(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078055
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】道路勾配を含む自動車走行モードの開発装置及び開発方法
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
G01M17/007 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053824
(22)【出願日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】202111416906.8
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】522108459
【氏名又は名称】中汽研汽車検験中心(天津)有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】519320446
【氏名又は名称】中国汽車技術研究中心有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】于 ▲ハン▼正男
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】李 菁元
(72)【発明者】
【氏名】楊 正軍
(72)【発明者】
【氏名】馬 ▲クン▼其
(72)【発明者】
【氏名】安 暁▲プァン▼
(72)【発明者】
【氏名】胡 熙
(72)【発明者】
【氏名】沈 ▲シュ▼
(72)【発明者】
【氏名】梁 永凱
(72)【発明者】
【氏名】徐 航
(57)【要約】
【課題】道路勾配を含む自動車走行モードの開発装置及び開発方法を提供すること。
【解決手段】収集データ処理モジュール、運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定モジュール、勾配モードと速度モードの特徴パラメータ抽出モジュール、モード構築モジュール及び電子機器を含む。車両走行プロセスにおける車速及び勾配などのデータを実際に収集することによって、勾配モードと速度モードの特徴パラメータを抽出する。極値検定、平均値検定及び最小偏差平方和検定の方法により、勾配モードと速度モードの特徴パラメータを同時に満たす代表的な運動セグメントをスクリーニングすることによって、勾配モードを含む自動車走行モードを構築する。テストモードとしてこのモードを使用することで、試験室のドラム試験により山岳地帯と都市の車両の実際に走行する燃費と排出量レベルを正確に評価することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収集データ処理モジュール、運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定モジュール、勾配モードと速度モードの特徴パラメータ抽出モジュール、モード構築モジュール及び電子機器を含み、前記収集データ処理モジュール、運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定モジュール、勾配モードと速度モードの特徴パラメータ抽出モジュール、モード構築モジュールの間は順に信号接続され、前記収集データ処理モジュール、運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定モジュール、勾配モードと速度モードの特徴パラメータ抽出モジュール、モード構築モジュールはいずれも電子機器に信号接続され、
前記電子機器はプロセッサと、プロセッサに通信接続され、プロセッサで実行する命令を記憶するためのメモリと、を含む
ことを特徴とする道路勾配を含む自動車走行モードの開発装置。
【請求項2】
S1、収集データ処理モジュールにより、車両運行セグメントを分割、クリーニング及び補充するステップと、
S2、運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定モジュールにより、低速、中速、高速運動セグメントライブラリー分割と重み係数を決定するステップと、
S3、勾配モードと速度モードの特徴パラメータ抽出モジュールにより、勾配モードと速度モードの特徴パラメータを抽出するステップと、
S4、モード構築モジュールにより、道路勾配を含む自動車走行モードを構築するステップと、を含む
ことを特徴とする道路勾配を含む自動車走行モードの開発方法。
【請求項3】
ステップS1に記載の車両運行セグメントの分割、クリーニング及び補充は、
A1、収集データの車速とエンジン回転速度に基づいて、判定原則に従って車両のアイドルと運動の状態を判定するステップと、
A2、判定原則に従ってアイドルと運動セグメントを分割するステップと、
A3、運動セグメントデータの欠損率、最大加減速度及び最大車速の要件により、運動セグメントをクリーニング及び補充するステップと、
A4、アイドルセグメントと運動セグメントの総時間をそれぞれ計算し、車両のアイドルと運動の時間比を得るステップと、を含み、
ステップA1に記載の判定原則は、
A11、車速<1km/h且つエンジン回転速度>0rpmであるか否かを判定し、そうである場合、車両がアイドル状態にあると判定し、そうでない場合、次のステップへ進むステップと、
A12、車速≧1km/h且つエンジン回転速度>0rpmであるか否かを判定し、そうである場合、車両が運動状態にあると判定し、そうでない場合、次の車両運行セグメントに切り替えるステップと、を含む、
請求項2に記載の道路勾配を含む自動車走行モードの開発方法。
【請求項4】
ステップA3の運動セグメントのクリーニング及び補充は、
A31、運動セグメントの最大加速度amaxが6m/s2より大きいか否か、又は、運動セグメントの最小減速度aminが-6m/s2より小さいか否かを判定し、そうである場合、この運動セグメントを直接削除し、そうでない場合、次のステップへ進むステップと、
A32、運動セグメントの最大速度が5km/hより小さいか否か、又は、120km/hより大きいか否かを判定し、そうである場合、この運動セグメントを直接削除し、そうでない場合、次のステップへ進むステップと、
