(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078053
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置及び開発方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230530BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20230530BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20230530BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20230530BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042672
(22)【出願日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】202111415027.3
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522108459
【氏名又は名称】中汽研汽車検験中心(天津)有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】519320446
【氏名又は名称】中国汽車技術研究中心有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】李 菁元
(72)【発明者】
【氏名】于 ▲ハン▼正男
(72)【発明者】
【氏名】楊 正軍
(72)【発明者】
【氏名】梁 永凱
(72)【発明者】
【氏名】呂 恒緒
(72)【発明者】
【氏名】安 暁▲プァン▼
(72)【発明者】
【氏名】馬 ▲クン▼其
(72)【発明者】
【氏名】張 詩敏
(72)【発明者】
【氏名】王 宵陽
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB19
5H181CC27
5H181EE02
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181MC27
(57)【要約】 (修正有)
【課題】勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置及び開発方法を提供すること。
【解決手段】本発明の勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置及び開発方法は、従来の道路勾配の収集が難しいという問題に対して、より正確に道路勾配を計算することができ、広い範囲での道路勾配の収集に適し、勾配モードの開発に基礎を築いた、GPSを用いた道路勾配の収集方法を提供する。車両の実際に走行するデータセグメント及び道路の勾配-勾配変化率の同時分布に基づいた勾配と速度を組み合わせたモードの構築は、道路勾配の変化をより好適に反映することができるため、政府のエネルギー消費及び排出分野の基準策定、企業車両型式の開発及び試験設計のために技術支援を提供することができ、重要な社会的重要性及び経済的価値を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源モジュール、クロックモジュール、マイクロコントローラ、記憶モジュール、GPS/SINS複合ナビゲーションモジュール、CANコントローラ、CAN送受信モジュール、GPRS/4Gモジュール及びヒューマンコンピュータインタラクションモジュールを含み、
前記クロックモジュールは電源モジュール、マイクロコントローラ、GPRS/4Gモジュールにそれぞれ全二重接続され、前記クロックモジュール、マイクロコントローラ、CANコントローラの3つは1つの制御モジュール内に集積され、前記制御モジュールはGPS/SINS複合ナビゲーションモジュール、ヒューマンコンピュータインタラクションモジュール、記憶モジュールにそれぞれ全二重接続され、前記CANコントローラはCAN送受信モジュールの一端に全二重接続され、CAN送受信モジュールの他端は車両CAN/OBDインタフェースに全二重接続されている
ことを特徴とする勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置。
【請求項2】
請求項1に記載の勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置を用いた開発方法であって、
S1、前記勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置により車両走行データを収集するステップと、
S2、ショートセグメントを分割するステップと、
S3、勾配を計算し、運動セグメントをスクリーニングするステップと、
S4、勾配をフィルタリングし、ローパスフィルターを選択し、勾配値に与える干渉信号の影響を低減し、距離-勾配のパワースペクトル密度とフィルタリング効果に基づいてフィルタリングの周波数と次数を較正するステップと、
S5、都市、郊外、高速の重み係数を決定し、閾値を計算するステップと、
S6、都市、郊外、高速モードライブラリーを構築し、運動特徴及び勾配特徴を分析するステップと、
S7、速度と勾配を組み合わせたモードを構築するステップと、を含む
ことを特徴とする勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置を用いた開発方法。
【請求項3】
ステップS1の車両走行データの収集は、S11、収集される都市と線路を決定するステップと、S12、勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置によりデータを収集するステップと、を含む
