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特開2023-78100リファイナおよび繊維材料を処理する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078100
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】リファイナおよび繊維材料を処理する方法
(51)【国際特許分類】
   D21D 1/34 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
D21D1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022185820
(22)【出願日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】20216205
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(71)【出願人】
【識別番号】515183610
【氏名又は名称】バルメット テクノロジーズ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ラモン ムニョース
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055BB03
4L055CB13
4L055FA08
4L055FA21
4L055FA30
(57)【要約】
【課題】繊維材料を処理するための新規なリファイナおよび新規な方法を提供する。
【解決手段】繊維状材料を処理するためのリファイナおよび方法。リファイナは、2つの処理要素の間に処理空間を形成するために互いに実質的に反対に配置された各2つの処理要素の間にギャップが存在するように配置された少なくとも3つの処理要素のセットを含み、処理されるべき繊維材料は、処理空間において処理効果を受ける。各処理要素は、処理要素を通じる繊維材料の流れを可能にするために処理要素を通じて延びる少なくとも1つの開口を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維材料を処理するためのリファイナであって、
2つの処理要素の間に処理空間を形成するために互いに対して実質的に反対に配置される各2つの処理要素の間にギャップがあるように配置される少なくとも3つの処理要素のセットを含み、処理されるべき前記繊維材料は、前記処理空間において処理効果を受け、
各処理要素は、前記処理要素を通じる前記繊維材料の流れを可能にするために前記処理要素を通じて延びる少なくとも1つの開口を含む、
リファイナ。
【請求項2】
当該リファイナは、少なくとも、第1の処理空間と、第2の処理空間と、前記第1の処理空間および前記第2の処理空間を互いに分離するための前記第1の処理空間と前記第2の処理空間との間の処理要素とを含み、
前記処理要素は、前記第1の処理空間から前記第2の処理空間への前記処理要素を通じる前記繊維材料の流れを可能にするために前記処理要素を通じて延びる少なくとも1つの開口を含むことを特徴とする、
請求項1に記載のリファイナ。
【請求項3】
前記繊維材料が少なくとも1つの処理空間において受ける前記処理効果は、前記繊維材料が少なくとも1つの別の処理空間において受ける処理効果とは異なる、請求項1または2に記載のリファイナ。
【請求項4】
少なくとも1つの処理要素が、処理されるべき前記繊維材料が前記処理空間において処理効果を受けるために前記処理空間に面する処理表面と、前記処理空間からのまたは前記処理空間への前記処理要素を通じる前記繊維材料の流れを可能にするために前記処理要素を通じて延びる少なくとも1つの開口とを含むことを特徴とする、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載のリファイナ。
【請求項5】
少なくとも1つの処理要素が、
処理されるべき前記繊維材料が前記第1の処理空間において第1の処理効果を受けるために前記第1の処理空間に面する第1の処理表面と、
処理されるべき前記繊維材料が前記第2の処理空間において第2の処理効果を受けるために前記第2の処理空間に対して実質的に反対方向に前記第1の処理表面に対して面する第2の処理表面と、
前記第1の処理空間から前記第2の処理空間への前記処理要素を通じる前記繊維材料の流れを可能にするために前記処理要素を通じて延びる少なくとも1つの開口と、を含むことを特徴とする、
請求項2~4のうちのいずれか1項に記載のリファイナ。
【請求項6】
前記第2の処理表面における少なくとも1つの処理表面特徴は、前記第2の処理空間における前記繊維材料が、前記第1の処理空間における前記繊維材料が受ける前記処理効果とは異なる前記処理効果を受けるために、前記第1の処理表面における対応する処理表面特徴とは異なることを特徴とする、請求項5に記載のリファイナ。
【請求項7】
当該リファイナにおける少なくとも1つの処理空間は、前記繊維材料が精製効果を受ける精製空間であることを特徴とする、請求項1~6のうちのいずれか1項に記載のリファイナ。
【請求項8】
当該リファイナにおける少なくとも1つの処理空間において、前記繊維材料は、精製効果とは異なる処理効果を受けることを特徴とする、請求項1~7のうちのいずれか1項に記載のリファイナ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの処理空間は、前記繊維材料が分散効果を受ける分散空間、前記繊維材料がデフレーキング効果を受けるデフレーキング空間、または前記繊維材料がスクリーニング効果を受けるスクリーニング空間のうちの1つであることを特徴とする、請求項7または8に記載のリファイナ。
【請求項10】
当該リファイナは、
第1の静止処理要素と、
第2の静止処理要素と、
回転可能な処理要素と、を含み、
前記第1の静止処理要素は、前記第1の静止処理要素と前記回転可能な処理要素との間に第1処理空間を形成するために、前記第1の静止処理要素と前記回転可能な処理要素との間にギャップがあるように、実質的に前記回転可能な処理要素内にあり、前記回転可能な処理要素の実質的に反対にあり、
前記回転可能な処理要素は、前記回転可能な処理要素と前記第2の静止処理要素との間に第2の処理空間を形成するために、前記回転可能な処理要素と前記第2の静止処理要素との間にギャップがあるように、実質的に前記第2の静止処理要素内にあり、前記第2の静止処理要素の実質的に反対にあることを特徴とする、
