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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078025
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20230530BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20230530BHJP
【FI】
H01R13/11 D
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191598
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 徹馬
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB02
5E223AB45
5E223AB71
5E223AB76
5E223BA07
5E223BB01
5E223CB22
5E223CB39
5E223CD01
5E223DB11
5E223EA03
(57)【要約】
【課題】列間方向の位置が異なる接触部を備えるコネクタにおいて、コネクタを列間方向で小型化する。
【解決手段】コネクタ100は、列間方向で互いに異なる位置に挿入される第一接続対象物41A及び第二接続対象物41Bと接続可能なコネクタである。コネクタ100は、ハウジング20と、第一接続対象物41Aと接続可能な第一端子10Aと、第二接続対象物41Bと接続可能な第二端子10Bと、を備える。ここで、列間方向のうち第二接続対象物41Bの側を列間方向一方側、列間方向のうち第一接続対象物41Aの側を列間方向他方側としたとき、第一端子10Aは、列間方向一方側から第一接続対象物41Aに接触する弾性変形可能な第一接触片15Aを有し、第二端子10Bは、列間方向他方側から第二接続対象物41Bと接触する弾性変形可能な第二接触片15Bを有する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列間方向で互いに異なる位置に挿入される第一接続対象物及び第二接続対象物と接続可能なコネクタであって、
前記コネクタは、
ハウジングと、
前記第一接続対象物と接続可能な第一端子と、
前記第二接続対象物と接続可能な第二端子と、を備え、
前記列間方向のうち前記第二接続対象物の側を前記列間方向一方側、前記列間方向のうち前記第一接続対象物の側を前記列間方向他方側としたとき、
前記第一端子は、前記列間方向一方側から前記第一接続対象物に接触する弾性変形可能な第一接触片を有し、
前記第二端子は、前記列間方向他方側から前記第二接続対象物に接触する弾性変形可能な第二接触片を有する、
コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、
前記第一接続対象物が挿入される空間の前記列間方向一方側の壁を構成する第一内側壁と、
前記第二接続対象物が挿入される空間の前記列間方向他方側の壁を構成する第二内側壁と、を有し、
前記第一内側壁には、前記第一接触片の少なくとも一部が配置される配置溝が形成され、
前記第二内側壁には、前記第二接触片の少なくとも一部が配置される配置溝が形成される、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第一接触片及び前記第二接触片は、前記列間方向に垂直な配列方向に関し異なる位置に配置される、
請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第一接触片及び前記第二接触片は、前記列間方向に垂直な配列方向に関し異なる位置に配置され、
前記第一内側壁及び前記第二内側壁は、前記配列方向で連結されている、
請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第一接触片及び前記第二接触片の片方又は両方は、互いに独立して弾性変形可能な複数の弾性腕を有する、
請求項1~請求項4の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第一接触片及び前記第二接触片の片方又は両方は、互いに独立して弾性変形可能な複数の弾性腕を有し、
前記第一接触片及び前記第二接触片は、前記列間方向に垂直な配列方向に関し異なる位置に配置され、
前記第一接触片及び前記第二接触片は、前記配列方向から見て一部が重なるように配置される、
請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記第一端子は、前記第一接触片を支持する第一基部を有し、
前記第二端子は、前記第二接触片を支持する第二基部を有し、
前記第一接触片及び前記第二接触片の片方又は両方は、
前記第一接続対象物及び前記第二接続対象物の接続方向と略平行に延びる一般部と、
前記一般部と前記第一基部又は前記第二基部を接続し、前記第一基部又は前記第二基部に向かって前記接続方向に対して前記列間方向のうち前記第一接続対象物又は前記第二接続対象物から離れる方向に傾斜した方向に延びる傾斜部と、を有する、
請求項1~請求項6の何れか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子、コネクタ、コネクタセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されたようなコネクタが知られている。
【0003】
特許文献1のコネクタは、ハウジングと、ハウジングに保持される下段の端子及び上段の端子と、を備えている。下段の端子及び上段の端子の各々は、相手端子と接触する接触片と、ハウジングに保持される支持片と、基板Pへ半田付けされる脚部と、を有している。
【0004】
ハウジングには、接続対象物が挿入される下段の嵌合凹部及び上段の嵌合凹部が形成される。下段の端子の接触片は、ハウジングの下段の嵌合凹部に配置され、上段の端子の接触片は、ハウジングの上段の嵌合凹部に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-12717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のようなコネクタでは、コネクタを基板等の取付対象物に取り付ける工程は、通常、リフロー半田付けにより行われる。しかし、リフロー環境下で受ける熱によりハウジングの変形(樹脂の膨張による変形)が生じ、その影響によりハウジングが保持する複数の端子が変位してしまうことがある。その結果、複数の端子の各々が有する接続部(取付対象物と接続する部分)が端子ごとに異なる変位をし、接続部と取付対象物との間の距離が端子ごとに異なることとなって、接続部を適切に半田付けできないという問題が生じうる。
特に、上記コネクタの下段の端子及び上段の端子は、ハウジングの高さ方向において互いに異なる位置に保持されているので、ハウジングの変形(特に膨張による変形)が生じた際の端子の動きが異なるものとなりやすい。
そこで、本開示の第1の課題は、互いに形状が異なる端子を備えるコネクタにおいて、半田付け不良の発生を抑制することである。
【0007】
また、上記技術では、接触片の弾性変形を許容するために、接触片の背後(上方向)にスペースが形成されている。そのため、コネクタが上下方向においては大型化してしまう傾向がある。
そこで、本開示の第2の課題は、列間方向の位置が異なる接触部を備えるコネクタにおいて、コネクタを列間方向で小型化することである。
【0008】
また、上記のようなコネクタと接続対象物とが接続された状態で接続対象物に振動や衝撃が加わると、端子のうち接続対象物と接触する接点の部分を中心として接続対象物が回転するような動きをし、その結果、回転の中心となる接点で微摺動によるめっき削れが生じることとなって、接続信頼性が損なわれる恐れがある。
そこで、本開示の第3の課題は、接続対象物と接触する接点における微摺動を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1-1の態様に係るコネクタは、取付対象物の取付面に取付可能に構成され、接続対象物と接続可能なコネクタであって、ハウジングと、前記取付面に平行な方向となる配列方向に沿って配列されるように前記ハウジングに保持された複数の端子と、を備え、前記複数の端子の各々は、前記ハウジングに保持された被保持部と、前記取付対象物と接続されるための接続部と、を有し、前記複数の端子は、互いに形状が異なる第一端子及び第二端子とを含み、前記第一端子の前記被保持部及び前記第二端子の前記被保持部は、前記取付面に垂直な上下方向に関して同じ位置に位置する。
【0010】
この態様では、コネクタは、取付対象物の取付面に取付可能に構成され、接続対象物と接続可能である。コネクタは、ハウジングと、複数の端子と、を備える。複数の端子は、配列方向に沿って配列されるようにハウジングに保持されている。配列方向は、コネクタを取付面に取り付けた状態で、取付面に平行な方向となる。
ここで、複数の端子は、互いに形状が異なる第一端子及び第二端子とを含む。このため、第一端子及び第二端子に、それぞれ異なる役割を持たせることができる。
【0011】
