IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ブリヂストンの特許一覧

<>
  • 特開-配管構造及び管継手 図1
  • 特開-配管構造及び管継手 図2
  • 特開-配管構造及び管継手 図3
  • 特開-配管構造及び管継手 図4
  • 特開-配管構造及び管継手 図5
  • 特開-配管構造及び管継手 図6
  • 特開-配管構造及び管継手 図7
  • 特開-配管構造及び管継手 図8
  • 特開-配管構造及び管継手 図9
  • 特開-配管構造及び管継手 図10
  • 特開-配管構造及び管継手 図11
  • 特開-配管構造及び管継手 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078021
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】配管構造及び管継手
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/122 20060101AFI20230530BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
E03C1/122 Z
E03C1/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191594
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 文弥
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AA05
2D061AB10
2D061AC07
2D061AC08
2D061AC10
2D061AD01
2D061DE01
(57)【要約】
【課題】サイホン発生時間を短縮しつつ、排水時間の増加を抑制できる配管構造を提供する。
【解決手段】配管構造20は、排水系統に設けられる一時貯留槽30の下流側に分岐継手28を介して接続され、一時貯留槽30から排出された排水を横方向に排出する第1横引き管31A,31Bと、第1横引き管31A,31Bを1つに合流させる合流継手48(合流部)と、合流継手48の下流側に接続され、排水を流下させることにより第1横引き管31A,31Bにサイホン力を発生させる竪管46と、を備え、分岐継手28は、第1横引き管31A,31Bの上流端がそれぞれ接続される配管接続部29A,29Bを備えており、配管接続部29A,29Bは、分岐継手28における排水流入方向F1の位置がそれぞれ異なると共に外周の一部が互いに排水流入方向F1で重なる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水系統に設けられる一時貯留槽の下流側に分岐継手を介して接続され、前記一時貯留槽から排出された排水を横方向に排出する複数の横引き管と、
前記複数の第1横引き管を1つに合流させる合流部と、
前記合流部の下流側に接続され、前記排水を流下させることにより前記横引き管にサイホン力を発生させる竪管と、
を備え、
前記分岐継手は、複数の前記横引き管の上流端がそれぞれ接続される複数の配管接続部を備えており、
複数の前記配管接続部は、前記分岐継手における排水流入方向の位置がそれぞれ異なると共に隣り合う同士の外周の一部が前記排水流入方向で重なる、配管構造。
【請求項2】
前記合流部は、合流継手であり、
前記合流継手は、複数の前記横引き管の下流端がそれぞれ接続される複数の配管接続部を備えており、
複数の前記配管接続部は、前記合流継手における排水流出方向の位置がそれぞれ異なると共に隣り合う同士の外周の一部が前記排水流入方向で重なる、請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
前記分岐継手は、前記一時貯留槽に接続され、直線状に延びる直線管部と、前記直線管部の途中から分岐し、前記直線管部の管軸方向に対して斜めに延びる部分を有する分岐管部と、を有しており、
前記直線管部の下流端及び前記分岐管部の下流端にそれぞれ前記配管接続部を備える、請求項1又は請求項2に記載の配管構造。
【請求項4】
前記分岐継手の前記直線管部に接続される前記横引き管の下流端が前記合流継手の前記分岐管部に接続され、
