(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078396
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】高周波ディテールを有する超音波システム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】有
【請求項の数】53
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047030
(22)【出願日】2023-03-23
(62)【分割の表示】P 2020525915の分割
【原出願日】2018-11-08
(31)【優先権主張番号】62/583,416
(32)【優先日】2017-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】399043060
【氏名又は名称】フジフィルム ソノサイト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】リウ、カイ ウェン
(72)【発明者】
【氏名】チャガレス、ニコラス クリストファー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高周波及び低周波超音波撮像トランスデューサを同時に支持するように設計される超音波撮像システムに関する。
【解決手段】超音波撮像システムは、1又は複数の低周波超音波アレイ及び1又は複数の高周波超音波アレイを有する二重周波数超音波トランスデューサと相互作用するように構成される。撮像システムは、高周波超音波アレイ及び低周波超音波撮像アレイの両方に、駆動パルスを生成する。アナログエコー信号が、同時に表示される低周波超音波画像及び高周波超音波画像を生成するために処理される。高周波超音波画像に示される組織は、低周波超音波画像内で示される組織の一部である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低周波数トランスデューサ及び高周波数トランスデューサを備える二重周波数トランスデューサと、
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサによって生成されるエコー信号を受信するための、並びに、前記低周波数トランスデューサによって受信されるエコー信号による低周波超音波画像、及び前記高周波数トランスデューサによって受信されるエコー信号による高周波超音波画像を生成するための処理回路と、
前記低周波超音波画像及び前記高周波超音波画像が同時に表示されるディスプレイと、
を備え、
前記低周波超音波画像が組織の領域を含み、前記高周波超音波画像が組織の領域のサブセットを含み、
表示された前記低周波超音波画像が、前記組織の領域のサブセットを示すグラフィックを含み、
前記高周波超音波画像内で捕捉された前記領域を変更するために、ユーザが前記低周波超音波画像内の前記グラフィックの位置を調整することができる、コントロールをさらに備え、
前記低周波超音波画像内の前記グラフィックの位置を調整することは、前記高周波超音波画像内で捕捉された前記領域を変更するために、送信及び受信ビームフォーミング信号パラメータの少なくとも一方を変更することである、
超音波撮像システム。
【請求項2】
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサが、同時に駆動される、
請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項3】
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサが、インタリーブされた駆動パルスによって駆動される、
請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項4】
前記高周波数トランスデューサのための複数の駆動パルスが、前記低周波数トランスデューサのための連続する駆動パルスの間で駆動される、
請求項3に記載の超音波撮像システム。
【請求項5】
前記高周波数トランスデューサによって得られた超音波データのフレームに、前記低周波数トランスデューサによって得られた超音波データのフレームがインタリーブされるように、前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサが駆動される、
請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項6】
前記低周波数トランスデューサによって得られた前記超音波データのフレームと、前記高周波数トランスデューサによって得られた前記超音波データのフレームとが、両方のフレームが前記ディスプレイ上に同時表示する準備ができるまで、前記超音波撮像システムのメモリ内に格納される、
請求項5に記載の超音波撮像システム。
【請求項7】
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサのための送信パルスを発生させる回路を制御するための制御論理と、
前記制御論理から制御信号を受信して、前記送信パルスを前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサ内のトランスデューサ素子に選択的に接続するマルチプレクサ、
をさらに備える、請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項8】
単一の送信チャネルの組及び単一の受信チャネルの組をさらに含み、
前記単一の送信チャネルの組が、前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサのための送信パルスを発生させることができ、
前記単一の受信チャネルの組が、前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサのいずれかより信号を受信することができる、
請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項9】
前記低周波数トランスデューサが、低周波超音波信号のバンドパスフィルタとして機能し、
前記高周波数トランスデューサが、高周波超音波信号のバンドパスフィルタとして機能する、
請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項10】
ユーザが、前記高周波数トランスデューサ内で使用される多数のトランスデューサ素子を増加又は減少させ、前記低周波数トランスデューサ内で使用される多数のトランスデューサ素子を増加又は減少させることができるコントロールをさらに備える、
請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項11】
前記低周波超音波画像が第1の画像モードにあり、
前記高周波超音波画像が第2の画像モードにある、
請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項12】
前記第1の画像モード及び前記第2の画像モードが、
二次元のBモード画像、
平面波画像、又は
カラーフロー画像、
をそれぞれ含む、
請求項11に記載の超音波撮像システム。
【請求項13】
低周波数トランスデューサ及び高周波数トランスデューサを備える二重周波数トランスデューサを含む超音波撮像システムを操作する方法であって、
