(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078272
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】幹細胞由来エクソソーム生成促進及び幹細胞能増強用組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0775 20100101AFI20230530BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230530BHJP
A61K 35/545 20150101ALI20230530BHJP
C12N 5/074 20100101ALI20230530BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230530BHJP
A61K 38/21 20060101ALN20230530BHJP
C07K 14/57 20060101ALN20230530BHJP
C12N 5/073 20100101ALN20230530BHJP
【FI】
C12N5/0775
A61P43/00 107
A61K35/545
C12N5/074
C12N5/10
A61K38/21
C07K14/57
C12N5/073
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039188
(22)【出願日】2023-03-14
(62)【分割の表示】P 2022515458の分割
【原出願日】2020-05-20
(31)【優先権主張番号】10-2019-0068042
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0068915
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0068929
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0069585
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0069582
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0069586
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0069590
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0001518
(32)【優先日】2020-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521504245
【氏名又は名称】プレクソジェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】スゥ・キム
(72)【発明者】
【氏名】スルギ・リ
(72)【発明者】
【氏名】ジミン・キム
(57)【要約】 (修正有)
【課題】幹細胞由来エクソソーム生成促進又は幹細胞の幹細胞能増強用組成物を提供する。
【解決手段】インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を含むことを特徴とする幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物を提供する。前記幹細胞は、胚性幹細胞、成体幹細胞、又は人工多能性幹細胞(iPSC)であることが好ましい。
【選択図】
図47
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を含むことを特徴とする幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物。
【請求項2】
前記幹細胞は、胚性幹細胞、成体幹細胞、又は人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell;iPSC)である、請求項1に記載の幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物。
【請求項3】
前記成体幹細胞は、ヒト若しくは動物組織起源の成体幹細胞、ヒト若しくは動物組織由来の間葉系幹細胞(mesenchymal stromal cell)、又はヒト若しくは動物組織起源の人工多能性幹細胞から由来した間葉系幹細胞である、請求項2に記載の幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物。
【請求項4】
前記ヒト若しくは動物組織は、臍帯、臍帯血、骨髄、脂肪、筋肉、神経、皮膚、羊膜、及び胎盤からなる群から選ばれる、請求項3に記載の幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物。
【請求項5】
前記ヒト若しくは動物組織起源の成体幹細胞は、造血幹細胞、乳腺幹細胞、腸幹細胞、血管内皮幹細胞、神経幹細胞、嗅覚神経幹細胞、及び精巣幹細胞からなる群から選ばれる、請求項3に記載の幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物。
【請求項6】
インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を含むことを特徴とする幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用組成物。
【請求項7】
インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)で前処理されたことを特徴とする幹細胞由来エクソソーム。
【請求項8】
次の段階を含むことを特徴とする幹細胞由来エクソソームの生産方法:
インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する段階。
【請求項9】
次の段階をさらに含む、請求項8に記載の幹細胞由来エクソソームの生産方法:
培養された幹細胞を洗浄した後、細胞培養培地でさらに培養する段階;及び
エクソソームを分離する段階。
【請求項10】
前記細胞培養培地は、エクソソームが除去されたウシ胎児血清(Fetal bovine serum)を含む、請求項8に記載の幹細胞由来エクソソームの生産方法。
【請求項11】
次の段階を含むことを特徴とする幹細胞の幹細胞能(Stemness)を増強させる方法:
インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する段階。
【請求項12】
前記幹細胞は、胚性幹細胞、成体幹細胞、又は人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell;iPSC)である、請求項8に記載の幹細胞由来エクソソームの生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幹細胞由来エクソソーム生成促進及び幹細胞能増強用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞外小胞体(Extracellular Vesicles)は、微小小胞体(Microvesicles)、エクソソーム(Exosome)などを含む30~1000nmサイズの球形脂質二重層(lipid-bilayer)で構成された小胞体(vesicle)である。
【0003】
エクソソームの脂質二重層は、起源細胞(供与細胞)のようなリン脂質二重膜構造となっており、細胞が細胞外に分泌する物質の構成体であって、細胞-細胞間のコミュニケーション及び細胞性免疫調節などの機能的な役割を担うものと知られている。
【0004】
エクソソームは、起源細胞(供与細胞)特有の生物学的機能を反映する細胞特異的構成成分を含有し、リン脂質、mRNA、miRNAの他にも様々な水溶性タンパク質、外在性タンパク質、及び膜貫通タンパク質成分などを含む。
【0005】
このようなエクソソームは、肥満細胞、リンパ球、星状細胞、血小板、神経細胞、内皮細胞、上皮細胞などのあらゆる動物細胞から排出され、血液、尿、粘液、唾液、胆汁、腹水、脳脊髓液などの様々な体液から発見される。エクソソームは、血液脳関門(Blood-Brain Barrier;BBB)も通過でき、表皮細胞及び内皮細胞の細胞膜透過が可能な程度に選択的透過性が高いことから、特定薬物のナノキャリア(nanocarrier)であるDDS(drug delivery system)の開発にも活用されている。
【0006】
間葉系幹細胞から分泌するエクソソーム及び微小小胞体(microvesicle)は、細胞-細胞間コミュニケーション(cell-to-cell communication)に関与し、幹細胞が有する再生医学的な治療効能を示すものと知られている。
【0007】
エクソソームは、長期間生存せずに生体内に移植された幹細胞から分泌されるパラクリン因子(paracrine factors)にトロフィック効果(trophic effect)をもたらすことが知られている。分泌されるそのような因子は、エクソソームのような細胞外小胞体によって分泌される、成長因子(growth factor)、ケモカイン(chemokine)、サイトカイン(cytokine)などの低分子であり、そのようなエクソソームは幹細胞に由来する。このため、エクソソームは、幹細胞の特性を究明し、その治療効能を評価するのに活用されている。
【0008】
最近では、間葉系幹細胞自体を使用せず、間葉系幹細胞が分泌するエクソソームを用いて様々な疾患の治療効果に対する研究が活発に行われており、学界及び産業界では、それが既存の幹細胞治療法の限界を克服できる新しい代案になり得ると期待されている。
【0009】
このようなエクソソームを商業的に用いるためには、多量の、そして良質のエクソソームが必要である。しかし、現在、幹細胞から得られるエクソソームの量は極めて少量であり、幹細胞由来エクソソームの生産量を増加させ得る物質の開発も不十分である。
【0010】
一方、間葉系幹細胞は、培養期間が長くなると同時に、数回の継代培養を経ることで、増殖能力と様々な系統への分化能力とが減少することが知られている。また、初期継代(passage)の間葉系幹細胞に比べて、後期継代の間葉系幹細胞においてコロニー形成能力が顕著に減少することが知られている。間葉系幹細胞の老化は、骨髄供与者の年齢ではなく、長い培養期間によって弱化した増殖能力と関連があり、テロメラーゼ活性(telomeraseactivity)の減少とも関連があると考えられる。
【0011】
このように、現在、ヒトから得られる間葉系幹細胞の量は制限されており、得られた細胞を特定系統へと分化誘導するうえで、継代培養に伴う分化能力の減少のような不都合は避けられない。このような不都合は、正確なターゲット細胞への分化誘導及びそのための適切な幹細胞の大量確保が要求される臨床適用においては非現実的である。このため、長い期間にわたって増殖率を維持し、様々な系統への分化能力を維持できる方法の必要性が台頭している。
【0012】
そこで、幹細胞由来エクソソームの生産を促進する他、幹細胞の増殖率及び分化能を長期間維持できる新規の方法及び物質の開発に対する必要性が提起された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明者らは、幹細胞由来エクソソームの生産を促進するだけでなく、幹細胞の増殖率及び分化能を長期間維持できる方法及び物質を開発しようと努力した。その結果、エキセンジン-4(Exendin-4)、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(Phorbol 12-myristate 13-acetate;PMA)、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)、テトランドリン(Tetrandrine)、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)、P物質(Substance P)、レスベラトロール(Resveratrol)、及びラニフィブラノール(Lanifibranor)からなる群から選ばれる一つ以上を幹細胞に前処理する場合、幹細胞の幹細胞能(Stemness)及び増殖能(Proliferation)が増強するだけでなく、幹細胞由来エクソソームの数、エクソソーム内のタンパク質及びRNAの含有量が大きく増加することを究明し、本発明を完成するに至った。
【0014】
したがって、本発明の目的は、エキセンジン-4(Exendin-4)を含む幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、エキセンジン-4(Exendin-4)を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用組成物を提供することである。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、前記幹細胞由来エクソソーム生成促進又は幹細胞の幹細胞能増強用組成物を含む幹細胞治療剤を提供することである。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、エキセンジン-4(Exendin-4)で前処理された幹細胞由来エクソソームを提供することである。
【0018】
本発明のさらに他の目的は、前記幹細胞由来エクソソームを含む幹細胞治療剤を提供することである。
【0019】
本発明のさらに他の目的は、エキセンジン-4(Exendin-4)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する前処理段階を含む幹細胞由来エクソソームの生産方法を提供することである。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、エキセンジン-4(Exendin-4)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する前処理段階を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)を増強させる方法を提供することである。
【0021】
本発明のさらに他の目的は、エキセンジン-4(Exendin-4)を含む組成物の幹細胞由来エクソソーム生成促進用途を提供することである。
【0022】
本発明のさらに他の目的は、エキセンジン-4(Exendin-4)を含む組成物の幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用途を提供することである。
【0023】
本発明のさらに他の目的は、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)を含む幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物を提供することである。
【0024】
本発明のさらに他の目的は、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用組成物を提供することである。
【0025】
本発明のさらに他の目的は、前記幹細胞由来エクソソーム生成促進又は幹細胞の幹細胞能増強用組成物を含む幹細胞治療剤を提供することである。
【0026】
本発明のさらに他の目的は、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)で前処理された幹細胞由来エクソソームを提供することである。
【0027】
本発明のさらに他の目的は、前記幹細胞由来エクソソームを含む幹細胞治療剤を提供することである。
【0028】
本発明のさらに他の目的は、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する前処理段階を含む幹細胞由来エクソソームの生産方法を提供することである。
【0029】
本発明のさらに他の目的は、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する前処理段階を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)を増強させる方法を提供することである。
【0030】
本発明のさらに他の目的は、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)を含む組成物の幹細胞由来エクソソーム生成促進用途を提供することである。
【0031】
本発明のさらに他の目的は、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)を含む組成物の幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用途を提供することである。
【0032】
本発明のさらに他の目的は、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を含む幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物を提供することである。
【0033】
本発明のさらに他の目的は、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用組成物を提供することである。
【0034】
本発明のさらに他の目的は、前記幹細胞由来エクソソーム生成促進又は幹細胞の幹細胞能増強用組成物を含む幹細胞治療剤を提供することである。
【0035】
本発明のさらに他の目的は、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)で前処理された幹細胞由来エクソソームを提供することである。
【0036】
本発明のさらに他の目的は、前記幹細胞由来エクソソームを含む幹細胞治療剤を提供することである。
【0037】
本発明のさらに他の目的は、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する前処理段階を含む幹細胞由来エクソソームの生産方法を提供することである。
【0038】
本発明のさらに他の目的は、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する前処理段階を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)を増強させる方法を提供することである。
【0039】
本発明のさらに他の目的は、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を含む組成物の幹細胞由来エクソソーム生成促進用途を提供することである。
【0040】
本発明のさらに他の目的は、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を含む組成物の幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用途を提供することである。
【0041】
本発明のさらに他の目的は、テトランドリン(Tetrandrine)を含む幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物を提供することである。
【0042】
本発明のさらに他の目的は、テトランドリン(Tetrandrine)を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用組成物を提供することである。
【0043】
本発明のさらに他の目的は、前記幹細胞由来エクソソーム生成促進又は幹細胞の幹細胞能増強用組成物を含む幹細胞治療剤を提供することである。
【0044】
本発明のさらに他の目的は、テトランドリン(Tetrandrine)で前処理された幹細胞由来エクソソームを提供することである。
【0045】
本発明のさらに他の目的は、前記幹細胞由来エクソソームを含む幹細胞治療剤を提供することである。
【0046】
本発明のさらに他の目的は、テトランドリン(Tetrandrine)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する前処理段階を含む幹細胞由来エクソソームの生産方法を提供することである。
【0047】