前記分岐継手の前記分岐管部に接続される前記横引き管の下流端が前記合流継手の前記分岐管部に接続される、請求項2を引用する請求項3に記載の配管構造。
【請求項5】
排水系統に設けられる一時貯留槽の下流側に接続され、前記一時貯留槽から排出された排水を横方向に排出する複数の横引き管と、
前記複数の第1横引き管を1つに合流させる合流継手と、
前記合流継手の下流側に接続され、前記排水を流下させることにより前記横引き管にサイホン力を発生させる竪管と、
を備え、
前記合流継手は、複数の前記横引き管の上流端がそれぞれ接続される複数の配管接続部を備えており、
複数の前記配管接続部は、前記合流継手における排水流出方向の位置がそれぞれ異なると共に隣り合う同士の外周の一部が前記排水流出方向で重なる、配管構造。
【請求項6】
第1管状体が接続される第1配管接続部と、
複数の第2管状体がそれぞれ接続される複数の第2配管接続部と、を備え、
複数の前記第2配管接続部は、前記第1管状体を流れる流体の流れ方向の位置がそれぞれ異なると共に隣り合う同士の外周の一部が前記流れ方向で重なる、管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管構造及び管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
水廻り器具から排出された排水を一時的に貯留する一時貯留槽と、一時貯留槽に複数本接続され、一時貯留槽に貯留された排水にサイホン力を作用させて流出させるサイホン排水管とを有するサイホン排水システムが開示されている(特許文献1参照)。サイホン排水管は、一時貯留槽に接続される横引き管と、該横引き管の下流側に連通し、下方へ延びて排水立て管に合流する竪管とを備えて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-256557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来例では、サイホン排水管の内径を、従来のサイホン排水システムで用いられてきた内径20~25mmより小さくすることで、横引き管から竪管への落とし込み部に満流が速やかに生じるようにして、サイホン力が起動するまでの時間(サイホン発生時間)を短縮している。
【0005】
しかしながら、水廻り器具の単位時間あたりの排水量は、器具ごとに異なる。例えば便器からは一度に10リットル未満程度の排水が排出される一方、浴槽等からは一度に200リットル程度の排水が排出されることがある。このような大量の排水を排水する場合、内径が小さなサイホン排水管では排水に時間がかかる場合がある。また、横引き管が長い場合(例えば10m)、落とし込み部でサイホン発生に必要な流量を得るまでに時間がかかることでサイホン発生時間が長くなり、一時貯留槽に排水が滞留し易くなる。
【0006】
本発明は、一時貯留槽に複数のサイホン排水管が設けられる構造において、排水処理量を確保しつつ、サイホン発生時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る配管構造は、排水系統に設けられる一時貯留槽の下流側に分岐継手を介して接続され、前記一時貯留槽から排出された排水を横方向に排出する複数の横引き管と、前記複数の第1横引き管を1つに合流させる合流部と、前記合流部の下流側に接続され、前記排水を流下させることにより前記横引き管にサイホン力を発生させる竪管と、を備え、前記分岐継手は、複数の前記横引き管の上流端がそれぞれ接続される複数の配管接続部を備えており、複数の前記配管接続部は、前記分岐継手における排水流入方向の位置がそれぞれ異なると共に隣り合う同士の外周の一部が前記排水流入方向で重なる。
【0008】
第1の態様に係る配管構造では、一時貯留槽から複数の横引き管を通じて排水される。これにより、排水処理量を確保でき、一時貯留槽の上流側に位置する浴室等での排水の溢れを抑制できる。
また、第1の態様に係る配管構造では、合流部で複数の横引き管が1つに合流するため、合流部と竪管との間の部分で速やかに満流を生じさせることができる。これにより、サイホン発生時間を短縮することができる。