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサからの超音波信号を送信することと、
低周波超音波画像を生成するために前記低周波数トランスデューサから受信されたエコー信号、及び高周波超音波画像を生成するために前記高周波数トランスデューサから受信されたエコー信号を処理することであって、前記低周波超音波画像が組織の領域を含み、前記高周波超音波画像が組織の領域のサブセットを含む、処理することと、
前記低周波超音波画像及び前記高周波超音波画像を同時に表示することであって、表示された前記低周波超音波画像が前記組織の領域のサブセットを示すグラフィックを含む表示することと、
前記高周波超音波画像内で捕捉された前記領域を変更するために、ユーザが前記低周波超音波画像内の前記グラフィックの位置を調整することができる、コントロールを提供することと、
を含み、
前記低周波超音波画像内の前記グラフィックの位置を調整することは、前記高周波超音波画像内で捕捉された前記領域を変更するために、送信及び受信ビームフォーミング信号パラメータの少なくとも一方を変更することである、方法。
【請求項14】
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサが、同時に駆動される、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサが、インタリーブされた駆動パルスによって駆動される、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記高周波数トランスデューサのための複数の駆動パルスが、前記低周波数トランスデューサのための連続する駆動パルスの間で駆動される、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記高周波数トランスデューサによって得られた超音波データのフレームに、前記低周波数トランスデューサによって得られた超音波データのフレームがインタリーブされるように、前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサが駆動される、
請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記低周波数トランスデューサによって得られた前記超音波データのフレームと、前記高周波数トランスデューサによって得られた前記超音波データのフレームとが、両方のフレームが同時表示する準備ができるまで、前記超音波撮像システムのメモリ内に格納される、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記超音波信号を送信することが、
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサのための送信パルスを発生させる回路を制御するための制御論理と、
前記制御論理から制御信号を受信して、前記送信パルスを前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサ内のトランスデューサ素子に選択的に接続するマルチプレクサ、
を使用して実行される、
請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記超音波信号を送信することが、単一の送信チャネルの組及び単一の受信チャネルの組を使用して実行され、
前記単一の送信チャネルの組が、前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサのための送信パルスを発生させることができ、
前記単一の受信チャネルの組が、前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサのいずれかより信号を受信することができる、
請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記低周波数トランスデューサが、低周波超音波信号のバンドパスフィルタとして機能し、
前記高周波数トランスデューサが、高周波超音波信号のバンドパスフィルタとして機能する、
請求項13に記載の方法。
【請求項22】
ユーザが、前記高周波数トランスデューサ内で使用される多数のトランスデューサ素子を増加又は減少させ、前記低周波数トランスデューサ内で使用される多数のトランスデューサ素子を増加又は減少させることができるコントロールを提供することをさらに含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記低周波超音波画像が第1の画像モードにあり、
前記高周波超音波画像が第2の画像モードにある、
請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の画像モード及び前記第2の画像モードが、
二次元のBモード画像、
平面波画像、又は
カラーフロー画像、
をそれぞれ含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
低周波数トランスデューサ及び高周波数トランスデューサを含んでいる二重周波数トランスデューサを含む超音波撮像システムの1又は複数のコンピューティングデバイスによって実行されるとき、
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサからの超音波信号を送信し、
組織の領域を含む低周波超音波画像を生成するために前記低周波数トランスデューサから受信されたエコー信号、及び組織の領域のサブセットを含む高周波超音波画像を生成するために前記高周波数トランスデューサから受信されたエコー信号を処理し、
前記組織の領域のサブセットを示すグラフィックを含む前記低周波超音波画像及び前記高周波超音波画像を同時に表示し、
前記高周波超音波画像内で捕捉された前記領域を変更するために、ユーザが前記低周波超音波画像内の前記グラフィックの位置を調整することができる、コントロールであって、前記低周波超音波画像内の前記グラフィックの位置を調整することは、前記高周波超音波画像内で捕捉された前記領域を変更するために、送信及び受信ビームフォーミング信号パラメータの少なくとも一方を変更することである、コントロールを提供する、
ように、動作可能なソフトウェアを具現化する、
1又は複数のコンピュータ可読非一過性記憶媒体。
【請求項26】
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサが、同時に駆動される、
請求項25に記載のコンピュータ可読非一過性記憶媒体。
【請求項27】
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサが、インタリーブされた駆動パルスによって駆動される、
請求項25に記載のコンピュータ可読非一過性記憶媒体。
【請求項28】
前記高周波数トランスデューサのための複数の駆動パルスが、前記低周波数トランスデ
ューサのための連続する駆動パルスの間で駆動される、
請求項27に記載のコンピュータ可読非一過性記憶媒体。
【請求項29】
前記高周波数トランスデューサによって得られた超音波データのフレームに、前記低周波数トランスデューサによって得られた超音波データのフレームがインタリーブされるように、前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサが駆動される、
請求項25に記載のコンピュータ可読非一過性記憶媒体。
【請求項30】
