IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078408
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】関節運動する針
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/02 20060101AFI20230530BHJP
   A61B 10/04 20060101ALI20230530BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
A61B10/02 110Z
A61B10/04
A61B1/018 515
A61B10/02 110K
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048180
(22)【出願日】2023-03-24
(62)【分割の表示】P 2019534720の分割
【原出願日】2018-02-21
(31)【優先権主張番号】62/464,785
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】デイトン、ピーター エル.
(72)【発明者】
【氏名】ウェールズ、ライアン ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】フルーリー、ショーン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ブレッチビール、スコット イー.
(72)【発明者】
【氏名】マケルウィー、ケビン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可撓性状態で蛇行する解剖学的構造を通り抜けるようにデバイスを最適化し、剛性状態でスコープの遠位端に対して遠位に位置決めされたとき臨床タスクを実施するように最適化することができる医療デバイス。
【解決手段】医療デバイス100は、複数のリンク108および遠位先端110を含み、第1の構成と第2の構成との間で往復移動可能な針と、針を通って延びるルーメン116を含む導管122であって、遠位先端に結合される、導管とを含んでもよく、導管の長手方向の移動は、針を第1の構成と第2の構成との間で移行させるように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリンクおよび遠位先端を含み、第1の構成と第2の構成との間で往復移動可能な針と、
前記針を通って延びるルーメンを含む導管であって、前記遠位先端に結合される、前記導管と、を備え、前記導管の長手方向の移動は前記針を前記第1の構成と前記第2の構成との間で移行させるように構成される、医療デバイス。
【請求項2】
前記針は、前記第1の構成において第1の剛性を有し、前記第2の構成において前記第1の剛性より高い第2の剛性を有し、前記第1の構成において前記遠位先端に力を加えることにより、前記複数のリンクおよび前記遠位先端に互いに向きを変えさせ、前記第2の構成において前記遠位先端に前記力を加えることにより、前記複数のリンクおよび前記遠位先端に互いに向きを変えさせない、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記針を通る流体流は、前記導管の前記ルーメンを通過し、前記遠位先端でのみ前記針を出させる、請求項1または請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記複数のリンクは、前記第1の構成において前記導管の外側表面に沿って緩く載る、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記針を前記第1の構成に偏倚させるように構成されたばねをさらに含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記針が前記第1の構成にある間に前記導管に加えられる近位の力が、前記ばねを圧縮し、前記針を前記第2の構成に移行させる、請求項5に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記針が前記第2の構成にある間に前記近位の力を解放することにより、前記針を前記第1の構成に戻すことが可能となる、請求項6に記載の医療デバイス。
【請求項8】
本体を有するハンドルと、前記本体に対して移動可能なアクチュエータと、前記導管の外側表面上の第1の止め具と、前記本体の内側表面から半径方向内向きに延びる第2の止め具とをさらに含み、前記ばねは、前記第1の止め具と前記第2の止め具との間にある、請求項6に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記導管は、アクチュエータの遠位端に結合される、請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記導管の長手方向移動は、前記複数のリンクに対してのものである、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記導管は、前記遠位先端に固定される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記複数のリンクの少なくとも1つは、隣接するリンクの表面と係合する突起を有する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記針は、前記第2の構成においてある曲率半径を含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記針は、前記第1の構成において前記第2の構成の場合より大きい長さを有する、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項15】
針先端は、前記遠位先端の残りの部分から半径方向外向きに斜めに延びる最遠位点を含み、前記最遠位点は、前記針の全体に沿って進む経路の端部に位置する、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、関節運動する針、および関連の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生検は、収集された試料を病理学的に調べるために、患者の身体から組織または細胞を外科的に除去することを必要とする。生検試料をとる目的は、しばしば、収集された試料内に表れる細胞形状変化を探すことである。収集された標本における特定の細胞形状変化の識別は、患者における癌を識別する際に助けとなり得る。
【0003】
医療手順中、患者の解剖学的管腔にアクセスしそれを可視化するために、しばしば内視鏡が使用される。内視鏡が所望の身体部分内で位置決めされた後で、内視鏡の作業チャネルを通じて所望の身体部分へ生検器具を進めることができる。次いで、内視鏡器具および生検器具を、それぞれ可視化および標本採取のために望むように操作してよい。
【0004】