A33、欠損率が5%以上であるか否かを判定し、そうである場合、この運動セグメントを直接削除し、そうでない場合、次のステップへ進むステップと、
A34、3次Bスプライン補間法を用いて車速と勾配を含む欠損データを補充するステップと、を含む
請求項3に記載の道路勾配を含む自動車走行モードの開発方法。
【請求項5】
ステップS2の低速、中速、高速運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定は、
B1、低速、中速、高速運動セグメントライブラリーを分割するステップと、
B2、低速、中速、高速区間重み係数を決定するステップと、を含み、
ステップB1の低速、中速、高速運動セグメントライブラリー分割は、
B11、運動セグメントの平均速度が0km/hより大きいか否か、且つ、30km/h以下であるか否かを判定し、そうである場合、低速運動セグメントライブラリーであり、そうでない場合、次のステップへ進むステップと、
B12、運動セグメントの平均速度が30km/hより大きいか否か、且つ、40km/h以下であるか否かを判定し、そうである場合、中速運動セグメントライブラリーであり、そうでない場合、次のステップへ進むステップと、
B13、運動セグメントの平均速度が40km/hより大きいか否かを判定し、そうである場合、高速運動セグメントライブラリーであり、そうでない場合、次の運動セグメントに切り替えるステップと、を含む
請求項2に記載の道路勾配を含む自動車走行モードの開発方法。
【請求項6】
ステップS3の勾配モードと速度モードの特徴パラメータの抽出は、
C1、勾配モードの特徴パラメータを抽出するステップと、
C2、速度モードの特徴パラメータを抽出するステップと、を含む
請求項2に記載の道路勾配を含む自動車走行モードの開発方法。
【請求項7】
ステップS4の道路勾配を含む自動車走行モードの構築は、
D1、典型的な運動セグメントをスクリーニングするステップと、
D2、低速、中速、高速モードを構成する運動セグメントの数と時間を決定するステップと、
D3、運動セグメントの組み合わせ及びモードを構築するステップと、を含む
請求項2に記載の道路勾配を含む自動車走行モードの開発方法。
【請求項8】
ステップD1の典型的な運動セグメントのスクリーニングは、
D11、極値検定を行い、運動セグメントの極値パラメータ情報に基づいて運動セグメントを検定及びスクリーニングするステップと、
D12、平均値検定を行い、運動セグメントの平均値パラメータ情報に基づいて運動セグメントを検定及びスクリーニングするステップと、
D13、最小偏差平方和原理を用いて低速、中速、高速の典型的な運動セグメントをそれぞれスクリーニングするステップと、を含む
請求項7に記載の道路勾配を含む自動車走行モードの開発方法。
【請求項9】
ステップD2の低速、中速、高速モードを構成する運動セグメントの数と時間の決定は、
D21、低速、中速、高速の典型的な運動セグメントライブラリーにおける各運動セグメントの平均時間をそれぞれ計算し、低速、中速、高速モードを構成する運動セグメントの数を決定するステップと、
D22、低速、中速、高速区間の運動セグメントの持続時間を統計するステップと、
D23、対応する持続時間での運動セグメントの数を計算し、運動セグメントの持続時間を並べ替え、運動セグメントの持続時間の累積頻度分布を算出するステップと、
D24、異なる速度区間により決定された運動セグメントの数に基づいて、累積分布をいくつかに等分し、計算により各等分の50%分位点に対応する持続時間を得て、運動セグメントの時間とするステップと、を含む
請求項7に記載の道路勾配を含む自動車走行モードの開発方法。
【請求項10】
ステップD3の運動セグメントの組み合わせ及びモードの構築は、
D31、低速、中速、高速運動セグメントライブラリーから運動セグメントをそれぞれ選択し、運動セグメントの数に基づいてランダムに組み合わせ、いくつかの低速、中速、高速モードを形成するステップと、
D32、勾配-勾配変化率同時分布及び速度-加速度同時分布を同時に満たす低速、中速、高速モードをスクリーニングするステップと、
D33、車両の走行規則を統計し、モード始点でのアイドルモードとして車両始動段階でのアイドルの平均時間を決定し、運動セグメントの間の間隔の数に基づいて、運動セグメントの間及び終点でアイドルセグメントをそれぞれ追加するステップと、
D34、道路勾配を含む自動車走行モードを構築するステップと、含む
請求項7に記載の道路勾配を含む自動車走行モードの開発方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通輸送分野に属し、特に道路勾配を含む自動車走行モードの開発装置及び開発方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、中国の自動車の燃費及び排出量のテストで使用されている走行モードはいずれも、速度-時間モードである。道路の勾配情報が含まれていないため、勾配の変化の、車両全体の燃費及び排出量に与える影響を反映することができない。勾配の変化は必然的に車両全体の牽引力の変化を引き起こし、さらにエンジンモード点の変化につながり、最終的に車両全体の燃費及び排出量の変化につながる。従って、単純な速度-時間の自動車走行モードを使用することで、山岳地帯と都市の車両の実際に走行する燃費及び排出量の特徴を正確に評価することができず、勾配モードを含む自動車走行モードを開発する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
これらを鑑み、本発明は、従来の自動車走行モードでは、山岳地帯と都市の車両の実際に走行する燃費及び排出量の特徴を正確に評価することができないという問題を解決するために、道路勾配を含む自動車走行モードの開発装置を提供することを目的とする。
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の技術的解決手段は、以下のとおり実現されている。
【0005】
