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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078019
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】ブース家具及びブースユニット
(51)【国際特許分類】
   A47B 17/00 20060101AFI20230530BHJP
   A47B 5/00 20060101ALI20230530BHJP
   A47B 87/00 20060101ALI20230530BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20230530BHJP
   E04B 9/36 20060101ALI20230530BHJP
   A47B 96/04 20060101ALI20230530BHJP
   A47B 17/04 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
A47B17/00 A
A47B5/00
A47B87/00
E04B2/74 561H
E04B9/36
A47B96/04 B
A47B17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191591
(22)【出願日】2021-11-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年11月4日~令和3年11月22日、コクヨ東京品川オフィス THE CAMPUS(東京都港区港南1丁目8番35号)にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】櫻井真生
(72)【発明者】
【氏名】遠藤駿
(72)【発明者】
【氏名】西田大
(72)【発明者】
【氏名】井関洸太
(72)【発明者】
【氏名】谷尭浩
【テーマコード(参考)】
3B053
3B260
【Fターム(参考)】
3B053NA01
3B053SA00
3B260BA01
3B260BB05
3B260BC02
3B260BD02
3B260BD03
3B260BE02
3B260BF01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シンプルながら強固な構造のブース家具を提供する。
【解決手段】本発明のブース家具1は、対向配置された一対の側面パネル10、11と、一対の側面パネル10、11の背面側縦縁辺同士を連結する背面パネル12とを有し、少なくとも1面側が解放されたコ字型に形成されたブース家具であって、一対の側面パネル10、11の中間高さ同士が背面パネル12側に偏った範囲で水平な天板30により連結されるとともに、一対の側面パネル10、11の上縁同士が背面パネル12側に偏った範囲で屋根材50により接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された一対の側面パネルと、前記一対の側面パネルの背面側縦縁辺同士を連結する背面パネルとを有し、少なくとも1面側が解放されたコ字型に形成されたブース家具であって、
前記一対の側面パネルの中間高さ同士が前記背面パネル側に偏った範囲で水平な天板により連結されるとともに、前記一対の側面パネルの上縁同士が前記背面パネル側に偏った範囲で屋根材により接続されるブース家具。
【請求項2】
前記屋根材は、前記天板の上方の範囲を覆っている、請求項1に記載のブース家具。
【請求項3】
前記屋根材は、前記天板の正面側の領域であり且つ前記天板の無い手前側の領域には及んでいない、請求項2に記載のブース家具。
【請求項4】
前記屋根材は、前記一対の側面パネルが対向する方向に延び、且つ、等間隔に離して配置される複数の板材を有しており、
前記板材は、鉛直方向に対して傾斜している、請求項1~3の何れかに記載のブース家具。
【請求項5】
前記板材は、その上端部が下端部よりも前記背面パネルから離れるように傾斜している、請求項4に記載のブース家具。
【請求項6】
前記屋根材は、前記複数の板材を支持する支持枠材を含む屋根ユニットで構成され、
前記屋根ユニットは、前記一対の側面パネルの上縁に対して着脱可能である、請求項1~5の何れかに記載のブース家具。
【請求項7】
請求項1~6の何れかに記載のブース家具を横に連設して構成され、