更に、第一端子の被保持部と第二端子の被保持部とは、取付面に垂直な上下方向に関して同じ位置に位置する。
このため、この態様では、第一端子の被保持部と第二端子の被保持部とが取付面に垂直な上下方向に関して異なる位置に位置する態様(特許文献1参照)と比較して、ハウジングの変形(特に膨張による変形)による端子の変位に関し、第一端子と第二端子とで差が生じづらい。その結果、接続部と取付面との間の距離が端子ごとに異なってしまうことが抑制され、取付対象物への半田付け不良が抑制される。
【0012】
なお、ここでいう「同じ位置」とは、製造誤差による違いを許容する趣旨である。
例えば、少なくとも次の場合は「同じ位置」といえる。
・上下方向で位置がズレている場合において、そのズレの大きさが、ハウジングの上下方向の寸法の1/50以下である場合
【0013】
第1-2の態様に係るコネクタは、第1-1の態様において、前記第一端子及び前記第二端子の各々は、前記接続対象物に接触する接触部と、前記接触部を支持する基部と、前記基部とは別に形成され、圧入方向に向けて突出する圧入突出部と、を有し、前記圧入突出部は、前記ハウジングに圧入されて前記被保持部として機能する。
【0014】
この態様では、第一端子及び第二端子の各々は、接続対象物に接触する接触部と、接触部を支持する基部と、を有する。
また、第一端子及び第二端子の各々は、基部とは別に形成され、圧入方向に向けて突出する圧入突出部を有する。この圧入突出部は、ハウジングに圧入されて被保持部として機能する。
このため、第一端子及び第二端子の圧入突出部以外の部分の形状を、第一端子と第二端子とで大きく異ならせる場合でも、第一端子の被保持部及び第二端子の被保持部が保持される位置を同一の位置にすることが容易である。
すなわち、例えば、接触部を支持する基部をハウジングに圧入する場合も考えられる。しかし、その場合、被保持部の上下方向の位置を第一端子と第二端子とで同じ位置にするには、基部の形状を第一端子と第二端子とで同じにする必要がある。これに対し、基部とは別に形成された圧入突出部をハウジングに圧入して被保持部とすることで、被保持部の上下方向に関する位置を第一端子及び第二端子で同じ位置に形成しやすくなる。
【0015】
第1-3の態様に係るコネクタは、第1-2の態様において、前記第一端子及び前記第二端子の各々は、前記基部と前記接続部とを繋ぐ中継部を有し、前記圧入突出部は、前記中継部から前記圧入方向に向けて突出する。
【0016】
この態様では、第一端子及び第二端子の各々は、基部と接続部とを繋ぐ中継部を有する。圧入突出部は、中継部から圧入方向に向けて突出する。
このため、この態様では、圧入突出部が中継部以外の部分から突出する態様と比較して、圧入突出部を接続部の近くに形成することができる。圧入突出部を接続部の近くに形成すると、ハウジングの変形の影響を直接受ける部分である圧入突出部と、その影響で変位する部分である接続部との間の距離を短くすることができ、その結果、接続部が大きく変位することを防止することができる。
【0017】
第1-4の態様に係るコネクタは、第1-1~第1-3の何れかの態様において、前記コネクタは、前記取付面に沿う方向を接続方向として前記接続対象物と接続可能なコネクタである。
【0018】
この態様では、コネクタは、取付面に沿う方向を接続方向として接続対象物と接続可能なコネクタ、つまりライトアングルタイプのコネクタである。
【0019】
第1-5の態様に係るコネクタは、第1-1~第1-3の何れかの態様において、前記コネクタは、前記取付面に沿う方向を接続方向として前記接続対象物と接続可能なコネクタであり、前記第一端子の前記接触部及び前記第二端子の前記接触部は、前記取付面に垂直な方向で互いに異なる位置に位置する。
【0020】
この態様では、コネクタは、ライトアングルタイプのコネクタであり、第一端子の接触部及び第二端子の接触部は、取付面に垂直な方向で互いに異なる位置に位置する。
このため、取付面に垂直な方向で互いに異なる位置に配置される第一接続対象物及び第二接続対象物と接続可能なコネクタとすることができる。
【0021】
第1-6の態様に係るコネクタは、第1-1~第1-5の何れかの態様において、前記複数の端子は、複数の前記第一端子と、複数の前記第二端子と、を含み、複数の前記第一端子と複数の前記第二端子とは、前記配列方向に沿って交互に配置される。
【0022】
この態様では、複数の端子は、複数の第一端子と、複数の第二端子と、を含む。そして、複数の第一端子と複数の第二端子とは、配列方向に沿って交互に配置される。
これにより、互いに異なる役割を有する第一端子及び第二端子を交互に配置することができる。
【0023】
第1-7の態様に係るコネクタは、第1-1~第1-6の何れかの態様において、前記第一端子及び前記第二端子の各々は、板厚方向を前記配列方向に向ける端子である。
【0024】
この態様では、第一端子及び第二端子の各々は、板厚方向を配列方向に向ける端子である。
このため、配列方向においてコネクタが小型化される。
【0025】
第2-1の態様に係るコネクタは、列間方向で互いに異なる位置に挿入される第一接続対象物及び第二接続対象物と接続可能なコネクタであって、前記コネクタは、ハウジングと、前記第一接続対象物と接続可能な第一端子と、前記第二接続対象物と接続可能な第二端子と、を備え、前記列間方向のうち前記第二接続対象物の側を前記列間方向一方側、前記列間方向のうち前記第一接続対象物の側を前記列間方向他方側としたとき、前記第一端子は、前記列間方向一方側から前記第一接続対象物に接触する弾性変形可能な第一接触片を有し、前記第二端子は、前記列間方向他方側から前記第二接続対象物に接触する弾性変形可能な第二接触片を有する。
【0026】
この態様では、コネクタは、列間方向で互いに異なる位置に挿入される第一接続対象物及び第二接続対象物と接続可能なコネクタである。コネクタは、ハウジングと、第一接続対象物と接続可能な第一端子と、第二接続対象物と接続可能な第二端子と、を備える。
ここで、列間方向のうち第二接続対象物の側を列間方向一方側、列間方向のうち第一接続対象物の側を列間方向他方側としたとき、第一端子は、列間方向一方側から第一接続対象物に接触する弾性変形可能な第一接触片を有し、第二端子は、列間方向他方側から第二接続対象物に接触する弾性変形可能な第二接触片を有する。
このため、列間方向においてコネクタを小型化できる。
【0027】
すなわち、特許文献1の下段の端子を第一端子、上段の端子を第二端子として把握した場合、特許文献1では、第一接触片及び第二接触片が、共に列間方向一方側から各接続対象物に接触する。そのため、第二端子に接続する接続対象物(第二接続対象物)が挿入される空間よりも列間方向一方側に、第二接触片が変位するための空間が必要になっている。この空間は、列間方向においてコネクタが大型化してしまう要因となり得る。
これに対し、この態様では、第二接続対象物が挿入される空間よりも列間方向一方側に第二接触片が変位するための空間が必要なく、また、第一接続対象物が挿入される空間よりも列間方向他方側に第一接触片が変位するための空間が必要ない。つまり、第一接続対象物及び第二接続対象物が配置される空間よりも列間方向外側に、第一接触片又は第二接触片が変位するための空間を設ける必要がない。このため、列間方向においてコネクタを小型化できる。
【0028】
第2-2の態様に係るコネクタは、第2-1の態様において、前記ハウジングは、前記第一接続対象物が挿入される空間の前記列間方向一方側の壁を構成する第一内側壁と、前記第二接続対象物が挿入される空間の前記列間方向他方側の壁を構成する第二内側壁と、を有し、前記第一内側壁には、前記第一接触片の少なくとも一部が配置される配置溝が形成され、前記第二内側壁には、前記第二接触片の少なくとも一部が配置される配置溝が形成される。
【0029】
この態様では、ハウジングは、第一内側壁と、第二内側壁と、を有する。第一内側壁は、第一接続対象物が挿入される空間の列間方向一方側の壁を構成する壁であり、第二内側壁は、第二接続対象物が挿入される空間の列間方向他方側の壁を構成する壁である。そして、第一内側壁及び第二内側壁の各々は配置溝を有し、それぞれの配置溝に第一接触片又は第二接触片の少なくとも一部が配置される、
すなわち、第一内側壁の配置溝の内部に第一接触片が変位するための空間が形成され、第二内側壁の配置溝の内部に第二接触片が変位するための空間が形成される。
このため、第一内側壁によって第一接触片を保護することができ、第二内側壁によって第二接触片を保護することができる。
【0030】
第2-3の態様に係るコネクタは、第2-1又は第2-2の態様において、前記第一接触片及び前記第二接触片は、前記列間方向に垂直な配列方向に関し異なる位置に配置される。
【0031】
この態様では、第一接触片及び第二接触片は、列間方向に垂直な配列方向に関し異なる位置に配置される。
このため、第一接触片と第二接触片とが配列方向から見て一部重なるか、又は接触片同士とが重ならなくても接触片に近接する部分同士(例えば基部同士)が配列方向から見て一部重なるように配置することができ、より一層列間方向でのコネクタの小型化が容易となる。
【0032】
第2-4の態様に係るコネクタは、第2-2の態様において、前記第一接触片及び前記第二接触片は、前記列間方向に垂直な配列方向に関し異なる位置に配置され、前記第一内側壁及び前記第二内側壁は、前記配列方向で連結されている。
