(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078208
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】床パン
(51)【国際特許分類】
E04F 15/00 20060101AFI20230530BHJP
B32B 3/30 20060101ALI20230530BHJP
E03C 1/20 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
E04F15/00 J
B32B3/30
E03C1/20 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033960
(22)【出願日】2023-03-06
(62)【分割の表示】P 2021554173の分割
【原出願日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】P 2019198642
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅地 正博
(72)【発明者】
【氏名】喜多 亮太
(72)【発明者】
【氏名】揖斐 秀実
(72)【発明者】
【氏名】植田 真矢
(72)【発明者】
【氏名】増川 功一
(72)【発明者】
【氏名】信田 健太郎
(57)【要約】 (修正有)
【課題】床パンの表面に表示される凹凸と模様がずれにくい床パンを提供することである。
【解決手段】床パン(1)は、複数の凸部(2)を表面(30)に有する床パン基材(3)と、可撓性を有し、床パン基材(3)の表面(30)のうち、複数の凸部(2)のうちの少なくとも一つの凸部(2)を除いた残りの部分全体に密着した第一加飾フィルム(4)と、少なくとも一つの凸部(2)の上に貼り付けられた第二加飾フィルム(5)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の凸部を表面に有する床パン基材と、
熱可塑性を有し、前記床パン基材の前記表面のうち、前記複数の凸部のうちの少なくとも一つの凸部を除いた残りの部分全体に密着した第一加飾フィルムと、
前記少なくとも一つの凸部の上に貼り付けられた第二加飾フィルムと、を備える、
床パン。
【請求項2】
前記第二加飾フィルムは、前記少なくとも一つの凸部と同形状に形成された少なくとも一つのフィルム凸部と、前記少なくとも一つのフィルム凸部を囲む枠状部とを含み、
前記少なくとも一つのフィルム凸部が前記少なくとも一つの凸部の上に貼り付けられ、前記枠状部は、前記第一加飾フィルムに溶着されている、
請求項1に記載の床パン。
【請求項3】
前記第二加飾フィルムは、前記第一加飾フィルムとは色と柄のうち少なくとも一方が異なる、
請求項1又は2に記載の床パン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、床パンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基材と、基材の表面に圧着された加飾シートとを備える洗い場床(つまり床パン)が記載されている。基材の表面は、複数の凸部を有し、加飾シートの表面には、複数のタイル模様とその間に位置する線状の目地模様とが印刷されている。
【0003】
この洗い場床では、加飾シートが熱プレス成形により基材の表面に圧着されることで、加飾シートの表面に基材表面の凹凸が現れ、洗い場床の表面に凹凸と模様が表示される。
【0004】
ところで、特許文献1に記載の洗い場床では、熱プレス成形時に加飾シートの一部が熱収縮する等して、洗い場床の表面に現れる凹凸と模様がずれるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国公開特許公報2010-77694号
【発明の概要】
【0006】
本開示は、床パンの表面に表示される凹凸と模様がずれにくい床パンを提供することを、目的とする。
【0007】
本開示の一態様に係る床パンは、複数の凸部を表面に有する床パン基材と、熱可塑性を有し、前記床パン基材の前記表面のうち、前記複数の凸部のうちの少なくとも一つの凸部を除いた残りの部分全体に密着した第一加飾フィルムと、前記少なくとも一つの凸部の上に貼り付けられた第二加飾フィルムと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1Aから
図1Dは、一実施形態の床パンの製造方法の工程を順に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の床パンの製造方法で製造される床パンの一例を示す斜視図である。
【
図4】
図4Aは、
図3のB部分における断面を概略的に示す断面図であり、
図4Bは、
図3のC部分における断面を概略的に示す断面図である。
【
図5】
図5Aから
図5Dは、同上の床パンの製造方法の工程の一部を概略的に示す図である。
【
図6】
図6Aから
図6Dは、同上の床パンの製造方法の工程の他の一部を概略的に示す図である。
【
図7】