隣り合う2つの前記ブース家具において、両ブースの間で共用される共用側面パネルを有し、
前記屋根材は、前記共用側面パネル材とそれと対向配置された側面パネルの上縁同士を接続することを特徴とするブースユニット。
【請求項8】
前記側面パネル材の上縁上面の中央には溝が形成され、
前記屋根材は、前記溝を利用して上から当該屋根材の左右両側に設けた取付金具をはめ込んで前記側面パネル材に接続され、
隣り合う2つの前記ブース家具は、前記屋根材を介して接続されることを特徴とする請求項7に記載のブースユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスや公共施設等において、個人用の執務や作業に適した使い方を可能とする、ブース家具及びブースユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスや公共施設等において、個人用の執務や作業を行うための空間を形成するものとして、4つの側面を有して上向きに開放された周壁と、周壁の上端部に取り付けた天井部とを有し、周壁を構成する1つの壁に出入り口を設けたブース装置が知られている(例えば特許文献1参照)。このブース装置の天井部は、上下に開口した外枠と、外枠の内部に縦横に整列して交叉姿勢に配置した吸音シートとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014―37671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のブース装置では、天井部が4つの側面に囲まれた領域の全体にわたって配置される。そのため、ブース内空間の開放感が少ないとともに、ブース内に着座している利用者が立ち上がると、利用者の頭が屋根材に当たるという問題がある。
【0005】
本発明は、これらの課題に着目してなされたものであって、ブース内空間の開放感が大きい新たなブース家具及びブースユニットを実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0007】
すなわち、本発明のブース家具は、対向配置された一対の側面パネルと、前記一対の側面パネルの背面側縦縁辺同士を連結する背面パネルとを有し、少なくとも1面側が解放されたコ字型に形成されたブース家具であって、前記一対の側面パネルの中間高さ同士が前記背面パネル側に偏った範囲で水平な天板により連結されるとともに、前記一対の側面パネルの上縁同士が前記背面パネル側に偏った範囲で屋根材により接続されることを特徴とする。
【0008】
このようにすると、ブース内空間の開放感が大きくなるとともに、ブース内空間の上方からの光量を容易にコントロールすることができるため、居心地の良い構造になる。
【0009】
本発明のブース家具において、前記屋根材は、前記天板の上方の範囲を覆っていることが好適である。
【0010】
このようにすると、音が天板で反射しても、その音を屋根材により吸収することができる。
【0011】
本発明のブース家具において、前記屋根材は、前記天板の正面側の領域であり且つ前記天板の無い手前側の領域には及んでいないことが好適である。
【0012】
このようにすると、一対の側面パネルの上端近傍に配置される屋根材が、ブース家具内の手前側の着座エリアに及ばないため、着座している利用者が立ち上がっても屋根材が頭に当たることが無い。さらに、屋根材が軽量で表面が軟質な材料で形成されている場合、屋根材が利用者に当たっても怪我をしない。
【0013】
本発明のブース家具において、前記屋根材は、前記一対の側面パネルが対向する方向に延び、且つ、等間隔に離して配置される複数の板材を有しており、前記板材は、鉛直方向に対して傾斜していることが好適である。
【0014】
このようにすると、一対の側面パネルの上端近傍に配置される屋根材には均等に斜めの隙間があるため、ブース家具の上方からの光が差し込みがたい。また、空気の動きを妨げないため、ブース家具内の空気が屋根材の隙間から外部へ移動することができる。
【0015】
本発明のブース家具において、前記板材は、その上端部が下端部よりも前記背面パネルから離れるように傾斜していることが好適である。
【0016】
このようにすると、一対の側面パネルの上端近傍に配置される屋根材には均等に斜めの隙間があるため、ブース家具の上方からの光が直に着座している利用者の目に差込まない。
【0017】
本発明のブース家具において、前記屋根材は、前記複数の板材を支持する支持枠材を含む屋根ユニットで構成され、前記屋根ユニットは、前記一対の側面パネルの上縁に対して着脱可能であることが好適である。
