(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077939
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】運転支援装置及び運転支援方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191449
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩口 拓真
(72)【発明者】
【氏名】青山 紀章
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181FF22
5H181FF32
5H181FF35
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】障害物に関する情報を効率的に提供し、運転者の利便性の向上と安全性の向上を実現すること。
【解決手段】車両の室内に設置される表示部の表示内容を制御する表示制御部と、カメラ及び/又はセンサの出力に基づいて前記車両の周辺を監視し、障害物を検知する車両周辺監視部と、を備え、前記表示制御部は、前記障害物が検知された場合に、それまでの表示内容の出力を継続させつつ、前記障害物の存在を運転者に報知する警告表示を前記表示部の外縁部近傍の一部に割込み表示させ、前記表示部と前記警告表示との位置関係を、前記車両と前記障害物との位置関係に対応させる。さらに、前記警告表示に対応する所定の操作を受け付けた場合に、前記警告表示に代えて前記障害物の像を含む画像を表示させ、当該画像に前記車両と前記障害物との位置関係を示す表示を重畳する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室内に設置される表示部の表示内容を制御する表示制御部と、
カメラ及び/又はセンサの出力に基づいて前記車両の周辺を監視し、障害物を検知する車両周辺監視部と、
を備え、
前記表示制御部は、
前記障害物が検知された場合に、それまでの表示内容の出力を継続させつつ、前記障害物の存在を運転者に報知する警告表示を前記表示部の外縁部近傍の一部に割込み表示させ、
前記表示部と前記警告表示との位置関係を、前記車両と前記障害物との位置関係に対応させる
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、予め設定されたエリア内に前記障害物を検知した場合に、前記警告表示を割込み表示させることを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記警告表示は、前記障害物により生じる危険の種別、当該危険の程度、前記車両と前記障害物との位置関係のうち、少なくともいずれかを含む情報を模式的に示すことを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記警告表示に対応する所定の操作を受け付けた場合に、前記警告表示に代えて前記障害物の像を含む画像を表示させ、当該画像に前記車両と前記障害物との位置関係を示す表示を重畳することを特徴とする請求項3記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記障害物の有無に関わらず、前記表示部の外縁部近傍の一部に対する所定の操作を受け付けた場合に、当該操作と前記表示部との位置関係によって特定される方向の画像を表示させ、当該画像内の像と前記車両との位置関係を示す表示を重畳することを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記予め設定されたエリアは、前記障害物が前記車両のサイドミラーに接触する可能性がある第1のエリアであり、前記車両周辺監視部が前記第1のエリアに前記障害物を検知すると、前記表示制御部は、前記障害物の位置に対応する仮想の壁面とサイドミラーを模した画像を前記警告表示として前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記予め設定されたエリアは、前記障害物が前記車両のタイヤに接触する可能性がある第2のエリアであり、前記車両周辺監視部が前記第2のエリアに前記障害物を検知すると、前記表示制御部は、前記障害物の位置に対応する仮想の路肩とタイヤを模した画像を前記警告表示として前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記表示内容として、前記車両の走行経路に関するナビゲーション画面、ラジオ操作画面、音楽コンテンツ操作画面、車両情報表示画面、テレビ画面の何れかを用いることができることを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項9】
