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特開2023-78269吸入器と併用するための粒子を含む容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078269
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】吸入器と併用するための粒子を含む容器
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/06 20060101AFI20230530BHJP
   A24F 42/20 20200101ALI20230530BHJP
   A24F 42/60 20200101ALI20230530BHJP
【FI】
A61M15/06 A
A24F42/20
A24F42/60
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038764
(22)【出願日】2023-03-13
(62)【分割の表示】P 2019569310の分割
【原出願日】2018-06-26
(31)【優先権主張番号】17178416.8
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ズーバー ジェラール
(72)【発明者】
【氏名】ウォーラー ジュディス
(57)【要約】
【課題】粉末システムを含有する容器を提供する。
【解決手段】粒子サイズが約10マイクロメートル以下の第一の複数の粒子と、粒子サイズが約20マイクロメートル以上の第二の複数の粒子と、容器を貫通する単一の開口部と、を含む、粉末システムを含む容器。また、吸入器物品および容器を含むシステムも開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末システムを含む容器であって、
粒子サイズが約10マイクロメートル以下の第一の複数の粒子と、
粒子サイズが約20マイクロメートル以上の第二の複数の粒子と、
前記容器を貫通する単一の開口部と、を含む、容器。
【請求項2】
前記容器がカプセルである、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第一の複数の粒子がニコチンまたはニコチン塩を含む、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の容器。
【請求項4】
前記第一の複数の粒子が、ロイシンなどのアミノ酸を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記粉末システムが、約1:1~約10:1、または約2:1~約6:1、または約3:1~約5:1、好ましくは約4:1の前記第一の複数の粒子対前記第二の複数の粒子の重量比を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項6】
前記第一の複数の粒子の少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも90%が、約5マイクロメートル以下、または約3マイクロメートル以下の粒子サイズを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の容器。
【請求項7】
前記第二の複数の粒子の少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも90%が、約50マイクロメートル以上、または約75~200マイクロメートルの粒子サイズを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の容器。
【請求項8】
前記単一の開口部が、約0.5mm~約1.5mmの直径を有し、または、前記単一の開口部の開放表面積が、前記容器またはカプセルの総表面積の約0.1%~約0.5%、または約0.2%~約0.5%、または約0.3%~約0.4%である、請求項1~7のいずれか一項に記載の容器。
【請求項9】
前記単一の開口部が約0.5mm2~約1mm2の開放表面積を有し、前記容器が約0.2mL~約0.5mL、または約0.3mLの体積を有するカプセルである、請求項1~8のいずれか一項に記載の容器。
【請求項10】
前記第一の複数の粒子が、乳酸ニコチン、ロイシン、およびトレハロースなどの糖を含み、約1重量%~約10重量%、または約3重量%~約7重量%、または約5重量%のニコチン含有量を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の容器。
【請求項11】
前記容器が、サイズ2~サイズ4、またはサイズ3のカプセルであり、約20mg~約80mgの粉末システム、または40mg~約60mgの粉末システム、または約50mgの粉末システムを含有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の容器。
【請求項12】
前記第二の複数の粒子が風味を含み、前記風味がメントールを含みうる、請求項1~11のいずれか一項に記載の容器。
【請求項13】
吸入器物品であって、
容器を受けるための空洞、および、
前記容器の単一の側または端に開口部を形成するための貫通要素を含む、吸入器物品を備え、
前記容器が請求項1に記載の容器である、システム。
【請求項14】
前記空洞が、前記容器を前記空洞内で回転させる吸入気流を提供する端キャップによって上流端上で区切られ、前記空洞が、前記容器を含み、前記吸入空気内の混入粒子を前記吸入器のマウスピースに移送する多孔性要素によって下流端上で区切られる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記貫通要素が前記端キャップおよび前記容器の一つの壁のみを貫通して前記開口部を形成する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記容器がカプセルである、請求項13~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記吸入器が、少なくとも約20回の吸入吸煙、または少なくとも約30回の吸入吸煙、または少なくとも約40回の吸入吸煙それぞれにわたり、実質的に均一な前記粉末システム用量を送達する、請求項13~16のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸入器と併用するための、粒子を含む容器に関する。容器はニコチン粒子を保持しうる。ニコチン粒子は、有利なことに、吸入器と併用する際に従来的な喫煙方法を模倣しうる吸入器に適切である。
【背景技術】
【0002】
乾燥粉末吸入器(DPI)は公知であり、薬学的に活性の化合物を含む乾燥粉末をエアロゾルの形態で、吸入によって患者の気道に送達することによって、呼吸器疾患を治療するために使用される。医薬品乾燥粉末において、医薬品有効成分(API)は、より大きい担体粒子(ラクトースなど)の表面上にいつも凝集している。DPIは複雑な機構で動作して、こうした凝集が分散、粉砕、または脱凝集されることを確実にし、その後、APIを肺の中へと吸い込まれるようになる。
【0003】
ところが、乾燥粉末吸入器は、従来的な喫煙方法と一致する方法で乾燥粉末粒子を肺に提供するのに適切ではない場合がある。例えば、乾燥粉末吸入器は多くの場合、一回の呼吸で乾燥粉末用量の全部または容器の内容物の全部を提供しようとする。対照的に、従来的な喫煙方法は多くの快適な吸煙を伴う。ニコチン粒子は、従来的な喫煙方法に関連付けられた空気流量の吸入での肺への送達に対する課題を呈しうる欠点を生じる傾向がある。空気動力学的粒子径(MMAD)が約10マイクロメートル未満のニコチン粒子は、表面積対体積比が大きいため、次第に熱力学的に不安定になる傾向があり、これがこの減少する粒子サイズとともに界面自由エネルギーの増大をもたらし、粒子が凝集する傾向を結果的に増大し、凝集の強度を増大する。これは、ニコチン粒子組成の取り扱いおよび保管の心配につながりうる。さらに、吸入気流のみを利用して、単一の容器から均一な一連の粒子用量を送達することは困難となりうる。また、この方法で単一の容器から粒子を完全に空にすることも困難でありうる。
【0004】
従来的な喫煙方法に関連付けられた吸入量または気流量で一連の粒子用量を送達する粉末システムを含む容器またはカプセルを提供することが望ましい。従来的な喫煙方法に関連付けられた吸入量または気流量で、ニコチン送達の変動が限定的である一連の粒子用量を送達する粉末システムを含む容器またはカプセルを提供することが望ましい。従来的な喫煙方法に関連付けられた吸入量または気流量で、容器またはカプセルから粉末システムの全部または実質的に全部を除去することが望ましい。粉末システムを含む容器またはカプセルと、従来的な紙巻たばこと同様な形態を有する吸入器物品とを含むシステムを提供することが望ましい。また、本システムが、製造が単純でかつ消費者による使用に便利であることが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、粉末システムを含有する容器に関する。粉末システムは、粒子サイズが約10マイクロメートル以下の第一の複数の粒子と、粒子サイズが約20マイクロメートル以上の第二の複数の粒子と、を含む。単一の開口部が容器を通って延びる。粉末システムは、第一の複数の粒子と第二の複数の粒子との、約2:1~約6:1、または約3:1~約5:1、好ましくは約4:1の重量比を含みうる。
