(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078404
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】高密度実装のためのMEMSジェット射出構造
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
B41J2/14 605
B41J2/14 611
B41J2/14 609
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047956
(22)【出願日】2023-03-24
(62)【分割の表示】P 2021126444の分割
【原出願日】2010-07-02
(31)【優先権主張番号】61/224,847
(32)【優先日】2009-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502122794
【氏名又は名称】フジフィルム ディマティックス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ビブル
(72)【発明者】
【氏名】エッセン ケヴィン ヴォン
(72)【発明者】
【氏名】ポール エイ ホイジントン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】液体射出デバイスのフットプリントが小さくなるほど電気コンタクトに利用できるダイ上の面積が減少し得る。
【解決手段】液体射出器100は基板122及び基板から隔てられた層を有する液体射出モジュールを備える。基板はマトリックスに配列された複数の液体射出素子を有し、それぞれの液体射出素子はノズル126から液体を射出させるように構成される。基板から隔てられた層は複数の電気接続を有し、それぞれの電気接続は対応する液体射出素子に隣接する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体射出器において、
マトリクス状に配列されている複数の液体射出素子と、複数のノズルを有する第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面とを備える基板を有し、前記複数の液体射出素子のそれぞれは電極を有するとともに該液体射出素子に隣接するノズルから液体を射出させるように構成されている、液体射出モジュール、
前記液体射出モジュールから離間しており、前記基板に結合されており、かつギャップにより前記基板の前記第2の面から離間している底部面を含む集積回路インターポーザであって、該集積回路インターポーザが、前記複数の液体射出素子の各対応する液体射出素子に対し、該集積回路インターポーザを通る流入チャネルおよび流出チャネルを有するとともに、複数の集積スイッチ素子と、前記集積回路インターポーザの前記底部面上に延在する複数のリードとを有し、前記複数のリードの各々が前記複数の集積スイッチ素子の対応する集積スイッチ素子に電気的に接続している、集積回路インターポーザ、
前記液体射出モジュールの前記基板の前記第2の面と前記集積回路インターポーザの前記底部面の間の前記ギャップを横断して延在し、前記集積回路インターポーザの各リードを前記液体射出モジュールの対応する電極に電気的に接続する複数の電気接続、
各液体射出素子に対する一対の流路であって、前記第2の面と前記底部面の間の前記ギャップを横断して延在し、前記集積回路インターポーザ内の前記流入チャネルおよび前記流出チャネルを前記液体射出モジュールの前記ノズルに流体接続する、一対の流路、および
前記集積回路インターポーザの上面と結合したハウジング、
を備え、
前記集積回路インターポーザの前記流入チャネルが、前記ハウジング内に画定された流入チャンバと流体接続し、前記集積回路インターポーザの前記流出チャネルが、前記ハウジング内に画定された流出チャンバと流体接続している、
ことを特徴とする液体射出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は全般的に液体射出に関する。
【背景技術】
【0002】
超小型電気機械システム、すなわちMEMSベースデバイスは、加速度計、ジャイロスコープ、圧力センサまたは圧力変換器、ディスプレイ、光スイッチ及び液体射出器のような、様々な用途に用いることができる。一般に、1つ以上の個別素子が、絶縁材料、半導体材料または複合材料で形成されたダイのような、単一ダイ上に形成される。ダイは、フォトリソグラフィ、堆積及びエッチングのような、半導体プロセス技術を用いて処理することができる。
【0003】
液体射出デバイスは、それぞれがノズルから媒体上に液滴を射出できる複数のMEMSデバイスを有することができる。液滴を射出するために機械式アクチュエータを用いるいくつかのデバイスにおいて、ノズルはそれぞれ液体ポンピングチャンバを含む液路に液体流通可能な態様で連結される。液体ポンピングチャンバは、ポンピングチャンバの容積を一時的に変えて液滴の射出を引きおこす、アクチュエータによって作動される。媒体はダイに対して移動させることができる。特定のノズルからの液滴の射出は、媒体の所望の場所に液滴を配するために、媒体の移動にタイミングが合わせられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液滴射出モジュール内のノズルの密度は作製方法が改善されるにつれて向上してきた。例えば、シリコンウエハ上に作製されたMEMSベースデバイスは、フットプリントが小さく、従来のダイよりノズル密度より高い、ダイに形成される。小さいダイを構成する際の障害の1つは、そのようなデバイスのフットプリントが小さくなるほど電気コンタクトに利用できるダイ上の面積が減少し得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
全般に、一態様において、液体射出システムは、個別に制御可能な複数の液体射出素子及び、複数の液体射出素子が作動されたときに液体を射出するための、複数本のノズルを有する、プリントヘッドモジュールを備え、複数の液体射出素子及び複数のノズルは行と列を有するマトリックスをなして配列され、1平方インチ未満の面積に少なくとも550本のノズル(1cm2未満の面積に少なくとも85本のノズル)があり、それぞれの行においてノズルの間隔は一様である。
【0006】
上記及びその他の実施形態は必要に応じて以下の特徴の内の1つ以上を有することができる。1平方インチ未満の面積に550本と60000本の間のノズル(1cm2未満の面積に少なくとも85本と9300本の間のノズル)があり得る。1平方インチ未満の面積にほぼ1200本(1cm2未満の面積にほぼ186本)のノズルがあり得る。マトリックスは80列及び18行を有することができる。マトリックスは、媒体上に600dpi(23.6ドット/mm)より高い密度でピクセル線を形成するために単パスで媒体上にノズルから液滴が計量分配され得るようなマトリックスとすることができる。密度はほぼ1200dpi(47.2ドット/mm)とすることができる。列はプリントヘッドモジュールの幅に沿って配列することができて、幅は10mm未満であり、行はプリントヘッドモジュールの長さに沿って配列することができて、長さは30mmと40mmの間である。幅はほぼ5mmとすることができる。複数本のノズルを、液滴の大きさが0.1pLと100pLの間の液体を射出するように構成することができる。プリントヘッドモジュールはシリコンを含むことができる。液体射出素子は圧電部を有することができる。複数本のノズルを有するプリントヘッドの表面は平行四辺形として整形することができる。ノズルの幅は15μmより大きくすることができる。列と行の間の角度は90°未満とすることができる。
【0007】
全般に、一態様において、液体射出モジュールは、
複数のノズルがつくり込まれている第1の層、
それぞれ対応するノズルに液体流通可能な態様で連結されている複数のポンピングチャンバを有する第2の層、
及び
それぞれ付随するノズルを通してポンピングチャンバから液体を射出させるように構成される複数の液体射出素子、
を有し、
第1または第2の層の少なくとも一方は感光性フィルムを含む。
【0008】
上記及びその他の実施形態は必要に応じて以下の特徴の内の1つ以上を有することができる。複数本のノズルは1平方インチ未満の面積に550本と60000本の間のノズル(1cm2未満の面積に少なくとも85本と9300本の間のノズル)を含むことができる。液体射出素子は圧電部を有することができる。液体射出モジュールはさらに、複数の電気接続を備える、基板から隔てられた層を有することができ、電気接続は圧電領域にかけてバイアスを印加するように構成される。液体射出モジュールはさらに複数の液路を有することができ、それぞれの液路は液体流通可能な態様でポンピングチャンバに連結される。液体射出モジュールはさらに複数のポンピングチャンバ流入口及び複数のポンピングチャンバ流出口を有することができ、それぞれのポンピングチャンバ流入口及びそれぞれのポンピングチャンバ流出口は、液体流通可能な態様で複数の液路の内の1つの液路に連結される。ポンピングチャンバは行と列を有するマトリックスに配列することができる。列と行の間の角度は90°より小さくすることができる。それぞれのポンピングチャンバはほぼ円形とすることができる。それぞれのポンピングチャンバは複数の直壁を有することができる。感光性フィルムは、フォトポリマー、ドライフィルムフォトレジストまたは感光性ポリイミドを含むことができる。それぞれのノズルの幅は15μmより大きくすることができる。第1の層の厚さは50μmより薄くすることができる。第2の層の厚さは30μmより薄くすることができる。