車載装置が、
車両の室内に設置された表示部の表示内容を制御するステップと、
カメラ及び/又はセンサの出力に基づいて前記車両の周辺を監視し、障害物を検知するステップと、
前記障害物が検知された場合に、それまでの表示内容の出力を継続させつつ、前記障害物の存在を運転者に報知する警告表示を前記表示部の外縁部近傍の一部に割込み表示させるステップと、を含み、
前記表示部と前記警告表示との位置関係を、前記車両と前記障害物との位置関係に対応させる
ことを特徴とする運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転を支援する運転支援装置及び運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両周辺の障害物に関する情報を提供することで車両の運転を支援する技術が知られている。例えば、特許文献1には、「車両に設けられた複数のカメラにより撮像される画像のうち運転者の意図するカメラの画像を瞬時に選択可能な車両用画像表示装置を提供する。」「フロントカメラ3、左サイドカメラ4、右サイドカメラ5、および、リヤカメラ6により撮像された画像を選択的に表示可能な表示手段21を備えると共に、車両を俯瞰するように視点変換を行ったアラウンドビューの画像を生成する画像生成手段23を備え、操作手段27は、その中央領域にアラウンドビューの画像を表示手段21に表示させるための第1スイッチ25を備える共に、中央領域を上方から見た車両の位置として、中央領域の外周に隣接する車両周囲のフロントビュー、リヤビュー、左サイドビュー、右サイドビューに対応した位置に、各ビューの画像を表示手段21に表示させるための第2スイッチ26a~26dを備えることを特徴とする。」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に代表される従来の技術では、車両周辺のカメラ画像を表示する際に、表示部の表示領域を全てカメラ画像や関係する情報の表示に使用する。このため、例えばそれまでにナビゲーション画像を表示していたならば、ナビゲーション画面からカメラ画像表示画面に切り替えられ、カメラ画像を表示している間はナビゲーション画面を確認することができない。しかし、障害物との接触等を回避する多くの場面では、車両の周囲全体を確認する必要はなく、衝突する可能性がある車体の一部と障害物との位置関係が確認できればよい。このような部分的な確認のために、それまで表示していた情報を確認できなくなるのは、かえって運転者の利便性を損なう可能性がある。
【0005】
また、車載システムが運転者に報知すべきと判定した障害物について、運転者が十分に認識している場合もある。運転者が十分に認識しているにも関わらず、表示領域を大きく使用して障害物の報知を行うことは、安全性の向上に寄与せず、運転者が求める情報の提供を阻害することになる。
【0006】
そこで、本発明では、障害物に関する情報を効率的に提供し、運転者の利便性の向上と安全性の向上を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、代表的な本発明の運転支援装置の一つは、車両の室内に設置される表示部の表示内容を制御する表示制御部と、カメラ及び/又はセンサの出力に基づいて前記車両の周辺を監視し、障害物を検知する車両周辺監視部と、を備え、前記表示制御部は、前記障害物が検知された場合に、それまでの表示内容の出力を継続させつつ、前記障害物の存在を運転者に報知する警告表示を前記表示部の外縁部近傍の一部に割込み表示させ、前記表示部と前記警告表示との位置関係を、前記車両と前記障害物との位置関係に対応させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、障害物に関する情報を効率的に提供し、運転者の利便性の向上と安全性の向上を実現することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の運転支援の概要を説明する説明図。
【
図4】運転支援装置による障害物検知の処理手順を示すフローチャート。
【
図5】運転支援装置による表示制御の処理手順を示すフローチャート。
【
図6】タイヤの接触の危険がある場合の動作の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【実施例0011】
図1は、実施例1の運転支援の概要を説明する説明図である。車両10は、表示部であるディスプレイ30を備える。ディスプレイ30は、車両10の走行経路に関するナビゲーション画面、ラジオ操作画面、音楽コンテンツ操作画面、車両情報表示画面、テレビ画面などの表示に用いることができる。
【0012】
