(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078083
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】連結装置
(51)【国際特許分類】
H05H 13/04 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
H05H13/04 Z
H05H13/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176982
(22)【出願日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】10 2021 130 901.8
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カール ハインツ フラスト
【テーマコード(参考)】
2G085
【Fターム(参考)】
2G085AA13
2G085BE10
2G085CA12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】連結装置の縦方向および横方向の変位が適当に補償され、導管キャビティを通じて案内される荷電粒子が、フランジが相対的に変位している間、偏向されない、あるいは、悪影響を受けないように、改良する。
【解決手段】荷電粒子を通過させるための導通システムのための連結装置1が、第1フランジ2および第2フランジ4とベローズ6とを備えている。第1フランジ2および第2フランジ4は、ベローズ6を介在させて相互に連結され、第1フランジ2および第2フランジ4は、導通システムの変位を補償するために、縦方向7および横方向8に相対的に変位可能である。ベローズ6に導管要素10が配置され、導管要素10がフランジ2、4を導通状態で連結する。導管要素10が2つのフランジ2、4の連結要素13、14に移動可能に取り付けられ、および/または、導管要素10がリングばねまたはコイルばねを有する、または、当該ばねにより構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子を通過させるための導通システムのための連結装置(1)であって、
前記連結装置(1)が、前記導通システムの第1導管(3)または第1チャンバに連結するための第1フランジ(2)と、前記導通システムの第2導管(5)または第2チャンバに連結するための第2フランジ(4)と、ベローズ(6)と、を備え、
前記第1フランジ(2)および前記第2フランジ(4)が、前記ベローズ(6)を介在させて相互に連結され、
前記第1フランジ(2)および前記第2フランジ(4)が、前記導通システムの前記第1導管(3)または前記第1チャンバと前記導通システムの前記第2導管(5)または前記第2チャンバの間の、前記連結装置(1)の縦方向(7)およびそれに対して傾斜した少なくとも一の横方向(8)についての変位を補償するために、相対的に変位可能であり、
前記ベローズ(6)によって少なくとも部分的に囲まれている前記連結装置(1)の内部空間(9)に、前記第1フランジ(2)および前記第2フランジ(4)に導通し、かつ、荷電粒子を通過させるための導管キャビティ(11)を囲んでいる導管要素(10)が配置され、
前記第1フランジ(2)および前記第2フランジ(4)のそれぞれに対して前記導管要素を導通させるための第1連結要素(13)および第2連結要素(14)のそれぞれが前記第1フランジ(2)および前記第2フランジ(4)のそれぞれに配置され、
前記導管要素(10)が、前記第1連結要素(13)および前記第2連結要素(14)の内部または外部に変位可能に設けられ、これに加えてまたはこれに代えて、前記導管要素(10)が少なくとも1つのリングばね(15)または少なくとも1つのコイルばね(16)を有しているまたは当該ばねにより構成されている
連結装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の連結装置(1)において、
前記第1連結要素(13)および前記第2連結要素(14)のうち少なくとも一方の連結要素が、それが取り付けられている前記第1フランジ(2)および前記第2フランジ(4)のうち少なくとも一方のフランジに対して、前記連結装置(1)の前記縦方向(7)と同軸または少なくとも平行の回転軸線(17)まわりに回転可能に設けられている
連結装置(1)。
【請求項3】
請求項1に記載の連結装置(1)において、
前記導管要素(10)が複数のロッド(18)を備え、前記複数のロッド(18)が相互に平行に延在し、相互に間隔をあけて配置され、かつ、共同で前記導管キャビティ(11)を部分的にまたは全体的に取り囲んでいる
連結装置(1)。
【請求項4】
請求項3に記載の連結装置(1)において、