【0006】
本開示は、本明細書に記載の容器を受けるための空洞を有する吸入器物品と、容器内に単一の開口部を形成するための貫通要素とを含むシステムに関する。
【0007】
容器は、粉末システムを封入する従来的なカプセルとしうる。カプセルは、長円形状を有する従来的なカプセルとしうる。粉末システムは、吸入器で利用される際に従来的な喫煙方法を模倣しうる吸入器に適切でありうる。
【0008】
容器またはカプセルは、容器またはカプセルを通って延びる単一の穴または開口部のみを含み、ここで吸入空気が容器またはカプセルの空洞に入り、また、粒子が混入した吸入空気が同一の単一の穴または開口部を通して容器またはカプセルを抜け出る。第一の複数の粒子はニコチンを含みうる。単一の開口部は、カプセルが吸入器物品で利用される際の各々の吸煙または吸入で、ニコチンを含む粒子の部分かつ実質的に均一な量を提供するサイズにされてもよい。
【0009】
容器またはカプセルは、一つ以上の開口部を含みうる。ただし、一つ以上の開口部は、容器またはカプセルの一方の端または側(同一の端または側)上にのみ存在しうる。例えば、カプセルは、カプセルの一つの端キャップ、好ましくはカプセルの上流の端キャップを通って延びる一つの開口部のみを有してもよい。カプセルは、カプセルの一つの端キャップ、好ましくはカプセルの上流の端キャップを通って延びる二つ以上の開口部を有してもよい。カプセルは、カプセルの長軸方向の壁を通って延びる一つ以上の開口部を有してもよい。一つ以上の開口部の開放表面積は、容器またはカプセルの総表面積の約0.1%~約0.5%の範囲としうる。
【0010】
第二の複数の粒子は、メントールなどの風味成分を含有しうる。粉末システムは、特定の重量比(第二の複数の粒子1部に対して約2~約6重量部の第一の複数の粒子、または第二の複数の粒子1部に対して約3重量部~約5重量部の第一の複数の粒子、または好ましくは第二の複数の粒子1部に対して約4重量部の第一の複数の粒子など)で第一の複数の粒子および第二の複数の粒子を含みうる。
【0011】
有利なことに、単一の開口部と組み合わせられた粉末システムは、従来的な喫煙方法に関連付けられた吸入量または気流量で均一な一連の粒子用量を提供する。さらに、粉末システムの全部または実質的に全部が、従来的な喫煙方法に関連付けられた吸入量または気流量で容器またはカプセルから分配されてもよい。単一の開口部および粉末システムの相対的なサイズ、および容器またはカプセルの安定な回転は、消費者による5回以上、または10回以上、または25回以上、または40回以上の快適な吸入または「吸煙」において、容器またはカプセルからの粉末システムの一部または部分の均一な混入を提供しうる。
【0012】
有利なことに、本明細書に記載の粉末システムは、吸入器物品で使用される際に、容器またはカプセルからの改善されたニコチン送達を提供しうる。粉末システムは、同一の容器またはカプセルを利用して、例えば、最大10回の吸煙、最大20回の吸煙、最大40回の吸煙、または最大50回の吸煙のために、装置の使用を通して一貫した信頼できるニコチン送達を提供しうる。
【0013】
有利なことに、本明細書に記載の粉末システムは、時間経過につれて安定し、流動性を有する組成を形成しうる。粉末システムは、従来的な喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で、ユーザーの肺に改善されたニコチン送達を送達しうる。
【0014】
有利なことに、吸入器物品および容器システムは、従来的な紙巻たばこと類似した形態を有する。さらに、このシステムは、製造するのが単純で、かつ消費者が使用するのに好都合でありうる。
【0015】
本明細書に記載の容器またはカプセル、粉末システムおよび吸入器物品は、従来的な喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で粒子を肺に提供しうる。消費者は、各々の「吸煙」が、吸入器物品のカプセル空洞内に収容される容器またはカプセルの中に含有される乾燥粉末の均一な部分量を送達する、複数の吸入または「吸煙」を行ってもよい。この吸入器は、従来的な紙巻たばこと類似した形態を有してもよく、従来的な喫煙の決まったやり方を模倣してもよく、また、好みの、または楽しみのニコチン送達の形態を提供しうる。この吸入器は、製造するのが単純で、かつ消費者が使用するのに好都合でありうる。
【0016】
カプセル空洞を通した気流管理は、吸入中および消費中にカプセルまたは容器を回転させてもよい。容器またはカプセルは、第一の複数の小さな粒子および第二の複数の大きな粒子を含む、粉末システムを含有する。貫通された容器またはカプセルの回転は、貫通されたカプセルから吸入器物品を通して移動する吸入空気中へと放出された粉末システムを懸濁およびエアロゾル化してもよい。第二の複数の粒子は、第一の複数の粒子をユーザーの肺の中へと搬送するのを助け、第二の複数の粒子は、優先的にユーザーの口または口腔内に残る。
【0017】
本明細書では、とりわけ、ニコチン粉末製剤、ニコチン粉末製剤用の容器、および吸入器物品が記載される。本明細書に記載のニコチン粉末製剤は、本明細書に記載の容器などの任意の適切な容器と併用されうる。本明細書に記載のカプセルなどの本明細書に記載の容器は、本明細書に記載の吸入器物品などの任意の適切な吸入器物品と併用されうる。
【0018】
「ニコチン」という用語は、ニコチンおよび任意の形態のニコチン誘導体を意味し、これは遊離塩基ニコチン、ニコチン塩、または糖基質または有機金属化合物などの基質に含有されるものなどを含むがこれに限定されない。
【0019】
「アミノ酸」という用語は、無修飾または修飾された単一のアミノ酸部分を意味し、無修飾が好ましい。
【0020】
「液体エネルギー粉砕」という語句は、衝突する粒子流による微粉化を意味する。液体エネルギー粉砕は、エアジェット粉砕またはジェット粉砕を含む。
【0021】
本明細書で述べる粒子のサイズは、粒子の空気動力学的粒子径を意味することが好ましい。粉末システムの空気動力学的粒子径は、カスケードインパクターで測定することが好ましい。「MMAD」という用語は、質量中央空気動力学的直径を意味する。粒子サイズは、体積平均径を指す「VMD」としても示されうる。粒子サイズ分布は、特定のパーセント(例えば、体積基準で10%、50%、または90%)の粒子がその範囲となるサイズとして示されうる。
【0022】
「風味剤」または「風味」という用語は、その消費中または吸入中にニコチンの味覚特性または芳香特性を変化させる、また変化させるよう意図されている、感覚刺激性の化合物、組成物、または材料を意味する。「風味剤」または「風味」という用語は、風味抽出物製造業組合(FEMA)の風味成分ライブラリに開示された化合物、および特にGRAS風味付け物質に関する出版物3~27(例えば、Hall,R.L.& Oser,B.L.,Food Technology,February 1965 pg 151-197)、GRAS風味付け物質27(S.M.Cohen et al.,Food Technology Aug.2015 pg.40-59)、および介在するGRAS風味付け物質に関する出版物4~26に開示された化合物を意味することが好ましい。本開示において、ニコチンは風味剤または風味としては考えられない。
【0023】
容器またはカプセルは、粒子サイズが約10マイクロメートル以下の第一の複数の粒子、および粒子サイズが約20マイクロメートル以上の第二の複数の粒子の粉末システムを含有する。容器またはカプセルは、粒子サイズが約5マイクロメートル以下の第一の複数の粒子、および粒子サイズが約50マイクロメートル以上の第二の複数の粒子の粉末システムを含有する。少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも90%の第一の複数の粒子は、約5マイクロメートル以下、または約3マイクロメートル以下の粒子サイズを有しうる。少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも90%の第二の複数の粒子は、約50マイクロメートル以上、または約75~約200マイクロメートルの粒子サイズを有しうる。
【0024】
粉末システムは、第一の複数の粒子と第二の複数の粒子との、約1:1~約10:1、または約2:1~約8:1、または約2:1~約6:1、または約3:1~約5:1、好ましくは約4:1の重量比を含みうる。第一の複数の粒子と第二の複数の粒子の重量比を注意深く選択することにより、類似した量の粉末を含有する一連の吸入における容器の内容物の完全な送達をさらに改善することが可能である。
【0025】
カプセルまたは容器は、容器またはカプセルを通して延びる一つの唯一の開口部を含みうる。容器またはカプセルは、容器またはカプセルを通って延びる二つより少ない開口部を含みうる。容器またはカプセルは容器またはカプセルを通して延びる二つ以上の開口部を含まない。空気は同一の単一の開口部に流入し、かつそこから流出してもよい。
【0026】