請求項1~9のうちのいずれか1項に記載のリファイナ。
【請求項11】
前記第1の静止処理要素、前記第2の静止処理要素および前記回転可能な処理要素は、円錐処理要素であることを特徴とする、請求項10に記載のリファイナ。
【請求項12】
当該リファイナは、
第1のディスク状の処理要素と、
第2のディスク状の処理要素であって、前記第1の処理要素と前記第2の処理要素との間に第1の処理空間を形成するために、前記第1の処理要素と前記第2の処理要素との間にギャップがあるように、前記第1の処理要素に対して実質的に反対に前記第1のディスク状の処理要素に隣接する、第2のディスク状の処理要素と、
第3のディスク状の処理要素であって、前記第1の処理要素と前記第2の処理要素との間に第2の処理空間を形成するために、前記第2の処理要素と前記第3の処理要素との間にギャップがあるように、前記第2の処理要素に対して実質的に反対に前記第2のディスク状の処理要素に隣接する、第3のディスク状の処理要素と、を含むことを特徴とする、
請求項1~9のうちのいずれか1項に記載のリファイナ。
【請求項13】
少なくとも1つの処理要素が静止処理要素であり、少なくとも1つの処理要素が回転可能な処理要素であることを特徴とする、請求項12に記載のリファイナ。
【請求項14】
繊維材料を処理するための方法であって、
各2つの実質的に反対の処理要素の間に処理空間を形成するために互いに対して実質的に反対に配置される各2つの処理要素の間にギャップがあるように配置される少なくとも3つの処理要素のセットを含むリファイナにおいて前記繊維材料を処理することを含み、処理されるべき前記繊維材料は、前記処理空間において処理効果を受け、
前記繊維材料は、少なくとも2つの連続する処理空間によって形成される少なくとも2つの連続する処理段階において処理され、
前記繊維材料は、前記処理空間内への前記繊維材料の前記流れのために前記処理空間の流入側を画定するのに寄与する処理要素を通じて延びる少なくとも1つの開口を通じて前記処理空間内に供給され、
前記繊維材料は、前記処理空間から出る前記繊維材料の前記流れのために前記処理空間の流出側を画定するのに寄与する処理要素を通じて延びる少なくとも1つの開口を通じて前記処理空間から出て供給される、
方法。
【請求項15】
少なくとも1つの処理空間は、前記繊維材料が精製効果を受ける精製空間である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの処理空間において前記繊維材料が受ける精製効果は、少なくとも1つの別の処理空間において前記繊維材料が受ける精製効果とは異なる、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
精製に先立って、前記リファイナ内の前記繊維材料は、以下の効果、すなわち、分散効果、デフレーキング効果、またはスクリーニング効果のうちの少なくとも1つを受ける、請求項14~16のうちのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リファイナ(refiner)および繊維材料(fibrous material)を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、紙または板紙製造のための、リグノセルロース含有木材ベース繊維材料または植物ベース繊維材料のような繊維材料を処理する際に、繊維材料は、所望の品質の製品の製造において使用されるべき繊維材料の特性に影響を及ぼすように様々な方法において処理される。また、織物材料(textile materials)のリサイクルは、繊維材料が更なる使用のために様々な方法で処理されることがある産業区分を表す。
【0003】
特にリグノセルロース含有木材ベース繊維材料を考慮するとき、繊維材料の特性に影響を及ぼす様々な方法は、繊維材料の性質、すなわち、繊維材料がバージンであるかリサイクルであるかどうかに依存して、例えば、更なる処置のために特定の繊維材料部分(fraction)を選択するためのスクリーニング、繊維材料を分散させるための分散、または繊維材料の繊維特性に影響を及ぼすためのリファイニング(精製)(refining)を選択的に含むことがある。
【0004】
繊維状材料の精製は、製品の品質を考慮する際に決定的に重要である。それは、典型的には、繊維状材料を処理する際に最もエネルギ集約的な部分でもある。精製においては、パルプ、すなわち、水および繊維材料の混合物、および、場合によっては、幾つかの添加剤が、リファイナの精製空間、すなわち、少なくとも一方が他方に対して回転している2つの実質的に対向する精製要素の間の空間内に供給され、それによって、所望の繊維特性を得るために、パルプは、精製効果を受ける。
【0005】
精製に関する問題は、精製において、反対側の精製要素の精製表面が互いに衝突することを避けるために、一度に限られた量のエネルギだけがパルプに加えられる場合があることである。これは、パルプ中の所望の繊維特性を得るために、パルプが幾つかの連続的な精製段階で精製されなければならないことを意味する。これらの連続的な精製段階を実装する1つの方法は、パルプが連続的なプロセスとして1つのリファイナから次のリファイナに流れるように、直列に設置された幾つかのリファイナを提供することである。この直列のリファイナにおける各リファイナは、実質的に低い容量を有することがあるが、幾つかのリファイナの使用は、精製における高い総エネルギ消費および機器の高い空間要求を引き起こす。幾つかの連続的な精製段階を実装する別の方法は、高い容量の単一のリファイナを提供し、この単一のリファイナによるバッチ精製としてパルプを精製することである。ここで、リファイナの高い容量は、リファイナおよびその中の回転可能な精製要素の大型化を招き、それは、機器についての総空間要求がより小さくなることがあるが、精製における高いエネルギ消費を再び引き起こす。
【0006】
従って、繊維材料を精製するための代替的な解決策の必要性が依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、繊維材料を処理するための新規なリファイナおよび新規な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、独立請求項の構成によって特徴付けられる。