道路勾配を含む自動車走行モードの開発装置は、収集データ処理モジュール、運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定モジュール、勾配モードと速度モードの特徴パラメータ抽出モジュール、モード構築モジュール及び電子機器を含み、前記収集データ処理モジュール、運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定モジュール、勾配モードと速度モードの特徴パラメータ抽出モジュール、モード構築モジュールの間は順に信号接続され、前記収集データ処理モジュール、運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定モジュール、勾配モードと速度モードの特徴パラメータ抽出モジュール、モード構築モジュールはいずれも電子機器に接続され、
前記電子機器は、プロセッサと、プロセッサに通信接続され、プロセッサで実行する命令を記憶するためのメモリと、を含む。
【0006】
従来の技術と比べて、本発明に記載の道路勾配を含む自動車走行モードの開発装置は、以下の優位性を有する。
【0007】
本発明に記載の道路勾配を含む自動車走行モードの開発装置は、構造が簡単で、設計が合理的である。各モジュールが車両運行セグメントをそれぞれ分割、クリーニング及び補充し、異なる速度区間の重み係数を計算し、勾配モードと速度モードの特徴パラメータを抽出し、異なる速度区間の典型的な運動セグメントをスクリーニングし、最終的に道路勾配を含む自動車走行モードを構築することにより、走行モードが山岳地帯と都市の車両の実際に走行する燃費及び排出量の特徴を正確に評価することができないという問題を効果的に解決する。
【0008】
本発明の別の目的は、車両走行プロセスにおける、時間と同期変化する車速及び勾配などのデータを実際に収集することにより、勾配モードを含む自動車走行モードを構築するために、道路勾配を含む自動車走行モードの開発方法を提供することである。テストモードとしてこのモードを使用することで、試験室のドラム試験により山岳地帯と都市の車両の実際に走行する燃費と排出量レベルを正確に評価することができる。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の技術的解決手段は、以下のとおり実現されている。
【0010】
道路勾配を含む自動車走行モードの開発方法は、
S1、収集データ処理モジュールにより、車両運行セグメントを分割、クリーニング及び補充するステップと、
S2、運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定モジュールにより、低速、中速、高速運動セグメントライブラリー分割と重み係数を決定するステップと、
S3、勾配モードと速度モードの特徴パラメータ抽出モジュールにより、勾配モードと速度モードの特徴パラメータを抽出するステップと、
S4、モード構築モジュールにより、道路勾配を含む自動車走行モードを構築するステップと、を含む。
【0011】
さらに、ステップS1に記載の車両運行セグメントの分割、クリーニング及び補充は、
A1、収集データの車速とエンジン回転速度に基づいて、判定原則に従って車両のアイドルと運動の状態を判定するステップと、
A2、判定原則に従ってアイドルと運動セグメントを分割するステップと、
A3、運動セグメントデータの欠損率、最大加減速度及び最大車速の要件により、運動セグメントをクリーニング及び補充するステップと、
A4、アイドルセグメントと運動セグメントの総時間をそれぞれ計算し、車両のアイドルと運動の時間比を得るステップと、を含む。
【0012】
ステップA1に記載の判定原則は、
A11、車速<1km/h且つエンジン回転速度>0rpmであるか否かを判定し、そうである場合、車両がアイドル状態にあると判定し、そうでない場合、次のステップへ進むステップと、
A12、車速≧1km/h且つエンジン回転速度>0rpmであるか否かを判定し、そうである場合、車両が運動状態にあると判定し、そうでない場合、次の車両運行セグメントに切り替えるステップと、を含む。
【0013】
さらに、ステップA3の運動セグメントのクリーニング及び補充は、
A31、運動セグメントの最大加速度amaxが6m/s2より大きいか否か、又は、運動セグメントの最小減速度aminが-6m/s2より小さいか否かを判定し、そうである場合、この運動セグメントを直接削除し、そうでない場合、次のステップへ進むステップと、
A32、運動セグメントの最大速度が5km/hより小さいか否か、又は、120km/hより大きいか否かを判定し、そうである場合、この運動セグメントを直接削除し、そうでない場合、次のステップへ進むステップと、
A33、欠損率が5%以上であるか否かを判定し、そうである場合、この運動セグメントを直接削除し、そうでない場合、次のステップへ進むステップと、
A34、3次Bスプライン補間法を用いて車速と勾配を含む欠損データを補充するステップと、を含む。
【0014】
さらに、ステップS2の低速、中速、高速運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定は、
B1、低速、中速、高速運動セグメントライブラリーを分割するステップと、
B2、低速、中速、高速区間重み係数を決定するステップと、を含む。
【0015】
ステップB1の低速、中速、高速運動セグメントライブラリー分割は、
B11、運動セグメントの平均速度が0km/hより大きいか否か、且つ、30km/h以下であるか否かを判定し、そうである場合、低速運動セグメントライブラリーであり、そうでない場合、次のステップへ進むステップと、
B12、運動セグメントの平均速度が30km/hより大きいか否か、且つ、40km/h以下であるか否かを判定し、そうである場合、中速運動セグメントライブラリーであり、そうでない場合、次のステップへ進むステップと、
B13、運動セグメントの平均速度が40km/hより大きいか否かを判定し、そうである場合、高速運動セグメントライブラリーであり、そうでない場合、次の運動セグメントに切り替えるステップと、を含む。
【0016】
さらに、ステップS3の勾配モードと速度モードの特徴パラメータ抽出は、
C1、勾配モードの特徴パラメータを抽出するステップと、
C2、速度モードの特徴パラメータを抽出するステップと、を含む。
【0017】
さらに、ステップS4の道路勾配を含む自動車走行モードの構築は、
D1、典型的な運動セグメントをスクリーニングするステップと、