より小径の内視鏡は、患者の組織に対する不必要な外傷を低減する助けとなり、より多様なカテゴリの患者の身体管腔へのアクセスを提供する。これらの内視鏡は、しばしば、より小さい作業チャネルを有しており、これは内視鏡と共に使用することができる補助器具のサイズを制限する。次いでこれは、収集される生検標本のサイズ、そしてしばしばその品質を制限する。
【0005】
針生検は、針先端に近いエリアの横側に形成された組織保持凹部を有するスタイレット針シャフトで実施することができる。試料をとるのが望ましい組織内に針が挿入されたとき、組織の一部分が凹部内に延びる。そのような針生検デバイスは、穿刺用のスタイレット針が剛性であるため、可撓性の小径位置決めデバイス内で位置決めすることがしばしばできない。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、本開示は、医療デバイスを対象とする。この医療デバイスは、複数のリンクおよび遠位先端を含み、第1の構成と第2の構成との間で往復移動可能な針と、針を通って延びるルーメンを含む導管であって、遠位先端に結合される、導管とを含んでもよく、導管の長手方向の移動は、針を第1の構成と第2の構成との間で移行させるように構成される。
【0007】
針は、第1の構成において第1の剛性を有し、第2の構成において第1の剛性より高い第2の剛性を有することができる。第1の構成において遠位先端に力を加えることにより、複数のリンクおよび遠位先端に互いに向きを変えさせることができ、第2の構成において遠位先端に力を加えることにより、複数のリンクおよび遠位先端に互いに向きを変えさせることができない。針を通る流体流は、導管のルーメンを通過することができ、遠位先端でのみ針を出ることができる。複数のリンクは、第1の構成において導管の外側表面に沿って緩く載ることができる。医療デバイスは、針を第1の構成に偏倚させるように構成されたばねを含んでもよい。針が第1の構成にある間に導管に加えられる近位の力が、ばねを圧縮し、針を第2の構成に移行させることができる。針が第2の構成にある間に近位の力を解放することにより、針を第1の構成に戻すことが可能となり得る。医療デバイスは、本体を有するハンドルと、本体に対して移動可能なアクチュエータと、導管の外側表面上の第1の止め具と、本体の内側表面から半径方向内向きに延びる第2の止め具とを含んでもよく、ばねは、第1の止め具と第2の止め具との間にあってよい。導管は、アクチュエータの遠位端に結合され得る。導管の長手方向移動は、複数のリンクに対してのものであってよい。導管は、遠位先端に固定され得る。複数のリンクの少なくとも1つは、隣接するリンクの表面と係合する突起を有してもよい。針は、第2の構成においてある曲率半径を含んでもよい。針は、第1の構成において第2の構成の場合より大きい長さを有してもよい。針先端は、遠位先端の残りの部分から半径方向外向きに斜めに延びる最遠位点を含んでもよく、最遠位点は、針の全体に沿って進む経路の端部に位置し得る。
【0008】
別の態様では、本開示は、医療デバイスを対象とする。この医療デバイスは、複数のリンクおよび遠位先端を含み、第1の構成と第2の構成との間で往復移動可能な針であって、第2の構成は第1の構成より剛性であり得る、針と、針を通って延びるルーメンを含む導管であって、遠位先端に固定される、導管とを含んでもよく、導管に対して近位の引く力を加えることは、針を第1の構成から第2の構成に移行させるように構成されてもよく、近位の引く力を解放することは、針を第2の構成から第1の構成に移行させるように構成されてもよい。
【0009】
第1の構成において遠位先端に力を加えることにより、複数のリンクおよび遠位先端に互いに向きを変えさせることができ、第2の構成において遠位先端に力を加えることにより、複数のリンクおよび遠位先端に互いに向きを変えさせることができない。針を通る流体流は、導管のルーメンを通過することができ、遠位先端でのみ針を出ることができる。
【0010】
さらに別の態様では、本開示は、医療デバイスを対象とする。この医療デバイスは、複数のリンクおよび遠位先端を含み、第1の構成と第2の構成との間で往復移動可能な針であって、第2の構成においてある曲率半径を含んでもよく、遠位先端の残りの部分から半径方向外向きに斜めに延びる最遠位点を含んでもよく、最遠位点は、針の全体に沿って進む経路の端部に位置する、針と、針を通って延びるルーメンを含む導管であって、遠位先端に固定される、導管とを含んでもよく、導管に対して近位の引く力を加えることは、針を第1の構成から第2の構成に移行させるように構成されてもよく、近位の引く力を解放することは、針を第2の構成から第1の構成に移行させるように構成されてもよい。
【0011】
針を通る流体流は、導管のルーメンを通過することができ、遠位先端でのみ針を出ることができる。
本明細書に組み込まれその一部を構成する添付の図面は、様々な態様を示し、説明と共に開示されている態様の原理を説明するように働く。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一態様による、第1の構成にある医療デバイスの側面断面図。
図2】第2の構成にある図1の医療デバイスの側面断面図。
図3】本開示の別の態様による、第1の構成にある医療デバイスの側面断面図。
図4】第2の構成にある図3の医療デバイスの側面断面図。
図5】本開示の別の態様による医療デバイスの側面断面図。
図6】本開示の別の態様による針の斜視図。
図7A】本開示の一態様によるリンクの斜視図。
図7B】本開示の一態様による針の斜視図。
図8A】本開示の一態様によるリンクの斜視図。
図8B】本開示の一態様による針の斜視図。
図9A】本開示の一態様による、第1の構成にある針の側面図。
図9B】第2の構成にある、図9Aの針の側面図。
図10】本開示の一態様による、第1の構成にある医療デバイスの側面断面図。
図11】第2の構成にある図10の医療デバイスの側面断面図。
図12】本開示の別の態様による医療デバイスの側面断面図。
図13】本開示の一態様による針の側面図。
図14】本開示の別の態様による医療デバイスの斜視図。
図15】本開示の別の態様による医療デバイスの斜視図。
図16】本開示の一態様による方法のフローチャート。
図17】本開示の別の態様による方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、添付の図面に示されている本開示の態様を詳細に参照する。可能なときはいつでも、図面を通して同じ符号を使用し、同じまたは同様の部分または構成要素を指す。「遠位」という用語は、ユーザまたはオペレータから離れ患者の身体に入る方向を指す。対照的に、「近位」という用語は、ユーザまたはオペレータにより近く、患者の身体から離れる方向を指す。
【0014】
本開示の態様は、緩んだ可撓性状態でスコープを通過し、たとえば生検手順において組織を収集すること、または組織をある場所から別の場所に偏向させることなど様々な医療手順を実施するために、剛性状態でスコープの遠位端を越えて延びるように構成された医療デバイスを対象とする。デバイスが異なるサイズおよび堅さを有する複数の構成を保持することができることにより、可撓性状態で蛇行する解剖学的構造を通り抜けるようにデバイスを最適化し、剛性状態でスコープの遠位端に対して遠位に位置決めされたとき臨床タスクを実施するように最適化することができる。
