の表面位置を計測してもよい。アライメントマーク付きガラスダイの厚さにはバラツキがあるので、接合動作の際にウェーハ6とダイ51とのギャップを高精度に管理するためには、アライメントマーク付きガラスダイの表面位置を計測することが有利である。また、アライメントマーク付きガラスダイにおける複数の位置の高さを計測して、接合時にダイ51またはウェーハ6の姿勢を不図示のチルト機構によって調整してもよい。そのようなチルト機構は、ウェーハチャック433またはボンディングヘッド453に組み込まれうる。
【0099】
ステップ3005では、ウェーハ6の複数の接合対象箇所から選択された接合対象箇所にアライメントマーク付きガラスダイが位置決めされるように駆動機構437によってボンディングステージ45が駆動される。この際に、制御部CNTは、干渉計442による計測結果に基づいてボンディングステージ45の位置がフィードバックされるように駆動機構437を制御しうる。また、この際に、制御部CNTは、ステップ3002とステップ3004で計測したウェーハ6の位置、回転量とアライメントマーク付きガラスダイの位置、回転量、更にはオフセット量に基づいて、ボンディングステージ45の目標位置を決定しうる。
【0100】
ステップ3006では、ステップ1005と同様に、ウェーハ6の選択された接合対象箇所にアライメントマーク付きガラスダイが接合される。
【0101】
ステップ3007では、接合位置が計測される。具体的には、接合ずれを計測するためのマークがウェーハ観察カメラ451の視野に入るように駆動機構437によってボンディングステージ45が駆動され、ウェーハ観察カメラ451を使ってウェーハ6とガラスダイとの接合ずれ量が計測される
ステップ3008では、制御部CNTは、ウェーハ観察カメラ451を使って計測された位置ずれに基づいて、オフセット量を算出する。算出されるオフセット量は、例えば、X軸方向およびY軸方向のシフト量、および、Z軸方向の軸周りの回転量を含みうる。ここで、ウェーハ6の複数の接合対象箇所の各々にガラスダイを接合して、複数の接合対象箇所の各々についてオフセット量を算出してもよい。あるいは、ウェーハ6の複数の接合対象箇所の各々にガラスダイを接合して、複数の接合対象箇所の各々について算出されるオフセット量を平均することによって最終的なオフセット量を算出してもよい。
【0102】
以下、ウェーハおよびダイの位置の計測結果、および、予め決定されたオフセット量を用いて、ウェーハにダイを接合する際の位置決めの例について説明する。なお、座標の方向との取り方によって符号は反転するが、以下の例では、図示されている座標系に従うものとする。ステップ1002で計測したウェーハ6の位置(接合装置BDの基準点に対する位置)を(Wx、Wy)、回転量をWθとする。また、ステップ1003で撮像された画像の中心に対するダイ51の位置を(Dx、Dy)、回転量をDθとする。また、接合時に発生するシフト量を(Px、Py)、回転量をPθとする。また、ステップ3008で求められたオフセット量を(X0、Y0)、θ0とする。
【0103】
ステップ3008のオフセット量が正しく求められている場合、Wx=Wy=Wθ=Dx=Dy=Dθ=0である。ステップ3008と同じプロセスを用いた場合には、ボンディングステージ45を(X0,Y0)、θ0に送り込んで接合を行うことで、高い精度で接合を行うことができる。
【0104】
ウェーハ6の位置がウェーハステージ43の基準からずれている場合、例えば正方向にずれている場合は、その分だけ負の方向にボンディングステージ45を動かすことで補正できる。よって、接合の際には、(X0+Wx,Y0+Wy)、θ0+Wθにボンディングステージ45を駆動すればよい。
【0105】
一方、ダイ51の位置がボンディングヘッド423の基準からずれている場合、例えば正方向にずれている場合は、その分だけ負方向にボンディングステージ45を動かすことで補正できる。よって、接合位置を調整するため、接合の際には、(X0+Wx-Dx,Y0+Wy-Dy)、θ0+Wθ-Dθにボンディングステージ45を駆動すればよい。
【0106】
更に、接合時に発生するシフト量は、その分ずらして接合位置とするため、正方向にずれる場合は、同じ量だけ逆方向にボンディングステージ45を移動させて接合を行えばよい。よって、接合の際に、(X0+Wx-Dx-Px,Y0+Wy-Dy-Py)、θ0+Wθ-Dθ-Pθにボンディングステージ45を駆動すればよい。
【0107】
<第4実施形態>
以下、第4実施形態を説明するが、第4実施形態として言及しない事項は、第3実施形態、あるいは第3実施形態を介して第1実施形態に従いうる。
図9は、第2実施形態の接合装置BDの構成を模式的に示す図である。第4実施形態の接合装置BDでは、エンコーダーを用いてボンディングステージ45の位置が計測される。
【0108】
具体的には、第3実施形態の接合装置BDにおける干渉計442とバーミラー452の代わりに、第4実施形態の接合装置BDでは、エンコーダースケール444とエンコーダーヘッド455が採用されている。エンコーダーヘッド455は、ボンディングステージ45に搭載された2次元エンコーダーヘッドである。エンコーダースケール444は、下部ベース44に搭載された2次元エンコーダーである。エンコーダースケール444は、ボンディングステージ45の可動域においてボンディングステージ45の位置を計測することができるように2次元のスケールを有する。エンコーダーヘッド455は、X軸方向およびY軸方向に関してボンディングステージ45の位置を計測する。
