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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078410
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】時系列的な環境情報を正規化する装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/28 20190101AFI20230530BHJP
   G06F 16/903 20190101ALI20230530BHJP
【FI】
G06F16/28
G06F16/903
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048222
(22)【出願日】2023-03-24
(62)【分割の表示】P 2018191036の分割
【原出願日】2018-10-09
(71)【出願人】
【識別番号】599054374
【氏名又は名称】持田 信治
(72)【発明者】
【氏名】持田 信治
(57)【要約】      (修正有)
【課題】環境情報の時系列的な変化を情報マトリクスで記述することにより、人の介在を必要とせずに時系列的な情報により構成される環境情報の遷移の記録を可能とする装置及びシステムを提供する。
【解決手段】システムは、環境情報入力、検索装置101から手動又は自動で、情報入力装置103に入力された複数の属性の異なる環境情報に関する入力情報102を、入力情報識別ルール110により情報の特徴検出を行い、特徴検出結果をn×nの大きさを持つ情報マトリクス104の各セル120に書き込む。さらに、複数の入力情報102の組み合わせを判断する複合入力情報識別ルール119による判断結果を、情報マトリクス104のセルに書き込み、データベース105を構築する。環境情報入力、検索装置101は検索キー情報の入力手段を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが時系列的な環境情報を正規化する装置において、情報入力手段により入力された前記環境情報の特徴と前記環境情報の時系列的な変化から検出された特徴を記号化又はバイナリ化した情報と時刻とをマトリクス状に配置されたセルに格納する手段と、前記環境情報を1つ又は複数の情報マトリクスに正規化変換する手段とを設けたことを特徴とする時系列的な環境情報の正規化装置
【請求項2】
請求項1記載の装置において、正規化して得られた情報マトリクスに、時系列的なある特定の対象物の動作状態、目標及び操作量を追記した情報マトリクスに変換する手段を設けたことを特徴とする時系列的な環境情報の正規化装置
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の時系列的な環境情報を正規化する装置おいて、情報マトリクス内のセル間の関係を評価する評価ルールの識別結果を格納するセルと前記情報マトリクス全体を記号化又はバイナリ化した情報を格納するセルを持つ情報マトリクスに変換する手段を設けたことを特徴とする時系列的な環境情報の正規化装置
【請求項4】
コンピュータが情報入力手段により入力された時系列的な環境情報を請求項3記載の装置おいて、正規化して、作成されたデータベース中のある情報マトリクスを探索キーとして、探索キーとなる前記情報マトリクス内のセルと前記データベース中の情報マトリクス内の対応するセルとの比較、評価する演算又はパターンマッチング処理を非同期かつ多重に行うことにより類似の情報マトリクスを探索する手段を設けたことを特徴とする情報探索装置
【請求項5】
コンピュータが情報を探索する装置において、ステップ1として情報入力手段により入力された時系列的な環境情報を請求項3記載の装置にて正規化して得られた情報マトリクスを開始状態情報マトリクスとして、続いて、同じく情報入力手段により入力された時系列的な環境情報を請求項3記載の装置にて変換して得られた情報マトリクスを目標状態情報マトリクスとして得るステップ1を持ち、次にステップ2として請求項3記載の装置により作成されたデータベース内の情報マトリクスに対して、請求項4に示した情報探索装置によりステップ1で得た前記開始状態情報マトリクスに近似の近似開始状態情報マトリクスから前記目標状態情報マトリクスに近似の近似目標状態情報マトリクスに至るまでの類似の情報マトリクスの探索を繰り返すことにより、前記開始状態情報マトリクスから前記目標状態情報マトリクスに至るまでの近似の情報マトリクスの遷移列を得るステップ2の手段を設けたことを特徴とする前記開始状態情報マトリクスに近似の近似開始状態情報マトリクスから前記目標状態情報マトリクスに近似の近似目標状態情報マトリクスに至るまでの情報マトリクスの遷移列を得る情報探索装置
【請求項6】
請求項3記載の時系列的な環境情報を正規化する装置において、得られた情報マトリクス内に前記情報マトリクス中のセル間の関係を評価する評価ルールへのリンク情報や請求項3記載の装置により作成されたデータベース中の複数の情報マトリクスへの階層的なリンク情報を格納するセルを持つ情報マトリクスに変換する手段を設けたことを特徴とする時系列的な環境情報の正規化装置
【請求項7】
コンピュータが情報を探索する装置において、ステップ1として情報入力手段により入力された、ある特定の対象物のある状態及び動作を含む、時系列的な環境情報を請求項3記載の装置にて正規化して得られた情報マトリクスを開始状態情報マトリクスとして、続いて、ある特定の対象物の目標状態及び動作を含む、時系列的な環境情報を請求項3記載の装置にて正規化して得られた情報マトリクスを目標状態情報マトリクスとして得るステップ1と、次にステップ2として請求項3記載の装置により作成されたデータベース内の情報マトリクスに対して、請求項4記載の情報探索装置によりステップ1で得た前記開始状態情報マトリクスに近似の近似開始状態情報マトリクスから前記目標状態情報マトリクスに近似の近似目標状態情報マトリクスに至るまでの類似の情報マトリクスの探索を繰り返すことにより、前記近似開始状態情報マトリクスから前記近似目標状態情報マトリクスに至るまでの情報マトリクスの遷移列の探索を行い、得られた前記情報マトリクスの遷移列中の前記近似開始状態情報マトリクスに格納されたある特定の対象物の開始状態及び動作から前記近似目標状態情報マトリクスに格納されたある特定の対象物のある目標状態及び動作に至るための操作量と操作手順を得て、前記のある特定の対象物に関するある開始状態及び動作から目標状態及び動作に至るための操作量と操作手順を得る手段を設けたことを特徴とする情報探索装置。
【請求項8】
コンピュータが情報を探索する装置において、ステップ1として、入力手段により入力された情報を探索キーとして、請求項3記載の装置により作成されたデータベースから、請求項4記載の情報探索装置によりある特定の対象物のある開始状態及び動作を示す開始状態情報マトリクスと前記ある特定の対象物の目標状態及び動作を示す目標状態情報マトリクスの探索を行うステップ1を持ち、次にステップ2として請求項3記載の装置により作成されたデータベース内の情報マトリクスに対して、請求項4記載の情報探索装置によりステップ1で得た前記開始状態情報マトリクスに近似の近似開始状態情報マトリクスから前記目標状態情報マトリクスに近似の近似目標状態情報マトリクスに至るまでの類似の情報マトリクスの探索を繰り返すことにより、前記近似開始状態情報マトリクスから前記近似目標状態情報マトリクスに至るまでの情報マトリクスの遷移列の探索を行い、得られた前記情報マトリクスの遷移列中の前記近似開始状態情報マトリクスに格納されたある特定の対象物の開始状態及び動作から前記近似目標状態情報マトリクスに格納されたある特定の対象物の目標状態及び動作に至るための操作量と操作手順を得て、前記のある特定の対象物に関するある開始状態及び動作から目標状態及び動作に至るための操作量と操作手順を得るステップ2の手段を設けたことを特徴とする情報探索装置。
【請求項9】
請求項5に記載の開始状態情報マトリクスに近似の情報マトリクスから目標状態情報マトリクスに近似の情報マトリクスに至るまでの情報マトリクスの遷移列を得る情報探索装置において、ステップ1として前記開始状態情報マトリクスと前記目標状態情報マトリクスを、環境情報の変化に伴い、リアルタイムに変更、更新を行うステップ1を持ち、次にステップ2として、請求項3記載の装置により作成されたデータベース内の情報マトリクスに対して前記ステップ1で変更、更新された前記開始状態情報マトリクスと前記目標状態情報マトリクスを探索キーとして、請求項4に示した情報探索装置によりリアルタイムにデータが追加される前記データベース中の情報マトリクスに探索を行い、前記開始状態情報マトリクスから前記目標状態情報マトリクスへの情報マトリクスの遷移列を形成する可能性のある情報マトリクスからなる前記データベースの部分集合となる状態空間をリアルタイムかつ非同期に作成するステップ2の手段を設けたことを特徴とする前記開始状態情報マトリクスに近似の近似開始状態情報マトリクスから前記目標状態情報マトリクスに近似の近似目標状態情報マトリクスに至るまでの情報マトリクスの遷移列を得る情報探索装置
【請求項10】
請求項7又は請求項8記載の、ある特定の対象物のある開始状態及び動作から目標となる目標状態及び動作に到達するための前記のある特定の対象物に関する操作量と操作手順を得る情報探索装置において、ステップ1として前記開始状態情報マトリクスと前記目標状態情報マトリクスを環境情報の変化に伴い、リアルタイムに変更を行うステップ1を持ち、次にステップ2として請求項3記載の装置により作成されたデータベース内の情報マトリクスに対して前記ステップ1で変更された前記開始状態情報マトリクスと前記目標状態情報マトリクスを探索キーとして、請求項4に示した情報探索装置によりリアルタイムにデータが追加される前記データベース中の情報マトリクスに探索を行い、前記開始状態情報マトリクスから前記目標状態情報マトリクスへの情報マトリクスの遷移列を形成する可能性のある情報マトリクスからなる前記データベースの部分集合となる状態空間をリアルタイムかつ非同期に作成するステップ2を、請求項7と請求項8に記載の情報探索装置に加えて設けたことを特徴とするある特定の対象物のある開始状態及び動作から目標となる目標状態及び動作に到達するための前記のある特定の対象物に関する操作量と操作手順を得る情報探索装置
【請求項11】
請求項3記載の時系列的な環境情報を正規化する装置において、コンピュータが情報マトリクスの探索、識別用に情報入力手段に時系列的に入力した探索キー情報及び探索、識別の手順を時系列的な環境情報を正規化、識別するルールとして自動的に登録を行い、自動的にルールを実行する手段を持ち、前記ルールの実行による識別結果を記号化又はバイナリ化した情報と時刻を格納するセルを持つ情報マトリクスに変換する手段を設けたことを特徴とする時系列的な環境情報の正規化装置
【請求項12】
請求項11記載の時系列的な環境情報を正規化する装置おいて、時系列的な環境情報を正規化、識別するために登録されたルールを自動的に実行する手段において、前記ルール実行時の環境状況と入力情報に関連のある特定の対象物に関する操作量と操作手順を格納するセルを持つ情報マトリクスに変換する手段を設けたことを特徴とする時系列的な環境情報の正規化装置
【請求項13】