【0009】
本発明の着想は、リファイナ内に少なくとも2つの処理空間、すなわち、互いに実質的に反対に配置される各2つの処理要素の間の処理空間があるように配置される、少なくとも3つの処理要素のセットを含み、処理されるべき繊維材料は、処理空間において処理効果を受ける、リファイナを提供することである。更に、各処理要素は、処理要素を通じる繊維材料の流れを可能にするために処理要素を通じて延びる少なくとも1つの開口を含み、それによって、繊維材料は、1つの処理空間から、それらの間の処理要素を通じる連続する処理空間内に流れることがある。
【0010】
本発明の利点は、幾つかの精製段階を有するが単一の精製段階を有する従来のリファイナよりも小さな物理的サイズを有するリファイナが実装されることがあり、従来のリファイナと同じまたは高くさえある精製容量(refining capacity)または繊維材料のより高い精製度(degree of refining)を依然として得ることがある。回転可能な精製要素のより小さなサイズは、より小さな無負荷エネルギ消費ももたらす。本発明は、異なる容量のリファイナを製造するための単純なモジュール式のアプローチも提供する。本発明は、単一のリファイナにおいて、分散段階、デフレーキング段階、またはスクリーニング段階のような少なく十1つの前処理段階と、少なくとも1つの精製段階との組み合わせも可能にする。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態は、従属項において開示される。
【0012】
以下では、添付の図面を参照して、本発明を好適な実施形態によってより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】円錐処理要素を含む円錐リファイナの部分側断面図を概略的に示している。
図2】ディスク状処理要素を含むディスクリファイナの部分側断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
明瞭性のために、図面は、本発明の幾つかの実施形態を簡略化された方法で示している。同様の参照番号は、図中の同様の要素を識別している。
【0015】
図1は、部分的に断面における円錐リファイナ1(conical refiner)の非常に概略的な側面図である。リファイナ1は、例えば、リグノセルロース含有木材ベース繊維材料、植物ベース繊維材料またはリサイクルされた織物材料(textile material)に由来する繊維材料(fibrous material)を精製(リファイニング)するために利用されることがある。リファイナ1で処理されるべき繊維材料は、パルプの形態、すなわち、水と繊維材料との混合物、および、場合によっては、幾つかの添加剤を有する。精製されるべき繊維材料の繊維の粘稠度(consistency)は、例えば、繊維材料の原料に依存して異なることがあり、繊維の粘稠度は、典型的には、3~40%の間である。
【0016】
リファイナ1は、フレーム2と、参照記号Sで示す矢印で概略的に示すように処理されるべき少なくとも1つの繊維材料の流れをリファイナ1に供給または給送するための少なくとも1つの供給接続部3と、参照記号Dで示す矢印で概略的に示すようにリファイナ1内で既に処理された少なくとも1つの繊維材料の流れをリファイナ1から排出するための少なくとも1つの排出接続部4とを含む。リファイナ1は、参照記号Aで示す矢印で概略的に示すような軸方向と、参照記号Rで示す矢印で概略的に示すような半径方向とを有する。
【0017】
図1のリファイナ1は、実質的に互いに反対に配置された各2つの処理要素の間にギャップがあるように配置された3つの処理要素のセットを含む。前記2つの処理要素間のギャップは、処理されるべき繊維材料が処理効果を受ける処理空間を形成または提供する。更に、各処理要素は、処理要素を通じる繊維材料の流れを可能にするために、処理要素を通じて延びる少なくとも1つの開口を含む。
【0018】
図1のリファイナ1の実施形態は、第1の静止処理要素10、すなわち、第1のステータ10と、回転可能な処理要素20、すなわち、ロータ20と、第2の静止処理要素30、すなわち、第2のステータ30とを含む。第1のステータ10、ロータ20および第2のステータ30は、第1のステータ10とロータ20との間にギャップがあるよう、第1のステータ10が実質的にロータ20内にあり且つ実質的にロータ20の反対側にあるように互いに対してリファイナ1内に配置され、このギャップは、第1のステータ10とロータ20との間に第1の処理空間15を形成する。更に、ロータ20と第2のステータ30との間に別のギャップがあるように、ロータ20は、実質的に第2のステータ30内にあり且つ実質的に第2のステータ30の反対側にあり、この別のギャップは、ロータ20と第2のステータ30との間に第2の処理空間25を形成する。処理空間15、25は、リファイナ1が作動させられるときに繊維材料を処理する容積(ボリューム)を形成または提供する。
【0019】
第1のステータ10は、本体10aと、第1の処理空間15に面する処理表面10bとを含む。その名称が暗示するように、第1のステータ10は、回転できないように、リファイナ1ないに配置される。これを実装するために、例えば、第1のステータ10が回転しないよう、例えば、フレーム2に対して第1のステータ10を支持する1つ以上のホルダ11があってよい。第1のステータ10の処理表面10bは、例えば、完全な処理表面10bが得られるように、互いに隣接して本体10aに取り付けられたセグメント状の部品(ピース)、すなわち、処理セグメントのセットによって提供されてよい。
【0020】
第1のステータ10は、第1のステータ10を通じて延在する少なくとも1つの開口10d、しかしながら、典型的には、幾つかの開口10dを更に含む。よって、少なくとも1つの開口10dは、本体10aおよび処理表面10bの両方を通じて延在する。少なくとも1つの開口10dは、繊維材料の流れが、第1のステータ10を通じて本体10aの側面から処理表面10bの側面に、すなわち、供給接続部3の方向から第1の処理空間15まで処理されることを可能にする。
【0021】
ロータ20は、本体20aと、第1の処理空間15に面する第1の処理表面20bと、第2の処理空間25に面する第2の処理表面20cとを含む。回転可能な処理要素20の処理表面20b、20cは、例えば、セグメント状部品(segment-like pieces)のセット、すなわち、完全な処理表面20b、20cが得られるよう互いに隣接して本体20aに取り付けられた処理セグメントによって提供されてよい。