【0015】
医療デバイス100が、図1に第1の緩んだ構成で示されており、図2に第2の剛性構成で示されている。医療デバイス100は、第1の構成と第2の構成との間で往復移動可能であり得、内視鏡デバイスを通って延びるように構成されてもよい。医療デバイス100は、近位端102から遠位端104に向かって延び得る。医療デバイス100は、近位端102のハンドル106と、複数のリンク108と、遠位先端110とを含み得る。複数のリンク108および遠位先端110は、医療デバイス100が図2の第2の構成にあるとき、針109を形成し得る。
【0016】
ハンドル106は、本体112と、本体112に対して摺動可能または他の方法で移動可能なアクチュエータ114とを含み得る。本体112は、ルーメン116と、2つの直径方向で反対向きのグリップ118とを含み得る。いくつかの態様では、グリップ118は、医師または他の好適なオペレータによって、アクチュエータ114が同じ手の親指によって保持されている状態で人差し指と中指を使用して保持され得る。止め具120が本体112の内周表面からルーメン116内に延び得る。
【0017】
リンク108および遠位先端110は、たとえば金属、合金(ステンレス鋼、ニチノールなど)、またはポリマーなど任意の好適な材料から形成されてよい。各リンク108および遠位先端110は、貫通するルーメンを含んでもよい。遠位先端110は、たとえばベベル先端(図1および図2に図示)、複数のベベル、円錐、スプロット(Sprotte)、ダイヤモンド、フランシーン(Franseen)、テューイ(Tuohy)など任意の好適な形状、または任意の他の好適な針先端形状を有する針先端をその遠位端に含んでもよい。剛性構成では、リンク108および遠位先端110は、流体の注入、吸気の実施、生検試料の収集、および針を使用する任意の他の好適な技法に適した針109を形成する。それだけには限らないが1つ、2つ、3つ、4つ、8つ以上のリンク108を含めて、任意の好適な数のリンク108を使用してよい。
【0018】
導管122は、近位端102から遠位端104に向かって延び得る。導管122は、たとえばスナップ嵌め、機械的締結具、生体適合性接着剤など任意の好適な機構によって近位端102においてアクチュエータ114に、また遠位端104において遠位先端110に固定または他の方法で結合され得る。リンク108の1つまたは複数は、緩んだ構成で導管122に沿って緩く載ることができる。導管122は、貫通するルーメン124と、導管122の外周表面上に配置された止め具130とを含み得る。止め具130は、止め具120に対して遠位にあり得る。導管122は、たとえば金属、ポリマーなどを含めて、任意の好適な流体不浸透性材料から形成されてよい。導管122は、直線構成(図1および図2に図示)に偏倚させることができるが、蛇行する解剖学的構造を通って進むために撓むように構成されてもよい。しかし、撓んだ後、導管122は、図1および図2に示されている直線構成に戻ることができる。さらに、導管122は、医療デバイス100が緩んだ構成から剛性構成に移行されるとき、ばね132を圧縮するのに十分なほど剛性であり得る。ばね132は、ハンドル106の止め具120と導管122の止め具130との間に配置され得る。
【0019】
導管122のルーメン124は、針109が、図1の弛んで緩んだ構成、および図2の剛性構成を含めた任意の構成にある間、針109を通って流体および/または組織の流れを可能にし得る。導管122がない場合、針109を通り抜ける流体および/または組織は、隣接するリンク108間の間隙を通って針109から逃げることがある。剛性構成の場合でさえ、製造不完全による小さな間隙が隣接するリンク108間に存在することがあり、導管122がない場合、針109は生検または流体送達に適さないものになる。しかし、他の態様では、針109は、剛性構成にある間、導管122がない場合、液密であってもよい。試料収集、潅注、および/または標的部位の噴霧を可能にするために、流体送達および/または吸気デバイスが導管122の近位端に結合されてもよい。導管122は、これらの機能の1つまたは複数を順次または同時に実施するために、複数のルーメンを含んでもよい。
【0020】
緩んだ構成(図1)は、医療デバイス100が身体の蛇行する経路を通って進む、または身体の蛇行する経路を通って延びるスコープの人工ルーメンの蛇行する経路を通って進む助けとなり得る。また、医療デバイス100は、剛性のあるコンパクトな状態(図2)に配置されている間、組織または他の身体構造物を偏向させるために使用されてもよい。
【0021】
緩んだ構成では、様々なリンク108が隣接するリンク108から離隔され得、導管122に沿って緩く載ることができる。緩んだ構成では、最遠位のリンク108もまた、遠位先端110から離隔され得る。しかし、剛性構成では、医療デバイス100のリンク108は、入れ子状態で互いに直接接触することができ、最遠位のリンク108は、遠位先端110と入れ子状態で接触することができる。緩んだ構成では、医療デバイス100のリンク108および遠位先端110は、リンク108または遠位先端110の1つまたは複数に対して作用する外力に応答して、互いに対して向きを変えることができる。剛性構成では、医療デバイス100のリンク108および遠位先端110は、リンク108または遠位先端110の1つまたは複数に対して作用する外力(前の文で述べた同じ外力(大きさおよび方向)など)に応答して、互いに対して向きを変えることができない。すなわち、剛性構成では、リンク108および遠位先端110は、実質的に直線である、また組織または他の物体に接触したとき実質的に直線のままである剛性部材を形成することができる。したがって、複数のリンク108および遠位先端110を備える医療デバイス100の遠位端104は、剛性構成において緩んだ構成にある間より高い剛性を有することができる。さらに、複数のリンク108および遠位先端110は、剛性構成にあるとき互いに固定され得、緩んだ構成では互いに対して移動可能であり得る。針900(ハンドル106の遠位端から測定)もまた、緩んだ構成で存在する隣接するリンク108および/または遠位先端110間の間隙が剛性構成に移行後閉じられ得るため、緩んだ構成において剛性構成にあるときより大きい長さを有することができる。
【0022】
本体112に対するアクチュエータ114の移動は、緩んだ構成と剛性構成との間で医療デバイス100を移行させるように構成され得る。医療デバイス100が図1の緩んだ構成にあるとき、近位に向かう力をアクチュエータ114によって導管122に加え得る。さらに、遠位先端110が導管122に固定されているので、導管122の近位移動は、遠位先端110の近位移動をも引き起こす。次いで、遠位先端110は、複数のリンク108の最遠位のリンクに当接し、緩んだ構成において遠位先端110と最遠位のリンク108との間に存在した間隙を閉じ得る。次いで、最遠位のリンク108は、最遠位のリンクのすぐ近位にあるリンク108に当接し得、各隣接するリンク108間の間隙が閉じられるまでこのパターンが繰り返され得る。したがって、近位に向かう力に応答して、ばね132を圧縮し、遠位先端110と最遠位のリンク108との間の間隙および複数のリンク108の他の隣接するリンク間の間隙を閉じさせることによって、医療デバイス100は、図1の緩んだ構成から図2の剛性構成に移動することができる。いくつかの態様では、医療デバイス100を剛性構成で保つために近位に向かう力を維持しなければならないが、ロックデバイス(図示せず)を使用し、医療デバイスを剛性構成で保つことができる。導管122に対して作用する近位に向かう力を解放し、ばね132が長手方向に伸長し、医療デバイス100のリンク108および遠位先端110を互いに引き離すことを可能にすることによって、医療デバイス100を緩んだ構成に戻すことができる。リンク108および遠位先端110は、緩んだ構成では弛緩し弛んでいてもよい。隣接するリンクを互いに離れるように偏倚させるために、隣接するリンク間に1つまたは複数のばね(図示せず)が配置されてもよい。