【0018】
このようにすると、屋根ユニットを着脱することにより、屋根材有無のバリエーション展開が容易にできる。
【0019】
本発明のブースユニットは、上述した何れかに記載のブース家具を横に連設して構成され、隣り合う2つの前記ブース家具において、両ブースの間で共用される共用側面パネルを有し、前記屋根材は、前記共用側面パネル材とそれと対向配置された側面パネルの上縁同士を接続することを特徴とする。
【0020】
このようにすると、ブース家具が複数連設して構成されたブースユニットにおいて、パネル材の部品点数を低減することができる。
【0021】
本発明のブースユニットにおいて、前記側面パネル材の上縁上面の中央には溝が形成され、前記屋根材は、前記溝を利用して上から当該屋根材の左右両側に設けた取付金具をはめ込んで前記側面パネル材に接続され、隣り合う2つの前記ブース家具は、前記屋根材を介して接続されることが好適である。
【0022】
このようにすると、ブース家具のそれぞれにおいて対向配置された一対の側面パネルの上縁同士を屋根材に接続することにより、隣り合う2つのブース家具を容易に接続することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、開放感が大きいブース家具及びブース家具を連設して構成されるブースユニットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態のブース家具1の斜視図である。
図2図1のブース家具1の正面図である。
図3図1のブース家具1の平面図である。
図4図1のブース家具1の下面図である。
図5図1のブース家具1を正面側の上方斜め方向から見た斜視図である。
図6図1のブース家具1の側面パネル10を取り外した分解斜視図である。
図7図7(a)は、側面パネル10の斜視図であり、図7(b)は、図7(a)のa-a断面図である。
図8図8(a)は、図1のブース家具1の上端部の拡大斜視図であり、図8(b)は、屋根ユニット50Aをブース家具1の上端部から取り外した図である。
図9図9(a)は、屋根ユニット50Aを取り付けるための取付金具60を示す図であり、図9(b)は、取付金具60により取り付ける方法を説明する図である。
図10】本発明の第2実施形態のブースユニット101の斜視図である。
図11図10のブースユニット101を組み立てる方法を説明する図である。
図12図12(a)は、図10のブースユニット101が有する屋根ユニット150Aの分解斜視図であり、図12(b)は、屋根ユニット150Aの斜視図である。
図13】屋根ユニット150Aの構造を説明する図である。
図14】本発明の第2実施形態のブースユニット201の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態のブース家具1の斜視図であり、図2は、図1のブース家具1の正面図であり、図3は、ブース家具1の平面図であり、図4は、図1のブース家具1の下面図である。
【0027】
図1図4に示すブース家具1は、対向して配置される一対の側面パネル10、11と、これらの側面パネル10、11の一端部(背面側縦縁辺)10a、11a間に接続される背面パネル12とを含んでおり、全体が平面視コ字型をなすことによって自立可能とされ、内部に居住空間となるブース内空間S1を形成する。側面パネル10、11の他端部10b、11b間は、ブース内空間S1に利用者が出入りするための開口OPとされる。
【0028】
側面パネル10、11及び背面パネル12は、横幅の小さい縦長矩形状を有し、同一高さに寸法に設定される。厚み寸法は、側面パネル10、11及び背面パネル12ともに同一である。
【0029】
側面パネル10、11は、同一形状に設定されている。側面パネル10、11は、背面パネル12側の一端部10a、11aが鉛直に延びるのに対して、開口OP側の他端部10b、11bは、略鉛直に延びる上端部10b1、11b1と、この上端部10b1、11b1の下に連なり床に向かうにつれて背面パネル12に近づくように傾斜する傾斜端部10b2、11b2とを含んで構成される矩形に近い形状をなす。
【0030】
図3及び図4に示すように、側面パネル10、11と背面パネル12の突き合わせコーナー部分の上端部間および下端部間は、それぞれ、簡易連結手段として底面視L字状の連結具14をボルト(図示省略)で止着することによって連結される。
【0031】