D2、低速、中速、高速モードを構成する運動セグメントの数と時間を決定するステップと、
D3、運動セグメントの組み合わせ及びモードを構築するステップと、を含む。
【0018】
さらに、ステップD1の典型的な運動セグメントのスクリーニングは、
D11、極値検定を行い、運動セグメントの極値パラメータ情報に基づいて運動セグメントを検定及びスクリーニングするステップと、
D12、平均値検定を行い、運動セグメントの平均値パラメータ情報に基づいて運動セグメントを検定及びスクリーニングするステップと、
D13、最小偏差平方和原理を用いて低速、中速、高速の典型的な運動セグメントをそれぞれスクリーニングするステップと、を含む。
【0019】
さらに、ステップD2の低速、中速、高速モードを構成する運動セグメントの数と時間の決定は、
D21、低速、中速、高速の典型的な運動セグメントライブラリーにおける各運動セグメントの平均時間をそれぞれ計算し、低速、中速、高速モードを構成する運動セグメントの数を決定するステップと、
D22、低速、中速、高速区間の運動セグメントの持続時間を統計するステップと、
D23、対応する持続時間での運動セグメントの数を計算し、運動セグメントの持続時間を並べ替え、運動セグメントの持続時間の累積頻度分布を算出するステップと、
D24、異なる速度区間により決定された運動セグメントの数に基づいて、累積分布をいくつかに等分し、計算により各等分の50%分位点に対応する持続時間を得て、運動セグメントの時間とするステップと、を含む。
【0020】
さらに、ステップD3の運動セグメントの組み合わせ及びモードの構築は、
D31、低速、中速、高速運動セグメントライブラリーから運動セグメントをそれぞれ選択し、運動セグメントの数に基づいてランダムに組み合わせ、いくつかの低速、中速、高速モードを形成するステップと、
D32、勾配-勾配変化率同時分布及び速度-加速度同時分布を同時に満たす低速、中速、高速モードをスクリーニングするステップと、
D33、車両の走行規則を統計し、モード始点でのアイドルモードとして車両始動段階でのアイドルの平均時間を決定し、運動セグメントの間の間隔の数に基づいて、運動セグメントの間及び終点でアイドルセグメントをそれぞれ追加するステップと、
D34、道路勾配を含む自動車走行モードを構築するステップと、含む。
【0021】
従来の技術と比べて、本発明に記載の道路勾配を含む自動車走行モードの開発方法は、以下の優位性を有する。
【0022】
本発明に記載の道路勾配を含む自動車走行モードの開発方法であって、本発明は、車両走行プロセスにおける車速及び勾配などのデータを実際に収集することにより、勾配モードと速度モードの特徴パラメータを抽出する。極値検定、平均値検定及び最小偏差平方和検定の方法により、勾配モードと速度モードの特徴パラメータを同時に満たす代表的な運動セグメントをスクリーニングすることによって、勾配モードを含む自動車走行モードを構築し、勾配と車速は時間と同期変化する。テストモードとしてこのモードを使用することで、試験室のドラム試験により山岳地帯と都市の車両の実際に走行する燃費と排出量レベルを正確に評価することができる。
【0023】
本発明の一部を構成する図面は本発明をさらに理解するためのものであり、本発明の例示的な実施例及びその説明は本発明を解釈するためのものであり、本発明を過度に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施例に記載の道路勾配を含む自動車走行モードの開発装置及び開発方法の勾配モードの特徴パラメータの模式図である。
【
図2】本発明の実施例に記載の道路勾配を含む自動車走行モードの開発装置及び開発方法の速度モードの特徴パラメータの模式図である。
【
図3】本発明の実施例に記載の道路勾配を含む自動車走行モードの開発装置及び開発方法の低速区間運動セグメントの時間を決定する例示的な模式図である。
【
図4】本発明の実施例に記載の道路勾配を含む自動車走行モードの開発装置及び開発方法の道路勾配を含む自動車走行モードの例示的な模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
説明すべきことは、衝突しない限り、本発明の実施例及び実施例における特徴は互いに組み合わせることができる。
【0026】
本発明の説明において、理解すべきことは、「中央」、「縦方向」、「横方向」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などの用語が指示する方向又は位置関係は、図面に示す方向又は位置関係であり、本発明を説明しやすくするか又は説明を簡略化するためのものに過ぎず、言及された装置や素子が特定の方向を有し、特定の方向で構成・操作しなければならないと指示又は暗示するものではない。従って、本発明を制限するものと理解すべきではない。また、「第1」、「第2」などの用語は、目的を説明するためのものに過ぎず、相対重要性を指示又は暗示するか又は指示される技術的特徴の数を暗黙的に示すものと理解すべきではない。それにより、「第1」、「第2」などが限定されている特徴は、1つ又はより多くの当該特徴を明記するか又は暗黙的に含むことができる。本発明の説明において、別途説明がない限り、「複数」の意味は2つ以上である。
【0027】
本発明の説明において、説明すべきことは、別途明確な規定や限定がない限り、「取付」、「連結」、「接続」という用語は、広く理解されるべきである。例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続であってもよく、若しくは一体接続であってもよい。機械的接続であってもよく、電気的接続であってもよい。直接連結であってもよく、中間媒介による間接的な連結であってもよく、2つの部品内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、本発明における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0028】
以下、図面を参照しながら、実施例と組み合わせて本発明を詳しく説明する。
【0029】
名詞の解釈:
【0030】