【0022】
その名称が暗示するように、ロータ20は、その長手軸について回転することができるようにリファイナ1内に配置され、それによって、ロータ20は、第1のステータ10および第2のステータ30に対して回転することができる。リファイナ1は、ロータ20に取り付けられた心棒シャフト5と、心棒シャフト5に取り付けられたモータ6とを含み、それによって、モータ6は、心棒シャフト5を回転させ、そして、心棒シャフト5によってロータ20を回転させることができる。
【0023】
ロータ20は、ロータ20を通じて延びる少なくとも1つの開口20d、典型的には、複数の開口20dを更に含む、すなわち、少なくとも1つの開口20dは、第1の処理表面20b、本体20aおよび第2の処理表面20cを通じて延在する。少なくとも1つの開口20dは、繊維材料の流れが、ロータ20を通じて、第1の処理表面20bの側面から第2の処理表面20cの側面へ、すなわち、第1の処理空間15から第2の処理空間25へ処理されることを可能にする。
【0024】
第2のステータ30は、本体30aと、第2の処理空間25に面する処理表面30bとを含む。その名称が暗示するように、第2のステータ30は、回転することができないようにリファイナ1内に配置される。これを実装するために、第2のステータ30が回転しないように、例えば、フレーム2に対して第2ステータ30を支持するために、例えば、1つ以上のホルダ31があってよい。第2ステータ30の処理表面30bは、例えば、セグメント状部品のセット、すなわち、完全な処理表面30bが得られるように互いに隣接して本体30aに取り付けられた処理セグメントによって提供されてよい。
【0025】
第2のステータ30は、第2のステータ30を通じて延在する少なくとも一つの開口30d、典型的には、幾つかの開口30d、を更に含む、すなわち、少なくとも1つの開口30dは、本体30aおよび処理表面30bの両方を通じて延在する。少なくとも1つの開口30dは、繊維材料の流れが、第2ステータ30を通じて、処理表面30bの側面から本体30aの側面へ、すなわち、第2処理空間25から排出接続部4へ処理されることを可能にする。
【0026】
リファイナ1の動作は、以下の通りである。
【0027】
繊維材料は、参照記号Sで示す矢印で概略的に示されるように、供給接続部3を通じてリファイナ1内に、第1のステータ10内の空間または容積内に供給される。第1のステータ10の内側の空間から、繊維材料は、第1のステータ10内の開口10dを通じて第1の処理空間15内に流れ、ロータ20が回転すると、繊維材料は、第1の処理効果を受ける。第1の処理空間15内で第1の処理効果を受ける繊維材料は、第1の処理空間15からロータ20内の開口20dを通じて第2の処理空間25に向かって流れ、ロータ20が回転すると、繊維材料は、第2の処理効果を受ける。第2の処理空間25内で第2の処理効果を受ける繊維材料は、第2処理空間25から第2ステータ30内の開口30dを通じて第2ステータ30の外側の容積に向かって前方に流れ、参照記号Dで示す矢印で概略的に示されるように排出接続部4を通じてリファイナ1から外に出る。リファイナ1の内側および処理空間15、25間の繊維材料の流れは、参照記号Fで示す矢印で概略的に示されている。
【0028】
よって、図1のリファイナ1において、繊維材料は、2つの連続する処理空間15、25によって形成される2つの連続する処理段階で処理される。繊維材料は、処理空間への繊維材料の流れのための処理空間の流入側を画定するのに寄与する処理要素を通じて延びる少なくとも1つの開口を通じて処理空間内に供給される。更に、繊維材料は、処理空間から出る繊維材料の流れのための処理空間の流出側を画定するのに寄与する処理要素を通じて延びる少なくとも1つの開口を通じて処理空間から外に供給される。ここで、第1の処理空間15を考慮すると、第1のステータ10は、第1の処理空間15内への繊維材料の流れための第1の処理空間15の流入側を画定するのに寄与する処理要素を提供し、ロータ20は、第1の処理空間15から外に出る繊維材料の流れのための第1の処理空間15の流出側を画定するのに寄与する処理要素を提供する。相応して、第2の処理空間25を考慮すると、ロータ20は、第2の処理空間25内への繊維材料の流れのための第2の処理空間25の流入側を画定するのに寄与する処理要素を提供し、第2のステータ30は、第2の処理空間25から出る繊維材料の流れのための第2の処理空間25の流出側を画定するのに寄与する処理要素を提供する。
【0029】
第1の処理空間15のサイズ、すなわち、第1のステータ10とロータ20との間の距離は、リファイナ1の軸方向Aにおいて第1のステータ10に対してロータ20を移動させることによって、および/またはリファイナ1の軸方向Aにおいてロータ20に対して第1のステータ10を移動させることによって調整することができ、それによって、第1の処理空間15内で繊維材料が受ける負荷を調整することができる。第2の処理空間25のサイズ、すなわち、第2のステータ30とロータ20との間の距離は、リファイナ1の軸方向Aにおいて第2のステータ30に対してロータ20を移動させることによって、および/またはリファイナ1の軸方向Aにおいてロータ20に対して第2のステータ30を移動させることによって調整してよく、それによって、第2の処理空間25内で繊維材料が受ける負荷を調整することができる。
【0030】
一実施形態によれば、第1の処理空間15および第2の処理空間25は、ロータ20が回転すると、第1の処理空間15および第2の処理空間25の両方において繊維材料が精製効果を受ける、精製空間である。この実施形態において、第1のステータ10の処理表面10b、第2のステータ30の処理表面30b、およびロータ20の処理表面20b、20cは、繊維材料がそれぞれの処理空間15、25内で精製効果を受けるように構成された精製表面である。繊維材料は、限定的な最大負荷、すなわち、限定的な最大エネルギ量のみを、繊維材料に精製効果を提供するための精製空間内で一度に受け、その最大負荷は、繊維材料を含むパルプの特性に依存するので、図1の単一のリファイナは、単一の精製空間を持つ従来の円錐リファイナと比較されるときに、繊維材料が単一のリファイナ内で受ける精製効果を2倍にすることを可能にし、これは、従来の円錐リファイナと比較されるときに、単一のリファイナによって達成可能なより高い程度の精製を意味する。