【0023】
医療デバイス300が、図3に第1の緩んだ構成で示されており、図4に第2の剛性構成で示されている。医療デバイス300は、医療デバイス100のように第1の構成と第2の構成との間で往復移動可能であり得るが、医療デバイス300は、2つの構成間で往復移動を実施するために、導管122の代わりに1つまたは複数の作動部材324を使用し得る。医療デバイス300は、近位端(図示せず)から遠位端304に向かって延び得る。医療デバイス300は、近位端のハンドル(図示せず)と、複数のリンク308と、遠位先端310とを含み得る。複数のリンク308および遠位先端310は、医療デバイス300が図4の第2の構成にあるとき、針309を形成し得る。医療デバイス300は、緩んだ構成および剛性構成において、医療デバイス100に関して上述したものと実質的に同様の弾性、剛性、および他の特性を有してもよい。
【0024】
リンク308は、リンク308もまた1つまたは複数の作動ルーメン326を含み得ることを除いて、上述のリンク108と実質的に同様であり得る。図3および図4に示されている態様では、各リンク308は、互いに直径方向で反対向きである(たとえば180度の弧長によって分離される)2つの作動ルーメン326を含む。しかし、他の好適な数の作動ルーメンおよび/または間隔を使用してもよいことも企図されている。また、各リンク308は、リンク308の中央を通って延びる流体ルーメン328を含んでもよい。医療デバイス300が剛性構成にあるとき、リンク308の作動ルーメン326は、作動ルーメン330を形成するように互いに位置合わせされ得、流体ルーメン328は、流体ルーメン332を形成するように互いに位置合わせされ得る。遠位先端310は、図1および図2を参照して上述した遠位先端110と実質的に同様であり得る。
【0025】
作動部材324は、作動ルーメン330(および326)のそれぞれを通って延び、それらの近位端において作動機構および/またはハンドルに結合され得る。作動部材324の遠位端は、遠位先端310の近位に面する表面に結合され得る。作動部材324は、作動機構から近位に向かう引く力を受けるように構成されたワイヤ、ケーブル、棒、管、または任意の他の好適な部材であってよい。作動機構は、一態様として(for aspect)歯車、プーリ、ホイール、シャフトなどのうちの1つまたは複数を含めて、近位に向かう引く力を作動部材324に加えるように構成された任意の好適な特徴物を含んでもよい。作動機構124は、いくつかの態様ではモータ駆動および/もしくは電気的に駆動されてもよく、ならびに/またはオペレータによって手動で作動されてもよい。
【0026】
医療デバイス300は、針309を通って近位端から遠位端304に延びるスリーブ322を含んでもよい。スリーブ322は、たとえば弾性ポリマー材料などポリマー材料から形成され得る。スリーブ322を形成するために使用することができるポリマーの態様は、とりわけTeflon(登録商標)、PTFE、FEP、ポリエチレンおよびポリプロピレン、シリコーン、ポリウレタンおよびポリエーテルブロックアミドを含む。スリーブ322は、可撓性の、弛んだ、適合した、および/または不浸透性の膜であり得る。すなわち、スリーブ322は、外力がスリーブ322に加えられていないとき潰れるように構成されたシート状の構造を有し得る。いくつかの態様では、スリーブ322は、弾性(elastic and/or resilient)材料を含んでもよい。スリーブ322は、長い可撓性のゴム管であり得る。
【0027】
医療デバイス500を通る流体流を容易にするために単一のスリーブ322の代わりに複数のシール522が使用されることを除いて医療デバイス300と実質的に同様である医療デバイス500が図5に示されている。すなわち、スリーブ322と実質的に同様な材料から形成され得るシール522は、隣接するリンク308の内部表面に、また最遠位のリンク308および遠位先端310の内部表面に結合され、気密かつ液密のシールを形成し得る。シール522は、針が緩んだ構成(図示せず)を得ることを可能にするように、軸方向に伸びるように構成され得る。別の態様では、シール522は、隣接するリンク108間で長手方向に、また最遠位のリンク308と遠位先端310との間で長手方向に配置され得る。この態様では、シール522は、環状のOリングまたはガスケットであってもよい。ガスケットは、隣接するリンク108間または最遠位のリンク308と遠位先端310との間で実質的に気密かつ液密のシールをガスケットが提供することを可能にするために幾分圧縮可能な弾性材料から形成され得る。他の態様では、リンク308の内側表面および/または端面に封止コーティングが適用されてもよい。
【0028】
関節式ジョイント650を有する針600が図6に示されている。関節式ジョイント650は、針600がたとえば180度の弧にわたって曲がって戻ることを可能にし得る。関節式ジョイント650は、概して円筒形の形状であり得、中央ルーメン652と、関節式ジョイント650の壁内に位置する1つまたは複数の作動ルーメン654とを含み得る。各ジョイント650内に3つの作動ルーメン654があり、互いに120度離隔されて配置されている。しかし、代替として他の好適な数の作動ルーメンを使用してもよい。
【0029】
関節式ジョイント650の曲がりを容易にするために、関節式ジョイント650の長さに沿って1つまたは複数の一体丁番660が形成され得る。各一体丁番660は、関節式ジョイント650の両側に1対の対向するV字形切込み670を含み得る。切込み670は、関節式ジョイント周りで周方向に延び得る。長手方向で隣接する一体丁番660は、周方向に互いに90度オフセットされ得る。
【0030】
関節式ジョイントは、中央ルーメンおよび作動ルーメンが定位置にある状態で円筒を押し出し加工し、一体丁番を形成するためにその円筒管をナイフ、レーザ、ミーリング工具、ウォータージェット、または他の材料除去機構で切削することによって形成することができる。代替として、関節式ジョイント650は、一体丁番が定位置にある状態で成形することができる。これらのヒンジを形成するV字形切込み670の角度は、均一であってもよく、または関節式ジョイント650の長さに沿って様々であってもよい。同様に、隣接する一体丁番660間の距離は、均一であってもよく、または関節式ジョイント650の曲げおよびトルク特性を調整するために様々であってもよい。一態様では、各一体丁番660は、30度の閉じ角を有し、その結果、180度の動きをもたらすために6つのヒンジが必要とされる。作動ルーメン654は、一体丁番660の最も幅広の間隔と位置合わせされてもよい。しかし、ヒンジにおける作動部材の潜在的な結合を減らすために、作動ルーメン654をヒンジに対してオフセットさせることが望ましいことがある。関節式ジョイント650は、曲がるが潰れない生体適合性材料を含んでもよい。好適な材料は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、または他の生体適合性ポリマーを含む。別の態様では、関節式ジョイント650は、3D印刷または他の付加製造技法によって形成されてもよい。
