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特開2023-77954差し込みヒンジ並びにこの差し込みヒンジを用いた事務機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077954
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】差し込みヒンジ並びにこの差し込みヒンジを用いた事務機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 27/62 20060101AFI20230530BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20230530BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
G03B27/62
H04N1/00 E
H04N1/00 L
F16C11/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191477
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】513014628
【氏名又は名称】株式会社ナチュラレーザ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】近藤 哲生
【テーマコード(参考)】
2H012
3J105
5C062
【Fターム(参考)】
2H012CB12
3J105AA04
3J105AB11
3J105AC06
3J105DA01
3J105DA04
3J105DA15
5C062AA02
5C062AA05
5C062AD02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】事務機器の原稿圧着板(蓋体)の開閉操作時の操作性を向上させた差し込みヒンジ並びに事務機器を提供する。
【解決手段】内部に上部開放の機器収容部5aを有し、事務機器の装置本体側に設けた取付穴へ嵌め込んで取り付けられる取付ケース5と、この取付ケースの両側板5dにヒンジシャフト8を介して回転可能に連結された原稿圧着板を支持する支持部材7と、取付ケース内にスライド可能に収容されたスライダー9と、このスライダーと取付ケースの底部との間に弾設され、スライダーを支持部材に設けた旋回カム部に圧接する弾性部材10と、を有する差し込みヒンジにおいて、原稿圧着板の開閉操作に伴う支持部材の所定の回転角度範囲の回転動作をスライド動作に変換してフリクショントルクを発生させるスライドフリクション機構を設けた。また、事務機器としては、上記差し込みヒンジを用いる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に上部開放の機器収容部を有し、事務機器の装置本体側に設けた取付穴へ嵌め込んで取り付けられる取付ケースと、この取付ケースの両側板にヒンジシャフトを介して回転可能に連結された原稿圧着板を支持する支持部材と、前記取付ケース内にスライド可能に収容されたスライダーと、このスライダーと前記取付ケースの底部との間に弾設され、前記スライダーを前記支持部材に設けた旋回カム部に圧接する弾性部材と、を有する差し込みヒンジにおいて、前記原稿圧着板の開閉操作に伴う前記支持部材の所定の回転角度範囲の回転動作をスライド動作に変換してフリクショントルクを発生させるスライドフリクション機構を設けたことを特徴とする、差し込みヒンジ。
【請求項2】
前記スライドフリクション機構を、前記取付ケースに収容させて前記ヒンジシャフトに連結させたスライダー収容部材を設け、このスライダー収容部材内部にスライダーをスライド可能に収容させると共に、前記スライダー収容部材に前記スライダーのスライド位置によって前記スライダーと圧接するフリクション凸状部を設けることで構成したことを特徴とする、請求項1に記載の差し込みヒンジ。
【請求項3】
前記フリクション凸状部は、下側に上方へ向けて傾斜部が設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の差し込みヒンジ。
【請求項4】
前記スライドフリクション機構がフリクショントルクを創出する前記原稿圧着板の開閉角度は、30度以上であることを特徴とする、請求項1に記載の差し込みヒンジ。
【請求項5】
前記スライダー収容部材の底板部とスライダーの内頂部との間には、流体ダンパーが収容されていることを特徴とする、請求項2に記載の差し込みヒンジ。
【請求項6】
請求項1~5に各記載の差し込みヒンジを用いたことを特徴とする、事務機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば比較的小型の複写機のような事務機器に用いられている原稿圧着板を、装置本体に対して開閉可能に取り付ける際に用いて好適な、差し込みヒンジ並びにこの差し込みヒンジを用いた事務機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、複合機、ファクシミリ、スキャナー、印刷機等、オフィスで使用される事務機器の多くは、その装置本体の上面にコンタクトガラスを具備した原稿載置台が設けられると共に、当該原稿載置台上を開閉可能に覆う原稿圧着板を備えており、この原稿圧着板を装置本体へ開閉可能に取り付けるのに様々な構成のヒンジが知られている。
【0003】
このようなヒンジの中には、例えば下記先行技術文献の特許文献1に記載されているような差し込みヒンジが公知である。この差し込みヒンジは、装置本体側に設けた取付穴へ嵌め込んで取り付けられる取付ケースに対して、ヒンジシャフトを介して原稿圧着板を支持する支持部材を開閉可能に取り付けたもので、取付ケース内に支持部材に設けたカム部に当接させたスライダーをスライド可能に収装させ、このスライダーと取付ケースの底部との間に流体ダンパーと共に圧縮コイルスプリングから成る弾性部材を弾設してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-21586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の差し込みヒンジは、それはそれで必要な機能を有してはいるが、近年ヒンジの操作性の向上を図るためにフリクション機構を設けることにより、原稿圧着板の開閉操作時に操作者により操作フィーリングの良さを感じさせるように工夫したものが求められている。
【0006】
そこで、本発明の目的は、事務機器の操作者がより原稿圧着板を操作し易いように工夫した差し込みヒンジを提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る請求項1に記載のヒンジは、内部に上部開放の機器収容部を有し、事務機器の装置本体側に設けた取付穴へ嵌め込んで取り付けられる取付ケースと、この取付ケースの両側板にヒンジシャフトを介して回転可能に連結された原稿圧着板を支持する支持部材と、前記取付ケース内にスライド可能に収容されたスライダーと、このスライダーと前記取付ケースの底部との間に弾設され、前記スライダーを前記支持部材に設けた旋回カム部に圧接する弾性部材と、を有する差し込みヒンジにおいて、前記原稿圧着板の開閉操作に伴う前記支持部材の所定の回転角度範囲の回転動作をスライド動作に変換してフリクショントルクを発生させるスライドフリクション機構を設けたことを特徴とする。
【0008】
次に、本発明に係る請求項2に記載の差し込みヒンジは、スライドフリクション機構を、前記取付ケースに収容させて前記ヒンジシャフトに連結させたスライダー収容部材を設け、このスライダー収容部材内部にスライダーをスライド可能に収容させると共に、前記スライダー収容部材に前記スライダーのスライド位置によって前記スライダーと圧接するフリクション凸状部を設けることで構成したことを特徴とする。
【0009】
次に、本発明に係る請求項3に記載の差し込みヒンジは、前記フリクション凸状部の下側に上方へ向けて傾斜部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
次に、本発明に係る請求項4の差し込みヒンジは、前記スライドフリクション機構がフリクショントルクを創出する前記原稿圧着板の開閉角度が、30度以上であることを特徴とする。
【0011】
次に、本発明に係る請求項5に係る差し込みヒンジは、前記スライダー収容部材の底板部とスライダーの内頂部との間には、流体ダンパーが収容されていることを特徴とする。
【0012】
そして、請求項6に記載の事務機器は、前記請求項1~5に各記載の差し込みヒンジを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願発明は以上のように構成したので、支持部材に取り付けた原稿圧着板の開閉操作の際に、所定の開閉角度範囲内においてスライドフリクション機構が動作することから、原稿圧着板を所定の開閉各範囲内においてフリーストップに停止保持でき、所定の開成角度から原稿圧着板が弾性部材の弾力により跳ね上がってしまうのを有効に防止できるものであり、操作レバーの操作性の向上を図ることができる。また、閉成操作時においては、流体ダンパーが効き始める直前にスライドフリクション機構が解除されることから、流体ダンパーの持つ本来の機能を損なうことがなく、スムーズな閉成操作を行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る差し込みヒンジを事務機器の一例である複写機への取り付けた状態を示す説明図である。
図2】同じく本発明に係る差し込みヒンジを事務機器の一例である複写機へ取り付けた状態を側面から見た説明図である。
図3】本発明に係る差し込みヒンジを示し、支持部材が閉じられた状態の斜視図である。
図4】本発明に係る差し込みヒンジを示し、支持部材が開かれた状態の斜視図である。
図5】本発明に係る差し込みヒンジの分解斜視図である。
図6】本発明に係る差し込みヒンジの取付ケースの斜視図である。
図7】本発明に係る差し込みヒンジのスライダー収容部材の斜視図である。
図8】本発明に係る差し込みヒンジの支持部材の側面図である。
図9】本発明に係る差し込みヒンジのスライダーを示し、(a)はその斜視図、(b)はその底面図である。
図10】本発明に係る差し込みヒンジを閉じた場合の内部機構を説明する縦断面図である。
図11】本発明に係る差し込みヒンジを中間角度に開いた場合の内部機構を説明する縦断面図である。
図12】本発明に係る差し込みヒンジを全開角度まで開いた場合の内部機構を説明する縦断面図である。
図13】本発明に係る差し込みヒンジのスライドフリクション機構の動作を説明する説明図であり、(a)原稿圧着板を閉じた状態、(b)は原稿圧着板を中間角度まで開いた状態、(c)は原稿圧着板を全開状態にした状態をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明に係る差し込みヒンジと、この差し込みヒンジを用いた事務機器の一例としての複写機の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例0016】
図面によれば図1において、指示記号1で示したものは、事務機器の一例である複写機を概略的に示している。この複写機1は、図面に示したものに限定されず、他の構成のものも含まれる。図面によれば、この複写機1は、装置本体2と、この装置本体2に本願発明に係る差し込みヒンジ4を介して開閉可能に取り付けられた原稿圧着板3(以下、本願明細書及び特許請求の範囲において蓋体3という場合がある)を有している。
【0017】
本発明に係る差し込みヒンジ4は、複写機1の装置本体2へ原稿圧着板3を開閉可能に取り付けるために用いられるものであり、通常、差し込みヒンジ4を左右一対具備している。しかしながら、本件発明の実施形態にあっては、差し込みヒンジ4の構成は、同じ構造であるので、以下にその一つを説明する。また、本実施形態においては、複写機1が差し込みヒンジ4を具備する構成とするが、複写機1以外にも複合機、ファクシミリ、スキャナー、印刷機等の事務機器が、その装置本体と原稿圧着板乃至蓋体との間に本願発明に係る差し込みヒンジ4を具備する構成とすることも可能である。さらに、本願発明に係る差し込みヒンジ4の作用効果を説明する際には、同じ構成のものが左右一対あることを前提に説明するが、1組ある差し込みヒンジの一方のみを本発明に係る差し込みヒンジとし、他方は違った構成のものとすることもできる。例えば、本実施形態のものは、下記するように、流体ダンパー11を用いているが、差し込みヒンジ4のうち、1つのものは、流体ダンパーがないものとすることができる。また、圧縮コイルスプリングから成る弾性部材10はこれを複数並置したもの、あるいは大小の弾性部材を重ね合わせて使用したものとすることができる。
【0018】
本発明に係る実施の形態1の差し込みヒンジ4は、図3図4及び図10以降に示したように、また、発明の要約と特許請求の範囲の請求項1に記載されているように、内部に上部開放の機器収容部5aを有し、複写機1の装置本体2側に設けた取付穴2aへ嵌め込んで取り付けられる取付ケース5と、この取付ケース5の両側板5d、5dにヒンジシャフト8を介して回転可能に連結された原稿圧着板3を支持する支持部材7と、取付ケース5内にスライド可能に収容されたスライダー9と、このスライダー9と前記取付ケース5の内底部5fとの間に弾設され、スライダー9を前記支持部材7に設けた旋回カム部7cに圧接する弾性部材10と、を有するものであり、原稿圧着板3の開閉操作に伴う前記支持部材7の所定の回転角度においてスライド動作に変換してフリクショントルクを発生させるスライドフリクション機構13を設けたものである。
【0019】
また、本発明に係る差し込みヒンジ4は、スライドフリクション機構13を、取付ケース5内に収容させてヒンジシャフト8に連結させたスライダー収容部材6を設け、このスライダー収容部材6内部にスライダー9をスライド可能に収容させると共に、スライダー収容部材6にスライダー9のスライド位置によってスライダー9の両側部9c、9cと圧接すフリクション凸状部6e、6eを設けることで構成してある。
【0020】
取付ケース5は、実施の形態のものは、機械的強度に富むPOMやABSなどの樹脂成型品であり、機器収容部5aのほかに、その上端部周囲にフランジ部5bを備え、このフランジ部5bより上方の左右両側部に所定間隔を空けてそれぞれ軸心を共通にして連結孔5c、5cを有する一対の両側板5d、5dが設けられると共に、フランジ部5bの後部側には、ストッパー凹部5eが設けられている。さらに、取付ケース5の下端部側後部には係止用突起5gが設けられている。
【0021】
この取付ケース5の装置本体2に対する取り付け態様は、図10図12に示したように、その取付ケース5を複写機1の装置本体2の後端部に下方に向けて設けた取付穴2aへ嵌め込んで挿入し、係止用突起5gを取付穴2aの底部に設けた係止用凹部2cへ挿入させ係合させることにより、取付穴2aから容易に抜け出ないように工夫されている。尚、ここのところは、取付ケース5に取付穴2aに向けて取付ネジを設け、この取付ネジで取付ケース5を取付穴2aへ固着するようにしてもよい。
【0022】
次に、スライダー収容部材6は、例えばステンレスのような金属プレート製のプレス成型品であり、取付ケース5の機器収容部5aの中に挿入される大きさを有し、取付ケース5の内底部5fに重ねられた底板部6aと、この底板部6aの両側から上方へ立ち上げた両側板6b、6bと、これらの両側板6b、6bの前後位置から内側へ折り曲げて形成した補強プレート部6c、6c・6c、6cと、底板部6aの前後に低く立ち上げた補強部6d、6dとを有しており、両側板6b、6bの上部には内側に突出させてフリクション凸状部6e、6eが設けられている。さらに、両側板6b、6bの上端部には軸心を共通にさせて連結孔6f、6fが設けられると共に、両側板6b、6bと補強プレート部6c、6c・6c、6cには、外側へ突出させて圧入用凸部6h、6h・・・が設けられている。フリクション凸状部6e、6eには、とくに図7に示したように下部側に内側に向けて、スライダー9が圧入し易いようにする傾斜部6g、6gが設けられている。
【0023】
次に、支持部材7は、実施の形態のものは、取付ケース5と同じく、機械的強度に富むPOMやABSなどの樹脂成型品で、取付ケース5に設けた両側板5d、5dの間に挿入される連結部7aと、この連結部7aの前部側に一体に形成された左右方向に長い矩形状を呈した支持板部7bとを有し、この支持板部7bと連結部7aの下方部分にスライダー9のカム部9bと接する旋回カム部7cが設けられている。支持部材7はまた、連結部7aに設けた連結孔7dに取付ケース5とスライダー収容部材6の各両側板5d、5d・6b、6bの連結孔5c、5cと6f、6fを介して挿入させたヒンジシャフト8により回転可能に連結されている。尚、ヒンジシャフト8は、図5に示したように、一端部側にフランジ部8aを有する丸棒状のもので、他端部側は不図示であるが、カシメられている。しかしながら、ヒンジシャフト8の他端部に周溝を設け、Eリングで止めるようにしても良い。
【0024】
スライダー9は、例えば樹脂成型品の角筒状を呈したものであり、内部に下部側解放のスプリング収容部9aが設けられ、上面部にはカム部9bが設けられている。そして、スライダー収容部材6内に上下方向へスライド可能に収容されており、スライダー9の両側部9c、9cと、スライダー収容部材6のフリクション凸状部6e、6eとでスライドフリクション機構13を構成している。
【0025】
次に、スライダー収容部材6の底板部6aと、スライダー9のスプリング収容部9aの内頂部9dとの間には、圧縮コイルスプリングから成る弾性部材10が弾設されており、スライダー9を図中上方向へ押し、旋回カム部7cを介して支持部材7を時計回りに回転付勢させている。さらに、弾性部材10内部に収容されて流体ダンパー11が設置されており、この流体ダンパー11のピストン11aと対向して受座部材12がスライダー収容部材6の底板部6a上に設置されている。受座部材12は、内部入口側に傾斜部12bを設けた受筒部12aが設けられており、差し込みヒンジ4の動作時にピストン11aが多少傾いていても受筒部12aにガイドされて正しい姿勢を保つことができるように工夫されている。弾性部材10の態様或は数は、実施例のものは1本であるが、差し込みヒンジ4に求められるトルクによって様々であり、2本、3本の場合もあれば、径の異なる圧縮コイルスプリングを重ね合わせて用いる場合もある。
【0026】
従って、図10図13(a)に示したように、原稿圧着板3を閉じた状態においては、当該原稿圧着板3は、原稿載置台2bの上面を覆い、支持部材7の旋回カム部7cは、スライダー9のカム部9bを下方へ押圧し、弾性部材10は、最大限圧縮された状態にあるが、原稿圧着板3がその重みでヒンジシャフト8の回りに発生させる回転トルクより、原稿圧着板3の重量の方が勝っているので、当該原稿圧着板3は弾性部材10の弾力に抗して閉成状態を保っている。また、流体ダンパー11のピストン11aの先端は受座部材12の受筒部12aの内底部12cに当接している。
【0027】
そこで操作者が、複写を行うべく原稿を原稿載置台2b上へセットするために、原稿圧着板3を閉じた状態から開くと、図10図13(a)に示したように、最初はスライダー9の両側部9c、9cがスライダー収容部材6の両側板6b、6bに設けたフリクション凸状部6e、6eに接触していないので、操作者は原稿圧着板3をスライダー9を上方へスライド付勢させている圧縮コイルスプリングから成る弾性部材10に弾力により、比較的軽く開くことができる。
【0028】
原稿圧着板3をさらに開くと、図11図13(b)に示したように、30度の開成角度から、スライダー9の両側部9c、9cとスライダー収容部材6のフリクション凸状部6e、6eから成るスライドフリクション機構13が動作し始めるので、スライダー9の両側部9c、9cとスライダー収容部材6のフリクション凸状部6e、6eとの圧接に伴い、フリクション抵抗に遭遇するが、むしろこのフリクション抵抗により、しっくりとした操作感覚を覚えながら開くことができ、操作性の向上が図られる上に、原稿圧着板3が所定の開成角度から、支持部材7の旋回カム部7cに圧接しているスライダー9が弾性部材10によって押されて旋回カム部7cを介して支持部材7を押し上げるのを防止できるので、原稿圧着板3が急激に開くことを防止できることになり、ここでも操作性の向上を図ることができるものである。また、開いた原稿圧着板3は。図12に示したように、支持部材7の後端部7eが取付ケース5のストッパー凹部5eに当接することで停止し、それ以上開かれない。
【0029】
図12図13(c)に示した原稿圧着板3の全開状態から、原稿圧着板3を閉じる際には、スライドフリクション機構13が動作しているので、しっくりとした操作感覚を覚えながら閉じることができ、所定閉成角度からは、スライドフリクション機構13が動作しなくなるが、今度は、流体ダンパー11のピストン11aの先端部が受座部材12の受筒部12aの内底部12cに当接することにより、ブレーキ作用がなされ、原稿圧着板3が急激に応閉じられるのを防止できるものである。また、この際に図示は省略してあるが、流体ダンパー11の動作時には、スライダー9の両側部9c、9cとスライダー収容部材6のフリクション凸状部6e、6eは非接触状態であるので、スライドフリクション機構13は動作せず、スムーズな緩衝作用がなされるものである。
【0030】
尚、本発明に係る差し込みヒンジ4は、スライドフリクション機構13が動作する角度範囲は30度から最大開成角度の間であるが、この角度に限定はない。
【0031】
以上、本発明は上記の如く構成したので、複写機に代表される事務機器の中でも比較的に小型のものに用いる原稿圧着板の開閉用の差し込みヒンジとして好適に用いられるものであり、小型かつ構成が簡単で操作性の良い差し込みヒンジを提供できたものである。また、かかる差し込みヒンジを用いた事務機器としても好適に用いられるものである。
【符号の説明】
【0032】
1 事務機器(複写機)
2 装置本体
2a 取付穴
2b 原稿載置台
3 原稿圧着板(蓋体)
4 差し込みヒンジ
5 取付ケース
6 スライダー収容部材
6a 底板部
6b、6b 両側板
6e フリクション凸状部
6f 連結孔
6g 傾斜部
6h 圧入用凸部
7 支持部材
7a 連結部
7b 支持板部
7c 旋回カム部
8 ヒンジシャフト
9 スライダー
9a スプリング収容部
9b カム部
10 弾性部材
11 流体ダンパー
11a ピストン
12 受座部材
13 スライドフリクション機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13