容器またはカプセルは、一つ以上の開口部を含みうる。ただし、一つ以上の開口部は、容器またはカプセルの一方の端または側(同一の端または側)上にのみ存在しうる。例えば、カプセルは、カプセルの一つの端キャップ、好ましくはカプセルの上流の端キャップを通って延びる一つの開口部のみを有してもよい。カプセルは、カプセルの一つの端キャップ、好ましくはカプセルの上流の端キャップを通って延びる二つ以上の開口部を有してもよい。カプセルは、カプセルの長軸方向の壁を通って延びる一つ以上の開口部を有してもよい。
【0027】
単一の開口部または一つ以上の開口部の直径は約0.1mm~約4mm、または約0.2mm~約2mm、または約0.5mm~約1.5mm、または約0.8mm~約1.2mm、または約0.9mm~約1.1mm、または約1mmであってもよい。単一の開口部または一つ以上の開口部の開放表面積は、約0.1mm2~約2mm2、または約0.5mm2~約1mm2、または約0.7mm2~約0.9mm2であってもよい。単一の開口部または一つ以上の開口部の開放表面積は、容器またはカプセルの総表面積の約0.1%~約0.5%、または約0.2%~約0.5%、または約0.3%~約0.4%の範囲としうる。
【0028】
単一の開口部はカプセルの長軸方向軸で入射してもよい。カプセルが吸入器物品の中に置かれ、かつ貫通される時、乾燥粉末吸入器を通る気流は、カプセルの長軸方向軸を中心にカプセルを回転させてもよい。
【0029】
容器またはカプセルは、カプセルの内部容積と呼ばれる内部容積を画定してもよい。カプセルの内部容積は、0.02mL~約3mL、または約0.1mL~約0.9mL、または約0.2mL~約0.5mL、または約0.25mL~約0.3mLであってもよい。単一の開口部または一つ以上の開口部の開放表面積は、カプセルの内部容積1mm2当たり約0.7mm2~約7mm2、またはカプセルの内部容積1mm2当たり約1mm2~約3mm2であってもよい。
【0030】
容器またはカプセルは、少なくとも約5mgの粉末システム、または約10mg~約200mg、または約20mg~約100mg、または約20mg~約80mg、または40mg~70mg、または40mg~60mg、または約50mgの粉末システムを保持または含有しうる。容器またはカプセルは、少なくとも2回の吸入または「吸煙」、または少なくとも約10回の吸入または「吸煙」、または少なくとも約20回の吸入または「吸煙」を提供するのに十分な粉末システムを含有しうる。容器またはカプセルは、約5~50回の吸入または「吸煙」、または約20~50回の吸入または「吸煙」を提供するのに十分な粉末システムを含有しうる。
【0031】
粉末システムは、約50重量%~約95重量%、または約65重量%~約90重量%、または約75重量%~約85重量%、または好ましくは約80重量%の第一の複数の粒子を含みうる。
【0032】
粉末システムは、約50重量%~約5重量%、または約45重量%~約10重量%、または約25重量%~約15重量%、または好ましくは約20重量%の第二の複数の粒子を含みうる。
【0033】
粉末システムは、粒子サイズが約10マイクロメートル以下でニコチン含有量が1重量%以上の、約50重量%~約95重量%、または約65重量%~約90重量%、または約75重量%~約85重量%、または好ましくは約80重量%の第一の複数の粒子を含みうる。
【0034】
粉末システムは、粒子サイズが約20マイクロメートル以上でニコチン含有量が0.1重量%以下の、約50重量%~約5重量%、または約45重量%~約10重量%、または約25重量%~約15重量%、または好ましくは約20重量%の第二の複数の粒子を含みうる。
【0035】
粉末システムは、約5mg~約100mg、または約20mg~約80mg、または約30mg~約50mg、または好ましくは約40mgの第一の複数の粒子を含みうる。
【0036】
粉末システムは、1mg~約100mg、または約5mg~約50mg、または約5mg~約20mg、または好ましくは約10mgの第二の複数の粒子を含みうる。
【0037】
粉末システムは、粒子サイズが約10マイクロメートル以下でニコチン含有量が1重量%以上の、約5mg~約100mg、または約20mg~約80mg、または約30mg~約50mg、または好ましくは約40mgの第一の複数の粒子を含みうる。
【0038】
粉末システムは、粒子サイズが約20マイクロメートル以上でニコチン含有量が0.1重量%以下の、約1mg~約100mg、または約5mg~約50mg、または約5mg~約20mg、または好ましくは約10mgの第二の複数の粒子を含みうる。
【0039】
粉末システムは、粒子サイズが約10マイクロメートル以下でニコチン含有量が1重量%以上の第一の複数の粒子と、粒子サイズが約20マイクロメートル以上でニコチン含有量が0.1重量%以下の第二の複数の粒子との、約2:1~約6:1、または約3:1~約5:1、好ましくは約4:1の重量比を含みうる。
【0040】
容器またはカプセルは、空気が吸入器物品を通して流れる時、その長軸方向軸または中央軸を中心に回転してもよい。カプセルは気密材料で形成されてもよく、この気密材料は、吸入器と別個であるか組み合わせられうる貫通要素によって貫通または穿孔されうる。カプセルは金属材料または高分子材料で形成されてもよく、この材料は汚染物質をカプセルに入れないように機能するが、カプセルの中のニコチン粒子の消費の前に貫通要素によって貫通または穿孔される場合がある。カプセルは高分子材料で形成されてもよい。高分子材料はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であってもよい。カプセルは、サイズ0~サイズ5カプセル、またサイズ2カプセル、またはサイズ3カプセル、またはサイズ4カプセルとしうる。
【0041】
金属または剛直な針などの別個の貫通要素は、カプセル空洞内に受けられるカプセルを通る単一の開口部(単一の開口部のみ)を形成しうる。貫通要素は、端キャップ上の貫通チャネルをシールする、再び封じることができる要素を通過してもよい。
【0042】
本開示の粉末システムは、液体混合物を噴霧乾燥して第一の複数の粒子を形成することによって形成されうる。液体混合物はニコチンを含む。液体混合物はまた、糖、またはアミノ酸、または糖とアミノ酸の両方を含んでもよい。液体混合物を噴霧乾燥することで、均質な第一の複数の粒子を形成しうる。また、粉末システムは、第一の複数の粒子よりも大きな粒子サイズを有する第二の複数の粒子を含む。例えば、第二の複数の粒子の粒子サイズは、第一の複数の粒子の粒子サイズよりも大きくてもよい。第二の複数の粒子はニコチンを含んでもよく、またはニコチンを含まなくてもよい。粉末システムは、第一の複数の粒子と第二の複数の粒子を所望の重量比で組み合わせることで形成されうる。吸入送達消耗要素は、本明細書に記載の粉末システムを含有しうる。
【0043】
第一の複数の粒子は、粉砕されて(液体エネルギー粉砕機によるなど)、第一の複数のサイズ分布を低減しうる。第一の複数のニコチン粒子は、複数の粒子の約90%(体積比)が約3マイクロメートル未満の粒子サイズを有し、複数の粒子の約50%が約1.5マイクロメートル未満の粒子サイズを有し、第三の複数の粒子の約10%が約0.65マイクロメートル未満の粒子サイズを有する、粒子サイズ分布を有しうる。本明細書に記載の粒子サイズ分布に関連する割合は、質量または重量基準が具体的に記述されていない限り、粒子体積(体積パーセント)に基づく。
【0044】
第一の複数の粒子の空気動力学的中央粒子径は、約10マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約6マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約5マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内であってもよい。空気動力学的中央粒子径は、カスケードインパクターで測定することが好ましい。
【0045】
第一の複数の粒子は、約5マイクロメートル以下の空気動力学的直径を有する、約50%、または約75%、または約80%、または約90%、または約95%、または約98%の粒子を含みうる。第一の複数の粒子は、約3マイクロメートル以下の空気動力学的直径を有する、少なくとも約50%の粒子を含みうる。第一の複数の粒子は、約0.85マイクロメートル以下の空気動力学的直径を有する、少なくとも約10%の粒子を含みうる。実質的にすべての第一の複数の粒子の粒子は、約500ナノメートル~約5マイクロメートルの範囲の空気動力学的直径を有しうる。
【0046】
第一の複数の粒子を形成する粒子のニコチン成分は、遊離塩基ニコチン、ニコチン塩、またはその組み合わせとしうる。ニコチン成分は、ニコチンまたはニコチン遊離塩基を酸と組み合わせることによって形成されるニコチン塩であってもよい。酸は、ニコチン遊離塩基に対する酸の理論量としうるか、または酸の化学量論超過がニコチン遊離塩基と組み合わせられうるか、またはニコチン遊離塩基の化学量論超過が酸と組み合わせられうる。遊離塩基ニコチンは、酸を追加することなく利用されうる。
【0047】
酸は、有機酸、無機酸、またはルイス酸としうる。無機酸の非限定的な例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、ヘキサフルオロリン酸、およびこれに類するものである。有機酸の非限定的な例は、レブリン酸、クエン酸、グルコン酸、安息香酸、プロピオン酸、酪酸、スルホサリチル酸、マレイン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、アムソン酸、パモ酸、メシル酸、アスパラギン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、カンファースルホン酸、フマル酸、イセチオン酸、乳酸、粘液酸、p-トルエンスルホン酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フロン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、ピルビン酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシル酸塩)、ステアリン酸、スルファニル酸、アルギン酸、ガラクツロン酸、およびこれに類するものである。ルイス酸の非限定的な例は、塩化亜鉛または臭化亜鉛(ZnCl2/ZnBr2)である。これらはニコチンと反応して、有機金属錯体を形成できる。
【0048】
有用なニコチン塩には例えば、ピルビン酸ニコチン、クエン酸ニコチン、アスパラギン酸ニコチン、乳酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、サリチル酸ニコチン、フマル酸ニコチン、モノ-ピルビン酸ニコチン、グルタミン酸ニコチン、またはニコチン塩酸塩が含まれるが、これに限定されない。好ましいニコチン塩には、乳酸ニコチン、ピルビン酸ニコチン、クエン酸ニコチン、アスパラギン酸ニコチン、またはその組み合わせが含まれる。
【0049】
第一の複数の粒子(水中に溶解)のpHは、約5~約9の範囲としうる。pHは、約7.0以上または7.0~9.0の範囲が好ましい。pH9は、有機酸を含まない粒子で到達でき、一方でpH5.0はニコチン塩を形成する時に強酸または二価酸を使用して得ることができる。
【0050】
第一の複数の粒子は、アミノ酸またはペプチド(好ましくは3種以下のアミノ酸で形成される)を含みうる。アミノ酸またはペプチドは、粒子の接着力を低減し、形成中またはその後の取り扱い中の粒子の凝集を軽減または阻止する。第一の複数の粒子は、自由流れ材料を形成しうるとともに、処理中、搬送中および貯蔵中に安定した相対粒子サイズ分布を有しうる。
【0051】
有用なアミノ酸は、ロイシン、アラニン、バリン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、またはその組み合わせを含みうる。好ましい一つのアミノ酸は、ロイシンまたはロイシン異性体(L-ロイシンなど)である。有用なペプチドは、例えばトリロイシンを含む。
【0052】
複数の粒子は、糖または糖アルコールを含みうる。糖は、単純な糖、単糖類、二糖類、および多糖類を意味する。限定されないが、適切な糖および糖アルコールの例は、ラクトース、ショ糖、ラフィノース、トレハロース、果糖、右旋糖、グルコース、麦芽糖、マンニトール、またはその組み合わせである。好ましい糖および糖アルコールは、トレハロースまたはマンニトールを含む。
【0053】
第一の複数の粒子は、約30重量%未満のニコチンを含有しうる。第一の複数の粒子は、約10重量%以下のニコチンまたは約1~約10重量%のニコチンを含有しうる。第一の複数の粒子は、約2~約7重量%のニコチンまたは約3~約7重量%のニコチン、または約4~6重量%のニコチン、または約5重量%のニコチンを含有しうる。ニコチン含有量は、ニコチンの形態にかかわらずニコチンの総量に基づいて計算される。例えば、第一の複数の粒子は、乳酸ニコチンなどの8.4重量%ニコチン塩を含んでもよいが、ニコチン含有量は5重量%である。
【0054】
複数の粒子は、約1~約20重量%のアミノ酸を含有しうる。複数の粒子は、約5~約15重量%のアミノ酸を含有しうる。複数の粒子は、約10重量%のアミノ酸を含有しうる。粒子にアミノ酸、例えば特にL-ロイシンを追加することは、凝集または処理表面への接着を低減しうる。
【0055】
第一の複数の粒子は、約60~約95重量%の糖を含有しうる。複数の粒子は、約70~約90重量%の糖を含有しうる。
【0056】
有用な第一の複数の粒子は、アミノ酸(ロイシン)、糖(トレハロース)、およびニコチン塩(乳酸ニコチン)を含む。ニコチン含有量は、約1~約10重量%または約5重量%としうる。ロイシン含有量は、約5~約15重量%または約10重量%としうる。糖含有量は、約75~約85重量%としうる。
【0057】
有用な第一の複数の粒子は、アミノ酸(ロイシン)、糖(トレハロース)、およびニコチン塩(クエン酸ニコチン)を含む。ニコチン含有量は、約1~約10重量%または約5重量%としうる。ロイシン含有量は、約5~約15重量%または約5重量%としうる。糖含有量は、約75~約85重量%としうる。
【0058】
有用な第一の複数の粒子は、アミノ酸(ロイシン)、糖(トレハロース)、およびニコチン塩(ピルビン酸ニコチン)を含む。ニコチン含有量は、約1~約10重量%または約5重量%としうる。ロイシン含有量は、約5~約15重量%または約10重量%としうる。糖含有量は、約75~約85重量%としうる。
【0059】
有用な第一の複数の粒子は、アミノ酸(ロイシン)、糖(トレハロース)、およびニコチン塩(アスパラギン酸ニコチン)を含む。ニコチン含有量は、約1~約10重量%または約5重量%としうる。ロイシン含有量は、約5~約15重量%または約10重量%としうる。糖含有量は、約75~約85重量%としうる。
【0060】
第一の複数の粒子は、(1)ニコチン、および随意的に糖およびアミノ酸またはペプチドを液体担体中で混合して液体混合物を形成し、(2)液体混合物を噴霧乾燥して、約0.5~約10マイクロメートルの範囲または約0.5~約5マイクロメートルの範囲のサイズを有する第一の複数の粒子を形成し、(3)第一の複数の粒子を粉砕して第二の複数の粒子を形成することによって形成されうる。粉砕ユニット操作は、粒子のサイズを減少させる液体エネルギー粉砕ユニット操作であってもよい。
【0061】
液体担体は、例えば水であってもよい。液体混合物は流動性を有する。液体混合物は、アトマイゼーションノズルまたはアトマイザーノズルを通って流れて第一の複数の粒子を形成するように構成されている。
【0062】
また、粉末システムは第二の複数の粒子を含む。第二の複数の粒子は、第一の複数の粒子よりも大きな粒子サイズを有する。第二の複数の粒子は、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル以上、または約75マイクロメートル以上、または約100マイクロメートル以上の粒子サイズを有しうる。第二の複数の粒子の少なくとも50重量%の粒子は、約50マイクロメートル以上、または約75~約200マイクロメートルの範囲内である。第二の複数の粒子の平均粒子サイズは、約75マイクロメートル~約150マイクロメートルの範囲内でありうる。第二の複数の粒子の粒子の5重量%未満は、20マイクロメートルより小さくてもよい。第二の複数の粒子は、風味剤を含みうる。
【0063】
粉末システムは自由流動であることが好ましい。第一の複数の粒子は自由流動性であることが好ましい。第二の複数の粒子は自由流動性であることが好ましい。容器またはカプセル内に収容される粉末システムは、自由流動性であることが好ましい。容器またはカプセル内に収容される第一の複数の粒子は、自由流動性であることが好ましい。容器またはカプセル内に収容される第二の複数の粒子は、自由流動性であることが好ましい。
【0064】
粉末システムは、安定したサイズ分布を有してもよい。粉末システムは相互に凝集しないことが好ましい。第一の複数の粒子は相互に凝集しないことが好ましい。第二の複数の粒子は相互に凝集しないことが好ましい。第一の複数の粒子は、第二の複数の粒子に凝集しないことが好ましい。第二の複数の粒子は、第一の複数の粒子に凝集しないことが好ましい。
【0065】
第二の複数の粒子はニコチンを含まないか、または約0.1重量%以下などの低レベルのニコチンを含みうる。第二の複数の粒子はニコチンを含まない、または微量のニコチンのみを含むことが好ましい。第二の複数の粒子は、風味成分を含みうる。適切な風味には例えば、たばこ、煙、メントール、ミント(ペパーミントおよびスペアミントなど)、チョコレート、甘草、柑橘類およびその他の果実風味、ガンマ八量体、バニリン、エチルバニリン、口臭消臭風味、スパイス風味(シナモンなど)、サルチル酸メチル、リナロール、ベルガモット油、ゼラニウム油、レモン油、およびジンジャー油、およびこれに類するものなどの任意の天然風味または合成風味が含まれるが、これらに限定されない。その他の適切な風味には、酸、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、ピラジン、これらの組み合わせまたはブレンド、およびこれに類するものから成る群から選択される風味化合物が含まれてもよい。適切な風味化合物は例えば、フェニル酢酸、ソラノン、メガスチグマトリエノン、2-ヘプタノン、ベンジルアルコール、cis-3-ヘキセニルアセタート、吉草酸、吉草酸アルデヒド、エステル、テルペン、セスキテルペン、ノートカトン、マルトール、ダマセノン、ピラジン、ラクトン、アネトール、iso-s吉草酸、その組み合わせ、およびこれに類するものから成る群から選択されてもよい。
【0066】
風味剤は力価の高い風味剤であってもよく、吸入気流内で結果的に200ppm未満となるレベルで使用・検出される場合がある。こうした風味剤の例は、β-ダマセノン、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、フェニルアセトアルデヒド、グアイアコール、およびフラネオールなどの主なたばこ芳香化合物である。その他の風味剤は、より高い濃度レベルで人間によってのみ感知されうる。本明細書で力価がより低い風味剤と呼ばれるこれらの風味剤は一般に、吸入空気内に放出される風味剤が結果的に、桁違いに多い量のレベルで使用される。力価のより低い適切な風味剤には例えば、天然メントールまたは合成メントール、ペパーミント、スペアミント、コーヒー、茶、スパイス(シナモン、クローブ、およびショウガなど)、ココア、バニラ、果実風味、チョコレート、ユーカリ、ゼラニウム、オイゲノール、およびリナロールが含まれるが、これらに限定されない。
【0067】
風味剤または風味は、固体の風味として(約22℃の室温および1気圧で)提供されてもよく、風味製剤、風味含有材料および風味前駆体を含んでもよい。風味剤は、一つ以上の天然風味剤、一つ以上の合成風味剤、または天然風味剤と合成風味剤との組み合わせを含んでもよい。本明細書に記載の風味剤は、ニコチン構成要素の味覚特性または芳香特性をその消費中または吸入中に変化させるために、または変化させることを意図するために選択および利用される感覚刺激性の化合物、組成物、または材料である。
【0068】
風味剤または風味は、天然起源または合成起源のさまざまな風味材料を指す。これらには、単一の化合物および混合物が含まれる。風味または風味剤は、消費中にニコチン構成要素の体験を高める場合がある風味特性を有する。風味は、可燃性喫煙物品の喫煙の結果から得られるものと類似の体験を提供するように選ばれてもよい。例えば、風味または風味剤は、口充足感および複雑さなどの風味特性を高める場合がある。複雑さは、単一の感覚属性が支配的になることなく、より豊かな風味の全体的なバランスが取れていることとして、一般的に知られている。口充足感は、消費者の口および喉の中での豊かさと量の知覚として説明される。
【0069】
風味のさらなる特定の実施例は、現在の文献から見いだされる場合があり、また風味付け、例えば、臭いまたは味覚を製品に付与する当業者に周知である。
【0070】
第二の複数の粒子はメントールを含むことが好ましい。例えば、第二の複数の粒子は、約1~約20重量%または約2~約10重量%または約3~約6重量%、または約5重量%のメントールを含みうる。
【0071】
粉末システムは、約10マイクロメートル以下であり、約1~15重量%のニコチン粒子を含み、乳酸ニコチン、クエン酸ニコチン、ピルビン酸ニコチン、またはアスパラギン酸ニコチンなどの塩の形態の第一の複数の粒子、約5~15重量%のロイシンなどのアミノ酸、トレハロースなどの糖、および、約20マイクロメートル以上であり、メントールなどの風味成分を含有する、第二の複数の粒子、を含むことが好ましい。粉末システムは、第一の複数の粒子と第二の複数の粒子との、約1:1~約10:1、または約2:1~約6:1、または約3:1~約5:1、好ましくは約4:1の重量比を含むことが好ましい。
【0072】
第二の複数の粒子は、接着力または表面エネルギーおよび結果としてもたらされる凝集を低減する化合物を含んでもよい。第二の複数の粒子は接着力低減化合物を用いて表面修飾されて、被覆された第二の複数の粒子を形成してもよい。一つの好ましい接着力低減化合物は、ステアリン酸マグネシウムであってもよい。ステアリン酸マグネシウムなどの接着力低減化合物を風味粒子に提供すること、特に第二の複数の粒子または風味粒子を被覆することは、風味を含む粒子の接着力を低減する場合があり、また風味粒子の間の引力を低減し、それ故に第二の複数の粒子または風味粒子の凝集を低減する場合がある。それ故に、第二の複数の粒子と第一の複数の粒子との凝集も低減されうる。本明細書に記載の粉末システムは、組み合わせられた時に、相対粒子サイズが安定した粒子の二重集団を有しうる。粉末システムは自由流動であることが好ましい。
【0073】
本明細書に記載の粉末システムは、乾燥粉末組成物を形成し、消費用の容器またはカプセル内に包装されてもよい。本明細書に記載の粉末システムは、自由流動性の乾燥粉末組成物を形成し、吸入送達消耗要素内に包装または収容されてもよい。吸入送達消耗要素は、例えばカプセルであってもよい。カプセルは、吸入器物品などの吸入装置内に配置されることによるものでもよい。吸入装置がカプセル刺し通すことを提供してもよく(カプセルの一方の端または側においてのみ)、粉末システムが吸入空気に混入されて、消費者の肺へと送達されてもよい。
【0074】
本開示はさらに、カプセルなどの容器を受けるための空洞と、容器に単一の開口部または容器の単一の側または端に一つ以上の開口部を形成するための貫通要素と、を備える吸入器物品を含む、システムに関する。容器は、粒子サイズが約10マイクロメートル以下の第一の複数の粒子、および粒子サイズが約20マイクロメートル以上の第二の複数の粒子を含む粉末システムを含有する。容器が貫通要素で貫通された後、容器は、容器を通して延びる約0.5mm~約1.5mmの直径の単一の開口部またはそれより多い開口部を有する。単一の開口部またはそれより多い開口部は、約0.2mm2~約1mm2の開放表面積を有してもよく、容器は、約0.2mL~約0.5mL、または約0.3mLの体積を有しうる。容器は、約20mg~約80mgの粉末システム、または約40mg~約60mg、または約50mgの粉末システムを含有する、サイズ2~サイズ4、またはサイズ3のカプセルとしうる。第一の複数の粒子は、ニコチンまたはニコチン塩、ロイシンなどのアミノ酸、およびトレハロースなどの糖を含みうる。ニコチンの量は、約1重量%~約10重量%、または約3重量%~約7重量%、または約5重量%でありうる。第二の複数の粒子は、メントールなどの風味を含みうる。粉末システムは、第一の複数の粒子と第二の複数の粒子との、約1:1~約10:1、または2:1~約6:1、または約3:1~約5:1、好ましくは約4:1の重量比を含む。少なくとも約50%、または少なくとも約75%、または少なくとも約90%の第一の複数の粒子は、約5マイクロメートル以下、または約3マイクロメートル以下の粒子サイズを有しうる。少なくとも50%、または少なくとも約75%、または第二の複数の粒子の少なくとも約90%は、約50マイクロメートル以上、または約75~200マイクロメートルの粒子サイズを有しうる。
【0075】
吸入器物品は、約5L/分未満または約3L/分未満、または約2L/分または約1.6L/分未満の流量を使用してもよい。流量は、約1L/分~約3L/分または約1.5L/分から約2.5L/分の範囲内であることが好ましい。吸入量または流量は、カナダ保健省(Health Canada)喫煙方法のそれと同様であり、約1.6L/分であることが好ましい。
【0076】
吸入器は、従来の紙巻たばこの喫煙または電子たばこのベイピングのように、消費者によって使用されてもよい。こうした喫煙またはベイピングは二つの工程によって特徴付けられることができ、第一の工程では、消費者が所望するニコチンの全量を含有する少量が口腔の中に引き出され、それに続く第二の工程では、所望の量のニコチンを含むエアロゾルを含むこの少量が新鮮な空気によってさらに希釈され、肺の中により深く引き出される。どちらの工程も消費者によって制御される。第一の吸入工程中に、消費者は吸入されるニコチンの量を決定してもよい。第二の工程中に、消費者は肺の中により深く引き出される第一の量を希釈するための量を決定してもよく、気道の上皮表面に送達される有効な薬剤の濃度が最大化される。この喫煙のメカニズムは時に、「吸煙-吸入-吐出」と呼ばれる。
【0077】
吸入器物品は、マウスピース端から遠位端へと長軸方向軸に沿って延在する本体と、本体内に画定されたカプセル空洞とを含みうる。カプセル空洞は、長軸方向軸に沿って延在する空洞の長さを有する。マウスピース空気チャネルは、カプセル空洞からマウスピース端へと延びうる。端キャップは遠位端内に配置され、カプセル空洞へと延びうる。端キャップは端キャップ遠位端から端キャップ内側端へと延びうる。空気チャネルは端キャップ遠位端から端キャップ内側端へと延びうる。カプセルはカプセルの長さを有してもよく、カプセル空洞内に配置される。カプセルの長さは、空洞の長さの約25%~約99%、または空洞の長さの約50%~約95%、または空洞の長さの約70%~約90%、または空洞の長さの約75%~約85%の範囲内、または空洞の長さの約80%でありうる。
【0078】
本明細書に記載の吸入器物品は、貫通要素または貫通装置と組み合わされて、ニコチン粉末システムを消費者に送達しうる。貫通要素または貫通装置は吸入器物品の一部分から分離されてもよく、または吸入器物品の一部を形成しなくてもよい。複数のこれらの吸入器物品は貫通要素または貫通装置と組み合わせられて、キットを形成してもよい。