図7Aから
図7Cは、変形例の床パンの製造方法の工程を順に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態は、床パンの製造方法及び床パンに関し、詳しくは、基材とその表面を覆う加飾シートとを有する床パンの製造方法及び床パンに関する。
【0010】
1.概要
図1Aから
図1Dに示す一実施形態の床パン1の製造方法は、第一取付工程と第二取付工程とを備える。第一取付工程は、複数の凸部2を表面30に有する床パン基材3の表面30に、加熱により軟化させた状態の第一加飾フィルム4を、真空圧空成形又は真空成形によって密着させる工程である。第二取付工程は、複数の凸部2のうち少なくとも一つの凸部2の上に第二加飾フィルム5を貼り付ける工程である。第二加飾フィルム5は、少なくとも一つの凸部2と同形状に形成された少なくとも一つのフィルム凸部53と、少なくとも一つのフィルム凸部53を囲む枠状部54とを含む。少なくとも一つのフィルム凸部53が少なくとも一つの凸部2の上に貼り付けられる。
【0011】
上記構成を備える床パン1の製造方法では、第一取付工程において、床パン基材3の表面30に、加熱により軟化させた状態の第一加飾フィルム4を真空圧空成形又は真空成形によって密着させて、表面30を第一加飾フィルム4によって加飾することができる。加えて、一実施形態の床パン1の製造方法では、第二取付工程において、凸部2の上に同形状に形成された第二加飾フィルム5のフィルム凸部53を貼り付けることで、凸部2の上に第二加飾フィルム5のフィルム凸部53をずれなく貼り付けることができる。したがって、一実施形態の床パン1の製造方法では、床パン1の表面に表示される凹凸と第一加飾フィルム4の模様とにずれがあっても、そのずれがある部分では第二加飾フィルム5の模様をずれなく付けることができて、床パン1の表面に表示される凹凸と模様がずれにくい。
【0012】
また、
図1Dに示す一実施形態の床パン1は、複数の凸部2を表面30に有する床パン基材3と、熱可塑性を有し、表面30に密着した第一加飾フィルム4と、を備える。一実施形態の床パン1は更に、複数の凸部2のうち少なくとも一つの凸部2の上に貼り付けられた第二加飾フィルム5を備える。第二加飾フィルム5は、少なくとも一つの凸部2と同形状に形成された少なくとも一つのフィルム凸部53と、少なくとも一つのフィルム凸部53を囲む枠状部54とを含む。少なくとも一つのフィルム凸部53が少なくとも一つの凸部2の上に貼り付けられる。
【0013】
上記構成を備える一実施形態の床パン1では、仮に、床パン1の表面に表示される凹凸と第一加飾フィルム4の模様とにずれがあっても、そのずれがある部分では第二加飾フィルム5の模様をずれなく付けることができて、床パン1の表面に表示される凹凸と模様がずれにくい。
【0014】
2.詳細
続いて、
図1Aから
図1Dに示す一実施形態の床パン1の製造方法について更に詳しく説明する。
図2には、本実施形態の製造方法で製造される床パン1の一例が示されている。以下では、
図2に示す前後方向、左右方向及び上下方向を用いて、各構成について詳しく説明する。
【0015】
2-1.床パン基材
床パン基材3は、
図2に示すように、複数の凸部2を上面に有する床部31と、床部31の端縁部から立ち上がった複数の立ち上がり部32と、を有する。複数の立ち上がり部32は、隣接する二つの立ち上がり部32が角をなすように連続している。
【0016】
本実施形態では、床部31は、上方から見て、矩形状である。複数の立ち上がり部32は、床部31の四つの端辺のそれぞれから立ち上がった四つの立ち上がり部32a,32b,32c,32dである。四つの立ち上がり部32a,32b,32c,32dは、矩形枠状に連続しており、四つの角を形成している。
【0017】
立ち上がり部32aは、床部31の後側の端辺から立ち上がった部分であり、立ち上がり部32bは、床部31の前側の端辺から立ち上がった部分であり、立ち上がり部32c,32dは、床部31の左右の端辺から立ち上がった部分である。
【0018】
立ち上がり部32b,32c,32dは、形状が共通している。以下では、右側の立ち上がり部32dについて詳しく説明する。
図3に示すように、立ち上がり部32dは、床部31の端辺(詳しくは右側の端辺)から上方に突出した縦板部320と、縦板部320の上端から水平方向外側(詳しくは右側)に突出した横板部321とを有する。立ち上がり部32dは更に、横板部321の水平方向外側の端部(詳しくは右端部)から上方に突出した第二縦板部322を有する。
【0019】
後側の立ち上がり部32aは、床部31の後側の端辺から上方に突出した縦板部323と、縦板部323の上端から後側に突出した横板部324と、縦板部323の上端から後側に突出した左右一対の傾斜板部325と、を有する。
【0020】
縦板部323の上端の左右両端部は、左右方向外側の部分ほど下方に位置するように傾いている。縦板部323の上端のうち左右両端部を除く残りの部分は、床部31に対して平行である。横板部324は、縦板部323の上端のうち、左右両端部を除く残りの部分から後方に突出している。左右一対の傾斜板部325は、縦板部323の上端の左右両端部から後方に突出している。左右一対の傾斜板部325は、左右方向外側の部分ほど下方に位置する。左右一対の傾斜板部325は、横板部324に対して傾いている。左右一対の傾斜板部325は、横板部324の左右両端にそれぞれ連続している。
【0021】
右側の傾斜板部325は、右側の立ち上がり部32dの横板部321の後端部と連続している。左側の傾斜板部325は、左側の立ち上がり部32cの横板部321の後端部と連続している。
【0022】
左右の立ち上がり部32c,32dと後側の立ち上がり部32aとは、隣接する縦板部320,324同士が角を形成して連続している。左右の立ち上がり部32c,32dと前側の立ち上がり部32bとは、隣接する縦板部320,320同士が角を形成して連続している。
【0023】
複数の凸部2のそれぞれは、本実施形態では、扁平な直方体状であり、左右方向に沿った長手方向と、前後方向に沿った短手方向と、上下方向に沿った厚み方向と、を有する。複数の凸部2は、形状及び寸法が互いに同じである。複数の凸部2は、床部31の表面(上面)の全体にわたるように、左右方向及び前後方向に列をなして並んで、マトリクス状に配置されている。
【0024】
複数の凸部2のそれぞれは、上面20(言い換えると突出方向の先端面)と複数の側面21とを有する。上面20は、本実施形態では、上方から見て矩形状(詳しくは長方形)である。複数の側面21は、前後方向を向く一対の矩形状の面と、左右方向を向く一対の矩形状の面とを含む。
【0025】
床部31は、床部31の上面のうち複数の凸部2を除く部分である溝部33を有する。本実施形態では、溝部33は、上方から見て格子状である。複数の凸部2のそれぞれは、溝部33によって囲まれている。床部31の上面の外周部(言い換えると端縁部)は、溝部33で構成されている。溝部33は、複数の凸部2に対して相対的に凹んだ部分である。本実施形態では、溝部33は、平面であり、凸部2の上面20よりも下方に位置する。
【0026】
床パン基材3は、
図2に示すように、床部31の後端部の左右方向の中央部に位置する排水凹部34を更に有する。排水凹部34は、上方から見て矩形状の凹みである。排水凹部34は、平面視矩形状の底壁341と、底壁341の前側の端辺及び左右の端辺から上方に突出した三つの側壁342と、を有する。底壁341の中央には、排水孔340が形成されている。立ち上がり部32aの縦板部323のうち左右方向の中央部は、底壁341の後側の端辺から上方に突出している。三つの側壁342と立ち上がり部32aの縦板部323とは、隣接する部材同士が角を形成して連続している。
【0027】
左右の側壁342のそれぞれは、側壁342の上下方向の中央部に、底壁341の上面に対して平行な支持部343を含む。支持部343は、排水凹部34に着脱可能に取り付けられる蓋(図示せず)を支持する部分である。左右の側壁342のそれぞれでは、支持部343よりも上側の部分と、支持部343と、支持部343よりも下側の部分とが、隣接する部分同士が角を形成して連続している。
【0028】
床パン基材3は、例えば、繊維強化プラスチックで形成される樹脂成型品である。床パン基材3は、ガラス繊維を含有するSMC(Sheet Molding Compound)材料から形成されてもよいし、アクリル又はポリエステルなどを主成分として含む人工大理石で形成されてもよい。
【0029】
床パン基材3の表面30には、
図4A及び
図4Bに示すようにプライマーが塗布されてプライマー層35が積層される。プライマーは、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系、変形シリコン系などの合成樹脂のプライマーである。床パン基材3の表面30は、床部31の表面(上面)と、四つの立ち上がり部32a,32b,32c,32dの表面と、排水凹部34の表面とを意味する。
【0030】
四つの立ち上がり部32a,32b,32c,32dの表面とは、前後の立ち上がり部32a,32bの上方を向く面と前後方向内側を向く面と、左右の立ち上がり部32c,32dの上方を向く面と左右方向内側を向く面とを意味する。排水凹部34の表面とは、底壁341の上面と、左右の側壁342の上方を向く面と左右方向内側を向く面と、前側の側壁342の後側を向く面とを意味する。
【0031】
2-2.第一加飾フィルム
第一加飾フィルム4は、加熱により軟化した状態において、真空圧空成形又は真空成形によって床パン基材3の表面30に密着される部材である。第一加飾フィルム4は、加熱前の状態では、例えば矩形状の1枚のシートであり、全体にわたって厚みが一定である。第一加飾フィルム4は、加熱前の状態では、全体にわたって色が同じである。第一加飾フィルム4の色は、床パン基材3の色とは異なる。第一加飾フィルム4の色は、適宜設定可能であるが、例えば、グレーである。
【0032】
第一加飾フィルム4は、熱可塑性を有する。
図4Aに示すように、第一加飾フィルム4は、その表面を構成する表面層40と、表面層40の裏側に位置するベース層41と、を含む。第一加飾フィルム4は更に、表面層40とベース層41との間に位置する印刷層42と、ベース層41の裏側に位置する接着層43とを含む。
【0033】
表面層40は、例えば、透明なPMMA(Polymethyl methacrylate)で形成される。表面層40の厚みは、例えば、30μm以上100μm以下であり、本実施形態では、50μmである。表面層40は、透明なPMMAに限らず、フッ素が含有又はアロイされた透明なPMMAで形成されてもよいし、透明なPVC(polyvinyl chloride)で形成されてもよい。また、表面層40は、加飾されたPMMA、PVC、又はABS(Acrylonitrile butadiene styrene)で形成されてもよい。
【0034】
表面層40の一部(本実施形態では複数の凸部2を覆う部分)には、表面層40の表面に凹凸が形成されるように、複数の粒材44が混合されて分散している。粒材44は、各層40,41,42,43よりも軟化温度が高く、各層40,41,42,43を加熱により軟化させるときの加熱温度で熱変形しない、又は熱変形しにくい材料で形成される。粒材44は、例えば、シリカ等の無機系フィラーである。粒材44は、シリカに限らず、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の無機系フィラーであってもよいし、アクリル系フィラー、又は有機系フィラーであってもよい。また、粒材44は、上記の各種の粒材44の組み合わせであってもよい。
【0035】
粒材44の直径は、5μm以上30μm以下である。粒材44の直径が5μmより小さい場合には、第一加飾フィルム4の表面に表れる凹凸が小さくて、滑り止めの機能が十分に得ることができない。また、粒材44の直径が30μmより大きい場合には、第一加飾フィルム4の表面粗さが大きくなり過ぎて、肌触りが悪化する。
【0036】
表面層40に混合される粒材44の直径及び量は、表面層40の厚みや必要な滑り止め機能に応じて、適宜設定される。粒材44の直径が、上記範囲の場合、第一加飾フィルム4の表面、つまり床パン1の表面に滑り止め機能を付与できる他、疑似親水も発現させることができて、水はけ性の向上を図ることもできる。
【0037】
ベース層41は、例えば、硬質PVCで形成される。ベース層41の厚みは、例えば、50μm以上250μm以下であり、本実施形態では、110μmである。ベース層41は、硬質PVCに限らず、軟質PVCやABSで形成されてもよい。
【0038】
印刷層42は、第一加飾フィルム4の表面に柄や色を表示させるための層である。印刷層42の柄や色は、表面層40を透過して第一加飾フィルム4の表面側から見える。本実施形態では、印刷層42は、全体にわたって色が同じである。
【0039】
接着層43は、ベース層41の裏面に積層している。接着層43の厚みは、例えば、50μmである。接着層43は、加水分解しにくいPMMA系接着剤で形成される。接着層43は、PMMA系に限らず、エポキシ系、ウレタン系、シアノアクリレート系、変形シリコン系、又はポリエステル系の接着剤で形成されてもよい。
【0040】
2-3.第二加飾フィルム
第二加飾フィルム5は、
図1Dに示すように、少なくとも一つの凸部2と同形状に形成された少なくとも一つのフィルム凸部53と、少なくとも一つのフィルム凸部53を囲む枠状部54とを含む。本実施形態では、第二加飾フィルム5は、前後方向に隣接する二つの凸部2a,2bと同形状の二つのフィルム凸部53と、二つのフィルム凸部53を囲む枠状部54と、二つのフィルム凸部53の間に位置する中間部55と、を含む。
【0041】
第二加飾フィルム5は、第一加飾フィルム4とは色と柄のうち少なくとも一方が異なる。
図4Bに示すように、第二加飾フィルム5は、その表面を構成する表面層50と、表面層50の裏側に位置するベース層51と、を含む。第二加飾フィルム5は更に、表面層50とベース層51との間に位置する印刷層52を含む。ただし、第二加飾フィルム5は、ベース層51の裏側に位置する接着層を含まない。
図4Bにおける接着層8は、第二加飾フィルム5を床パン基材3の表面30の少なくとも一つの凸部2(本実施形態では前後に隣接する二つの凸部2)に貼り付ける際に、第二加飾フィルム5の裏面又は床パン基材3の表面30に接着剤が塗布されることで形成される。
【0042】
表面層50及びベース層51は、第一加飾フィルム4の表面層40及びベース層41と同様の構成である。印刷層52は、第一加飾フィルム4の印刷層42に対して、色と柄のうち少なくとも一方が異なる。表面層50には、表面層50の表面に凹凸が形成されるように、複数の粒材44が混合されて分散している。
【0043】
第二加飾フィルム5は、
図1Cに示すように、フィルム基材6の一部を切り取ることで形成される。フィルム基材6は、熱可塑性を有する。フィルム基材6は、第二加飾フィルム5と同様に、表面層50、印刷層52、及びベース層51を有する。
【0044】
フィルム基材6は、
図6Aから
図6Dに示す成形方法によって形成される。フィルム基材6は、複数の凸部2と同形状の複数の凸部70を表面71に有する型材7の表面71に、加熱により軟化させた状態のフィルム基材6の基材を真空圧空成形又は真空成形により密着させ、型材7から硬化したフィルム基材6の基材を取り外すことにより形成される。フィルム基材6には、
図1Cに示すように、型材7の複数の凸部70と同形状の複数の凸部60と、複数の凸部60を囲む格子状の平部61とが形成される。フィルム基材6には、例えば、床パン基材3の複数の凸部2と同形状の複数の凸部60と、溝部33と同形状の平部61とが形成される。
【0045】
本実施形態では、型材7は、床パン基材3とは別の部材である。型材7は、床パン基材3と同形状であってもよい。つまり、第一加飾フィルム4を密着させる前の床パン基材3が型材7を兼ねてもよい。
【0046】
第二加飾フィルム5は、所定の形に成形されたフィルム基材6の一部を切り取ることで、少なくとも一つのフィルム凸部53と、枠状部54と、中間部55とを含む態様に形成される。
【0047】
第二加飾フィルム5は、少なくとも一つのフィルム凸部53が接着層8によって床パン基材3の対応する少なくとも一つの凸部2の上に貼り付けられ、枠状部54が、第一加飾フィルム4のうち少なくとも一つの凸部2を囲む部分に溶着される。第二加飾フィルム5の中間部55は、接着層8によって床パン基材3の溝部33の上に貼り付けられる。
【0048】
3.床パンの製造方法
本実施形態の床パン1の製造方法は、第一取付工程と第二取付工程に加えて、第一取付工程と第二取付工程の間に行われる切除工程を更に備える。
【0049】
第一取付工程は、複数の凸部2を表面30に有する床パン基材3の表面30に、加熱により軟化させた状態の第一加飾フィルム4を、真空圧空成形又は真空成形によって密着させる工程である。
【0050】
図5Aから
図5Dには、第一取付工程の一例が示されている。本実施形態では、第一取付工程は、TOM(Three Demension Overlay Method)成形(言い換えると真空圧空成形)を用いて、第一加飾フィルム4を床パン基材3の表面30に密着させる。
【0051】
詳しくは、第一取付工程は、塗布工程、設置工程、減圧工程、加熱工程、押圧工程、密着工程、離型工程、及び除去工程を備える。
【0052】
第一加飾フィルム4は、床パン基材3に対して、例えば、
図5Aから
図5Cに示す成形機100を用いた真空圧空成形により密着される。成形機100は、上チャンバー101と、下チャンバー102と、ヒーター103と、台座104と、昇降装置105と、真空タンクと、圧空タンクと、を備える。
【0053】
真空タンクは、上チャンバー101と下チャンバー102のそれぞれに接続されており、チャンバー101,102内をそれぞれ独立して真空状態まで減圧する。圧空タンクは、上チャンバー101に接続されており、上チャンバー101内を圧空する。
【0054】
上チャンバー101は、上チャンバー101と下チャンバー102との間に第一加飾フィルム4を挟み込む位置(
図5B参照)と、上チャンバー101が下チャンバー102から離れた位置(
図5A参照)との間で移動可能である。上チャンバー101は、下面が開口した箱型である。上チャンバー101内には、ヒーター103が設置されている。ヒーター103は、第一加飾フィルム4が軟化する温度まで、第一加飾フィルム4を加熱する。
【0055】
下チャンバー102は、上面が開口した箱型である。下チャンバー102内には、台座104が設置されており、台座104は昇降装置105によって上下に移動可能である。台座104上には、床パン基材3を水平方向に移動不可に支持する支持台106が載置される。
【0056】
続いて、第一取付工程の各工程について詳しく説明する。
【0057】
塗布工程では、床パン基材3の表面30に、プライマーを塗布してプライマー層35を形成する。
【0058】
次いで、設置工程では、
図5Aに示すように、下チャンバー102内の台座104上の支持台106の上に床パン基材3を設置し、下チャンバー102の上面の開口を塞ぐように、第一加飾フィルム4を下チャンバー102の上面に設置する。次いで、上チャンバー101を降下させて、上チャンバー101と下チャンバー102とで第一加飾フィルム4を挟み込む。このとき、チャンバー101,102内は密閉状態となる。
【0059】
次いで、減圧工程では、真空タンクによってチャンバー101,102内をそれぞれ減圧して真空状態とする。
【0060】
次いで、加熱工程では、
図5Bに示すように、ヒーター103によって、第一加飾フィルム4を加熱し、軟化させる。このとき、複数の粒材44は軟化せず、第一加飾フィルム4の表面に粒材44による凹凸が形成された状態を維持することができる。
【0061】
次いで、押圧工程では、
図5Cに示すように、昇降装置105によって台座104を上昇させて、床パン基材3の表面30に軟化した状態の第一加飾フィルム4を押し当てる。
【0062】
次いで、密着工程では、圧空タンクによって上チャンバー101内を圧空する。これにより、床パン基材3の表面30の全体に、軟化した状態の第一加飾フィルム4が押し当てられて、床パン基材3の表面30の形状に第一加飾フィルム4が変形し、第一加飾フィルム4が表面30に密着する。次いで、第一加飾フィルム4を冷却して硬化させる。
【0063】
次いで、離型工程では、上チャンバー101内及び下チャンバー102内をそれぞれ大気圧にし、上チャンバー101を上昇させて、支持台106から床パン基材3と床パン基材3に密着した第一加飾フィルム4とを取り外す。
【0064】
次いで、除去工程では、
図5Dに示すように、第一加飾フィルム4のうち、床パン基材3の表面30からはみ出した部分を切断して除去する。
【0065】
切除工程は、
図1A及び
図1Bに示すように、第一取付工程の後、行われる。切除工程は、第一加飾フィルム4のうち少なくとも一つの凸部2を覆う部分を切除する工程である。本実施形態の切除工程では、第一加飾フィルム4のうち前後方向に隣接する二つの凸部2a,2bを覆う部分を切除する。詳しくは、第一加飾フィルム4のうち、前後方向に隣接する二つ凸部2a,2bの上方の部分と、二つの凸部2a,2bを囲む部分(溝部33の一部)の上方の部分と、二つの凸部2a,2bの間の部分(溝部33の他の一部)の上方の部分とが、切除される。これにより、第一加飾フィルム4の一部には、開口部45が設けられ、二つの凸部2a,2bは、開口部45から上方に突出する。
【0066】
第二取付工程は、切除工程の後、行われる。第二取付工程は、複数の凸部2のうち少なくとも一つの凸部2a,2bの上に第二加飾フィルム5を貼り付ける工程である。詳しくは、第二取付工程は、
図1C及び
図1Dに示すように、切り取り工程と、貼り付け工程と、を有する。
【0067】
切り取り工程は、フィルム基材6から、開口部45の内側に位置する少なくとも一つの凸部2に対応する部分を切り取って、第二加飾フィルム5を形成する工程である。本実施形態の切り取り工程では、フィルム基材6から、前後方向に隣接する二つの凸部2a,2bに対応する部分を切り取って、第二加飾フィルム5を形成する。第二加飾フィルム5は、二つのフィルム凸部53と、二つのフィルム凸部53を囲む枠状部54と、二つのフィルム凸部53の間に位置する中間部55、とを有する。
【0068】
フィルム基材6は、
図6Aから
図6Cに示す成形機100を用いて形成される。
図6Aから
図6Cに示す成形機100は、第一加飾フィルム4を床パン基材3に密着させる成形機100と同じ装置である。ただし、フィルム基材6は、表面層50、ベース層51、及び印刷層52のみを有し、接着層を有さないものが用いられる。フィルム基材6は、型材7に密着させて型材7の表面71の形状に変形させた後、
図6Dに示すように、型材7から取り外される。
【0069】
貼り付け工程は、
図1Dに示すように、第二加飾フィルム5を少なくとも一つの凸部2の上に貼り付ける工程である。本実施形態の貼り付け工程では、開口部45を通じて露出する二つの凸部2a,2bの上面20及び各側面21と二つの凸部2a,2bの間の溝部33とに、接着剤を塗布して接着層8を形成する。その後、第二加飾フィルム5の二つのフィルム凸部53を二つの凸部2a,2bに貼り付け、第二加飾フィルム5の中間部55を二つの凸部2a,2bの間の溝部33に貼り付ける。次いで、第二加飾フィルム5の枠状部54を、第一加飾フィルム4の開口部45の周縁部に溶着させる。溶着の手段は、熱、振動、超音波、レーザー等である。これにより、第二加飾フィルム5と第一加飾フィルム4とは、段差を形成せずに接合(いわゆるシームレス接合)することができる。
【0070】
以上のように、第一加飾フィルム4を床パン基材3に貼り付け、第二加飾フィルム5を第一加飾フィルム4に溶着することで、
図1D、
図2及び
図3に示す床パン1が製造される。床パン基材3が有する複数の凸部2のうち、第二加飾フィルム5を貼り付ける凸部2は、床パン1の表面に表示させたい模様に応じて、適宜選択可能である。例えば、第一加飾フィルム4と第二加飾フィルム5とが、左右方向及び前後方向に交互に並ぶように、床パン1の表面に複数の第二加飾フィルム5を貼り付けることで、床パン1の表面にパッチワーク柄を凹凸させて表示してもよい。
【0071】
4.変形例
以上説明した本実施形態の床パン1の製造方法の変形例について説明する。
【0072】
床パン1の製造方法は、
図7Aから
図7Cに示す変形例のように、切除工程を備えなくてもよい。この場合、第一加飾フィルム4には少なくとも一つの凸部2に対応する部分に開口部45が形成されない。変形例の床パン1の製造方法では、第二取付工程において、第二加飾フィルム5は、枠状部54だけではなく第二加飾フィルム5の全体が、第一加飾フィルム4のうち、少なくとも一つの凸部2の上方に位置する部分に、溶着される。詳しくは、第二取付工程では、第二加飾フィルム5の少なくとも一つのフィルム凸部53を、第一加飾フィルム4のうち少なくとも一つの凸部2を覆う部分に溶着し、第二加飾フィルム5の枠状部54を、第一加飾フィルム4のうち前記部分(少なくとも一つの凸部2を覆う部分)の周縁部に溶着する。つまり、第二加飾フィルム5は、床パン基材3の凸部2に対して接着層8を介して接着されない。変形例の床パン1の製造方法では、切除工程とその後の接着剤を塗布する工程(貼り付け工程の一部)を省略できるため、製造時間の短縮化を図ることができる。
【0073】
床パン1の製造方法は、TOM成形(真空圧空成形)に限らず、真空成形によって床パン基材3の表面30に第一加飾フィルム4を密着してもよい。この場合、床パン1の製造工程のうちの密着工程では、床パン基材3の表面30から裏面にわたって貫通するように設けられた貫通孔を通じて、床パン基材3の表面30を覆う第一加飾フィルム4を表面30側に真空引きする。これにより、第一加飾フィルム4は、床パン基材3の表面30に密着される。
【0074】
第二加飾フィルム5は、第一加飾フィルム4と同色であってもよく、第一加飾フィルム4の表面に傷等が付いた場合の補修に用いてもよい。
【0075】
加飾フィルム4,5のそれぞれは、粒材44を有さなくてもよい。
【0076】
また、床パン基材3が表面30に有する複数の凸部2は、
図1A等に示す形状及び配置に限らず、その他の形状や配置であってよい。例えば、床パン基材3は、複数の凸部2のそれぞれの平面視形状が、複数の円弧を組み合わせた形状、三角形状、L字状等の、矩形以外であってもよい。また、複数の凸部2の形状や大きさは、互いに異なってもよい。
【0077】
5.まとめ
以上説明した一実施形態及びその変形例のように、第一態様の床パン(1)の製造方法は、下記の構成を備える。
【0078】
すなわち、第一態様の床パン(1)の製造方法は、第一取付工程と第二取付工程とを備える。第一取付工程は、複数の凸部(2)を表面(30)に有する床パン基材(3)の表面(30)に、加熱により軟化させた状態の第一加飾フィルム(4)を、真空圧空成形又は真空成形によって密着させる工程である。第二取付工程は、複数の凸部(2)のうち少なくとも一つの凸部(2)の上に第二加飾フィルム(5)を貼り付ける工程である。第二加飾フィルム(5)は、少なくとも一つの凸部(2)と同形状に形成された少なくとも一つのフィルム凸部(53)と、少なくとも一つのフィルム凸部(53)を囲む枠状部(54)とを含む。少なくとも一つのフィルム凸部(53)が少なくとも一つの凸部(2)の上に貼り付けられる。
【0079】
上記構成を備える第一態様の床パン(1)の製造方法では、第一取付工程において、床パン基材(3)の表面(30)に、加熱により軟化させた状態の第一加飾フィルム(4)を真空圧空成形又は真空成形によって密着させて、表面(30)を加飾することができる。加えて、第一態様の床パン(1)の製造方法では、第二取付工程において、凸部(2)の上に、同形状に形成された第二加飾フィルム(5)のフィルム凸部(53)を貼り付けることで、凸部(2)の上にフィルム凸部(53)をずれなく貼り付けることができる。したがって、第一態様の床パン(1)の製造方法では、床パン(1)の表面に表示される凹凸と第一加飾フィルム(4)の模様とにずれがあっても、そのずれがある部分では第二加飾フィルム(5)の模様をずれなく付けることができる。これにより、第一態様の床パン(1)の製造方法では、床パン(1)の表面に表示される凹凸と模様がずれにくい。
【0080】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第二態様の床パン(1)の製造方法は、第一態様の床パン(1)の製造方法の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0081】
すなわち、第二態様の床パン(1)の製造方法は、第一取付工程と第二取付工程の間に行う切除工程を更に備える。切除工程では、第一加飾フィルム(4)のうち少なくとも一つの凸部(2)を覆う部分を切除する。第二取付工程では、第二加飾フィルム(5)の少なくとも一つのフィルム凸部(53)を少なくとも一つの凸部(2)に接着剤で貼り付け、第二加飾フィルム(5)の枠状部(54)を第一加飾フィルム(4)のうち切除された部分(開口部45)の周縁部に溶着する。
【0082】
上記構成を備える第二態様の床パン(1)の製造方法では、第一加飾フィルム(4)のうち、少なくとも一つの凸部(2)を覆う部分を切除して、第二加飾フィルム(5)に換えることができる。そのため、この床パン(1)の製造方法では、第二加飾フィルム(5)のフィルム凸部(53)を凸部(2)に直接接着剤で貼り付けることができて、取付強度が確保しやすい。そのうえ、第二態様の床パン(1)の製造方法では、第一加飾フィルム(4)と第二加飾フィルム(5)とを溶着できて、防水性を確保しやすい。
【0083】
また、上述した一実施形態の変形例のように、第三態様の床パン(1)の製造方法は、第一態様の床パン(1)の製造方法の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0084】
すなわち、第三態様の床パン(1)の製造方法は、第二取付工程では、第二加飾フィルム(5)の少なくとも一つのフィルム凸部(53)を、第一加飾フィルム(4)のうち少なくとも一つの凸部(2)を覆う部分に溶着し、第二加飾フィルム(5)の枠状部(54)を第一加飾フィルム(4)のうち前記部分の周縁部に溶着する。
【0085】
上記構成を備える第三態様の床パン(1)の製造方法では、第一加飾フィルム(4)の一部を切除する工程を省略できるため、製造時間の短縮化を図ることができる。
【0086】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第四態様の床パン(1)の製造方法は、第一から第三態様のいずれか一つの態様の床パン(1)の製造方法の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0087】
すなわち、第四態様の床パン(1)の製造方法では、複数の凸部(2)と同形状の複数の凸部(70)を表面(71)に有する型材(7)の表面(71)に、加熱により軟化させた状態のフィルム基材(6)を真空圧空成形又は真空成形により密着させる。次いで、第四態様の床パン(1)の製造方法では、型材(7)からフィルム基材(6)を取り外し、フィルム基材(6)の一部を切り取ることで第二加飾フィルム(5)を形成する。
【0088】
上記構成を備える第四態様の床パン(1)の製造方法では、第二加飾フィルム(5)の少なくとも一つのフィルム凸部(53)を、少なくとも一つの凸部(2)と同形状に形成しやすく、第二加飾フィルム(5)の少なくとも一つのフィルム凸部(53)を少なくとも一つの凸部(2)の上にずれなく貼り付けやすい。
【0089】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第五態様の床パン(1)の製造方法は、第一から第四態様のいずれか一つの態様の床パン(1)の製造方法の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0090】
すなわち、第五態様の床パン(1)の製造方法では、第二加飾フィルム(5)は、第一加飾フィルム(4)とは色と柄のうち少なくとも一方が異なる。
【0091】
上記構成を備える第五態様の床パン(1)の製造方法では、第一加飾フィルム(4)と第二加飾フィルム(5)によって床パン(1)の表面に表示される色や柄のバリエーションを増やすことができ、例えば、床パン(1)の表面にパッチワーク柄を表示させることができる。
【0092】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第六態様の床パン(1)は、下記の構成を備える。
【0093】
すなわち、第六態様の床パン(1)は、複数の凸部(2)を表面(30)に有する床パン基材(3)と、熱可塑性を有し、床パン基材(3)の表面(30)に密着した第一加飾フィルム(4)と、を備える。第六態様の床パン(1)は更に、複数の凸部(2)のうち少なくとも一つの凸部(2)の上に貼り付けられた第二加飾フィルム(5)を備える。第二加飾フィルム(5)は、少なくとも一つの凸部(2)と同形状に形成された少なくとも一つのフィルム凸部(53)と、少なくとも一つのフィルム凸部(53)を囲む枠状部(54)とを含む。少なくとも一つのフィルム凸部(53)が少なくとも一つの凸部(2)の上に貼り付けられている。
【0094】
上記構成を備える第六態様の床パン(1)では、仮に、床パン(1)の表面に表示される凹凸と第一加飾フィルム(4)の模様とにずれがあっても、そのずれのある部分では第二加飾フィルム(5)の模様をずれなく付けることができる。これにより、第六態様の床パン(1)では、床パン(1)の表面に表示される凹凸と模様がずれにくい。
【0095】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第七態様の床パン(1)は、第六態様の床パン(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0096】
すなわち、第七態様の床パン(1)では、第一加飾フィルム(4)は、少なくとも一つの凸部(2)(凸部2a,2b)の上方に位置する開口部(45)を有する。第二加飾フィルム(5)の枠状部(54)は、第一加飾フィルム(4)のうち開口部(45)の周縁部に溶着されている。
【0097】
上記構成を備える第七態様の床パン(1)では、第二加飾フィルム(5)を少なくとも一つの凸部(2)に直接貼り付けることができて、取付強度が確保しやすい。そのうえ、第七態様の床パン(1)では、第一加飾フィルム(4)と第二加飾フィルム(5)とを溶着することで、防水性を確保しやすい。
【0098】
また、上述した一実施形態の変形例のように、第八態様の床パン(1)は、第六態様の床パン(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0099】
すなわち、第八態様の床パン(1)では、第二加飾フィルム(5)の少なくとも一つのフィルム凸部(53)は、第一加飾フィルム(4)のうち少なくとも一つの凸部(2)を覆う部分に溶着され、第二加飾フィルム(5)の枠状部(54)は、第一加飾フィルム(4)のうち前記部分の周縁部に溶着されている。
【0100】
上記構成を備える第八態様の床パン(1)では、製造の際に第一加飾フィルム(4)の一部を切除する工程を省略できて、製造しやすい。
【0101】
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 床パン
2 凸部
3 床パン基材
30 表面
4 第一加飾フィルム
45 開口部
5 第二加飾フィルム
53 フィルム凸部
54 枠状部
6 フィルム基材
7 型材
70 凸部
71 表面