請求項2に記載の勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法。
【請求項4】
ステップS2のショートセグメントの分割は、S21、車両の走行セグメントを運動セグメントとアイドルセグメントに分割するステップと、S22、運動セグメント時間が10秒未満であるか否かを判定し、そうである場合、この運動セグメントを削除し、そうでない場合、次の運動セグメントに切り替えるステップと、を含む
請求項2に記載の勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法。
【請求項5】
ステップS3の勾配の計算及び運動セグメントのスクリーニングは、S31、勾配計算式により勾配値θを算出するステップと、S32、変動度計算式によりセグメント変動度値Fを算出するステップと、S33、速度変動度閾値を設定し、閾値より大きい速度変動度の運動セグメントを削除し、ノーマル運転セグメントをスクリーニングするステップと、を含む
請求項2に記載の勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法。
【請求項6】
ステップS5の都市、郊外、高速の重み係数の決定及び閾値の計算は、S51、異なる道路の平均流量に対応する道路の長さを乗算することで異なる道路の車両走行距離を得るステップと、S52、道路網全体の車両走行距離に占める都市、郊外、高速の3クラスの道路車両の総走行距離の比率をそれぞれ計算し、各クラスの道路車両の走行距離比を各速度区間の重み因子とするステップと、S53、統計して都市、郊外、高速の3クラスの道路の速度-走行距離の累積分布を得て、都市、郊外道路の90%速度分位点を速度区間の閾値とするステップと、を含む
請求項2に記載の勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法。
【請求項7】
ステップS6の都市、郊外、高速モードライブラリーの構築及び運動特徴と勾配特徴の分析は、S61、最大速度の異なりに応じて運転セグメントを都市、郊外及び高速のショートセグメントライブラリーに分割するステップと、S62、都市、郊外及び高速モードライブラリーの運動特徴を計算するステップと、S63、都市、郊外及び高速モードライブラリーの道路勾配-勾配変化率の同時分布をそれぞれ計算するステップと、を含む
請求項2に記載の勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法。
【請求項8】
ステップS7の速度と勾配を組み合わせたモードの構築は、S71、車両の毎日平均走行時間に基づいてモード総時間を設定するステップと、S72、総時間に異なる路面の重み因子を乗算することで異なる速度区間時間を得るステップと、S73、短距離分析法により速度モードを構築するステップと、S74、速度モードにおける異なる速度区間の運動セグメント時間に基づいて勾配モードセグメントをスクリーニングし、最小誤差平方和法を用いて各速度区間の運動セグメントの勾配モードとして最適なセグメントの組み合わせを決定するステップと、S75、勾配を含む2つの運動セグメントの間にアイドルセグメントを設定し、線形補間によりアイドルセグメントの勾配を得るステップと、S76、線形補間の方法によりアイドルセグメントの勾配モード曲線を設定し、すべての運動セグメントとアイドルセグメントを組み合わせて勾配モード曲線を得るステップと、S77、勾配モードと速度モードを組み合わせて勾配と速度を組み合わせたモードを得るステップと、を含む
請求項2に記載の勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通輸送分野に属し、特に勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置及び開発方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車走行モードは、自動車業界における重要な共通の基本技術であり、車両のエネルギー消費量/排出試験方法及び制限基準の基礎である。しかし、従来の自動車運行モードでは道路の勾配が考慮されず、道路の勾配は自動車の動力性、経済性及び排出量特性に重要な影響を与える。一方、車両のエネルギー消費量と排出量は勾配の増加に伴って顕著に増加する。一方、道路の勾配により、車両の動力需要を顕著に向上させ、場合により、十分な登坂能力を確保するために、車両を低速ギアに変速させる。
【0003】
勾配は重要であるが、現在のモードでは勾配が含まれることはめったにない。主な原因は次の2つにまとめることができる。
【0004】
まず、正確に勾配を収集することは難しく、車載端末に対する要求は厳しく、業界では通常、勾配を取得する方法は2つある。1つ目は、GNSS基地局を設置してGPSRTKモードにより標高情報を得て、勾配情報を取得する。この方法では、基地局情報の提供は難しく(作業量が大きく、コストが高い)、取得及びデータ処理のためのハードウェア・ソフトウェアのリソース消費が大きいという問題がある。2つ目は、地理情報に合わせて標高により勾配を計算する。ところが、標高信号の精度が低いため、算出した勾配値の誤差が大きい。次に、勾配モードの開発は難しく、勾配、速度及び時間を同時に考慮する必要があるが、3つの間に複雑な結合関係がある。
【0005】
現在、勾配モードの開発方法は主に、短距離分析法と時系列予測法が含まれる。多くの勾配モードは主にショートセグメントの分割に基づいたが、トラクターのような運行セグメントの持続時間が長く、走行モードが簡単である車両型式のみに適し、直接傍受法に属し、勾配、速度及び時間の複雑な結合問題が解決されていない。時系列分析法は主に、マルコフ、ファジー論理などのアルゴリズムを用いて予測し、最終的に構築されたモードに勾配情報が含まれている。車両の実際に運行するデータが収集されていないため、明らかな歪みや段差不連続などの問題がある。
【0006】