前記低周波数トランスデューサによって得られた前記超音波データのフレームと、前記高周波数トランスデューサによって得られた前記超音波データのフレームとが、両方のフレームが同時表示する準備ができるまで、前記超音波撮像システムのメモリ内に格納される、
請求項29に記載のコンピュータ可読非一過性記憶媒体。
【請求項31】
前記コンピュータ可読非一過性記憶媒体がさらに、
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサのための送信パルスを発生させる回路を制御するための制御論理と、
前記制御論理から制御信号を受信して、前記送信パルスを前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサ内のトランスデューサ素子に選択的に接続するマルチプレクサ、
を使用して超音波信号を送信するように動作可能である、
請求項25に記載のコンピュータ可読非一過性記憶媒体。
【請求項32】
前記コンピュータ可読非一過性記憶媒体がさらに、単一の送信チャネルの組及び単一の受信チャネルの組を使用して超音波信号を送信するように動作可能であり、
前記単一の送信チャネルの組が、前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサのための送信パルスを発生させることができ、
前記単一の受信チャネルの組が、前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサのいずれかより信号を受信することができる、
請求項25に記載のコンピュータ可読非一過性記憶媒体。
【請求項33】
前記低周波数トランスデューサが、低周波超音波信号のバンドパスフィルタとして機能し、
前記高周波数トランスデューサが、高周波超音波信号のバンドパスフィルタとして機能する、
請求項25に記載のコンピュータ可読非一過性記憶媒体。
【請求項34】
前記コンピュータ可読非一過性記憶媒体がさらに、ユーザが、前記高周波数トランスデューサ内で使用される多数のトランスデューサ素子を増加又は減少させ、前記低周波数トランスデューサ内で使用される多数のトランスデューサ素子を増加又は減少させることができるコントロールを提供するように動作可能である、
請求項25に記載のコンピュータ可読非一過性記憶媒体。
【請求項35】
前記低周波超音波画像が第1の画像モードにあり、
前記高周波超音波画像が第2の画像モードにある、
請求項25に記載のコンピュータ可読非一過性記憶媒体。
【請求項36】
前記第1の画像モード及び前記第2の画像モードが、
二次元のBモード画像、
平面波画像、又は
カラーフロー画像、
をそれぞれ含む、
請求項35に記載のコンピュータ可読非一過性記憶媒体。
【請求項37】
低周波数トランスデューサ及び高周波数トランスデューサを備える二重周波数トランスデューサと、
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサによって生成されるエコー信号を受信するための、並びに、前記低周波数トランスデューサによって受信されるエコー信号による第1の画像モードの低周波超音波画像、及び前記高周波数トランスデューサによって受信されるエコー信号による第2の画像モードの高周波超音波画像を生成するための処理回路と、
前記第1の画像モードの前記低周波超音波画像及び前記第2の画像モードの前記高周波超音波画像が同時に表示されるディスプレイ、
を備え、
前記低周波超音波画像が組織の領域を含み、前記高周波超音波画像が組織の領域のサブセットを含み、
表示された前記低周波超音波画像が、前記組織の領域のサブセットを示すグラフィックを含み、
前記高周波超音波画像内で捕捉された前記領域を変更するために、ユーザが前記低周波超音波画像内の前記グラフィックの位置を調整することができる、コントロールをさらに備え、
前記低周波超音波画像内の前記グラフィックの位置を調整することは、前記高周波超音波画像内で捕捉された前記領域を変更するために、送信及び受信ビームフォーミング信号パラメータの少なくとも一方を変更することである、超音波撮像システム。
【請求項38】
前記第1の画像モード及び前記第2の画像モードが、
二次元のBモード画像、
平面波画像、又は
カラーフロー画像、
をそれぞれ含む、
請求項37に記載の超音波撮像システム。
【請求項39】
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサが、同時に駆動される、
請求項37に記載の超音波撮像システム。
【請求項40】
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサが、インタリーブされた駆動パルスによって駆動される、
請求項37に記載の超音波撮像システム。
【請求項41】
前記高周波数トランスデューサによって得られた超音波データのフレームに、前記低周波数トランスデューサによって得られた超音波データのフレームがインタリーブされるように、前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサが駆動される、
請求項37に記載の超音波撮像システム。
【請求項42】
前記低周波数トランスデューサが、低周波超音波信号のバンドパスフィルタとして機能し、
前記高周波数トランスデューサが、高周波超音波信号のバンドパスフィルタとして機能する、
請求項37に記載の超音波撮像システム。
【請求項43】
低周波数トランスデューサ及び高周波数トランスデューサを備える二重周波数トランスデューサを含む超音波撮像システムを操作する方法であって、
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサからの超音波信号を送信することと、
第1の画像モードで低周波超音波画像を生成するために前記低周波数トランスデューサから受信されたエコー信号、及び第2の画像モードで高周波超音波画像を生成するために前記高周波数トランスデューサから受信されたエコー信号を処理することであって、前記低周波超音波画像が組織の領域を含み、前記高周波超音波画像が組織の領域のサブセットを含む、処理することと、
前記第1の画像モードの前記低周波超音波画像及び前記第2の画像モードの前記高周波超音波画像を同時に表示することであって、表示された前記低周波超音波画像が前記組織の領域のサブセットを示すグラフィックを含む表示することと、
前記高周波超音波画像内で捕捉された前記領域を変更するために、ユーザが前記低周波超音波画像内の前記グラフィックの位置を調整することができる、コントロールを提供することと、
を含み、
前記低周波超音波画像内の前記グラフィックの位置を調整することは、前記高周波超音波画像内で捕捉された前記領域を変更するために、送信及び受信ビームフォーミング信号パラメータの少なくとも一方を変更することである、方法。
【請求項44】
前記第1の画像モード及び前記第2の画像モードが、
二次元のBモード画像、
平面波画像、又は
カラーフロー画像、
をそれぞれ含む、
請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサが、同時に駆動される、
請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサが、インタリーブされた駆動パルスによって駆動される、
請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記高周波数トランスデューサによって得られた超音波データのフレームに、前記低周波数トランスデューサによって得られた超音波データのフレームがインタリーブされるように、前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサが駆動される、
請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記低周波数トランスデューサが、低周波超音波信号のバンドパスフィルタとして機能し、
前記高周波数トランスデューサが、高周波超音波信号のバンドパスフィルタとして機能する、
請求項43に記載の方法。
【請求項49】
低周波数トランスデューサ及び高周波数トランスデューサを含んでいる二重周波数トランスデューサを含む超音波撮像システムの1又は複数のコンピューティングデバイスによって実行されるとき、
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサからの超音波信号を送信し、
第1の画像モードで組織の領域を含む低周波超音波画像を生成するために前記低周波数トランスデューサから受信されたエコー信号、及び第2の画像モードで組織の領域のサブセットを含む高周波超音波画像を生成するために前記高周波数トランスデューサから受信されたエコー信号を処理し、
前記組織の領域のサブセットを示すグラフィックを含む前記第1の画像モードの前記低周波超音波画像及び前記第2の画像モードの前記高周波超音波画像を同時に表示し、
前記高周波超音波画像内で捕捉された前記領域を変更するために、ユーザが前記低周波超音波画像内の前記グラフィックの位置を調整することができる、コントロールであって、前記低周波超音波画像内の前記グラフィックの位置を調整することは、前記高周波超音波画像内で捕捉された前記領域を変更するために、送信及び受信ビームフォーミング信号パラメータの少なくとも一方を変更することである、コントロールを提供する、
ように、動作可能なソフトウェアを具現化する、
1又は複数のコンピュータ可読非一過性記憶媒体。
【請求項50】
前記第1の画像モード及び前記第2の画像モードが、
二次元のBモード画像、
平面波画像、又は
カラーフロー画像、
をそれぞれ含む、
請求項49に記載のコンピュータ可読非一過性記憶媒体。
【請求項51】
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサが、同時に駆動される、
請求項49に記載のコンピュータ可読非一過性記憶媒体。
【請求項52】
前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサが、インタリーブされた駆動パルスによって駆動される、
請求項49に記載のコンピュータ可読非一過性記憶媒体。
【請求項53】
前記高周波数トランスデューサによって得られた超音波データのフレームに、前記低周波数トランスデューサによって得られた超音波データのフレームがインタリーブされるように、前記低周波数トランスデューサ及び前記高周波数トランスデューサが駆動される、
請求項49に記載のコンピュータ可読非一過性記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権]
本出願は、米国特許法第119条(e)の元、2017年11月8日に出願された米国特許仮出願第62/583,416号の利益を主張するものであり、同仮出願は本明細書に参照取り込みされる。
【0002】
開示技術は撮像システム、特に超音波撮像システムに関する。
【背景技術】
【0003】
高周波及び超高周波超音波(10~50MHzの中心周波数)は、前臨床及び臨床撮像用途に使用されることが多い。高周波超音波の利点の1つは、その詳細な解像度にある。中心周波数50MHzのトランスデューサの場合、30μm程の小さい対象物を撮像することができる。しかしながら、そのような高周波による撮像には、欠点が存在する。
【発明の概要】
【0004】
超音波信号の周波数がより高くなるほど、そこでの減衰がより大きくなり、これにより撮像深度が制限される。例えば軟組織では、2MHzのトランスデューサからの信号は20cmにわたって透過して撮像することができるが、50MHzのトランスデューサからの信号は、使用に耐え得る深度が1cm未満の範囲となる。
【0005】
より良好な方位分解能を得るために、アレイ素子の間隔はできるだけ小さくしなければならない。1λ未満のトランスデューサ素子ピッチはリニアアレイに好ましく、1/2λ未満はフェーズドアレイに好ましい。一例として、256素子の50MHzアレイを使用すると、1λの素子間隔には、アレイの設置面積が1cm未満であることが要求される。その視界におけるアレイの寸法は、拡大倍率がより高くなるほど視界がより狭くなるであろうという点で、顕微鏡に類似している。
【0006】
現在の超音波撮像システムでは、低周波及び高周波超音波で組織を見るために、操作者は2種類の異なるタイプのトランスデューサの間で切り替えを行わなければならない。低周波数(LF)トランスデューサの使用は、より深くかつより広い視界を活用するものであり、これは、組織のより広い領域を、より少ないディテールで撮像するために使用され得る。これとは反対に、高周波数(HF)トランスデューサの使用は、操作者に良好なディテールで組織のより狭い領域を撮像することを可能にする。トランスデューサ間で切り替える必要があるのはあまり便利ではなく、2つの異なる画像検査を一致させるために、標識組織構造を同一方向で見つけ出すのには訓練が必要である。また、トランスデューサを交換することによって得られる画像検査は、異なるタイムスライスで取得されるため、得ることができる価値のある時間関連情報はほとんどない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】開示技術の実施形態による、二重周波数超音波撮像システムの簡略ブロック図である。
【
図2】開示技術の実施形態による、二重周波数超音波撮像システムのより詳細なブロック図である。
【
図3A】開示技術の一実施形態による、組み合わせられた低周波及び高周波の表示を示す。
【
図3B】開示技術による、組み合わせられた低周波及び高周波の表示の別の実施形態を示す。
【
図4A】開示技術の実施形態による、低周波及び高周波超音波画像を得るための試験設定の簡略図を示す。
【
図4B】開示技術の実施形態による、組織の低周波及び高周波画像を得る方法のタイミング図である。
【
図4C】開示技術の実施形態による、組織の低周波及び高周波画像を得る方法のタイミング図である。
【
図4D】開示技術の実施形態による、組織の低周波及び高周波画像を得る方法のタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上記で記載される問題に対処するため、開示技術は、高周波及び低周波超音波撮像トランスデューサを同時に支持するように設計される超音波撮像システムに関する。ユーザが、関心領域の組織及び組織のサブセットをさらなるディテールで見ることができるように、同一のトランスデューサによって得られる2つの同期又は非同期画像を構成して、スクリーン上に表示することができる。
【0009】
