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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077941
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】判定装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/00 20060101AFI20230530BHJP
   F02M 25/08 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
F02M37/00 301G
F02M25/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191454
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋山 孝典
【テーマコード(参考)】
3G144
【Fターム(参考)】
3G144BA26
3G144CA12
3G144DA03
3G144EA06
3G144FA03
3G144FA04
3G144HA06
(57)【要約】
【課題】圧力センサが正常であるか否かを精度良く判定することができる技術を提供する。
【解決手段】アスピレータは、燃料ポンプから吐出されて前記アスピレータを通過する燃料の流れにより、前記アスピレータに接続されている第2通路内の圧力を低下させるように構成されている。制御部は、開閉弁が閉弁しており、前記燃料ポンプが燃料を吐出している状態で、圧力センサの検出圧力が安定したときの前記検出圧力である第1圧力と、燃料タンク内の燃料の温度に基づいて算出される基準圧力とを比較することにより、前記圧力センサが正常であるか否かを判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクと、
前記燃料タンク内に配置されているアスピレータと、
前記燃料タンク内に配置されており、前記燃料タンク内の燃料を吸入して吐出する燃料ポンプと、
前記燃料ポンプと前記アスピレータに接続されており、前記燃料ポンプから吐出される燃料を前記アスピレータを通じて前記燃料タンク内に導入する第1通路と、
前記燃料タンク外に配置されている外気導入部と、
前記外気導入部と前記アスピレータに接続されており、前記外気導入部から導入される外気を前記アスピレータを通じて前記燃料タンク内に導入する第2通路と、
前記第2通路を開閉する開閉弁と、
前記アスピレータと前記開閉弁との間の前記第2通路内の圧力を検出する圧力センサと、
制御部と、を備え、
前記アスピレータは、前記燃料ポンプから吐出されて前記アスピレータを通過する燃料の流れにより、前記アスピレータに接続されている前記第2通路内の圧力を低下させるように構成されており、
前記制御部は、前記開閉弁が閉弁しており、前記燃料ポンプが燃料を吐出している状態で、前記圧力センサの検出圧力が安定したときの前記検出圧力である第1圧力と、前記燃料タンク内の燃料の温度に基づいて算出される基準圧力とを比較することにより、前記圧力センサが正常であるか否かを判定する、判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の判定装置であって、
前記制御部は、前記開閉弁が閉弁しており、前記燃料ポンプが燃料を吐出している状態で、前記第1圧力に代えて、前記開閉弁と前記アスピレータの間の前記第2通路内の推定圧力が安定したときの前記推定圧力である第2圧力と、前記基準圧力とを比較することにより、前記圧力センサが正常であるか否かを判定し、
前記推定圧力は、前記圧力センサの検出圧力と経過時間との関係から推定される、判定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の判定装置であって、
前記燃料タンク内に燃料が補給されたことを示す履歴情報を記憶する記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記履歴情報が前記記憶部に記憶されている場合は、前記第1圧力と、前記基準圧力を補正した値である補正圧力とを比較することにより、前記圧力センサが正常であるか否かを判定し、
前記補正圧力は、前記燃料タンク内に燃料が補給された後に前記燃料ポンプが燃料を吐出したときの前記圧力センサの検出圧力と、その時の前記燃料タンク内の燃料の温度と、の関係に基づいて前記基準圧力が補正された値である、判定装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の判定装置であって、
前記制御部は、前記開閉弁が開弁しており、前記燃料ポンプが燃料を吐出していない状態で、前記圧力センサの検出圧力と、現在地の外気温度と標高とに基づいて算出される現在地の外気圧力と、を比較する、判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蒸発燃料処理装置の漏れ診断装置が開示されている。特許文献1の診断装置は、燃料タンクと、燃料タンク内に配置されているアスピレータと、燃料タンク内に配置されており、燃料タンク内の燃料を吸入して吐出する燃料ポンプと、燃料ポンプとアスピレータに接続されており、燃料ポンプから吐出される燃料をアスピレータを通じて燃料タンク内に導入する第1通路とを備えている。