3次Bスプライン補間:即ちキュービックスプライン補間(CubicSplineInterpolation)(Spline補間と略称)とは、一連のデータ点を通る滑らかな曲線であり、3モーメント方程式を解くことによって曲線関数群を数学的に取得するプロセスである。
【0031】
実際の計算では、計算を完了するために、境界条件を導入する必要がある。一般的な計算方法の書籍では、節点なし境界の定義について説明されないが、Matlabなどの数値計算ソフトウェアはいずれも、節点なし境界条件をデフォルトの境界条件として使用する。
【0032】
偏差平方和:偏差平方和(SumofSquaresofDeviations)は、各項と平均項との差の平方の総和である。定義:xをランダム変数とし、η=x-Exとすると、ηをxの偏差と呼ばれる。これは、数学的な期待値Exからのxの偏差の程度を反映する。
【0033】
図1~
図4に示すように、道路勾配を含む自動車走行モードの開発装置は、収集データ処理モジュール、運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定モジュール、勾配モードと速度モードの特徴パラメータ抽出モジュール、モード構築モジュール及び電子機器を含み、前記収集データ処理モジュール、運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定モジュール、勾配モードと速度モードの特徴パラメータ抽出モジュール、モード構築モジュールの間は順に信号接続され、前記収集データ処理モジュール、運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定モジュール、勾配モードと速度モードの特徴パラメータ抽出モジュール、モード構築モジュールはいずれも電子機器に接続され、
【0034】
前記電子機器は、プロセッサと、プロセッサに通信接続され、プロセッサで実行する命令を記憶するためのメモリと、を含む。
【0035】
本実施例において、道路勾配を含む自動車走行モードの開発装置は、車両運行セグメントを分割、クリーニング及び補充するための収集データ処理モジュールと、運動セグメントの平均速度に基づいて異なる速度区間運動セグメントライブラリーを分割し、異なる速度区間の重み係数を計算するための運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定モジュールと、低速、中速、高速セグメントライブラリーの勾配モードと速度モードの特徴パラメータを抽出するための勾配モードと速度モードの特徴パラメータ抽出モジュールと、異なる速度区間の典型的な運動セグメントをスクリーニングし、アイドル及び運動モードの持続時間に合わせて、最終的に道路勾配を含む自動車走行モードを構築するためのモード構築モジュールと、を含む。
【0036】
少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサに通信接続されたメモリと、を含む電子機器を提供する。但し、前記メモリには前記少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な命令が記憶され、前記少なくとも1つのプロセッサが上記方法を実行させるために前記命令は前記少なくとも1つのプロセッサにより実行される。この電子機器におけるプロセッサは、上記方法が実行されるため、少なくとも上記方法と同様な優位性を有する。
【0037】
コンピュータにより上記方法を実行するためのコンピュータ命令が記憶されている媒体を提供する。この媒体におけるコンピュータ命令は、コンピュータにより上記方法が実行されるため、少なくとも上記方法と同様な優位性を有する。
【0038】
道路勾配を含む自動車走行モードの開発方法は、
S1、収集データ処理モジュールにより、車両運行セグメントを分割、クリーニング及び補充するステップと、
S2、運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定モジュールにより、低速、中速、高速運動セグメントライブラリー分割と重み係数を決定するステップと、
S3、勾配モードと速度モードの特徴パラメータ抽出モジュールにより、勾配モードと速度モードの特徴パラメータを抽出するステップと、
S4、モード構築モジュールにより、道路勾配を含む自動車走行モードを構築するステップと、を含む。
【0039】
本発明は、車両走行プロセスにおける車速及び勾配などのデータを実際に収集することにより、勾配モードと速度モードの特徴パラメータを抽出する。極値検定、平均値検定及び最小偏差平方和検定の方法により、勾配モードと速度モードの特徴パラメータを同時に満たす代表的な運動セグメントをスクリーニングすることによって、勾配モードを含む自動車走行モードを構築し、勾配と車速は時間と同期変化する。テストモードとしてこのモードを使用することで、試験室のドラム試験により山岳地帯と都市の車両の実際に走行する燃費と排出量レベルを正確に評価することができる。
【0040】
ステップS1に記載の車両運行セグメントの分割、クリーニング及び補充は、
A1、収集データの車速とエンジン回転速度に基づいて、判定原則に従って車両のアイドルと運動の状態を判定するステップと、
A2、判定原則に従ってアイドルと運動セグメントを分割するステップと、
A3、運動セグメントデータの欠損率、最大加減速度及び最大車速の要件により、運動セグメントをクリーニング及び補充するステップと、
A4、アイドルセグメントと運動セグメントの総時間をそれぞれ計算し、車両のアイドルと運動の時間比を得るステップと、を含む。
【0041】
ステップA1に記載の判定原則は、
A11、車速<1km/h且つエンジン回転速度>0rpmであるか否かを判定し、そうである場合、車両がアイドル状態にあると判定し、そうでない場合、次のステップへ進むステップと、
A12、車速≧1km/h且つエンジン回転速度>0rpmであるか否かを判定し、そうである場合、車両が運動状態にあると判定し、そうでない場合、次の車両運行セグメントに切り替えるステップと、を含む。
【0042】
ステップA3の運動セグメントのクリーニング及び補充は、
A31、運動セグメントの最大加速度amaxが6m/s2より大きいか否か、又は、運動セグメントの最小減速度aminが-6m/s2より小さいか否かを判定し、そうである場合、この運動セグメントを直接削除し、そうでない場合、次のステップへ進むステップと、
