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特開2023-78231光ルミネセンス層状構造体を備えるパッケージ化された白色発光デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078231
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】光ルミネセンス層状構造体を備えるパッケージ化された白色発光デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20230530BHJP
【FI】
H01L33/50
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023035861
(22)【出願日】2023-03-08
(62)【分割の表示】P 2021556907の分割
【原出願日】2020-03-17
(31)【優先権主張番号】62/820,249
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/886,317
(32)【優先日】2019-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506358764
【氏名又は名称】インテマティックス・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTEMATIX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-ガン ツァオ
(72)【発明者】
【氏名】ガーン ワーン
(72)【発明者】
【氏名】イ-チュン リ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】周囲環境中の任意の水/水分から効果的に隔離することができる白色発光パッケージを提供する。
【解決手段】白色発光パッケージ20は、440nm~470nmの範囲のドミナント波長を有する励起光を生成するための固体励起源(LED)30と、層状光ルミネセンス構造体と、を備える。層状光ルミネセンス構造体は、第1の光ルミネセンス層32であって、第1の光ルミネセンス層32の総光ルミネセンス材料含有量の75重量%~100重量%のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含む、第1の光ルミネセンス層32、及び500nm~650nmの範囲のピーク放出波長を有する光を生成するための光ルミネセンス材料を含む第2の光ルミネセンス層34を含む。第2の光ルミネセンス層34は、第1の光ルミネセンス層32上に配設され、第1の光ルミネセンス層32は、第2の光ルミネセンス層34よりも固体励起源に隣接する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色発光パッケージであって、
440nm~470nmの範囲のドミナント波長を有する励起光を生成するための固体
励起源と、
層状光ルミネセンス構造体であって、
第1の光ルミネセンス層であって、前記第1の光ルミネセンス層の総光ルミネセンス材
料含有量の75重量%~100重量%のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含
む、第1の光ルミネセンス層、及び
500nm~650nmの範囲のピーク放出波長を有する光を生成するための光ルミネ
センス材料を含む第2の光ルミネセンス層を含む、層状光ルミネセンス構造体と、を備え

前記第2の光ルミネセンス層が、前記第1の光ルミネセンス層上に配設され、前記第1
の光ルミネセンス層が、前記固体励起源に隣接して配設されている、白色発光パッケージ
【請求項2】
前記第1の光ルミネセンス層が、前記第1の光ルミネセンス層の総光ルミネセンス材料
含有量の90重量%~100重量%の前記マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料、
及び前記第1の光ルミネセンス層の総光ルミネセンス材料含有量の95重量%~100重
量%の前記マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記第1の光ルミネセンス層が、前記固体励起源の少なくとも発光面上に均一な厚さの
層を含む、請求項1又は2に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記第1の光ルミネセンス層が、実質的にコンフォーマルなコーティング層、略半球状
コーティング層、略ドーム形状コーティング層のうちの少なくとも1つを含む、請求項1
~4のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項5】
光透過性層を更に含み、
前記光透過性層が、前記固体励起源上に配設され、前記第1の光ルミネセンス層が、前
記光透過性層上に配設されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記光透過性層が、パッシベーション層を含む、請求項5に記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記パッシベーション層が、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、エポキシ、及
び光透過性無機酸化物材料からなる群から選択される、請求項6に記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料層が、KSiF:Mn4+、K
TiF:Mn4+、及びKGeF:Mn4+のうちの少なくとも1つを含む、請求
項1~7のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料が、前記デバイスの総光ルミネセンス
材料含有量の約30重量%~45重量%、又は前記デバイスの総光ルミネセンス材料含有
量の45重量%未満を構成する、請求項1~8のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項10】
前記マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料又は前記光ルミネセンス材料のうちの
少なくとも1つが、光透過性媒体中に組み込まれている、請求項1~9のいずれか一項に
記載の発光デバイス。
【請求項11】
前記光透過性媒体が、ジメチルシリコーン又はフェニルシリコーンを含む、請求項10
に記載の発光デバイス。
【請求項12】
前記第2の光ルミネセンス層内の前記光ルミネセンス材料が、500nm~565nm
の範囲のピーク放出波長を有する光を生成する緑色光ルミネセンス材料を含む、請求項1
~11のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項13】
前記第2の光ルミネセンス層が、前記デバイスの総緑色光ルミネセンス材料含有量の6
0%~100%を構成する、請求項12に記載の発光デバイス。
【請求項14】
前記緑色光ルミネセンス材料が、一般組成(Lu,Y)3-x(AlGa)12
Ce又はY(Al,Ga)12:Ceを有するセリウム活性化ガーネット蛍光体
を含む、請求項12又は13に記載の発光デバイス。
【請求項15】
前記第1又は第2の光ルミネセンス層が、580nm~650nmの範囲のピーク放出
波長を有する光を生成するための橙色~赤色光ルミネセンス材料を含む、請求項1~14
のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項16】
前記マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料及び橙色~赤色光ルミネセンス材料の
総量に対する前記橙色~赤色光ルミネセンス材料の含有率が、少なくとも20重量%、少
なくとも30重量%、及び少なくとも40重量%のうちの少なくとも1つである、請求項
15に記載の発光デバイス。
【請求項17】
前記橙色~赤色光ルミネセンス材料が、一般組成CaAlSiN:Eu2+、Ca(
Se,S):Eu2+、又は(Ba,Sr)SiO:Eu2+を有する窒化物系蛍光
体を含む、請求項15又は16に記載の発光デバイス。
【請求項18】
前記第2の光ルミネセンス層が、500nm~565nmの範囲のピーク放出波長を有
する光を生成するための第1の光ルミネセンス材料と、600nm~650nmの範囲の
ピーク放出波長を有する光を生成するための第2の光ルミネセンス材料との混合物を含む
、請求項1~17のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項19】
前記デバイスによって生成された光の相対強度が、85℃の温度及び85%の相対湿度
での湿潤高温動作寿命試験条件下での300時間の動作後に少なくとも95%である、請
求項1~18のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項20】
ディスプレイバックライトパッケージであって、