【0009】
全般に、一態様において、液体射出器は基板及び基板によって支持される層を有する。基板は、
複数のポンピングチャンバ、
それぞれ液体流通可能な態様で複数のポンピングチャンバの内の1つのポンピングチャンバに連結される複数のポンピングチャンバ流入口及びポンピングチャンバ流出口、
及び
複数のノズル、
を有し、
複数のポンピングチャンバ、複数のポンピングチャンバ流入口及び複数のポンピングチャンバ流出口は同一平面に沿って配置され、
それぞれのポンピングチャンバは、ノズルに重ねて配置され、液体流通可能な態様でノズルに連結される。基板に支持される層は
層を貫通する複数の液路であって、それぞれの液路は複数のポンピングチャンバ流入口及び複数のポンピングチャンバ流出口の内の1つのポンピングチャンバ流入口または1つのポンピングチャンバ流出口から延び、それぞれの液路は軸に沿って延び、軸は平面に直交するものである液路、
及び
それぞれ対応するポンピングチャンバに重ねて配置され、ノズルを通して対応するポンピングチャンバから液体を射出させるように構成される、複数の液体射出素子、
を有する。
【0010】
上記及びその他の実施形態は必要に応じて以下の特徴の内の1つ以上を有する。基板はシリコンを含むことができる。液体射出素子は圧電領域を有することができる。液体射出素子はさらに、複数の電気接続を備える、基板から隔てられた層を有することができ、電気接続は圧電領域にかけてバイアスを印加するように構成される。それぞれのポンピングチャンバ流入口またはポンピングチャンバ流出口の幅は、それぞれのポンピングチャンバの幅の10%未満とすることができる。ポンピングチャンバ流入口及びポンピングチャンバ流出口は同じ軸に沿って延びることができる。ポンピングチャンバ流入口またはポンピングチャンバ流出口のそれぞれの幅は液路のそれぞれの幅より小さくすることができる。ポンピングチャンバは行と列を有するマトリックスに配列することができる。列と行の間の角度は90°より小さくすることができる。それぞれのポンピングチャンバはほぼ円形とすることができる。それぞれのポンピングチャンバは複数の直壁を有することができる。
【0011】
全般に、一態様において、液体射出器は基板及び層を有する。基板は複数のポンピングチャンバ及び複数本のノズルを有し、それぞれのポンピングチャンバは1本のノズルに重ねて配置され、そのノズルと液体流通可能な態様で連結される。層は基板のノズルとは逆の側にあって複数の液体射出素子を有し、それぞれの液体射出素子は対応するポンピングチャンバに隣接し、対応するノズルを通して対応するポンピングチャンバから液体を射出させるように構成され、液体射出素子からノズルまでの距離は30μm未満である。
【0012】
上記及びその他の実施形態は必要に応じて以下の特徴の内の1つ以上を有することができる。距離はほぼ25μmとすることができる。基板はシリコンを含むことができる。液体射出素子は圧電領域を有することができる。液体射出器はさらに、複数の電気接続を備える、基板から隔てられた層を有することができ、電気接続は圧電領域にかけてバイアスを印加するように構成される。ポンピングチャンバのそれぞれは、対応する液体射出素子から対応するノズルまでの距離の少なくとも80%である厚さを通して延びることができる。ポンピングチャンバのそれぞれの高さはポンピングチャンバの最短幅の50%未満とすることができる。ポンピングチャンバは行と列を有するマトリックスに配列することができる。列と行の間の角度は90°より小さくすることができる。それぞれのポンピングチャンバはほぼ円形とすることができる。それぞれのポンピングチャンバは複数の直壁を有することができる。
【0013】
全般に、一実施形態において、液体射出器は複数のポンピングチャンバ及び複数のノズルを有する基板を備え、それぞれのポンピングチャンバは1本のノズルに重ねて配置されてそのノズルと液体流通可能な態様で連結され、ポンピングチャンバの幅は約250μmであり、基板の1平方インチ当たり1000より多く(1cm2当たり155より多く)のポンピングチャンバがある。
【0014】
上記及びその他の実施形態は必要に応じて以下の特徴の内の1つ以上を有することができる。基板はシリコンを含むことができる。液体射出素子は圧電領域を有することができる。液体射出器はさらに、複数の電気接続を備える、基板から隔てられた層を有することができ、電気接続は圧電領域にかけてバイアスを印加するように構成される。ポンピングチャンバは行と列を有するマトリックスに配列することができる。列と行の間の角度は90°より小さくすることができる。それぞれのポンピングチャンバはほぼ円形とすることができる。それぞれのポンピングチャンバは複数の直壁を有することができる。
【0015】
全般に、一態様において、液体射出器は、基板及び基板から隔てられた層を有する液体射出モジュールを備える。基板はマトリックスに配列された複数の液体射出素子を有し、それぞれの液体射出素子はノズルから液体を射出させるように構成される。基板から隔てられた層は複数の電気接続を有し、それぞれの電気接続は対応する液体射出素子に隣接する。
【0016】
上記及びその他の実施形態は必要に応じて以下の特徴の内の1つ以上を有することができる。巣はさらに層を貫通する複数の液路を有することができる。複数の液路はバリア材料で被覆することができる。バリア材料には、チタン、タンタル、酸化シリコンまたは酸化アルミニウムを含めることができる。液体射出器はさらに、層と液体射出モジュールの間にバリア層を有することができる。バリア層にはSU8を含めることができる。層は複数の集積スイッチング素子を有することができる。層はさらに複数の集積スイッチング素子を制御するように構成されたロジックを有することができる。それぞれの液体射出素子は少なくとも1つのスイッチング素子に隣接して配置することができる。液体射出素子毎にスイッチング素子が2つあり得る。液体射出器はさらに複数の金バンプを有することができ、それぞれの金バンプは液体射出素子の電極に接触するように構成される。電極はリング電極とすることができる。
【0017】
全般に、一態様において、液体射出器は液体射出モジュール及び集積回路インターポーザを有する。液体射出モジュールは第1の複数の液路及び複数の液体射出素子を有する基板を備え、それぞれの液体射出素子は付随する液路のノズルから液体を射出させるように構成される。集積回路インターポーザは液体射出モジュールに搭載され、第1の複数の液路と液体が流通する第2の複数の液路を有し、集積回路インターポーザは、液体射出モジュールの電気接続によって、集積回路インターポーザに送られるべき信号の、液体射出モジュールへの送信、集積回路インターポーザ上での処理、及び複数の液体射出素子の内の少なくとも1つを駆動するための液体射出モジュールへの出力が可能になるように、液体射出モジュールと電気的に接続される。
【0018】
上記及びその他の実施形態は必要に応じて以下の特徴の内の1つ以上を有することができる。第2の複数の液路はバリア材料で被覆することができる。バリア材料には、チタン、タンタル、酸化シリコンまたは酸化アルミニウムを含めることができる。液体射出器はさらに集積回路インターポーザと液体射出モジュールの間にバリア層を有することができる。バリア層にはSU8を含めることができる。集積回路インターポーザは複数の集積スイッチング素子を有することができる。集積回路インターポーザはさらに複数の集積スイッチング素子を制御するように構成されたロジックを有することができる。それぞれの液体射出素子は少なくとも1つのスイッチング素子に隣接して配置することができる。液体射出素子毎にスイッチング素子が2つあり得る。液体射出器はさらに複数の金バンプを有することができ、それぞれの金バンプは液体射出素子の電極に接触するように構成される。電極はリング電極とすることができる。
【0019】
全般に、一態様において、液体射出器は液体射出モジュール及び集積回路インターポーザを有する。液体射出モジュールは、
それぞれノズルと液体が通じるポンピングチャンバを有する複数の液路を有する基板、
及び
それぞれ付随する液路のノズルから液体を射出するように構成される複数の液体射出素子、
を有し、軸がポンピングチャンバ及びノズルを通って第1の方向に延びる。集積回路インターポーザは複数の集積スイッチング素子を有し、集積回路インターポーザは複数の集積スイッチング素子のそれぞれが複数のポンピングチャンバの内のそれぞれ1つのポンピングチャンバと第1の方向に沿って揃えられるように液体射出モジュールに搭載され、集積スイッチング素子は、液体射出モジュールの電気接続によって、集積回路インターポーザに送られるべき信号の、液体射出モジュールへの送信、集積回路インターポーザ上での処理、及び複数の液体射出素子の内の少なくとも1つを駆動するための液体射出モジュールへの出力が可能になるように、液体射出モジュールと電気的に接続される。