A32、運動セグメントの最大速度が5km/hより小さいか否か、又は、120km/hより大きいか否かを判定し、そうである場合、この運動セグメントを直接削除し、そうでない場合、次のステップへ進むステップと、
A33、欠損率が5%以上であるか否かを判定し、そうである場合、この運動セグメントを直接削除し、そうでない場合、次のステップへ進むステップと、
A34、3次Bスプライン補間法を用いて車速と勾配を含む欠損データを補充するステップと、を含む。
【0043】
本実施例において、車両運行セグメントの分割、クリーニング及び補充
【0044】
まず、収集データの車速及びエンジン回転速度に基づいて、車両のアイドル及び運動状態を判定し、車速<1km/h且つエンジン回転速度>0rpmである場合、車両がアイドル状態にあると判定し、車速≧1km/h且つエンジン回転速度>0rpmである場合、車両が運動状態にあると判定する。
【0045】
上記判定原則に従って、アイドルと運動セグメントを分割する。アイドルセグメントの時間≦300sと規定される。運動セグメントは0km/hの車速で始点とし、再度0km/hの車速で終点とし、運動セグメントの時間≧5s且つ≦3600sと規定される。アイドルセグメントと運動セグメントが1対1でセットになっている必要がある。
【0046】
運動セグメントのデータ欠損率、最大加減速度及び最大車速の要件に応じて、運動セグメントをクリーニング及び補充し、運動セグメントの最大加速度amax>6m/s2又は最小減速度amin<-6m/s2である場合、この運動セグメントを直接削除し、運動セグメントの最大速度<5km/h又は>120km/hである場合、この運動セグメントを直接削除し、運動セグメントの欠損率≧5%である場合、この運動セグメントを直接削除し、欠損率が5%より小さい場合、3次Bスプライン補間法を用いて車速と勾配を含む欠損データを補充する。運動セグメントを削除すると同時に、対応するアイドルセグメントを同時に削除する必要がある。
【0047】
最終的にアイドルセグメントと運動セグメントの総時間をそれぞれ計算し、車両のアイドルと運動の時間比を得る。
【0048】
ステップS2の低速、中速、高速運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定は、
B1、低速、中速、高速運動セグメントライブラリーを分割するステップと、
B2、低速、中速、高速区間重み係数を決定するステップと、を含む。
【0049】
ステップB1の低速、中速、高速運動セグメントライブラリー分割は、
B11、運動セグメントの平均速度が0km/hより大きいか否か、且つ、30km/h以下であるか否かを判定し、そうである場合、低速運動セグメントライブラリーであり、そうでない場合、次のステップへ進むステップと、
B12、運動セグメントの平均速度が30km/hより大きいか否か、且つ、40km/h以下であるか否かを判定し、そうである場合、中速運動セグメントライブラリーであり、そうでない場合、次のステップへ進むステップと、
B13、運動セグメントの平均速度が40km/hより大きいか否かを判定し、そうである場合、高速運動セグメントライブラリーであり、そうでない場合、次の運動セグメントに切り替えるステップと、を含む。
【0050】
本実施例において、低速、中速、高速運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定
【0051】
(1)低速、中速、高速運動セグメントライブラリー分割
運動セグメントの平均速度に基づいて、運動セグメントを低速、中速及び高速運動セグメントライブラリーに分ける。但し、平均速度が0km/hより大きい且つ30km/h以下である運動セグメントを低速運動セグメントライブラリーとする。平均速度が30km/hより大きい且つ40km/h以下である運動セグメントを中速運動セグメントライブラリーとする。平均速度が40km/hより大きい運動セグメントを高速運動セグメントライブラリーとする。
【0052】
(2)低速、中速、高速区間重み係数決定
低速、中速、高速運動セグメントライブラリーにおけるすべてのセグメントの総時間を統計し、低速、中速、高速重み係数を取得し、車両のアイドルと運動の時間比に合わせて、最終的にアイドル、低速、中速及び高速モードの持続時間を得る。
【0053】
ステップS3の勾配モードと速度モードの特徴パラメータの抽出は、
C1、勾配モードの特徴パラメータを抽出するステップと、
C2、速度モードの特徴パラメータを抽出するステップと、を含む。
【0054】
本実施例において、勾配モードと速度モードの特徴パラメータの抽出
(1)勾配モードの特徴パラメータの抽出
上坂時間比、下坂時間比、上坂平均勾配、上坂最大勾配、下坂平均勾配、下坂最大勾配、上坂平均正速度、下坂平均正速度、上坂平均負速度、下坂平均負速度、上坂最大正速度、下坂最大正速度、上坂最大負速度、下坂最大負速度などの14種類の特徴パラメータ及び勾配-勾配変化率の同時分布を含む各速度での運動セグメントライブラリーにおける各運動セグメントの勾配モード特徴パラメータを抽出する。
【0055】
(2)速度モードの特徴パラメータの抽出
平均車速、平均正加速度、平均負加速度、最高車速、最大正加速度、最大負加速度などの6種類の特徴パラメータ及び速度-加速度の同時分布を含む各速度での運動セグメントライブラリーにおける運動セグメントの速度モードの特徴パラメータを抽出する。
【0056】
ステップS4の道路勾配を含む自動車走行モードの構築は、
D1、典型的な運動セグメントをスクリーニングするステップと、
D2、低速、中速、高速モードを構成する運動セグメントの数と時間を決定するステップと、
D3、運動セグメントの組み合わせ及びモードを構築するステップと、を含む。
【0057】
ステップD1の典型的な運動セグメントのスクリーニングは、
D11、極値検定を行い、運動セグメントの極値パラメータ情報に基づいて運動セグメントを検定及びスクリーニングするステップと、
D12、平均値検定を行い、運動セグメントの平均値パラメータ情報に基づいて運動セグメントを検定及びスクリーニングするステップと、
D13、勾配-勾配変化率の同時分布及び速度-加速度の同時分布により、最小偏差平方和原理を用いて低速、中速、高速の典型的な運動セグメントをそれぞれスクリーニングするステップと、を含む。
