(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078210
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】血液の調製及びプロファイリング
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20230530BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
G01N33/68
C12Q1/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034247
(22)【出願日】2023-03-07
(62)【分割の表示】P 2021003537の分割
【原出願日】2016-10-06
(31)【優先権主張番号】2015904075
(32)【優先日】2015-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】518120083
【氏名又は名称】サングイ バイオ ピーティーワイ. エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス カーステン
(72)【発明者】
【氏名】ベン ハーバート
(72)【発明者】
【氏名】アラン リドル
(72)【発明者】
【氏名】キャメロン ヒル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】赤血球濃縮血液試料中の血液タンパク質プロファイルを作製する方法を提供する。
【解決手段】a.)対象から取得された血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成することであって、該対象から取得された血液試料が5μL~100μLの量である、前記生成すること;b.)該赤血球濃縮試料中の赤血球を培地中でインキュベートすること;並びにc.)該赤血球濃縮試料から該インキュベートされた培地に分泌又は放出された1種以上のタンパク質を検出すること、を含み、生成されるタンパク質プロファイルが、該インキュベートされた培地中で検出される1種以上のタンパク質を含み、かつ該1種以上のタンパク質が、ケモカイン、サイトカイン、成長因子、受容体、ホルモン、及び酵素からなる群から選択される、前記方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)対象から取得された血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料
を生成することであって、該対象から取得された血液試料が5μL~100μLの量である、前
記生成すること;
b.)該赤血球濃縮試料中の赤血球を培地中でインキュベートすること;並びに
c.)該赤血球濃縮試料から該インキュベートされた培地に分泌又は放出された1種以上の
タンパク質を検出すること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該インキュベートされた培地中で検出される1
種以上のタンパク質を含み、かつ該1種以上のタンパク質が、ケモカイン、サイトカイン
、成長因子、受容体、ホルモン、及び酵素からなる群から選択される、前記方法。
【請求項2】
前記1種以上のタンパク質が、2種以上のタンパク質である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記1種以上のタンパク質が、3種以上のタンパク質である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記1種以上のタンパク質が、4種以上のタンパク質である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記インキュベートされた培地中で検出される1種以上のタンパク質のレベル
を測定することを含む、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記対象が、ヒト又は非ヒト動物である、請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
1種以上の抗体を用いて、前記1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又は該1種以
上のタンパク質のレベルを測定する、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
検出される前記1種以上のタンパク質が、サイトカインである、請求項1~7のいずれか
一項記載の方法。
【請求項9】
前記1種以上のタンパク質、2種以上のタンパク質、3種以上のタンパク質、又は4種以上
のタンパク質が、塩基性FGF、CTACK、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN
-γ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-12p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18、IL-1α、IL-1
β、IL-2、IL-2ra、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF、M-CSF、MIG、MI
P-1α、MIP-1β、PDGF-BB、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、CRP、IL-8、MCP-1
、RANTES、及びDDTからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
前記インキュベートされた培地中で検出される1種以上のタンパク質が、前記赤血球の
表面又は内部から分泌又は放出される、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
工程b)における前記赤血球濃縮試料中の前記インキュベートされた赤血球を、工程b)に
おける前記インキュベートされた培地から分離することをさらに含む、請求項1~10のい
ずれか一項記載の方法。
【請求項12】
前記赤血球濃縮試料由来の前記分離された赤血球を溶解することをさらに含む、請求項
11記載の方法。
【請求項13】
前記赤血球濃縮試料由来の前記溶解された赤血球中の1種以上のタンパク質のレベルを
検出することをさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記赤血球濃縮試料由来の前記溶解された赤血球において検出された前記1種以上のタ
ンパク質のレベルを測定することをさらに含む、請求項13記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示は、概して、血液学の分野に関する。本開示はまた、血液中のタンパク質プロフ
ァイリング、並びに、特に、赤血球濃縮血液試料中のサイトカイン及び/又はケモカイン
プロファイルを含む血液タンパク質プロファイルを生成又は作製する方法に関する。
【0002】
(相互参照)
本出願は、2015年10月7日出願の、「血液の調製及びプロファイリング」と題するオー
ストラリア特許出願第2015904075号の優先権を主張するものであり、それに関連する。本
出願は、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれている。加えて、本開示で言及さ
れる他の参考文献又は刊行物も、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
(背景)
血液のタンパク質プロファイリングは、様々な目的のために使用されている。例えば、
末梢血単核細胞(PBMC)及び血清/血漿中の指標タンパク質のプロファイリングは、疾患の
診断に一般に使用されている。また、血液内のタンパク質プロファイルを監視することは
、治療に対する応答を監視する手段及び寛解又は退行の指標を提供することにより、より
効果的な治療的介入を導くのを助けることができる。
【0004】
サイトカイン、ケモカイン及び成長因子などの血液コンパートメント中の生物学的マー
カーは、炎症、免疫応答、及び修復への洞察を提供することができる。特に、血液中の炎
症促進性及び/又は抗炎症性のサイトカイン及びケモカインの検出並びにそれらのレベル
の定量化は、免疫状態を測定するために広く使用されている。これらのサイトカイン及び
ケモカインは、特定の疾患状態を診断し、疾患を発症する素因を決定し、かつ/又は予後
転帰を予測するために一般に使用されている。
【0005】
典型的には、血液コンパートメント中の様々なタンパク質の検出及び定量化は、分離さ
れた血清/血漿、及び/又はPBMCを用いて評価される。これは、血液の最も豊富な細胞成分
で、その体積の40%~50%を占める赤血球(erythrocyte)/赤血球(red blood cell)(RBC)
を効果的に無視する。RBCは、処理/アッセイを複雑にし得、かつ/又は血液の全体的なタ
ンパク質プロファイルに多大な貢献をもたらすとは考えられていないので、血漿/血清及
び/又は白血球(white blood cell)(白血球(leukocyte))上でタンパク質分析を行う前に日
常的に取り除かれる。したがって、RBCが、実質的に貢献し、かつ/又はそうでなければ血
液のタンパク質プロファイルに影響を与える場合には、現在の分析は不十分である。
【0006】
また、採血技術における不一致及び/又は血液を処理する方法が、既知のタンパク質プ
ロファイリングの精度に悪影響を与える可能性があることが明らかになってきた。
【0007】
そのために、血液中のタンパク質プロファイルを決定するためのより包括的な、かつ/
又は一貫した方法に対する必要性が存在する。したがって、本明細書に開示されるこれら
の及び他の問題に対処するためのシステム、方法並びに/又はキットが望ましい。本開示
は、本明細書の説明から明らかになるように、従来技術の欠点の少なくとも1つの克服及
び/又は改善を対象とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(本開示の概要)
本発明者らは、驚くべきことに、血液タンパク質プロファイルを決定しようとする血液
タンパク質プロファイル分析から日常的に除外される血液の主要成分であるRBCが、それ
にもかかわらず、実質的なレベルでいくつかの異なるタンパク質(例えば、サイトカイン
、ケモカイン、成長因子)の供給源であることを特定した。さらに、本発明者らは、血液
及び/又は成分が採取並びに処理される方法に依存して、個々の血液コンパートメント内
で検出される様々なタンパク質(例えば、赤血球、血漿、白血球)のレベルが著しく異なり
得ることを見出した。このように、本発明者らは、RBC中の新たに特定されたタンパク質
の存在又はレベルを評価することによって、濃縮赤血球試料のタンパク質プロファイルを
生成するための新規かつ有用な実験室技術を作った。新規かつ有用な実験室技術は、血液
からタンパク質プロファイルを生成し、タンパク質を検出する能力を高める(例えば、検
出のレベルを高める)ために、現在の技術を超えて著しく改善されている。タンパク質は
、RBC中での濃度がより高いこと、RBC中でのそれらの検出可能なレベルをさらに増加させ
るための独特のプロセス、及びより少ない細胞処理を必要とするRBC分離方法により、濃
縮RBC試料中でより容易に検出される。さらに、RBC中でのタンパク質の濃度が高いと、少
量の血液中での検出が可能になる。理論に束縛されるものではないが、RBCは、様々なタ
ンパク質(例えば、サイトカイン、ケモカイン、及び成長因子)のための貯蔵所として作用
することができ、血液が処理される方法は、RBCによるこれらのタンパク質の放出及び/又
は隔離に影響を及ぼし得ると推論される。これは、ひいては、血液のタンパク質プロファ
イル及び/若しくは他の血液コンパートメント(複数可)を変更並びに/又は増強することが
できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本開示は、少量の赤血球濃縮試料若しくは画分中のタンパク質プロファイ
ルを生成又は作製し、それによって、タンパク質プロファイルに対する血液処理の作用を
低減若しくは排除するために改良された方法、キット、及び/又はシステムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の特定の非限定的な実施態様を以下に記載する。
【0011】
本開示の一態様において、本明細書に提供されるのは、赤血球濃縮血液試料中のタンパ
ク質プロファイルを生成する方法であって、血液試料を採取すること;血液試料の少なく
とも一部から白血球除去(leukodepleting)して、赤血球濃縮試料を生成すること;及び少
量の赤血球濃縮試料中で1種以上のタンパク質の存在を検出すること、を含む方法であり
、該少量は5μL~100μLであり、生成されるタンパク質プロファイルは、該赤血球濃縮試
料中で検出される1種以上のタンパク質を含む。一実施態様において、本方法はさらに、
該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、
生成されるタンパク質プロファイルは、該赤血球濃縮試料中で測定される1種以上のタン
パク質含む。別の実施態様において、本方法はさらに、1種以上のタンパク質の存在を検
出するか、又はそのレベルを測定する前に、該赤血球濃縮試料と少なくとも1種のカチオ
ン塩とを接触させることを含み、該カチオン塩は、該赤血球濃縮試料中で検出可能なレベ
ルの1種以上のタンパク質を増加させる。
【0012】
本開示の他の態様において、本明細書に提供されるのは、タンパク質プロファイルを生
成する方法であって、血液試料を採取すること;該血液試料の少なくとも一部から白血球
除去して、赤血球濃縮試料を生成すること;該赤血球濃縮試料と少なくとも1種のカチオン
塩とを接触させ、該少なくとも1種のカチオン塩が該赤血球濃縮試料中で検出可能なレベ
ルの1種以上のタンパク質を増加させること;及び少量の該赤血球濃縮試料中の1種以上の
タンパク質の存在を検出すること、を含み、該少量は5μL~100μLであり、生成されるタ
ンパク質プロファイルは該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質を含む、
前記方法である。一実施態様において、本方法はさらに、該赤血球濃縮試料中で検出され
る1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、生成されるタンパク質プロファ
イルは該赤血球濃縮試料中で測定される1種以上のタンパク質を含む。別の実施態様にお
いて、該少なくとも1種のカチオン塩のカチオンは、金属イオン又はアンモニウムイオン
である。他の実施態様において、該少なくとも1種のカチオン塩は、ナトリウム塩、カリ
ウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、鉄塩、フランシウム
塩、ピリジニウム塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。さらに他の実
施態様において、該少なくとも1種のカチオン塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩
化ルビジウム、塩化セシウム、塩化リチウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選
択される塩化物塩である。別の実施態様において、該少なくとも1種のカチオン塩は、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、及びそれ
らの組み合わせからなる群から選択される炭酸塩である。さらに別の実施態様において、
該少なくとも1種のカチオン塩はアンモニウム塩である。さらに他の実施態様において、
該アンモニウム塩は、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、及びそ
れらの組み合わせからなる群から選択される。
【0013】
本開示の別の態様において、本明細書に提供されるのは、赤血球濃縮血液試料中のタン
パク質プロファイルを生成する方法であって、血液試料を採取すること;該血液試料の少
なくとも一部から白血球除去して、赤血球濃縮試料を生成すること;該赤血球濃縮試料中
の赤血球及び血漿を分離すること;該赤血球中の1種以上のタンパク質のレベル及び該血漿
中の1種以上のタンパク質のレベルを測定すること;並びに該血漿中の1種以上のタンパク
質のレベルに対する赤血球中の1種以上のタンパク質のレベルを含むタンパク質比を計算
すること、を含み、生成されるタンパク質プロファイルは、少なくとも2:1のタンパク質
比を有する1種以上のタンパク質を含む、前記方法である。
【0014】
本開示の別の態様において、本明細書に提供されるのは、赤血球濃縮血液試料中のタン
パク質プロファイルを生成する方法であって、血液試料を採取すること;該血液試料の少
なくとも一部から白血球除去して、赤血球濃縮試料を生成すること;該赤血球濃縮試料中
の赤血球を培地中でインキュベートすること;及び該培地中で1種以上のタンパク質を検出
すること、を含み、生成されるタンパク質プロファイルは、該培地中で検出される1種以
上のタンパク質を含む、前記方法である。一実施態様において、本方法はさらに、該培地
中で検出された1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、生成されるタンパ
ク質プロファイルは、該赤血球濃縮試料中に測定される1種以上のタンパク質を含む。別
の実施態様において、該培地は、等張塩溶液、平衡化塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生
理食塩水(PBS)、ハンクス平衡化塩溶液(HBSS)、及び/又はアール平衡化塩溶液(EBSS)、ロ
ズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改善された最小必須培地(IM
EM)、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及び/又はイス
コフ改変ダルベッコ培地(IMDM)からなる群から選択される1以上である。
【0015】
本開示のさらに別の態様において、本明細書に提供されるのは、赤血球濃縮血液試料中
のタンパク質プロファイルを生成する方法であって、少量の血液試料を採取すること;少
量の血液試料の少なくとも一部から白血球除去して、赤血球濃縮試料を生成すること;及
び該赤血球濃縮試料中で1種以上のタンパク質を検出すること、を含み、生成されるタン
パク質プロファイルは、該赤血球濃縮試料で検出される1種以上のタンパク質を含む、前
記方法である。一実施態様において、本方法はさらに、該赤血球濃縮試料で検出される1
種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、生成されるタンパク質プロファイル
は、該赤血球濃縮試料中に測定される1種以上のタンパク質を含む。別の実施態様におい
て、該少量の血液試料は、対象から採取される。別の実施態様において、該少量の血液試
料は、5μL~100μLである。別の実施態様において、該少量の血液試料は、5μL~20μL
である。他の実施態様において、該少量の血液試料は、指、踵、耳、又は尾部から採取さ
れる。さらなる実施態様において、該少量の血液試料は、指穿刺、踵穿刺、耳穿刺、又は
尾部穿刺により採取される。特定の実施態様において、該少量の血液試料は、1日1回以上
、1日2回以上、1日3回以上、1日4回以上、及び1日5回以上からなる群から選択される回数
採取される。別の実施態様において、該少量の血液試料は、1週間に1回以上、1週間に2回
以上、1週間に3回以上、1週間に4回以上、1週間に5回以上、1週間に6回以上、及び1週間
に7回以上からなる群から選択される回数採取される。さらに別の実施態様において、該
少量の血液試料は毎日採取される。別の実施態様において、該少量の血液試料は、1週間
に1回、2週間に1回、3週間に1回、及び4週間に1回からなる群から選択される回数採取さ
れる。他の実施態様において、該少量の血液試料は、月に1回採取される。
【0016】
本明細書に提供される方法の特定の実施態様において、該血液試料は、対象から採取さ
れる。別の実施態様において、該血液試料は、対象の毛細血管又は対象の静脈から採取さ
れる。さらに別の実施態様において、該対象は、ヒト又は非ヒト動物である。特定の実施
態様において、該対象はヒトである。特定の他の実施態様において、該対象は、マウス、
ラット、ハムスター、フェレット、スナネズミ、ウサギ、サル、チンパンジー、ウマ、ポ
ニー、ロバ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、ヤギ、ネコ、及びイヌからなる群から選択される
非ヒト動物である。さらに別の実施態様において、該対象は、疾患又は障害を有する。
【0017】
本開示の方法の他の実施態様において、該血液試料は、フローサイトメトリー、磁気ビ
ーズ分離、遠心分離、セルロースカラム、及びデキストラン沈降からなる群から選択され
る1以上の方法により白血球除去される。特定の実施態様において、該赤血球は、デキス
トラン沈降によって白血球除去される。
【0018】
本開示の方法の特定の実施態様において、該少量の赤血球濃縮試料は5μL~20μLであ
る。さらに別の実施態様において、該少量の赤血球濃縮試料は5μLである。
【0019】
本明細書に提供される方法の別の実施態様において、1又は複数のタンパク質のいずれ
かは、赤血球の表面、赤血球の内部、赤血球の溶解物、赤血球の上清、赤血球を含有する
培地、及び赤血球を以前に含有していた培地からなる群から選択される1以上の場所から
検出又は測定される。
【0020】
本明細書に提供される方法の他の実施態様において、該赤血球濃縮試料中で2種以上の
タンパク質の存在が検出されるか、又は2種以上のタンパク質のレベルが測定される。別
の実施態様において、該赤血球濃縮試料中で3種以上のタンパク質の存在が検出されるか
、又は3種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに別の実施態様において、該赤
血球濃縮試料中で4種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は4種以上のタンパク質
のレベルが測定される。さらに別の実施態様において、該赤血球濃縮試料中で5種以上の
タンパク質の存在が検出されるか、又は5種以上のタンパク質のレベルが測定される。別
の実施態様において、該赤血球濃縮試料中で10種以上のタンパク質の存在が検出されるか
、又は10種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに他の実施態様において、該赤
血球濃縮試料中で30種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は30種以上のタンパク
質のレベルが測定される。特定の実施態様において、1種以上の抗体を用いて該1種以上の
タンパク質の存在が検出されるか、又は1種以上のタンパク質のレベルが測定される。い
くつかの実施態様において、該1種以上のタンパク質は、ケモカイン、サイトカイン、成
長因子、受容体、細胞内シグナル伝達物質、ホルモン、核内転写因子、神経伝達物質、及
び細胞外マトリックス成分、並びに酵素からなる群から選択される。さらに別の実施態様
において、該1種以上のタンパク質は、表1に記載のタンパク質若しくは表2に記載のタン
パク質の組み合わせからなる群から選択される。さらに他の実施態様において、該1種以
上のタンパク質は、塩基性FGF、CTACK、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、HGF、IFN-α2、I
FN-γ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-12p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18、IL-1α、IL
-1β、IL-2、IL-2ra、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF、M-CSF、MIG、
MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、CRP、及びDDTか
らなる群から選択される。
【0021】
本開示の一態様において、本明細書に提供されるのは、赤血球濃縮血液試料中の疾患タ
ンパク質プロファイルを生成する方法であって、本明細書に提供される方法に従って、疾
患又は障害を有する対象及び疾患又は障害を有していない対象から生成される少なくとも
1つのタンパク質プロファイルを取得すること;並びに疾患又は障害を有する対象のタンパ
ク質プロファイルと疾患又は障害を有していない対象のタンパク質プロファイルを比較す
ること、を含み、生成される疾患タンパク質プロファイルは、疾患又は障害を有していな
い対象のタンパク質プロファイルと比較して、疾患又は障害を有する対象からのタンパク
質プロファイル中の異なる存在又はレベルを有する1種以上のタンパク質を含む、前記方
法である。一実施態様において、該疾患又は障害は癌である。さらなる実施態様において
、該疾患タンパク質プロファイルは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、IL-
12、IL-15、IL-17、TNF-α、TGF-β、及びIFN-γからなる群から選択される1種以上のタ
ンパク質を含む癌タンパク質プロファイルである。別の実施態様において、該疾患又は障
害は子癇前症である。さらに別の実施態様において、該疾患プロファイルは、TNF-α、IF
N-γ、IL-4、IL-5、IL-10、IL-1β、IL-6、IL-8、及びIL-12からなる群から選択される1
種以上のタンパク質を含む子癇前症のタンパク質プロファイルである。さらなる実施態様
において、該子癇前症のタンパク質プロファイルは、IL-6、IL-8、及びIFN-γからなる群
から選択される1種以上のタンパク質を含む。
【0022】
本開示の別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象が疾患又は障害を有する
かどうかを決定する方法であって、本明細書に提供される方法に従って生成される対象の
タンパク質プロファイルを取得すること;及び疾患タンパク質プロファイルと対象のタン
パク質プロファイルを比較すること、を含み、該疾患タンパク質プロファイル中の1種以
上のタンパク質の存在又はレベルと比較した、該対象のタンパク質プロファイル中の1種
以上のタンパク質の存在又はレベルの類似性は、対象が疾患又は障害を有することを示す
、前記方法である。一実施態様において、該疾患又は障害は、癌、子癇前症、自己免疫疾
患、心血管疾患、神経変性疾患、糖尿病、代謝性障害、筋骨格疾患、感染症、遺伝性障害
、腎障害、及び胃腸障害からなる群から選択される。
【0023】
本開示のさらに別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象における治療を監
視する方法であって、本明細書に提供される方法に従って、治療前及び治療後に対象から
生成されるタンパク質プロファイルを取得すること;並びに治療前の対象のタンパク質プ
ロファイルを治療後の対象のタンパク質プロファイルと比較すること、を含み、治療後の
対象のタンパク質プロファイルと比較した、治療前の対象のタンパク質プロファイル中の
1種以上のタンパク質の存在又はレベルの差が、対象に対する治療の効果を示す、前記方
法である。一実施態様において、治療を受けなかった対象のタンパク質プロファイルは、
治療を受けた後の対象のタンパク質プロファイルと比較される。別の実施態様において、
治療後のある時点での対象の少なくとも1つのタンパク質プロファイルは、治療後の異な
る時点での対象の少なくとも1つのタンパク質プロファイルと比較される。さらなる実施
態様において、該対象は、同じ治療を受けている。さらに他の実施態様において、該対象
は異なる治療を受けている。特定の実施態様において、該血液試料は、少量の血液試料で
ある。特定の他の実施態様において、該対象は、1日1回以上、1日2回以上、1日3回以上、
1日4回以上、及び1日5回以上からなる群から選択される回数監視される。さらなる実施態
様において、該対象は、1週間に1回以上、1週間に2回以上、1週間に3回以上、1週間に4回
以上、1週間に5回以上、1週間に6回以上、及び1週間に7回以上からなる群から選択される
回数監視される。別の実施態様において、該対象は、毎日監視される。さらに別の実施態
様において、該対象は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、及び4週間に1回からなる
群から選択される回数監視される。さらに別の実施態様において、該対象は、月に1回監
視される。
【0024】
本開示の他の態様において、本明細書に提供されるのは、治療の有効性を決定する方法
であって、本明細書に提供される方法に従って、治療を受けた対象、及び治療を受けてい
ない対象から生成される少なくとも1つのタンパク質プロファイルを取得すること;並びに
治療を受けた対象のタンパク質プロファイルを治療を受けていない対象のタンパク質プロ
ファイルと比較すること、を含み、治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルと
比較した、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在
又はレベルの類似性が、治療の有効性を示す、前記方法である。
【0025】
本開示の別の態様において、本明細書に提供されるのは、血液試料中の1種以上のタン
パク質の検出又は測定の精度を高める方法であって、該血液試料とデキストランとを接触
させること;該血液試料が白血球含有層及び赤血球緻密層を形成するのを可能にすること;
赤血球緻密層中の赤血球を分離して、赤血球濃縮血液試料を作製すること;並びに該赤血
球濃縮血液試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定す
ること、を含む前記方法である。一実施態様において、該血液試料は、少量の血液試料で
ある。さらなる実施態様において、該少量の血液試料は、5μL~100μLである。別の実施
態様において、デキストランに対する該血液試料中の血液の比は、1:1、2:1、3:1、4
:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、及び10:1からなる群から選択される。他の実施態
様において、該血液試料からの白血球及び血小板の平均除去率は、85%~99%である。
【0026】
本開示の別の態様において、本明細書に提供されるのは、血液試料のタンパク質プロフ
ァイルを測定するためのキットであって、血液試料から白血球除去し、赤血球濃縮試料を
生成するための少なくとも1種類の試薬;並びに少量の赤血球濃縮試料中の1種以上のタン
パク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定するための少なくとも1種類の試薬、
を含む前記キットである。一実施態様において、該キットはさらに、対象から血液試料を
採取するための少なくとも1種類の試薬を含む。別の実施態様において、該1種以上のタン
パク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定するための試薬は、1種以上の抗体で
ある。特定の実施態様において、1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレ
ベルを測定するための試薬は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)器具である。
【0027】
本開示の一態様において、本明細書に提供されるのは、対象から採取される血液試料又
は該血液試料成分からタンパク質プロファイルを作製する方法であって、該血液試料又は
該血液試料成分中の1種以上のタンパク質のレベルを決定することを含み、該血液試料及
び該血液試料成分のそれぞれが赤血球(RBC)を含む、前記方法である。
【0028】
本方法の一実施態様において、該タンパク質プロファイルは、該血液試料成分から作製
される。本方法の別の実施態様において、RBCの数は、該血液試料成分中に存在する全血
液細胞の0.5%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97.5%、9
8%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を構成する。本方法のさらに別の実施態
様において、該血液試料成分は、該血液試料の白血球除去によって生成されるRBC濃縮画
分である。本方法の他の実施態様において、該白血球除去は、該血液試料又はその一部か
ら白血球の元の数の90%、92.5%、95%、97.5%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%
超を取り除く。さらに他の実施態様において、該白血球除去は、該画分中の血液細胞の総
数の99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超がRBCであるRBC濃縮画分を提供する。さ
らなる実施態様において、該血液試料又はその一部は、血小板除去に供される。別の実施
態様において、該血小板除去は、該血液試料又はその一部から血小板の元の数の90%、92.
5%、95%、97.5%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を取り除く。
【0029】
本方法の特定の実施態様において、該1種以上のタンパク質は、塩基性FGF、CTACK、エ
オタキシン、G-CSF、GM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN-γ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-12p4
0、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2ra、IL-3、IL-4、IL-5、
IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF、M-CSF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、SDF-1α、TN
F-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、CRP、DDT、及びそれらの組み合わせからなる群から選択さ
れる。他の実施態様において、該1種以上のタンパク質は、表1に記載のタンパク質若しく
は表2に記載のタンパク質の組み合わせを含むか、又はそれらからなる。
【0030】
本方法のいくつかの実施態様において、RBCの表面上の1種以上のタンパク質のレベルが
決定される。さらに他の実施態様において、RBC内の1種以上のタンパク質のレベルが決定
される。別の実施態様において、RBCによって放出される1種以上のタンパク質のレベルが
決定される。さらに別の実施態様において、該血液試料は、乾燥血液スポット試料(DBS)
である。
【0031】
本開示の一態様において、タンパク質プロファイルの作製は、RBCを含む細胞集団から
細胞溶解物、細胞洗浄液、又は細胞上清を生成すること;並びに該細胞溶解物、該細胞洗
浄液、又は該細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。一実
施態様において、1種以上のタンパク質のレベルの決定は、該細胞溶解物を用いて行われ
る。本方法の他の実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルの決定は、RBCを急速
凍結すること;RBCを解凍して、細胞溶解物を生成すること;並びに該細胞溶解物中の1種以
上のタンパク質のレベルを決定すること、によって行われる。さらに別の実施態様におい
て、1種以上のタンパク質のレベルの決定は、細胞洗浄液を用いて行われる。さらなる実
施態様において、該細胞洗浄液は、2以上の細胞洗浄液を組み合わせることによって生成
される。さらに別の実施態様において、該細胞洗浄液は、等張塩溶液、平衡化塩溶液、生
理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡化塩溶液(HBSS)、及び/又はアール
平衡化塩溶液(EBSS)のうちの1以上を含む洗浄液を用いて生成される。
【0032】
いくつかの実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルの決定は、該細胞上清を
用いて行われる。別の実施態様において、該細胞上清は、ロズウェルパーク記念研究所培
地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改善された最小必須培地(IMEM)、イーグル最小必須培地(
EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及び/又はイスコフ改変ダルベッコ培地(IMD
M)のうちの1以上を含む細胞培養培地で、細胞上清を生成するために使用される細胞を培
養することにより生成される。他の実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルを
決定する工程は、該細胞上清の複数の試料を用いて行われ、該細胞上清の試料は、細胞上
清を生成するために使用される細胞の培養物から異なる時点で抽出される。
【0033】
特定の実施態様において、方法は、該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;及び該R
BCから分けた白血球中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。一実施
態様において、本方法は、該白血球を急速凍結すること;該白血球を解凍して、白血球溶
解物を生成すること;及び解凍した白血球中の1種以上のタンパク質のレベルを決定するこ
と、を含む。別の実施態様において、本方法は、白血球を洗浄及び/若しくは培養するこ
とにより作製される細胞洗浄液並びに/又は細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを
決定すること、を含む。さらなる実施態様において、本方法は、該血液試料と抗凝固剤と
を接触させること;及び該RBCから分けた血小板中の1種以上のタンパク質のレベルを決定
すること、を含む。さらに他の実施態様において、本方法は、該血小板を急速凍結するこ
と;該血小板を解凍して、血小板溶解物を生成すること;及び解凍した血小板中の1種以上
のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。別の実施態様において、本方法は、血小
板を洗浄及び/若しくは培養することにより作製される細胞洗浄液並びに/又は細胞上清中
の1種以上のタンパク質のレベルを決定することを含む。
【0034】
いくつかの実施態様において、本方法は、該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;
及び該RBCから分けた血漿中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。
【0035】
本方法の他の実施態様において、急速凍結は、-5℃、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-5
0℃、-60℃、-70℃、-75℃、-80℃、100℃、-120℃、-140℃、-160℃、-180℃、-190℃、
-195℃、又は-196℃以下の温度である。本方法の他の実施態様において、該急速凍結及び
解凍は、複数の凍結-解凍サイクルを含む。
【0036】
本方法の別の実施態様において、白血球は、フローサイトメトリー及び/又はデキスト
ラン沈降によって該RBCから分けられる。他の実施態様において、血小板は、遠心分離に
よって該RBCから分けられる。
【0037】
本方法のさらに他の実施態様において、該血液試料は、採取中に血液安定剤と混合され
ている。別の実施態様において、該対象から採取された血液試料を、1種以上のタンパク
質のレベルを決定する前に、血液安定剤と接触させる。本方法のさらに別の実施態様にお
いて、該血液安定剤は、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤、タンパク質変性剤、RNA安定
剤、抗凝固剤、及び/又は抗凝固剤ではない別の安定剤と組み合わせた抗凝固剤のうちの1
以上である。本方法のいくつかの実施態様において、該血液安定剤は、抗凝固剤ではない
。別の実施態様において、該血液安定剤は、アプロチニン、ロイペプチン、α2-マクログ
ロブリン、アンチパイン二塩酸塩、カルパイン阻害剤I、カルパイン阻害剤II、キモスタ
チン、TLCK(CAS 131918-97-3)、トリプシン阻害剤、ペファブロックSC(Roche)、PMSF(C6H
5CH2SO2F-Thermo Fisher Scientific)、完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)、及び
それらの組み合わせからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害剤である。さらに他の実
施態様において、該抗凝固剤は、ヘパリン、ヘパリン硫酸塩、パールカン、アグリン、シ
ンデカン、ベータグリカン、グリピカン、セルグリシン、クエン酸塩、酸性クエン酸塩デ
キストロース、EDTA、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0038】
本方法の特定の実施態様において、該血液試料と該血液安定剤とを接触させる工程は、
該対象から血液試料が採取されてから5秒、10秒、20秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分
、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、7.5時間、又は10時間
以内に実行される。
【0039】
本方法の一実施態様において、該血液試料は、該対象の毛細血管から採取される。本方
法の他の実施態様において、該血液試料は、該対象の静脈から採取される。
【0040】
本方法のいくつかの実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程
は、該血液試料が採取された時の2分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、40分、50分
、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間
、11時間、12時間、18時間、24時間、36時間、又は48時間以内に行われる。
【0041】
特定の態様において、本方法はさらに、該対象から血液試料を採取する第1の工程を含
む。
【0042】
本開示のさらなる非限定的な実施態様を以下に記載する。
【0043】
本開示の特定の態様において、本明細書に提供されるのは、対象から採取された血液試
料からタンパク質プロファイルを作製する方法であって、血液試料又は血液試料成分から
細胞溶解物、細胞洗浄液、又は細胞上清を生成する工程;及び該細胞溶解物、該細胞洗浄
液、又は該細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程、を含み、該血液
試料又は該血液試料成分が赤血球を含む、前記方法である。本方法の一実施態様において
、該赤血球は、該血液試料又は該血液試料成分中に存在する血液細胞の総数の0.5%、1%
、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97.5%、98%
、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を構成する。別の実施態様において、
本方法は、該細胞溶解物、該細胞洗浄液、又は該細胞上清を生成する前に、該血液試料及
び/又は血液試料成分の白血球除去を含む。本方法のさらに他の実施態様は、該血液試料
又は該血液試料成分と血液安定剤とを接触させる工程;及び/又は該血液試料又は該血液試
料成分を急速凍結する工程、を含む。
【0044】
本開示の一態様において、本明細書に提供されるのは、対象から採取された血液試料か
らタンパク質プロファイルを作製することを含む方法であって、該血液試料又は該血液試
料成分の白血球除去により、赤血球(RBC)濃縮画分を生成する工程;該RBC濃縮画分から細
胞溶解物、細胞洗浄液、又は細胞上清を生成する工程;及び該細胞溶解物、該細胞洗浄液
、又は該細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程、を含む前記方法で
ある。一実施態様において、該白血球除去は、該血液試料中に存在する白血球数の90%、
92.5%、95%、97.5%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超が取り除かれた
RBC濃縮画分を提供する。本方法の別の実施態様において、該白血球除去は、全血液細胞
中のRBCの数の99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を含むRBC濃縮画分を提供
する。
【0045】
他の実施態様において、本方法は、該細胞溶解物、該細胞洗浄液、又は該細胞上清を生
成する前に、該RBC濃縮画分と血液安定剤とを接触させること;及び/又は該血液試料又は
該血液試料成分を急速凍結すること、を含む。さらに別の実施態様において、該RBC濃縮
画分を生成する工程は、前記急速凍結前に実行される。さらに別の実施態様において、該
RBC濃縮画分を生成する工程は、前記急速凍結後に実行される。
【0046】
本方法のいくつかの実施態様において、該細胞溶解物、該細胞洗浄液、又は該細胞上清
中の前記1種以上のタンパク質は、塩基性FGF、CTACK、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、HG
F、IFN-α2、IFN-γ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-12p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-1
8、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2ra、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF
、M-CSF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、
及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。別の実施態様において、該細胞溶解
物、該細胞洗浄液、又は該細胞上清中の前記1種以上のタンパク質は、表1に記載のタンパ
ク質若しくは表2に記載のタンパク質の組み合わせを含むか、又はそれらからなる。
【0047】
さらに他の実施態様において、本方法は、該血液試料、又は該血液試料成分の血小板除
去を含む。一実施態様において、該血小板除去は、該血液試料又は該血液試料成分中に存
在する血小板の総数の90%、92.5%、95%、97.5%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、
又は99.95%超を取り除く。
【0048】
別の実施態様において、該血液と血液安定剤とを接触させる工程及び/又は急速凍結す
る工程は、該対象から血液試料を採取する工程を行ってから5秒、10秒、20秒、30秒、1分
、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間
、7.5時間又は10時間以内に実行される。他の実施態様において、該細胞溶解物を生成す
る工程は、細胞の急速凍結及び解凍の1以上のサイクルを含む。
【0049】
他の実施態様において、本方法は、血液試料と抗凝固剤とを接触させること;及び該血
液試料又は該血液試料成分の前記白血球除去から得られた白血球中の1種以上のタンパク
質のレベルを決定すること、を含む。特定の実施態様において、本方法は、該血液試料又
は該血液試料成分の前記白血球除去から得られた白血球を急速凍結すること;該白血球を
解凍すること;及び解凍した白血球中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を
含む。さらなる実施態様において、本方法は、該血液試料と抗凝固剤とを接触させること
;該血液試料又は該血液試料成分の前記血小板除去から得られた血小板中の1種以上のタン
パク質のレベルを決定すること、を含む。さらに他の実施態様において、本方法は、該血
液試料又は該血液試料成分の前記血小板除去から得られた血小板を急速凍結すること;血
小板を解凍すること;及び解凍した血小板中の1種以上のタンパク質のレベルを決定するこ
と、を含む。
【0050】
さらに他の実施態様において、本方法は、該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;
該血液試料又は該血液試料成分から血漿を分離すること;及び該血漿中の1種以上のタンパ
ク質のレベルを決定すること、を含む。さらなる実施態様において、本方法はさらに、該
血漿を急速凍結すること;該血漿を解凍すること;及び解凍した血漿中の1種以上のタンパ
ク質のレベルを決定すること、を含む。
【0051】
いくつかの実施態様において、該血液試料又は該血液試料成分の血小板除去は、遠心分
離によるものである。他の実施態様において、該血液試料又は該血液試料成分の白血球除
去は、フローサイトメトリー及び/又はデキストラン沈降によるものである。さらに他の
実施態様において、急速凍結する工程は、-5℃、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-
60℃、-70℃、-75℃、又は-80℃未満の温度である。さらなる実施態様において、解凍し
て、細胞溶解物を作製する工程は、1回の凍結-解凍サイクル、2回の凍結-解凍サイクル、
3回の凍結-解凍サイクル、4回の凍結-解凍サイクル、5回の凍結-解凍サイクル、又は3回
以上の凍結-解凍サイクル、4回以上の凍結-解凍サイクル、5回以上の凍結-解凍サイクル
、又は6回以上の凍結-解凍サイクルを含む。
【0052】
本方法の他の実施態様において、該血液試料又は該血液試料成分は、ヘパリン及び/又
はEDTAを含む。
【0053】
本方法のさらに他の実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程
は、該細胞洗浄液を用いて行われる。別の実施態様において、該細胞洗浄液は、2以上の
細胞洗浄液を組み合わせることによって生成される。さらに別の実施態様において、該細
胞洗浄液は、等張塩溶液、平衡化塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハ
ンクス平衡化塩溶液(HBSS)、及びアール平衡化塩溶液(EBSS)のうちの1以上を含む洗浄液
を用いて生成される。
【0054】
本方法の特定の実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程は、
該細胞上清を用いて行われる。別の実施態様において、該細胞上清は、ロズウェルパーク
記念研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改善された最小必須培地(IMEM)、イーグル
最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及びイスコフ改変ダルベッコ
培地(IMDM)のうちの1以上を含む細胞培養培地中で、細胞上清を生成するために使用され
る細胞を培養することによって生成される。
【0055】
本方法の他の実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程は、細
胞上清の複数の試料を用いて行われ、該細胞上清の試料は、上清を生成するために使用さ
れる細胞の培養物から異なる時点で抽出される。
【0056】
別の実施態様において、本方法は、血液試料と抗凝固剤とを接触させること;該血液試
料又は該血液試料成分の白血球除去から得られた白血球中の1種以上のタンパク質のレベ
ルを決定すること、を含む。他の実施態様において、本方法は、該血液試料と抗凝固剤と
を接触させること;並びに該血液試料又は該血液試料成分の白血球除去から得られた白血
球を洗浄及び/若しくは培養することにより作製された細胞洗浄液並びに/又は細胞上清中
の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。さらに他の実施態様において
、本方法は、該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;及び該血液試料又は該血液試料
成分の血小板除去から得られた血小板中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること
、を含む。さらに他の実施態様において、本方法は、該血液試料と抗凝固剤とを接触させ
ること;並びに該血液試料又は該血液試料成分の血小板除去から得られた血小板を洗浄及
び/若しくは培養することにより作製された血小板洗浄液並びに/又は血小板上清中の1種
以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。別の実施態様において、本方法は、
該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;該血液試料から血漿を分離すること;及び該血
漿中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。
【0057】
他の実施態様において、該血小板除去は遠心分離を含む。別の実施態様において、該白
血球除去は、フローサイトメトリー及び/又はデキストラン沈降を含む。
【0058】
他の実施態様において、該血液試料又は該血液試料成分は、ヘパリン及び/又はEDTAを
含む。さらなる実施態様において、本方法は、細胞洗浄液又は細胞上清を生成する工程の
前に、該血液試料又は該血液試料成分と血液安定剤とを接触させる工程を含む。別の実施
態様において、該血液安定剤と接触させる工程は、対象から血液試料が採取されてから5
秒、10秒、20秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2
時間、3時間、4時間、5時間、7.5時間又は10時間以内に実行される。
【0059】
いくつかの実施態様において、該血液安定剤は、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質変性
剤、RNA安定剤、抗凝固剤、及び/又は抗凝固剤ではない別の安定剤と組み合わせた抗凝固
剤;抗凝固剤ではなく、かつ/又はヘパリン、EDTA、EGTA、クエン酸塩(例えば、クエン酸
ナトリウム)、又はフッ化物(例えば、フッ化ナトリウム)ではない別の安定剤と組み合わ
せた抗凝固剤である。
【0060】
特定の実施態様において、該血液試料は、該対象の毛細血管から採取される。他の実施
態様において、該血液試料は、該対象の静脈から採取される。
【0061】
本方法の他の実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程は、該
血液試料が採取される時の2分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、40分、50分、1時
間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11
時間、12時間、18時間、24時間、36時間、又は48時間以内に行われる。
【0062】
本開示の一態様において、本明細書に提供されるのは、対象の血液試料からタンパク質
プロファイルを作製する方法であって、対象から取得された全血試料から細胞溶解物を生
成する工程;及び該細胞溶解物中の1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程、を含む
前記方法である。一実施態様において、本方法は、該全血試料を急速凍結すること;該全
血試料を解凍して、細胞溶解物を生成すること;及び該細胞溶解物中の1種以上のタンパク
質のレベルを決定すること、を含む。別の実施態様において、全血試料を解凍して、細胞
溶解物を作製する前記工程は、2回以上の凍結-解凍サイクル、3回以上の凍結-解凍サイク
ル、又は4回以上の凍結-解凍サイクルを含む。さらに他の実施態様において、急速凍結は
、-5℃、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-75℃、-80℃、-90℃、-1
00℃、-120℃、-104℃、-160℃、-180℃、-190℃、-200℃未満の温度である。
【0063】
本方法の特定の実施態様において、該細胞溶解物中の1種以上のタンパク質は、塩基性F
GF、CTACK、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN-γ、IL-10、IL-12p70、I
L-13、IL-12p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2ra、IL-3
、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF、M-CSF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-B
B、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、及びそれらの組み合わせからなる群から選
択される。いくつかの実施態様において、該細胞溶解物中の1種以上のタンパク質は、表1
に記載のタンパク質;若しくは表2に記載のタンパク質の組み合わせを含むか、又はそれら
からなる。
【0064】
他の実施態様において、本方法は、該細胞溶解物を生成する工程の前に、該全血試料と
血液安定剤とを接触させる工程を含む。別の実施態様において、該血液安定剤は、プロテ
アーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、RNA安定剤、抗凝固剤、及び/又は抗凝固剤ではない別
の安定剤と組み合わせた抗凝固剤;抗凝固剤ではなく、かつ/又はヘパリン、EDTA、EGTA、
クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、又はフッ化物(例えば、フッ化ナトリウム)で
はない別の安定剤と組み合わせた抗凝固剤である。さらに別の実施態様において、該全血
試料と該血液安定剤との接触は、全血試料が採取された時に生じるか、又は全血試料が採
取された時の5秒、10秒、20秒、30秒、45秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30
分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、7.5時間若しくは10時間以内に生じる。
さらに他の実施態様において、本方法は、該全血試料と抗凝固剤とを接触させることを含
む。別の実施態様において、該抗凝固剤は、ヘパリン及び/又はEDTAである。本方法のさ
らなる実施態様において、該全血試料は、該対象の毛細血管から採取される。別の実施態
様において、該全血試料は、該対象の静脈から採取される。
【0065】
本方法のさらに他の実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程
は、該全血試料が該対象から採取されている工程の2分、5分、10分、15分、20分、25分、
30分、40分、50分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時
間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、36時間、又は48時間以内に行わ
れる。
【0066】
要約で説明した実施態様に加えて、他の実施態様は、本明細書、図面、及び特許請求の
範囲に開示される。要約は、それぞれ及び全ての実施態様を網羅することを意図しない。
組み合わせ又は変形は、本開示と共に企図される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
(図面の簡単な説明)
本開示の実施態様は、添付の図面を参照しながら、ほんの一例として記載される。
【0068】
【
図1】
図1A~1Cは、IgG対照に対するCD44についてのRBC免疫表現型検査の結果を示す。細胞(灰色のヒストグラム)は、CD44について陽性である(n=3)。
【
図2】
図2は、細胞(灰色のヒストグラム)がCD74について陰性であることを実証するIgG対照に対するCD74についてのRBC免疫表現型検査の結果を示す(n=3)。
【
図3】
図3は、陽性(染色)試料の血液スライドのアルカリリン酸染色(alkaline phosphate staining)によるMIFの免疫細胞化学の結果を示す(n=1)。
【
図4】
図4は、陰性(未染色)対照の血液スライドのアルカリリン酸染色によるMIFの免疫細胞化学の結果を示す(n=1)。
【
図5】
図5は、陰性対照のRA滑膜のHRP染色によるMIFの免疫組織化学の結果を示す(n=1)。
【
図6】
図6は、陽性対照のRA滑膜のHRP染色による免疫細胞化学の結果を示す(n=1)。
【
図7】
図7は、指穿刺から採取した血液を用いてFACSにより分離したRBC中のマクロファージ遊走阻止因子(MIF)濃度を示すグラフである(n=4)。
【
図8】
図8は、指穿刺及び静脈穿刺から採取した血液を用いてFACSにより分離したRBC中のMIF濃度を示すグラフである(n=1)。
【
図9】
図9は、静脈穿刺から採取した血液を用いてFACS、デキストラン沈降及びRBC溶解緩衝液により分離したRBCを示すグラフである(n=1)。
【
図10】
図10A~10Cは、IgGに対するCD45の免疫表現型検査を用いて分離したRBCにおけるWBC混入の試験の結果を示す。細胞(灰色のヒストグラム)は、CD45について大部分は陰性であった(n=3)。
【
図11】
図11A~11GGは、洗浄処理されていないRBCと比べて、洗浄処理したRBC中の様々なタンパク質のレベルを示す一連のグラフである。
【
図12】
図12は、BioPlexにより測定し、pg/mL(100μLのPBS中2000万個のRBC)として報告する、37℃で24時間かけてRBCからPBSに分泌又は放出されるタンパク質をまとめたグラフである。データを平均±SDとして提示した。
【
図13】
図13は、BioPlexにより測定し、pg/mL(100μLのPBS中2000万個のRBC)として報告する、37℃で24時間かけてRBCからPBSに分泌又は放出されるタンパク質をまとめたグラフである。データを平均±SDとして提示した。
【
図14】
図14は、BioPlexにより測定し、pg/mL(100μLのPBS中2000万個のRBC)として報告する、37℃で24時間かけてRBCからPBSに分泌又は放出されるタンパク質をまとめたグラフである。データを平均±SDとして提示した。
【
図15】
図15は、BioPlexにより測定し、pg/mL(100μLのPBS中2000万個のRBC)として報告する、37℃で24時間かけてRBCからPBSに分泌又は放出されるタンパク質をまとめたグラフである。データを平均±SDとして提示した。
【
図16】
図16A~16Zは、RBCから分泌されるタンパク質の濃度(黒カラム)及びインキュベーション後に細胞中に残存するタンパク質の濃度(灰色カラム)に対するプロテアーゼ阻害剤(PI)の効果を示す一連のグラフである。
【
図17】
図17は、血漿レベルに正規化した時の、溶解した全血におけるCRPの倍数変化を示すグラフである。
【
図18】
図18は、血漿中及び精製し、溶解したRBC中のCRPの濃度を示すグラフである。
【
図19】
図19A~19TTは、少量の全血中の様々なタンパク質レベルを示す一連のグラフである。
【
図20】
図20A~20AAは、指穿刺(FT)又は静脈穿刺(V)によって健常対象から採取した全血試料から分離した赤血球中の様々なタンパク質レベルを示す一連のグラフである。
【
図21】
図21A~21Bは、血漿中のレベルに対する赤血球中の様々なタンパク質レベルの比を示すチャートである。
【
図22】
図22A~22Gは、塩化リチウムと接触させた赤血球中の様々なタンパク質レベルを示す一連のグラフである。
【
図23】
図23A~23VVは、健常個体、健常妊婦、子癇前症妊婦、及び癌患者から分離した赤血球中の様々なタンパク質レベルの差を示す一連のグラフである。
【
図24】
図24A~24Cは、癌患者から分離した血漿のレベルに対する赤血球中の様々なタンパク質レベルの比を示すチャートである。
【
図25】
図25A~25RRは、健常個体、健常妊婦、子癇前症妊婦、及び腫瘍患者から分離した赤血球から分泌又は放出された様々なタンパク質レベルを示す一連のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0069】
(定義)
本出願で使用する場合、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その」は、文脈が特に
明確に指示しない限り、複数の言及を含む。例えば、用語「細胞溶解物」は、複数の細胞
溶解物を含む。
【0070】
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprising)」は「含む(including)」を意味す
る。「含む(comprise)」「含む(comprises)」などの単語「含む(comprising)」の変形は
、対応して変化する意味を有する。したがって、例えば、工程「A」及び「B」を「含む」
方法は、専ら工程「A」及び「B」からなり得るか、又は1以上の追加の工程(例えば、工程
「A」、「B」及び「C」)を含み得る。
【0071】
詳細な説明で使用される主題の見出しは、参照の容易さ又は読者のために含まれており
、本開示又は特許請求の範囲を通して見られる主題を制限するために使用されるべきでは
ない。主題の見出しは、請求項の範囲又は請求項の制限の解釈に使用されるべきではない
。
【0072】
本明細書で使用する場合、用語「対象」には、ウシ、ウマ、ヒツジ、霊長類、鳥及び齧
歯類種を含む経済的、社会的又は研究に重要な任意の動物が含まれる。したがって、「対
象」は、例えば、ヒト又は非ヒト哺乳動物などの哺乳動物であり得る。
【0073】
本明細書で使用する場合、用語「抗体(antibody)」及び「抗体(antibodies)」は、IgG(
IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む)、IgA(IgA1及びIgA2を含む)、IgD、IgE、又はIgM、
及びIgY、単鎖全抗体を含む全抗体、及びその抗原結合断片を含む。抗原結合抗体断片に
は、Fab、Fab’及びF(ab’)2、Fd、単鎖Fvs(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs(sdF
v)及びVL又はVHドメインのいずれかを含む断片が含まれるが、これらに限定されない。該
抗体は、任意の動物起源に由来し得る。単鎖抗体を含む抗原結合抗体断片は、可変領域(
複数可)を単独で、又は以下のもの:ヒンジ領域、CH1、CH2、及びCH3ドメインの全体若し
くは部分と組み合わせて含むことができる。可変領域(複数可)及びヒンジ領域、CH1、CH2
、及びCH3ドメインの組み合わせも含まれる。抗体は、特異的に生体分子と結合するモノ
クローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、多重特異性抗体、ヒト化抗体、並び
にヒトのモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体であり得る。
【0074】
本明細書で使用する場合、用語「タンパク質」は、ペプチド結合によって共に連結され
たアミノ酸から構成されるポリマーを指す。
【0075】
本明細書で使用する場合、用語「タンパク質プロファイル」は、試料中に存在するタン
パク質(複数可)及び/又はタンパク質断片(複数可)を指す。該試料は、細胞を含んでも、
又は含まなくてもよい。該試料が細胞を含む場合、該タンパク質又はタンパク質断片は、
細胞内に、及び/又は細胞表面に部分的若しくは完全に存在し得る。必要条件ではないが
、該タンパク質プロファイルはまた、該試料中のタンパク質(複数可)及び/又はタンパク
質断片(複数可)についての定量的情報を提供し得る。
【0076】
本明細書で使用する場合、用語「血液試料」は、少なくとも部分的に血液及び/又は血
液成分を含む試料を指す。該血液試料は、1以上の対象から直接、又は1以上の対象の血液
の既存のコレクションから採取することができる。該血液試料は、当技術分野で公知のい
くつかの方法によって、例えば、身体部分(例えば、腕、足、耳)の静脈穿刺(例えば、翼
状針及びバキュテナー、直針及びバキュテナー、並びに翼状針及びシリンジ)、又は穿刺(
例えば、指穿刺、踵穿刺、又は耳穿刺)によってヒト対象から採取することができる。該
血液試料は、当技術分野で公知のいくつかの方法によって、例えば、任意の身体部分(例
えば、尾部、腕、脚(例えば、大腿部)、鼻、顔、耳、胸部、首/喉、舌、心臓)の静脈穿刺
(例えば、針及びシリンジ)又は穿刺(例えば、指穿刺、踵穿刺、耳穿刺又は尾部穿刺)によ
って、非ヒト哺乳動物対象から採取することができる。該血液試料は、当技術分野で公知
のいくつかの方法によって、例えば、身体部分(例えば、翼、喉、心臓)の静脈穿刺(例え
ば、針及びシリンジ)によって他の非ヒト動物(例えば、ニワトリ、鳥)から採取すること
ができる。
【0077】
本明細書で使用する用語「血液細胞」又は「血液試料中に存在する細胞」は、赤血球及
び白血球を含む試料中の細胞を指すが、血小板を除外する。
【0078】
本明細書で使用する場合、用語「赤血球濃縮血液試料」又は「RBC濃縮画分」は、RBCの
割合が、濃縮前の血液試料のものと比較して増加した試料又は試料の成分を指す。RBCの
割合は、例えば、試料からのRBCではない細胞型(複数可)を除去すること(例えば、白血球
の除去(白血球除去)及び/又は血小板の除去)により、並びに/又は別々の試料を提供する
ために、試料中の他の細胞型(複数可)からRBCを取り出すことにより増加させることがで
きる。RBC濃縮画分は、全血液細胞数の99.5%超、99.6%超、99.7%超、99.75%超、99.8
%超、99.85%超、99.9%超、99.5%超、約100%の赤血球、又は100%の赤血球を含み得
る。
【0079】
本明細書で使用される場合、用語「急速凍結」は、一般的に、急速期間内で(例えば、
数ミリ秒、1~2秒、1~5秒、1~10秒、1~15秒、1~20秒、10~20秒、10~30秒、30~60
秒、1分未満、又は2分未満の期間で)、凝固点未満の温度まで血液細胞(例えば、RBC)及び
/又は血漿/血清を凍結することを指す。
【0080】
本明細書で使用する場合、「白血球除去」は、別々の白血球除去試料を提供するために
、例えば、血液試料又は血液試料成分から白血球を取り除くことによって、あるいは該血
液試料又は該血液試料成分から他の血液構成物(複数可)を取り出すことによって、該血液
試料又は該血液試料成分中の白血球の割合を低減することを指す。いくつかの実施態様に
おいて、白血球除去には、血小板除去が含まれる。
【0081】
本明細書で使用する場合、「血小板除去」は、別々の血小板除去試料を提供するために
、例えば、血液試料又は血液試料成分から血小板を取り除くことによって、あるいは該血
液試料又は該血液試料成分から他の血液構成物(複数可)を分離することによって、該血液
試料又は該血液試料成分中の血小板の割合を低減することを指す。
【0082】
本明細書で使用する場合、「細胞上清」は、所定の温度又は所定の温度範囲で、所定の
期間、例えば、30分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、
96時間、又は120時間超の間、集団細胞の培養に用いられる細胞培養培地を意味すると理
解される。
【0083】
本明細書で使用する場合、「細胞洗浄液」は、細胞洗浄液が細胞培養のための培地とし
て使用されない限り、細胞集団をすすぐために使用されており、上記で定義した細胞上清
と異なる液体を意味すると理解される。したがって、「細胞洗浄液」を作製するために使
用される流体は、30分、20分、15分、10分、5分、4分、3分、2分、1分、又は30秒未満の
期間、細胞集団と混合することができる。
【0084】
本明細書で使用する場合、「培地」は、血液試料内の細胞、血液試料から分離した細胞
、又は血液試料から分離した細胞から生成された細胞成分の生存率を維持する能力を有す
る組成物を指す。該培地は、細胞の成長及び増殖を刺激するか、又は特定の及び/又は既
存の状態で細胞を維持することができる。培地の非限定的な例としては、等張塩溶液、平
衡化塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡化塩溶液(HBSS)、
アール平衡化塩溶液(EBSS)、ロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM
)、改善された最小必須培地(IMEM)、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イー
グル培地(DMEM)、及びイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)が挙げられる。
【0085】
本明細書で使用する場合、用語「少量」は、1ミリリットル以下である血液の量を指す
。少量は、1μL~100μL、100μL~200μL、200μL~300μL、300μL~400μL、400μL~
500μL、500μL~600μL、600μL~700μL、700μL~800μL、800μL~900μL及び900μL
~1000μLであり得る。いくつかの実施態様において、少量は、50μL~100μL、100μL~
150μL、150μL~200μL、200μL~250μL、250μL~300μL、300μL~350μL、350μL~
400μL、400μL~450μL、450μL~500μL、500μL~550μL、550μL~600μL、600μL~
650μL、650μL~700μL、700μL~750μL、750μL~800μL、800μL~850μL、850μL~
900μL、900μL~950μL、950μL~1000μLである。いくつかの実施態様において、少量
は、1μL~10μL、10μL~20μL、20μL~30μL、30μL~40μL、40μL~50μL、50μL~
60μL、60μL~70μL、70μL~80μL、80μL~90μL、又は90μL~100μLである。他の実
施態様において、少量は、1μL~5μL、5μL~10μL、10μL~15μL、15μL~20μL、20
μL~25μL、25μL~30μL、30μL~35μL、35μL~40μL、40μL~45μL、45μL~50μL
、50μL~55μL、55μL~60μL、50μL~65μL、65μL~70μL、70μL~75μL、75μL~8
0μL、80μL~85μL、85μL~90μL、90μL~95μL、又は95μL~100μLである。いくつ
かの実施態様において、少量は、5μL~10μL、5μL~15μL、5μL~20μL、5μL~25μL
、5μL~30μL、5μL~35μL、5μL~40μL、5μL~45μL、5μL~50μL、5μL~55μL、
5μL~60μL、5μL~65μL、5μL~70μL、5μL~75μL、5μL~80μL、5μL~85μL、5
μL~90μL、5μL~95μL、又は5μL~100μLである。他の実施態様において、少量は、1
μL、2μL、3μL、4μL、5μL、6μL、7μL、8μL、9μL、10μL、11μL、12μL、13μL
、14μL、15μL、16μL、17μL、18μL、19μL、20μL、21μL、22μL、23μL、24μL、2
5μL、26μL、27μL、28μL、29μL、30μL、31μL、32μL、33μL、34μL、35μL、36μ
L、37μL、38μL、39μL、40μL、41μL、42μL、43μL、44μL、45μL、46μL、47μL、
48μL、49μL、又は50μLである。
【0086】
本明細書で使用する場合、用語「検出可能なレベル」又は「検出のレベル」は、試料(
例えば、血液試料)中のタンパク質などの所望の分子の存在を示す及び/若しくは示唆する
組成物又は薬剤の能力を指す。本明細書に開示する方法に記載の赤血球濃縮試料において
、例えば、タンパク質の検出可能なレベルは、検出に利用可能なタンパク質の増加により
増加し得る。この増加は、例えば、タンパク質の検出を予防及び/又は減少させるタンパ
ク質-分子相互作用(例えば、タンパク質-タンパク質、タンパク質-膜、タンパク質-核酸)
の破壊を介する1以上の理由に起因し得る。
【0087】
本明細書で使用する場合、RBCからのタンパク質「放出」は、活性又は不活性機構によ
って、(i)RBCの細胞内領域若しくは内部からRBCの表面及び/又は細胞外若しくは外部の領
域(例えば、血漿、血清、若しくは培地)へ移動したか、又は(ii)RBCの細胞外若しくは外
部の領域(例えば、血漿、血清若しくは培地)からRBCの表面及び/又は細胞外領域若しくは
外部に移動したタンパク質を指す。いくつかの実施態様において、該タンパク質は、当技
術分野で公知の細胞表面タンパク質結合相互作用(例えば、受容体、共有結合、非共有結
合、接着)によってRBCの表面に結合する。さらなる実施態様において、該表面結合タンパ
ク質は、RBC細胞外又は外部領域(例えば、血漿、血清、若しくは培地中)に放出されて、
戻され得る。
【0088】
本明細書で使用する場合、「治療」は、疾患、障害、若しくは病態及び/又はそれに関
連する症状の1以上の症状の予防、軽減、又は改善を含む、疾患、障害、若しくは病態を
予防、管理、軽減、又は改善するのに使用することができる1以上の療法、プロトコル、
方法及び/又は薬剤を指す。特定の実施態様において、用語「治療(treatment)」」及び「
治療(treatments)」は、医療関係者などの当業者に公知の疾患、障害、若しくは病態を予
防、管理、軽減、及び/又は改善するのに有用な生物学的療法、支持療法、並びに/又は他
の療法を指す。
【0089】
本明細書で使用する場合、語句「実質的に類似」又は「実質的に同一」は、当業者が2
つの値(例えば、タンパク質濃度/レベル)間の差を、値によって測定された生物学的特性
との関連でほとんど若しくは全く生物学的に及び/又は統計的に有意でないとみなすよう
に、2つの数値間の十分に高い類似性を示す。例えば、2つの値の間の差は、約50%未満、
約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、又は約5%未満であり得る。
【0090】
本明細書で使用する場合、用語「キット」は、本明細書に記載の方法を実行するのに必
要な全ての成分を有する送達システムを指す。非限定的な例としては、該キットは、採血
、抗凝固剤(複数可)、血液安定剤(複数可)、RBCの濃縮、非RBC血液成分の除去/分離、血
液又はその成分(複数可)の急速凍結、細胞の溶解、細胞の洗浄、細胞の培養、細胞内及び
/若しくは細胞外での特異的標的タンパク質(複数可)の検出、又はそれらの組み合わせの
ための手段を含むことができる。いくつかの実施態様において、キットは、以下のもの:
対象から血液試料を採取するための装置(複数可)(例えば、注射器、針、翼状針、チュー
ブ、針ホルダ、採血セット、移送装置、バキュテナー、hemaPEN(商標));対象から乾燥血
液試料を採取するための装置(複数可)(例えば、濾紙、カード、HemaSpot(商標));液体血
液試料から赤血球画分、白血球画分、及び/又は血小板画分を取得するための装置(複数可
)(例えば、抗体コーティング磁気ビーズ);抗凝固剤;プロテアーゼ阻害剤;及びタンパク質
変性剤などのうちの1以上を含み得る。そのような送達システムは、ある場所から別の場
所へ反応試薬(例えば、適切な容器中の標識、参照試料、支持材料など)及び/若しくは支
持材料(例えば、緩衝液、アッセイを実行するための説明書など)の保管、輸送、又は送達
を可能にするシステムを含む。例えば、キットには、関連する反応試薬及び/又は支持材
料を含有する箱などの1以上のエンクロージャが含まれ得る。用語「キット」は、分けら
れたキットと組み合わされたキットの両方を含む。
【0091】
本明細書で使用する場合、用語「分けられたキット」は、全キット成分のサブポーショ
ンを含有する2以上の別々の容器を含む送達システムを指す。該容器は、共に又は別々に
意図された受け手に送達され得る。それぞれが全キット成分のサブポーションを含有する
2以上の別々の容器を含む送達システムは、用語「分けられたキット」の意味に含まれる
。
【0092】
本明細書で使用する場合、「組み合わされたキット」は、単一容器(例えば、所望の成
分のそれぞれを保有する単一ボックス)に反応アッセイの成分の全てを含有する送達シス
テムを指す。
【0093】
本明細書での先行技術文書のいずれかの説明、又はそれらの文書から導かれるか、若し
くはそれに基づく本明細書での記述は、その文書又は導かれる記述が関連分野の共通の一
般的知識の一部であることを認めるものではない。
【0094】
(詳細な説明)
血液中のタンパク質レベルをプロファイリングするための現在使用されている技術は、
典型的には、分析を血清/血漿及び/又はPBMCに制限している。RBCは、タンパク質プロフ
ァイルを作製する前に、日常的に血液処理中に取り除かれる。
【0095】
本発明者らは、RBCが様々なサイトカイン及びケモカインを含むタンパク質マーカーの
有意な供給源を提供するという予想外の決定を行った。したがって、RBCは、本明細書に
記載の様々なタンパク質マーカーの供給源を提供することを以前に認識されず、タンパク
質プロファイリングからのそれらの排除が不十分かつ/又は不正確な評価を提供するとい
う点で、現在の技術の欠点が確認された。本開示は、RBCの分析を組み込む、血液からの
タンパク質プロファイルを作製する方法を提供することによって、この欠点を修正する。
特に、本開示は、RBC内で新たに特定されたタンパク質の存在又はレベルを評価すること
によって濃縮赤血球試料のタンパク質プロファイルを生成するための新規かつ有用な実験
室技術を提供する。
【0096】
また、血液中のタンパク質プロファイリングは、例えば、血液源(例えば、静脈、毛細
血管など)、抗凝固剤が使用されるかどうか、使用される抗凝固剤の種類、採取後タンパ
ク質含有量が測定される時間枠、採取時に最初に血液が安定化されるかどうか、及び分析
される特定の血液コンパートメント(複数可)を含むいくつかの要因に応じて変化し得るこ
とが本発明者らによって決定された。特定の作用モードに限定されないが、上記のものを
含む要因から生じる血液タンパク質プロファイルの変化は、少なくとも部分的に、多数の
異なるタンパク質(例えば、サイトカイン及びケモカイン)を隔離並びに放出するRBCの以
前には知られていなかった能力から生じると仮定される。RBCによるタンパク質放出(ある
いは隔離)の程度は、血液採取及び処理中に生じる様々な要因によって影響されると考え
られる。したがって、特定の血液コンパートメント(例えば、血漿/血清)のタンパク質プ
ロファイルが血液源(例えば、静脈、毛細血管など)、抗凝固剤、採取後測定前の時間枠、
及び/又は安定剤の存在/不在などの要因によって著しく影響を受けることが知られていな
かったという点で、現在の技術のさらなる欠点が確認された。本開示は、RBCコンパート
メントのタンパク質プロファイルも考慮しながら、血液の採取及び処理中にRBCタンパク
質プロファイルの変化を最小限に抑えるように、血液からタンパク質プロファイルを作製
する方法を提供することによってこの欠点を修正する。
【0097】
以下の説明は、当業者が実践できるほど十分詳細に、本開示の例示的な実施態様を示す
。記載される様々な実施態様の特徴又は限定は、必ずしも本開示の他の実施態様又は本開
示全体を限定するものではない。したがって、以下の詳細な説明は、特許請求の範囲によ
ってのみ定義される本開示の範囲を限定するものではない。
【0098】
(赤血球(RBC)におけるタンパク質プロファイリング)
血液タンパク質の分析は、典型的には、分けた血清/血漿及び/又はPBMCを用いて実行さ
れる。血液の主要成分であり、非常に豊富な細胞型(通常、全血液細胞の99%超)にもかか
わらず、RBCは、日常的にタンパク質プロファイリングアッセイから除外される。
【0099】
本開示は、少なくとも部分的に、RBCが例えば、対象における診断結果及び予後結果に
関連するいくつかの異なるタンパク質マーカーを含有するという予期せぬ観察から生じて
いる。RBCが血液のかなりの部分及びほとんどその全細胞成分であることを考慮すると、
血液の全体的なタンパク質マーカー内容物のより完全な状況を知るために、RBCのタンパ
ク質プロファイルを評価することは有用である。
【0100】
本開示はまた、血液試料、赤血球濃縮試料、及び/又はRBCを含む血液試料成分からタン
パク質プロファイルを作製する方法を提供する。いくつかの実施態様において、RBCの数
は、該血液試料又は該血液試料成分中に存在する血液細胞の総数の0.5%、1%、5%、10
%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97.5%、98%、99%、99
.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を構成する。
【0101】
(血液試料)
本方法で採取される血液試料は、本明細書で定義される通りであり(例えば、「血液試
料」を参照されたい)、対象又は血液の既存のコレクション(例えば、1以上の対象から以
前に採取された血液)から採取することができる。該血液試料は、当業者に公知の例示的
な手段を用いて対象から採取することができる(例えば、世界保健機関、「血液、血液成
分及び血漿誘導体の採取、処理並びに品質管理のための要件」、世界保健機関の技術レポ
ートシリーズ、番号840、1994、附属書2(World Health Organisation, “Requirements f
or the collection, processing and quality control of blood, blood components and
plasma derivatives”, World Health Organisation Technical report Series, No. 84
0, 1994, Annex 2)を参照されたい)。非限定的な例としては、該血液試料は、静脈血、毛
細管血、動脈血又はそれらの組み合わせを用いて対象から採取することができる。
【0102】
いくつかの実施態様において、少量の血液試料は、対象又は血液の既存のコレクション
から採取される。該少量は、例えば、穿刺(例えば、指穿刺、踵穿刺、耳穿刺、尾部穿刺)
を含む、当業者に公知の方法によって対象から採取することができる。一実施態様におい
て、該少量の血液試料は、指穿刺、踵穿刺、又は耳穿刺により(例えば、ヒトから)採取さ
れる。別の実施態様において、該少量の血液試料は、尾部穿刺により(例えば、マウス又
はラットから)採取される。他の実施態様において、該少量の血液試料は、指穿刺により
採取される。他の実施態様において、該少量の血液試料は、踵穿刺により(例えば、乳児
から)採取される。さらに他の実施態様において、該少量の血液試料は、耳穿刺により採
取される。さらなる実施態様において、該少量の血液試料は、尾部穿刺により採取される
。
【0103】
いくつかの実施態様において、該少量は本明細書に定義される通りである(例えば、「
少量」を参照されたい)。他の実施態様において、該少量は5μL~100μLである。別の実
施態様において、該少量は5μL~50μLである。他の実施態様において、該少量は5μL~2
0μLである。さらに他の実施態様において、該少量は5μL~10μLである。さらに他の実
施態様において、該少量は5μLである。
【0104】
より多い量の血液試料と比較して、少量の血液試料採取は対象への害(例えば、疼痛、
失血、血中濃度の遅い回復)を減少させるので、少量の血液試料採取は、例えば、対象の
より頻繁な試料採取を可能にする。例えば、総合的な血液分析は、動物を犠牲にしなけれ
ばならないほど多くの血を必要とするので、現在の方法を用いて、小動物(例えば、ラッ
ト、マウス)からの頻繁な採血は達成可能ではない。同様に、失血からの害を防ぐために
、乳児は穿刺(例えば、踵穿刺)によってのみ頻繁に安全に採取することができる。本明細
書に提供される方法によれば、少量の血液試料は、特定の実施態様において、1日1回以上
、1日2回以上、1日3回以上、1日4回以上、及び1日5回以上の頻度で採取することができる
。他の実施態様において、少量の血液試料は、1週間に1回以上、1週間に2回以上、1週間
に3回以上、1週間に4回以上、1週間に5回以上、1週間に6回以上、及び1週間に7回以上採
取される。他の実施態様において、少量の血液試料は毎日採取される。さらに他の実施態
様において、少量の血液試料は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、及び4週間に1回
採取される。特定の実施態様において、少量の血液試料は、月に1回採取される。
【0105】
(濃縮赤血球試料又は画分)
いくつかの実施態様において、本方法は、赤血球濃縮血液試料若しくは赤血球濃縮画分
からタンパク質プロファイルを生成又は作製すること、並びに赤血球濃縮試料若しくはそ
の画分中の1種以上のタンパク質のレベルを決定することを含む。該赤血球濃縮試料及び
赤血球濃縮画分は、例えば、白血球除去及び/又は血小板除去により、対象から採取した
血液試料から生成することができる。追加的又は代替的に、RBCは、赤血球濃縮試料又は
画分を生成するために試料から取り出すことができる。
【0106】
白血球除去及び血小板除去の方法は当業者に周知である(例えば、Wenz,B.の文献、「白
血球除去された血液生成物の臨床的利益(Clinical Benefits of Leukodepleted Blood Pr
oducts)」の中の「白血球除去の方法(Methods for leukodepletion)」、pp5-16,1995,Spr
inger Berlin Heidelberg;Novotny V.,及びBrand,A.の文献、「現代の輸血医学(Modern T
ransfusion Medicine)」の中の「白血球の少ない血液及び血小板輸血(Leukocyte-Poor Bl
ood and Platelet Transfusions)」、pp117-121,1995,CRC Press社;White及びJenningsの
文献、「血小板プロトコル:研究及び臨床検査手順(Platelet Protocols: Research and
Clinical Laboratory Procedures)」,1999,Academic Pressを参照されたい)。白血球除去
のための適切な技術の非限定的な例としては、フローサイトメトリー、デキストラン沈降
、及びフィコール/パーコール密度勾配遠心分離などが挙げられる。
【0107】
本開示はまた、赤血球濃縮試料を生成し、該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質
の存在を検出するか又はそのレベルを測定することによって、血液試料中の1種以上のタ
ンパク質の検出又は測定の感度を高める方法を提供する。特定の実施態様において、デキ
ストランに対する血液の比は、1:1~2:1、1:1~3:1、1:1~4:1、1:1~5:1、1:1~6:1、1:
1~7:1、1:1~8:1、1:1~9:1、1:1~10:1である。他の実施態様において、デキストラン
に対する血液の比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1である。さ
らに他の実施態様において、デキストランに対する血液の比は2:1である。さらなる実施
態様において、デキストランに対する血液の比は4:1である。
【0108】
非限定的な例としては、該赤血球濃縮試料又は画分は、該血液試料中に存在していた白
血球数の90%、92.5%、95%、97.5%、99%、99.5%、99.75%、又は99.9%超の白血球
除去によって作製することができる。この文脈における「白血球除去」は、別々の白血球
除去(RBC濃縮)画分を提供するために、該血液試料から白血球を直接除去することによっ
て、かつ/又は該試料からRBCを取り出すことによって達成することができる。いくつかの
実施態様において、白血球除去には血小板除去が含まれる。
【0109】
追加的に又は代替的に、該赤血球濃縮試料又は画分は、該血液試料中に存在していた血
小板数の90%、92.5%、95%、97.5%、99%、99.5%、99.75%、又は99.9%超の血小板
除去によって作製することができる。この文脈における「血小板除去」は、別々の血小板
除去(RBC濃縮)画分を提供するために、該血液試料から血小板を直接除去することによっ
て、かつ/又は該試料からRBCを取り出すことによって達成することができる。
【0110】
いくつかの実施態様において、該赤血球濃縮試料又は画分は、(RBC濃縮画分内に存在す
る血液細胞の総数の成分として)99.75%超、99.8%超、99.9%超、99.95%超、ほぼ100%、又
は100%の赤血球を含むことができる。
【0111】
所定の濃縮試料又は画分中のRBCの割合は、例えば、フローサイトメトリー、蛍光顕微
鏡、及び他の抗体ベースの技術などを含む当業者に公知の日常的な方法を用いて評価する
ことができる。
【0112】
(少量の赤血球濃縮試料)
本開示はまた、少量の赤血球濃縮血液試料からタンパク質プロファイルを生成する方法
を提供する。少量は、当技術分野で公知であり、赤血球濃縮試料中のタンパク質検出又は
タンパク質測定のその後の方法に適すると当業者が判断するような方法(例えば、以下の
タンパク質プロファイリングを参照されたい)によって赤血球濃縮血液試料から採取する
ことができる。少量は、本明細書で定義される通りの量である(例えば、「少量」を参照
されたい)。非限定的な例としては、他の実施態様において、該少量は、5μL~10μL、5
μL~20μL、5μL~30μL、5μL~40μL、5μL~50μL、5μL~60μL、5μL~70μL、5μ
L~80μL、5μL~90μL、又は5μL~100μLであり得る。一実施態様において、該少量は
、5μL~100μLである。別の実施態様において、該少量は5μL~50μLである。さらに他
の実施態様において、該少量は5μL~20μLである。さらに他の実施態様において、該少
量は5μL~10μLである。特定の実施態様において、該少量は5μLである。
【0113】
(RBCを含む全血)
他の実施態様において、本開示の方法は、RBCを含む全血試料の分析を含む。これらの
実施態様において、全血試料は、試料内の血液細胞型の相対比率を変更することなく、若
しくは実質的に変更することなく、かつ血漿/血清を分離することなく、タンパク質プロ
ファイルについて分析される。
【0114】
全血試料は、当業者に公知の例示的な手段を用いて採取することができる(例えば、世
界保健機関、「血液、血液成分及び血漿誘導体の採取、処理並びに品質管理のための要件
」、世界保健機関の技術レポートシリーズ、番号840、1994、附属書2(World Health Orga
nisation,“Requirements for the collection, processing and quality control of bl
ood, blood components and plasma derivatives”, World Health Organisation Techni
cal report Series, No. 840, 1994, Annex 2)を参照されたい)。方法はまた、本明細書
の実施例に示されている。
【0115】
非限定的な例としては、該全血試料は、静脈血、毛細管血、動脈血又はそれらの組み合
わせを用いて採取することができる。
【0116】
いくつかの実施態様において、全血の分析を含む本開示の方法は、乾燥血液スポット(D
BS)サンプリングを用いて行うことができる。DBSサンプリングの非限定的な利点は、以下
のもの:試料の安定性、最少量の要件(例えば、スポットあたり30~100μL)、試料採取の
容易さ(例えば、指、つま先又は踵の穿刺)及び輸送のうちの1以上を含む。本開示で使用
するために得られたDBS試料は、例えば、冷蔵及び/又は周囲温度で数ヶ月から数年間、安
定性を維持することができる。
【0117】
DBSに適切な方法は、当業者に周知である(例えば、McDadeらの文献、Demography 2007,
44:899-925;De Jesusらの文献、Clin Chem 2009,55:1;158-164;Sharmaらの文献、Drug Te
sting and Analysis,2014,6(5),399-414を参照されたい)。
【0118】
ここでも非限定的な例としてのみ簡潔に説明すると、全血は、適切な器具(例えば、無
菌の外科用ブレード又は使い捨てのランセット)を用いて関心のある対象(例えば、指、ヒ
ール又はつま先の穿刺)から採取し、例えば、膜又は紙(例えば、濾紙カード)上にスポッ
トすることができる。定量分析については、血液の測定した量を適用することができる。
次いで、血液を、例えば、室温及び/又は窒素流及び/又は制御された湿度下で乾燥させる
ことができる。乾燥時間は、一般に、少なくとも部分的に試料量に依存する。DBS膜又は
紙は、周囲温度で保存するか、又は冷蔵保存することができ、かつ湿度を回避するために
適切に包装することができる。次いで、DBSは、適切な時点で(例えば、抽出溶媒又は同様
の方法を用いて)分析のために抽出することができる。
【0119】
(追加の血液コンパートメントの分析)
濃縮RBC画分又はRBCを含む全血試料のタンパク質プロファイリングに加えて、本開示の
方法はさらに、1以上の追加の血液コンパートメント(複数可)のタンパク質プロファイル
分析を実施することを含むことができる。
【0120】
例えば、タンパク質プロファイル分析は、血漿、血清、血小板、白血球、濃縮血小板画
分、濃縮白血球画分、血小板濃縮血漿、白血球濃縮血漿、血小板と白血球の混合物、特定
の白血球(複数可)(例えば、Tリンパ球(例えば、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球)、Bリ
ンパ球、NK細胞、単球、好中球、好酸球、及び好塩基球などのうちの1以上)、並びにそれ
らの組み合わせから選択される1以上の追加の血液コンパートメント(複数可)にて実行す
ることができる。
【0121】
分析のための追加の血液コンパートメント(複数可)は、公知の技術を用いて調製するこ
とができる。例えば、細胞成分は、フローサイトメトリー、磁気ビーズ分離、及び遠心分
離などにより分離することができる。血漿/血清分離技術はまた、当技術分野で周知であ
る。多くの標準テキスト及びプロトコルは、これらの目的のために利用でき、広く使用さ
れており、非限定的な例としては、世界保健機関、「血液、血液成分及び血漿誘導体の採
取、処理並びに品質管理のための要件」、世界保健機関の技術レポートシリーズ、番号84
0、1994、附属書2(World Health Organisation, “Requirements for the collection, p
rocessing and quality control of blood, blood components and plasma derivatives
”, World Health Organisation Technical report Series, No. 840, 1994, Annex 2);W
enz,B.の文献、「白血球除去された血液生成物の臨床的利益(Clinical Benefits of Leuk
odepleted Blood Products)」の中の「白血球除去の方法(Methods for leukodepletion)
」、pp5-16,1995,Springer Berlin Heidelberg;Novotny V.及びBrand,A.の文献、「現代
の輸血医学(Modern Transfusion Medicine)」の中の「白血球の少ない血液及び血小板輸
血(Leukocyte-Poor Blood and Platelet Transfusions)」、pp117-121,1995,CRC Press社
;White及びJenningsの文献、「血小板プロトコル:研究及び臨床検査手順(Platelet Prot
ocols: Research and Clinical Laboratory Procedures)」1999, Academic Press)が参照
される。
【0122】
(血液安定剤及び抗凝固剤)
上記の通り、再び特定の機構的な特徴に限定されることなく、RBCは、異なるタンパク
質(例えば、サイトカイン及びケモカイン)を隔離並びに放出する能力を有し得ると仮定さ
れ、RBCによるタンパク質放出(あるいは隔離)の程度は、採血及び処理中に生じる様々な
要因に影響されると考えられる。
【0123】
いくつかの実施態様において、本開示の方法で使用される血液試料又はその成分は、血
液安定剤と混合することができる。RBCを安定化する能力を有する薬剤は、処理中のRBCか
らのタンパク質の隔離及び/若しくは放出を低減又は防止するのに有用である。
【0124】
該血液細胞安定剤は、対象から血液試料を採取する時に及び/又は血液試料又はその成
分(複数可)のその後の処理中に該血液試料と混合することができる。非限定的な例として
は、該血液安定剤は、該対象からの血液試料採取の1秒、2秒、3秒、4秒、5秒、10秒、20
秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、
4時間、5時間、7.5時間又は10時間以内に該血液試料又はその成分と混合することができ
る。
【0125】
適切な血液安定剤の非限定的な例としては、プロテアーゼ阻害剤(例えば、アプロチニ
ン、ロイペプチン、α2-マクログロブリン、アンチパイン二塩酸塩、カルパイン阻害剤I
、カルパイン阻害剤II、キモスタチン、TLCK(CAS 131918-97-3)、トリプシン阻害剤、ペ
ファブロックSC(Roche)、PMSF(C6H5CH2SO2F-Thermo Fisher Scientific)、及び完全プロ
テアーゼ阻害剤カクテル(Roche)など)、抗凝固剤、RNA安定剤(例えば、RNALater-Thermo
Fisher Scientific)、タンパク質変性剤、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0126】
例示的な実施態様において、該血液安定剤は抗凝固剤である。該抗凝固剤は、対象から
の血液試料採取時(例えば、血液試料が採取される容器又は入れ物は抗凝固剤を含有し得
る)、及び/又は該血液試料若しくはその成分(複数可)のその後の処理中に抗凝固剤と混合
することができる。
【0127】
適切な抗凝固剤の非限定的な例としては、ヘパリン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、
EDTA二ナトリウム塩、EDTA四ナトリウム塩、EDTA二カリウム塩、EDTA二アンモニウム塩、
エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)四酢酸(EGTA)、EDTA三ナトリウム塩、EDTA三カリ
ウム塩、エチレングリコール-O,O-ビス(2-アミノエチル)-N,N,N,N-四酢酸、N-(2-ヒドロ
キシエチル)エチレンジアミン-N,N,N-三酢酸三ナトリウム塩、クエン酸塩、酸-クエン酸
塩-デキストロース、クエン酸水素二アンモニウム、酒石酸二アンモニウム、ワルファリ
ン、N-(2-ビス(カルボキシメチル)アミノエチル)-N-(2-ヒドロキシエチル)グリシン塩二
水和物、クエン酸、クエン酸モノナトリウム塩、クエン酸二ナトリウム塩、クエン酸三ナ
トリウム塩、クエン酸モノカリウム塩、クエン酸三カリウム塩、タンパク質C/タンパク質
S、ニトリロ三酢酸、酒石酸カリウムナトリウム、D-酒石酸水素カリウム、L-酒石酸モノ
ナトリウム塩、L-酒石酸二ナトリウム塩、L-酒石酸二カリウム塩、ストレプトキナーゼ、
硫酸プロタミン、トリス(カルボキシメチル)アミン、抗トロンビンIII、フェンプロクモ
ン、ヒルジン、ニクマロン、クマジン、グリコサミノグリカン、イブプロフェン、アセチ
ルサリチル酸、インドメタシン、プロスタグランジン、スルフィンピラゾン、ウロキナー
ゼ、ヒルログ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、クマリン、又はそれらの組み合わ
せが挙げられる。
【0128】
RBC濃縮画分の分析に加えて、例えば、白血球(leukocyte)(白血球(white blood cell))
、血小板及び/又は血漿のうちの1種以上のタンパク質プロファイリングが望まれる場合、
抗凝固剤を使用することは有益であり得る。抗凝固剤はまた、血液の完全な細胞成分(す
なわち、血液細胞から血漿成分を除いた混合集団)のタンパク質プロファイリングを行う
ことが望ましい場合に使用することが有益であり得る。
【0129】
他の実施態様において、本開示の方法で使用される血液試料は、抗凝固剤と混合しなく
てよい。これは、タンパク質プロファイリングが、RBC、濃縮RBC、又は全血試料で行われ
るべきである場合であり得る。このような場合には、抗凝固活性がないか、又は公称量の
抗凝固活性のみを有する他の安定剤を、血液試料又はその成分と混合することができる。
他の実施態様において、本開示の方法において使用される血液試料又はその成分は、凍結
(例えば、急速凍結)又は乾燥(例えば、乾燥血液スポット)によって安定化することができ
る。
【0130】
(溶解物の分析)
いくつかの実施態様において、本開示の方法は、細胞溶解物からタンパク質プロファイ
ルを作製することを含む。
【0131】
非限定的な例としてのみ、本開示の方法に従って調製した濃縮RBC画分を処理して、1種
以上のタンパク質のレベルが決定された溶解物を提供することができる。例えば、該溶解
物は、全血、血漿、血清、血小板、白血球、濃縮血小板画分、濃縮白血球画分、血小板濃
縮血漿、白血球濃縮血漿、血小板と白血球の混合物、特定の白血球(複数可)(例えば、Tリ
ンパ球(例えば、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球)、Bリンパ球、NK細胞、単球、好中球
、好酸球、及び好塩基球などのうちの1以上)、並びにそれらの組み合わせから選択される
1以上の他の血液コンパートメント(複数可)から生成することができる。
【0132】
追加的又は代替的に、RBCではない、又は最小量のRBC(例えば、10%、5%、4%、3%、
2%、1%、又は0.5%未満のRBC)を含有する血液の他の細胞成分を処理して、1種以上のタ
ンパク質のレベルが決定された溶解物を提供することができる。
【0133】
本開示の方法における使用のための細胞溶解物を、例えば、液体の均質化、機械的破壊
、凍結/解凍サイクル、高周波音波、手動研削、化学的透過処理、酵素的透過処理、及び
ストレプトリシンを用いる透過処理などを含む適切な手段を用いて生成することができる
。
【0134】
いくつかの実施態様において、細胞溶解物は、1、2、3、4、5、又は5を超える凍結/解
凍サイクルにより調製される。この技術は、凝固点で血液試料又はその成分(複数可)を安
定化し、タンパク質内容物の溶解及び分析前の保管を可能にする手段を提供するという潜
在的な利点を提供する。典型的には、該急速凍結は、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50
℃、-60℃、-70℃、-75℃、-80℃、-90℃、-100℃、-120℃、-140℃、-160℃、-180℃、-
190℃、-195℃、又は-196℃以下の温度で実行することができる。さらに別の実施態様に
おいて、急速凍結は、-5℃、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-75℃
、-80℃、-90、-100℃、-120℃、-104℃、-160℃、-180℃、-190℃、-200℃未満の温度で
実行される。さらに別の実施態様において、急速凍結は、-190℃、-191℃、-192℃、-193
℃、-194℃、-195℃、-196℃、-197℃、-198℃、又は-199℃未満の温度で実行される。全
血試料、RBC濃縮試料若しくは画分、及び/又は別の異なる細胞成分を急速凍結させて、細
胞を安定化させることができる。これは、例えば、処理中に存在するRBC及び/若しくは他
の細胞型からのタンパク質の隔離並びに/又は放出を低減又は防止することができる。
【0135】
(細胞洗浄液及び上清の分析)
いくつかの実施態様において、本開示の方法は、細胞洗浄液及び/又は細胞上清からタ
ンパク質プロファイルを作製することを含む。
【0136】
該細胞洗浄液及び/又は細胞上清は、RBCを含む血液試料又は血液試料成分から生成する
ことができる。いくつかの実施態様において、RBCの数は、該血液試料又は該血液試料成
分中に存在する血液細胞の総数の0.5%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60
%、70%、80%、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.
95%超を構成する。
【0137】
いくつかの実施態様において、該細胞洗浄液は、RBC濃縮細胞を洗浄することにより、
かつ/又は全血、血小板、白血球、濃縮血小板画分、濃縮白血球画分、血小板濃縮血漿、
白血球濃縮血漿、血小板と白血球の混合物、特定の白血球(複数可)(例えば、Tリンパ球(
例えば、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球)、Bリンパ球、NK細胞、単球、好中球、好酸球
、及び好塩基球などのうちの1以上)、又はそれらの組み合わせから選択される1以上の細
胞血液コンパートメント(複数可)を別々に洗浄することにより生成することができる。
【0138】
いくつかの実施態様において、該細胞上清は、RBC濃縮細胞をインキュベート又は培養
することにより、かつ/又は血小板、白血球、濃縮血小板画分、濃縮白血球画分、血小板
濃縮血漿、白血球濃縮血漿、血小板と白血球の混合物、特定の白血球(複数可)(例えば、T
リンパ球(例えば、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球)、Bリンパ球、NK細胞、単球、好中
球、好酸球、及び好塩基球などのうちの1以上)、又はそれらの組み合わせから選択される
1以上の細胞血液コンパートメント(複数可)を別々にインキュベート又は培養することに
より生成することができる。次いで、細胞上清を細胞から分けて、インキュベート又は培
養した細胞によって(細胞内及び/又は細胞表面から)放出されるタンパク質について分析
することができる。必要に応じて、上清を取り除いた後に残っている細胞を洗浄し、タン
パク質プロファイルを作製するために使用することができる。細胞洗浄液は、タンパク質
プロファイルを作製するために、細胞上清と組み合わせることができるか、あるいは個々
のタンパク質プロファイルは、細胞洗浄液及び細胞上清から別々に作製することができる
。これは、必要に応じて、2つの個々のプロファイルの比較を可能にする。
【0139】
一連の細胞上清を、ある期間上記のように細胞を培養し、異なる時点で一連の上清を収
集することによって生成することができる。各上清は、複数の時点にわたるタンパク質プ
ロファイル分析を提供するために、タンパク質内容物について分析することができる。必
要に応じて、インキュベーション又は培養条件(例えば、培地の内容物、温度など)は、上
清のサンプリングの時点間で変化し得る。必要に応じて、1以上の時点で上清を取り除い
た後に残っている細胞を洗浄し、タンパク質プロファイルを作製するために使用すること
ができる。細胞洗浄液を、所定の時点(例えば、同一の時点)の細胞上清と組み合わせ、タ
ンパク質プロファイルを作製することができる。あるいは、個々のタンパク質プロファイ
ルは、個々の細胞洗浄液及び個々の細胞上清から作製することができる。あるいは、複数
の時点からの細胞洗浄液をプールし、分析して、タンパク質プロファイルを作製すること
ができる。同様に、複数の時点からの細胞上清をプールし、分析して、タンパク質プロフ
ァイルを作製することができる。
【0140】
RBC濃縮細胞をインキュベート若しくは培養するのに適する、及び/又は他の細胞性血液
コンパートメント(複数可)を別々にインキュベート若しくは培養するのに適する例示的な
プロトコル並びに/又は培地は、当業者に周知である(例えば、Koller,Palsson,Masters,(
編)「ヒト細胞培養:IV巻、初代造血細胞(Human Cell Culture:Vol IV.Primary Hematopo
ietic cells)」,2006,Springer Science and Business Media;Mirty及びHughes(編)2001,
「ヒト細胞培養プロトコル、第3版(Human Cell Culture Protocols,Third edition)」,20
11,Humana Pressを参照されたい)。方法はまた、本明細書の実施例に示されている。
【0141】
細胞洗浄液は、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、等張塩溶液、増殖培地、培養培
地、又はそれらの組み合わせなどの適切な培地を用いて実行することができる。
【0142】
本開示の方法における細胞洗浄液、細胞培養培地、又は細胞インキュベーション培地と
して使用するのに適する培地の非限定的な例としては、等張塩溶液、平衡化塩溶液、生理
食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡化塩溶液(HBSS)、アール平衡化塩溶
液(EBSS)、ロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改善された最
小必須培地(IMEM)、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、
及びイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。いくつ
かの実施態様において、該培地は、RBCを非成長状態又は増殖状態で維持するためのPBS又
はHBSSである。他の実施態様において、該培地は、RBCの成長又は増殖を刺激するためのR
PMIである。
【0143】
(カチオン塩の使用)
いくつかの実施態様において、本開示の方法は、該試料中の1種以上のタンパク質の検
出可能なレベルを増加及び/又は増強する少なくとも1種のカチオン塩と、赤血球濃縮試料
とを接触させることを含む。該カチオン塩は、当業者によって決定されるように、本方法
での使用に適する1以上であり得る。該カチオン塩は、一実施態様において、一価又は多
価(例えば、二価、三価)金属イオン塩である。他の実施態様において、該カチオン塩はア
ンモニウム塩である。
【0144】
本方法での使用に適する一価の金属カチオン塩には、例えば、ナトリウム塩、カリウム
塩、及びリチウム塩など、又はそれらの組み合わせが含まれ得る。適切なナトリウム塩に
は、例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、
酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、アス
コルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、二リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナト
リウム、リン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、グルコン酸ナト
リウム、メタケイ酸ナトリウム、及びプロピオン酸ナトリウムなど、又はそれらの組み合
わせが含まれ得る。適切なカリウム塩には、例えば、塩化カリウム、クエン酸カリウム、
臭化カリウム、ヨウ化カリウム、重炭酸カリウム、亜硝酸カリウム、過硫酸カリウム、亜
硫酸カリウム、硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、リン酸カリウム、酢酸カリウム、ク
エン酸カリウム、グルタミン酸カリウム、グアニル酸二カリウム、グルコン酸カリウム、
リンゴ酸カリウム、アスコルビン酸カリウム、ソルビン酸カリウム、コハク酸カリウム、
酒石酸カリウム及びそれらの組み合わせが含まれ得る。適切なリチウム塩には、例えば、
塩化リチウム、臭化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、酢酸リチウ
ム、乳酸リチウム、クエン酸リチウム、アスパラギン酸リチウム、グルコン酸リチウム、
リンゴ酸リチウム、アスコルビン酸リチウム、オロチン酸リチウム、コハク酸リチウム又
はそれらの組み合わせが含まれる。
【0145】
本方法での使用に適する二価金属カチオン塩には、例えば、カルシウム塩、カリウム塩
、ベリリウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、ラジウム塩、及び鉄(第一鉄)塩など、
又はそれらの組み合わせが含まれ得る。適切なカルシウム塩には、例えば、塩化カルシウ
ム、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カル
シウム、リン酸カルシウム、アルギン酸カルシウム(calcium alginite)、ステアリン酸カ
ルシウム、ソルビン酸カルシウム、及びグルコン酸カルシウムなど、又はそれらの組み合
わせが含まれる。適切なマグネシウム塩には、例えば、フッ化マグネシウム、塩化マグネ
シウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、乳酸マグネシウム、リン酸マグネシウ
ム、硫酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、硝
酸マグネシウム、ホウ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グル
コン酸マグネシウム、マレイン酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、リンゴ酸マグネ
シウム、タウリン酸マグネシウム、オロチン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、
ナフテン酸マグネシウム、アセチルアセトン酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、水酸化
マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ヘキサフルオロケイ酸マグネシウム、サリチ
ル酸マグネシウム又はそれらの組み合わせが含まれ得る。適切なベリリウム塩には、例え
ば、リン酸ベリリウム、酢酸ベリリウム、酒石酸ベリリウム、クエン酸ベリリウム、グル
コン酸ベリリウム、マレイン酸ベリリウム、コハク酸ベリリウム、リンゴ酸ナトリウムベ
リリウム、アルファブロモカンファースルホン酸ベリリウム、ベリリウムアセチルアセト
ナート、ギ酸ベリリウム又はそれらの組み合わせが含まれ得る。適切なストロンチウム塩
には、例えば、塩化ストロンチウム、リン酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、炭酸
ストロンチウム、酸化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、酒石
酸ストロンチウム、クエン酸ストロンチウム、グルコン酸ストロンチウム、マレイン酸ス
トロンチウム、コハク酸ストロンチウム、リンゴ酸ストロンチウム、L型及び/又はD型ア
スパラギン酸ストロンチウム、フマル酸ストロンチウム、L型及び/又はD型グルタミン酸
ストロンチウム、グルタル酸ストロンチウム、乳酸ストロンチウム、L-トレオン酸ストロ
ンチウム、マロン酸ストロンチウム、ラネリン酸ストロンチウム(有機金属キレート)、ア
スコルビン酸ストロンチウム、酪酸ストロンチウム、クロドロン酸ストロンチウム、イバ
ンドロン酸ストロンチウム、サリチル酸ストロンチウム、アセチルサリチル酸ストロンチ
ウム又はそれらの組み合わせが含まれ得る。適切なバリウム塩には、例えば、水酸化バリ
ウム、フッ化バリウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、硫酸バリウム、
硫化バリウム(S)、炭酸バリウム、過酸化バリウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、酢酸
バリウム、酒石酸バリウム、クエン酸バリウム、グルコン酸バリウム、マレイン酸バリウ
ム、コハク酸バリウム、リンゴ酸バリウム、グルタミン酸バリウム、シュウ酸バリウム、
マロン酸バリウム、ナフテン酸バリウム、アセチルアセトン酸バリウム、ギ酸バリウム、
安息香酸バリウム、p-t-ブチル安息香酸バリウム、アジピン酸バリウム、ピメリン酸バリ
ウム、スベリン酸バリウム、アゼル酸バリウム、セバシン酸バリウム、フタル酸バリウム
、イソフタル酸バリウム、テレフタル酸バリウム、アントラニル酸バリウム、マンデル酸
バリウム、サリチル酸バリウム、チタン酸バリウム又はそれらの組み合わせが含まれ得る
。適切なラジウム塩には、例えば、ラジウムフッ化物、塩化ラジウム、臭化ラジウム、ヨ
ウ化ラジウム、酸化ラジウム、ラジウム窒化物又はそれらの組み合わせが含まれ得る。適
切なラジウム塩には、例えば、ラジウムフッ化物、塩化ラジウム、臭化ラジウム、ヨウ化
ラジウム、酸化ラジウム、及びラジウム窒化物などが含まれる。適切な鉄(第一鉄)塩には
、例えば、硫酸第一鉄、酸化第一鉄、酢酸第一鉄、クエン酸第一鉄、クエン酸アンモニウ
ム第一鉄、グルコン酸第一鉄、シュウ酸第一鉄、フマル酸第一鉄、マレイン酸第一鉄、リ
ンゴ酸第一鉄、乳酸第一鉄、アスコルビン酸第一鉄、エリスロビン酸第一鉄(ferrous ery
throbate)、グリセリン酸第一鉄、及びピルビン酸第一鉄など、又はそれらの組み合わせ
が含まれ得る。
【0146】
特定の実施態様において、該カチオン塩は、該赤血球濃縮試料中のpH変化を防止及び/
又は最小限にすることができるものである(例えば、塩化物又は炭酸塩)。したがって、特
定の実施態様において、該カチオン塩は炭酸塩である。さらなる実施態様において、該カ
チオン塩はまた、細胞膜(例えば、RBC膜)への損傷を防止又は最小限にすることができる
。特定の実施態様において、該カチオン塩は塩化物塩である。他の実施態様において、該
カチオン塩は、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩
化ラジウム、又はそれらの組み合わせである。さらに他の実施態様において、該カチオン
塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、塩化リチウム、
又はそれらの組み合わせである。さらに別の実施態様において、該カチオン塩は塩化リチ
ウムである。別の実施態様において、該カチオン塩は塩化ナトリウムであり得る。特定の
実施態様において、該カチオン塩は、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ストロンチウ
ム、炭酸バリウム、又は炭酸ラジウムであり得る。さらに他の実施態様において、該カチ
オン塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸リチウ
ム、又はそれらの組み合わせである。さらに他の実施態様において、該カチオン塩は炭酸
リチウムである。他の実施態様において、該カチオン塩は炭酸ナトリウムである。
【0147】
一価又は二価の金属カチオン塩以外の塩は、本方法で使用することができ、例えば、ア
ルミニウム、シリコン、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、コバルト、ニッケ
ル、銅、マンガン、亜鉛、錫、及び銀など、若しくはそれらの組み合わせなど三価又は他
の多価塩を含む。
【0148】
アンモニウム塩はまた、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢
酸アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、臭化アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、
硫酸アンモニウムセリウム(IV)、クロム酸アンモニウム、重クロム酸アンモニウム、リン
酸二水素アンモニウム、フッ化アンモニウム、ギ酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、
二塩基性リン酸アンモニウムナトリウム四水和物、チオ硫酸アンモニウム、及びアンモニ
ウムジルコニウムなど、又はそれらの組み合わせを含む適切なアンモニウム塩を用いて本
方法で使用することができる。
【0149】
特定の実施態様において、該カチオン塩は塩化アンモニウムである。他の実施態様にお
いて、該カチオン塩は炭酸アンモニウムである。
【0150】
特定の実施態様において、該赤血球濃縮試料を、該試料中の1種以上のタンパク質のレ
ベルの検出可能なレベルを増加及び/又は増強するために、上記のカチオン塩の1以上の組
み合わせと接触させる。いくつかの実施態様において、該赤血球濃縮試料を、少なくとも
1種のカチオン塩と接触させる。他の実施態様において、該赤血球濃縮試料を、少なくと
も2種のカチオン塩と接触させる。さらに他の実施態様において、該赤血球濃縮試料を、
少なくとも3種のカチオン塩と接触させる。
【0151】
特定の実施態様において、該血液試料の赤血球濃縮の前に、該試料中の1種以上のタン
パク質のレベルの検出可能なレベルを増加及び/又は増強するために、該血液試料を上記
のカチオン塩の1以上の組み合わせと接触させる。いくつかの実施態様において、該血液
試料を、少なくとも1種のカチオン塩と接触させる。他の実施態様において、該血液試料
を、少なくとも2種のカチオン塩と接触させる。さらに他の実施態様において、該血液試
料を、少なくとも3種のカチオン塩と接触させる。
【0152】
本明細書において、塩(例えば、ナトリウム含有塩)への言及は、無水形態及び塩の水和
形態を含む。
【0153】
特定の実施態様において、全血試料を、タンパク質プロファイルを生成するために、上
記のカチオン塩の少なくとも1種と接触させる。該全血試料は、当業者に公知の方法を用
いて、静脈血、毛細管血、動脈血又はそれらの組み合わせから採取することができる。
【0154】
他の実施態様において、血漿、血清、血小板、白血球、濃縮血小板画分、濃縮白血球画
分、血小板濃縮血漿、白血球濃縮血漿、血小板と白血球の混合物、特定の白血球(複数可)
(例えば、Tリンパ球(例えば、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球)、Bリンパ球、NK細胞、
単球、好中球、好酸球、及び好塩基球などのうちの1以上)、並びにそれらの組み合わせか
ら選択される1以上の追加の血液コンパートメント(複数可)に、上記のカチオン塩の少な
くとも1種を接触させ、タンパク質プロファイルを生成する。分析のための追加の血液コ
ンパートメント(複数可)は、既知の技術(例えば、フローサイトメトリー、磁気ビーズ分
離、及び遠心分離など)を用いて調製することができる。
【0155】
(タンパク質プロファイリング)
本開示は、RBCを含む血液試料(例えば、RBC濃縮画分又は全血試料)からタンパク質プロ
ファイルを生成する方法を提供する。そのようなプロファイルの生成は、炎症、免疫反応
、及び/若しくは細胞修復、又は疾患状態を含むが、これらに限定されない重要な生物学
的プロセスへの洞察を提供することができる。
【0156】
本開示の方法によるタンパク質プロファイルの作製において検出することができるタン
パク質の種類(複数可)に特定の制限を与えるものではないが、非限定的な例としては、シ
グナル伝達分子、例えば、ケモカイン、サイトカイン、成長因子、受容体、細胞内シグナ
ル伝達物質、ホルモン、核内転写因子、神経伝達物質、及び細胞外マトリックス成分、並
びに酵素が挙げられる。例えば、成長因子には、例えば、多面的成長因子(例えば、トラ
ンスフォーミング成長因子-ベータ(TGF-β)、トランスフォーミング成長因子-ベータ(TGF
-α)、腫瘍壊死因子(TNF))と共に、皮膚細胞の成長、増殖、治癒、又は分化を刺激するも
の(例えば、上皮成長因子(EGF)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、遊走刺激因子(MSF))、
神経細胞/神経系(例えば、ニューレグリン(例えば、ニューレグリン1-4)及びニューロト
ロフィン(例えば、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン
-3(NT-3)、ニューロトロフィン4(NT-4)))、結合組織及び間葉細胞(例えば、線維芽細胞成
長因子(FGF))、血管細胞(例えば、血小板由来成長因子(PDGF)、胎盤成長因子(PGF)、血管
内皮成長因子(VEGF))、血液細胞(例えば、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子(G
-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF))、及び細胞増殖(例えば、イン
スリン様成長因子(IGF-1)、インスリン様成長因子-2(IGF-2))が含まれ得る。
【0157】
受容体には、細胞内受容体(例えば、核内受容体(例えば、転写因子)、細胞質内受容体(
例えば、ステロイド)、及び小胞体(例えば、IP3)受容体)又は細胞表面受容体(例えば、イ
オンチャネル結合型、G-タンパク質結合型、酵素結合型、トール(toll)依存性及びリガン
ド依存性受容体、インテグリン)が含まれ得る。ホルモンには、脂質由来(例えば、プロス
タグランジン、ロイコトリエン、プロスタサイクリン(prostacylins)、トロンボキサン);
アミノ酸由来(例えば、エピネフリン、メラトニン、チロキシン);ペプチド(例えば、アミ
リン、アディポネクチン(adiponenctin)、アンジオテンシノーゲン、カルシトニン、脳性
ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、エリスロポエチン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、グレリン、
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、インスリン、及びイ
ンスリン様成長因子(IGF)など);並びに、ステロイド(例えば、アンドロゲン、エストロゲ
ン、グルココルチコイド、プロゲストゲン、及びセコステロイドなど)が含まれ得る。細
胞内シグナル伝達物質又はトランスデューサには、タンパク質ファミリー及びタンパク質
キナーゼ(例えば、Ras及びSrcファミリー)、並びにWntシグナル伝達ファミリータンパク
質が含まれ得る。神経伝達物質には、アミノ酸、ペプチド(例えば、β-エンドルフィン、
オピオイド)、モノアミン、トレースアミン、プリン、及びガス状伝達物質が含まれ得る
。核内転写因子には、DNA転写のモジュレーター(例えば、fos、myc、N-myc)、及びmRNA転
写のモジュレーター、及び細胞分裂抑制因子(例えば、p53、pRb)が含まれ得る。酵素には
、オキシドレダクターゼ(例えば、アルコール、アルデヒド、アミノ酸、硫黄、ジフェノ
ール、及びペルオキシダーゼなど)、NADH、NADPH、ヌクレアーゼ、プロテアーゼ、キナー
ゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、及びリガーゼが含ま
れ得る。ケモカイン及びサイトカインは多数あり、例えば、以下の表1及び表2に記載のも
のを含むことができる。
【0158】
特定の実施態様において、本方法は、以下の表1及び2に記載の単一タンパク質又はタン
パク質の組み合わせからなる、又はそれらを含むタンパク質プロファイルを生成すること
を含む。該プロファイルは、RBCを含む血液試料(例えば、赤血球濃縮試料、RBC濃縮画分
、又は全血試料)から作製することができる。追加のプロファイル(複数可)は、血漿、血
清、血小板、白血球、濃縮血小板画分、濃縮白血球画分、血小板濃縮血漿、白血球濃縮血
漿、血小板と白血球の混合物、特定の白血球(複数可)(例えば、Tリンパ球(例えば、CD4+
Tリンパ球、CD8+Tリンパ球)、Bリンパ球、NK細胞、単球、好中球、好酸球、及び好塩基
球などのうちの1以上)、並びにそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない他の
細胞コンパートメント(複数可)から作製することができる。
【0159】
表1:本開示の方法によって作製されるタンパク質プロファイルに含まれ得る個々のタン
パク質の非限定的な例。該タンパク質プロファイルは、記載のタンパク質の1以上を含む
か、又はそれらからなり得る。
【表1】
【0160】
表2:本開示の方法によって作製されるタンパク質プロファイルに含まれ得るタンパク質
ペアの非限定的な例。タンパク質プロファイルは、記載の1種以上のタンパク質ペアを含
むか、又はそれらからなり得る。
【表2】
【0161】
特定の実施態様において、1種以上、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、
7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上、15
種以上、16種以上、17種以上、18種以上、19種以上、20種以上、21種以上、22種以上、23
種以上、24種以上、25種以上、26種以上、27種以上、28種以上、29種以上若しくは30種以
上のタンパク質の存在又はレベルが、赤血球濃縮試料中で検出されるか、又は測定される
。
【0162】
特定の他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で1種以上のタンパク質の存在が検出
されるか、又は1種以上のタンパク質のレベルが測定される。別の実施態様において、赤
血球濃縮試料中で2種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は2種以上のタンパク質
のレベルが測定される。他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で3種以上のタンパク
質の存在が検出されるか、又は3種以上のタンパク質のレベルが測定される。別の実施態
様において、赤血球濃縮試料中で4種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は4種以
上のタンパク質のレベルが測定される。さらに別の実施態様において、赤血球濃縮試料中
で5種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は5種以上のタンパク質のレベルが測定
される。他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で6種以上のタンパク質の存在が検出
されるか、又は6種以上のタンパク質のレベルが測定される。別の実施態様において、赤
血球濃縮試料中で7種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は7種以上のタンパク質
のレベルが測定される。さらに別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で8種以上のタ
ンパク質の存在が検出されるか、又は8種以上のタンパク質のレベルが測定される。さら
に別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で8種以上のタンパク質の存在が検出される
か、又は8種以上のタンパク質のレベルが測定される。他の実施態様において、赤血球濃
縮試料中で9種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は9種以上のタンパク質のレベ
ルが測定される。さらに他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で10種以上のタンパク
質の存在が検出されるか、又は10種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに他の
実施態様において、赤血球濃縮試料中で11種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又
は11種以上のタンパク質のレベルが測定される。いくつかの実施態様において、赤血球濃
縮試料中で12種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は12種以上のタンパク質のレ
ベルが測定される。いくつかの他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で13種以上のタ
ンパク質の存在が検出されるか、又は13種以上のタンパク質のレベルが測定される。さら
に他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で14種以上のタンパク質の存在が検出される
か、又は14種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらなる実施態様において、赤血
球濃縮試料中で15種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は15種以上のタンパク質
のレベルが測定される。別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で16種以上のタンパク
質の存在が検出されるか、又は16種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに他の
実施態様において、赤血球濃縮試料中で17種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又
は17種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに他の実施態様において、赤血球濃
縮試料中で18種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は18種以上のタンパク質のレ
ベルが測定される。別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で19種以上のタンパク質の
存在が検出されるか、又は19種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに別の実施
態様において、赤血球濃縮試料中で20種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は20
種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに別の実施態様において、赤血球濃縮試
料中で21種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は21種以上のタンパク質のレベル
が測定される。他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で22種以上のタンパク質の存在
が検出されるか、又は22種以上のタンパク質のレベルが測定される。別の実施態様におい
て、赤血球濃縮試料中で23種以上のタンパク質の存在が検出されるか、23又は23種以上の
タンパク質のレベルが測定される。さらに他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で24
種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は24種以上のタンパク質のレベルが測定さ
れる。さらに別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で25種以上のタンパク質の存在が
検出されるか、又は25種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに別の実施態様に
おいて、赤血球濃縮試料中で26種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は26種以上
のタンパク質のレベルが測定される。さらに他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で
27種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は27種以上のタンパク質のレベルが測定
される。別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で28種以上のタンパク質の存在が検出
されるか、又は28種以上のタンパク質のレベルが測定される。別の実施態様において、赤
血球濃縮試料中で29種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は29種以上のタンパク
質のレベルが測定される。さらに別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で30種以上の
タンパク質の存在が検出されるか、又は30種以上のタンパク質のレベルが測定される。
【0163】
タンパク質プロファイルは、例えば、本開示の方法に従って調製される溶解物、細胞洗
浄液、細胞上清、又はそれらの組み合わせにおける1種以上のタンパク質の存在を検出す
ることによって生成又は作製することができる。検出されたタンパク質(複数可)はまた、
タンパク質プロファイルを生成又は作製するために、定量化(例えば、レベルを測定)する
ことができる。
【0164】
単一の又は混合した血液細胞集団及び血漿/血清中のタンパク質の検出並びに/又は定量
化の方法は、当業者によく知られている。適切な方法の非限定的な例としては、抗体ベー
スの方法、一般的に、フローサイトメトリー、ELISA、側方流動、免疫染色、免疫蛍光法
、及び免疫電気泳動(例えば、ウエスタンブロットを含む)などが挙げられる。あるいは、
タンパク質は、質量分析法、分光法、クロマトグラフィー、電気泳動、ビシンコニン酸ア
ッセイ(BCA)、及び酵素アッセイなどを用いて検出並びに/又は定量することができる。再
び、一例としてのみ、タンパク質の定量法は、米国特許第7,501,286号、同第8,530,182号
、及び米国特許公開第2013028838号に記載されている。方法はまた、本明細書の実施例に
示されている。
【0165】
本開示はまた、血漿中の同じ1種以上のタンパク質のレベルに対する赤血球中の1種以上
のタンパク質のレベルを含むタンパク質比を計算することによって、赤血球濃縮試料から
タンパク質プロファイルを生成する方法を提供する。タンパク質比は、RBC及び血漿中の
測定したタンパク質濃度を正規化し、次いで、血漿中のタンパク質(複数可)の濃度によっ
て、RBC中のタンパク質(複数可)の濃度を割ることによって計算することができる。RBC及
び血漿中のタンパク質(複数可)の濃度は、全血中のミリリットル当たりのそれらの相対濃
度(全血中の%)を計算することによって正規化される。
【0166】
特定の実施態様において、血漿中のこれらの1種以上のタンパク質のレベルに対する赤
血球中の1種以上のタンパク質のレベルを含むタンパク質比は、少なくとも2:1、少なくと
も10:1、少なくとも20:1、少なくとも30:1、少なくとも40:1、少なくとも50:1、少なくと
も60:1、少なくとも70:1、少なくとも80:1、少なくとも90:1、少なくとも100:1、少なく
とも110:1、少なくとも120:1、少なくとも130:1、少なくとも140:1、少なくとも150:1、
少なくとも160:1、少なくとも170:1、少なくとも180:1、少なくとも190:1、又は少なくと
も200:1である。他の実施態様において、該タンパク質比は、少なくとも3:1、少なくとも
4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、
少なくとも10:1、少なくとも11:1、少なくとも12:1、少なくとも13:1、少なくとも14:1、
少なくとも15:1、少なくとも16:1、少なくとも17:1、少なくとも18:1、少なくとも19:1、
少なくとも20:1、少なくとも21:1、少なくとも22:1、少なくとも23:1、少なくとも24:1、
少なくとも25:1、少なくとも26:1、少なくとも27:1、少なくとも28:1、少なくとも29:1、
少なくとも30:1、少なくとも31:1、少なくとも32:1、少なくとも33:1、少なくとも34:1、
少なくとも35:1、少なくとも36:1、少なくとも37:1、少なくとも38:1、少なくとも39:1又
は少なくとも40:1である。
【0167】
(疾患プロファイル)
本開示は、赤血球濃縮血液試料中の疾患タンパク質プロファイルを生成するための方法
を本明細書に提供する。赤血球濃縮試料に関連する1種以上のタンパク質の存在又はレベ
ルの差がある任意の疾患又は障害についての疾患プロファイルを生成することができる。
非限定的な例としては、表1に記載のタンパク質の1以上若しくは表2に記載のタンパク質
の1以上の組み合わせの存在又はレベルに差がある、任意の疾患又は障害についての疾患
プロファイルを生成することができる。例えば、特定の実施態様において、プロファイル
される疾患又は障害は、癌、子癇前症、自己免疫疾患、心臓血管疾患、神経変性疾患、糖
尿病、代謝性障害、筋骨格疾患、感染性疾患、遺伝性障害、腎障害、及び胃腸障害からな
る群から選択される。
【0168】
疾患タンパク質プロファイル(複数可)は、本方法に従って、疾患又は障害を有する1以
上の対象から生成されたタンパク質プロファイル及び疾患又は障害を有していない1以上
の対象から生成されたタンパク質プロファイルを取得することによって生成される。一実
施態様において、少なくとも1つのタンパク質プロファイルは、疾患又は障害を有する対
象から取得され、少なくとも1つのプロファイルは、疾患又は障害を有していない対象か
ら取得される。別の実施態様において、該血液試料は、疾患又は障害を有する1以上の対
象から採取され、プールされる。別の実施態様において、血液試料は、疾患又は障害を有
していない1以上の対象から採取され、プールされる。次いで、タンパク質プロファイル
は、疾患又は障害を有する1以上の対象及び/又は疾患又は障害を有していない1以上の対
象のプールされた血液試料から採取される。別の実施態様において、1以上のタンパク質
プロファイルは、疾患又は障害を有する対象から採取され、1以上のタンパク質プロファ
イルは、疾患又は障害を有していない対象から採取され、疾患又は障害を有する対象につ
いてのタンパク質プロファイル及び疾患又は障害を有していない対象についてのタンパク
質プロファイルを含むタンパク質を(タンパク質の存在及び/又はレベルにおいて統計的に
関連する差によって)決定するために統計解析が実行される。疾患又は障害を有する対象
のタンパク質プロファイル及び疾患又は障害を有していない対象のタンパク質プロファイ
ルは、疾患タンパク質プロファイルを決定する前の任意の時点で生成することができる。
【0169】
一実施態様において、該疾患タンパク質プロファイルは、疾患又は障害を有する対象に
存在するが、疾患又は障害を有していない対象には存在しない1種以上のタンパク質を含
む。別の実施態様において、該疾患タンパク質プロファイルは、疾患又は障害を有する対
象に存在しないが、疾患又は障害を有していない対象に存在する1種以上のタンパク質を
含む。さらに他の実施態様において、該疾患タンパク質プロファイルは、疾患又は障害を
有していない対象中の1種以上のタンパク質と比較して、疾患又は障害を有する対象にお
いてより高いレベルを有する1種以上のタンパク質を含む。別の実施態様において、該疾
患タンパク質プロファイルは、疾患又は障害を有していない対象中の1種以上のタンパク
質と比較して、疾患又は障害を有する対象においてより低いレベルを有する1種以上のタ
ンパク質を含む。特定の実施態様において、疾患タンパク質プロファイルは、疾患又は障
害を有していない対象中の1種以上のタンパク質と比較して、疾患又は障害を有する対象
において異なる(例えば、より高い、より低い、又はより高いとより低いの両方の)レベル
を有するタンパク質を含む。
【0170】
特定の実施態様において、該疾患タンパク質プロファイルは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5
、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、TNF-α、TGF-β、及びIFN-γからなる群か
ら選択される1種以上のタンパク質を含む癌タンパク質プロファイルである。他の実施態
様において、該疾患タンパク質プロファイルは、TNF-α、IFN-γ、IL-4、IL-5、IL-10、I
L-1β、IL-6、IL-8、及びIL-12からなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む子
癇前症のタンパク質プロファイルである。特定の実施態様において、該子癇前症のタンパ
ク質プロファイルは、IL-6、IL-8、及びIFN-γからなる群から選択される1種以上のタン
パク質を含む。
【0171】
本開示はまた、本明細書に提供される方法によって生成される疾患プロファイルを用い
て、対象が疾患又は障害を有するかどうかを決定する方法を提供する。本明細書に提供さ
れる方法の1つによって生成される/されたタンパク質プロファイルは、対象から取得する
ことができる。対象のタンパク質プロファイルは、2つのタンパク質プロファイル間の(例
えば、タンパク質の存在又はタンパク質レベルにおける)類似性について疾患タンパク質
プロファイルと比較することができる。対象のタンパク質プロファイルと疾患タンパク質
プロファイルの間の類似性は、該対象が該疾患又は障害を有することを示すことができる
。一実施態様において、少なくとも1種のタンパク質、少なくとも2種のタンパク質、少な
くとも3種のタンパク質、少なくとも4種のタンパク質、少なくとも5種のタンパク質、少
なくとも6種のタンパク質、少なくとも7種のタンパク質、少なくとも8種のタンパク質、
少なくとも9種のタンパク質、少なくとも10種のタンパク質、少なくとも11種のタンパク
質、少なくとも12種のタンパク質、少なくとも13種のタンパク質、少なくとも14種のタン
パク質、少なくとも15種のタンパク質、少なくとも16種のタンパク質、少なくとも17種の
タンパク質、少なくとも18種のタンパク質、少なくとも19種のタンパク質、少なくとも20
種のタンパク質、少なくとも21種のタンパク質、少なくとも22種のタンパク質、少なくと
も23種のタンパク質、少なくとも24種のタンパク質、少なくとも25種のタンパク質、少な
くとも26種のタンパク質、少なくとも27種のタンパク質、少なくとも28種のタンパク質、
少なくとも29種のタンパク質、又は少なくとも30種のタンパク質の間に類似性がある。別
の実施態様において、少なくとも1種のタンパク質間に類似性がある。さらに別の実施態
様において、少なくとも3種のタンパク質間に類似性がある。さらに他の実施態様におい
て、少なくとも5種のタンパク質間に類似性がある。さらに他の実施態様において、少な
くとも10種のタンパク質間に類似性がある。さらに他の実施態様において、少なくとも15
種のタンパク質間に類似性がある。他の実施態様において、少なくとも20種のタンパク質
間に類似性がある。他の実施態様において、少なくとも30種のタンパク質間に類似性があ
る。
【0172】
特定の実施態様において、対象のタンパク質プロファイル及び疾患タンパク質プロファ
イルは、存在する同じ1種以上のタンパク質を有し、該対象が疾患又は障害を有し得るこ
とを示す。他の実施態様において、対象のタンパク質プロファイル及び疾患タンパク質プ
ロファイルは、同一又は実質的に類似するレベルの1種以上のタンパク質を有し、該対象
が該疾患又は障害を有し得ることを示す。同一又は実質的に類似するレベルの1種以上の
タンパク質には、例えば、統計解析又は決定される閾値の倍差(例えば、2倍未満の差)に
よって、例えば、当業者が十分に異なると判断したタンパク質レベルと(例えば、当業者
が決定した関連統計解析内で)同じであるタンパク質レベルが含まれ得る。いくつかの実
施態様において、対象のタンパク質プロファイルと疾患タンパク質プロファイルの1種以
上のタンパク質のレベルは同じである。さらに別の実施態様において、対象のタンパク質
プロファイル及び疾患タンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、実質
的に類似している。別の実施態様において、対象のタンパク質プロファイル及び疾患タン
パク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、当業者に公知の統計学的方
法(例えば、0.05以上のp値を有するT検定)によって決定される。さらに別の実施態様にお
いて、対象のタンパク質プロファイルと疾患タンパク質プロファイルの1種以上のタンパ
ク質のレベルの差は、当業者に公知の所定の基準範囲(例えば、健常又は正常の濃度範囲)
と比較することによって決定される。他の実施態様において、対象のタンパク質プロファ
イル及び疾患タンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、0.5倍未満異な
る。特定の他の実施態様において、対象のタンパク質プロファイル及び疾患タンパク質プ
ロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、1倍未満異なる。さらに別の実施態様にお
いて、対象のタンパク質プロファイル及び疾患タンパク質プロファイルの1種以上のタン
パク質のレベルは、1.5倍未満異なる。さらに他の実施態様において、対象のタンパク質
プロファイル及び疾患タンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、2倍未
満異なる。
【0173】
(治療の評価)
本開示はまた、本明細書に提供される方法によって生成されるタンパク質プロファイル
を用いて、対象における治療を監視する方法を提供する。本明細書に提供される方法に従
って生成されるタンパク質プロファイルは、治療前及び治療後の対象から採取され、該タ
ンパク質プロファイルは、2つの間の(例えば、タンパク質の存在又はタンパク質レベルに
おける)差が比較される。一実施態様において、治療を受ける対象は、1回以上の治療又は
いくつかの治療を受けることができる。別の実施態様において、該対象は、特定の治療を
受けた、かつ/又は受けている。一実施態様において、治療前に取得されたタンパク質プ
ロファイルは、全く治療を受けていない対象から取得することができ、治療後の対象のタ
ンパク質プロファイルと比較される。別の実施態様において、タンパク質プロファイルは
、治療の過程で測定され、治療中のある時点で取得された対象の少なくとも1つのタンパ
ク質プロファイルは、治療中の異なる時点で取得された対象の少なくとも1つのタンパク
質プロファイルと比較される。特定の実施態様において、治療前及び治療後のタンパク質
プロファイルは、治療の過程で同じ治療を受けている対象から取得される。別の実施態様
において、治療前と治療後のタンパク質プロファイルは、治療の過程で異なる治療を受け
ている対象(例えば、治療法を切り替えた対象)から取得される。
【0174】
治療前と治療後の対象のタンパク質プロファイル間の差(例えば、タンパク質の存在又
はレベル)は、治療が対象に影響を与えていることを示すことができる。一実施態様にお
いて、少なくとも1種のタンパク質、少なくとも2種のタンパク質、少なくとも3種のタン
パク質、少なくとも4種のタンパク質、少なくとも5種のタンパク質、少なくとも6種のタ
ンパク質、少なくとも7種のタンパク質、少なくとも8種のタンパク質、少なくとも9種の
タンパク質、少なくとも10種のタンパク質、少なくとも11種のタンパク質、少なくとも12
種のタンパク質、少なくとも13種のタンパク質、少なくとも14種のタンパク質、少なくと
も15種のタンパク質、少なくとも16種のタンパク質、少なくとも17種のタンパク質、少な
くとも18種のタンパク質、少なくとも19種のタンパク質、少なくとも20種のタンパク質、
少なくとも21種のタンパク質、少なくとも22種のタンパク質、少なくとも23種のタンパク
質、少なくとも24種のタンパク質、少なくとも25種のタンパク質、少なくとも26種のタン
パク質、少なくとも27種のタンパク質、少なくとも28種のタンパク質、少なくとも29種の
タンパク質、又は少なくとも30種のタンパク質の間に差がある。別の実施態様において、
少なくとも1種のタンパク質間に差がある。さらに別の実施態様において、少なくとも3種
のタンパク質間に差がある。さらに他の実施態様において、少なくとも5種のタンパク質
間に差がある。さらに他の実施態様において、少なくとも10種のタンパク質間に差がある
。さらに他の実施態様において、少なくとも15種のタンパク質間に差がある。他の実施態
様において、少なくとも20種のタンパク質間に差がある。他の実施態様において、少なく
とも30種のタンパク質間に差がある。
【0175】
特定の実施態様において、治療前に取得された対象のタンパク質プロファイルは、治療
後に取得されたタンパク質プロファイルとは異なるタンパク質(複数可)を含み、該治療が
対象に影響を与えた可能性を示す。他の実施態様において、治療前に取得された対象のタ
ンパク質プロファイルは、治療後に取得されたタンパク質プロファイルと比較して異なる
レベルの1種以上のタンパク質を有し、該治療が対象に影響を与えた可能性を示す。この
異なるレベルの1種以上のタンパク質には、例えば、1倍超の差であるレベルが含まれ得る
。特定の実施態様において、治療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタン
パク質のレベルの差は、1倍超、1.5倍超、2倍超、2.5倍超、3倍超、3.5倍超、4倍超、4.5
倍超、5倍超、5.5倍超、6倍超、6.5倍、7倍超、7.5倍超、8倍超、8.5倍超、9倍超、9.5倍
超、及び10倍超である。いくつかの実施態様において、治療前後の対象のタンパク質プロ
ファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、1.5倍超である。他の実施態様において
、治療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、2倍
超である。他の実施態様において、治療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以上
のタンパク質のレベルの差は、2.5倍超である。さらに他の実施態様において、治療前後
の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、3倍超である。
さらに他の実施態様において、治療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタ
ンパク質のレベルの差は、4倍超である。別の実施態様において、治療前後の対象のタン
パク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、5倍超である。他の実施態様
において、治療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの
差は、6倍超である。さらに他の実施態様において、治療前後の対象のタンパク質プロフ
ァイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、7倍超である。別の実施態様において、治
療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、8倍超で
ある。さらに別の実施態様において、治療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以
上のタンパク質のレベルの差は、9倍超である。さらに別の実施態様において、治療前後
の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、10倍超である
。
【0176】
特定の実施態様において、少量の血液試料は、対象の治療を監視するために治療前及び
治療後のタンパク質プロファイルを生成するために採取される。少量の血液試料は、対象
から頻繁に採取されるのを可能にし、その結果、以前に達成できなかった頻度での治療監
視を可能にする。いくつかの実施態様において、少量の血液試料は、1日1回以上、1日2回
以上、1日3回以上、1日4回以上、及び1日5回以上の頻度で採取することができる。他の実
施態様において、少量の血液試料は、1週間に1回以上、1週間に2回以上、1週間に3回以上
、1週間に4回以上、1週間に5回以上、1週間に6回以上、及び1週間に7回以上採取される。
他の実施態様において、少量の血液試料は毎日採取される。さらに他の実施態様において
、少量の血液試料は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、及び4週間に1回採取される
。特定の実施態様において、少量の血液試料は、月に1回採取される。
【0177】
本開示はまた、本明細書に提供される方法によって生成されるタンパク質プロファイル
を用いて、対象における治療の有効性を決定する方法を提供する。一実施態様において、
少なくとも1つのタンパク質プロファイルは、治療を受けた対象から取得される。別の実
施態様において、少なくとも1つのタンパク質プロファイルは、治療を受けていない対象
から取得され、治療を受けた対象のタンパク質プロファイルは、治療を受けていない対象
のタンパク質プロファイルと比較される。別の実施態様において、該タンパク質プロファ
イルは、治療を受けていない1以上の対象から採取された血液試料を用いて生成され、該
血液試料はプールされる。別の実施態様において、タンパク質プロファイルは、治療を受
けた対象から採取された1以上の血液試料を用いて生成され、該血液試料はプールされる
。タンパク質プロファイルは、その後、治療を受けていない1以上の対象のプールされた
血液試料及び/又は治療を受けていない対象からの1以上の血液試料から取得される。別の
実施態様において、1以上のタンパク質プロファイルは、治療を受けていない1以上の対象
から取得され、かつ/又は1以上のタンパク質プロファイルは、治療を受けた対象から取得
され、治療を受けていない対象のタンパク質プロファイル及び治療を受けた対象のタンパ
ク質プロファイルを含むタンパク質を(存在及び/又はレベルの差によって)決定するため
に、当技術分野で公知の手段によって統計解析が実行される。治療を受けた対象のタンパ
ク質プロファイル及び治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルは、2種類のタ
ンパク質プロファイルの比較前の任意の時点で生成することができる。
【0178】
治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルと比較した、治療を受けた対象のタ
ンパク質プロファイル間の1種以上のタンパク質の存在又はレベルの類似性は、治療の有
効性を示すことができる。一実施態様において、少なくとも1種のタンパク質、少なくと
も2種のタンパク質、少なくとも3種のタンパク質、少なくとも4種のタンパク質、少なく
とも5種のタンパク質、少なくとも6種のタンパク質、少なくとも7種のタンパク質、少な
くとも8種のタンパク質、少なくとも9種のタンパク質、少なくとも10種のタンパク質、少
なくとも11種のタンパク質、少なくとも12種のタンパク質、少なくとも13種のタンパク質
、少なくとも14種のタンパク質、少なくとも15種のタンパク質、少なくとも16種のタンパ
ク質、少なくとも17種のタンパク質、少なくとも18種のタンパク質、少なくとも19種のタ
ンパク質、少なくとも20種のタンパク質、少なくとも21種のタンパク質、少なくとも22種
のタンパク質、少なくとも23種のタンパク質、少なくとも24種のタンパク質、少なくとも
25種のタンパク質、少なくとも26種のタンパク質、少なくとも27種のタンパク質、少なく
とも28種のタンパク質、少なくとも29種のタンパク質、又は少なくとも30種のタンパク質
の間に類似性がある。別の実施態様において、少なくとも1種のタンパク質間に類似性が
ある。さらに別の実施態様において、少なくとも3種のタンパク質間に類似性がある。さ
らに他の実施態様において、少なくとも5種のタンパク質間に類似性がある。さらに他の
実施態様において、少なくとも10種のタンパク質間に類似性がある。さらに他の実施態様
において、少なくとも15種のタンパク質間に類似性がある。他の実施態様において、少な
くとも20種のタンパク質間に類似性がある。他の実施態様において、少なくとも30種のタ
ンパク質間に類似性がある。
【0179】
特定の実施態様において、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル及び治療を受け
ていない対象のタンパク質プロファイルは、存在する同じ1種以上のタンパク質を有し、
該治療が有効であった可能性があることを示す。他の実施態様において、治療を受けた対
象のタンパク質プロファイル及び治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルは、
同一又は実質的に類似するレベルの1種以上のタンパク質を有し、該治療が有効であった
可能性があることを示す。同一又は実質的に類似するレベルの1種以上のタンパク質には
、例えば、統計解析又は決定される閾値の倍差(例えば、2倍未満の差)によって、例えば
、当業者が十分に異なると決定したタンパク質レベルと(例えば、当業者が決定した関連
統計解析内で)同じであるタンパク質レベルが含まれ得る。いくつかの実施態様において
、治療を受けた対象のタンパク質プロファイルと治療を受けていない対象のタンパク質プ
ロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは同じである。さらに別の実施態様において
、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル及び治療を受けていない対象のタンパク質
プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、実質的に類似している。別の実施態様
において、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル及び治療を受けていない対象のタ
ンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、当業者に公知の統計学的
方法(例えば、0.05以上のp値を有するT検定)によって決定される。さらに別の実施態様に
おいて、治療を受けた対象のタンパク質プロファイルと治療を受けていない対象のタンパ
ク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、当業者に公知の所定の基準範
囲(例えば、健常又は正常の濃度範囲)と比較することによって決定される。別の実施態様
において、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル及び治療を受けていない対象のタ
ンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、0.5倍未満異なる。別の実施態
様において、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル及び治療を受けていない対象の
タンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、1倍未満異なる。さらに別の
実施態様において、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル及び治療を受けていない
対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、1.5倍未満異なる。さ
らに他の実施態様において、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル及び治療を受け
ていない対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、2倍未満異な
る。
【0180】
(対象)
特定の実施態様は、対象からの血液試料又はその成分のタンパク質プロファイルを決定
することに関する。
【0181】
該対象は、血液が赤血球(例えば、哺乳動物、鳥類、魚類、爬虫類、又は両生類)を含む
動物であり得る。適切な対象の非限定的な例としては、ウシ、ウマ、ヒツジ、霊長類、鳥
及び齧歯類の種が挙げられる。したがって、いくつかの実施態様において、該対象は、ヒ
ト、非ヒト哺乳動物、マウス、ラット、ハムスター、フェレット、スナネズミ、ウサギ、
サル、チンパンジー、ウマ、ポニー、ロバ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、ヤギ、ネコ、又は
イヌであり得る。
【0182】
(キット)
本開示はまた、本明細書に記載の方法を実行するのに必要な成分を含むキットを提供す
る。
【0183】
非限定的な例としては、該キットは、血液採取、抗凝固剤(複数可)、血液安定剤(複数
可)、RBCの濃縮、非RBC血液成分の除去/分離、急速凍結血液又はその成分(複数可)、細胞
溶解、細胞洗浄、細胞培養、細胞内及び/又は細胞外の特定の標的タンパク質(複数可)の
検出、並びに/又はそれらの組み合わせのための手段を含み得る。特定の実施態様におい
て、該キットは、血液試料から白血球を除去し、赤血球濃縮試料を生成するための少なく
とも1種類の試薬、並びに少量の赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出す
るか、又はそのレベルを測定するための少なくとも1種類の試薬を含む。一実施態様にお
いて、1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定する試薬は、ELI
SA装置である。他の実施態様において、該キットはさらに、対象から血液試料を採取する
ための少なくとも1種類の試薬を含む。
【0184】
いくつかの実施態様において、本開示によるキットは、以下のもの:対象から血液試料
を採取するための装置(複数可)(例えば、注射器、針、翼状針、チューブ、針ホルダ、採
血セット、移送装置、バキュテナー、hemaPEN(商標));対象から乾燥血液試料を採取する
ための装置(複数可)(例えば、濾紙、カード、HemaSpot(商標));液体血液試料から赤血球
画分、白血球画分、及び/又は血小板画分を取得するための装置(複数可)(例えば、抗体コ
ーティング磁気ビーズ);抗凝固剤;及びタンパク質変性剤などのうちの1以上を含み得る。
【実施例0185】
(実施例)
本開示は、これから具体的な実施例(複数可)を参照して説明するが、決して限定される
ものとして解釈されるべきではない。
【0186】
(実施例1.RBCの表面上のMIF受容体の存在の調査)
RBCはMIFを含有する。RBCがMIFに結合する受容体を有するかどうかを決定するために、
細胞表面上のCD44とCD74との間に形成される複合体である、MIFの最もよく知られている
受容体についてRBCを分析した。免疫表現型検査を用いて、RBC上のCD44及びCD74の不在又
は存在を特定した。全血(WB)を、EDTAバキュテナーに採取し、PBS+FBS(2%)で2回洗浄し
(5分間、500gで遠心分離)、最終的に、1mLの溶液に再懸濁した。5μLの溶液をそれぞれの
チューブに添加した。次いで、細胞を、5μL又は20μLの各抗体(抗CD44、抗CD74、抗CD45
、及びIgG対照)並びに50μLのPBS+FBS(2%)で染色した。細胞溶液を15分間、室温、暗所
でインキュベートし、インキュベーション後、細胞を1×PBS(500g、5分)で3回洗浄した。
細胞を200μLのPBSに再懸濁し、象限統計及びオーバーレイヒストグラムを用いてフロー
サイトメトリーにより分析した。
【0187】
図1A~1Cに示すように、RBCは、受容体CD44について陽性であった。しかし、RBCは、CD
74については陽性であるようには見えなかった(
図2)。予想されるように、RBCは、白血球
(WBC)マーカーCD45について陽性ではなかった(データ示さず)。RBCはCD44について陽性で
あったが、CD74については陽性ではないので、RBCは主なMIF受容体を有していない。その
ために、MIFがRBCの表面上にある場合、RBCは別の機構によって結合するはずである。
【0188】
(実施例2.RBC中のMIF局在)
RBCを、免疫細胞化学を用いて、MIFの局在について分析した。全血をシリンジに収集し
、1×PBSで2回洗浄した(5分間、500gで、遠心機で回転させた)。細胞ペレットを用いて、
血液塗抹標本(スライドあたり10μL)を調製し、血液スライドを少なくとも2時間、室温で
乾燥させた。スライドを完全に乾燥させた後、塗抹標本を室温で、5分間、100%メタノー
ルで固定した。スライドを固定した後、それらをメタノールから取り出し、約10分間、空
気乾燥させた。スライドを1×PBSで徹底的に洗浄し、次いで、血液塗抹標本をブロット乾
燥した。塗抹標本を室温で1時間、PBS+5% BSAでブロッキングした。ブロッキング後、
該試料を4℃で一晩、一次MIF抗体(抗ヒト、ウサギMIF抗体、1μg/mL)と共に又は含めない
でインキュベートした。インキュベーション後、スライドを1×PBSでよく洗浄し、次いで
、二次抗体(抗ウサギ、AP結合抗体、1:50希釈)と室温で30分間インキュベートした。ス
ライドを1×PBSでよく洗浄し、過剰な液体を取り除いた。新たに調製した基質(AP発色緩
衝液:基質A:基質B=100:1:1)をスライド上に滴下し、室温で20分間インキュベートし
、ミリQ水で反応を停止させた。スライドを乾燥させ、マウントし、光学顕微鏡を用いて
画像を収集した。
【0189】
次に、RA滑膜(ヒト)のパラフィン包埋試料を切片にし、スライドガラスにのせた。キシ
レン(2回、5分)及びエタノール(100%、100%、95%、70%、3分毎)で洗浄し、最後に水
道水を流して洗浄し、パラフィンを試料から取り除いた。次いで、熱誘導エピトープ賦活
化を、以下の方法によって沸騰水浴を用いて実行した:Tissue-Tek社製容器を緩衝液(pH6
)で満たし、水浴中で95℃まで加熱した。スライドを沸騰水浴中の容器に入れ、20分間イ
ンキュベートした。スライドを水浴から取り出し、室温で20分間放冷した。そして、冷水
を徐々に添加し、最終的にスライドを2~3分間、冷たい水道水で洗浄した。スライドをSe
quenzaトレイに接着させ、洗浄緩衝液(TBST)で6分間洗浄した。切片を、Dako社のプロテ
インブロック血清フリー(100μL、10分)を用いてブロッキングした。一次抗体(又は対応
する陰性IgG対照)を調製濃度でスライドに添加し、一晩インキュベートした(100μL、4℃
;0.5μg/mL、1μg/mL、2μg/mL、4μg/mL)。インキュベーション後、スライドをTBST(6分
、室温)で洗浄した。二次抗体(EnVisionポリマー、ウサギ、HRP)を、スライドに添加し(3
滴)、スライドを室温で30分間インキュベートした。次いで、スライドをTBSTで洗浄し(6
分、室温)、Sequenzaトレイから取り出し、HRP基質試薬(NovaRED)を、各スライド上に直
接滴下することにより、各スライドに添加した(200μL)。スライドを室温で15分間インキ
ュベートした。次いで、5分間水道水を流してスライドを洗浄し、反応を停止させ、試料
をヘマトキシリン(2分、室温)及びスコット・ブルー(30秒、室温)で対比染色した。次い
で、試料を、漸増濃度のエタノール、次いで、キシレンで脱水し、マウントして、光学顕
微鏡を用いて観察した。
【0190】
予想される通り、白血球の明確な細胞内染色(
図3)が観察された(WBCは、MIFの高い細胞
内プールを含有する)。これらの結果はまた、RBCの細胞表面が染色されことを示し(
図3)
、MIFが細胞表面上に存在することが示唆された。RBC上で明確な細胞内染色はなかった(
図3)。陰性対照を
図4に示す。
【0191】
滑膜切片の染色も成功した。陰性対照での染色はほとんどないか又は全くなく(
図5)、
陽性対照では内皮細胞及び炎症性細胞の染色が良好であった(
図6)。血管内のRBCは染色さ
れたように見えたが、染色の局在化は決定されなかった。
【0192】
これらの結果から、MIFは細胞内ではなく、細胞膜上に局在していることが示唆された
。これとは対照的に、RBCゴースト及びRBC溶解物は、MIF染色を示さなかった(データ示さ
ず)。WBCは、細胞内MIFを含有する。
【0193】
(実施例3.RBC中でのMIFの存在の調査)
MIFレベルは、血漿中よりもRBC中で約1000倍高かったので、RBCをMIFの細胞内レベルに
ついて分析した。全血を、毛細血管床から採取した(指先採取)。血液をEDTA(30mg/mL)溶
液で抗凝固させ(1:1)、PBS+FBS(2%)で2回洗浄した。細胞を暗所で、室温で15分間、CD4
5-FITC(5μL)で染色した。インキュベーション後、細胞を1×PBSで2回洗浄し、次いで、R
BCをフローサイトメトリー(FACS)による陰性選別を用いて分離した。RBC及びWBを、遠心
分離(2000g、10分間)によってペレット化し、250,000細胞/50μLに再懸濁した。細胞を-8
0℃で凍結させ、試料を3回の凍結-解凍サイクルに供して、全ての細胞を溶解した。次い
で、試料をHu MIF ELISAにて分析した。指先及び静脈血については、全血を、毛細血管床
(指先採取)又は静脈のいずれかから採取した。血液をEDTA(30mg/mL)溶液で抗凝固させ(1:
1)、PBS+FBS(2%)で2回洗浄し、細胞を暗所で、室温で15分間、CD45-FITC(5μL)で染色
した。インキュベーション後、細胞を1×PBSで2回洗浄し、FACS上の陰性選別を用いてRBC
を分離した。RBC及びWBを、遠心分離(2000g、10分)によりペレット化し、250,000細胞/50
μLに再懸濁した。細胞を-80℃で凍結させ、試料を3回の凍結-解凍サイクルに供して、全
ての細胞を溶解した。試料をHu MIF ELISAにて分析した。
【0194】
図7に示すように、MIFをFACS分離RBC中で、高濃度で特定した。しかし、レベルは、全
血中で測定されたものより約10倍低かった。
図8に示すように、静脈採取に対して、指先
から採取したRBCの中のMIF濃度に差があった。全血におけるMIFの濃度は、ELISAによって
分析するにはあまりにも高かった(データ示さず)。結果から、MIFはRBC中に存在するが、
その測定可能なMIF濃度は、採取部位(指先又は静脈)並びに選択された抗凝固剤(EDTA又は
ヘパリン)に依存して異なることが実証された。
【0195】
(実施例4.RBC分離の最適化)
(4.1 デキストラン沈降対フローサイトメトリー)
全血を、静脈採取によりEDTA及びヘパリンバキュテナーに採取した。RBCを、FACS、デ
キストラン沈降、又はRBC溶解緩衝液のいずれかを用いて分離した。FACS分離のために、
血液を遠心分離(5分間、1000g)により、FACS洗浄緩衝液(PBS+2%FBS)で2回洗浄した。得
られた細胞ペレットを50μLのFACs洗浄緩衝液に再懸濁し、CD45-FITC(5μL、FITCマウス
抗ヒトCD45、H130、eBioscience 11-0459-42)で染色し、暗所で、室温で15分間インキュ
ベートした。インキュベーション後、細胞をFACS洗浄緩衝液(5分間、1000g)で2回洗浄し
、次いで、緩衝液に再懸濁させたRBCを、FACS(FACSAria IIIフローサイトメーター、4レ
ーザー)上での陰性選別を用いて分離した。RBC及びWBCを、前方散乱及び側方散乱によっ
て、サイズに応じて血小板からゲーティングした。次いで、RBCをCD45染色のWBC欠如によ
ってWBCからゲーティングした。デキストラン沈降のために、抗凝固WBを高分子量デキス
トランに添加し(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v、1:1の血液:デキストラン)、溶液を
穏やかに混合し、RBCを沈降させるために室温(約23℃)で、最大60分間放置し、沈降後、R
BCを分離し、1×PBSで2回洗浄した。RBC及びWBを、遠心分離(2000g、10分間)によってペ
レット化し、250,000細胞/50μLに再懸濁した。次いで、RBCを溶解した。2億5千万個の細
胞を6mLの氷冷のミリQ水に添加し、30秒間インキュベートした。インキュベーション後、
2mLの氷冷0.6M KClを添加して、等張性を回復させた。溶液を氷冷PBSで50mLまで希釈した
。そして、混入細胞をペレット化し、溶解物を収集した(250,000細胞/50μLに等しい)。
最後に、試料を-80℃で凍結させ、3回の凍結-解凍サイクルに供して、全細胞を溶解した
。
【0196】
溶解した細胞中のMIFの濃度をMIF ELISA(R&D Systems、USA)を用いて測定し、MIF ELI
SAの吸光度データを、450nm(570nmにおける吸光度補正)でSynergy 2プレートリーダー(Bi
oTeck、USA)を用いて収集した。検量線を、log/logカーブフィット(GraphPad Prismソフ
トウェア(バージョン6、USA))を用いて分析した。
【0197】
分離したRBCの純度を決定するために、全血をEDTAバキュテナーに採取し、上記のよう
に、デキストラン沈降法を用いてRBCを分離した。RBCを、PBS+FBS(2%)で2回洗浄し、5
分間、500gにし、最後に1mLの溶液に再懸濁した。5μLの溶液をそれぞれのチューブに加
え、5μL又は20μLの各抗体(抗CD45、及びIgG対照)並びに50μLのPBS+FBS(2%)で細胞を
染色した。細胞溶液を暗所で、15分間、室温でインキュベートし、インキュベーション後
、細胞を1×PBSで3回洗浄した(500g、5分)。細胞を、200μLのPBSに再懸濁し、象限統計
及びオーバーレイヒストグラム(Coulter AcT Diff、Beckman Coulter)を用いてフローサ
イトメトリーにより分析した。
【0198】
図9に示すように、RBCのデキストラン沈降は、RBC溶解緩衝液又はFACS分離(全血1mLに
相対的な寄与に対して正規化した濃度)を用いるよりも、MIFの測定濃度はより高かった。
デキストラン自体の存在は、測定されたMIFのレベルを変化させなかった(データ示さず)
。加えて、デキストラン沈降を用いて分離したRBCを、混入したCD45+細胞(WBC)の存在に
ついて染色した。RBCは約0.0025%純粋であった(
図10A~10C)。
【0199】
結果から、RBC集団で測定したMIF量がRBC分離の方法に依存していることが実証された
。デキストラン沈降は、純度の高いRBCの最大数をもたらす最適なRBC分離技術であった。
結果から、デキストラン沈降が他の一般的に使用されるRBC分離技術よりも効果的又はさ
らにより効果的であることが示された。加えて、デキストラン沈降は、MIFのはるかに高
いレベルの検出をもたらし、本方法がタンパク質レベルの測定のための他の方法よりもは
るかに正確であり得ることが示された。
【0200】
(4.2 RBC処理:デキストラン沈降対他の方法)
全血を、静脈穿刺(n=1)によって健常ボランティアからEDTAバキュテナー(K2EDTAバキ
ュテナー、BD Biosciences)に直接採取した。血液の全ての画分を採取し、採取の4時間以
内に室温で処理した。マルチプレックス分析(BioPlex分析)のために、全ての試料を-80℃
で保存し、分析前に完全な細胞溶解を確実にするために、-80℃で3回の凍結-解凍サイク
ルに供した。
【0201】
赤血球を、以下のようにデキストラン沈降を用いて分離した。全血を遠心分離し(1500g
、10分)、上部血漿層を廃棄した。残りの細胞ペレットを、等量の塩化ナトリウム(0.15M)
に再懸濁した。次いで、デキストラン(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v)を1:4(デキス
トラン:細胞懸濁液)の比でこの細胞懸濁液に添加した。この溶液を、チューブの底への赤
血球沈降のために室温で30分間放置した。この後に、上部白血球濃縮層を廃棄し、下部赤
血球画分を収集した。下部赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、500g、5分)で1回洗
浄するか、又はPBSで3回、反転しながら十分に洗浄した。得られた赤血球を、新鮮なまま
使用するか、又は凍結させた(-80℃)。
【0202】
赤血球のアリコートを、PBSで4億細胞/mLに希釈し、37℃、24時間、5% CO2でインキュ
ベートした。インキュベーション後、赤血球及び得られた馴化PBSを分けて、凍結させた(
-80℃)。
【0203】
赤血球を、3回の凍結-解凍サイクルに供し、完全な細胞溶解を確実にした。溶解後、赤
血球溶解物を4億細胞/mL当量までPBSで希釈した。次いで、これらの溶解物を、マルチプ
レックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した
。第1のものは、FGF塩基性、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、I
L-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17
、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α及びVEGFについてアッセ
イする27プレックスのヒトサイトカインパネルであり、第2のものは、IL-1α、IL-2Ra、I
L-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、M
IG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックス
のヒトサイトカインパネルであった(Bio-Plex Pro 27-プレックス及び21-プレックス、Bi
o-Rad)。該アッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro
II、Bio-Rad)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(登
録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカインに
ついての検量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)を
用いて、5パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0204】
このデータは、再び、デキストラン沈降による赤血球の分離が95%を超える平均白血球
及び血小板除去をもたらしたことを示した(表3)。
【0205】
表3.デキストラン沈降を用いて生成した濃縮赤血球画分からの白血球及び血小板の除去
率
【表3】
【0206】
RBC分離方法において一般的に使用される洗浄工程の効果を評価すること。赤血球のデ
キストラン沈降分離後に徹底的な洗浄工程を追加すると、この洗浄工程を経ていない細胞
と比較した場合に、サイトカインプロファイルに変化があった。洗浄した細胞中で測定可
能なサイトカインが全体的に減少していた(
図11A-11GG)。
【0207】
洗浄した赤血球中のほとんどのタンパク質の濃度は、例えば、IFN-γ(2倍少ない)、G-C
SF(4倍少ない)、及びPDGF-bb(6倍少ない)に見られるように、未洗浄赤血球で観察される
ものよりも顕著に低かった。さらに、その時点までに、タンパク質のコレクションのレベ
ルは、未洗浄対照とは異なり、検出レベル未満であった。IFN-α2及びIL-17が、未洗浄赤
血球で検出可能である場合、それらは洗浄した細胞には完全に存在しなかった。これらの
結果は、赤血球の過剰な洗浄がそれらのサイトカインプロファイルを変化させ得ることを
実証する。この洗浄は、ほとんどの赤血球分離技術において重要な工程である。
【0208】
RBC溶解は不完全であるため、このデータから、デキストラン沈降がMIFレベルに関して
最も正確な答えを与えたことが示唆される。RBC分離技術間の主な違いは、それぞれがど
れくらい広範囲に処理されるかということである。デキストラン沈降法は、比較的穏やか
で、最小限の洗浄工程を伴うが、FACs法は、細胞選別のために、細胞が多数の洗浄工程及
びサイトメーターの高速通過を受けることを必要とする。
【0209】
(実施例5.血液成分全域でのMIFの分布)
RBCがMIFの主要な貯蔵所であるかどうかを決定するために、RBCをMIFの存在について分
析した。全血を静脈採取によりEDTAバキュテナーに採取した。血漿を遠心分離後に収集し
、細胞をFACS又はデキストラン沈降のいずれかを用いて分離した。FACS分離のために、血
液をPBS+FBS(2%)で2回洗浄し、細胞を暗所で、室温で15分間、CD45-FITC(5μL)で染色
し、次いで、1×PBSで2回洗浄した。次いで、RBCをFACS上で陰性選別を用いて分離した。
WBCを、CD45について陽性染色を用いて分離した。そして、血小板をサイズに従って分離
した。上記のようにデキストラン沈降を実行した後に、WBC及び血小板を遠心分離により
上清から分離した。細胞及びWBを、遠心分離(2000g、10分)によってペレット化し、再懸
濁させて、濃度を設定した。試料を-80℃で凍結させ、試料を3回の凍結-解凍サイクルに
供して、全ての細胞を溶解した。次いで、試料をHu MIF ELISAで分析した。
【0210】
細胞をFACS又はデキストラン沈降によって分離した時のMIF分布を、表4及び5に示す。M
IFは血液の全成分中に存在するが、RBCは、全MIFの最大の割合に寄与した。WBCは、細胞
あたり最高濃度のMIFを含有していたが、血液中には1000倍超のRBCが存在していた。
【0211】
表4:デキストラン沈降を用いて分離した後に全血と比較した血液成分間のMIFの分布(n
=1)
【表4】
【0212】
表5:FACSを用いて分離した後の全血と比較した血液成分間のMIFの分布(n=1)
【表5】
【0213】
表6:デキストラン沈降を用いて分離した後の全血と比較した血液成分間のMIFの分布。
データは平均±標準偏差として提示される(n=3)
【表6】
【0214】
(実施例6.RBC中に存在するタンパク質の特定)
RBCがMIF以外のタンパク質の貯蔵所であるかどうかを調査するために、RBC中の他のタ
ンパク質レベルを評価した。全血を静脈採取によりEDTAバキュテナーに採取した。上記の
ように、血漿を遠心分離後に収集し、細胞をFACS又はデキストラン沈降のいずれかを用い
て分離した。分離した細胞及びWBを、遠心分離(2000g、10分)によってペレット化し、再
懸濁させて、濃度を設定した。試料を-80℃で凍結させ、3回の凍結-解凍サイクルに供し
て、全ての細胞を溶解した。試料を、Hu27-プレックスBioPlexで分析した。加えて、RBC
によって放出又は分泌されたタンパク質を分析した。前述のように、全血を静脈採取によ
りEDTAバキュテナーに採取し、デキストラン沈降によってRBCを分離した。分離したRBCを
、100μLのPBS又はPBS+プロテアーゼ阻害剤(1×)中2千万個の細胞に分注し、細胞を37℃
、5% CO2で24時間インキュベートした。インキュベーション後、上清及び細胞を遠心分
離により分離し、試料を-80℃で凍結させ、3回の凍結-解凍サイクルに供して、全ての細
胞を溶解した。試料をHu27プレックスBioPlexで分析した。
【0215】
試料をBioPlex上に流した後、RBC及び他の血液成分中に存在するものとしていくつかの
タンパク質を特定した。該分析は、全血とRBCの両方に実質的な量で存在する(合計27種中
)16種のタンパク質のそれぞれの濃度を報告する(表7~11)。全収率を、全血中の測定した
タンパク質と比較した各血液成分からのタンパク質の全収率として報告する(表7~11)。
【0216】
表7:BioPlexによって測定し、pg/全血1mLとして報告する全血及び血液成分中の炎症促
進性サイトカインのまとめ。全収率を、全血中のタンパク質濃度に従って報告する(n=1)
。下線を引いた値は、標準曲線の下から補外した。
【表7】
【0217】
表8:BioPlexによって測定し、pg/全血1mLとして報告する全血及び血液成分中の抗炎症
性サイトカインのまとめ。全収率を、全血中のタンパク質濃度に従って報告する(n=1)。
下線を引いた値は、標準曲線の下から補外した。
【表8】
【0218】
表9:BioPlexによって測定し、pg/全血1mLとして報告する全血及び血液成分中の成長因
子のまとめ。全収率を、全血中のタンパク質濃度に従って報告する(n=1)。下線を引いた
値は、標準曲線の下から補外した。
【表9】
【0219】
表10:BioPlexによって測定し、pg/全血1mLとして報告する全血及び血液成分中のケモカ
インのまとめ。全収率を、全血中のタンパク質濃度に従って報告する(n=1)。下線を引い
た値は、標準曲線の下から補外した。
【表10】
【0220】
表11:BioPlexによって測定し、pg/全血1mLとして報告する全血及び血液成分中の複数の
機能を有するサイトカインのまとめ。全収率を、全血中のタンパク質濃度に従って報告す
る(n=1)。下線を引いた値は、標準曲線の下から補外した。
【表11】
【0221】
RBCを37℃で24時間、PBS中で培養した後に、いくつかのタンパク質が放出又は分泌され
た。抗炎症、炎症促進性、ケモカイン、又は成長因子としてのタンパク質分類については
表7~11を参照されたい。表12~15は、37℃で24時間かけてRBC(100μLのPBS中2000万個の
RBC)からPBS中に放出又は分泌される検体のまとめを示し、BioPlexによって測定し、pg/m
Lとして報告する。図は、各タンパク質の平均検出濃度に従って分けられている。RBC培養
中にプロテアーゼ阻害剤を添加すると、タンパク質の放出又は分泌が変化した(37℃で24
時間)。
【0222】
培養条件は以下の通りであった:
1.RBC+PBS(100μLのPBS中2000万個のRBC)
2.RBC+PBS+プロテアーゼ阻害剤(PI)(100μLのPBS+PI中2000万個のRBC)
【0223】
図16A~16Zに示す一連のグラフは、RBCから放出又は分泌されたタンパク質の濃度(黒カ
ラム)並びに分泌後に細胞中に残っているタンパク質の濃度(灰色カラム)に対するプロテ
アーゼ阻害剤(PI)の有効性を示す。いくつかの例外(すなわち、MIP-1b)はあるが、培養液
にプロテアーゼ阻害剤を含めると、典型的には、放出又は分泌と細胞溶解物の両方に対し
て検出可能な濃度はより低かった。データを平均値±標準偏差(SD)として提示した。
【0224】
該データは、多くのサイトカインがRBC中に存在することを実証した。全血中のサイト
カインレベルは、血漿中に比べてはるかに異なるので、それらは、末梢血のサイトカイン
プロファイルの非常に異なる概念を与え、これはバイオマーカー分析に対する影響を有す
る。
【0225】
(実施例7.RBC中又はRBC上のCRPの存在)
CRP炎症マーカーがRBCと関連しているかどうかを調査するために、ランセットを使用す
る指穿刺によりWBを採取した。血液を、新鮮な血液で(血漿レベルを検出する)又は細胞の
全てを溶解させるための3回の凍結-解凍サイクル後(全血レベルについて)のいずれかで、
iChroma装置を用いてCRPレベルについて分析した。(デキストラン沈降後に)精製したRBC
を収集し、3回の凍結-解凍サイクルを用いて溶解し、iChroma装置上に流し、タンパク質
レベルを貯蔵した血漿試料中のものと比較した。
【0226】
図17に示すように、CRPは、血漿成分よりも溶解した全血においてより高いレベルで検
出可能であった。CRPはまた、対応する血漿濃度と比較して、RBC溶解物中で同様の比率で
検出可能であった(
図18)。結果から、CRPがRBCと関連し、RBCが全血中で検出可能な総CRP
の約50%に関与することが示唆された。
【0227】
(実施例8.少量の血液中のタンパク質レベルの測定)
等量の血漿中のレベルと比較して、赤血球中で様々なタンパク質のレベルが高いという
発見から、例えば、少量の全血及び/又はRBCはタンパク質マーカーを特定するために使用
することができることが示唆された。少量の全血及びRBC中の多数のタンパク質レベルを
分析した。
【0228】
全血を、指穿刺(n=1)によって健常ボランティアからEDTA溶液(3mg/mL)に直接採取した
。マルチプレックス分析(BioPlex分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、-80℃で3
回の凍結-解凍サイクルに供し、分析前に完全な細胞溶解を確実にした。赤血球を、3回の
凍結-解凍サイクルに供し、完全な細胞溶解を確実にした。溶解後、全血を、5μLの全血(
45μLのPBS中)、10μLの全血(40μLのPBS中)、15μLの全血(35μLのPBS中)、20μLの全血
(30μLのPBS中)、又は25μの全血(25μLのPBS中)でマルチプレックスサイトカインアッセ
イにて分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。第1のものは、FGF塩基性
、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、I
L-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、
MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスのヒト
サイトカインパネルであり、第2のものは、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18
、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β
、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスのヒトサイトカインパネル
であった(Bio-Plex Pro 27-プレックス及び21-プレックス、Bio-Rad)。該アッセイを、洗
浄工程については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II、Bio-Rad)を用いて、
製造業者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(登録商標)200(商標)シス
テム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカインについての検量線を、BioPl
exマネージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)を用いて、5パラメータのロ
ジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0229】
様々な希釈の全血中の示したタンパク質濃度(1:10、1:5、1:3.3、1:2.5、1:2)を
図19A
~19TTに示す(未希釈濃度に対して逆算する)。全血の分析により、いくつかのタンパク質
の存在が明らかになり、これらのタンパク質はまた、希釈の範囲で存在した。しかし、全
血に特有ではない分析タンパク質の多くについて希釈直線性はなかった。それはまた、Bi
oPlexなどのLuminexプラットフォームでの血漿分析で観察される(複数のタンパク質が典
型的には希釈して検出される)。結果は、少量(5μLまで)の全血中のタンパク質を監視す
ることができることを示す。全血中の多数のタンパク質の検出の容易さは、非常に少量の
(例えば、指先から採取される)血液を採取し、タンパク質レベルの分析のために使用する
ことができることを実証する。
【0230】
(実施例9.静脈血試料に対する指先試料中のタンパク質の存在)
少量の血液中のタンパク質の検出をさらに探索するために、指穿刺中の多数のタンパク
質レベルを、既知の方法により採取した静脈血中のそれらのレベルと比較した。
【0231】
全血を静脈穿刺又は指穿刺(n>12)によって、健常ボランティアからEDTAバキュテナー(
k2EDTAバキュテナー、BD Biosciences)又はEDTA溶液(3mg/mL)に直接採取した。血液の全
ての画分を採取し、採取の4時間以内に室温で処理した。マルチプレックス分析(BioPlex
分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、-80℃で3回の凍結-解凍サイクルに供して
、分析前に完全な細胞溶解を確実にした。以下のように、血漿及び赤血球を、デキストラ
ン沈降を用いて分離した。全血を遠心分離し(1500g、10分)、上部血漿層を収集した。残
りの細胞ペレットを、等量の塩化ナトリウム(0.15M)に再懸濁した。次いで、デキストラ
ン(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v)を、1:4(デキストラン:細胞懸濁液)の比でこの細
胞懸濁液に添加した。この溶液を、チューブの底への赤血球沈降のために室温で30分間放
置した。この後に、上部白血球濃縮層を廃棄し、下側の赤血球画分を分離した。赤血球画
分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、500g、5分)で2回洗浄し、残りの赤血球ペレットを計数
し(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)、次いで、分析まで凍結させた(-80℃)。
【0232】
赤血球を3回の凍結-解凍サイクルに供して、完全な細胞溶解を確実にした。溶解後、赤
血球溶解物を4億細胞/mL当量までPBSで希釈した。次いで、これらの溶解物を、マルチプ
レックスサイトカインアッセイで分析した。1つのマルチプレックスアッセイを利用した
。それは、FGF塩基性、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、
IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-1
0、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α及びVEGFについてアッセイする2
7プレックスのヒトサイトカインパネル(Bio-Plex Pro 27-plex, Bio-Rad)であった。該ア
ッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II、Bio-Rad
)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(登録商標)200
(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカインについての検
量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)を用いて、5
パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0233】
静脈血及び指先血から分離した血漿、又は静脈血及び指先血から分離した赤血球の溶解
物中の示したタンパク質の濃度を、
図20A~20AAに示す。有意差(p<0.05)を、スチューデ
ントt検定を用いて決定した。指先血及び静脈血を比較した場合、血漿と赤血球中のタン
パク質レベル間に一貫した傾向があった。例えば、IL-6の濃度は、静脈血漿中の濃度と対
照的に、指先から分離した血漿において有意に高い濃度であった。この同じ傾向が赤血球
で観察され、有意に高いレベルのタンパク質が指先の血液から分離した細胞中で観察され
た。この傾向は、例えば、IL-2、RANTES、及びIP-10を含むいくつかのタンパク質につい
て観察された。例えば、IL-1β、IL-8、及びTNF-αを含むいくつかのタンパク質について
、より高い濃度が、指先血から分離した血漿及び赤血球において観察された。
【0234】
赤血球については、生物学的なばらつき(標準偏差)は、静脈試料(例えば、MIP-1β、G-
CSF)より指先試料において低かった。これにより、指先から採取した赤血球の分析が静脈
血の分析よりも再現性があることが示唆された。反対のことが、血漿中のいくつかのタン
パク質について観察され、静脈血漿は指先血よりも変化しなかった(例えば、IL-7、PDGF-
bb)。これらの結果から、頻繁な採血を使用することができる指先からの赤血球の分離及
び分析の場合が支持された。
【0235】
(実施例10.血漿に対するRBC中のタンパク質プロファイル)
赤血球中でタンパク質レベルが比較的高いことを考慮して、赤血球溶解物中のタンパク
質レベルを血漿中のレベルと比較した。全血を静脈穿刺(n=6)によって健常ボランティア
からEDTAバキュテナー(K2EDTAバキュテナー、BD Biosciences)に直接採取した。血液の全
ての画分を採取し、採取の4時間以内に室温で処理した。マルチプレックス分析(BioPlex
分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、-80℃で3回の凍結-解凍サイクルに供して
、分析前に完全な細胞溶解を確実にした。
【0236】
血漿、赤血球、及び白血球を、以下のようにデキストラン沈降を用いて分離した。全血
を遠心分離し(1500g、10分)、上部血漿層を廃棄した。残りの細胞ペレットを等量の塩化
ナトリウム(0.15M)に再懸濁した。次いで、デキストラン(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w
/v)を1:4(デキストラン:細胞懸濁液)の比でこの細胞懸濁液に添加した。この溶液を、チ
ューブの底への赤血球沈降のために室温で30分間放置した。この後に、上部白血球濃縮層
及び下部赤血球画分を分離し、個々のチューブに加えた。下部赤血球画分をリン酸緩衝生
理食塩水(PBS、500g、5分)で2回洗浄し、残りの赤血球ペレットを凍結させた(-80℃)。上
部白血球濃縮層をPBS(1,000g、10分)で2回洗浄した。上清を廃棄し、30秒間、3mLのミリQ
水で細胞ペレットを再懸濁することにより、混入している全ての赤血球を低張ショックに
より溶解した。この後に、1mLの塩化カリウム(0.65M)を添加することによって等張性を戻
し、この溶液をPBSで15mLまで希釈した。残りの細胞をペレット化し、PBSで2回洗浄した(
1,000g、5分間)。残りの細胞ペレットをPBSに再懸濁し、すぐに-80℃で凍結させた。
【0237】
赤血球及び白血球を、3回の凍結-解凍サイクルに供して、完全な細胞溶解を確実にした
。溶解後、赤血球溶解物を4億細胞/mL当量までPBSで希釈し、白血球溶解物を20,000細胞/
mLに希釈した。次いで、これらの溶解物を、マルチプレックスサイトカインアッセイで分
析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。第1のものは、FGF塩基性、エオタ
キシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-
8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β
、PDGF-BB、RANTES、TNF-α及びVEGFについてアッセイする27プレックスのヒトサイトカ
インパネルであり、第2のものは、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK
、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1
α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスのヒトサイトカインパネルであっ
た(Bio-Plex Pro 27-プレックス及び21-プレックス、Bio-Rad)。該アッセイを、洗浄工程
については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II、Bio-Rad)を用いて、製造業
者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(登録商標)200(商標)システム(B
io-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカインについての検量線を、BioPlexマネ
ージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)を用いて、5パラメータのロジステ
ィック曲線回帰を用いて分析した。
【0238】
血漿及び赤血球溶解物(4億細胞/mL)中の示したタンパク質濃度を示すチャートを、
図21
A~21Bに示す。タンパク質濃度を、全血1mLあたりの相対濃度(約50億細胞/mL)に対して逆
算し、白血球混入について補正した。補正した赤血球タンパク質濃度と血漿タンパク質濃
度との間の倍差も決定した(
図21A~21B)。分析した48種のタンパク質(例えば、サイトカ
イン、ケモカイン)全てにおいて、血漿中よりもRBC中で実質的に高い濃度を有する31種の
タンパク質が存在した。血漿中のタンパク質濃度に対するRBC中のタンパク質濃度(RBC:
血漿比)の倍数変化の増加の範囲は、3.6~3970であった。RBC:血漿比の中央値は、11.3
であった。これらの結果から、少量の血液(例えば、少量の血液から分離した全血又はRBC
の量の1/10)が目的のタンパク質(実験で特定されたタンパク質を含む)の検出に用いるこ
とができることが示唆された。加えて、(例えば、指穿刺を介して)少量の血液を採取する
能力は、頻繁な低侵襲採取を可能にする。
【0239】
(実施例11.カチオン塩を用いたRBC中のタンパク質プロファイル)
赤血球を、以下のようにデキストラン沈降を用いて分離した。全血を遠心分離し(1500g
、10分)、上部血漿層を廃棄した。残りの細胞ペレットを、等量の塩化ナトリウム(0.15M)
に再懸濁した。次いで、デキストラン(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v)を1:4(デキス
トラン:細胞懸濁液)の比でこの細胞懸濁液に添加した。この溶液を、チューブの底への赤
血球沈降のために室温で30分間放置した。この後に、上部白血球濃縮層及び下部赤血球画
分を分離し、白血球を廃棄した。下部赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、500g、5
分)で2回洗浄した。上清を廃棄し、PBS又は100mMのLiClを含有するPBSのいずれかに赤血
球ペレットを再懸濁した。
【0240】
赤血球を3回の凍結-解凍サイクルに供して、完全な細胞溶解を確実にした。溶解後、赤
血球溶解物を4億細胞/mL当量までPBSで希釈した。IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16
、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、
SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスのヒトサイトカイ
ンパネル(Bio-Plex Pro 27-プレックス及び21-プレックス、Bio-Rad)で、赤血球溶解物を
分析した。該アッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex P
ro II、Bio-Rad)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(
登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカイン
についての検量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)
を用いて、5パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0241】
図22に見られるように、塩化リチウムは、アッセイ中のタンパク質のいくつかのレベル
を増加させ、かつ/又は高めた。
【0242】
(実施例12.子癇前症又は癌を有する個体に対する健常個体からのRBC中のタンパク質プ
ロファイル)
疾患又は障害を有するものと比較した健常個体の血液中のタンパク質レベルの差を測定
した。1)健常ボランティア、2)健常妊婦、3)子癇前症を有する妊婦、及び4)癌患者を含む
人々の4つのグループから全血を採取した(表12を参照されたい)。健常妊娠対照は、妊娠
に応じて子癇前症の試料と一致した。血液を、静脈穿刺(n≧3)によって各ボランティアか
らEDTAバキュテナー(k2EDTAバキュテナー、BD Biosciences)に直接採取した。
【0243】
【0244】
血液の全ての画分を採取し、採取の4時間以内に室温で処理した。マルチプレックス分
析(BioPlex分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、-80℃で3回の凍結-解凍サイク
ルに供して、分析前に完全な細胞溶解を確実にした。
【0245】
以下のように、血漿及び赤血球を、デキストラン沈降を用いて分離した。全血を遠心分
離し(1500g、10分)、上部血漿層を収集した。残りの細胞ペレットを、等量の塩化ナトリ
ウム(0.15M)に再懸濁した。次いで、デキストラン(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v)を
、1:4(デキストラン:細胞懸濁液)の比でこの細胞懸濁液に添加した。この溶液を、チュ
ーブの底への赤血球沈降のために室温で30分間放置した。この後に、上部白血球濃縮層を
廃棄し、下側の赤血球画分を分離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、500g、
5分)で2回洗浄し、残りの赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)
、次いで、分析まで凍結させた(-80℃)。
【0246】
赤血球を3回の凍結-解凍サイクルに供して、完全な細胞溶解を確実にした。溶解後、赤
血球溶解物を4億細胞/mL当量までPBSで希釈した。次いで、これらの溶解物及び血漿試料(
無希釈)を、マルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックス
アッセイを利用した。第1のものは、FGF塩基性、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ
、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、I
L-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α及びV
EGFについてアッセイする27プレックスのヒトサイトカインパネルであり、第2のものは、
IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP
-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセ
イする21プレックスのヒトサイトカインパネルであった(Bio-Plex Pro 27-プレックス及
び21-プレックス、Bio-Rad)。該アッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステ
ーション(BioPlex Pro II、Bio-Rad)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該ア
ッセイを、Luminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集
した。各サイトカインについての検量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョ
ン5.0、Bio-Rad、USA)を用いて、5パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析し
た。
【0247】
図23A-23VVは、全血の1mLあたりの相対濃度(約5×10
9細胞/mL)に対して逆算した参加者
グループからの血漿及び赤血球溶解物(4億細胞/mL)中の示したタンパク質濃度を示す。有
意差(p<0.05)を、スチューデントT検定を用いて決定した。健常(非妊娠)個体の血液中の
タンパク質レベルを癌患者と比較し、健常妊娠個体の血液中のタンパク質レベルを子癇前
症妊娠個体のレベルと比較した。
図24A~24Cは、血漿とは対照的に、赤血球中のタンパク
質濃度間の倍差を示す。
【0248】
タンパク質コレクションにおいて、健常対照個体のタンパク質レベルと疾患又は障害を
有する個体のタンパク質レベル間に有意な差があった。例えば、IL-2は、健常群よりも腫
瘍群から採取した赤血球において有意に低く(約10倍低い)、ケモカインCTACKは、健常妊
娠グループよりも子癇前症群から採取した赤血球において有意に高かった。加えて、48種
のサイトカインのうちの28種が、実質的に血漿レベルを超える(2:1より大きい)RBC中のタ
ンパク質レベルを有しており、倍数変化は2:1~280:1(RBC:血漿比)の範囲であった。RBC-
血漿比の中央値は5.9:1であった。研究の結果から、赤血球が疾患におけるバイオマーカ
ーを特定するのに有用なツールであり得ることが実証された。さらに、特に、血漿のみに
おいてはタンパク質レベルの明確な差は存在しないが、赤血球において(例えば、bFGF)又
は赤血球と血漿の間で識別可能な差がある場合に、血漿と組み合わせた赤血球の分析は、
現在達成不可能である疾患状態に関する詳細情報を提供することができる。
【0249】
(実施例13.子癇前症又は癌を有する個体に対する健常個体からのRBC中のタンパク質プ
ロファイル並びにRBCタンパク質放出)
赤血球によって放出されるタンパク質レベルを、健常個体及び疾患又は障害を有する個
体において評価した。1)健常ボランティア、2)健常妊婦、3)子癇前症を有する妊婦、及び
4)腫瘍患者を含む人々の4つのグループから、全血を採取した(表13)。
【0250】
【0251】
健常妊娠対照の試料は、妊娠に応じて子癇前症の試料と一致した。血液を、静脈穿刺に
よって各ボランティア(n≧3)からEDTAバキュテナー(k2EDTAバキュテナー、BD Bioscience
s)に直接採取した。血液の全ての画分を採取し、採取の4時間以内に室温で処理した。マ
ルチプレックス分析(BioPlex分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、-80℃で3回の
凍結-解凍サイクルに供して、分析前に完全な細胞溶解を確実にした。
【0252】
赤血球を、以下のようにデキストラン沈降を用いて分離した。全血を遠心分離し(1500g
、10分)、上部血漿層を廃棄した。残りの細胞ペレットを、等量の塩化ナトリウム(0.15M)
に再懸濁した。次いで、デキストラン(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v)を1:4(デキス
トラン:細胞懸濁液)の比でこの細胞懸濁液に添加した。この溶液を、チューブの底への赤
血球沈降のために室温で30分間放置した。この後に、上部白血球濃縮層を廃棄し、下部赤
血球画分を分離した。下部赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、500g、5分)で2回洗
浄し、残りの赤血球ペレットを計数した(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)。次いで
、赤血球を、4億細胞/mLまでPBSで希釈し、37℃、5% CO2で、24時間インキュベートした
。インキュベーション後、得られた馴化PBSを遠心分離(500g、5分)により分離した。全て
の試料を-80℃で保存し、分析の前に3回の凍結-解凍サイクルを行った。次いで、該馴化P
BS試料をマルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスア
ッセイを利用した。第1のものは、FGF塩基性、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、I
L-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-1
3、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α及びVEGF
についてアッセイする27プレックスのヒトサイトカインパネルであり、第2のものは、IL-
1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3
、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイ
する21プレックスのヒトサイトカインパネルであった(Bio-Plex Pro 27-プレックス及び2
1-プレックス、Bio-Rad)。該アッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステーシ
ョン(BioPlex Pro II、Bio-Rad)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該アッセ
イを、Luminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した
。各サイトカインについての検量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョン5.
0、Bio-Rad、USA)を用いて、5パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0253】
図25A~25RRは、参加グループからのPBS馴化赤血球中の示したタンパク質の濃度を示す
。37℃で24時間、赤血球インキュベーション後に、馴化PBSを生成した。有意差(p<0.05)
を、スチューデントT検定を用いて決定した。健常対照個体と疾患群の個体の間のタンパ
ク質レベルに有意差があった。例えば、健常対照と比べて有意に少ないIL-1α及びGCS-F
が、癌患者から分離した赤血球から放出され、健常個体よりも有意に多いIL-12(p40)及び
エオタキシンが、癌患者から分離した赤血球から放出された。同様に、MIFなどのいくつ
かのサイトカインが、健常妊娠群と子癇前症を有する群との間で有意に異なっていた。
【0254】
結果から、赤血球のセクレトームの分析は、疾患におけるバイオマーカーを特定及び追
跡するのに有用な診断ツールであり得ることが示唆された。赤血球(赤血球タンパク質放
出)の分泌の分析は、疾患状態に関する追加情報を提供することができた。
【0255】
(実施例14.限定されない他の例示的な実施態様)
請求される主題のさらなる利点は、特許請求される主題の特定の実施態様を記載する以
下の実施例から明らかになるであろう。
1.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)該血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;並び
に
c.)少量の該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出し、該少量が5μL~10
0μLであること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタン
パク質を含み;
本方法が、さらに、該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測
定することを含み、生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で測定さ
れる1種以上のタンパク質を含み;
本方法が、さらに、1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定す
る前に、該赤血球濃縮試料と少なくとも1種のカチオン塩とを接触させることを含み、該
カチオン塩が該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加させ
る、前記方法。
2.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)該血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)少なくとも1種のカチオン塩と該赤血球濃縮試料とを接触させ、該カチオン塩が、該赤
血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加させること;並びに
d.)少量の該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出し、該少量が5μL~10
0μLであること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタン
パク質を含み;
少なくとも1種のカチオン塩のカチオンが、金属イオン又はアンモニウムイオンであり;
少なくとも1種のカチオン塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、リチウム
塩、ルビジウム塩、セシウム塩、鉄塩、フランシウム塩、ピリジニウム塩、及びそれらの
組み合わせからなる群から選択され;
該少なくとも1種のカチオン塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩
化セシウム、塩化リチウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される塩化物塩
であり;
該少なくとも1種のカチオン塩が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭
酸セシウム、炭酸リチウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される炭酸塩で
あり;
該少なくとも1種のカチオン塩が、アンモニウム塩であり;
該アンモニウム塩が、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、及びそ
れらの組み合わせからなる群から選択される、前記方法。
3.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)該血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)該赤血球濃縮試料中の赤血球及び血漿を分離すること;
d.)該赤血球中の1種以上のタンパク質のレベル及び該血漿中の1種以上のタンパク質のレ
ベルを測定すること;並びに
e.)該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルに対する該赤血球中の1種以上のタンパク質
のレベルを含むタンパク質比を計算すること、
を含み、
生成されたタンパク質プロファイルが、少なくとも2:1のタンパク質比を有する1種以上の
タンパク質を含み;
該赤血球及び該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルが、該赤血球濃縮試料から少量で
測定され;
該タンパク質比が、少なくとも10:1、少なくとも20:1、少なくとも30:1、少なくとも40:1
、少なくとも50:1、少なくとも60:1、少なくとも70:1、少なくとも80:1、少なくとも90:1
、少なくとも100:1、少なくとも110:1、少なくとも120:1、少なくとも130:1、少なくとも
140:1、少なくとも150:1、少なくとも160:1、少なくとも170:1、少なくとも180:1、少な
くとも190:1、及び少なくとも200:1からなる群から選択され、
該タンパク質比が、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少
なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、及び少なくとも10:1から
なる群から選択される、前記方法。
4.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)該血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)該赤血球濃縮試料中の赤血球及び血漿を分離すること;
d.)カチオン塩と該赤血球とを接触させ、少なくとも1種のカチオン塩が該赤血球中の1種
以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加させること;
e.)少量の該赤血球濃縮試料において該赤血球中の1種以上のタンパク質のレベル及び該血
漿中の1種以上のタンパク質のレベルを測定すること;並びに
f.)該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルに対する該赤血球中の1種以上のタンパク質
のレベルを含むタンパク質比を計算すること、
を含み、
生成されたタンパク質プロファイルが、少なくとも2:1のタンパク質比を有する1種以上の
タンパク質を含み;
該タンパク質比が、少なくとも10:1、少なくとも20:1、少なくとも30:1、少なくとも40:1
、少なくとも50:1、少なくとも60:1、少なくとも70:1、少なくとも80:1、少なくとも90:1
、少なくとも100:1、少なくとも110:1、少なくとも120:1、少なくとも130:1、少なくとも
140:1、少なくとも150:1、少なくとも160:1、少なくとも170:1、少なくとも180:1、少な
くとも190:1、及び少なくとも200:1からなる群から選択され、
該タンパク質比が、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少
なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、及び少なくとも10:1から
なる群から選択される、前記方法。
5.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)該血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)培地中で該赤血球濃縮試料中の赤血球をインキュベートすること;並びに
d.)該培地中で1種以上のタンパク質を検出すること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該培地中で検出される1種以上のタンパク質を含
み;
本方法が、さらに、該培地中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定すること
を含み、生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で測定される1種以
上のタンパク質を含み;
該培地が、等張塩溶液、平衡化塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハン
クス平衡化塩溶液(HBSS)、及び/又はアール平衡化塩溶液(EBSS)、ロズウェルパーク記念
研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改善された最小必須培地(IMEM)、イーグル最小
必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及び/又はイスコフ改変ダルベッ
コ培地(IMDM)からなる群から選択される1以上である、前記方法。
6.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)該血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)培地中で該赤血球濃縮試料中の赤血球をインキュベートし、該培地が、該赤血球濃縮
試料中の1種以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加させるカチオン塩を含有するこ
と;並びに
d.)該培地中で1種以上のタンパク質を検出すること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該培地中で検出される1種以上のタンパク質を含
み;
本方法が、さらに、該培地中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定すること
を含み、該生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で測定される1種
以上のタンパク質を含み;
該培地が、等張塩溶液、平衡化塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハン
クス平衡化塩溶液(HBSS)、及び/又はアール平衡化塩溶液(EBSS)、ロズウェルパーク記念
研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改善された最小必須培地(IMEM)、イーグル最小
必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及び/又はイスコフ改変ダルベッ
コ培地(IMDM)からなる群から選択される1以上である、前記方法。
7.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)少量の血液試料を取得すること;
b.)該少量の血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成するこ
と;及び
c.)該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質を検出すること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中に検出される1種以上のタン
パク質を含み;
本方法が、さらに、該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測
定することを含み、生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で測定さ
れる1種以上のタンパク質を含み;
該少量の血液試料が5μL~100μLであり;
該少量の血液試料が5μL~20μLであり;
該血液試料が対象から採取され;
該対象がヒト又は非ヒト動物であり;
該少量の血液試料が指、踵、耳又は尾から採取され;
該少量の血液試料が、指穿刺、踵穿刺、又は耳穿刺により採取され;
該対象がヒトであり;
該少量の血液試料が、指、踵、又は耳から採取され;
該少量の血液試料が、指穿刺、踵穿刺、耳穿刺、又は尾部穿刺により採取され;
該対象が、マウス、ラット、ハムスター、フェレット、スナネズミ、ウサギ、サル、チン
パンジー、ウマ、ポニー、ロバ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、ヤギ、ネコ、及びイヌからな
る群から選択される非ヒト動物であり;
該少量の血液試料が、尾部穿刺又は耳穿刺により採取され;
該少量の血液試料が、1日1回以上、1日2回以上、1日3回以上、1日4回以上、及び1日5回以
上からなる群から選択される回数採取され;
該少量の血液試料が、1週間に1回以上、1週間に2回以上、1週間に3回以上、1週間に4回以
上、1週間に5回以上、1週間に6回以上、及び1週間に7回以上からなる群から選択される回
数採取され;
該少量の血液試料が毎日採取され;
該少量の血液試料が、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、及び4週間に1回からなる群
から選択される回数採取され;
該少量の血液試料が月に1回採取される、前記方法。
8.疾患タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)(i)疾患又は障害を有する対象、及び
(ii)疾患又は障害を有していない少なくとも1つの対象
から、上記の例のうちの1以上に従って生成される少なくとも1つのタンパク質プロファイ
ルを取得すること;並びに
b.)該疾患又は障害を有する対象のタンパク質プロファイルを、該疾患又は障害を有して
いない少なくとも1つの対象のタンパク質プロファイルと比較すること、
を含み、
生成される疾患タンパク質プロファイルが、該疾患又は障害を有していない少なくとも1
つの対象のタンパク質プロファイルと比較して、該疾患又は障害を有する対象からのタン
パク質プロファイルの異なる存在又はレベルを有する1種以上のタンパク質を含み;
該疾患又は障害が癌であり;
該疾患タンパク質プロファイルが、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12
、IL-15、IL-17、TNF-α、TGF-β、及びIFN-γからなる群から選択される1種以上のタン
パク質を含む癌タンパク質プロファイルであり;
該疾患又は障害が子癇前症であり;
該疾患プロファイルが、TNF-α、IFN-γ、IL-4、IL-5、IL-10、IL-1β、IL-6、IL-8、及
びIL-12からなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む子癇前症のタンパク質プロ
ファイルであり;
該子癇前症のタンパク質プロファイルが、IL-6、IL-8、及びIFN-γからなる群から選択さ
れる1種以上のタンパク質を含む、前記方法。
9.対象が疾患又は障害を有するかどうかを決定する方法であって、
a.)上記例のうちの1以上に従って生成される対象のタンパク質プロファイルを取得するこ
と;並びに
b.)該対象のタンパク質プロファイルと疾患タンパク質プロファイルを比較すること、
を含み、
疾患タンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルと比較した、該
対象のタンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルの類似性が、
対象が疾患又は障害を有していることを示し;
該疾患又は障害が、癌、子癇前症、自己免疫疾患、心血管疾患、神経変性疾患、糖尿病、
代謝性障害、筋骨格疾患、感染症、遺伝性障害、腎障害、及び胃腸障害からなる群から選
択される、前記方法。
10.対象において治療を監視する方法であって、
a.)治療前及び治療後の対象から、上記例のうちの1以上に従って生成されるタンパク質プ
ロファイルを取得すること;
b.)治療前の対象のタンパク質プロファイルと治療後の対象のタンパク質プロファイルを
比較すること、
を含み、
治療後の対象のタンパク質プロファイルと比較した、治療前の対象のタンパク質プロファ
イル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルの差が、該対象に対する治療の有効性を
示し;
治療を受けなかった対象のタンパク質プロファイルが、治療を受けた後の対象のタンパク
質プロファイルと比較され;
ある時点での治療後の対象の少なくとも1つのタンパク質プロファイルが、異なる時点で
の治療後の対象の少なくとも1つのタンパク質プロファイルと比較され;
該対象が同じ治療を受け;
該対象が異なる治療を受け;
該血液試料が少量の血液試料であり;
該対象が、1日1回以上、1日2回以上、1日3回以上、1日4回以上、及び1日5回以上からなる
群から選択される回数監視され;
該対象が、1週間に1回以上、1週間に2回以上、1週間に3回以上、1週間に4回以上、1週間
に5回以上、1週間に6回以上、及び1週間に7回以上からなる群から選択される回数監視さ
れ;
該対象が毎日監視され;
該対象が、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、及び4週間に1回からなる群から選択さ
れる回数監視され;
該対象が月に1回監視される、前記方法。
11.治療の有効性を決定する方法であって、
a.)(i)治療を受けた対象、及び
(ii)治療を受けていない対象
から、上記例のうちの1以上に従って生成される少なくとも1つのタンパク質プロファイル
を取得すること;
b.)治療を受けた対象のタンパク質プロファイルを、治療を受けていない対象のタンパク
質プロファイルと比較すること、
を含み、
治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルと比較した、治療を受けた対象のタン
パク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルの類似性が、該治療の有
効性を示す、前記方法。
12.該血液試料が対象から採取される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
13.該血液試料が、該対象の毛細血管又は該対象の静脈から採取される、上記例のうちの1
以上に記載の方法。
14.該対象がヒト又は非ヒト動物である、上記例のうちの1以上に記載の方法。
15.該対象がヒトである、上記例のうちの1以上に記載の方法。
16.該少量の赤血球濃縮試料が5μL~20μLである、上記例のうちの1以上に記載の方法。
17.該少量の赤血球濃縮試料が5μLである、上記例のうちの1以上に記載の方法。
18.該1種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は該1種以上のタンパク質のレベル
が1種以上の抗体を用いて測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
19.該赤血球濃縮試料中で3種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は3種以上のタ
ンパク質のレベルが測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
20.該赤血球濃縮試料中で5種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は5種以上のタ
ンパク質のレベルが測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
21.該赤血球濃縮試料中で10種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は10種以上の
タンパク質のレベルが測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
22.該赤血球濃縮試料中で20種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は20種以上の
タンパク質のレベルが測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
23.該赤血球濃縮試料中で30種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は30種以上の
タンパク質のレベルが測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
24.該1種以上のタンパク質が、ケモカイン、サイトカイン、成長因子、受容体、細胞内シ
グナル伝達物質、ホルモン、核内転写因子、神経伝達物質、及び細胞外マトリックス成分
、並びに酵素からなる群から選択される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
25.該1種以上のタンパク質が、表1に記載のタンパク質又は表2に記載のタンパク質の組み
合わせからなる群から選択される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
26.該1種以上のタンパク質が、塩基性FGF、CTACK、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、HGF、
IFN-α2、IFN-γ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-12p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18、
IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2ra、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF、M-
CSF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、CRP、
及びDDTからなる群から選択される、上記例のうちの1以上の方法。
27.該血液試料が、フローサイトメトリー、磁気ビーズ分離、遠心分離、セルロースカラ
ム、及びデキストラン沈降からなる群から選択される1以上の方法により白血球除去され
る、上記例のうちの1以上に記載の方法。
28.該赤血球がデキストラン沈降によって白血球除去される、上記例のうちの1以上に記載
の方法。
29.該1種以上のタンパク質が、該赤血球の表面、赤血球の内部、赤血球の溶解物、赤血球
の上清、赤血球を含有する培地、及び赤血球を以前に含有していた培地からなる群から選
択される1以上の場所から検出又は測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
30.該対象が疾患又は障害を有する、上記例のうちの1以上に記載の方法。
31.血液試料中の1種以上のタンパク質の検出又は測定の精度を高める方法であって、
a.)該血液試料とデキストランとを接触させること;
b.)該血液試料が白血球含有層及び赤血球緻密層を形成するのを可能にすること;
c.)該赤血球緻密層中の赤血球を分離し、赤血球濃縮血液試料を作製すること;並びに
d.)該赤血球濃縮血液試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベル
を測定すること、
を含み、
該血液試料が少量の血液試料であり;
該少量の血液試料が、5~100μLであり;
該血液試料中のデキストランに対する血液の比が、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1
、8:1、9:1、及び10:1からなる群から選択され;
該血液試料からの白血球及び血小板の平均除去が85%~95%である、前記方法。
32.血液試料のタンパク質プロファイルを測定するためのキットであって、
a.)血液試料から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成するための少なくとも1種類の試薬
;
b.)少量の赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベル
を測定するための少なくとも1種類の試薬
を含み、
該カチオン塩が、該血液試料中の1種以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加させ;
本方法がさらに、対象から血液試料を採取するための少なくとも1種類の試薬を含み;
1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定するための試薬が、1種
以上の抗体であり;
該1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定するための試薬が、
酵素免疫吸着アッセイ(ELISA)器具である、前記方法。
33.対象から採取された血液試料又は該血液試料の成分からタンパク質プロファイルを作
製する方法であって、
a.)該血液試料又は該血液試料成分中の1種以上のタンパク質のレベルを決定することを含
み、
b.)該血液試料及び該血液試料成分が、それぞれ赤血球(RBC)を含み、
該タンパク質プロファイルが、該血液試料成分から作製され;
該RBCが、該血液試料成分中に存在する血液細胞の総数の0.5%、1%、5%、10%、20%、
30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.7
5%、99.9%、又は99.95%超を構成し;
該血液試料成分が、該血液試料の白血球除去によって生成されるRBC濃縮画分であり;
該白血球除去が、該血液試料又はその一部から白血球の数の90%、92.5%、95%、97.5%、99
%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を取り除き;
該白血球除去が、該画分中の血液細胞の数の99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超
がRBCであるRBC濃縮画分を提供し;
該血液試料又はその一部が、血小板除去に供され;
該血小板除去が、該血液試料又はその一部から血小板の数の90%、92.5%、95%、97.5%、99
%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を取り除き;
該1種以上のタンパク質が、塩基性FGF、CTACK、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、HGF、IFN
-α2、IFN-γ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-12p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18、IL-
1α、IL-1β、IL-2、IL-2ra、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF、M-CSF
、MIG、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、CRP、DDT
、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され;
該1種以上のタンパク質が、
a.)表1に記載のタンパク質;若しくは
b.)表2に記載のタンパク質の組み合わせ
を含むか、又はそれらからなる、前記方法。
34.上記例のうちの1以上に記載の方法であって、
a.)RBCの表面上の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること;
b.)RBC内の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること;
c.)RBCによって放出される1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
のうちの1以上を含み、
該血液試料が、乾燥血液スポット試料(DBS)である、前記方法。
35.上記例のうちの1以上に記載の方法であって、タンパク質プロファイルを作製すること
が、
a.)RBCを含む細胞集団から細胞溶解物、細胞洗浄液、又は細胞上清を生成すること;及び
b.)該細胞溶解物、該細胞洗浄液、又は該細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決
定すること、
を含み、
1種以上のタンパク質のレベルの決定が、該細胞溶解物を用いて行われる、前記方法。
36.上記例のうちの1以上に記載の方法であって、
a.)RBCを急速凍結すること;
b.)RBCを解凍して、細胞溶解物を生成すること;及び
c.)該細胞溶解物中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
1種以上のタンパク質のレベルの決定が、該細胞洗浄液を用いて行われ;
該細胞洗浄液が、2以上の細胞洗浄液を組み合わせることによって生成され;
該細胞洗浄液が、等張塩溶液、平衡化塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
、ハンクス平衡化塩溶液(HBSS)、及び/又はアール平衡化塩溶液(EBSS)のうちの1以上を含
む洗浄液を用いて生成され;
1種以上のタンパク質のレベルの決定が、該細胞上清を用いて行われ;
該細胞上清が、ロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改善され
た最小必須培地(IMEM)、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DME
M)、及び/又はイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)のうちの任意の1以上を含む細胞培養培
地中で、該細胞上清を生成するために使用される細胞を培養することにより生成され;
1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程が、該細胞上清の複数の試料を用いて行わ
れ;
該細胞上清の試料が、該細胞上清を生成するために使用される細胞の培養物から異なる時
点で抽出される、前記方法。
37.上記例のうちの1以上に記載の方法であって、
a.)該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;
b.)RBCから分離された白血球中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
さらに、
i.)白血球を急速凍結すること;
ii.)白血球を解凍して、白血球溶解物を生成すること;及び
iii.)解凍した白血球中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
さらに、細胞洗浄液並びに/又は白血球を洗浄及び/若しくは培養することにより作製され
る細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決定することを含む、前記方法。
38.上記例のうちの1以上に記載の方法であって、
a.)該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;及び
b.)RBCから分離された血小板中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
さらに、
i.)該血小板を急速凍結すること;
ii.)該血小板を解凍して、血小板溶解物を生成すること;及び
iii.)該解凍した血小板中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
さらに、細胞洗浄液並びに/又は血小板を洗浄及び/若しくは培養することにより作製され
る細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決定することを含む、前記方法。
39.上記例のうちの1以上に記載の方法であって、
a.)該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;
b.)RBCから分離された血漿中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
該急速凍結が、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-75℃、-80℃、100
℃、-120℃、-140℃、-160℃、-180℃、-190℃、-195℃、又は-196℃以下の温度である、
前記方法。
40. 該急速凍結及び解凍が、複数の凍結-解凍サイクルを含む、上記例のうちの1以上に記
載の方法。
41.白血球が、フローサイトメトリー及び/又はデキストラン沈降によってRBCから分離さ
れる、上記例のうちの1以上に記載の方法。
42.血小板が、遠心分離によりRBCから分離される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
43.該血液試料が、採取中に血液安定剤と混合される、上記例のうちの1以上に記載の方法
。
44.さらに、1種以上のタンパク質のレベルを決定する前に、該対象から採取された血液試
料と血液安定剤とを接触させることを含み、
該血液安定剤が、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、RNA安定剤、抗凝固剤、及び
抗凝固剤ではない別の安定剤と組み合わせた抗凝固剤からなる群から選択される1以上で
あり;
該血液安定剤が、抗凝固剤ではなく;
該血液安定剤が、アプロチニン、ロイペプチン、α2-マクログロブリン、アンチパイン二
塩酸塩、カルパイン阻害剤I、カルパイン阻害剤II、キモスタチン、TLCK(CAS 131918-97-
3)、トリプシン阻害剤、ペファブロックSC(Roche)、PMSF(C6H5CH2SO2F-Thermo Fisher Sc
ientific)、完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)、及びそれらの任意の組み合わせか
らなる群から選択されるプロテアーゼ阻害剤であり;
該血液安定剤が、ヘパリン、クエン酸塩、酸性クエン酸塩デキストロース、EDTA、及びそ
れらの任意の組み合わせからなる群から選択される抗凝固剤であり;
該血液安定剤と接触させる工程が、該対象から血液試料を採取する工程を行ってから5秒
、10秒、20秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時
間、3時間、4時間、5時間、7.5時間又は10時間以内に実行される、上記例のうちの1以上
に記載の方法。
45.該血液試料が、該対象の毛細血管から採取される、上記例のうちの1以上に記載の方法
。
46.該血液試料が、該対象の静脈から採取される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
47.1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程が、該血液試料が採取される時の2分、5
分、10分、15分、20分、25分、30分、40分、50分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時
間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、3
6時間、又は48時間以内に行われる、上記例のうちの1以上に記載の方法。
48.さらに、該対象から血液試料を採取するための第1の工程を含む、上記例のうちの1以
上に記載の方法。
【0256】
広く記載される本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、特定の実施態様に開示さ
れるように、多数の変形及び/又は修正が本実施態様になされ得ることは当業者によって
理解されるであろう。そのために、本実施態様は、全ての点で例示的であり、制限するも
のではないことが考慮されるべきである。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)前記血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;並
びに
c.)少量の前記赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出することであって、
該少量が5μL~100μLである、前記検出すること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタン
パク質を含む、前記方法。
(構成2)
さらに、前記赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定する
ことを含み、前記生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で測定され
る1種以上のタンパク質を含む、構成1記載の方法。
(構成3)
さらに、前記1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定する前
に、前記赤血球濃縮試料と少なくとも1種のカチオン塩とを接触させることを含み、前記
カチオン塩が該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加させ
る、構成2記載の方法。
(構成4)
タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)前記血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)前記赤血球濃縮試料中の赤血球及び血漿を分離すること;
d.)前記赤血球中の1種以上のタンパク質のレベル及び前記血漿中の1種以上のタンパク質
のレベルを測定すること;並びに
e.)該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルに対する該赤血球中の1種以上のタンパク質
のレベルを含むタンパク質比を計算すること、
を含み、
前記生成されたタンパク質プロファイルが、少なくとも2:1のタンパク質比を有する1種以
上のタンパク質を含む、前記方法。
(構成5)
タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)前記血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)培地中で前記赤血球濃縮試料中の赤血球をインキュベートすること;並びに
d.)前記培地中で1種以上のタンパク質を検出すること、
を含み、
前記生成されるタンパク質プロファイルが、該培地中で検出される1種以上のタンパク質
を含む、前記方法。
(構成6)
さらに、前記培地中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み
、前記生成されるタンパク質プロファイルが、前記赤血球濃縮試料中で測定される1種以
上のタンパク質を含む、構成5記載の方法。
(構成7)
前記血液試料が対象から採取される、構成1~6のうちの1以上に記載の方法。
(構成8)
前記対象がヒト又は非ヒト動物である、構成7記載の方法。
(構成9)
前記採取される血液試料が少量の血液試料であり、前記少量が5μL~100μLである、構
成1~8のうちの1以上に記載の方法。
(構成10)
前記少量の血液試料が、指穿刺、踵穿刺、耳穿刺、又は尾部穿刺により採取される、構
成9記載の方法。
(構成11)
前記少量の血液試料が、1週間に1回以上、1週間に2回以上、1週間に3回以上、1週間に4
回以上、1週間に5回以上、1週間に6回以上、及び1週間に7回以上からなる群から選択され
る回数採取される、構成9又は構成10記載の方法。
(構成12)
1種以上の抗体を用いて、前記1種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は該1種
以上のタンパク質のレベルが測定される、構成1~11のうちの1以上に記載の方法。
(構成13)
前記赤血球濃縮試料中で3種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は3種以上のタ
ンパク質のレベルが測定される、構成1~12のうちの1以上に記載の方法。
(構成14)
前記1種以上のタンパク質が、ケモカイン、サイトカイン、成長因子、受容体、細胞内
シグナル伝達物質、ホルモン、核内転写因子、神経伝達物質、細胞外マトリックス成分、
及び酵素からなる群から選択される、構成1~13のうちの1以上に記載の方法。
(構成15)
前記1種以上のタンパク質が、塩基性FGF、CTACK、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、HGF
、IFN-α2、IFN-γ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-12p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18
、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2ra、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF、
M-CSF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、CRP
、及びDDTからなる群から選択される、構成1~13のうちの1以上に記載の方法。
(構成16)
前記赤血球が、デキストラン沈降により白血球除去される、構成1~15のうちの1以上に
記載の方法。
(構成17)
疾患タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)(i)疾患又は障害を有する対象、及び
(ii)前記疾患又は障害を有していない少なくとも1つの対象
から、構成1~7のうちの1以上に従って生成される少なくとも1つのタンパク質プロファイ
ルを取得すること;並びに
b.)該疾患又は障害を有する対象のタンパク質プロファイルを、該疾患又は障害を有して
いない少なくとも1つの対象のタンパク質プロファイルと比較すること、
を含み、
前記生成される疾患タンパク質プロファイルが、該疾患又は障害を有していない少なくと
も1つの対象のタンパク質プロファイルと比較して、該疾患又は障害を有する対象からの
タンパク質プロファイル中に異なる存在又はレベルを有する1種以上のタンパク質を含む
、前記方法。
(構成18)
前記疾患タンパク質プロファイルが、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、I
L-12、IL-15、IL-17、TNF-α、TGF-β、及びIFN-γからなる群から選択される1種以上の
タンパク質を含む癌タンパク質プロファイルである、構成17記載の方法。
(構成19)
前記疾患プロファイルが、TNF-α、IFN-γ、IL-4、IL-5、IL-10、IL-1β、IL-6、IL-8
、及びIL-12からなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む子癇前症のタンパク質
プロファイルである、構成17記載の方法。
(構成20)
前記子癇前症のタンパク質プロファイルが、IL-6、IL-8、及びIFN-γからなる群から選
択される1種以上のタンパク質を含む、構成19記載の方法。
(構成21)
対象が疾患又は障害を有するかどうかを決定する方法であって、
a.)構成1~7のうちの1以上に従って生成される前記対象のタンパク質プロファイルを取得
すること;並びに
b.)該対象のタンパク質プロファイルと疾患タンパク質プロファイルを比較すること、
を含み、
前記疾患タンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルと比較した
、該対象のタンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルの類似性
が、該対象が前記疾患又は障害を有することを示す、前記方法。