請求項5記載の情報探索装置のステップ2において、開始状態情報マトリクスから目標状態情報マトリクスに至るまでの情報マトリクスの遷移列の遷移制限時間や前記開始状態情報マトリクスから前記目標状態情報マトリクスに至るまでの前記情報マトリクスの遷移列中の複数の情報マトリクス中のセル間の関係やセル間に演算を行った場合の結果を前記情報マトリクスの遷移列の探索条件として加えて探索を行う手段を設けたことを特徴とする情報探索装置
【請求項14】
請求項7又は請求項8記載の情報探索装置のステップ2において、開始状態情報マトリクスから目標状態情報マトリクスに至るまでの情報マトリクスの遷移列の遷移制限時間や前記開始状態情報マトリクスから前記目標状態情報マトリクスに至るまでの前記情報マトリクスの遷移列中の複数の情報マトリクス中のセル間の関係やセル間に演算を行った場合の結果を前記情報マトリクスの遷移列の探索条件として加えて探索を行う手段を設けたことを特徴とする情報探索装置
【請求項15】
請求項5、請求項7、請求項8いずれかに記載の探索装置おいて、前記探索装置とは逆に目標状態情報マトリクスから開始状態情報マトリクスまでの近似の情報マトリクスを請求項3記載の装置により作成されたデータベースから請求項4記載の情報探索装置により近似の情報マトリクス探索を繰り返すことにより、前記目標状態情報マトリクスから前記開始状態情報マトリクスまでの近似の情報マトリクスの遷移列の探索を行い、得られた前記情報マトリクスの遷移列中の遷移情報又は前記開始状態情報マトリクスに近似の近似開始状態情報マトリクスから前記の目標状態情報マトリクスに近似の近似目標状態情報マトリクスに格納されたある特定の対象物の開始状態及び動作から、ある特定の対象物の目標状態及び動作に至るための操作量と操作手順を得て、求めるある特定の対象物に関するある開始状態及び動作から目標状態及び動作に至るための操作量と操作手順を得る手段を設けたことを特徴とする情報探索装置
【請求項16】
請求項3記載の装置おいて、時系列的な環境情報を変換した情報マトリクスの時系列的な変化や前記情報マトリクス中のある特定の対象物に関する状態変化、動作状態、操作及び操作手順に対して、言語的な言葉によるキー情報の付与を行い、更に前記言語的なキー情報を格納するセルを持つ情報マトリクスに変換する手段を設けたことを特徴とする時系列的な環境情報の正規化装置
【請求項17】
コンピュータが時系列的な環境情報の変化やある特定の対象物に関するある開始状態及び動作から目標状態及び動作に至るための操作量と操作手順を得る情報探索装置において、ステップ1としてコンピュータが前記環境情報の変化又は前記のある特定の対象物前記開始状態及び動作から前記目標状態及び動作に至るための環境変化又は状態変化、動作状態、操作及び操作手順の言語的な表現を行うステップ1を持ち、次にステップ2としてステップ1で言語的に表現された前記環境情報の変化又は前記のある特定の対象物の状態変化、動作状態、操作及び操作手順を表す言語的な表現を探索キー情報として、請求項16記載の装置にて作成したデータベースに対して請求項4記載の情報探索装置により、探索を行うことにより言語的に表現された前記環境情報の変化又は前記のある特定の対象物に対する状態変化、動作状態、操作及び操作手順を、探索して得られた情報マトリクス遷移列に置き換え、得られた前記情報マトリクス遷移列中に格納された、前記環境情報の変化又は、前記ある特定の対象物に対する状態変化、動作状態、操作及び操作手順情報をつなげることにより、前記環境情報の変化情報又は前記のある特定の対象物に関するある開始状態及び動作から目標状態及び動作に至るための操作量と操作手順を得るステップ2の手段を設けたことを特徴とする情報探索装置
【請求項18】
請求項9、請求項10、請求項15、請求項17いずれかに記載の情報探索装置において、探索途中の情報マトリクスの遷移列内に、結果として求めるべき情報マトリクス遷移列を構成するために必要と予想される、請求項3記載の装置にて作成したデータベース内にはない新たな情報マトリクスを前記探索途中の情報マトリクスの遷移列内に挿入した後、新たに挿入した前記情報マトリクスと既に探索が完了している前記探索途中の情報マトリクスの遷移列との前後間の遷移を前後同時かつ多重に、請求項4記載の情報探索装置にて、探索を行い、そして得られた情報マトリクスの遷移列から、環境情報の変化情報又はある特定の対象物に関するある開始状態及び動作から目標状態及び動作に至るための操作量と操作手順を得る手段を設けたことを特徴とする情報探索装置
【請求項19】
請求項1記載の環境情報の正規化装置に加えて、前記装置により正規化された情報マトリクスを格納するデータベースと、前記データベース中のある開始状態情報マトリクスから目標状態情報マトリクスに近似の目標状態情報マトリクスに至るまでの情報マトリクスの遷移列の探索を行う情報マトリクス照合部と、前記照合部により得られた情報マトリクス遷移列を表示する表示部と、を備える情報操作システム。






【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は利用者が目標とする環境情報の類似環境情報検索及び目標とする人や機械等の動作状況に遷移するための人や機械等の操作量を検索するための環境情報登録及び検索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の環境情報の識別は特開2015-89801にある様に、あらかじめ設定された複数の尺度又は識別方法を使用して幾つかの尺度で測定された環境情報をプログラムに指定された順番に照合して環境の状況判断を行っている。例えば、類似の環境情報を検索しようとする場合、環境情報に含まれる画像情報、センサー情報、その他の情報から特徴情報を検出して、検出された特徴情報をプログラムに指定された順番に照合を行う。
【0003】
しかし類似の環境情報を検索する場合の検索キーとなる環境情報が刻々と変化する場合において、環境情報に含まれる複数の情報の変化のタイミングは非同期であるため、順番に入力情報を評価する現在の環境情報評価プログラムでは非同期に入力情報が変化する環境情報評価は困難であり、より自由に情報間の因果関係とタイミングを設定して評価する装置が求められている。
【0004】
例えば環境情報の判断の例としてエレベータ内の異常検知において(情報処理48巻1号)、環境情報に画像情報とその他のセンサー情報が含まれる場合、最初に画像認識により人の認識を行い、続いて画像認識プログラムの認識結果を踏まえて他のセンサー情報が示す状況の特徴を環境情報評価プログラムの手順に従って、環境情報の判断がなされるため、非同期に変化する画像情報とその他のセンサー情報の評価手順を設定、変更、追加することは困難であり、また環境情報の判断にその他のセンサー情報を加えようとした場合、環境情報評価プログラムの修正や変更を行い、追加したセンサー情報を評価するタイミングや他のセンサー情報との組み合わせや評価のタイミングを設定することは容易ではない。
【0005】
また、従来の機械制御プログラムにおいては、まず、現在の環境情報を理解して、次に目標とする環境情報に遷移するための人や機械等の操作量を計算等により得ている。そこで、現在の環境情報を理解するためには当初に設定された限られたセンサー情報により判断を行っている。
【0006】
従来、環境情報の理解は特開2015-89801にある様に、自動車の自動運転では現在の車が置かれている環境情報の理解は車速センサー、前方レーダー等の当初に設定されたセンサー情報を基にプログラムに指定された順番で情報の判断を行っており、後にセンサーを追加したり、センサーが示す値の評価を変更したり、センサーの組み合わせの変更に対応してプログラムを修正することは容易ではない。理由は情報評価の順番を検討したり、評価する情報の組み合わせを検討したりすることは容易ではないからである。
【0007】
またセンサーからの情報の非同期な変化に対応するためには評価プログラム中の主としてIF文で構成される情報評価のループを高速で繰り返す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-89801
【特許文献2】特開2007-213229
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】情報処理心理学入門、リンゼイノーマン他、サイエンス社、1989、P9
【非特許文献2】Creating System which has the ability to Emulate How Human Assign Value to their evaluation,バイオメディカル・ファジィ・システム学会 2017年度年次大会講演論文集、持田信治、p229-232
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来、気温や時間等の環境情報や道路の勾配や車の速度情報等からなる環境情報の識別は特開2015-89801にある様に、あらかじめ設定された複数の尺度又は識別方法を使用して幾つかの尺度で測定された環境情報をプログラムに指定された順番に照合して環境情報の識別を行う。また特開2007-213229にある様に、環境情報の識別は前方後方レーダー、勾配センサー、車高センサー等の限定されたセンサーによるものであり、値環境を識別するセンサー情報から環境情報を評価する場合、まず、それぞれの入力情報は情報の種類別にそれぞれ異なる入力情報処理プログラムに入力され、次にそれぞれの入力情報処理プログラムが出力する数字や文字による処理結果を環境情報判断プログラムに組み込まれた数字的な判断ルールの逐次処理により判断が行われる。
【0011】
しかし入力情報処理プログラムの出力結果である、数字や文字の意味はプログラム作成者しか理解していないため、後の入力情報の種類追加や、判断ルールの追加や修正を行うことは困難であった。加えて入力情報と入力情報処理プログラムの出力は必ずしも人が理解できるように意味的につながったものではないため、後の入力情報の種類追加や、判断ルールの追加や修正を行うことは困難である。
【0012】
従来の場合には、複数の環境情報を判断して評価する環境情報判断プログラムはIF文に書かれた数値又は文字による判断文の逐次処理により状況判断を行う、しかしIF文中の比較演算に現れる数字や文字の示す意味やIF文の順番をプログラム作成者以外が理解することは難しく、後にプログラム作成者以外がIF文の追加や修正は困難である。
【0013】
従来、複数の環境情報を判断して評価する環境情報判断プログラムはIF文に書かれた数値又は文字による判断文の逐次処理により状況判断を行う、しかしIF文中の比較演算に現れる数字や文字の示す意味やIF文の順番をプログラム作成者以外が理解することは難しく、後にプログラム作成者以外がIF文の追加や修正は困難である。
【0014】
また、センサー等から入力される非同期な入力情報に対応するためには評価プログラム中の主としてIF文で構成される情報評価のループを高速で繰り返す必要があり、入力情報が増加すると情報評価のループ数と情報評価アルゴリズムが複雑化して処理コンピュータの負荷が増すこととなり、情報入力をコンピュータの処理性能上の問題から入力情報の増加には限界がある。
【0015】
従来、機械等の制御において、通常、制御対象の現在の環境情報から目標の環境情報に至るための操作量を得る場合、制御モデルに従い、目標値と現在値の差分を取り、ある定められた時間内で制御対象が目標値に収束するように機械等の操作量の取得と操作が行われており、環境状況に従い目標値に収束するまでの時間を予測的に補正することはないため、機械等の動きが人の感覚に沿わないことがある。また、人や機械等が置かれている環境情報、例えば気温の上下や抵抗量や機械の劣化を操作量の補正値に翻訳して、目標の環境状況に収束するための時間を補正したり、機械等の操作量を補正したりすることは人が行っており、機械が自ら環境状況や環境要素の優先順位を評価して操作量を補正することは困難である。