また、特許文献1の装置は、燃料タンク外に配置されている外気導入部と、外気導入部とアスピレータに接続されており、外気導入部から導入される外気をアスピレータを通じて燃料タンク内に導入する第2通路とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-40123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の診断装置では、燃料ポンプが燃料を吐出すると、燃料ポンプから吐出されてアスピレータを通過する燃料の流れにより、アスピレータに接続されている第2通路内の圧力が低下する。第2通路内の圧力が低下したときに、第2通路内の圧力を圧力センサにより検出することがある。この場合に、圧力センサが正常であるか否かを判定することが考えられる。本明細書は、圧力センサが正常であるか否かを精度良く判定することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する判定装置は、燃料タンクと、前記燃料タンク内に配置されているアスピレータと、前記燃料タンク内に配置されており、前記燃料タンク内の燃料を吸入して吐出する燃料ポンプと、前記燃料ポンプと前記アスピレータに接続されており、前記燃料ポンプから吐出される燃料を前記アスピレータを通じて前記燃料タンク内に導入する第1通路と、前記燃料タンク外に配置されている外気導入部と、前記外気導入部と前記アスピレータに接続されており、前記外気導入部から導入される外気を前記アスピレータを通じて前記燃料タンク内に導入する第2通路と、前記第2通路を開閉する開閉弁と、前記アスピレータと前記開閉弁との間の前記第2通路内の圧力を検出する圧力センサと、制御部と、を備えている。前記アスピレータは、前記燃料ポンプから吐出されて前記アスピレータを通過する燃料の流れにより、前記アスピレータに接続されている前記第2通路内の圧力を低下させるように構成されている。前記制御部は、前記開閉弁が閉弁しており、前記燃料ポンプが燃料を吐出している状態で、前記圧力センサの検出圧力が安定したときの前記検出圧力である第1圧力と、前記燃料タンク内の燃料の温度に基づいて算出される基準圧力とを比較することにより、前記圧力センサが正常であるか否かを判定する。
【0006】
この構成によれば、圧力センサの検出圧力が安定したときの検出圧力である第1圧力と基準圧力とを比較することにより、圧力センサが正常であるか否かを精度良く判定することができる。例えば、第1圧力が基準圧力の±(プラス/マイナス)10%の範囲を超える場合は、圧力センサが異常であると判定することができる。また、第1圧力が基準圧力の±(プラス/マイナス)10%の範囲を超えない場合は、圧力センサが正常であると判定することができる。
【0007】
前記制御部は、前記開閉弁が閉弁しており、前記燃料ポンプが燃料を吐出している状態で、前記第1圧力に代えて、前記開閉弁と前記アスピレータの間の前記第2通路内の推定圧力が安定したときの前記推定圧力である第2圧力と、前記基準圧力とを比較することにより、前記圧力センサが正常であるか否かを判定してもよい。前記推定圧力は、前記圧力センサの検出圧力と経過時間との関係から推定されてもよい。
【0008】
この構成によれば、第1圧力に代えて第2圧力と基準圧力とを比較することにより、圧力センサが正常であるか否かを精度良く判定することができる。例えば、燃料タンク内の圧力が高いことにより圧力センサの検出圧力が安定しないときに、第1圧力に代えて第2圧力と基準圧力とを比較することができる。
【0009】
判定装置は、前記燃料タンク内に燃料が補給されたことを示す履歴情報を記憶する記憶部を更に備えていてもよい。前記制御部は、前記履歴情報が前記記憶部に記憶されている場合は、前記第1圧力と、前記基準圧力を補正した値である補正圧力とを比較することにより、前記圧力センサが正常であるか否かを判定していてもよい。前記補正圧力は、前記燃料タンク内に燃料が補給された後に前記燃料ポンプが燃料を吐出したときの前記圧力センサの検出圧力と、その時の前記燃料タンク内の燃料の温度と、の関係に基づいて前記基準圧力が補正された値であってもよい。
【0010】
燃料タンク内に燃料が補給された場合は、例えば、燃料の補給前に燃料タンク内に貯留されていた燃料の性状と、補給された燃料の性状とが異なることにより、燃料タンク内の燃料の性状が変化することがある。この場合は、燃料の性状の変化に対応して、基準圧力を補正したうえで第1圧力と補正圧力とを比較する。この構成によれば、燃料タンク内に燃料が補給された場合であっても、第1圧力と補正圧力とを比較することにより、圧力センサが正常であるか否かを精度良く判定することができる。
【0011】
前記制御部は、前記開閉弁が開弁しており、前記燃料ポンプが燃料を吐出していない状態で、前記圧力センサの検出圧力と、現在地の外気温度と標高とに基づいて算出される現在地の外気圧力と、を比較してもよい。
【0012】
この構成によれば、比較結果を利用することにより、圧力センサが正常であるか否かを精度良く判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例の判定装置を模式的に示す図。
図2】実施例のアスピレータを模式的に示す図。
図3】第1実施例の第1判定処理のフローチャート。
図4】第1実施例の第3圧力センサの検出圧力を模式的に示す図。
図5】第1実施例の燃料の蒸気圧曲線を模式的に示す図。
図6】第2実施例の外気導入通路内の推定圧力を模式的に示す図。
図7】第2実施例の第2判定処理のフローチャート。
図8】第3実施例の補正曲線を模式的に示す図。
図9】第3実施例の第3判定処理のフローチャート。