図1に示すように、超音波撮像システムは、二重周波数トランスデューサ10を含む。二重周波数トランスデューサは、1又は複数の低周波超音波トランスデューサアレイ12、及び1又は複数の高周波数トランスデューサアレイ14を有する。二重周波数トランスデューサの多くの構成が可能である。例えば、高周波数トランスデューサは、低周波数トランスデューサと直列に(後方又は前方に)配置することができる。1つの好適な二重周波数トランスデューサの設計は、同一出願人による2018年7月31日に出願された米国特許出願番号第16/051,060号に記載されており、同出願は本明細書に参照取り込みされる。あるいは、1又は複数の低周波数トランスデューサは、高周波数トランスデューサに対してオフセットに(隣接して)配置することができる。1つの好適な二重周波数トランスデューサの設計は、同一出願人による国際公開第2017/173414(A1)号、及び米国特許出願公開第2017/0282215号に記載されており、同出願はその全体が本明細書に参照取り込みされる。これらの出願は、低周波数トランスデューサアレイが高周波数トランスデューサアレイの後方に配置されているが、反射を低減するために低周波数トランスデューサアレイがわずかに異なる方向に面するように、方位及び仰角方向の1又は複数において角度付けられたトランスデューサの設計について記載している。別の実施形態では、低周波数トランスデューサアレイからのビームが高周波数トランスデューサアレイの結像面と交差するように、1又は複数の低周波数トランスデューサアレイを高周波数トランスデューサアレイに隣接するように配置することができる。そのような設計は、2017年9月1日に出願された米国特許仮出願第62/553,497号に記載されており、またその全体が参照取り込みされる。
【0010】
超音波撮像システム20は、二重周波数トランスデューサ10を駆動する信号又はパルスを提供し、検出されたエコー信号を処理する。超音波撮像システム20は、検査される組織の画像を生成するために、高周波数及び低周波数トランスデューサの両方と相互作用し、検出されたエコー信号を処理するように適合された電子部品を含む。一実施形態では、撮像システム20は、低周波数トランスデューサ12によって生成される電子エコー信号からの画像32と、高周波数トランスデューサ14によって生成される電子エコー信号からの画像34とを含む画像を、ビデオディスプレイ30上に生成する。低周波数トランスデューサからの画像32は、より少ないディテールを有するが、より広い視界をカバーする。これとは反対に、高周波数トランスデューサからの画像34は、さらにより多くのディテールを有するが、より狭い視界をカバーする。テレビジョンシステムのピクチャウインドウにおけるピクチャに類似した方法で、画像32、34は並べて示すことができるか、又は画像34が画像32の一部を取り込むことができるか、若しくはその逆も可能である。ユーザが、必要に応じて一度に画像のうちの1つだけを見ることができるように、いずれかの画像をディスプレイから削除することができる。いくつかの実施形態では、高周波数トランスデューサからの画像34に含まれる組織の領域は、低周波画像32において組織のどの部位が高周波超音波画像34で示されているのかをユーザが理解できる、点線ボックス38又はその他のグラフィック記号によって画像32に示される。
【0011】
いくつかの実施形態では、超音波撮像システムの操作者は、撮像システム20の1又は複数のユーザコントロール(キーボード、トラックボール、スライダ、タッチスクリーン、タッチパッド、タッチホイール等)を操作して、高周波画像34に示される組織領域を変更するために、低周波画像32内の点線ボックス38の位置を移動することができる(点線ボックスの領域が高周波数トランスデューサの視界より狭い場合)。いくつかの実施形態では、超音波撮像システム20は、同一チャネルを使用して、HF及びLFトランスデューサアレイのいずれかからの信号を処理することができるように、極めて広い帯域幅の送信(TX)及び受信(RX)チャネルで設計されている。マルチプレクサを介して接続された、別個のHF TX/RXチャネル及びLF TX/RXチャネルで設計することもできる。
【0012】
図2は、開示技術の実施形態による二重周波数超音波撮像システムの、さらなる詳細を示す。撮像システムは、プログラムされた命令を実行して、二重周波数トランスデューサ10に超音波信号を送信及び受信させるように構成される、システムコンピュータ100(例えば1又は複数のCPU)を含む。ビデオモニタ30に表示することが可能であり、及び/又はローカル若しくはリモートコンピュータ可読メモリデバイス112(ハードドライブ、フラッシュドライブ等)に格納することが可能な画素データに超音波データを変換するように構成される1又は複数のデジタル信号プロセッサ110と、コンピュータシステム100が相互作用する。また、グラフィックスプロセッサ120は、コンピュータシステム100と通信し、ビデオモニタ30上の超音波データの表示に関するコンピュータによるタスクを実行する。
【0013】
コンピュータシステム100は、トランスデューサ10からの超音波信号の送信及び受信を制御する、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)130と通信する。FPGA130は、トランスデューサに提供される送信パルスのタイミングを制御する、制御論理132を含む。FGPA130はまた、高周波ビームフォーミングのための論理134と、低周波ビームフォーミングのための論理136とを含む。ビームフォーミング論理134、136の出力は、無線周波数(RF)超音波信号を処理して、ビームフォーミングされた超音波信号をより低いベースバンド周波数にダウンコンバートするように構成されている、RF信号処理論理140に供給される。RF信号処理論理140の出力により、低周波及び高周波超音波画像を生成するために、グラフィックスプロセッサユニット120と連動して動作し、ゲイン調整、フィルタ処理、包絡線検波、ダイナミックレンジ圧縮(大部分の場合、ログ圧縮)、及びさらなる2D処理、続いて走査変換としてそのようなタスクを実行する、DSP110に信号が供給される。FPGA論理の詳細、及び対応する超音波画像をビデオモニタ上に生成するために、超音波撮像信号を処理するための技術は、当業者に公知であると見なされる。
【0014】
送信FPGA150は、低周波数トランスデューサ12のための駆動パルスを発生させるように構成される論理152、及び高周波数トランスデューサ14のための駆動パルスを発生させるように構成される論理154を含む。一実施形態では、送信FPGA150は、低周波数トランスデューサ内の128個のトランスデューサ素子に、又は高周波数トランスデューサ内の128素子に、又は低周波数及び高周波数トランスデューサのトランスデューサ素子間におけるスプリットに分配され得る128つの駆動パルスを、制御論理132から受信される制御信号によって指示される通りに発生させる。当然のことながら、さらに多くの数の、又はさらに少ない数のトランスデューサ素子を備えるトランスデューサアレイを使用することもできるということは理解されよう。加えて、低周波数及び高周波数トランスデューサが同じ数のトランスデューサ素子を有することは必須ではない。
【0015】
一実施形態では、HF及びLF駆動パルスは、同一のトリガ点で送信され、異なるトランスデューサ素子に分配される。低周波数及び高周波数トランスデューサ素子に印加されるパルスは同一である必要はないが、トランスデューサの周波数範囲に従って調整することができる。いくつかの実施形態では、HF及びLFのTX駆動パルスは、同時に、又は遅延を伴うが、同一のパルスエコーシーケンスで送信される。
【0016】
送信及び受信の間、HF及びLFのTXパルスは互いに重なり合うことになる。HF及びLFの周波数範囲が相互に十分離れている場合は、LF及びHF画像を同時に取得することができる。例えば、それぞれが100%の帯域幅を有する2MHz/20MHzの二重周波数アレイでは、受信される音響エコーは、1~3MHzの低周波成分と、10~30MHzの高周波成分との両方を有することになる。必然的に、アレイはバンドパスフィルタとして機能することになるが、さらなるフィルタ処理をアナログ又はデジタルで実行することもできる。
【0017】
送信FPGA150からの駆動パルスは、選択されたトランスデューサ素子に対象の組織に対して超音波の音響波を生成させるような方法で、駆動信号の電圧を増加させ、あるいはパルスを調節するように動作する、128チャネルの高周波/低周波送信ASIC160に印加される。
【0018】
一例示的実施形態では、ASIC160は、クワッド、5レベルRTZ、高電圧、超高速パルサーである、Hitachi/SIIより入手可能な部品番号HDL6V5541HFである。ASIC160は、論理インタフェース、レベルトランスレータ、MOSFET、ゲートドライブバッファ、及び高電圧、高電流MOSFETから構成される。ASICのパルス波形は、1.8V~5VのCMOS論理インタフェースによって制御される。パルス波形の周波数範囲は、1MHz~100MHzである。
【0019】
送信ASIC160からの調整された駆動パルスは、一実施形態では二重周波数トランスデューサ10のハウジング内に位置するN:1マルチプレクサ164に印加される。N:1マルチプレクサ164は、例えば128本の入力配線のそれぞれを、指定されたトランスデューサ素子に接続する。低周波数トランスデューサが128素子を有し、高周波数トランスデューサが128素子を有する場合、2:1マルチプレクサを使用して、128本の入力配線のそれぞれを低周波数又は高周波数トランスデューサ素子のいずれかに接続することができる。256素子の低周波数トランスデューサ及び128素子の高周波数トランスデューサが使用される場合は、3:1マルチプレクサを使用して、低周波数トランスデューサの下半分若しくは上半分のいずれかのトランスデューサ素子に、又は高周波数トランスデューサの素子に駆動パルスを向けることができる。さらに多くの、又はさらに少ない低周波数及び高周波数トランスデューサアレイを含む、その他の組み合わせが可能である。
【0020】
図示される実施形態では、マルチプレクサ164の制御は、FPGA130の制御論理132からの信号によってもたらされる。FPGA130の制御論理132は、パルスが生成されるときに、TX FPGA150によってどれだけの低周波及び高周波送信パルスが生成されるのかを指示し、適切な駆動パルスが適切なトランスデューサ素子に分配されるように、マルチプレクサ164の配置を設定するように構成される。
【0021】
受信経路において、超音波撮像システムは、送信段階の間にトランスデューサ素子に印加される高電圧パルスから、撮像システム内の受信回路を保護するために、FPGA130の制御論理132によって制御される送信/受信スイッチ170を含む。一実施形態では、送信/受信スイッチ170は、低周波数トランスデューサ内の選択されたトランスデューサ素子に、若しくは高周波数トランスデューサ内のトランスデューサ素子に接続することができるか、又は開放状態にすることができる128個の入力チャネルを有し、それによってスイッチが送信段階の間に任意のトランスデューサ素子から遮断される。送信/受信スイッチ170の各チャネルで受信されるエコー信号は、マルチプレクサ164の配置によって制御される。いくつかの実施形態では、低周波超音波トランスデューサは、高周波超音波信号に対してそれほど応答しない。同様に、高周波超音波トランスデューサは、低周波超音波信号に対してそれほど感度がない。従って、トランスデューサ自体が、信号のフィルタ処理をする最初の水準の機能を果たす。
【0022】
チャネルT/Rスイッチ170で受信される信号のさらなる処理は、低雑音増幅、時間利得制御(組織内での超音波信号の減衰を補償するために、時間利得補償によって増幅のレベルを変化させる)として、そのようなタスクを実行する受信ASIC180によって実行される。加えて、受信ASICは、アーチファクトを除去するためにフィルタ処理を実行する。
【0023】
一実施形態では、受信ASIC180は、高性能な広帯域幅の超音波フロントエンド受信器、及びフィルタである。ASIC180は、組織ハーモニックイメージング(THI)を可能にするために、高ダイナミックレンジ及び低歪みに最適化された低雑音増幅器(LNA)を含む。ハイパスフィルタ(HPF)は、THIの性能を向上させるために、高精度の周波数同調による4次応答を有する。その他の動作モードの間に電源を低減するために使用される、HPFのための2次動作モードも存在する。送信利得制御は、さらなる利得範囲制御をもたらし、ローパスフィルタ(LPF)の過負荷及び歪みを防止するために、追加の高精度のクリッパを有する。ローパスフィルタ(LPF)には2極動作モード及び4極動作モードの両方があり、また、高解像度で撮像するための精密なチャネル間の位相整合を可能にする、高精度な同調を有する。出力バッファ段は、全体的な信号経路利得のさらなる最適化制御のために、プログラム可能な利得制御を有する。ASIC180の構成は、SPI(シリアルペリフェラルインタフェース)バスを介する。
【0024】
制御論理132からの制御信号は、任意の特定チャネルで受信された信号を、低周波又は高周波超音波信号として処理すべきか否かを、受信ASIC180に通知する。各チャネルに実行される処理工程は、概して類似している。しかしながら、フィルタ係数、時間利得補償増幅及びその他の信号処理工程のための係数は、チャネルが低周波又は高周波超音波信号を受信するか否かに応じて、特定チャネルごとに設定されてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、HFチャネルからの信号はまとめられ、同一のプロセスを経由するが、HF画像を発生させるための異なるパラメータを備える。それらは、(専用FPGA論理リソースなどの)個別の処理リソースを使用することができるか、又は、同一リソースを共有するが、時間インタリーブすることができる。低周波数及び高周波数トランスデューサ素子の両方を同時に始動させる欠点は、アレイは受信中にバンドパスフィルタとして機能することができるものの、受信された信号の低周波成分は、HF信号の受信信号経路を圧倒するのに依然として十分に有効である可能性があるということである。
【0026】
受信ASIC180からの信号は、アナログ-デジタル(A/D)変換器190に供給される。A/D変換器190は、受信されたアナログ信号が高周波又は低周波超音波信号であるか否かをA/D変換器190に通知する信号を、制御論理132から受信する。受信されるエコー信号の周波数に応じて、A/D変換器190に対する適切な設定が選択され、アナログエコー信号は、対応するデジタルサンプルのストリームに変換される。
【0027】
ADC変換器は、Texas Instruments社から入手可能な、ADS52J90 A/D変換器などの、低出力、高性能、16チャネルのアナログ-デジタル変換器(ADC)である。A/D変換器の変換レートは、10ビットモードで最高100MSPSまで増加する。デバイスは、8、16又は32入力を受け入れるように構成することができる。8入力モードでは、2つのADCが同一入力をインタリーブ方式で変換し、その結果、最大200MHzとなる、ADC変換レートが2倍の有効サンプリングレートをもたらす。ADC出力は、フレームクロック及び高速ビットクロックと共にLVDSインタフェースを介してシリアル化され、出力される。構成インタフェースは、SPIバスである。一実施形態では、受信ASIC180からの128チャネルのうち、選択されたチャネルがA/D変換器190の入力に適用されるように、マルチプレクサ(図示せず)がA/D変換器190の前に置かれる。