【0109】
エンコーダースケール444は、熱膨張率が低い材料で構成され、高い位置精度でスケールが描画されうる。一例において、エンコーダースケール444は、石英基板の上に、半導体リソグラフィー工程の描画方法を用いてスケールが描画されて構成されうる。ボンディングステージ45は、大きな範囲で駆動される粗動ステージと、小さな範囲で高精度に駆動される微動ステージとを組み合わせた構成を有しうる。このような構成において、エンコーダーヘッド455は、高精度な位置決めをするために、微動ステージの上に固定されうる。駆動機構437は、第1保持部としてのウェーハチャック443(あるいはウェーハ6)と第2保持部としてのボンディングヘッド453(あるいはダイ51)との相対位置を変更する位置決め機構を構成しうる。また、エンコーダーヘッド455および制御部CNTは、該位置決め機構の構成要素として理解されてもよい。
【0110】
図10を参照しながら、基準プレート454を用いてボンディングステージ45の原点位置、倍率、X軸およびY軸の方向(回転)と直交度を保証する方法を説明する。マーク454aをダイ観察カメラ441の出力画像の中心にマーク454aが位置する時の干渉計の出力値をボンディングステージ45の原点とする。次に、マーク454bをダイ観察カメラ441で観察し、ダイ観察カメラ441の出力画像の中心にマーク454bが位置する時のエンコーダーヘッド455の出力値に基づいて、ボンディングステージ45のY軸の方向(回転)とY軸の倍率を決定する。次に、マーク454cをダイ観察カメラ441で観察し、ダイ観察カメラ441の出力画像の中心にマーク454cが位置する時のエンコーダーヘッド455の出力値に基づいて、ボンディングステージ45のX軸の方向(回転)とX軸方向の倍率を決定する。
【0111】
つまり、基準プレート454のマーク454bからマーク454aの方向を接合装置BDのY軸、マーク454cからマーク454aの方向を接合装置BDのX軸として、軸の方向と直交度とのキャリブレーションを行うことができる。また、マーク454bとマーク454aの間隔を接合装置BDのY軸のスケール基準、マーク454cとマーク454aの間隔を接合装置BDのX軸のスケール基準としてキャリブレーションを行うことができる。エンコーダーヘッド455は、熱によって膨張し、これによってエンコーダーヘッド455による計測値が変動してしまうため、任意のタイミングでキャリブレーションを行い、ボンディングステージ45の原点位置、倍率、回転、直交度を保証することが望ましい。なお、2次元のエンコーダーを採用する代わりに、X軸およびY軸の各々に関して、リニアエンコーダーを採用してもよい。
【0112】
上記の構成に代えて、複数のエンコーダーヘッドを配置し、例えば、接合対象箇所の位置に応じて複数のエンコーダーヘッドを切り替えて使用してもよく、このような構成は、フットプリントの削減に有利である。あるいは、接合対象箇所に対して対称になるように一対のエンコーダーヘッドを配置してもよく、このような構成は、位置計測精度の向上に有利である。
【0113】
以上の説明は、基準プレートを観察してのキャリブレーションを行う例に関するものである。これに代えて、例えば、基準面への突き当て動作によるキャリブレーションを行ってもよいし、エンコーダー内にキャリブレーション機構を設けて、絶対値保証されている位置計測器としてもよい。
<第5実施形態>
以下、第5実施形態を説明するが、第5実施形態として言及しない事項は、第1実施形態に従いうる。
図11は、第4実施形態の接合装置BDの構成を模式的に示す図である。第1実施形態の接合装置BDでは、ダイ観察カメラ431がウェーハステージ43に搭載されているが、第5実施形態の接合装置BDでは、ダイ観察カメラ411がボンディングヘッド423の直下の位置に固定されている。ダイ観察カメラ411は、例えば、上部ベース42に固定されてもよいし、ステージ定盤41に固定されてもよい。つまり、第1保持部としてのウェーハチャック433と第2カメラとしてのダイ観察カメラ411とは、互いに異なる支持体によって支持されうる。
【0114】
ダイ観察カメラ411がボンディングヘッド423に対して変位しうる場合は、その変位量を計測して補正を行ってもよい。例えば、ボンディングヘッド423に所定のマークを配置し、それをダイ観察カメラ411で観察することにより、ボンディングヘッド423に対するダイ観察カメラ411の変位量を検出することができる。
<第6実施形態>
次に、前述の接合装置BDを利用した物品(半導体IC素子、液晶表示素子、MEMS等)の製造方法を説明する。物品は、第1物体を準備する工程と、第2物体を準備する工程と、前述の接合装置を使用して第1物体と第2物体を接合して接合物を製造する工程と、接合された接合物を他の周知の工程で処理することにより製造される。他の周知の工程には、プロービング、ダイシング、ボンディング、パッケージング等が含まれる。本物品製造方法によれば、従来よりも高品位の物品を製造することができる。
【0115】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0116】
6:ウェーハ(第1物体)、42:上部ベース(支持部)、43:ウェーハステージ、51:ダイ(第2物体)、421:ウェーハ観察カメラ(第1カメラ)、423:ボンディングヘッド(第2保持部)、431:ダイ観察カメラ(第2カメラ)、433:ウェーハチャック(第1保持部)、436:駆動機構、CNT:制御部