図10】第4実施例の第4判定処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施例の判定装置2について図面を参照して説明する。図1に示すように、実施例の判定装置2は、燃料タンク10と、燃料タンク10内に配置されている燃料ポンプ14と、燃料タンク10内に配置されているアスピレータ12とを備えている。判定装置2は、例えば、ガソリン自動車やハイブリッド自動車等の車両(図示省略)に搭載されている。実施例の判定装置2は、蒸発燃料処理装置と呼ばれることがある。
【0015】
燃料タンク10は、車両のエンジン90に供給される燃料(例えば、ガソリン)を貯留している。燃料タンク10内に貯留されている燃料は、判定装置2が搭載されている車両の走行中や停止中に燃料タンク10内で蒸発することがある。燃料タンク10内で燃料が蒸発することにより蒸発燃料が発生する。燃料タンク10は、燃料タンク10内の圧力を検出する第1圧力センサ16を備えていてもよい。
【0016】
燃料タンク10内に配置されている燃料ポンプ14は、例えば、モータとインペラ(図示省略)を備えており、モータとインペラの回転により燃料を吐出する。燃料ポンプ14は、燃料タンク10内の燃料を吸入して、その燃料を昇圧して吐出する。燃料ポンプ14には燃料供給通路20の上流端が接続されている。燃料供給通路20の下流端は、車両のエンジン90に接続されている。燃料供給通路20は、燃料ポンプ14から吐出された燃料を車両のエンジン90に供給する。
【0017】
燃料タンク10内において、燃料供給通路20の途中には分岐通路22の上流端が接続されている。燃料供給通路20を流れる燃料の一部が分岐通路22に流入する。分岐通路22の下流端は、燃料タンク10内に配置されているアスピレータ12に接続されている。分岐通路22は、燃料ポンプ14から吐出されて燃料供給通路20を流れる燃料の一部をアスピレータ12に供給する。アスピレータ12に供給された燃料は、アスピレータ12を通過して燃料タンク10内に導入される。分岐通路22は、燃料ポンプ14から吐出された燃料を、アスピレータ12を通じて燃料タンク10内に戻す通路である。燃料タンク10内に導入された燃料は、燃料タンク10内に再び貯留される。なお、アスピレータ12の構成については後述する。
【0018】
分岐通路22には、分岐通路22を開閉する燃料遮断弁24が設けられている。燃料ポンプ14から燃料が吐出されている状態で、燃料遮断弁24が開弁すると分岐通路22を通じてアスピレータ12に燃料が供給される。燃料遮断弁24が閉弁するとアスピレータ12への燃料の供給が遮断される。
【0019】
次に、燃料タンク10内で発生する蒸発燃料を処理する構成について説明する。また、燃料タンク10内に外気を導入する構成について説明する。実施例の判定装置2は、蒸発燃料を吸着するキャニスタ30と、キャニスタ30に接続されているベーパ通路32と、キャニスタ30に接続されている大気通路34と、キャニスタ30に接続されているパージ通路36とを備えている。キャニスタ30は、燃料タンク10外に配置されている。判定装置2は、更に、ベーパ通路32に接続されている外気導入通路50を備えている。
【0020】
まず、蒸発燃料を吸着処理する構成について説明する。燃料タンク10外に配置されているキャニスタ30は、蒸発燃料を吸着する吸着材(例えば、活性炭)を備えている。キャニスタ30は、キャニスタ30を通過する蒸発燃料を吸着材により吸着する。キャニスタ30は、キャニスタ30内の圧力を検出する第2圧力センサ38を備えていてもよい。
【0021】
ベーパ通路32は、上流端が燃料タンク10に接続されており、下流端がキャニスタ30に接続されている。ベーパ通路32は、燃料タンク10内で発生する蒸発燃料を燃料タンク10からキャニスタ30に案内する。ベーパ通路32と燃料タンク10との接続部分には、燃料タンク10内の燃料の液面高さが満タン時の液面高さよりも高くなると閉弁する満タン規制弁26が設けられている。
【0022】
ベーパ通路32には、ベーパ通路32を開閉する封鎖弁40が設けられている。封鎖弁40が開弁すると、ベーパ通路32を通じて燃料タンク10からキャニスタ30に蒸発燃料が供給される。キャニスタ30に供給された蒸発燃料は、キャニスタ30内の吸着材に吸着される。封鎖弁40が閉弁すると、ベーパ通路32が封鎖され、キャニスタ30への蒸発燃料の供給が遮断される。
【0023】
封鎖弁40は、複数の逆止弁41a、41bと組み合わされて用いられてもよい。一方の逆止弁41aは、ベーパ通路32の上流側から下流側へ蒸発燃料が流れることを許容する。この逆止弁41aは、ベーパ通路32の下流側から上流側へ外気が流れることを禁止する。他方の逆止弁41bは、ベーパ通路32の下流側から上流側へ外気が流れることを許容する。この逆止弁41bは、ベーパ通路32の上流側から下流側へ蒸発燃料が流れることを禁止する。
【0024】
大気通路34は、上流端がキャニスタ30に接続されており、下流端が燃料タンク10外の大気に開放されている。大気通路34は、キャニスタ30の吸着材により蒸発燃料が吸着された後の気体を大気に放出する。大気通路34には、大気通路34を開閉する大気弁42が設けられている。大気弁42が開弁すると、キャニスタ30を通過した気体が大気通路34を通じて大気に放出される。
【0025】