【0016】
従来の機械の性能表示は設計性能で示されており、運転環境の変化や使用用途の違いによる、機械の操作の補正や運転方法の変更は人が介入して操作量補正や運転方法の変更を行うことが必要である。
【0017】
機械等の制御において現在の環境情報から目標の環境情報に至るための操作量を得るために、環境情報の変化を識別して最適な操作量を得るルールを学習する装置において、従来は、人の経験や実測値に従ってまず、当初に設定されたセンサー情報に基づく計算式やデータテーブルから機械等の操作量を得る仕掛けを設定する。そして当初に設定された操作量を得る仕掛けに日々の操作パターン情報を加えて操作量の変更を行う。しかし、人や機械等が置かれている環境情報、例えば気温の上下や抵抗量増減や機械等の劣化や、ある目標の環境情報に至るまでの時間についてそれぞれの優先順位を評価した、人や機械等の操作量取得に関するルールを学習することはできない。
【0018】
従来の情報検索ではキーワード検索が主であり、学校と言うキーワードに対して小学校、中学校、高校等の同意語に対する処理が必要であり、シソーラス等を利用した複数の言語によるタグ付け操作等が必要であった。また、人や機械等の操作量を得るために、涼しいとは25度Cであるの様に人によりデータ登録や、検索時に人が介在した情報処理が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明における環境情報とは気温や時間等の環境情報に加えて道路の勾配や車の速度情報等を含む情報のことであり、更に、本発明では環境情報に、ある特定な対象物の状態、動作、操作量、手順等の情報を加えた環境情報を環境情報又は入力情報、あるいは、単に情報と呼ぶ。そして本発明において配列を使ったデータ構造を情報マトリクスと呼び、本発明では前記環境情報及び入力情報を格納した情報マトリクスを単に情報マトリクスと呼ぶ。また情報マトリクスを蓄積したデータベースを単にデータベースと呼ぶ。また本発明におけるある特定な対象物とは人や機械等を含む、ある時間内に動作可能であり、かつある時間内にある動作量や操作量を持つものを指す。また本発明では、情報マトリクス遷移列探索の検索キーとなる開始状態情報マトリクスと目標状態情報マトリクスを単に情報マトリクスと呼ぶ。そこで、本発明は前記情報と位置及び運動エネルギーの時間的変化を時系列的な情報マトリクスとして記述することにより、環境の時間的変化を時系列的な情報マトリクスの遷移としてデータベースに登録することを可能とする。更に本発明は環境の時間的変化を時系列的な情報マトリクスの遷移のみで表現するため、情報マトリクスのデータベースへの登録時に、人による環境状況の言語化などの人による情報処理や人の介在を必要としない。そして複数の情報マトリクスから構成される時系列的な情報マトリクスの遷移は、ある環境状況から次の環境状況に至るための条件を表現することになるため、時系列的な複数の情報マトリクスから構成される情報マトリクスの遷移はある環境状況からある目標となる環境状況に至るための条件を検索するための検索キーとなり得る。加えて、情報マトリクスの登録時にある環境状況から次の環境状況に至るための機械等の操作量や人の動作を情報マトリクスに登録しておくことにより、ある環境状況からある目標となる環境状況に至るための機械等の操作量や人の動作を得ることが可能となる。
【0020】
本発明は時系列的な環境状況の変化を複数の属性の異なる環境情報の時系列的な変化として捉える手段を提供する。本発明では環境情報の識別を、ある時刻の環境情報を構成する複数の図形情報、画像情報、音声情報、センサー情報、文字情報その他の属性の異なる情報から抽出した特徴情報をn×nの大きさを持つ情報マトリクス上に配置した、ある時刻の環境情報の一括表現により行う。更に本発明はある時刻の複数の環境情報の一括表現により、ある時刻に於ける複数の環境情報の関係を評価した環境情報の評価手段を提供する。
【0021】
本発明は時系列的な環境情報の変化を時系列的な情報マトリクスによる、情報マトリクスの遷移状態として表現することにより、時系列的な環境情報の一括評価手段を提供する。更に時系列的な環境情報の変化を情報マトリクスの遷移状態としてデータベースへ登録することにより、データベースに対して類似の環境情報の変化に関する情報検索の手段を提供する。
【0022】
本発明は時系列的な環境情報を表現する情報マトリクス上のセルにある特定な対象物の動作状況と人の動作量や機械等の操作量を加えて、データベースに登録することにより、ある特定な対象物のある状況からある目標とする状況へ遷移するための操作量をデータベースから得る手段を提供する。
【0023】
そこで、請求項1と請求項2にあるように、ある時刻の環境情報に関する複数の属性の異なる入力情報の評価状況をn×nの大きさを持つ情報マトリクス上に表現して、他の情報マトリクスと比較することにより環境情報を一括して評価を行い、環境情報の登録、検索を可能とする。
【0024】
本発明では前記に示したように、ある時刻の環境情報に関する複数の属性の異なる入力情報の評価状況をn×nの大きさを持つ情報マトリクスとして表現することにより、複数の入力情報の関連性を同時に評価することが可能となり、更に環境情報の非同期な変化をn×nの大きさを持つ情報マトリクスの変化に変換することにより、多数の非同期な情報の変化を同時に評価することが可能となる。
【0025】
本発明では複数のセンサー情報の組み合わせを評価した環境情報の変化や遷移の識別をデータベース中の情報マトリクスの変化や情報マトリクスの遷移状態を評価することにより行う。
【0026】
本発明は同時刻の複数の属性の異なる環境情報に基づいた環境情報の識別、登録と検索を実現する。本発明は系列的な図形情報、画像情報、音声情報、センサー情報、文字情報その他の属性の異なる情報から特徴を検出して請求項1に示す通り、環境情報をn×nの情報マトリクスに変換してデータベースに環境情報として登録することにより複数の属性の異なる環境情報を持つ環境情報の登録と検索、更新等の一律な操作を実現する。
【0027】
本発明では複数の属性の異なる入力情報の評価状況をn×nの情報マトリクス上に表現して、n×nの情報マトリクスの各セルに関連付けされた複数の入力情報識別ルールが独立して非同期に実行されるため、非同期かつリアルタイムな入力情報の変化に対しても、変化のあった情報を示すマトリクスのセルのみを変更することで非同期な入力情報の変化に対応でき、従来の様に評価プログラムを高速で繰り返す必要がなく、コンピュータ等の資源利用の削減を図ることが可能となる。
【0028】
請求項2に示す通り、時系列的な人や機械等の動作状態及び操作量を請求項1記載の時系列的な環境情報の正規化装置に加えて、データベースに登録することにより、人や機械等のある動作状況から動作目標に到達するための人や機械等の操作量を検索することが可能となる。
【0029】
前記の環境情報の特徴を検出して、検出された特徴を情報マトリクスの各セルに与えることにより、環境情報をn×nの情報マトリクスに変換してデータベースに登録する場合に、請求項3に示す通り、検出された特徴が記入されたセルに加えて、環境情報を判断する入力情報識別ルールとその結果が関連付けされたセルを情報マトリクスに追加記入してデータベースに登録することにより、複数の属性の異なる環境情報の関係を評価した入力情報識別ルールを持つ情報マトリクスをデータベースに登録することが可能となる。そして属性の異なる入力情報の組み合わせに加えて。時系列的な入力情報の組み合わせを評価した入力情報識別ルールを持つ情報マトリクスをデータベースに登録することが可能となる
【0030】
n×nの情報マトリクスの各セルに関連付けされた複数の入力情報識別ルールはそれぞれ独立して非同期に実行されるため、独立したそれぞれのルールの修正、追加、削除は個別に行なうことが可能であり、入力情報識別ルールの追加、修正、削除が容易となる。
【0031】
ある情報マトリクスをキーとして、類似環境情報の検索及び識別を行う場合には、請求項4に示す通り、検索キーとなるn×nの情報マトリクスにて表現された環境情報を画像と考え、同じくデータベースに登録されているn×nの情報マトリクスを画像と考え、類似環境情報の検索及び識別を画像のパターンマッチングにより行い、複数の属性の異なる環境情報を持つ環境情報の類似検索が画像のパターンマッチングにより可能となる。請求項15に示す様にセルにリンクされた評価ルールの数により、0~255までのグレイスケールの色を与えることにより、複数のルールがヒットしたセルは濃度の高いピクセル画像として表現可能となる。
【0032】
環境情報のリアルタイムかつ非同期な変化を評価する場合、本発明では従来の様に評価プログラム中の、主としてIF文で構成される情報評価のループを高速で繰り返すのではなく、画像の変化として画像のパターンマッチングにより評価するため、画像処理専用ハードウエア等の資源を利用した高速な環境判断が可能となる。
【0033】
同じく、請求項5に示す通り、環境情報に人や機械等の動作情報と操作量を加えた、情報マトリクスにおいても情報マトリクスの表示状況を画像と考え、画像のパターンマッチングを行うことにより、複数の属性の異なる環境情報を持つ環境情報の類似検索が可能であり、画像の変化として環境情報を評価するため、画像の比較を行うことのできる画像処理専用ハードウエア等の資源を利用した高速な環境判断が可能となる。
【0034】
請求項6に示す通り、情報マトリクスの各セルに、更に時系列的な情報マトリクスをリンクすることにより、マトリクスの各セル単位の時系列的な特徴変化を記述することが可能となり、時系列的な情報マトリクスの変化を検索キーとして使用することが可能となる。
【0035】
類似環境情報の検索を行う場合には、検索キーとなるn×nの情報マトリクスとデータベースに登録されているn×nの情報マトリクスに対して、各マトリクスに関連づけられている入力情報識別ルールを非同期に同時に実行することにより、検索キーとなるn×nの情報マトリクスとデータベースに登録されているn×nの情報マトリクスのリアルタイムな変化に追随した類似環境の検索が可能となる。
【0036】
前記のデータベースに情報マトリクスを登録する場合、時間軸に沿って複数の環境情報の遷移状態を示す情報マトリクスを登録することにより、ある時刻の環境状態から時間軸をさかのぼって、環境状態の遷移を検索することが可能となる。
【0037】
前記のデータベースへの情報マトリクス登録において、時間軸に沿って複数の環境情報の遷移状態を示す情報マトリクスを登録する場合に、環境情報に加えて人や機械等の動作状態と操作量を追加することにより、ある時刻の人や機械等の動作状態から時間軸をさかのぼって、ある時間内に人や機械等のある運転状態に至るための人や機械等の操作量を検索することが可能となる。又はある目標とする人や機械等の動作状態に、現在の人や機械等の動作状態から特定な時間内に至るための人や機械等の操作量を検索することが可能となる。
【0038】
データベースから情報マトリクスを検索する場合に請求項7に示す通り時系列的な複数の情報マトリクスを検索キーとして検索することにより時系列的な環境情報の遷移を検索することが可能となる。加えて請求項8に示す通り人や機械等の動作状態と操作量を含む時系列的な情報マトリクスを検索キーとして検索することにより時系列的な環境情報の遷移に加えて人や機械等の動作情報と操作量を検索することが可能となる。