【0033】
この態様では、第一内側壁及び第二内側壁は、配列方向で連結されている。
このため、第一内側壁及び第二内側壁が連結されていない態様と比較して、第一内側壁及び第二内側壁の強度を確保することができる。また、第一内側壁及び第二内側壁が列間方向で連結されている態様と比較して、列間方向でのコネクタの小型化に有利な構造となる。
【0034】
第2-5の態様に係るコネクタは、第2-1~第2-4の何れかの態様において、前記第一接触片及び前記第二接触片の片方又は両方は、互いに独立して弾性変形可能な複数の弾性腕を有する。
【0035】
この態様では、第一接触片及び第二接触片の片方又は両方は、互いに独立して弾性変形可能な複数の弾性腕を有する。
このため、第一接続対象物及び第二接続対象物の片方又は両方に対し、多接点による弾性接触を実現できる。
【0036】
第2-6の態様に係るコネクタは、第2-1又は第2-2の態様において、前記第一接触片及び前記第二接触片の片方又は両方は、互いに独立して弾性変形可能な複数の弾性腕を有し、前記第一接触片及び前記第二接触片は、前記列間方向に垂直な配列方向に関し異なる位置に配置され、前記第一接触片及び前記第二接触片は、前記配列方向から見て一部が重なるように配置される。
【0037】
この態様では、第一接触片及び第二接触片の片方又は両方は、互いに独立して弾性変形可能な複数の弾性腕を有するので、第一接触片や第二接触片が大きくなりやすい。
ここで、第一接触片及び第二接触片は、列間方向に垂直な配列方向に関し異なる位置に配置され、第一接触片及び第二接触片は、配列方向から見て一部が重なるように配置される。
このため、大きくなりやすい第一接触片及び第二接触片を配列方向から見て一部が重なるように配置することとなるので、列間方向でのコネクタの小型化に有利な構造となる。
【0038】
第2-7の態様に係るコネクタは、第2-1~第2-6の何れかの態様において、前記第一端子は、前記第一接触片を支持する第一基部を有し、前記第二端子は、前記第二接触片を支持する第二基部を有し、前記第一接触片及び前記第二接触片の片方又は両方は、前記第一接続対象物及び前記第二接続対象物の接続方向と略平行に延びる一般部と、前記一般部と前記第一基部又は前記第二基部を接続し、前記第一基部又は前記第二基部に向かって前記接続方向に対して前記列間方向のうち前記第一接続対象物又は前記第二接続対象物から離れる方向に傾斜した方向に延びる傾斜部と、を有する。
【0039】
この態様では、第一端子及び第二端子の各々は、接触片を支持する基部(第一基部、第二基部)を有する。
そして、第一接触片及び第二接触片の片方又は両方は、接続方向と略平行に延びる一般部と、一般部と基部を接続する傾斜部と、を有する。傾斜部は、基部に向かって接続方向に対して列間方向のうち接続対象物(第一接続対象物又は第二接続対象物)から離れる方向に傾斜した方向に延びる。
このため、接触片が傾斜部を有しない態様と比較して、接触片の接続方向での拡大を抑制しつつ接触片の長さを確保できる。その結果、接続方向でのコネクタの小型化に有利な構造となる。
【0040】
第3-1の態様に係る端子は、挿入方向に沿って挿入される接続対象物と接続可能な端子であって、前記端子は、前記接続対象物に前記挿入方向に垂直な挟持方向の一方側から接触する第一接触部と、前記接続対象物に前記挟持方向の他方側から接触する第二接触部と、を有し、前記第一接触部は、第一接点と、前記第一接点よりも前記挿入方向奥側に位置する第二接点と、を有し、前記第二接触部は、第三接点と、前記第三接点よりも前記挿入方向奥側に位置する第四接点と、を有し、前記第三接点と前記第四接点の少なくともいずれか一方は、前記挿入方向で前記第一接点と前記第二接点との間に位置する。
【0041】
この態様では、端子は、挿入方向に沿って挿入される接続対象物と接続可能な端子である。端子は、接続対象物に挟持方向の一方側から接触する第一接触部と、接続対象物に挟持方向の他方側から接触する第二接触部と、を有する。挟持方向は、挿入方向に垂直な方向である。このため、接続状態において、接続対象物は、挟持方向の両側から挟持されたような状態となる。
また、第一接触部は、第一接点と、第一接点よりも挿入方向奥側に位置する第二接点と、を有し、第二接触部は、第三接点と、第三接点よりも挿入方向奥側に位置する第四接点と、を有する。このため、端子は、少なくとも4点で接続対象物に接触する。
【0042】
ここで、第三接点と第四接点の少なくともいずれか一方は、挿入方向で第一接点と第二接点との間に位置する。
このため、この態様では、第三接点と第四接点のいずれもが挿入方向で第一接点と第二接点との間に位置しない態様と比較して、接続対象物の回転(挿入方向及び挟持方向の両方に垂直な方向から見た場合の回転)が抑制され、その結果、各接点における微摺動が抑制される。
【0043】
第3-2の態様に係る端子は、第3-1の態様において、前記第三接点と前記第四接点のいずれか一方は、前記挿入方向で前記第一接点と前記第二接点との間に位置し、前記第一接点と前記第二接点のいずれか一方は、前記挿入方向で前記第三接点と前記第四接点との間に位置する。
【0044】
この態様では、第三接点と第四接点のいずれか一方は、挿入方向で第一接点と第二接点との間に位置し、第一接点と第二接点のいずれか一方は、挿入方向で第三接点と第四接点との間に位置する。
このため、第三接点と第四接点のいずれか一方、第一接点及び第二接点により三角形が形成され、かつ、第一接点と第二接点のいずれか一方、第三接点及び第四接点により三角形が形成される。そして、これら2つの三角形は、底辺と頂点との位置が挟持方向で逆転する関係になる。したがって、接続対象物の回転がより効果的に抑制される。
【0045】
第3-3の態様に係る端子は、第3-1又は第3-2の態様において、前記第一接点及び前記第二接点は、それぞれ、互いに独立に弾性変形可能な第一弾性腕及び第二弾性腕に形成される。
【0046】
この態様では、第一接点及び第二接点は、それぞれ、互いに独立に弾性変形可能な第一弾性腕及び第二弾性腕に形成される。
このため、第一接点及び第二接点をそれぞれ適切な接触圧で接続対象物に接触させることができる。
【0047】
第3-4の態様に係る端子は、第3-1又は第3-2の態様において、前記第一接点及び前記第二接点は、それぞれ、互いに独立に弾性変形可能な第一弾性腕及び第二弾性腕に形成され、前記第一弾性腕には、前記挿入方向に対して傾斜した傾斜部であって、挿入途中の前記接続対象物が当該傾斜部に接触すると前記第一接点が変位するように構成された前記傾斜部が形成され、前記第四接点は、前記挿入方向で前記第一接点と前記第二接点との間に位置し、前記第三接点は、前記挿入方向で前記傾斜部が形成された範囲に位置する。
【0048】
この態様では、第一弾性腕には、挿入方向に対して傾斜した傾斜部が形成される。傾斜部は、挿入途中の接続対象物が当該傾斜部に接触すると第一接点が変位するように構成される。このため、接続対象物をスムーズに挿入することができる。
また、第四接点は、挿入方向で第一接点と第二接点との間に位置し、第三接点は、挿入方向で傾斜部が形成された範囲に位置する。
このため、上述した第2の態様と同様に、接続対象物の回転がより効果的に抑制される。また、第三接点が、挿入方向で傾斜部が形成された範囲に位置するので、挿入方向において傾斜部が形成された領域を有効に活用できる。つまり、接続対象物のスムーズな挿入のためには傾斜部の長さがある程度必要であるところ、この傾斜部が形成された範囲(挿入方向での範囲)に第三接点を配置することで、他の配置関係とするよりも、挿入方向での端子の拡大を抑えることができる。
【0049】
第3-5の態様に係る端子は、第3-1~第3-4の何れかの態様において、前記第一接触部及び前記第二接触部は、板厚方向を互いに同じ方向に向けており、その板厚方向は、前記挿入方向及び前記挟持方向の両方に垂直な方向である。
【0050】
この態様では、第一接触部及び第二接触部は、板厚方向を互いに同じ方向に向けており、その板厚方向は、挿入方向及び挟持方向の両方に垂直な方向である。
このため、第一接触部及び第二接触部の板厚方向を配列方向として、端子を複数配列することで、配列方向に小型のコネクタを製造できる。
【0051】
第3-6の態様に係るコネクタは、第3-1~第3-5の何れの態様に係る端子と、前記端子を保持するハウジングと、を備える。
【0052】
この態様によれば、第3-1~第3-5の何れかの態様に係る端子と、端子を保持するハウジングと、を備えるコネクタが提供される。
【0053】
第3-7の態様に係るコネクタセットは、第3-6の態様に係るコネクタと、前記コネクタと接続可能な相手コネクタと、を備えるコネクタセットであって、前記相手コネクタは、可撓性を有する相手取付対象物に取付可能に構成されるコネクタセットである。
【0054】
この態様によれば、第3-6の態様に係るコネクタと、コネクタと接続可能な相手コネクタと、を備えるコネクタセットが提供される。
ここで、相手コネクタは、可撓性を有する相手取付対象物に取付可能に構成される。
このため、相手コネクタが相手取付対象物に取り付けられた状態でも、相手コネクタをコネクタに接続する作業が容易である。