また、車両10は、周囲を撮像するカメラやセンサと運転支援装置を搭載する。運転支援装置は、カメラやセンサの出力に基づいて車両10の周辺を監視し、障害物を検知する。運転支援装置は、車両10の走行に支障をきたす可能性のある障害物を検知したならば、それまでの表示内容の出力を継続させつつ、ディスプレイ30の四辺のいずれかに警告表示を割込み表示させることで障害物の存在を運転者に報知する。このとき、警告表示に用いる辺は、車両と障害物との位置関係に応じて選択する。
【0013】
図1では、車両10は前方に走行しており、ディスプレイ30はナビゲーション画面N1を表示している。また、車両10の左前方には障害物D1が存在し、車両10が現状維持で前進すれば、左のサイドミラーが障害物D1に衝突すると予測される状態である。
【0014】
この状態を例に、運転支援装置の動作を説明する。運転支援装置は、障害物D1を検知すると、警告表示A1をナビゲーション画面N1に割り込ませる。障害物D1は車両10の左前方にあり、左のサイドミラーと衝突する危険があることから、警告表示A1は、ディスプレイ30の左辺に表示する。
【0015】
また、警告表示A1は、サイドミラーの模式図と障害物D1の位置を示すラインを含む。サイドミラーの模式図は、危険の種別が「サイドミラー接触」であることを示す。ラインは、車両10の予想進路に対し、障害物D1が最も接近する点を選択し、選択した点を予想進路に沿って延長して求める。このラインは、障害物D1の位置に対応する仮想の壁面であり、サイドミラーからラインまでの距離が所定値未満となれば、運転支援装置はサイドミラーが障害物D1に接触する可能性があると判定する。そして、サイドミラーがラインを超えれば、運転支援装置は、サイドミラーが障害物D1に接触する可能性が高いと判定する。サイドミラーが障害物D1に接触する可能性の高低は、危険の程度(レベル)であり、危険レベルに合わせてラインの色を異ならせてもよい。
【0016】
このように、警告表示A1は、障害物D1により生じる危険の種別、当該危険の程度、車両10と障害物D1との位置関係を模式的に示すことができる。また、ディスプレイ30と警告表示A1との位置関係は、車両10と障害物D1との位置関係に対応しているので、運転者はどの方向に注意すべきかを容易に認識することができる。さらに、ナビゲーション画面N1の表示は継続しているため、運転者は、それまでの表示内容を継続して確認可能である。
【0017】
警告表示A1を確認した運転者が、確認表示A1に触れる操作を行うと、運転支援装置は、警告表示A1に代えてカメラ画像表示V1を表示させる。カメラ画像表示V1は、障害物D1の像を含んで撮像されたカメラ画像に、サイドミラーと車体の画像を重畳して生成される。サイドミラーと車体の画像は、車両10と障害物D1との位置関係を示す表示として機能する。
【0018】
警告表示A1は、元々の表示内容を極力維持するため、限定された表示領域で模式的な表示を行うものである。一方、カメラ画像表示V1は、警告表示A1を確認した運転者が、より詳細な情報を求めて明示の操作を行ったことで表示されるものであるため、警告表示A1よりも表示領域を大きく割り当てている。
【0019】
このように、運転者は、1回の簡易な操作で、必要な情報を詳細に得ることができる。具体的には、カメラ画像表示V1により、車両周辺のカメラ画像を確認することができ、カメラ画像内の像と車両との位置関係も確認できる。また、ナビゲーション画面N1の表示は継続しているため、運転者は、それまでの情報を継続して確認可能である。
【0020】
図2は、実施例1の運転支援装置の構成図である。
図2に示すように、運転支援装置20は、カメラ11、シフトセンサ12、ステアリングセンサ13、ディスプレイ30、ナビゲーションシステム41、AVシステム42などと接続される。
【0021】
カメラ11は、車両10の周囲を撮像して撮像画像を取得する画像取得手段である。カメラ11は、車両10の周囲の各方向を撮像するため、複数搭載することが好適である。カメラ11に加えて車両周辺の物体を検知する任意のセンサを搭載してもよい。
シフトセンサ12は、車両10の変速機の状態を取得するセンサであり、ステアリングセンサ13は、車両10の操舵角を取得するセンサである。この他、車両10の走行に関する任意のセンサを搭載してもよい。
【0022】
ディスプレイ30は、車両10の室内に設置される表示部である。また、ディスプレイ30は、任意の入力インタフェースを備える。入力インタフェースは、ディスプレイ30と一体化したタッチパネルであってもよいし、物理的なボタンであってもよい。本実施例では、ディスプレイ30に一体化したタッチパネルを備えるものとして説明を行う。
【0023】
ナビゲーションシステム41は、地図情報の管理、道路情報の取得、現在地の特定、経路探索、経路誘導などを行うシステムである。AVシステム42は、ラジオ放送やテレビ放送の受信、音楽コンテンツや動画コンテンツの再生などを行うシステムである。