【0020】
上記及びその他の実施形態は必要に応じて以下の特徴の内の1つ以上を有することができる。集積回路インターポーザはさらに集積回路インターポーザを貫通する複数の液路を有することができる。それぞれのポンピングチャンバは少なくとも1つの液路と液体流通可能な態様で連結することができ、この少なくとも1つの液路は第2の軸に沿って第1の方向に延び、第2の軸はポンピングチャンバを通って延びている第1の軸と異なる。それぞれのポンピングチャンバは2つの液路と液体流通可能な態様で連結することができる。複数の流路はバリア材料で被覆することができる。バリア材料には、チタン、タンタル、酸化シリコンまたは酸化アルミニウムを含めることができる。液体射出器はさらに集積回路インターポーザと液体射出モジュールの間にバリア層を有することができる。バリア層にはSU8を含めることができる。集積回路インターポーザはさらに複数の集積スイッチング素子を制御するように構成されたロジックを有することができる。液体射出素子毎にスイッチング素子が2つあり得る。液体射出器はさらに複数の金バンプを有することができ、それぞれの金バンプは液体射出素子の電極に接触するように構成される。電極はリング電極とすることができる。
【0021】
全般に、一態様において、液体射出器は、液体射出モジュール、液体射出モジュールに搭載されて液体射出モジュールに電気的に接続された集積回路インターポーザ、及びフレキシブル素子を備える。液体射出モジュールは、
それぞれノズルと液体流通可能な態様で接続されているポンピングチャンバを有する複数の液路を有する基板、
及び
それぞれ付随する液路のノズルから液体を射出させるように構成される複数の液体射出素子、
を有する。集積回路インターポーザは液体射出モジュールの幅より小さい幅を有し、よって液体射出モジュールはレッジを有する。フレキシブル素子は第1の縁端を有し、第1の縁端の幅は30μmより狭く、第1の縁端は液体射出モジュールのレッジに取り付けられる。フレキシブル素子は、液体射出モジュールの電気接続によって、フレキシブル素子から液体射出モジュールへの信号の集積回路インターポーザへの送信、集積回路インターポーザ上での処理、及び複数の液体射出素子の内の少なくとも1つを駆動するための液体射出モジュールへの出力が可能になるように、液体射出モジュールと電気的に接続されている。
【0022】
上記及びその他の実施形態は必要に応じて以下の特徴の内の1つ以上を有することができる。フレキシブル素子は液体射出モジュールの表面に取り付けることができ、表面は集積回路インターポーザに隣接する。フレキシブル素子はプラスチック基板上に形成することができる。フレキシブル素子はフレキシブル回路とすることができる。液体射出器はさらに、フレキシブル素子上の導電素子に隣接してこの導電素子と電気的に導通し、液体射出モジュール上の導電素子に隣接してこの導電素子と電気的に導通している、導電材料を有することができる。基板はシリコンを含むことができる。
【0023】
全般に、一態様において、液体射出器は、液体射出モジュール、液体射出モジュールに搭載されて液体射出モジュールに電気的に接続された集積回路インターポーザ、及び液体射出モジュールに取り付けられたフレキシブル素子を有する。液体射出モジュールは、
それぞれノズルと液体流通可能な態様で連結しているポンピングチャンバを有する複数の液路を有する基板、
及び
それぞれ付随する液路のノズルから液体を射出させるように構成される複数の液体射出素子、
を備える。集積回路インターポーザは液体射出モジュールの幅より広い幅を有し、よって集積回路インターポーザはレッジを有する。フレキシブル素子は集積回路インターポーザのレッジのまわりで液体射出モジュールに隣接して曲り、フレキシブル素子は、液体射出モジュールの電気的接続によって、フレキシブル素子から液体射出モジュールへの信号の集積回路インターポーザへの送信、集積回路インターポーザ上での処理、及び複数の液体射出素子の内の少なくとも1つを駆動するための液体射出モジュールへの出力が可能になるように、液体射出モジュールと電気的に接続されている。
【0024】
上記及びその他の実施形態は必要に応じて以下の特徴の内の1つ以上を有することができる。フレキシブル素子は液体射出モジュールの第1の表面に隣接することができ、第1の表面は液体射出モジュールの第2の表面に対して直交し、第2の表面は集積回路インターポーザに隣接する。フレキシブル素子はプラスチック基板上に形成することができる。フレキシブル素子はフレキシブル回路とすることができる。液体射出器はさらに、フレキシブル素子上の導電素子に隣接してこの導電素子と電気的に導通し、液体射出モジュール上の導電素子に隣接してこの導電素子と電気的に導通している、導電材料を有することができる。基板はシリコンを含むことができる。
【0025】
全般に、一態様において、液体射出器は、液体供給源及び液体回収槽、液体射出アセンブリ及びハウジングコンポーネントを有する。液体射出アセンブリは、第1の方向に延びる複数の第1の液路、第1の方向に延びる複数の第2の液路及び複数のポンピングチャンバを有し、それぞれのポンピングチャンバは単一の第1の液路及び単一の第2の液路に液体流通可能な態様で連結される。ハウジングコンポーネントは複数の液体流入路及び複数の液体流出路を有し、液体流入路のそれぞれは第2の方向に延びて供給源を第1の液路の内の1つ以上と連結し、複数の液体流出路のそれぞれは第2の方向に延びて回収槽を第2の液路の内の1つ以上と連結し、第1の方向は第2の方向に直交する。
【0026】
上記及びその他の実施形態は必要に応じて以下の特徴の内の1つ以上を有することができる。液体射出アセンブリはシリコン基板を有することができる。第1の流路は第2の流路と同じ形状を有することができる。液体流入路は液体流出路と同じ形状を有することができる。液体流入路及び液体流出路のそれぞれはハウジングコンポーネントの幅の少なくとも80%にわたって延びることができる。
【0027】
全般に、一態様において、液体射出器を作製する方法は、
複数のポンピングチャンバを形成するためにウエハをパターニングする工程であって、ポンピングチャンバは幅がほぼ250μmであり、ウエハ1平方インチ当たり1000より多くの(1cm2当たり155より多くの)ポンピングチャンバがある工程、
及び
ウエハ1平方インチ当たり3個より多くの(1000cm2当たり465個より多くの)ダイが形成されるように、ウエハを複数のダイに切り分ける工程、
を含む。
【0028】
上記及びその他の実施形態は必要に応じて以下の特徴の内の1つ以上を有することができる。ウエハは6インチ(152.4mm)径の円形ウエハとすることができ、ウエハ上にはそれぞれが少なくとも300のポンピングチャンバを有するダイを少なくとも40個形成することができる。ウエハは6インチ径円形ウエハとすることができ、ウエハからダイを88個形成することができる。ダイのそれぞれの形状は四辺形とすることができる。ダイのそれぞれの形状は平行四辺形とすることができる。平行四辺形の少なくとも1つのコーナーは90°より小さい角をなすことができる。それぞれのポンピングチャンバに圧電アクチュエータを付随させることができる。
【0029】
いくつかの実施形態は以下の利点の内の1つ以上を有することができる。被覆により液路と電子素子/回路の間の液漏れを低減または防止することができる。漏れの低減により、デバイスの有用寿命を長くすることができ、プリンタを一層頑丈にすることができ、修理のためのプリンタのダウンタイムを短くすることができる。30μmより薄い、例えば25μmのプリントチャンバ層を有することにより、液体がその層を迅速に通過し、約180kHzと390kHzの間のような、あるいはさらに高い、高固有周波数を有する液体射出デバイスを提供することができる。すなわち、液体射出デバイスは、高周波数、例えばデバイスの固有周波数近傍ないしさらに高い周波数、及び低電圧、例えば20V未満(例えば17V)で動作させることができる。周波数が高くなることで、同じ体積の液体をノズル幅を広くして射出することが可能になる。ノズル幅を広くすれば、ノズルを閉塞させないでおくことが容易になり、再現性を高くすることが容易になる。駆動電圧を低くすることで、デバイスの動作をさらに安全にし、所要使用エネルギーを少なくすることが可能になる。さらに、ポンピングチャンバを薄くすることで、ポンピングチャンバ層の形成に必要な材料が低減される。使用する材料、特にシリコンのようなそれなりに貴重な材料が少なくなれば、無駄が減り、デバイスコストが下がる。電気接続及び配線をダイから隔てられた層に移すことにより、ポンピングチャンバ及びノズルの密度を高めることが可能になる。この結果、単パスモードに対して、1200dpi(47.2ドット/mm)のような、600dpi(23.6ドット/mm)ないしさらに高い解像度の、またスキャンモードに対しては、4800dpi(189.0ドット/mm)または9600dpi(378.0ドット/mm)のような、1200dpiより高い解像度の、画像を印刷媒体上に形成することができ、ウエハ当たりにさらに多くの基板を形成することができる。