さらに、第1の態様に係る配管構造では、分岐継手の複数の配管接続部の排水流入方向の位置がそれぞれ異なり、複数の配管接続部の隣り合う同士の外周の一部が排水流入方向で重なる。このため、例えば、複数の配管接続部の隣り合う同士が排水流入方向で重ならない。言い換えると、複数の配管接続部の隣り合う同士が排水流入方向と直交する方向に離隔している構成と比べて、分岐継手のサイズを小さくできる。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係る配管構造において、前記合流部は、合流継手であり、前記合流継手は、複数の前記横引き管の下流端がそれぞれ接続される複数の配管接続部を備えており、複数の前記配管接続部は、前記合流継手における排水流出方向の位置がそれぞれ異なると共に隣り合う同士の外周の一部が前記排水流入方向で重なる。
【0010】
第2の態様に係る配管構造では、合流継手の複数の配管接続部の排水流出方向の位置がそれぞれ異なり、複数の配管接続部の隣り合う同士の外周の一部が排水流出方向で重なる。このため、例えば、複数の配管接続部の隣り合う同士が排水流出方向で重ならない。言い換えると、複数の配管接続部の隣り合う同士が排水流出方向と直交する方向に離隔している構成と比べて、合流継手のサイズを小さくできる。
また、分岐継手の複数の配管接続部と、合流継手の複数の配管接続部とにそれぞれ接続される横引き管同士の間隔を近づけることができる。これにより、横引き管を敷設するときの横引き管の配置ピッチを狭くでき、施工時の設計自由度が向上する。
【0011】
第3の態様は、第1の態様又は第2の態様に係る配管構造において、前記分岐継手は、前記一時貯留槽に接続され、直線状に延びる直線管部と、前記直線管部の途中から分岐し、前記直線管部の管軸方向に対して斜めに延びる部分を有する分岐管部と、を有しており、前記直線管部の下流端及び前記分岐管部の下流端にそれぞれ前記配管接続部を備える。
【0012】
第3の態様に係る配管構造では、一時貯留槽内の排水が分岐継手の直線管部を介して一方の前記横引き管に流れ、分岐管部を介して他方の前記横引き管に流れる。ここで、分岐継手の直線管部では、一時貯留槽内の排水が直線的に流れるため、流速の低下が少なく、合流部と竪管との間の部分で速やかに満流を生じさせることができる。これにより、サイホン発生時間を短縮することができる。
【0013】
第4の態様は、第2の態様を引用する第3の態様に係る配管構造において、前記分岐継手の前記直線管部に接続される前記横引き管の下流端が前記合流継手の前記分岐管部に接続され、前記分岐継手の前記分岐管部に接続される前記横引き管の下流端が前記合流継手の前記分岐管部に接続される。
【0014】
第4の態様に係る配管構造では、一方の横引き管を通して分岐継手の直線管部から合流継手の分岐管部へ排水が流れる。また、他方の横引き管を通して分岐継手の分岐管部から合流継手の直線管部へ排水が流れる。このため、分岐継手で生じた流速の差が合流継手で相殺される。これにより、複数の横引き管における流れの偏りを抑制し、排水を速やかに合流継手と竪管との間の部分に流すことができる。
【0015】
第5の態様に係る配管構造は、排水系統に設けられる一時貯留槽の下流側に接続され、前記一時貯留槽から排出された排水を横方向に排出する複数の横引き管と、前記複数の第1横引き管を1つに合流させる合流継手と、前記合流継手の下流側に接続され、前記排水を流下させることにより前記横引き管にサイホン力を発生させる竪管と、を備え、前記合流継手は、複数の前記横引き管の上流端がそれぞれ接続される複数の配管接続部を備えており、複数の前記配管接続部は、前記合流継手における排水流出方向の位置がそれぞれ異なると共に隣り合う同士の外周の一部が前記排水流出方向で重なる。
【0016】
第5の態様に係る配管構造では、一時貯留槽から複数の横引き管を通じて排水される。これにより、排水処理量を確保でき、一時貯留槽の上流側に位置する浴室等での排水の溢れを抑制できる。
また、第5の態様に係る配管構造では、合流継手で複数の横引き管が1つに合流するため、合流継手と竪管との間の部分で速やかに満流を生じさせることができる。これにより、サイホン発生時間を短縮することができる。
さらに、第5の態様に係る配管構造では、合流継手の複数の配管接続部の排水流出方向の位置がそれぞれ異なり、複数の配管接続部の隣り合う同士の外周の一部が排水流出方向で重なる。このため、例えば、複数の配管接続部の隣り合う同士が排水流出方向で重ならない。言い換えると、複数の配管接続部の隣り合う同士が排水流出方向と直交する方向に離隔している構成と比べて、合流継手のサイズを小さくできる。