要するに、勾配データの収集方法を研究し、実際に応じる勾配、速度及び時間を結合したモードを確立することは、重要な学術的意味及び工学的応用価値がある。
【発明の概要】
【0007】
これらを鑑み、本発明は、従来の装置の不足を解決するために、勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置を提供することを目的とする。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の技術的解決手段は、以下のとおり実現されている。
【0009】
勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置は、電源モジュール、クロックモジュール、マイクロコントローラ、記憶モジュール、GPS/SINS複合ナビゲーションモジュール、CANコントローラ、CAN送受信モジュール、GPRS/4Gモジュール及びヒューマンコンピュータインタラクションモジュールを含み、前記クロックモジュールは電源モジュール、マイクロコントローラ、GPRS/4Gモジュールにそれぞれ全二重接続され、前記クロックモジュール、マイクロコントローラ、CANコントローラの3つは1つの制御モジュール内に集積され、前記制御モジュールはGPS/SINS複合ナビゲーションモジュール、ヒューマンコンピュータインタラクションモジュール、記憶モジュールにそれぞれ全二重接続され、前記CANコントローラはCAN送受信モジュールの一端に全二重接続され、CAN送受信モジュールの他端は車両CAN/OBDインタフェースに全二重接続されている。
【0010】
従来の技術と比べて、本発明に記載の勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置は、以下の優位性を有する。
【0011】
本発明に記載の勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置は、構造が簡単で、設計が合理的であり、車両の実際に走行するデータを収集することができる。勾配と速度を組み合わせたモードの構築方法を用いてモードを開発し、サーバープラットフォームとインタラクティブなデータ伝送を行い、操作しやすく、普及しやすい。
【0012】
また、本発明の別の目的は、従来の勾配収集方法には収集の精度が低く、コストが高く、制限された条件が多いなどの欠点があり、従来のモードの開発方法では、時間、速度、勾配の複雑な結合関係を効果的に解決できないという不足を解消し、車両のエネルギー消費量と排出量をより好適に検出するためにサポート提供するために、勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法を提供することである。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の技術的解決手段は、以下のとおり実現されている。
【0014】
勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法は、
S1、勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置により車両走行データを収集するステップと、
S2、ショートセグメントを分割するステップと、
S3、勾配を計算し、運動セグメントをスクリーニングするステップと、
S4、勾配をフィルタリングし、ローパスフィルターを選択し、勾配値に与える干渉信号の影響を低減し、距離-勾配のパワースペクトル密度とフィルタリング効果に基づいてフィルタリングの周波数と次数を較正するステップと、
S5、都市、郊外、高速の重み係数を決定し、閾値を計算するステップと、
S6、都市、郊外、高速モードライブラリーを構築し、運動特徴及び勾配特徴を分析するステップと、
S7、速度と勾配を組み合わせたモードを構築するステップと、を含む。
【0015】
さらに、ステップS1の車両走行データの収集は、
S11、収集される都市と線路を決定するステップと、
S12、勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置によりデータを収集するステップと、を含む。
【0016】
さらに、ステップS2のショートセグメントの分割は、
S21、車両の走行セグメントを運動セグメントとアイドルセグメントに分割するステップと、
S22、運動セグメント時間が10秒未満であるか否かを判定し、そうである場合、この運動セグメントを削除し、そうでない場合、次の運動セグメントに切り替えるステップと、を含む。
【0017】
さらに、ステップS3の勾配の計算及び運動セグメントスのクリーニングは、
S31、勾配計算式により勾配値θを算出するステップと、
S32、変動度計算式によりセグメント変動度値Fを算出するステップと、
S33、速度変動度閾値を設定し、閾値より大きい速度変動度の運動セグメントを削除し、ノーマル運転セグメントをスクリーニングするステップと、を含む。
【0018】
さらに、ステップS5の都市、郊外、高速の重み係数の決定及び閾値の計算は、
S51、異なる道路の平均流量に対応する道路の長さを乗算することで異なる道路の車両走行距離を得るステップと、
S52、道路網全体の車両走行距離に占める都市、郊外、高速の3クラスの道路車両の総走行距離の比率をそれぞれ計算し、各クラスの道路車両の走行距離比を各速度区間の重み因子とするステップと、
S53、統計して都市、郊外、高速の3クラスの道路の速度-走行距離の累積分布を得て、都市、郊外道路の90%速度分位点を速度区間の閾値とするステップと、を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法。
【0019】
さらに、ステップS6の都市、郊外、高速モードライブラリーの構築及び運動特徴と勾配特徴の分析は、
S61、最大速度の異なりに応じて運転セグメントを都市、郊外及び高速のショートセグメントライブラリーに分割するステップと、