デバイスはポンピングチャンバとノズルの間に下降流路を必要としない。下降流路がないことで、周波数応答を速め、ジェット流及び液体メニスカスの制御を向上させることができる。液体が射出するまでに通過しなければならない距離を短くすることで、射出される液体の量を一層容易に制御することができる。例えば、ポンピングチャンバとノズルの間の下降流路が無いから流路内にある液体が少なくなり、よって、ノズルを大きくしても、射出される液体の体積を小さくすることができる。デバイスのいくつかの層は、圧力波からいくらかのエネルギーを吸収することができる、しなやかな材料で形成することができる。エネルギーの吸収によりクロストークが低減され得る。ハウジングにある液体流入路及び液体流出路は、基板にある場合よりも流路間のクロストークを減じることができる。高密度実装されたノズル及び流路はクロストークを一層受け易いから、流入路及び流出路をハウジングに移すことで、ダイにデバイスをさらに高密度に実装することが可能になり得る。クロストークが減る結果、意図されていない液滴射出が減じる。ダイ内のデバイスをさらに多くすることにより、1インチ当たりのドット数を大きくするかまたは印刷解像度を高めることが可能になる。フレキシブル回路をその最も薄い縁端でボンディングすることにより、用いられるべきダイをさらに小さくすることができ、液体射出器内を通過している液体から電気接続を保護するための封止をより容易にすることが可能になる。さらに、フレキシブル回路を外側に沿わせずに直接にダイにボンディングすることで、隣接モジュールとさらに密接させることが可能になる。さらに、フレキシブル回路を曲げるのではなく、その最も薄い縁端で直接にボンディングすることにより、フレキシブル回路内の応力が低減される。
【0030】
1つ以上の実施形態の詳細は添付図面及び以下の記述で説明される。その他の特徴、態様及び利点は、記述、図面及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】
図2は例示液体射出器の簡略な断面図である。
【
図3】
図3は例示液体射出器の底部の斜視一部分解組立図である。
【
図5】
図5は例示液体射出器のノズル層を示す斜視底面図である。
【
図6-1】
図6は例示液体射出器のポンピングチャンバ層の斜視上部図である。
【
図6-2】
図6Aはポンピングチャンバの拡大上面図である。
【
図7】
図7は例示液体射出器のメンブラン層の上面図である。
【
図8】
図8は例示液体射出器のアクチュエータ層の一実施形態の斜視断面図である。
【
図9】
図9は例示液体射出器のアクチュエータ層の別の実施形態の上面図である。
【
図10】
図10は例示液体射出器の集積回路インターポーザの斜視底面図である。
【
図11】
図11は例示ダイに接合されたフレキシブル回路の一実施形態の略図である。
【
図12】
図12は例示液体射出モジュールに接合されたフレキシブル回路の別の実施形態の略図である。
【
図13】
図13は例示液体射出器の、フレキシブル回路、集積回路インターポーザ及びダイの接続図である。
【
図14】
図14は例示液体射出器のハウジング層の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
様々な図面における同様の参照数字及び指定は同様の要素を示す。
【0033】
デジタルインクジェット印刷のような、液滴射出中は、印刷画像における誤差及び欠陥を回避しながら、高速及び低コストで印刷することが望ましい。例えば、低コスト液体射出器は、ポンピングチャンバからノズルまで液量が通過しなければならない距離を減じることにより、ダイ内のアクチュエータからの液体の射出を制御するための、それぞれが対応する液体射出素子に隣接する、電気接続を有する、ダイから隔てられた、層を設けることにより、及び、ダイではなくハウジング内に液体流入路及び液体流出路を設けることにより、高速度で高品質画像を形成することができる。
【0034】
図1を参照すれば、例示液体射出器100は、半導体プロセス技術を用いて作製されたダイ103とすることができる、液体射出モジュール、例えば平行四辺形平板型プリントヘッドモジュールを有する。液体射出器は、以下でさらに論じられる、ダイ103に重なる集積回路インターポーザ104及び下部ハウジング322をさらに有する。ハウジング110が、ダイ103,集積回路インターポーザ104及び下部ハウジング322を支持して、囲み、ハウジング110はハウジング110をプリントバーに連結するためのピン152を有する取付けフレーム142を備えることができる。外部プロセッサからデータを受け取り、ダイに駆動信号を送るための、フレキシブル回路201をダイ103に直接接続することができ、ハウジングによって所定の場所に保持することができる。ダイ103に液体を供給するために下部ハウジング322内部の流入チャンバ132及び流出チャンバ136(
図4を見よ)に配管162及び166を連結することができる。液体射出器100から射出される液体はインクとすることができるが、液体射出器100はその他の液体、例えば、生物学的液体、ポリマー、または電子コンポーネントを形成するための液体にも適し得る。
【0035】
図2を参照すれば、液体射出器100は、基板122,例えばダイ103の一部である絶縁体上シリコン(SOI)ウエハ、及び集積回路インターポーザ104を有することができる。集積回路インターポーザ104は、トランジスタ202(
図2には射出デバイスが1つしか示されておらず、したがってトランジスタは1つしか示されていない)を有し、ノズル126からの液体の射出を制御するための信号を与えるように構成される。基板122及び集積回路インターポーザ104の内部には複数の液体流路(液路)124が形成されている。単液路124にはポンピングチャンバ174につながる流入チャネル176がある。ポンピングチャンバ174はノズル126及び流出チャネル172の両者につながる。液路124は、ポンピングチャンバ174を流入チャネル176及び流出チャネル172にそれぞれ連結する、ポンピングチャンバ流入口276及びポンピングチャンバ流出口272をさらに有する。液路は半導体プロセス技術、例えばエッチングによって形成することができる。いくつかの実施形態において、ダイ103の層内にある程度まで延びるかまたは層を完全に貫通する直壁構造を形成するために反応性深イオンエッチングが用いられる。いくつかの実施形態において、絶縁層284に隣接するシリコン層286が絶縁層をエッチ止めとして用いて貫通エッチングされる。ダイ103は、ポンピングチャンバ174の1つの壁を定め、ポンピングチャンバ174の内部をアクチュエータへの露出から封止する、メンブラン180を有することができる。絶縁層284のポンピングチャンバ174とは逆の側にノズル層184を配することができる。メンブラン180はシリコンの単層で形成することができる。あるいは、メンブラン180は1つまたはさらに多くの酸化物層を含むことができ、あるいは酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化アルミニウムまたは酸化ジルコニウム(ZrO
2)で形成することができる。
【0036】
液体射出器100は、基板122によって支持される、個別制御可能なアクチュエータ401も有する。複数のアクチュエータ401がアクチュエータ層324(
図3を見よ)を形成するとされ、アクチュエータ層324においてアクチュエータは相互に電気的及び物理的に隔てられているが、それでも、層の一部である。基板122は、必要に応じて、アクチュエータとメンブラン180の間に、酸化物のような、絶縁材料282の層を有する。起動されると、アクチュエータは対応する液路124のノズル126から液体を選択的に射出させる。アクチュエータ401が付随する液路124のそれぞれが個別制御可能なMEMS液体射出器ユニットを提供する。いくつかの実施形態において、アクチュエータ401の起動は、メンブラン180をポンピングチャンバ174内に偏向させ、ポンピングチャンバ174の容積を減じさせて、液体をノズル126から押し出す。アクチュエータ401は圧電アクチュエータとすることができ、下部電極190,圧電層192及び上部電極194を有することができる。あるいは、液体射出素子は加熱素子とすることができる。
【0037】
図3に示されるように、液体射出器100は縦積みされた複数の層を有することができる。下部ハウジング322は集積回路インターポーザ104に接合することができる。集積回路インターポーザ104はアクチュエータ層324に接合することができる。アクチュエータ層324はメンブラン180に取り付けることができる。メンブラン180はポンピングチャンバ層326に取り付けることができる。ポンピングチャンバ層326はノズル層184に取り付けることができる。一般に、層は同様の材料を含むかまたは同じ面に沿って存在する同様の素子を有する。層の全てはほぼ同じ幅を有することができ、例えば、それぞれの層は長さ及び長さの少なくとも80%の幅、及び液体射出器100の他の層の幅を有することができる。
図3には示されていないが、ハウジング110は縦積みされた層を少なくともある程度囲むことができる。