【0039】
請求項15に示す通り、請求項5 、請求項7 、請求項8 記載の装置とは逆の情報マトリクス検索を行うことにより、ある特定な対象物に関するある動作目標からある動作開始状態に向けての情報マトリクス遷移列を得ることが可能となる、つまりある特定な対象物の動作目標に至るための、ある特定な対象物に関する操作量を探索することが可能となる。
【0040】
請求項9に示す通りデータベースから、ある環境情報から到達すべき目標の環境情報に状態空間を遷移する一連の情報マトリクスを請求項4に示した装置で検索する類似検索装置において、検索キーとなる開始状態情報マトリクスと目標状態
情報マトリクスと環境情報やデータベース中の情報マトリクスがリアルタイムに変化する場合にも本手法では2つのステップにより、より環境情報の時間変化に対して追随性の高い環境情報の類似検索を実現する。ステップ1では請求項4に示した、検索キーとなる開始状態情報マトリクスと目標状態情報マトリクス中の環境情報と情報評価ルールを環境状況の変化に伴い、リアルタイムに変更を行い、データベースからリアルタイムに遷移可能な一連の情報マトリクスを検索して中間検索結果として複数の情報マトリクスからなる遷移可能な状態空間を作成する。また請求項3に示した、登録する情報マトリクス全体を暗号化または圧縮したセルを検索することにより、遷移可能な状態空間を生成する可能性のある情報マトリクスを高速に検索することが可能である。そしてステップ2では前記のステップにより作成された情報マトリクスからなる中間検索結果として得られた状態空間に対して請求項4に示した装置を用いて類似検索を行うことにより、環境情報の時間変化に対して追随性の高い情報マトリクスからなる環境情報の類似検索を実現する。加えて、本発明ではステップ1に於いて、データベース全体から現状の環境情報に合わせて、データベースのサブセットとして遷移可能な情報マトリクスからなる遷移可能な遷移空間を作成することにより環境情報の類似検索を高速に実行することが可能となる。
【0041】
請求項10に示す通りデータベースから、ある特定な対象物のある動作状況からある動作目標状況に至る人や機械等の操作量を得るために、データベースから人や機械等の名称と操作量や人の行動を含む一連の情報マトリクスを請求項5 に示した装置で検索する類似検索装置において、検索キーとなる環境情報やデータベース中の情報マトリクスがリアルタイムに変化する場合にも本手法では2つのステップにより、環境情報の時間変化に対して追随性の高い環境情報の類似検索を実現する。ステップ1では請求項5に示した検索キーとなる開始状態情報マトリクスと目標状態情報マトリクス中の環境情報と情報評価ルールを環境状況の変化に伴い、リアルタイムに変更を行い、リアルタイムにデータベースから遷移可能な一連の情報マトリクスを検索して中間検索結果として複数の情報マトリクスからなる遷移可能な状態空間を作成する。また請求項3に示した、登録する情報マトリクス全体を暗号化または圧縮したセルを検索することにより、遷移可能な状態空間を生成する可能性のある情報マトリクスを高速に検索することが可能である。そしてステップ2では前記のステップにより作成された情報マトリクスからなる中間検索結果として得られた状態空間に対して請求項5に示した装置を用いて、開始状態情報マトリクスと目標状態情報マトリクスに類似の検索を行うことにより、ある動作状況からある動作目標状況に至る人や機械等の操作量を得ることができる。そして前記の2つのステップを持つ類似検索装置により環境情報の時間変化に対して追随性の高い情報マトリクスからなる環境情報の類似検索を実現する。加えて、本発明ではステップ1に於いて、データベース全体から現状の環境情報に合わせて、データベースのサブセットとして情報マトリクスからなる遷移可能な遷移空間を作成することにより検索対象となる情報マトリクスの数を削減して、ある動作状況からある動作目標状況に至る人や機械等の操作量を含む類似環境情報の高速な検索を実現する。
【0042】
請求項11に示す通り、本手法では請求項3に示した入力情報の入力情報評価ルールを登録する場合において、検索者が発行した検索キーと検索者の検索目標と検索キー発行時の環境情報を記入した入力情報識別ルールを多重登録することにより、入力情報識別ルールの重要性を表現することが可能となる。
【0043】
請求項12に示す通り、本手法では請求項11に示した入力情報識別ルールを登録する装置において、検索者が指定した図形情報、画像情報、音声情報、センサー情報、文字情報その他情報による検索キー又は情報マトリクスで表現された検索キーに関して類似環境検索開始時と検索結果に於ける図形情報、画像情報、音声情報、センサー情報、文字情報その他情報等の属性の異なる入力情報に対して発行された検索ルールを同時に記述することが可能であり、更に以前に発行した検索キーと今回発行した検索キーの差を識別するルールを記述して各マトリクス中のセルにリンクすることにより時系列的な検索キーの変化を登録することが可能となり、後に識別するルールを編集することにより検索キーの精度が向上する。
【0044】
請求項13と14に示す通り、本手法ではある特定な対象物が到達すべき目標を図形情報、画像情報、音声情報、センサー情報、文字情報、機械名称、操作量、その他情報を情報マトリクスにて表現することにより、ある特定な対象物が到達すべき目標を機械が理解できる形で記述することが可能となる、つまり目標とする情報マトリクスと現状を表す情報マトリクスやデータベース中の情報マトリクス間に比較演算等の演算を行うことにより、目標に近づくための操作量を得ることが可能となる。
【0045】
請求項13と14に示す通り、本手法ではある特定な対象物が到達すべき目標を2つ以上の情報マトリクスからなる時系列的な遷移状態で示すことにより、目標を機械が理解できる形で記述することが可能となる。つまり目標とはある時間内にある状態からある状態に移行することのできる能力又は目標状態をある位置エネルギーや速度を与えられた状態として表現することが可能となり、ある特定な対象物が到達すべき目標が設定されれば、目標への到達経路が複数検索された場合に、人や機械等が置かれている環境情報、気温の上下、抵抗量の増減や機械等の劣化や、目標の環境情報に至るまでの時間等について、かかるコスト等を比較演算することにより、目標への到達経路の優先順位を算出することが可能となる。
【0046】
請求項16と請求項17と請求項18に示す通り、情報マトリクス間の変化や、動作、操作量を人が理解できる言語で表現して、情報マトリクス内に登録することができれば、言語で表現されたれた情報の変化や、ある特定な対象物の動作、操作、操作量や手順を情報マトリクスの遷移列に変換することが出来る、そして得られた情報マトリクス遷移列からある特定な対象物の動作、操作量、操作手順を得て、得た動作、操作量、操作手順等をある特定な対象物である、人や機械等で実行することが可能となる。
【発明の効果】
【0047】
本発明は環境情報の時系列的な変化を環境情報と時間と位置エネルギー情報を持つ情報マトリクスにて記述することにより、人の介在を必要とせずに時系列的な様々な情報により構成される環境情報の遷移の記録を可能とする。更に、登録された情報マトリクスによりデータベースに登録された環境情報に対して、人の言葉等の高次の概念を利用することなく、時系列的な環境情報の変化を検索する手段を提供する。
【0048】
本発明は画像、音声、文字情報等の情報の種類に関係なく統一的に環境情報の登録、検索等の情報操作を行うことを可能とする。更に類似の情報マトリクスを検索して情報マトリクスによるクラスタを生成することにより、意味的に同じ情報の分類や検索等の情報操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明を実施する1例におけるシステム構成例の図である。
図2】本発明に於いて情報マトリクスを生成する例を示した図である。
図3】本発明の請求項7と請求項8の実施の1例を示す図である。
図4】本発明の請求項9と請求項10の実施の1例を示す図である。
図5】従来の環境情報識別装置のフローチャートの図である。
図6】本発明に於ける環境情報識別装置のフローチャートの図である。
図7】本発明の請求項7と請求項8に於ける検索キーとして目標設定を示す図である。
図8】請求項8の実施例を車の減速状態を用いて説明した図である。
図9】請求項2の実施例を車の操作と環境情報の登録を用いて説明した図である。
図10】請求項8の実施例を車の目標動作に対する操作量の検索を用いて説明した図である
図11】請求項2及び請求項10の実施例を車の目標動作と環境情報に対する操作量の検索を用いて説明した図である。
図12】請求項2の実施例における環境情報を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明における環境情報とは気温や時間等の環境情報に加えて道路の勾配や車の速度情報等を含む情報のことであり、更に本発明では環境情報に、ある特定な対象物の状態、動作、操作量、手順等の情報を加えた環境情報を環境情報又は入力情報、あるいは、単に情報と呼ぶ。そして本発明において配列を使ったデータ構造を情報マトリクスと呼び、本発明では前記環境情報及び入力情報を格納した情報マトリクスを単に情報マトリクス(104)と呼ぶ。また情報マトリクスを蓄積したデータベースを単にデータベース(105)と呼ぶ。また本発明におけるある特定な対象物とは人や機械等を含む、ある時間内に動作可能であり、かつある時間内にある動作量や操作量を持つものを指す。更に本発明では、情報マトリクス遷移列探索の検索キーとなる開始状態情報マトリクスと目標状態情報マトリクスを単に情報マトリクスと呼ぶ。そこで、本発明は請求項1に示す様に環境情報と位置エネルギーの時間的な変化である情報マトリクス時系列的リンク(106)を持つ情報マトリクス(104)として記述することにより、環境の時間的変化を時系列的な情報マトリクスの遷移としてデータベース(105)に登録することを可能とする。更に本発明は環境の時間的変化を時系列的な情報マトリクスの遷移のみで表現するため、情報マトリクスのデータベースへの登録時に、人による環境状況の言語化などの人による情報処理や言語による環境状況のタグ付けなど、人の介在を必要としない。そして複数の情報マトリクスから構成される時系列的な情報マトリクスの遷移は、ある環境状況から次の環境状況に至るための条件を表現することになるため、時系列的な複数の情報マトリクスから構成される情報マトリクスの遷移はある環境状況から目標となるある環境状況に至るための条件を検索するための検索キー(107)となり得る。加えて、情報マトリクスの登録時にある環境状況から次の環境状況に至るための人や機械等の操作量や人の動作を情報マトリクスに登録しておくことにより、ある目標となる環境状況に至るための一連の検索された時系列的類似情報マトリクス(109)を得て、人や機械等の操作量や人の動作(129)を得ることが可能となる。ここで、本発明で言う、環境状況とは気温、天候、明るさ、時間等の環境状況を始めとして、機械等や人に関する動作状況、位置、速さ等の状況を言う。
【0051】
請求項2に示した情報マトリクス(104)を時間軸に沿ってデータベース(105)に登録する場合に、ある時刻の情報マトリクス(117)から微小時刻Δt後の情報マトリクス(116)に遷移するためのある特定な対象物の操作量を情報マトリクス(116)に記入することにより、請求項2に示す様にある環境情報を示す情報マトリクス(116)と目標の環境情報を示す情報マトリクス(117)が与えられた時に、請求項15に示す様に目標の情報マトリクス(117)から逆にある時点の情報マトリクス(116)に向けて遷移可能な類似の情報マトリクスを検索することにより、現在の環境情報から目標の環境情報に至るための一連の遷移可能な複数の情報マトリクスを検索することが可能となり、ある時点の情報マトリクス(116)から目標の情報マトリクス(117)に至るためのある特定な対象物の操作量を得ることが可能となる。
【実施例0052】
以下に本発明の実施の形態を図1図12に基づいて説明する。
本発明を実施する場合のシステム構成例を図1図4に示す。図中の環境情報入力、検索装置(101)から手動、自動により、情報入力装置(103)に入力された複数の属性の異なる環境情報に関する入力情報(102)を請求項3に示した入力情報識別ルール(110)により情報の特徴検出を行い、n×nの大きさを持つ情報マトリクス(104)の各セル(120)に入力情報識別ルールによる特徴検出結果を書き込む。加えて本発明は複数の入力情報(102)の組み合わせを判断する複合入力情報識別ルール(119)による判断結果を情報マトリクス(104)のセル(121)に書き込み、情報マトリクス(104)を作成して、データベース(105)を構築することにより複数の入力情報の関連性を評価した一律な識別、登録と検索を可能とする。本実施例において、環境情報入力、検索装置(101)は環境情報や検索キー情報の入力手段を提供する、そして本発明コンピュータ・ソフトウェアにて実現する装置は、情報入力装置(103)、情報マトリクス照合装置(108)、遷移可能環境情報検索装置(112)、情報操作、結果表示装置(138)にて動作する。また図9図12は情報マトリクス(104)の遷移例を示す。
【0053】
請求項1と請求項2に於ける環境情報の登録の実施の例を示す。本発明に於ける環境情報の登録は2つのステップで実現する。最初のステップは環境情報入力、検索装置(101)から手動又は自動により入力された図形情報、画像情報、音声情報、センサー情報、文字情報その他の複数の異なる属性の入力情報(102)を情報入力装置(103)内に保存された入力情報識別ルール(110)により入力情報の識別を行い、m×mの大きさを持つ入力情報分析マトリクス(125)の生成を行う。例えば、画像情報に対して人を検知する入力情報識別ルール(110)が人を検知すると入力情報分析マトリクス中の指定されたセル(120)に人の存在を検知した結果と時刻を書き込む。また30度以上の気温を検知する入力情報識別ルール(110)が30度以上の気温を検知すると入力情報分析マトリクス中の指定されたセル(120)に気温が30度を超えた結果と時刻を書き込む。
【0054】
次に2つの目のステップでは前記の手法によりm×mの大きさを持つ入力情報分析マトリクス(125)に変換された環境情報を請求項2で示した、複数の属性の異なる環境情報の時系列的な関連性を評価する入力情報識別ルール(119)にて、評価を行い、n×nの大きさを持つ情報マトリクス(104)を生成してデータベース(105)に登録を行うことにより、複数の種類の情報を持つ環境情報の登録が可能となる、そして情報マトリクス(104)に対する検索、更新等の一律な操作が可能となる。
【0055】
請求項2に示した情報マトリクス(104)を時間軸に沿ってデータベース(105)に登録する具体的な例として、ある時刻の情報マトリクス(117)から微小時刻Δt後の情報マトリクス(116)に遷移するためのある特定な対象物の操作量を情報マトリクス(116)に記入することにより、請求項2に示す様にある環境情報を示す情報マトリクス(116)と目標の環境情報を示す情報マトリクス(117)が与えられた時に、請求項15に示す様に目標の情報マトリクス(117)から逆にある時点の情報マトリクス(116)に向けて遷移可能な類似の情報マトリクスを検索することにより、ある時間で現在のある環境情報から目標のある環境情報に至る、一連の遷移可能な複数の情報マトリクスを検索することが可能となり、ある時点の情報マトリクス(116)から目標の情報マトリクス(117)に至るためのある特定な対象物の操作量を得ることが可能となる。この時、現在の環境情報から目標の環境情報に至るまでの時間を環境状況を考慮して補正することにより、人の操作感覚に近い機械等の操作量を得ることが可能である。
【0056】
請求項2にある情報マトリクスを生成して登録するために、環境情報とある特定な対象物の操作量をある微小時間Δtでサンプリングして情報マトリクスを生成して登録することにより、情報マトリクス自動的に登録することが可能となる。
【0057】
請求項1と請求項2に於ける情報マトリクス(104)の登録について具体的な例として走行中の車の情報で説明する、情報マトリクス(104)は基本値としてID番号、生成時刻、属する分野等の情報を持ち、加えて、車速センサーからの値が90km/hである場合には速度が90km/hを示す数字又は、車速を示す色又は図形が情報マトリクス(104)のセル(120)に記入される。また入力情報識別ルール(110)に60km/h以上は注意というルールが登録されている場合には、同じく注意を表す数字又は色や図形が情報マトリクス(104)のセル(120)に記入される。また車外の温度センサーからの温度も同じく情報マトリクス(104)のセル120に記入される、車外センサーの温度が0度C以下で測度が40km/h以上は注意との複合入力情報識別ルール(119)が登録されている場合には、注意を表す数字又は色や図形が情報マトリクス(104)のセル(121)に記入される。
【0058】
前記の情報マトリクス(104)への情報記述は時系列的な統一フォーマットにて行い、例えば特徴を表現する数字又は記号、図形あるいはマトリクスパターンやXML形式のフォーマットにより表現を行う。
【0059】
請求項1に示した環境情報をデータベースに登録して請求項4のデータベースから検索する実施例として、部屋の明かりがOFFで何もしていない状態状況、例えば机の上に動きがない画像の入力情報(102)を持つ、情報マトリクス(123)から明かりをONになり、本を読んでいる状態、例えば机の上に動きがある画像の入力情報(102)を持つ、情報マトリクス(124)が登録されている場合、単に机の上に動きがある画像の入力情報(102)を持つ情報マトリクス(107)を検索キーとしての類似環境の情報マトリクス検索を行うと、情報マトリクス(124)が検索され、机の上に動きがある場合には明かりがONであることが解る。そして現在の環境を示す情報マトリクス(127)の明かりOFFであり、現在の環境を情報マトリクス(124)に近づける必要がある場合には請求項2に示した様に2つの情報マトリクスの遷移に伴う、機械等の動作情報が登録されている場合には、請求項5に示した検索から明かりをONにする操作量が必要であることがわかる。
【0060】
請求項2に示した装置で環境情報をデータベースに登録して、請求項5の装置でデータベースから検索を行う実施例として、ある荷物をクレーンで持ち上げる場合に、時刻tの荷物の位置座標が(X:0m、Y:0m、高さ:0m)で荷物の重さが10kgである状況を示す情報マトリクス(123)からクレーンのモータ出力を20%にして時刻10後に荷物の位置座標が(X:0m、Y:0m、高さ:1m)になったことを示す情報マトリクス(124)と、次にクレーンのモータ出力を0%かつモータをフリーにして、10後に荷物の位置座標が(X:0m、Y:0m、高さ:0m)となった情報マトリクス(127)からなる情報マトリクスの遷移が登録されている場合に、同じクレーンで10kgの荷物を10秒で1m、持ち上げたい場合には請求項5に示す様に情報マトリクス(123)から情報マトリクス(124)が示す状態に10秒で到達する情報マトリクスの遷移列(107)を動作目標キーとしてデータベースに検索を行うことにより、クレーンのモータ出力を20%にすれば良いことが解る。また、天候や風の状態等の環境情報が情報マトリクスに登録されている場合には更に、雨や風等の環境情報を含めた類似の検索が可能であり、雨や風が吹いている場合の機械等の操作量を得ることができる。更に一般的な機械の位置制御を合わせて用いることにより、より精密な制御が可能となる。また、情報マトリクス(124)から情報マトリクス(127)への遷移から、重さが10kgの荷物は何らの機械操作無くして10秒で高さ0になるポテンシャルを持つことが解る。
【0061】
請求項2に示した装置で環境情報をデータベースに登録して、請求項5の装置でデータベースから検索を行う実施例として、ある車がある天候状況、路面状況下の速度が60km/hで位置座標が(X:0m、Y:0m、高さ:0m)であることを示す情報マトリクス(123)からアクセル開度を15%にして時刻10後に車の位置座標が(X:200m、Y:0m、高さ:0m)になったことを示す情報マトリクス(124)と、次にアクセル開度を0%して、10後に車の位置座標が(X:350m、Y:0m、高さ:0m)となった情報マトリクス(127)からなる情報マトリクスの遷移が登録されている場合に、同じ車で現在速度が60km/hの時に10秒で現在点から200m先に到達したい場合には、10秒で情報マトリクス(123)から情報マトリクス(124)となる情報マトリクスの遷移列を動作目標キーとしてデータベースに検索を行うことにより、アクセル開度を15%にすれば良いことが解る。また、天候状況、路面状況等の環境情報が情報マトリクスに登録されている場合には更に天候状況、路面状況等の環境情報を含めた類似の検索が可能であり、雨や風の場合の人や機械等の操作量を得ることができる。更に一般的な機械の位置制御を合わせて用いることにより、より精密な制御が可能となる。また、情報マトリクス(124)から情報マトリクス(127)への遷移から、情報マトリクス(124)の状態にある、この車は何らの機械操作無くして10秒で現在地点から(X:150m、Y:0m、高さ:0m)移動できるポテンシャルを持つことが解る。
【0062】
請求項1と請求項2に示した時系列的な情報マトリクス(104)の登録を行う場合には情報マトリクス時系列リンク(106)により情報マトリクス(104)を時系列的にリンクすることにより時系列的な関係を評価した一律な情報マトリクス(104)の識別、登録と検索を可能とする。具体的には、情報マトリクス時系列リンク(106)は状態遷移における1つ前と次の状態を表す情報マトリクス(104)のID番号を持つ。
【0063】
請求項4に示した情報検索における検索キーとなる情報マトリクスとデータベース内の情報マトリクスの照合と検索又は、請求項5に示した情報探索において検索キーとなる開始状態情報マトリクスと目標状態情報マトリクスとデータベース内の情報マトリクスの照合と検索を行う場合には環境情報入力、検索装置(101)から手動又は自動により入力された図形情報、画像情報、音声情報、センサー情報、文字情報その他の複数の異なる属性の入力情報(102)から構成されるn×n個のセルを持つ検索キー情報マトリクス(107)とデータベース(105)に登録された情報マトリクス(104)について、情報マトリクス照合装置(108)を使用して類似情報マトリクス(107)の照合と検索を行う。情報マトリクス照合装置(108)はデータベース(105)に登録された比較対象情報マトリクス(111)上の表示状況、つまりマトリクスパターンを画像とみなすことにより、検索キーとして指定された情報マトリクス(107)のマトリクスパターンを画像のパターンマッチングにより類似環境情報の検索を行う。又は検索キー情報マトリクス(107)と比較対象情報マトリクス(111)それぞれ中のn×n個のセルに格納された数字や記号に対して、比較、評価演算を同時かつ多重に行うことにより、類似情報の検索を行う。
【0064】
例えば、情報マトリクス照合装置(108)が検索キーとなる情報マトリクス(107)と比較対象情報マトリクス(111)について、2つの情報マトリクスを画像と考えて、画像のパターンマッチングを使用して比較を行う場合、検索キーとなる情報マトリクス(107)のセル(1行:3列)から比較対象情報マトリクス(111)のセル(1行:3列)を引くと0となりマッチしたことになる。また数字の場合には検索キーとなる情報マトリクス(107)のセル(2行:2列)から比較対象情報マトリクス(111)のセル(2行:2列)を引くと結果は-1となり、等しくはないが、類似であることが算出される。この結果幅を例えばプラスマイナス3などの様に設定することにより、近似の度合いを設定することが可能であり、前記セル間の比較、評価演算を同時かつ多重に行うことにより、類似情報の検索を行う。また比較を行った情報マトリクスの各セル間の演算結果を距離として距離の積算結果についての最大値を設定することにより、比較を行う情報マトリクス近似の度合いを設定することが可能である。
【0065】
また情報マトリクス時系列リンク(106)でリンクされた複数の情報マトリクス(104)からなる状態遷移列を検索キーとして検索を行うことにより、時系列的な情報マトリクスからなる検索された時系列的類似情報マトリクス(109)を得ることが可能である。
【0066】
請求項1と請求項2に示した、情報マトリクス(104)をデータベースに登録する場合に、検索者が発行した情報識別ルールを登録することにより、情報識別ルールの学習が可能である。情報識別ルールとは入力情報識別ルールルール(110)と複合入力情報識別ルール(119)を含む、そして、検索者が発行したルールの多重登録を許すことにより、情報マトリクス(104)を生成する場合、多重登録されているルールのヒット数を示すセル(121)の中のヒット数は多重登録されたルールの数を反映しており、検索者が発行したルールの強度がセルの値に反映される。
【0067】
本発明における、前記の入力情報識別ルール(110)と情報認識ルール(119)の具体例として、例えば図形認識の場合には、入力情報識別ルール(110)は単純な垂直、水平等の線分識別(情報処理心理学入門、リンゼイノーマン他、サイエンス社、1989、P9)や円弧の識別(バイオメディカル・ファジィ・システム学会 2017年度年次大会講演論文集、持田信治、p229-232)を使用する。そして複数の情報認識ルール(119)を持つ、情報入力装置(103)は入力情報識別ルール(110)の評価結果の複合的な関係を評価して、n×nの大きさを持つ情報マトリクス(104)中の入力情報識別ルール(110)がリンクされたセルに入力情報の評価結果を記入することにより、文字や図形の認識判断を含む情報マトリクス(104)を生成する。
【0068】
請求項1と請求項2に示した、時系列的な情報マトリクス(104)により構成された情報マトリクスをデータベースに登録する場合の例として、図4の情報マトリクス(117)は時刻tに於ける入力情報の認識状態を、そして情報マトリクス(116)は次の時刻t+Δtに於ける認識状態を示しており、情報入力装置(103)は情報マトリクス(117)と情報マトリクス(116)を生成することにより、環境情報の時系列的な変化をデータベース(105)に登録することを可能とする。例えば、請求項2の実施例として走行中の車の情報において、車速センサーからの値が90km/hから5後に速度が95km/hとなった場合に、情報マトリクス(117)と情報マトリクス(116)に位置情報と速度情報と路面情報(勾配確度)、ハンドルの旋回度、風圧と機械の動作状態と操作量としてアクセル開度C、が記入鵜されている場合には、前記の環境条件下でアクセル開度Cの場合には5秒で速度が5km/h加速され、位置移動が可能であることが記録可能である。
【0069】
請求項7の実施例として情報マトリクス(123)と時刻Δt後の情報マトリクス(124)の様に情報マトリクス時系列リンク(106)を持つ時系列的な情報マトリクスを検索キーとして又は請求項8にある様に動作目標としてデータベース(105)に類似検索を行うことが可能である。請求項7の実施例として情報マトリクス(123)に気温25度と天候情報(雨)があり、Δt後の情報マトリクス(124)に気温31度と天候情報(雨)が記入されている場合に、データベース(105)に時刻Δt後に気温が1度下がる、類似情報を検索を実施した場合に天候が雨の場合に気温が下がる可能性があることが検索される。またまた請求項8の実施例として走行中の車の情報において、ある環境下で5秒で車速を5km/h加速する状態遷移を示す、情報マトリクス(123)と5秒後の情報マトリクス(124)の情報マトリクスをデータベース(105)対して検索を行うことにより。指定した環境下である目標に至るための人や機械等の操作量を得ることが可能である。
【0070】
入力情報が音声の場合には、入力情報分析マトリクス(125)中のセル(122)に対して音素、音節を分析する複数の入力情報認識ルール(110)の登録を行うことにより、入力情報分析マトリクス(125)は音素、音節を表現することが可能となる。この時、入力情報認識ルール(110)の代わりに既登録情報認識パターン(118)を利用してマトリクスの照合により、入力情報を評価しても良い。入力情報認識ルール(110)、更に情報認識マトリクス(104)に単語を認識する複合入力情報認識ルール(119)を登録することにより、情報認識マトリクス(104)の時系列な情報認識マトリクスは文節を表現することが可能となる。
【0071】
請求項4と請求項5に示した類似環境の検索を行う場合には、情報マトリクス照合装置(108)による類似環境の検索で行うパターンマッチングはn×nの情報の大きさを持つ検索キーとなる情報マトリクス(107)をn×nの図形として比較対象情報マトリクス(111)とパターンマッチングを行っても良い、あるいは検索キーとなるn×nの大きさを持つ情報マトリクス(107)と検索対象のn×nの大きさを持つ情報マトリクス(111)の対応する各マトリクス単位に差分を取り差分の合計値の差を取得することによりキーとなる情報マトリクス(107)と比較対象の情報マトリクス(111)との相違を評価しても良い、又は対応する各マトリクス単位に距離を計算して距離の合計値によりキーとなる情報マトリクスと比較対象の情報マトリクスとの差を評価することも可能である。
【0072】
請求項4と請求項5に示した。検索キーとなるn×nの大きさを持つ情報マトリクス(107)をキーとして、類似の環境情報検索及び識別を行う場合には、請求項4に示す通り、検索キーとなる持つ情報マトリクス(107)にて表現された環境情報を画像と考え、同じくデータベースに登録されているn×nの大きさを持つ情報マトリクス(111)を画像と考え、類似検索を画像のパターンマッチングを行うことが可能である。請求項7に示す様に情報マトリクス(104)のセル(120又は121)に1つ又は複数リンクされた評価ルール又は別の情報マトリクス(104)との評価ルールのヒット数に従い、0~255までのグレイスケールの色を与えることにより、複数のルールがヒットしたセルを濃度の高いピクセル画像として表現することが可能である。又はセルの内部状況をRGBで表現して、RGBの値をそれぞれ0~255の値を与えることによりカラーのピクセルとして表現及び比較ができる。又はセルの内部状況に対して文字のパターンマッチングや数字による演算を行うことにより、類似の情報検索が可能となる。
【0073】
請求項9に示した類似環境の情報検索を行う場合の例として、O157の様な感染症の広がりを予測する例において、まず、請求項1の手法により、人の座標点を含む情報を1つの環境情報と考え、時間的な人の動きの変化を時系列的な情報マトリクス(104)列として登録してあるデータベース(105)が既にあり、ある感染症を持った患者の移動に伴う、感染の広がりを予測する場合、請求項9に示したステップ1に示す通り、発見された感染者の位置情報と環境情報を含む情報マトリクスに時間遷移を加えた遷移可能環境情報検索ルール(114)を遷移可能環境情報検索装置(112)に書き込む、そして遷移可能環境情報検索装置(112)は非同期かつリアルタイムに遷移可能環境情報検索ルール(114)を使用してデータベース(105)に検索を行い、情報マトリクス時系列リンク(106)を持つ情報マトリクス部分集合(115)として移動可能な経路の候補を遷移可能経路として生成する。この時、請求項3に示した、情報マトリクス全体を暗号化または圧縮したセル(137)を検索することにより、遷移可能な状態空間を生成する可能性のある情報マトリクスを高速に検索することが可能であり、効率的に情報マトリクス部分集合(115)を得ることができる。
次に請求項9の第2ステップに示した様に、感染者の最新の情報を検索キー情報マトリクス(107)に反映して、情報マトリクス郡の部分集合(115)に対して画像パターンマッチング又は演算(126)を行い、感染の広がりを示す遷移予測経路を検索することが可能となる。例えば、感染者の最新の情報の例としては感染者の座標情報があり、感染者の座標に近い所を通過した人の動きに関する情報をリアルタイムに遷移可能環境情報検索ルール(114)に反映して、類似検索を行い、リアルタイムに時系列的な遷移空間を作成することにより感染の広がりを環境状況の変化に従って、リアルタイムに予測することが可能である。
【0074】
請求項10の例として、請求項2に示す装置により作成したデータベース(105)に対して検索を行い、人や機械等の現在のある動作状況からある動作目標状況に至る人や機械等の操作量を得るために、人や機械等の操作量を含む一連のn×nの大きさを持つ情報マトリクスを検索する場合に、請求項10に示した類似検索手法は、環境情報の変化に従い現在の状況及び動作状況とある動作目標状況に類似した環境情報及び動作状況を表現するn×nの大きさを持つ情報マトリクスをリアルタイムかつ非同期に検索するステップ1と前記のステップ1により検索されたn×nの大きさを持つ情報マトリクスからなる情報マトリクス部分集合(115)に対して請求項5に示した検索手法を用いて検索を行うステップ2を有しており、特開2015-89801にある様に人や機械等の操作量を得るためにあらかじめ設定されたN次元空間に設定された座用点を移動して操作量を得るのではなく、現在時刻からある時間後までの遷移可能な空間をリアルタイムに作成するための遷移空間を構成するため、遷移可能点の追加、変更、削除とリアルタイムな情報の追加が可能である。更に、リアルタイムかつ非同期に情報マトリクスを検索するステップ1に於いて、請求項3に示した、情報マトリクス全体を暗号化または圧縮したセル(137)を検索することにより、遷移可能な状態空間を生成する可能性のある情報マトリクス部分集合(115)を高速に得ることが可能である。
【0075】
請求項2に於ける環境情報と人や機械等の操作量登録の実施例を図8に説明する。図8は、あるサンプリングタイムで環境情報を登録している状態に於いて、速度60km/h(801)での走行中に10km/h減速の目標決定が行なわれ、減速開始状態(802)に入り、アクセルの操作は無しで、ブレーキ(足ブレーキ)の操作量Aを実行する。すると1秒後に減速目標の速度50km/hとなり、減速が完了して、次の走行状態(804)に遷移した状況を示したものである。前記に示す様にあるサンプリングタイムで環境情報と人や機械等の操作量と目標を情報マトリクスとして作成することにより、環境情報を含む、人や機械等の動作の遷移状態をデータベース(105)に登録することが可能である。サンプリングタイムは例えば0.1秒等での機械や人の操作量の変化を登録できるサンプリングタイムで良い。すると後に、請求項5や請求項8に示した動作目標、環境情報の遷移と遷移時間をキーとしてデータベース(105)から人や機械等の操作量を検索することが可能であり、得られた操作量を機械等や人が実行することにより、目標の環境状況に到達することができる。