S62、都市、郊外及び高速モードライブラリーの運動特徴を計算するステップと、
S63、都市、郊外及び高速モードライブラリーの道路勾配-勾配変化率の同時分布をそれぞれ計算するステップと、を含む。
【0020】
さらに、ステップS7の速度と勾配を組み合わせたモードの構築は、
S71、車両の毎日平均走行時間に基づいてモード総時間を設定するステップと、
S72、総時間に異なる路面の重み因子を乗算することで異なる速度区間時間を得るステップと、
S73、短距離分析法により速度モードを構築するステップと、
S74、速度モードにおける異なる速度区間の運動セグメント時間に基づいて勾配モードセグメントをスクリーニングし、最小誤差平方和法を用いて各速度区間の運動セグメントの勾配モードとして最適なセグメントの組み合わせを決定するステップと、
S75、勾配を含む2つの運動セグメントの間にアイドルセグメントを設定し、線形補間によりアイドルセグメントの勾配を得るステップと、
S76、線形補間の方法によりアイドルセグメントの勾配モード曲線を設定し、すべての運動セグメントとアイドルセグメントを組み合わせて勾配モード曲線を得るステップと、
S77、勾配モードと速度モードを組み合わせて勾配と速度を組み合わせたモードを得るステップと、を含む。
【0021】
従来の技術と比べて、本発明に記載の勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法は、以下の優位性を有する。
【0022】
本発明に記載の勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法は、従来の道路勾配の収集が難しいという問題に対して、より正確に道路勾配を計算することができ、広い範囲での道路勾配データの収集に適し、勾配モードの開発に基礎を築いた、GPS/SINS複合システムを用いた道路勾配の収集方法を提供する。車両の実際に走行するデータセグメント及び道路の勾配-勾配変化率の同時分布に基づいた勾配と速度を組み合わせたモードの構築は、道路勾配の変化をより好適に反映することができる。要するに、本発明にかかる勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法は、政府のエネルギー消費及び排出分野の基準策定、企業車両型式の開発及び試験設計のために技術支援を提供することができ、重要な社会的重要性及び経済的価値を有する。
【0023】
本発明の一部を構成する図面は本発明をさらに理解するためのものであり、本発明の例示的な実施例及びその説明は本発明を解釈するためのものであり、本発明を過度に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施例に記載の勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置及び開発方法の組み合わせモードを構築するフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例に記載の勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置及び開発方法の端末構成図である。
【
図3】本発明の実施例に記載の勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置及び開発方法のノーマル運転セグメントの模式図である。
【
図4】本発明の実施例に記載の勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置及び開発方法の勾配-勾配変化率の同時分布の模式図である。
【
図5】本発明の実施例に記載の勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置及び開発方法の速度と勾配モードの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
衝突しない限り、本発明の実施例及び実施例における特徴は互いに組み合わせることができる。
本発明の説明において、「中央」、「縦方向」、「横方向」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などの用語が指示する方向又は位置関係は、図面に示す方向又は位置関係であり、本発明を説明しやすくするか又は説明を簡略化するためのものに過ぎず、言及された装置や素子が特定の方向を有し、特定の方向で構成・操作しなければならないと指示又は暗示するものではない。また、「第1」、「第2」などの用語は、目的を説明するためのものに過ぎず、相対重要性を指示又は暗示するか又は指示される技術的特徴の数を暗黙的に示すものではない。それにより、「第1」、「第2」などが限定されている特徴は、1つ又はより多くの当該特徴を明記するか又は暗黙的に含むことができる。本発明の説明において、別途説明がない限り、「複数」の意味は2つ以上である。
【0026】
本発明の説明において、説明すべきことは、別途明確な規定や限定がない限り、「取付」、「連結」、「接続」という用語は、広く理解されるべきである。例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続であってもよく、若しくは一体接続であってもよい。機械的接続であってもよく、電気的接続であってもよい。直接連結であってもよく、中間媒介による間接的な連結であってもよく、2つの部品内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、本発明における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0027】
以下、図面を参照しながら、実施例と組み合わせて本発明を詳しく説明する。
名詞の解釈:
誤差平方和は、残差平方和、群間平方和などとも呼ばれる。n個の観測値に従って適切なモデルをフィットした後、フィットされていない残りの部分は残差と呼ばれ、すべてのn個の残差平方の合計は誤差平方和と呼ばれる。最小誤差平方和法は、最適な組み合わせを見つけることで誤差平方和を最小化することである。
カイ二乗検定:カイ二乗検定は、非常に広く使用されている仮説検定方法である。カテゴリデータの統計的推論への適用は、2つの比率又は2つの構成要素の比率を比較するためのカイ二乗検定、複数の比率又は複数の構成要素の比率を比較するためのカイ二乗検定及びカテゴリデータの相関分析などが含まれる。
線形補間:線形補間とは、補間関数が1次多項式であり、補間ノードの補間誤差がゼロである補間方法である。放物線補間などの他の補間方法と比較して、線形補間には簡単と便利の特徴がある。線形補間の幾何学的意味は、概略図の点Aと点Bを通る直線で原始関数を近似的に表示することである。線形補間は、原始関数を近似的に代替することができ、計算によりテーブルを検索するプロセスにおいてテーブルにない値を得ることもできる。
【0028】
図1~
図5に示すように、勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置は、電源モジュール、クロックモジュール、マイクロコントローラ、記憶モジュール、GPS/SINS複合ナビゲーションモジュール、CANコントローラ、CAN送受信モジュール、GPRS/4Gモジュール及びヒューマンコンピュータインタラクションモジュールを含み、前記クロックモジュールは電源モジュール、マイクロコントローラ、GPRS/4Gモジュールにそれぞれ全二重接続され、前記クロックモジュール、マイクロコントローラ、CANコントローラの3つは1つの制御モジュール内に集積され、前記制御モジュールはGPS/SINS複合ナビゲーションモジュール、ヒューマンコンピュータインタラクションモジュール、記憶モジュールにそれぞれ全二重接続され、前記CANコントローラはCAN送受信モジュールの一端に全二重接続され、CAN送受信モジュールの他端は車両CAN/OBDインタフェースに全二重接続されている。本実施例において、電源モジュール、クロックモジュール、マイクロコントローラ、記憶モジュール、GPS/SINS複合ナビゲーションモジュール、CANコントローラ、CAN送受信モジュール、GPRS/4Gモジュール及びヒューマンコンピュータインタラクションモジュールはいずれも、従来の技術である。本発明にかかる勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置は、車両の実際に走行するデータを収集することができ、勾配と速度を組み合わせたモードの構築方法を用いてモードを開発し、サーバープラットフォームとインタラクティブなデータ伝送を行う。本装置は、OBD/CANを備える車両に適用される。その主な機能は以下のとおりである。
【0029】
VCU車速、エンジン回転速度、ブレーキペダル比などを含むCAN/OBDパラメータを収集する。
車速、水平速度、垂直速度、ブレーキペダル比などを含むGPSパラメータを収集する。
4G通信とサーバープラットフォームのデータインタラクションを用いて伝送の確実性が高い。
リモコンを使用して、エアコンや乗客などの情報のような、車両製造メーカーによりCANチャネルで報告されていないパラメータを入力する。
バッテリー電圧低下を回避し、無効なデータを削減するために、スマートスリープする。
【0030】
本発明にかかる勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置は、電源モジュール、マイクロコントローラ、記憶モジュール、GPS/SINS複合ナビゲーションモジュール、CAN分析モジュール、GPRS/4Gモジュール、ヒューマンコンピュータインタラクションモジュールを含む。モジュールの構造は
図2に示されている。
電源モジュールは主に、装置のために電圧調整機能を提供する。外部電源は、電圧範囲が9~36VのDCである直流電源でなければならない。車両用シガーライター電源ソケットにより直接給電されてもよく、他の外部電源により給電されてもよい。
マイクロコントローラモジュール及び記憶モジュールは主に、装置のために媒体とプロセッサを提供する。この媒体には、前記少なくとも1つのプロセッサに上記勾配モードの構築方法を実行させるために、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されるコンピュータ命令が記憶可能である。この方法は、車両走行データの収集、セグメント分割のスクリーニングモジュール、ノーマル運転セグメントのスクリーニング、勾配の計算、速度区間の重みの計算及び勾配と速度を組み合わせたモードの構築などの部分が含まれる。
【0031】
GPS/SINS複合ナビゲーションモジュール及びCAN分析モジュールは、装置のためにGPS/CANパラメータの分析機能を提供する。CAN分析モジュールを自動車CANインタフェースに接続し、車両のアップロードするメッセージを分析し、車両の状態パラメータを取得する。GPS/SINS複合ナビゲーションモジュールは、衛星測位により、経緯度、垂直速度、水平速度、GPS速度などの車両のGPS地理情報を取得する。
【0032】
GPRS/4Gモジュールは、装置のためにデータ遠隔送信機能を提供する。装置は、4G通信とサーバープラットフォームのデータインタラクションを利用し、確実に伝送でき、速度が速いなどの利点を有する。
【0033】
ヒューマンコンピュータインタラクションモジュールは、装置のために、ディスプレイやリモコンなどを含むヒューマンコンピュータインタラクション機能を提供する。このモジュールは、装置のために、現在の車両状態パラメータをリアルタイムに表示するための視覚的なインタフェースを提供し、リモコンを使用して車両製造メーカーによりCANチャネルで報告されていないパラメータ(例えば、エアコンや乗客などの情報)を入力し、より多くの車体状態パラメータを収集する。