【0024】
運転支援装置20は、車両周辺監視部21、車両状態取得部22及び表示制御部23を有する。運転支援装置20をコンピュータで実現する場合には、CPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することで、車両周辺監視部21、車両状態取得部22及び表示制御部23に対応する機能を実現すればよい。
【0025】
車両周辺監視部21は、カメラ11や車両周辺の物体を検知するセンサの出力に基づいて車両10の周辺を監視し、障害物を検知する。カメラ11の出力から障害物を検知する場合には、車両周辺監視部21は、撮像されたカメラ画像に対して画像認識処理を行うことで、カメラ画像に像として含まれる物体を識別する。また、車両周辺監視部21は、カメラ11の設置位置と撮像範囲を管理しており、カメラ画像内における像の位置とカメラ11の撮像範囲とを用いて、車両10に対する物体の位置を特定する。
【0026】
車両状態取得部22は、シフトセンサ12やステアリングセンサ13などから、車両の状態を取得する。シフトセンサ12から取得した変速機の状態は、車両10の進行方向が前後いずれであるかの判定に用いることができる。ステアリングセンサ13から取得した操舵角は、進行方向と合わせて用いることで、車両10の挙動の予測に用いることができる。この他、車両10の速度や灯火器類の状態など、任意の情報を取得し、車両の挙動の予測に用いることができる。
【0027】
表示制御部23は、ディスプレイ30の表示内容を制御する。表示内容としては、車両10の走行経路に関するナビゲーション画面、ラジオ操作画面、音楽コンテンツ操作画面、車両情報表示画面、テレビ画面などを用いることができる。ナビゲーション画面や車両情報画面は、例えば、ナビゲーションシステム41によって生成される。ラジオ操作画面、音楽コンテンツ操作画面、車両情報表示画面、テレビ画面は、例えば、AVシステム42によって生成される。
【0028】
表示制御部23は、車両周辺監視部21により障害物が検知された場合に、それまでの表示内容の出力を継続させつつ、障害物の存在を運転者に報知する警告表示をディスプレイ30の外縁部近傍の一部に割込み表示させる。このとき、ディスプレイ30の表示領域における警告表示の位置、すなわち、ディスプレイ30と警告表示との位置関係を、車両10と障害物との位置関係に対応させる。
【0029】
車両周辺監視部21により障害物が検知された場合とは、一例として、予め設定されたエリア内に障害物を検知した場合、とすればよい。
また、警告表示は、障害物により生じる危険の種別、当該危険の程度、車両10と障害物との位置関係のうち、少なくともいずれかを含む情報を模式的に示したものである。
【0030】
さらに、表示制御部23は、警告表示に対応する所定の操作を受け付けた場合に、警告表示に代えて障害物の像を含む画像を表示させ、当該画像に車両10と障害物との位置関係を示す表示を重畳する。例えば、ディスプレイ30がタッチパネルを有するならば、警告表示の表示位置に対する接触操作を所定の操作として用いればよい。
【0031】
また、表示制御部23は、障害物の有無に関わらず、ディスプレイ30の外縁部近傍の一部に対する所定の操作を受け付けた場合に、当該操作とディスプレイ30との位置関係によって特定される方向の画像を表示させ、当該画像内の像と車両10との位置関係を示す表示を重畳する。換言するならば、運転者は、警告表示に対して所定の操作を行った場合と同様の表示を、任意のタイミングで行わせることができる。このため、運転者が車両の周囲を確認したいときには、実際の障害物の有無に関わらず、任意のカメラ画像を表示させ、車両10との位置関係を確認することができる。
【0032】
表示制御部23による警告表示の第1の具体例として、サイドミラーの接触に関する警告表示を説明する。この場合、予め設定されたエリアは、障害物が車両10のサイドミラーに接触する可能性がある第1のエリアであり、車両周辺監視部21が第1のエリアに障害物を検知すると、表示制御部23は、障害物の位置に対応する仮想の壁面とサイドミラーを模した画像を警告表示としてディスプレイ30に表示させる。
【0033】
表示制御部23による警告表示の第2の具体例として、タイヤの接触に関する警告表示を説明する。この場合、予め設定されたエリアは、障害物が車両10のタイヤに接触する可能性がある第2のエリアであり、車両周辺監視部21が第2のエリアに障害物を検知すると、表示制御部23は、障害物の位置に対応する仮想の路肩とタイヤを模した画像を警告表示としてディスプレイ30に表示させる。
【0034】
図3は、ディスプレイと所定操作受付の説明図である。ディスプレイ30はタッチパネルを備えており、表示領域の四辺に所定操作受付領域31が設けられている。換言するならば、ディスプレイ30の外縁部の内側が、警告表示とカメラ画像表示の割込みに使用されるとともに、カメラ画像表示を求める所定操作の受付に用いられる。
【0035】
具体的には、運転支援装置20は、左辺の所定操作受付領域31に対する操作が行われたならば、車両10の左側のカメラ画像表示を行い、右辺の所定操作受付領域31に対する操作が行われたならば、車両10の右側のカメラ画像表示を行う。同様に、運転支援装置20は、上辺の所定操作受付領域31に対する操作が行われたならば、車両10の前側のカメラ画像表示を行い、下辺の所定操作受付領域31に対する操作が行われたならば、車両10の後ろ側のカメラ画像表示を行う。いわば、ディスプレイ30の表示領域自体を車体に見立てて、警告表示及びカメラ画像表示と、所定操作の受付を行っているのである。
【0036】
図4は、運転支援装置20による障害物検知の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、車載機器に電源が供給されている場合に繰り返し実行される。まず、運転支援装置20の車両周辺監視部21は、カメラ11から画像を取得する(ステップS101)。また、車両状態取得部22は、シフトセンサ12やステアリングセンサ13などから車両の状態を取得し(ステップS102)、車両の進路を判定する(ステップS103)。
【0037】
車両周辺監視部21は、カメラ11から取得したカメラ画像に対して画像認識処理を行い、障害物を検知する(ステップS104)。表示制御部23は、検知された障害物の位置と、車両の進路とを用いて危険種別及び危険レベルを判定する(ステップS105)。
【0038】
表示制御部23は、危険種別及び危険レベルに基づいて警告の要否を判定する(ステップS106)。表示制御部23は、警告が不要であれば(ステップS106;No)、そのまま処理を終了し、警告が必要であれば(ステップS106;Yes)、危険種別、危険レベル、危険方向を指定した割込み要求を生成して(ステップS107)、処理を終了する。
【0039】
図5は、運転支援装置20による表示制御の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、車載機器に電源が供給されている場合に繰り返し実行される。まず、運転支援装置20の表示制御部23は、規定又はユーザ指定の表示制御を行う(ステップS201)。規定又はユーザ指定の表示制御は、起動時に自動で表示される画面や、ユーザの操作に応じて表示される画面などを表示する制御である。以降、ステップS201で表示されていた表示の内容を「既存の表示内容」という。既存の表示内容としては、ナビゲーション画面、ラジオ操作画面、音楽コンテンツ操作画面、車両情報表示画面、テレビ画面などが含まれる。
【0040】
表示制御部23は、割込み要求が発生しているか否かを判定する(ステップS202)。割込み要求が発生していれば(ステップS202;Yes)、表示制御部23は、既存の表示内容を維持しつつ、警告表示を割り込ませて表示する(ステップS203)。警告表示の内容は、割込み要求の危険種別と危険レベルによって定まり、どの辺に警告表示を割り込ませるかは危険方向によって定まる。
【0041】
その後、表示制御部23は、警告表示に対する所定操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS204)。警告表示に対する所定操作を受け付けたならば(ステップS204;Yes)、表示制御部23は、既存の表示内容を維持しつつ、カメラ画像を割り込ませて表示する(ステップS207)。警告表示に対する所定操作を受け付けていなければ(ステップS204;No)、表示制御部23は、解除条件が成立したか否かを判定する(ステップS205)。解除条件は、例えば、「障害物との位置関係の変化により、割込み要求が解消した」などを用いればよい。表示制御部23は、解除条件が成立していなければ(ステップS205;No)、ステップS203に戻り、解除条件が成立したならば(ステップS205;Yes)、割込み表示を解除して(ステップS209)、処理を終了する。
【0042】
割込み要求が発生していない場合(ステップS202;No)、表示制御部23は、運転者が周辺確認のために所定操作を行ったか否かを判定する(ステップS206)。周辺確認のための所定操作を受け付けていなければ(ステップS206;No)、表示制御部23は、ステップS201に戻る。周辺確認のための所定操作を受け付けたならば(ステップS206;Yes)、表示制御部23は、既存の表示内容を維持しつつ、カメラ画像を割り込ませて表示する(ステップS207)。カメラ画像を割り込ませる辺は、所定操作を受け付けた辺とする。
【0043】
ステップS207の後、表示制御部23は、解除条件が成立したか否かを判定する(ステップS208)。解除条件は、例えば、解除操作の受付などを用いればよい。表示制御部23は、解除条件が成立していなければ(ステップS208;No)、ステップS207に戻り、解除条件が成立したならば(ステップS208;Yes)、割込み表示を解除して(ステップS209)、処理を終了する。
【0044】
図6は、タイヤの接触の危険がある場合の動作の説明図である。
図6では、車両10は前方に走行しており、ディスプレイ30はナビゲーション画面N1を表示している。また、車両10の左前方には障害物D2が存在し、車両10が現状維持で前進すれば、左のタイヤが障害物D2に接触すると予測される状態である。
【0045】
運転支援装置は、障害物D2を検知すると、警告表示A2をナビゲーション画面N1に割り込ませる。障害物D2は車両10の左前方にあり、左のタイヤと接触する危険があることから、警告表示A2は、ディスプレイ30の左辺に表示する。
【0046】
また、警告表示A2は、タイヤの模式図と障害物D2の位置を示すラインを含む。タイヤの模式図は、危険の種別が「タイヤ接触」であることを示す。ラインは、車両10の予想進路に対し、障害物D2が最も接近する点を選択し、選択した点を予想進路に沿って延長して求める。このラインは、障害物D2の位置に対応する仮想の路肩であり、タイヤからラインまでの距離が所定値未満となれば、運転支援装置はタイヤが障害物D2に接触する可能性があると判定する。そして、タイヤがラインを超えれば、運転支援装置は、タイヤが障害物D2に接触する可能性が高いと判定する。タイヤが障害物D2に接触する可能性の高低は、危険の程度(レベル)であり、危険レベルに合わせてラインの色を異ならせてもよい。
【0047】
このように、警告表示A2は、障害物D2により生じる危険の種別、当該危険の程度、車両10と障害物D2との位置関係を模式的に示すことができる。また、ディスプレイ30と警告表示A2との位置関係は、車両10と障害物D2との位置関係に対応しているので、運転者はどの方向に注意すべきかを容易に認識することができる。さらに、ナビゲーション画面N1の表示は継続しているため、運転者は、それまでの表示内容を継続して確認可能である。
【0048】
警告表示A2を確認した運転者が、確認表示A2に触れる操作を行うと、運転支援装置は、警告表示A2に代えてカメラ画像表示V2を表示させる。カメラ画像表示V2は、障害物D2の像を含んで撮像されたカメラ画像に、車体を上方から見た画像を重畳して生成される。車体を上方から見た画像は、車両10と障害物D2との位置関係を示す表示として機能する。
【0049】
警告表示A2は、元々の表示内容を極力維持するため、限定された表示領域で模式的な表示を行うものである。一方、カメラ画像表示V2は、警告表示A2を確認した運転者が、より詳細な情報を求めて明示の操作を行ったことで表示されるものであるため、警告表示A2よりも表示領域を大きく割り当てている。
【0050】
図7は、所定操作受付の変形例についての説明図である。
図7に示したディスプレイ30aは、表示領域の4つの辺と4つの角に所定操作受付領域31aが設けられている。この構成では、ディスプレイ30の外縁部の内側が8つの領域に分割される。そして、運転支援装置20は、車両10の8方向について警告表示とカメラ画像表示を行い、8方向についてカメラ画像表示を求める所定操作を受け付ける。
【0051】
具体的には、運転支援装置20は、上下左右の辺の所定操作受付領域31aに対する操作が行われたならば、それぞれ前方、後方、左側、右側のカメラ画像表示を行う。同様に、運転支援装置20は、左上、左下、右下、右上の角の所定操作受付領域31aに対する操作が行われたならば、それぞれ左前方、左後方、右後方、右前方のカメラ画像表示を行う。
【0052】
図7に示したディスプレイ30bは、表示領域の上下左右の辺の外側にそれぞれ操作部32を有している。この構成では、運転支援装置20は、車両10の4方向について警告表示とカメラ画像表示を行い、4方向に対する所定操作を操作部32で受け付ける。この構成では、ディスプレイ30bは、タッチパネルを有する必要はない。また、操作部32を発行させるなどにより、警告表示を行うことも可能である。
【0053】
図8は、ディスプレイの変形例についての説明図である。
図8に示したディスプレイ30cは、左右の辺が上下の辺よりも長い表示領域を有し、上下左右の辺に所定操作受付領域31cを設けている。また、
図8に示したディスプレイ30dは、円形の表示領域を有し、外縁の内側の上下左右に所定操作受付領域31dを設けている。このように、任意の形状の表示領域を有するディスプレイについて、所定操作受付領域を適宜設け、カメラ画像表示を要求する所定操作を受け付けることができる。また、