前記複数のロッド(18)のそれぞれが、前記第1連結要素(13)および前記第2連結要素(14)の内部または外部において、あるいは、前記第1連結要素(13)および前記第2連結要素(14)のロッド収容部(34)において可動にかつ導通するように取り付けられ、これに加えてまたはこれに代えて、前記複数のロッド(18)のそれぞれが円形状の断面を有する、または、平坦的なロッド(18)として構成されている
連結装置(1)。
【請求項5】
請求項3に記載の連結装置(1)において、
前記導管要素(10)の前記複数のロッド(18)のそれぞれへの導電連結のため、前記連結装置(1)の前記縦方向(7)について相互に離間している2つの膨出部(19、20)が、前記第1連結要素(13)および前記第2連結要素(14)のそれぞれのロッド(23)に形成され、
前記ロッド(23)が、前記導管要素(10)の前記複数のロッド(18)のそれぞれの前記膨出部(19、20)に対して導通するように当接または接触し、
前記導管要素(10)の前記複数のロッド(18)のそれぞれが、前記第1連結要素(13)および前記第2連結要素(14)のそれぞれの前記ロッド(23)に対向する、前記2つの膨出部(19、20)の間のエリアで、前記連結装置(1)の支持ショルダ(21)に当接している
連結装置(1)。
【請求項6】
請求項3に記載の連結装置(1)において、
前記導管要素(10)の前記複数のロッド(18)の、前記第1連結要素(13)および前記第2連結要素(14)のそれぞれを向いている端部のそれぞれがベンド(22)を有し、前記第1連結要素(13)および前記第2連結要素(14)のそれぞれがベンド(24)を有するロッド(23)を備え、前記第1連結要素(13)および前記第2連結要素(14)のそれぞれの前記ロッド(23)の前記ベンド(24)が、前記導管要素(10)の前記ロッド(18)の前記ベンド(22)間の中間空間(25)に配置され、前記第1連結要素(13)および前記第2連結要素(14)のそれぞれ前記ロッド(23)の前記ベンド(24)と、前記導管要素(10)の前記ロッド(18)の前記ベンド(22)と、に連結ロッド(26)が貫通または導通している。
連結装置(1)。
【請求項7】
請求項1に記載の連結装置(1)において、
前記導管要素(10)の一部または全部を構成している前記リングばね(15)が、連続的に配置された一連のリング要素(27)を有し、前記一連のリング要素(27)が、弾性要素(28)により相互に連結され、かつ、相対的に変位可能である
連結装置(1)。
【請求項8】
請求項1に記載の連結装置(1)において、
前記導管要素(10)の一部または全部を構成する前記コイルばね(16)が、相互に相対的に弾性的に変位可能である、連続的に配置された複数のコイル部分(29)を有している
連結装置(1)。
【請求項9】
請求項8に記載の連結装置(1)において、
前記コイル部分(29)が仮想的な円柱面に沿うように配置されている
連結装置(1)。
【請求項10】
請求項8に記載の連結装置(1)において、
前記導管要素(10)が2つのコイルばね(12、16)を有し、あるいは、2つのコイルばね(12、16)からなり、一方のコイルばね(12)が他方のコイルばね(16)の内部空間(30)に配置され、または、前記2つのコイルばね(12、16)のコイル部分(29)が前記連結装置(1)の前記縦方向(7)について相互に離間して配置されている
連結装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の一般的概念に基づく連結装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このタイプの連結装置は、いわゆるシンクロトロンなどの粒子加速器に使用されている。シンクロトロンまたは粒子加速器は、通常、荷電粒子ビームの携帯で荷電粒子を通過させる導管および/またはチャンバを有している導通システムを備えている。このタイプの連結装置は、当該導通システムにおいて、熱などによる変位および長さの変化を補正または補償し、導通システムに過度の応力または歪みが生じないようにする役割を担う。この目的のために、連結装置は、実質的に柔軟性を有するように構成されており、例えば、導通システムにおける熱により生じた変位および/または長さの変化を補償するために、第1フランジおよび第2フランジは、連結装置の縦方向およびそれに対して傾斜した少なくとも一つの横方向について相対的に変位可能に構成されている。
【0003】
それ以外に、連結装置を通過した、あるいは伝導素子の伝導キャビティを通過した荷電粒子あるいは荷電粒子ビームが、偏向したりなんらかの形で悪影響を受けたりしないことが重要である。
【0004】
汎用的な連結装置および汎用的ではない連結装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。これらの連結装置においては、ベローズを介在させてフランジ同士が連結されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許公開公報 US2017/0279205A1(