【0034】
勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法は、
S1、勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置により車両走行データを収集するステップと、
S2、ショートセグメントを分割するステップと、
S3、勾配を計算し、運動セグメントをスクリーニングするステップと、
S4、勾配をフィルタリングし、ローパスフィルターを選択し、勾配値に与える干渉信号の影響を低減し、距離-勾配のパワースペクトル密度とフィルタリング効果に基づいてフィルタリングの周波数と次数を較正するステップと、
S5、都市、郊外、高速の重み係数を決定し、閾値を計算するステップと、
S6、都市、郊外、高速モードライブラリーを構築し、運動特徴及び勾配特徴を分析するステップと、
S7、速度と勾配を組み合わせたモードを構築するステップと、を含む。
【0035】
本発明は、従来の道路勾配の収集が難しいという問題に対して、より正確に道路勾配を計算することができ、広い範囲での道路勾配データの収集に適し、勾配モードの開発に基礎を築いた、GPS/SINS複合システムを用いた道路勾配の収集方法を提供する。車両の実際に走行するデータセグメント及び道路の勾配-勾配変化率の同時分布に基づいた勾配と速度を組み合わせたモードの構築は、道路勾配の変化をより好適に反映することができる。要するに、本発明にかかる勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法及び装置は、政府のエネルギー消費及び排出分野の基準策定、企業車両型式の開発及び試験設計のために技術支援を提供することができ、重要な社会的重要性及び経済的価値を有する。
【0036】
ステップS1の車両走行データの収集は、
S11、モード構築のニーズに基づいて、収集される都市と線路を決定するステップと、
S12、勾配と速度を組み合わせたモードの開発装置によりデータを収集するステップと、を含む。
【0037】
本実施例において、勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法のステップ1:モード構築のニーズに基づいて、収集される都市と線路を決定し、自主運転又は計画路線の走行方法を使用し、GPS車速、水平速度、垂直速度、エンジン回転速度などを含むデータを4Hz以上のサンプリング周波数で収集し、GPRSネットワークを介してモードデータ管理プラットフォームにリアルタイムに送信する。
【0038】
ステップS2のショートセグメントの分割は、
S21、車両の走行セグメントを運動セグメントとアイドルセグメントに分割するステップと、
S22、運動セグメント時間が10秒未満であるか否かを判定し、そうである場合、この運動セグメントを削除し、そうでない場合、次の運動セグメントに切り替えるステップと、を含む。
【0039】
本実施例において、勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法のステップ2:GPS車速とエンジン回転速度に基づいて、車両の走行セグメントを運動セグメントとアイドルセグメントに分割し、時間が10秒未満の運動セグメントを削除する。
【0040】
ステップS3の勾配の計算及び運動セグメントのスクリーニングは、
S31、勾配計算式により勾配値θを算出するステップと、
S32、変動度計算式によりセグメント変動度値Fを算出するステップと、
S33、速度変動度閾値を設定し、閾値より大きい速度変動度の運動セグメントを削除し、ノーマル運転セグメントをスクリーニングするステップと、を含む。
【0041】
本実施例において、勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法のステップ3:以下に示される計算式により、運動セグメントのそれぞれの時刻に対応する道路勾配値θを計算する。
【0042】
【0043】
但し、vzは垂直速度、vxは水平速度であり、水平速度が非常に小さく、車両の急加速と急減速の場合では、勾配値の誤差が大きい。現在の処理方法:水平速度が1km/h未満のモードで、勾配を0にする。速度変動度の閾値を設定し、速度変動度が閾値より大きい運動セグメントを削除し、ノーマル運転セグメントをスクリーニングする。変動度の計算式は以下のとおりである。
【0044】
【0045】
但し、Fはセグメント変動度である。vmax,iはセグメント時間が20%~80%の間のi番目の極大値、jは極大値の数である。vmin,iはセグメント時間が20%~80%の間のi番目の極小値、kは極小値の数である。vmeanはセグメント時間が20%~80%の間の平均値である。
【0046】
本実施例において、勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法のステップ4:ローパスフィルターを選択し、勾配値に与える干渉信号の影響を低減する。距離-勾配のパワースペクトル密度とフィルタリング効果に基づいてフィルタリングの周波数と次数を較正する。
【0047】
ステップS5の都市、郊外、高速の重み係数の決定及び閾値の計算は、
S51、異なる道路の平均流量に対応する道路の長さを乗算することで異なる道路の車両走行距離を得るステップと、
S52、道路網全体の車両走行距離に占める都市、郊外、高速の3クラスの道路車両の総走行距離の比率をそれぞれ計算し、各クラスの道路車両の走行距離比を各速度区間の重み因子とするステップと、
S53、統計して都市、郊外、高速の3クラスの道路の速度-走行距離の累積分布を得て、都市、郊外道路の90%速度分位点を速度区間の閾値とするステップと、を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法。
