(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078022
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】配管構造
(51)【国際特許分類】
E03C 1/122 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
E03C1/122 Z
E03C1/122 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191595
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 文弥
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061AA02
2D061AA04
2D061AA05
2D061AB10
2D061AC07
2D061AC08
(57)【要約】
【課題】一時貯留槽に複数のサイホン排水管が設けられる構造において、排水処理量を確保しつつ、サイホン発生時間を短縮する。
【解決手段】配管構造20は、排水系統に設けられる一時貯留槽30の下流側に分岐継手28を介して接続され、一時貯留槽30から排出された排水を横方向に排出する第1横引き管31A,31Bと、第1横引き管31A,31Bを1つに合流させる管継手48(合流部)と、管継手48の下流側に接続され、合流した排水を横方向に排出する第2横引き管44と、第2横引き管44の下流側に接続され、排水を流下させることにより第1横引き管31A,31B及び第2横引き管44にサイホン力を発生させる竪管46と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水系統に設けられる一時貯留槽の下流側に分岐継手を介して接続され、前記一時貯留槽から排出された排水を横方向に排出する複数の第1横引き管と、
前記複数の第1横引き管を1つに合流させる合流部と、
前記合流部の下流側に接続され、合流した前記排水を横方向に排出する第2横引き管と、
前記第2横引き管の下流側に接続され、前記排水を流下させることにより前記第1横引き管及び前記第2横引き管にサイホン力を発生させる竪管と、
を備えた配管構造。
【請求項2】
前記一時貯留槽において、排水流出口の径が排水流入口の径の±5%の範囲内にある、請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
前記一時貯留槽において、排水流出口の径が排水流入口の径以上である、請求項1に記載の配管構造。
【請求項4】
前記一時貯留槽の流出口の流路断面積をA1とし、前記複数の第1横引き管の流路断面積の合計をA2とし、第2横引き管の流路断面積をA3とし、前記竪管の流路断面積をA4とすると、A1>A2>A3>A4の関係を満たす、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の配管構造。
【請求項5】
前記一時貯留槽と前記合流部を接続する通気管を備え、
前記通気管から分岐した分岐管が前記分岐継手に接続されている、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の配管構造。
【請求項6】
前記第2横引き管及び前記竪管は、硬質ポリ塩化ビニル管である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
水廻り器具から排出された排水を一時的に貯留する一時貯留槽と、一時貯留槽に複数本接続され、一時貯留槽に貯留された排水にサイホン力を作用させて流出させるサイホン排水管とを有するサイホン排水システムが開示されている(特許文献1参照)。サイホン排水管は、一時貯留槽に接続される横引き管と、該横引き管の下流側に連通し、下方へ延びて排水立て管に合流する竪管とを備えて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来例では、サイホン排水管の内径を、従来のサイホン排水システムで用いられてきた内径20~25mmより小さくすることで、横引き管から竪管への落とし込み部に満流が速やかに生じるようにして、サイホン力が起動するまでの時間(サイホン発生時間)を短縮している。
【0005】
しかしながら、水廻り器具の単位時間あたりの排水量は、器具ごとに異なる。例えば便器からは一度に10リットル未満程度の排水が排出される一方、浴槽等からは一度に200リットル程度の排水が排出されることがある。このような大量の排水を排水する場合、内径が小さなサイホン排水管では排水に時間がかかる場合がある。また、横引き管が長い場合(例えば10m)、落とし込み部でサイホン発生に必要な流量を得るまでに時間がかかることでサイホン発生時間が長くなり、一時貯留槽に排水が滞留し易くなる。
