(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078075
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】棒状化粧料繰出容器
(51)【国際特許分類】
A45D 40/20 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
A45D40/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164117
(22)【出願日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2021191138
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】久我 渉
(57)【要約】
【課題】芯径の細い棒状化粧料で描いている際の芯折れを防止する。
【解決手段】棒状化粧料Mがパイプ部材3より突出している状態で、棒状化粧料Mを被塗布部に押し当てると、芯チャック4aに把持された棒状化粧料Mは第二のバネ5yを縮退させ棒状化粧料Mが保護されながら、被塗布部に描くことが可能となる。棒状化粧料Mの先端が後退又は塗布に消費され、パイプ部材3の先端と面一くらいになり、パイプ部材3の開口3gから棒状化粧料Mが突出していない状態でパイプ部材3を被塗布部に押し付けると、被塗布部が多少凹状に凹み湾曲し、棒状化粧料Mの先端が被塗布部に当たると共に、被塗布部周りに当たったパイプ部材3は第一のバネ6を縮退させながら後退し、パイプ部材3から突出する棒状化粧料Mは第二のバネ5yを縮退させ棒状化粧料Mが保護されながら、被塗布部に描くことが可能となる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に開口が設けられた先筒と、
内側に雌螺子が設けられ、前記先筒と相対回転可能な雌螺子部材と、
前記雌螺子部材の前記雌螺子と螺合可能な雄螺子が外面に設けられると共に、先端に棒状化粧料を把持するための芯チャックが設けられた移動体と、
前記先筒の内部に配置され、前記先筒に対して軸線方向に移動可能且つ軸線周りに同期回転可能で前記先筒の前記開口から突出するパイプ部材と、を備え、
前記パイプ部材の内部には、前記移動体が軸線方向に移動可能且つ軸線周りに同期回転可能に収容されると共に、前記パイプ部材の先端には、前記棒状化粧料を出没可能とする開口が設けられており、
前記パイプ部材を緩衝する第一のバネと、前記第一のバネとバネ定数が相違し前記芯チャックを緩衝する第二のバネと、を備えることを特徴とする棒状化粧料繰出容器。
【請求項2】
前記先筒に相対回転可能に装着された有底円筒状の容器本体を備え、
前記容器本体は、前記雌螺子部材を内部に収容し前記雌螺子部材と軸線周りに同期回転可能に係合することを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料繰出容器。
【請求項3】
前記雌螺子部材は、前記先筒に収容され、
前記雌螺子部材の後端部が、前記先筒の後端部から軸線方向外部に突出し前記先筒との相対回転を可能とする相対回転部とされていることを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料繰出容器。
【請求項4】
前記第一のバネのバネ定数よりも前記第二のバネのバネ定数の方が大きいことを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料繰出容器。
【請求項5】
前記第一のバネ及び前記第二のバネの少なくとも一方は、前記雌螺子部材と一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料繰出容器。
【請求項6】
前記パイプ部材の先端部分には、軸線方向に対して傾斜する傾斜部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料繰出容器。
【請求項7】
前記先筒の後部及び前記雌螺子部材を後方側から覆い内部に収容すると共に、前記雌螺子部材と同期回転可能な有底円筒状のホルダ筒を備えることを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料繰出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状化粧料を繰り出す棒状化粧料繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状化粧料繰出容器において、芯径の細い棒状化粧料を使用する場合、被塗布部に描いている際に、棒状化粧料が折れやすいため、改善が求められている。棒状化粧料繰出容器にあっては、容器の落下等の衝撃で棒状化粧料が折れてしまうのを防止する技術は、以下の特許文献1を始めとして、比較的良く知られている。
【0003】
特許文献1では、容器内に、二個のバネ(スプリング)を収容し、容器が例えば先端方向から落下した場合には、棒状化粧料を保持する棒状化粧料保持ユニットが軸線先端方向へ移動し、先端側のバネが圧縮する一方で、後端側のバネが伸長し、二個のバネの圧縮と伸張により衝撃が緩衝され、棒状化粧料の衝撃による芯折れを防止できる。また、容器が例えば後端方向から落下した場合には、棒状化粧料を保持する棒状化粧料保持ユニットが軸線後端方向へ移動し、先端側のバネが伸張する一方で、後端側のバネが圧縮し、二個のバネの伸張と圧縮により衝撃が緩衝され、棒状化粧料の衝撃による芯折れを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、特許文献1を始めとした従来技術では、落下等による棒状化粧料の芯折れは防止できるが、特に細い芯径の棒状化粧料で描いている際の芯折れを防止できる棒状化粧料繰出容器は、従前には存在していなかった。
【0006】
そこで、本発明は、芯径の細い棒状化粧料で描いている際の芯折れを防止できると共に、従来の容器より使い勝手の良い棒状化粧料繰出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の要旨は以下の[1]~[7]である。
【0008】
[1]先端に開口が設けられた先筒と、内側に雌螺子が設けられ、先筒と相対回転可能な雌螺子部材と、雌螺子部材の雌螺子と螺合可能な雄螺子が外面に設けられると共に、先端に棒状化粧料を把持するための芯チャックが設けられた移動体と、先筒の内部に配置され、先筒に対して軸線方向に移動可能且つ軸線周りに同期回転可能で先筒の開口から突出するパイプ部材と、を備え、パイプ部材の内部には、移動体が軸線方向に移動可能且つ軸線周りに同期回転可能に収容されると共に、パイプ部材の先端には、棒状化粧料を出没可能とする開口が設けられており、パイプ部材を緩衝する第一のバネと、第一のバネとバネ定数が相違し芯チャックを緩衝する第二のバネと、を備えることを特徴とする棒状化粧料繰出容器。
【0009】
[1]によれば、棒状化粧料がパイプ部材より突出している状態で、棒状化粧料を被塗布部に押し当てると、芯チャックに把持された棒状化粧料は第二のバネを縮退させ棒状化粧料を保護しながら、被塗布部に描くことができる。棒状化粧料の先端が後退又は塗布に消費され、パイプ部材の先端と面一くらいになり、パイプ部材の開口から棒状化粧料が突出していない状態でパイプ部材を被塗布部に押し付けると、被塗布部が多少凹状に凹み湾曲するため、棒状化粧料の先端が被塗布部に当たると共に、被塗布部周りに当たったパイプ部材は第一のバネを縮退させながら後退し、パイプ部材から突出する棒状化粧料は第二のバネを縮退させ棒状化粧料を保護しながら、被塗布部に描くことができる。描き終えて、棒状化粧料繰出容器を被塗布部から離すと、第一のバネは付勢力により伸長し、パイプ部材は前進して元の位置に戻ると共に、第二のバネは付勢力により伸長し、棒状化粧料は前進して、棒状化粧料の先端は描いて消耗した分、元の位置より後退した位置に位置する。棒状化粧料の先端が、描き過ぎ後退しパイプ部材内に隠れた場合には、先筒と雌螺子部材の相対回転により、芯チャックに把持された棒状化粧料を繰り出し、棒状化粧料の先端を、パイプ部材の先端と面一又は突出した状態とする。従って、棒状化粧料、特に芯径の細い棒状化粧料をパイプ部材から出し過ぎることなく被塗布部に描くことができ、描いている際の芯折れを防止できる。また、このように、棒状化粧料がパイプ部材の開口から突出していない状態でも描くことができるため、従来の棒状化粧料繰出容器より使い勝手が良い。
【0010】
[2]上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、先筒に相対回転可能に装着された有底円筒状の容器本体を備え、容器本体は、雌螺子部材を内部に収容し雌螺子部材と軸線周りに同期回転可能に係合することを特徴とする[1]に記載の棒状化粧料繰出容器。
【0011】
[3]また、上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、雌螺子部材は、先筒に収容され、雌螺子部材の後端部が、先筒の後端部から軸線方向外部に突出し先筒との相対回転を可能とする相対回転部とされていることを特徴とする[1]に記載の棒状化粧料繰出容器。
【0012】
[4]第一のバネのバネ定数よりも第二のバネのバネ定数の方が大きいことを特徴とする[1]~[3]の何れかに記載の棒状化粧料繰出容器。これによれば、第一のバネ、第二のバネの作用を好適に実現できる。
【0013】
[5]第一のバネ及び第二のバネの少なくとも一方は、雌螺子部材と一体に形成されていることを特徴とする[1]~[4]の何れかに記載の棒状化粧料繰出容器。これによれば、部品点数を低減できる。
【0014】
[6]パイプ部材の先端部分には、軸線方向に対して傾斜する傾斜部が設けられていることを特徴とする[1]~[5]の何れかに記載の棒状化粧料繰出容器。これによれば、棒状化粧料繰出容器が被塗布部に対して斜めに対面すると、パイプ部材の先端部分が傾斜部とされているため、棒状化粧料及びパイプ部材の少なくとも棒状化粧料の先端が被塗布部に当たりやすく、且つ、棒状化粧料及びパイプ部材の少なくとも棒状化粧料に軸線方向の分力が作用するため、パイプ部材の軸線方向に垂直な先端部分が被塗布部に正対する場合と同様に、棒状化粧料及びパイプ部材の少なくとも棒状化粧料を適度に縮退させながら描くことができる。
【0015】
[7]先筒の後部及び雌螺子部材を後方側から覆い内部に収容すると共に、雌螺子部材と同期回転可能な有底円筒状のホルダ筒を備えることを特徴とする[1]~[6]の何れかに記載の棒状化粧料繰出容器。これによれば、ホルダ筒を手で持って描くことができるため、描きやすく使用性を向上できる。
【発明の効果】
【0016】
このように本発明によれば、芯径の細い棒状化粧料で描いている際の芯折れを防止できると共に、従来の容器より使い勝手の良い棒状化粧料繰出容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る棒状化粧料繰出容器を示す側面図である。
【
図11】
図2中の先筒及びパイプ部材の組立断面図である。
【
図13】
図2中の雌螺子部材を示す側面図であり、第一のバネを取り外した側面図である。
【
図15】
図2中のパイプ部材及び雌螺子部材の組立側面図である。
【
図17】本発明の第2実施形態に係る棒状化粧料繰出容器を示す断面図である。
【
図18】本発明の第3実施形態に係る棒状化粧料繰出容器を示す断面図である。
【
図21】
図20中のパイプ部材及び雌螺子部材の組立側面図である。
【
図22】
図21中のXXII-XXII線に沿う断面図である。
【
図23】本発明の第4実施形態に係る棒状化粧料繰出容器を示す断面図である。
【
図24】本発明の第5実施形態に係る棒状化粧料繰出容器のパイプ部材及び棒状化粧料並びに先筒の先端部を示す側面図である。
【
図25】
図24に示すパイプ部材及び棒状化粧料並びに先筒の先端部を示す断面図である。
【
図26】本発明の第6実施形態に係る棒状化粧料繰出容器のパイプ部材及び棒状化粧料並びに先筒の先端部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による棒状化粧料繰出容器の好適な実施形態について
図1~
図26を参照しながら説明する。
図1~
図16は、本発明の第1実施形態を、
図17は、本発明の第2実施形態を、
図18~
図22は、本発明の第3実施形態を、
図23は、本発明の第4実施形態を、
図24及び
図25は、本発明の第5実施形態を、
図26は、本発明の第6実施形態を各々示すものであり、各図において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
先ず、
図1~
図16に示す第1実施形態を説明する。
図1及び
図2は、本発明の第1実施形態に係る棒状化粧料繰出容器を示す各図、
図3及び
図4は、先筒を示す各図、
図5及び
図6は、容器本体を示す各図、
図7~
図10は、パイプ部材を示す各図、
図11は、先筒及びパイプ部材の組立断面図、
図12は、移動体を示す側面図、
図13及び
図14は、雌螺子部材の第一のバネを取り外した各図、
図15及び
図16は、パイプ部材及び雌螺子部材の組立各図である。本実施形態の棒状化粧料繰出容器は、特にアイブロウを始めとした棒状化粧料を、眉を始めとした被塗布部に塗布するのに好適なものであり、特に芯径の細い棒状化粧料に適用するのが好適なものである。なお、棒状化粧料は、アイブロウに限定されるものではなく、例えば、アイライナー、リップライナー等の棒状化粧料にも適用できる。
【0020】
図1及び
図2に示すように、棒状化粧料繰出容器100は、全体形状が筆記具の如き細長い丸棒状を呈し、前側に先筒1を、後側に容器本体2を外観形状として備えている。先筒1内には、棒状化粧料M、この棒状化粧料Mの先端が通過可能とされ軸線方向の所定範囲を摺動可能(移動可能)なパイプ部材3が収容されている。先筒1及び容器本体2内には、棒状化粧料Mを把持する芯チャック4aを備えた移動体4、移動体4に螺合する雌螺子部材5、パイプ部材3を軸線方向に緩衝するための第一のバネ6、芯チャック4a及び移動体4を軸線方向に緩衝するための第二のバネ5yが収容され、ここでは、第二のバネ5yは雌螺子部材5に含まれている。
【0021】
先筒1は、
図3及び
図4に示すように、軸線方向中程の外周面に段差部1aを有する段付き円筒状に構成され、この段差部1aより後側に続く小径の円筒部が、容器本体2に内挿される内挿部とされると共に、段差部1aより前側に続く大径で先端に向けて先細り形状となる円筒部が、容器本体2の先端から突出し使用者による先筒1と容器本体2の相対回転時に把持される把持部とされる。先筒1の段差部1aより後側の外周面には、容器本体2に装着されるための凸部1bが円環状に設けられている。
【0022】
先筒1には、先端の開口1cから後端迄貫通する筒孔がパイプ部材3を収容するためのものとして設けられている。筒孔の先端側は小径筒孔1dとされ、小径筒孔1dより後端までは大径筒孔1eとされている。小径筒孔1dにおいて大径筒孔1eとの間の境界部寄りの位置には、周方向に沿って、拡径する凹部1fが並設されており、この凹部1fは、大径筒孔1eと同径で当該大径筒孔1eに連設されている。周方向に沿う凹部1f、1f同士の間は、凸部1gとされ、周方向に沿って凹部1f、凸部1gが連続して並設されている(ここでは、4個ずつ)。この凸部1gは、小径筒孔1dと同径で当該小径筒孔1dに連設されている。これら凹部1f、凸部1gは、パイプ部材3を回転方向に係合するためのものである。凸部1gの後端面は段差面1hとされ、この段差面1hが、パイプ部材3の先端面が突き当たる前進限とされている(
図2参照)。
【0023】
容器本体2は、
図5及び
図6に示すように、有底円筒状を成し、先筒1の段差部1aに突き当てる先端面を有する(
図2参照)。容器本体2の外周面に設けられた鍔部2aより前側には、キャップ(不図示)を着脱可能に装着するための突条2bが周方向に沿って複数個(ここでは4個)並設されると共に突条2bより前側にダボ2cが周方向に沿って複数個設けられている。容器本体2の鍔部2aより後方の外周面には、後述の第2実施形態のホルダ筒7を着脱可能に装着するための雄螺子2dが設けられている。
【0024】
容器本体2の鍔部2aと雄螺子2dとの間の筒部には、内外を連通する小窓2eが一対対向して開口されており、この小窓2eの前側の内周面には、軸線方向に向かって突出する係止凸部2fが、先筒1の凸部1bを軸線方向に係合するためのものとして設けられている。また、容器本体2には、その内周面に、底部から先端側に向かって長尺に延びる突条2gが、雌螺子部材5を回転方向に係合するためのものとして、周方向に沿って複数個(ここでは4個)等配に並設されている。
【0025】
パイプ部材3は、
図2に示すように、先筒1に内挿されると共に、棒状化粧料M及び芯チャック4aを内挿するものである。パイプ部材3は、
図7~
図10に示すように、先端部3aは、小径の円筒状に構成され、この先端部3aから後方が、大径の長尺な円筒状部3bとされ、円筒状部3bの後端部には、第一のバネ6を突き当てるための鍔部3cが設けられている(
図2参照)。
【0026】
先端部3aと円筒状部3bとの間には、周方向に沿って凹凸が連続して複数個(ここでは、4個ずつ)形成されている。凸部3dは、円筒状部3bと面一をなして先端側に下り勾配で傾斜し所定長延びている。凹部3eは内外を連通する貫通孔とされている。凸部3dは、先筒1の凹部1fに対応して設けられ、凹部3eは、凸部1gに対応して設けられている(
図4参照)。そして、凹部(貫通孔)3eの後縁に続く円筒状部3bの先端面3f(
図7参照)が前進し、先筒1の凸部1gの段差面1h(
図4参照)に当接することにより、前進限に達したことになる(
図2参照)。
【0027】
パイプ部材3には、先端部3aの先端の開口3gから後端迄貫通する断面円形の筒孔が設けられ、棒状化粧料Mの進退を可能とする棒状化粧料孔3hとされている。円筒状部3bにおいて棒状化粧料孔3hの周囲の複数箇所(ここでは四等配の位置)には、移動体4の後述する把持片4fを収容し摺動可能とする把持片溝3iが連設され、これらの棒状化粧料孔3h及び把持片溝3iにより、棒状化粧料M及び把持片4fが摺動する進退孔3jが構成されている。なお、円筒状部3bにおいて進退孔3jの後半部は前半部より拡径されているが(
図9及び
図10参照)、これは、棒状化粧料Mより太い後述の雄螺子4d(
図12参照)の進退を可能とするためである。また、円筒状部3bの後端部の筒孔3kは拡径された所定長の円形孔とされているが、これは、雌螺子部材5の先端部を進入させるためである(
図2参照)。
【0028】
そして、パイプ部材3は、
図11に示すように、先筒1に内挿され、その凹部3eが先筒1の凸部1gに進入すると共に、その凸部3dが先筒1の凹部1fに進入することにより(
図4及び
図7参照)、パイプ部材3が先筒1に対して同期回転可能且つ軸線方向移動可能とされている。
図11に示す状態では、パイプ部材3の先端面3fが先筒1の凸部1gの段差面1h(
図4参照)に当接し前進限に位置した状態を示している。
【0029】
移動体4は、
図12に示すように、棒状化粧料Mの後端部を支持するための芯チャック4aと、芯チャック4aより後側の胴部4bと、胴部4bより後側の軸体部4cと、を備えている。軸体部4cは、軸線方向後方へ延在する長尺な軸体であり、当該軸体部4cの外周面には、雌螺子部材5の雌螺子としての螺合突起5aと螺合する雄螺子4dが軸線方向に延びるように設けられている。
【0030】
芯チャック4aは、その外形が棒状化粧料Mの外形に略一致し棒状化粧料Mの後端面を突き当てるための基部4eと、この基部4eにおける外周面の周方向の複数位置(ここでは四等配の位置)に先端側に向かって突出するように設けられ、基部4eに突き当てられた棒状化粧料Mの後端部を相互間に挟んで把持する把持片4fと、を備える。胴部4bは、把持片4fの後方位置に、把持片4fと同様な軸線方向の移動を可能とするように軸線方向後方へ延びる凸部4gを備えている。芯チャック4aと胴部4bとの間は細径部とされており、芯チャック4aが撓みやすくなっている。
【0031】
雌螺子部材5は、ここでは、樹脂により形成され、
図13及び
図14に示すように、略円筒状に構成されている。雌螺子部材5の先端部の内周面には、対向する位置に、移動体4の雄螺子4dと螺合する雌螺子としての螺合突起5aがそれぞれ設けられている。雌螺子部材5の先端の対向する位置から後方へ向かって切欠5bが設けられている。この切欠5bは、螺合突起5aを周方向から挟む位置に設けられ螺合突起5aより後方まで延びることにより、螺合突起5aを有する軸線方向視円弧状の片持ち片にバネ性を持たせている。
【0032】
雌螺子部材5の軸線方向略中央と後端部には拡径された拡径部5c、5dが設けられ、この拡径部5c、5dの周方向の同位相の四等配の位置には、凹部5e、凸部5fが歯車状に連続してそれぞれ設けられ、これら前後の凹部5e、5eは、容器本体2の突条2gに回転方向に係合するためのものとして設けられている(
図6参照)。そして、雌螺子部材5の拡径部5c、5dとの間には、周面にスリットを有し略螺旋状に一体成形された樹脂バネとしての第二のバネ5yが設けられている。第一のバネ6(
図2参照)は、コイルバネであり、樹脂バネである第二のバネ5yのバネ定数は、コイルバネである第一のバネ6のバネ定数より大きくされている。
【0033】
そして、
図11で得られた先筒1及びパイプ部材3の組に、
図15及び
図16に示すように、芯チャック4aを内挿する(
図15及び
図16では先筒1は省略)。棒状化粧料Mは予め芯チャック4aに把持させておく。そして、パイプ部材3の把持片溝3i(
図9及び
図10参照)に、芯チャック4aの把持片4fが収容されるように内挿することにより、芯チャック4aは、先筒1及びパイプ部材3に同期回転可能且つ軸線方向に移動可能に装着される。
【0034】
この状態で、第一のバネ6を、パイプ部材3の鍔部3cの後端面と雌螺子部材5の拡径部5cとの間に配置した状態で、雌螺子部材5の螺合突起5a,5aに芯チャック4aの雄螺子4dを螺合し締め込むことにより、第一のバネ6を、パイプ部材3の鍔部3cの後端面と雌螺子部材5の拡径部5cとの間に介装する。
【0035】
そして、
図2に示すように、容器本体2の突条2gが雌螺子部材5の前後の凹部5e、5eに進入するようにして、先筒1に対して容器本体2を押し込み、容器本体2の先端面を先筒1の段差部1aに突き当て、容器本体2の係止凸部2f(
図6参照)を先筒1の凸部1bに軸線方向に係合することにより、先筒1は容器本体2に軸線方向に移動不能且つ軸線周りに相対回転可能に装着される。この状態で、第二のバネ5yは、容器本体2の底部に当接している。
【0036】
また。この状態で、パイプ部材3は第一のバネ6の付勢力により付勢され、パイプ部材3の先端面3fが先筒1の凸部1gの段差面1hに当接して前進限に達し、パイプ部材3の先端部3aが先筒1から所定長突出した状態となる。そして、棒状化粧料Mをパイプ部材3の先端面と面一とした状態を、ここでは、初期状態とする。
【0037】
このように、第1実施形態によれば、先端に開口1cが設けられた先筒1と、内側に雌螺子としての螺合突起5aが設けられ、先筒1と相対回転可能な雌螺子部材5と、雌螺子部材5の螺合突起5aと螺合可能な雄螺子4dが外面に設けられると共に、先端に棒状化粧料Mを把持するための芯チャック4aが設けられた移動体4と、先筒1の内部に配置され、先筒1に対して軸線方向に移動可能且つ軸線周りに同期回転可能で先筒1の開口1cから突出するパイプ部材3と、を備え、パイプ部材3の内部には、移動体4が軸線方向に移動可能且つ軸線周りに同期回転可能に収容されると共に、パイプ部材3の先端には、棒状化粧料Mを出没可能とする開口3gが設けられており、パイプ部材3を緩衝する第一のバネ6と、第一のバネ6とバネ定数が相違し芯チャック4aを緩衝する第二のバネ5yと、を備えている。
【0038】
このため、以下の作用・効果を奏する。すなわち、先ず、
図2に示す初期状態から、棒状化粧料Mの先端を多少繰り出して被塗布部に塗布する場合には、先筒1と雌螺子部材5(実質的には容器本体2)を芯チャック4aの繰り出し方向に相対回転する。そして、棒状化粧料Mを被塗布部に押し当てると、芯チャック4aに把持された棒状化粧料Mは第二のバネ5yを縮退させ棒状化粧料Mを保護しながら、被塗布部に描くことができる。
【0039】
また、棒状化粧料Mの先端が後退又は塗布に消費され、パイプ部材3の先端と面一くらいになり、パイプ部材3の開口3gから棒状化粧料Mが突出していない状態にあっては、パイプ部材3を被塗布部に押し付けると、被塗布部が多少凹状に凹み湾曲するため、棒状化粧料Mの先端が被塗布部に当たると共に、被塗布部周りに当たったパイプ部材3は第一のバネ6を縮退させながら後退し、パイプ部材3から突出する棒状化粧料Mは第二のバネ5yを縮退させ棒状化粧料Mを保護しながら、被塗布部に描くことができる。
【0040】
そして、描き終えて、棒状化粧料繰出容器100を被塗布部から離すと、第一のバネ6は付勢力により伸長し、パイプ部材3は前進して元の前進限の位置(先端面3fが段差面1hに当接する位置)に戻ると共に、第二のバネ5yは付勢力により伸長し、棒状化粧料Mは前進して、棒状化粧料Mの先端は描いて消耗した分、元の位置より後退した位置に位置する。棒状化粧料Mの先端が、描き過ぎ後退しパイプ部材3内に隠れた場合には、先筒1と雌螺子部材5(実質的には容器本体2)の相対回転により、芯チャック4aに把持された棒状化粧料Mを繰り出し、棒状化粧料Mの先端を、パイプ部材3の先端と面一又は突出した状態とする。
【0041】
従って、棒状化粧料M、特に芯径の細い棒状化粧料Mをパイプ部材3から出し過ぎることなく被塗布部に描くことができ、描いている際の芯折れを防止できる。また、このように、棒状化粧料Mがパイプ部材3の開口3gから突出していない状態でも描くことができるため、従来の棒状化粧料繰出容器より使い勝手が良い。
【0042】
また、第1実施形態によれば、先筒1に相対回転可能に装着された有底円筒状の容器本体2を備え、容器本体2は、雌螺子部材5を内部に収容し雌螺子部材5と軸線周りに同期回転可能に係合する構成のため、上記作用を好適に発揮することができる。
【0043】
また、第一のバネ6のバネ定数よりも第二のバネ5yのバネ定数の方が大きいため、上記第一のバネ6、第二のバネ5yの作用が好適に実現される。
【0044】
また、第二のバネ5yは、雌螺子部材5と一体に形成されているため、部品点数が低減されている。
【0045】
ここで、棒状化粧料Mを棒状化粧料繰出容器100に組み付ける製造方法の一例について説明する。用いる棒状化粧料Mの長さは、棒状化粧料繰出容器100に組み付けられた際に、先筒1の先端(
図2参照)から芯チャック4aの基部4eの先端(
図12参照)までの長さとなるように製造されている。また、
図2を参照すれば、パイプ部材3の先端部3aの先端と先筒1の先端との間の軸線方向長さ(パイプ部材3の開口3gと先筒1の先端の開口1cとの間の軸線方向長さ;ここではxと呼ぶ)は、
図12を参照すれば、芯チャック4aの把持片4fの先端と基部4eの先端との間の軸線方向長さ(
図2も参照;ここではyと呼ぶ)と同じ、又は、短く構成されている。
【0046】
そして、以下、
図2を参照し製造方法を説明すると、上記棒状化粧料Mをパイプ部材3の開口3gから挿入し、例えば1mm程度、パイプ部材3の先端から棒状化粧料Mの先端が飛び出している状態で、治具を用いて、棒状化粧料Mをパイプ部材3と一緒に、治具が先筒1の先端に突き当たるまで圧入する。すると、棒状化粧料Mの後端面が、芯チャック4aの基部4eの先端に突き当たり把持片4fに把持される。その後、治具を外すと、パイプ部材3は棒状化粧料Mを芯チャック4aに残して前進し、初期状態の位置に戻る。なお、ここで説明したような製造方法で棒状化粧料Mを組み付けた場合、組み付けた直後は棒状化粧料Mの先端とパイプ部材3の開口3gとの間に軸線方向長さx分の空間が空くことになるが、
図2では、その後に移動体4が繰り出されて棒状化粧料Mをパイプ部材3の先端面と面一となった状態としている。
【0047】
ここで、パイプ部材3の先端と先筒1の先端との間の軸線方向長さxが、把持片4fの先端と基部4eの先端までの軸線方向長さyより長く構成されている場合には、棒状化粧料Mをパイプ部材3の開口3gから上記治具を用いて圧入した際に、治具が先筒1の先端に突き当たるより先に、棒状化粧料Mの後端面が基部4eの先端に突き当たり潰れてしまう虞がある。なお、パイプ部材3の先端と先筒1の先端との間の軸線方向長さxが、把持片4fの先端と基部4eの先端までの軸線方向長さyより多少長くても、棒状化粧料Mの柔らかさによっては、潰れないこともある。
【0048】
図17は、本発明の第2実施形態に係る棒状化粧料繰出容器を示す断面図である。
【0049】
この第2実施形態の棒状化粧料繰出容器200にあっては、第1実施形態の棒状化粧料繰出容器100を所謂棒状化粧料カートリッジとし、長尺な有底円筒状のホルダ筒7を、棒状化粧料カートリッジを構成する容器本体2に着脱可能(着脱不能でも可)に装着することにより、棒状化粧料繰出容器200が構成されている。
【0050】
棒状化粧料繰出容器200は、ホルダ筒7の先端部の内周面に形成された雌螺子7aを、容器本体2の鍔部2aより後方の外周面に形成された雄螺子2d(
図5及び
図6参照)に螺合することにより、構成されている。
【0051】
このような第2実施形態によれば、ホルダ筒7を手で持って描くことができるため、描きやすく使用性を向上できる。なお、ホルダ筒7は、先筒1の後部及び雌螺子部材5を後方側から覆い内部に収容すると共に、雌螺子部材5と同期回転可能な有底円筒状を成していれば良く、例えば、容器本体2の円筒部をさらに後方へ長尺に延ばしてホルダ筒7と兼用としても良い。
【0052】
図18は、本発明の第3実施形態に係る棒状化粧料繰出容器を示す断面図、
図19及び
図20は、雌螺子部材を示す各図、
図21及び
図22は、パイプ部材及び雌螺子部材の組立各図である。
【0053】
この第3実施形態の棒状化粧料繰出容器300が第1実施形態の棒状化粧料繰出容器100と主に違う点は、第二のバネ5yを含む雌螺子部材5に代えて、
図19及び
図20に示すように、第一のバネ15x及び第二のバネ15yを含む雌螺子部材15を用いた点であり、これに伴い、先筒1、パイプ部材3に代えて、多少構成を変えた先筒11,パイプ部材13を用いた点である。
【0054】
雌螺子部材15は、樹脂により一体に形成されて略円筒状に構成され、その先端側から後端側に向かって、先端筒部15a、第一のバネ15x、螺子筒部15b、第二のバネ15y、係止筒部15c、後端部15dをこの順に備えている。
【0055】
第一のバネ15xは、周面にスリットを有して略螺旋状をなし、先端筒部15aと螺子筒部15bとを連結するバネである。
【0056】
螺子筒部15bの内周面の対向位置には、移動体4の雄螺子4dに螺合する雌螺子としての螺合突起15eがそれぞれ設けられている。
【0057】
第二のバネ15yは、軸線方向に離間して並ぶ複数の円環部15mを、軸線方向に短尺に延び対向する一対の連結部15n,15nで連結したもので、当該一対の連結部15n,15nは、軸線方向に隣り合う一対の連結部15n,15nに対して、軸線周りに90°互いにずれて配設されている。
【0058】
このような構成のバネのため、第二のバネ15yのバネ定数の方が第一のバネ15xのバネ定数より大きくなっている。
【0059】
係止筒部15cの外周面には、先筒11に軸線方向に係合するための係合凸部15fが円環状に設けられている。
【0060】
後端部15dは、先筒11の後端から軸線方向後方へ突出し使用者によって摘ままれるものであり、周方向に沿って複数(ここでは、8個)が並設され軸線方向に沿って延びるリブ15gが、ここでは、使用者により摘ままれる滑り止めとされている。
【0061】
先筒11は、
図18に示すように、
図3及び
図4に示す段差部1aより後方側が軸線方向に長尺化されると共に、容器本体2と軸線方向に係合するための凸部1bがなくされている。一方、
図18に示すように、雌螺子部材15の係合凸部15fに軸線方向に係合するための係合凹部11fが円環状に設けられている。なお、先筒11の他の形状は第1実施形態の先筒1と同様である。
【0062】
パイプ部材13は、
図21及び
図22に示すように、
図7~
図10に示す先端部3aから後方の大径の長尺な円筒状部3bが短尺化されると共に、後端の鍔部3cがなくされている。なお、パイプ部材13の他の形状は第1実施形態のパイプ部材3と同様である。
【0063】
そして、
図21及び
図22に示すように、パイプ部材13に移動体4の芯チャック4aを内挿し、雌螺子部材15の先端筒部15aの先端面をパイプ部材13の後端面に突き当てると共に、移動体4の雄螺子4dにパイプ部材13の螺合突起15e,15eを螺合し、この組立体を、
図18に示すように、先筒11に内挿し、雌螺子部材15の係合凸部15fを先筒11の係合凹部11fに軸線方向に係合することにより、先筒11に雌螺子部材15が軸線方向に移動不能且つ軸線周りに相対回転可能に装着される。
【0064】
そして、雌螺子部材15の先筒11の後端から軸線方向外部に突出し先筒11との相対回転を可能とする相対回転部(後端部)15dが使用者に摘ままれ、リブ15gが滑り止めとされて芯チャック4aの繰り出し方向に相対回転されると、棒状化粧料Mが繰り出されることになる。
【0065】
このように構成された第3実施形態の棒状化粧料繰出容器300にあっても、第1実施形態と同様に、先端に開口1cが設けられた先筒11と、内側に雌螺子としての螺合突起15e,15eが設けられ、先筒11と相対回転可能な雌螺子部材15と、雌螺子部材15の雌螺子としての螺合突起15e,15eと螺合可能な雄螺子4dが外面に設けられると共に、先端に棒状化粧料Mを把持するための芯チャック4aが設けられた移動体4と、先筒11の内部に配置され、先筒11に対して軸線方向に移動可能且つ軸線周りに同期回転可能で先筒11の開口1cから突出するパイプ部材13と、を備え、パイプ部材13の内部には、移動体4が軸線方向に移動可能且つ軸線周りに同期回転可能に収容されると共に、パイプ部材13の先端には、棒状化粧料Mを出没可能とする開口3gが設けられており、パイプ部材13を緩衝する第一のバネ15xと、第一のバネ15xとバネ定数が相違し芯チャック4aを緩衝する第二のバネ15yと、を備えているため、第1実施形態と同様な作用・効果を奏するというのはいうまでもない。
【0066】
また、第一のバネ15xのバネ定数よりも第二のバネ15yのバネ定数の方が大きいため、上記第一のバネ15x、第二のバネ15yの作用が好適に実現される。
【0067】
また、第一のバネ15x、第二のバネ15yは、雌螺子部材15と一体に形成されているため、部品点数が第1実施形態よりも一層低減されている。
【0068】
図23は、本発明の第4実施形態に係る棒状化粧料繰出容器を示す断面図である。
【0069】
この第4実施形態の棒状化粧料繰出容器400にあっては、第3実施形態の棒状化粧料繰出容器300を所謂棒状化粧料カートリッジとし、長尺な有底円筒状のホルダ筒8を、軸線方向に伸縮可能なバネ部材9を介して、雌螺子部材15と同期回転可能に装着することにより、棒状化粧料繰出容器400が構成されている。
【0070】
具体的には、ホルダ筒8の内周面に、周方向に沿って複数個が等配に並設され底部から先端側に向かって長尺に延びる突条8gが、雌螺子部材15の相対回転部を構成するリブ15gに回転方向に係合することにより、雌螺子部材15とホルダ筒8が同期回転可能とされている。
【0071】
このような第4実施形態によれば、第2実施形態と同様に、ホルダ筒8を手で持って描くことができるため、描きやすく使用性を向上できる。
【0072】
図24は、本発明の第5実施形態に係る棒状化粧料繰出容器のパイプ部材及び棒状化粧料並びに先筒の先端部を示す側面図、
図25は、
図24の断面図である。
【0073】
この第5実施形態の棒状化粧料繰出容器が第1~第4実施形態の棒状化粧料繰出容器100~400と違う点は、パイプ部材3,13に代えて、先端部分が軸線方向に対して傾斜する傾斜部23aを有するパイプ部材23を用いた点である。そして、この第5実施形態にあっては、棒状化粧料Mがパイプ部材23の先端面から突出している状態で説明する。
【0074】
このような第5実施形態によれば、棒状化粧料繰出容器が被塗布部に対して斜めに対面すると、パイプ部材23の先端部分が傾斜部23aとされているため、棒状化粧料Mの先端が被塗布部に当たりやすく、且つ、棒状化粧料Mに軸線方向の分力が作用するため、パイプ部材の軸線方向に垂直な先端部分が被塗布部に正対する場合と同様に、棒状化粧料Mを第二のバネ5y,15yにより適度に縮退させながら描くことができる。
【0075】
図26は、本発明の第6実施形態に係る棒状化粧料繰出容器のパイプ部材及び棒状化粧料並びに先筒の先端部を示す断面図である。
【0076】
この第6実施形態の棒状化粧料繰出容器が第5実施形態の棒状化粧料繰出容器と違う点は、棒状化粧料Mがパイプ部材の先端面と面一になっている点である。
【0077】
このような第6実施形態によれば、棒状化粧料繰出容器が被塗布部に対して斜めに対面すると、パイプ部材23の先端部分が傾斜部23aとされているため、棒状化粧料M及びパイプ部材23の先端が被塗布部に当たりやすく、且つ、棒状化粧料M及びパイプ部材23に軸線方向の分力が作用するため、パイプ部材の軸線方向に垂直な先端部分が被塗布部に正対する場合と同様に、パイプ部材23を第一のバネ6,15xにより適度に縮退させ、棒状化粧料Mを第二のバネ5y,15yにより適度に縮退させながら描くことができる。
【0078】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、第1実施形態においては、第一のバネ6をコイルバネ、第二のバネ5yを雌螺子部材5と一体に形成された樹脂バネとし、第3実施形態においては、第一のバネ15x及び第二のバネ15yを雌螺子部材15と一体に形成された樹脂バネとしているが、第一のバネ6を雌螺子部材5と一体に形成された樹脂バネ、第二のバネ5y,15yをコイルバネとしても良く、要は、第一のバネ及び第二のバネの少なくとも一方を、雌螺子部材5,15と一体に形成しているのが好ましい。このような構成により、部品点数を低減することができる。
【0079】
また、螺合突起5a,15eは、連続する雌螺子であっても勿論良い。
【符号の説明】
【0080】
1…先筒、1c…開口(先筒)、2…容器本体、3,13,23…パイプ部材、3g…開口(パイプ部材)、4…移動体、4a…芯チャック、4d…雄螺子、5,15…雌螺子部材、5a,15e…螺合突起(雌螺子)、5y,15y…第二のバネ、6,15x…第一のバネ、7,8…ホルダ筒、15d…後端部(雌螺子部材)、23a…傾斜部、100,200,300,400…棒状化粧料繰出容器、M…棒状化粧料。