側面パネル10、11の下端部及び背面パネル12の下端部のそれぞれ2箇所には、接地部材として接地高さを調整するアジャスタ3がそれぞれ取り付けられている。
【0032】
側面パネル10、11及び背面パネル12の構造について、図7に基づいて説明する。なお、本実施形態では、図7(a)に図示した側面パネル10の構造について詳細に説明するが、側面パネル11及び背面パネル12の構造も同様である。
【0033】
側面パネル10は、図7(b)に示すように、ペーパーハニカム等の軽量の芯材13と、芯材13の一方の面に設けられたMDF14(Medium Density Fiberboard;中質繊維板)と、MDF14を覆うように設けられた張り材(張地)15と、芯材13の他方の面に設けられたMDF16と、MDF16を覆うように設けられた張り材(張地)17とを有している。
【0034】
芯材13は、側面パネル10の内部に配置される部材である。図7(b)に示すように、側面パネル10の左端面及び右端面には、芯材13の厚さ方向中央部に直線状の外周溝13aが形成される。なお、側面パネル10の上端面及び下端面にも同様に、芯材13の厚さ方向中央部に直線状の外周溝13aが形成される。
【0035】
ブース家具1のブース内空間S1には、図1及び図2に示すように、側面パネル10、11及び背面パネル12の内側面に沿って天板30が配置される。天板30の取り付けのために、図4に示すように、背面パネル12と側面パネル10を接続する位置に第1ブラケット31を備え、背面パネル12と側面パネル11を接続する位置に第2ブラケット32を備え、天板30の使用端30bに近い位置に側面パネル10、11にそれぞれ接続された第3ブラケット33を備えている。そして、利用者から見て天板30の奥端部30a側のコーナー部を第1、第2ブラケット31,32にそれぞれ支持させ、天板30の使用端部30b側のコーナー部を第3ブラケット33にそれぞれ支持させた状態で下面からボルト止めしている。
【0036】
このように、ブース家具1では、側面パネル10、11の中間高さ同士が背面パネル12側に偏った範囲で水平な天板30により連結されている。天板30が取り付けられた状態で、天板30の奥端部30aと背面パネル12の内側面との間には、隙間Δ1が設けている。
【0037】
本実施形態は、天板30は、例えば木材で形成されている。なお、天板30は、剛性材で形成されていれば、その材質は任意である。
【0038】
ブース家具1においてブース内空間S1の上方には、図1及び図2に示すように、屋根材50が配置される。屋根材50は、背面パネル12側に偏った範囲において、側面パネル10、11の上縁同士を接続するように架け渡されている。屋根材50は、天板30の上方を覆うように配置される。
【0039】
屋根材50は、天板30の使用端30bよりも背面側において天板30の上方の範囲に配置され、天板30の使用端30bよりも正面側には配置されていない(天板30の無い手前側には及んでいない)。そのため、ブース内空間S1に着座している利用者がいる場合でも、屋根材50は利用者の頭上にない。
【0040】
屋根材50は、ブース家具1の左右方向(側面パネル10、11が対向する方向)に延びる複数の板材51を有している。複数の板材51は、略一定厚さであり、横長の長方形状を有する平坦な部材であり、水平方向に延びるように配置される。なお、図3では、複数の板材51に斜線を付けて図示している。
【0041】
屋根材50は、図8に示すように、複数の板材51を支持する支持枠材52を含む屋根ユニット50Aで構成される。
【0042】
支持枠材52は、ブース家具1の上端部に取り付けられた状態において、側面パネル10の上縁に対向する対向面52aと、側面パネル11の上縁に対向する対向面52bと、対向面52aと対向面52bとの間に配置される中央支持部52cとを有している。中央支持部52cは、対向面52aおよび対向面52bと略平行に延びている。
【0043】
本実施形態は、板材51及び支持枠材52は、例えばフェルト製、詳しくは硬質フェルト製(ポリエステル100%)である。このように、側面パネル10、11の上縁同士が硬質フェルト製の屋根材50で接続されることにより、側面パネル10、11の上縁同士が接続されない場合と比べて、ブース家具1の強度が向上する。なお、屋根材50を構成する部材は、軽量材で形成されていれば、その材質は任意である。
【0044】
ブース家具1の左右方向中央部よりも左側に配置される4つの板材51aの両端部は、支持枠材52の対向面52aと中央支持部52cにそれぞれ支持される。ブース家具1の左右方向中央部よりも右側に配置される4つの板材51bの両端部は、支持枠材52の対向面52bと中央支持部52cにそれぞれ支持される。
【0045】
4つの板材51aおよび4つの板材51bは、ブース家具1の正面側から背面側に向かう方向に等間隔に離れた状態で配置される。また、4つの板材51aおよび4つの板材51bは、それぞれ、上端部が下端部よりも背面パネルから離れるように傾斜している。
【0046】
支持枠材52の対向面52aおよび対向面52bには、図8(b)に示すように、それぞれ2つの係合穴53が形成されている。係合穴53は、水平方向に延びる長穴であり、屋根ユニット50Aを側面パネル10、11の上縁に取り付ける際に使用される。
【0047】
側面パネル10、11の上縁には、図8(b)に示すように、2つの取付金具60がそれぞれ設けられている。2つの取付金具60は、それぞれ、金属製の板状部材が折り曲げられて形成され、略同一形状を有している。取付金具60は、屋根ユニット50Aの支持枠材52に係合した状態で、屋根ユニット50Aを側面パネル10、11の上縁から吊下げる。なお、上述の説明では、側面パネル10、11の上縁に設けられた取付金具60に対して屋根ユニット50Aを取り付ける場合を説明したが、屋根ユニット50Aに対して取付金具60を取り付けた後で、屋根ユニット50Aと一体となった取付金具60を側面パネル10、11の上縁に吊下げるように取り付けてもよい。
【0048】
具体的には、図9(a)に示すように、取付金具60の正面部60aの上端において背面側に向かって水平に折れ曲がって水平部60bを形成し、水平部60bの背面側端部において下方に折れ曲がって係止部60cが形成される。正面部60aと係止部60cとは略平行な状態で上下方向に延びている。
【0049】
正面部60aと係止部60cとの間の距離は、側面パネル11の厚さと略1/2であり、側面パネル11の表面から外周溝13aまでの距離である。係止部60cは、側面パネル11の上縁に形成された直線状の外周溝13a内に配置される。これにより、取付金具60の上端部は、側面パネル11の上縁に嵌合される。
【0050】
取付金具60の正面部60aの下端において側面パネル11の表面から離れる方向に向かって水平に折れ曲がって水平部60dを形成し、水平部60dの正面側端部において上方に折れ曲がって係合部60eが形成される。取付金具60の係合部60eが、屋根ユニット50Aの支持枠材52に形成された係合穴53に係合される。
【0051】
このように、側面パネル10、11の上縁に引っ掛けられた4つの取付金具60に対して、屋根ユニット50Aの支持枠材52に形成された4つの係合穴53が係合されることにより、屋根ユニット50Aが側面パネル10、11の上縁に取り付けられる。
【0052】
屋根ユニット50Aは、側面パネル10、11の上縁に対して着脱可能である。このように、ブース家具1では、屋根ユニット50Aが側面パネル10、11の上縁に取り付けられた場合、側面パネル10、11の上縁同士が背面パネル12側に偏った範囲で連結される。
【0053】
なお、本実施形態のブース家具1には、ブース内空間S1での執務や作業の便に資するために、オプション部材として、共通の携帯端末の立て掛け部4や、照明器具取付装置5等が設けられている。携帯端末の立て掛け部61や照明器具取付装置62は、それぞれ取付具61a、62aを介して背面パネル12に取り付けられ、側面パネル10、11に依存しない取付状態となっている。符号63で示すものはオプション部材たるカップホルダであり、ブラケット63aを天板30に止着する際に共締めされる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態のブース家具1は、対向配置された一対の側面パネル10、11と、一対の側面パネル10、11の背面側縦縁辺同士を連結する背面パネル12とを有し、少なくとも1面側が解放されたコ字型に形成されたブース家具であって、一対の側面パネル10、11の中間高さ同士が背面パネル12側に偏った範囲で水平な天板30により連結されるとともに、一対の側面パネル10、11の上縁同士が背面パネル12側に偏った範囲で屋根材50により接続される。
【0055】
このようにすると、ブース内空間S1の開放感が大きくなるとともに、ブース内空間S1の上方からの光量を容易にコントロールすることができるため、居心地の良い構造になる。
【0056】
本実施形態のブース家具1において、屋根材50は、天板30の上方の範囲を覆っている。