【0006】
本発明は、一時貯留槽に複数のサイホン排水管が設けられる構造において、排水処理量を確保しつつ、サイホン発生時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る配管構造は、排水系統に設けられる一時貯留槽の下流側に分岐継手を介して接続され、前記一時貯留槽から排出された排水を横方向に排出する複数の第1横引き管と、前記複数の第1横引き管を1つに合流させる合流部と、前記合流部の下流側に接続され、合流した前記排水を横方向に排出する第2横引き管と、前記第2横引き管の下流側に接続され、前記排水を流下させることにより前記第1横引き管及び前記第2横引き管にサイホン力を発生させる竪管と、を備えている。
【0008】
第1の態様に係る配管構造では、一時貯留槽から複数の第1横引き管を通じて排水される。これにより、排水処理量を確保でき、一時貯留槽の上流側に位置する浴室等での排水の溢れを抑制できる。
また、第1の態様に係る配管構造では、合流部で複数の第1横引き管が1つに合流するため、第2横引き管の流量が高まり、第2横引き管から竪管への落とし込み部に速やかに満流を生じさせることができる。これにより、サイホン発生時間を短縮することができる。
さらに、第1の態様に係る配管構造では、一時貯留槽と複数の第1横引き管が分岐継手を介して接続されるため、例えば、一時貯留槽に複数の第1横引き管が直接接続される構成と比べて、一時貯留槽の排水流出口周りの構造を簡単にできる。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係る配管構造において、前記一時貯留槽において、排水流出口の径が排水流入口の径の±5%の範囲内にある。
【0010】
第2の態様に係る配管構造では、一時貯留槽の排水流出口の径が排水流入口の径の±5%の範囲内であることから、一時貯留槽に対する排水の流入量と排水の流出量とがほぼ等しく、十分な排水処理量を確保できる。これにより、一時貯留槽の上流側に位置する浴室等での排水の溢れを効果的に抑制できる。
【0011】
第3の態様は、第1の態様に係る配管構造において、前記一時貯留槽において、排水流出口の径が排水流入口の径以上である。
【0012】
第3の態様に係る配管構造では、一時貯留槽の排水流出口の径が排水流入口の径以上であることから、一時貯留槽に対する排水の流入量に対して排水の流出量能力が上回り、十分な排水処理量を確保できる。これにより、一時貯留槽の上流側に位置する浴室等での排水の溢れを効果的に抑制できる。
【0013】
第4の態様は、第1の態様~第3の態様のいずれか一態様に係る配管構造において、前記一時貯留槽の流出口の流路断面積をA1とし、前記複数の第1横引き管の流路断面積の合計をA2とし、第2横引き管の流路断面積をA3とし、前記竪管の流路断面積をA4とすると、A1>A2>A3>A4の関係を満たす。
【0014】
第4の態様に係る配管構造では、各部の流路断面積の大小関係をA1>A2>A3>A4を満たすように設定していることから、第2横引き管の流量を高めて、第2横引き管から竪管への落とし込み部に速やかに満流を生じさせることができる。これにより、サイホン発生時間を更に短縮することができる。
【0015】
第5の態様は、第1の態様~第3の態様のいずれか一態様に係る配管構造において、前記一時貯留槽と前記合流部を接続する通気管を備え、前記通気管から分岐した分岐管が前記分岐継手に接続されている。
【0016】
第5の態様に係る配管構造では、通気管から分岐した分岐管が分岐継手に接続されているので、例えば、分岐継手に通気管が接続されていない構成と比べて、第2横引き管から竪管への落とし込み部に速やかに満流を生じさせることができる。これにより、サイホン発生時間を更に短縮することができる。
【0017】
第6の態様は、第1の態様~第5の態様のいずれか一態様に係る配管構造において、前記第2横引き管及び前記竪管が、硬質ポリ塩化ビニル管である。
【0018】
第6の態様に係る配管構造では、第2横引き管及び竪管が硬質ポリ塩化ビニル管であることから、第2横引き管及び竪管としてポリブデン管を用いる構成に比べ、配管構造を安価に構成できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、一時貯留槽に複数のサイホン排水管が設けられる構造において、排水処理量を確保しつつ、サイホン力発生時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態に係る配管構造を示す側面図である。
【
図2】本実施形態に係る配管構造を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る配管構造を示す平面図である。
【
図4】
図3において矢印4で指し示す部分の拡大図である。
【
図6】
図3において矢印6で指し示す部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一又は同様の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。また、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0022】
図1には、本実施形態に係る配管構造20の概略が示されている。配管構造20は、サイホン力を利用して水廻り器具12からの排水を排出するサイホン排水システムの構造である。配管構造20は、一例として、多層に形成された共同住宅10に用いられている。
図2に示されるように、この配管構造20は、複数(本実施形態では一対)の第1横引き管31A,31Bと、合流部の一例としての管継手48と、第2横引き管44と、竪管46とを備えている。第1横引き管31A,31Bから竪管46までの部分をサイホン排水管40と呼ぶこともできる。
【0023】
配管構造20は、排水を下方へ流す排水立て管22を備えている。排水立て管22は、共同住宅10において平面上の異なる場所に複数設けられている。例えば排水立て管22は、共同住宅10の各階の各住戸とは壁で区画された配管スペース(パイプスペース等とも称す)内に上下方向(縦方向)に沿って収容されており、共同住宅10の各階のスラブ14を貫いている。
【0024】
共同住宅10の各住戸には、水廻り器具12が設けられている。水廻り器具12は、例えば浴室ユニットであり、浴槽12A及び洗い場12Bが一体化されて形成されている。水廻り器具12には、排水導入管24の一端が接続されている。
【0025】
排水導入管24の他端は、一時貯留槽30と接続されている。これにより、排水導入管24は、水廻り器具12の浴槽12A及び洗い場12Bから排出される排水を、一時貯留槽30へ導入する。なお、排水導入管24は、一時貯留槽30側が低くなるように勾配をもって配設されていることが好ましい。また、排水導入管24は、例えば呼び径が50A(内径が50mm)とされている。
【0026】
一時貯留槽30は、水廻り器具12から排水導入管24を介して導入された排水を、一時的に貯留して排水立て管22へ排出するための容器である。この一時貯留槽30の排水導入管24が接続される排水流入口としての流入口30Bの径は、排水導入管24と同じ径とされている。ここでは、流入口30Bの内径が53mmとされている。一時貯留槽30は、例えば硬質ポリ塩化ビニル等の樹脂材料で形成されている。一時貯留槽30における排水の下流側には、本実施形態に係る配管構造20が接続されている。
【0027】
図3に示されるように、排水系統に設けられる一時貯留槽30の排水流出口としての流出口30A(
図5参照)の下流側には、分岐継手28が接続されている。この流出口30Aの内径は、例えば約53mmとされている。また、流出口30Aの径(内径)は、流入口30Bの径(内径)の±5%の範囲内に設定されている。なお、流出口30Aの径(内径)を流入口30Bの径の±3%の範囲内に設定することが好ましい。さらに、流出口30Aの径は、流入口30Bの径以上に設定してもよい。
【0028】
図4及び
図5に示されるように、分岐継手28は、例えば直線管部28Aと、該直線管部28Aから二股に分岐する分岐管部28Bとを有する構造とされている。なお、本実施形態の分岐継手28は、平面視で、略Y字型の継手であるが、本発明はこれに限定されない。また、直線管部28Aは、上流に位置し、一対の分岐管部28Bは下流に位置している。すなわち、直線管部28Aが流出口30Aに接続され、一方の分岐管部28Bに第1横引き管31Aが接続され、他方の分岐管部28Bに第1横引き管31Bが接続されている。なお、本実施形態では、一対の分岐管部28Bの下流端同士は、互いに平行とされている。
【0029】
図2及び
図3に示されるように、分岐継手28には、後述する通気管50から分岐した分岐管50Aが接続されている。具体的には、分岐継手28が備える通気管部28Cに分岐管50Aが接続されている。通気管部28Cは、直線管部28Aの管軸方向と交差する方向が管軸方向となるように分岐継手28に設けられている。なお、本実施形態では、通気管部28Cの管軸方向が直線管部28Aの管軸方向と直交している。