次に蒸発燃料を脱離処理する構成について説明する。以下では、大気通路34の大気側を上流側とし、キャニスタ30側を下流側として説明する。大気通路34は、上流端が燃料タンク10外の大気に開放されており、下流端がキャニスタ30に接続されている。大気通路34は、例えば車両のエンジン90の動作時に、大気通路34の上流端から大気通路34内に導入される外気(すなわち、燃料タンク10外の空気)をキャニスタ30に案内する。大気弁42の開弁時に、大気通路34を通じてキャニスタ30内に外気が導入される。大気通路34の上流端には、大気通路34内に導入される外気に含まれる異物(例えば、塵埃)を除去するエアフィルタ46が設けられている。キャニスタ30内に外気が導入されると、その外気がキャニスタ30内の吸着材を通過するときに、吸着材に吸着されている蒸発燃料が吸着材から外気に脱離する。
【0026】
パージ通路36は、上流端がキャニスタ30に接続されており、下流端がエンジン90の吸気通路(図示省略)に接続されている。吸気通路は、エンジン90に吸入される空気が流れる通路である。パージ通路36は、キャニスタ30内の吸着材から脱離した蒸発燃料を含む外気を、キャニスタ30から吸気通路に案内する。パージ通路36には、パージ通路36を開閉するパージ弁44が設けられている。パージ弁44が開弁すると、パージ通路36を通じてキャニスタ30からエンジン90の吸気通路に蒸発燃料が供給される。パージ弁44が閉弁すると、吸気通路への蒸発燃料の供給が遮断される。
【0027】
次に、燃料タンク10内に外気(すなわち、燃料タンク10外の空気)を導入する構成について説明する。外気は、大気に開放されている大気通路34を通じてキャニスタ30内に導入され、キャニスタ30を通過した後にベーパ通路32内に導入される。ベーパ通路32内に導入された外気は、ベーパ通路32に接続されている外気導入通路50を通じて燃料タンク10内に導入される。外気導入通路50は、上流端がベーパ通路32に接続されており、下流端が燃料タンク10内に配置されているアスピレータ12に接続されている。外気導入通路50の上流端は、封鎖弁40よりも下流側(キャニスタ30側)のベーパ通路32に接続されている。外気導入通路50は、例えばアスピレータ12の動作時に、ベーパ通路32からアスピレータ12に外気を案内する。キャニスタ30を通過した後の外気が、ベーパ通路32と外気導入通路50を通じてアスピレータ12に供給される。
【0028】
外気導入通路50には、外気導入通路50を開閉する外気遮断弁52が設けられている。外気遮断弁52が開弁すると、外気導入通路50を通じてアスピレータ12内に外気が導入され、その外気がアスピレータ12を通過して燃料タンク10内に導入される。外気遮断弁52が閉弁すると、外気導入通路50を通じた燃料タンク10内への外気の導入が遮断される。
【0029】
また、外気導入通路50には、逆止弁54が設けられている。逆止弁54は、外気遮断弁52よりも下流側(すなわち、外気遮断弁52とアスピレータ12の間)の外気導入通路50に設けられている。逆止弁54は、外気導入通路50の上流側から下流側へ外気が流れることを許容する。すなわち、逆止弁54は、外気導入通路50を通じて燃料タンク10内に外気が導入されるときに開弁する。一方、逆止弁54は、外気導入通路50の下流側から上流側へ流体(例えば、燃料タンク10内の液体燃料や蒸発燃料)が流れることを禁止する。
【0030】
また、外気遮断弁52よりも下流側(すなわち、外気遮断弁52とアスピレータ12の間)の外気導入通路50には、第3圧力センサ56と第1温度センサ58が設けられている。第3圧力センサ56と第1温度センサ58は、外気遮断弁52と逆止弁54の間の外気導入通路50に設けられている。第3圧力センサ56は、外気遮断弁52とアスピレータ12の間(より詳細には、外気遮断弁52と逆止弁54の間)の外気導入通路50内の圧力を検出する。第3圧力センサ56の検出圧力Pdの情報は、第3圧力センサ56から制御部100へ送信される。
【0031】
第1温度センサ58は、外気遮断弁52とアスピレータ12の間(より詳細には、外気遮断弁52と逆止弁54の間)の外気導入通路50内の温度を検出する。第1温度センサ58の検出温度の情報は、第1温度センサ58から制御部100へ送信される。
【0032】
次に、アスピレータ12について説明する。アスピレータ12は、図2に示すように、燃料入口80と、外気入口82と、絞り部84と、燃料出口86とを備えている。燃料入口80は、分岐通路22の下流端に接続されている。燃料入口80を通じて分岐通路22からアスピレータ12内に燃料が導入される。外気入口82は、外気導入通路50の下流端に接続されている。外気入口82を通じて外気導入通路50からアスピレータ12内に外気が導入される。燃料出口86は、燃料タンク10内に開放されている。燃料出口86を通じてアスピレータ12から燃料タンク10内に燃料と外気が放出される。絞り部84は、燃料入口80と燃料出口86の間に設けられている。絞り部84の通路面積は、絞り部84の上流側および下流側の通路面積よりも狭くなっている。絞り部84は、アスピレータ12を通過する燃料の流速を速くする部分である。
【0033】
アスピレータ12は、絞り部84を通過する燃料の流れにより、アスピレータ12に接続されている外気導入通路50内の圧力を減圧するように構成されている。絞り部84を通過した燃料は、外気入口82から導入された外気と共に、燃料出口86から燃料タンク10内に放出される。このように、アスピレータ12は、ベンチュリ効果により減圧状態を生成する器具である。アスピレータ12の原理については、よく知られているので更なる詳細な説明は省略する。
【0034】