【0031】
遠位先端110と実質的に同様である遠位先端610が関節式ジョイント650の遠位端にて位置決めされ得る。さらに、スリーブ322と実質的に同様であるスリーブが、針600を通る流体流を容易にするために針600を通って延び得る。したがって、いくつかの態様では、針600で生検中に取得される流体および/または組織は、スリーブ322を通り抜けなければならない。遠位先端610は、生検試料の取得中、関節式ジョイント650のどの部分も組織を通して挿入しなくてもよいように十分に長いものであり得る。他の態様では、関節式ジョイント650は、試料取得中、組織を通して挿入されてもよい。
【0032】
図7Aおよび図7Bを参照すると、針700(図7Bに図示)は、互いに隣接して位置決めされ、互いに対して動く一連の積み重なったリンク750でできている。図7Aに示されているように、リンク750は、遠位に面するロッカ表面またはカム754の対と、近位に面するロッカ表面またはカム756の対とを有する環状のリング752を含み得る。遠位に面するカム754は、環状のリング752の遠位表面上で180度離れて位置決めされ得、一方、近位に面するカム756は、環状のリング752の近位面上で180度離れて位置決めされ得る。図の態様では、近位に面するカム756は、遠位に面するカム754に対して90度で向きを設定され得る。各カム754または756は、隣接するリンク750の平坦な区間に係合し、それに対して揺動することができる。作動部材を通すために、穴760が環状のリングを通して、またカム754および756を通して穿孔される。作動部材に張力をかけたとき、リンク750はカム754、756の表面上で揺動することになり、それにより針700を所望の方向に曲げる。針700が組み立てられたとき、遠位に面するカム754は、他の遠位に面するカム754と位置合わせされ得、近位に面するカム756は、他の近位に面するカム756と位置合わせされ得る。遠位先端110と実質的に同様である遠位先端710が針700の遠位端にて位置決めされ得る。さらに、スリーブ322と実質的に同様であるスリーブが、針700を通る流体流を容易にするために針700を通って延び得る。
【0033】
図8Aはリンク880を示し、図8Bは、一連の積み重なったリンク880を含む針800を示す。各リンク880は、その近位表面上の凹形ポケット882の対と、その遠位表面上の対応する形状の凸形カム884の対とを有する環状のリングを含み得る。所与のリンク880上では、凹形ポケット882は、凸形カム884に対して90度オフセットされ得る。しかし、所与のリンクの凹形ポケット882は、隣接するリンクの凸形カム884と位置合わせされ、それを受けることができる。対応する形状のカム884およびポケット882は、積み重なったリンク880が互いに回転するのを防止する助けとなる。1つまたは複数の作動部材890を通すために、穴またはルーメン886がリング880を通して形成される。穴またはルーメン886は、カムおよびポケットの中央に位置決めされ得る。しかし、作動部材用の穴は、望むならカムおよびポケットの位置からオフセットされてもよい。リンク880は、ポリウレタン、ポリプロピレン、またはポリエチレンなど、隣接するカムとポケットとの間の摩擦を低減する比較的滑らかな表面を有する生体適合性ポリマーから成形されてもよい。遠位先端110と実質的に同様である遠位先端810が針800の遠位端にて位置決めされ得る。さらに、スリーブ322と実質的に同様であるスリーブが、針800を通る流体流を容易にするために針800を通って延び得る。
【0034】
図9Aおよび図9Bは、一連の積み重なったリンク980および981を含む針900を示し、各リンクは、その近位表面上の少なくとも1つのポケット982と、その遠位表面上の少なくとも1つの対応する形状のカム984とを備える環状のリングを含む。リンク981は、リンク981の遠位表面から延び、カム984から周方向にオフセットされる追加のカム985を含み得る。カム985は、隣接するリンクのどの対応するポケットとも位置合わせされなくてもよく、その代わりに遠位に隣接するリンク980または981の近位表面の平坦な区間に係合し、それと共に揺動することができる。隣接するリンク981のカム985は、いくつかの態様において、図9Aおよび図9Bに示されているように、直径方向両側に配置され得る。代替として、隣接するリンク981のカム985は、一部として針900により大きな湾曲を生み出すために、針900の同じ側に配置されてもよい。カム985は、針900の関節運動する区間の長さおよび確度を駆動し得る。カム985を長くすることにより、針900のより長い長さが可能になり、針900が達成することができる角度が増大し得る。また、様々なカム985を異なる平面内に位置決めすることにより、関節運動する区間が、たとえばS字曲線など1つの半径の曲線以外の異なる形状をとることが可能になる。
【0035】
隣接するリンク980は、剛性構成(図9Bに図示)にあるとき隣接するリンク980間に間隙が存在しないように完全に入れ子状態になり得る。しかし、リンク981は、部分的にのみ入れ子状態であっても、隣接するリンク980または981とまったく入れ子でなくてもよい。完全に入れ子状態のリンクと非入れ子状態のリンクとの組合せは、針900が、剛性構成において高い剛性を有するいくつかの部分と、針900の形状および方向を変える能力を提供することができる他の部分とを有することを可能にし得る。針900は、図3および図4を参照して述べた医療デバイス300に関して上述したのと実質的に同様にして作動部材924を作動することによって、緩んだ構成(図9Aに図示)と剛性構成との間で移行され得る。遠位先端110と実質的に同様である遠位先端910が針900の遠位端にて位置決めされ得る。さらに、スリーブ322と実質的に同様であるスリーブが、針900を通る流体流を容易にするために針900を通って延び得る。
【0036】
医療デバイス1000が、図10に第1の可撓性構成で示されており、図11に第2の剛性構成で示されている。医療デバイス1000は、第1の構成と第2の構成との間で往復移動可能であり得、内視鏡デバイスを通って延びるように構成されてもよい。医療デバイス1000は、近位端1002から遠位端1004に向かって延び得る。医療デバイス1000は、近位端1002のハンドル1006と、ハンドル1006から遠位に延びる針1009とを含み得る。
【0037】