【0079】
吸入器本体は、サイズおよび形状が喫煙物品または紙巻たばこに似ていてもよい。吸入器本体は、吸入器物品の長軸方向軸に沿って延在する細長い円筒形の本体を有してもよい。吸入器本体は、細長い円筒形の本体の長さに沿って実質的に均一な外径を有してもよい。吸入器本体は、細長い円筒形の本体の長さに沿って均一であってもよい円形断面を有してもよい。吸入器本体の外径は約6mm~約10mm、または約7mm~約10mm、または約7mm~約9mmの範囲内、または約8mmであってもよい。吸入器本体の長さ(長軸方向軸に沿った)は、約40mm~約90mm、または約50mm~約80mm、または約60mm~約70mmの範囲内、または65mmであってもよい。
【0080】
空気チャネルは、吸入器本体のカプセル空洞内に渦巻状気流パターンを誘発するように構成されうる。空気チャネルは、端キャップ遠位端から吸入器本体のカプセル空洞の中へと入口空気を引き出しうる。空気チャネルは、空気が空気チャネルを通って、そしてカプセル空洞を通って流れるのにつれて、回転気流または渦巻状気流を誘発しうる。吸入器装置を通した気流は、吸入器装置の遠位端面または端キャップ遠位端において吸入器装置に入り、吸入器装置の長軸方向軸に沿ってマウスピース端へと移動することが好ましい。気流チャネルの入口は、端キャップ遠位端面内に画定されうる。端キャップ遠位端面は、吸入器装置の長軸方向軸に直交しうる。気流は、吸入器本体の細長い本体を通過しなくてもよい。吸入器本体の細長い本体を通して空気吸込み口がない場合がある。
【0081】
空気チャネルは、端キャップの外表面に沿って画定され、端キャップの長さに沿って延在するチャネル要素としうる。端キャップは、空気チャネルの三つの側面を画定しうる。端キャップは、下部面および空気チャネルの深さを画定する対向する深さ面を画定しうる。端キャップは、吸入器本体の遠位端に挿入され、吸入器本体の遠位端の一部分を形成しうる。吸入器本体の遠位端は、端キャップの長さの少なくとも約75%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%または100%を囲んでもよい。吸入器本体の遠位端は、吸入器本体の遠位端内の定位置に端キャップを収容して保持しうる。
【0082】
端キャップは、吸入器本体の遠位端に挿入されてもよく、例えば摩擦嵌めまたは接着剤によって吸入器本体に固定されてもよい。吸入器本体の遠位端部分は、端キャップチャネルと協働して、空気チャネルを囲む、または空気チャネルの残りの上部面を形成しうる。上部面は、端キャップによって画定される下部面に対向しうる。上部面および下部面は、相互に平行であってもよい。対向する深さ面は、相互に平行であってもよい。対向する上部面および下部面は、対向する深さ面に直交しうる。
【0083】
空気チャネルは、長軸方向軸と同軸である円弧に沿ってある距離に延在してもよい。空気チャネルは、吸入器装置の長軸方向軸に対して湾曲していてもよい。空気チャネルは、端キャップの長さに沿って位置の関数として端キャップの周囲の周りを回転しうる。空気チャネルは、周囲の約25%~約50%で回転しうる。空気チャネルは、約45度~約180度、または約45度~約135度の範囲内の中心角(これは吸入器本体の長軸方向軸に一致しうる)を有する、端キャップの円弧の長さ(端キャップを遠位端面からみたときの距離)の周囲の周りを回転しうる。
【0084】
空気チャネルは、長軸方向軸に対してある角度でカプセル空洞に入ってもよい。空気チャネルは、約5度~約89度、または約45度~約89度、または約60度~約89度、または約70度~約88度の範囲内の角度でカプセル空洞に入ってもよい。空気チャネルは、上記で説明されたような、長軸方向軸と平行な第一の部分と、長軸方向軸に対してある角度でカプセル空洞内に抜け出る第二の部分とを有しうる。
【0085】
空気チャネルは、端キャップ内に形成される少なくとも二つ、または二つ以上の空気チャネルを含みうる。空気チャネルは、端キャップ内に形成される少なくとも三つ、または三つ以上の空気チャネルを含みうる。空気チャネルは、端キャップの周りに対称的に位置しうる。空気チャネルは、端キャップの長さに沿って端キャップの周りに相互に対向しうる。一つ以上の空気チャネルはらせん状であることが好ましい。らせん状の空気チャネルは、端キャップの長さに沿って対称的に配置されてもよく、端キャップの長さに沿って相互に対向していることが好ましい。空気チャネルはそれぞれ、長軸方向軸とそれぞれ同軸である円弧に沿ってある距離に延在してもよい。吸入器本体は、空気チャネルそれぞれの上部面を形成しうる。
【0086】
端キャップおよびその上に画定される空気チャネルは、吸入器装置のカプセル空洞を通して所望の気流パターンを付与するように正確に設計され、製造されうる。この吸入器本体および端キャップは、吸入器装置の単純かつ信頼できる製造および性能を提供しうる別個の部品組立品を形成しうる。
【0087】
端キャップの端キャップの長さは、約3mm~約12mm、または約4mm~約10mm、または約5mm~約9mmの範囲内、または約7mmでありうる。端キャップの外径は、吸入器本体の内径と締り嵌めまたは摩擦嵌めを形成するために十分であってもよい。端キャップの外径は約5mm~約10mm、または約6mm~約9mm、または約6.5mm~約8.5mmの範囲内、または約7.5mmであってもよい。
【0088】
端キャップは、端キャップの残りの本体よりも大きな直径を有するカラー要素を含みうる。カラー要素は、細長い吸入器本体の遠位端部分内での端キャップの適切な配置を確保するための物理的な停止部として機能しうる。カラーは細長い吸入器本体に隣接してもよい。カラーは、端キャップの残りの本体の直径よりも約0.5mm~約1mm大きい直径を有してもよい。カラー要素は、細長い吸入器本体の外径と実質的に類似した、またはこれと同一の直径を有していてもよい。
【0089】
端キャップは、端キャップの長さを通って延在する線形貫通チャネルを含みうる。線形貫通チャネルは、端キャップの中央軸に沿って延在してもよい。線形貫通チャネルは、吸入器本体の長軸方向軸と同軸であってもよい。線形貫通チャネルは、貫通要素が線形貫通チャネルを通過できるようにサイズ設定されてもよい。線形貫通チャネルの直径は、約0.5mm~約2mmの範囲内でありうる。
【0090】
端キャップは、線形貫通チャネル上または線形貫通チャネル内に配置される再び封じることができる要素を含みうる。線形貫通チャネルは、端キャップ遠位端の一部分を形成する第一の端と、端キャップ内側端の一部分を形成する対向する第二の端とを含む。再び封じることができる要素は、端キャップ内側端上または端キャップ内側端内に配置されうる。別の方法としてまたは追加的に、再び封じることができる要素は、端キャップ遠位端上または端キャップ遠位端内に配置されてもよい。
【0091】
再び封じることができる要素は、線形貫通チャネルをシールしうる。再び封じることができる要素は、線形貫通チャネルに沿った密封または気密のシールまたはバリアを形成しうる。線形貫通チャネルは、貫通可能な材料で形成されうる。貫通要素は、再び封じることができる要素を通過してカプセル空洞内のカプセルを穿孔しうる。再び封じることができる要素は、貫通要素が再び封じることができる要素から引き込まれるかまたは取り外されると、再封止しうる。再び封じることができる要素または膜はセプタムまたはセプタム様の要素を含んでもよい。再び封じることができる要素または膜は、ゴム、シリコーン、ポリマーで共積層化された金属箔、またはラテックス、およびこれに類するものなどの弾性材料で形成されてもよい。
【0092】
カプセル空洞は、カプセル(長円形状を有してもよい)を収容するように構成された円柱状のスペースを画定してもよい。カプセル空洞は、カプセル空洞の長さに沿って実質的に均一な、または均一な直径を有してもよい。カプセル空洞は、カプセル空洞の長さに沿って実質的に円柱状の、または円柱状の断面を有してもよい。カプセルに対するカプセル空洞の構成は、カプセルがカプセル空洞の中で安定性を有して回転するのを可能にしてもよい。カプセルの長軸方向軸は、吸入中に吸入器本体の長軸方向軸を中心に安定性を有して回転してもよい。カプセル空洞の長さは、気密バリアを形成してもよい。
【0093】
安定な回転は、吸入器本体の長軸方向軸がカプセルの回転軸と実質的に平行であることを意味する。安定な回転は、回転するカプセルの前進の欠如を意味する場合がある。吸入器本体の長軸方向軸は実質的に、カプセルの回転の軸と同一の広がりを持つことが好ましい。カプセルの安定な回転は、単一のカプセルについて、消費者による2回以上、または5回以上、または10回以上、または25回以上、または40回以上の「吸煙」にわたって、カプセルからのニコチン粒子の一部分の均一な混入を提供してもよい。
【0094】
カプセル空洞は、固定の空洞の長さを有してもよい。カプセル空洞の空洞の長さは、内部に収容されるカプセルの長さの少なくとも約110%~約300%未満、またはカプセル長さの約110%~約200%、またはカプセルの長さの約120%~約130%の範囲内、またはカプセル長さの約125%でありうる。カプセルの長さは、空洞の長さの約25%~約99%、または空洞の長さの約50%~約95%、空洞の長さの約70%~約90%、または空洞の長さの約75%~約85%の範囲内、または空洞の長さの約80%の範囲でありうる。空洞の長さは約18mm~約22mmの範囲内であってもよく、かつカプセルの長さは約14mm~約18mmの範囲内であってもよく、または空洞の長さは約19mm~約21mmの範囲内であってもよく、かつカプセルの長さは約15mm~約17mmの範囲内であってもよく、または空洞の長さは約20mmであってもよく、かつカプセルの長さは約16mmであってもよい。
【0095】
カプセル空洞は長軸方向軸と直交する空洞内径を有し、またカプセルはカプセル外径を有する。カプセル外径は空洞内径の約80%~約99%の範囲内であってもよく、またはカプセル外径は空洞内径の約85%~約95%の範囲内であってもよく、またはカプセル外径は空洞内径の約90%であってもよい。カプセル外径は約5.4mm~約6.4mmの範囲内であってもよく、かつ空洞内径は約6mm~約7mmの範囲内であってもよく、またはカプセル外径は約5.7mm~約6.1mmの範囲内であってもよく、かつ空洞内径は約6.4mm~約6.8mmの範囲内であってもよく、またはカプセル外径は約5.85mmであってもよく、かつ空洞内径は約6.6mmであってもよい。
【0096】
カプセル空洞は、端キャップによって上流側上で区切られてもよく、かつ多孔性支持要素によって下流側上で区切られてもよい。端キャップおよび多孔性支持要素は、カプセルをカプセル空洞内で長軸方向に収容するように協働する。多孔性支持要素は細長い吸入器本体の内径を満たしてもよい。多孔性支持要素は、細長い吸入器本体の断面に沿って、多孔性支持要素を通して均一な気流を呈するように空気が流れることを可能にしうる。多孔性支持要素は、乱流効果または周縁効果を低減し、かつカプセル空洞を通して所望の気流パターンを確保または維持するように、ディフューザーとして機能してもよい。
【0097】
多孔性支持要素の長軸方向軸に沿って延在する長さは約20mm~約40mm、または約22mm~約35mm、または約25mm~約30mm、または約27mmの距離であってもよい。多孔性支持要素の外径は、吸入器本体の内径と摩擦ばめを形成するために十分な外径であってもよい。多孔性支持要素の外径は約5mm~約10mm、または約6mm~約9mm、または約6.5mm~約8.5mmの範囲内、または約7.5mmであってもよい。
【0098】
多孔性支持要素はフィルター要素を画定してもよい。フィルター要素は繊維の網状組織で形成されてもよい。繊維の網状組織は不織繊維要素であってもよい。多孔性支持要素は濾過材料のプラグであってもよい。多孔性支持要素を形成する繊維は、ポリ乳酸に由来するものであってもよい。多孔性支持要素を形成する繊維は、酢酸セルロースであってもよい。フィルター要素は酢酸セルロースのプラグまたはポリ乳酸のプラグであってもよい。多孔性要素はプラスチックメッシュを備えてもよい。プラスチックメッシュは約1mm2~約4mm2、または約2mm2の穴を有してもよい。
【0099】
カプセルは消費の前に、吸入器物品内にシールされていてもよい。吸入器物品は、シールされたまたは気密の容器または袋の中に収容されていてもよい。吸入器物品は、吸入器物品の一つ以上の空気吸込み口チャネル、または空気出口、もしくはマウスピースを覆うための、一つ以上の剥離可能なシール層を含みうる。
【0100】
金属または剛直な針などの別個の貫通要素は、カプセル空洞内に受けられるカプセルを通る単一の開口部(単一の開口部のみ)を形成しうる。貫通要素は、端キャップ上の貫通チャネルをシールする、再び封じることができる要素を通過してもよい。
【0101】
吸入器および吸入器システムは、従来の乾燥粉末吸入器と比較して、より複雑ではなく、また単純化された気流経路を有する。有利なことに、吸入器本体の中のカプセルの回転は、ニコチン粒子または粉末システムをエアロゾル化し、また自由流動粉末の維持を支援する場合がある。それ故に、吸入器物品は、上述のニコチン粒子を肺に深く送達するために、従来の吸入器によって典型的に利用される高い吸入量を必要としない場合がある。
【0102】
吸入器本体内での単一の開口部カプセルの回転は、ニコチン粒子または粉末システムをエアロゾル化することができ、自由流動の粉末の維持に役立ちうる。それ故に、吸入器物品は、上述のニコチン粒子を肺に深く送達するために、従来の吸入器によって典型的に利用される高い吸入量を必要としない場合がある。
【0103】
本明細書で使用されるすべての科学的および技術的な用語は、別途指定のない限り、当業界で一般に使用される意味を有する。本明細書で提供されている定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供されている。
【0104】
「上流」および「下流」という用語は、吸入器本体を通して遠位端部分からマウスピース部分に引き出される際の吸入気流の方向に関して説明された吸入器の要素の相対的な位置を意味する。
【0105】
本明細書で使用される単数形(「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」)は、複数形の対象を有する実施形態を包含するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0106】
本明細書で使用される「または」は概して、「および/または」を含む意味で使用されるが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の一つもしくはすべて、または列挙された要素のうちの任意の二つ以上の組み合わせを意味する。
【0107】
本明細書で使用される「有する(have)」、「有している、持っている(having)」、「含む(include)」、「含まれる(including)」、「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」、またはこれに類するものは制約のない意味で使用され、一般的に「含むが、これらに限定されない」を意味する。当然のことながら、「から本質的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、およびこれに類するものは、「含む(comprising)」およびこれに類するものに包摂される。
【0108】
「好ましい」および「好ましくは」という語は、ある特定の状況下で、ある特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一のまたはその他の状況下で、その他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。その上、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲からその他の実施形態を除外することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0109】
図1図1は、例示的な吸入器物品の斜視図である。
図2図2は、図1の例示的な吸入器物品の長軸方向軸に沿った概略断面図である。
図3図3Aおよび図3Bは、例示的な端キャップの斜視図である。
図4図4Aおよび図4Bは、別の例示的な端キャップの斜視図である。
図5図5は、別の例示的な端キャップの断面概略図である。
図6図6は、別の例示的な端キャップの断面概略図である。
図7図7は、単一の開口部を有するカプセルの概略端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0110】
概略図は必ずしも実寸に比例しておらず、図示の目的で提示されるものであり、限定するものではない。図面は本開示で説明される一つ以上の態様を描写する。ただし、図面に描かれていないその他の態様が本開示の範囲および精神に則るものと理解される。
【0111】
図1および図2は、例示的な吸入器物品100を図示する。図2は、図1の例示的な吸入器物品の長軸方向軸に沿った概略断面図である。吸入器物品100は、マウスピース端112から遠位端114へと長軸方向軸LAに沿って延在する本体110と、本体110内に画定されたカプセル空洞116とを含む。マウスピース空気チャネル111はカプセル空洞116からマウスピース端112へと延在する。端キャップ120は遠位端112の中に配置され、かつカプセル空洞116へと延在する。端キャップ120は端キャップ遠位端124から端キャップ内側端122へと端キャップの長さに延在する。端キャップ120は、端キャップ遠位端124から端キャップ内側端122へと延在する空気チャネル113を含む。空気チャネル113は長軸方向軸LAと非平行である。
【0112】
端キャップ内側端122と多孔性支持要素140はカプセル空洞116を区切る。カプセル130は空洞116の中に配置される。カプセル130は、粉末システムを含有する。端キャップ120と多孔性支持要素140は、カプセル130をカプセル空洞116の中に長軸方向に収容するように協働する。マウスピース端112は、本体110がマウスピース端112で開放空間を区切る、陥凹した端を有する状態で図示される。別の方法として、多孔性支持要素140はマウスピース端112全体を充填するようにマウスピース端112へと延びてもよい。
【0113】
カプセル空洞116は、長軸方向軸LAに沿って延びる空洞の長さL1を有する。カプセル130は、カプセルの長さL2を有する。カプセル空洞は、空洞内径D1を有する。カプセル130は、カプセル外径D2を有する。カプセル130の回転軸は、長軸方向軸LAと同延でありうる。
【0114】
図3A図4Bは、端キャップ120の長さに沿って位置の関数として周囲の周りを回転する、対向する湾曲した、またはらせん状の空気チャネル113を図示する。端キャップ120は、端キャップ120の残りの本体123よりも大きな直径を有するカラー要素125を含みうる。
【0115】
図3A図4A図5および図6は、端キャップ120の長さを通って延在する線形貫通チャネル121を図示する。線形貫通チャネル121は、端キャップ120の中心軸に沿って延在しうる。
【0116】
図4B図5および図.6は、線形貫通チャネル121上またはその中に配置される再び封じることができる要素129を図示する。図4Bおよび図5は、端キャップ内側端122上に配置され、線形貫通チャネル121をシールする、再び封じることができる要素129を図示する。図6は、端キャップ遠位端124上に配置され、線形貫通チャネル121をシールする、再び封じることができる要素129を図示する。
【0117】
図7は単一の開口部220のみを有するカプセル130の概略端面図である。単一の開口部220はカプセル本体210の端部212で、カプセル本体210を通して延びてもよい。単一の開口部220はカプセル130の長軸方向軸にて入射してもよく、また吸入器本体110の長軸方向軸LAで入射してもよい。
【0118】
消費者は別個の貫通要素300(図2)を利用してカプセル130を貫通し、長軸方向軸LAに沿って端キャップ120の中で図1に示す貫通チャネルを通した単一の開口部220を形成しうる。貫通要素は単一の開口部220から引き出されうる。消費者はその後、吸入器装置100内のニコチンカプセル130を利用しうる。
【実施例0119】
以下の非限定的な実施例は、本開示の様々な態様によるニコチン粉末製剤の例を提供し、製剤に関連付けられた、サイズおよびニコチン送達を含む特性を例示する。
【0120】
ニコチン送達の実施例
第一の複数の粒子(ニコチン粉末)とより大きな粒子サイズを有する第二の複数の粒子を混合することの、ニコチン送達への影響を試験する。試験標本(実施例7)は、第一の複数の粒子(40mg)と第二の複数の粒子(10mg)の両方を含む。対照標本(実施例7C)は、第一の複数の粒子(40mg)のみを含む。ニコチン送達を、回数を変えた吸煙について試験する。結果を下記の表9に示している。
【0121】
標本の準備:
第一の複数の粒子は、乳酸ニコチン、トレハロース、およびロイシンで調製され、5重量%のニコチン(乳酸ニコチン中のニコチンの総重量に基づく)を含む。粉末は噴霧乾燥によって調製され、2.25±0.2マイクロメートルの粒子サイズX50を有する。
【0122】
第二の複数の粒子は、100マイクロメートルの粒子サイズX50を有し、20マイクロメートル以下の粒子サイズの粒子を5%以下含む。粉末は4.3重量%のメントールを含む。
【0123】
実施例7の粉末システムまたは混合物は、第一の複数の粒子(40mg)と第二の複数の粒子(10mg)を4:1の重量比で混合することで調製され、粉末混合物の総重量は50mgである。
【0124】
40mgの第一の複数の粒子(対照実施例7C)と50mgの粉末システム(実施例7の試験試料)をサイズ#3のHPMCカプセル内に包装することにより、試験用の試料を調製する。各試料の4つの複製を調製し、試験する。カプセルを吸入器に挿入し、1mmの直径の針で一度貫通させて単一の開口部を形成する。
【0125】
試験:
試料は、吸入間に30秒の間隔をおいて80mL/2秒の吸引速度で「喫煙」され、吸入器から送達される粉末を、最初の20回の吸煙から4回の吸煙グループに、その後10回の吸煙グループに収集する。収集した吸煙中のニコチンの量を、ガスクロマトグラフィによって試験する。最初の12回の吸煙、最初の20回の吸煙、および最初の50回の吸煙において送達されるニコチンの結果を以下の表9に示す。ニコチンの量を4つの複製について平均化し、粉末中に存在するニコチンの量に対して正規化する。
【0126】
【表1】
【0127】
本発明による粉末システムを備える本発明による容器の内容物は、一連の吸入にわたってより完全に送達される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末システムを含む吸入器で使用するための容器であって、
粒子サイズが10マイクロメートル以下の第一の複数の粒子と、
粒子サイズが20マイクロメートル以上の第二の複数の粒子と、を含み、
前記粉末システムが、1:1~10:1、または2:1~6:1、または3:1~5:1、好ましくは4:1の前記第一の複数の粒子対前記第二の複数の粒子の重量比を含み、
前記容器を貫通する単一の開口部であって、前記単一の開口部が、0.5mm~1.5mmの直径を有し、または、前記単一の開口部の開放表面積が、前記容器の総表面積の0.1%~0.5%、または0.2%~0.5%、または0.3%~0.4%である、単一の開口部、を含む、容器。
【請求項2】
前記容器がカプセルである、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第一の複数の粒子がニコチンまたはニコチン塩を含む、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の容器。
【請求項4】
前記第一の複数の粒子が、ロイシンなどのアミノ酸を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記第一の複数の粒子の少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも90%が、5マイクロメートル以下、または3マイクロメートル以下の粒子サイズを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項6】
前記第二の複数の粒子の少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも90%が、50マイクロメートル以上、または75~200マイクロメートルの粒子サイズを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の容器。
【請求項7】
前記単一の開口部が0.5mm2~1mm2の開放表面積を有し、前記容器が0.2mL~0.5mL、または0.3mLの体積を有するカプセルである、請求項1~6のいずれか一項に記載の容器。
【請求項8】
前記第一の複数の粒子が、乳酸ニコチン、ロイシン、およびトレハロースなどの糖を含み、1重量%~10重量%、または3重量%~7重量%、または5重量%のニコチン含有量を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の容器。
【請求項9】
前記容器が、サイズ2~サイズ4、またはサイズ3のカプセルであり、20mg~80mgの粉末システム、または40mg~60mgの粉末システム、または50mgの粉末システムを含有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の容器。
【請求項10】
前記第二の複数の粒子が風味を含み、前記風味がメントールを含みうる、請求項1~9のいずれか一項に記載の容器。
【請求項11】
吸入器物品であって、
容器を受けるための空洞、および、
前記容器の単一の側または端に開口部を形成するための貫通要素を含む、吸入器物品を備え、
前記容器が粉末システムを含み、前記粉末システムは、
粒子サイズが10マイクロメートル以下の第一の複数の粒子と、
粒子サイズが20マイクロメートル以上の第二の複数の粒子と、を含み、
前記粉末システムが、1:1~10:1、または2:1~6:1、または3:1~5:1、好ましくは4:1の前記第一の複数の粒子対前記第二の複数の粒子の重量比を含み、
前記容器を貫通する単一の開口部であって、前記単一の開口部が、0.5mm~1.5mmの直径を有し、または、前記単一の開口部の開放表面積が、前記容器の総表面積の0.1%~0.5%、または0.2%~0.5%、または0.3%~0.4%である、単一の開口部、を含む、システム。
【請求項12】
前記空洞が、前記容器を前記空洞内で回転させる吸入気流を提供する端キャップによって上流端上で区切られ、前記空洞が、前記容器を含み、前記吸入空気内の混入粒子を前記吸入器のマウスピースに移送する多孔性要素によって下流端上で区切られる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記貫通要素が前記端キャップおよび前記容器の一つの壁のみを貫通して前記開口部を形成する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記容器がカプセルである、請求項11~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記吸入器が、少なくとも20回の吸入吸煙、または少なくとも30回の吸入吸煙、または少なくとも40回の吸入吸煙それぞれにわたり、実質的に均一な前記粉末システム用量を送達する、請求項11~14のいずれか一項に記載のシステム。