図1~
図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、連結装置の縦方向および横方向の変位が適当に補償されうるとともに、導管キャビティを通じて案内される荷電粒子が、フランジが相対的に変位している間、偏向されない、あるいは、その他の悪影響を受けないように、このタイプの連結装置を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は、特許請求の範囲の請求項1に記載の連結装置によって達成される。
【0008】
本発明によれば、導管要素を第1フランジおよび第2フランジのそれぞれに対して導通させるため、第1フランジおよび第2フランジのそれぞれに第1連結要素および第2連結要素のそれぞれが配置され、導管要素が第1連結要素および第2の内部または外部に変位可能に取り付けられ、および/または、導管要素が少なくとも1つのリングばねまたは少なくとも1つのコイルばねを有している、あるいは、当該ばねにより構成されている。
【0009】
本発明に係る導通要素は、熱またはその他の原因によって連結装置のフランジが相対的に変位した際に、導通エレメントの内部に配置された導管キャビティの断面積ができる限り一定に保たれることを保証する。このことは、導管要素の外側に案内されるベローズとの組み合わせにより実現され、連結装置の導管キャビティを通じて案内される荷電粒子が偏向されたり、その他の悪影響を受けたりすることが回避または抑制されることを保証する。本発明は、第1フランジおよび第2フランジが連結装置の縦方向および/またはその横方向に相対的に大きく変位した場合でも、第1フランジおよび第2フランジが連結要素および導管要素を介して相互に最適な導通状態での連結されたままであることを保証する。これは、導管要素が第1連結要素および第2連結要素の内部または外部に変位可能に取り付けられていること、および/または、導管要素がリングばねまたはコイルばねにより構成され、あるいは、当該ばねを備えていることによって実現される。
【0010】
連結装置の「縦方向」および「横方向」という用語は、疑義がある場合、連結装置の2つのフランジが外力によって相対的に変位していない連結装置の初期位置を基準とする。横方向は、縦方向に対して一定の角度をなしている。好ましくは、横方向は、縦方向に対して垂直である。
【0011】
本発明に係る連結装置は、シンクロトロンまたはその他の粒子加速器の導通システムに適用される。周知のように、これらの導通システムは、導管だけでなく、チャンバを有していてもよい。
【0012】
本発明に係る連結装置によれば、第1フランジおよび第2フランジが、ベローズを介在させて連結されている。これには、さまざまな設計態様が存在する。ベローズが、第1フランジおよび第2フランジの間の全範囲にわたり延在し、第1フランジおよび第2フランジが相互に直接的に連結されていてもよい。その一方、ベローズが、第1フランジおよび第2フランジの間の部分的な範囲にのみ延在していてもよい。当該実施形態において、2つのフランジのうち少なくとも一方のフランジに外套チューブが配置されていることが好ましい。ベローズが、例えば、外套チューブの自由端から他方のフランジまで延在していてもよい。ベローズの周囲に第2外套チューブを配置されていてもよく、当該第2外套チューブが、他方のフランジに配置もしくは固定され、または、他方のフランジを構成していることが好ましい。いずれの場合も、ベローズは金属製であることが好ましい。
【0013】
本発明に係る連結装置は、特に、配管系における熱により生じた長さ変化および/または変位を補償するのに役立つので、補償装置または補償連結装置とも呼ばれうる。
【0014】
連結装置の縦方向および/または横方向における配管システムの変位だけでなく、配管システムのねじれ運動を補償するために、本発明の特に好ましい変形例は、連結要素の少なくとも1つが、それが配置されるフランジに対して、好ましくは連結装置の縦方向と同軸または平行である回転軸線まわりに回転可能に取り付けられている。
【0015】
導管キャビティを囲んでいる導管要素が、周方向に閉じるように構成されていてもよい。これは必須の構成ではない。導管要素が、2つの連結要素、ひいては連結装置の2つのフランジを良好な導通状態で相互に連結することが重要である。この目的のために、導管要素が、ロッドが相互に平行に延在し、かつ、相互に間隔をあけて配置されている複数のロッドを備え、当該複数のロッドにより導管キャビティの一部または全部が囲まれていてもよい。導管要素が、このようなロッドの配列態様によって構成されていてもよい。
【0016】