また、相手コネクタが可撓性を有する相手取付対象物に取り付けられる場合、相手取付対象物のバタつきにより、接続状態においてコネクタのハウジングと相手コネクタとの間に存在するクリアランスの範囲で相手コネクタが動いてしまうことがある。しかし、この態様では、第3-1の態様の端子が採用されているので、接続対象物としての相手コネクタの回転が抑制され、各接点での微摺動が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】メス型コネクタの分解斜視図である。
図2】メス型コネクタの斜視図である。
図3】メス型コネクタの別の方向から見た斜視図である。
図4】メス型コネクタの正面図である。
図5】メス型コネクタの右側側面図である。なお、右側側面図は、左側側面図と対称である。
図6】メス型コネクタの平面図である。
図7】メス型コネクタの背面図である。
図8】メス型コネクタの底面図である。
図9】メス型コネクタの断面図(図6の9-9線断面図)である。
図10】メス型コネクタの断面図(図6の10-10線断面図)である。
図11図9と同じ断面位置でのメス型ハウジングの断面斜視図である。
図12図10と同じ断面位置でのメス型ハウジングの断面斜視図である。
図13】第一メス型端子の拡大図である。
図14】第二メス型端子の拡大図である。
図15】接続状態のコネクタセットの断面図(図9と同じ断面位置)である。
図16】接続状態のコネクタセットの断面図(図10と同じ断面位置)である。
図17】接続状態のコネクタセットの断面図(図15図16の17-17線断面図)である。
図18】接続前のコネクタセットを示す斜視図である。
図19】接続状態のコネクタセットを示す斜視図である。
図20】オス型コネクタの断面斜視図である。
図21】オス型コネクタの正面図である。
図22】オス型コネクタの平面図である。
図23】オス型コネクタの右側側面図である。なお、右側側面図は、左側側面図と対称である。
図24】オス型コネクタの背面図である。
図25】オス型コネクタの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本開示の実施形態について説明する。説明の便宜上、各図に示す±X方向を前後方向、±Y方向を幅方向、±Z方向を上下方向として説明する。なお、各図面は、設計図面をもとに作成されたものであり、正確な寸法、割合、角度で描かれている。
【0057】
図1は、「コネクタ」としてのメス型コネクタ100の分解斜視図である。
【0058】
メス型コネクタ100は、複数のメス型端子10A,10Bと、メス型ハウジング20と、を備える。
【0059】
(複数のメス型端子10A,10B)
複数のメス型端子10A,10Bの各々は、板材に対し打ち抜き加工等を施すことで形成される。複数のメス型端子10A,10Bの各々は、材料となる板材を板厚方向に曲げる工程を経ずに形成され、板厚方向に曲げられた部分を有しない。
【0060】
複数のメス型端子10A,10Bは、複数の第一メス型端子10Aと、複数の第二メス型端子10Bと、から構成される。複数の第一メス型端子10Aの各々は、互いに同じ形状であり、複数の第二メス型端子10Bの各々は、互いに同じ形状である。第一メス型端子10Aと第二メス型端子10Bとは、互いに異なる形状である。
以下、第一メス型端子10A及び第二メス型端子10Bを区別しないときは、単に、メス型端子10A,10Bという。
【0061】
図13は、第一メス型端子10Aを示し、図14は、第二メス型端子10Bを示す。
第一メス型端子10Aは、接続部11と、中継部12と、圧入突出部13と、基部14Aと、接触部15A,16Aと、を有する。
第二メス型端子10Bは、接続部11と、中継部12と、圧入突出部13と、基部14Bと、接触部15B,16Bと、を有する。
接続部11、中継部12及び圧入突出部13に関し、第一メス型端子10Aと第二メス型端子10Bとは、同じ形状である。他方、基部14A,14B及び接触部15A,16A,15B,16Bに関し、第一メス型端子10Aと第二メス型端子10Bとは異なる形状である。
【0062】
接続部11は、基板80(取付対象物、図9図10参照)に接続されるための部分である。接続部11は、基板80の実装面82(取付面)に半田付けにより接続される。接続部11は、中継部12の下端から後方向に向かって延びる。
【0063】
中継部12は、基部14A,14Bと接続部11とを中継する部分である。中継部12は、上下方向に延び、基部14A,14Bの後端と接続部11の前端とを上下方向で繋ぐ。
【0064】
圧入突出部13は、圧入方向である前方向に向けて突出し、メス型ハウジング20に圧入されるための部分である。圧入突出部13は、メス型ハウジング20に圧入されることでメス型ハウジング20に保持される。つまり、圧入突出部13は、メス型ハウジング20(ハウジング)に保持される被保持部として機能する。圧入突出部13には、メス型ハウジング20に食い込む圧入突起13aが形成される。圧入突起13aは、圧入突出部13の上側に形成され、圧入突起13aの下側には形成されない。
【0065】
基部14A,14Bは、接触部15A,16A,15B,16Bを支持する部分である。
【0066】
接触部15A,16A,15B,16Bは、オス型コネクタ200のオス型端子40A,40B(接続対象物、図20参照)に接触するための部分である。
接触部15A,16A,15B,16Bは、挟持方向(上下方向、図13及び図14参照)の一方側からオス型端子40A,40Bに接触する第一接触部15A,15Bと、挟持方向の他方側からオス型端子40A,40Bに接触する第二接触部16A,16Bと、を有する。これにより、接触部15A,16A,15B,16Bは、オス型端子40A,40Bを挟持方向両側から挟持するような状態でオス型端子40A,40Bに接触する。
【0067】
なお、第一メス型端子10Aでは、上方向が挟持方向一方側に相当し、下方向が挟持方向他方側に相当する(図13参照)。第二メス型端子10Bでは、下方向が挟持方向一方側に相当し、上方向が挟持方向他方側に相当する(図14参照)。
【0068】
第一接触部15A,15Bは、第一弾性腕15aと、第二弾性腕15bと、を有する。
第一弾性腕15a及び第二弾性腕15bの各々は、弾性変形容易に形成される。第一弾性腕15a及び第二弾性腕15bは、互いに独立に弾性変形可能である。第一弾性腕15aには、第一接点15a1が形成され、第二弾性腕15bには、第二接点15b1が形成される。第二接点15b1は、第一接点15a1よりも挿入方向奥側(後側)に位置する。
【0069】
第二接触部16A,16Bは、挿入方向手前側(前方向)に延びる一つの支持片16A,16Bから構成される。
支持片16A,16Bには、第三接点16a1及び第四接点16a2が形成される。第三接点16a1及び第四接点16a2は、挟持方向他方側からオス型端子40A,40Bに接触する。第四接点16a2は、第三接点16a1よりも挿入方向奥側(後側)に位置する。
支持片16A,16Bは、第一弾性腕15a及び第二弾性腕15bと比較して変形しにくいように構成される。このため、オス型端子40A,40Bが挿入される際、第一接点15a1及び第二接点15b1が主に変位し、第三接点16a1及び第四接点16a2は、変位しないか僅かに変位するのみである。これにより、第一接触部15A,15Bの接続対象物に対する接触は、弾性的な接触となり、第二接触部16A,16Bの接続対象物に対する接触は、弾性的でない接触となる。
【0070】
次に、第一メス型端子10Aの基部14A及び接触部15A,16Aについて詳細に説明する。
【0071】
第一メス型端子10Aの基部14Aは、その挟持方向一方側の端において前後方向に延びる上端縁14A1を有する。上端縁14A1は、第一弾性腕15aの基端(基部14Aとの境界)よりも挟持方向一方側(上側)に位置する。
この上端縁14A1は、後述する第二メス型端子10Bの基部14Bの上端縁14B2よりも下側に形成される。これにより、第一メス型端子10Aに必要な材料が節約されている。
第一メス型端子10Aの基部14Aは、その挟持方向他方側の端において前後方向に延びる下端縁14A2を有する。下端縁14A2は、支持片16Aの下端縁と同一直線状に位置する。
【0072】
第一弾性腕15aは、基部14Aから挿入方向手前側(前方向)へ向けて伸長する。第一弾性腕15aは、その伸長方向の先端部が、他の部分と比較して挟持方向他方側に拡大された形状となっている。第一接点15a1は、この先端部に形成される。
第一弾性腕15aは、その伸長方向が転換する転換部15a2を有する。第一弾性腕15aは、基部14Aから転換部15a2までの部分(傾斜部)では、挿入方向手前側に向かって挟持方向他方側へ大きく傾斜しており、転換部15a2から先端部までの部分(一般部)では、挿入方向手前側に向かって挟持方向他方側に小さく傾斜している。
第一弾性腕15aは、その先端部に、傾斜案内部15a3を有する。傾斜案内部15a3は、挿入方向奥側である後方向に向かって挟持方向他方側に傾斜している。これにより、挿入途中のオス型端子40Aが傾斜案内部15a3に接触すると第一接点15a1が挟持方向一方側へ変位するようになっている。
【0073】
第二弾性腕15bは、基部14Aから挿入方向手前側(前方向)へ向けて伸長する。第一弾性腕15aは、その伸長方向の先端部が、他の部分と比較して挟持方向他方側に拡大された形状となっている。第二接点15b1は、この先端部に形成される。第二弾性腕15bの先端部は、第一弾性腕15aの先端部よりも小さい。