図1に示すように、判定装置2は、更に、制御部100と、第2温度センサ104とを備えている。制御部100は、CPU(図示省略)と、記憶部102(例えば、ROMやRAM)とを備えている。制御部100は、ECU(EngineControl Unit)と呼ばれることがある。制御部100は、記憶部102に記憶されているプログラムに従って様々な処理や制御を実行する。制御部100が実行する処理や制御については後述する。
【0035】
第2温度センサ104は、判定装置2が搭載されている車両に取り付けられており、車両の周囲の外気温度を検出する。第2温度センサ104は、燃料タンク10外の外気温度を検出する。第2温度センサ104の検出温度の情報は、第2温度センサ104から制御部100に送信される。
【0036】
(判定装置2の動作)
判定装置2の動作について説明する。上記の判定装置2では、燃料ポンプ14が動作することにより、燃料ポンプ14から吐出された燃料が燃料供給通路20と分岐通路22に流入する。分岐通路22の燃料遮断弁24が開弁している状態では、燃料ポンプ14から吐出された燃料が分岐通路22を通じてアスピレータ12に供給される。アスピレータ12に供給された燃料は、アスピレータ12を通過して燃料タンク10内に導入される。
【0037】
また、上記の判定装置2では、大気通路34の大気弁42が開弁している状態では、大気通路34を通じて外気をキャニスタ30内に導入することができる。キャニスタ30内に導入された外気は、キャニスタ30を通過した後にベーパ通路32と外気導入通路50に導入される。外気導入通路50の外気遮断弁52が開弁している状態では、外気導入通路50を通じて燃料タンク10内に外気を導入することができる。この状態では、燃料ポンプ14が動作すると、燃料ポンプ14から吐出されてアスピレータ12を通過する燃料の流れにより、アスピレータ12に接続されている外気導入通路50内の圧力が低下する。これにより、大気通路34とキャニスタ30とベーパ通路32を通じて外気導入通路50内に外気が導入される。外気導入通路50内に導入された外気は、アスピレータ12を通過して燃料タンク10内に導入される。
【0038】
また、上記の判定装置2では、外気遮断弁52が閉弁している状態では、外気導入通路50を通じた外気の流れが遮断される。この状態では、燃料ポンプ14が動作すると、燃料ポンプ14から吐出されてアスピレータ12を通過する燃料の流れにより、外気遮断弁52とアスピレータ12の間の外気導入通路50内の圧力が低下する。外気遮断弁52が閉弁している状態では、外気遮断弁52が開弁している状態よりも、外気遮断弁52とアスピレータ12の間の外気導入通路50内の圧力が低くなる。
【0039】
(第1実施例)
(第1判定処理;図3
次に、第1実施例に係る第1判定処理について説明する。第1判定処理は、例えば、判定装置2が搭載されている車両のイグニッションスイッチがオンになると開始される。図3に示すように、第1判定処理のS10では、制御部100が、分岐通路22の燃料遮断弁24を開弁し、大気通路34の大気弁42を開弁する。また、S10では、制御部100が、ベーパ通路32の封鎖弁40を閉弁し、パージ通路36のパージ弁44を閉弁する。また、S10では、制御部100が、外気導入通路50の外気遮断弁52を閉弁する。
【0040】
続くS12では、制御部100が、燃料ポンプ14を始動させる。燃料ポンプ14が始動すると、燃料ポンプ14による燃料の吐出が開始される。燃料ポンプ14から吐出された燃料は、燃料供給通路20と分岐通路22を通じてアスピレータ12に供給される。アスピレータ12に供給された燃料は、アスピレータ12を通過して燃料タンク10内に導入される。
【0041】
また、燃料ポンプ14が始動すると、アスピレータ12を通過する燃料の流れにより、アスピレータ12に接続されている外気導入通路50内の圧力が低下する。外気遮断弁52が閉弁しているので、外気遮断弁52よりも下流側(外気遮断弁52とアスピレータ12の間)の外気導入通路50内の圧力が低下する。これにより、第3圧力センサ56の検出圧力Pdが低下する。図4に示すように、第3圧力センサ56の検出圧力Pdは、燃料ポンプ14による燃料の吐出が開始されてから時間が経過するに従って低下してゆく。また、第3圧力センサ56の検出圧力Pdは、時間が経過するに従って安定し、その値が上下に変動し難くなる。検出圧力Pdが安定する状態は、例えば、1秒間あたりの検出圧力Pdの変動値が±(プラス/マイナス)1%の状態である。なお、図4における初期圧力P0は、燃料ポンプ14が始動する直前の第3圧力センサ56の検出圧力Pdである。
【0042】
続くS14では、制御部100が、第3圧力センサ56の検出圧力Pdが安定したときの検出圧力Pdである第1圧力P1と、所定の基準圧力Ptとを比較する。例えば、制御部100は、燃料ポンプ14による燃料の吐出が開始されてから所定の基準時間(例えば、30秒)が経過した後の第3圧力センサ56の検出圧力Pdと、所定の基準圧力Ptとを比較する。
【0043】
所定の基準圧力Ptは、例えば、燃料タンク10内の燃料の温度と、燃料タンク10内の燃料(例えば、ガソリン)の蒸気圧曲線とに基づいて算出される。制御部100は、図5に示すように、燃料タンク10内の燃料の温度が20°である場合は、その温度(20°)に対応する蒸気圧曲線の値(例えば、31.3kPa)を基準圧力Ptとする。燃料の蒸気圧曲線の情報は、記憶部102に記憶されている。燃料タンク10内の燃料の温度は、例えば、燃料タンク10外の外気温度に基づいて算出される。燃料タンク10外の外気温度は、第2温度センサ104により検出される。変形例では、燃料タンク10内の燃料の温度が実測されてもよい。
【0044】