連結装置の縦方向および/または横方向におけるフランジの変位を補償し、同時に最適な通電状態での接触を確保するため、複数のロッドのそれぞれが両方の連結要素の内部または外部に変位可能に、かつ、導通状態で装着されていることが好ましい。その際、複数のロッドのそれぞれが、第1連結要素および第2連結要素の両方のロッド収容部に対して変位可能に、かつ、導通状態で装着されていることが特に好ましい。後者の場合、ロッドはその端部において、ロッド収容部に対して変位可能に装着されていることが好ましい。ロッドが連結要素から離間することはなく、各ロッドおよび各連結要素の非常に良好な電気的接触が定常的に保証されている。各ロッドが円形状の横断面を有することが好ましい。これは、電気的接触を最適化するという点でも非常に有利である。代替案として、ロッドが扁平なロッドとして構成されていてもよい。
【0017】
導管要素の各ロッドに対して導通状態で連結するために各連結要素のロッドに、連結装置の縦方向に相互に離間して配置された2つの膨出部が形成され、当該ロッドが2つの膨出部において、導管要素の各ロッドに対して導通状態で当接し、かつ、導管要素の各ロッドが、当該2つの膨出部の間のエリアで、各連結要素のロッドに対向する側において、連結装置の支持ショルダにより支持されていてもよい。連結装置の縦方向に離間して配置された複数の(少なくとも2つの)膨出部と、縦方向について当該複数の膨出部の間に配置された支持ショルダとにより、連結装置の縦方向および/または横方向に大きな変位があっても、導管要素のロッドと各連結要素との間の良好な導通状態が維持される。
【0018】
これを的確に実現するための他の変形例では、各連結要素に対向する、導管要素のロッドの端部がそれぞれベンドを有し、各連結要素がベンドを有するロッドを備えている。各連結要素のロッドのベンドが、導管要素のロッドのベンドの間の中間空間に配置され、各連結要素のロッドのベンドを通じて、かつ、導管要素のロッドのベンドを通じて連結ロッドが案内または挿通されている。ロッドの各ベンドが、連結装置の縦方向に延在している長穴状であることが好ましい。これにより、連結ロッドが縦方向に変位できるようにベンドに装着されている。
【0019】
導管要素がリングばねを有している、あるいは、リングばねにより構成されている変形例では、当該リングばねが、一のリング要素の後方に一のリング要素が順に配置されている一連のリング要素を有し、連続する複数のリング要素のそれぞれが弾性要素により相互に連結され、かつ、相対的に変位可能であることが好ましい。リング要素は、それ自体が剛体であることが好ましい。すべてのリング要素が同径であることが好ましい。これは必須ではない。いずれの場合でも、リング要素の間に設けられている弾性要素が、連結装置の縦方向および/または横方向における複数のフランジの変位が補償されるように、リングばねの相応する可動性または変位可能性が保証されている。導管要素が比較的大きく撓んだ状態でも、導管要素がどの箇所においても同じ導管断面を有することがリング要素により保証される。例えば、コイルばねとして構成される弾性要素に加えて、電気摺動コンタクトが複数のリング要素の間に配置されていてもよく、これにより、連続するリング要素の相互の最適な導通状態での連結と、導管要素から各連結要素への最適な導通状態での連結が確保される。
【0020】
コイルばねが導管要素の一部または全部を構成している本発明の実施形態において、コイルばねが、相対的に弾性的に変位可能である、一のコイル部分の後方に他のコイル部分が順にまたは連続的に配置されている複数のコイル部分を有していることが好ましい。これにより、連結要素の縦方向および/または横方向におけるフランジの相対的な変位が大きい場合でも、導管要素における導管キャビティは、どこでも同じ断面を有することが保証される。連結装置が偏向していない状態では、コイル部分が仮想の円柱面に沿って配置されていることが好ましい。特に好ましい変形例では、導管要素が2つのコイルばねを有する、または、当該2つのコイルばねから構成され、一方のコイルばねが他方のコイルばねの内部空間に配置され、2つのコイルばねのコイル部分が連結装置の縦方向に相互に相対的に離間して配置されていることが好ましい。
【0021】
本発明に係る連結装置は、ベローズによって囲まれた内部空間に1×10-10mbar(ミリバール)以下の範囲の負圧または真空を形成する観点から適当に設計されている。
【0022】
本発明の特に好ましい態様は、フランジ、連結要素および/または導管要素が、銅-ベリリウム合金により構成され、または、銅-ベリリウム合金を含んでいる。代替的な材料としては、ステンレスまたは銅があり、銀メッキまたは金メッキが施されていることが好ましい。
【0023】
本発明のさらなる利点および詳細は、添付図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る連結装置の第1実施形態の説明図。
【
図2】本発明に係る連結装置の第1実施形態の説明図。
【
図3】本発明に係る連結装置の第1実施形態の説明図。
【
図4】本発明に係る連結装置の第1実施形態の説明図。
【
図5】本発明に係る連結装置の第2実施形態の説明図。
【
図6】本発明に係る連結装置の第2実施形態の説明図。
【
図7】本発明に係る連結装置の第2実施形態の説明図。
【
図8】本発明に係る連結装置の第2実施形態の説明図。
【
図9】本発明に係る連結装置の第3実施形態の説明図。
【
図10】本発明に係る連結装置の第3実施形態の説明図。
【
図11】本発明に係る連結装置の第3実施形態の説明図。
【
図12】本発明に係る連結装置の第3実施形態の説明図。
【
図13】本発明に係る連結装置の第4実施形態の説明図。
【
図14】本発明に係る連結装置の第4実施形態の説明図。
【
図15】本発明に係る連結装置の第4実施形態の説明図。
【
図16】本発明に係る連結装置の第4実施形態の説明図。
【
図17】本発明に係る連結装置の第5実施形態の説明図。
【
図18】本発明に係る連結装置の第5実施形態の説明図。
【
図19】本発明に係る連結装置の第5実施形態の説明図。
【
図20】本発明に係る連結装置の第5実施形態の説明図。
【
図21】本発明に係る連結装置の第6実施形態の説明図。
【
図22】本発明に係る連結装置の第6実施形態の説明図。
【
図23】本発明に係る連結装置の第6実施形態の説明図。
【
図24】本発明に係る連結装置の第6実施形態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、まず、
図1~
図4に示されている本発明に係る連結装置1の第1実施形態について説明する。
図1には、本発明に係る連結装置1の縦断面図が示されている。
図2には、
図1のエリアAの拡大図が示されている。
図3には、連結装置1の縦断面を含む切り欠き斜視図が示されている。
図4には、
図3のエリアBの拡大図が示されている。
【0026】
本実施形態における導管要素10と第1連結要素13および第2連結要素14との特定の実施形態を説明する前に、本実施形態の特徴が以下の実施形態においても実施されるものとして、当該特徴が説明される。したがって、この部分の説明事項は、ここに示されているすべての実施形態に対して適用される。
【0027】
ここで示されているすべての実施形態が、シンクロトロン等の粒子加速器の導管系に用いられる連結装置1に関する。通常はビームの形態である荷電粒子が、連結装置1、ひいては当該導通システムを通過する。導通システムは、チャンバだけでなく、導管を備えていてもよい。いずれにしても、連結装置1は、第1フランジ2および第2フランジ4ならびにベローズ6を備えている。第1フランジ2および第2フランジ4は、ベローズ6を介して相互に連結されている。本実施形態では、ベローズ6が、第1フランジ2および第2フランジ4の間の連結箇所の一部にのみ延在するように構成されている。具体的には、本実施形態では、他の実施形態と同様に、ベローズ6が、第2フランジ4の回転軸受リング32と、第1フランジ2に対して固定された外套チューブ40との間に配置されている。他の実施形態において、ベローズ6が、例えば、第1フランジ2から第2フランジ4まで完全に延在していてもよい。
図1では、導通システムの第1導管3および第2導管5が破線で示されている。第1フランジ2が第1導管3に対して連結され、第2フランジ4が第2導管5に対して連結されている。第1導管3または第2導管5の代わりに、導通システムのチャンバが第1フランジ2および第2フランジ4のうち一方または両方のフランジに対して連結されていてもよい。いずれにしても、連結装置1は、第1導管3および第2導管5の導管内部空間33または対応するチャンバ内部空間が導管要素10の導管キャビティ11と連通した状態で連結されるように、ひいては導管内部33を通過した荷電粒子、特に荷電粒子のビームが導管要素10の導管キャビティ11を通過するように、導通システムの第1導管3および第2導管5またはチャンバの間に配置されている。
【0028】
ここに示されているすべての実施形態の連結装置1は、導通システムの第1導管3またはチャンバと、導通システムの第2導管5またはチャンバと、の間の変位を補償する役割を担っている。当該変位は、連結装置1の縦方向7または長手方向と、当該縦方向7に対して傾斜した、好ましくは垂直な少なくとも1つの横方向8の両方で発生しうる。連結装置1の第1フランジ2および第2フランジ4は、それらが取り付けられるそれぞれの第1導管3または第2導管5またはこれらが固定されているチャンバに連動させる又はともに変位させることができる。ベローズ6および各導管要素10は、縦方向7および横方向8(複数可)の両方における第1フランジ2および第2フランジ4の相対的な運動または変位を可能にし、導通システムに応力または破損が生じることを防止する。導通システムにおける縦方向7および/または横方向8の当該変位は、熱により生じることもあるが、それ以外でも生じることもある。
【0029】
本実施形態におけるすべての導管要素10は、第1連結要素13および第2連結要素14への、ひいては第1フランジ2および第2フランジ4の間の導通的な連結が遮断または解消される危険性がなく、第1フランジ2および第2フランジ4の間の対応する相対移動を補償することができるという利点を有している。さらに、導管要素10は、第1フランジ2および第2フランジ4の相対的な変位の間、導管要素10によって囲まれている導管キャビティ11の開口断面積が少なくとも実質的に変化しないことが常に保証されているという利点を有している。これにより、導管キャビティ11を通じて案内された粒子は偏向されず(進路が曲げられず)、粒子ビームは乱されることが回避される。
【0030】
すべての実施形態において、ベローズ6によって少なくとも部分的に囲まれている内部空間9に導管要素10が配置され、さまざまな実施形態の導管要素10が、第1連結要素13および第2連結要素14のそれぞれを介して第1フランジ2および第2フランジ4を相互に導通した状態で連結させている。導管要素10の内部空間には、荷電粒子を通過させる導管キャビティ11が形成されている。
【0031】
ここに示されているすべての実施形態において、第2フランジ4には、外套チューブ41が配置されている。外套チューブ41により、ベローズ6と、第1フランジ2に配置されている外套チューブと、が囲まれている。しかし、すでに説明したように、これには別の解決方法も存在する。
【0032】
導通システムにおける縦方向7および横方向8の相対変位を補償することができるだけでなく、配管システムにおけるねじり運動を補償することができるようにするために、ここに示されているすべての変形形態において、第1連結要素13および第2連結要素14のうち少なくとも一方の連結要素が、それが配置されている第1フランジ2および第2フランジ4のうち少なくとも一方に対して回転可能に取り付けられている。具体的には、本実施形態では、連結要素14が固定されている回転軸受リング32によって実現されている。当該回転軸受リング32は、第2フランジ4に対して回転可能に取り付けられている。回転軸受リング32が回転可能な回転軸線17は、縦方向7に対して同軸または少なくとも平行に延在している。
【0033】
すべての実施形態において、導管要素10を第1フランジ2および第2フランジ4のそれぞれに導通状態で連結するための第1連結要素13および第2連結要素14のそれぞれが、第1フランジ2および第2フランジ4のそれぞれに配置されていることは、いずれの場合においても同様である。
【0034】
図1~
図4に示されている第1実施形態では、第1フランジ2および第2フランジ4が相対的に変位した場合、導管要素10が第1連結要素13および第2連結要素14の内部または外部に変位可能に装着されることにより、第1連結要素13および第2連結要素14に対する電気的接触が確保される。
【0035】
導管要素10は、複数のロッド18を有している。複数のロッド18は、相互に平行に延在し、周方向に相互に離間して配置されている。複数のロッド18は、導管キャビティ11を少なくとも部分的に囲んでいる。第1実施形態では、導管要素10の複数のロッド18は、連結エリア31でその中央エリアにおいて相互に連結されている。
【0036】
第1実施形態において、第1連結要素13および第2連結要素14のそれぞれにロッド23が形成されている。第1連結要素13のロッド23は、片側が導管要素10に押し込まれている。第2連結要素14のロッド23は、反対側の導管要素10に挿入されている。第1連結要素13および第2連結要素14のそれぞれの各ロッド23を導管要素10の各ロッド18に対して導通状態で連結するために、本実施形態では、第1連結要素13および第2連結要素14のそれぞれの各ロッド23に、連結装置1の縦方向7に相互に離間している2つの膨出部19、20を形成している。これらは、
図1のエリアAの拡大図である
図2に示されている。各ロッド23は、当該膨出部19および20とともに、導管要素10の各ロッド18に電気的に導通するように当接している。2つの膨出部19および20の間のエリアにおいて、導管要素10のロッド18のそれぞれは、各ロッド23に対向する側で、連結装置1の支持ショルダ21により支持されている。
図2および
図4の切り欠き斜視図において、導管要素10のロッド18が、一方側で各支持ショルダ21に案内されまたは通過し、他方側で膨出部19および20を有する第1連結要素13および第2連結要素14のそれぞれのロッド23の間に案内されまたは通過している。第1フランジ2および第2フランジ4が、縦方向7および/または横方向8に相対的に変位した場合、膨出部19および20と各支持ショルダ21との相互作用により、導管要素10が当該ロッド18において、第1連結要素13および第2連結要素14またはそれらのロッド23と定常的に最適な電気的接触が確実に維持される。これにより、第1フランジ2および第2フランジ4の間の導通状態での連結も確保される。第1フランジ2および第2フランジ4の相対的な変位を可能にするため、導管要素10のロッド18ならびに第1連結要素13および第2連結要素14のロッド23が適当に弾性的に構成されている。導管要素10と第2連結要素14との間の前述の連結方式は、導管要素10と連結要素13との間の連結方式と同様である。これは、すべての実施形態においても同様である。
【0037】
ここで、
図5~
図8に示されている本発明の第2実施形態について説明する。
図5には、対応する縦断面図が示されている。
図6には、
図5のエリアCの拡大図が示されている。
図7には、
図5の連結装置1の第2実施形態の縦断面を含む切り欠き斜視図が示されている。
図8には、
図7のエリアDの拡大図が示されている。以下では、基本的に、第1実施形態と異なる点について説明する。それ以外の場合は、これまでの説明を参照されたい。
【0038】
第1実施形態と共通の特徴は、導管要素10が、相互に平行に延在し、かつ、相互に間隔をおいて配置されている複数のロッド18を有し、第1連結要素13および第2連結要素14の間で導管キャビティ11を全体的に囲んでいることである。その一方、第1実施形態とは異なり、導管要素10の複数のロッド18は、連結エリア31において相互に連結されていない。むしろ、当該複数のロッド18は、第1連結要素13および第2連結要素14に対して連結されることにより配置が定まっている。
【0039】
図5~
図8に示されている本発明の第2実施形態では、複数のロッド18それぞれは円形状の横断面を有している。このことは、
図8に明示されている。複数のロッド18のそれぞれは、第1連結要素13および第2連結要素14の両方に対して、変位可能に、かつ、導通状態で設けられている。具体的には、本実施形態では、ロッド18は、各端部エリアが2つの第1連結要素13および第2連結要素14のロッド収容部34に配置されている。このことは、
図6および
図8に明示されている。ロッド18は、それぞれのロッド収容部34に対して縦方向に変位可能に装着されている。ロッド収容部34を囲んでいる第1連結要素13および第2連結要素14の壁部は、ロッド収容部34におけるロッド18がその全周にわたり第1連結要素13および第2連結要素14のそれぞれと接触しているので、第1フランジ2および第2フランジ4が横方向8に相対的に変位しても、ロッド18、ひいては導管要素10と第1連結要素13および第2連結要素14のそれぞれとの確実な電気的接触を維持させる。
【0040】
図9~
図12に示されている本発明の第3実施形態は、既に説明した
図5~
図8に係る本発明の第2実施形態にとてもよく似ている。第2実施形態と異なるのは、導管要素10のロッド18が円形状の横断面を有しておらず、扁平または平坦なロッド18として構成されている点のみである。
図9には、本実施形態における縦断面図が示されている。
図10には、
図9のエリアEの拡大図が示されている。
図11には、連結装置1の縦断面を含む切り欠き斜視図が示されている。
図12には、
図11のエリアFの拡大図が示されている。
図12には、第1連結要素13および第2連結要素14の対応するロッド収容部34に取り付けられる平坦に構成されたロッド18が明示されている。
【0041】
図13~
図16は、本発明の第4の実施形態を示す説明図である。これにおいて、導管要素10が、リングばね15として構成されている。導管要素10が、リングバネ15により構成されている。導管要素10がリングばね15を部分的にのみに有し、それ以外は異なる構成であってもよい。
【0042】
図13には、連結装置1の縦断面図が示されている。
図14には、
図13のエリアGの拡大図が示されている。
図15には、連結装置1の対応する縦断面を含む切り欠き斜視図が示されている。
図16には、
図15のエリアHの拡大図が示されている。
【0043】
リングばね15は、相互に連続して配置されている一連のリング要素27を有している。当該複数のリング要素27は、それ自体が実質的に剛体であってもよい。一連のリング要素27は、弾性要素28によって相互に連結されており、これにより相互に相対的に変位可能である。ここで実現された具体的な構成は、
図14および
図16に明示されている。本実施形態では、弾性要素28がコイルばねとして設計されている。もちろん、他の適当なタイプのバネおよび/または弾性部材が使用されてもよい。いずれにしても、弾性要素28は、縦方向7および横方向8の両方において、リング要素27の相対的な変位を可能にする。弾性要素28は、外側から第1フランジ2および第2フランジ4に力が作用しないとき相応に復元する。ここに示されている具体例では、中間リング要素38および付加的な電気摺動コンタクト39が、2つの隣接するリング要素27の間に配置されている。電気摺動コンタクト39は、相応に柔軟性を有するように構成され、連続するリング要素27の間の確実な電気的接触を保証する。
図14および