ハンドル1006は、本体1012と、本体1012に対して摺動可能または他の方法で移動可能なアクチュエータ1014とを含み得る。本体1012は、ルーメン1016と、2つの直径方向で反対向きのグリップ1018とを含み得る。ハンドル1006は、図1および図2を参照して述べたハンドル106と実質的に同様であり得る。止め具1020が本体1012の内周表面からルーメン1016内に延び得る。
【0038】
針1009は、たとえば金属、合金(ステンレス鋼、ニチノールなど)、またはポリマーなど任意の好適な材料から形成されてよい。針1009の遠位端もまた、たとえばベベル先端、複数のベベル、円錐、スプロット(Sprotte)、ダイヤモンド、フランシーン(Franseen)、テューイ(Tuohy)など任意の好適な形状、または任意の他の好適な針先端形状を有する針先端を含んでもよい。剛性構成では、針1009は、流体の注入、吸気、生検試料の収集、および針を使用する任意の他の好適な技法に適したものであってよい。針1009は、針1009の同じ側に位置決めされる1つまたは複数の切欠き1026を含み得る。
【0039】
作動部材1024がアクチュエータから遠位に延び、針1009の遠位端1004に結合され得る。一態様では、医療デバイス1000は、作動部材を1つだけ含むが、他の好適な作動部材をも使用することができる。ばね1032がハンドル1006の止め具1020とアクチュエータ1014との間に配置され得る。ばね1032は、図10の可撓性構成において長手方向に圧縮され、医療デバイス1000が図11の剛性構成にあるとき長手方向に延長され静止構成になる。
【0040】
本体1012に対するアクチュエータ1014および作動部材1024の移動は、緩んだ構成と剛性構成との間で医療デバイス1000を移行させるように構成され得る。上述のように、ばね1032は、緩んだ構成において長手方向に圧縮される。作動部材1024は、医療デバイス1000の同じ構成において弛緩する。医療デバイス1000が図10の緩んだ構成にあるとき、アクチュエータ1014に対する遠位に向かう力が解放され得、アクチュエータ1014を近位に移動させ、ばね1032が延び、図11に示されている休止位置になることを可能にする。アクチュエータ1014の近位移動は、作動部材1024が緊張状態になるまで作動部材1024における張力を増大し得る。これは、作動部材1024に結合される針1009の遠位端を医療デバイス1000の長手方向軸から離れるように撓ませ、切欠き1026を閉ざし得る。針1009の撓んだ構成は、針109が弧に似たものになるように、ある曲率半径を含み得る。医療デバイス100は、アクチュエータ1014に対して作用する遠位に向かう力を再び加え、ばね1032を圧縮することによって、緩んだ構成に戻すことができる。この圧縮は、作動部材1024が緊張構成から弛緩構成に移動させ、切欠き1026が再び現れ、針1009を図10の緩んだ構成に戻す。
【0041】
オペレータは、針1009を蛇行する解剖学的構造を通して進めるために、アクチュエータ1014に対する遠位に向かう力を維持することを必要とし得る。次いで、針1009が導入デバイス、たとえば内視鏡の外側へ進められたとき、オペレータは遠位に向かう力を解放し、針1009で生検手順を実施してよい。
【0042】
医療デバイス1200が図12に示されている。医療デバイス1200は、第1の可撓性構成(図示せず)と図12に示されている第2の剛性構成との間で往復移動可能である。医療デバイス1200は、近位端1202から遠位端1204に向かって延び得る。医療デバイス1200は、近位端1202のハンドル1206と、ハンドル1206から遠位に延びる針1209と、作動部材1224とを含み得る。針1209および作動部材1224は、図10および図11を参照して述べた針1009および作動用部材1024と実質的に同様であり得る。
【0043】
ハンドル1206は、本体1212と、本体1212に対して摺動可能または他の方法で移動可能なアクチュエータ1214とを含み得る。本体1212は、ルーメン1216を含み得る。止め具1220が本体1212の内周表面からルーメン1216内に延び得る。アクチュエータ1214は、止め具1220の遠位に配置され得る。
【0044】
作動部材1224がアクチュエータ1214から遠位に延び、針1209の遠位端1204に結合され得る。ばね1232がハンドル1206の止め具1220とアクチュエータ1214の近位に面する表面との間に配置され得る。ばね1232は、医療デバイス1200が可撓性構成(図示せず)にある間、休止位置で長手方向に延び、図12の剛性構成において長手方向に圧縮される。
【0045】
本体1212に対するアクチュエータ1214および作動部材1224の移動は、緩んだ構成と剛性構成との間で医療デバイス1200を移行させるように構成され得る。上述のように、ばね1232は、医療デバイス1200の緩んだ構成において長手方向に延びる。医療デバイス1200が緩んだ構成にあるとき、近位に向かう力がアクチュエータ1214に加えられ得、アクチュエータ1214を近位に移動させ、ばね1232を圧縮する。アクチュエータ1214の近位移動は、作動部材1224に結合される針1209の遠位端を医療デバイス1200の長手方向軸から離れるように撓ませ、針1209の切欠きを閉ざし得る。針1209は、ある曲率半径を有することができ、またこの構成において他の方法で弧に似たものになり得る。したがって、近位に向かう力に応答して、医療デバイス1200は、ばね1232を圧縮することによって緩んだ構成から図12の剛性構成に移動することができる。いくつかの態様では、医療デバイス1200を剛性構成で保つために、近位に向かう力を維持しなければならない。医療デバイス1200は、作動部材1224およびアクチュエータ1214に対して作用する近位に向かう力を解放し、ばね1232が長手方向に延びることを可能にし、切欠きが再び現れるようにし、針1209を図10に示されている構成と同様の緩んだ構成に戻すことによって、緩んだ構成に戻すことができる。
【0046】
医療デバイス1200は、医療デバイス1200を蛇行する解剖学的構造を通して進めるために(医療デバイス1200自体を移動するために必要とされる力以外)追加の力を加える必要がないように構成され得る。その代わりに、医療デバイス1200が作業部位に隣接して位置決めされた後で、近位に向かう力をアクチュエータ1214に加え、生検試料を収集するのに適した剛性構成に針1209を移行させることができる。
【0047】
針1300が図13に示されている。針1300は、近位端1302から遠位端1304に向かって延び得る。針1300は、本明細書に記載の針のいずれかと実質的に同様であり得、また針1300の遠位先端1306から半径方向外向きに斜めに延びる遠位点1308を含み得る。遠位点1308は、針1300の全体に沿って進む経路の最遠位点であり得る。遠位点1308は、針1300のいくつかの構成にしか存在しないのではなく、針1300のあらゆる構成に存在する針1300の永続的部分であってもよい。したがって、針1300が蛇行する解剖学的構造に沿って進む、湾曲する、延びる、または圧縮するとき、遠位点1308は、遠位先端1306の残りの部分に対して不変のままであり得る。遠位点1308は、組織を穿刺する針1300の最初の部分であり得、その半径方向外向きの向きにより、針1300の残りの部分は、針1300の長手方向中心軸1310からオフセットされる経路1311に組織を通って従い得る。すなわち、遠位点1308が組織を穿刺した後、長手方向中心軸1310に沿って向かう力に応答して、針1300は撓み、組織を通って経路1311に従い得る。