第二弾性腕15bは、その伸長方向が転換する転換部15b2を有する。第二弾性腕15bは、基部14Aから転換部15b2までの部分(傾斜部)では、挿入方向手前側に向かって挟持方向他方側へ大きく傾斜しており、転換部15b2から先端部までの部分(一般部)では、挿入方向手前側に向かって挟持方向他方側に小さく傾斜している。
第二弾性腕15bは、その先端部に、傾斜案内部15b3を有する。傾斜案内部15b3は、挿入方向奥側に向かって挟持方向他方側に傾斜している。これにより、挿入途中のオス型端子40Aが傾斜案内部15b3に接触すると第二接点15b1が挟持方向一方側へ変位するようになっている。第二弾性腕15bの傾斜案内部15b3は、第一弾性腕15aの傾斜案内部15a3よりも短い。
第二弾性腕15bの基端は、第一弾性腕15aの基端よりも、挟持方向他方側かつ挿入方向奥側に位置する。
【0074】
第二接触部16Aを構成する支持片16Aは、基部14Aから挿入方向手前側に向かって延びる。支持片16Aは、その伸長方向の先端付近に、他の部分と比較して挟持方向一方側に拡大された形状になっている部分を2つ有し、これらの部分に第三接点16a1及び第四接点16a2がそれぞれ形成される。
【0075】
次に、第二メス型端子10Bの基部14B及び接触部15B,16Bについて詳細に説明する。
【0076】
第二メス型端子10Bの基部14Bは、その挟持方向一方側の端において前後方向に延びる下端縁14B1を有する。下端縁14B1は、第一弾性腕15aの基端よりも挟持方向一方側に位置する。
第二メス型端子10Bの基部14Bは、その挟持方向他方側の端において前後方向に延びる上端縁14B2を有する。上端縁14B2は、支持片16Bの上端縁と同一直線状に位置する。
【0077】
第一弾性腕15aは、基部14Aから挿入方向手前側へ向けて伸長する。第一弾性腕15aは、その伸長方向の先端部が、他の部分と比較して挟持方向他方側に拡大された形状となっている。第一接点15a1は、この先端部に形成される。
第一弾性腕15aは、その伸長方向が転換する転換部15a2を有する。第一弾性腕15aは、基部14Aから転換部15a2までの部分(傾斜部)では、挿入方向手前側に向かって挟持方向他方側へ大きく傾斜しており、転換部15a2から先端部までの部分(一般部)では、挿入方向手前側に向かって挟持方向他方側に小さく傾斜している。
第一弾性腕15aは、その先端部に、傾斜案内部15a3を有する。傾斜案内部15a3は、挿入方向奥側に向かって挟持方向他方側に傾斜している。これにより、挿入途中のオス型端子40Bが傾斜案内部15a3に接触すると第一接点15a1が挟持方向一方側へ変位するようになっている。
【0078】
第二弾性腕15bは、基部14Aから挿入方向手前側へ向けて伸長する。第一弾性腕15aは、その伸長方向の先端部が、他の部分と比較して挟持方向他方側に拡大された形状となっている。第二接点15b1は、この先端部に形成される。第二弾性腕15bの先端部は、第一弾性腕15aの先端部よりも小さい。
第二弾性腕15bは、その伸長方向が転換する転換部15b2を有する。第二弾性腕15bは、基部14Aから転換部15b2までの部分(傾斜部)では、挿入方向手前側に向かって挟持方向他方側へ大きく傾斜しており、転換部15b2から先端部までの部分(一般部)では、挿入方向手前側に向かって挟持方向他方側に小さく傾斜している。
第二弾性腕15bは、その先端部に、傾斜案内部15b3を有する。傾斜案内部15b3は、挿入方向奥側に向かって挟持方向他方側に傾斜している。これにより、挿入途中のオス型端子40Bが傾斜案内部15b3に接触すると第二接点15b1が挟持方向一方側へ変位するようになっている。第二弾性腕15bの傾斜案内部15b3は、第一弾性腕15aの傾斜案内部15a3よりも短い。
第二弾性腕15bの基端は、第一弾性腕15aの基端よりも、挟持方向他方側かつ挿入方向奥側に位置する。
【0079】
第二接触部16Bを構成する支持片16Bは、基部14Bから挿入方向手前側に向かって延びる。支持片16Aは、その伸長方向の先端付近に、他の部分と比較して挟持方向一方側に拡大された形状になっている部分を2つ有し、これらの部分に第三接点16a1及び第四接点16a2がそれぞれ形成される。
【0080】
(メス型ハウジング20)
メス型ハウジング20は、合成樹脂等の絶縁体で構成される。
【0081】
メス型ハウジング20は、嵌合空間20aを有する。嵌合空間20aには、オス型コネクタ200の嵌合部51(図18参照)が収容される。
図1に示すように、メス型ハウジング20は、後壁21と、底壁22a、天壁22b及び一対の側壁22cから構成された筒状壁22と、を有する。筒状壁22に囲まれた部分が嵌合空間20aとなっている。
【0082】
嵌合空間20a内には、複数の対応凸部20a1(図2参照)が形成される。複数の対応凸部20a1は、オス型コネクタ200のオス型ハウジング50に形成された複数の対応凹部51a(図20参照)に対応する。
【0083】
筒状壁22には、オス型ハウジング50との分離を防ぐための係止孔22b1が形成される。係止孔22b1は、天壁22bに形成される。係止孔22b1は、貫通孔である。係止孔22b1は、幅方向に並んで2つ形成される。接続状態において、係止孔22b1には、オス型ハウジング50の係止凸部54cが配置される(図15参照)。
【0084】
図7に示すように、後壁21には、端子差込口21a,21bが形成される。端子差込口21a,21bは、複数のメス型端子10A,10Bの各々を後方側から差し込むための差込口である。メス型ハウジング20の複数の端子差込口21a,21bのそれぞれに、複数のメス型端子10A,10Bのそれぞれが差し込まれることで、複数のメス型端子10A,10Bの各々は、メス型ハウジング20に保持される。
【0085】
複数の端子差込口21a,21bは、複数の第一差込口21aと、複数の第二差込口21bと、を備える。第一差込口21aは、第一メス型端子10Aのための端子差込口であり、第二差込口21bは、第二メス型端子10Bのための端子差込口である。第一差込口21aと第二差込口21bとは、幅方向に沿って交互に配列される。第二差込口21bの上下寸法は、第一差込口21aの上下寸法よりも大きい。
【0086】
図9図12に示すように、嵌合空間20aの内側には、メス型端子10A,10Bの接触部15A,16A,15B,16Bを保護する端子保護部23,24,25が形成される。端子保護部23,24,25は、嵌合空間20aの底面を構成する後壁21から前方向に突出するように形成される。
【0087】
端子保護部23,24,25は、下側部23と、中間部24と、上側部25と、を有する。
下側部23は、第一メス型端子10Aの第二接触部16Aを保護する役割を有し、上側部25は、第二メス型端子10Bの第二接触部16Bを保護する役割を有する。
中間部24は、第一メス型端子10Aの第一接触部15A及び第二メス型端子10Bの第一接触部15Bを保護する役割を有する。
【0088】
図11図12に示すように、下側部23は、複数の下側突出壁23aを備える。複数の下側突出壁23aの各々は、互いに分離され、幅方向に並んでいる。上側部25は、複数の上側突出壁25bを備える。複数の上側突出壁25bの各々は、互いに分離され、幅方向に並んでいる。
中間部24は、複数の下側突出壁23aのそれぞれに対応する複数の下側対応部24aと、複数の上側突出壁25bのそれぞれに対応する複数の上側対応部24bと、を備える。複数の下側対応部24aと複数の上側対応部24bとは、幅方向に沿って交互に配置されており、互いに連結されている。これにより、中間部24は、一体に形成されている。
【0089】
図11に示すように、下側突出壁23a、下側対応部24a及び後壁21の内部には、第一メス型端子10Aの一部が配置される第一配置空間26aが形成される。
図12に示すように、上側突出壁25b、上側対応部24b及び後壁21の内部には、第二メス型端子10Bの一部が配置される第二配置空間26bが形成される。
【0090】
下側突出壁23a及びこれに対応する下側対応部24aは、第一メス型端子10Aの接触部15A,16Aを保護する。
上側突出壁25b及びこれに対応する上側対応部24bは、第二メス型端子10Bの接触部15B,16Bを保護する。
【0091】
下側突出壁23aとこれに対応する下側対応部24aとの間には、第一オス型端子40Aが挿入される空間が形成される。
上側突出壁25bとこれに対応する上側対応部24bとの間には、第二オス型端子40Bが挿入される空間が形成される。
下側突出壁23a及び下側対応部24aの各々は、挿入される第一オス型端子40Aを案内する傾斜案内面23a1,24a1を有する。
上側突出壁25b及び上側対応部24bの各々は、挿入される第二オス型端子40Bを案内する傾斜案内面25b1,24b1を有する。
【0092】
複数の下側突出壁23aのうち隣り合う下側突出壁23aの間の空間には、オス型コネクタ200の複数の下側隔壁52(図17図20参照)の各々が配置される。
複数の上側突出壁25bのうち隣り合う上側突出壁25bの間の空間には、オス型コネクタ200の複数の上側隔壁53の各々が配置される。
【0093】