【0028】
FPGA130への入力チャネルの低周波及び高周波エコー信号のデジタルサンプルは、信号を、エコー強度を示すサンプルを生成するための遅延和などの技術と、又は画像を構成するために使用されるビームラインの位置における信号のパワー若しくは位相シフトなどのその他の組織の特徴と組み合わせる、ビームフォーマ論理134、136に供給される。ビームフォーマ論理ブロック134、136は、容易に理解するために個別の論理ブロックとして示されているが、実装においては、入力チャネルを高周波又は低周波超音波信号として処理すべきか否かを指示するための制御入力部を備える、単一のビームフォーマ理論回路が、FPGA130に構成されていてもよいことを理解されよう。低周波及び高周波超音波エコーに対応するビームフォーミングされた信号は、RF信号処理論理140に分配される。ここでそれらはベースバンド周波数にダウンコンバートされ、続いてDSP画像プロセッサ110に供給されて、低周波超音波画像及び高周波超音波画像となる。
【0029】
上記で示される通り、低周波数トランスデューサからの超音波信号は、より深く検査対象の組織に透過することができ、このトランスデューサはより広い視界を有する。しかしながら、そのような低周波数トランスデューサ(例えば1~10MHz)によって撮像することができるディテールは限定的である。組織内の小さい機構、又は素早く移動する組織/体液は、低周波数トランスデューサからの信号を使用して解像することができない。一方で、高周波数トランスデューサは、より良好な解像度/速度で組織を撮像することができるが、より狭い視界を持つ。低周波数トランスデューサによって撮像される領域内で、さらなるディテールを見る機能をユーザに与えるために、開示技術は、低周波数及び高周波数トランスデューサによって生じた画像を生成し、同時に表示するように動作する。高周波数トランスデューサから生成される画像は通常、低周波数トランスデューサから生成される画像よりも多くのディテールを含んでいる。トランスデューサは同一のトランスデューサハウジング内に位置しているので、高周波数トランスデューサによって撮像される組織の領域は、低周波数トランスデューサによって撮像される領域のサブセットである。加えて、組織の低周波及び高周波画像が得られる間の時間差を最小化することができ、それによって同一の組織領域をそれぞれの画像内で同時に見ることができる。
【0030】
図3Aは、ディスプレイに示された、組み合わされた低周波及び高周波画像の一実施形態を示す。ディスプレイの左側には、低周波数トランスデューサから受信されるエコー信号によって得られた低周波超音波画像がある。ディスプレイの右側には、高周波数トランスデューサによって受信される超音波信号によって得られた、より多くのディテールの高周波超音波画像がある。図示される実施形態では、低周波超音波画像は、高周波超音波画像に含まれる組織の領域を示す、低周波超音波画像の一部に重畳する点線ボックスなどの視覚的標識又はグラフィックを含む。
【0031】
高周波数トランスデューサの視界が視覚的標識で囲まれた領域より広い場合、ユーザはユーザコントロールを操作して低周波画像上の視覚的標識の位置を変更し、高周波超音波画像に含まれる組織の領域を変更することができる。標識の位置は、超音波撮像機のキーボード、トラックボール、ジョイスティック、タッチ式スクリーン、タッチパッド、タッチホイール等などの入力デバイスによって変更することができる。当業者ならば周知のように、高周波超音波画像内で示される組織の領域を変更するために、低周波超音波画像のグラフィックの位置を変更することは、送信及び受信ビームフォーミング信号パラメータの一方又は両方に対する変化と相関する。
【0032】
図3Bは、コンベックス形の低周波超音波トランスデューサ又はフェーズドアレイ低周波数トランスデューサによって得られた、低周波超音波画像を示す。低周波超音波画像は、超音波トランスデューサの幅よりも最大幅においてより広い視界にわたる、従来の扇様の形状をしている。低周波超音波画像内において、視覚的標識又はグラフィックは、高周波数トランスデューサから送信され、かつそれによって受信される信号から得られた、高周波超音波画像に表示される組織の領域を示している。ここでもまた、視覚的標識又はグラフィックの位置を低周波超音波画像内で移動させて、高周波超音波画像で表示される組織の領域を変更することができる。
【0033】
図4B~4Dは、開示技術による、高周波及び低周波送信パルスをトリガするいくつかの代替法を図示している。一実施形態では、同一トリガによって高周波及び低周波送信パルスを発生させ、個々のトランスデューサ駆動パルスを定義された時間オフセットによって整列させるか、又は発生させるようにすることができる。対応するエコー信号は、同時に、又はほぼ同時に、高周波数トランスデューサアレイ及び低周波数トランスデューサアレイによって受信される。両アレイは帯域幅が限られているため、アレイの受信帯域幅内にない周波数範囲で受信されたエコー信号は、大部分はアレイ自体によって除去される。さらなるフィルタ処理を適用して、低周波及び高周波画像を生成するために使用されるエコー信号データを発生させることもできる。いくつかの実施形態では、処理することができるエコー信号の数は、低周波数又は高周波数トランスデューサの素子数より少ない。従って、組織の画像を生成するために、複数の送信パルスの組が必要とされ得る。制御論理132によって制御されるマルチプレクサ164の配置により、撮像システムによって低周波、高周波、又は組み合わせられた低/高周波超音波信号が得られたか否かに応じて、送信パルスが適切なトランスデューサ素子に向けられる。
【0034】
いくつかの実施形態では、同時にLF/HF撮像する間、画像を得るために使用されるトランスデューサ素子数は、異なるトランスデューサの寸法、所望の撮像深度、超音波撮像モード(例えばBモード、ドプラモード、パワーモード等)に基づいて、あらかじめ規定することができる。あるいは、低周波数及び高周波数トランスデューサに使用されるトランスデューサ素子数は、ユーザによって調整することができる。例えば、より多くのディテールが高周波画像において所望される場合、ユーザは、低周波画像を生成するために使用されるトランスデューサ素子数を対応して減少させることによって、使用される高周波数トランスデューサ素子数を増加させることができる。あるいは、低周波画像を生じさせるために使用される素子数を増加させ、高周波超音波画像を生じさせる際に使用される素子数を対応して減少させることができる。
【0035】
トランスデューサのビーム経路内にファントムワイヤを備える水槽の上に、二重周波数トランスデューサが配置されている、1つの好適な試験設定が
図4Aに示される。槽の領域の低周波画像が低周波超音波トランスデューサアレイによって得られる一方で、ワイヤファントムの、より多くのディテールの画像が高周波数トランスデューサアレイによって得られる。
【0036】
図4Bに示すように、低周波及び高周波送信パルスは同時に送信され、対応するエコー信号が同時に受信される。撮像システムの処理速度に応じて、連続する低周波超音波パルスの間に複数の高周波超音波パルスを送信することができる。これによって、早く移動する組織を高周波超音波で捕捉することができる一方で、それほど早く移動しない組織の、より広い領域を、低周波超音波で捕捉することができる。
【0037】
図4Cで示されるような別の実施形態では、高周波数トランスデューサアレイの送信パルスは、低周波数トランスデューサアレイの送信パルスの間にインタリーブされる。本実施形態では、システムは、一度低周波超音波信号を使用し、再度高周波超音波信号を使用して、それぞれのビームラインを2回走査する。
【0038】
開示技術によるさらに別の方法は、
図4Dに示すように、低周波及び高フレームをインタリーブすることである。例えば、完全な低周波超音波フレームの後に高周波超音波フレームを構成することが可能であり、又はその逆も可能である。両方のフレームがビデオモニタ上に同時に表示される準備ができるまで、フレームデータをメモリに格納することができる。特定の実施形態では、フレームは、それぞれのフレームのタイムスタンプに基づいて同時表示の準備をしてもよい。
【0039】
本開示技術は、従来の2Dのラインからラインへの走査(line-to-line scanning)に限定されない。送信パルスが焦束されず、受信中にRFチャネルデータを得る平面波撮像で使用することもできる。平面波撮像では、トランスデューサ素子のすべて又はその群が同時に励起され、素子のそれぞれからの対応するエコー信号に応答して発生した信号は、デジタル化されてRFメモリ(図示せず)に格納される。リアルタイムでフレームレートを遅延させないように、受信ビームフォーミングはオフラインで実行される。
【0040】
上記で示される通り、低周波及び高周波超音波画像は、2DのBモード画像に限定されない。いずれかの、又は両方の画像は、任意の画像モード、例えばカラーフローの高周波画像を有する低周波2D画像、高周波のカラーフロー画像を有する低周波のカラーフロー画像等であり得る。
【0041】
本明細書で記載される主題及び動作の実施形態は、本明細書で開示された構造及びそれらの構造的等価物を含む、デジタル電子回路で、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア若しくはソフトウェアで、又はそれらの1若しくは複数の組み合わせで実装され得る。本明細書で記載される主題の実施形態は、1又は複数のコンピュータプログラム、すなわち、データ処理装置によって実行するため、又はデータ処理装置の動作を制御するためにコンピュータ記憶媒体に符号化されている、コンピュータプログラム命令の1又は複数のモジュールとして実装され得る。
【0042】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶デバイス、コンピュータ可読記憶基板、ランダム若しくはシリアルアクセスメモリアレイ若しくはデバイス、又はそれらの1若しくは複数の組み合わせであり得るか、又はそれらに含まれ得る。さらに、コンピュータ記憶媒体は伝播信号ではないが、人工的に生成された伝播信号内に符号化されているコンピュータプログラム命令のソース又は宛先とすることができる。コンピュータ記憶媒体はまた、1又は複数の個別の物理的コンポーネント又は媒体(例えば、複数のCD、ディスク、若しくはその他の記憶デバイス)であり得るか、又はそれらに含まれ得る。本明細書で記載される動作は、1又は複数のコンピュータ可読記憶デバイス上に格納されるか、又はその他のソースから受信されたデータに対するデータ処理装置によって実行される動作として実装され得る。
【0043】
用語「プログラムされたプロセッサ、処理回路又はプログラム論理」は、一例として、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、システムオンアチップ、又は複数のもの、又は上述の組み合わせを含む、データを処理するためのすべての種類の装置、デバイス及び機械を包含する。装置は、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)を含み得る。
【0044】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト又はコードとしても知られている)は、コンパイラ型又はインタプリタ型言語、宣言型又は手順型言語を含む、あらゆる形式のプログラミング言語で書き込むことが可能であり、それは、スタンドアロンプログラム、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、又はコンピューティング環境で使用するのに好適なその他のユニットを含む、あらゆる形式で展開することが可能である。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応してもよいが、そうである必要はない。プログラムは、当該のプログラム専用の単一のファイルに、又は複数の調整ファイル(例えば、1又は複数のモジュール、サブプログラム、又はコードの部分を格納するファイル)に、その他のプログラム又はデータ(例えば、マークアップ言語文書に格納される1又は複数のスクリプト)を保存するファイルの一部に格納され得る。
【0045】
本明細書で記載されるプロセス及び論理フローは、1若しくは複数のコンピュータプログラムを実行するか、又は入力データの操作、及び出力の生成によってアクションを実行するように構成される、1若しくは複数のプログラムされたプロセッサ、又はプロセッサ論理によって実行することができる。プロセス及び論理フローはまた、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)によって実行され、装置をそのように実装することもできる。
【0046】
コンピュータプログラムを実行するのに好適なプロセッサには、一例として、汎用及び専用マイクロプロセッサの両方、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1又は複数のプロセッサが挙げられる。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリ又はランダムアクセスメモリ又は両方から命令及びデータを受け取る。コンピュータの不可欠な要素は、命令に従ってアクションを実行するためのプロセッサと、命令及びデータを格納するための1又は複数のメモリデバイスとである。一般に、コンピュータはまた、データを格納するための1又は複数の大容量記憶デバイス、例えば磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスク、又は不揮発性メモリ論理を含むか、又はそれらからデータを受信若しくはそれらにデータを転送するか、又はその両方を行うように動作可能に接続されている。しかしながら、コンピュータはそのようなデバイスを有する必要はない。コンピュータプログラム命令及びデータを格納するのに好適なデバイスには、一例として半導体メモリデバイス、例えばEPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイス、磁気ディスク、例えば内蔵ハードディスク又は取外し可能ディスク、光磁気ディスク、並びにCD-ROM及びDVD-ROMディスクを含む、あらゆる形式の不揮発性メモリ、媒体及びメモリデバイスが挙げられる。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって補完されるか、又はそれに組み込まれ得る。
【0047】
上述より、本発明の特定の実施形態を例示の目的で本明細書に記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能であることが理解されよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲によるものを除き、限定を受けるものではない。