【0048】
スコープ1400が図14に示されている。スコープ1400は、近位端1402から遠位端1404に延びる可撓性のシャフト1401を含み得る。シャフト1401は、患者内で蛇行する解剖学的構造を進むように構成され得る。いくつかの態様では、シャフト1401は、均一に可撓性であっても、様々な可撓性を有する部分同士を含んでもよい。一部として、シャフト1401の遠位端1404は、近位端1402より高い可撓性であり得る。スコープ1400は、たとえば内視鏡、尿管内視鏡、結腸内視鏡、子宮鏡、気管支鏡、または膀胱鏡など任意の好適な医療スコープであってよい。シャフト1401は、患者の身体内に直接挿入されても、1つまたは複数のルーメンを使用してガイドワイヤにわたって延ばされてもよい。また、シャフト1401は、腹腔鏡ポート、単一の切開ポート、オーバーチューブ、ブーシュ、または任意の他の好適な部材内に挿入されてもよい。
【0049】
シャフト1401は、単一のルーメン1412(たとえば、1つだけのルーメン)を含み得るが、任意の他の好適な数のルーメンを使用してもよい。一部として、追加のルーメン1415が、任意の好適な視覚デバイスを収容するように構成されてもよい。一部として、ルーメン1415は、遠位のエリアから遠位端1404を含めてスコープ1400の遠位端1404に隣接するエリアをユーザが見ることを可能にする視覚デバイスを含むように構成されてもよい。視覚デバイスは、スコープ1400に内蔵され、患者の身体管腔内の作業部位を見るために、光源、レンズ、光ファイバ、および/または当技術分野で知られている任意の好適な電子ビジョン構成要素などを含んでもよい。別の態様では、別個のイメージングデバイスを使用してもよい。さらに追加のルーメン(図示せず)が、たとえば潅注、吸気、吸引、追加のツールの送達、治療法の送達など任意の他の好適な目的のために、またはシャフト1401をガイドワイヤにわたって案内するために使用される案内ルーメンとして使用されてもよい。
【0050】
ツール1414がルーメン1412を通って延び得る。ツール1414は、刃物、切断ワイヤ、注射針、ニードルナイフ、スネア、または本明細書に記載のデバイスのいずれかを含む他の治療または診断デバイスを含んでもよい。
【0051】
偏向ツール1416がシャフト1401の外側表面に結合され得る。偏向ツール1416は、緩んだ構成と剛性構成との間で移動可能な本明細書に記載の医療デバイスおよび/または針のいずれかと実質的に同様であり得る。しかし、いくつかの態様では、偏向ツール1416は、鋭利な遠位先端の代わりに非鋭利、非外傷性の遠位先端を有してもよい。非外傷性の先端は、非外傷性の先端によって接触を受ける組織に対する損傷を低減または防止するように構成されてもよい。一部として、非外傷性の先端は、比較的小さいデュロメータまたは硬度を有するポリマー材料を含んでもよい。他の態様では、非外傷性の先端は、先端に接触する組織に対する損傷を低減するように構成されたボール先端、または丸みのある縁部など任意の他の特徴を含んでもよい。
【0052】
偏向ツール1416は、剛性構成で配置されている間、組織または他の身体構造物を偏向させるために使用されてよく、また操作または切除の前または最中に組織を保持し位置決めするために使用されてもよい。一部として、偏向ツール1416は、切除または生検しようとする組織に隣接または接触して配置され、剛性状態に移行され、その組織を最適な切断位置に押す、または偏向させ得る。いくつかの態様では、偏向ツールは、標的組織を緊張させ、標的組織の切断を容易にするために使用することができる。
【0053】
スコープ1400と実質的に同様であるスコープ1500が図15に示されているが、スコープ1500は、少なくとも1つの追加のルーメン1513を含み得る。偏向ツール1516が追加のルーメン1513を通って延び得る。偏向ツール1516は、偏向ツール1416と実質的に同様であり得、実質的に同様に使用され得る。スコープ1500の遠位端におけるルーメン1513の開口は平面内にあり得、偏向ツール1516は、開口の平面に対して実質的に直交する軌道に沿って遠位端1504から離れるように遠位に延びるように構成され得る。
【0054】
本開示の関節運動する針は、いくつかの態様では2つだけの構成を含んでもよい。一部として、針の2つの構成は、互いに45度オフセットされ得る。他の態様では、関節運動する針は、ユーザによって張力が加えられていないとき針が初期形状に戻ることを可能にすることになるバックテンションばねまたは不完全な切込みのリンクを使用して連続的に可変であってもよい。
【0055】
開示されている医療デバイスおよび針の1つまたは複数の部分が、医療デバイスまたは針と接触を受ける組織との間の摩擦を低減するために潤滑コーティングを含んでもよい。そうでない場合には非潤滑性の材料の表面に対して潤滑性を与える水溶性の生体適合性コンパウンドを含めて、任意の好適な潤滑コーティングを使用してもよい。親水性コーティングの一種は、水環境において膨潤し、濡れたまたは水和状態にある間、潤滑性を現すことが可能なヒドロゲルを含む。水和状態にあるとき、これらの物質は、唾液、消化液、および血液を含む体液内で、また生理食塩液および水内で低い摩擦力を有する。ヒドロゲルは、任意選択でポリ(メタ)アクリレート・ポリマーまたはコポリマー、無水マレイン酸のコポリマー、(メタ)アクリル・アミド・ポリマーおよびコポリマー、(メタ)アクリル酸コポリマー、ポリウレタン、ポリ(ビニル・ピロリドン)、ならびにポリウレタン、多糖、およびそれらの混合物とのブレンドまたはインターポリマーとウレタンもしくはウレイド結合で基材表面に架橋された、またはインターポリマー化された酸化ポリエチレンを含む。
【0056】
また、本開示の医療デバイスは、その表面上での細菌集落発育を阻止するために抗菌被覆でコーティングされてもよい。抗菌コーティングは、抗菌剤をデバイス表面に接着するポリマーマトリクス内に配置された無機抗菌剤を含んでもよい。さらに、薬物放出コーティングをデバイス表面に適用し、薬物を生検部位に送達する助けとしてもよい。別の代替例では、イメージングマーカを様々な医療デバイスに適用し、身体内で医療デバイスを突き止める助けとしてもよい。放射線不透過性、音響反射性(sonoreflective)、および/または任意の他の好適なマーカを使用してよい。
【0057】
方法1600が図16に示されている。方法1600は、ステップ1602で始まることができ、内視鏡または他の好適な部材が身体内に挿入され、標的領域に進められ得る。一部として、内視鏡は、一部として口、肛門、鼻、または膣など天然の解剖学的開口を通じて身体内に挿入され得る。代替として、内視鏡は、切開を通じて身体内に挿入されてもよい。オペレータは、たとえば胆道系など身体経路を横断することによって、身体内で挿入点から標的領域(たとえば、作業部位)に内視鏡を進めてもよい。他の態様では、作業部位は、潜在的に癌性であり得、生検およびさらなる調査のために識別されているリンパ節または任意の他の組織を含み得る。