【0038】
図4を参照すれば、液体は、液体供給源から下部ハウジング322を流過し、集積回路インターポーザ104を流過し、基板103を流過して、ノズル層184のノズル126から流出することができる。下部ハウジング322は、分界壁130によって分割して、流入チャンバ132及び流出チャンバ136を設けることができる。液体供給源からの液体は液体流入チャンバ132に流入し、下部ハウジング322の床にある液体流入口101を流過し、下部ハウジング322の液体流入路476を流過し、液体射出モジュール103の液路124を流過し、下部ハウジング322の液体流出路472を流過し、流出口102を通って流出し、流出チャンバ136に流入して、液体回収槽に流れる。液体射出モジュール103を流過している液体の一部をノズル126から射出することができる。
【0039】
液体流入口101及び液体流入路476はそれぞれ、1つ、2つまたはさらに多くのユニット列のような、多くのMEMS流体射出ユニットの平行流入チャネル176に共通に液体流通可能な態様で連結される。同様に、液体流出口102及び液体流出路472はそれぞれ、1つ、2つまたはさらに多くのユニット列のような、多くのMEMS流体射出ユニットの平行流出チャネル172に共通に液体流通可能な態様で連結される。液体流入チャンバ132のそれぞれは複数の液体流入口101に共通である。また、液体流出チャンバ136のそれぞれは複数の液体流出口102に共通である。
【0040】
図5を参照すれば、ノズル層184はノズル126のマトリックスまたはアレイを有することができる。いくつかの実施形態において、ノズル126は直線平行行504及び直線平行列502に配列される。本明細書で用いられるように、列は、印刷方向に垂直であるよりも印刷方向に平行な軸に近付けて配列されたノズルのセットである。しかし、列502は印刷方向に正確に平行である必要はなく、むしろ45°より小さい角度でオフセットされるであろう。さらに、行は、印刷方向に平行であるよりも印刷方向に垂直な軸に近付けて配列されたノズルのセットである。同様に、行504は印刷方向に正確に垂直である必要はなく、むしろ45°より小さい角度でオフセットされるであろう。列502はノズル層184の幅Wにほぼ沿って延びることができ、行504はノズル層184の長さLにほぼ沿って延びることができる。
【0041】
マトリックス内の列502の数は、行504の数より多くすることができる。例えば、20より少ない行及び50より多い列、例えば18行及び80列があり得る。それぞれの行504のノズル126はその行内の隣のノズルとの間隔を等しくすることができる。同様に、それぞれの列のノズル126はその列内の隣のノズルとの間隔を等しくすることができる。さらに、行及び列は垂直方向に揃えられる必要はない。それどころか、行と列の間の角度を90°より小さくすることができる。行及び/または列は完全に間隔をとる必要はないであろう。さらに、ノズル126は行及び/または列をなして直線に沿って配される必要はないであろう。
【0042】
ノズルマトリックスは、1平方インチ(6.25cm2)より小さい面積内に、例えば550本と60000本の間のノズル、例えば1440本または1200本のノズルを有する、高密度マトリックスとすることができる。以下でさらに論じられるように、この高密度マトリックスは、例えば、別付けの集積回路インターポーザ104がアクチュエータを制御するためのロジックを有し、ポンピングチャンバ、したがってノズルを相互にさらに密接に近づけることができるから、達成することができる。すなわち、メンブランにかけて通る電気配線をメンブラン層から実質的に無くすことができる。
【0043】
ノズル126を有する領域は1インチ(25.4mm)より大きい長さLを有することができ、ノズル層の長さLは例えば約34mmとすることができ、またノズル層の幅Wは1インチより小さく、例えば約6.6mmとすることができる。ノズル層は20μm~40μmのような、1μmと50μmの間の、例えば30μmの、厚さを有することができる。ノズル126はKOHでエッチングすることができ、正方形または円形とすることができる。
【0044】
媒体がプリントバーの下方を通過するときに、高密度マトリックスのノズルは、媒体上にピクセルの線を、600dpiより高い、1200dpi以上のような、高密度、すなわち高印刷解像度で、形成するために、単パスで媒体上に液体を射出することができる。1200dpi以上の密度を得るため、大きさが0.01pLと10pLの間の、2pLのような液滴をノズルから射出することができる。ノズルの幅は10μmと20μmの間のような、1μmと20μmの間、例えば約15μmまたは15.6μmとすることができる。
【0045】
ノズル層184はシリコンで形成することができる。別の実施形態において、ノズル層184はポリイミドまたは、エッチングが必要とされないフォトリソグラフィでパターンを形成できる点で有利になり得る、フォトポリマー、ドライフィルムフォトレジストまたは感光性ポリイミドのような、感光性フィルムで形成することができる。
【0046】
図6を参照すれば、ノズル層184にポンピングチャンバ層326を隣接させる、例えば取り付けることができる。ポンピングチャンバ層326はポンピングチャンバ174を有する。それぞれのポンピングチャンバ174は付随するノズルから液体を押し出す変形可能な壁を少なくとも1つもつ空間とすることができる。ポンピングチャンバは可能な最大の実装密度を提供する形状をとることができる。
図6に示されるように、ポンピングチャンバ174はほぼ円形であり、一般に側壁602よって定めることができる。ポンピングチャンバは正確な円形ではなく、すなわち準円形であり、楕円形、または長円形とすることができ、あるいは六角形、八角形または多角形のような、直辺と曲辺の組合せを有することができる。さらに、ポンピングチャンバは、最長幅に沿って、約125μmから250μmのような、約100μmから400μmとすることができる。ポンピングチャンバ174の高さはポンピングチャンバの最短幅の50%未満とすることができる。
【0047】
それぞれのポンピングチャンバは、ポンピングチャンバから延び、ポンピングチャンバ層326に形成された、ポンピングチャンバ流入口276及びポンピングチャンバ流出口272を有することができる。ポンピングチャンバ流入口276及びポンピングチャンバ流出口272はポンピングチャンバ174と同じ平面に沿って延びることができ、互いに同じ軸に沿って通ることができる。ポンピングチャンバ流入口276及びポンピングチャンバ流出口272はポンピングチャンバ174よりかなり狭い幅を有することができ、この幅は流入口または流出口の最小平面寸法である。ポンピングチャンバ流入口276及びポンピングチャンバ流出口272の幅はポンピングチャンバ174の幅の30%未満、例えば10%未満とすることができる。ポンピングチャンバ流入口276及びポンピングチャンバ流出口272はポンピングチャンバ174から延びる平行壁を有することができ、平行壁間の距離が幅である。
図6Aに示されるように、ポンピングチャンバ流入口276の形状はポンピングチャンバ流出口272と同じとすることができる。
【0048】
ポンピングチャンバ層はポンピングチャンバ流入口276及びポンピングチャンバ流出口272並びに流入チャネル176及び流出チャネル172から独立なチャネルを有していない。言い換えれば、ポンピングチャンバ流入口276及びポンピングチャンバ流出口272を除いて、ポンピングチャンバ層を水平方向に通る液路はない。同様に、流入チャネル176及び流出チャネル172を除いて、ポンピングチャンバ層を垂直方向に通る液路はない。ポンピングチャンバ層326は下降流路、すなわちポンピングチャンバ174からノズル126に通るチャネルを有していない。それどころか、ポンピングチャンバ174はノズル層184のノズル126に直接に接する。さらに、流入チャネル176はダイ103をほぼ垂直方向に通ってポンピングチャンバ流入口276と交差する。ポンピングチャンバ流入口276は続いてポンピングチャンバ層326を水平方向に通ってポンピングチャンバ174と液体流通可能な態様で連結する。同様に、流出チャネル172はダイ103をほぼ垂直方向に通ってポンピングチャンバ流出口272と交差する。
【0049】
図6Aに、平面図で、示されるように、液体流入口176と交差するポンピングチャンバ流入口276の領域676及び液体流出口172と交差するポンピングチャンバ流出口272の領域672はポンピングチャンバ流入口276及びポンピングチャンバ流出口272の残余領域よりも幅を広くするかまたは直径を大きくすることができる。さらに、領域672及び676はほぼ円形の形状をとることができる。すなわち、流入チャネル176及び流出チャネル172はチューブ形状をとることができる。さらに、付随するノズル126は、ポンピングチャンバ174の直下に配して、ポンピングチャンバ174と中心を合わせることができる。
【0050】