図11図12に示すように、中間部24には、オス型コネクタ200の複数の下側隔壁52の先端が配置されるための複数の下側凹部24cと、オス型コネクタ200の複数の上側隔壁53の先端が配置されるための複数の上側凹部24dが形成される(図17も参照)。これにより、隣り合う第一オス型端子40Aを充分に絶縁するように上側隔壁53を高くすることができると共に、隣り合う第二オス型端子40Bを充分に絶縁するように下側隔壁52を高くすることができる。
下側凹部24cの幅寸法は、隣り合う下側突出壁23aの間の距離と同じであり、上側凹部24dの幅寸法は、上側突出壁25bの間の距離と同じである。
【0094】
メス型ハウジング20には、第一メス型端子10Aの圧入突出部13が圧入される第一圧入用孔26a1と、第二メス型端子10Bの圧入突出部13が圧入される第二圧入用孔26b1と、が形成される。第一圧入用孔26a1は、第一配置空間26aに形成され、第二圧入用孔26b1は、第二配置空間26bに形成される。
第一圧入用孔26a1及び第二圧入用孔26b1は、それが形成された幅方向の位置以外に関し、互いに同じである。すなわち、第一圧入用孔26a1及び第二圧入用孔26b1は、互いに、前後方向の位置、上下方向の位置、及び孔の形状が同じである。以下、両者を特に区別しないときは、単に、圧入用孔26a1,26b1という。
【0095】
圧入用孔26a1,26b1の下側の部分を、孔下側壁21c(図9図10参照)という。孔下側壁21cの下面は、メス型ハウジング20の下面である。孔下側壁21cの上下寸法は、底壁22aの上下寸法と略同一だが、僅かに大きい。
【0096】
圧入用孔26a1,26b1の上側の部分を、孔上側壁21dという。圧入用孔26a1に対応する孔上側壁21dの上下寸法は、圧入用孔26b1に対応する孔上側壁21dの上下寸法よりも小さい。
【0097】
図3に示すように、メス型ハウジング20は、一対のテール保護部29を有する。一対のテール保護部29は、複数のメス型端子10A,10Bが有する複数の接続部11の幅方向外側に配置される。
【0098】
(一対の取付金具30)
図1に示すように、メス型コネクタ100は、「取付部材」としての一対の取付金具30を有する。取付部材とは、コネクタを取付対象物に取り付けるための部材を意味する。
【0099】
一対の取付金具30は、互いに同一の構造である。取付金具30は、板厚方向に曲げられた部分を有しない。取付金具30は、その板厚方向を幅方向に向けた状態でメス型ハウジング20に保持される。
【0100】
取付金具30は、上部圧入部31と、下部32と、接続部33と、を有する。
上部圧入部31及び下部32は、共に略矩形状である。上部圧入部31の板幅寸法(前後寸法)は、下部32の板幅寸法よりも大きい。上部圧入部31の板幅方向両側には、圧入突起が形成される。
接続部33は、基板80に接続されるための部分である。接続部33は、2つ形成される。2つの接続部33は、基板80に形成された孔(図示省略)に挿入された状態で基板80に半田付けされる。
取付金具30は、メス型ハウジング20の一対の側壁22cに形成された金具圧入孔22c1に対し、上方向から圧入される。一対の側壁22cのうち金具圧入孔22c1が形成された部分の上面は、天壁22bの上面よりも低く形成される。これにより、取付金具30の上端が、メス型ハウジング20の天壁22bの上面よりも上側に突出しないようになっている。
【0101】
次に、「相手コネクタ」又は「接続対象物」としてのオス型コネクタ200について説明する。
【0102】
図18に示すように、オス型コネクタ200は、複数の第一オス型端子40Aと、複数の第二オス型端子40Bと、オス型ハウジング50と、を備える。
【0103】
(オス型端子40A,40B)
第一オス型端子40Aと第二オス型端子40Bとは、互いに同一の構造を有するが、上下方向における配置位置が異なる。第一オス型端子40Aは、第一メス型端子10Aと接触し、第二オス型端子40Bは、第二メス型端子10Bと接触する。幅方向において、複数の第一オス型端子40Aと複数の第二オス型端子40Bとは、交互に配置される。
以下、両者を区別しないときは、単に、オス型端子40A,40B(相手端子)という。
【0104】
図20に示すように、オス型端子40A,40Bは、メス型コネクタ100のメス型端子10A,10Bと接触するオス型接触部41A、41Bを有する。オス型接触部41A、41Bの形状は、上下方向を板厚方向とする板状である。オス型端子40A,40Bは、板材に対し打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことで形成される。オス型接触部41A、41Bは、その幅方向一方側の部分が板材が折り曲げられた部分となっており、オス型接触部41A、41Bの上下寸法は、オス型端子40A,40Bの材料である板材の板厚の約2倍である。これにより、オス型接触部41A、41Bとメス型端子10A,10Bとの充分な接触圧が確保されるようになっている。
【0105】
オス型端子40A,40Bは、圧着端子であり、「相手取付対象物」としての電線90に取付可能に構成される。オス型コネクタ200は複数のオス型端子40A,40Bを備えるため、オス型コネクタ200には複数の電線90に取り付けられることとなる。
電線90は可撓性を有するため、オス型コネクタ200が電線90に接続された状態でも、オス型コネクタ200を比較的自由に移動させることができ、その結果、メス型コネクタ100への接続が容易である。
【0106】
(オス型ハウジング50)
オス型ハウジング50は、複数のオス型端子40A,40Bを保持する。オス型ハウジング50は、合成樹脂などの絶縁体で形成される。
【0107】
オス型ハウジング50は、メス型コネクタ100のメス型ハウジング20に嵌合する嵌合部51を有する。嵌合部51は、接続状態において、メス型ハウジング20の嵌合空間20aの内部に配置される。
【0108】
嵌合部51の外面には、メス型ハウジング20の嵌合空間20a内に形成された複数の対応凸部20a1に対応する複数の対応凹部51aが形成される。これにより、メス型コネクタ100に対してオス型コネクタ200が上下方向の向きを誤って接続されることが防止される。
【0109】
嵌合部51には、オス型端子40A,40Bの接触部41A,41Bが配置される配置空間51bが形成される。配置空間51bは、接続方向である後方向(オス型コネクタ200の正面方向)に向けて開放されている。
【0110】
オス型ハウジング50は、下側隔壁52を有する。
下側隔壁52は、複数の第一オス型端子40Aの接触部41Aのうち隣り合う接触部41A同士の間に配置される。下側隔壁52の下端は、配置空間51bの下面に接続され、下側隔壁52の前端は、配置空間51bの前面(配置空間の奥の面)に接続される。下側隔壁52の後端は、嵌合部51の後端と前後方向の位置が一致する。下側隔壁52の上端は、第一オス型端子40Aの接触部41Aよりも上側に位置する。なお、第一オス型端子40Aの接触部41Aの先端(後端)は、嵌合部51の後端よりも前側に位置する。これにより、幅方向から見て、下側隔壁52は、第一オス型端子40Aの接触部41Aを完全に隠すように形成される。
接続状態では、下側隔壁52は、隣り合う下側突出壁23aの間及び中間部24の下側凹部24cに配置される(図12図17参照)。
【0111】
オス型ハウジング50は、上側隔壁53を有する。
上側隔壁53は、複数の第二オス型端子40Bの接触部41Bのうち隣り合う接触部41B同士の間に配置される。上側隔壁53の上端は、配置空間51bの上面に接続され、上側隔壁53の前端は、配置空間51bの前面に接続される。上側隔壁53の後端は、嵌合部51の後端と前後方向の位置が一致する。上側隔壁53の下端は、第二オス型端子40Bの接触部41Bよりも下側に位置する。なお、第二オス型端子40Bの接触部41の先端(後端)は、嵌合部51の後端よりも前側に位置する。これにより、幅方向から見て、上側隔壁53は、第二オス型端子40Bの接触部41Bを完全に隠すように形成される。
接続状態では、上側隔壁53は、隣り合う上側突出壁25bの間及び中間部24の上側凹部24dに配置される。
【0112】
図22に示すように、オス型ハウジング50は、弾性変形可能な弾性係止部54を有する。弾性係止部54は、一対の弾性片部54aと、操作部54bと、を有する。
一対の弾性片部54aの各々には、係止凸部54cが形成される。係止凸部54cは、幅方向に並んで2つ形成される。接続状態で、係止凸部54cは、メス型ハウジング20の係止孔22b1内に配置される。操作部54bを指などで下方向に押圧することで、弾性係止部54の弾性片部54aを弾性変形させて、係止凸部54cと係止孔22b1との係止を解除することができる。
【0113】
<作用効果>
(第1の観点)
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0114】
本実施形態では、コネクタ100は、取付対象物80(図9図10参照)の取付面81に取付可能に構成され、接続対象物200と接続可能である。コネクタ100は、ハウジング20と、複数の端子10A,10Bと、を備える。複数の端子10A,10Bは、配列方向(Y方向)に沿って配列されるようにハウジング20に保持されている。配列方向は、コネクタ100を取付面81に取り付けた状態で、取付面81に平行な方向となる。