【0030】
図2及び
図3に示されるように、第1横引き管31A,31Bは、例えばそれぞれスラブ14に沿って、水平方向において互いに略平行に配設される管である。第1横引き管31A,31Bは、分岐継手28の下流側に接続され、一時貯留槽30から排出された排水を横方向に排出する水平管である。第1横引き管31A,31Bは、例えば呼び径が25J(内径が約28.1mm)のポリブデン管で形成され、スラブ14上で水平方向に沿って無勾配で配設されている。なお、ここでの無勾配とは、厳密に水平方向である必要はなく、スラブ14に沿って多少の段差や勾配のあるものを含む。第1横引き管31Aの上流端は、分岐継手28における一方の分岐管部28Bの配管接続部に接続されている。第1横引き管31Bの上流端は、分岐継手28における他方の分岐管部28Bの配管接続部に接続されている。なお、2本の第1横引き管31A,31Bは、敷設される場所の状況に応じて、必ずしも互いに平行でなくてもよい。
【0031】
図3及び
図6に示されるように、管継手48は、第1横引き管31A,31Bを1つに合流させる。この管継手48は、例えば直線管部48Aと、該直線管部48Aから二股に分岐する分岐管部48Bとを有する構造とされている。なお、管継手48は、平面視で、略Y字型の継手であるが、本発明はこれに限定されない。また、直線管部48Aは、下流に位置し、一対の分岐管部48Bは上流に位置している。すなわち、一方の分岐管部48Bの配管接続部に第1横引き管31Aの下流端が接続され、他方の分岐管部48Bの配管接続部に第1横引き管31Bの下流端が接続されている。また、直線管部48Aの配管接続部に第2横引き管44の上流端が接続されている。なお、一対の分岐管部48Bの上流端同士は、互いに平行とされている。
【0032】
第1横引き管31Aの上流端は、分岐継手28における一方の分岐管部28Bの配管接続部に接続され、第1横引き管31Aの下流端は、管継手48における一方の分岐管部48Bの配管接続部に接続されている。
また、第1横引き管31Bの上流端は、分岐継手28における他方の分岐管部28Bの配管接続部に接続され、第1横引き管31Bの下流端は、管継手48における他方の分岐管部48Bの配管接続部に接続されている。
【0033】
第2横引き管44は、例えばスラブ14に沿って配設された管であり、管継手48の下流側に接続され、合流した排水を横方向に排出する。この第2横引き管44の上流端は管継手48における直線管部48Aの配管接続部に接続されている。また、第2横引き管44は、例えば呼び径が30A(内径が30mm)の硬質ポリ塩化ビニル管で形成され、スラブ14上で水平方向に沿って無勾配で配設されている。
【0034】
竪管46は、第2横引き管44の下流側に接続され、排水を流下させることにより第1横引き管31A,31B及び第2横引き管44にサイホン力を発生させる部位である。竪管46は、例えば呼び径が25A(内径が25mm)の硬質ポリ塩化ビニル管である。竪管46は、排水立て管22に沿って、例えば上下方向(鉛直方向)に配設されている。竪管46の下流端は、合流部継手26に達している。合流部継手26は、竪管46からの排水を排水立て管22へ合流させる管継手である。管継手48から竪管46までの長さは、例えば500~1000mmであってもよい。合流部である管継手48は、壁18より外側のメーターボックスではなく、例えば壁18より内側、つまり住戸側に位置している。
【0035】
第2横引き管44と竪管46との境界に位置する落とし込み部は、連続したベント管として図示されているが、このベント管部分にエルボ等の管継手を配置してもよい。ここに管継手を配置する場合、当該管継手に点検口等を適宜設けることができる。第2横引き管44から竪管46への落とし込み部は、住戸の壁18の外側の例えばメーターボックス内に配置される。
【0036】
一時貯留槽30には、さらに通気管50が接続されており、通気管50は、合流部継手26に達している。また、通気管50は、途中で分岐する分岐管50Aを備えている。この分岐管50Aは、分岐継手28の通気管部28Cに接続されている。
【0037】
一時貯留槽30における流出口30Aの流路断面積をA1とし、第1横引き管31A,31Bの流路断面積の合計をA2とし、第2横引き管44の流路断面積をA3とし、竪管46の流路断面積をA4とすると、A1>A2>A3>A4の関係を満たす。上記した各管の内径から断面積を算出すると、A1≒2206mm2、A2≒1240mm2、A3≒707mm2、A4≒491mm2であり、上記関係が満たされている。
【0038】