図6に戻って参照すれば、ポンピングチャンバ174は行と列を有するマトリックスに配列することができる。列と行の間の角度は90°より小さくすることができる。1つのダイに、550と60000の間の数のポンピングチャンバを入れることができ、例えば1平方インチより小さい面積に1440または1200の数のポンピングチャンバを入れることができる。ポンピングチャンバの高さは50μm未満、例えば25μmとすることができる。さらに、
図2に戻って参照すれば、それぞれのポンピングチャンバ174は対応するアクチュエータ401と隣接する、例えば、アクチュエータ401と位置を合わせて直下に配されることができる。ポンピングチャンバは対応するアクチュエータからノズルまでの距離の少なくとも80%の距離にわたって延びることができる。
【0051】
ノズル層184と同様、ポンピングチャンバ層26はシリコンまたは感光性フィルムで形成することができる。感光性フィルムは、例えば、フォトポリマー、ドライフィルムフォトレジストまたは感光性ポリイミドとすることができる。
【0052】
メンブラン層180を、ポンピングチャンバ層326に隣接させる、例えば取り付けることができる。
図7を参照すれば、メンブラン層180はメンブラン層180を貫通する開口702を有することができる。開口は液路124の一部とすることができる。すなわち、流入チャネル176及び流出チャネル172は、メンブラン層180の開口702を通って延びることができる。したがって開口702は行と列を有するマトリックスを形成することができる。メンブラン層180は、例えばシリコンで形成することができる。メンブランは25μm未満のように比較的薄く、例えば約12μmとすることができる。
【0053】
アクチュエータ層324を、メンブラン層180に隣接させる、例えば取り付けることができる。アクチュエータ層はアクチュエータ401を有する。アクチュエータは加熱素子とすることができる。あるいは、アクチュエータ401は、
図2,8及び9に示されるように、圧電素子とすることができる。
【0054】
図2,8及び9に示されるように、それぞれのアクチュエータ401は、下部電極190及び上部電極194を含む、2つの電極の間の圧電層192を有する。圧電層192は例えばチタン酸鉛ジルコニウム(PZT)膜とすることができる。圧電層192の厚さは、約1μmと4μmの間のように、約1μmと25μmの間とすることができる。圧電層192はバルク圧電材料で形成することができ、あるいは物理的気相成長装置を用いるスパッタリングによるかまたはゾル-ゲル法によって形成することができる。スパッタ圧電層は柱状構造をとり得るが、バルク圧電層及びゾル-ゲル圧電層はよりランダムな構造をとり得る。いくつかの実施形態において、圧電層192は、
図8に示されるように、全てのアクチュエータの面内及び間にわたって拡がる連続圧電層である。あるいは、
図2及び9に示されるように、圧電層は、隣り合うアクチュエータの圧電領域が相互に接触しないように、例えば隣り合うアクチュエータを分離する間隙が圧電層にあるように、セグメントに分けることができる。例えば、圧電層192はほぼ円形につくられた島構造とすることができる。個々に形成された島構造はエッチングで作製することができる。
図2に示されるように、圧電層192が連続ではない場合に上部電極と下部電極の相互接触を防止するために、絶縁物層、例えばSU8または酸化物の層のような、底面保護層214を用いることができる。以降の処理工程中にアクチュエータを保護するため、及び/またはモジュールの動作中に水分からアクチュエータを保護するため、絶縁物層、例えばSU8または酸化物の層のような、上面保護層210を用いることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では駆動電極層である、上部電極194は導電材料で形成される。駆動電極として、上部電極194は、液体射出サイクル中の適切な時点に圧電層194にかけて電圧差を供給するために、コントローラに接続される。上部電極194はパターン形成された導電層を有することができる。例えば、
図8及び9に示されるように、上部電極194はリング電極とすることができる。あるいは、上部電極194は中央電極または内部電極及びリング電極をともに組み込んでいる二重電極とすることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では基準電極層である、下部電極190は導電材料で形成される。下部電極は接地することができる。下部電極はメンブラン層180に直接にパターン形成することができる。さらに、下部電極190は、
図8及び9に示されるように、複数のアクチュエータに共通とすることができて、複数の電極にかけて拡がることができる。上部電極194及び下部電極190は、金、ニッケル、ニクロム、銅、イリジウム、酸化イリジウム、白金、チタン、チタン-タングステン、酸化インジウムスズまたはこれらの組合せで形成することができる。本実施形態において、保護層210及び214は連続層であり、ポンピングチャンバ174に重なる孔及びリード222を有することができる。そのような構成においては、
図2に示されるように、保護層210及び214はアクチュエータ401のまわりだけに配置することができる。
図8に示されるように、接地接続のために圧電層192を貫通する接地開口812を形成することができる。あるいは、
図9に示されるように、下部電極190に沿って、例えば下部電極190のアクチュエータ層324の長さLに平行に通る部分に沿って、どこででも接地接続がなされ得るようにPZTをエッチング除去することができる。
【0057】
圧電層192は、上部電極194と下部電極190の間で圧電層192にかけて印加される電圧に応答して形状寸法を変えることができる。圧電層195の形状寸法変化によりメンブラン180が撓み、続いてポンピングチャンバ175の容積が変わり、ポンピングチャンバ内の液体に圧力がかかって、制御可能な態様でノズル126を通して液体を押し出す。
【0058】
図8に示されるように、アクチュエータ層324はさらに、以下で論じられるように、フレキシブル回路への接続のための入力電極810を有することができる。入力電極810はアクチュエータ層324の長さLに沿って延びる。入力電極810は、アクチュエータ層324の、上部電極194及び下部電極190と同じ表面に沿って配置することができる。あるいは、入力電極810はアクチュエータ層324の辺に沿って、例えば集積回路インターポーザ104への接合される表面に対して垂直な細長い表面上に、配置することができるであろう。
【0059】
図8及び9を参照すれば、圧電素子401は行と列からなるマトリックスに配列することができる(他の素子をさらに明瞭に示すことができるように、圧電素子401はいくつかしか示されていない)。開口802がアクチュエータ層324を貫通することができる。開口802は液路124の一部とすることができる。すなわち、流入チャネル176及び流出チャネル172はアクチュエータ層324の開口802を通って延びることができる。
図2及び8に示されるように、圧電材料がエッチング除去されていれば、開口802を形成するため、メンブラン層180と集積回路インターポーザ104の間に、SU8のような、バリア材料806を配置することができる。言い換えれば、バリア材料806は、開口802がそれを通して延びることができる、バンプとして形成することができる。以下で論じられるように、バリア材料806は、圧電層が中実層である場合に、
図9に示されるように、電子素子を液漏れから保護するための封止材としてはたらかせるために用いることもできるであろう。以下でさらに論じられるように、アクチュエータ層324はアクチュエータ401のまわりを通る配線または電気接続を有していない。それどころか、アクチュエータを制御する配線は集積回路インターポーザ104に配置される。
【0060】
集積回路インターポーザ104はアクチュエータ層401に隣接させることができ、いくつかの例ではアクチュエータ層401に取り付けることができる。集積回路インターポーザ104はアクチュエータ401の動作を制御するための信号を与えるように構成される。
図10を参照すれば、集積回路インターポーザ104は、例えば半導体製造技術によって、集積回路が形成されているマイクロチップとすることができる。いくつかの実施形態において、集積回路インターポーザ104は特定用途集積回路(ASIC)素子である。集積回路インターポーザ104はアクチュエータ制御信号を与えるためのロジックを有することができる。
【0061】
図10をまだ参照すれば、集積回路インターポーザ104は複数の、トランジスタのような、集積スイッチング素子202を有することができる。集積スイッチング素子202は行と列からなるマトリックスに配列することができる。一実施形態において、アクチュエータ401毎に集積スイッチング素子202が1つある。2つの集積回路素子202を備えれば、所要電圧が1/2になるように、第1のトランジスタで対応するアクチュエータの一部分を駆動し、第2のトランジスタでそのアクチュエータの別の部分を駆動するための、あるいは単トランジスタよりも複雑な波形を可能にするようなアナログスイッチをつくるための、冗長性を提供するために有益であり得る。さらに、4つの集積回路素子202を用いれば、冗長アナログスイッチを得ることができる。単集積回路素子202または複数の集積回路素子202は、対応するアクチュエータ401に隣接して、または対応するアクチュエータ401の上に、配置することができる。すなわち、ノズル126を通り、ポンピングチャンバ174を通り、トランジスタをまたは2つのスイッチング素子の間を通って、軸が延びることができる。それぞれのスイッチング素子202は、アクチュエータ401の内の1つの上部電極194を駆動信号源に選択的に接続するためのオン/オフスイッチとしてはたらく。駆動信号電圧は集積回路インターポーザ104の内部ロジックによって伝えられる。