図3に示すように、S14に続くS16では、制御部100が、S14の比較結果に基づいて、第3圧力センサ56が正常であるか否かを判定する。例えば、S14において第1圧力P1が基準圧力Ptの±(プラス/マイナス)10%の範囲を超える場合は、制御部100は、第3圧力センサ56が正常でない(異常である)と判定する。一方、S14において第1圧力P1が基準圧力Ptの±(プラス/マイナス)10%の範囲を超えない場合は、制御部100は、第3圧力センサ56が正常であると判定する。制御部100は、S14の比較結果とS16の判定結果を記憶部102に記憶する。
【0045】
(効果)
以上、第1実施例の判定装置2について説明した。以上の説明から明らかなように、判定装置2は、大気通路34から導入される外気をアスピレータ12を通じて燃料タンク10内に導入する外気導入通路50と、外気導入通路50を開閉する外気遮断弁52と、アスピレータ12と外気遮断弁52との間の外気導入通路50内の圧力を検出する第3圧力センサ56とを備えている。アスピレータ12は、燃料ポンプ14から吐出されてアスピレータ12を通過する燃料の流れにより、アスピレータ12に接続されている外気導入通路50内の圧力を低下させるように構成されている。制御部100は、外気遮断弁52が閉弁しており、燃料ポンプ14が燃料を吐出している状態で、第3圧力センサ56の検出圧力Pdが安定したときの検出圧力Pdである第1圧力P1と、燃料タンク10内の燃料の温度に基づいて算出される基準圧力Ptとを比較することにより、第3圧力センサ56が正常であるか否かを判定する(図3参照)。
【0046】
この構成によれば、第3圧力センサ56の検出圧力Pdが安定したときの検出圧力Pdである第1圧力P1と基準圧力Ptとを比較することにより、第3圧力センサ56が正常であるか否かを精度良く判定することができる。
【0047】
(第2実施例)
次に、第2実施例について説明する。図1に示す判定装置2では、燃料ポンプ14が始動すると、アスピレータ12を通過する燃料の流れにより、アスピレータ12に接続されている外気導入通路50内の圧力が低下する。外気遮断弁52が閉弁している状態では、外気遮断弁52よりも下流側の外気導入通路50内の圧力が低下する。これにより、第3圧力センサ56の検出圧力Pdが低下する。図6に示すように、第3圧力センサ56の検出圧力Pdは、燃料ポンプ14が始動してから時間が経過するに従って低下してゆく。上記の第1実施例では、第3圧力センサ56の検出圧力Pdが時間の経過に従って安定する態様であったが、第3圧力センサ56の検出圧力Pdが安定しないこともある。例えば、燃料タンク10内の圧力が高いことにより第3圧力センサ56の検出圧力Pdが安定しないことがある。そこで、第2実施例では、第1実施例での第1圧力P1に代えて、第2圧力P2が用いられる。
【0048】
(第2判定処理;図7
第2実施例に係る第2判定処理について説明する。以下では、第2判定処理のうち、第1判定処理(図3参照)と異なる部分について説明し、第1判定処理と同様の部分については説明を省略する。図7に示すように、第2判定処理のS10、S12、S16の処理は、第1判定処理(図3参照)のS10、S12、S16と同様の処理である。
【0049】
図7に示すように、第2判定処理のS12に続くS24では、制御部100が、第1実施例での第1圧力P1に代えて、第2圧力P2と基準圧力Ptとを比較する。第2圧力P2は、図6に示すように、第3圧力センサ56の検出圧力Pdと、燃料ポンプ14が始動してからの経過時間との関係から推定される推定圧力Pxが安定したときの推定圧力Pxである。推定圧力Pxは、外気遮断弁52とアスピレータ12の間の外気導入通路50内の圧力を推定したものである。推定圧力Pxは、例えば、第3圧力センサ56の検出圧力Pdのグラフから多項式近似に基づいて算出される。推定圧力Pxが安定する状態は、例えば、1秒間あたりの推定圧力Pxの変動値が±(プラス/マイナス)1%の状態である。制御部100は、推定圧力Pxのグラフにおいて、燃料ポンプ14が始動してから所定の基準時間(例えば、30秒)が経過した後の推定圧力Pxを第2圧力P2としてもよい。推定圧力Pxを算出するための手法は、多項式近似に限定されず、例えば、指数近似、線形近似、対数近似、累乗近似等であってもよい。また、制御部100は、多項式近似に基づいて算出した推定圧力Pxが安定しない場合は、その推定圧力Pxの値をキャンセルして、再び多項式近似に基づいて推定圧力Pxを算出し直してもよい。
【0050】
図7に示すように、S24に続くS16では、制御部100が、S24の比較結果に基づいて、第3圧力センサ56が正常であるか否かを判定する。例えば、S24において第2圧力P2が基準圧力Ptの±(プラス/マイナス)10%の範囲を超える場合は、制御部100は、第3圧力センサ56が正常でない(異常である)と判定する。一方、S24において第2圧力P2が基準圧力Ptの±(プラス/マイナス)10%の範囲を超えない場合は、制御部100が、第3圧力センサ56が正常であると判定する。制御部100は、S24の比較結果とS16の判定結果を記憶部102に記憶する。
【0051】
(効果)
以上、第2実施例について説明した。以上の説明から明らかなように、第2実施例では、制御部100が、第1圧力P1に代えて、外気遮断弁52とアスピレータ12の間の外気導入通路50内の推定圧力Pxが安定したときの推定圧力Pxである第2圧力P2と、基準圧力Ptとを比較することにより、第3圧力センサ56が正常であるか否かを判定する。推定圧力Pxは、第3圧力センサ56の検出圧力Pdと、燃料ポンプ14が燃料の吐出を開始してからの経過時間との関係から推定される。