なお、流路断面積が一定でない場合、該流路断面積は、平均流路断面積を意味する。流出口30Aの流路断面積A1は、断面積が略一定となった出口部分の平均流路断面積を意味する。
【0039】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。本実施形態に係る配管構造20では、一時貯留槽30から第1横引き管31A,31Bを通じて排水することで、1本の横引き管しか接続されていない構成と比較して、より多くの排水処理量を確保できる。これにより、一時貯留槽30の上流側に位置する水廻り器具12での排水の溢れを抑制できる。浴槽12Aから一度に大量の排水を流しても、第1横引き管31A,31Bで排水が処理されるため、迅速に排水が排出される。
【0040】
第1横引き管31A,31Bを流れる排水は管継手48で合流し、第2横引き管44を通じて竪管46へ導かれる。そして竪管46内を排水が落下することに伴い、第1横引き管31A,31B及び第2横引き管44にサイホン力が作用する。サイホン力が発生すると、一時貯留槽30に貯留された排水が速やかに排出される。
【0041】
また、第1横引き管31A,31Bを流れる排水は管継手48で1つに合流するため、第2横引き管44の流量が高まり、第2横引き管44から竪管46への落とし込み部に速やかに満流を生じさせることができる。これにより、サイホン発生時間を短縮することができる。
特に、配管構造20の各部の流路断面積の大小関係をA1>A2>A3>A4のように設定していることから、第2横引き管44の流量を高めて、第2横引き管44から竪管46への落とし込み部に速やかに満流を生じさせることができる。これにより、サイホン発生時間を更に短縮することができる。
【0042】
また、一方の第1横引き管31A,31Bに汚れが堆積したり異物が詰まったりした場合でも、他方の第1横引き管31A,31Bから排水を排出することができるため、排水不能となるリスクを軽減できる。
【0043】
更に、第1横引き管31A,31Bとして、一般的なサイズである呼び径が25Jの管体を用いることで、配管の固定器具等として、従来品を用いることができる。
【0044】
また、第2横引き管44及び竪管46が硬質ポリ塩化ビニル管である場合、第2横引き管44及び竪管46としてポリブデン管を用いる構成に比べ、配管構造を安価に構成できる。
【0045】
配管構造20では、一時貯留槽30と第1横引き管31A,31Bが分岐継手28を介して接続されるため、例えば、一時貯留槽30に第1横引き管31A,31Bが直接接続される構成と比べて、一時貯留槽30の流出口30A周りの構造を簡単にできる。具体的には、一時貯留槽30に第1横引き管31A,31B用の流出口を設ける必要がないため、一時貯留槽30の流出口30A周りの構造が簡単で、更に、一時貯留槽30の成形性が向上する。
【0046】
また、通気管50から分岐した分岐管50Aが分岐継手28に接続されているので、例えば、分岐継手28に通気管50が接続されていない構成と比べて、第2横引き管44から竪管46への落とし込み部に速やかに満流を生じさせることができる。これにより、サイホン発生時間を更に短縮することができる。
【0047】
また、一時貯留槽30の流出口30Aの径が流入口30Bの径の±5%の範囲内である場合、一時貯留槽30に対する排水の流入量と排水の流出量とがほぼ等しくなり、十分な排水処理量を確保できる。これにより、一時貯留槽30の上流側に位置する浴室等での排水の溢れを効果的に抑制できる。
【0048】
さらに、一時貯留槽30の流出口30Aの径が流入口30Bの径以上である場合、一時貯留槽30に対する排水の流入量に対して排水の流出量能力が上回り、十分な排水処理量を確保できる。これにより、一時貯留槽30の上流側に位置する浴室等での排水の溢れを効果的に抑制できる。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、一時貯留槽30に複数のサイホン排水管が設けられる構造において、排水処理量を確保しつつ、サイホン力発生時間を短縮することができる。
【0050】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0051】
例えば、分岐継手28が直線管部28Aと一対の分岐管部28Bを備えるものとしたが、分岐の形式はこれに限られず、任意の形式とすることが可能である。管継手48についても同様である。
【符号の説明】
【0052】
20…配管構造、22…排水立て管、28…分岐継手、30…一時貯留槽、30A…流出口(排水流出口)、30B…流入口(排水流入口)、31A…第1横引き管、31B…第1横引き管、44…第2横引き管、46…竪管、48…管継手(合流部)、50…通気管、50A…分岐管