図16に明示されているように、弾性要素28の対応する端部が中間リング要素38に装着されている。本実施形態では、導管要素10の当該構成により、第1フランジ2および第2フランジ4が縦方向7または横方向8に相対的に変位した場合に、導管キャビティ11の断面が狭小化することが防止される。したがって、本発明に係るこのタイプの導管要素10は、第1フランジ2および第2フランジ4の間の相対変位が、導管キャビティ11を通って案内される荷電粒子またはそのような荷電粒子のビームに悪影響を及ぼさないことを保証する。
【0044】
図17~
図20に示されている本発明の第5実施形態は、導管要素10が少なくとも1つのコイルばね16により構成されている変形例である。
図17には、連結装置1の縦断面図が示されている。
図18には、
図17のエリアIの拡大図が示されている。
図19には、連結装置1の縦断面を含む切り欠き斜視図が示されている。
図20には、
図19のエリアJの拡大図が示されている。第1連結要素13および第2連結要素14を相互に導通状態で連結させ、かつ、導管キャビティ11を囲むためには、原理的には単一のコイルばね16で十分であるにもかかわらず、本実施形態では、導管要素10が2つのコイルばね12、16を備え、一方のコイルばね12が他方のコイルばね16の内部空間30に配置されている。
図18および
図20にも明示されているように、第1コイルばね12および第2コイルばね16のそれぞれのコイル部分29は、連結装置1の縦方向7において相互に離間またはオフセットして配置されている。第1コイルばね12および第2コイルばね16のそれぞれのコイル部分29は、仮想の円柱面に沿って延在している。第1コイルばね12および/もしくは第2コイルばね16またはそれらのコイル部分29は、第1フランジ2および第2フランジ4が相対的に変位した場合に、導管キャビティ11の開口断面積を実質的に変化させずに、導管要素10の相応の弾性変形を可能にする。これにより、導管キャビティ11を通過する荷電粒子または荷電粒子ビームに悪影響を与えずに済む。コイル部分29は弾性的に相対変位させることができるので、第1フランジ2および第2フランジ4の相対的な変位が解消された際、それに相応した復元が実現される。
【0045】
次に、
図21~
図24に示されている第6実施形態では、導管要素10のロッド18の第1連結要素13および第2連結要素14に向いている端部のそれぞれがベンド22を有している変形例が示されている。
図21には、連結装置1の縦断面図が示されている。
図22には、
図21のエリアKの拡大図が示されている。
図23には、連結装置1の縦断面を含む切り欠き斜視図が示されている。
図24には、
図23のエリアLの拡大図が示されている。
【0046】
本実施形態では、ロッド18の連結エリア31が、導管要素10の中央エリアにおいて比較的幅広に構成されている。これは、必須な構成ではない。例えば、
図1~
図4に示されているように第1実施形態のように、ロッド18の連結エリア31が、導管要素10の中央エリアにおいて比較的狭幅に構成されていてもよい。
【0047】
本実施形態では、いずれの場合も、第1連結要素13および第2連結要素14のそれぞれが複数のロッド23を有している。当該複数のロッド23のそれぞれがベンド24を有している。第1連結要素13および第2連結要素14のそれぞれのロッド23のベンド24は、導管要素10の複数のロッド18のベンド22の間の中間空間25に配置されている。
図22および
図24に明示されているように、連結ロッド26が、第1連結要素13および第2連結要素14のそれぞれのロッド23のベンド24を通り、かつ、導管要素10のロッド18のベンド22を通って案内されている。ロッド18のベンド22およびロッド23のベンド24は、いずれも長穴状に構成されており、各連結ロッド26がベンド22、24において縦方向7に変位可能に装着されている。これは、縦方向7および横方向8の両方における第1フランジ2および第2フランジ4の相対的な変位が、導管キャビティ11の開口断面積の相応する変化をきたすことなく補償されることを可能にする。また、この結果、第1フランジ2および第2フランジ4が導通システムとともに、例えば、熱変形のために相対的に変位する際、導管キャビティ11を通って案内される荷電粒子または荷電粒子のビームの進路は、実質的に影響を受けないままである。
【符号の説明】
【0048】
1‥連結装置
2‥第1フランジ
3‥第1導管
4‥第2フランジ
5‥第2導管
6‥ベローズ
7‥縦方向
8‥横方向
9‥内部空間
10‥導管要素
11‥導管キャビティ
12‥コイルばね
13‥連結要素
14‥連結要素
15‥リングばね
16‥コイルばね
17‥回転軸線
18‥ロッド
19‥膨出部
20‥膨出部
21‥支持ショルダ
22‥ベンド
23‥ロッド
24‥ベンド
25‥中間空間
26‥連結ロッド
27‥リング要素
28‥弾性要素
29‥コイル部分
30‥内部空間
31‥連結エリア
32‥回転軸受リング
33‥導管内部空間
34‥ロッド収容部
38‥中間リング要素
39‥電気摺動コンタクト
40‥外套チューブ
41‥外套チューブ。