【0031】
開示するリファイナは、従来の円錐リファイナと同じ有効精製表面積を有するが、特にリファイナの軸方向Aにおいて、従来のリファイナよりも実質的に小さいサイズであってもよい。しかしながら、ロータのサイズの減少の故に、本明細書に開示する単一のリファイナは、回転させられるべきロータの質量の減少の故に、より小さな無負荷エネルギ消費をもたらす。
【0032】
一実施形態によれば、第1のステータ10の処理表面10b、第2のステータ30の処理表面30b、およびロータ20の処理表面20b、20cは、それぞれ、精製表面であり、同じ処理表面特性を有し、それによって、繊維材料は、第1の処理空間15および第2の処理空間25の両方において同様の精製効果を受けることがある。これは、従来の円錐リファイナと比較されるときに、より高い程度の精製が単一のリファイナで達成されることを可能にする。
【0033】
一実施形態によれば、第1のステータ10の処理表面10b、第2のステータ30の処理表面30b、およびロータ20の処理表面20b、20cは、それぞれ、精製表面であるが、第2のステータ30の処理表面30bおよびロータ20の第2の処理表面20cのうちの少なくとも1つの処理表面特性は、第1のステータ10の処理表面10bおよびロータ20の第1の処理表面20bの対応する処理表面特性と異なり、それによって、繊維材料が第2の処理空間25内で受ける精製効果は、繊維材料が第1の処理空間15内で受ける精製効果と異なる。この種の単一のリファイナは、処理されるべき処理空間内で受け取られる繊維材料の品質を考慮して最適化された精製表面構成、例えば、第1の処理空間15における粗い精製表面構成および第2の処理空間25におけるより微細な精製表面構成を有することがある。この種の単一のリファイナは、繊維材料に異なる精製効果を提供するために直列に接続された2つの従来のリファイナに取って代わってよい。この種の実施形態は、実質的に中程度の生産量を持つ精製用途において特に有用である。
【0034】
一実施形態によれば、第1の処理空間15は、分散(dispersion)空間であり、第2の処理空間25は、精製空間であり、それによって、繊維材料は、第2の処理空間25で精製する前に、第1の処理空間15内で先ず分散されてよい。この実施形態において、第1のステータ10の処理表面10bおよびロータ20における第1の処理表面20bは、繊維材料が第1の処理空間15において分散効果を受けるように構成された分散表面であり、第2のステータ30の処理表面30bおよびロータ20の第2の処理表面20cは、繊維材料が第2の処理空間25において精製効果を受けるように構成された精製表面である。この実施形態は、単一のデバイスにおいて分散器(disperser)とリファイナとの組み合わせを提供する。
【0035】
一実施形態によれば、第1の処理空間15は、デフレーキング(deflaking)空間であり、第2の処理空間25は、精製空間であり、それによって、繊維材料は、第2の処理空間25において精製する前に、第1の処理空間15内で先ずデフレーキング(破片除去)されてよい。この実施形態において、第1のステータ10の処理表面10bおよびロータ20における第1の処理表面20bは、繊維材料が第1の処理空間15においてデフレーキング効果を受けるように構成されたデフレーキング表面であり、第2のステータ30の処理表面30bおよびロータ20の第2の処理表面20cは、繊維材料が第2の処理空間25において精製効果を受けるように構成された精製表面である。この実施形態は、単一のデバイスにおいてデフレーキング装置(deflaker)とリファイナとの組み合わせを提供する。
【0036】
一実施形態によれば、第1の処理空間15は、スクリーニング空間であり、第2の処理空間25は、精製空間であり、それによって、繊維材料は、スクリーニングステージを通過した繊維材料部分(fraction)を第2の処理空間25内で精製する前に、第1の処理空間15内で先ず精製される。この実施形態において、ロータ20内の第1の処理表面20bは、繊維材料の所望の部分が第1の処理空間15から第2の処理空間25に流れることを可能にする開口を含むスクリーニング表面である。次いで、第1のステータ10の処理表面10bは、繊維材料がスクリーニング表面でプッシュアンドプル(push-and-pull)効果を受けて、スクリーニング表面を通じて繊維材料の所望の部分(fraction)を第2の処理空間25に進ませるように、第1の処理空間15における繊維材料の流れに影響を与えるよう、異なる種類のフォイル(箔)のような特定の手段を含んでよい。第1の処理空間15から第2の処理空間25に進まない材料のための別個の出口接続部が、その拒絶部分をリファイナ1から除去するために必要とされることがある。第2のステータ30の処理表面30bおよびロータ20の第2処理表面20cは、第2の処理空間25内に進められたスクリーニングされた繊維材料が精製効果を受けるように構成された精製表面である。この実施形態は、単一のデバイスにおいてスクリーンとリファイナとの組み合わせを提供する。
【0037】
図1の実施形態は、円錐リファイナに関するが、同様の構造が、円筒処理要素を有する円筒リファイナにおいても適用されてよい。円筒リファイナの場合、図1の円錐処理要素は、円筒処理要素と置き換えられる。円筒リファイナにおける繊維材料の処理は、上述の処理と実質的に同様であるが、円筒リファイナにおいて、処理要素間のギャップのサイズ、すなわち、処理要素間の処理空間のサイズの調整は、ステータのうちの少なくとも一方のステータの直径および/またはロータの直径を調整することによって行われる。
【0038】
図2は、部分的に断面におけるディスクリファイナ101の非常に概略的な側面図である。リファイナ101は、例えば、リグノセルロース含有木材ベース繊維材料、植物ベース繊維材料、またはリサイクルされた織物材料に由来し且つパルプの形態を有する繊維材料を精製するために利用されてもよい。
【0039】
リファイナ101は、フレーム102と、矢印Sで概略的に示すように、処理されるべき繊維材料の少なくとも1つの流れをリファイナ1内に供給または給送するための少なくとも1つの供給接続部103と、矢印Dで概略的に示すように、リファイナ1内で既に処理された繊維材料の少なくとも1つの流れをリファイナ1から外に排出するための少なくとも1つの排出接続部104とを含む。リファイナ1は、矢印Aで概略的に示すような軸方向と、矢印Rで概略的に示すような半径方向とを有する。