445nm~465nmの範囲のドミナント波長を有する励起光を生成するための固体
励起源と、
層状光ルミネセンス構造体であって、
第1の光ルミネセンス層であって、前記第1の光ルミネセンス層の総光ルミネセンス
材料含有量の75重量%~100重量%のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を
含む、第1の光ルミネセンス層、及び
520nm~550nmの範囲のピーク放出波長を有する光を生成するための光ルミ
ネセンス材料を含む第2の光ルミネセンス層、を含む、層状光ルミネセンス構造体と、を
備え、
前記第2の光ルミネセンス層が、前記第1の光ルミネセンス層上に配設され、前記第
1の光ルミネセンス層が前記固体励起源に隣接して配設されている、ディスプレイバック
ライトパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、「PHOTOLUMINESCENCE LAYER LIGHT EMI
TTING DEVICE」と題された2019年3月18日出願の米国仮出願第62/
820,249号、及び「PACKAGED WHITE LIGHT EMITTIN
G DEVICES COMPRISING PHOTOLUMINESCENCE L
AYERED STRUCTURE」と題された2019年8月13日出願の米国仮出願
第62/886,317号の優先権の利益を主張するものであり、これらの各々は、それ
らの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明の実施形態は、光ルミネセンス材料層を含むパッケージ化された白色発光デバイ
スを対象とする。より具体的には、排他的ではないが、実施形態は、マンガン活性化フッ
化物光ルミネセンス材料を含むパッケージ化された発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
光ルミネセンス波長変換発光LED(「LED」)は、LEDによって放出された励起
光(通常、青色)の一部分を吸収し、異なる色(波長)の光を再放出する、1つ以上の光
ルミネセンス材料(通常、無機蛍光体材料)を含む。KSiF:Mn4+(KSF)
、KTiF:Mn4+(KTF)、及びKGeF:Mn4+(KGF)などのマ
ンガン活性化フッ化物蛍光体は、ディスプレイ用途では高色域(NTSC、DCI-P3
、Rec2020)を実現するために、及び一般の照明用途では高い一般演色評価指数(
CRI Ra)を実現するために、それらをかなり望ましくする非常に狭い赤色スペクト
ル(それらの主な輝線スペクトルについて、10nm未満の半値全幅)を有する。
【0004】
図1は、マンガン活性化フッ化物蛍光体材料を利用する既知のパッケージ化された白色
発光デバイスの断面図である。図1を参照すると、パッケージ化された発光デバイス10
は、少なくとも1つのLEDダイ16を収容する空洞14を有するパッケージ12を備え
る。空洞14は、マンガン活性化フッ化物蛍光体と、封止材中に組み込まれた(組み込ま
れた(分散された)ガーネット系蛍光体材料などの黄色~緑色発光蛍光体との混合物を有
する透明な光学封止材18で充填される。
【0005】
上記の理由で、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料は非常に望ましいが、それ
らの広範な使用を困難にするいくつかの欠点がある。最初に、マンガン活性化フッ化物蛍
光体の吸収能力は、光ルミネセンス波長変換LEDで現在一般的に使用されているユーロ
ピウム活性化赤色窒化物蛍光体材料(CASNなど)の吸収能力よりも実質的に低い(通
常、約10分の1)。したがって、用途に応じて、同じ目標色点を達成するために、マン
ガン活性化フッ化物蛍光体の使用量は、通常、対応するユーロピウム活性化赤色窒化物蛍
光体の使用量よりも5~20倍多い場合がある。マンガン活性化フッ化物蛍光体がユーロ
ピウム活性化赤色窒化物蛍光体よりも実質的に高価(少なくとも5倍より高価)であるた
め、蛍光体使用量が増加すると、製造コストが大幅に増加する。より多い使用量及びより
高いコストの結果として、マンガン活性化フッ化物赤色蛍光体の使用は、多くの用途にと
ってひどく高価であり得る。更に、所望の色点を達成するためには、シリコーン中に非常
に多くの光ルミネセンス材料を投入する必要があるため、これにより、分配プロセスの安
定性が低減し、パッケージ化されたデバイス内に確実に分配することが困難になる場合が
ある。
【0006】
フッ化物系蛍光体材料による別の問題は、フッ化物系蛍光体材料が、蛍光体のそれらの
光ルミネセンス放出(すなわち、量子効率)の低減又は損失をもたらすドーパントマンガ
ンへの損傷を引き起こす水又は水分と容易に反応することである。その上、フッ化物系化
合物と水との反応は、LEDパッケージング材料と反応し得る非常に腐食性が高いフッ化
水素酸を生成し、それにより構成要素の破損をもたらす場合がある。
【0007】
本発明は、既知の構成物ではこれまで企図されることも可能でもなかった新しい設計及
び方法を提示することによって、上述の制限に対処する及び/又は克服することを意図す
る。より具体的には、より少ないマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を利用し、
製造中により安定した分配プロセスを可能にし、フッ化物系光ルミネセンス材料を周囲環
境中の任意の水/水分から効果的に隔離することができる最適化されたLEDパッケージ
ング設計を保有する、費用効率の高い発光デバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の実施形態は、光ルミネセンス材料層状構造体を備えるパッケージ化された白色
発光デバイスに関する。より具体的には、実施形態は、層内の総光ルミネセンス材料含有
量に関して、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料(蛍光体)の大部分の重量%、
例えば75重量%~100重量%を含有する固体励起源(LED)に隣接して配設された
第1の光ルミネセンス層を含む白色発光パッケージに関する。デバイスは、可視スペクト
ルの緑色~赤色領域(500nm~650nm)の一部内に光を生成する光ルミネセンス
材料を含有する第1の光ルミネセンス層上に配設された第2の光ルミネセンス層を更に含
む。本発明者らは、他の光ルミネセンス材料とは別の「個別層」内にマンガン活性化フッ
化物光ルミネセンス材料を位置することにより、所与の色目標を達成するために必要とさ
れるマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の量を、60%程度まで低減することが
できることを発見した。この特許明細書では、パッケージ化された発光デバイスは、光ル
ミネセンス材料層状構造体が発光デバイスパッケージの一部を構成することを指定するた
めに使用される。これは、蛍光体構成要素が励起源に「遠隔に」提供される、すなわち物
理的に隔置された関係で提供され、空隙によって分離される、遠隔蛍光体(光ルミネセン
ス)デバイスと対比されるべきである。
【0009】
本発明の一態様によれば、白色発光パッケージであって、440nm~470nmの範
囲のドミナント波長を有する励起光を生成するための固体励起源と、層状光ルミネセンス
構造体であって、第1の光ルミネセンス層の総光ルミネセンス材料含有量の75重量%~
100重量%のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含む第1の光ルミネセンス
層、及び500nm~650nmの範囲のピーク放出波長を有する光を生成するための光
ルミネセンス材料を含む第2の光ルミネセンス層を含む、層状光ルミネセンス構造体と、
を備え、第2の光ルミネセンス層が、第1の光ルミネセンス層上に配設され、第1の光ル
ミネセンス層が固体励起源に隣接して配設される、白色発光パッケージ、が提供される。
第1の光ルミネセンス層は、第2の光ルミネセンス層よりも固体励起源に対して極めて近
位にあることが理解され得る。「極めて近位」は、励起源に対する第1及び第2の光ルミ
ネセンス層の空間的関係を画定するために使用され、第1の光ルミネセンス層が励起源に
対して近位(すなわち、近位層)であり、一方、第2の光ルミネセンス層が励起源に対し
て遠位(すなわち、遠位層)であることを指定するために使用されることが理解され得る
。その上、「極めて近位」とは、固体励起源と第1の光ルミネセンス層との間の光路内に
他の光ルミネセンス材料はないが、光ルミネセンス材料以外の材料、例えば光拡散性/光
散乱材料を含有する光透過性層又は光透過性層がある場合があることを意味する。本発明
による発光デバイスは、パッケージ化された発光デバイス内のマンガン活性化フッ化物光
ルミネセンス材料の高使用量に対処するための効果的な解決策を提供する。層の総光ルミ
ネセンス含有量に関して、層が排他的に(100重量%の)マンガン活性化フッ化物光ル
ミネセンス材料からなるまでの大部分(少なくとも、層の総光ルミネセンス材料含有量の
75重量%)を含有する、それぞれの層としてマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材
料を提供することにより、デバイス内のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の使
用量を大幅に低減する(約25%~60%の低減)ことが見出されている。
【0010】
既知の構成物(図1)と比較すると、従来の白色発光デバイスは、マンガン活性化フッ
化物光ルミネセンス材料と他の(非フッ化物)光ルミネセンス材料(例えば、緑色蛍光体
材料、通常ガーネット系蛍光体材料、又はCASNなどの赤色窒化物系蛍光体)との混合
物を含む単一の光ルミネセンス層を含む。そのような配置では、マンガン活性化フッ化物
光ルミネセンス材料及び他の光ルミネセンス材料は、励起光、例えば青色励起光への等し
い曝露を有する。マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料は、他の光ルミネセンス材
料(例えば、緑色/黄色ガーネット系蛍光体又は赤色窒化物蛍光体)よりもはるかに低い
青色光吸収能力を有するため、必要とされる赤色放出に十分な青色光を変換するためには
、より多量のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料が必要である。対照的に、本発
明による構造体では、その別のそれぞれの層内のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス
材料は、青色励起光に個別に曝露され(つまり、他の光ルミネセンス材料と競合しない)
、したがって、より多くの青色励起光が、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料に
よって吸収され得、未変換の青色励起光は、他の光ルミネセンス材料を含有する第2の光
ルミネセンス層を通過することができる。有利には、この構造体/発光デバイスでは、マ
ンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料は、例えば緑色/黄色又は橙色~赤色に放出す
る光ルミネセンス材料など、他の光ルミネセンス材料からの競合なしに、より効果的に青
色励起光を赤色放出に変換することができる。したがって、目標色点を達成するために必
要とされるマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の量(使用量)は、光ルミネセン
ス材料の混合物を含む単一層の既知の配置と比較して、最大で80%、大幅に低減するこ
とができる。したがって、本発明の白色発光デバイスの主な利点は、生成された光の所望
の色点を実現するために必要とされるマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料が著し
く少ないので、デバイス(すなわち、パッケージ)の製造コストの大幅な削減である。
【0011】
本発明による発光デバイスの更なる利点は、第1の光ルミネセンス層にわたって配設さ
れた第2の光ルミネセンス層を設けることにより、第1の層内のマンガン活性化フッ化物
光ルミネセンス材料が周囲環境内の任意の水/水分と直接接触することから保護する及び
隔離することができることである。そのような多層又は2層の光ルミネセンス層状構造体
は、上述のように、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の不十分な水分信頼性に
対処するための効果的な解決策を提供する。したがって、第2の光ルミネセンス層を含め
ることにより、改善された水分信頼性の利点が発光デバイス(すなわち、LEDパッケー
ジ)に提供される。それは、第2の光ルミネセンス材料層が第1の光ルミネセンス層と直
接接触していることであり得る。直接接触は、空気界面の排除により、第1の光ルミネセ
ンス層と第2の光ルミネセンス層との間の界面を横断する能力を改善する。
【0012】
実施形態では、第1の光ルミネセンス層は、第1の光ルミネセンス層の総光ルミネセン
ス材料含有量の90重量%~100重量%のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料
を含み得る。他の実施形態では、第1の光ルミネセンス層は、第1の光ルミネセンス層の
総光ルミネセンス材料含有量の95重量%~100重量%のマンガン活性化フッ化物光ル
ミネセンス材料を含み得る。なお更なる実施形態では、第1の光ルミネセンス層は、光ル
ミネセンス材料に関して、排他的に(100重量%)のマンガン活性化フッ化物光ルミネ
センス材料からなる。第1の光ルミネセンス層内のマンガン活性化フッ化物光ルミネセン
ス材料の割合を増加させることにより、所与の目標色のためのデバイス内で使用されるマ
ンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料全体が減少することが見出される。
【0013】
通常、第1の光ルミネセンス材料層は、固体励起源と直接接触しており、つまり、第1
の光ルミネセンス層は、固体光源上に配設又は堆積される。実施形態では、第1の光ルミ
ネセンス層は、LEDチップ(固体励起源)のうちの少なくとも1つの少なくとも発光面
(例えば、原理発光面)上に均一な厚さの層(膜)を含むことができる、つまり、LED
フィラメントは、狭帯域赤色光ルミネセンス材料を含有するCSP(チップスケールパッ
ケージ化)LEDを備える。第1の層は、コンフォーマルコーティング層の形態で、LE
Dチップの全ての発光面上に均一な厚さの層を含み得る。あるいは、発光デバイスは、固
体励起源と第1の光ルミネセンス層との間に配設された光透過性層を含み得る。例えば、
光透過性層は励起源上の光上に配設され、第1の光ルミネセンス層は光透過性層上に配設
され得る。光透過性層は、例えばジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、エポキシ、
及び/又はガラスなどの光透過性無機酸化物材料を含むパッシベーション層を含み得る。
【0014】
それは、第1の光ルミネセンス層は、実質的にコンフォーマルなコーティング層、略半
球状コーティング層、略ドーム形状コーティング層のうちの少なくとも1つを含むことで
あり得る。このタイプの構成は有利である、つまり、これらの構成がマンガン活性化フッ
化物光ルミネセンス材料の全てを可能な限りLEDチップ(固体励起源)に近くなるよう
に集中させ、層内の物理的位置にかかわらず、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材
料の全てが実質的に同じ励起光光子密度への曝露を受けることを確実にする。初期試験デ
ータは、それぞれの層内のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料が単一の光ルミネ
センス層を含む既知の白色発光デバイスと比較して、マンガン活性化フッ化物光ルミネセ
ンス材料の使用量を、最大80重量%まで低減することができる、そのような配置を示す
【0015】
実施形態では、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料は、KSiF:Mn
を含み得る。マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス層、例えばKSiF:Mn
は、約630nm~約632nmの範囲のピーク放出波長を有する光を生成することが
できる。
【0016】
実施形態では、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料は、KTiF:Mn
を含み得る。
【0017】
実施形態では、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料は、KGeF:Mn
を含み得る。
【0018】
マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料はまた、KSnF:Mn4+、Na
TiF:Mn4+、NaZrFe:Mn4+、CsSiF:Mn4+、Cs
iF:Mn4+、RbSiF:Mn4+、RbTiF:Mn4+、KZrF
:Mn4+、KNbF:Mn4+、KTaF:Mn4+、KGdF:Mn
4+、KLaFe:Mn4+、及びKYFe:Mn4+からなる群から選択される一
般組成を含み得る。
【0019】
それは、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料がデバイスの総光ルミネセンス材
料含有量の約30重量%~45重量%、又はデバイスの総光ルミネセンス材料含有量の4
5重量%未満を構成することであり得る。
【0020】
マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料は、光透過性媒体中に組み込まれ(組み込
まれ(分散され))得る。これにより、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の中
に励起光を結合すること、発光効率を改善すること、及びマンガン活性化フッ化物光ルミ
ネセンス材料の使用量を低減することが改善され得る。光透過性媒体は、ジメチルシリコ
ーン又はフェニルシリコーンを含み得る。マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の
屈折率をより良好に整合するために、フェニルシリコーン(屈折率-1.54)又はジメ
チルシリコーン(屈折率1.41)は、使用される特定のマンガン活性化フッ化物光ルミ
ネセンス材料に基づいて、第1の光ルミネセンス層内で選択することができる。例えば、
SiF:Mn4+(屈折率1.4)は、ジメチルシリコーン中に組み込まれ(分散
され)得、一方、KTiF:Mn4+(屈折率>1.5)は、フェニルシリコーン中
に組み込まれ(分散され)得る。
【0021】
励起源によって生成された励起光のドミナント波長に応じて、第2の光ルミネセンス層
は、440nm~625nmの範囲のピーク放出波長を有する光を生成する光ルミネセン
ス材料を含むことができる。例えば、励起源が紫光及びUV光を生成するとき、第2の光
ルミネセンス層は、440nm~470nmの範囲のピーク放出波長を有する青色光を生
成する光ルミネセンス材料を更に含むことができる。
【0022】
光ルミネセンス材料は、光透過性媒体中に組み込まれ(分散され)得る。これにより、
光ルミネセンス材料に励起光を結合すること、発光効率を改善すること、及び光ルミネセ
ンス材料の使用量を低減することを改善することができる。光透過性媒体は、ジメチルシ
リコーン又はフェニルシリコーンを含み得る。
【0023】
光ルミネセンス材料は、500nm~565nmの範囲内、つまり可視スペクトルの緑
色領域内にピーク放出波長を有する光を生成する緑色光ルミネセンス材料を含み得る。第
2の光ルミネセンス層は、デバイスの総緑色光ルミネセンス材料含有量の60%~100
%を構成し得る。緑色光ルミネセンス材料は、一般組成Y3-x(Al,Ga)12
:Ce-YAG蛍光体材料を有するセリウム活性化ガーネット蛍光体を含み得る。緑色
光ルミネセンス材料は、一般組成(Lu,Y)3-x(Al,Ga)12:Ce
有するアルミネート蛍光体を含み得る。緑色光ルミネセンス材料は、一般組成ASiO
:Eu2+又はASiO:Eu2+のシリケート蛍光体(式中、A=Mg、Ca、
Sr、及び/又はBa)を含み得る。
【0024】
デバイスによって生成された光の演色特性を改善するために、光ルミネセンス材料は、
1つ以上の橙色~赤色放出蛍光体を含み得る。実施形態では、マンガン活性化フッ化物光
ルミネセンス材料及び橙色~赤色光ルミネセンス材料の総量に対する橙色~赤色光ルミネ
センス材料の含有率は、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、及び少なくとも
40重量%のうちの少なくとも1つである。橙色~赤色光ルミネセンス材料は、例えば、
一般組成CaAlSiN:Eu2+、例えば(Ca1-xSr)AlSiN:Eu
(式中、0.5<x≦1)のCASN蛍光体、又は組成Ba2-xSrSi:E
u(式中、0≦x≦2)の2:5:8窒化物系蛍光体などのユーロピウム活性化窒化物系
赤色放出蛍光体を含むことができる。橙色~赤色放出蛍光体は、一般組成MSe1-x
:Eu(式中、M=Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)又は(Ba,Sr)SiO
Eu蛍光体材料のIIA/IIB族のセレン化物硫化物蛍光体を含むことができる。
【0025】
それは、第1又は第2の光ルミネセンス層が580nm~650nmの範囲のピーク放
出波長を有する光を生成するための橙色~赤色光ルミネセンス材料を含むことであり得る
【0026】
バックライト用途については、緑色光ルミネセンス材料は、狭帯域緑色蛍光体β-Si
AlON、又は一般組成及び結晶構造(Ba,Sr,Ca)Ga:Euのユーロピ
ウム活性化硫化物蛍光体を含むことができる。
【0027】
それは、第2の光ルミネセンス層が500nm~565nmの範囲のピーク放出波長を
有する光を生成するための第1の光ルミネセンス材料と、600nm~650nmの範囲
のピーク放出波長を有する光を生成するための第2の光ルミネセンス材料との混合物を含
むことであり得る。
【0028】
それは、デバイスによって生成された光の相対強度が85℃の温度及び85%の相対湿
度での湿潤高温動作寿命試験条件下での300時間の動作後に少なくとも95%であるこ
とであり得る。
【0029】
別の態様によれば、ディスプレイバックライトパッケージであって、445nm~46
5nmの範囲のドミナント波長を有する励起光を生成するための固体励起源と、層状光ル
ミネセンス構造体であって、第1の光ルミネセンス層の総光ルミネセンス材料含有量の7
5重量%~100重量%のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含む第1の光ル
ミネセンス層、及び520nm~550nmの範囲のピーク放射波長を有する光を生成す
るための光ルミネセンス材料を含む第2の光ルミネセンス層を含む、層状光ルミネセンス
構造体と、を備え、第2の光ルミネセンス層が、第1の光ルミネセンス層上に配設され、
第1の光ルミネセンス層が固体励起源に隣接して配設される、ディスプレイバックライト
パッケージ、が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明のこれら及び他の態様並びに特徴は、添付の図面と併せて本発明の特定の実施形
態の以下の説明を検討することにより、当業者には明らかになるであろう。
【0031】
図1】マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を利用する既知の発光デバイスの断面図である。
図2】本発明の実施形態による、発光デバイスの断面図である。
図3】本発明の実施形態による、発光デバイスの断面図である。
図4】本発明の実施形態による、発光デバイスの断面図である。
図5A】CSP(チップスケールパッケージ化)LEDを利用する本発明の実施形態による、発光デバイスの断面図である。
図5B】CSP(チップスケールパッケージ化)LEDを利用する本発明の実施形態による、発光デバイスの断面図である。
図6A】それぞれ、本発明の実施形態による、COB(チップオンボード)白色発光デバイスのA-Aを通る平面図及び断面側面図である。
図6B】それぞれ、本発明の実施形態による、COB(チップオンボード)白色発光デバイスのA-Aを通る平面図及び断面側面図である。
図7】本発明の実施形態による、COB白色発光デバイスの断面図である。
図8A】CSP(チップスケールパッケージ化)LEDを利用する本発明の実施形態による、COB(チップオンボード)白色発光デバイスの断面側面図である。
図8B】CSP(チップスケールパッケージ化)LEDを利用する本発明の実施形態による、COB(チップオンボード)白色発光デバイスの断面側面図である。
図9】本発明の実施形態による、チップスケールパッケージ化(CSP)白色発光デバイスの断面図である。
図10】いくつかの実施形態による、(i)既知の2700K発光デバイス(比較例1)及び(ii)2700K発光デバイス(デバイス1)について加速試験条件85℃/85%RH下で動作されたデバイスについての、信頼性データ、相対強度対時間を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施形態は、当業者が本発明を実践することを可能にするように、本発明の例
示的な実施例として提供される図面を参照してここで詳細に説明される。特に、下記の図
及び実施例は、本発明の範囲を単一の実施形態に限定することを意味するものではなく、
説明又は例示されている要素のいくつか又は全てを置き換えることにより他の実施形態も
可能である。その上、本発明のある特定の要素は、既知の構成要素を使用して部分的又は
完全に実施することができるが、本発明の理解に必要となるそのような既知の構成要素の
これらの部分のみについて説明され、そのような既知の構成要素の他の部分の詳細な説明
は、本発明を不明瞭にしないように省略される。本明細書では、単数の構成要素を示す実
施形態は、限定するものと見なすべきではなく、むしろ、本明細書に別に明示的な記述が
ない限り、本発明は、複数の同じ構成要素を含む他の実施形態を包含し、またその逆も同
様であることを意図する。その上、出願者らは、そのように明示的に記されていない限り
、本明細書又は請求項のいかなる用語も、一般的でない意味又は特殊な意味に帰されるこ
とを意図するものではない。更に、本発明は、例示として本明細書で言及した既知の構成
要素に、現在及び将来の既知の均等物を包含する。本明細書全体を通して、同様の参照番
号を使用して同様の部品を表す。
【0033】
ここで、本発明の実施形態による、パッケージ化された白色発光デバイス20について
、デバイス20の断面側面図を示す図2を参照して説明する。
【0034】
発光デバイス20は、例えばSMD 2835 LEDパッケージ(リードフレーム)
22を備えるパッケージ化されたタイプのデバイスである。SMDパッケージ22は、矩
形基部24、及び矩形基部24の対向する縁部から上向きに延在する側壁26A、26B
を備える。側壁26A、26Bの内面は、それらの垂直軸線に内向きに傾斜し、中実矩形
基部24の内面と一緒に、逆角錐台形状の空洞28を画定する。
【0035】
この実施形態では、空洞28は、3つのInGaN(インジウムガリウム窒化物)青色
(455nm)LEDダイ(固体励起源)30と、空洞38の約70%を充填するマンガ
ン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含む第1の光ルミネセンス層32と、を含む。L
EDダイ30は直列に接続され、定格駆動条件は100mA、9Vである。
【0036】
第1の光ルミネセンス層32は、層内にあり得る他の光ルミネセンス材料と比較して、
大部分(少なくとも75重量%)のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含有す
る。第1の光ルミネセンス層32は、光散乱粒子又は光拡散材料などの他の材料を含有し
得る。より具体的には、この実施形態では、第1の光ルミネセンス層32は、KSiF
:Mn4+(KSF)のみを含有するが、他のタイプの光ルミネセンス材料を含有しな
い。しかしながら、光拡散性材料などの他の材料は、マンガン活性化フッ化物光ルミネセ
ンス材料層32に添加することができるが、他の材料の量は、通常、マンガン活性化フッ
化物光ルミネセンス材料層32の30%重量以下であることが理解されよう。更に、この
実施形態では、第1の光ルミネセンス層32は、ジメチルシリコーン中に組み込まれた(
分散された)KSiF:Mn4+によって構成される。第1の光ルミネセンス層32
は、青色LED30と直接接触し、それに隣接する。第1の光ルミネセンス層32と青色
LEDダイ30との間に層を含有する他の光ルミネセンス材料又は光ルミネセンス材料は
ない。
【0037】
例えば図1に示すように、既知の構成物と比較すると、従来の単一層発光デバイスでは
、製造中の分配プロセスは、励起光、例えば青色励起光への等しい曝露を有するマンガン
活性化フッ化物光ルミネセンス材料と、他の光ルミネセンス材料(通常、緑色蛍光体材料
)との混合物を分配することを伴う。マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料は、他
のタイプの光ルミネセンス材料(例えば、緑色/黄色ガーネット系蛍光体)よりもはるか
に低い青色光吸収能力を有し得るため、必要とされる赤色放出に十分な青色光を変換する
ためには、より多量のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料が必要である。対照的
に、本発明による発光デバイス20では、その別の個別層32内のマンガン活性化フッ化
物光ルミネセンス材料は、青色励起光に個別に曝露され、したがって、より多くの青色L
EDダイ30からの青色励起光が、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料によって
吸収され得、残りの青色励起光は、例えば第2の光ルミネセンス層34を通過することが
できる。有利には、この発光デバイス20では、第1の光ルミネセンス層32は、例えば
、第2の光ルミネセンス層34内に存在する他のタイプの光ルミネセンス材料からの競合
なしに、より効果的に青色励起光を赤色放出に変換することができる。したがって、目標
色点を達成するために必要とされるマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の量/使
用量は、例えば光ルミネセンス材料の混合物を含む単一層の既知の配置と比較して、大幅
に低減することができる。したがって、本発明の光ルミネセンス発光デバイス20の利点
は、既知の単一層デバイスと比較して、所望の色点を実現するため必要とされるマンガン
活性化フッ化物光ルミネセンス材料がより少ない(最大で60%少ない)ため、デバイス
の製造コストの削減である。
【0038】
この実施形態では、空洞28はまた、空洞28の残りの30%を充填する第1の光ルミ
ネセンス層32の上部に分配された第2の光ルミネセンス層34を含む。この実施形態で
は、第2の光ルミネセンス材料層34は、一般組成Y(Al,Ga)12:Ceを
有するセリウム活性化黄色ガーネット蛍光体を含む。第2の光ルミネセンス層は、通常、
第1の光ルミネセンス層と併せて作動して、所望の白色点を作成する、緑色若しくは黄色
蛍光体、又は他の少数の橙色赤色蛍光体を含むことが理解されよう。
【0039】
このようにして、発光デバイス20は、第1の光ルミネセンス層32内に含有された(
組み込まれた(分散された)マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を、周囲環境内
の任意の水/水分と直接接触することから効果的に隔離することができる。発光デバイス
20のそのような多層又は2層の設計は、既知の構成物におけるマンガン活性化フッ化物
光ルミネセンス材料の不十分な水分信頼性に対処するための効果的な解決策を提供する。
したがって、第2の光ルミネセンス材料層34を含めることにより、改善された水分信頼
性の利点が発光デバイス(すなわち、LEDパッケージ)20に提供される。
【0040】
第1の光ルミネセンス層32は、第2の光ルミネセンス材料層34を含む任意の他の光
ルミネセンス材料層よりも青色LED30に隣接する(極めて近位にある)、つまり、第
1の光ルミネセンス層32は、青色LED30に隣接し(近位にある、すなわち近位層)
、一方、第2の光ルミネセンス材料層34は、青色LED30に対して遠位にある(すな
わち、遠位層)。
【0041】
ここで、図3を参照すると、本発明の別の実施形態に従って形成された、パッケージ化
された白色発光デバイス320(白色発光デバイスパッケージ)が示されている。この実
施形態は、発光デバイス320が第1の光ルミネセンス層332の前に青色LEDダイ3
30上に配設された光透過性(透明)パッシベーション層336を更に含むという点での
み、図2とは異なる。第1の光ルミネセンス層332を水/水分から完全に保護するため
に、澄明のパッシベーション層336は、図2に示すように、空洞328及びLEDダイ
330の床にわたって塗布される。この実施形態では、パッシベーション層336は、ジ
メチルシリコーンの層である。このパッシベーション層336はまた、下部電極(図示せ
ず)及び青色LEDダイ330を第1の光ルミネセンス層332から隔離する働きがある
【0042】
図4を参照すると、本発明の別の実施形態に従って形成された、パッケージ化された白
色発光デバイス420(白色発光デバイスパッケージ)が示されている。この実施形態で
は、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含有する第1の光ルミネセンス層43
2は、個別のLEDチップ430上に配設され、それを被覆するコーティング層を含む。
示すように、第1の光ルミネセンス層432は、略半球状(ドーム形状)の形態であり得
る。図2の発光デバイスの第1の光ルミネセンス層232と比較して、第1の光ルミネセ
ンス層432は、厚さがより均一であり、これにより、層内の異なる物理的位置内のマン
ガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料が受ける励起光光子密度の変動が低減される。初
期試験データは、そのような配置が、単一の光ルミネセンス層を含む既知の白色発光デバ
イス(例えば、図1)と比較して、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の使用量
を、最大で80重量%まで低減することができることを示す。
【0043】
白色発光デバイス420は、最初に第1の光ルミネセンス層432をLEDチップ43
0上に堆積させ、次いで、他の光ルミネセンス材料で空洞を充填して、第2の光ルミネセ
ンス層452を形成することによって製造することができる。
【0044】
図5A及び図5Bは、CSP(チップスケールパッケージ化)LEDを利用する本発明
の実施形態による、発光デバイスの断面図である。図5A及び図5Bの発光デバイスでは
、第1の光ルミネセンス層532は、LEDチップ530の少なくとも原理発光面に塗布
される均一な厚さのコーティング層を含む。それらの発光面上の蛍光体の均一な厚さの層
(膜)を有するLEDチップは、多くの場合、CSP(チップスケールパッケージ化)L
EDと称される。図5Aに示すように、LEDチップ530は、その上部(原理)発光面
のみに塗布された均一な厚さの層を有する。図5Bに示すように、LEDチップ430は
、上部発光面及び4面発光面に塗布された均一な厚さの層を有し、コンフォーマルコーテ
ィングの形態である。図5A及び図5Bの発光デバイスは、例えばマンガン活性化フッ化
物光ルミネセンス材料を含む均一な厚さ(通常、20μm~300μm)の光ルミネセン
ス膜を使用して、第1の光ルミネセンス層532をLEDチップ530の少なくとも原理
発光面に塗布することによって製造することができる。次いで、LEDチップ530は、
パッケージ522の基部524に実装され、第2の光ルミネセンス層532は、空洞52
4を充填し、LEDチップを被覆するように堆積される。図2の発光デバイスと比較して
、均一な厚さのコーティング層は、この層がマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料
の全てを可能な限りLEDチップに近くなるように集中させ、層内の物理的位置にかかわ
らず、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の全てが実質的に同じ励起光光子密度
への曝露を受けることを確実にするので好ましい。そのような配置は、マンガン活性化フ
ッ化物光ルミネセンス材料の使用量の低減を最大化することができる。初期試験データは
、そのような配置が、単一の光ルミネセンス層を含む既知の白色発光デバイス(例えば、
図1)と比較して、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の使用量を、最大80重
量%まで低減することができることを示す。
【0045】
それぞれ第1及び第2の光ルミネセンス層を含む、説明した2層発光デバイス構造体は
、表面実装パッケージ化デバイスに限定されない。例えば、チップオンボード(COB)
又はチップスケールパッケージ化(CSP)用途に適用することもできる。
【0046】
図6A及び図6Bを参照すると、本発明の別の実施形態による、COB発光デバイス6
20の平面図、及び(図6Aの)A-Aを通る断面側面図を示している。発光デバイス6
20は円形形状を有し、したがって、平面形状及びディスク形状である円形基板624を
備える。COB配置を形成することにより、青色LEDダイ630の7つのアレイ(列)
が、円形基板624上に均等に分布される。円形基板624はまた、その外周全体の周り
に、青色LEDダイ630の全てのアレイを包囲する壁626を備える。
【0047】
マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含む第1の光ルミネセンス層632は、
円形基板624上に堆積され、この実施形態では、青色LED630のアレイを完全に被
覆する。同様に、一般組成Y(Al,Ga)12:Ceを有するセリウム活性化黄
色ガーネット蛍光体を含む第2の光ルミネセンス材料層634は、マンガン活性化フッ化
物光ルミネセンス材料を含む第1の光ルミネセンス層632上に堆積される。このように
して、第1の光ルミネセンス層632及び第2の光ルミネセンス層634は、互いに隣接
して位置し、また壁626内に収容される。
【0048】
発光デバイス620は、例えば、図2図3図4図5A、及び図5Bの発光デバイ
スに関係して述べたものと同じ利点で機能し、それを示す。したがって、これらの図に関
係してなされた記述は、図6A及び図6Bの実施形態に等しく適用される。
【0049】
発光デバイスを製造する方法は、例えば、青色LEDのアレイを提供するステップと、
少なくとも上記青色LEDのアレイにわたってマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材
料層(第1の光ルミネセンス層)を分配するステップと、上記マンガン活性化フッ化物光
ルミネセンス材料層にわたって第2の光ルミネセンス材料層を分配するステップと、を含
む。
【0050】
図7は、本発明の実施形態による、COB白色発光デバイスの断面図である。図7を参
照すると、本発明の別の実施形態に従って形成された、COBパッケージ化白色発光デバ
イス720(白色発光デバイスパッケージ)が示されている。この実施形態では、マンガ
ン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含有する第1の光ルミネセンス層732は、各L
EDチップ730上に配設され、それらを被覆するそれぞれ個別のコーティング層を含む
。示すように、第1の光ルミネセンス層732は、略半球状(ドーム形状)の形態であり
得る。図6の発光デバイスの第1の光ルミネセンス層632と比較して、第1の光ルミネ
センス層632は、厚さがより均一であり、これにより、層内の異なる物理的位置内のマ
ンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料が受ける励起光光子密度の変動が低減される。
初期試験データは、そのような配置が、単一の光ルミネセンス層を含む既知の白色発光デ
バイス(例えば、図1)と比較して、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の使用
量を、最大80重量%まで低減することができることを示す。
【0051】
図8A及び図8Bは、CSP(チップスケールパッケージ化)LEDを利用する本発明
の実施形態による、COB(チップオンボード)白色発光デバイスの断面側面図である。
図8A及び図8BのCOB発光デバイスでは、第1の光ルミネセンス層832は、各LE
Dチップの少なくとも原理発光面に塗布される、それぞれ均一な厚さのコーティング層を
含む。上述したように、それらの発光面上の蛍光体の均一な厚さの層(膜)を有するLE
Dチップは、多くの場合、CSP(チップスケールパッケージ化)LEDと称される。図
8Aに示すように、各LEDチップ830は、その上部(原理)発光面のみに塗布された
均一な厚さの層を有する。図8Bに示すように、各LEDチップ830は、上部発光面及
び4面発光面に塗布された均一な厚さの層を有し、コンフォーマルコーティングの形態で
ある。図8A及び図8BのCOB発光デバイスは、例えばマンガン活性化フッ化物光ルミ
ネセンス材料を含む均一な厚さ(通常、20μm~300μm)の光ルミネセンス膜を使
用して、第1の光ルミネセンス層832をLEDチップ830の各々の少なくとも原理発
光面に塗布することによって製造することができる。次いで、LEDチップ830は、基
部824に実装され、次いで、第2の光ルミネセンス層832は、LEDチップのアレイ
にわたって堆積される。図6A及び図6Bの発光デバイスと比較して、均一な厚さの第1
の光ルミネセンス層は、この層がマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の全てを可
能な限りLEDチップに近くなるように集中させ、層内の物理的位置にかかわらず、マン
ガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の全てが実質的に同じ励起光光子密度への曝露を
受けることを確実にすることが好ましい。初期試験データは、そのような配置が、単一の
光ルミネセンス層を含む既知の白色発光デバイス(例えば、図1)と比較して、マンガン
活性化フッ化物光ルミネセンス材料の使用量を、最大80重量%まで低減することができ
ることを示す。
【0052】
図9を参照すると、本発明の別の実施形態による、CSP発光デバイス920の側面図
が示されている。この実施形態では、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含む
第1の光ルミネセンス層932は、青色LEDダイ930の発光面上に直接堆積される。
更に、例えば、一般組成Y(Al,Ga)12:Ceを有するセリウム活性化黄色
ガーネット蛍光体を含む第2の光ルミネセンス材料層934は、第2の光ルミネセンス層
934上に堆積される。発光デバイス920は、例えば図2の発光デバイスに関係して述
べたものと同じ利点で機能し、それを示す。したがって、図2に関係してなされた記述は
図9の実施形態に等しく適用される。
【0053】
実験的試験データ
【0054】
この明細書では、以下の命名法を使用して、白色発光デバイスを表す。比較例#(番号
)は、単一蛍光体層を含む比較(既知の)白色発光デバイスを表し、デバイス#は、本発
明の実施形態による、2蛍光体層白色発光デバイスを表す。
【0055】
比較白色発光デバイス(比較例#)及び本発明による白色発光デバイス(デバイス#)
は各々、ドミナント波長λ≒455nmの3つの直列に接続された1133(11ミル
×33ミル)青色LEDチップを収容するSMD2835パッケージ化デバイスを含む。
各デバイスは、公称0.9W(駆動定格駆動条件は、100mA及び9Vの順方向駆動電
圧V)デバイスであり、2700Kの目標相関色温度(CCT)及び一般演色評価指数
CRI Ra>90を有する白色光を生成することが意図される。
【0056】
試験デバイスで使用される蛍光体は、Intematix Corporation製
のKSF(KSiF:Mn4+)、緑色YAG蛍光体(Intematix NYA
G4156-(Y,Ba)3-x(Al1-yGa12:Cex ピーク放出波
長λpe=550nm)、及びCASN(Ca1-xSrAlSiN:Eu λpe
≒615nm)である。CASNは、2700K色目標及び一般CRI Ra>90を達
成するために含まれる。
【0057】
単一層の比較デバイスについては、比較例#、3つの蛍光体(KSF、YAG、及びC
ASN)をフェニルシリコーン中で混合し、混合物を2835パッケージの中に分配して
、空洞を充填した。次いで、単一蛍光体層をオーブン内で硬化させる。
【0058】
2層デバイス(デバイス#)については、KSF蛍光体をフェニルシリコーンの中で混
合し、2835パッケージの中に分配して、LED空洞を部分的に充填する。KSF蛍光
体層をオーブン内で硬化させる。YAG蛍光体をフェニルシリコーンと混合し、次いでK
SF層の上部に分配して、LED空洞を完全に充填し、オーブン内で硬化させる。KSF
蛍光体層は、CASN及び/又はYAGを更に含むことができる。
【0059】
光学性能
【0060】
試験方法は、パッケージ化された白色発光デバイスの総発光を積分球内で測定すること
を伴う。
【0061】
表1は、比較デバイスの比較例1(単一層デバイス)及び本発明による2層デバイスの
デバイス1の蛍光体組成を一覧化している。表2は、単一層デバイス(比較例1)及び2
層デバイス(デバイス1)についての総蛍光体使用量を一覧化している。表1及び表2の
蛍光体重量値(重量)は、比較デバイスの比較例1の単一蛍光体層内のKSFの重量に対
して正規化される。
【0062】
表1から分かり得るように、蛍光体組成に関して、比較例1は、69.9重量%(重量
=1.000)のKSF、28.1重量%(重量=0.400)のYAG、及び2.1重
量%(重量=0.030)のCASNの混合物を含む単一蛍光体層を含む。デバイス1は
、95.2重量%(重量=0.457)のKSFと4.8重量%(重量=0.023)の
CASNとの混合物を含む第1の蛍光体層、及び100.0重量%(重量=0.561)
のYAGを含む第2の蛍光体層を有する2層蛍光体構造体を含む。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
表3は、発光デバイスの比較例1及びデバイス1の測定された光学性能を一覧化してい
る。表3から分かり得るように、デバイスによって生成された光の色点は、単一層の比較
デバイス(比較例1)よりも4.1lm大きい(3.4%より明るい:輝度-Br)であ
る本発明の2層デバイス(デバイス1)によって生成されたフラックスと非常に類似して
いる。しかしながら、表2から分かり得るように、単一層デバイスの比較例1と比較して
、本発明による2層デバイスのデバイス1のKSF使用量は、正規化された重量(重量)
1.000から0.457に低減される、つまり、比較例1と比較して、KSF使用量に
おける54%の低減である。その上、2層デバイスのデバイス1のCASN使用量はまた
、正規化された重量0.030から0.023に低減される、つまり、比較例1と比較し
て、CASN使用量における24%の低減である。YAG使用量における29%(0.4
00から0.561)の増加があるが、総蛍光体使用量は、重量=1.430から1.0
41へと低減される、つまり、28%の総蛍光体使用量の低減である。上記のように、Y
AGは、KSF(通常、1/100~1/150のコスト)及びCASN(通常、少なく
とも1/20のコスト)の両方と比較して安価である。結果として、YAGは、KSF又
はCASNの何分の一かのコストであるため、このようにしてデバイスの全体的なコスト
が劇的に削減される。KSF及びCASN含有量の低減によって得られたコスト節約だけ
でなく、本発明による2層デバイスは、より少ない総蛍光体材料を使用するので、製造が
より容易であり、これは、シリコーン中に投入する蛍光体材料が低減され、この低減によ
り、分配プロセスの信頼性/安定性を高めることができることを意味する。
【0066】
YAG使用量が増加する理由は、第2の蛍光体層に到達する青色励起光が少ないことに
よって、緑色光を生成して、選択された色目標を実現するために、より多くのYAG蛍光
体が必要とされるためであると考えられる。上述のように、KSF層は実質的にKSF(
個別のKSF層)のみを含有するため、KSFの使用量が低減され、この理由は、蛍光体
の混合物を有する単一層を含む既知の単一層デバイスの場合のように、KSFがYAG蛍
光体と競合することを有することなく、青色励起光を吸収することができるためであると
考えられる。
【0067】
【表3】
【0068】
表4は、第1の蛍光体層内のKSFの増加割合(重量%)についての、本発明による比
較デバイスの比較例2(単一層デバイス)及び2層デバイスのデバイス2~デバイス5の
蛍光体組成を一覧化している。表5は、単一層デバイス(比較例2)及び2層デバイス(
デバイス2~デバイス5)についての総蛍光体使用量を一覧化している。表4及び表5の
蛍光体重量は、比較デバイスの比較例2内のKSFの重量に対して正規化される。
【0069】
表4から分かり得るように、蛍光体組成に関して、比較例2は、68.9重量%(重量
=1.000)のKSF、29.0重量%(重量=0.421)のYAG、及び2.1重
量%(重量=0.031)のCASNの混合物を含む単一蛍光体層を含む。デバイスのデ
バイス2~デバイス5は、第1の蛍光体層内のKSFの増加割合(重量%)(76.8重
量%から100重量%に)を有する第1の蛍光体層を含む。より具体的には、デバイス2
は、76.8重量%(重量=0.770)のKSF、3.2重量%(重量=0.032)
のCASN、及び20.0重量%(重量=0.200)のYAGの混合物を含む第1の蛍
光体層と、100.0重量%のYAG(重量=0.345)を含む第2の蛍光体層と、を
有する、2層状構造体を含み、デバイス3は、86.4重量%(重量=0.665)のK
SF、3.6重量%(重量=0.028)のCASN、及び10.0重量%(重量=0.
077)のYAGの混合物を含む第1の蛍光体層と、100.0重量%のYAG(重量=
0.506)を含む第2の蛍光体層と、を有する、2層状構造体を含み、デバイス4は、
96.0重量%(重量=0.639)のKSF、4.0重量%(重量=0.0270)の
CASNの混合物を含む第1の蛍光体層と、100.0重量%のYAG(重量=0.58
0)を含む第2の蛍光体層と、を有する、2層状構造体を含み、デバイス5は、100.
0重量%(重量=0.551)のKSFを含む第1の蛍光体層と、96.0重量%のYA
G(重量=0.595)と4.0重量%(重量=0.025)のCASNとの混合物を含
む第2の蛍光体層と、を有する、2層状構造体を含む。
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
表6は、発光デバイスの比較例2及びデバイス2~デバイス5の測定された光学性能を
一覧化している。表6から分かり得るように、デバイスの光学性能/色点は、単一層の比
較デバイス(比較例2)よりも約0.7%~2.0%明るい(輝度-Br)本発明の2層
デバイス(デバイス2~デバイス5)によって生成されたフラックスと非常に類似してい
る。しかしながら、表5から分かり得るように、単一層デバイスの比較例2と比較して、
本発明による2層デバイスのデバイス2~デバイス5のKSF使用量は、第1の蛍光体層
内のKSFの割合(重量%)に応じて、23%~最大45%まで低減される。表5から、
KSF使用量における最大の低減は、層の総蛍光体含有量に関して、第1の蛍光体層がK
SF(すなわち、デバイス5-第1の蛍光体層内に100重量%のKSF)を排他的に含
むときであることに留意されたい。とは言うものの、第1の蛍光体層(デバイス2)内の
総蛍光体含有量の約75%のKSFの重量%割合を有するデバイスであっても、KSF使
用量の節約は、KSFの高コストが考慮されるとき、依然として、実質的に約25%であ
り、その結果、デバイスの製造の全体的なコストがほぼ25%低減されることが理解され
よう。
【0073】
表5に明示されるように、第1の蛍光体層内のKSFの割合(重量%)を増加させるこ
とは、(i)KSF使用量(23%~45%)を低減すること、(ii)CASN使用量
を低減すること、(iii)YAG使用量を増加させること、及び(iv)総蛍光体使用
量を低減することの効果を有する。これらの効果は共に、大幅なコスト削減を提供する。
【0074】
本発明によるデバイスでは、第2の蛍光体層は、デバイスの総YAG含有量の約60%
(デバイス2)~100%(デバイス4及び5)のYAG(緑色光ルミネセンス材料)を
含むことができることに更に留意されたい。
【0075】
【表6】
【0076】
熱性能
【0077】
表7は、単一層発光デバイスの比較例1及び2層発光デバイスのデバイス1の熱安定性
を一覧化している。表7から分かり得るように、単一層デバイスの比較例1と比較して、
本発明による2層デバイスのデバイス1は、発光安定性及び発光色安定性に関して、より
高い熱安定性を示す。
【0078】
例えば、デバイス1によって生成された平均フラックスは、25℃(C)で操作したと
きと比較して、85℃(H)で操作したときに12.3%(116.5lmから102.
1lmへ)低下する。比較すると、比較例1によって生成された平均フラックスは、25
℃(C)で操作した場合と比較して、85℃(H)で操作したときに12.7%(115
.9lmから101.2lmへ)低下する。
【0079】
発光効率(LE)に関して、デバイス1のLEの平均値は、25℃(C)で操作した場
合と比較して、85℃(H)で操作したときに10.4%(123.1lm/Wから11
0.4lm/Wへ)低下する。比較すると、比較例1のLEの平均値は、25℃(C)で
操作した場合と比較して、85℃(H)で操作したときに11.6%(122.9lm/
Wから108.6lm/Wへ)低下する。これは、10.4%(デバイス1)の平均LE
における低下が11.6%(比較例1)の低下より小さいため、本発明に従って形成され
たデバイスの優れた熱安定性を実証する。
【0080】
一般演色評価指数CRI Raに関して、デバイス1のCRI Raの平均値は、25
℃(C)で操作した場合と比較して、85℃(H)で操作したときに1.5の量(93.
2から95.2へ)だけ増加する。比較して、比較例1のCRI Raの平均値は、25
℃(C)で操作した場合と比較して、85℃(H)で操作したときに2.0の量(91.
2から93.3へ)まで増加する。これは、1.5(デバイス1)の平均CRI Raの
増加が2.0(比較例1)の増加より小さいため、本発明に従って形成されたデバイスの
優れた熱安定性を実証する。
【0081】
演色評価指数CRI R8に関して、デバイス1のCRI R8の平均値は、25℃(
C)で操作した場合と比較して、85℃(H)で操作したときに0.6の量(97.1か
ら97.7へ)だけ増加する。比較すると、比較例1のCRI R8の平均値は、25℃
(C)で操作した場合と比較して、85℃(H)で操作したときに量1.2(82.6か
ら83.9へ)まで増加する。これは、0.6(デバイス1)の平均CRI R8の増加
が1.2(比較例1)の増加よりも小さいため、本発明に従って形成されたデバイスの優
れた熱安定性を実証する。
【0082】
演色評価指数CRI R9に関して、デバイス1のCRI R9の平均値は、25℃(
C)で操作した場合と比較して、85℃(H)で操作したときに2.3の量(83.3か
ら85.5へ)だけ増加する。比較すると、比較例1のCRI R9の平均値は、25℃
(C)で操作した場合と比較して、85℃(H)で操作したときに量5.7(57.4か
ら63.1へ)まで増加する。これは、2.3(デバイス1)の平均CRI R9の増加
が5.7(比較例1)の増加よりも小さいため、本発明に従って形成されたデバイスの優
れた熱安定性を実証する。
【0083】
【表7】
【0084】
2層を含む本発明による発光デバイス(デバイス1)の信頼性、相対輝度は、湿潤高温
動作寿命試験条件(WHTOL)(温度は85℃であり、相対湿度は85%である)下で
、混合された光ルミネセンス材料の単一層を含む既知のデバイス(比較例1)の信頼性と
比較される。駆動条件は、9V及び120mAである。図10に示すように、2層LED
(デバイス1)の336時間での相対強度は96.4%であり、一方、既知の単一層LE
D(比較例1)の相対強度は336時間で91.45%まで低下した。この信頼性の改善
は、上述のようなKSF蛍光体の低減された使用量と、マンガン活性化フッ化物光ルミネ
センス層(第1の層)を被覆する第2の光ルミネセンス層によって提供された保護との組
み合わせによるものであると考えられる。
【0085】
別の加速信頼性は、沸騰水試験である。この試験では、LEDを85℃の脱イオン水中
に4時間浸漬した。LED輝度を、水中に浸漬する前後に試験する。この試験の結果を表
8に一覧化している。これらの条件下では、高温水は、上方の光ルミネセンス層のシリコ
ーン表面に浸透して、フッ化物光ルミネセンス材料と反応することができると考えられる
。本発明の2層デバイスは、第1の蛍光体層内の水とKSF(マンガン活性化フッ化物光
ルミネセンス材料)との間の隔離を強化し、結果的に単一層デバイスよりも良好なルーメ
ン維持をもたらす。
【0086】
【表8】
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップスケールパッケージ化LEDを含む発光デバイスであって、
該チップスケールパッケージ化LEDは、
440nmから470nmまでのドミナント波長を有する光を生成するためのLEDダイと、
前記LEDダイの発光面に塗布されたマンガン活性化フッ化物蛍光体を含む第1の光ルミネセンス層と、
500nmから650nmまでのピーク放出波長を有する光を生成するための第2の蛍光体を含む第2の光ルミネセンス層とを備え、
前記第2の光ルミネセンス層が、前記第1の光ルミネセンス層に塗布されている、発光デバイス。
【請求項2】
前記チップスケールパッケージ化LEDが前記第2の光ルミネセンス層を含む、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
空洞を含むパッケージを備え、前記チップスケールパッケージ化LEDが前記空洞内に実装され、前記空洞が前記第2の光ルミネセンス層を含む、請求項1または2に記載の発光デバイス。
【請求項4】
基板を備え、該基板上に前記チップスケールパッケージ化LEDが実装され、前記基板が前記第2の光ルミネセンス層を含む、請求項1または2に記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記第1の光ルミネセンス層が均一な厚さの層、又は実質的にコンフォーマルなコーティング層を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記第1の光ルミネセンス層の厚さが20μmから300μmまでである、請求項1~5のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記マンガン活性化フッ化物蛍光体が、KSiF:Mn4+、KTiF:Mn4+、及びKGeF:Mn4+のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記第2の蛍光体が、500nmから565nmまでのピーク放出波長を有する光を生成する、請求項1~7のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記第2の光ルミネセンス層が、580nmから650nmまでのピーク放出波長を有する光を生成するための第3の蛍光体を含む、請求項8に記載の発光デバイス。
【請求項10】
前記マンガン活性化フッ化物蛍光体及び前記第3の蛍光体の総量に対する前記第3の蛍光体の含有率が、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、及び少なくとも40重量%のうちの少なくとも1つである、請求項9に記載の発光デバイス。
【請求項11】
前記第2の蛍光体が、一般組成(Lu,Y)3-x(AlGa)12:Ce又はY(Al,Ga)12:Ceを有するセリウム活性化ガーネット蛍光体を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項12】
前記第3の蛍光体が、一般組成CaAlSiN:Eu2+、Ca(Se,S):Eu2+、又は(Ba,Sr)SiO:Eu2+のユーロピウム活性化蛍光体を含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項13】
ディスプレイバックライトを備え、
前記LEDダイが、445nmから465nmまでのドミナント波長を有する光を生成し、
前記第2の蛍光体が、520nmから550nmまでのピーク放出波長を有する光を生成する、請求項1~12のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項14】
前記第2の蛍光体が、β-SiAlON、又は一般組成及び結晶構造(Ba,Sr,Ca)Ga:Euのユーロピウム活性化硫化物蛍光体を含む、請求項13に記載の発光デバイス。
【請求項15】
440nmから470nmまでのドミナント波長を有する励起光を生成するための固体励起源と、
層状光ルミネセンス構造体とを備え、
該層状光ルミネセンス構造体は、
マンガン活性化フッ化物蛍光体を含む第1の光ルミネセンス層と、
500nmから650nmまでのピーク放出波長を有する光を生成するための第2の蛍光体、及び580nmから650nmまでのピーク放出波長を有する光を生成するための第3の蛍光体を含む第2の光ルミネセンス層とを含み、
前記第2の光ルミネセンス層が、前記第1の光ルミネセンス層上に配設され、前記第1の光ルミネセンス層と直接接触し、前記第1の光ルミネセンス層が、前記固体励起源に隣接して配設され、前記固体励起源と直接接触している、発光デバイス。
【請求項16】
前記第2の蛍光体が、一般組成(Lu,Y)3-x(AlGa)12:Ce又はY(Al,Ga)12:Ceを有するセリウム活性化ガーネット蛍光体を含む、請求項15に記載の発光デバイス。
【請求項17】
前記第3の蛍光体が、一般組成CaAlSiN:Eu2+、Ca(Se,S):Eu2+、又は(Ba,Sr)SiO:Eu2+を有する窒化物系蛍光体を含む、請求項16に記載の発光デバイス。
【請求項18】
前記マンガン活性化フッ化物蛍光体及び前記第3の蛍光体の総量に対する前記第3の蛍光体の含有率が、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、及び少なくとも40重量%のうちの少なくとも1つである、請求項15~17のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【外国語明細書】