【0058】
内視鏡の遠位端が標的領域に隣接した、または他の方法で近接した後、ステップ1604で、本開示の態様のいずれかによる針を、緩んだ構成にある間に内視鏡のポートを通して挿入してもよい。次いで、弛んだ針を、内視鏡の遠位端に向かって押してもよい。針が内視鏡の遠位端を出た後で、この方法はステップ1606に進んでもよく、針を緩んだ構成から剛性構成に移行させてもよい。針が剛性構成になった後で、ステップ1608で組織を穿刺し試料を収集するために、スコープからさらに遠位に針を延ばしてもよい。ステップ1608は、組織試料を標的エリア(たとえば、扇形)の複数の部分から取得するために、同じ標的エリア(たとえば、偏心性病変)周りで、および/またはそこを通じて数回繰り返してよい。導入する内視鏡を固定位置で保ちながら複数の試料をとることができ、これは手順時間の著しい削減になり得る。
【0059】
方法1700が図17に示されている。ステップ1702は、方法1600のステップ1602と実質的に同様であり得るが、方法1600を参照して述べた内視鏡の代わりにスコープ1400または1500が使用され得る。スコープ1400または1500が標的に隣接した、または他の方法で標的領域に近接した後、ステップ1704で偏向ツール1416または1516を緩んだ構成から剛性構成に移行し、操作、切断、または切除のために組織を準備してよい。組織の準備ができた後で、ステップ1706で後続の手順(たとえば、切断)をツール1414によって実施してもよい。
【0060】
上述の医療デバイスは、特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲から逸脱することなしに任意の好適な身体管腔(たとえば、血管、胆道、尿路、消化器管腔など)内で実施することができることを、当業者なら理解するであろう。特に、製造技法および材料を含む構成上の詳細は、当業者の十分な理解のうちにあり、ここでは詳細に述べられていない。これらおよび他の修正および変形形態は、本開示の範囲内に十分あり、当業者によって予見および実施され得る。
【0061】
本開示の他の態様は、本明細書を検討し、本明細書に開示されている態様を実施することにより当業者には明らかになろう。本明細書および態様は実装の形態にすぎないと考えられることが意図されており、以下の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲および精神から逸脱することなしに、形態および詳細における逸脱がなされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-03-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1のリンクおよび少なくとも第2のリンクを含み、緩んだ構成と剛性構成とを有するツールであって、前記ツールが前記緩んだ構成にあるとき、前記第1のリンクおよび前記第2のリンクが互いに対して移動可能である、ツールと、
前記第1のリンクおよび前記第2のリンクのそれぞれを通って延びる導管であって、前記ツールに対する前記導管の移動に応答して、前記ツールが前記緩んだ構成と前記剛性構成との間で移動する、導管と、を備え、
前記第1のリンクおよび前記第2のリンクは、前記ツールが前記第1のリンクおよび前記第2のリンクの間に間隙を含むように、前記緩んだ構成において互いに離隔される、医療デバイス。
【請求項2】
前記第1のリンクおよび前記第2のリンクは、前記ツールが前記緩んだ構成にあるとき、前記導管の外側に沿って移動するように構成される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記第1のリンクおよび前記第2のリンクは、前記ツールが前記緩んだ構成にあるとき、互いに対して直線状に整列される、請求項1または2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記第1のリンクおよび前記第2のリンクは、前記ツールが前記剛性構成にあるとき、互いに対して直線状に整列される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記第1のリンクおよび前記第2のリンクは、前記ツールが前記剛性構成にあるとき、前記間隙が閉じられるように、互いに接触する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記ツールは、前記第1のリンクおよび前記第2のリンクから遠位に配置された遠位先端を含み、前記導管が前記遠位先端を通って少なくとも部分的に延びる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記遠位先端が前記導管に対して不動であるように前記導管が前記遠位先端に固定される、請求項6に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記第1のリンク、前記第2のリンク、および前記遠位先端は、前記ツールが前記剛性構成にあるとき、互いに対して同軸である、請求項6または7に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記ツールは、前記第1のリンク、前記第2のリンク、および前記遠位先端のそれぞれを通る流体流を提供するように構成されるルーメンを画定する、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記第1のリンクは第1のルーメンを含み、前記第2のリンクは第2のルーメンを含み、前記第1のルーメンおよび前記第2のルーメンを通って作動部材が延びる、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記作動部材の遠位端は、前記遠位先端の近位に面する表面に結合される、請求項10に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記ツールは、前記剛性構成において、前記緩んだ構成より高い剛性を有する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項13】
偏倚機構をさらに含み、前記導管は、前記ツールが前記剛性構成にあるとき、前記偏倚機構を圧縮するように構成される、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記ツールは前記緩んだ構成において第1の長さを有するとともに、前記剛性構成において前記第1の長さより短い第2の長さを有する、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記第1のリンクおよび前記第2のリンクに対する前記導管の近位移動により、前記ツールが前記緩んだ構成から前記剛性構成に移動され、前記第1のリンクおよび前記第2のリンクに対する前記導管の遠位移動により、前記ツールが前記剛性構成から前記緩んだ構成に移動されるように、前記導管が構成される、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の医療デバイス。