ここで、複数の端子10A,10Bは、互いに形状が異なる第一端子10A及び第二端子10Bとを含む。このため、第一端子10A及び第二端子10Bに、それぞれ異なる役割を持たせることができる。
【0115】
更に、第一端子10Aの被保持部13と第二端子10Bの被保持部13とは、取付面81に垂直な上下方向(Z方向)に関して同じ位置に位置する。
このため、本実施形態では、第一端子10Aの被保持部13と第二端子10Bの被保持部13とが取付面81に垂直な上下方向に関して異なる位置に位置する態様(特許文献1参照)と比較して、ハウジング20の変形による端子10A,10Bの変位に関し、第一端子10Aと第二端子10Bとで差が生じづらい。その結果、接続部11と取付面81との間の距離が端子10A,10Bごとに異なってしまうことが抑制され、取付対象物80への半田付け不良が抑制される。
【0116】
また、本実施形態では、図13図14に示すように、第一端子10A及び第二端子10Bの各々は、接続対象物200に接触する接触部15A,16A,15B,16Bと、接触部15A,16A,15B,16Bを支持する基部14A,14Bと、を有する。
また、第一端子10A及び第二端子10Bの各々は、基部14A,14Bとは別に形成され、圧入方向に向けて突出する圧入突出部13を有する。この圧入突出部13は、ハウジング20に圧入されて被保持部13として機能する。
このため、第一端子10A及び第二端子10Bの圧入突出部13以外の部分の形状を、第一端子10Aと第二端子10Bとで大きく異ならせる場合でも、第一端子10Aの被保持部13及び第二端子10Bの被保持部13が保持される位置を同一の位置にすることが容易である。
すなわち、例えば、本実施形態と異なり、基部14A,14Bをハウジング20に圧入する場合(この場合、必要に応じて基部の上端縁や下端縁に圧入突起等を形成する。)も考えられる。しかし、その場合、被保持部の上下方向の位置を第一端子10Aと第二端子10Bとで同じ位置にするには、基部14A,14Bの形状を第一端子10Aと第二端子10Bとで同じにする必要がある。これに対し、基部14A,14Bとは別に形成された圧入突出部13をハウジング20に圧入して被保持部13とすることで、被保持部13の上下方向に関する位置を第一端子10A及び第二端子10Bで同じ位置に形成しやすくなる。
また、本実施形態では、孔下側壁21cの上下寸法が、底壁22aの上下寸法と略同一以下(1.2倍以下)なので、孔下側壁21cが幅方向で異なる変形してもその影響が小さい。
【0117】
また、本実施形態では、図13図14に示すように、第一端子10A及び第二端子10Bの各々は、基部14A,14Bと接続部11とを繋ぐ中継部12を有する。圧入突出部13は、中継部12から圧入方向に向けて突出する。
このため、本実施形態では、圧入突出部13が中継部12以外の部分から突出する態様と比較して、圧入突出部13を接続部11の近くに形成することができる。圧入突出部13を接続部11の近くに形成すると、ハウジング20の変形の影響を直接受ける部分である圧入突出部13と、その影響で変位する部分である接続部11との間の距離を短くすることができ、その結果、接続部11が大きく変位することを防止することができる。
【0118】
また、本実施形態では、コネクタ100は、取付面81に沿う方向を接続方向(X方向)として接続対象物200と接続可能なコネクタ、つまりライトアングルタイプのコネクタである。
【0119】
また、本実施形態では、第一端子10Aの接触部15A,16A及び第二端子10Bの接触部15B,16Bは、取付面81に垂直な方向(Z方向)で互いに異なる位置に位置する。
このため、取付面81に垂直な方向で互いに異なる位置に配置される第一接続対象物41A及び第二接続対象物41Bと接続可能なコネクタ100とすることができる。
【0120】
また、本実施形態では、複数の端子10A,10Bは、複数の第一端子10Aと、複数の第二端子10Bと、を含む。そして、複数の第一端子10Aと複数の第二端子10Bとは、配列方向に沿って交互に配置される。
これにより、互いに異なる役割を有する第一端子10A及び第二端子10Bを交互に配置することができる。
【0121】
また、本実施形態では、第一端子10A及び第二端子10Bの各々は、板厚方向を配列方向(Y方向)に向ける端子である。
このため、配列方向においてコネクタ100が小型化される。
【0122】
(第2の観点)
次に、本実施形態の作用効果について他の観点から説明する。
【0123】
本実施形態では、図15図16に示すように、コネクタ100は、列間方向(Z方向)で互いに異なる位置に挿入される第一接続対象物41A及び第二接続対象物41B(図20参照)と接続可能なコネクタである。図9図10に示すように、コネクタ100は、ハウジング20と、第一接続対象物41Aと接続可能な第一端子10Aと、第二接続対象物41Bと接続可能な第二端子10Bと、を備える。
ここで、列間方向(Z方向)のうち第二接続対象物41Bの側(+Z側)を列間方向一方側、列間方向のうち第一接続対象物41Aの側(-Z側)を列間方向他方側としたとき、第一端子10Aは、列間方向一方側から第一接続対象物41Aに接触する弾性変形可能な第一接触片15Aを有し、第二端子10Bは、列間方向他方側から第二接続対象物41Bと接触する弾性変形可能な第二接触片15Bを有する。
このため、列間方向においてコネクタ100を小型化できる。
【0124】
すなわち、特許文献1の下段の端子を第一端子、上段の端子を第二端子として把握した場合、特許文献1では、第一接触片及び第二接触片が、共に列間方向一方側から各接続対象物に接触する。そのため、第二端子に接続する接続対象物(第二接続対象物)が挿入される空間よりも列間方向一方側に、第二接触片が変位するための空間が必要になっている。この空間は、列間方向においてコネクタが大型化してしまう要因となり得る。
これに対し、本実施形態では、第二接続対象物41Bが挿入される空間よりも列間方向一方側に第二接触片15Bが変位するための空間が必要なく、また、第一接続対象物41Aが挿入される空間よりも列間方向他方側に第一接触片15Aが変位するための空間が必要ない。つまり、第一接続対象物41A及び第二接続対象物41Bが配置される空間よりも列間方向外側に、第一接触片15A又は第二接触片15Bが変位するための空間を設ける必要がない。このため、列間方向においてコネクタ100を小型化できる。
【0125】
また、本実施形態では、図9図10に示すように、ハウジング20は、第一内側壁24aと、第二内側壁24bと、を有する。第一内側壁24aは、第一接続対象物41Aが挿入される空間の列間方向一方側(上側)の壁を構成する壁であり、第二内側壁24bは、第二接続対象物41Bが挿入される空間の列間方向他方側(下側)の壁を構成する壁である。そして、第一内側壁24a及び第二内側壁24bの各々は配置溝26a,26b(正確には、第一配置空間26aのうち第一内側壁24aに対応する部分、第二配置空間26bのうち第二内側壁24bに対応する部分)を有し、それぞれの配置溝に第一接触片15A又は第二接触片15Bの少なくとも一部が配置される、
すなわち、第一内側壁24aの配置溝26aの内部に第一接触片15Aが変位するための空間が形成され、第二内側壁24bの配置溝26bの内部に第二接触片15Bが変位するための空間が形成される。
このため、第一内側壁24aによって第一接触片15Aを保護することができ、第二内側壁24bによって第二接触片15Bを保護することができる。
【0126】
また、本実施形態では、第一接触片15A及び第二接触片15Bは、列間方向(Z方向)に垂直な配列方向(Y方向)に関し異なる位置に配置される。
このため、第一接触片15Aと第二接触片15Bとが配列方向から見て一部重なるか、又は接触片15A,15B同士とが重ならなくても接触片15A,15Bに近接する部分同士(例えば基部14A,14B同士)が配列方向から見て一部重なるように配置することができ、より一層列間方向でのコネクタの小型化が容易となる。
【0127】
また、本実施形態では、図11図12に示すように、第一内側壁24a及び第二内側壁24bは、配列方向(Y方向)で連結されている。
このため、第一内側壁24a及び第二内側壁24bが連結されていない態様と比較して、第一内側壁24a及び第二内側壁24bの強度を確保することができる。また、第一内側壁24a及び第二内側壁24bが列間方向(Z方向)で連結されている態様と比較して、列間方向でのコネクタ100の小型化に有利な構造となる。
【0128】
また、本実施形態では、第一接触片15A及び第二接触片15Bの片方又は両方は、互いに独立して弾性変形可能な複数の弾性腕15a,15bを有する。
このため、第一接続対象物41A及び第二接続対象物41Bの片方又は両方に対し、多接点による弾性接触を実現できる。
【0129】
また、本実施形態では、第一接触片15A及び第二接触片15Bの片方又は両方は、互いに独立して弾性変形可能な複数の弾性腕15a,15bを有するので、第一接触片15Aや第二接触片15Bが大きくなりやすい。
ここで、第一接触片15A及び第二接触片15Bは、列間方向(Z方向)に垂直な配列方向(Y方向)に関し異なる位置に配置され、第一接触片15A及び第二接触片15Bは、配列方向(Y方向)から見て一部(本実施形態では、第一弾性腕15a同士の基端付近)が重なるように配置される。