【0052】
この構成によれば、第1圧力P1に代えて第2圧力P2と基準圧力Ptとを比較することにより、第3圧力センサ56が正常であるか否かを精度良く判定することができる。例えば、燃料タンク10内の圧力が高いことにより第3圧力センサ56の検出圧力Pdが安定しないときに、第1圧力P1に代えて第2圧力P2と基準圧力Ptとを比較することができる。
【0053】
(第3実施例)
次に、第3実施例について説明する。第3実施例の判定装置2では、燃料タンク10内に燃料が補給された場合に、制御部100が、燃料タンク10内に燃料が補給されたことを示す履歴情報を記憶部102に記憶する。例えば、判定装置2が搭載されている車両のユーザが燃料タンク10内に燃料を補給した場合に、それを示す履歴情報が生成されて記憶部102に記憶される。燃料タンク10内に燃料が補給された場合は、例えば、燃料の補給前に燃料タンク10内に貯留されていた燃料の性状と、補給された燃料の性状とが異なることにより、燃料タンク10内の燃料の性状が変化することがある。
【0054】
燃料タンク10内に燃料が補給された後に、制御部100は、記憶部102に記憶されている燃料の蒸気圧曲線(図5参照)の情報を補正する。より詳細には、制御部100は、燃料が補給された後に、燃料ポンプ14が燃料を吐出したときの第3圧力センサ56の検出圧力Pdと、その時の燃料タンク10内の燃料の温度との関係に基づいて、燃料の蒸気圧曲線の情報を補正する。例えば、図8に示すように、制御部100は、圧力(縦軸)と温度(横軸)のグラフにおいて、燃料ポンプ14が燃料を吐出したときの第3圧力センサ56の検出圧力Pdと、その時の燃料タンク10内の燃料の温度とにより特定される点Mをプロットする。そして、制御部100は、蒸気圧曲線を縦軸に沿って点Mまで平行移動することにより補正曲線Cを算出する。制御部100は、補正曲線Cの情報を記憶部102に記憶する。
【0055】
変形例では、制御部100は、点Mにおける補正曲線Cの値が蒸気圧曲線の値の例えば90%である場合、蒸気圧曲線の全範囲にわたって、蒸気圧曲線の90%の値をプロットすることにより補正曲線Cを生成してもよい。また、制御部100は、燃料の温度に応じて蒸気圧曲線の移動量を変えてもよい。例えば、制御部100は、燃料の温度が低くなるにしたがって、蒸気圧曲線の移動量を小さくしてもよい。また、制御部100は、補正曲線Cを算出する際に複数の点Mを特定してもよい。蒸気圧曲線の補正方法は特に限定されない。
【0056】
(第3判定処理;図9
次に、第3実施例に係る第3判定処理について説明する。以下では、第3判定処理のうち、第1判定処理(図3参照)と異なる部分について説明し、第1判定処理と同様の部分については説明を省略する。図9に示すように、第3判定処理のS10、S12、S14、S16の処理は、第1判定処理(図3参照)のS10、S12、S14、S16と同様の処理である。
【0057】
図9に示すように、第3判定処理のS12に続くS30では、制御部100が、履歴情報が記憶部102に記憶されているか否かを判定する。履歴情報は、燃料タンク10内に燃料が補給されたことを示す情報である。記憶部102に履歴情報が記憶されている場合(YESの場合)は、処理はS14に進む。記憶部102に履歴情報が記憶されていない場合(NOの場合)は、処理はS32に進む。
【0058】
S30でNOの後のS32では、制御部100が、第3圧力センサ56の検出圧力Pdが安定したときの検出圧力Pdである第1圧力P1(図4参照)と、所定の補正圧力Paとを比較する。所定の補正圧力Paは、例えば、燃料タンク10内の燃料の温度と、記憶部102に記憶されている補正曲線Cとに基づいて算出される。制御部100は、図8に示すように、燃料タンク10内の燃料の温度が20°である場合は、その温度(20°)に対応する補正曲線Cの値を補正圧力Paとする。補正圧力Paは、基準圧力Ptを算出するための蒸気圧曲線を補正した補正曲線Cに基づいて算出されるので、基準圧力Ptが補正された値であるといえる。
【0059】
続くS34では、制御部100が、S32の比較結果に基づいて、第3圧力センサ56が正常であるか否かを判定する。例えば、S32において第1圧力P1が補正圧力Paの±(プラス/マイナス)10%の範囲を超える場合は、制御部100は、第3圧力センサ56が正常でない(異常である)と判定する。一方、S32において第1圧力P1が補正圧力Paの±(プラス/マイナス)10%の範囲を超えない場合は、制御部100が、第3圧力センサ56が正常であると判定する。制御部100は、S32の比較結果とS34の判定結果を記憶部102に記憶する。なお、制御部100は、第3判定処理が終了した後に記憶部102に記憶されている履歴情報を削除してもよい。
【0060】
(効果)
以上、第3実施例について説明した。以上の説明から明らかなように、第3実施例では、制御部100が、燃料タンク10内に燃料が補給されたことを示す履歴情報が記憶部102に記憶されている場合は、第1圧力P1と、基準圧力Ptを補正した値である補正圧力Paとを比較することにより、第3圧力センサ56が正常であるか否かを判定する(図9参照)。補正圧力Paは、燃料タンク10内に燃料が補給された後に燃料ポンプ14が燃料を吐出したときの第3圧力センサ56の検出圧力Pdと、その時の燃料タンク10内の燃料の温度と、の関係に基づいて基準圧力Ptが補正された値である。燃料タンク10内の燃料の温度は、例えば、燃料タンク10外の外気温度に基づいて算出される。