【0076】
請求項2に於ける環境情報と人や機械等の操作量登録のその他の実施例を図9に説明する。図9は、あるサンプリングタイムで環境情報を登録している状態に於いて、速度10km/hでの走行状態(901)に於いてアクセルの操作は無し、手ブレーキの操作量Bを実行した動作開始状態(902)から、1秒後に速度が5km/hとなった状況を表現する情報マトリクスの時系列的遷移がデータベースに登録される様子を示したものであり、この場合、減速目標はなく、単に機械等の操作量の実行により環境情報が走行状態(901)から動作終了状態(903)に至った状況を記録したものである、つまり情報マトリクスの時系列的遷移が経験値として登録されたことになる。サンプリングタイムは例えば0.1秒等での機械や人の操作量の変化を登録できるサンプリングタイムで良い。すると後に、請求項5と請求項8に示す様に、環境情報の遷移をキーとしてデータベースから人や機械等の操作量を検索することが可能となる。
【0077】
請求項5と請求項8の実施例として、情報マトリクスの遷移列をキーとしてデータベース(105)に検索を行うことにより、機械や人等の操作量を得る例を図10に示す。速度60km/h(1001)での走行状態に於いて、10km/hの減速目標が決定されると、減速状態を示す情報マトリクスの遷移をキーとして、データベースに検索を行うと、既に登録されている減速状況を示す情報マトリクスの遷移(1002)が検索され、ブレーキ(足ブレーキ)操作量Aを得ることができる、そして検索された操作量Aを機械等又は人が実行することにより、10km/h減速を達成され、走行速度50km/hの走行状態(1003)が達成される。
【0078】
請求項5と請求項8に加えて請求項10の実施例として、情報マトリクスの遷移をキーとしてデータベース(105)に検索を行うことにより、機械や人等の操作量を得る例を図10に示す。図10の速度60km/hでの走行状態(1001)に於いて、10km/h減速目標決定時に、減速を示す情報マトリクスの遷移をキーとして、ステップ1としてデータベース(105)に検索を行うと、既にデータベース(105)登録されている減速状況を示す情報マトリクスの時系列的な遷移としてブレーキ(足ブレーキ)を使う減速状況(802)から(803)と手ブレーキを使う減速状況(902)から(903)が検索される。そして、ステップ2としてブレーキ(足ブレーキ)が故障している状態が検索キーとなる情報マトリクスの遷移列に書き込まれると、ブレーキ(足ブレーキ)が操作不能になっているため、手ブレーキを使用した減速状況遷移(902)から(903)が検索され、手ブレーキを使用した減速操作Bが機械等や人により実行される。
本例の様に手ブレーキを使用した減速状況を示す情報マトリクスの遷移がブレーキ(足ブレーキ)の操作に加えて登録されている場合には、情報マトリクスによる遷移キーから複数の機械等や人の操作量を検索することができ、次に請求項10のステップ2にある様に検索キーとなる情報マトリクスに機械等や人の操作量実行の優先順位等の情報を書き込むことにより、機械等や人の操作量を実行することができる。
【0079】
請求項8の実施例として図8の速度60km/h(801)での走行状態に於いて、20km/h減速目標決定時に、20km/h減速の情報マトリクス遷移が検索されない場合に、10km/h減速の情報マトリクス遷移に対するブレーキ(足ブレーキ)の操作量Aのみでは減速要求20km/hに関する情報マトリクスの減速状況を示すセルの減算が0とならないため、より要求の情報マトリクスの遷移に近づけるため更に、手ブレーキの操作量Bを使用した減速状況遷移(902)から(903)が検索され、ブレーキ(足ブレーキ)の操作量Aに加えて手ブレーキを使用した減速操作Bを加えて機械等や人が実行することが可能である。
【0080】
また、前記の例において、前方の衝突回避を目標とした減速要求であれば、請求項10のステップ1において衝突回避の状態遷移を実現する複数の情報マトリクスによる時系列的な状態遷移候補が検索され、減速では目標の状態遷移に達しない場合には更にハンドル操作による衝突回避の情報マトリクスによる時系列的な状態遷移が加えて選択され、減速操作量である足ブレーキA、手ブレーキBに加えて、ハンドル操作量Dの実行が可能である。以上の様にある目標となる環境状況から逆に現状の環境状況に向けて、情報マトリクスの探索を行い、複数の遷移可能な経路から、機械等の故障や性能又は効率等を評価して最適な遷移経路を選択して、選択された遷移経路内の情報マトリクスに記述された機械等や人の操作量を機械等や人が実行することが可能である。
【0081】
請求項5と請求項8の実施例として、環境情報を加えた情報マトリクスの遷移列をキーとしてデータベースに検索を行う場合を図11に説明する。雪道で登り坂の環境下に於いては、ブレーキ(足ブレーキ)の操作量Aに対して1秒間で2km/h減速の情報マトリクス遷移が登録されている場合、つまり情報マトリクスの時系列的遷移が経験値としてが登録されている場合には図10の速度60km/h(1001)での走行状態に於いて、10km/h減速要求時に、減速と環境情報として登りかつ雪道を含む情報マトリクスの遷移をキーとして、データベースに検索を行うと、既に登録されている登りかつ雪道での減速状況を示す情報マトリクスの遷移(1102)から(1103)が検索され、ブレーキ(足ブレーキ)操作量Aでは2km/hしか減速できないことが検索される。そこで雪道に於ける適切な減速操作を示す情報マトリクス遷移が登録されていない場合には、人に制御が移動して、ブレーキ(足ブレーキ)操作量Fを実行することにより、登りかつ雪道での10km/h減速要求に対する結果に至る情報マトリクスの遷移が新たな情報マトリクスの遷移、としてデータベースに登録される。この時、初速の60km/hと減速にかかった時間と10km/h減速した結果を示す、情報マトリクスの遷移状態が操作量Fの目標として登録され、以降の類似の情報マトリクスの遷移検索に利用することが可能となる。
【0082】
本発明においては、登録される情報マトリクスの遷移とある特定な対象物の操作量に関する情報は独立しているため、類似の情報マトリクス(104)や情報マトリクスの遷移を検索するかぎり、2カ所以上で登録されたデータベース(105)を足し合わせることが可能である。更に、入力情報識別ルール、情報マトリクスや情報マトリクスの遷移を請求項6や請求項11に示す様に情報マトリクスの各セルに多重登録することが可能であるため関係する入力情報識別ルール、情報マトリクスや情報マトリクス登録時の類似の情報登録チェックを行うことが不要であるため効率的に類似の入力情報識別ルール、情報マトリクスや情報マトリクスの遷移を登録することが可能である。
【0083】
図5に従来の環境情報の評価装置のフローチャートを示す。従来の環境情報の評価は入力情報を受け取り、プログラムに設定されたIF文にて評価するループを入力情報の数だけループすることにより、処理を行う。従って、入力情報の数が増加するとコンピュータの処理負荷が増える、更に入力情報の数が増加すると複数の入力情報の関係を評価した評価を行うことは困難となる。また後に、評価を行うIF文の修正、追加は困難である。一方、図6は本発明での入力情報の評価装置を示す。本発明では非同期で動作している入力情報識別ルールの識別結果を情報マトリクスの入力情報識別ルールがリンクされた該当セルに記入して入力情報の変化を識別することにより高速に入力情報を識別することが可能である、また本発明では非同期に入力情報識別ルールを動作させるため、マルチコアを持つコンピュータを利用すれば、更に高速な情報識別が可能である。更に入力された情報マトリクスと既にデータベース中に登録されている情報マトリクスと画像のパターンマッチングにより比較評価、類似検索を行うことにより、複数の入力情報の関係を画像パターンとして同時に評価を行うことが可能である。
【0084】
更に図7は請求項1と請求項2に示した時系列的な登録する情報マトリクスの遷移状態と請求項7と請求項8で示した検索目標となる情報マトリクスの遷移状態を示す。本発明は環境情報の時系列的な変化を環境情報と時間と位置エネルギー情報を持つ情報マトリクスにて記述することにより、人による情報処理等の介在を必要とせずに時系列的な環境情報の遷移の記録を可能とする。また、本発明は環境情報に加えて、人の行動や機械等の操作量を同時に登録することにより、人の経験値の登録を可能とする、そして登録された情報マトリクスにより表現された環境情報の時系列的な遷移に対して、検索目標を情報マトリクスの時間的遷移として表現することにより、検索キーとして人の言語等の高次の概念を利用することなく、時系列的な環境情報の変化を検索する手段を提供する。従って。本発明を用いることにより従来の様に動作に対する言語によるタグ付けやシソーラスを必要としない。
【0085】
請求項11と請求項12の実施例を示す。本発明では請求項3に示した入力情報評価ルールを登録する場合において、検索者が検索キーとして発行した検索キーとなる情報マトリクス(107)と検索された情報マトリクス又は情報マトリクス(109)との差のマトリクス、例えば2つの情報マトリクスの各セルに対して減算等の演算を行って得た差のマトリクスは、検索キーとして発行した情報マトリクス(107)から目標の情報マトリクス又は検索された時系列的類似情報マトリクス(109)とのある関係を示すルールマトリクスとなり、ルールマトリクスは複数の入力情報が入るセルに対して同時に評価を行うことができる。そして本識別ルールマトリクスを検索キーとして発行した情報マトリクス(107)と目標の情報マトリクス又は検索された時系列的類似情報マトリクス(109)に請求項11と請求項12に示す様にリンクすることにより、キーとして発行した情報マトリクス(107)と目標の情報マトリクス又は検索された時系列的類似情報マトリクス(109)間にある関係を自動的に持たせることが可能となり、そして識別ルールマトリクスにより、入力情報を常に監視することにより、請求項9と請求項10中のステップ1で示した、中間検索結果となる遷移可能な状態空間を前記で示したある関係において生成することが可能となる。
【0086】
請求項13と14に示す通り、本手法ではある特定な対象物が到達すべきある目標を図形情報、画像情報、音声情報、センサー情報、文字情報、機械名称、操作量、その他情報を情報マトリクスにて表現することにより、ある特定な対象物が到達すべきある目標を機械が理解できる形で記述することが可能となる、つまり目標環境を示す情報マトリクスと現状を表す情報マトリクスやデータベース中の情報マトリクス間の比較演算等の演算を行うことにより、ある目標に近づくための操作量を得ることが可能となる。
【0087】
請求項13と14に示す通り、本手法ではある特定な対象物が到達すべき目標を2つ以上の情報マトリクスからなる時系列的な遷移状態で示すことにより、目標を機械が理解できる形で記述することが可能となる。つまり目標とはある時間内にある状態からある状態に移行することのできる能力又は目標状態をある位置エネルギーや速度を与えられた状態として表現することが可能となる。
【0088】