本発明のさらに他の目的は、テトランドリン(Tetrandrine)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する前処理段階を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)を増強させる方法を提供することである。
【0048】
本発明のさらに他の目的は、テトランドリン(Tetrandrine)を含む組成物の幹細胞由来エクソソーム生成促進用途を提供することである。
【0049】
本発明のさらに他の目的は、テトランドリン(Tetrandrine)を含む組成物の幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用途を提供することである。
【0050】
本発明のさらに他の目的は、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)を含む幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物を提供することである。
【0051】
本発明のさらに他の目的は、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用組成物を提供することである。
【0052】
本発明のさらに他の目的は、前記幹細胞由来エクソソーム生成促進又は幹細胞の幹細胞能増強用組成物を含む幹細胞治療剤を提供することである。
【0053】
本発明のさらに他の目的は、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)で前処理された幹細胞由来エクソソームを提供することである。
【0054】
本発明のさらに他の目的は、前記幹細胞由来エクソソームを含む幹細胞治療剤を提供することである。
【0055】
本発明のさらに他の目的は、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する前処理段階を含む幹細胞由来エクソソームの生産方法を提供することである。
【0056】
本発明のさらに他の目的は、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する前処理段階を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)を増強させる方法を提供することである。
【0057】
本発明のさらに他の目的は、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)を含む組成物の幹細胞由来エクソソーム生成促進用途を提供することである。
【0058】
本発明のさらに他の目的は、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)を含む組成物の幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用途を提供することである。
【0059】
本発明のさらに他の目的は、P物質(Substance P)を含む幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物を提供することである。
【0060】
本発明のさらに他の目的は、P物質(Substance P)を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用組成物を提供することである。
【0061】
本発明のさらに他の目的は、前記幹細胞由来エクソソーム生成促進又は幹細胞の幹細胞能増強用組成物を含む幹細胞治療剤を提供することである。
【0062】
本発明のさらに他の目的は、P物質(Substance P)で前処理された幹細胞由来エクソソームを提供することである。
【0063】
本発明のさらに他の目的は、前記幹細胞由来エクソソームを含む幹細胞治療剤を提供することである。
【0064】
本発明のさらに他の目的は、P物質(Substance P)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する前処理段階を含む幹細胞由来エクソソームの生産方法を提供することである。
【0065】
本発明のさらに他の目的は、P物質(Substance P)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する前処理段階を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)を増強させる方法を提供することである。
【0066】
本発明のさらに他の目的は、P物質(Substance P)を含む組成物の幹細胞由来エクソソーム生成促進用途を提供することである。
【0067】
本発明のさらに他の目的は、P物質(Substance P)を含む組成物の幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用途を提供することである。
【0068】
本発明のさらに他の目的は、レスベラトロール(Resveratrol)を含む幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物を提供することである。
【0069】
本発明のさらに他の目的は、レスベラトロール(Resveratrol)を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用組成物を提供することである。
【0070】
本発明のさらに他の目的は、前記幹細胞由来エクソソーム生成促進又は幹細胞の幹細胞能増強用組成物を含む幹細胞治療剤を提供することである。
【0071】
本発明のさらに他の目的は、レスベラトロール(Resveratrol)で前処理された幹細胞由来エクソソームを提供することである。
【0072】
本発明のさらに他の目的は、前記幹細胞由来エクソソームを含む幹細胞治療剤を提供することである。
【0073】
本発明のさらに他の目的は、レスベラトロール(Resveratrol)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する前処理段階を含む幹細胞由来エクソソームの生産方法を提供することである。
【0074】
本発明のさらに他の目的は、レスベラトロール(Resveratrol)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する前処理段階を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)を増強させる方法を提供することである。
【0075】
本発明のさらに他の目的は、レスベラトロール(Resveratrol)を含む組成物の幹細胞由来エクソソーム生成促進用途を提供することである。
【0076】
本発明のさらに他の目的は、レスベラトロール(Resveratrol)を含む組成物の幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用途を提供することである。
【0077】
本発明のさらに他の目的は、ラニフィブラノール(Lanifibranor)を含む幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物を提供することである。
【0078】
本発明のさらに他の目的は、ラニフィブラノールを含む幹細胞由来エクソソーム生成促進用幹細胞治療剤を提供することである。
【0079】
本発明のさらに他の目的は、ラニフィブラノールを含む幹細胞の幹細胞能(stemness)増強用組成物を提供することである。
【0080】
本発明のさらに他の目的は、ラニフィブラノールを含む幹細胞の幹細胞能増強用幹細胞治療剤を提供することである。
【0081】
本発明のさらに他の目的は、ラニフィブラノールで前処理された幹細胞由来エクソソームを提供することである。
【0082】
本発明のさらに他の目的は、ラニフィブラノールで前処理された幹細胞由来エクソソームを有効成分として含む幹細胞治療剤を提供することである。
【0083】
本発明のさらに他の目的は、ラニフィブラノールを含む細胞培養培地で幹細胞を培養する前処理段階を含む幹細胞由来エクソソームの生産方法を提供することである。
【0084】
本発明のさらに他の目的は、ラニフィブラノールを含む細胞培養培地で幹細胞を培養する前処理段階を含む幹細胞の幹細胞能を増強させる方法を提供することである。
【0085】
本発明のさらに他の目的は、ラニフィブラノールを含む組成物の幹細胞由来エクソソーム生成促進用途を提供することである。
【0086】
本発明のさらに他の目的は、ラニフィブラノールを含む組成物の幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0087】
本発明者らは、幹細胞由来エクソソームの生産を促進するだけでなく、幹細胞の増殖率及び分化能を長期間維持できる方法及び物質を開発しようと努力した。その結果、エキセンジン-4(Exendin-4)、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(Phorbol 12-myristate 13-acetate;PMA)、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)、テトランドリン(Tetrandrine)、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)、P物質(Substance P)、レスベラトロール(Resveratrol)、及びラニフィブラノール(Lanifibranor)からなる群から選ばれる一つ以上を幹細胞に前処理する場合、幹細胞の幹細胞能(Stemness)及び増殖能(Proliferation)が増強する他にも、幹細胞由来エクソソームの数、エクソソーム内のタンパク質及びRNAの含有量が大きく増加することを究明した。
【0088】
本発明は、エキセンジン-4(Exendin-4)、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(Phorbol 12-myristate 13-acetate;PMA)、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)、テトランドリン(Tetrandrine)、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)、P物質(Substance P)、レスベラトロール(Resveratrol)、及びラニフィブラノール(Lanifibranor)からなる群から選ばれる一つ以上を含む幹細胞由来エクソソーム生成促進又は幹細胞の幹細胞能増強用組成物、前記組成物を含む幹細胞治療剤、エキセンジン-4(Exendin-4)、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(Phorbol 12-myristate 13-acetate;PMA)、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)、テトランドリン(Tetrandrine)、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)、P物質(Substance P)、レスベラトロール(Resveratrol)、及びラニフィブラノール(Lanifibranor)からなる群から選ばれる一つ以上で前処理された幹細胞由来エクソソーム、前記幹細胞由来エクソソームを含む幹細胞治療剤、幹細胞由来エクソソームの生産方法、及び幹細胞の幹細胞能を増強させる方法に関する。
【0089】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0090】
本発明の一態様は、エキセンジン-4(Exendin-4)を含む幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物に関する。
【0091】
本発明のエキセンジン-4(Exendin-4)は、グルカゴン様ペプチド(glucagon-like peptide;GLP)受容体のペプチドアゴニストである。エキセンジン-4は、インスリン分泌を促進するものと知られており、2型糖尿病及びパーキンソン病治療用途として臨床的に用いられてきた。
【0092】
本発明の一態様は、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(Phorbol 12-myristate 13-acetate;PMA)を含む幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物に関する。
【0093】
本発明のホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)は、12-0-テトラデカノイルホルボール-13-酢酸(12-O-Tetradecanoylphorbol-13-acetate;TPA)などとも知られており、シグナル変換酵素(signal transduction enzyme)であるタンパク質リン酸化酵素C(protein kinase C;PKC)を活性化させる役割を担う。また、PMAは、腫瘍プロモーターとして用いられ、B細胞などの分裂を刺激し、様々な細胞で活性化を誘導してサイトカインを生産する役割を担う。このことから、炎症反応誘導剤などの研究に用いられてきた。
【0094】
本発明の一態様は、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を含む幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物に関する。
【0095】
本発明のインターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)は、活性化されたT細胞やNK細胞、CD4及びCD8陽性リンパ球によって生成されるサイトカインであり、分裂促進因子又は成長因子としてTリンパ球をはじめとする様々な細胞の活性化と増殖分化、抗原提示細胞上のMHCの発現を高める作用に関与し、免疫及び炎症反応において重要な役割を担う。また、インターフェロン-ガンマは、感染及び自己免疫治療用途として臨床的に用いられてきた。
【0096】
本発明の一態様は、テトランドリン(Tetrandrine)を含む幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物に関する。
【0097】
本発明のテトランドリン(Tetrandrine)は、カルシウムチャネル遮断剤(calcium channel broker)であって、カルシウムチャネル活性を非選択的に抑制し、様々な細胞類型において細胞周期及び細胞死滅のG1段階のG1遮断を誘導し、免疫抑制、抗炎症、抗線維化、抗凝固作用などの効果があり、肝細胞グリコーゲン合成を増加させてブドウ糖の利用を増加させ、血漿のブドウ糖濃度を下げたりすることもある。また、テトランドリンは、糖尿病の併用治療剤、高血圧、不整脈、鎮痛と鎮痙剤、肝硬化及びリウマチ性関節炎治療剤などの用途として臨床的に用いられてきた。
【0098】
本発明の一態様は、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)を含む幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物に関する。
【0099】
本発明のヒアルロン酸(Hyaluronic acid)は、D-グルクロン酸(D-glucuronic acid)及びN-アセチル-D-グルコサミン(N-acetyl-D-グルコサミン)の二糖類単位体がβ(1→4)グリコシド間結合(inter glycosidic linkage)によって連結された天然線形多糖類である。ヒアルロン酸は、真皮を構成する成分の一つとして知られており、生体適合性及び生分解性に優れ、体内で免疫拒絶反応及び毒性がない、優れた生体材料として知られている。また、ヒアルロン酸は、高粘度且つ高弾性の天然グリコサミノグリカン巨大分子であって、種々の機能及び物理化学的な性質を有していることから、関節炎治療、眼科手術、フィラー、傷治療、薬物伝達体、癒着防止剤、組織工学、及び化粧品などの用途として臨床的に用いられてきた。
【0100】
本発明の一態様は、P物質(Substance P)を含む幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物に関する。
【0101】
本発明のP物質(Substance P)は、タキキニン神経ペプチドファミリー(tachykinin neuropeptide family)のウンデカペプチド(undecapeptide)で、NK1レセプター(receptor)に作用する神経ペプチドであって、神経伝達物質及び神経調節物質として作用する。また、P物質は、強力な血管拡張剤であって、細胞成長を促進するものと知られており、治療し難い潰瘍などの治癒を促進する他、慢性蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、慢性腎臓疾患、及び炎症や疼痛調節にも効果があると知られている。さらに、P物質(Substance P)は、皮膚細胞増殖及び再生にも役立ち、化粧品の原料としても使用され、高血圧及び肝硬変疾患などの治療用途として臨床的に用いられてきた。
【0102】
本発明の一態様は、レスベラトロール(Resveratrol)を含む幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物に関する。
【0103】
本発明のレスベラトロール(Resveratrol)は、植物がカビや害虫のような有害な環境に直面した際に生成するファイトアレキシン(phytoalexin)であって、ポリフェノール系物質である。脱アセチル酵素であるSirt1(Sirtuin-1)を活性化させてミトコンドリアの機能を増進させ、糖代謝の流れを増進させることができる。また、レスベラトロールは、抗癌、抗ウイルス、神経保護、抗老化、抗炎症、及び延命効果などを含む抗疾患効果がある。また、レスベラトロールは、抗酸化作用を示し、窒素酸化物(NO)生成を刺激して血管を拡張させることにより、再灌流障害からの保護と不整脈を抑制する効果がある。これにより、レスベラトロールは、心血管や脳の疾患などの治療剤として研究し続けられており、抗老化、抗癌関連健康機能食品、及びシワ改善化粧品原料などの様々な分野に臨床的に用いられてきた。
【0104】
本発明の一態様は、ラニフィブラノールを含む幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物である。
【0105】
本発明のラニフィブラノールは、PPAR(peroxisome proliferator-activated receptors )作用剤(agonist)であって、PPARα、PPARδ、及びPPARγと知られた3つのPPARアイソフォームをそれぞれ活性化させ、身体内で抗線維化、抗炎症そして有益な代謝変化を誘導するものと知られている小分子(small molecule)である。PPARは、遺伝子の発現を調節する核ホルモン受容体ファミリーに属するリガンド活性化転写因子である。PPARは、細胞分化、発達、及び腫瘍形成の調節に必須な役割を担う。ラニフィブラノールは、繊維症を調節するPPARを活性化させて、結合組織の異常成長を減少させることが知られている。また、ラニフィブラノールは、全身性硬化症治療剤、特発性肺線維症治療剤などの用途として臨床的に用いられてきた。
【0106】
本発明に係る前記組成物は、上述した成分に加えて、公知のエクソソーム生成促進物質をさらに含むことができる。
【0107】
本明細書において“エクソソーム(Exosome)”は、細胞由来性小胞体であり、殆どの真核生物の体液に存在する。エクソソームの直径は、30~200nm程度であり、これはLDLタンパク質よりは大きいが、赤血球よりは遥かに小さい。
【0108】
前記エクソソームは、多重小胞体(multivesicular bodies)が細胞膜と融合する際に細胞から放出されるか、或いは細胞膜から直ちに放出され得る。
【0109】
このようなエクソソームが凝固、細胞間信号伝達などのような重要ながらも特化した機能を担うという点は、よく知られている。
【0110】
本明細書において“幹細胞(Stem cell)”は未分化な細胞であって、自己複製能力を有する上に、2つ以上の異なる種類の細胞に分化する能力を有する細胞のことを指す。
【0111】