本実施例において、勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法のステップ5:車両型式の走行路面(都市、郊外、高速)の構造比を統計し、異なる路面の構造比に異なる路面の平均交通流量を乗算して異なる路面の交通量比、即ち異なる路面の重み因子を得る。ステップ6:セグメントの最大速度閾値に基づいて、都市、郊外、高速ショートセグメントライブラリーを分割し、最大速度閾値は都市、郊外に対応する道路速度分布90%分位点により決定される。
【0048】
ステップS6の都市、郊外、高速モードライブラリーの構築及び運動特徴と勾配特徴の分析は、
S61、最大速度の異なりに応じて運転セグメントを都市、郊外及び高速のショートセグメントライブラリーに分割するステップと、
S62、都市、郊外及び高速モードライブラリーの運動特徴を計算するステップと、
S63、都市、郊外及び高速モードライブラリーの道路勾配-勾配変化率の同時分布をそれぞれ計算するステップと、を含む。
【0049】
ステップS7の速度と勾配を組み合わせたモードの構築は、
S71、車両の毎日平均走行時間に基づいてモード総時間を設定するステップと、
S72、総時間に異なる路面の重み因子を乗算することで異なる速度区間時間を得るステップと、
S73、短距離分析法により速度モードを構築するステップと、
S74、速度モードにおける異なる速度区間の運動セグメント時間に基づいて勾配モードセグメントをスクリーニングし、最小誤差平方和法を用いて各速度区間の運動セグメントの勾配モードとして最適なセグメントの組み合わせを決定するステップと、
S75、勾配を含む2つの運動セグメントの間にアイドルセグメントを設定し、線形補間によりアイドルセグメントの勾配を得るステップと、
S76、線形補間の方法によりアイドルセグメントの勾配モード曲線を設定し、すべての運動セグメントとアイドルセグメントを組み合わせて勾配モード曲線を得るステップと、
S77、勾配モードと速度モードを組み合わせて勾配と速度を組み合わせたモードを得るステップと、を含む。
【0050】
本実施例において、勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法のステップ7:車両の毎日平均走行時間に基づいてモード総時間を設定し(総時間が2400秒以下である)、総時間に異なる路面の重み因子を乗算して異なる速度区間の時間を得る。
ステップ8:短距離分析方法を用いて速度モードを構築する。速度モードにおける異なる速度区間の運動セグメントの時間に基づいて、勾配モードセグメントをスクリーニングする。異なる速度区間の複数の勾配セグメント組み合わせの勾配-勾配変化率分布と対応する速度区間のすべての運動セグメントの勾配-勾配変化率分布の誤差平方和を計算し、それぞれの速度区間から誤差平方和の組み合わせを選択し、この速度区間の勾配モードにする。
【0051】
ステップ9:勾配を含む2つの運動セグメントの間にアイドルセグメントを設定し、前の運動セグメントの終点勾配値と次の運動セグメントの始点勾配値に対する線形補間により、アイドルセグメントの勾配を得る。最初のアイドルセグメントの勾配値を最初の運動セグメントの始点勾配値に設定し、最後のアイドルセグメントの勾配値を最後の運動セグメントの終点勾配値に設定し、すべての運動セグメントとアイドルセグメントを組み合わせて勾配モード曲線を得る。
【0052】
ステップ10:勾配モードと速度モードを組み合わせて勾配と速度を組み合わせたモードを得る。
【0053】
実施例1
以下、図面に合わせて、発明の方法及び装置をさらに詳しく説明する。
図1は、勾配と速度を組み合わせたモードの開発方法の全フローであり、具体的なステップは以下のとおりである。
【0054】
実際に走行するデータの収集
モード構築のニーズに基づいて、収集される都市と線路を決定し、自主運転又は計画路線の走行方法を使用し、データを収集し、GPRSネットワークを介してモードデータ管理プラットフォームにリアルタイムに送信する。そのうち、データ収集モジュールは、ハードウェアコントローラ、GPS/SINS収集モジュール、CAN分析モジュール、4Gモジュールなどの部分を含まなければならず、端末構成は
図2に示されている。収集パラメータは、GPS車速、水平速度、垂直速度、エンジン回転速度などを含まなければならず、収集周波数は4Hz以上である。
【0055】
ショートセグメントの分割
ショートセグメントの分割:「あるアイドルの開始から次のアイドルの開始まで」をショートセグメントの分割根拠として、走行セグメントを複数のショートセグメントに分割し、そのうちの1つのショートセグメントは運動セグメントと隣接するアイドルセグメントが含まれる。その中で、ある停止から次の始動までの車両の運動はアイドルセグメントと定義され、ある始動から次の停止までの車両の運動は運動セグメントと定義され、次にショートセグメントを運動セグメントとアイドルセグメントに分割する。時間が10s未満のセグメントはハブでの再生に適せず、その比率も低いため、削除する。
【0056】
勾配の計算及び運動セグメントのスクリーニング
現在のサンプリングポイントの垂直速度と水平速度の比率を計算して路面勾配の接線値を得ることによって、車両の現在走行する道路勾配角の測定を実現する。計算式は以下のとおりである。
【0057】
【0058】
但し、θは車両の現在走行する道路勾配角、単位は°であり、vzはこの時刻での車両の垂直速度、単位はkm/hであり、vxはこの時刻での車両の水平速度、単位はkm/hである。
【0059】
車両の低速走行時、車速が小さいため、その比率は大きい範囲内で変動し、誤差が生じる。また、車体の急激な加速と減速により、車体が傾斜し、測定された道路勾配に大きな誤差が生じる。従って、スポーツ運転セグメントを除去する必要がある。具体的な処理方法は以下のとおりである。
水平速度が1km/h未満である場合、勾配を0にする。
【0060】
変動度閾値を設定し、変動度が閾値より大きい運動セグメントを削除し、ノーマル運転セグメントは
図3に示されている。変動度の計算プロセスは以下のとおりである。
