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特開2023-78172自動食器洗浄システムにおける使用のための勾配コポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078172
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】自動食器洗浄システムにおける使用のための勾配コポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 293/00 20060101AFI20230530BHJP
   C08L 53/00 20060101ALI20230530BHJP
   C08K 13/02 20060101ALI20230530BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20230530BHJP
   C11D 3/10 20060101ALI20230530BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20230530BHJP
   C11D 3/08 20060101ALI20230530BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20230530BHJP
   C11D 3/36 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
C08F293/00
C08L53/00
C08K13/02
C11D3/37
C11D3/10
C11D3/20
C11D3/08
C11D1/66
C11D3/36
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029156
(22)【出願日】2023-02-28
(62)【分割の表示】P 2020520063の分割
【原出願日】2018-10-09
(31)【優先権主張番号】62/575,678
(32)【優先日】2017-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クレーマー、マリアンヌ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】フェリュー、セヴラン
(72)【発明者】
【氏名】ワッサーマン、エリック ピー.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自動食器洗浄における添加剤として有用な勾配コポリマーを生成する方法、および自動食器洗浄のための洗剤組成物を生成する方法を提供する。
【解決手段】第1の画分と、第2の画分と、を含む、ポリマーであって、第1の画分が、90~100重量%の重合したC~Cカルボン酸モノマー単位を含み、第2の画分が、30~80重量%の重合したC~Cカルボン酸モノマー単位、および20~70重量%の重合したスルホン酸モノマー単位を含み、第1の画分が、ポリマーの10~40重量%であり、第2の画分が、ポリマーの60~90重量%であり、ポリマーが、3,000~30,000のMを有し、モノマーが、各画分内でランダムに分布している、ポリマー。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーを生成するための方法であって、(a)初期重合段階において、90~100重量%のC~Cカルボン酸モノマーを含む第1のモノマー組成物を重合する工程と、(b)第2の重合段階において、30~80重量%のC~Cカルボン酸モノマー、および20~70重量%のスルホン酸モノマーを含む、第2のモノマー組成物を重合する工程と、を含み、連鎖移動剤が、前記第1および第2のモノマー組成物の添加中に添加され、前記連鎖移動剤が、前記モノマーの添加時間全体にわたって連続的にモノマーと共に添加され、かつ前記連鎖移動剤が、メタ重亜硫酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸、2-メルカプトエタノール、3-メルカプトプロピオン酸または1-ドデカンチオールを含む、方法。
【請求項2】
前記スルホン酸モノマーが、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2-スルホエチルアクリレート、2-スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、スチレンスルホン酸、3-アリルオキシ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸、および2-プロペン-1-スルホン酸、ならびにそれらの塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のモノマー組成物が、95~100重量%の(メタ)アクリル酸を含み、前記第2のモノマー組成物が、40~70重量%の(メタ)アクリル酸および30~60重量%のスルホン酸モノマーを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のモノマー組成物が、全モノマーの13~32重量%であり、前記第2のモノマー組成物が、全モノマーの68~87重量%である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
フリーラジカル重合開始剤が、前記第1および第2のモノマー組成物の全質量の0.1~5重量%の量で添加され、前記開始剤の少なくとも50重量%が、前記モノマーと共に連続的に添加される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
自動食器洗浄のための洗剤組成物を生成するための方法であって、
前記洗剤組成物は、
a)1~8重量%のポリマーと、
b)25~70重量%の炭酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、またはそれらの組み合わせと、
c)1~10重量%の非イオン性界面活性剤と、
d)5~25重量%の過炭酸ナトリウムと、
e)0~50重量%の充填剤と、
f)0.1~8重量%の1-ヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩と、を含み、
前記ポリマーが、請求項1に記載のポリマーを生成するための方法によって得られる、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、概して、自動食器洗浄における添加剤として有用な勾配コポリマーに関する。
【0002】
自動食器洗浄洗剤は、一般に、布洗浄または水処理のために使用されるものとは異なる洗剤組成物の分類として認識される。自動食器洗浄洗剤は、完全な洗浄サイクルの後に、洗浄された物品上に斑点のない、かつ膜のない外観を作り出すことが要求される。リン酸塩不含組成物は、非リン酸塩ビルダー、例えば、クエン酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、二ケイ酸塩、重炭酸塩、アミノカルボン酸塩、および他のものに依存して、カルシウムおよびマグネシウムを硬水から封鎖し、乾燥後に不溶解性可視堆積物を残す。(メタ)アクリル酸およびスルホン酸モノマーのポリマーは、自動食器洗浄システムにおける使用が知られている。例えば、WO2017013158A1は、洗剤組成物中のアクリル酸ホモポリマーおよびアクリル酸/AMPSコポリマーの混合物を開示している。しかしながら、この参考文献は、本発明の組成物を開示していない。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、第1の画分と、第2の画分と、を含む、ポリマーに関し、第1の画分は、90~100重量%の重合したC~Cカルボン酸モノマー単位を含み、第2の画分は、30~80重量%の重合カルボン酸モノマー単位、および20~70重量%の重合したスルホン酸モノマー単位を含み、第1の画分は、ポリマーの10~40重量%であり、第2の画分は、ポリマーの60~90重量%であり、ポリマーは、3,000~30,000のMを有し、モノマーは、各画分内でランダムに分布している。
【0004】
本発明はさらに、ポリマーを生成するための方法に関し、該方法は、(a)初期重合段階において、90~100重量%のC~Cカルボン酸モノマーを含む第1のモノマー組成物を重合する工程と、
(b)第2の重合段階において、30~80重量%のC~Cカルボン酸モノマー、および20~70重量%のスルホン酸モノマーを含む、第2のモノマー混合物を重合する工程と、を含み、連鎖移動剤は、第1および第2のモノマー組成物の添加中に添加される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
全てのパーセンテージは、重量パーセンテージ(重量%)であり、特に断らない限り、全ての温度は、℃である。別途指定がない限り、操作は、室温(20~25℃)で実行される。当技術分野において既知であるように、重量平均分子量Mは、ポリアクリル酸標準を使用してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。GPCの技術は、Modern Size Exclusion Chromatography,W.W.Yau,J.J.Kirkland,D.D.Bly;Wiley-Interscience,1979およびA Guide to Materials Characterization and Chemical Analysis,J.P.Sibilia;VCH,1988,p.81-84に詳細に考察されている。本明細書で報告される分子量は、ダルトンの単位である。本明細書で使用される際、「(メタ)アクリル」という用語は、アクリルまたはメタクリルを指す。スルホン酸モノマーは、スルホン酸基またはその塩を有し、2~8個の炭素原子を有するモノマーである。好ましいスルホン酸モノマーには、例えば、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、ビニルスルホン酸、2-スルホエチルアクリレート、2-スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、スチレンスルホン酸、3-アリルオキシ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸、および2-プロペン-1-スルホン酸、ならびにそれらの塩、およびそれらの組み合わせが含まれ、好ましくは、AMPSである。C~Cカルボン酸モノマーは、1つまたは2つのカルボン酸基(好ましくは1つ)および3~6個の炭素原子を有するモノマーである。好ましくは、C~Cカルボン酸モノマーは、3または4個の炭素原子を有し、好ましくは、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、マレイン酸、およびイタコン酸からなる群から選択され、好ましくは(メタ)アクリル酸、好ましくはアクリル酸である。
【0006】
「炭酸塩」という用語は、炭酸塩、重炭酸塩またはセスキ炭酸塩のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩を指し、「ケイ酸塩」という用語は、ケイ酸塩、二ケイ酸塩、メタケイ酸塩のアルカリ金属またはアンモニウム塩を指し、「クエン酸塩」という用語は、アルカリ金属クエン酸塩を指す。好ましくは、炭酸塩、ケイ酸塩、またはクエン酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、またはリチウム塩、好ましくはナトリウムまたはカリウム、好ましくはナトリウムである。「過炭酸塩」および「過ホウ酸塩」という用語は、これらのアニオンのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、好ましくはカリウムまたはナトリウム、好ましくはナトリウムを指す。炭酸塩またはクエン酸塩の重量百分率は、金属イオンを含む塩の実際の重量に基づく。「リン酸塩を含まない」という用語は、(元素リンとして)0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満のリン酸塩を含有する組成物、好ましくは検出可能なリン酸塩を含まない組成物を指す。洗剤組成物中の重量百分率は、存在し得る水を含む組成物全体に基づく。
【0007】
本発明のポリマーは、ポリマーが調製される際に、モノマーの組成が変化する多段階重合プロセスによって生成される。調製において、第1のモノマー組成物が重合され、続いて第2のモノマー組成物が重合される。ポリマーの第1の画分は、当該句が本明細書において使用される際、第1のモノマーによって形成されるポリマーを指す。第1および第2の画分の組成および量は、それぞれ第1および第2のモノマー組成物の組成および量として定義される。いくつかの場合において、第1および第2の画分は、別々の第1および第2の段階に対応し得る。典型的に、重合の第1の段階が実施され、任意選択的に、未反応モノマーを消費するための残存モノマーを還元する工程が続く。次に、第2のモノマー組成物を添加し、重合を継続させ、好ましくは最終的な残存モノマーを還元する工程が続く。典型的に、重合は、好ましくは水性媒体中の溶液重合である。好ましくは、水性媒体は、少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%の水である。好ましくは、ポリマーは、水性媒体から分離され、好ましくは、ポリマーは、固形分30~65%、代替的に35~60%、代替的に38~57%である。
【0008】
好ましくは、第1のモノマー組成物は、95~100重量%、好ましくは97~100重量%、好ましくは98~100重量%、好ましくは99~100重量%のC~Cカルボン酸モノマーを含む。好ましくは、第2のモノマー組成物は、少なくとも35重量%、好ましくは少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも45重量%、好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは75重量%以下、好ましくは70重量%以下、好ましくは65重量%以下のC~Cカルボン酸モノマーを含む。好ましくは、第2のモノマー組成物は、少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも35重量%、好ましくは65重量%以下、好ましくは60重量%以下、好ましくは55重量%以下、好ましくは50重量%以下のスルホン酸モノマーを含む。好ましくは、第2のモノマー組成物は、少なくとも35重量%、好ましくは少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも45重量%、好ましくは75重量%以下、好ましくは70重量%以下、好ましくは65重量%以下、好ましくは60重量%以下のC~Cカルボン酸モノマーを含む。好ましくは、第1のモノマー組成物は、全モノマーの少なくとも13重量%、好ましくは少なくとも16重量%、好ましくは少なくとも18重量%、好ましくは35重量%以下、好ましくは32重量%以下、好ましくは29重量%以下、好ましくは26重量%以下である。好ましくは、第2のモノマー組成物は、全モノマーの少なくとも65重量%、好ましくは少なくとも68重量%、好ましくは少なくとも71重量%、好ましくは87重量%以下、好ましくは84重量%以下、好ましくは82重量%以下である。「全モノマー」という用語は、ポリマーを形成するために使用される第1および第2の組成物ならびに任意の他のモノマーの全量を意味する。
【0009】
好ましくは、連鎖移動剤は、モノマー添加時間の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくはモノマー添加時間全体にわたって連続的にモノマーと共に添加される。好ましい連鎖移動剤には、例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸、2-メルカプトエタノール、3-メルカプトプロピオン酸および1-ドデカンチオールが含まれる。好ましくは、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも85重量%の連鎖移動剤がモノマーと共に連続的に添加される。好ましくは、連鎖移動剤の量は、第1および第2のモノマー組成物の全質量の0.1~25重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも1.5重量%、好ましくは少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも2.5重量%、好ましくは少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも3.5重量%、好ましくは20重量%以下、好ましくは15重量%以下、好ましくは10重量%以下、好ましくは8重量%以下である。任意選択的に、連鎖移動剤は、少なくとも2つの添加速度を使用して添加され、2つの速度のうちの大きい方は、次に速い速度の少なくとも
2倍の速さである(好ましくは10倍以下の速さ)。
【0010】
フリーラジカル重合開始剤は、重合中に、好ましくは第1および第2のモノマー組成物の全質量の0.1~10重量%、好ましくは少なくとも0.2重量%、好ましくは少なくとも0.25重量%、好ましくは少なくとも0.3重量%、好ましくは少なくとも0.35重量%、好ましくは5重量%以下、好ましくは3重量%以下、好ましくは2.5重量%以下、好ましくは2重量%以下、好ましくは1.5重量%以下で存在する。好ましくは、開始剤の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも85重量%がモノマーと共に連続的に添加される。好ましくは、開始剤は、リンを含有しない。好ましい開始剤には、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモニウムが含まれる。
【0011】
好ましくは、ポリマーの第1の画分は、95~100重量%、好ましくは97~100重量%、好ましくは98~100重量%、好ましくは99~100重量%の重合したC~Cカルボン酸モノマー単位を含む。好ましくは、第2の画分は、少なくとも35重量%、好ましくは少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも45重量%、好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは75重量%以下、好ましくは70重量%以下、好ましくは65重量%以下、好ましくは60重量%以下の重合したC~Cカルボン酸モノマー単位を含む。好ましくは、第2の画分は、少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも35重量%、好ましくは65重量%以下、好ましくは60重量%以下、好ましくは55重量%以下、好ましくは50重量%以下の重合したスルホン酸モノマー単位を含む。好ましくは、第1の画分は、ポリマーの少なくとも13重量%、好ましくは少なくとも16重量%、好ましくは少なくとも18重量%、好ましくは35重量%以下、好ましくは32重量%以下、好ましくは29重量%以下、好ましくは26重量%以下である。好ましくは、第2の画分は、ポリマーの少なくとも65重量%、好ましくは少なくとも68重量%、好ましくは少なくとも71重量%、好ましくは87重量%以下、好ましくは84重量%以下、好ましくは82重量%以下である。好ましくは、ポリマーは、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも45重量%、好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも55重量%、好ましくは95重量%以下、好ましくは90重量%以下、好ましくは85重量%以下、好ましくは80重量%以下の重合C~Cカルボン酸モノマー単位を含む。
【0012】
ポリマーは、C~Cカルボン酸モノマーおよびスルホン酸モノマー以外の追加のモノマーを0~10重量%、好ましくは8重量%以下、好ましくは6重量%以下、好ましくは4重量%以下、好ましくは2重量%以下含んでもよい。適切な追加のモノマーの例には、例えば、C~C16アルキル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルカン酸ビニルおよびアクリルアミドが含まれる。
【0013】
好ましくは、本発明のポリマーは、0.3重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、好ましくは0.03重量%以下、好ましくは0.01重量%以下の架橋モノマーの重合単位を含む。架橋モノマーは、多エチレン性不飽和モノマーである。
【0014】
好ましくは、ポリマーは、ランダムコポリマーである。好ましくは、ポリマーは、少なくとも3,000、好ましくは少なくとも4,000、好ましくは少なくとも5,000、好ましくは30,000以下、好ましくは50,000以下、好ましくは30,000以下、好ましくは25,000以下、好ましくは20,000以下、好ましくは15,000以下のMを有する。好ましくは、ポリマーは少なくとも1,000、好ましくは少なくとも1,500、好ましくは少なくとも2,000、好ましくは10,000以下、好ましくは5,000以下、好ましくは4,000以下、好ましくは3,000以下のMを有する。好ましくは、M/Mは、1.5~10、好ましくは少なくとも2、好ましくは少なくとも2.2、好ましくは8以下、好ましくは7以下、好ましくは6以下、好ましくは5以下、好ましくは4以下である。
【0015】
好ましくは、本発明のポリマーは、洗剤組成物中に少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも1.5重量%、好ましくは少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも2.5重量%、好ましくは少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも3.5重量%、好ましくは8重量%以下、好ましくは7.5重量%以下、好ましくは7重量%以下、好ましくは6.5重量%以下の量で存在する。
【0016】
ポリマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸または他の二酸モノマーの残基、ポリエチレングリコールエステル、スチレンモノマー、AMPSおよび他のスルホン化モノマーを含むアクリル酸またはメタクリル酸のエステル、ならびに置換アクリルアミドまたはメタクリルアミドの組み合わせを含むポリマーを含む、自動食器洗浄機における不溶解性堆積物を制御するのに有用な他のポリマーと組み合わせて使用してもよい。特に有用なポリマーは、斑点形成を改善することができるもの、例えば、RO-(M)-(N)-OHまたはR-O-(M)-(N)-(P)-OHであり、そのパラメータは、本明細書で定義されている。
【0017】
好ましくは、洗剤組成物は、少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも33重量%、好ましくは少なくとも36重量%、好ましくは70重量%以下、好ましくは65重量%以下、好ましくは60重量%以下、好ましくは55重量%以下の量で炭酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩またはそれらの組み合わせを含む。好ましくは、炭酸塩の量は、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%、好ましくは45重量%以下、好ましくは40重量%以下、好ましくは35重量%以下、好ましくは30重量%以下である。好ましくは、クエン酸塩の量は、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%、好ましくは4重量%以下、好ましくは35重量%以下、好ましくは30重量%以下、好ましくは25重量%以下である。好ましくは、ケイ酸塩の量は、15重量%以下、好ましくは10重量%以下、好ましくは6重量%以下、好ましくは4重量%以下である。
【0018】
好ましくは、洗剤組成物は、漂白剤、好ましくは過炭酸塩、過ホウ酸塩、次亜塩素酸ナトリウムまたはトリクロロシアヌル酸、好ましくは過炭酸塩または過ホウ酸塩、好ましくは過炭酸塩を含む。好ましくは、漂白剤の量は、少なくとも8重量%、好ましくは少なくとも11重量%、好ましくは少なくとも12重量%、好ましくは25重量%以下、好ましくは22重量%以下、好ましくは20重量%以下、好ましくは18重量%以下である。
【0019】
洗剤組成物は、0.1~8重量%、好ましくは少なくとも0.4重量%、好ましくは少なくとも0.7重量%、好ましくは少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも1.3重量%、好ましくは少なくとも1.5重量%、好ましくは6重量%以下、好ましくは4重量%以下、好ましくは3重量%以下、好ましくは2.5重量%以下の1-ヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩を含む。
【0020】
任意選択的に、洗剤組成物は、アミノカルボン酸塩ビルダーを少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも6重量%、好ましくは少なくとも7重量%、好ましくは少なくとも8重量%、好ましくは40重量%以下、好ましくは30重量%以下、好ましくは25重量%以下、好ましくは20重量%以下、好ましくは15重量%以下の量で含む。好ましいアミノカルボン酸塩ビルダーとしては、メチルグリシン二酢酸(MGDA)およびその塩、グルタミン酸二酢酸(GLDA)およびその塩、イミノジコハク酸(IDSA)およびその塩、ならびにアスパラギン酸二酢酸(ASDA)およびその塩が挙げられる。MGDAが特に好ましい。
【0021】
錠剤または粉末中の充填剤は、不活性の水溶性物質、典型的にはナトリウムまたはカリウム塩、例えば、硫酸ナトリウムもしくは硫酸カリウムおよび/または塩化物であり、典型的には0重量%~70重量%の範囲、好ましくは50重量%以下、好ましくは40重量%以下、好ましくは30重量%以下、好ましくは20重量%以下、好ましくは15重量%以下、好ましくは少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも4重量%の量で存在する。
【0022】
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、式RO-(M)-(N)-HまたはR-O-(M)-(N)-(P)-H(式中、Mは、エチレンオキシドの重合単位を表し、Nは、C~C18の1,2-エポキシアルカンの重合単位を表し、Pは、C~C18-アルキルグリシジルエーテルを表し、xは、5~40、yは、0~20、zは、0~3であり、Rは、C~C22の線状または分岐状のアルキル基を表す。)を有する。
【0023】
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、式RO-(M)-(N)-HまたはR-O-(M)-(N)-R’を有し、式中、MおよびNは、アルキレンオキシド(そのうちの1つは、エチレンオキシドである)に由来する単位であり、Rは、C~C22の線状または分岐状のアルキル基を表し、R’は、アルコール前駆体とC~C22の線状または分岐状のアルキルハライド、エポキシアルカン、またはグリシジルエーテルとの反応に由来する基を表す。好ましくは、界面活性剤は、式RO-(M)-H(式中、Mは重合したエチレンオキシド単位を表す。)を有する。好ましくは、xは、少なくとも3、好ましくは少なくとも5、好ましくは10以下、好ましくは8以下である。好ましくは、RおよびR’は、少なくとも8個の炭素原子、好ましくは少なくとも10個の炭素原子を有する。好ましくは、組成物は、少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも3重量%、好ましくは12重量%以下、好ましくは9重量%以下、好ましくは8重量%以下の非イオン性界面活性剤(複数可)を含む。
【0024】
自動食器洗浄洗剤組成物の他の成分には、例えば、無機ビルダー、キレート化合物、腐食防止剤、界面活性剤、酸素および/または塩素漂白剤、漂白活性化剤、酵素、泡抑制剤、着色料、芳香剤、抗菌剤、ならびに充填剤が含まれ得る。錠剤または粉末中の充填剤は、不活性の水溶性物質、典型的にはナトリウムまたはカリウム塩、例えば、硫酸ナトリウムもしくは硫酸カリウムおよび/または塩化物であり、典型的には0重量%~70重量%の範囲、好ましくは50重量%以下、好ましくは40重量%以下、好ましくは30重量%以下、好ましくは20重量%以下、好ましくは15重量%以下。好ましくは少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも4重量%の量で存在する。ゲル配合物中の充填剤は、上記のものおよび水も含んでもよい。香料、染料、消泡剤、酵素、および抗菌剤は、通常、合計で組成物の5重量%以下である。
【0025】
好ましくは、洗剤組成物は、少なくとも8.5、好ましくは少なくとも9.5、のpH(水中1重量%で)を有し、いくつかの実施形態では、pHは12超である。
【0026】
組成物は、任意の典型的な形態、例えば、錠剤、粉末、一回量、小袋、ペースト、液体、またはゲルで配合され得る。組成物は、任意の典型的な自動食器洗浄機用の典型的な操作条件下で使用され得る。洗浄過程中の典型的な水温は、好ましくは20℃~85℃、好ましくは30℃~70℃である。組成物に対する典型的な濃度は、食器洗浄機内の液体の合計パーセンテージとして、好ましくは、0.1~1重量%、好ましくは0.2~0.7重量%である。適切な製品形態および添加時間の選択により、組成物は、前洗浄、主洗浄、最終から2番目のすすぎ、最終のすすぎ、またはこれらのサイクルの任意の組み合わせにおいて存在してもよい。
【実施例0027】
合成
ポリマーC1の合成
熱電対、オーバーヘッドスターラー、還流冷却器、および液体試薬導入用ポートを備えた丸底フラスコに、206gの脱イオン水(DI)および2.5gの硫酸第一鉄の0.15重量%溶液を充填した。混合物を撹拌しながら73℃に加熱し、その時点でメタ重亜硫酸ナトリウムの溶液(5.25gのDI中に0.84g)を一度に添加した。次に、アクリル酸(240g)およびAMPSナトリウム塩(50重量%水溶液を120g)の混合物の供給を、4g/分の速度で開始し、使い果たすまで進めた(90分)。開始と同時に、過硫酸ナトリウム溶液(30gのDI中0.96g)の供給を開始し、使い果たすまで継続した(95分)。また開始と同時に、メタ重亜硫酸ナトリウムの供給(45gのDI中に19.43g)を開始し、使い果たすまで継続した(80分)。最長の供給(開始剤)の完了後、反応を73℃で10分間保持し、続いて過硫酸ナトリウム溶液(7gのDI中0.39g)を10分間にわたって添加し、その後さらに20分間保持した。反応混合物を冷却し、この段階で、反応混合物を水酸化ナトリウムの50重量%溶液75gの添加により部分的に中和した。次に、過酸化水素のショット(35重量%溶液4.8g)を添加して、残存する亜硫酸塩の還元を支援した。次に、別の150gの水酸化ナトリウム50%を添加して中和を完了した。ポリマーをデカンテーションし、30gのDIですすぎ、冷却後に分析した。固形分の含有量(重量%):41.66、pH=6.1、残存するAA<17ppm、Mw/1000=6.7、Mn/1000=2.5
【0028】
ポリマー1の合成
C1に記載されている重合反応器に脱イオン水(DI)206gおよび硫酸鉄の0.15重量%溶液2.5gを充填した。混合物を撹拌しながら73℃に加熱し、その時点でメタ重亜硫酸ナトリウムの溶液(5.25gのDI中0.84g)を加えた。この時点で、アクリル酸(240g)の供給を、使い果たすまで(90分)、2.667g/分の速度で開始した。開始と同時に、過硫酸ナトリウム溶液(30gのDI中0.96g)の供給を開始し、使い果たすまで継続した(95分)。また開始と同時に、メタ重亜硫酸ナトリウムの供給(45gのDI中に19.43g)を開始し、使い果たすまで継続した(80分)。AA、過硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムの同時供給を開始してから30分後、AMPSナトリウム塩(120gの50重量%水溶液)の供給を開始し、使い果たすまで2g/分の速度で進めた(60分)。過硫酸ナトリウムの供給が完了した後、反応液を73℃で10分間保持し、続いて追加の(chase)過硫酸ナトリウム溶液(5.2gのDI中0.39g)を10分間にわたって添加し、その後さらに20分間保持した。反応混合物を冷却し、この段階で、反応混合物を水酸化ナトリウムの50重量%溶液75gの添加により部分的に中和した。次に、過酸化水素のショット(35重量%溶液7.25g)を加えた。次に、別の150gの水酸化ナトリウム50%を添加して中和を完了した。ポリマーをデカンテーションし、30gのDIですすぎ、冷却後に分析した。固形分の含有量(重量%):42.03、pH=6.1、残存するAA<17ppm、Mw/1000=6.3、Mn/1000=2.4
【0029】
ポリマー2の合成
C1に記載されている重合反応器に脱イオン水(DI)206gおよび硫酸鉄の0.15重量%溶液2.5gを充填した。混合物を撹拌しながら73℃に加熱し、その時点でメタ重亜硫酸ナトリウムの溶液(5.25gのDI中0.84g)を加えた。この時点で、アクリル酸(240g)の供給を、使い果たすまで(90分)、2.667g/分の速度で開始した。開始と同時に、過硫酸ナトリウム溶液(30gのDI中0.96g)の供給を開始し、使い果たすまで継続した(95分)。また、開始と同時に、メタ重亜硫酸ナトリウム(45gのDI中19.43g)の供給を1.87mL/分の速度で開始し、この速度で20分間継続し、この時点で、速度を0.21mL/60分に低減した。AA、過硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムの同時供給を開始してから30分後、AMPSナトリウム塩(120gの50重量%水溶液)の供給を開始し、使い果たすまで2g/分の速度で進めた(60分)。過硫酸ナトリウムの供給が完了した後、反応液を73℃で10分間保持し、続いて追加の過硫酸ナトリウム溶液(5.2gのDI中0.39g)を10分間にわたって添加し、その後さらに20分間保持した。反応混合物を冷却し、この段階で、反応混合物を水酸化ナトリウムの50重量%溶液75gの添加により部分的に中和した。次いで、過酸化水素のショット(35重量%溶液5.4g)を添加した。次に、別の150gの水酸化ナトリウム50%を添加して中和を完了した。ポリマーをデカンテーションし、30gのDIですすぎ、冷却後に分析した。固形分の含有量(重量%):42.37、pH=6.2、残存するAA<16ppm、Mw/1000=10.5、Mn/1000=2.4
【0030】
ポリマー3の合成
C1に記載されている重合反応器に脱イオン水(DI)206gおよび硫酸鉄の0.15重量%溶液2.5gを仕込んだ。混合物を撹拌しながら73℃に加熱し、その時点でメタ重亜硫酸ナトリウムの溶液(5.25gのDI中0.84g)を加えた。この時点で、アクリル酸(240g)の供給を、使い果たすまで(90分)、2.667g/分の速度で開始した。開始と同時に、過硫酸ナトリウム溶液(30gのDI中0.96g)の供給を開始し、使い果たすまで継続した(95分)。また、開始と同時に、メタ重亜硫酸ナトリウム(45gのDI中19.43g)の供給を0.93mL/分の速度で開始し、この速度で40分間継続し、この時点で、速度を0.32mL/40分に低減した。AA、過硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムの同時供給を開始してから30分後、AMPSナトリウム塩(120gの50重量%水溶液)の供給を開始し、使い果たすまで2g/分の速度で進めた(60分)。過硫酸ナトリウムの供給が完了した後、反応液を73℃で10分間保持し、続いて追加の過硫酸ナトリウム溶液(5.2gのDI中0.39g)を10分間にわたって添加し、その後さらに20分間保持した。反応混合物を冷却し、この段階で、反応混合物を水酸化ナトリウムの50重量%溶液75gの添加により部分的に中和した。次いで、過酸化水素のショット(35重量%溶液4.7g)を加えた。次に、別の150gの水酸化ナトリウム50%を添加して中和を完了した。ポリマーをデカンテーションし、30gのDIですすぎ、冷却後に分析した。固形分の含有量(重量%):42.25、pH=6.2、残存するAA<22ppm、Mw/1000=7.2、Mn/1000=2.3
【0031】
自動食器洗浄(ADW)試験のための配合物:
配合物の全重量:20g
【表1】
【0032】
ADW 30サイクルビルドアップ性能試験
Miele G1222 SCマシンを、65℃、30分サイクルで、予備洗浄付き、フランスの水の硬度37°、Ca:Mg=3:1、一時硬度(フランス)25°、磁器、ガラス、カトラリーのバラスト負荷をかけて運転した。食品の汚れ(50g、下の表を参照)を加えて冷凍した。評価は、暗い部屋のライトボックス内で下から点灯したガラスを観察する訓練を受けたパネリストによって行われ、1(膜張りまたは斑点形成なし)~5(重度に膜張りまたは斑点形成)の範囲である。
食品の汚れ:
【表2】
膜張りおよび斑点形成の評価:
【表3】
【0033】
ADW 5サイクルすすぎ性能試験
Miele G1223 SC L2マシンは、50℃、8分間サイクル、フランスの水の硬度37°、Ca:Mg=3:1、一時硬度(フランス)25°、磁器、ガラス、およびカトラリーのバラスト負荷で運転した。食品の汚れ(50g、ビルドアップ試験と同じ)を添加して冷凍した。評価は、暗い部屋のライトボックス内下から点灯したガラスを観察する訓練を受けたパネリストによって行われ、1(膜張りまたは斑点形成なし)~5(重度に膜張りまたは斑点形成)の範囲である。
膜張りおよび斑点形成の評価:
【表4】