【0040】
図2のリファイナ101は、2つの処理要素の間に処理空間を形成するために互いに実質的に反対に配置された各2つの処理要素の間にギャップがあるように配置された8個の処理要素のセットを含み、処理されるべき繊維材料は、その処理空間内で処理効果を受ける。更に、各処理要素は、処理要素を通じる繊維材料の流れを可能にするために、処理要素を通じて延びる少なくとも1つの開口を含む。
【0041】
よって、図2のリファイナ101の実施形態は、全体として8個の処理要素、すなわち、第1のステータ110、第1のロータ120、第2のステータ130、第2のロータ140、第3のステータ150、第3のロータ160、第4のステータ170、および第4のロータ180を含む。ステータおよびロータは、互いに実質的に反対に配置される各隣接するステータとロータとの間に、前記隣接するステータとロータとの間に処理空間を形成するためのギャップがあるように、リファイナ101内に配置される。従って、処理されるべき繊維材料が同様のまたは異なる種類の処理効果を受けることがある、全体として7個の処理空間115、125、135、145、155、165、175がある。
【0042】
リファイナ1は、ロータ120、140、160、180に取り付けられた心棒シャフト105と、心棒シャフト105に取り付けられたモータ106とを含み、それによって、モータ106は、心棒シャフト105を回転させることができ、心棒シャフト105とによって、ロータ120、140、160、180を回転させることができる。ステータ110、130、150、170は、ステータ110、130、150、170が回転しないように、それぞれのホルダ111、131、151、171によって、例えば、フレーム102に対して支持されてよい。
【0043】
各ステータ110、130、150、170、およびロータ120、140、160、180は、本体100aと、処理空間に面する処理表面100bまたは第1の処理表面100bと、場合によっては、問題のステータ/ロータの反対側で別の処理空間に面する本体100aの反対側の第2処理表面100cとを含む。処理表面100b、100cは、例えば、セグメント状部品のセット、すなわち、完全な処理表面100b、100cが得られるように互いに隣接して本体100aに取り付けられた処理セグメントによって提供されてよい。
【0044】
各ステータ110、130、150、170、およびロータ120、140、160、180は、少なくとも1つの開口100d、典型的には、それぞれのステータまたはロータを通じて延びる複数の開口100dを更に含み、それによって、少なくとも1つの開口100dは、本体100aおよび処理表面/第1の処理表面100bを通じて、そして、場合によっては、第2の処理表面100cを通じて延びる。少なくとも1つの開口100dは、繊維材料の流れが、供給接続部3の方向から排出接続部4に向かってステータおよびロータを通じて処理されることを可能にする。
【0045】
リファイナ101の動作は、以下の通りである。
【0046】
繊維材料は、矢印Sで概略的に示すように、供給接続部3を通じてリファイナ101内に供給され、第1のステータ110にある開口100dを通じて第1の処理空間115に供給され、第1のロータ120が回転するときに、繊維材料は、第1の処理効果を受ける。第1の処理空間115において第1の処理効果を受ける繊維材料は、第1の処理空間115から第1のロータ120にある開口100dを通じて第2の処理空間125内に向かって流れ、第1のロータ120が回転するときに、繊維材料は、第2の処理効果を受ける。第2の処理空間125において第2の処理効果を受ける繊維材料は、第2の処理空間125から第2のステータ130にある開口100dを通じて第3の処理空間135内に向かって流れ、第2のロータ130が回転するときに、繊維材料は、第3の処理効果を受ける。繊維材料は、繊維材料が、矢印Dで概略的に示すように、第4のロータ180を通じて排出接続部104に向かって流れ、排出接続部104を通じてリファイナ101から外に出るまで、連続するステータおよびロータを更に通じて流れ、連続する処理空間内で処理されるように配置される。リファイナ101の内側およびその中の処理空間の間の繊維材料の流れは、参照記号Fで示す矢印で概略的に示されている。
【0047】
リファイナ101において、繊維材料は、7個の連続した処理空間によって形成される全体として7個の連続した処理段階において処理される。繊維材料は、処理空間内への繊維材料の流れのための処理空間の流入側を画定するのに寄与する処理要素、すなわち、ステータまたはロータを通じて延びる少なくとも1つの開口を通じて、各処理空間内に供給される。更に、繊維材料は、処理空間を出る繊維材料の流れのための処理空間の流出側を画定するのに寄与する処理要素、すなわち、ステータまたはロータを通じて延びる少なくとも1つの開口を通じて処理空間から供給される。
【0048】
少なくとも幾つかの処理空間115、125、135、145、155、165、175のサイズ、すなわち、それぞれの処理空間を画定するのに寄与するステータとロータとの間の距離は、それぞれのステータおよび/またはロータをリファイナ1の軸方向Aにおいて移動させることによって調整されてよく、それによって、それぞれの処理空間において繊維材料が受ける負荷を調整してよい。
【0049】
リファイナ101の一実施形態によれば、少なくとも1つの処理空間は、精製空間であり、それによって、処理空間を画定するのに寄与する処理要素の処理表面は、精製表面として構成される。好ましくは、リファイナ101は、2つよりも多くの精製空間を含み、それによって、繊維材料は、2つよりも多くの処理空間内で精製されることがある。リファイナ101の一実施形態によれば、各処理空間は、精製空間であるように構成されてよい。
【0050】
リファイナ101が2つよりも多くの精製空間を含むならば、リファイナ101は、少なくとも2倍以上の繊維材料によって許容される最大負荷でさえ、繊維材料が精製効果を受けることを可能にする。全ての処理空間が精製空間として構成された図2の実施形態の場合、リファイナ101は、繊維材料が、全体で7倍の繊維材料によって許容される負荷で精製効果を受けることを可能にし、よって、単一の精製空間を持つ従来のディスクリファイナと比較されるときに、単一のリファイナにおいて繊維材料が受ける精製効果を増幅することを可能にする。