【0061】
この構成によれば、燃料タンク10内に燃料が補給された場合であっても、第1圧力P1と補正圧力Paとを比較することにより、第3圧力センサ56が正常であるか否かを精度良く判定することができる。
【0062】
(第4実施例)
(第4判定処理;図10
次に、第4実施例に係る第4判定処理について説明する。第4判定処理は、例えば、判定装置2が搭載されている車両のイグニッションスイッチがオンになると開始される。第4判定処理は、例えば、上記の第1判定処理、第2判定処理、および、第3判定処理よりも前または後に実行される。
【0063】
図10に示すように、第4判定処理のS40では、制御部100が、分岐通路22の燃料遮断弁24を開弁し、大気通路34の大気弁42を開弁する。また、S40では、制御部100が、ベーパ通路32の封鎖弁40を閉弁し、パージ通路36のパージ弁44を閉弁する。また、S40では、制御部100が、外気導入通路50の外気遮断弁52を開弁する。上記の第1判定処理、第2判定処理、および、第3判定処理では、制御部100が、外気遮断弁52を閉弁していたが、第4判定処理では、制御部100が、外気遮断弁52を開弁する。
【0064】
また、上記の第1判定処理、第2判定処理、および、第3判定処理では、制御部100が、燃料ポンプ14を始動させていたが、第4判定処理では、制御部100が、燃料ポンプ14を始動させない。そのため、燃料ポンプ14は停止した状態である。
【0065】
S40に続くS42では、制御部100が、第3圧力センサ56の検出圧力Pdと現在地の外気圧力Pbとを比較する。現在地の外気圧力Pbは、現在地の外気温度と標高とに基づいて算出される。現在地の外気温度および標高の情報は、例えば、インターネットを通じて外部サーバ(図示省略)から取得される。制御部100は、インターネットを通じて、車両の現在地の外気温度および標高の情報を外部サーバから取得する。制御部100は、外部サーバから取得した情報に基づいて、現在地の外気圧力Pbを算出する。現在地の外気圧力Pbは、例えば、下記の計算式(1)に基づいて算出される。
【0066】
下記の計算式(1)において、Pbは、現在地の外気圧力であり、Psは、海面位置での外気圧力であり、Tは、現在地の外気温度であり、hは、現在地の標高である。
【0067】
【数1】
【0068】
続くS44では、制御部100が、S42の比較結果に基づいて、第3圧力センサ56が正常であるか否かを判定する。例えば、S42において第3圧力センサ56の検出圧力Pdが現在地の外気圧力Pbの±(プラス/マイナス)10%の範囲を超える場合は、制御部100は、第3圧力センサ56が正常でない(異常である)と判定する。一方、S42において第3圧力センサ56の検出圧力Pdが現在地の外気圧力Pbの±(プラス/マイナス)10%の範囲を超えない場合は、制御部100が、第3圧力センサ56が正常であると判定する。制御部100は、S42の比較結果とS44の判定結果を記憶部102に記憶する。
【0069】
(効果)
以上、第4実施例について説明した。以上の説明から明らかなように、第4実施例では、制御部100が、外気遮断弁52が開弁しており、燃料ポンプ14が燃料を吐出していない状態で、第3圧力センサ56の検出圧力Pdと、現在地の外気温度と標高に基づいて算出される現在地の外気圧力Pbと、を比較する(図10参照)。この構成によれば、検出圧力Pdと外気圧力Pbとの比較結果を利用することにより、第3圧力センサ56が正常であるか否かを精度良く判定することができる。
【0070】
(対応関係)
分岐通路22が「第1通路」の一例であり、外気導入通路50が「第2通路」の一例である。大気通路34が「外気導入部」の一例である。分岐通路22は、燃料供給通路20を介して燃料ポンプ14に接続されている。外気導入通路50は、ベーパ通路32とキャニスタ30を介して大気通路34に接続されている。外気遮断弁52が「開閉弁」の一例である。
【0071】
(変形例)
上記の実施例では、制御部100が、外気遮断弁52を閉弁した後に燃料ポンプ14を始動させていたが(図3のS10、S12参照)、変形例では、制御部100が、燃料ポンプ14を始動させた後に外気遮断弁52を閉弁してもよい。この場合、制御部100は、S14において、外気遮断弁52を閉弁してから所定の基準時間(例えば、30秒)が経過した後の第3圧力センサ56の検出圧力Pdと、所定の基準圧力Ptとを比較してもよい。
【0072】
制御部100は、第2圧力P2と補正圧力Paとを比較することにより、第3圧力センサ56が正常であるか否かを判定してもよい。
【0073】
燃料タンク10内の燃料の蒸気圧曲線(図5参照)は、理論値に限定されず、例えば、実験値や解析値から求められてもよい。
【0074】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0075】
2:判定装置、10:燃料タンク、12:アスピレータ、14:燃料ポンプ、16:第1圧力センサ、20:燃料供給通路、22:分岐通路、24:燃料遮断弁、30:キャニスタ、32:ベーパ通路、34:大気通路、36:パージ通路、38:第2圧力センサ、40:封鎖弁、42:大気弁、44:パージ弁、46:エアフィルタ、50:外気導入通路、52:外気遮断弁、54:逆止弁、56:第3圧力センサ、58:第1温度センサ、80:燃料入口、82:外気入口、84:絞り部、86:燃料出口、90:エンジン、100:制御部、102:記憶部、104:第2温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10