図8は上下左右の4方向に対応する4つの所定操作受付領域を例示したが、8方向に対応する8つの所定操作受付領域など、任意の数の所定操作受付領域を設けることができる。
【0054】
図9は、カメラ画像表示の変形例の説明図である。
図9では、カメラ画像表示V3をナビゲーション画面N1に割り込ませている。カメラ画像表示V3は、カメラ11が撮像したカメラ画像に、パーツ位置表示P1~P4を重畳して生成される。パーツ位置表示P1~P4は、カメラ画像に写された物体と車両10との位置関係を示す表示として機能する。具体的には、パーツ位置表示P1は、サイドミラーの位置(車幅方向の位置と高さ)を示し、パーツ位置表示P2は、スライドドアを開いた状態での車体の位置(車幅方向の位置と高さ)を示し、パーツ位置表示P3は、ドアを閉じた状態での車体の位置(車幅方向の位置と高さ)を示し、パーツ位置表示P4はタイヤの位置(車幅方向の位置と高さ)を示す。運転者は、パーツ位置表示P1~P4とカメラ画像から、車体の各パーツについて接触の危険を認識することができる。このため、例えば、「スライドドアを開けても縁石に接触しない範囲で、車両10をできるだけ路肩側に寄せる」といった運転操作のように、車体と障害物と位置関係について高精度な認識を要する運転操作を支援することができる。
【0055】
上述してきたように、開示の装置は、車両の室内に設置される表示部の表示内容を制御する表示制御部23と、カメラ及び/又はセンサの出力に基づいて前記車両の周辺を監視し、障害物を検知する車両周辺監視部21と、を備え、前記表示制御部23は、前記障害物が検知された場合に、それまでの表示内容の出力を継続させつつ、前記障害物の存在を運転者に報知する警告表示を前記表示部の外縁部近傍の一部に割込み表示させ、前記表示部と前記警告表示との位置関係を、前記車両と前記障害物との位置関係に対応させることを特徴とする。
かかる構成及び動作により、運転支援装置は、障害物に関する情報を効率的に提供し、運転者の利便性の向上と安全性の向上を実現することができる。
【0056】
また、前記表示制御部は、予め設定されたエリア内に前記障害物を検知した場合に、前記警告表示を割込み表示させる。
かかる動作によれば、運転支援装置は、障害物による影響を簡易に判定し、運転者に報知することができる。
【0057】
また、前記警告表示は、前記障害物により生じる危険の種別、当該危険の程度、前記車両と前記障害物との位置関係のうち、少なくともいずれかを含む情報を模式的に示す。
かかる動作によれば、運転支援装置は、既存の表示に影響の少ない小さい表示領域で、危険に関する情報を効率的に提供できる。
【0058】
また、前記表示制御部は、前記警告表示に対応する所定の操作を受け付けた場合に、前記警告表示に代えて前記障害物の像を含む画像を表示させ、当該画像に前記車両と前記障害物との位置関係を示す表示を重畳する。
また、前記表示制御部は、前記障害物の有無に関わらず、前記表示部の外縁部近傍の一部に対する所定の操作を受け付けた場合に、当該操作と前記表示部との位置関係によって特定される方向の画像を表示させ、当該画像内の像と前記車両との位置関係を示す表示を重畳する。
かかる動作によれば、運転者は、1回の簡易な操作で、必要な情報を詳細に得ることができる。
【0059】
また、前記予め設定されたエリアは、前記障害物が前記車両のサイドミラーに接触する可能性がある第1のエリアであり、前記車両周辺監視部が前記第1のエリアに前記障害物を検知すると、前記表示制御部は、前記障害物の位置に対応する仮想の壁面とサイドミラーを模した画像を前記警告表示として前記表示部に表示させる。
また、前記予め設定されたエリアは、前記障害物が前記車両のタイヤに接触する可能性がある第2のエリアであり、前記車両周辺監視部が前記第2のエリアに前記障害物を検知すると、前記表示制御部は、前記障害物の位置に対応する仮想の路肩とタイヤを模した画像を前記警告表示として前記表示部に表示させる。
かかる動作によれば、サイドミラーやタイヤと障害物との関係を示す情報を効率的に提供することができる。
【0060】
また、開示の運転支援装置は、前記車両の走行経路に関するナビゲーション画面、ラジオ操作画面、音楽コンテンツ操作画面、車両情報表示画面、テレビ画面などの表示出力を継続しながら、障害物に関する情報を提供できるので、運転者の利便性を向上しつつ、安全性の向上に寄与することができる。
【0061】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、かかる構成の削除に限らず、構成の置き換えや追加も可能である。
10:車両、11:カメラ、12:シフトセンサ、13:ステアリングセンサ、20:運転支援装置、21:車両周辺監視部、22:車両状態取得部、23:表示制御部、30:ディスプレイ、31:所定操作受付領域、32:操作部、41:ナビゲーションシステム、42:AVシステム