【0051】
開示されたディスクリファイナは、従来のディスクリファイナと同じ有効精製表面積を有することもあるが、特にリファイナの半径方向Rにおいて、従来のリファイナよりも実質的に小さいサイズを有することがある。しかしながら、ロータの減少されたサイズの故に、本明細書に開示するような単一のリファイナは、減少された回転質量の故に、より小さなエネルギ消費をもたらす。更に、ロータを通じる開口がロータの精製表面積上に実質的に均等に配置されるならば、有効精製表面、すなわち、ロータの精製表面の固体部分は、ロータの中心に比較的より集中され、或いは、ロータの質量の中心は、ロータの中心により近く、それによって、ロータを回転させるために、より少ないトルク、それによって、より少ないエネルギが必要とされる。
【0052】
リファイナ101の一実施形態によれば、少なくとも2つの処理空間は、精製空間であり、少なくとも2つの精製空間における精製表面特徴は同じであり、それによって、少なくとも2つの精製空間内の繊維材料が受ける精製効果は類似する。これは、従来のディスクリファイナと比較されるときに、より高い程度の精製が単一のリファイナにおいて達成可能であることを可能にする。
【0053】
リファイナ101の一実施形態によれば、少なくとも2つの処理空間は、精製空間であるが、少なくとも1つの精製空間に適用される少なくとも1つの処理表面特徴は、少なくとも1つの別の精製空間に適用される対応する処理表面特徴とは異なり、それによって、少なくとも1つの精製空間において繊維材料が受ける精製効果は、少なくとも1つの別の精製空間において繊維材料が受ける精製効果とは異なる。この種の単一のリファイナは、繊維材料に異なる精製効果を提供するために直列に接続された2つよりも多くの従来のリファイナに取って代わることがある。この種の実施形態は、実質的に中程度の生産量を持つ精製用途において特に有用である。
【0054】
リファイナ101の一実施形態によれば、少なくとも1つの処理空間は、分散空間、デフレーキング空間、またはスクリーニング空間のうちの少なくとも1つである。この実施形態は、単一のリファイナにおける精製と組み合わされるべき分散、デフレーキングおよびスクリーニングの所望の組み合わせを提供することを可能にする。この種の実施形態において、1つ以上の精製空間として実装される1つ以上の処理空間は、リファイナ101の排出接続部104により近く位置するように配置されてよいのに対し、1つ以上の分散空間、1つ以上のデフレーキング空間および/または1つ以上のスクリーニング空間として実装される1つ以上の処理空間は、リファイナ101の供給接続部103により近く位置するように配置されてよく、それによって、繊維材料が受ける精製効果は、少なくとも1つの分散空間、少なくとも1つのデフレーキング空間、または少なくとも1つのスクリーニング空間のうちの少なくとも1つにおいて前処理される繊維材料に生じる。しかしながら、少なくとも1つの分散空間、少なくとも1つのデフレーキング空間、または少なくとも1つのスクリーニング空間のうちの少なくとも1つの間に少なくとも1つの精製空間が存在することは、除外されない。
【0055】
一般に、本明細書に開示されるリファイナにおいて、繊維材料は、少なくとも2つの連続する処理空間によって形成される少なくとも2つの連続する処理段階で処理される。繊維材料は、処理空間内への繊維材料の流れのための処理空間の流入側を画定するのに寄与する処理要素を通じて延びる少なくとも1つの開口を通じて処理空間内に供給され、繊維材料は、処理空間から出る繊維材料の流れのための処理空間の流出側を画定するのに寄与する処理要素を通じて延びる少なくとも1つの開口を通じて処理空間から外に供給される。
【0056】
処理されるべき繊維材料が処理空間内に供給されるときに、および/または処理空間を画定するのに寄与する処理要素を通じて延びる開口を介して処理空間から排出されるときに、1つの処理空間から別の処理空間へのリファイナを通じる繊維材料の流れは、リファイナのフレームの内部または外部のいずれかにある如何なる追加の流路もない簡単な方法で実行される。
【0057】
開示されるリファイナは、1つの従来のリファイナを、同じ容量であるが、リファイナの軸方向または半径方向の少なくとも1つにおいてより小さいサイズのリファイナと置き換えることを可能にして、ロータのより小さいサイズの故に、低減されたエネルギ消費をもたらす。
【0058】
開示されるリファイナは、直列に配置され且つ繊維材料が類似または異なる精製効果を受けるように配置された幾つかの従来のリファイナを、繊維材料に対して類似または異なる精製効果を持つ幾つかの連続する精製段階を有する単一のリファイナに置き換えることを可能にする。
【0059】
更に、開示されるリファイナは、単一のリファイナにおいて繊維材料に大量のエネルギを適用することを可能にして、精製された材料の高い程度の精製をもたらす。これは、リファイナが、例えば、ミクロフィブリルセルロース(MFC)またはナノフィブリルセルロース(NFC)、または達成可能な高いSR(Schopper-Riegler)度を持つ他の特殊グレードの繊維材料の製造に適用されることを可能にする。
【0060】
開示されるリファイナ、特に、リファイナの技術的実装を考慮したディスクリファイナは、異なる容量のリファイナを製造するためのモジュール式アプローチを可能にし、それによって、異なるモジュールの処理要素を追加することによって、リファイナの容量を増加されることがある。追加されるべきモジュールは、問題の特定の用途に依存して、ステータ、ロータ、またはステータとロータとの組み合わせを含んでよい。
【0061】
開示されるリファイナは、分散段階、デフレーキング段階、またはスクリーニング段階のような、少なくとも1つの前処理段階と、少なくとも1つの精製段階との組み合わせも可能にし、それによって、意図された生産量または能力に依存して、分散、デフレーキング、および/またはスクリーニングのための別個のデバイスが除外されることがある。
【0062】
技術の進歩に伴い、発明的な概念を様々な方法で実装することができることが当業者に明らかであろう。本発明およびその実施形態は、上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で変化することがある。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-11-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維材料を処理するためのリファイナであって、