このため、大きくなりやすい第一接触片15A及び第二接触片15Bを配列方向(Y方向)から見て一部が重なるように配置することとなるので、列間方向(Z方向)でのコネクタ100の小型化に有利な構造となる。
【0130】
また、本実施形態では、第一端子10A及び第二端子10Bの各々は、接触片15A,15Bを支持する基部14A,14Bを有する。
そして、第一接触片15A及び第二接触片15Bの片方又は両方は、接続方向と略平行に延びる一般部(転換部15a2,15b2から先端部までの部分)と、一般部と基部14A,14Bを接続する傾斜部(転換部15a2,15b2から基部14A,14Bまでの部分)と、を有する。傾斜部は、基部14A,14Bに向かって接続方向(-X方向)に対して列間方向(Z方向)のうち接続対象物(第一接続対象物41A又は第二接続対象物41B)から離れる方向(挟持方向一方側、図13図14参照)に傾斜した方向に延びる。
このため、接触片15A,15Bが傾斜部を有しない態様と比較して、接触片15A,15Bの接続方向(X方向)での拡大を抑制しつつ接触片15A,15Bの長さを確保できる。その結果、接続方向でのコネクタ100の小型化に有利な構造となる。
【0131】
(第3の観点)
次に、本実施形態の作用効果について他の観点から説明する。
【0132】
本実施形態では、図13図14に示すように、端子10A,10Bは、挿入方向(X方向)に沿って挿入される接続対象物41A,41Bと接続可能な端子である。端子10A,10Bは、接続対象物41A,41Bに挟持方向(図13図14参照)の一方側から接触する第一接触部15A,15Bと、接続対象物41A,41Bに挟持方向の他方側から接触する第二接触部16A,16Bと、を有する。挟持方向(Z方向)は、挿入方向(X方向)に垂直な方向である。このため、接続状態において、接続対象物41A,41Bは、挟持方向(Z方向)の両側から挟持されたような状態となる。
また、第一接触部15A,15Bは、第一接点15a1と、第一接点15a1よりも挿入方向奥側(-X側)に位置する第二接点15b1と、を有し、第二接触部16A,16Bは、第三接点16a1と、第三接点16a1よりも挿入方向奥側(-X側)に位置する第四接点16a2と、を有する。このため、端子10A,10Bは、少なくとも4点で接続対象物41A,41Bに接触する。
【0133】
ここで、第三接点16a1と第四接点16a2の少なくともいずれか一方は、挿入方向(X方向)で第一接点15a1と第二接点15b1との間に位置する。
このため、また、本実施形態では、第三接点16a1と第四接点16a2のいずれもが挿入方向で第一接点15a1と第二接点15b1との間に位置しない態様と比較して、接続対象物41A,41Bの回転(挿入方向及び挟持方向の両方に垂直な方向(Y方向)から見た場合の回転)が抑制され、その結果、各接点15a1,15b1,16a1,16a2における微摺動が抑制される。
【0134】
また、本実施形態では、第三接点16a1と第四接点16a2のいずれか一方は、挿入方向で第一接点15a1と第二接点15b1との間に位置し、第一接点15a1と第二接点15b1のいずれか一方は、挿入方向で第三接点16a1と第四接点16a2との間に位置する。
このため、第三接点16a1と第四接点16a2のいずれか一方、第一接点15a1及び第二接点15b1により三角形が形成され、かつ、第一接点15a1と第二接点15b1のいずれか一方、第三接点16a1及び第四接点16a2により三角形が形成される。そして、これら2つの三角形は、底辺と頂点との位置が挟持方向で逆転する関係になる。したがって、接続対象物41A,41Bの回転がより効果的に抑制される。
【0135】
また、本実施形態では、第一接点15a1及び第二接点15b1は、それぞれ、互いに独立に弾性変形可能な第一弾性腕15a及び第二弾性腕15bに形成される。
このため、第一接点15a1及び第二接点15b1をそれぞれ適切な接触圧で接続対象物200に接触させることができる。
【0136】
また、本実施形態では、第一弾性腕15aには、挿入方向に対して傾斜した傾斜部15a3が形成される。傾斜部15a3は、挿入途中の接続対象物41A,41Bが当該傾斜部15a3に接触すると第一接点15a1が変位するように構成される。このため、接続対象物200をスムーズに挿入することができる。
また、第四接点16a2は、挿入方向で第一接点15a1と第二接点15b1との間に位置し、第三接点16a1は、挿入方向で傾斜部15a3が形成された範囲に位置する。
このため、挿入方向(X方向)において傾斜部15a3が形成された領域を有効に活用できる。つまり、接続対象物200のスムーズな挿入のためには傾斜部15a3の長さがある程度必要であるところ、この傾斜部15a3が形成された範囲(挿入方向での範囲)に第三接点16a1を配置することで、他の配置関係とするよりも、挿入方向(X方向)での端子10A,10Bの拡大を抑えることができる。
【0137】
また、本実施形態では、第一接触部15A,15B及び第二接触部16A,16Bは、板厚方向を互いに同じ方向に向けており、その板厚方向は、挿入方向(X方向)及び挟持方向(Z方向)の両方に垂直な方向(Y方向)である。
このため、第一接触部15A,15B及び第二接触部16A,16Bの板厚方向を配列方向として、端子10A,10Bを複数配列することで、配列方向(Y方向)に小型のコネクタ100を製造できる。
【0138】
また、本実施形態によれば、コネクタ100と、コネクタ100と接続可能な相手コネクタ200と、を備えるコネクタセット100,200が提供される。
ここで、相手コネクタ200は、可撓性を有する相手取付対象物90に取付可能に構成される。
このため、相手コネクタ200が相手取付対象物90に取り付けられた状態でも、相手コネクタ200をコネクタ100に接続する作業が容易である。
また、相手コネクタ200が可撓性を有する相手取付対象物90に取り付けられる場合、相手取付対象物90のバタつきにより、接続状態においてコネクタ100のハウジング20と相手コネクタ200との間に存在するクリアランスの範囲で相手コネクタ200が動いてしまうことがある。しかし、本実施形態では、上述の端子10A,10Bが採用されているので、接続対象物200としての相手コネクタ200の回転が抑制され、各接点15a1,15b1,16a1,16a2での微摺動が抑制される。
【0139】
〔上記実施形態の補足説明〕
なお、上記実施形態では、「端子」としての複数のメス型端子10A,10Bの各々が、板厚方向に曲げられた部分を有しない例を説明した。しかし、本開示の端子は、これに限定されない。
【0140】
また、上記実施形態では、コネクタとしてのメス型コネクタ100が、ライトアングルタイプのコネクタである例を説明した。しかし、本開示のコネクタは、これに限定されず、ストレートタイプのコネクタであってもよいし、他のタイプのコネクタであってもよい。
【0141】
また、上記実施形態では、第一端子10Aの接触部15A,16A及び第二端子10Bの接触部15B,16Bが、取付面81に垂直な方向(Z方向)で互いに異なる位置に位置する例を説明した。しかし、本開示の第一端子の接触部及び第二端子の接触部は、これに限定されず、取付面に垂直な方向で同じ位置に位置してもよい。
【0142】
また、上記実施形態では、可撓性を有する相手取付対象物90が電線80である例を説明した。しかし、可撓性を有する相手取付対象物は、これに限定されず、FPCやFFCなどであってもよい。
【符号の説明】
【0143】
10A,10B メス型端子(端子)
10A 第一メス型端子(第一端子)
10B 第二メス型端子(第二端子)
11 接続部
12 中継部
13 圧入突出部(被保持部)
14A,14B 基部
14A 第一メス型端子の基部(第一基部)
14B 第二メス型端子の基部(第二基部)
15A,16A,15B,16B 接触部(接触片)
15A,15B 接触片(第一接触部)
15A 第一接触片(第一接触部)
15B 第二接触片(第一接触部)
15a 第一弾性腕
15a1 第一接点
15a3 傾斜案内部(傾斜部)
15b 第二弾性腕
15b1 第二接点
16A,16B 支持片(第二接触部)
16a1 第三接点
16a2 第四接点
20 メス型ハウジング(ハウジング)
20a 嵌合空間
23,24,25 端子保護部
23 下側部
23a 下側突出壁
24 中間部
24a 下側対応部(第一内側壁)
24b 上側対応部(第二内側壁)
25 上側部
25b 上側突出壁
26a1 圧入用孔
26a 第一配置空間(配置溝)
26b 第二配置空間(配置溝)
40A,40B オス型端子
40A 第一オス型端子
40B 第二オス型端子
41A,41B オス型接触部
41A オス型接触部(第一接続対象物)
41B オス型接触部(第二接続対象物)
50 オス型ハウジング(相手ハウジング)
80 基板(取付対象物)
82 実装面(取付面)
90 電線(相手取付対象物)
100 メス型コネクタ(コネクタ)
200 オス型コネクタ(接続対象物、相手コネクタ)
100,200 コネクタセット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25