【0062】
集積回路インターポーザ104の集積スイッチング素子202,例えばトランジスタはリード222a、例えば金バンプを介してアクチュエータ401に接続することができる。集積回路インターポーザ104の縁に沿ってリード222b、例えば金バンプ、の群を配列することができる。それぞれの群は多くのリード222b、例えば3つのリード222bを含むことができる。集積スイッチング素子202の列毎に1つのリード222b群があり得る。リード222bは集積回路インターポーザ104のロジックを、例えばアクチュエータ層324の接地開口812を通して、ダイ103上の接地電極190に接続するように構成することができる。さらに、集積回路インターポーザ104の縁の近傍にリード222c、例えば金バンプを配置することができる。リード222cは、以下で論じられるように、集積回路インターポーザ104のロジックをフレキシブル回路201との接続のための入力電極810に接続するように構成することができる。リード222a,222b,222cは基板の、ポンピングチャンバに重ならない、領域に配置される。
【0063】
図10に示されるように、集積回路インターポーザ104は、集積回路インターポーザ104を貫通する、開口902を有することができる。この開口は、層の電気接続のための余地を残すために、集積回路インターポーザ104の集積スイッチング素子202を有する側の近傍で、反対側よりも狭くすることができる。開口902は液路124の一部とすることができる。すなわち、流入チャネル176及び流出チャネル172は、集積回路インターポーザ104の開口902を通って延びることができる。液路124と、集積回路インターポーザ104のロジックのような、電子素子/回路の間の液漏れを防止するため、液路124は、良好な酸素バリアを提供し、液路を通す流体の輸送を容易にするために良好な濡れ特性を有する、金属、例えばチタンまたはタンタル、あるいは非金属材料、例えば、酸化シリコン、減圧化学的気相成長(LPCVD)酸化物、酸化アルミニウム、または窒化シリコン/酸化シリコンのような、材料で被覆することができる。被覆は、電気メッキ、スパッタリング、CVDまたはその他の堆積プロセスによって施すことができる。さらに、集積回路素子のロジックを液漏れから保護するためにバリア材料806を用いることができる。別の実施形態において、集積回路インターポーザ104とダイ103の間に、スピンコーティングによるように、バリア層、例えばSU8を配することができるであろう。バリア層は、集積回路インターポーザ104及びダイ103の長さ及び幅の全て、またはほぼ全てにかけて、拡がることができ、開口902の開口を残すようにパターンを形成することができる。
【0064】
液体射出器100はさらにフレキシブルプリント回路すなわちフレキシブル回路201を有することができる。フレキシブル回路201は、例えばプラスチック基板上に形成することができる。フレキシブル回路201は液体射出器100をプリンタシステムまたはコンピュータ(図示せず)に電気的に接続するように構成される。フレキシブル回路201は、液体射出素子、例えばアクチュエータ401を駆動するためにダイ103に、プリンタシステムの外部プロセスのための、画像データ及びタイミング信号のような、データを送るために用いられる。
【0065】
図11及び12に示されるように、フレキシブル回路201は、接着剤、例えばエポキシ樹脂によるように、アクチュエータ層324に接合することができる。一実施形態において、
図11に示されるように、アクチュエータ層324は集積回路インターポーザ104の幅wより広い幅Wを有することができる。したがってアクチュエータ層324は集積回路インターポーザ104から張り出して、レッジ912を形成することができる。フレキシブル回路201は、アクチュエータ層324に接触している表面に対して直交する集積回路インターポーザ104の縁端がフレキシブル回路201に平行に延びるように、集積回路インターポーザ104の横に延びることができる。フレキシブル回路201は厚さtを有する。フレキシブル回路201は厚さtよりかなり大きな高さ及び幅を有することができる。例えば、フレキシブル回路201の幅はほぼ、33mmのような、ダイの長さとすることができ、厚さtは12μmと100μmの間のような、25~50μmのような、100μm未満、例えばほぼ25μmとすることができる。例えば厚さtを有する、最も狭い縁端をアクチュエータ層324の上面に、例えば集積回路インターポーザ104に接合されるアクチュエータ層324の表面に、接合することができる。
【0066】
図12に示される別の実施形態において、集積回路インターポーザ104はダイのアクチュエータ層324の幅Wより広い幅wを有することができる。したがって、集積回路インターポーザ104はアクチュエータ層324から張り出して、レッジ914を形成することができる。フレキシブル回路201はインターポーザ104への取付けのために曲がってレッジ94を回り込むことができる。すなわち、フレキシブル回路201は、アクチュエータ層324に接している表面に直交する集積回路インターポーザ104の縁端がフレキシブル回路201の一部に平行に延びるように、集積回路インターポーザ104の横に延びることができる。フレキシブル回路201は、フレキシブル回路201の一部が集積回路インターポーザ104の底面、すなわちアクチュエータ層324に接する表面に、取り付くように、曲がってレッジ194をも回り込むことができる。
図11に示される実施形態と同様に、フレキシブル回路は厚さtよりかなり大きい高さ及び幅を有することができる。例えば、フレキシブル回路201の幅はほぼ、33mmのような、ダイの長さとすることができ、厚さtは12μmと100μmの間のような、25~50μmのような、100μm未満、例えばほぼ25μmとすることができる。例えば厚さtを有する、最も狭い縁端は、アクチュエータ層324に、例えば集積回路インターポーザ104に接合されるアクチュエータ層324の表面に直交するアクチュエータ層324の表面に隣接することができる。
【0067】
図示されてはいないが、フレキシブル回路201は安定性のために基板103に隣接することができる。フレキシブル回路201はアクチュエータ層324上の入力電極810に電気的に接続することができる。ハンダのような、導電材料の小さなビードを用いて、フレキシブル回路201を入力電極に電気的に接続することができる。最後に、流体射出器100毎にフレキシブル回路は1つしか必要ではない。
【0068】
フレキシブル回路201,集積回路インターポーザ104及びダイ103の接続図が
図13に示される。フレキシブル回路201からの信号は、入力電極810を介して送り出され、リード222cを介して集積回路インターポーザ104に送られて、集積回路素子202におけるように、集積回路インターポーザ104上で処理され、リード222aに出力されてアクチュエータ401の上部電極194を賦活し、よってアクチュエータ401を駆動する。
【0069】
集積回路素子222には、データフリップフロップ、ラッチフリップフロップ、ORゲート及びスイッチを含めることができる。集積回路インターポーザ104のロジックは、クロック線、データ線、ラッチ線、オール-オン線及び電力線を有することができる。データ線を介してデータフリップフロップにデータを送ることによって信号が処理される。次いでデータが入力されるとクロック線がデータをクロックする。データは、第1のフリップフロップに入力されたデータのダイ1ビットが、データの次のビットが入力されるとシフトダウンされるように、シリアルに入力される。データフリップフロップの全てがデータを得た後、データをデータフリップフロップからラッチフリップフロップに移し、液体射出素子401上に送るために、ラッチ線を介してパルスが送られる。ラッチフリップフロップからの信号が「ハイ」であれば、スイッチはオンになり、液体射出素子401を駆動するために信号を通過させる。信号が「ロー」であれば、スイッチはオフのままであり、流体射出素子401は起動されない。
【0070】
上述したように、液体射出器100はさらに、
図14に示される下部ハウジング322を有することができる。液体流入口101及び液体流出口102が下部ハウジング322の長さlに沿う2本の平行液路で延びることができる。それぞれの、すなわち液体流入口101または液体流出口102の、液路は下部ハウジング322の端近くを延びることができる。
【0071】
縦方向液体流入口101は下部ハウジング322の横方向液体流入路476につながることができる。同様に、縦方向流体流出口102は下部ハウジング322の(
図14には示されていない)横方向液体流出路472につながることができる。液体流入路476及び液体流出路472は相互に同じ形状及び容積とすることができる。液体流入路及び液体流入口は合わせて概ね「L」字形とすることができる。さらに、液体流入路476及び液体流出路472のそれぞれは、下部ハウジング322の幅wにかけて相互に平行に通り、例えばハウジングコンポーネントの、80~95%のような、70~90%にかけて、またはハウジングコンポーネントの幅の85%にかけて、延びる。さらに、液体流入路476及び液体流出路472は下部ハウジング322の長さlにかけて交互することができる。
【0072】
液体流入路476及び液体流出路472はそれぞれ同じ方向に、すなわち平行な軸に沿って、延びることができる。さらに、
図4に示されるように、液体流入路476はそれぞれ複数の液体流入チャネル176に連結することができる。それぞれの液体流入チャネル176は液体流入路476から直交方向に延びることができる。同様に、液体流出路472はそれぞれ複数の液体流出チャネル172に連結することができ、液体流出チャネル172のそれぞれは液体流出路472から直交方向に延びることができる。
【0073】
したがって、液体供給源からの液体は、液体流入チャンバ132に流れ込み、ハウジング132の液体流入口101を流過し、下部ハウジング322の液体流入路476を流過し、液体射出モジュール103の複数の液路を流過し、下部ハウジング322の液体流出路472を流過し、流出口102を通って流れ出て、流出チャンバ136に流入し、液体回収槽に流れる。
【0074】
図15A~15Tは液体射出器100を作製するための方法の一例を示す。メンブラン180を有するウエハ122(
図15Aを見よ)上,例えば酸化物上シリコン(SOI)ウエハのような半導体ウエハ上に下部電極190をスパッタする。次いで圧電層192を下部電極190に重ねてスパッタして(
図15Bを見よ)、エッチングする(
図15Cを見よ)。下部電極190をエッチングして(
図15Dを見よ)、底面保護層214を施すことができる(
図15Eを見よ)。次いで上部電極194をスパッタしてエッチングすることができて(
図15Fを見よ)、上面保護層210を施すことができる(
図15Gを見よ)。次いで、液路124を液漏れから保護するためのバリア材料806を施し、バリア材料806を通る開口802を形成することができる(
図15Hを見よ)。次いで開口702を、開口702の位置が開口802の位置と揃うように、メンブラン層180にエッチングすることができる(
図15Iを見よ)。必要に応じて、酸化物層288をエッチング止めとして用いることができる。
【0075】
集積回路素子202及びリード222a,222b,222cをもつ集積回路インターポーザ104,例えばASICウエハを形成することができる(
図15Jを見よ)。
図15K及び15Lに示されるように、開口902を、例えば反応性深イオンエッチングを用いて、集積回路インターポーザ104にエッチングして、液路部分を形成することができる。開口902は、初めに集積回路インターポーザ104の底面、すなわち集積回路素子202を有する表面にエッチングすることができる(
図15Kを見よ)。開口902は次いで、集積回路インターポーザ104の上面から大径孔をエッチングすることによって完成することができる(
図15Lを見よ)。大径孔によりエッチングプロセスが容易になり、開口902を液体により腐蝕から保護するための保護材料層を開口902の側壁にスパッタリングで形成することが可能になる。
【0076】
エッチングに続いて、BCBまたはポリイミドまたはエポキシ樹脂のような、スピンオンした接着剤を用いて、集積回路インターポーザ104とウエハ122を接合することができる(
図15Mを見よ)。あるいは、接着剤は集積回路インターポーザ104及びウエハ122上にスプレーすることができる。集積回路インターポーザ104とウエハ122の接合は、集積回路インターポーザの開口902の位置,ポンピングチャンバ層の開口802の位置及びメンブラン層180の開口802の位置が合わせられて、液体流入チャネル176及び液体流出チャネル172が形成されるように、行われる。
【0077】
次いで、ウエハ122を研削及び研磨してハンドリング層601を形成することができる(
図15Nを見よ)。図示していないが、研削中は集積回路インターポーザ104を保護する必要があろう。ポンピングチャンバの流入口276及び流出口172を含む、ポンピングチャンバ174をウエハ122の底面から、すなわち集積回路インターポーザ104とは逆の面に、エッチングすることができる(
図15Oを見よ)。必要に応じて、酸化物層288をエッチング止めとして用いることができる。既にノズル126がノズル層184にエッチングでつくり込まれているノズルウエハ608を次いで、BCBのような、エポキシ樹脂を用いる接合のような、低温接合形成法を用いるか、または低温プラズマ活性化接合形成法を用いて、ウエハ122に接合することができる(
図15Pを見よ)。例えば、ノズル層は、既に構造体に接合されている圧電層192を損なわないように、約200℃と300℃の間の温度でウエハ122に接合することができる。次いでノズルウエハ608のノズルハンドリング層604を、必要に応じて酸化物層284をエッチング止めとして用いて、研削及び研磨によって形成することができる(
図15Qを見よ)。この場合も、図示していないが、研削中は集積回路インターポーザ104を保護する必要があろう。次いで、酸化物層284を除去することによってノズルを開けることができる(
図15Rを見よ)。上述したように、ノズル層184及びポンピングチャンバ326は感光性フィルムで形成することもできる。
【0078】
最後に、ウエハを単位に分割する、すなわち多くのダイ103、例えば形状が長方形、平行四辺形または台形のダイ、に切り分けることができる(
図15Sを見よ)。
図16に示されるように、液体射出器100のダイ103は十分に小さく、例えば幅がほぼ5~6mmで長さが30~40mmであり、よって少なくとも300のポンピングチャンバを有するダイを150mm径ウエハ上に少なくとも40個形成できる。例えば、
図16に示されるように、1枚の200mm径ウエハから88個のダイ103を形成することができる。次いでフレキシブル回路201を液体射出器に取り付けることができる(
図15Tを見よ)。
【0079】
本明細書に説明される作製工程は、挙げられた順序で実施する必要はない。作製はより多くのシリコンを有する液体射出器より低費用になり得る。
【0080】
本明細書に説明されるような、例えば、ポンピングチャンバとノズルの間に下降流路がなく、ダイのアクチュエータの射出を制御するためのロジックをダイから隔てる層を有し、ダイではなくハウジングに液体流入路及び液体流出路を有する、液体射出器100は、低コストとすることができ、高品質画像を印刷することができ、高速で印刷することができる。例えば、ポンピングチャンバとノズルの間に下降流路がないことで、液体は層を迅速に通過することができ、よって低い、例えば、17Vのような、20V未満の駆動電圧を用い、高い、例えば180kHzから390kHzの周波数での液体の射出が可能になる。同様に、ポンピングチャンバ層に上昇流路がないことで、ポンピングチャンバ層を薄くすることができる。そのような構造により、幅が15μmより広いノズルから大きさが2pLないしさらに小さい液滴が可能になる。
【0081】
さらに、基板上ではなく集積回路インターポーザにロジックを有することで、基板上の配線及び電気接続を少なくすることができ、よって高密度ポンピングチャンバ/ノズルマトリックスを形成することができる。同様に、ポンピングチャンバ層にはポンピングチャンバ流入口及びポンピングチャンバ流出口しかなく、例えば上昇流路がないことで、高密度ポンピングチャンバ/ノズルマトリックスを形成することができる。この結果、印刷媒体上で600dpiをこえる解像度を達成することができ、6インチ(150mm)径ウエハ当たり少なくとも88個のダイを形成することができる。
【0082】
基板ではなくハウジングに液体流入路及び液体流出路を有することで、流路間のクロストークを最小限に抑えることができる。最後に、シリコンではなく感光性フィルムを用い、インターポーザのような、余分なシリコンを含めないことで、液体射出器のコストを低く抑えることができる。
【0083】
特定の実施形態を説明した。その他の実施形態は添付される特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0084】
100 液体射出器
103 ダイ
104 集積回路インターポーザ
122 基板
124 液体流路(液路)
126 ノズル
172 流出チャネル
174 ポンピングチャンバ
176 流入チャネル
180 メンブラン
184 ノズル層
190 下部電極
192 圧電層
194 上部電極
201 フレキシブル回路
202 スイッチング素子
210 上面保護層
214 底面保護層
222a,222b,222c リード
272 ポンピングチャンバ流出口
276 ポンピングチャンバ流入口
282 絶縁材料
284 絶縁層
286 シリコン層
401 アクチュエータ
806 バンプ材料
810 入力電極