前記幹細胞は、自己又は同種由来幹細胞でよく、ヒト及び非ヒト哺乳類を含む任意類型の動物由来であり得、前記幹細胞が成体から由来したものであれ、胚から由来したものであれ、それに限定されない。
【0112】
具体的に、前記幹細胞は、胚性幹細胞、成体幹細胞、又は人工多能性幹細胞であり得るが、これに制限されるものではない。
【0113】
本明細書において“胚性幹細胞(embryonic stem cell)”は、胚の発生過程で抽出した細胞であり、受精卵が母体の子宮に着床する直前である胞胚期の胚から内部細胞塊(inner cell mass)を抽出して体外で培養したものを意味する。
【0114】
前記胚性幹細胞は、個体のあらゆる組織の細胞に分化できる多能性(pluripotent)であるか、全能性(totipotent)の自己複製能(selfrenewal)を有する細胞を意味し、広義には、胚性幹細胞から由来した胚様体(embryoid bodies)も含む。
【0115】
前記胚性幹細胞は、ヒト、サル、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、マウス、ウサギなどのあらゆる由来の胚性幹細胞を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0116】
本明細書において“成体幹細胞(adult stem cell)”は、臍帯血又は成体骨髄、血液などから抽出される細胞であって、具体的な臓器の細胞に分化する直前の細胞を意味し、必要時に身体内組織に発達できる能力を保有した未分化状態の細胞を意味する。
【0117】
前記成体幹細胞は、ヒト又は動物の様々な組織起源の成体幹細胞、ヒト又は動物組織由来の間葉系幹細胞(mesenchymal stromal cell)、ヒト又は動物の様々な組織起源の人工多能性幹細胞から由来した間葉系幹細胞及び多分化能幹細胞を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0118】
前記ヒト又は動物組織は、臍帯、臍帯血、骨髄、脂肪、筋肉、神経、皮膚、羊膜及び/又は胎盤であってよいが、これに制限されるものではない。
【0119】
前記ヒト又は動物の様々な組織起源の幹細胞は、例えば、造血幹細胞、乳腺幹細胞、腸幹細胞、血管内皮幹細胞、神経幹細胞、嗅覚神経幹細胞及び/又は精巣幹細胞であってよいが、これに制限されるものではない。
【0120】
本明細書において“人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell;iPSC)”は、分化した細胞から人為的な逆分化過程によって多能性分化能を有するように誘導された細胞を意味し、“逆分化幹細胞”と同じ意味で使われてもよい。
【0121】
前記人為的な逆分化過程は、レトロウイルス、レンチウイルス、及びセンダイウイルスを用いたウイルス媒介又は非ウイルス性ベクターの利用、タンパク質及び細胞抽出物などを用いる非ウイルス媒介逆分化因子の導入によって行われるか、或いは幹細胞抽出物、化合物などによる逆分化過程を含むことができる。
【0122】
前記人工多能性幹細胞は、胚性幹細胞とほぼ同じ性質を示す。具体的には、それらは、細胞形態学的類似性、類似の遺伝子及びタンパク質発現パターン、in vitroおよびin vivoでの全能性、テラトーマ(teratoma)形成、マウス胚盤胞への挿入時のキメラ(chimera)マウスの作製、並びに遺伝子の生殖細胞系伝達(germline transmission)を含む側面において共通している。
【0123】
前記人工多能性幹細胞は、ヒト、サル、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、マウス、ウサギなどのあらゆる由来の人工多能性幹細胞を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0124】
本明細書において用語“生成促進”とは、対照群に比べて特定物質の生産、生成、放出などが同一時間内で増加することを意味する。
【0125】
具体的には、幹細胞からエクソソームが生産される数量と、エクソソーム内タンパク質、RNAなどの含有量が増加することを意味する。
【0126】
本発明の他の態様は、エキセンジン-4(Exendin-4)を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用組成物に関する。
【0127】
本発明の他の態様は、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用組成物に関する。
【0128】
本発明の他の態様は、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用組成物に関する。
【0129】
本発明の他の態様は、テトランドリン(Tetrandrine)を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用組成物に関する。
【0130】
本発明の他の態様は、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用組成物に関する。
【0131】
本発明の他の態様は、P物質(Substance P)を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用組成物に関する。
【0132】
本発明の他の態様は、レスベラトロール(Resveratrol)を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用組成物に関する。
【0133】
本発明の他の態様は、ラニフィブラノール(Lanifibranor)を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用組成物に関する。
【0134】
本明細書において用語“幹細胞能”とは、全てのタイプの細胞に分化する多能性(pluripotency)、及び無限に分裂してより多くの同じ幹細胞を産生する自己複製能(self-renewal)を総称する意味で当業界に通用されている。
【0135】
具体的には、未分化細胞を、未分化状態を維持しながら幹細胞の増殖能(Proliferation)を増強させたり、テロメラーゼ活性を向上させたり、幹細胞性因子(stemness acting signals)の発現を向上させたり、細胞運動性を向上させたりすることを指し、それら特徴の一つ以上が現れることを含むことができる。
【0136】
本発明の前記各組成物は、培地組成物として幹細胞培養に用いられてよく、生体内(in vivo)エクソソーム生成促進用途の薬剤学的組成物として幹細胞と共に生体内に併用投与されたり、先行又は後行して投与されたりすることで、幹細胞のin vivo効能を強化させることができる。
【0137】
前記幹細胞のin vivo効能強化とは、関節炎、抹消神経障害などの特定の疾患の治療のための幹細胞の効能(in vivo効能)が、幹細胞によって分泌されるエクソソームによって媒介されるという仮定の下で、本開示の組成物と幹細胞との同時投与は、幹細胞からのエクソソームの産生を促進し、その結果、疾患に対する幹細胞の治療効果(in vivo効能)を強化することを意味する。
【0138】
本発明の前記各組成物が培地組成物である場合、前記“培地組成物”は、生体外(in vitro)で細胞の成長、生存、及び増殖に必要な必須成分を含む組成物を意味するものであり、当該分野で通常用いられる幹細胞培養用培地をいずれも含み、例えば、DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)、MEM(Minimal Essential Medium)、BME(Basal Medium Eagle)、RPMI 1640、DMEM/F-10(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium:Nutrient Mixture F-10)、DMEM/F-12(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium:Nutrient Mixture F-12)、α-MEM(α-Minimal essential Medium)、G-MEM(Glasgow’s Minimal Essential Medium)、IMDM(Isocove’s Modified Dulbecco’s Medium)、KnockOut DMEM、E8(Essential8Medium)などの商業的に製造された培地又は人為的に合成した培地を用いることができるが、これに制限されるものではない。
【0139】
前記培地組成物は、一般に、炭素源、窒素源及び微量元素成分を含み、アミノ酸、抗生剤などをさらに含むことができる。
【0140】
また、前記培地組成物は、本発明の構成成分エキセンジン-4(Exendin-4)を従来の幹細胞培養用培地内に添加して製造できる。
【0141】
また、前記培地組成物は、本発明の構成成分ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)を従来の幹細胞培養用培地内に添加して製造できる。
【0142】
また、前記培地組成物は、本発明の構成成分インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を従来の幹細胞培養用培地内に添加して製造できる。
【0143】
また、前記培地組成物は、本発明の構成成分テトランドリン(Tetrandrine)を従来の幹細胞培養用培地内に添加して製造できる。
【0144】
また、前記培地組成物は、本発明の構成成分ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)を従来の幹細胞培養用培地内に添加して製造できる。
【0145】
また、前記培地組成物は、本発明の構成成分P物質(Substance P)を従来の幹細胞培養用培地内に添加して製造できる。
【0146】
また、前記培地組成物は、本発明の構成成分レスベラトロール(Resveratrol)を従来の幹細胞培養用培地内に添加して製造できる。
【0147】
また、前記培地組成物は、本発明の構成成分ラニフィブラノール(Lanifibranor)を従来の幹細胞培養用培地内に添加して製造できる。
【0148】
前記本発明の構成成分エキセンジン-4(Exendin-4)は、培地内に10~1000nM、10~100nM、10~90nM、10~80nM、10~70nM、10~60nM、10~50nM、10~40nM、10~30nM、又は20nMの濃度で添加されてよいが、これに制限されるものではない。
【0149】
前記本発明の構成成分ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)は、培地内に1~1000nM、1~500nM、1~100nM、1~90nM、1~80nM、1~70nM、1~60nM、1~50nM、1~40nM、1~30nM、1~20nM、又は10nMの濃度で添加されてよいが、これに制限されるものではない。
【0150】
前記本発明の構成成分インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)は、培地内に1~1000ng/mL、1~500ng/mL、1~100ng/mL、1~90ng/mL、1~80ng/mL、1~70ng/mL、1~60ng/mL、1~50ng/mL、1~40ng/mL、1~30ng/mL、1~20ng/mL、又は10ng/mLの濃度で添加されてよいが、これに制限されるものではない。
【0151】
前記本発明の構成成分テトランドリン(Tetrandrine)は、培地内に1~1000μM、1~500μM、1~100μM、1~90μM、1~80μM、1~70μM、1~60μM、1~50μM、1~40μM、1~30μM、1~20μM、又は10μMの濃度で添加されてよいが、これに制限されるものではない。
【0152】
前記本発明の構成成分ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)は、培地内に1~1000μg/mL、1~500μg/mL、1~100μg/mL、1~90μg/mL、1~80μg/mL、1~70μg/mL、1~60μg/mL、1~50μg/mL、1~40μg/mL、1~30μg/mL、1~20μg/mL、又は10μg/mLの濃度で添加されてよいが、これに制限されるものではない。
【0153】
前記本発明の構成成分P物質(Substance P)は、培地内に10~1000nM、10~100nM、10~90nM、10~80nM、10~70nM、10~60nM、10~50nM、10~40nM、20~40nM、又は30nMの濃度で添加されてよいが、これに制限されるものではない。
【0154】
前記本発明の構成成分レスベラトロール(Resveratrol)は、培地内に1~1000nM、1~500nM、1~100nM、1~90nM、1~80nM、1~70nM、1~60nM、1~50nM、1~40nM、1~30nM、1~20nM、又は10nMの濃度で添加されてよいが、これに制限されるものではない。
【0155】
前記本発明の構成成分ラニフィブラノール(Lanifibranor)は、培地内に1~1000μM、1~500μM、1~100μM、1~90μM、1~80μM、1~70μM、1~60μM、1~50μM、1~40μM、1~30μM、1~20μM、又は10μMの濃度で添加されてよいが、これに制限されるものではない。
【0156】
本発明の前記各組成物が薬剤学的組成物である場合、本発明の薬剤学的組成物に含まれてよい薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常用いられるものであり、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルジネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、滑石、ステアリン酸マグネシウム及びミネラルオイルなどを含むが、これに限定されるものではない。本発明の薬剤学的組成物は、前記成分の他に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含むことができる。好適な薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed.,1995)に詳細に記載されている。
【0157】
本発明の薬剤学的組成物は、経口及び非経口で投与でき、例えば、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、局所投与、鼻腔内投与、肺内投与、直腸内投与、硬膜内投与、眼球投与、皮膚投与、及び経皮投与などで投与できる。
【0158】
本発明の薬剤学的組成物の適度の投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、食べ物、投与時間、投与経路、排泄速度、及び応答感度のような要因によって様々であり、熟練した通常の医師は、所望する治療又は予防に効果的な投与量を容易に決定及び処方できる。本発明の一実施形態によれば、本発明の薬剤学的組成物の1日投与量は、0.0001~1000mg/kgである。
【0159】
本発明の薬剤学的組成物は、当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に実施できる方法により、薬剤学的に許容される担体及び/又は賦形剤を用いて処方され得る。本開示の組成物は、単位容量の形態に調製され得るか、或いは、複数回投与容器に含まれ得る。このとき、剤形は、オイル又は水性媒質中の溶液、懸濁液又は乳化液の形態であるか、エキス剤、散剤、坐剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤又はカプセル剤の形態であってもよく、分散剤又は安定化剤をさらに含むことができる。
【0160】
本発明のさらに他の態様は、エキセンジン-4(Exendin-4)で前処理された幹細胞由来エクソソームに関する。
【0161】
本発明のさらに他の態様は、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)で前処理された幹細胞由来エクソソームに関する。
【0162】
本発明のさらに他の態様は、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)で前処理された幹細胞由来エクソソームに関する。
【0163】
本発明のさらに他の態様は、テトランドリン(Tetrandrine)で前処理された幹細胞由来エクソソームに関する。
【0164】
本発明のさらに他の態様は、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)で前処理された幹細胞由来エクソソームに関する。
【0165】
本発明のさらに他の態様は、P物質(Substance P)で前処理された幹細胞由来エクソソームに関する。
【0166】
本発明のさらに他の態様は、レスベラトロール(Resveratrol)で前処理された幹細胞由来エクソソームに関する。
【0167】
本発明のさらに他の態様は、ラニフィブラノール(Lanifibranor)で前処理された幹細胞由来エクソソームに関する。
【0168】
前記本発明の各組成物及び前記幹細胞由来エクソソームに共通する内容は、本明細書の過度な複雑性を避けるためにその記載を省略する。
【0169】
本発明のさらに他の態様は、上述したエキセンジン-4(Exendin-4)を含む組成物、エキセンジン-4(Exendin-4)で前処理された幹細胞又はエキセンジン-4(Exendin-4)で前処理された幹細胞由来エクソソームを含む幹細胞治療剤に関する。
【0170】
本発明のさらに他の態様は、上述したホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)を含む組成物、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)で前処理された幹細胞又はホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)で前処理された幹細胞由来エクソソームを含む幹細胞治療剤に関する。
【0171】
本発明のさらに他の態様は、上述したインターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を含む組成物、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)で前処理された幹細胞又はインターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)で前処理された幹細胞由来エクソソームを含む幹細胞治療剤に関する。
【0172】
本発明のさらに他の態様は、上述したテトランドリン(Tetrandrine)を含む組成物、テトランドリン(Tetrandrine)で前処理された幹細胞又はテトランドリン(Tetrandrine)で前処理された幹細胞由来エクソソームを含む幹細胞治療剤に関する。
【0173】
本発明のさらに他の態様は、上述したヒアルロン酸(Hyaluronic acid)を含む組成物、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)で前処理された幹細胞又はヒアルロン酸(Hyaluronic acid)で前処理された幹細胞由来エクソソームを含む幹細胞治療剤に関する。
【0174】
本発明のさらに他の態様は、上述したP物質(Substance P)を含む組成物、P物質(Substance P)で前処理された幹細胞又はP物質(Substance P)で前処理された幹細胞由来エクソソームを含む幹細胞治療剤に関する。
【0175】
本発明のさらに他の態様は、上述したレスベラトロール(Resveratrol)を含む組成物、レスベラトロール(Resveratrol)で前処理された幹細胞又はレスベラトロール(Resveratrol)で前処理された幹細胞由来エクソソームを含む幹細胞治療剤に関する。
【0176】
本発明のさらに他の態様は、上述したラニフィブラノール(Lanifibranor)を含む組成物、ラニフィブラノール(Lanifibranor)で前処理された幹細胞又はラニフィブラノール(Lanifibranor)で前処理された幹細胞由来エクソソームを含む幹細胞治療剤に関する。
【0177】
本発明において“細胞治療剤”とは、細胞と組織の機能を復元させるために、生きている自家(autologous)、同種(allogenic)、異種(xenogenic)細胞を体外で増殖・選別したり、その他の方法で細胞の生物学的特性を変化させたりするなどの一連の行為により、治療、診断、及び予防の目的に用いられる医薬品を意味する。
【0178】
このような細胞治療剤は、2種類に大別でき、その第一は、組織再生、臓器機能回復、又は免疫細胞の機能調節のための“幹細胞治療剤”であり、第二は、生体内免疫反応の抑制或いは免疫反応の亢進などの免疫反応調節のための“免疫細胞治療剤”である。
【0179】
前記本発明の各組成物及びその構成成分エキセンジン-4(Exendin-4)、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(Phorbol 12-myristate 13-acetate;PMA)、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)、テトランドリン(Tetrandrine)、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)、P物質(Substance P)、レスベラトロール(Resveratrol)又はラニフィブラノール(Lanifibranor)は、幹細胞の幹細胞能を増強させ、幹細胞由来エクソソームの生成を促進し、これにより、幹細胞の治療効能を強化させる効果を有するので、本明細書でいう“細胞治療剤”は、“幹細胞治療剤”を意味する。
【0180】
前記幹細胞治療剤は、心筋梗塞、心不全などの循環器疾患、肝臓癌、胃癌、大腸癌、前立腺癌、膀胱癌、肺癌などの癌疾患、アトピー性皮膚炎、関節炎、自己免疫性脳脊髓炎、全身性エリテマトーデス、大腸炎、及び多発性硬化症のような炎症性疾患、並びに自己免疫性疾患などのそれを必要とする対象の疾患を治療する用途に用いられてよいが、これに制限されない。
【0181】
前記幹細胞治療剤は、上述した本発明の各組成物と構成成分を共通とするので、これら両者に共通する内容は、本明細書の過度な複雑性を避けるためにその記載を省略する。
【0182】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む幹細胞由来エクソソームの生産方法に関する。
【0183】
a)エキセンジン-4(Exendin-4)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する段階。
【0184】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む幹細胞由来エクソソームの生産方法に関する。
【0185】
a)ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する段階。
【0186】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む幹細胞由来エクソソームの生産方法に関する。
【0187】
a)インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する段階。
【0188】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む幹細胞由来エクソソームの生産方法に関する。
【0189】
a)テトランドリン(Tetrandrine)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する段階。
【0190】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む幹細胞由来エクソソームの生産方法に関する。
【0191】
a)ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する段階。
【0192】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む幹細胞由来エクソソームの生産方法に関する。
【0193】
a)P物質(Substance P)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する段階。
【0194】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む幹細胞由来エクソソームの生産方法に関する。
【0195】
a)レスベラトロール(Resveratrol)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する段階。
【0196】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む幹細胞由来エクソソームの生産方法に関する。
【0197】
a)ラニフィブラノール(Lanifibranor)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する段階。
【0198】
前記方法は、次の段階をさらに含むことができる。
【0199】
b)培養された幹細胞を洗浄した後、細胞培養培地でさらに培養する段階;及び
【0200】
c)エクソソームを分離する段階。
【0201】
以下、本発明の幹細胞由来エクソソームの生産方法について詳しく説明する。
【0202】
a)段階
【0203】
本段階は、幹細胞をエキセンジン-4(Exendin-4)、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)、テトランドリン(Tetrandrine)、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)、P物質(Substance P)、レスベラトロール(Resveratrol)又はラニフィブラノール(Lanifibranor)で前処理して幹細胞に刺激を加える過程である。本過程によって、幹細胞は、前記物質で前処理されていない幹細胞に比べてより多い数のエクソソームを生産し、エクソソーム内タンパク質及びRNAの含有量も増加する。
【0204】
b)段階
【0205】
本段階は、本発明に係る前記物質で前処理された幹細胞を洗浄して前記前処理物質を除去し、新しい細胞培養培地で培養することにより、幹細胞からエクソソームの分泌又は生産を誘導する過程である。前記a)段階の幹細胞前処理物質(エキセンジン-4)は、前記b)段階の洗浄過程によって除去され、洗浄後の幹細胞、幹細胞で生産されたエクソソーム又は培養培地内に残留しない。したがって、前記a)段階において本発明の幹細胞前処理物質で処理された幹細胞と幹細胞で生産されたエクソソーム及び培養培地は、上述した前処理物質の残留による影響無しで後続の研究又は疾病の治療目的に有用に利用可能である。
【0206】
本段階の細胞培養培地は、エクソソームが除去されたウシ胎児血清(Fetal bovine serum)をさらに含む。前記細胞培養培地にエクソソームを除去したFBSを使用する理由は、通常使用するFBSにはウシ血清由来のエクソソームが非常に多く含まれているので、幹細胞が分泌するエクソソームの他にFBS由来エクソソームが混入することを防止するためである。
【0207】
本段階の追加培養は、12時間~120時間、24時間~96時間、48時間~96時間、又は60時間~84時間、最も具体的には72時間培養されてよいが、これに制限されるものではない。
【0208】
c)段階
【0209】
本段階は、前記b)段階で追加培養した幹細胞の培養培地を、200~400×gで5~20分間遠心分離し、残っている細胞及び細胞残余物を除去した後、上清液を取って9,000~12,000×gで60~80分間高速遠心分離した後、再び上清液を取って90,000~120,000×gで80~100分間遠心分離し上清液を除去することにより、下層に残っているエクソソームを得ることができる。
【0210】
本発明の具体例によれば、間葉系幹細胞培養培地を回収し、300×gで10分間遠心分離して残っている細胞及び細胞残余物を除去し、上清液を取って0.22μmフィルターを用いて濾過した後、高速遠心分離機(high speed centrifuge)を用いて10,000×g、4℃で70分間遠心分離する。遠心分離された上清液を再び取り、超遠心分離機(ultracentrifuge)を用いて100,000×g、4℃で90分間遠心分離して上清液を除去することにより、下層に残っているエクソソームを分離した。
【0211】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)を増強させる方法に関する。
【0212】
a)エキセンジン-4(Exendin-4)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する段階。
【0213】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)を増強させる方法に関する。
【0214】
a)ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する段階。
【0215】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)を増強させる方法に関する。
【0216】
a)インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する段階。
【0217】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)を増強させる方法に関する。
【0218】
a)テトランドリン(Tetrandrine)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する段階。
【0219】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)を増強させる方法に関する。
【0220】
a)ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する段階。
【0221】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)を増強させる方法に関する。
【0222】
a)P物質(Substance P)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する段階。
【0223】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)を増強させる方法に関する。
【0224】
a)レスベラトロール(Resveratrol)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する段階。
【0225】
本発明のさらに他の態様は、次の段階を含む幹細胞の幹細胞能(Stemness)を増強させる方法に関する。
【0226】
a)ラニフィブラノール(Lanifibranor)を含む細胞培養培地で幹細胞を培養する段階。
【0227】
前記幹細胞の幹細胞能を増強させる方法は、上述した本発明の幹細胞由来エクソソームの生産方法と共通の段階を有し、これら両者に共通する内容は、本明細書の過度な複雑性を避けるためにその記載を省略する。
【0228】
本発明のさらに他の態様は、エキセンジン-4(Exendin-4)を含む組成物の幹細胞由来エクソソーム生成促進用途である。
【0229】
本発明のさらに他の態様は、エキセンジン-4(Exendin-4)を含む組成物の幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用途である。
【0230】
本発明のさらに他の態様は、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)を含む組成物の幹細胞由来エクソソーム生成促進用途である。
【0231】
本発明のさらに他の態様は、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA)を含む組成物の幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用途である。
【0232】
本発明のさらに他の態様は、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を含む組成物の幹細胞由来エクソソーム生成促進用途である。
【0233】
本発明のさらに他の態様は、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)を含む組成物の幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用途である。
【0234】
本発明のさらに他の態様は、テトランドリン(Tetrandrine)を含む組成物の幹細胞由来エクソソーム生成促進用途である。
【0235】
本発明のさらに他の態様は、テトランドリン(Tetrandrine)を含む組成物の幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用途である。
【0236】
本発明のさらに他の態様は、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)を含む組成物の幹細胞由来エクソソーム生成促進用途である。
【0237】
本発明のさらに他の態様は、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)を含む組成物の幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用途である。
【0238】
本発明のさらに他の態様は、P物質(Substance P)を含む組成物の幹細胞由来エクソソーム生成促進用途である。
【0239】
本発明のさらに他の態様は、P物質(Substance P)を含む組成物の幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用途である。
【0240】
本発明のさらに他の態様は、レスベラトロール(Resveratrol)を含む組成物の幹細胞由来エクソソーム生成促進用途である。
【0241】
本発明のさらに他の態様は、レスベラトロール(Resveratrol)を含む組成物の幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用途である。
【0242】
本発明のさらに他の態様は、ラニフィブラノール(Lanifibranor)含む組成物の幹細胞由来エクソソーム生成促進用途である。
【0243】
本発明のさらに他の態様は、ラニフィブラノール(Lanifibranor)含む組成物の幹細胞の幹細胞能(Stemness)増強用途である。
【発明の効果】
【0244】
本発明は、エキセンジン-4(Exendin-4)、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(Phorbol 12-myristate 13-acetate;PMA)、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)、テトランドリン(Tetrandrine)、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)、P物質(Substance P)、レスベラトロール(Resveratrol)、及びラニフィブラノール(Lanifibranor)から選ばれる一つを含む幹細胞由来エクソソーム(Exosomes)生成促進及び幹細胞の機能強化用組成物に関する。本発明の組成物を幹細胞培養に用いる場合、幹細胞の幹細胞能及び幹細胞由来エクソソームの生産量が増加するので、より効率的に良質の幹細胞及び幹細胞由来エクソソームを生産できるところ、これを関連研究開発及び製品化に有用に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0245】
【
図1】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(エキセンジン-4(Exendin-4))処理による幹細胞増殖率(Proliferation)の増加を確認した図である。
【0246】
【
図2A】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(エキセンジン-4(Exendin-4))処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強を確認した図である。
【0247】
【
図2B】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(エキセンジン-4(Exendin-4))処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強を確認した図である。
【0248】
【
図3】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(エキセンジン-4(Exendin-4))処理によるエクソソームのサイズによる分布を確認した図である。
【0249】
【
図4】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(エキセンジン-4(Exendin-4))処理によるエクソソーム数の増加を確認した図である。
【0250】
【
図5】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(エキセンジン-4(Exendin-4))処理によるエクソソーム由来タンパク質量の増加を確認した図である。
【0251】
【
図6】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(エキセンジン-4(Exendin-4))処理によるエクソソーム由来RNA量の増加を確認した図である。
【0252】
【
図7】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA))処理による幹細胞増殖率(Proliferation)の増加を確認した図である。
【0253】
【
図8A】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA))処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強を確認した図である。
【0254】
【
図8B】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA))処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強を確認した図である。
【0255】
【
図9】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA))処理によるエクソソームのサイズによる分布を確認した図である。
【0256】
【
図10】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA))処理によるエクソソーム数の増加を確認した図である。
【0257】
【
図11】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA))処理によるエクソソーム由来タンパク質量の増加を確認した図である。
【0258】
【
図12】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ホルボール12-ミリステート13-酢酸(PMA))処理によるエクソソーム由来RNA量の増加を確認した図である。
【0259】
【
図13】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ))処理による幹細胞増殖率(Proliferation)の増加を確認した図である。
【0260】
【
図14A】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ))処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強を確認した図である。
【0261】
【
図14B】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ))処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強を確認した図である。
【0262】
【
図15】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ))処理によるエクソソームのサイズによる分布を確認した図である。
【0263】
【
図16】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ))処理によるエクソソーム数の増加を確認した図である。
【0264】
【
図17】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ))処理によるエクソソーム由来タンパク質量の増加を確認した図である。
【0265】
【
図18】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ))処理によるエクソソーム由来RNA量の増加を確認した図である。
【0266】
【
図19】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(テトランドリン(Tetrandrine))処理による幹細胞増殖率(Proliferation)の増加を確認した図である。
【0267】
【
図20A】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(テトランドリン(Tetrandrine))処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強を確認した図である。
【0268】
【
図20B】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(テトランドリン(Tetrandrine))処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強を確認した図である。
【0269】
【
図21】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(テトランドリン(Tetrandrine))処理によるエクソソームのサイズによる分布を確認した図である。
【0270】
【
図22】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(テトランドリン(Tetrandrine))処理によるエクソソーム数の増加を確認した図である。
【0271】
【
図23】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(テトランドリン(Tetrandrine))処理によるエクソソーム由来タンパク質量の増加を確認した図である。
【0272】
【
図24】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(テトランドリン(Tetrandrine))処理によるエクソソーム由来RNA量の増加を確認した図である。
【0273】
【
図25】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ヒアルロン酸(Hyaluronic acid))処理による幹細胞増殖率(Proliferation)の増加を確認した図である。
【0274】
【
図26A】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ヒアルロン酸(Hyaluronic acid))処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強を確認した図である。
【0275】
【
図26B】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ヒアルロン酸(Hyaluronic acid))処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強を確認した図である。
【0276】
【
図27】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ヒアルロン酸(Hyaluronic acid))処理によるエクソソームのサイズによる分布を確認した図である。
【0277】
【
図28】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ヒアルロン酸(Hyaluronic acid))処理によるエクソソーム数の増加を確認した図である。
【0278】
【
図29】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ヒアルロン酸(Hyaluronic acid))処理によるエクソソーム由来タンパク質量の増加を確認した図である。
【0279】
【
図30】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ヒアルロン酸(Hyaluronic acid))処理によるエクソソーム由来RNA量の増加を確認した図である。
【0280】
【
図31】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(P物質(Substance P))処理による幹細胞増殖率(Proliferation)の増加を確認した図である。
【0281】
【
図32A】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(P物質(Substance P))処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強を確認した図である。
【0282】
【
図32B】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(P物質(Substance P))処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強を確認した図である。
【0283】
【
図33】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(P物質(Substance P))処理によるエクソソームのサイズによる分布を確認した図である。
【0284】
【
図34】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(P物質(Substance P))処理によるエクソソーム数の増加を確認した図である。
【0285】
【
図35】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(P物質(Substance P))処理によるエクソソーム由来タンパク質量の増加を確認した図である。
【0286】
【
図36】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(P物質(Substance P))処理によるエクソソーム由来RNA量の増加を確認した図である。
【0287】
【
図37】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(レスベラトロール(Resveratrol))処理による幹細胞増殖率(Proliferation)の増加を確認した図である。
【0288】
【
図38A】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(レスベラトロール(Resveratrol))処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強を確認した図である。
【0289】
【
図38B】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(レスベラトロール(Resveratrol))処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強を確認した図である。
【0290】
【
図39】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(レスベラトロール(Resveratrol))処理によるエクソソームのサイズによる分布を確認した図である。
【0291】
【
図40】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(レスベラトロール(Resveratrol))処理によるエクソソーム数の増加を確認した図である。
【0292】
【
図41】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(レスベラトロール(Resveratrol))処理によるエクソソーム由来タンパク質量の増加を確認した図である。
【0293】
【
図42】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(レスベラトロール(Resveratrol))処理によるエクソソーム由来RNA量の増加を確認した図である。
【0294】
【
図43】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ラニフィブラノール(Lanifibranor))処理による幹細胞増殖率(Proliferation)の増加を確認したグラフである。
【0295】
【
図44A】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ラニフィブラノール(Lanifibranor))処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強を確認した図である。
【0296】
【
図44B】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ラニフィブラノール(Lanifibranor))処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強を確認した図である。
【0297】
【
図45】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ラニフィブラノール(Lanifibranor))処理によるエクソソームのサイズによる分布を確認した図である。
【0298】
【
図46】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ラニフィブラノール(Lanifibranor))処理によるエクソソーム数の増加を確認した図である。
【0299】
【
図47】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ラニフィブラノール(Lanifibranor))処理によるエクソソーム由来タンパク質量の増加を確認した図である。
【0300】
【
図48】本発明の一実施例によって、幹細胞前処理物質(ラニフィブラノール(Lanifibranor))処理によるエクソソーム由来RNA量の増加を確認した図である。
【発明を実施するための形態】
【0301】
エキセンジン-4(Exendin-4)、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(Phorbol 12-myristate 13-acetate;PMA)、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)、テトランドリン(Tetrandrine)、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)、P物質(Substance P)、レスベラトロール(Resveratrol)、及びラニフィブラノール(Lanifibranor)からなる群から選ばれる一つ以上を含む幹細胞由来エクソソーム生成促進用組成物。
【実施例0302】
以下、本発明を下記の実施例によってより詳細に説明する。ただし、これらの実施例は、本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0303】
実施例1.エキセンジン-4(Exendin-4)処理による幹細胞由来エクソソーム分離
【0304】
エキセンジン-4前処理
【0305】
エキセンジン-4 20nMが含まれた培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065);10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]で、臍帯組織由来間葉系幹細胞(Primary Umbilical Cord-Derived Mesenchymal Stem Cells,ATCC No.PCS-500-010;Lot No.63822428)を1週間培養した。
【0306】
追加培養
【0307】
培養を完了した後、エキセンジン-4が前処理された間葉系幹細胞を洗浄し、エクソソームが除去されたウシ胎児血清(FBS)を10%添加した培養培地でさらに72時間培養した。エクソソームが除去されたFBSを使用する理由は、通常使用するFBSにはウシ血清由来のエクソソームが非常に多く含まれていることから、細胞が分泌するエクソソームの他にFBS由来エクソソームが混入することを防止するためである。
【0308】
エクソソーム分離
【0309】
72時間培養後に、前処理物質が処理された間葉系幹細胞培養培地を回収して300×gで10分間遠心分離し、残っている細胞及び細胞残余物を除去した。上清液を取って0.22μmフィルターを用いて濾過した後、高速遠心分離機(high speed centrifuge)を用いて10,000×g、4℃で70分間遠心分離した。遠心分離された上清液を再び取り、超遠心分離機(ultracentrifuge)を用いて100,000×g、4℃で90分間遠心分離し、上清液を除去した。下層に残っているエクソソームをPBS(phosphate bufferd salin)に希釈し、以降の実験に使用した。
【0310】
実施例2.PMA処理による幹細胞由来エクソソーム分離
【0311】
PMA前処理
【0312】
PMA 10nMが含まれた培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065);10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]で、臍帯組織由来間葉系幹細胞(Primary Umbilical Cord-Derived Mesenchymal Stem Cells,ATCC No.PCS-500-010;Lot No.63822428)を1週間培養した。
【0313】
追加培養
【0314】
培養を完了した後、PMAが前処理された間葉系幹細胞を洗浄し、エクソソームが除去されたウシ胎児血清(FBS)を10%添加した培養培地でさらに72時間培養した。エクソソームが除去されたFBSを使用する理由は、通常使用するFBSにはウシ血清由来のエクソソームが非常に多く含まれていることから、細胞が分泌するエクソソームの他にFBS由来エクソソームが混入することを防止するためである。
【0315】
エクソソーム分離
【0316】
72時間培養後に、前処理物質が処理された間葉系幹細胞培養培地を回収して300×gで10分間遠心分離し、残っている細胞及び細胞残余物を除去した。上清液を取って0.22μmフィルターを用いて濾過した後、高速遠心分離機(high speed centrifuge)を用いて10,000×g、4℃で70分間遠心分離した。遠心分離された上清液を再び取り、超遠心分離機(ultracentrifuge)を用いて100,000×g、4℃で90分間遠心分離し、上清液を除去した。下層に残っているエクソソームをPBS(phosphate bufferd salin)に希釈し、以降の実験に使用した。
【0317】
実施例3.インターフェロン-γ(Interferon-γ)処理による幹細胞由来エクソソーム分離
【0318】
インターフェロン-γ前処理
【0319】
インターフェロン-γ 10ng/mLが含まれた培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065);10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]で、臍帯組織由来間葉系幹細胞(Primary Umbilical Cord-Derived Mesenchymal Stem Cells,ATCC No.PCS-500-010;Lot No.63822428)を1週間培養した。
【0320】
追加培養
【0321】
培養を完了した後、インターフェロン-γが前処理された間葉系幹細胞を洗浄し、エクソソームが除去されたウシ胎児血清(FBS)を10%添加した培養培地でさらに72時間培養した。エクソソームが除去されたFBSを使用する理由は、通常使用するFBSにはウシ血清由来のエクソソームが非常に多く含まれていることから、細胞が分泌するエクソソームの他にFBS由来エクソソームが混入することを防止するためである。
【0322】
エクソソーム分離
【0323】
72時間培養後に、前処理物質が処理された間葉系幹細胞培養培地を回収して300×gで10分間遠心分離し、残っている細胞及び細胞残余物を除去した。上清液を取って0.22μmフィルターを用いて濾過した後、高速遠心分離機(high speed centrifuge)を用いて10,000×g、4℃で70分間遠心分離した。遠心分離された上清液を再び取り、超遠心分離機(ultracentrifuge)を用いて100,000×g、4℃で90分間遠心分離し、上清液を除去した。下層に残っているエクソソームをPBS(phosphate bufferd salin)に希釈し、以降の実験に使用した。
【0324】
実施例4.テトランドリン(Tetrandrine)処理による幹細胞由来エクソソーム分離
【0325】
テトランドリン前処理
【0326】
テトランドリン10μMが含まれた培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065);10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]で、臍帯組織由来間葉系幹細胞(Primary Umbilical Cord-Derived Mesenchymal Stem Cells,ATCC No.PCS-500-010;Lot No.63822428)を1週間培養した。
【0327】
追加培養
【0328】
培養を完了した後、テトランドリンが前処理された間葉系幹細胞を洗浄し、エクソソームが除去されたウシ胎児血清(FBS)を10%添加した培養培地でさらに72時間培養した。エクソソームが除去されたFBSを使用する理由は、通常使用するFBSにはウシ血清由来のエクソソームが非常に多く含まれていることから、細胞が分泌するエクソソームの他にFBS由来エクソソームが混入することを防止するためである。
【0329】
エクソソーム分離
【0330】
72時間培養後に、前処理物質が処理された間葉系幹細胞培養培地を回収して300×gで10分間遠心分離し、残っている細胞及び細胞残余物を除去した。上清液を取って0.22μmフィルターを用いて濾過した後、高速遠心分離機(high speed centrifuge)を用いて10,000×g、4℃で70分間遠心分離した。遠心分離された上清液を再び取り、超遠心分離機(ultracentrifuge)を用いて100,000×g、4℃で90分間遠心分離し、上清液を除去した。下層に残っているエクソソームをPBS(phosphate bufferd salin)に希釈し、以降の実験に使用した。
【0331】
実施例5.ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)処理による幹細胞由来エクソソーム分離
【0332】
ヒアルロン酸前処理
【0333】
ヒアルロン酸10ug/mLが含まれた培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065);10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]で、臍帯組織由来間葉系幹細胞(Primary Umbilical Cord-Derived Mesenchymal Stem Cells,ATCC No.PCS-500-010;Lot No.63822428)を1週間培養した。
【0334】
追加培養
【0335】
培養を完了した後、ヒアルロン酸が前処理された間葉系幹細胞を洗浄し、エクソソームが除去されたウシ胎児血清(FBS)を10%添加した培養培地でさらに72時間培養した。エクソソームが除去されたFBSを使用する理由は、通常使用するFBSにはウシ血清由来のエクソソームが非常に多く含まれていることから、細胞が分泌するエクソソームの他にFBS由来エクソソームが混入することを防止するためである。
【0336】
エクソソーム分離
【0337】
72時間培養後に、前処理物質が処理された間葉系幹細胞培養培地を回収して300×gで10分間遠心分離し、残っている細胞及び細胞残余物を除去した。上清液を取って0.22μmフィルターを用いて濾過した後、高速遠心分離機(high speed centrifuge)を用いて10,000×g、4℃で70分間遠心分離した。遠心分離された上清液を再び取り、超遠心分離機(ultracentrifuge)を用いて100,000×g、4℃で90分間遠心分離し、上清液を除去した。下層に残っているエクソソームをPBS(phosphate bufferd salin)に希釈し、以降の実験に使用した。
【0338】
実施例6.P物質(Substance P)処理による幹細胞由来エクソソーム分離
【0339】
P物質前処理
【0340】
P物質30nMが含まれた培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065);10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]で、臍帯組織由来間葉系幹細胞(Primary Umbilical Cord-Derived Mesenchymal Stem Cells,ATCC No.PCS-500-010;Lot No.63822428)を1週間培養した。
【0341】
追加培養
【0342】
培養を完了した後、P物質が前処理された間葉系幹細胞を洗浄し、エクソソームが除去されたウシ胎児血清(FBS)を10%添加した培養培地でさらに72時間培養した。エクソソームが除去されたFBSを使用する理由は、通常使用するFBSにはウシ血清由来のエクソソームが非常に多く含まれていることから、細胞が分泌するエクソソームの他にFBS由来エクソソームが混入することを防止するためである。
【0343】
エクソソーム分離
【0344】
72時間培養後に、前処理物質が処理された間葉系幹細胞培養培地を回収して300×gで10分間遠心分離し、残っている細胞及び細胞残余物を除去した。上清液を取って0.22μmフィルターを用いて濾過した後、高速遠心分離機(high speed centrifuge)を用いて10,000×g、4℃で70分間遠心分離した。遠心分離された上清液を再び取り、超遠心分離機(ultracentrifuge)を用いて100,000×g、4℃で90分間遠心分離し、上清液を除去した。下層に残っているエクソソームをPBS(phosphate bufferd salin)に希釈し、以降の実験に使用した。
【0345】
実施例7.レスベラトロール(Resveratrol)処理による幹細胞由来エクソソーム分離
【0346】
レスベラトロール前処理
【0347】
レスベラトロール10nMが含まれた培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065);10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]で、臍帯組織由来間葉系幹細胞(Primary Umbilical Cord-Derived Mesenchymal Stem Cells,ATCC No.PCS-500-010;Lot No.63822428)を1週間培養した。
【0348】
追加培養
【0349】
培養を完了した後、レスベラトロールが前処理された間葉系幹細胞を洗浄し、エクソソームが除去されたウシ胎児血清(FBS)を10%添加した培養培地でさらに72時間培養した。エクソソームが除去されたFBSを使用する理由は、通常使用するFBSにはウシ血清由来のエクソソームが非常に多く含まれていることから、細胞が分泌するエクソソームの他にFBS由来エクソソームが混入することを防止するためである。
【0350】
エクソソーム分離
【0351】
72時間培養後に、前処理物質が処理された間葉系幹細胞培養培地を回収して300×gで10分間遠心分離し、残っている細胞及び細胞残余物を除去した。上清液を取って0.22μmフィルターを用いて濾過した後、高速遠心分離機(high speed centrifuge)を用いて10,000×g、4℃で70分間遠心分離した。遠心分離された上清液を再び取り、超遠心分離機(ultracentrifuge)を用いて100,000×g、4℃で90分間遠心分離し、上清液を除去した。下層に残っているエクソソームをPBS(phosphate bufferd salin)に希釈し、以降の実験に使用した。
【0352】
実施例8.ラニフィブラノール(Lanifibranor)処理による幹細胞由来エクソソーム分離
【0353】
ラニフィブラノール前処理
【0354】
ラニフィブラノール10μMが含まれた培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065);10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]で、臍帯組織由来間葉系幹細胞(Primary Umbilical Cord-Derived Mesenchymal Stem Cells,ATCC No.PCS-500-010;Lot No.63822428)を1週間培養した。
【0355】
追加培養
【0356】
培養を完了した後、ラニフィブラノールが前処理された間葉系幹細胞を洗浄し、エクソソームが除去されたウシ胎児血清(FBS)を10%添加した培養培地でさらに72時間培養した。エクソソームが除去されたFBSを使用する理由は、通常使用するFBSにはウシ血清由来のエクソソームが非常に多く含まれていることから、細胞が分泌するエクソソームの他にFBS由来エクソソームが混入することを防止するためである。
【0357】
エクソソーム分離
【0358】
72時間培養後に、前処理物質が処理された間葉系幹細胞培養培地を回収して300×gで10分間遠心分離し、残っている細胞及び細胞残余物を除去した。上清液を取って0.22μmフィルターを用いて濾過した後、高速遠心分離機(high speed centrifuge)を用いて10,000×g、4℃で70分間遠心分離した。遠心分離された上清液を再び取り、超遠心分離機(ultracentrifuge)を用いて100,000×g、4℃で90分間遠心分離し、上清液を除去した。下層に残っているエクソソームをPBS(phosphate bufferd salin)に希釈し、以降の実験に使用した。
【0359】
実験例1.エキセンジン-4処理による幹細胞機能強化
【0360】
1-1.エキセンジン-4処理による幹細胞増殖率(Proliferation)の増加
【0361】
100uL培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065)、10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]が含まれた96ウェルプレートに、間葉系幹細胞及び前記実施例のエキセンジン-4で前処理された間葉系幹細胞をそれぞれ、ウェル当たりに3000細胞ずつ播種(seeding)した後、24時間、CO2培養器で培養した。その後、CCK溶液(10uL/ウェル)を添加し、CO2培養器(incubator)で4時間培養した後、450nm(420~480nm)波長で吸光度を測定し、増殖率を確認した。
【0362】
図1から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[エキセンジン-4]を前処理した間葉系幹細胞の細胞増殖率が、1から3.4へと約340%増加した。
【0363】
1-2.エキセンジン-4処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強
【0364】
10mL培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065)、10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]が含まれた100mm細胞培養皿(dish)に、間葉系幹細胞及び前記実施例のエキセンジン-4で前処理された間葉系幹細胞をそれぞれ、皿当たりに1000細胞ずつ播種し、21日間培養した。培養された細胞が付着した皿をPBSで2回洗浄し、常温で、約2分間95%メタノールで固定した。固定された細胞をPBSで3回洗浄した後、0.5%クリスタルバイオレット溶液[crystal violet(sigma,C-3886,USA)5g、メタノール100ml]を添加して5分間染色し、水で洗浄後に室温で乾燥させた。各皿で50個以上の細胞で構成されたコロニーの数を計数して比較した。
【0365】
図2A及び
図2Bから確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞(28.6個)に比べて、幹細胞前処理物質[エキセンジン-4]を前処理した間葉系幹細胞の細胞(185個)のCFU-Fコロニー数が約647%増加した。
【0366】
実験例2.エキセンジン-4処理によるエクソソーム生産効率の増加
【0367】
2-1.エキセンジン-4処理によるエクソソーム数の増加
【0368】
ナノパーティクルトラッキングアッセイ(NanoSight NS300,Malvern)により、前記実施例で分離されたエクソソーム数を確認した。このとき、比較のために、何ら前処理物質も処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームの数を確認した。結果を、下記の表1、
図3及び
図4に示す。
【0369】
【0370】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、Exe4-MSC:エキセンジン-4処理間葉系幹細胞)
【0371】
前記表1及び
図4から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[エキセンジン-4]を前処理した間葉系幹細胞において約5.85倍多い数のエクソソームが生産された。
【0372】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、間葉系幹細胞が生産するエクソソームの数が増加することが分かる。
【0373】
2-2.エキセンジン-4処理によるエクソソーム由来タンパク質量の増加
【0374】
エクソソームタンパク質分離キット(Total exosome RNA and protein isolation kit,Invitrogen)を用いて、前記実施例で分離されたエクソソームからタンパク質を分離し、ブラッドフォード分析(bradford analysis)を用いて595nmで吸光度を測定し、タンパク質を定量した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームからタンパク質を分離して定量した。結果を、下記の表2及び
図5に示す。
【0375】
【0376】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、Exe4-MSC:エキセンジン-4処理間葉系幹細胞)
【0377】
前記表2及び
図5から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[エキセンジン-4]を前処理した間葉系幹細胞において約5.4倍多い量のエクソソーム由来タンパク質が生産された。
【0378】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、エクソソームの数の他に、エクソソーム由来タンパク質(exosomal protein)の含有量も増加することが分かる。
【0379】
2-3.エキセンジン-4処理によるエクソソーム由来RNA量の増加
【0380】
RNA分離用キット(Total exosome RNA and protein isolation kit,Invitrogen)を用いて、前記実施例で分離されたエクソソームから全エクソソームRNAを分離し、ナノドロップ(nanodrop)を用いてRNAの濃度を測定した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームから全エクソソームRNAを分離して濃度を測定した。結果を、下記の表3及び
図6に示す。
【0381】
【0382】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、Exe4-MSC:エキセンジン-4処理間葉系幹細胞)
【0383】
前記表3及び
図6から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[エキセンジン-4]を前処理した間葉系幹細胞において約5.6倍多い量のエクソソーム由来RNAが生産された。
【0384】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、エクソソームの数の他に、エクソソーム由来RNA(exosomal RNA)の含有量も増加することが分かる。
【0385】
実験例3.PMA処理による幹細胞機能強化
【0386】
3-1.PMA処理による幹細胞増殖率(Proliferation)の増加
【0387】
100uL培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065)、10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]が含まれた96ウェルプレートに、間葉系幹細胞及び前記実施例のPMAで前処理された間葉系幹細胞をそれぞれ、ウェル当たりに3000細胞ずつ播種(seeding)した後、24時間、CO2培養器で培養した。その後、CCK溶液(10uL/ウェル)を添加し、CO2培養器(incubator)で4時間培養した後、450nm(420~480nm)波長で吸光度を測定し、増殖率を確認した。
【0388】
図7から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[PMA]を前処理した間葉系幹細胞の細胞増殖率が、1から2.2へと約220%増加した。
【0389】
3-2.PMA処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強
【0390】
10mL培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065)、10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]が含まれた100mm細胞培養皿(dish)に、間葉系幹細胞及び前記実施例のPMAで前処理された間葉系幹細胞をそれぞれ、皿当たりに1000細胞ずつ播種して21日間培養した。培養された細胞が付着した皿をPBSで2回洗浄し、常温で、約2分間95%メタノールで固定した。固定された細胞をPBSで3回洗浄した後、0.5%クリスタルバイオレット溶液[crystal violet(sigma,C-3886,USA)5g、メタノール100ml]を添加して5分間染色し、水で洗浄後に室温で乾燥させた。各皿で50個以上の細胞で構成されたコロニーの数を計数して比較した。
【0391】
図8A及び
図8Bから確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞(28.6個)に比べて、幹細胞前処理物質[PMA]を前処理した間葉系幹細胞の細胞(285.7個)のCFU-Fコロニー数が約996.5%増加した。
【0392】
実験例4.PMA処理によるエクソソーム生産効率の増加
【0393】
4-1.PMA処理によるエクソソーム数の増加
【0394】
ナノパーティクルトラッキングアッセイ(NanoSight NS300,Malvern)により、前記実施例で分離されたエクソソーム数を確認した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームの数を確認した。結果を、下記の表4、
図9及び
図10に示す。
【0395】
【0396】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、PMA MSC:PMA処理間葉系幹細胞)
【0397】
前記表4及び
図10から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[PMA]を前処理した間葉系幹細胞において約5.2倍多い数のエクソソームが生産された。
【0398】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、間葉系幹細胞が生産するエクソソームの数が増加することが分かる。
【0399】
4-2.PMA処理によるエクソソーム由来タンパク質量の増加
【0400】
エクソソームタンパク質分離キット(Total exosome RNA and protein isolation kit,Invitrogen)を用いて、前記実施例で分離されたエクソソームからタンパク質を分離し、ブラッドフォード分析(bradford analysis)を用いて595nmで吸光度を測定し、タンパク質を定量した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームからタンパク質を分離して定量した。結果を、下記の表5及び
図11に示す。
【0401】
【0402】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、PMA MSC:PMA処理間葉系幹細胞)
【0403】
前記表5及び
図11から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[PMA]を前処理した間葉系幹細胞において約5倍多い量のエクソソーム由来タンパク質が生産された。
【0404】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、エクソソームの数の他に、エクソソーム由来タンパク質(exosomal protein)の含有量も増加することが分かる。
【0405】
4-3.PMA処理によるエクソソーム由来RNA量の増加
【0406】
RNA分離用キット(Total exosome RNA and protein isolation kit,Invitrogen)を用いて、前記実施例で分離されたエクソソームから全エクソソームRNAを分離し、ナノドロップ(nanodrop)を用いてRNAの濃度を測定した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームから全エクソソームRNAを分離して濃度を測定した。結果を、下記の表6及び
図12に示す。
【0407】
【0408】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、PMA MSC:PMA処理間葉系幹細胞)
【0409】
前記表6及び
図12から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[PMA]を前処理した間葉系幹細胞において約4倍多い量のエクソソーム由来RNAが生産された。
【0410】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、エクソソームの数の他に、エクソソーム由来RNA(exosomal RNA)の含有量も増加することが分かる。
【0411】
実験例5.インターフェロン-γ処理による幹細胞機能強化
【0412】
5-1.インターフェロン-γ処理による幹細胞増殖率(Proliferation)の増加
【0413】
100uL培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065)、10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]が含まれた96ウェルプレートに、間葉系幹細胞及び前記実施例のインターフェロン-γで前処理された間葉系幹細胞をそれぞれ、ウェル当たりに3000細胞ずつ播種(seeding)した後、24時間、CO2培養器で培養した。その後、CCK溶液(10uL/ウェル)を添加し、CO2培養器(incubator)で4時間培養した後、450nm(420~480nm)波長で吸光度を測定し、増殖率を確認した。
【0414】
図13から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[インターフェロン-γ]を前処理した間葉系幹細胞の細胞増殖率が、1から2.42へと約242%増加した。
【0415】
5-2.インターフェロン-γ処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強
【0416】
10mL培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065)、10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]が含まれた100mm細胞培養皿(dish)に、間葉系幹細胞及び前記実施例のインターフェロン-γで前処理された間葉系幹細胞をそれぞれ、皿当たりに1000細胞ずつ播種して21日間培養した。培養された細胞が付着した皿をPBSで2回洗浄し、常温で、約2分間95%メタノールで固定した。固定された細胞をPBSで3回洗浄した後、0.5%クリスタルバイオレット溶液[crystal violet(sigma,C-3886,USA)5g、メタノール100ml]を添加して5分間染色し、水で洗浄後に室温で乾燥させた。各皿で50個以上の細胞で構成されたコロニーの数を計数して比較した。
【0417】
図14A及び
図14Bから確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞(28.6個)に比べて、幹細胞前処理物質[インターフェロン-γ]を前処理した間葉系幹細胞の細胞(136個)のCFU-Fコロニー数が約476%増加した。
【0418】
実験例6.インターフェロン-γ処理によるエクソソーム生産効率の増加
【0419】
6-1.インターフェロン-γ処理によるエクソソーム数の増加
【0420】
ナノパーティクルトラッキングアッセイ(NanoSight NS300,Malvern)により、前記実施例で分離されたエクソソーム数を確認した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームの数を確認した。結果を、下記の表7、
図15及び
図16に示す。
【0421】
【0422】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、IFNγ MSC:インターフェロン-γ処理間葉系幹細胞)
【0423】
前記表7及び
図16から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[インターフェロン-γ]を前処理した間葉系幹細胞において約6.7倍多い数のエクソソームが生産された。
【0424】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、間葉系幹細胞が生産するエクソソームの数が増加することが分かる。
【0425】
6-2.インターフェロン-γ処理によるエクソソーム由来タンパク質量の増加
【0426】
エクソソームタンパク質分離キット(Total exosome RNA and protein isolation kit,Invitrogen)を用いて、前記実施例で分離されたエクソソームからタンパク質を分離し、ブラッドフォード分析(bradford analysis)を用いて595nmで吸光度を測定し、タンパク質を定量した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームからタンパク質を分離して定量した。結果を、下記の表8及び
図17に示す。
【0427】
【0428】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、IFNγ MSC:インターフェロン-γ処理間葉系幹細胞)
【0429】
前記表8及び
図17から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[インターフェロン-γ]を前処理した間葉系幹細胞において約6.2倍多い量のエクソソーム由来タンパク質が生産された。
【0430】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、エクソソームの数の他に、エクソソーム由来タンパク質(exosomal protein)の含有量も増加することが分かる。
【0431】
6-3.インターフェロン-γ処理によるエクソソーム由来RNA量の増加
【0432】
RNA分離用キット(Total exosome RNA and protein isolation kit,Invitrogen)を用いて、前記実施例で分離されたエクソソームから全エクソソームRNAを分離し、ナノドロップ(nanodrop)を用いてRNAの濃度を測定した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームから全エクソソームRNAを分離して濃度を測定した。結果を、下記の表9及び
図18に示す。
【0433】
【0434】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、IFNγ MSC:インターフェロン-γ処理間葉系幹細胞)
【0435】
前記表9及び
図18から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[インターフェロン-γ]を前処理した間葉系幹細胞において約5.0倍多い量のエクソソーム由来RNAが生産された。
【0436】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞処理すると、エクソソームの数の他に、エクソソーム由来RNA(exosomal RNA)の含有量も増加することが分かる。
【0437】
実験例7.テトランドリン処理による幹細胞機能強化
【0438】
7-1.テトランドリン処理による幹細胞増殖率(Proliferation)の増加
【0439】
100uL培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065)、10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]が含まれた96ウェルプレートに、間葉系幹細胞及び前記実施例のテトランドリンで前処理された間葉系幹細胞をそれぞれ、ウェル当たりに3000細胞ずつ播種(seeding)した後、24時間、CO2培養器で培養した。その後、CCK溶液(10uL/ウェル)を添加し、CO2培養器(incubator)で4時間培養した後、450nm(420~480nm)波長で吸光度を測定し、増殖率を確認した。
【0440】
図19から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[テトランドリン]を前処理した間葉系幹細胞の細胞増殖率が、1から2.6へと約260%増加した。
【0441】
7-2.テトランドリン処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強
【0442】
10mL培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065)、10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]が含まれた100mm細胞培養皿(dish)に、間葉系幹細胞及び前記実施例のテトランドリンで前処理された間葉系幹細胞をそれぞれ、皿当たりに1000細胞ずつ接種して21日間培養した。培養された細胞が付着した皿をPBSで2回洗浄し、常温で、約2分間95%メタノールで固定した。固定された細胞をPBSで3回洗浄した後、0.5%クリスタルバイオレット溶液[crystal violet(sigma,C-3886,USA)5g、メタノール100ml]を添加して5分間染色し、水で洗浄後に室温で乾燥させた。各皿で50個以上の細胞で構成されたコロニーの数を計数して比較した。
【0443】
図20A及び
図20Bから確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞(28.7個)に比べて、幹細胞前処理物質[テトランドリン]を前処理した間葉系幹細胞の細胞(121.3個)のCFU-Fコロニー数が約423%増加した。
【0444】
実験例8.テトランドリン処理によるエクソソーム生産効率の増加
【0445】
8-1.テトランドリン処理によるエクソソーム数の増加
【0446】
ナノパーティクルトラッキングアッセイ(NanoSight NS300,Malvern)により、前記実施例で分離されたエクソソーム数を確認した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームの数を確認した。結果を、下記の表10、
図21及び
図22に示す。
【0447】
【0448】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、Tet MSC:テトランドリン処理間葉系幹細胞)
【0449】
前記表10及び
図22から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[テトランドリン]を前処理した間葉系幹細胞において約4.3倍多い数のエクソソームが生産された。
【0450】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、間葉系幹細胞が生産するエクソソームの数が増加することが分かる。
【0451】
8-2.テトランドリン処理によるエクソソーム由来タンパク質量の増加
【0452】
エクソソームタンパク質分離キット(Total exosome RNA and protein isolation kit,Invitrogen)を用いて、前記実施例で分離されたエクソソームからタンパク質を分離し、ブラッドフォード分析(bradford analysis)を用いて595nmで吸光度を測定し、タンパク質を定量した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームからタンパク質を分離して定量した。結果を、下記の表11及び
図23に示す。
【0453】
【0454】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、Tet MSC:テトランドリン処理間葉系幹細胞)
【0455】
前記表11及び
図23から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[テトランドリン]を前処理した間葉系幹細胞において約4.5倍多い量のエクソソーム由来タンパク質が生産された。
【0456】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、エクソソームの数の他に、エクソソーム由来タンパク質(exosomal protein)の含有量も増加することが分かる。
【0457】
8-3.テトランドリン処理によるエクソソーム由来RNA量の増加
【0458】
RNA分離用キット(Total exosome RNA and protein isolation kit,Invitrogen)を用いて、前記実施例で分離されたエクソソームから全エクソソームRNAを分離し、ナノドロップ(nanodrop)を用いてRNAの濃度を測定した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームから全エクソソームRNAを分離して濃度を測定した。結果を、下記の表12及び
図24に示す。
【0459】
【0460】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、Tet MSC:テトランドリン処理間葉系幹細胞)
【0461】
前記表12及び
図24から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[テトランドリン]を前処理した間葉系幹細胞において約4.4倍多い量のエクソソーム由来RNAが生産された。
【0462】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、エクソソームの数の他に、エクソソーム由来RNA(exosomal RNA)の含有量も増加することが分かる。
【0463】
実験例9.ヒアルロン酸処理による幹細胞機能強化
【0464】
9-1.ヒアルロン酸処理による幹細胞増殖率(Proliferation)の増加
【0465】
100uL培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065)、10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]が含まれた96ウェルプレートに、間葉系幹細胞及び前記実施例のヒアルロン酸で前処理された間葉系幹細胞をそれぞれ、ウェル当たりに3000細胞ずつ播種(seeding)した後、24時間、CO2培養器で培養した。その後、CCK溶液(10uL/ウェル)を添加し、CO2培養器(incubator)で4時間培養した後、450nm(420~480nm)波長で吸光度を測定し、増殖率を確認した。
【0466】
図25から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[ヒアルロン酸]を前処理した間葉系幹細胞の細胞増殖率が、1から3.6へと約364%増加した。
【0467】
9-2.ヒアルロン酸処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強
【0468】
10mL培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065)、10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]が含まれた100mm細胞培養皿(dish)に、間葉系幹細胞及び前記実施例のヒアルロン酸で前処理された間葉系幹細胞をそれぞれ、皿当たりに1000細胞ずつ播種して21日間培養した。培養された細胞が付着した皿をPBSで2回洗浄し、常温で、約2分間95%メタノールで固定した。固定された細胞をPBSで3回洗浄した後、0.5%クリスタルバイオレット溶液[crystal violet(sigma,C-3886,USA)5g、メタノール100ml]を添加して5分間染色し、水で洗浄後に室温で乾燥させた。各皿で50個以上の細胞で構成されたコロニーの数を計数して比較した。
【0469】
図26A及び
図26Bから確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞(28.6個)に比べて、幹細胞前処理物質[ヒアルロン酸]を前処理した間葉系幹細胞の細胞(167.6個)のCFU-Fコロニー数が約586%増加した。
【0470】
実験例10.ヒアルロン酸処理によるエクソソーム生産効率の増加
【0471】
10-1.ヒアルロン酸処理によるエクソソーム数の増加
【0472】
ナノパーティクルトラッキングアッセイ(NanoSight NS300,Malvern)により、前記実施例で分離されたエクソソーム数を確認した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームの数を確認した。結果を、下記の表13、
図27及び
図28に示す。
【0473】
【0474】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、HA MSC:ヒアルロン酸処理間葉系幹細胞)
【0475】
前記表13及び
図28から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[ヒアルロン酸]を前処理した間葉系幹細胞において約5.2倍多い数のエクソソームが生産された。
【0476】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理時に、間葉系幹細胞が生産するエクソソームの数が増加することが分かる。
【0477】
10-2.ヒアルロン酸処理によるエクソソーム由来タンパク質量の増加
【0478】
エクソソームタンパク質分離キット(Total exosome RNA and protein isolation kit,Invitrogen)を用いて、前記実施例で分離されたエクソソームからタンパク質を分離し、ブラッドフォード分析(bradford analysis)を用いて595nmで吸光度を測定し、タンパク質を定量した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームからタンパク質を分離して定量した。結果を、下記の表14及び
図29に示す。
【0479】
【0480】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、HA MSC:ヒアルロン酸処理間葉系幹細胞)
【0481】
前記表14及び
図29から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[ヒアルロン酸]を前処理した間葉系幹細胞において約5.35倍多い量のエクソソーム由来タンパク質が生産された。
【0482】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、エクソソームの数の他に、エクソソーム由来タンパク質(exosomal protein)の含有量も増加することが分かる。
【0483】
10-3.ヒアルロン酸処理によるエクソソーム由来RNA量の増加
【0484】
RNA分離用キット(Total exosome RNA and protein isolation kit,Invitrogen)を用いて、前記実施例で分離されたエクソソームから全エクソソームRNAを分離し、ナノドロップ(nanodrop)を用いてRNAの濃度を測定した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームから全エクソソームRNAを分離して濃度を測定した。結果を、下記の表15及び
図30に示す。
【0485】
【0486】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、HA MSC:ヒアルロン酸処理間葉系幹細胞)
【0487】
前記表15及び
図30から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[ヒアルロン酸]を前処理した間葉系幹細胞において約5.3倍多い量のエクソソーム由来RNAが生産された。
【0488】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、エクソソームの数の他に、エクソソーム由来RNA(exosomal RNA)の含有量も増加することが分かる。
【0489】
実験例11.P物質処理による幹細胞機能強化
【0490】
11-1.P物質処理による幹細胞増殖率(Proliferation)の増加
【0491】
100uL培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065)、10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]が含まれた96ウェルプレートに、間葉系幹細胞及び前記実施例のP物質で前処理された間葉系幹細胞をそれぞれ、ウェル当たりに3000細胞ずつ播種(seeding)した後、24時間、CO2培養器で培養した。その後、CCK溶液(10uL/ウェル)を添加し、CO2培養器(incubator)で4時間培養した後、450nm(420~480nm)波長で吸光度を測定し、増殖率を確認した。
【0492】
図31から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[P物質]を前処理した間葉系幹細胞の細胞増殖率が、1から2.9へと約290%増加した。
【0493】
11-2.P物質処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強
【0494】
10mL培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065)、10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]が含まれた100mm細胞培養皿(dish)に、間葉系幹細胞及び前記実施例のP物質で前処理された間葉系幹細胞をそれぞれ、皿当たりに1000細胞ずつ播種して21日間培養した。培養された細胞が付着した皿をPBSで2回洗浄し、常温で、約2分間95%メタノールで固定した。固定された細胞をPBSで3回洗浄した後、0.5%クリスタルバイオレット溶液[crystal violet(sigma,C-3886,USA)5g、メタノール100ml]を添加して5分間染色し、水で洗浄後に室温で乾燥させた。各皿で50個以上の細胞で構成されたコロニーの数を計数して比較した。
【0495】
図32A及び
図32Bから確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞(28.7個)に比べて、幹細胞前処理物質[P物質]を前処理した間葉系幹細胞の細胞(116個)のCFU-Fコロニー数が約404%増加した。
【0496】
実験例12.P物質処理によるエクソソーム生産効率の増加
【0497】
12-1.P物質処理によるエクソソーム数の増加
【0498】
ナノパーティクルトラッキングアッセイ(NanoSight NS300,Malvern)により、前記実施例で分離されたエクソソーム数を確認した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームの数を確認した。結果を、下記の表16、
図33及び
図34に示す。
【0499】
【0500】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、SubsP MSC:P物質処理間葉系幹細胞)
【0501】
前記表16及び
図34から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[P物質]を前処理した間葉系幹細胞において約4.3倍多い数のエクソソームが生産された。
【0502】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、間葉系幹細胞が生産するエクソソームの数が増加することが分かる。
【0503】
12-2.P物質処理によるエクソソーム由来タンパク質量の増加
【0504】
エクソソームタンパク質分離キット(Total exosome RNA and protein isolation kit,Invitrogen)を用いて、前記実施例で分離されたエクソソームからタンパク質を分離し、ブラッドフォード分析(bradford analysis)を用いて595nmで吸光度を測定し、タンパク質を定量した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームからタンパク質を分離して定量した。結果を、下記の表17及び
図35に示す。
【0505】
【0506】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、SubsP MSC:P物質処理間葉系幹細胞)
【0507】
前記表17及び
図35から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[P物質]を前処理した間葉系幹細胞において約5.2倍多い量のエクソソーム由来タンパク質が生産された。
【0508】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、エクソソームの数の他に、エクソソーム由来タンパク質(exosomal protein)の含有量も増加することが分かる。
【0509】
12-3.P物質処理によるエクソソーム由来RNA量の増加
【0510】
RNA分離用キット(Total exosome RNA and protein isolation kit,Invitrogen)を用いて、前記実施例で分離されたエクソソームから全エクソソームRNAを分離し、ナノドロップ(nanodrop)を用いてRNAの濃度を測定した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームから全エクソソームRNAを分離して濃度を測定した。結果を、下記の表18及び
図36に示す。
【0511】
【0512】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、SubsP MSC:P物質処理間葉系幹細胞)
【0513】
前記表18及び
図36から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[P物質]を前処理した間葉系幹細胞において約4.9倍多い量のエクソソーム由来RNAが生産された。
【0514】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、エクソソームの数の他に、エクソソーム由来RNA(exosomal RNA)の含有量も増加することが分かる。
【0515】
実験例13.レスベラトロール処理による幹細胞機能強化
【0516】
13-1.レスベラトロール処理による幹細胞増殖率(Proliferation)の増加
【0517】
100uL培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065)、10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]が含まれた96ウェルプレートに、間葉系幹細胞及び前記実施例のレスベラトロールで前処理された間葉系幹細胞をそれぞれ、ウェル当たりに3000細胞ずつ播種(seeding)した後、24時間、CO2培養器で培養した。その後、CCK溶液(10uL/ウェル)を添加し、CO2培養器(incubator)で4時間培養した後、450nm(420~480nm)波長で吸光度を測定し、増殖率を確認した。
【0518】
図37から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[レスベラトロール]を前処理した間葉系幹細胞の細胞増殖率が、1から3.22へと約322%増加した。
【0519】
13-2.レスベラトロール処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強
【0520】
10mL培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065)、10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]が含まれた100mm細胞培養皿(dish)に、間葉系幹細胞及び前記実施例のレスベラトロールで前処理された間葉系幹細胞をそれぞれ、皿当たりに1000細胞ずつ播種して21日間培養した。培養された細胞が付着した皿をPBSで2回洗浄し、常温で、約2分間95%メタノールで固定した。固定された細胞をPBSで3回洗浄した後、0.5%クリスタルバイオレット溶液[crystal violet(sigma,C-3886,USA)5g、メタノール100ml]を添加して5分間染色し、水で洗浄後に室温で乾燥させた。各皿で50個以上の細胞で構成されたコロニーの数を計数して比較した。
【0521】
図38A及び
図38Bから確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞(28.6個)に比べて、幹細胞前処理物質[レスベラトロール]を前処理した間葉系幹細胞の細胞(311個)のCFU-Fコロニー数が約1087%増加した。
【0522】
実験例14.レスベラトロール処理によるエクソソーム生産効率の増加
【0523】
14-1.レスベラトロール処理によるエクソソーム数の増加
【0524】
ナノパーティクルトラッキングアッセイ(NanoSight NS300,Malvern)により、前記実施例で分離されたエクソソーム数を確認した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームの数を確認した。結果を、下記の表19、
図39及び
図40に示す。
【0525】
【0526】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、Resv MSC:レスベラトロール処理間葉系幹細胞)
【0527】
前記表19及び
図40から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[レスベラトロール]を前処理した間葉系幹細胞において約5.2倍多い数のエクソソームが生産された。
【0528】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、間葉系幹細胞が生産するエクソソームの数が増加することが分かる。
【0529】
14-2.レスベラトロール処理によるエクソソーム由来タンパク質量の増加
【0530】
エクソソームタンパク質分離キット(Total exosome RNA and protein isolation kit,Invitrogen)を用いて、前記実施例で分離されたエクソソームからタンパク質を分離し、ブラッドフォード分析(bradford analysis)を用いて595nmで吸光度を測定し、タンパク質を定量した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームからタンパク質を分離して定量した。結果を、下記の表20及び
図41に示す。
【0531】
【0532】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、Resv MSC:レスベラトロール処理間葉系幹細胞)
【0533】
前記表20及び
図41から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[レスベラトロール]を前処理した間葉系幹細胞において約5.4倍多い量のエクソソーム由来タンパク質が生産された。
【0534】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、エクソソームの数の他に、エクソソーム由来タンパク質(exosomal protein)の含有量も増加することが分かる。
【0535】
14-3.レスベラトロール処理によるエクソソーム由来RNA量の増加
【0536】
RNA分離用キット(Total exosome RNA and protein isolation kit,Invitrogen)を用いて、前記実施例で分離されたエクソソームから全エクソソームRNAを分離し、ナノドロップ(nanodrop)を用いてRNAの濃度を測定した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームから全エクソソームRNAを分離して濃度を測定した。結果を、下記の表21及び
図42に示す。
【0537】
【0538】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、Resv MSC:レスベラトロール処理間葉系幹細胞)
【0539】
前記表21及び
図42から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[レスベラトロール]を前処理した間葉系幹細胞において約4.7倍多い量のエクソソーム由来RNAが生産された。
【0540】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、エクソソームの数の他に、エクソソーム由来RNA(exosomal RNA)の含有量も増加することが分かる。
【0541】
実験例15.ラニフィブラノール処理による幹細胞機能強化
【0542】
15-1.ラニフィブラノール処理による幹細胞増殖率(Proliferation)の増加
【0543】
100uL培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065)、10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]が含まれた96ウェルプレートに、間葉系幹細胞及び前記実施例のラニフィブラノールで前処理された間葉系幹細胞をそれぞれ、ウェル当たりに3000細胞ずつ播種(seeding)した後、24時間、CO2培養器で培養した。その後、CCK溶液(10uL/ウェル)を添加し、CO2培養器(incubator)で4時間培養した後、450nm(420~480nm)波長で吸光度を測定し、増殖率を確認した。
【0544】
図43から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[ラニフィブラノール]を前処理した間葉系幹細胞の細胞増殖率が、1から1.81へと約181%増加した。
【0545】
15-2.ラニフィブラノール処理による幹細胞の幹細胞能(Stemness)の増強
【0546】
10mL培養培地[高グルコースDMEM(Gibco,Cat no.11995-065)、10%ウシ胎児血清(HyClone)、1% MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Gibco,Cat no.11140-050)]が含まれた100mm細胞培養皿(dish)に、間葉系幹細胞及び前記実施例のラニフィブラノールで前処理された間葉系幹細胞をそれぞれ、皿当たりに1000細胞ずつ播種して21日間培養した。培養された細胞が付着した皿をPBSで2回洗浄し、常温で、約2分間95%メタノールで固定した。固定された細胞をPBSで3回洗浄した後、0.5%クリスタルバイオレット溶液[crystal violet(sigma,C-3886,USA)5g、メタノール100ml]を添加して5分間染色し、水で洗浄後に室温で乾燥させた。各皿で50個以上の細胞で構成されたコロニーの数を計数して比較した。
【0547】
図44A及び
図44Bから確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞(40個)に比べて、幹細胞前処理物質[ラニフィブラノール]を前処理した間葉系幹細胞の細胞(56.7個)のCFU-Fコロニー数が約142%増加した。
【0548】
実験例16.ラニフィブラノール処理によるエクソソーム生産効率の増加
【0549】
16-1.ラニフィブラノール処理によるエクソソーム数の増加
【0550】
ナノパーティクルトラッキングアッセイ(NanoSight NS300,Malvern)により、前記実施例で分離されたエクソソーム数を確認した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームの数を確認した。結果を、下記の表22、
図45及び
図46に示す。
【0551】
【0552】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、Lani-MSC-Exo:ラニフィブラノール処理間葉系幹細胞)
前記表22及び
図46から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[ラニフィブラノール]を前処理した間葉系幹細胞において約4.95倍多い数のエクソソームが生産された。
【0553】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、間葉系幹細胞が生産するエクソソームの数が増加することが分かる。
【0554】
16-2.ラニフィブラノール処理によるエクソソーム由来タンパク質量の増加
【0555】
エクソソームタンパク質分離キット(Total exosome RNA and protein isolation kit,Invitrogen)を用いて、前記実施例で分離されたエクソソームからタンパク質を分離し、ブラッドフォード分析(bradford analysis)を用いて595nmで吸光度を測定し、タンパク質を定量した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームからタンパク質を分離して定量した。結果を、下記の表23及び
図47に示す。
【0556】
【0557】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、Lani-MSC-Exo:ラニフィブラノール処理間葉系幹細胞)
【0558】
前記表23及び
図47から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質[ラニフィブラノール]を前処理した間葉系幹細胞において約4.6倍多い量のエクソソーム由来タンパク質が生産された。
【0559】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、エクソソームの数の他に、エクソソーム由来タンパク質(exosomal protein)の含有量も増加することが分かる。
【0560】
16-3.ラニフィブラノール処理によるエクソソーム由来RNA量の増加
【0561】
RNA分離用キット(Total exosome RNA and protein isolation kit,Invitrogen)を用いて、前記実施例で分離されたエクソソームから全エクソソームRNAを分離し、ナノドロップ(nanodrop)を用いてRNAの濃度を測定した。このとき、比較のために、何ら前処理物質を処理していない以外は、実施例と同じ方法で分離されたエクソソームから全エクソソームRNAを分離して濃度を測定した。結果を、下記の表24及び
図48に示す。
【0562】
【0563】
(MSC:未処理間葉系幹細胞、Lani-MSC-Exo:ラニフィブラノール処理間葉系幹細胞)
【0564】
前記表24及び
図48から確認できるように、何ら物質を処理していない間葉系幹細胞に比べて、幹細胞前処理物質(ラニフィブラノール)を前処理した間葉系幹細胞において約4.1倍多い量のエクソソーム由来RNAが生産された。
【0565】
前記結果から、本発明に係る前記幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、エクソソームの数の他に、エクソソーム由来RNA(exosomal RNA)の含有量も増加することが分かる。
【0566】
結び
【0567】
本発明に係る幹細胞前処理物質(エキセンジン-4(Exendin-4)、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(Phorbol 12-myristate 13-acetate;PMA)、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)、テトランドリン(Tetrandrine)、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)、P物質(Substance P)、レスベラトロール(Resveratrol)又はラニフィブラノール(Lanifibranor))を間葉系幹細胞に処理すると、幹細胞の幹細胞能(Stemness)が増加することが分かる。また、本発明に係る幹細胞前処理物質を間葉系幹細胞に処理すると、エクソソームの数の他に、エクソソーム由来タンパク質(exosomal protein)の生産量も、エクソソーム由来RNA(exosomal RNA)の含有量も増加することが分かる。
【0568】
したがって、本発明に係る幹細胞前処理物質(エキセンジン-4(Exendin-4)、ホルボール12-ミリステート13-酢酸(Phorbol 12-myristate 13-acetate;PMA)、インターフェロン-ガンマ(Interferon-γ)、テトランドリン(Tetrandrine)、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)、P物質(Substance P)、レスベラトロール(Resveratrol)又はラニフィブラノール(Lanifibranor))は、幹細胞の幹細胞能を増強させる他に、幹細胞由来エクソソーム生成も促進させるので、優れた機能性を有する幹細胞の生産及びエクソソームの大量生産用途への使用が期待される。