(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078120
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】積層接着剤用のアミノベンゾエート末端材料
(51)【国際特許分類】
C09J 175/00 20060101AFI20230530BHJP
C09J 175/06 20060101ALI20230530BHJP
C09J 175/08 20060101ALI20230530BHJP
C08G 18/50 20060101ALI20230530BHJP
C08G 18/46 20060101ALI20230530BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20230530BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20230530BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
C09J175/00
C09J175/06
C09J175/08
C08G18/50 021
C08G18/46 015
C08G18/42
B65D65/40 D
C08G18/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019900
(22)【出願日】2023-02-13
(62)【分割の表示】P 2021065593の分割
【原出願日】2016-05-31
(31)【優先権主張番号】62/199,600
(32)【優先日】2015-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】ウ-ソン・バエ
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン・エム・バージリ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エフ・ソネンシャイン
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・バラス
(72)【発明者】
【氏名】インゾォン・グオ
(72)【発明者】
【氏名】ルイ・ジエ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】無溶媒接着剤、特に、高速接着強度発現ならびに迅速なPAA及びNCO分解を可能にする高性能無溶媒ポリウレタン接着剤を提供する。
【解決手段】a)i)2~100重量パーセントのアミノベンゾエート末端組成物を含有するイソシアネート反応性成分であって、イソシアネート反応性成分は、溶媒を含有しないイソシアネート反応性成分、ならびにii)2~6のイソシアネート官能価を有するイソシアネート末端成分であって、イソシアネート末端成分が溶媒を含有しないイソシアネート末端成分、を混合して、NCOと反応性水素との化学量論比が0.9~2.5の範囲で、接着剤組成物を形成することと、b)接着剤組成物を第1の基材に塗布することと、c)第1の基材を第2のフィルムで積層して積層構造を形成することと、を含む、方法が開示される。積層構造は、積層接着剤として使用され得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)i)下記式の構造を有する2~100重量パーセントのアミノベンゾエート末端組
成物を含有するイソシアネート反応性成分であって、
【化1】
式中、R及びR’は互いに独立して、1分子当たり2~18個の炭素原子を有する直鎖
もしくは分岐アルキレン化合物、アミノベンゾエートで部分的もしくは完全にキャップさ
れたジオール、トリオールまたはテトラアルコール開始ポリオールからなる群から選択さ
れ、
あるいは、(-R-O-R’)基は-R’’OOCR’’’COOR’’-であり、R
’’は1分子当たり2~8個の炭素原子を有するアルキレン化合物であり、R’’’は1
分子当たり2~10個の炭素原子を有する脂肪族または芳香族化合物であり、
nは1~1000であり、
mは1~5であり、
前記イソシアネート反応性成分は溶媒を含有しない、イソシアネート反応性成分、なら
びに
ii)2~6のイソシアネート官能価を有するイソシアネート末端成分であって、前記
イソシアネート末端成分が溶媒を含有しない、イソシアネート末端成分、を混合して、
NCOと反応性水素との化学量論比が0.9~2.5の範囲で、接着剤組成物を形成する
ことと、
b)接着剤組成物を第1の基材に塗布することと、
c)前記第1の基材を第2のフィルムで積層して積層構造を形成することと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記第1の基材が、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレ
ン、アイソタクチックポリプロピレン、キャストポリプロピレン、ナイロン、ポリエステ
ル、コポリエステル、金属化ポリマーフィルム、アルミニウム箔、及びこれらの組み合わ
せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アミノベンゾエート末端組成物は、アニリン官能化ポリエチレングリコール、アニ
リン官能化ポリプロピレングリコール、アニリン官能化ポリブチレンオキシドポリオール
、アニリン官能化ポリテトラメチレングリコール、アニリン官能化ポリカーボネート、ア
ニリン官能化ポリカプロラクトン、アニリン官能化ポリエステル、アニリン官能化ポリエ
ステル-ポリエーテルコポリマー、ならびにそれらの混合物及び/またはコポリマーから
なる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記イソシアネート末端成分は、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び
これらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方
法。
【請求項5】
前記イソシアネート末端組成物は、ポリウレタンプレポリマーである、請求項1~4の
いずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
積層接着剤としての請求項1に記載の接着剤組成物の使用。
【請求項7】
前記アミノベンゾエート末端組成物は、アニリン官能化ポリエチレングリコール、アニ
リン官能化ポリプロピレングリコール、アニリン官能化ポリブチレンオキシドポリオール
、アニリン官能化ポリテトラメチレングリコール、アニリン官能化ポリエステル、アニリ
ン官能化ポリエステル-ポリエーテルコポリマー、ならびにそれらの混合物及び/または
コポリマーからなる群から選択される、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記イソシアネート末端組成物は、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、ジイソシアナトシクロヘキシルメタン、2-メチルペンタンジイソシアネ
ート、ノルボルネンイソシアネート、1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチ
ル)ベンゼン、1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン、1,4
-ビス(イソシナトメチル)シクロヘキサン、1,5ペンタメチレンジイソシアネート、
トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、それらのイソシアヌレ
ート、それらの混合物、ならびにそれらのプレポリマー及び付加物からなる群から選択さ
れる、請求項6に記載の使用。
【請求項9】
前記イソシアネート末端組成物は、ポリウレタンプレポリマーである、請求項6に記載
の使用。
【請求項10】
請求項1に記載の積層構造を含む可撓性包装。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2015年7月31日に出願された米国仮特許出願第62/199,600
号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、接着剤、特に可撓性食品包装用接着剤に関する。
【背景技術】
【0003】
溶媒を含まないポリウレタン接着剤組成物は、溶媒系及び水系接着剤と比較してより経
済的であるため、食品包装用途において好ましい。しかしながら、無溶媒接着剤はしばし
ば、さまざまな性能の欠点、すなわち、遅い結合強度発現、劣った最終結合強度、初期芳
香族一級アミン(PAA)高含有量及びイソシアネート(NCO)高含有量、ならびに遅
いPAA及びNCO分解を抱えている。これらの欠点は、無溶媒接着剤の低及び中性能市
場への適用を制限してきた。高性能ポリウレタン包装用接着剤における迅速なNCO分解
及び結合発現は、これらの系における脂肪族イソシアネートの使用のために特に望ましい
。脂肪族イソシアネートは、高温及び濡れた環境でのPAA形成の懸念から、レトルト及
びボイルインバッグ用途において必要である。しかし、ポリオール及びポリアミンと反応
するとき、ほとんどの脂肪族イソシアネートは芳香族イソシアネートよりも低い反応性を
有する。結果として、高性能無溶媒接着剤は、しばしば、NCO分解及び接着強度発現が
遅いという欠点を有する。
【0004】
したがって、無溶媒接着剤、特に、高速接着強度発現ならびに迅速なPAA及びNCO
分解を可能にする高性能無溶媒ポリウレタン接着剤が市場で望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明の広い一実施形態では、a)i)下記式の構造を有する2~100重量パーセン
トのアミノベンゾエート末端組成物を含有するイソシアネート反応性成分であって、
【0006】
【0007】
式中、R及びR’は互いに独立して、1分子当たり2~18個の炭素原子を有する直鎖
もしくは分岐アルキレン化合物、アミノベンゾエートで部分的もしくは完全にキャップさ
れたジオール、トリオールまたはテトラアルコール開始ポリオールから選択され、あるい
は、(-R-O-R’)基は-R’’OOCR’’’COOR’’-であり、R’’は1
分子当たり2~8個の炭素原子を有するアルキレン化合物であり、R’’’は1分子当た
り2~10個の炭素原子を有する脂肪族または芳香族化合物であり、nは1~500であ
り、mは1~5であり、イソシアネート反応性成分は溶媒を含有しない、イソシアネート
反応性成分、ならびにii)溶媒を含有しないイソシアネート末端成分、を混合して、N
COと反応性水素との化学量論比が0.9~2.5の範囲で、接着剤組成物を形成するこ
とと、b)接着剤組成物を第1の基材に塗布することと、c)第1の基材を第2のフィル
ムで積層して積層構造を形成することと、を含む、からなる、またはから本質的になる方
法が開示される。
【0008】
本発明の別の実施形態では、上記接着剤組成物を積層接着剤として使用することが開示
される。
【0009】
本発明のさらに別の実施形態では、上記積層構造を含む、からなるか、またはから本質
的になる可撓性包装が開示される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つの広い態様は、
i)下記式の構造を有する2~100重量パーセントのアミノベンゾエート末端組成物
を含有するイソシアネート反応性成分であって、
【0011】
【0012】
式中、R及びR’は互いに独立して、1分子当たり2~18個の炭素原子を有する直鎖
もしくは分岐アルキレン化合物、アミノベンゾエートで部分的もしくは完全にキャップさ
れたジオール、トリオールまたはテトラアルコール開始ポリオールからなる群から選択さ
れ、あるいは、(-R-O-R’)基は-R’’OOCR’’’COOR’’-であり、
R’’は1分子当たり2~8個の炭素原子を有するアルキレン化合物であり、R’’’は
1分子当たり2~10個の炭素原子を有する脂肪族または芳香族化合物であり、nは1~
1000であり、mは1~5であり、イソシアネート反応性成分は溶媒を含有しない、イ
ソシアネート反応性成分、ならびにii)2~6のイソシアネート官能価を有するイソシ
アネート末端成分であって、イソシアネート末端成分が溶媒を含有しないイソシアネート
末端成分、を混合して、NCOと反応性水素との化学量論比が0.9~2.5の範囲で、
接着剤組成物を形成することと、b)接着剤組成物を第1の基材に塗布することと、c)
第1の基材を第2のフィルムで積層して積層構造を形成することと、を含む、方法である
。
【0013】
いくつかの実施形態では、ベンゾエート末端組成物は、以下の構造を有する。
【0014】
【0015】
上記構造において、R及びR’は互いに独立して、1分子当たり2~18個の炭素原子
を有する直鎖もしくは分岐アルキレン化合物、アミノベンゾエートで部分的もしくは完全
にキャップされたジオール、トリオールまたはテトラアルコール開始ポリオールからなる
群から選択され、あるいは、(-R-O-R’)基は-R’’OOCR’’’COOR’
’-であり、R’’は1分子当たり2~8個の炭素原子を有するアルキレン化合物であり
、R’’’は1分子当たり2~10個の炭素原子を有する脂肪族または芳香族化合物であ
る。nの値は1~1000である。1~1000の間の任意の及びすべての値は、本明細
書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、nは10~300、10~150、20~
100または30~60であり得る。mの値は1~5である。1~5の間の任意の及びす
べての値は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、nは1、2、3、4ま
たは5であり得る。
【0016】
イソシアネート反応性成分は溶媒を含まない。
【0017】
適切なアミノベンゾエート末端化合物としては、アニリン官能化ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリブチレンオキシドポリオール、ポリテトラメチレン
グリコール、ならびにそれらの混合物及び/またはコポリマーが挙げられるが、これらに
限定されない。他の適切なアミノベンゾエート末端材料には、アニリン官能化ポリエステ
ルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、バイオベ
ースポリオール、ポリアクリルポリオール、ならびにそれらの混合物及び/またはコポリ
マーが含まれる。これらのアニリン末端化合物は、従来のポリエーテルポリオール、ポリ
エステルポリオール、ジオール、トリオール、ポリアミン、またはそれらの混合物とさら
にブレンドしてイソシアネート反応性成分を配合することができる。
【0018】
アミノベンゾエート末端成分は、一般に1~20のアミノベンゾエート官能価を有する
。さまざまな実施形態では、アミノベンゾエート末端成分は、2~10のアミノベンゾエ
ート官能価を有し、さまざまな他の実施形態では2~3のアミノベンゾエート官能価を有
する。
【0019】
アミノベンゾエート末端成分は一般に、イソシアネート反応性組成物の全重量に基づき
2~100重量パーセントの範囲で存在する。2~100重量パーセントの間の任意の及
びすべての範囲が本明細書に含まれ、開示されており、例えば、アミノベンゾエート末端
組成物は、イソシアネート反応性組成物中に4~90重量パーセント、8~70重量パー
セント、または10~50重量パーセントの範囲で存在し得る。
【0020】
さらに、さまざまな実施形態では、アミノベンゾエート末端組成物は、添加剤として、
すなわち接着促進剤または架橋剤として使用され得る。
【0021】
この成分は溶媒を含まない。
【0022】
さまざまな実施形態では、イソシアネート末端成分は、ポリイソシアネートであり得る
。ポリイソシアネートは、任意の芳香族、脂肪族、脂環式及び/または(シクロ)脂肪族
ジ-及び/またはポリイソシアネートであり得る。さまざまな他の実施形態では、イソシ
アネート末端成分は、イソシアネート系プレポリマーである。
【0023】
芳香族ジ-またはポリイソシアネートの例には、これらに限定されないが、1,3-及
び1,4-フェニレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,6
-トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、
2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI)、4,4’-ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、それらの混合物、オリゴマージフェニルメタンジイソシア
ネート(ポリマーMDI)、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイ
ソシアネート、ならびにトリイソシアナトトルエンが挙げられる。
【0024】
さまざまな実施形態では、脂肪族ジ-またはポリイソシアネートは概して、直鎖または
分岐アルキレン残基に3~16個の炭素原子を有し、さまざまな他の実施形態では4~1
2個の炭素原子を有する。
【0025】
さまざまな実施形態では、適切な脂環式または(シクロ)脂肪族ジイソシアネートは概
して、シクロアルキレン残基に4~18個の炭素原子を含み、さまざまな他の実施形態で
は6~15個の炭素原子を含む。当業者であれば、(シクロ)脂肪族ジイソシアネートは
、例えばイソホロンジイソシアネートの場合のように、環式及び脂肪族に結合したNCO
基を同時に意味することを十分に理解している。これとは対照的に、脂環式ジイソシアネ
ートは、脂環式環に直接結合したNCO基のみを有するものを意味すると理解される。例
えば、H12MDI。
【0026】
使用され得る脂肪族イソシアネートの例としては、シクロヘキサンジイソシアネート、
メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロ
ピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート
、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘ
キサンジイソシアネート、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナ
ンジイソシアネート、ノナントリイソシアネート、例えば、4-イソシアナトメチル-1
,8-オクタンジイソシアネート(TIN)、デカンジ-及びトリイソシアネート、ウン
デカンジ-及びトリイソシアネートならびにドデカンジ-及びトリイソシアネートが挙げ
られるが、これらに限定されない。
【0027】
追加の例には、限定されないが、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメ
チレンジイソシアネート(HDI)、ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12M
DI)、2-メチルペンタンジイソシアネート(MPDI)、2,2,4-トリメチルヘ
キサメチレンジイソシアネート/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネー
ト(TMDI)、及びノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、キシレンジイソシア
ネート(XDI)、1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン、1
,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン、1,4-ビス(イソシナ
トメチル)シクロヘキサン(1.4-H6 XDI)、ならびに1,5ペンタメチレンジ
イソシアネート(PDI)が挙げられる。IPDI、HDI、XDI、TMDI及び/ま
たはH12MDIのイソシアヌレートも使用可能である。
【0028】
4-メチルシクロヘキサン1,3-ジイソシアネート、2-ブチル-2-エチルペンタ
メチレンジイソシアネート、3(4)-イソシアナトメチル-1-メチルシクロヘキシル
イソシアネート、2-イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、2,4’-
メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート及び1,4-ジイソシアナト-4-メ
チル-ペンタンもまた適切である。
【0029】
上記イソシアネート化合物の混合物も使用することができる。
【0030】
さまざまな実施形態では、イソシアネート末端成分は、ポリウレタンプレポリマーであ
り得る。ポリイソシアネートと反応してポリウレタンプレポリマーを形成することができ
る好適な化合物としては、ヒドロキシル基、アミノ基及びチオ基を有する化合物が挙げら
れる。化合物の例には、5~2000mg KOH/グラムのOH価、62~20,00
0g/molの平均モル質量及び1.5~6.0の官能価を有するポリエステル、ポリカ
プロラクトン、ポリエーテル、ポリアクリレート及びポリカーボネートポリオールならび
にそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。OH価が14~2000mg
KOH/グラム、特に好ましくはOH価が28~1400mg KOH/グラムで、2.
0~4.0の官能価を有するポリオールを使用することが好ましい。官能価が2.0~3
.0である38~800mg KOH/グラムのOH価を有するポリオールを使用するこ
とが非常に特に好ましい。平均分子量が300~3000g/mol、特に好ましくは平
均分子量が400~1500g/molで、2.0~3.0の官能価を有するポリオール
が好ましい。
【0031】
イソシアネート成分は一般に、組成物の全重量に基づき8~98重量パーセントの範囲
で存在する。8~98重量パーセントの間の任意及びすべての範囲が本明細書に含まれ、
本明細書に開示される。例えば、イソシアネート成分は、10~95重量パーセント、1
2~90重量パーセント、20~88重量パーセント、26~80重量パーセント、32
~72重量パーセント、40~65重量パーセント、及び45~55重量%の範囲で存在
し得る。
【0032】
この成分も溶媒を含まない。
【0033】
接着剤組成物は、流動助剤、レベリング剤、接着促進剤、耐ブロック剤、消泡剤、及び
触媒などの追加の成分を含み得る。
【0034】
接着剤を積層するのに適した任意の基材を使用することができる。例には、限定されな
いが、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、アイソタク
チックポリプロピレン、キャストポリプロピレン、ポリアミド、ナイロン、ポリエステル
、コポリエステル、金属化プラスチック、アルミニウム箔、及びそれらの組み合わせが含
まれる。
【0035】
接着剤組成物は、例えばスプレーコーティング、ローラーコーティング、またはキャス
ティングなどの当技術分野で知られている任意の方法によって第1の基材に適用すること
ができる。
【0036】
第1の基材は、当技術分野で既知の任意の方法によって第2の基材と積層することがで
きる。さまざまな実施形態では、第2の基材は、本明細書では「第2のフィルム」と呼ば
れるフィルムである。フィルムとフィルムとの積層体、フィルムと金属化フィルとムの積
層体、及びフィルムと箔との積層体は、ハンドラミネーションまたは機械ラミネーション
によって作製され得る。ハンドラミネーションはしばしば、ドローダウンバーを使用して
第1の基材に接着剤を塗布し、次いで第1の基材の接触部に第2のフィルムをももってき
て圧力下で積層体を形成することを含む。機械ラミネーションは、Nordmeccan
ica、Comexi、及びBobstから入手可能なものなどの市販の積層体を介して
行うことができる。
【0037】
第2のフィルムを第1の基材に積層した後、硬化を開始することができる。接着剤組成
物は概して、0℃~60℃の範囲の温度で硬化される。0℃~60℃の間の任意の及びす
べての範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示されており、例えば、接着組成物は、1
0℃~50℃または20℃~40℃の範囲の温度で硬化し得る。
【0038】
上記配合された接着剤は、限定されないが、ポリエステル/アルミニウム箔、ポリプロ
ピレン/アルミニウム箔、またはポリエチレン/アルミニウム箔、ポリイミド/アルミニ
ウム箔、ナイロン/アルミニウム箔、ポリエステル/ポリエチレン、ナイロン/キャスト
ポリプロピレン、ポリエステル/キャストポリプロピレンの積層構造体、ならびにポリマ
ーフィルムへのポリマーフィルムの、ポリマーフィルムへの金属化ポリマーフィルムの、
箔へのポリマーフィルムの他のダイプレックス、トリプレックス、及び多層積層体を含む
さまざまな包装構造体に適用され得る。これらの積層構造体は、例えば建築用及び自動車
用の窓フィルム、エレクトロニクス用の可撓性包装、ならびに光起電装置のような食品、
医薬及び産業用途のための可撓性包装に有用である。
【実施例0039】
接着剤配合物に使用される原材料
【0040】
【0041】
積層構造体の調製
接着剤は、イソシアネート反応性組成物の成分(部分A)を最初に混合し、次に部分A
をイソシアネート組成物(部分B)と所望の化学量論比(NCO/OH)で混合すること
によって調製した。最初に第1の基材に混合物(接着剤)を塗布し、次にそれを第2のフ
ィルムとハンドラミネートすることによって積層構造体を調製した。その後、積層構造体
を室温または高温に置き、硬化プロセスを完了させた。
【0042】
測定
接着剤のポットライフはブルックフィールド粘度計により40℃で測定した。ポットラ
イフは、接着剤の粘度が4500cpsに達するのに要する時間として定義される。
接着剤の結合強度(剥離強度)を、積層体の1インチ幅のストリップ上で10インチ/分
のThwing-Albert引張試験機で測定した。少なくとも3つの試験片を測定し
た。いくつかの破損モードが観察された。ここで、ASは接着剤の破断破損モードを表し
、接着強度は平均値で報告される。ATは接着剤移動破壊モードを表し、結合強度は平均
値で報告される。FTはフィルム引裂破壊モードを表し、結合強度はピーク値で報告され
る。FSはフィルム伸張破壊モードを表し、結合強度はピーク値で報告される。レトルト
試験は、脱イオン水で満たされた3インチ×5インチのパウチ上のレトルトチャンバ内で
行った。試験条件は121℃で1時間であった。試験後、接着ストリップを調製し、接着
強度を10インチ/分で操作されるThwing-Albert引張試験機により室温で
測定した。
【0043】
【0044】
【0045】
表1及び2は、比較例1~2及び実施例1~10の組成及びポットライフを示す。イソ
シアネート反応性組成物中の5重量%~100重量%のアミノベンゾエート末端化合物の
使用は、その加工特性に影響を与えることなく接着剤のポットライフを著しく減少させる
可能性がある。接着剤のポットライフは、イソシアネート反応性組成物中のアミノベンゾ
エート末端化合物の量を調節することによって、処理条件で20~30分に最適化するこ
とができる。
【0046】
【0047】
実施例1の結合強度発現は、比較例1に比べてはるかに速かった。24時間以内に、実
施例1の結合強度は、試験したすべての積層構造体についてフィルム引裂またはフィルム
伸張を引き起こすのに十分なほど強かった。これに対し、比較例1の接着強度は、OPA
/GF-19とPrelam Al/808.24との積層体では弱かった。
【0048】
【0049】
表4に示すように、脂肪族イソシアネート系接着剤の結合強度の増加は、少量のアミノ
ベンゾエート末端化合物を添加することによって促進され得る。実施例2は、3日目のO
PA/GF-19及び75SLP/70SPW積層体の両方において、接着強度及び破壊
モード(FT)によって明らかなように、室温での強い結合発現を示し、同じ積層構造体
における比較例2の接着強度よりも優れる。
【0050】
【0051】
表5は、比較例2及び実施例3~7の接着強度の増加を示す。本発明の実施例では、結
合強度の増加がより速く、結合増加の速度は、イソシアネート反応性組成物中のアミノベ
ンゾエート末端化合物の量に依存する。アミノベンゾエート末端化合物の量が多いほど、
接着増加が速く、イソシアネート反応性組成物中の100%のアミノベンゾエート末端化
合物で最大化された結合強度増加の速度を伴う。
【0052】
【0053】
表6は、異なるレベルのVersalink P-650を含有する実施例における結
合強度の増加を示す。積層構造は、Nordmeccanica製のLabo Comb
i積層体を介して製造した。得られたPrelamアルミニウム箔/CPP積層体の被覆
重量は1.0ポンド/連であった。ラミネート構造体を25℃、湿度50%で24時間硬
化させた後、45℃で最大7日間硬化させた。一般に、アミノベンゾエート末端化合物を
含む組成物は、改善された結合強度を示した。特に、121℃で1時間の脱イオン水レト
ルト試験を行った場合、アミノベンゾエート末端化合物を含む組成物は、比較例2よりも
改善された耐熱性及び耐湿性を示した。