2つの処理要素の間に処理空間を形成するために互いに対して実質的に反対に配置される各2つの処理要素の間にギャップがあるように配置される少なくとも3つの処理要素のセットを含み、処理されるべき前記繊維材料は、前記処理空間において処理効果を受け、
各処理要素は、前記処理要素を通じる前記繊維材料の流れを可能にするために前記処理要素を通じて延びる少なくとも1つの開口を含み、
それによって、当該リファイナは、少なくとも、第1の処理空間と、第2の処理空間と、前記第1の処理空間および前記第2の処理空間を互いに分離するための前記第1の処理空間と前記第2の処理空間との間の処理要素とを含み、
前記処理要素は、処理されるべき前記繊維材料が前記第1の処理空間において第1の処理効果を受けるために前記第1の処理空間に面する第1の処理表面と、処理されるべき前記繊維材料が前記第2の空間において第2の処理効果を受けるために前記第2の処理空間に対して実質的に反対方向において前記第1の処理表面に対して面する第2の処理表面と、前記処理要素を通じる前記第1の処理空間から前記第2の処理空間への前記繊維材料の流れを可能にするために前記処理要素を通じて延びる少なくとも1つの開口とを含み、
前記第2の処理空間における前記繊維材料が、前記第1の処理空間における前記繊維材料が受ける前記処理効果とは異なる前記処理効果を受けるために、前記第2の処理表面における少なくとも1つの処理表面特徴が、前記第1の処理表面における対応する処理表面特徴とは異なることを特徴とする
リファイナ。
【請求項2】
当該リファイナにおける少なくとも1つの処理空間は、前記繊維材料が精製効果を受ける精製空間であることを特徴とする、請求項に記載のリファイナ。
【請求項3】
当該リファイナにおける少なくとも1つの処理空間において、前記繊維材料は、精製効果とは異なる処理効果を受けることを特徴とする、請求項1又は2に記載のリファイナ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの処理空間は、前記繊維材料が分散効果を受ける分散空間、前記繊維材料がデフレーキング効果を受けるデフレーキング空間、または前記繊維材料がスクリーニング効果を受けるスクリーニング空間のうちの1つであることを特徴とする、請求項またはに記載のリファイナ。
【請求項5】
当該リファイナは、
第1の静止処理要素と、
第2の静止処理要素と、
回転可能な処理要素と、を含み、
前記第1の静止処理要素は、前記第1の静止処理要素と前記回転可能な処理要素との間に前記第1処理空間を形成するために、前記第1の静止処理要素と前記回転可能な処理要素との間にギャップがあるように、実質的に前記回転可能な処理要素内にあり、前記回転可能な処理要素の実質的に反対にあり、
前記回転可能な処理要素は、前記回転可能な処理要素と前記第2の静止処理要素との間に前記第2の処理空間を形成するために、前記回転可能な処理要素と前記第2の静止処理要素との間にギャップがあるように、実質的に前記第2の静止処理要素内にあり、前記第2の静止処理要素の実質的に反対にあることを特徴とする、
請求項1~のうちのいずれか1項に記載のリファイナ。
【請求項6】
前記第1の静止処理要素、前記第2の静止処理要素および前記回転可能な処理要素は、円錐処理要素であることを特徴とする、請求項に記載のリファイナ。
【請求項7】
当該リファイナは、
第1のディスク状の処理要素と、
第2のディスク状の処理要素であって、前記第1の処理要素と前記第2の処理要素との間に前記第1の処理空間を形成するために、前記第1の処理要素と前記第2の処理要素との間にギャップがあるように、前記第1の処理要素に対して実質的に反対に前記第1のディスク状の処理要素に隣接する、第2のディスク状の処理要素と、
第3のディスク状の処理要素であって、前記第1の処理要素と前記第2の処理要素との間に前記第2の処理空間を形成するために、前記第2の処理要素と前記第3の処理要素との間にギャップがあるように、前記第2の処理要素に対して実質的に反対に前記第2のディスク状の処理要素に隣接する、第3のディスク状の処理要素と、を含むことを特徴とする、
請求項1~のうちのいずれか1項に記載のリファイナ。
【請求項8】
少なくとも1つの処理要素が静止処理要素であり、少なくとも1つの処理要素が回転可能な処理要素であることを特徴とする、請求項に記載のリファイナ。
【請求項9】
繊維材料を処理するための方法であって、
各2つの実質的に反対の処理要素の間に処理空間を形成するために互いに対して実質的に反対に配置される各2つの処理要素の間にギャップがあるように配置される少なくとも3つの処理要素のセットを含むリファイナにおいて前記繊維材料を処理することを含み、処理されるべき前記繊維材料は、前記処理空間において処理効果を受け、
前記繊維材料は、少なくとも2つの連続する処理空間によって形成される少なくとも2つの連続する処理段階において処理され、
前記繊維材料は、前記処理空間内への前記繊維材料の前記流れのために前記処理空間の流入側を画定するのに寄与する処理要素を通じて延びる少なくとも1つの開口を通じて前記処理空間内に供給され、
前記繊維材料は、前記処理空間から出る前記繊維材料の前記流れのために前記処理空間の流出側を画定するのに寄与する処理要素を通じて延びる少なくとも1つの開口を通じて前記処理空間から出て供給され
少なくとも1つの処理空間における前記繊維材料が、少なくとも1つの別の処理空間における前記繊維材料が受ける処理効果とは異なる処理効果を受けることを特徴とする
方法。
【請求項10】
少なくとも1つの処理空間は、前記繊維材料が精製効果を受ける精製空間である、請求項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの処理空間において前記繊維材料が受ける精製効果は、少なくとも1つの別の処理空間において前記繊維材料が受ける精製効果とは異なる、請求項または10に記載の方法。
【請求項12】
精製に先立って、前記リファイナ内の前記繊維材料は、以下の効果、すなわち、分散効果、デフレーキング効果、またはスクリーニング効果のうちの少なくとも1つを受ける、請求項11のうちのいずれか1項に記載の方法。
【外国語明細書】