請求項13と14に示す装置によりある特定な対象物が到達すべきある目標が設定されれば、ある目標への到達経路が複数検索された場合に、人や機械等が置かれている環境情報、例えば気温の上下、抵抗量の増減、機械等の劣化や目標の環境情報に至るまでの時間等について、かかるコスト等を比較演算することにより、ある目標への到達経路の優先順位を算出することが可能となる。
【0089】
請求項2と請求項10の実施例として、図7に示す時刻Tに於ける、入力環境情報、機械等状況、操作量(130)を持つ情報マトリクス(123)と、時刻T+Δtに於ける入力環境情報、機械等状況、操作量(131)を持つ情報マトリクス(124)と遷移時間(Δt)との組み合わせからなる情報マトリクスの遷移状態(132)をデータベース(105)に登録する、そして請求項10の実施例として、ある状態を示す情報マトリクス(133)から目標状態を示す情報マトリクス(134)に遷移時間(Δt)で遷移する状態(135)を検索キーとしてデータベース(105)に検索を行う場合、ステップ1では環境状況の始点状態を示す情報マトリクス(133)に近い類似環境情報をデータベース(105)に対して請求項5で示した情報マトリクス間のパターンマッチングやセル単位の演算等の検索手法(122)にて検索を行い、遷移候補となる遷移経路AとBからなる中間検索結果となる遷移空間(136)を作成する、次にステップ2にて環境状況の始点状態を示す情報マトリクス(133)から目標状態を示す情報マトリクス(134)に時間Δtで至る状況(135)を検索キーとしてステップ1で生成した遷移空間(136)に対して請求項5で示した情報マトリクス間のパターンマッチングやセル単位の演算等の検索手法(122)にて検索を行う。図7において経路Aが選択された場合、情報マトリクス(133)から目標状態を示す情報マトリクス(134)に遷移するために操作量A、C、Dが指示される。本手法の場合、ステップ1の遷移空間(136)の作成はステップ2とは非同期に行うため、始点の環境状態を示す情報マトリクス(133)が時間と共に変化する場合、例えば、時系列的に始点の環境状態を示す情報マトリクス(133)が遷移していく場合や、データベース(105)に新たに情報マトリクス(104)や情報マトリクスの遷移状態(132)が登録される状況に於いても、ステップ1がステップ2とは非同期に遷移可能空間(136)を更新するため、リアルタイムに環境状況が変化する状況に対しても目標状況に至るための機械等や人の操作量を得ることが可能である。
【0090】
請求項2の実施例として、図8の時速60km/hでの走行状態(802)から1秒後に時速50km/h の走行状態(103)になった場合の2つの情報マトリクスを比較すると、ブレーキ操作Aの違いがあり、その他の環境状況に違いはないとするとブレーキ操作A下において時間が経過すると速度がマイナスになることが解る。この時、速度は走行状態(802)から走行状態(803)における位置と経過時間から計算する。すると逆に速度が減速となる走行状態(803)から走行状態(802)への状態遷移と時間をキーとしてデータベース(105)に検索を行うと減速が発生する人や機械等の操作としてブレーキ操作Aが検索され、得られた操作量を機械等や人が実行することにより、目標の環境状況に到達することができる。
【0091】
請求項1の実施例として、図12の時速60km/hで登り勾配の環境にある走行状態(1201)から1秒後に時速58km/h の走行状態(1202)になった場合に2つの情報マトリクスを比較すると、登り勾配の環境下に於いて、時間が経過すると速度がマイナスになることが解る。この時、速度は走行状態(1201)から走行状態(1202)における位置と経過時間から計算する。すると逆に速度が減速となる走行状態(1202)から走行状態(1201)への状態遷移と時間をキーとしてデータベース(105)に検索を行うと減速が発生する条件として上り勾配が検索される。同様に時速58km/hで下り勾配の環境にある走行状態(1203)から1秒後に時速62km/h の走行状態(1204)になった場合に2つの情報マトリクスを比較すると、下り勾配の環境下に於いて、時間が経過すると速度がプラスになることが解る。この時、速度は走行状態(1203)から走行状態(1204)に於ける位置と経過時間から計算する。すると、逆に速度が加速となる走行状態(1203)から走行状態(1204)への状態遷移と時間をキーとしてデータベース(105)に検索を行うと加速が発生する条件として下り勾配が検索される。
【0092】
請求項16と請求項17の実施例として、図3の時刻tの時点の情報マトリクス(117)の位置座標(0.0)と時刻Δt後の情報マトリクス(116)の位置座標(100m.0)の関係において、位置座標が(0.0)から時刻10秒後に(100m、0)である場合、この2つの情報マトリクスの関係に「加速」との言語キーを付けて、保存を行っておき、後に「加速」との言語的な操作量に関する検索キーが発行された場合、前記の情報マトリクス(117)と時刻Δt後の情報マトリクス(116)からなる情報マトリクスの遷移列が検索され、加速とはある時間の間に位置座標が変化することだとコンピュータは認識する、そして情報マトリクス(117)と時刻Δt後の情報マトリクス(116)に記述された移動のためのある特定な対象物の操作量や手順が読み出されて示される。また、この情報マトリクス(117)と時刻Δt後の情報マトリクス(116)からなる情報マトリクスの遷移列は「移動」の言語キーを持つことも可能である。
【0093】
請求項18の実施例として、図3の時刻tの時点の情報マトリクス(123)が示す機械等や人の動作状況から時刻t+3Δtにおける目標の機械等や人の動作状況を示す情報マトリクス(128)に至る、情報マトリクス遷移列を探索する場合において、時刻t+2Δtにおける情報マトリクスが存在しない場合に遷移が予想される情報マトリクス(127)を新たに挿入することにより、情報マトリクス(123)から情報マトリクス(128)までの情報マトリクス遷移列を得ることができ、情報マトリクス(123)から情報マトリクス(128)が示す目標を達成するための機械等や人の操作量を得ることができる。この時、情報マトリクス遷移列がより複雑である場合には情報マトリクス(128)から情報マトリクス(127)への遷移と情報マトリクス(124)から情報マトリクス(127)への遷移列への前後探索を同時かつ多重にデータベースに対して行うことにより、より効率的に情報マトリクス遷移列を得ることが可能である。また、情報マトリクス遷移列が複雑であり遷移すべき情報マトリクスが複数個所存在しない場合に於いても、前記に示した、遷移が予想される新たな情報マトリクス(127)を既探索済の情報マトリクス遷移列内の情報マトリクスが存在しない個所に新たに挿入することを繰り返すことにより情報マトリクス遷移列の探索が可能となる。この時、前記に示した、新たに挿入した情報マトリクスと既探索済の情報マトリクス遷移列との前後間の探索を同時かつ多重に行うことにより、より効率的に情報マトリクス遷移列を得ることが可能である。
例えば、ある荷物を移動させて持ち上げて別の場所に移動させる場合目標がある場合に、情報マトリクス(123)から情報マトリクス(124)がデータベースに登録されており、荷物の移動手段は存在する、しかし移動した荷物を情報マトリクス(127)が示す位置まで、垂直方向に移動させる手段が登録されていない場合に、荷物を垂直方向に移動させる手段となる情報マトリクス(127)を新たに挿入することにより、ある荷物を移動させて持ち上げる操作量を示す。情報マトリクス(マトリクス123からマトリクス128)が完成する。そこで、垂直方向に移動させる動作や操作を示す情報マトリクス(127)に相当する動作や操作の実行可能な機械等や人を探して、設定することにより、最初に設定した目標は達成可能となる。
【0094】
請求項3と請求項4に示す、情報マトリクス全体を暗号化または圧縮したセル(137)の作成例として図3の情報マトリクス(104)を作成する装置として、例えば、n×nの情報マトリクスを幾つかのグリッドに分割して、次にグリッドの値を操作して、ある固定長のインデックス値を作成してセル(137)に記入する、具体的な例としてまず、情報マトリクスを32分割して、分割したグリッドのそれぞれに4ビットつまり、16種類の識別値を与え、各グリッドの特徴を16グループに分けて、各グリッドの特徴に合わせて4ビットの符号を付与する。例えば、各グリッドについて標準的な特徴値決め、標準値を6として、情報マトリクス登録時に標準値との比較を行い、標準値との差を各グリッドの値として与えても良い、そして登録すべきn×nの情報マトリクスの全体の情報を128ビットのインデックス値に変換してセル(137)に書き込み、データベースに登録する、すると以降の情報マトリクスの検索においては、検索キーとなる情報マトリクス中のセル(137)と、データベース中の情報マトリクス中のセル(137)との距離を演算して、距離の近い情報マトリクスを探索することにより、効率的に類似の情報マトリクスを探索することができる。あるいは請求項9と請求項10に示したステップ1で作成する、求める情報マトリクス遷移列を形成する可能性のある情報マトリクスの部分集合を効率的に得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0095】
101 環境情報入力、検索装置
102 入力情報
103 情報入力装置
104 情報マトリクス
105 データベース
106 情報マトリクス時系列リンク
107 検索キーとなる情報マトリクス
108 情報マトリクス照合装置
109 検索された時系列的類似情報マトリクス
110 入力情報識別ルール
111 比較対象情報マトリクス
112 遷移可能環境情報検索装置
113 機械等操作量
114 遷移可能環境情報検索ルール
115 情報マトリクス部分集合
116 情報マトリクス(時刻t+Δt)
117 情報マトリクス(時刻t)
118 既登録情報認識パターン
119 複合入力情報識別ルール
120 入力情報識別ルールの識別結果がリンクされたセル
121 複合入力情報識別ルールの識別結果がリンクされたセル
122 入力情報識別ルールの識別結果がリンクされた入力情報分析マトリクス上のセル
123 情報マトリクス(時刻t)
124 情報マトリクス(時刻t+Δt)
125 入力情報分析マトリクス
126 画像パターンマッチング、演算
127 情報マトリクス(時刻t+2Δt)
128 情報マトリクス(時刻t+3Δt)
129 機械等操作量や人の動作
130 入力環境情報、機械等状況、操作量(時刻T)
131 入力環境情報、機械等状況、操作量(時刻T1)
132 登録する情報マトリクスの遷移状態
133 始点状態を示す情報マトリクス
134 目標状態を示す情報マトリクス
135 検索する情報マトリクスの遷移状態
136 中間検索結果となる遷移空間
137 情報圧縮セル
138 情報操作、結果表示装置
801 走行状態
802 減速開始状態
803 減速終了状態
804 走行状態
901 走行状態
902 動作開始状態
903 動作終了状態
904 走行状態
1001 走行状態
1002 減速経験と操作量
1003 走行状態
1101 走行状態(雪)
1102 減速開始状態(雪)
1103 減速終了状態(雪)
1104 走行状態(雪)
1201 走行状態(登り勾配)
1202 走行状態
1203 走行状態(下り勾配)
1204 走行状態



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12