【0057】
このようにすると、音が天板30で反射しても、その音を屋根材50により吸収することができる。
【0058】
本実施形態のブース家具1において、屋根材50は、天板30の正面側の領域であり且つ天板30の無い手前側の領域には及んでいない。
【0059】
このようにすると、一対の側面パネル10、11の上端近傍に配置される屋根材50が、ブース家具1内の手前側の着座エリアに及ばないため、着座している利用者が立ち上がっても屋根材50が頭に当たることが無い。さらに、屋根材50が軽量で表面が軟質な材料で形成されている場合、屋根材50が利用者に当たっても怪我をしない。
【0060】
本実施形態のブース家具1において、屋根材50は、一対の側面パネル10、11が対向する方向に延び、且つ、等間隔に離して配置される複数の板材51を有しており、板材51は、鉛直方向に対して傾斜している。
【0061】
このようにすると、一対の側面パネル10、11の上端近傍に配置される屋根材には均等に斜めの隙間があるため、ブース家具の上方からの光が差し込みがたい。また、空気の動きを妨げないため、ブース家具内の空気が屋根材の隙間から外部へ移動することができる。
【0062】
本実施形態のブース家具1において、板材51は、その上端部が下端部よりも背面パネル12から離れるように傾斜している。
【0063】
このようにすると、一対の側面パネル10、11の上端近傍に配置される屋根材50には均等に斜めの隙間があるため、ブース家具1の上方からの光が直に着座している利用者の目に差込まない。
【0064】
本実施形態のブース家具1において、屋根材50は、複数の板材51を支持する支持枠材52を含む屋根ユニット50Aで構成され、屋根ユニット50Aは、一対の側面パネル10、11の上縁に対して着脱可能である。
【0065】
このようにすると、屋根ユニット50Aを着脱することにより、屋根材有無のバリエーション展開が容易にできる。
【0066】
第1実施形態のブース家具1は、単独使用できるほか、隣接配置して使用すること等も可能とされている。
【0067】
(第2実施形態)
第2実施形態として、本発明に係るブース家具1を横に2つ連設して構成されるブースユニット101について、図10に基づいて説明する。
【0068】
図10のブースユニット101を構成する場合、図11(a)に示すように、ブース家具1aに対して、ブース家具1aの側面パネル11の外側から、側面パネル10及び屋根材150が取り除かれたブース家具1bが近づけられる。
【0069】
その後、図11(b)に示すように、ブース家具1aの背面パネル12の右端部とブース家具1bの背面パネル12の左端部とが近接するように、ブース家具1aとブース家具1bとが連設して配置される。そのとき、ブース家具1aの側面パネル11が、両ブースの間で共用される共用側面パネルAとなる。その状態で、ブース家具1aにおいて、共用側面パネルAの上縁と共用側面パネルAと対向配置された側面パネル10の上縁との間に、屋根材50が取り付けられている
【0070】
引き続き、ブース家具1bにおいて、図11(c)に示すように、共用側面パネルAの上縁と共用側面パネルAと対向配置された側面パネル11の上縁との間に、屋根材150が取り付けられる。そのため、ブース家具1bにおいて、共用側面パネルAの上縁と側面パネル11の上縁とは、屋根材150により接続される。このように、隣り合う2つのブース家具1a、1bは、屋根材150を介して接続される。
【0071】
2つのブース家具1a、1bにおいてブース内空間S1の上方には、屋根材150が配置される。ブース家具1aの屋根材150は、背面パネル12側に偏った範囲において、側面パネル10及び共用側面パネルAの上縁同士を接続するように架け渡され、ブース家具1bの屋根材150は、背面パネル12側に偏った範囲において、共用側面パネルA及び側面パネル11の上縁同士を接続するように架け渡されている。屋根材150は、天板30の上方を覆うように配置される。
【0072】
屋根材150は、天板30の使用端30bよりも背面側において天板30の上方の範囲に配置され、天板30の使用端30bよりも正面側には配置されていない(天板30の無い手前側には及んでいない)。そのため、ブース内空間S1に着座している利用者がいる場合でも、屋根材150は利用者の頭上にない。平面視において、屋根材150の正面側端部の位置は、天板30の使用端30bの位置と一致している。
【0073】
屋根材150は、図12(a)及び図12(b)に示すように、ブース家具1の左右方向(側面パネル10、11が対向する方向)に延びる複数の板材151を有している。複数の板材151は、横長の略長方形状を有する平坦な部材であり、水平方向に延びるように配置される。
【0074】
屋根材150は、図12(b)に示すように、複数の板材151を支持する支持枠材152を含む屋根ユニット150Aで構成される。
【0075】
支持枠材152は、ブース家具1の上端部に取り付けられた状態において、左側に配置される支持枠材152aと、右側に配置される支持枠材152bとを有している。
【0076】
支持枠材152a、152bには、それぞれ2つの係合穴153が形成されている。係合穴153は、水平方向に延びる長穴であり、屋根ユニット150Aを側面パネル10、11の上縁に取り付ける際に使用される。
【0077】
また、支持枠材152a、152bには、それぞれ4つの切り欠き154が形成されている。切り欠き154は、板材151をはめ込むためのものである。切り欠き154は、支持枠材152a、152bの上端から下方に向かって形成され、下方に向かうにつれて背面側に配置されるように傾斜している。
【0078】
このように、4つの板材151を支持枠材152a、152bの切り欠き154にはめ込むことにより、屋根ユニット150Aを容易に組み立てることができる。
【0079】
屋根ユニット150Aは、取付金具60により側面パネル10、11の上縁に取り付けられる。取付金具60及びそれを使用して屋根ユニット150Aをブース家具1の上端部に取り付ける方法は、第1実施形態と同様である。
【0080】
なお、支持枠材152aにおいて、2つの係合穴153は、図13(a)に示すように、支持枠材152aの背面側端部152a側に近接する2つの切り欠き154間と、支持枠材152aの正面側端部152a側に近接する2つの切り欠き154間とにそれぞれ配置される。
【0081】
同様に、支持枠材152bにおいて、2つの係合穴153は、図13(b)に示すように、支持枠材152bの背面側端部152b側に近接する2つの切り欠き154間と、支持枠材152bの正面側端部152b側に近接する2つの切り欠き154間とにそれぞれ配置される。
【0082】
支持枠材152aの背面側に配置される係合穴153は、支持枠材152bの背面側に配置される係合穴153よりも背面側にずれて配置される。同様に、支持枠材152aの正面側に配置される係合穴153は、支持枠材152bの正面側に配置される係合穴153よりも背面側にずれて配置される。
【0083】
そのため、図13(c)に示すように、左側のブース家具1aの屋根材150を共用側面パネルAの上縁に取り付ける取付金具60と、右側のブース家具1bの屋根材150を共用側面パネルAの上縁に取り付ける取付金具60とが重なることがない。
【0084】
本実施形態のブースユニット101は、上述したブース家具1を横に連設して構成され、隣り合う2つのブース家具1a、1bにおいて、両ブースの間で共用される共用側面パネルAを有し、屋根材50は、共用側面パネルAとそれと対向配置された側面パネル10、11の上縁同士を接続する。
【0085】
このようにすると、ブース家具1a、1bが複数連設して構成されたブースユニット101において、パネル材の部品点数を低減することができる。
【0086】
本実施形態のブースユニット101において、共用側面パネルAの上縁上面の中央には、外周溝13が形成され、屋根材50は、外周溝13を利用して上から屋根材50の左右両側に設けた取付金具60をはめ込んで共用側面パネルAに接続され、隣り合う2つのブース家具1a、1bは、屋根材150を介して接続される。
【0087】
このようにすると、ブース家具1a、1bのそれぞれにおいて対向配置された一対の側面パネルの上縁同士を屋根材に接続することにより、隣り合う2つのブース家具1a、1bを容易に接続することができる。
【0088】
(第3実施形態)
第3実施形態として、本発明に係るブース家具1を縦に2つ連設して構成されるブースユニット201について、図14に基づいて説明する。
【0089】
図14に示すブースユニット201は、ブース家具1aの背面パネル12とブース家具1bの背面パネル12とが重なるように配置される。なお、ブースユニット201において、重なるように配置される背面パネル12を1つのパネル材を共用してもよい。このようにすれば、ブース家具1が複数連設して構成されたブースユニットにおいて、パネル材の部品点数を低減することができる。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0091】
例えば1実施形態では、屋根材50が、一対の側面パネル10、11が対向する方向に延び、且つ、等間隔に離して配置される複数の板材51を有しており、板材51は、鉛直方向に対して傾斜しているが、それに限られない。例えば、複数の板材51は、等間隔に配置されてなくてもよい。また、複数の板材51は、鉛直方向に対して平行に配置されてもよい。なお、第2及び第3実施形態についても同様である。
【0092】
上記第1実施形態では、複数の板材51が、その上端部が下端部よりも背面パネル12から離れるように傾斜しているが、それに限られない。例えば、複数の板材51は、その上端部が下端部よりも背面パネル12に近づくように傾斜していてもよい。
また、複数の板材51は、鉛直方向に平行に配置されてもよい。なお、第2及び第3実施形態についても同様である。
【0093】
上記第1実施形態では、複数の板材51が、横長の長方形状を有する平坦な部材であり、水平方向に延びているが、それに限られない。板材51の形状、数、厚さ、配置は、任意であるとともに、平坦な部材に限られない。また、板材51が伸びる方向は、水平方向に限られない。板材51が伸びる方向は、背面パネル12と平行に配置される場合に限られない。なお、第2及び第3実施形態についても同様である。
【0094】
上記第1実施形態では、屋根材50が屋根ユニット50Aで構成され、屋根ユニット50Aは、一対の側面パネル10、11の上縁に対して着脱可能であるが、それに限られない。例えば、屋根材50は、一対の側面パネル10、11の上縁に対して固定されており、着脱可能に構成されてなくてもよい。また、屋根ユニット50Aを一対の側面パネル10、11の上縁に対して取り付けるための取付構造は、任意である。なお、第2及び第3実施形態についても同様である。
【0095】
上記第1実施形態では、屋根材50が硬質フェルト製(ポリエステル100%)であるが、屋根材50の構造、材質は任意である。例えば、屋根材は、発泡スチロール製でもよい。また、屋根材は、例えば木材などの芯材の両面に硬質フェルト(ポリエステル100%)が貼り合わされたものでもよい。この場合、屋根材の強度が向上するとともに、屋根材が落下して利用者にぶつかっても利用者が怪我するのを防止できる。なお、第2及び第3実施形態についても同様である。
【0096】
上記第1実施形態では、一対の側面パネル10、11及び背面パネル12が、ペーパーハニカムコアである芯材13と、芯材13の両面にそれぞれ設けられたMDF14、16とを含んでいるが、それに限られない。一対の側面パネル10、11及び背面パネル12は、剛性材で形成されていれば、その材質、構成は任意である。なお、第2及び第3実施形態についても同様である。
【0097】
上記第1実施形態では、側面パネル10及び背面パネル12が、軽量の芯材13とその両面に貼り合わされたMDF14、16で形成され、天板30が木材で形成されるが、それに限られない。側面パネル10、背面パネル12および天板30は、剛性材で形成されていればよい。剛性材としては、例えば、繊維強化樹脂(ガラス繊維強化ナイロンPAGF)、アルミ材(サッシに使われている製法:アルミ押し出し材)などを使用可能である。なお、第2及び第3実施形態についても同様である。
【0098】
上記第1実施形態では、屋根材50において、複数の板材51が支持枠材52に固定されているが、それに限られない。板材51は、支持枠材52に対して回動可能に構成され、鉛直方向に対する傾斜方向を調整可能に構成されてもよい。このようにすると、例えばブース家具の上方にある照明の位置に応じて、板材の傾斜方向を適宜調整することができる。なお、第2及び第3実施形態についても同様である。
【0099】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 ブース家具
10 側面パネル
11 側面パネル
12 背面パネル
13 芯材
13a 外周溝(溝)
14 MDF
16 MDF
30 天板
50 屋根材
50A 屋根ユニット
51 板材
52 支持枠材
60 取付金具
A 共用側面パネル
101 ブースユニット
150 屋根材
150A 屋根ユニット
151 板材
152 支持枠材
201 ブースユニット

図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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