【0017】
第6の態様に係る管継手は、第1管状体が接続される第1配管接続部と、複数の第2管状体がそれぞれ接続される複数の第2配管接続部と、を備え、複数の前記第2配管接続部は、前記第1管状体を流れる流体の流れ方向の位置がそれぞれ異なると共に隣り合う同士の外周の一部が前記流れ方向で重なる。
【0018】
第6の態様に係る管継手では、複数の第2配管接続部において第1管状体を流れる流体の流れ方向の位置がそれぞれ異なり、複数の第2配管接続部の隣り合う同士の外周の一部が流体の流れ方向で重なる。このため、例えば、複数の第2配管接続部の隣り合う同士が流体の流れ方向で重ならない。言い換えると、複数の第2配管接続部の隣り合う同士が流体の流れ方向と直交する方向に離隔している構成と比べて、継手サイズを小さくできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、一時貯留槽に複数のサイホン排水管が設けられる構造において、排水処理量を確保しつつ、サイホン力発生時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係る配管構造を示す側面図である。
図2】本実施形態に係る配管構造を示す斜視図である。
図3】本実施形態に係る配管構造を示す平面図である。
図4図3において矢印4で指し示す部分の拡大図である。
図5図3において矢印5で指し示す部分の拡大図である。
図6図4で示す部分の断面図である。
図7図5で示す部分の断面図である。
図8】変形例の分岐継手の拡大平面図(図3において矢印4で指し示す部分に対応する図)である。
図9】他の実施形態に係る配管構造を示す斜視図である。
図10】他の実施形態に係る配管構造を示す平面図である。
図11図10において矢印11で指し示す部分の拡大図である。
図12図11で示す部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一又は同様の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。また、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0022】
図1には、本実施形態に係る配管構造20の概略が示されている。配管構造20は、サイホン力を利用して水廻り器具12からの排水を排出するサイホン排水システムの構造である。配管構造20は、一例として、多層に形成された共同住宅10に用いられている。図2に示されるように、この配管構造20は、複数(本実施形態では一対)の第1横引き管31A,31Bと、合流部の一例としての合流継手48と、第2横引き管44と、竪管46とを備えている。第1横引き管31A,31Bから竪管46までの部分をサイホン排水管40と呼ぶこともできる。
【0023】
配管構造20は、排水を下方へ流す排水立て管22を備えている。排水立て管22は、共同住宅10において平面上の異なる場所に複数設けられている。例えば排水立て管22は、共同住宅10の各階の各住戸とは壁で区画された配管スペース(パイプスペース等とも称す)内に上下方向(縦方向)に沿って収容されており、共同住宅10の各階のスラブ14を貫いている。
【0024】
共同住宅10の各住戸には、水廻り器具12が設けられている。水廻り器具12は、例えば浴室ユニットであり、浴槽12A及び洗い場12Bが一体化されて形成されている。水廻り器具12には、排水導入管24の一端が接続されている。
【0025】
排水導入管24の他端は、一時貯留槽30と接続されている。これにより、排水導入管24は、水廻り器具12の浴槽12A及び洗い場12Bから排出される排水を、一時貯留槽30へ導入する。なお、排水導入管24は、一時貯留槽30側が低くなるように勾配をもって配設されていることが好ましい。
【0026】
排水導入管24の他端は、一時貯留槽の一例としての後述する一時貯留槽30と接続されている。これにより、排水導入管24は、水廻り器具12の浴槽12A及び洗い場12Bから排出される排水を、一時貯留槽30へ導入する。なお、排水導入管24は、一時貯留槽30側が低くなるように勾配をもって配設されていることが好ましい。また、排水導入管24は、例えば呼び径が50A(内径が50mm)とされている。
【0027】
図3に示されるように、排水系統に設けられる一時貯留槽30の排水流出口としての流出口30Aの下流側には、分岐継手28が接続されている。流出口30Aの内径は、例えば約53mmとされている。
【0028】
分岐継手28は、第1横引き管31A,31Bの上流端がそれぞれ接続される複数(本実施形態では2つ)の配管接続部29A,29Bを備えている。配管接続部29A,29Bは、分岐継手28における排水流入方向(図中矢印F1で示す方向)の位置がそれぞれ異なる。ここで、分岐継手28における排水流入方向とは、分岐継手28に対して排水が流入する方向であり、本実施形態では、一時貯留槽30の流出口30Aから分岐継手28に排水が流入する方向であり、流出口30Aの管軸方向(中心軸方向)と同じ方向である。なお、本実施形態では、図4に示されるように、配管接続部29Aが配管接続部29Bよりも下流に位置している。また、配管接続部29A,29Bの外周の一部が互いに排水流入方向F1で重なっている。言い換えると、排水流入方向F1から見た場合に、配管接続部29A,29Bは、互いの外周の一部が排水流入方向F1で重なっている。
【0029】
また、分岐継手28は、直線管部28Aと、分岐管部28Bとを備えている。直線管部28Aは、一時貯留槽30の流出口30Aに異径継手34を介して接続されている。具体的には、直線管部28Aの上流端は、一時貯留槽30の流出口30Aに異径継手34を介して接続されている。なお、異径継手34を用いず、分岐継手28が流出口30Aに直接接続されていてもよいし、同径継手を用いてもよい。直線管部28Aは、排水流入方向F1に沿って直線状に延びている。また、分岐管部28Bは、直線管部28Aの途中から分岐し、直線管部28Aの管軸方向に対して斜めに延びる部分である分岐部28Cを有している。
【0030】
直線管部28Aと分岐管部28Bとは、その分岐点において、下流側で鋭角に交差している。分岐管部28Bは途中で屈曲している。これにより、分岐管部28Bの下流端は、直線管部28Aの下流端と平行とされている。
【0031】
直線管部28Aの下流端は配管接続部29Aを備えている。また、分岐管部28Bの下流端は配管接続部29Bを備えている。
【0032】
第1横引き管31Aの上流端は、分岐継手28における直線管部28Aの配管接続部29Aに接続されている。第1横引き管31Aの下流端は、後述する合流継手48における分岐管部48Bの配管接続部49Bに接続されている。
【0033】
第1横引き管31Bの上流端は、分岐継手28における分岐管部28Bの配管接続部49Bに接続されている。第1横引き管31Bの下流端は、後述する合流継手48における直線管部48Aの配管接続部49Aに接続されている。
【0034】
図2及び図3に示されるように、第1横引き管31A,31Bは、例えばそれぞれスラブ14に沿って、水平方向において互いに略平行に配設される管である。第1横引き管31A,31Bは、分岐継手28の下流側に接続され、一時貯留槽30から排出された排水を横方向に排出する水平管である。第1横引き管31A,31Bは、例えば呼び径が25J(内径が約28mm)のポリブデン管で形成され、スラブ14上で水平方向に沿って無勾配で配設されている。なお、ここでの無勾配とは、厳密に水平方向である必要はなく、スラブ14に沿って多少の段差や勾配のあるものを含む。第1横引き管31Aの上流端は、分岐継手28における直線管部28Aの下流端に接続されている。第1横引き管31Bの上流端は、分岐継手28における分岐管部28Bの下流端に接続されている。なお、2本の第1横引き管31A,31Bは、敷設される場所の状況に応じて、必ずしも互いに平行でなくてもよい。
【0035】
図4及び図7に示されるように、合流部の一例としての合流継手48は、第1横引き管31A,31Bを1つに合流させる。
【0036】
合流継手48は、第1横引き管31A,31Bの上流端がそれぞれ接続される複数(本実施形態では2つ)の配管接続部49A,49Bを備えている。複数の配管接続部49A,49Bは、合流継手48における排水流出方向(図中矢印F2で示す方向)の位置がそれぞれ異なる。ここで、合流継手48における排水流出方向とは、合流継手48に対して排水が流出する方向であり、本実施形態では、合流継手48から第2横引き管44に排水が流出する方向であり、第2横引き管44の管軸方向(中心軸方向)と同じ方向である。また、本実施形態の排水流出方向F2は、図3に示されるように、平面視で排水流入方向F1と同じ方向である。なお、この構成に限定されず、排水流出方向F2が排水流入方向F1に対して僅かに傾いていてもよい。本実施形態では、図5に示されるように、配管接続部49Bが配管接続部29Aよりも下流に位置している。また、配管接続部49A,49Bの外周の一部が互いに排水流出方向F2で重なっている。言い換えると、排水流出方向F2から見た場合に、配管接続部49A,49Bは、互いの外周の一部が排水流出方向F2で重なっている。
【0037】
また、合流継手48は、直線管部48Aと、分岐管部48Bとを備えている。直線管部48Aには、配管接続部49Aによって第1横引き管31Aの下流端が接続されている。また直線管部48Aには、第2横引き管44の上流端が接続されている。この直線管部48Aは、排水流出方向F2に沿って直線状に延びている。また、分岐管部48Bは、直線管部48Aの途中から分岐し、直線管部48Aの管軸方向に対して斜めに延びる部分である分岐部48Cを有している。
【0038】
直線管部48Aと分岐管部48Bは、その分岐点において、上流側で鋭角に交差している。分岐管部48Bは途中で屈曲している。これにより、分岐管部48Bの上流端は、直線管部48Aの上流端と平行とされている。
【0039】
直線管部48Aの上流端は配管接続部49Aを備えている。また、分岐管部48Bの上流端は配管接続部49Bを備えている。
【0040】
第2横引き管44は、例えばスラブ14に沿って配設された管であり、合流継手48の下流側に接続され、合流した排水を横方向に排出する。この第2横引き管44の上流端は合流継手48における直線管部48Aの配管接続部に接続されている。また、第2横引き管44は、例えば呼び径が30A(内径が30mm)の硬質ポリ塩化ビニル管で形成され、スラブ14上で水平方向に沿って無勾配で配設されている。
【0041】
竪管46は、第2横引き管44の下流側に接続され、排水を流下させることにより第1横引き管31A,31B及び第2横引き管44にサイホン力を発生させる部位である。竪管46は、例えば呼び径が25A(内径が25mm)の硬質ポリ塩化ビニル管である。竪管46は、排水立て管22に沿って、例えば上下方向(鉛直方向)に配設されている。竪管46の下流端は、合流部継手26に達している。合流部継手26は、竪管46からの排水を排水立て管22へ合流させる管継手である。合流継手48から竪管46までの長さは、例えば500~1000mmであってもよい。合流部である合流継手48は、壁18より外側のメーターボックスではなく、例えば壁18より内側、つまり住戸側に位置している。
【0042】
第2横引き管44と竪管46との境界に位置する落とし込み部は、連続したベント管として図示されているが、このベント管部分にエルボ等の管継手を配置してもよい。ここに管継手を配置する場合、該管継手に点検口等を適宜設けることができる。第2横引き管44から竪管46への落とし込み部は、住戸の壁18の外側の例えばメーターボックス内に配置される。
【0043】
一時貯留槽30には、さらに通気管50が接続されており、通気管50は、合流部継手26に達している。
【0044】
一時貯留槽30における流出口30Aの流路断面積をA1とし、第1横引き管31A,31Bの流路断面積の合計をA2とし、第2横引き管44の流路断面積をA3とし、竪管46の流路断面積をA4とすると、A1>A2>A3>A4の関係を満たす。上記した各管の内径から断面積を算出すると、A1≒2206mm、A2≒1240mm、A3≒707mm、A4≒491mmであり、上記関係が満たされている。
【0045】
なお、流路断面積が一定でない場合、該流路断面積は、平均流路断面積を意味する。流出口30Aの流路断面積A1は、断面積が略一定となった出口部分の平均流路断面積を意味する。図6及び図7において、流路断面積A1~A4を内径の位置で例示しているが、図面における各管の内径の大小は、上記した各管の内径寸法の大小とは必ずしも対応していない。
【0046】
なお、本実施形態の分岐継手28と合流継手48はそれぞれ本発明における管継手の一例である。すなわち、本実施形態の配管接続部29A,49Aはそれぞれ本発明における第1配管接続部の一例であり、本実施形態の配管接続部29B,49Bはそれぞれ本発明における第2配管接続部の一例である。また、本実施形態の異径継手34、第2横引き管44はそれぞれ本発明における第1管状体の一例であり、第1横引き管42A,42Bはそれぞれ本発明における第2管状体の一例である。なお、異径継手34を用いない場合には流出口30Aを構成する筒状部が第1管状体の一例となる。さらに、本発明における流体(排水)の流れ方向は、分岐継手28の場合は排水流入方向F1であり、合流継手48の場合は排水流出方向F2である。
【0047】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。本実施形態に係る配管構造20では、一時貯留槽30から第1横引き管31A,31Bを通じて排水することで、1本の横引き管しか接続されていない構成と比較して、より多くの排水処理量を確保できる。これにより、一時貯留槽30の上流側に位置する水廻り器具12での排水の溢れを抑制できる。浴槽12Aから一度に大量の排水を流しても、第1横引き管31A,31Bで排水が処理されるため、迅速に排水が排出される。
【0048】
第1横引き管31A,31Bを流れる排水は合流継手48で1つに合流するため、第2横引き管44の流量が高まり、第2横引き管44から竪管46への落とし込み部に速やかに満流を生じさせることができる。これにより、サイホン発生時間を短縮することができる。
特に、配管構造20の各部の流路断面積の大小関係をA1>A2>A3>A4のように設定していることから、第2横引き管44の流量を高めて、第2横引き管44から竪管46への落とし込み部に速やかに満流を生じさせることができる。これにより、サイホン発生時間をさらに短縮することができる。
【0049】
また、第1横引き管31A又は第1横引き管31Bの一方の横引き管に汚れが堆積したり異物が詰まったりした場合でも、第1横引き管31A又は第1横引き管31Bの他方の横引き管から排水を排出することができるため、排水不能となるリスクを軽減できる。
【0050】
さらに、第1横引き管31A,31Bとして、一般的なサイズである呼び径が25Jの管体を用いることで、配管の固定器具等として、従来品を用いることができる。
【0051】
また、第2横引き管44及び竪管46が硬質ポリ塩化ビニル管である場合、第2横引き管44及び竪管46としてポリブデン管を用いる構成に比べ、配管構造を安価に構成できる。
【0052】
配管構造20では、一時貯留槽30と第1横引き管31A,31Bが分岐継手28を介して接続されるため、例えば、一時貯留槽30に第1横引き管31A,31Bが直接接続される構成と比べて、一時貯留槽30の流出口30A周りの構造を簡単にできる。具体的には、一時貯留槽30に第1横引き管31A,31B用の流出口を設ける必要がないため、一時貯留槽30の流出口30A周りの構造が簡単で、さらに、一時貯留槽30の成形性が向上する。
【0053】
配管構造20では、分岐継手28の配管接続部29A,29Bの排水流入方向F1の位置がそれぞれ異なり、配管接続部29A,29Bの外周の一部が互いに排水流入方向F1で重なる。このため、例えば、配管接続部29A,29Bが排水流入方向F1で重ならない。言い換えると、配管接続部29A,29Bが排水流入方向F1と直交する方向に離隔している構成と比べて、分岐継手28のサイズを小さくできる。
また、合流継手48の配管接続部49A,49Bの排水流出方向F2の位置がそれぞれ異なり、配管接続部49A,49Bの外周の一部が互いに排水流出方向F2で重なる。このため、例えば、配管接続部49A,49Bが排水流出方向F2で重ならない。言い換えると、配管接続部49A,49Bが排水流出方向F2と直交する方向に離隔している構成と比べて、合流継手48のサイズを小さくできる。
【0054】
また、分岐継手28の配管接続部29A,29Bと合流継手48の配管接続部49A,49Bとそれぞれ接続される第1横引き管31A,31Bの間隔を近づけることができる。これにより、第1横引き管31A,31Bを敷設するときの第1横引き管の配置ピッチを狭くでき、施工時の設計自由度が向上する。
【0055】
また、一時貯留槽30内の排水が分岐継手28の直線管部28Aを介して第1横引き管31Aに流れ、分岐管部28Bを介して第1横引き管31Bに流れる。ここで、分岐継手28の直線管部28Aでは、一時貯留槽30内の排水が直線的に流れるため、流速の低下が少なく、合流継手48と竪管46との間の部分であって第2横引き管44から竪管46への落とし込み部に速やかに満流を生じさせることができる。これにより、サイホン発生時間を短縮することができる。
【0056】
配管構造20では、第1横引き管31Aを通して分岐継手28の直線管部28Aから合流継手48の分岐管部48Bへ排水が流れる。また、第1横引き管31Bを通して分岐継手28の分岐管部28Bから合流継手48の直線管部48Aへ排水が流れる。このため、分岐継手28で生じた流速の差が合流継手48で相殺される。これにより、第1横引き管31A,31Bにおける流れの偏りを抑制し、排水を速やかに第2横引き管44から竪管46への落とし込み部に流すことができる。
【0057】
そして、配管構造20では、配管接続部29A,29Bの外周の一部が互いに排水流入方向F1で重なるため、直線管部28Aの管軸方向と分岐管部28Bの管軸方向の角度を小さくすることができるため、分岐管部28Bにおける排水抵抗を低減することができる。また、配管接続部49A,49Bの外周の一部が互いに排水流出方向F2で重なるため、直線管部48Aの管軸方向と分岐管部48Bの管軸方向の角度を小さくすることができるため、分岐管部48Bにおける排水抵抗を低減することができる。
【0058】
以上のように、本実施形態によれば、一時貯留槽30に複数のサイホン排水管が設けられる構造において、排水処理量を確保しつつ、サイホン力発生時間を短縮することができる。
【0059】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0060】
また、前述の実施形態では、図4に示されるように、配管接続部29Aが配管接続部29Bよりも下流に位置しているが、本発明はこの構成に限定されない。図8に示されるように配管接続部29Bが配管接続部29Aよりも下流に位置してもよい。合流継手48も同様に、配管接続部49Bが配管接続部49Aよりも上流に位置してもよい。
【0061】
また、前述の実施形態では、分岐継手28が直線管部28Aと分岐管部28Bを有する構成としたが、分岐継手28の分岐の形式はこれに限定されず、任意の形式とすることが可能である。例えば、図9図12に示すように、Y字型の分岐継手68を用いてもよい。この分岐継手68は、上流側の主管部68Aと2股に分岐する分岐管部68B,68Cを備えている。主管部68Aには流出口30Aが接続される。分岐管部68B,68Cの下流端には、配管接続部69A,69Bがそれぞれ接続されている。配管接続部69A,69Bは、排水流入方向F1の位置がそれぞれ異なる。具体的には、配管接続部69Bは、配管接続部69Aよりも下流に位置している。また、配管接続部69Aには、第1横引き管31Aの上流端が接続され、配管接続部69Bには、第1横引き管31Bの上流端が接続されている。また、合流継手78は、下流側の主管部78Aと2股に分岐する分岐管部78B,78Cを備えている。主管部78Aには第2横引き管44が接続される。分岐管部78B,78Cの上流端には、配管接続部79B,79Aがそれぞれ接続されている。配管接続部79A,79Bは、排水流出方向F2の位置がそれぞれ異なる。具体的には、配管接続部79Bは、配管接続部79Aよりも下流に位置している。また、配管接続部79Aには、第1横引き管31Aの下流端が接続され、配管接続部79Bには、第1横引き管31Bの下流端が接続されている。このように分岐継手の形状及び合流継手の形状を変えても、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
また、前述の実施形態では、流出口30Aに異径継手34と分岐継手28を介して第1横引き管31A,31Bが接続されているが、本発明はこの構成に限定されない。異径継手34と分岐継手28を設けず、第1横引き管31A,31Bがそれぞれ直接的に一時貯留槽30に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
20…配管構造、22…排水立て管、28…分岐継手、30…一時貯留槽、30A…流出口、31A…第1横引き管、31B…第1横引き管、44…第2横引き管、46…竪管、48…合流継手(合流部)、50…通気管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12