【0058】
ステップD2の低速、中速、高速モードを構成する運動セグメントの数と時間の決定は、
D21、低速、中速、高速の典型的な運動セグメントライブラリーにおける各運動セグメントの平均時間をそれぞれ計算し、低速、中速、高速モードの持続時間に基づいて、低速、中速、高速モードを構成する運動セグメントの数を決定するステップと、
D22、低速、中速、高速区間の運動セグメントの持続時間を統計するステップと、
D23、対応する持続時間での運動セグメントの数を計算し、短いものから長いものへの順序に従って運動セグメントの持続時間を並べ替え、運動セグメントの持続時間の累積頻度分布を算出するステップと、
D24、異なる速度区間により決定された運動セグメントの数に基づいて、累積分布をいくつかに等分し、計算により各等分の50%分位点に対応する持続時間を得て、運動セグメントの時間とするステップと、を含む。
【0059】
ステップD3の運動セグメントの組み合わせ及びモードの構築は、
D31、低速、中速、高速運動セグメントライブラリーから運動セグメントをそれぞれ選択し、運動セグメントの数に基づいてランダムに組み合わせ、いくつかの低速、中速、高速モードを形成するステップと、
D32、勾配-勾配変化率同時分布及び速度-加速度同時分布を同時に満たす低速、中速、高速モードをスクリーニングするステップと、
D33、車両の走行規則を統計し、モード始点でのアイドルモードとして車両始動段階でのアイドルの平均時間を決定し、運動セグメントの間の間隔の数に基づいて、運動セグメントの間及び終点でアイドルセグメントをそれぞれ追加するステップと、
D34、道路勾配を含む自動車走行モードを構築するステップと、含む。
【0060】
本実施例において、道路勾配を含む自動車走行モードの構築
【0061】
(1)典型的な運動セグメントのスクリーニング
順に低速、中速及び高速運動セグメントライブラリーから典型的な運動セグメントをスクリーニングする。まず、極値検定を行い、上下坂最大勾配、上下坂最大正負速度、最高車速、最大加減速度などの9個のパラメータに基づいて運動セグメントを検定及びスクリーニングする。次に、平均値検定を行い、上下坂時間比、上下坂平均勾配、上下坂平均正負速度、平均車速、平均加速度、平均減速度などの11個のパラメータに基づいて運動セグメントを検定及びスクリーニングする。最後に、勾配-勾配変化率の同時分布及び速度-加速度の同時分布に基づいて、最小偏差平方和原理を用いて最終的に低速、中速、高速の典型的な運動セグメントをスクリーニングする。
【0062】
(2)低速、中速、高速モードを構成する運動セグメントの数と時間の決定
低速、中速、高速の典型的な運動セグメントライブラリーにおける各運動セグメントの平均時間をそれぞれ計算し、低速、中速及び高速モードの持続時間に基づいて、低速、中速、高速モードを構成する運動セグメントの数を決定する。
【0063】
運動セグメントの時間を決定するために、低速、中速、高速区間の運動セグメントの持続時間を統計し、対応する持続時間での運動セグメントの数を計算し、短いものから長いものへの順序に従って運動セグメントの持続時間を並べ替え、運動セグメントの持続時間の累積頻度分布を算出する。異なる速度区間により決定された運動セグメントの数に基づいて、累積分布をいくつかに等分し、計算により各等分の50%分位点に対応する持続時間を得て、運動セグメントの時間とする。
【0064】
(3)運動セグメントの組み合わせ及びモードの構築
運動セグメントの時間に基づいて、低速、中速、高速運動セグメントライブラリーから運動セグメントをそれぞれ選択し、運動セグメントの数に基づいてランダムに組み合わせ、最終的にいくつかの低速、中速、高速モードを形成する。
【0065】
最小偏差平方和原理に基づいて、勾配-勾配変化率の同時分布及び速度-加速度の同時分布を最も同時に満たす低速、中速、高速モードをスクリーニングする。車両の走行規則を統計し、モード始点でのアイドルモードとして車両始動段階でのアイドルの平均時間を決定し、さらに運動セグメントの間の間隔の数に基づいて、運動セグメントの間及び終点でアイドルセグメントをそれぞれ追加し、最終的に道路勾配を含む自動車走行モードを構築する。
実施例1
【0066】
以下、図面に合わせて、発明の方法をさらに詳しく説明し、具体的なステップは、以下のとおりである。
【0067】
車両の運行セグメントの分割、クリーニング及び補充
【0068】
まず、収集データの車速及びエンジン回転速度に基づいて、車両のアイドル及び運動状態を判定し、車速<1km/h且つエンジン回転速度>0rpmである場合、車両がアイドル状態にあると判定し、車速≧1km/h且つエンジン回転速度>0rpmである場合、車両が運動状態にあると判定する。
【0069】
上記判定原則に従って、アイドルと運動セグメントを分割する。アイドルセグメントの時間≦300sと規定される。運動セグメントは0km/hの車速で始点とし、再度0km/hの車速で終点とし、運動セグメントの時間≧5s且つ≦3600sと規定される。アイドルセグメントと運動セグメントが1対1でセットになっている必要がある。
【0070】
運動セグメントのデータ欠損率、最大加減速度及び最大車速の要件に応じて、運動セグメントをクリーニング及び補充し、運動セグメントの最大加速度amax>6m/s2又は最小減速度amin<-6m/s2である場合、この運動セグメントを直接削除し、運動セグメントの最大速度<5km/h又は>120km/hである場合、この運動セグメントを直接削除し、運動セグメントの欠損率≧5%である場合、この運動セグメントを直接削除し、欠損率が5%より小さい場合、3次Bスプライン補間法を用いて車速と勾配を含む欠損データを補充する。運動セグメントを削除すると同時に、対応するアイドルセグメントを同時に削除する必要がある。
【0071】
最終的にアイドルセグメントと運動セグメントの総時間をそれぞれ計算し、車両のアイドルと運動の時間比、それぞれ22.11%と77.89%を得る。
【0072】
低速、中速、高速運動セグメントライブラリー分割と重み係数決定
【0073】
運動セグメントの平均速度に基づいて、運動セグメントを低速、中速及び高速運動セグメントライブラリーに分ける。但し、平均速度が0km/hより大きい且つ30km/h以下である運動セグメントを低速運動セグメントライブラリーとする。平均速度が30km/hより大きい且つ40km/h以下である運動セグメントを中速運動セグメントライブラリーとする。平均速度が40km/hより大きい運動セグメントを高速運動セグメントライブラリーとする。
【0074】
低速、中速、高速運動セグメントライブラリーにおけるすべてのセグメントの総時間を統計し、低速、中速、高速重み係数を取得し、車両のアイドルと運動の時間比に合わせて、最終的にアイドル、低速、中速及び高速モードの持続時間を得る。収集データの分析に基づいて、アイドル、低速、中速及び高速の重み係数がそれぞれ22.11%、24.28%、30.89%及び22.72%であることが分かり、低速電気駆動アセンブリ負荷モードの持続時間を1800sに設定し、重み係数に基づいて計算してアイドル、低速、中速及び高速のモード持続時間がそれぞれ398s、437s、556s及び409sであることが分かる。
【0075】
勾配モードと速度モードの特徴パラメータの抽出
【0076】
【0077】
勾配≧0.1%である場合、上坂と定義される。勾配≦-0.1%である場合、下坂と定義される。
【0078】
上坂時間比Pupは運動セグメントにおける上坂総時間と運動セグメント総時間との比率である。下坂時間比Pdownは運動セグメントにおける下坂総時間と運動セグメント総時間との比率である。
【0079】
【0080】
【0081】
そして、勾配と勾配変化率に基づいて勾配-勾配変化率の同時分布を得る。
【0082】
勾配変化率の計算式は以下のとおりである。
【0083】
【0084】
但し、Gi’は第i秒の瞬間勾配変化率であり、ゼロ秒と最後の秒の勾配変化率は0に規定される。
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
加速度の計算式は以下のとおりである。
【0090】
【0091】
但し、aiは第i秒の加速度であり、ゼロ秒と最後の秒の加速度は0に規定される。
【0092】
【0093】
【0094】
そして、速度と加速度に基づいて速度-加速度の同時分布を得る。
【0095】
最終的に低速、中速、高速の各速度区間の勾配モードと速度モードの各特徴パラメータ値の状況を得て、そのうち、低速区間の各特徴パラメータ値の状況は表1に示されている。
【0096】
【0097】
道路勾配を含む自動車走行モードの構築
それぞれ低速、中速及び高速運動セグメントライブラリーにおいて、極値検定、平均値検定及び最小偏差平方和検定により、各速度区間内の運動セグメントをスクリーニングし、それにより低速、中速、高速の典型的な運動セグメントを得る。
【0098】
【0099】
【0100】
最小偏差平方和検定:勾配-勾配変化率の同時分布及び速度-加速度の同時分布に基づいて、最小偏差平方和原理を用いて最終的に低速、中速、高速の典型的な運動セグメントをスクリーニングする。
【0101】
最終的にスクリーニングされた低速、中速、高速の典型的な運動セグメントに対して各運動セグメントの平均時間をそれぞれ計算し、低速、中速、高速運動セグメントの平均時間はそれぞれ、62.5s、184.3s及び410.3sである。低速、中速、高速の持続時間がそれぞれ437s、556s及び409sであるため、低速、中速、高速運動セグメントの数はそれぞれ6.99、3.02及び1.00であり、丸めた後にそれぞれ、7個、3個及び1個である。
【0102】
続いて、低速、中速、高速区間の運動セグメントの持続時間を統計し、対応する持続時間での運動セグメントの数を計算し、短いものから長いものへの順序に従って運動セグメントの持続時間を並べ替え、運動セグメントの持続時間の累積頻度分布を算出する。異なる速度区間により決定された運動セグメントの数に基づいて、累積分布をいくつかに等分し、計算により各等分の50%分位点に対応する持続時間を得て、運動セグメントの時間とする。低速区間を例にすると、そのセグメント時間の累積分布は
図3に示すように、7個のセグメントの時間はそれぞれ6s、8s、12s、20s、30s、47s、85sである。
【0103】
運動セグメントの時間に基づいて、低速、中速、高速運動セグメントライブラリーから運動セグメントをそれぞれ選択し、運動セグメントの数に基づいてランダムに組み合わせ、最終的にいくつかの低速、中速、高速モードを形成する。さらに最小偏差平方和原理に基づいて、勾配-勾配変化率の同時分布及び速度-加速度同時分布を最も同時に満たす低速、中速、高速モードをスクリーニングする。車両の走行規則を統計し、モード始点でのアイドルモードとして車両始動段階でのアイドルの平均時間を決定し、さらに運動セグメントの間の間隔の数に基づいて、運動セグメントの間及び終点でアイドルセグメントをそれぞれ追加する。車両の走行規則を統計し、車両始動段階でのアイドルの平均時間を35sとし、運動セグメントを合計10個の間隔とし、モード終点を考慮すると合計11個の間隔とするように決定される。
図4に示すように、決定されたアイドルモードの時間が398sであり、始点でのアイドル時間を引いた後に363sとなると、各間隔及び終点でのアイドル時間は33sとなり、且つアイドルモードでの勾配は0となり、最終的に道路勾配を含む自動車走行モードの構築を完了させる。
【0104】
要するに、本発明は、車両走行プロセスにおける車速及び勾配などのデータを実際に収集することによって、勾配モードと速度モードの特徴パラメータを抽出する。極値検定、平均値検定及び最小偏差平方和検定の方法により、勾配モードと速度モードの特徴パラメータを同時に満たす代表的な運動セグメントをスクリーニングすることによって、勾配モードを含む自動車走行モードを構築し、勾配と車速は時間と同期変化する。テストモードとしてこのモードを使用することで、試験室のドラム試験により山岳地帯と都市の車両の実際に走行する燃費と排出量レベルを正確に評価することができる。
【0105】
上記の記述は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するものではない。本発明の精神及び原則から逸脱しない限り、行われた如何なる修正、同等置換、改善などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれる。