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特開2023-78077人工シャトルコックの製造方法及び金型
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078077
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】人工シャトルコックの製造方法及び金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/12 20060101AFI20230530BHJP
   B29C 39/26 20060101ALI20230530BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20230530BHJP
   A63B 67/193 20160101ALI20230530BHJP
【FI】
B29C33/12
B29C39/26
B29C45/26
A63B67/193
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165137
(22)【出願日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】110144061
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】516152985
【氏名又は名称】ビクター ラケッツ インダストリアル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】シュー-ジン チェン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ-ミン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ツ-ウェイ ワン
(72)【発明者】
【氏名】シン-チェン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ワイ-リン ホウ
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AA07
4F202AA08
4F202AA11
4F202AA29
4F202AD05
4F202AD07
4F202AH59
4F202CA01
4F202CA11
4F202CB01
4F202CB12
4F202CK02
4F202CQ01
(57)【要約】
【課題】人工シャトルコック的製造方法及び金型を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、シャトルコック半製品から人工シャトルコックを製造するための製造方法及び金型を開示する。金型は、雄型と、雌型とを備える。雄型は、円錐台と、複数の第1環状凹溝とを備える。シャトルコック半製品は、円錐台の外側に配置される。第1環状凹溝は、間隔をあけて円錐台の外側に設けられる。雌型は、テーパー溝と、複数の第2環状凹溝と、材料注入流路とを備える。第2環状凹溝は、間隔をあけてテーパー溝の内面に設けられる。シャトルコック半製品が雄型とともに雌型に入れられると、各前記第1環状凹溝は各前記第2環状凹溝に対応して、複数の成形溝を形成する。材料注入流路は、前記複数の第2環状凹溝に連通され、前記複数の成形溝が前記複数の第2環状凹溝を介して材料注入流路と連通する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース本体と、複数の羽軸と、複数の羽片とを備え、前記複数の羽軸の一端が前記ベース本体に挿設され、前記複数の羽片が前記複数の羽軸の他端に連結されるシャトルコック半製品を用意するステップと、
前記シャトルコック半製品を円錐台と、間隔をあけて前記円錐台の外側に設けられた複数の第1環状凹溝とを備えた雄型に入れ、かつ前記シャトルコック半製品を円錐台の外側に置くステップと、
前記シャトルコック半製品を雄型とともに、テーパー溝と、複数の第2環状凹溝と、材料注入流路とを備え、前記複数の第2環状凹溝は間隔をあけて前記テーパー溝の内面に設けられ、前記材料注入流路は前記複数の第2環状凹溝に連通され、各前記第1環状凹溝が各前記第2環状凹溝に対応して複数の成形溝を形成し、前記複数の成形溝は前記複数の第2環状凹溝を介し前記材料注入流路と連通する雌型に入れるステップと、
前記材料注入流路からプラスチックを注入し、前記プラスチックは成形溝内で固化して複数の連結部材を形成するステップと、
を含む人工シャトルコックの製造方法。
【請求項2】
前記複数の第1環状凹溝と前記円錐台の頂面とが互いに平行である請求項1に記載の人工シャトルコックの製造方法。
【請求項3】
前記雄型は、間隔をあけて前記円錐台の外側に設けられ、前記複数の第1環状凹溝と交差する複数の第1羽軸用溝を備え、前記シャトルコック半製品の前記複数の羽軸が前記複数の第1羽軸用溝に収容される請求項1に記載の人工シャトルコックの製造方法。
【請求項4】
3本の成形溝を形成するように、前記複数の第1環状凹溝及び前記複数の第2環状凹溝の数は、3である請求項1に記載の人工シャトルコックの製造方法。
【請求項5】
隣り合う2つの前記第1環状凹溝の間の距離は、実質的に同じである請求項4に記載の人工シャトルコックの製造方法。
【請求項6】
前記テーパー溝は、ベース部と、第1テーパー部とを備え、前記第1テーパー部は前記ベース部と隣り合って設けられ、前記シャトルコック半製品のベース本体が前記ベース部に収容され、前記複数の第2環状凹溝が前記第1テーパー部に設けられる請求項1に記載の人工シャトルコックの製造方法。
【請求項7】
前記テーパー溝は、第1テーパー部と隣り合って設けられた第2テーパー部を備え、前記第2テーパー部の内径は前記第1テーパー部の内径よりも大きく、前記シャトルコック半製品の前記複数の羽片が第2テーパー部に収容される請求項6に記載の人工シャトルコックの製造方法。
【請求項8】
シャトルコック半製品から人工シャトルコックを製造するための金型であって、前記シャトルコック半製品は、ベース本体と、複数の羽軸と、複数の羽片とを備え、前記複数の羽軸の一端はベース本体に挿設され、前記複数の羽片は前記複数の羽軸の他端に連結され、前記金型は、
外側を有し、前記シャトルコック半製品が円錐台の外側に配置される円錐台と、間隔をあけて前記円錐台の外側に設けられた複数の第1環状凹溝とを備えた雄型と、
内表面を有するテーパー溝と、間隔をあけて前記テーパー溝の前記内面に設けられ、前記シャトルコック半製品が前記雄型とともに雌型に入れられると、各前記第1環状凹溝は各前記第2環状凹溝に対応して、複数の成形溝を形成する複数の第2環状凹溝と、前記複数の第2環状凹溝に連通され、前記複数の成形溝が前記複数の第2環状凹溝を介して材料注入流路と連通する材料注入流路とを備えた雌型とを含み、
前記材料注入流路からプラスチックを注入し、前記プラスチックが前記複数の成形溝内で固化して複数の連結部材を形成する金型。
【請求項9】
前記複数の第1環状凹溝と前記円錐台の頂面とが互いに平行である請求項8に記載の金型。
【請求項10】
前記雄型は、間隔をあけて前記円錐台の外側に設けられ、前記複数の第1環状凹溝と交差する複数の第1羽軸用溝を備え、前記シャトルコック半製品の前記複数の羽軸が前記複数の第1羽軸用溝に収容される請求項8に記載の金型。
【請求項11】
3本の成形溝を形成するように、前記複数の第1環状凹溝及び前記複数の第2環状凹溝の数は、3である請求項8に記載の金型。
【請求項12】
隣り合う2つの前記第1環状凹溝の間の距離は、実質的に同じである請求項11に記載の金型。
【請求項13】
前記テーパー溝は、ベース部と、第1テーパー部とを備え、前記第1テーパー部は前記ベース部と隣り合って設けられ、前記シャトルコック半製品のベース本体が前記ベース部に収容され、前記複数の第2環状凹溝が前記第1テーパー部に設けられる請求項8に記載の金型。
【請求項14】
前記テーパー溝は、第1テーパー部と隣り合って設けられた第2テーパー部を備え、前記第2テーパー部の内径は前記第1テーパー部の内径よりも大きく、前記シャトルコック半製品の前記複数の羽片が第2テーパー部に収容される請求項13に記載の金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工シャトルコックの製造方法及び金型に関する。
【背景技術】
【0002】
バドミントンはよく見受けられる盛んな球技運動であり、プレイヤーがシャトルコックを打って試合をする。従来のシャトルコックは主に天然羽根をベース本体に結合した構造である。そのうち、天然羽根はほとんどがガチョウの羽またはアヒルの羽であり、漂白と選別後シャトルコックに使用される。しかしながら、天然羽根の取得は困難になってきており、かつ選別の工程が繁雑で、手間がかかる。このため、市場には人工シャトルコックもあり、天然羽根の不足と選別の繁雑さの問題解決を試みている。
【0003】
多くの人工シャトルコックはナイロン製の軟質羽根で天然羽根を置き換え、軟質羽根の構造により打撃時に発生する気流の荷重を受けているが、このような軟質羽根製のシャトルコックは、その提供する打撃の触感が天然羽根製のシャトルコックに及ばず、使用者に受け入れられることが難しい。また、現在繊維強化プラスチック材料を羽軸として、軽い発泡材料を羽片とする設計もあり、このタイプの人工シャトルコックは外観が天然シャトルコックと相似しており、かつ打撃の触感も軟質羽根製のシャトルコックより優れている。
【0004】
しかしながら、羽毛に軽量発泡材を用いた人工シャトルコックの製造工程は煩雑である。例えば。例えば複数の羽片をそれぞれ複数の羽軸の一端に接合してから該複数の羽軸の他端をベース本体に順次挿設して、ベース本体と、羽軸と、羽片とを備えたシャトルコック半製品を形成する。次に、連結糸(麻糸)を該複数の羽軸に絡み付けて羽軸の間隔を固定する。連結糸に絡み付けた後、手作業で連結糸を結び、連結糸に接着剤を塗布する。接着剤が乾いた後、人工シャトルコックの連結部材が形成される。換言すれば、現在羽片に発泡材を用いた人工シャトルコックの連結部材の製造工程は非常に複雑であり、改善の余地が残されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記課題に鑑み、本発明の主な目的は、雄型と雌型の構造を介して人工シャトルコックの連結部材を作製し、従来人工シャトルコックの連結部材の製造工程が煩雑な問題を解決する人工シャトルコックの製造方法及び金型を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、ベース本体と、複数の羽軸と、複数の羽片とを備え、前記複数の羽軸の一端がベース本体に挿設され、前記複数の羽片が前記複数の羽軸の他端に連結されるシャトルコック半製品を用意するステップと、シャトルコック半製品を円錐台と、間隔をあけて円錐台の外側に設けられた複数の第1環状凹溝とを備えた雄型に入れ、かつシャトルコック半製品を円錐台の外側に置くステップと、シャトルコック半製品を雄型とともに、テーパー溝と、複数の第2環状凹溝と、材料注入流路とを備え、前記複数の第2環状凹溝は間隔をあけてテーパー溝の内面に設けられ、材料注入流路は前記複数の第2環状凹溝に連通され、各前記第1環状凹溝が各前記第2環状凹溝に対応して複数の成形溝を形成し、前記複数の成形溝は前記複数の第2環状凹溝を介して材料注入流路と連通する雌型に入れるステップと、材料注入流路からプラスチックを注入し、プラスチックは成形溝内で固化して複数の連結部材を形成するステップとを含む人工シャトルコックの製造方法を提供する。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、シャトルコック半製品から人工シャトルコックを製造するための金型をさらに提供する。シャトルコック半製品は、ベース本体と、複数の羽軸と、複数の羽片とを備える。前記複数の羽軸の一端は、ベース本体に挿設され、前記複数の羽片は前記複数の羽軸の他端に連結される。金型は、雄型と、雌型とを備える。雄型は、円錐台と、複数の第1環状凹溝とを備える。円錐台は、外側を有し、シャトルコック半製品が円錐台の外側に配置される。前記複数の第1環状凹溝は、間隔をあけて円錐台の外側に設けられる。雌型は、テーパー溝と、複数の第2環状凹溝と、材料注入流路とを備える。テーパー溝は、内表面を有する。前記複数の第2環状凹溝は、間隔をあけてテーパー溝の内面に設けられる。シャトルコック半製品が雄型とともに雌型に入れられると、各前記第1環状凹溝は各前記第2環状凹溝に対応して、複数の成形溝を形成する。材料注入流路は、前記複数の第2環状凹溝に連通され、前記複数の成形溝が前記複数の第2環状凹溝を介して材料注入流路と連通する。材料注入流路からプラスチックを注入し、プラスチックが前記複数の成形溝内で固化して複数の連結部材を形成する。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、前記複数の第1環状凹溝と円錐台の頂面とが互いに平行である。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、雄型は、複数の第1羽軸用溝を備える。前記複数の第1羽軸用溝は、間隔をあけて円錐台の外側に設けられ、前記複数の第1環状凹溝と交差する。シャトルコック半製品の前記複数の羽軸は、前記複数の第1羽軸用溝に収容される。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、3本の成形溝を形成するように、前記複数の第1環状凹溝及び前記複数の第2環状凹溝の数は、3である。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、隣り合う2つの前記第1環状凹溝の間の距離は、実質的に同じである。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、テーパー溝は、ベース部と、第1テーパー部とを備え、第1テーパー部はベース部と隣り合って設けられる。シャトルコック半製品のベース本体は、ベース部に収容され、前記複数の第2環状凹溝が第1テーパー部に設けられる。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、テーパー溝は、第1テーパー部と隣り合って設けられた第2テーパー部を備える。又、第2テーパー部の内径は、第1テーパー部の内径よりも大きい。シャトルコック半製品の前記複数の羽片は、第2テーパー部に収容される。
【0014】
上記の続き、本発明の人工シャトルコックの製造方法及び金型によれば、金型は、雄型と、雌型とを備える。雄型は、円錐台と、複数の第1環状凹溝とを備え、第1環状凹溝は間隔をあけて円錐台の外側に設けられる。これに対応して、雌型は、テーパー溝と、複数の第2環状凹溝とを備え、第2環状凹溝は間隔をあけてテーパー溝に設けられる。シャトルコック半製品が雄型とともに雌型に入れられると、第1環状凹溝は第2環状凹溝に対応して成形溝を形成する。また、雌型は、第2環状凹溝と連通する材料注入流路をさらに備える。材料注入流路からプラスチックを注入した後、プラスチックは成形溝内で固化されると、複数の連結部材を形成でき、これにより人工シャトルコックを形成する。ここで、プラスチックの固化成形方法で連結部材を製造すると、連結部材として連結糸を絡み付け、結び、連結糸への接着剤塗布などのステップを省くことができることで、人工シャトルコックの製造効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る人工シャトルコックの製造方法のフローチャートである。
図2図1に示すステップS10で提供されるシャトルコック半製品の概略図である。
図3】本発明の一実施形態に係る金型の雄型の概略図である。
図4】本発明の一実施形態に係る金型の雌型の概略図である。
図5図1に示すステップS30のシャトルコック半製品及び雄型を雌型に入れる場合の概略図である。
図6】本発明の一実施形態に係る金型の断面図である。
図7図6に示す金型の丸で囲んだ部位の拡大図である。
図8図3の金型で作製した人工シャトルコックの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の技術内容についてさらに理解を深められるように、特に具体的な実施例を挙げて説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る人工シャトルコックの製造方法のフローチャートである。図2は、図1に示すステップS10で提供されるシャトルコック半製品の概略図である。図3は、本発明の一実施形態に係る金型の雄型の概略図である。図4は、本発明の一実施形態に係る金型の雌型の概略図である。同時に図1図2図3及び図4を参照されたい。本実施形態の人工シャトルコック9は、金型1により作製され、その製造方法は図1に示されている。以下に、各ステップの内容に沿って本実施形態の金型1をさらに説明する。
【0018】
ステップS10:シャトルコック半製品9’を用意する。
【0019】
本実施形態の人工シャトルコックの製造方法は、主にシャトルコック半製品9’(図1)を使用して人工シャトルコック9(図8)に作製する方法である。シャトルコック半製品9’は、ベース本体91と、複数の羽軸92と、複数の羽片93とを備える。ベース本体91の一側は、半球状凸面で、他側が平面であり、平面が羽軸92の挿設に用いられる。複数の羽軸92は、間隔をあけてベース本体91に設けられ、羽軸92の一端がベース本体91の平面に挿設される。又、羽軸92の他端は、羽片93に連結され、すなわち、羽片93はそれぞれ羽軸92に連結される。本実施形態において、羽軸92の素材は、羽軸92の耐久性を高めるため、炭素繊維強化樹脂材料である。具体的には、本実施形態の羽軸92は一方向性(unidirectional,UD)炭素繊維布とガラス繊維織布とが積層されて構成され、羽軸92の強度及び耐久性を高めることができる。
【0020】
好ましくは、羽片93は、接着剤で羽軸92に接着され、羽軸92に近く。本実施形態において、2枚の羽片93がそれぞれ1本の羽軸92に組み合わされ、すなわち、2枚の羽片93がそれぞれ1本の羽軸92の対向する両側に接着される。好ましくは、先に羽片93を羽軸92に接合してから羽軸92をベース本体91に挿設することができる。
【0021】
又、本実施形態の羽片93も天然羽根に代わる人工羽根である。羽片93は、密度が0.9 g/cm~1.48 g/cmの範囲のプラスチックでできており、プラスチックの種類は例えば低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)、リニア低密度ポリエチレン(Linear low density polyethylene、LLDPE)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリエチレン樹脂(polyethylene、PE)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、アクリロニトリル・ブタジエン-スチレン(acrylonitrile-butadiene-styrene、ABS)、ポリアミド(polyamide、PA)及び発泡ポリエチレン(extruded polyethylene、EPE)などのプラスチック材質であり得るがこれらに限定されない。好ましくは、羽片93は低密度ポリエチレン(LDPE)とリニア低密度ポリエチレン(LLDPE)との組み合わせであり得る。また、羽片93の全体的な構成は、シャトルコックの天然羽根の構成にほぼ対応する。具体的には、羽片93は互いに対称となる構成であり得、かつ羽軸92を対称軸として互いに対称となる構成となり、例えば凧形状の構成である。
【0022】
ステップS20:シャトルコック半製品9’を雄型10に入れる。
【0023】
本実施形態の金型1は、雄型10(図3)と、雌型20(図4)とを備える。雄型10は、円錐台(cone frustum)11と、複数の第1環状凹溝12とを備える。円錐台11は、外側111を有し、シャトルコック半製品9’が円錐台11の外側111に配置されることができる。
【0024】
第1環状凹溝12は、間隔をあけて円錐台11の外側111に設けられる。具体的には、前記複数の第1環状凹溝12は、円錐台11の中心軸に沿い、円錐台11の外側111を互いに平行に囲むことで、前記複数の第1環状凹溝12も円錐台11の頂面112と互いに平行である。
【0025】
また、第1環状凹溝12は、人工シャトルコック9の連結部材94(図8)の一部構造を形成するために用いられる。したがって第1環状凹溝12の数は、形成しようとする連結部材94の数を参照できる。好ましくは、本実施形態の第1環状凹溝12の数は、その後のステップで3本の連結部材94を形成するように、3つにすることができる。好ましくは、隣り合う2つの第1環状凹溝12の間の距離は実質的に同じであり、好ましくは5mm~17.5mmの範囲であり得る。
【0026】
好ましくは、雄型10は、複数の第1羽軸用溝13をさらに含む。前記複数の第1羽軸用溝13は、同様に間隔をあけて円錐台11の外側111に設けられるが、前記複数の第1環状凹溝12と交差する。例えば第1環状凹溝12は、円錐台11の外側111に水平に並べられ、第1羽軸用溝13が円錐台11の外側111に垂直に並べられ、第1羽軸用溝13と第1環状凹溝12とを交差させる。又、第1環状凹溝12が円錐台11の外側111を囲んでいるので、各第1環状凹溝12は、全ての第1羽軸用溝13に接続される。
【0027】
ステップS20において、シャトルコック半製品9’を円錐台11の外側111に入れると共にシャトルコック半製品9’の前記複数の羽軸92をそれぞれ第1羽軸用溝13に入れる。換言すれば、第1羽軸用溝13は、羽軸92の制限構造として機能することができる。
【0028】
ステップS30:シャトルコック半製品9’を雄型10とともに雌型20に入れる。
【0029】
図5は、図1に示すステップS30のシャトルコック半製品及び雄型を雌型に入れる場合の概略図である。図6は、本発明の一実施形態に係る金型の断面図である。図7は、図6に示す金型の丸で囲んだ部位の拡大図である。図6は、図3に示す雄型と図4に示す雌型を組み合立てた後の断面図でもある。図4図5図6及び図7を参照されたい。本実施形態において、雌型20は、テーパー溝21と、複数の第2環状凹溝22と、材料注入流路23とを備える。テーパー溝21は、内面211(図4)を有し、前記複数の第2環状凹溝22が間隔をあけてテーパー溝21の内面211に設けられる。ここで、第2環状凹溝22の設置位置は、第1環状凹溝12に対応しなければならないため、第2環状凹溝22もテーパー溝21の中心軸に沿い、テーパー溝21の内面211に互いに平行に周設されている。また、隣り合う2つの第2環状凹溝22の間の距離も隣り合う2つの第1環状凹溝12の間の距離と同じである。
【0030】
図6及び図7に示すように第2環状凹溝22の設置位置は、第1環状凹溝12に対応するため、雄型10が雌型20のテーパー溝21に入れられると、各第1環状凹溝12が各第2環状凹溝22に各々対応し、共同で複数の成形溝Mを形成することができる。換言すれば、成形溝Mと第1環状凹溝12(又は第2環状凹溝22)の数は、同じであり、本実施形態の第1環状凹溝12及び第2環状凹溝22の数が3であるため、3本の成形溝Mを形成することができる。また、成形溝Mは、その後連結部材94を成形ための溝体である。
【0031】
材料注入流路23は、連結部材94を形成しようとするプラスチックを注入するために用いられる。材料注入流路23は、第2環状凹溝22と連通する。本実施形態において、材料注入流路23は、3本の分岐流路231を有し、3本の第2環状凹溝22とそれぞれ連通する。換言すれば、分岐流路231の数は、第2環状凹溝22の数と同じである(第1環状凹溝12及び成形溝Mの数とも同じである)。
【0032】
ステップS40:材料注入流路23からプラスチックを注入し、プラスチックは成形溝M内で固化されて複数の連結部材94を形成する。
【0033】
上述したように、材料注入流路23は、第2環状凹溝22と連通し、第1環状凹溝12と第2環状凹溝22とが共同で成形溝Mを形成し、すなわち、成形溝Mは第2環状凹溝22を介して材料注入流路23と連通することができる。したがって、プラスチックは、材料注入流路23に注入され、分岐流路231を経由して成形溝M内に入り、次いで成形溝Mで固化して連結部材94を形成することができる。ここで、ポリプロピレン、又はポリアミド素材の連結部材94を形成するため、プラスチックは、例えばポリプロピレン(Polypropylene、PPと略称する)、又はポリアミド(Polyamide、PAと略称する)等のプラスチック素材であるがこれらに限定されない。
【0034】
また、第1環状凹溝12と第1羽軸用溝13(羽軸92の収容用)とが交差して設けられるため、第1環状凹溝12と第1羽軸用溝13とは、交差部に連通されることができる。したがって、プラスチックは成形溝Mに注入された後、さらに交差部に流れ込み、羽軸92の部分(交差部)の外側に固化成形されることで、固化して形成された連結部材94を羽軸92と連結させることができる。
【0035】
好ましくは、雌型20も図4に示すように、テーパー溝21の内面211に間隔をあけて設け、第2環状凹溝22と交差する複数の第2羽軸用溝24を含み得る。シャトルコック半製品9’の羽軸92は、第1羽軸用溝13と第2羽軸用溝24で画成された空間内に収容され、固化形成された連結部材94が羽軸92の外側を均一に覆うことができるようにさせる。
【0036】
好ましくは、テーパー溝21は、ベース部25と、第1テーパー部26と、第2テーパー部27とをさらに備える。第1テーパー部26とベース部25とが隣り合って設けられ、第2テーパー部27と第1テーパー部26とが隣り合って設けられる。すなわち、第1テーパー部26は、ベース部25と第2テーパー部27との間に位置する。同時に図4図5及び図6を参照すると、シャトルコック半製品9’のベース本体91は、ベース部25に設けられ、第2環状凹溝22及び第2羽軸用溝24が両方とも第1テーパー部26に設けられる。
【0037】
図6に示すように、第2テーパー部27の内径は、第1テーパー部26の内径よりも大きい。すなわち、第2テーパー部27がテーパー溝21の外側に向かって拡がり、シャトルコック半製品9’の羽片93を第2テーパー部27に収容させることができる。好ましくは、雄型10は円錐台11と隣り合って設けられ、雌型20の第2テーパー部27に対応することができる円筒部14をさらに備える。羽片93は、円筒部14と第2テーパー部27との間に収容されることができる。
【0038】
ステップS50:人工シャトルコック9を金型1から離型させる。
【0039】
図8は、図3の金型で作製された人工シャトルコックの概略図であり、図8を参照されたい。プラスチックが成形溝M内で固化して連結部材94を形成した後(ステップS40)で、人工シャトルコック9を作製した。最後に図8に示すように、人工シャトルコック9を金型1から離型させる。
【0040】
プラスチックの固化成形方法で連結部材を製造すると、連結部材94として連結糸を絡み付け、結び、連結糸への接着剤塗布などのステップを省くことができることで、人工シャトルコックの製造効率を向上させることができる。
【0041】
なお、人工シャトルコック9の製造方法の最後ステップは、人工シャトルコック9の全体に接着剤で塗布するため、接着剤が乾くことを待つ時間の必要がある。本実施形態において、羽軸92の素材は、炭素繊維強化樹脂材料で、かつ連結部材94がプラスチック固化成形したものであるため、光硬化接着剤(例えばUV接着剤)を使用して人工シャトルコック9全体に塗布することで、同様に人工シャトルコック9の製造効率を向上させることができる。
【0042】
上記をまとめると、本発明の人工シャトルコックの製造方法及び金型によれば、金型は、雄型と、雌型とを備える。雄型は、円錐台と、複数の第1環状凹溝とを備え、第1環状凹溝は間隔をあけて円錐台の外側に設けられる。これに対応して、雌型は、テーパー溝と、複数の第2環状凹溝とを備え、第2環状凹溝は間隔をあけてテーパー溝に設けられる。シャトルコック半製品が雄型とともに雌型に入れられると、第1環状凹溝は第2環状凹溝に対応して成形溝を形成する。また、雌型は、第2環状凹溝と連通する材料注入流路をさらに備える。材料注入流路からプラスチックを注入した後、プラスチックは成形溝内で固化されると、複数の連結部材を形成でき、これにより人工シャトルコックを形成する。ここで、プラスチックの固化成形方法で連結部材を製造すると、連結部材として連結糸を絡み付け、結び、連結糸への接着剤塗布などのステップを省くことができることで、人工シャトルコックの製造効率を向上させることができる。
【0043】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0044】
10 雄型
1 金型
11 円錐台
111 外側
112 頂面
12 第1環状凹溝
13 第1羽軸用溝
14 円筒部
20 雌型
21 テーパー溝
211 内面
22 第2環状凹溝
23 材料注入流路
231 分岐流路
24 第2羽軸用溝
25 ベース部
26 第1テーパー部
27 第2テーパー部
9 人工シャトルコック
9’ シャトルコック半製品
91 ベース本体
92 羽軸
93 羽片
94 連結部材
M 成形溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8