(1)運動セグメントにおける20%~80%時間帯の間のデータを選択し、その平均値及び各極大値、極小値を計算する。
(2)変動度の計算式は以下のとおりである。
【0061】
【0062】
但し、Fはセグメント変動度である。vmax,iはセグメント時間20%~80%の間のi番目の極大値、jは極大値の数である。vmin,iはセグメント時間20%~80%の間のi番目の極小値、kは極小値の数である。vmeanはセグメント時間20%~80%の間の平均値である。
【0063】
勾配のフィルターリング
GPSは干渉信号の影響を受け、グリッチやステップなどの問題がある。この特許では、バターワースフィルターを使用してデータをフィルタリングする。他のフィルターと比べて、バターワースフィルターには、線形位相、減衰スロープ及び負荷特性の3つの点で特性が均衡であるという利点を有する。バターワースフィルターの使用プロセスにおいて、次数とカットオフ周波数の2つのパラメータを較正する必要がある。
【0064】
GPSの受けた様々な干渉信号は比較的高周波の信号であるため、ノイズを低減するためにローパスフィルターが選択される。データの収集により得られた速度-時間-勾配データを距離-勾配データに変換し、距離-勾配データに対するパワースペクトル密度分析を行う。様々な信号に干渉された後、計算された道路勾配の周波数区間は明らかに増加する。フィルターのカットオフ周波数が低すぎることを回避するため、総パワー密度の95%分位点に対応する周波数が初期カットオフ周波数として選択される。
【0065】
フィルタリングの次数は、複数の実験を通じてフィルタリング効果を比較することによって選択される。上記フィルタリング周波数の選択方法に従って、それぞれ2次以上のフィルターを使用してフィルタリングし、絶対誤差を指標としてフィルタリング次数を選択する。この特許では、フィルタリング次数は4として選択される。
都市、郊外及び高速の重み係数の決定及び閾値の計算
【0066】
勾配を開発する場合、重み因子を計算する必要がある。本発明は、道路の路面に占める各クラスの道路車両走行距離の比率を重み因子とし、都市、郊外及び高速の3クラスの道路車両走行距離をそれぞれ計算し、最終的に各速度区間の重み因子を得る。道路走行距離の計算式は以下のとおりである。
【0067】
【0068】
但し、VKTkはkクラスの道路車両走行距離の和であり、nkはkクラスの道路の数であり、Qk,iはkクラスの道路でのi番目の車道の毎日平均流量であり、Lk,iはkクラスの道路のi番目の車道の長さである。
【0069】
各速度区間の重み因子の計算式は以下のとおりである。
【0070】
【0071】
但し、 ωiは速度区間の重みであり、VKTiはiクラスの道路車両走行距離の和である。
【0072】
都市、郊外、高速の3クラスの道路での各速度区間(1km/hを速度間隔とする)の車両走行距離の累積値を統計し、都市、郊外、高速の3クラスの道路の速度-走行距離の累積分布を得る。速度区間の閾値は都市、郊外道路の90%速度分位点である。
都市、郊外、高速モードライブラリーの構築及び運動特徴と勾配特徴の分析
最大速度の異なりに応じてスクリーニングされた運転セグメントを都市、郊外及び高速のショートセグメントライブラリーに分割する。都市、郊外及び高速モードライブラリーの、運行時間、加速時間、減速時間、定速時間、アイドル時間、運行距離、最大速度、平均速度、運行速度、速度標準偏差、最大加速度、加速セグメントの平均加速度、最小加速度、減速セグメントの平均加速度、加速度標準偏差を含む運動特徴を計算する。都市、郊外及び高速モードライブラリーの道路勾配-勾配変化率の同時分布をそれぞれ計算し、同時分布は
図4に示されている。
【0073】
速度-勾配組み合わせモードの構築
車両の毎日平均走行時間に基づいてモード総時間を設定し(総時間が2400秒以下である)、総時間に異なる路面の重み因子を乗算して異なる速度区間の時間を得る。統計及び分析により、都市、郊外及び高速の小型商用車の重み係数は、それぞれ31.17%、39.66%及び29.17%である。勾配モードの持続時間を1800sに設定し、重み係数に基づいて各速度区間の短距離の総時間を計算する。各区間の時間:Ti=1800*ωi、i=1,2,3。都市:735秒、郊外:615秒、高速:450秒。標準GB/T38146.1に示されている短距離分析方法を用いて速度モードを構築する。速度モード曲線は
図5に示されている。
【0074】
速度モード曲線における都市速度区間の時間とセグメントの数に基づいて、勾配モードにおける選択すべき都市速度区間の勾配セグメントの数と時間を選択する。デカルト積に従って、セグメント時間に基づいて選択された勾配セグメントを自由に組み合わせ、組み合わせた後のセグメントの勾配-勾配変化率分布及び都市速度区間の勾配-勾配変化率の同時分布に対する誤差比較を行い、誤差比較の結果に基づいて最適な都市勾配モードを決定する。郊外、高速の勾配モードは同様である。
【0075】
図5に示すように、勾配を含む2つの運動セグメントの間にアイドルセグメントを設定し、前の運動セグメントの終点勾配値と次の運動セグメントの始点勾配値に対する線形補間により、アイドルセグメントの勾配を得る。最初のアイドルセグメントの勾配値を最初の運動セグメントの始点勾配値に設定し、最後のアイドルセグメントの勾配値を最後の運動セグメントの終点勾配値に設定し、すべての運動セグメントとアイドルセグメントを組み合わせて勾配モード曲線を得る。
図5に示すように、勾配モードと速度モードを組み合わせて勾配と速度を組み合わせたモードを得る。
【0076】
上記の記述は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するものではない。本発明の精神及び原則から逸脱しない限り、行われた如何なる修正、同等置換、改善などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれる。