(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078422
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】1週間及び1ヶ月用使い捨て水勾配コンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
G02C7/04
【審査請求】有
【請求項の数】41
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023049850
(22)【出願日】2023-03-27
(62)【分割の表示】P 2020532025の分割
【原出願日】2018-11-29
(31)【優先権主張番号】62/598,018
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/598,025
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/598,028
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/598,029
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
2.MATLAB
3.Excel
(71)【出願人】
【識別番号】520000722
【氏名又は名称】アルコン インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】チュ,ユンシン
(72)【発明者】
【氏名】プルーイット,ジョン・ダラス
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル,ニュートン・ティー
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チュン-ユアン
(72)【発明者】
【氏名】タッカー,ロバート・キャリー
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ユアン
(72)【発明者】
【氏名】レヴァイリー,イーサン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、高く望まれる水勾配構造形態を備えるだけではなく、ポリカチオン型抗菌剤の取り込み率が最小化され、且つ30日間のレンズケアレジームを経た後であっても長時間持続する表面親水性及び湿潤性を有する、コンタクトレンズに関する。
【解決手段】本発明のコンタクトレンズは、水勾配構造形態、及び比較的厚く、極めて柔軟で、且つ高水分のヒドロゲル表面層を有する。
【効果】より優れた着用快適性を提供することができる。更に、市場に存在する多目的レンズケア溶液と適合性があり、日常的なレンズケアレジームにおいて遭遇する過酷なレンズケア取り扱い条件(例えば指擦り、不注意によるコンタクトレンズの反転など)を耐えることができる。このため、これらは1週間又は1ヶ月用使い捨て水勾配コンタクトレンズとしての使用に好適である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後(又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後)に、少なくとも10秒間の水崩壊時間又は約2.0以下の摩擦評点と、を有するコンタクトレンズであって、
前記コンタクトレンズは、
前表面及び反対側の後表面と、前記前表面から前記後表面への方向に、前面外部ヒドロゲル層、レンズ材料の内部層、及び後面外部ヒドロゲル層を備える層状構造形態と、を備え、
前記内部層は、約70重量%以下の第1の平衡含水率であって、ここで互いに独立する前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、完全に水和したときに約0.25μm~約25μmの厚さを有する、第1の平衡含水率と、前記第1の平衡含水率よりも高い第2の平衡含水率と、を有し、互いに独立する前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも140%(好ましくは少なくとも170%、より好ましくは少なくとも200%、更により好ましくは少なくとも250%、最も好ましくは少なくとも300%)の水膨張率を有する、コンタクトレンズ。
【請求項2】
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後(又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後)に、少なくとも10秒間の水崩壊時間又は約2.0以下の摩擦評点と、
内側から前記コンタクトレンズの前又は後表面のうちの1つにかけて増加する含水率勾配と、を有するコンタクトレンズであって、
前記コンタクトレンズは、前面外部ヒドロゲル層及び後面外部ヒドロゲル層で完全に被覆されたレンズバルク材料を備え、互いに独立する前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、完全に水和したときに約0.25μm~約25μmの厚さを有し、前記レンズバルク材料は約70重量%以下の第1の平衡含水率を有し、互いに独立する前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、前記第1の平衡含水率の少なくとも1.2倍であり、少なくとも80重量%である第2の平衡含水率を有する、コンタクトレンズ。
【請求項3】
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後(又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後)に、少なくとも10秒間の水崩壊時間又は約2.0以下の摩擦評点と、を有するコンタクトレンズであって、
前記コンタクトレンズは、
前表面及び反対側の後表面と、前記前表面から前記後表面への方向に、前面外部ヒドロゲル層、レンズ材料の内部層、及び後面外部ヒドロゲル層を備える層状構造形態と、を備え、
互いに独立する前記前面及び後面外部ヒドロゲル層のそれぞれは、前記内部層と比較して少なくとも約20%(好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約30%、更により好ましくは少なくとも約35%、最も好ましくは少なくとも約40%)の低減した表面弾性率を有する、コンタクトレンズ。
【請求項4】
1mmのマイクロ押込プローブを用いたマイクロ押込試験で測定して約12μN/MPa以下(好ましくは約10μN/MPa以下、より好ましくは約8μN/MPa以下、更により好ましくは約6μN/MPa以下、最も好ましくは約4μN/MPa以下)の400nmの押込深さにおける正規化された表面圧縮力と、
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後(又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後)に、少なくとも10秒間の水崩壊時間又は約2.0以下の摩擦評点と、を有するコンタクトレンズであって、
前記コンタクトレンズは、前表面と、反対側の後表面と、層状構造形態と、を備え、前記層状構造形態は、前記前表面から前記後表面への方向に、前面外部ヒドロゲル層、レンズ材料の内部層、及び後面外部ヒドロゲル層を備える、コンタクトレンズ。
【請求項5】
1mmのマイクロ押込プローブを用いたマイクロ押込試験で測定して約12μN/MPa以下(好ましくは約10μN/MPa以下、より好ましくは約8μN/MPa以下、更により好ましくは約6μN/MPa以下、最も好ましくは約4μN/MPa以下)の400nmの押込深さにおける正規化された表面圧縮力と、
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後(又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後)に、少なくとも10秒間の水崩壊時間又は約2.0以下の摩擦評点と、を有するコンタクトレンズであって、
前記コンタクトレンズはポリマー材料であるレンズバルク材料を備える、コンタクトレンズ。
【請求項6】
約50%以上(好ましくは約55%以上、より好ましくは約60%以上、更により好ましくは約65%以上、最も好ましくは約70%以上)の400nmの押込深さにおける押込力の減少、すなわちΔ(IF)400nmと、
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後(又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後)に、少なくとも10秒間の水崩壊時間又は約2.0以下の摩擦評点と、を有するコンタクトレンズであって、
前記コンタクトレンズは、前表面と、反対側の後表面と、層状構造形態と、を備え、前記層状構造形態は、前記前表面から前記後表面への方向に、前面外部ヒドロゲル層、レンズ材料の内部層、及び後面外部ヒドロゲル層を備える、コンタクトレンズ。
【請求項7】
約50%以上(好ましくは約55%以上、より好ましくは約60%以上、更により好ましくは約65%以上、最も好ましくは約70%以上)の400nmの押込深さにおける押込力の減少、すなわちΔ(IF)400nmと、
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後(又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後)に、少なくとも10秒間の水崩壊時間又は約2.0以下の摩擦評点と、を有するコンタクトレンズであって、
前記コンタクトレンズはポリマー材料であるレンズバルク材料を備える、コンタクトレンズ。
【請求項8】
Δ(IF)
400nmが、約9.0±0.9μmの先端部半径を有するプローブを用いることによってナノ押込試験で決定される場合、
【数1】
、
式中、(IF)
tは、前記コンタクトレンズの400nmの押込深さにおける測定された押込力であり、E’は前記コンタクトレンズのバルク弾性率である、請求項6又は7に記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
Δ(IF)
400nmが、1mmの半球形ホウケイ酸ガラスプローブを用いることによってマイクロ押込試験で決定される場合、
【数2】
式中、(IF)
tは、前記コンタクトレンズの400nmの押込深さにおける測定された押込力であり、E’は前記コンタクトレンズのバルク弾性率である、請求項6又は7に記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
前記コンタクトレンズは、約0.20マイクログラム/レンズ以下、約0.15マイクログラム/レンズ以下、約0.10マイクログラム/レンズ以下、約0.075マイクログラム/レンズ以下、又は約0.050マイクログラム/レンズ以下のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項11】
前記コンタクトレンズは、30サイクルの指擦り処理後に、少なくとも10秒間、少なくとも12.5秒間、少なくとも15秒間、少なくとも17.5秒間、又は少なくとも20秒間の水崩壊時間を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項12】
前記コンタクトレンズは、30サイクルの指擦り処理後に約1.5以下(好ましくは約1.0以下、より好ましくは約0.5以下)の摩擦評点を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項13】
互いに独立する前記内部層及び前記レンズバルク材料は、本質的にシリコーンヒドロゲル材料から製造される予成形コンタクトレンズである、請求項1~12のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項14】
前記シリコーンヒドロゲル材料は、少なくとも1つのポリシロキサンビニルモノマー及び/又は少なくとも1つのポリシロキサンビニルクロスリンカーの反復単位と、少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの反復単位と、を備える、請求項13に記載のコンタクトレンズ。
【請求項15】
前記シリコーンヒドロゲル材料は、少なくとも1つの親水性N-ビニルアミドモノマーの反復単位を備える、請求項13又は14に記載のコンタクトレンズ。
【請求項16】
前記シリコーンヒドロゲル材料は、ビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル又はトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基を有する少なくとも1つのシリコーン含有ビニルモノマーの反復単位を備える、請求項13~15のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項17】
前記シリコーンヒドロゲル材料は、1つ以上のブレンドビニルモノマーの反復単位を備える(好ましくは前記シリコーンヒドロゲル材料の前記内部層の乾燥重量に対して約25重量%以下、約20重量%以下、又は約15重量%以下の量で)、請求項13~16のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項18】
前記シリコーンヒドロゲル材料は、1つ以上の非シリコーンビニル架橋剤の反復単位を備える(好ましくは前記内部層の前記乾燥重量に対して約1.0重量%以下、約0.8重量%以下、又は約0.05重量%~約0.6重量%の量で)、請求項13~17のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項19】
前記シリコーンヒドロゲル材料は、少なくとも約50barrer、少なくとも約60barrer、少なくとも約70barrer、少なくとも約90barrer、若しくは少なくとも約60barrerの酸素透過度、及び/又は約10重量%~約70重量%、約10重量%~約65重量%、約10重量%~約60重量%、約15重量%~約55重量%、又は約15重量%~約50重量%の平衡含水率を有する、請求項13~18のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項20】
前記シリコーンヒドロゲル材料は天然に湿潤性でなく、互いに独立している前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、完全に水和したときに約0.5μm~約25μm、約1.0μm~約20μm、約1.0μm~約15μm、又は約1.5μm~約10μmの厚さを有する、請求項13~19のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項21】
前記シリコーンヒドロゲル材料は天然に湿潤性であり、互いに独立している前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、完全に水和したときに約0.25μm~約20μm、約0.5μm~約20μm、約0.5μm~約15μm、又は約1.0μm~約10μmの厚さを有する、請求項13~20のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項22】
前記内部層又は前記レンズバルク材料は、本質的に硬質プラスチック材料(好ましくは架橋ポリメタクリレート)で製造された予成形ハードコンタクトレンズであり、互いに独立している前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、完全に水和したときに約1.0μm~約20μm、約2.0μm~約15μm、約2.0μm~約10μm、又は約2.5μm~約8μmの厚さを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項23】
前記内部層又は前記レンズバルク材料は、本質的に硬質ガス透過性レンズ材料で製造された予成形硬質ガス透過性コンタクトレンズであり、互いに独立している前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、完全に水和したときに約1.0μm~約20μm、約2.0μm~約15μm、約2.0μm~約10μm、又は約2.5μm~約8μmの厚さを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項24】
前記内部層又は前記レンズバルク材料は、本質的に架橋シリコーン材料で製造された予成形ソフトシリコーンコンタクトレンズであり、互いに独立している前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、完全に水和したときに約2.0μm~約25μm、約3.0μm~約25μm、約4.0μm~約20μm、又は約5.0μm~約20μmの厚さを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項25】
前記内部層又は前記レンズバルク材料は、本質的に硬質ガス透過性レンズ材料から製造された中央光学帯を有し、本質的に非シリコーンヒドロゲル材料から製造された辺縁帯によって包囲された予成形ハイブリッドコンタクトレンズであり、互いに独立している前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、完全に水和したときに約0.25μm~約20μm、約0.50μm~約15μm、約0.5μm~約10μm、又は約0.5μm~約6μmの厚さを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項26】
前記内部層又は前記レンズバルク材料は、本質的に非シリコーンヒドロゲル材料で製造された予成形非シリコンヒドロゲルコンタクトレンズであり、互いに独立している前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、完全に水和したときに約0.25μm~約20μm、約0.50μm~約15μm、約0.5μm~約10μm、又は約0.5μm~約6μmの厚さを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項27】
前記非シリコンヒドロゲル材料は、好ましくは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つのヒドロキシル含有ビニルモノマーの反復単位を少なくとも50モル%備える、請求項25又は26に記載のコンタクトレンズ。
【請求項28】
互いに独立している前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、アルキル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル含有アクリルモノマー、N-ビニルアミドモノマー、メチレン含有ピロリドンモノマー、C1~C4アルコキシエトキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー、ビニルエーテルモノマー、アリルエーテルモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの反復モノマー単位を少なくとも25モル%(好ましくは少なくとも35モル%、より好ましくは少なくとも45モル%、更により好ましくは少なくとも55モル%)備える架橋親水性ポリマー材料である、請求項1~27のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項29】
互いに独立している前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも1つのホスフィリルコリン含有ビニルモノマーの反復モノマー単位を少なくとも25モル%(好ましくは少なくとも35モル%、より好ましくは少なくとも45モル%、更により好ましくは少なくとも55モル%)備える架橋親水性ポリマー材料である、請求項1~27のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項30】
互いに独立している前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、ポリ(エチレングリコール)鎖(好ましくは、(1)-NH2、-SH、若しくは-COOHの1つの唯一の官能基を有するポル(エチレングリコール)、(2)-NH2、-COOH、-SH、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される2つの末端官能基を有するポリ(エチレングリコール)、(3)-NH2、-COOH、-SH、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の官能基を有するマルチアームポリ(エチレングリコール)、又は(4)これらの混合物から直接誘導される)を備える架橋親水性ポリマー材料である、請求項1~27のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項31】
前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、互いに同一であり、厚さが実質的に均一であり、前記コンタクトレンズの縁部で一体化して前記内部層を完全に被覆する、請求項1~30のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項32】
互いに独立する前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも80重量%(好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも約90重量%、更により好ましくは少なくとも95重量%)の平衡含水率を備える、請求項1~31のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項33】
互いに独立する前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、シリコーンを実質的に含まない(好ましくはシリコーンを全く含まない)、請求項1~32のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項34】
前記コンタクトレンズは、ポリマー材料の2つの移行層を更に備え、前記2つの移行層のそれぞれは、前記内部層又は前記レンズバルク材料と、前記前面及び後面外部ヒドロゲル層のうちの1つと、の間に位置している、請求項1~33のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項35】
前記2つの移行層は、前記コンタクトレンズの前記周辺縁部で一体化し、前記レンズ材料の前記内部層又は前記レンズバルク材料を完全に包囲する、請求項34に記載のコンタクトレンズ。
【請求項36】
前記2つの移行層は、完全に水和したときに少なくとも約0.05μm(好ましくは約0.05μm~約10μm、より好ましくは約0.1μm~約7.5μm、更により好ましくは約0.1μm~約5μm)の厚さを有する、請求項34又は35に記載のコンタクトレンズ。
【請求項37】
前記2つの移行層のそれぞれが、少なくとも2つのアジリジン基及び2000ダルトン以下の数平均分子量を有するポリアジリジンによって中和及び架橋されるポリアニオン性ポリマーの層である、請求項34~36のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項38】
前記ポリアニオン性ポリマーは、1つ以上のカルボキシル含有アクリルモノマーの反復単位を少なくとも60モル%含むカルボキシル含有ポリマーである、請求項37に記載のコンタクトレンズ。
【請求項39】
前記ポリアニオン性ポリマーは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(エチルアクリル酸)、ポリ(アクリル酸-co-メタクリル酸)、ポリ[エチルアクリル酸-co-(メタ)アクリル酸]、ポリ(N,N-2-アクリルアミドグリコール酸)、ポリ[(メタ)アクリル酸-co-アクリルアミド]、ポリ[(メタ)アクリル酸-co-ビニルピロリドン]、ポリ[エチルアクリル酸-co-アクリルアミド]、ポリ[エチルアクリル酸-co-ビニルピロリドン]、ポリ[(メタ)アクリル酸-co-ビニルアセテート]、ポリ[エチルアクリル酸-co-ビニルアセテート]、又はこれらの組み合わせである、請求項37に記載のコンタクトレンズ。
【請求項40】
前記ポリアニオン性ポリマーは、前記内部層又は前記レンズバルク材料上にグラフト化されるグラフトポリマーであり、前記グラフトポリマーは、少なくとも1つのカルボキシル含有ビニルモノマーの反復単位を備える、請求項37に記載のコンタクトレンズ。
【請求項41】
前記ポリアニオン性ポリマーは、前記内部層又は前記レンズバルク材料上にグラフト化されるグラフトポリマーであり、前記グラフトポリマーは、少なくとも1つのカルボキシル含有アクリルモノマーの反復単位を備える、請求項40に記載のコンタクトレンズ。
【請求項42】
前記ポリアジリジンは、トリメチロールプロパントリス(2-メチル-1-アジリジンプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス(3-アジリジノプロピオネート)、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するビニルクロスリンカーと2-メチルアジリジン若しくはアジリジンとのマイケル反応生成物、又はこれらの組み合わせである、請求項37~41のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には1週間又は1ヶ月用使い捨て水勾配コンタクトレンズに関し、具体的には、耐久性があり、高水分で、柔軟で、耐指擦り性があり、且つ比較的厚いヒドロゲルコーティングをその上に有し、またポリカチオン型抗菌剤の取り込みに対して比較的高い耐久性を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトコンタクトレンズの新規な部類である水勾配シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが開発され、1日使い捨てコンタクトレンズDAILIES(登録商標)TOTAL1(登録商標)(Alcon)として市場導入されて成功を収めた。このシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの新規な部類は、コアから表面までの含水率が33%から80%超まで向上した水勾配構造形態を有することを特徴とする(米国特許第8480227号明細書を参照されたい)。この独特な設計により、高い潤滑性を有し、且つ極めて柔軟な、高水分のレンズ表面が提供され、それにより、より優れた着用快適性を患者に提供することができる。
【0003】
こうした柔軟なコンタクトレンズは、米国特許第8,529,057号明細書に記載される費用効率の高い方法に従って製造することができる。水勾配シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、コンタクトレンズをポリアニオン性ポリマーのコーティング溶液にディッピングし、続いてレンズパッケージ内でオートクレーブ中に水溶性の高度分岐親水性ポリマー材料を固着層に直接共有結合させることにより、各コンタクトレンズ上に固着層を形成することによって製造することができる。水溶性の高度分岐親水性ポリマー材料は、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン(PAE)と湿潤剤とを、表面ゲルの所望の潤滑性を達成しながらも表面欠陥(例えば表面亀裂など)を最小化又は排除するような湿潤剤に対するPAEの様々な濃度比及び所与の反応時間にわたる反応温度で部分的に反応させることによって調製される。
【0004】
新規に開発された水勾配シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、その極めて柔軟で、高水分で、比較的厚いヒドロゲルコーティングのために、より優れた着用快適性を患者に提供することができるが、これらは市場における全てのレンズケア溶液との適合性を有さない場合がある。例えば、これらの新規なコンタクトレンズは、ポリアニオン性材料の固着層が存在するために、多量のポリカチオン型抗菌剤(例えば、大半の多目的レンズケア溶液中で共通して見出されるポリヘキサメチレンビグアニド、ポリクオタニウム-1(別称Polyquad(登録商標))など)を取り込む(吸収する)可能性があり、そのため市場に存在する一部の多目的レンズケア溶液との適合性を有さない場合がある。コンタクトレンズによって吸着されるこれらのポリカチオン型抗菌剤は、レンズが患者によって装着されると眼内に放出される場合があり、一部の人にびまん性角膜染色及び製品の不耐性などの望ましからぬ臨床症状を引き起こす場合がある。一部の多目的レンズケア溶液との不適合性のために、ほぼ毎日レンズケア溶液で洗浄及び消毒する必要のある新規に開発された水勾配シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、1週間又は1ヶ月用使い捨てコンタクトレンズとしての使用に適さない場合がある。
【0005】
米国特許出願公開第2015/0166205A1号明細書及び同第2016/0326046A1号明細書は、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン(PAE)の使用を伴う1工程を追加することによって、水勾配コンタクトレンズにおけるポリカチオン型抗菌剤の付着及び堆積しやすさを低下させるための方法を開示している。しかしながら、これらの方法はいくつかの欠点を伴う。例えば、これらの方法によって、ヒドロゲルコーティング含有コンタクトレンズにおけるポリカチオン型抗菌剤の付着及び堆積しやすさは低下され得るが、結果として得られるコンタクトレンズの潤滑性、湿潤性、及び/又は親水性も同時に低下し、またポリカチオン型抗菌剤の付着及び堆積の低減は、コンタクトレンズに市場の全ての多目的レンズケア溶液との適合性を付与するには十分でない場合がある。更に、これらの方法によって得られたコンタクトレンズは、多目的レンズケア溶液を伴うレンズケアレジームで必要とされる指擦り、又はレンズの製造若しくは取り扱い中の不注意によるレンズの反転に耐え抜くことができない場合があるが、これは、コンタクトレンズの指擦り及びレンズの反転は、コンタクトレンズが反転するか又は指と指との間で擦られた後に暗視野下で目に見ることのできる亀裂線から明らかとなるように、コンタクトレンズ上のヒドロゲルコーティングを損傷させる場合があるためである。
【0006】
したがって、高い耐指擦り性を有しながらも多目的レンズケア溶液を含む全てのレンズケア溶液と適合性である、1週間又は1ヶ月用使い捨て水勾配コンタクトレンズに対するニーズが依然として存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一部の態様では、高く望まれる水勾配構造形態を備えるだけではなく、約0.4マイクログラム/レンズ以下のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)、並びに30サイクルの指擦り処理(すなわち、30日間のレンズケアレジームをシミュレートする)後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に少なくとも10秒間の水崩壊時間(water-break-up time)(WBUT)を有することを特徴とする長時間持続する表面親水性及び湿潤性を有するコンタクトレンズを提供する。本発明のコンタクトレンズは、所望の水勾配構造形態、及び比較的厚く、極めて柔軟で、且つ高水分のヒドロゲル表面層を有するため、より優れた着用快適性を提供することができる。より重要なことに、本発明の水勾配コンタクトレンズは、市場に存在する多目的レンズケア溶液と適合性があり、日常的なレンズケアレジームにおいて遭遇する過酷なレンズケア取り扱い条件(例えば指擦り、不注意によるコンタクトレンズの反転など)を耐えることができる。このため、これらは1週間又は1ヶ月用使い捨てコンタクトレンズとしての使用に好適である。
【0008】
本発明は、その他の態様では、所望の柔軟性を備える外表面層を備えるだけではなく、約0.4マイクログラム/レンズ以下のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)、並びに30サイクルの指擦り処理(すなわち、30日間のレンズケアレジームをシミュレートする)後に少なくとも10秒間の水崩壊時間(WBUT)を有することを特徴とする長時間持続する表面親水性及び湿潤性を有するコンタクトレンズを提供する。本発明のコンタクトレンズは、比較的厚く、極めて柔軟な表面層を有するため、より優れた着用快適性を提供することができる。より重要なことに、本発明のコンタクトレンズは、市場に存在する多目的レンズケア溶液と適合性があり、日常的なレンズケアレジームにおいて遭遇する過酷なレンズケア取り扱い条件(例えば指擦り、不注意によるコンタクトレンズの反転など)を耐えることができる。このため、これらは1週間又は1ヶ月用使い捨てコンタクトレンズとしての使用に好適である。
【0009】
本発明のこれら及びその他の態様は、以下の現在好ましい実施形態の説明から明らかになるであろう。発明を実施するための形態は、本発明を例示しているに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲及びその均等物により定義される。当業者には明らかとなるように、本発明の多くの変形及び修正が、本開示の新規な概念の趣旨及び範囲から逸脱することなく実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による、コンタクトレンズの構造形態の断面図を概略的に示す。
【
図2】本発明の別の好ましい実施形態による、コンタクトレンズの構造形態の断面図を概略的に示す。
【
図3】本発明のコンタクトレンズの長時間持続する潤滑性及び/又は長時間持続する湿潤性を判定するために、シミュレートされたレンズの研磨サイクリング処理を実施するためのレンズホルダを概略的に示す:A-斜視図、B-上面図、C-側面図、D-底面図、及びE-断面図。
【
図4】Optics11 Puimaナノ押込機器を用いてコンタクトレンズのナノ押込測定を実施するためのレンズホルダを概略的に示す:A-上面図、B-斜視図、及びC-断面図。
【
図5】Bruker’s Hysitron(登録商標)BioSoft(商標)In-Situ Indenterを用いた実施例20のマイクロ押込試験で測定した、コンタクトレンズのバルク弾性率の関数としての400nmの押込深さにおける押込力を示す。
【
図6】ナノ押込機器(Optics11 Puima)を用いた実施例42のナノ押込試験で測定した、コンタクトレンズのバルク弾性率の関数としての400nmの押込深さにおける押込力を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
別段の規定がない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する当該技術分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。一般に、本明細書で用いられる用語、及び実験手順は、当該技術分野で周知され、且つ一般的に使用されている。これらの手順には、当該技術分野及び様々な一般的参考文献で提供されるものなどの従来法が用いられる。用語が単数形で提供される場合、本発明者らは同用語の複数形も意図している。本明細書で用いられる用語、及び以下で説明される実験手順は、当該技術分野で周知され、且つ一般的に使用されているものである。
【0012】
本願で使用するとき、「約(about)」は、「約」として参照される数が、引用される数に、その引用される数の1~10%を加算又は減算した数を含むことを意味する。
【0013】
「コンタクトレンズ」とは、着用者の眼上又は眼内に配置され得る構造体を指す。コンタクトレンズは、使用者の視力を矯正、改善、又は修正することができるが、そうである必要はない。コンタクトレンズは、当該技術分野において既知の、又は後に開発された任意の適した材料からなるものであってよく、ハードレンズ、硬質ガス透過性レンズ、ソフトレンズ、又はハイブリッドレンズであってよい。
【0014】
「ハードコンタクトレンズ」とは、バルク(コア)材料として硬質プラスチック(例えばポリメチルメタクリレート)を含むコンタクトレンズを指す。
【0015】
「硬質ガス透過性コンタクトレンズ」とは、バルク(コア)材料としてガス透過性材料(例えばフルオロシリコーンアクリレートから製造された材料)を含むコンタクトレンズを指す。
【0016】
ソフトコンタクトレンズは、非シリコーンヒドロゲルレンズ、シリコーンヒドロゲルレンズ、又はシリコーンレンズであってよい。「ヒドロゲルコンタクトレンズ」とは、非シリコーンヒドロゲルのバルク(コア)材料を含むコンタクトレンズを指す。「シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ」とは、シリコーンヒドロゲルのバルク(コア)材料を含むコンタクトレンズを指す。「シリコーンコンタクトレンズ」とは、3次元ポリマーネットワーク(すなわちポリマーマトリックス)を有し、水不溶性であり、完全水和時に約7.5重量%未満(好ましくは約5重量%未満、より好ましくは約2.5重量%未満、更により好ましくは約1重量%未満)の水を保持することができる、そのバルク(又はコア又はベース)材料としての架橋シリコーン材料から製造されたコンタクトレンズを指す。
【0017】
ハイブリッドコンタクトレンズは、シリコーンヒドロゲル又は標準ヒドロゲルレンズ材料から製造された辺縁帯によって包囲される、ガス透過性レンズ材料から製造された中央光学帯を有する。
【0018】
「ヒドロゲル」又は「ヒドロゲル材料」とは、水不溶性であるが、完全水和時にその3次元ポリマーネットワーク(すなわちポリマーマトリックス)内に少なくとも10重量%の水を保持することができる架橋ポリマー材料を指す。
【0019】
本願で使用するとき、用語「非シリコーンヒドロゲル」とは、理論的にシリコンを含まないヒドロゲルを指す。
【0020】
本願で使用するとき、用語「シリコーンヒドロゲル」とはシリコーンを含有するヒドロゲルを指す。シリコーンヒドロゲルは、典型的には、少なくとも1つのシリコーン含有ビニルモノマー、若しくは少なくとも1つのシリコーン含有ビニルマクロマー、又はエチレン系不飽和基を有する少なくとも1つのシリコーン含有プレポリマーを含む重合性組成物を共重合することによって得られる。
【0021】
本明細書で使用するとき、「親水性」とは、脂質よりも水とより容易に結合する材料、又はその一部分を説明する。
【0022】
「ビニルモノマー」とは、1つの唯一のエチレン系不飽和基を有し、溶媒可溶性であり、化学線的又は熱的に重合可能である化合物を指す。
【0023】
溶媒中の化合物又は材料に関連する用語「可溶性」とは、化合物又は材料が室温(すなわち、約25±3℃)において溶媒中で溶解して、少なくとも約0.05重量%の濃度を有する溶液が得られることを意味する。
【0024】
溶媒中の化合物又は材料に関連する用語「不溶性」とは、化合物又は材料が室温(上記で定義されるとおり)において溶媒中で溶解して、0.005重量%未満の濃度を有する溶液が得られることを意味する。
【0025】
本願で使用するとき、用語「エチレン系不飽和基」は、本明細書においては広義で使用され、少なくとも1個の>C=C<基を含有するいかなる基も包括することが意図される。例示的なエチレン系不飽和基としては、(メタ)アクリロイル
【化1】
、アリル、ビニル、スチレニル、又はその他のC=C含有基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
用語「(メタ)アクリルアミド」とは、メタクリルアミド及び/又はアクリルアミドを指す。
【0027】
用語「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート及び/又はアクリレートを指す。
【0028】
本明細書で使用するとき、重合性組成物、プレポリマー、又は材料の硬化、架橋、又は重合に関連する「化学線的」とは、硬化(例えば架橋及び/又は重合)が、例えばUV/可視光照射、電離放射線(たとえばγ線又はX線照射)、マイクロ波照射などの化学線照射によって実施されることを意味する。熱硬化又は化学線硬化法は当業者に周知されている。
【0029】
本明細書で使用するとき、「親水性ビニルモノマー」とは、典型的にはホモポリマーとして、水溶性であるか、又は少なくとも10重量パーセントの水を吸収できるポリマーが得られるビニルモノマーを指す。
【0030】
本明細書で使用するとき、「疎水性ビニルモノマー」とは、典型的にはホモポリマーとして、水不溶性であり、10重量パーセント未満の水を吸収できるポリマーが得られるビニルモノマーを指す。
【0031】
「ブレンドビニルモノマー(blending vinylic monomer)」とは、重合性組成物の親水性及び疎水性重合性成分の両方を溶解して溶液を形成することのできるビニルモノマーを指す。
【0032】
「アクリルモノマー」とは、唯一の(メタ)アクリロイル基を有するビニルモノマーを指す。
【0033】
「N-ビニルアミドモノマー」は、アミド基の窒素原子に直接結合したビニル基(-CH=CH2)を有するアミド化合物を指す。
【0034】
「マクロマー」又は「プレポリマー」とは、エチレン系不飽和基を含有し、700ダルトンを超える数平均分子量を有する化合物又はポリマーを指す。
【0035】
本願で使用するとき、用語「ビニルクロスリンカー(vinylic crosslinker)」とは、少なくとも2個のエチレン系不飽和基を有する化合物を指す。「ビニル架橋剤(vinylic crosslinking agent)」とは、それぞれが700ダルトン以下の数平均分子量を有するビニルクロスリンカーのサブクラスを意味する。
【0036】
本願で使用するとき、用語「ポリマー」とは、1つ以上のモノマー、マクロマー、プレポリマー、及び/又はこれらの組み合わせを重合又は架橋することによって形成される材料を意味する。
【0037】
本願で使用するとき、ポリマー材料(モノマー材料又はマクロマー材料を含む)の用語「分子量」とは、別段の記載のない限り、又は試験条件によって別段の指示がされない限り、数平均分子量を意味する。
【0038】
「ポリシロキサンセグメント」とは、
【化2】
の式を有するそれぞれ相互に独立した少なくとも3つの連続的に且つ直接連結したシロキサン単位(二価ラジカル)からなるポリマー鎖を指し、式中、R
1’及びR
2’は、独立してC
1~C
10アルキル、C
1~C
4アルキル-若しくはC
1~C
4-アルコキシ置換フェニル、C
1~C
10フルオロアルキル、C
1~C
10フルオロエーテル、C
6~C
18アリールラジカル、-alk-(OC
2H
4)
γ1-OR
o(式中、alkはC
1~C
6アルキルジラジカル、R
oはH若しくはC
1~C
4アルキル、及びγ1は1~10の整数である)、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、-NR
3’R
4’、-NR
3’-のアミノ結合、-CONR
3’-のアミド結合、-CONR
3’R
4’のアミド、-OCONH-のウレタン結合、及びC
1~C
4アルコキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有するC
2~C
40有機ラジカル、又は直鎖親水性ポリマー鎖(式中、互いに独立するR
3’及びR
4’は、水素又はC
1~C
15アルキルである)からなる群から選択される2つの置換基である。
【0039】
「ポリシロキサンビニルモノマー」とは、少なくとも1つのポリシロキサンセグメント、及び唯一のエチレン系不飽和基を含む化合物を指す。
【0040】
「ポリシロキサンビニルクロスリンカー」とは、少なくとも1つのポリシロキサンセグメント、及び少なくとも2つのエチレン系不飽和基を含む化合物を指す。
【0041】
「鎖延長ポリシロキサンビニルクロスリンカー」とは、少なくとも2つのエチレン系不飽和基及び少なくとも2つのポリシロキサンセグメントを含み、その各対が1つの二価ラジカルによって連結されている化合物を指す。
【0042】
「ポリカルボシロキサン」とは、
【化3】
の式を有するそれぞれ相互に独立した少なくとも3つの連続的に且つ直接連結したシロキサン単位(二価ラジカル)からなるポリマー鎖である少なくとも1つのポリカルボシロキサンセグメントを含む化合物を指し、式中、n1は2又は3の整数であり、相互に独立したR
1”、R
2”、R
3”、及びR
4”はC
1~C
6アルキルラジカル(好ましくはメチル)である。
【0043】
「ポリカルボシロキサンビニルモノマー」とは、少なくとも1つのポリカルボシロキサンセグメント、及び唯一のエチレン系不飽和基を含む化合物を指す。
【0044】
「ポリカルボシロキサンビニルクロスリンカー」とは、少なくとも1つのポリカルボシロキサンセグメント、及び少なくとも2つのエチレン系不飽和基を含む化合物を指す。
【0045】
本明細書で使用するとき、用語「流体」とは、材料が液体のように流れることができることを示す。
【0046】
本願で使用するとき、重合性組成物に関連する用語「透明な(clear)」とは、重合性組成物が透き通った(transparent)溶液又は液状混合物である(すなわち、400~700nmの範囲内で85%以上の光透過率を有する)ことを意味する。
【0047】
用語「アルキル」とは、直鎖又は分岐鎖アルカン化合物から水素原子を除去することによって得られる一価ラジカルを指す。アルキル基(ラジカル)は、有機化合物中で他の1つの基と1つの結合を形成する。
【0048】
用語「アルキレン二価基」又は「アルキレンジラジカル」又は「アルキルジラジカル」とは、アルキルから1個の水素原子を除去することによって得られる二価ラジカルを交換可能に指す。アルキレン二価基は、有機化合物中で他の基と2つの結合を形成する。
【0049】
用語「アルキルトリラジカル」は、アルキルから2つの水素原子を除去することによって得られる三価ラジカルを指す。アルキルトリラジカルは、有機化合物中で他の基と3つの結合を形成する。
【0050】
用語「アルコキシ」又は「アルコキシル」とは、直鎖又は分枝鎖アルキルアルコールのヒドロキシル基から水素原子を除去することによって得られる一価ラジカルを指す。アルコキシ基(ラジカル)は、有機化合物中で他の1つの基と1つの結合を形成する。
【0051】
本願で使用するとき、用語「アミノ基」とは、別段の記載のない限り、式-NHR’の一級又は二級アミノ基を指し、式中、R’は、水素又はC1~C20の非置換又は置換の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。
【0052】
本願における、アルキルジラジカル又はアルキルラジカルに関連する用語「置換される」は、アルキルジラジカル又はアルキルラジカルが、アルキルジラジカル又はアルキルラジカルの1個の水素原子を置き換え、且つ、ヒドロキシ(-OH)、カルボキシ(-COOH)、-NH2、スルフヒドリル(-SH)、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4アルキルチオ(硫化アルキル)、C1~C4アシルアミノ、C1~C4アルキルアミノ、ジ-C1~C4アルキルアミノ、ハロゲン原子(Br又はCl)及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つの置換基を含むことを意味する。
【0053】
本願における、「オキサゾリン」とは、
【化4】
の化合物を指し、式中、R
1は水素、メチル、エチル、N-ピロリドニルメチル、N-ピロリドニルエチル、N-ピロリドニルプロピル、又は-alk-(OC
2H
4)
m3-OR
”(式中、alkはC
1~C
4アルキルジラジカルであり、R”はC
1~C
4アルキル(好ましくは、メチル)であり、m3は1~10(好ましくは、1~5)の整数である)の一価ラジカルである。
【0054】
本願における、用語「ポリオキサゾリン」とは、
【化5】
のポリマー又はポリマーセグメントを指し、式中、R
1は水素、メチル、エチル、N-ピロリドニルメチル、N-ピロリドニルエチル、N-ピロリドニルプロピル、又は-alk-(OC
2H
4)
m3-OR
”(式中、alkはC
1~C
4アルキルジラジカルであり、R”はC
1~C
4アルキル(好ましくは、メチル)であり、m3は1~10(好ましくは、1~5)の整数であり、xは5~500の整数である)の一価ラジカルである。
【0055】
本願における、用語「ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)」とは、
【化6】
の式を有する統計コポリマー又はそのポリマーセグメントを指し、式中、R
1は水素、メチル、エチル、N-ピロリドニルメチル、N-ピロリドニルエチル、N-ピロリドニルプロピル、又は-alk-(OC
2H
4)
m3-OR
”(式中、alkはC
1~C
4アルキルジラジカルであり、R”はC
1~C
4アルキル(好ましくは、メチル)であり、m3は1~10(好ましくは、1~5)の整数であり、xは5~500の整数であり、zはx以下の整数である)の一価ラジカルである。ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)は、ポリオキサゾリンを加水分解することによって得られる。
【0056】
本願における、用語「ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリン」とは、ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)をエピクロロヒドリンと反応させて、ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)の二級アミン基の全て又は相当な割合(≧90%)をアゼチジニウム基に変換することによって得られるポリマーを指す。ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンの例は、同時係属の米国特許出願公開第2016/0061995A1号明細書に開示されている。
【0057】
「エピクロロヒドリン官能化ポリアミン」又は「エピクロロヒドリン官能化ポリアミドアミン」とは、ポリアミン又はポリアミドアミンをエピクロロヒドリンと反応させて、ポリアミン又はポリアミドアミンの二級アミン基の全て又は相当な割合をアゼチジニウム基に変換することによって得られるポリマーを指す。
【0058】
用語「ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン」とは、エピクロロヒドリン官能化アジピン酸-ジエチレントリアミンコポリマーを指す。
【0059】
本願における、用語「アゼチジニウム」又は「3-ヒドロキシアゼチジニウム」は、
【化7】
の正荷電した(すなわちカチオン性の)二価ラジカル(又は基若しくは部分)を指す。
【0060】
ポリマー材料又は官能基に関連する用語「熱架橋性」とは、ポリマー材料又は官能基が、比較的高温(約40℃~約140℃)で別の材料又は官能基との架橋(又はカップリング)反応を行うことができるが、一方で、ポリマー材料又は官能基は、約5℃~約15℃の温度で約1時間の期間で検出可能な程度まで別の材料又は官能基と同じ架橋反応(又はカップリング反応)を行うことができないことを意味する。
【0061】
用語「アズラクトン」は、式
【化8】
の一価ラジカルを指し、式中、pは0又は1であり、互いに独立する
3R及び
4RはC
1~C
8アルキル(好ましくはメチル)である。
【0062】
用語「アジリジン基」とは、式
【化9】
の一価ラジカルを指し、式中R1は水素、メチル、又はエチルである。
【0063】
本願で使用するとき、用語「ホスホリルコリン」は、式
【化10】
の双性イオン基を指し、式中、nは1~5の整数であり、相互に独立するR
1、R
2、及びR
3は、C
1~C
8アルキル又はC
1~C
8ヒドロキシアルキルである。
【0064】
本願で使用するとき、用語「反応性ビニルモノマー」は、カルボキシル基、一級アミノ基、及び二級アミノ基からなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する任意のビニルモノマーを指す。
【0065】
本願で使用するとき、用語「非反応性ビニルモノマー」とは、カルボキシル基、一級アミノ基、二級アミノ基、エポキシド基、イソシアネート基、アズラクトン基、又はアジリジン基を含まない任意のビニルモノマー(親水性又は疎水性ビニルモノマーのいずれか)を指す。
【0066】
フリーラジカル開始剤は、光開始剤又は熱開始剤のいずれかであってよい。「光開始剤」とは、光の使用によってフリーラジカル架橋/重合反応を開始する化学薬品を指す。「熱開始剤」とは、熱エネルギーの使用によってラジカル架橋/重合反応を開始する化学薬品を指す。
【0067】
「化学線の空間的制限」とは、光線形態のエネルギー放射が、例えば、マスク若しくはスクリーン又はそれらの組み合わせによって方向付けられて、空間的に制限された様式で、明確な周囲境界を有する領域と衝突する行為又はプロセスを指す。UV線の空間的制限は、米国特許第6,800,225号明細書(
図1~
図11)、並びに同第6,627,124号明細書(
図1~
図9)、同第7,384,590号明細書(
図1~
図6)、及び同第7,387,759号明細書(
図1~
図6)の図面に概略的に示されるように、放射線(例えば、UV)透過性領域、放射線透過性領域を包囲する放射線(例えば、UV)不透過性領域、及び放射線不透過性領域と放射線透過性領域との間の境界である投射輪郭を有するマスク又はスクリーンを使用することによって得られる。マスク又はスクリーンは、マスク又はスクリーンの投影輪郭によって画定された横断面プロファイルを有する放射線(例えば、UV線)のビームを空間的に投射することを可能にする。放射線(例えば、UV線)の投射されたビームは、型の第1の成形表面から第2の成形表面までの投射されたビームの経路上に位置するレンズ配合物に衝突する放射線(例えば、UV線)を制限する。結果として得られるコンタクトレンズは、第1の成形表面によって画定される前表面、第2の成形表面によって画定される反対側の後表面、及び投射UVビームの断面プロファイル(すなわち、放射線の空間的制限)によって画定されるレンズ端部を含む。架橋のために使用される放射線は、放射エネルギー、特にUV線、ガンマ線、電子線又は熱線であり、一方でエネルギーの良好な制限、もう一方でエネルギーの効率的な使用を達成するために、放射エネルギーは、好ましくは実質的に平行なビームの形態である。
【0068】
材料の固有「酸素透過度」、Dkiは、酸素が材料を通過する速度である。本願で使用するとき、ヒドロゲル(シリコーン又は非シリコーン)又はコンタクトレンズに関連した用語「酸素透過度(Dk)」とは、米国特許出願公開第2012/0026457A1号明細書の実施例1で説明される手順に従って約34~35℃で測定され、境界層効果により生じた酸素流量に対する表面抵抗に対して補正される補正酸素透過度(Dkc)を意味する。酸素透過度は、単位barrerで慣例的に表され、ここで、「barrer」は、[(cm3酸素)(mm)/(cm2)(秒)(mmHg)]×10-10と定義される。
【0069】
レンズ又は材料の「酸素伝達率」、Dk/tは、酸素が、測定される領域にわたって平均厚さt[単位mm]を有する特定のレンズ又は材料を通過する速度である。酸素伝達率は、単位barrer/mmで慣例的に表され、ここで、「barrer/mm」は、[(cm3酸素)/(cm2)(秒)(mmHg)]×10-9と定義される。
【0070】
本明細書で使用するとき、「眼科的適合性」とは、眼球環境を有意に損傷することなしに、且つ有意な使用者の不快感なしに、長時間眼球環境と密接に接触することのできる材料、又は材料の表面を指す。
【0071】
コンタクトレンズを滅菌及び保存するためのパッケージング溶液に関連する用語「眼科的に安全」とは、溶液中で保存されたコンタクトレンズが、オートクレーブ処理後のすすぎ洗いなしに眼上に直接置いても安全であること、且つ溶液が、コンタクトレンズを介した眼との日常的な接触に対して安全で、十分に快適であることを意味する。オートクレーブ処理後の眼科的に安全なパッケージング溶液は、眼に適合性の張度及びpHを有し、且つ国際ISO規格及びU.S.FDA規制に準ずる眼刺激性又は眼細胞傷害性材料を実質的に含まない。
【0072】
本願で使用するとき、コンタクトレンズに関連する用語「水勾配」とは、コンタクトレンズのコアから表面まで通過する間に含水率の増加が観察され、コンタクトレンズの表面付近であり且つコンタクトレンズの表面を含む領域で最大含水率に達することを意味する。コンタクトレンズのコアから表面までの含水率の増加は、コンタクトレンズの表面付近であり且つコンタクトレンズの表面を含む領域で含水率が最大となる限りにおいて、連続的且つ/又は段階的であってよいことが理解されよう。
【0073】
本願で使用するとき、コンタクトレンズの用語「断面」とは、ナイフ又は切断道具を用いて、レンズの前表面及び後表面のいずれかに対して実質的に垂直な角度でレンズを切断することにより得られるレンズ断面を指す。当業者は、コンタクトレンズの断面を得るためには、コンタクトレンズを手動で(すなわち、手で切断)又はクライオスタミクロトーム(Cryosta Microtome)若しくはラスを用いて切断することを周知している。得られたコンタクトレンズの断面は、イオンエッチング又は類似の技術を用いて研磨することができる。
【0074】
コンタクトレンズ又は材料に関連した用語「弾性率(modulus)」又は「弾性率(elastic modulus)」は、コンタクトレンズ又は材料の剛性の尺度である引張弾性率又はヤング弾性率を意味する。弾性率は、ANSI Z80.20規格に従う方法を使用して測定することができる。当業者は、シリコーンヒドロゲル材料又はコンタクトレンズの弾性率を決定する方法を周知している。例えば、全ての市販のコンタクトレンズは、報告された弾性率の値を有する。
【0075】
用語「表面弾性率(surface modulus)」、「表面柔軟性」、「表面弾性率(surface elastic modulus)」、「表面ヤング弾性率」又は「表面圧縮係数」は、本願では互換的に使用され、当業者に既知のように、ナノ押込法を用いて、完全水和状態(リン酸緩衝溶液中でpH約7.3±0.2)の材料表面又はコンタクトレンズ断面で原子間力顕微鏡法(AFM)によって測定されるナノメカニカル特性(弾性特性)を意味する。Jan Domke及びManfred Radmacherは、薄膜の弾性特性がAFMで測定可能であることを報告した(Langmuir 1998,14,3320-3325)。AFMナノ押込法は、Gonzalez-Meijome JM,Almeida JB and Parafita MA in Microscopy:Science,Technology,Applications and Education,“Analysis of Surface Mechanical Properties of Unworn and Worn Silicone Hydrogel Contact Lenses Using Nanoindentation with AFM”,pp554-559,A.Mendez-Vilas and J.Diaz(Eds.),Formatex Research Center,Badajoz,Spain(2010)によって記載される実験手順に従って実施することができる。コンタクトレンズの前表面又は後表面ではなく、コンタクトレンズの断面の表面(これらの論文中のGonzalez-Meijome JM,Almeida JB and Parafita MAにより実施)が、AFMでのナノ押込法を用いて分析されることに留意されたい。ナノ押込法、Peakforce QNM法、及びHarmonic Force法は、Kim Sweers,et al.in Nanoscale Research Letters 2011,6:270の論文における表題「Nanomechanical properties of a-synuclein amyloid fibrils:a comparative study by nanoindentation,harmonic force microscopy,and Peakforce QNM」に記載されている。また、完全水和コンタクトレンズの断面の前表面からバルク又はバルクから後表面(逆もまた同様)にわたり、AFMを用いて表面弾性率の測定を実施すると、コンタクトレンズの断面にわたる表面弾性率プロファイルは、コンタクトレンズの断面の表面の前表面と後表面との間の最短線に沿って確定することができることも理解されよう。更に、良好な近似値として、任意の実験的及び直接的に測定された量は、測定された量が表面弾性率に比例する限りにおいて、表面弾性率を表すために使用することができることが更に理解されよう。或いは、様々なサイズのコロイド球体が表面弾性率を測定するために用いられる場合は、マイクロ押込法又はナノ押込法が用いてもよい。
【0076】
本願で使用するとき、コンタクトレンズに関連する用語「内部層」又は「バルク材料」とは、コンタクトレンズの3次元形状を有し、中央の湾曲面(コンタクトレンズを2つの部分に分割し、一方は前表面を含有し、もう一方は後表面を含有する)を含み、可変の厚さを有する層を交換可能に意味する。
【0077】
本願で使用するとき、コンタクトレンズに関連する用語「外表面ヒドロゲル層」とは、コンタクトレンズ表面上の最外ヒドロゲル層を意味し、これは前面外部ヒドロゲル層及び後面外部ヒドロゲル層からなり、また内部層(又はレンズバルク材料)を完全に被覆する。
【0078】
本願で使用するとき、コンタクトレンズに関連する用語「前面外部ヒドロゲル層」は、コンタクトレンズの前表面を含み、厚さが実質的に均一であり(すなわち、厚さの変動は、その層の平均厚さから約20%以下である)、且つ少なくとも約0.25μmの平均厚さを有するヒドロゲル層を意味する。
【0079】
本願で使用するとき、コンタクトレンズに関連する用語「後面外部ヒドロゲル層」は、コンタクトレンズの後表面を含み、厚さが実質的に均一であり(すなわち、厚さの変動は、その層の平均厚さから約20%以下である)、且つ少なくとも約0.25μmの平均厚さを有するヒドロゲル層を意味する。
【0080】
本願で使用するとき、コンタクトレンズに関連する用語「移行層」は、内部層(又はレンズバルク材料)と前面外部ヒドロゲル層及び後面外部ヒドロゲル層のうちの1つとの間に位置する層ポリマー材料(layer polymeric material)を意味する。各移行層は、厚さが実質的に均一である(すなわち、厚さの変動は、その層の平均厚さから約20%以下である)。
【0081】
本願では、前面若しくは外部ヒドロゲル層又は移行層の「平均厚さ」は、指定された状態、例えば、完全水和状態若しくは完全に水和したときの(すなわち、リン酸緩衝溶液中、pH約7.3±0.2)、又は乾燥状態の(例えば完全にオーブン乾燥された)コンタクトレンズの断面上でAFMを用いて測定された「前面外部ヒドロゲル層の厚さ」、「後面外部ヒドロゲル層の厚さ」、又は「移行層の厚さ」と単に称される。
【0082】
図1は、好ましい実施形態による本発明のコンタクトレンズを概略的に示す。本発明の好ましい実施形態によれば、コンタクトレンズ100は、前表面(又はフロントカーブ若しくは凸面)101と、使用者によって着用されると眼球の角膜上に置かれる反対側の後表面(又はベースカーブ若しくは凹面)102と、を有する。コンタクトレンズ100は、内(又は中間)層(又はレンズバルク材料)110と、前面及び後面外部ヒドロゲル層120と、を備える。内部層110はコンタクトレンズ100のバルク材料であり、コンタクトレンズ100に酷似した3次元形状を有する。前面及び後面外部ヒドロゲル層120は厚さが実質的に均一であり、内部層110の含水率よりも高い含水率を有する、シリコーンを実質的に含まない(好ましくはシリコーンを全く含まない)ヒドロゲル材料から製造される。前面及び後面外部ヒドロゲル層120は、コンタクトレンズ100の周辺縁部103で一体化し、内部層110を完全に被覆する。
【0083】
図2は、別の好ましい実施形態による本発明のコンタクトレンズを概略的に示す。コンタクトレンズ100は、内(又は中間)層(又はレンズバルク材料)110と、前面及び後面外部ヒドロゲル層120と、2つの移行層115と、を備える。2つの移行層115のそれぞれは、内部層110と、2つの外部ヒドロゲル層120のうちの1つと、の間に位置する。
【0084】
本願で使用するとき、コンタクトレンズ又はポリマー材料に関連する用語「平衡含水率」とは、食塩水(約0.79重量% NaCl)中で完全に水和(平衡)したときにコンタクトレンズ又はポリマー材料内に存在し、室温(上記で定義したとおり)で測定される水の量(重量%で表される)を意味する。
【0085】
本願で使用するとき、コンタクトレンズ上の用語「架橋コーティング」又は「ヒドロゲルコーティング」又は「ヒドロゲル層」は、完全に水和したときに水を含有することができる3次元ネットワークを有する架橋ポリマー材料を表すために互換的に使用される。架橋ポリマー材料の3次元ネットワークは、架橋連結を介して2つ以上の直鎖又は分岐鎖ポリマーを架橋することにより形成することができる。
【0086】
本願で使用するとき、本発明のコンタクトレンズの前面又は後面外部ヒドロゲル層に関連する用語「水膨張率」は、
【数1】
に従ってAFMにより決定される値を意味し、式中、WSRは、前面及び後面外部ヒドロゲル層のうちの1つの水膨張率であり、L
Wetは、完全水和状態(すなわち、リン酸緩衝溶液中pH約7.3±0.2)のコンタクトレンズの断面をAFMで測定した、完全水和状態(完全に水和したとき)のコンタクトレンズの前面又は後面外部ヒドロゲル層の平均厚さであり、L
Dryは、乾燥状態(オーブン乾燥された)のコンタクトレンズの断面をAFMで測定した、乾燥状態のコンタクトレンズのその前面又は後面外部ヒドロゲル層の平均厚さである。
【0087】
コンタクトレンズの外表面ヒドロゲル層の水膨張率は、外表面ヒドロゲル層が有する平衡含水率に比例するものと考えられる。外表面ヒドロゲル層の水膨張率が高いほど、外表面ヒドロゲル層の平衡含水率は高くなる。更に、外表面ヒドロゲル層の水膨張率は、外表面ヒドロゲル層の網目寸法に比例し、そのため外表面ヒドロゲル層の柔軟性に比例するものと考えられる。ヒドロゲルの網目寸法は、ヒドロゲルの架橋密度に反比例し、一方で架橋鎖の長さに比例する。外表面ヒドロゲル層の水膨張率が高いほど、外表面ヒドロゲル層はより柔軟性になる。したがって、水膨張率は、外表面ヒドロゲル層の平衡含水率及び柔軟性の両方の良好な指標になり得る。
【0088】
本願で使用するとき、用語「400nmの押込深さにおける表面圧縮力」又は「400nmの押込深さにおける押込力」とは、実施例1に記載のマイクロ押込又はナノ押込試験で測定される、荷重曲線に沿った押込深さにおける平均化された垂直力を指す。
【0089】
本願で使用するとき、コンタクトレンズに関連する用語「押込力の減少」又は「Δ(IF)
400nm」とは、コンタクトレンズのバルク弾性率(MPa)に基づき予測された400nmの押込深さにおける押込力(μN)と、実施例1に記載されるマイクロ押込又はナノ押込試験での、コンタクトレンズの400nmの押込深さにおける測定された押込力(μN)と、の間の差を意味し、これは以下の等式によって計算することができ、
【数2】
式中、(IF)
tは、コンタクトレンズのマイクロ押込又はナノ押込試験で測定された400nmの押込深さにおける押込力であり、(IF)
0は、バルク弾性率と、マイクロ押込又はナノ押込試験で測定された400nmの押込深さにおける押込力と、の間の関係、(IF)
0=kE’+bに基づき予測された400nmの押込深さにおける押込力であり、「k」及び「b」はそれぞれ、その上にヒドロゲルコーティングを一切有さず、且つ異なるバルク弾性率を有するいくつかのコンタクトレンズでの一連のマイクロ押込又はナノ押込試験において確立される相関係数及び実験的補正係数である。実施例1に記載されるマイクロ押込試験が使用される場合、「k」は13.98であり、「b」は0.62である。実施例1に記載されるナノ押込試験が使用される場合、「k」は2.12であり、「b」は-0.38である。
【0090】
全てのコンタクトレンズがその表面において異なる機械的特性を有し得る。具体的には、コンタクトレンズがその上にソフトヒドロゲルコーティングを有する場合。コンタクトレンズの表面付近であり、且つ表面を含む領域の機械的特性は、マイクロ押込又はナノ押込試験において変位の関数として表面圧縮力又は押込力を測定することにより特性決定することができる。
【0091】
ソフトヒドロゲルコーティングをその上に全く含まないコンタクトレンズの場合、所定の変位又は押込深さ(例えば400nm)における押込力は、バルク(ヤング)弾性率と良好に関連し(すなわち、400nmの押込深さにおけるバルク弾性率と押込力との間の線形バルク弾性率-押込力関係が存在する)、その一方で、その上にソフトヒドロゲルコーティングを有するコンタクトレンズの場合、400nmの押込深さにおける押込力は、線形バルク弾性率-押込力関係に基づいて予測されるものよりもはるかに小さい(すなわち400nmの押込深さにおける押込力の減少)ことが判明している。400nmの押込深さにおける押込力の減少、すなわちΔ(IF)400nmは、水勾配構造形態を有するコンタクトレンズを定量的に特性決定するのに用いることができるものと考えられる。コンタクトレンズが、その上に十分厚い(≧0.25μm)外表面ヒドロゲル層を有する場合、これは約40%以上の400nmの押込深さにおける押込力の減少(Δ(IF)400nm)を有することになる。水勾配コンタクトレンズのΔ(IF)400nmの値は、コンタクトレンズ上の外表面ヒドロゲル層の柔軟性及び厚さの両方に依存することも考えられる。400nmの押込深さにおける押込力の減少(Δ(IF)400nm)は、コンタクトレンズの外表面ヒドロゲル層(又は外表面層)の柔軟性及び/又は厚さに比例している。Δ(IF)400nmが大きいほど、外表面ヒドロゲル層(又は外表面層)はより柔軟且つ/又はより厚くなり、角膜表面に誘発される力はより小さくなる。したがって、Δ(IF)400nmは、水勾配コンタクトレンズ上の外表面ヒドロゲル層(又は外表面層)の柔軟性及び厚さの組み合わせ効果の良好な指標となり得る。
【0092】
本願で使用するとき、コンタクトレンズに関連する用語「正規化された表面圧縮力」又は「NSCF」とは、コンタクトレンズの弾性率に対する、コンタクトレンズの400nmの押込深さにおける表面圧縮力又は押込力(実施例1に記載されるように1mmのプローブ寸法を用いるマイクロ押込試験で決定される)の比を意味し、これはμN/MPaの単位を有し、すなわち、
【数3】
である。
【0093】
コンタクトレンズがその上に外表面ヒドロゲル層を有さない場合、これは、コンタクトレンズのバルク弾性率に関わらず、1mmのコロイドプローブで測定して約14μN/MPa又はそれよりわずかに高い正規化された表面圧縮力を有することになることが判明している。したがって、コンタクトレンズの弾性率にわたる表面圧縮力の正規化は、表面圧縮力に対するコンタクトレンズのバルク材料の寄与を均等にするように意図されることが考えられる。しかしながら、コンタクトレンズがその上に十分厚い外表面ヒドロゲル層を有する場合、これは約14μN/MPa未満の正規化表面圧縮力(400nmの押込深さにおける)を有することになる。Δ(IF)400nmと同様に、400nmの押込深さにおける正規化された表面圧縮力を用いて、水勾配構造形態を有するコンタクトレンズを定性的且つ定量的に特性決定することができるものと考えられる。コンタクトレンズがその上に十分厚い(≧0.25μm)外表面ヒドロゲル層を有する場合、これは、約12μN/MPa以下の正規化表面圧縮力(400nmの押込深さにおける)を有することになる。また、水勾配コンタクトレンズの400nmの押込深さにおける正規化された表面圧縮力(NSCF)は、コンタクトレンズ上の外表面ヒドロゲル層の柔軟性及び厚さの両方に依存することも理解されよう。そのNSCFは、コンタクトレンズの外表面ヒドロゲル層(又は外表面層)の柔軟性に比例している。400nmの押込深さにおける正規化された表面圧縮力が小さいほど、外表面ヒドロゲル層(又は外表面層)はより柔軟になり、角膜表面に誘発される力はより小さくなる。そのNSCFは、外表面ヒドロゲル層(又は外表面層)の厚さに反比例している。外表面ヒドロゲル層(又は外表面層)がより厚いほど、400nmの押込深さにおける正規化された表面圧縮力はより小さくなる。したがって、400nmの押込深さにおける正規化された表面圧縮力は、水勾配コンタクトレンズ上の外表面ヒドロゲル層(又は外表面層)の柔軟性及び厚さの組み合わせ効果の良好な指標となり得る。
【0094】
本願で使用するとき、コンタクトレンズに関連する用語「ポリクオタニウム-1取り込み率」又は「PU」は、実施例1に記載の手順に従って測定される、コンタクトレンズによって吸収されるポリクオタニウム-1の量を意味する。
【0095】
本願で使用するとき、コンタクトレンズに関連する用語「長時間持続する表面親水性及び湿潤性」とは、30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に、コンタクトレンズが少なくとも10秒間の水崩壊時間(WBUT)を有することを意味する。コンタクトレンズのWBUTの判定、指擦り処理のサイクル、及びシミュレートされた研磨サイクリング処理は、実施例1に記載の手順に従って実施される。
【0096】
本願で使用するとき、コンタクトレンズに関連する用語「長時間持続する潤滑性」とは、30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に、コンタクトレンズが約2.0以下の摩擦評点を有することを意味する。コンタクトレンズの摩擦評点の判定、指擦り処理のサイクル、及びシミュレートされた研磨サイクリング処理は、実施例1に記載の手順に従って実施される。
【0097】
本願で使用するとき、用語「30サイクルの指擦り処理」又は「nサイクルの指擦り処理」とは、コンタクトレンズが30回又はn回の指擦り手順の反復に供され、この指擦り手順は、コンタクトレンズをRENU(登録商標)多目的レンズケア溶液(又は等価物、すなわち米国特許第5858937号明細書の表Iに開示される多目的レンズケア溶液)を用いて20秒間指擦りし(使い捨てパウダーフリーラテックス手袋を着用しながら)、続いて指擦りされたコンタクトレンズをリン酸緩衝生理食塩水で少なくとも20秒間すすぎ洗いすることから本質的になることを意味する。30回又はn回の指擦りのサイクルは、30日間又はn日間のレンズケアレジームにおける毎日の洗浄及び消毒を妥当に模倣することができる。
【0098】
「UVA」とは、315~380ナノメートルの波長において生じる放射を指し、「UVB」とは、280~315ナノメートルで生じる放射を指し、「バイオレット」とは、380~440ナノメートルの波長において生じる放射を指す。
【0099】
「UVA透過率」(又は「UVA %T」)、「UVB透過率」又は「UVB %T」、及び「バイオレット透過率」又は「バイオレット%T」は、次式を使用して計算され、
【数4】
式中、発光%Tは、以下の式によって決定される。
発光%T=780~380nmの平均%透過率。
【0100】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに関連する用語「本質的に湿潤性」とは、シリコーンヒドロゲルレンズ配合物を熱的又は化学線的に重合(すなわち硬化)させることによってシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが形成された後で、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが一切の表面処理に供されることなしに約10秒以上の水崩壊時間(WBUT)、及び約80度以下の捕捉気泡による水接触角(WCAcb)を有することを意味する。本発明によれば、WBUT及びWCAcbは、実施例1に記載される手順に従って測定される。
【0101】
本明細書で使用するとき、「表面修飾」又は「表面処理」とは、物品が、その物品の形成の前又は後で、(1)コーティングを物品の表面に適用する、(2)化学種を物品の表面に吸着させる、(3)物品の表面上の化学基の化学的性質(例えば静電荷)を変化させる、又は(4)物品の表面特性をその他の点で修飾する、表面処理プロセス(又は表面修飾プロセス)にて処理されていること意味する。例示的な表面処理プロセスとしては、エネルギー(例えばプラズマ、静電荷、照射、又は他のエネルギー源)による表面処理、化学処理、物品の表面上への親水性ビニルモノマー又はマクロマーのグラフト化、米国特許第6719929号明細書に開示される金型転写(mold-transfer)コーティングプロセス、米国特許第6367929号明細書及び同第6822016号明細書で提案されるコンタクトレンズを製造するためのレンズ配合物への湿潤剤の組み込み、米国特許第7858000号明細書で開示されている強化金型転写コーティング、並びに米国特許第8147897号明細書及び同第8409599号明細書、及び米国特許出願公開第2011/0134387号明細書、同第2012/0026457号明細書、及び同第2013/0118127号明細書で開示されるコンタクトレンズの表面上への1つ以上の親水性ポリマーの1つ以上の層の共有結合又は物理蒸着からなる親水性コーティングが挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
レンズバルク材料又はコンタクトレンズに関連しての「硬化後表面処理」とは、レンズ配合物の硬化(すなわち熱的又は化学線的重合)によって形成されたレンズバルク材料又はコンタクトレンズが形成された後に実施される表面処理プロセスを意味する。「レンズ配合物」とは、当業者に周知されるコンタクトレンズ又はレンズバルク材料を製造するために必要な全ての重合性成分を含む重合性組成物を指す。
【0103】
「有機系溶液」とは、有機系溶媒、及び有機系溶媒中に溶解された1種以上の溶質からなる均一な混合物である溶液を指す。有機系コーティング溶液とは、溶液中の溶質として少なくとも1つのポリマーコーティング材料を含有する有機系溶液を指す。
【0104】
「有機系溶媒」は、1種以上の有機溶媒、及び溶媒系の重量に対して約40重量%以下、好ましくは約30重量%以下、より好ましくは約20重量%以下、更により好ましくは10重量%以下、特には約5重量%以下の水からなる溶媒系を意味することが意図される。
【0105】
本発明は、広義には、コンタクトレンズの内側から外側にかけての固有の水勾配、及び比較的長時間持続する湿潤性/親水性を提供する層状構造形態を有するのみならず、耐指擦り性でもあり、且つ多目的レンズケア溶液を含むレンズケア溶液と適合性がある、1週間又は1ヶ月用使い捨て水勾配コンタクトレンズに関する。層状構造形態は、約70重量%以下の平衡含水率を有する内部層(すなわちレンズバルク材料)と、内部層(又はレンズバルク材料)を完全に被覆し、内部層(又はレンズバルク材料)の平衡含水率の少なくとも1.2倍(好ましくは少なくとも80重量%)の平衡含水率、及び完全に水和したときに十分な厚さ(約0.25μm~約25μm)を有する、外表面ヒドロゲル層(前面外部ヒドロゲル層及び後面外部ヒドロゲル層からなる)と、を備える。
【0106】
本発明によれば、外表面ヒドロゲル層は、より優れた着用快適性を提供するためには、比較的高い水膨張率を有するのみならず、十分な厚さも有さなければならない。外表面ヒドロゲル層の比較的高い水膨張率によって、コンタクトレンズが高い平衡含水率を備えて極めて柔軟な表面を有することが保証され得る。しかし、外表面ヒドロゲル層が薄すぎる場合、外表面ヒドロゲル層はわずかな圧縮力によってレンズバルク材料に対して完全に潰れてしまいやすくなり、本発明のコンタクトレンズの水勾配構造機構に関連する利点を失う。所定の高い水膨張率では、本発明のコンタクトレンズによって提供される着用快適性は、その外表面ヒドロゲル層の厚さが増加するに伴い向上し、続いて特定の厚さ値を過ぎると横ばいになるものと考えられる。
【0107】
本発明は、水勾配コンタクトレンズの多目的レンズケア溶液との不適合性、及び耐指擦り性の低さに関連する従来技術に存在する問題を解決する。厚い外表面ヒドロゲル層を形成するためには、コンタクトレンズ上に反応性ポリアニオン性ポリマー(例えばカルボキシル含有ポリアニオン性ポリマー)の比較的厚いアンカー層(すなわち、反応性ベースコーティング)が必要であることが判明している。アンカー層がより厚いほど、外表面ヒドロゲル層は厚くなる。しかしながら、比較的厚いアンカー層は、アンカー層中でより高い濃度の反応性基(例えばカルボキシル基)、及びレンズケア溶液中に存在するポリカチオン型抗菌剤のより高い取り込み率をもたらす。水勾配コンタクトレンズによるポリカチオン型抗菌剤の取り込み率を低下させる過去の試みは、主に、アンカー層の厚さの低減、及びより高いpKa値を有するポリアニオン性材料の使用に依存していた。こうしたアプローチは外表面ヒドロゲル層を過度に薄くし、そのため外表面ヒドロゲル層の耐久性及び/又は潤滑性が低下し、結果として得られるコンタクトレンズによって提供される着用快適性が損なわれる。
【0108】
製造中の水勾配コンタクトレンズ及び/又は予成形された水勾配コンタクトレンズのアンカー層及び外表面ヒドロゲル層を、小型で可撓性の親水性除電剤(charge neutralizer)で処理して、水勾配コンタクトレンズ中の大部分又は大半の負荷電基を非荷電のエステル結合に変換し、同時にアンカー層を架橋して、コンタクトレンズ上の外表面ヒドロゲル層の湿潤性、親水性、及び潤滑性に対する影響を及ぼすことなく、又は影響を最小限にして、コンタクトレンズ上の外表面ヒドロゲル層の耐久性を強化し得ることが判明している。
【0109】
SiHyコンタクトレンズ上のヒドロゲルコーティングの耐久性は、ポリアニオン性ポリマーからなるその下部ベースコーティングが形成される加工条件に大きく依存していることも判明している。ベースコーティングが単一のコーティング工程で所与のコーティング期間(例えば50分)SiHyコンタクトレンズに塗布され(すなわち、これをポリアニオン性ポリマーの唯一のコーティング溶液(pH<4.5)と接触させることによる)、その後1回以上のすすぎ工程が続く場合、こうしたベースコーティング上に形成されるヒドロゲルコーティングの耐久性は、コーティング中のSiHyコンタクトレンズの屈折力(すなわち、中央部の厚さ)によって変動し得る。例えば、-10.0ジオプターの屈折力を有するコーティング済みSiHyコンタクトレンズのヒドロゲルコーティングの耐久性は、-3.0ジオプターの屈折力を有するコーティング済みSiHyコンタクトレンズのヒドロゲルコーティングの耐久性よりも劣る。コーティング期間を長くしても、コンタクトレンズの屈折力(中央部の厚さ)によるヒドロゲルコーティングの耐久性の変動を改善することはできなかった。しかしながら、SiHyコンタクトレンズを、より短いコーティング期間(例えば25分間)であってもポリアニオン性ポリマーの1つのコーティング溶液(低pHを有する)と接触させ、続いて中性又はわずかに塩基性のpHを有する緩衝生理食塩水ですすぎ、続いてより短い期間(例えば25分間)ポリアニオン性ポリマーの別のコーティング溶液(低pHを有する)と再び接触させるによってベースコーティングがSiHyコンタクトレンズ上に塗布されると、こうしたベースコーティング上に形成されるヒドロゲルコーティングの耐久性は著しく改善され得、コーティング中のSiHyコンタクトレンズの屈折力(すなわち、中央部の厚さ)によって変動しないことが判明している。
【0110】
更に、その上にヒドロゲルコーティングを有するコーティング済みSiHyコンタクトレンズのPUは、その上に(ポリアニオン性ポリマーの)ベースコーティングを有する処理済みSiHyコンタクトレンズを、ベースコーティング上にヒドロゲルコーティングを形成する前にすすぎ洗いするために用いられる緩衝生理食塩水のpH及び/又は塩濃度(すなわちイオン強度)に大きく依存することが判明している。より高いpH及び/又はより高いイオン強度(より高い塩濃度)を有するすすぎ溶液を用いることによって、より低いPUは達成され得る。水勾配コンタクトレンズのヒドロゲルコーティングの耐久性を著しく改善させる方法に関する上記で説明された発見と組み合わせると、この発見によって、耐久性のあるヒドロゲルコーティング及び最小化されたPUを有する水勾配コンタクトレンズを製造することが可能となり得る。
【0111】
本発明は、多目的レンズケア溶液との適合性があり、且つ耐指擦り性があり、そのため1週間又は1ヶ月用使い捨てコンタクトレンズとしての使用に好適な水勾配コンタクトレンズを提供する。本発明のコンタクトレンズは、所望の水勾配構造形態、及び比較的厚く、極めて柔軟で、且つ高水分のヒドロゲル表面層を有するため、より優れた着用快適性を提供することができる。
【0112】
本発明は、一態様では、約0.40又は0.30マイクログラム/レンズ以下(好ましくは約0.20マイクログラム/レンズ以下、より好ましくは約0.15マイクログラム/レンズ以下、更により好ましくは約0.10マイクログラム/レンズ以下、最も好ましくは約0.05マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に、少なくとも10秒間(好ましくは少なくとも12.5秒間、より好ましくは少なくとも15秒間、更により好ましくは少なくとも17.5秒間、最も好ましくは少なくとも20秒間)の水崩壊時間を有することを特徴とする長時間持続する表面親水性及び湿潤性、並びに/又は2.0以下(好ましくは約1.5以下、より好ましくは約1.0以下、更により好ましくは約0.5以下)の摩擦評点を有することを特徴とする長時間持続する潤滑性と、を有するコンタクトレンズを提供し、コンタクトレンズは、前表面及び反対側の後表面と、前表面から後表面への方向に、前面外部ヒドロゲル層、レンズ材料の内部層、及び後面外部ヒドロゲル層を備える層状構造形態と、を備え、内部層は、約70重量%以下の第1の平衡含水率であって、ここで互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が約0.25μm~約25μmの厚さを有する、第1の平衡含水率と、第1の平衡含水率よりも高い第2の平衡含水率と、を有し、互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも140%(好ましくは少なくとも170%、より好ましくは少なくとも200%、更により好ましくは少なくとも250%、最も好ましくは少なくとも300%)の水膨張率を有する。好ましくは、コンタクトレンズは、コンタクトレンズを指と指との間で10回擦った後で、暗視野下で目に見える表面亀裂線を実質的に含まない(すなわち3つ未満)か、又は好ましくは全く含まない。
【0113】
本発明は、別の態様では、約0.40又は0.30マイクログラム/レンズ以下(好ましくは約0.20マイクログラム/レンズ以下、より好ましくは約0.15マイクログラム/レンズ以下、更により好ましくは約0.10マイクログラム/レンズ以下、最も好ましくは約0.05マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に、少なくとも10秒間(好ましくは少なくとも12.5秒間、より好ましくは少なくとも15秒間、更により好ましくは少なくとも17.5秒間、最も好ましくは少なくとも20秒間)の水崩壊時間を有することを特徴とする長時間持続する表面親水性及び湿潤性、並びに/又は2.0以下(好ましくは約1.5以下、より好ましくは約1.0以下、更により好ましくは約0.5以下)の摩擦評点を有することを特徴とする長時間持続する潤滑性と、コンタクトレンズの内側から外側までの含水率勾配と、を有するコンタクトレンズを提供し、コンタクトレンズは、完全水和状態のコンタクトレンズの後表面から前表面までの断面にわたって原子間力顕微鏡法で測定して約0.25μm~約25μmの厚さを有する外表面ヒドロゲル層で完全に被覆されたレンズバルク材料を備え、レンズバルク材料は約70重量%以下の第1の平衡含水率を有し、外表面ヒドロゲル層は、第1の平衡含水率の少なくとも1.2倍であり、少なくとも80重量%である第2の平衡含水率を有する。好ましくは、コンタクトレンズは、コンタクトレンズを指と指との間で10回擦った後で、暗視野下で目に見える表面亀裂線を実質的に含まない(すなわち3つ未満)か、又は好ましくは全く含まない。
【0114】
本発明は、更なる態様では、前表面及び反対側の後表面、約0.40又は0.30マイクログラム/レンズ以下(好ましくは約0.20マイクログラム/レンズ以下、より好ましくは約0.15マイクログラム/レンズ以下、更により好ましくは約0.10マイクログラム/レンズ以下、最も好ましくは約0.05マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に、少なくとも10秒間(好ましくは少なくとも12.5秒間、より好ましくは少なくとも15秒間、更により好ましくは少なくとも17.5秒間、最も好ましくは少なくとも20秒間)の水崩壊時間を有することを特徴とする長時間持続する表面親水性及び湿潤性、並びに/又は2.0以下(好ましくは約1.5以下、より好ましくは約1.0以下、更により好ましくは約0.5以下)の摩擦評点を有することを特徴とする長時間持続する潤滑性と、コンタクトレンズの断面の表面の前表面と後表面との間の最短線に沿って、前表面を含み、且つその近位にある前外側帯と、最短線の中央部を含み、且つその周辺にある内部帯と、後表面を含み、且つその近位にある後外側帯と、を備える断面表面弾性率プロファイル(cross-sectional surface-modulus profile)を有することを特徴とする構造形態と、を有するコンタクトレンズを提供し、前外側帯は平均前表面弾性率(
【数5】
として指定される)を有し、一方で後外側帯は平均後表面弾性率(
【数6】
として指定される)を有し、内部帯は平均内部表面弾性率(
【数7】
として指定される)を有し、
【数8】
のうち少なくとも1つは少なくとも約20%である。好ましくは、コンタクトレンズは、コンタクトレンズを指と指との間で10回擦った後で、暗視野下で目に見える表面亀裂線を実質的に含まない(すなわち3つ未満)か、又は好ましくは全く含まない。
【0115】
本発明は、別の更なる態様では、1mmのマイクロ押込プローブを用いて、約12μN/MPa以下(好ましくは約10μN/MPa以下、より好ましくは約8μN/MPa以下、更により好ましくは約6μN/MPa以下、最も好ましくは約4μN/MPa以下)の400nmの押込深さにおける正規化された表面圧縮力と、約0.4又は0.30マイクログラム/レンズ以下(好ましくは約0.20マイクログラム/レンズ以下、より好ましくは約0.15マイクログラム/レンズ以下、更により好ましくは約0.10マイクログラム/レンズ以下、最も好ましくは約0.05マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に、少なくとも10秒間(好ましくは少なくとも12.5秒間、より好ましくは少なくとも15秒間、更により好ましくは少なくとも17.5秒間、最も好ましくは少なくとも20秒間)の水崩壊時間を有することを特徴とする長時間持続する表面親水性及び湿潤性、並びに/又は2.0以下(好ましくは約1.5以下、より好ましくは約1.0以下、更により好ましくは約0.5以下)の摩擦評点を有することを特徴とする長時間持続する潤滑性と、を有するコンタクトレンズを提供し、コンタクトレンズは、前表面及び反対側の後表面と、前表面から後表面への方向に、前面外部ヒドロゲル層、レンズ材料の内部層、及び後面外部ヒドロゲル層を備える層状構造形態と、を備える。好ましくは、コンタクトレンズは、コンタクトレンズを指と指との間で10回擦った後で、暗視野下で目に見える表面亀裂線を実質的に含まない(すなわち3つ未満)か、又は好ましくは全く含まない。
【0116】
本発明は、なお更なる態様では、1mmのマイクロ押込プローブを用いて、約12μN/MPa以下(好ましくは約10μN/MPa以下、より好ましくは約8μN/MPa以下、更により好ましくは約6μN/MPa以下、最も好ましくは約4μN/MPa以下)の400nmの押込深さにおける正規化された表面圧縮力と、約0.30マイクログラム/レンズ以下(好ましくは約0.20マイクログラム/レンズ以下、より好ましくは約0.15マイクログラム/レンズ以下、更により好ましくは約0.10マイクログラム/レンズ以下、最も好ましくは約0.05マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に、少なくとも10秒間(好ましくは少なくとも12.5秒間、より好ましくは少なくとも15秒間、更により好ましくは少なくとも17.5秒間、最も好ましくは少なくとも20秒間)の水崩壊時間を有することを特徴とする長時間持続する表面親水性及び湿潤性、並びに/又は2.0以下(好ましくは約1.5以下、より好ましくは約1.0以下、更により好ましくは約0.5以下)の摩擦評点を有することを特徴とする長時間持続する潤滑性と、を有するコンタクトレンズを提供し、コンタクトレンズはポリマー材料であるレンズバルク材料を備える。
【0117】
本発明は、なお別の更なる態様では、約50%以上(好ましくは約55%以上、より好ましくは約60%以上、更により好ましくは約65%以上、最も好ましくは約70%以上)の400nmの押込深さにおける押込力の減少、すなわちΔ(IF)400nmと、約0.4又は0.30マイクログラム/レンズ以下(好ましくは約0.20マイクログラム/レンズ以下、より好ましくは約0.15マイクログラム/レンズ以下、更により好ましくは約0.10マイクログラム/レンズ以下、最も好ましくは約0.05マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に、少なくとも10秒間(好ましくは少なくとも12.5秒間、より好ましくは少なくとも15秒間、更により好ましくは少なくとも17.5秒間、最も好ましくは少なくとも20秒間)の水崩壊時間を有することを特徴とする長時間持続する表面親水性及び湿潤性、並びに/又は2.0以下(好ましくは約1.5以下、より好ましくは約1.0以下、更により好ましくは約0.5以下)の摩擦評点を有することを特徴とする長時間持続する潤滑性と、を有するコンタクトレンズを提供し、コンタクトレンズは、前表面及び反対側の後表面と、前表面から後表面への方向に、前面外部ヒドロゲル層、レンズ材料の内部層、及び後面外部ヒドロゲル層を備える層状構造形態と、を備える。好ましくは、コンタクトレンズは、コンタクトレンズを指と指との間で10回擦った後で、暗視野下で目に見える表面亀裂線を実質的に含まない(すなわち3つ未満)か、又は好ましくは全く含まない。
【0118】
本発明は、なお別の更なる態様では、約40%以上(好ましくは約50%以上、より好ましくは約55%以上、更により好ましくは約60%以上、最も好ましくは約65%以上)の400nmの押込深さにおける押込力の減少、すなわちΔ(IF)400nmと、約0.30マイクログラム/レンズ以下(好ましくは約0.20マイクログラム/レンズ以下、より好ましくは約0.15マイクログラム/レンズ以下、更により好ましくは約0.10マイクログラム/レンズ以下、最も好ましくは約0.05マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に、少なくとも10秒間(好ましくは少なくとも12.5秒間、より好ましくは少なくとも15秒間、更により好ましくは少なくとも17.5秒間、最も好ましくは少なくとも20秒間)の水崩壊時間を有することを特徴とする長時間持続する表面親水性及び湿潤性、並びに/又は2.0以下(好ましくは約1.5以下、より好ましくは約1.0以下、更により好ましくは約0.5以下)の摩擦評点を有することを特徴とする長時間持続する潤滑性と、を提供し、コンタクトレンズはポリマー材料であるレンズバルク材料を備える。
【0119】
コンタクトレンズの押込力の減少が、Optics11 Piuma及び約9.0μmの先端部半径を有するPiumaプローブを用いることによってナノ押込試験で決定される場合、400nmの押込深さにおける押込力の減少、すなわちΔ(IF)
400nmは、
【数9】
によって計算され、
式中、(IF)
tは、コンタクトレンズの400nmの押込深さにおける測定された押込力であり、E’はコンタクトレンズのバルク弾性率(E’)である。
【0120】
コンタクトレンズの押込力の減少が、Bruker製Hysitron(登録商標)BioSoft(商標)In-Situ Indenter及び1mmの半球形ホウケイ酸ガラスプローブを用いることによってマイクロ押込試験で決定される場合、400nmの押込深さにおける押込力の減少、すなわちΔ(IF)
400nmは、
【数10】
によって計算され、
式中、(IF)
tは、コンタクトレンズの400nmの押込深さにおける測定された押込力であり、E’はコンタクトレンズのバルク弾性率(E’)である。
【0121】
本発明の様々な態様の全てによれば、本発明のコンタクトレンズの内部層又はレンズバルク材料は、予成形コンタクトレンズから直接誘導することができる。予成形コンタクトレンズは、それが水勾配構造形態を有していない限り、任意のレンズ製造プロセスに従って製造された後に一切の表面処理を受けていない任意のコンタクトレンズ、プラズマ処理された任意のコンタクトレンズ、又は任意の市販のコンタクトレンズであってよい。当業者は、予成形コンタクトレンズの製造方法を熟知している。当業者は、予成形コンタクトレンズの製造方法を熟知している。例えば、予成形コンタクトレンズは、例えば米国特許第3408429号明細書に記載される従来型の「スピンキャスティング金型」中で、又は米国特許第4347198号明細書、同第5508317号明細書、同第5583463号明細書、同第5789464号明細書、及び同第5849810号明細書に記載される静止形態のフルキャスト成形プロセスによって、若しくはカスタマイズされたコンタクトレンズを製造する際に用いられるポリマー材料のボタンを旋盤切削することによって製造することができる。キャスト成形においては、レンズ配合物は、コンタクトレンズを製造するために典型的には金型に分配され、金型中で硬化(すなわち、重合、及び/又は架橋)する。
【0122】
コンタクトレンズを製造するためのレンズ金型は当業者に周知されており、また、例えば、キャスト成形又はスピンキャスティングで用いられる。例えば、金型(キャスト成形用の)は、一般に、少なくとも2つの金型セクション(若しくは部分)又は金型半体、すなわち第1及び第2の金型半体を備える。第1の金型半体は、第1の成形(又は光学)面を画定し、第2の金型半体、第2の成形(又は光学)面を画定する。第1及び第2の金型半体は、互いを受容して、その結果第1の成形表面と第2の成形表面との間にレンズ形成空洞が形成されるように構成される。金型半体の成形表面は、金型の空洞形成表面であり、レンズ形成材料と直接接触する。
【0123】
コンタクトレンズをキャスト成形するための金型セクションの製造方法は、一般的には当業者に周知されている。本発明のプロセスは、任意の特定の金型形成方法に限定されない。実際に、本発明では任意の金型形成方法を用いてもよい。第1及び第2の金型半体は、射出成形又は旋盤切削など様々な技法によって形成することができる。金型半体を形成するための好適なプロセスの例は、米国特許第4444711号明細書、同第4460534号明細書、同第5843346号明細書、及び同第5894002号明細書に開示されている。
【0124】
コンタクトレンズ製造のための金型を製造するために、金型製造に関して当該技術分野で知られている実質的に全ての材料を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PMMA、Topas(登録商標)COCグレード8007-S10(Ticona GmbH(Frankfurt,Germany及びSummit,New Jersey)製のエチレンとノルボルネンとの透明な非晶質コポリマー)などのポリマー材料を用いてよい。石英ガラス及びサファイアなどの紫外線の透過を可能にするその他の材料を用いてもよい。
【0125】
好ましい実施形態では、再利用可能な金型が用いられ、レンズ形成組成物は化学線の空間的制限下で化学線的に硬化されてコンタクトレンズを形成する。好ましい再利用可能な金型の例は、米国特許第6627124号明細書、同第6800225号明細書、同第7384590号明細書、及び同第7387759号明細書に開示されるものである。再利用可能な金型は、石英ガラス、サファイア、CaF2、環状オレフィンコポリマー(例えば、Ticona GmbH(Frankfurt,Germany及びSummit,New Jersey)製Topas(登録商標)COCグレード8007-S10(エチレンとノルボルネンとの透明な非晶質コポリマー)、Zeon Chemicals LP(Louisville,KY)製Zeonex(登録商標)及びZeonor(登録商標))、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、DuPont(Delrin)製ポリオキシメチレン、G.E.Plastics製Ultem(登録商標)(ポリエーテルイミド)、PrimoSpire(登録商標)などから製造することができる。
【0126】
本発明によれば、重合性組成物は、任意の既知の方法によって金型によって形成された空洞内に導入(分配)することができる。
【0127】
重合性組成物が金型内に分配された後で、これは重合されてコンタクトレンズを生成する。好ましくは金型中のレンズ形成組成物を化学線の空間的制限に晒し、重合性組成物中の重合性成分を架橋させることによって、熱的又は化学線的に架橋が開始されてもよい。
【0128】
金型から成形された物品を取り出すことができるように金型を開くことは、それ自身既知である方法で行われてもよい。
【0129】
成形されたコンタクトレンズはレンズ抽出に供して未重合の重合性成分を除去してもよい。抽出溶媒は、当業者に既知の任意の溶媒であってよい。適切な抽出溶媒の例は後述されるものである。
【0130】
好ましい実施形態では、予成形コンタクトレンズは、レンズバルク材料として硬質プラスチック材料を含むハードコンタクトレンズである。好ましくは、硬質プラスチック材料は架橋ポリメチルアクリレートである。当業者は、架橋ポリメチルメタクリレートを含む硬質プラスチック材料の製造方法を熟知している。
【0131】
別の好ましい実施形態では、予成形コンタクトレンズは硬質ガス透過性コンタクトレンズである。当業者は硬質ガス透過性コンタクトレンズの製造方法を知っている。
【0132】
別の好ましい実施形態では、予成形コンタクトレンズは、硬質ガス透過性レンズ材料から製造された中央光学帯を有し、ヒドロゲル材料から製造された辺縁帯によって包囲されたハイブリッドコンタクトレンズである。
【0133】
別の好ましい実施形態では、予成形コンタクトレンズは、レンズバルク材料として架橋シリコーン材料を含むソフトシリコーンコンタクトレンズである。有用な架橋シリコーン材料としては、任意の既知の方法によってシリコーン組成物を架橋することによって得られた架橋ポリシロキサン、シリコーンエラストマ、シリコーンゴムなどが挙げられるが、これらに限定されない。シリコーンコンタクトレンズは、当業者に周知される任意の種類の従来技術(例えば、旋盤切削製造法、スピンキャスト製造法、キャスト成形製造法など)によって調製することができる。
【0134】
別の好ましい実施形態では、予成形コンタクトレンズは非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ(又はいわゆる従来のヒドロゲルコンタクトレンズ)である。
【0135】
予成形非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、任意の市販される非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであってもよく、又は任意の既知の方法によって製造されてもよい。例えば、予成形非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造のために、キャスト成形若しくはスピンキャスト成形のための、又はコンタクトレンズの旋盤切削に用いられるロッドを製造するための非シリコーンヒドロゲルレンズ配合物は、典型的には、(1)(a)少なくとも1つの親水性ビニルモノマー(例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、N-ビニルピロリドン、又はこれらの組み合わせ)と、(b)架橋剤、疎水性ビニルモノマー、潤滑剤(又はいわゆるレンズ配合物に組み込まれた内部湿潤剤)、フリーラジカル開始剤(光開始剤又は熱開始剤)、UV吸収性ビニルモノマー、高エネルギー可視光線(「HEVL」)吸収性ビニルモノマー、視認性着色剤(visibility tinting agent)(例えば、反応染料、重合性染料、顔料、又はこれらの混合物)、抗菌剤(例えば、好ましくは銀ナノ粒子)、生物活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの構成成分と、を含むモノマー混合物、又は(2)1つ以上の水溶性プレポリマーと、親水性ビニルモノマー、架橋剤、疎水性ビニルモノマー、潤滑剤(又はいわゆるレンズ配合物に組み込まれた内部湿潤剤)、フリーラジカル開始剤(光開始剤又は熱開始剤)、UV吸収性ビニルモノマー、HEVL吸収性ビニルモノマー、視認性着色剤(例えば、反応染料、重合性染料、顔料、又はこれらの混合物)、抗菌剤(例えば、好ましくは銀ナノ粒子)、生物活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの構成成分と、を含む水溶液のいずれかである。得られた予成形ヒドロゲルコンタクトレンズは、当業者に周知されるように、続いて未重合成分を得られたレンズから除去するための抽出溶媒による抽出、及び水和プロセスに供することができる。ヒドロゲルレンズ配合物中に存在する潤滑剤は、潤滑剤を含まない対照のヒドロゲルレンズ配合物から得られた対照の予成形ヒドロゲルコンタクトレンズの潤滑性と比較して、予成形ヒドロゲルコンタクトレンズの潤滑性を改善し得ることが理解されよう。
【0136】
水溶性プレポリマーの例としては、米国特許第5583163号明細書及び同第6303687号明細書に記載される水溶性架橋性ポリ(ビニルアルコール)プレポリマー、米国特許第6995192号明細書に記載される水溶性ビニル基末端ポリウレタンプレポリマー、米国特許第5849841号明細書に開示されるポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、又はポリビニルアミンの誘導体、米国特許第6479587号明細書及び同第7977430号明細書に記載される水溶性架橋性ポリウレアプレポリマー、架橋性ポリアクリルアミド、米国特許第5712356号明細書に開示されるビニルラクタム、MMA、及びコモノマーの架橋性統計コポリマー、米国特許第5665840号明細書に開示されるビニルラクタム、ビニルアセテート、及びビニルアルコールの架橋性コポリマー、米国特許第6492478号明細書に開示される架橋性側鎖を含むポリエーテル-ポリエステルコポリマー、米国特許第6165408号明細書に開示される分枝鎖ポリアルキレングリコール-ウレタンプレポリマー、米国特許第6221303号明細書に開示されるポリアルキレングリコール-テトラ(メタ)アクリレートプレポリマー、米国特許第6472489号明細書に開示される架橋性ポリアリルアミングルコノラクトンプレポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0137】
多数の非シリコーンヒドロゲルレンズ配合物が、本願の出願日までに公開された多数の特許及び特許出願で説明されており、また市販の非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するのに使用されている。市販の非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの例としては、alfafilcon A、acofilcon A、deltafilcon A、etafilcon A、focofilcon A、helfilcon A、helfilcon B、hilafilcon B、hioxifilcon A、hioxifilcon B、hioxifilcon D、methafilcon A、methafilcon B、nelfilcon A、nesofilcon A、ocufilcon A、ocufilcon B、ocufilcon C、ocufilcon D、omafilcon A、phemfilcon A、polymacon、samfilcon A、telfilcon A、tetrafilcon A、及びvifilcon Aが挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
好ましい実施形態では、内部層は、好ましくはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、より好ましくはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、及びビニルアルコールからなる群から選択される、少なくとも1つのヒドロキシル含有ビニルモノマーの反復単位を少なくとも50モル%備える非シリコーンヒドロゲル材料からなる。反復単位のモル百分率は、非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するための非シリコーンヒドロゲルレンズ配合物に基づいて計算することができる。
【0139】
別の好ましい実施形態では、予成形コンタクトレンズは非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ、好ましくは天然に湿潤性のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズである。
【0140】
予成形シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、任意の市販されるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであってもよく、又は任意の既知の方法によって製造されてもよい。例えば、予成形シリコーンヒドロゲル(SiHy)コンタクトレンズの製造のために、キャスト成形若しくはスピンキャスト成形のための、又はコンタクトレンズの旋盤切削に用いられるSiHyロッドを製造するためのSiHyレンズ配合物は、一般に、当業者に既知であるように、シリコーン含有ビニルモノマー、シリコーン含有ビニルクロスリンカー、シリコーン含有プレポリマー、親水性ビニルモノマー、疎水性ビニルモノマー、非シリコーンビニルクロスリンカー、フリーラジカル開始剤(光開始剤又は熱開始剤)、シリコーン含有プレポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの構成成分を含む。得られた予成形SiHyコンタクトレンズは、当業者に周知されるように、続いて未重合成分を得られたレンズから除去するための抽出溶媒による抽出、及び水和プロセスに供することができる。更に、予成形SiHyコンタクトレンズはカラーコンタクトレンズ(すなわち、当業者に周知されるように、少なくとも1つのカラーパターンがその上に印刷されたSiHyコンタクトレンズ)であってもよい。
【0141】
本発明によれば、シリコーン含有ビニルモノマーは、当業者に既知の任意のシリコーン含有ビニルモノマーであってよい。好ましいシリコーン含有ビニルモノマーの例としては、それぞれがビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル基又はトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基を有するビニルモノマー、ポリシロキサンビニルモノマー、ポリカルボシロキサンビニルモノマー、3-メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、t-ブチルジメチル-シロキシエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、及びトリメチルシリルメチルビニルカーボネート、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
それぞれがビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル基又はトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基を有する好ましいビニルモノマーの例としては、トリス(トリメチルシリルオキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、[3-(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ]プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、[3-(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ]プロピルビス(トリメチルシロキシ)ブチルシラン、3-(メタ)アクリロキシ-2-(2-ヒドロキシエトキシ)-プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、3-(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、N-[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]-(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシ-3-(3-(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシ-3-(3-(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシ-3-(3-(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)-2-メチルアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシ-3-(3-(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)(メタ)アクリルアミド、N-[トリス(ジメチルプロピルシロキシ)シリルプロピル]-(メタ)アクリルアミド、N-[トリス(ジメチルフェニルシロキシ)シリルプロピル]-(メタ)アクリルアミド、N-[トリス(ジメチルエチルシロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N-[2-ヒドロキシ-3-(3-(t-ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N-[2-ヒドロキシ-3-(3-(t-ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(t-ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N-2-(メタ)アクリロキシエチル-O-(メチル-ビス-トリメチルシロキシ-3-プロピル)シリルカルバメート、3-(トリメチルシリル)プロピルビニルカーボネート、3-(ビニルカルボニルチオ)プロピル-トリス(トリメチル-シロキシ)シラン、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート、米国特許第9097840号明細書、同第9103965号明細書、及び同第9475827号明細書に開示されるもの、並びにこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。上記の好ましいシリコーン含有ビニルモノマーは、商業的供給者から得ることもでき、又は米国特許第7214809号明細書、同第8475529号明細書、同第8658748号明細書、同第9097840号明細書、同第9103965号明細書、及び同第9475827号明細書に記載される手順に従って調製することもできる。
【0143】
好ましいポリシロキサンビニルモノマーの例としては、モノ(メタ)アクリロイル末端(mono-(meth)acryloyl-terminated)が挙げられるがこれらに限定されず、式(I)のモノアルキル末端ポリシロキサンとしては、α-(メタ)アクリロキシプロピル末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-(2-ヒドロキシル-メタクリロキシプロピルオキシプロピル)-ω-ブチル-デカメチルペンタシロキサン、α-[3-(メタ)アクリロキシエトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリロキシ-プロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリロキシイソプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリロキシブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリロキシエチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリロキシプロピルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリロキシ-ブチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-(メタ)アクリロキシ(ポリエチレンオキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-[(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-エトキシプロピル]末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-[(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピル-N-エチルアミノプロピル]末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-[(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピル-アミノプロピル]末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-[(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-(ポリエチレンオキシ)プロピル]末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-(メタ)アクリロイルアミドプロピルオキシプロピル末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-N-メチル-(メタ)アクリロイルアミドプロピルオキシプロピル末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルアミドエトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-プロピル]末端ω-ブチル(又はω-メチル)ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルアミドプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルアミドイソプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルアミドブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリロイルアミド-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-ブチル(又はω-メチル)ポリジメチルシロキサン、α-[3-[N-メチル-(メタ)アクリロイルアミド]-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-ブチル(又はω-メチル)末端ポリジメチルシロキサン、N-メチル-N’-(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)(メタ)アクリルアミド、N-(2,3-ジヒドロキシプロパン)-N’-(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルアミドプロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン、モノビニルカーボネート末端モノアルキル末端ポリジメチルシロキサン、モノビニルカルバメート末端モノアルキル末端ポリジメチルシロキサン、米国特許第9097840号明細書及び同第9103965号明細書に開示されるもの、並びにこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。上記の好ましいポリシロキサンビニルモノマーは、商業的供給者(例えば信越化学工業株式会社、Gelestなど)から得ることもでき、或いは、例えば米国特許第6867245号明細書、同第8415405号明細書、同第8475529号明細書、同第8614261号明細書、及び同第9217813号明細書などの特許に記載される手順に従い、又は当業者に周知されるカップリング反応に基づき、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミド若しくは(メタ)アクリロキシポリエチレングリコールをモノエポキシプロピルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって、グリシジル(メタ)アクリレートをモノカルビノール末端ポリジメチルシロキサン、モノアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン、若しくはモノエチルアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって、若しくはイソシアナトエチル(メタ)アクリレートをモノカルビノール末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって、調製することもできる。
【0144】
任意のポリカルボシロキサンビニルモノマーを本発明で用いることができる。好ましいポリカルボシロキサンビニルモノマーの例としては、米国特許第7915323号明細書、及び同第8420711号明細書、並びに米国特許出願公開第2012/244088A1号明細書、及び同第2012/245249A1号明細書で開示されるものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0145】
任意の好適なシリコーン含有ビニルクロスリンカーを本発明で用いることができる。好ましいシリコーン含有ビニルクロスリンカーの例としては、ポリシロキサンビニルクロスリンカー、ポリカルボシロキサンビニルクロスリンカー、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0146】
任意の好適なポリシロキサンビニルクロスリンカーを本発明で用いることができる。好ましいポリシロキサンビニルクロスリンカーの例は、ジ-(メタ)アクリロイル末端ポリジメチルシロキサン、ジ-ビニルカーボネート末端ポリジメチルシロキサン、ジ-ビニルカルバメート末端ポリジメチルシロキサン、N,N,N’,N’-テトラキス(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロピル)-α,ω-ビス-3-アミノプロピル-ポリジメチルシロキサン、米国特許第5,760,100号明細書に記載されるマクロマーA、マクロマーB、マクロマーC、及びマクロマーDからなる群から選択されるポリシロキサン含有マクロマー、米国特許第4136250号明細書、同第4153641号明細書、同第4182822号明細書、同第4189546号明細書、同第4343927号明細書、同第4254248号明細書、同第4355147号明細書、同第4276402号明細書、同第4327203号明細書、同第4341889号明細書、同第4486577号明細書、同第4543398号明細書、同第4605712号明細書、同第4661575号明細書、同第4684538号明細書、同第4703097号明細書、同第4833218号明細書、同第4837289号明細書、同第4954586号明細書、同第4954587号明細書、同第5010141号明細書、同第5034461号明細書、同第5070170号明細書、同第5079319号明細書、同第5039761号明細書、同第5346946号明細書、同第5358995号明細書、同第5387632号明細書、同第5416132号明細書、同第5451617号明細書、同第5486579号明細書、同第5962548号明細書、同第5981675号明細書、同第6039913号明細書、同第6762264号明細書に開示されるポリシロキサン含有マクロマー、米国特許第4259467号明細書、同第4260725号明細書、及び同第4261875号明細書に開示されるポリシロキサン含有マクロマーである。
【0147】
好ましいジ-(メタ)アクリロイルオキシ末端ポリシロキサンビニルクロスリンカーの例としては、グリシジルメタクリレートとジ-アミノ末端ポリジメチルシロキサンとの反応生成物、グリシジルメタクリレートとジ-ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンとの反応生成物、イソシアントエチル(isocyantoethyl)(メタ)アクリレートとジ-ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンとの反応生成物、米国特許第10081697号明細書で開示される、それぞれが1つのメチル置換基と、2~6のヒドロキシル基を有する1つの一価C4~C40有機ラジカル置換基と、を有する親水性化シロキサン単位をそれぞれ有するジ-(メタ)アクリロイルオキシ末端ポリシロキサンビニルクロスリンカー、米国特許出願公開第201008843A1号明細書、及び同第20120088844A1号明細書で開示される鎖延長ポリシロキサベ(polysiloxabe)ビニルクロスリンカー、米国特許第5034461号明細書、同第5416132号明細書、同第5449729号明細書、同第5760100号明細書、同第7423074号明細書、及び同第8529057号明細書に記載される鎖延長ポリシロキサンビニルクロスリンカー、米国特許出願公開第2018-0100053号明細書に記載される鎖延長ポリシロキサンビニルクロスリンカー、米国特許出願公開第2018-0100038号明細書に記載される鎖延長ポリシロキサンビニルクロスリンカー、米国特許第8993651号明細書に記載される鎖延長ポリシロキサンビニルクロスリンカー、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリロキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリロキシエトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリロキシプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリロキシ-イソプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリロキシブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドエトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドイソプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリロキシエチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリロキシプロピルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリロキシブチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルアミドエチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-プロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドプロピルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミド-ブチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-エトキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピル-N-エチルアミノプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピル-アミノプロピル]ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-(ポリエチレンオキシ)プロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリロキシエチルアミノ-カルボニルオキシ-エトキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリロキシエチルアミノ-カルボニルオキシ-(ポリエチレンオキシ)プロピル]末端ポリジメチルシロキサンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0148】
任意のポリカルボシロキサンビニルクロスリンカーを本発明で用いることができる。好ましいポリカルボシロキサンビニルクロスリンカーの例としては、米国特許第7915323号明細書、及び同第8420711号明細書、並びに米国特許出願公開第2012/0244088号明細書、及び同第2012/0245249号明細書で開示されるものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0149】
任意の親水性ビニルモノマーを本発明で用いることができる。好ましい親水性ビニルモノマーの例は、アルキル(メタ)アクリルアミド(後述)、ヒドロキシル含有アクリルモノマー(後述)、アミノ含有アクリルモノマー(後述)、カルボキシル含有アクリルモノマー(後述)、N-ビニルアミドモノマー(後述)、メチレン含有ピロリドンモノマー(すなわち、それぞれが3又は5位でピロリドン環に結合したメチレン基を有するピロリドン誘導体)(後述)、C1~C4アルコキシエトキシ基を有するアクリルモノマー(後述)、ビニルエーテルモノマー(後述)、アリルエーテルモノマー(後述)、ホスホリルコリンノ含有ビニルモノマー(後述)、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL)、N-カルボキシビニル-α-アラニン、及びこれらの組み合わせである。
【0150】
アルキル(メタ)アクリルアミドの例としては、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0151】
ヒドロキシル含有アクリルモノマーの例としては、N-2-ヒドロキシルエチル(hydroxylethyl)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0152】
アミノ含有アクリルモノマーの例としては、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルアンモニウム2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートヒドロクロリド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0153】
カルボキシル含有アクリルモノマーの例としては、2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0154】
好ましいN-ビニルアミドモノマーの例としては、N-ビニルピロリドン(別称N-ビニル-2-ピロリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン(別称N-ビニル-2-ピペリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム(別称N-ビニル-2-カプロラクタム)、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、N-ビニルアミドモノマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、又はこれらの組み合わせである。
【0155】
好ましいメチレン含有(=CH2)ピロリドンモノマーの例としては、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-n-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-tert-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0156】
C1~C4アルコキシエトキシ基を有する好ましいアクリルモノマーの例としては、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、最大1500の重量平均分子量を有するC1~C4アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0157】
好ましいビニルエーテルモノマーの例としては、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0158】
好ましいアリルエーテルモノマーの例としては、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、エチレングリコールメチルアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0159】
好ましいホスホリルコリン含有ビニルモノマーの例としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(別称MPC、又は2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート)、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン(別称3-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート)、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-(ビニルカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ブテノイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0160】
本発明によれば、任意の疎水性ビニルモノマーが本発明中にあってよい。好ましい疎水性ビニルモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、スチレン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル、1-ブテン、ブタジエン、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、パーフルオロヘキシルエチル-チオ-カルボニル-アミノエチル-メタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロ-イソプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0161】
本発明によれば、任意の非シリコーンビニルクロスリンカーが本発明中にあってよい。好ましい非シリコーンビニル架橋剤の例としては、エチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、グリセロールジ-(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ-(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ-(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ-(メタ)アクリレート、グリセロール1,3-ジグリセロレートジ-(メタ)アクリレート、エチレンビス[オキシ(2-ヒドロキシプロパン-1,3-ジイル)]ジ-(メタ)アクリレート、ビス[2-(メタ)アクリロキシエチル]ホスフェート、トリメチロールプロパンジ-(メタ)アクリレート、及び3,4-ビス[(メタ)アクリロイル]テトラヒドロフアン(tetrahydrofuan)、ジアクリルアミド、ジメタクリルアミド、N,N-ジ(メタ)アクリロイル-N-メチルアミン、N,N-ジ(メタ)アクリロイル-N-エチルアミン、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジヒドロキシエチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-プロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-2-ヒドロキシプロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-2,3-ジヒドロキシブチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,3-ビス(メタ)アクリルアミドプロパン-2-イル二水素ホスフェート、ピペラジンジアクリルアミド、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメチロプロパン(trimethylopropane)トリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、N-アリル-メタクリルアミド、N-アリル-アクリルアミド、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。好ましい非シリコーンビニル架橋剤は、テトラ(エチレングリコール)ジ-(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)ジ-(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)ジ-(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、及びこれらの組み合わせである。
【0162】
任意の熱重合開始剤を本発明で用いることができる。好適な熱重合開始剤は当業者に既知であり、例えば、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、アゾ-ビス(アルキル又はシクロアルキルニトリル)、過硫酸塩、過炭酸塩、又はこれらの混合物を含む。好ましい熱重合開始剤の例としては、過酸化ベンゾイル、t-ブチルペルオキシド、t-アミルルペルオキシベンゾエート、2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキサン、ビス(1-(tert-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジ-t-ブチルジペルオキシフタレート、t-ブチルヒドロペルオキシド、t-ブチルペルアセテート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、アセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(Perkadox 16S)、ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、t-ブチルペルオキシピバレート(Lupersol 11)、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(Trigonox 21-C50)、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、ジクミルペルオキシド、過酢酸、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(VAZO 33)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VAZO 44)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(VAZO 50)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(VAZO 52)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO 64又はAIBN)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(VAZO 67)、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO 88)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(メチルイソブチレート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、熱開始剤は、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN又はVAZO 64)である。
【0163】
好適な光開始剤は、ベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、並びにDarocur及びIrgacurタイプ、好ましくはDarocur 1173(登録商標)及びDarocur 2959(登録商標)、ゲルマニウム系ノリッシュI型光開始剤(例えば米国特許第7,605,190号明細書に記載されるもの)である。ベンゾイルホスフィン開始剤の例としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニロホスフィンオキシド(trimethylbenzoyldiphenylophosphine oxide)、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-N-プロピルフェニルホスフィンオキシド、及びビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-N-ブチルフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。例えばマクロマーに組み込み可能な、又は特別なモノマーとして使用可能な反応性光開始剤もまた好適である。反応性光開始剤の例は、欧州特許第632,329号明細書に開示される。
【0164】
親水性セグメント及び疎水性セグメントを含む任意のシリコン含有プレポリマーを本発明で用いることができる。こうしたシリコーン含有プレポリマーの例としては、米国特許第6039913号明細書、同第7091283号明細書、同第7268189号明細書、同第7238750号明細書、同第7521519号明細書、同第8383744号明細書、及び同第8642712号明細書、並びに米国特許出願公開第2008/0015315A1号明細書、同第2008/0143958A1号明細書、同第2008/0143003A1号明細書、同第2008/0234457A1号明細書、同第2008/0231798A1号明細書に記載されるものが挙げられる。
【0165】
SiHyコンタクトレンズ配合物は、例えば、当業者に既知のUV吸収性ビニルモノマー、HEVL吸収性ビニルモノマー、視認性着色剤(例えば、当業者に周知される反応染料、重合性染料、顔料、又はこれらの混合物)、抗菌剤(例えば、好ましくは銀ナノ粒子)、生物活性剤、浸出性潤滑剤、浸出性涙液安定剤、及びこれらの混合物などの当業者に既知のその他の必須成分を更に含んでもよい。
【0166】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の予成形シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、1つ以上のUV吸収性ビニルモノマー、及び任意選択的に(しかし好ましくは)1つ以上のUV/HEVL吸収性ビニルモノマーの反復単位を更に含んでもよい(しかし、これらを含むことが好ましい)。用語「UV/HEVL吸収ビニルモノマー」とは、UV光及び高エネルギー可視光線(すなわち、380nm~440nmの波長を有する光)を吸収することのできるビニルモノマーを指す。
【0167】
本発明の予成形SiHyコンタクトレンズを調製するために任意の好適なUV吸収ビニルモノマー及びUV/HEVL吸収ビニルモノマーを重合性組成物中で用いてもよい。好ましいUV吸収及びUV/HEVL吸収ビニルモノマーの例としては、2-(2-ヒドロキシ-5-ビニルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-アクリルイルオキシ(acrylyloxy)フェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルアミドメチル-5-tertオクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリルアミドフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリルアミドフェニル)-5-メトキシベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリルオキシプロピル-3’-t-ブチル-フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリルオキシプロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-ヒドロキシ-5-メトキシ-3-(5-(トリフルオロメチル)-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)ベンジルメタクリレート(WL-1)、2-ヒドロキシ-5-メトキシ-3-(5-メトキシ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)ベンジルメタクリレート(WL-5)、3-(5-フルオロ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-メトキシベンジルメタクリレート(WL-2)、3-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-メトキシベンジルメタクリレート(WL-3)、3-(5-クロロ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-メトキシベンジルメタクリレート(WL-4)、2-ヒドロキシ-5-メトキシ-3-(5-メチル-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)ベンジルメタクリレート(WL-6)、2-ヒドロキシ-5-メチル-3-(5-(トリフルオロメチル)-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)ベンジルメタクリレート(WL-7)、4-アリル-2-(5-クロロ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-6-メトキシフェノール(WL-8)、2-{2’-ヒドロキシ-3’-tert-5’[3”-(4”-ビニルベンジルオキシ)プロポキシ]フェニル}-5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール、フェノール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1,1-ジメチルエチル)-4-エテニル-(UVAM)、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(2-メタクリロキシエチル)フェニル)]-2H-ベンゾトリアゾール(2-プロペン酸,2-メチル-,2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルエステル、Norbloc)、2-{2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-[3’-メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}-2H-ベンゾトリアゾール、2-{2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-[3’-メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}-5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール(UV13)、2-{2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-[3’-メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール(UV28)、2-[2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-(3’-アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]-5-トリフルオロメチル-2H-ベンゾトリアゾール(UV23)、2-(2’-ヒドロキシ-5-メタクリルアミドフェニル)-5-メトキシベンゾトリアゾール(UV6)、2-(3-アリル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(UV9)、2-(2-ヒドロキシ-3-メタリル-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(UV12)、2-3’-t-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(3”-ジメチルビニルシリルプロポキシ)-2’-ヒドロキシ-フェニル)-5-メトキシベンゾトリアゾール(UV15)、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリロイルプロピル-3’-tert-ブチル-フェニル)-5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール(UV16)、2-(2’-ヒドロキシ-5’-アクリロイルプロピル-3’-tert-ブチル-フェニル)-5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール(UV16A)、2-メチルアクリル酸3-[3-tert-ブチル-5-(5-クロロベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]-プロピルエステル(16-100,CAS#96478-15-8)、2-(3-(tert-ブチル)-4-ヒドロキシ-5-(5-メトキシ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)フェノキシ)エチルメタクリレート(16-102)、フェノール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-メトキシ-4-(2-プロペン-1-イル)(CAS#1260141-20-5)、2-[2-ヒドロキシ-5-[3-(メタクリロイルオキシ)プロピル]-3-tert-ブチルフェニル]-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、フェノール、2-(5-エテニル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-、ホモポリマー(9CI)(CAS#83063-87-0)が挙げられるがこれらに限定されない。本発明によれば、重合性組成物は、重合性組成物中の全重合性成分の量に関連して、約0.1重量%~約3.0重量%、好ましくは約0.2重量%~約2.5重量%、より好ましくは約0.3重量%~約2.0重量%の1つ以上のUV吸収ビニルモノマーを含む。
【0168】
紫外線及び高エネルギー可視光線(HEVL)を吸収することができるビニルモノマーが本発明で使用される場合、ゲルマニウム系のノリッシュI型光開始剤及び約400~約550nmの領域の光を含む光源が、フリーラジカル重合を開始するために好ましくは使用される。約400~約550nmの領域の光を含む光源を用いた照射下でフリーラジカル重合を開始することができる限りにおいて任意のゲルマニウム系のノリッシュI型光開始剤が本発明で使用され得る。Germane系のノリッシュI型光開始剤の例は、米国特許第7605190号明細書に記載されるアシルゲルマニウム化合物である。
【0169】
生物活性剤は、眼の疾患を予防するか、又は眼疾患の症状を軽減させることのできる任意の化合物である。生物活性剤は、薬物、アミノ酸(例えばタウリン、グリシンなど)、ポリペプチド、タンパク質、核酸、又はこれらの任意の組み合わせであってよい。本明細書で有用な薬物の例としては、レバミピド、ケトチフェン、オラプチジン、クロモグリコレート、シクロスポリン、ネドクロミル、レボカバスチン、ロドキサミド、ケトチフェン、又はこれらの薬学的に許容可能な塩若しくはエステルが挙げられるがこれらに限定されない。生物活性剤の他の例としては、2-ピロリドン-5-カルボン酸(PCA)、α-ヒドロキシル酸(例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸及びクエン酸並びにそれらの塩など)、リノール酸及びγ-リノール酸、並びにビタミン(例えば、B5、A、B6など)が挙げられる。
【0170】
浸出性潤滑剤の例としては、ムチン様材料(例えば、ポリグリコール酸)及び非架橋性親水性ポリマー(すなわち、エチレン系不飽和基を含まない)が挙げられるがこれらに限定されない。エチレン系不飽和基を全く含まない任意の親水性ポリマー又はコポリマーを浸出性潤滑剤として使用することができる。非架橋性親水性ポリマーの好ましい例としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアミド、ポリイミド、ポリラクトン、ビニルラクタムのホモポリマー、1つ以上の親水性ビニル系コモノマーの存在下又は不在下での少なくとも1つのビニルラクタムのコポリマー、アクリルアミド又はメタクリルアミドのホモポリマー、アクリルアミド又はメタクリルアミドと1つ以上の親水性ビニルモノマーとのコポリマー、ポリエチレンオキシド(すなわち、ポリエチレングリコール(PEG))、ポリオキシエチレン誘導体、ポリ-N-N-ジメチルアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリ2エチルオキサゾリン、ヘパリン多糖、多糖、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。非架橋性親水性ポリマーの数平均分子量Mnは、好ましくは5,000~1,000,000である。
【0171】
浸出性涙液安定化剤の例としては、リン脂質、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、糖脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質、脂肪アルコール、脂肪酸、鉱油、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、涙液安定化剤は、リン脂質、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、糖脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質、8~36の炭素原子を有する脂肪酸、8~36の炭素原子を有する脂肪アルコール、又はこれらの混合物である。
【0172】
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)は、全ての重合性成分とその他の必須成分とを混合することによって調製される無溶媒の透明な液体であってもよく、又は全ての望ましい成分を、当業者に既知の、水と、水と混和性の1つ以上の有機溶媒と、の混合物、有機溶媒、若しくは1つ以上の有機溶媒の混合物などの任意の好適な溶媒中に溶解することによって調製される溶液であってもよい。用語「溶媒」とは、フリーラジカル重合反応に関与できない化学物質を指す。
【0173】
無溶媒レンズSiHyレンズ配合物(solventless lens SiHy lens formulation)は、典型的には、無溶媒SiHyレンズ配合物の他の全ての重合性成分を溶解するために反応性溶媒として少なくとも1つのブレンドビニルモノマーを含む。好ましいブレンドビニルモノマーの例としては、C1~C10アルキル(メタ)アクリレート(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、など)、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、スチレン、4,6-トリメチルスチレン(TMS)、t-ブチルスチレン(TBS)、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロ-イソプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、無溶媒SiHyレンズ配合物の調製にメチルメタクリレートがブレンドビニルモノマーとして用いられる。
【0174】
任意の溶媒を本発明で用いることができる。好ましい有機溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールn-ブチルエーテル、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、など)、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテルジプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチルアセテート、ブチルアセテート、アミルアセテート、メチルラクテート、エチルラクテート、i-プロピルラクテート、塩化メチレン、2-ブタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、メントール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、及びエキソノルボルネオール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、3-メチル-2-ブタノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、2-ノナノール、2-デカノール、3-オクタノール、ノルボルネオール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、2-メチル-2-ペンタノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3-メチル-3-ペンタノール、1-メチルシクロヘキサノール、2-メチル-2-ヘキサノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-クロロ-2-メチル-2-プロパノール、2-メチル-2-ヘプタノール、2-メチル-2-オクタノール、2-2-メチル-2-ノナノール、2-メチル-2-デカノール、3-メチル-3-ヘキサノール、3-メチル-3-ヘプタノール、4-メチル-4-ヘプタノール、3-メチル-3-オクタノール、4-メチル-4-オクタノール、3-メチル-3-ノナノール、4-メチル-4-ノナノール、3-メチル-3-オクタノール、3-エチル-3-ヘキサノール、3-メチル-3-ヘプタノール、4-エチル-4-ヘプタノール、4-プロピル-4-ヘプタノール、4-イソプロピル-4-ヘプタノール、2,4-ジメチル-2-ペンタノール、1-メチルシクロペンタノール、1-エチルシクロペンタノール、1-エチルシクロペンタノール、3-ヒドロキシ-3-メチル-1-ブテン、4-ヒドロキシ-4-メチル-1-シクロペンタノール、2-フェニル-2-プロパノール、2-メトキシ-2-メチル-2-プロパノール2,3,4-トリメチル-3-ペンタノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、2-フェニル-2-ブタノール、2-メチル-1-フェニル-2-プロパノール、及び3-エチル-3-ペンタノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-メチル-2-プロパノール、t-アミルアルコール、イソプロパノール、1-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルプロピオンアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルプロピオンアミド、N-メチルピロリジノン、並びにこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0175】
多数のSiHyレンズ配合物が、本願の出願日までに公開された多数の特許及び特許出願で説明されており、市販のSiHyコンタクトレンズの製造に用いられている。市販のSiHyコンタクトレンズの例としては、asmofilcon A、balafilcon A、comfilcon A、delefilcon A、efrofilcon A、enfilcon A、fanfilcon A、galyfilcon A、lotrafilcon A、lotrafilcon B、narafilcon A、narafilcon B、senofilcon A、senofilcon B、senofilcon C、smafilcon A、somofilcon A、及びstenfilcon Aが挙げられるがこれらに限定されない。
【0176】
SiHyレンズ配合物(すなわち、重合性組成物)は、当業者に周知されるように好ましくはコンタクトレンズのキャスト成形用の金型内で熱的又は化学線的に硬化(重合)され得る。
【0177】
熱重合は、例えば25~120℃、好ましくは40~100℃の温度で便利に実施される。反応時間は広範な範囲内で変動してもよいが、便利には、例えば1~24時間、又は好ましくは2~12時間である。重合反応で使用される成分及び溶媒をあらかじめ脱ガスし、不活性雰囲気下、例えば窒素又はアルゴン雰囲気下で上記の共重合反応を実施することが有利である。
【0178】
続いて、化学線、例えば光、特にUV光又は好適な波長の可視光によって化学線重合をトリガオフさせてもよい。スペクトルの要件は、適切な場合は、好適な増感剤の添加により制御することができる。
【0179】
好ましい実施形態では、内部層又はレンズバルク材料は、少なくとも1つのポリシロキサンビニルモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、を含むシリコーンヒドロゲル材料からなる。
【0180】
好ましい実施形態では、内部層又はレンズバルク材料は、少なくとも1つのポリシロキサンビニルクロスリンカーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、を含むシリコーンヒドロゲル材料からなる。
【0181】
好ましい実施形態では、内部層又はレンズバルク材料は、少なくとも1つのポリシロキサンビニルモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、少なくとも1つの親水性N-ビニルアミドモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、を含むシリコーンヒドロゲル材料からなる。
【0182】
好ましい実施形態では、内部層又はレンズバルク材料は、少なくとも1つのポリシロキサンビニルクロスリンカーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、少なくとも1つの親水性N-ビニルアミドモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、を含むシリコーンヒドロゲル材料からなる。
【0183】
好ましい実施形態では、内部層又はレンズバルク材料は、少なくとも1つのポリカルボシロキサンビニルモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、を含むシリコーンヒドロゲル材料からなる。
【0184】
好ましい実施形態では、内部層又はレンズバルク材料は、少なくとも1つのポリカルボシロキサンビニルクロスリンカーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、を含むシリコーンヒドロゲル材料からなる。
【0185】
好ましい実施形態では、内部層又はレンズバルク材料は、少なくとも1つのポリカルボシロキサンビニルモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、少なくとも1つの親水性N-ビニルアミドモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、を含むシリコーンヒドロゲル材料からなる。
【0186】
好ましい実施形態では、内部層又はレンズバルク材料は、少なくとも1つのポリカルボシロキサンビニルクロスリンカーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、少なくとも1つの親水性N-ビニルアミドモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、を含むシリコーンヒドロゲル材料からなる。
【0187】
好ましい実施形態では、内部層又はレンズバルク材料は、ビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル又はトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基を有する少なくとも1つのシリコーン含有ビニルモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、を含むシリコーンヒドロゲル材料からなる。
【0188】
好ましい実施形態では、内部層又はレンズバルク材料は、少なくとも1つのポリカルボシロキサンビニルクロスリンカーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、ビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル又はトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基を有する少なくとも1つのシリコーン含有ビニルモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、を含むシリコーンヒドロゲル材料からなる。
【0189】
好ましい実施形態では、内部層又はレンズバルク材料は、ビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル又はトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基を有する少なくとも1つのシリコーン含有ビニルモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、少なくとも1つの親水性N-ビニルアミドモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、を含むシリコーンヒドロゲル材料からなる。
【0190】
好ましい実施形態では、内部層又はレンズバルク材料は、少なくとも1つのポリカルボシロキサンビニルクロスリンカーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、ビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル又はトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基を有する少なくとも1つのシリコーン含有ビニルモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、少なくとも1つの親水性N-ビニルアミドモノマーの反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)と、を含むシリコーンヒドロゲル材料からなる。
【0191】
本発明の好ましい実施形態のうちのいずれか1つによれば、内部層又はレンズバルク材料は、シリコーンヒドロゲル材料の内部層の乾燥重量に対して好ましくは約25重量%以下(好ましくは約20重量%以下、より好ましくは約15重量%以下)の量で1つ以上のブレンドビニルモノマーの反復単位を更に含むシリコーンヒドロゲル材料からなる。ブレンドビニルモノマーの反復単位の量は、重合性組成物中の全重合性成分の総量に対する、予成形シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ(すなわち内部層)の調製に用いられる重合性組成物中のブレンドビニルモノマーの量に基づいて計算することができる。
【0192】
本発明の好ましい実施形態のうちのいずれか1つによれば、内部層又はレンズバルク材料は、内部層の乾燥重量に対して好ましくは約1.0重量%以下(好ましくは約0.8重量%以下、より好ましくは約0.05重量%~約0.6重量%)の量で、1つ以上の非シリコーンビニル架橋剤の反復単位(好ましくは上記に記載されるものから選択される)を更に含むシリコーンヒドロゲル材料からなる。非シリコーンビニル架橋剤の反復単位の量は、重合性組成物の全重合性成分の総量に対する、予成形シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ(すなわち内部層)の調製に用いられる重合性組成物中の非シリコーンビニル架橋剤の量に基づいて計算することができる。
【0193】
本発明の好ましい実施形態のうちのいずれか1つによれば、内部層又はレンズバルク材料は、天然に湿潤性のシリコーンヒドロゲル材料(すなわち、いかなる硬化後表面処理にも供されずに天然に湿潤性である予成形シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ)からなる。天然に湿潤性の予成形SiHyコンタクトレンズは、米国特許第6367929号明細書、同第6822016号明細書、同第7052131号明細書、同第7249848号明細書、同第6867245号明細書、同第7268198号明細書、同第7540609号明細書、同第7572841号明細書、同第7750079号明細書、同第7934830号明細書、同第8231218号明細書、同第8367746号明細書、同第8445614号明細書、同第8481662号明細書、同第8487058号明細書、同第8513325号明細書、同第8703891号明細書、同第8820928号明細書、同第8865789号明細書、同第8937110号明細書、同第8937111号明細書、同第9057821号明細書、同第9057822号明細書、同第9121998号明細書、同第9,125,808号明細書、同第9140825号明細書、同第9140908号明細書、同第9156934号明細書、同第9164298号明細書、同第9170349号明細書、同第9188702号明細書、同第9217813号明細書、同第9296159号明細書、同第9322959号明細書、同第9322960号明細書、同第9360594号明細書、及び同第9529119号明細書、並びに米国仮特許出願第16/000,930号明細書、及び同第16/000,933号明細書に開示される。
【0194】
本発明によれば、内部層の(又はレンズバルク材料の)シリコーンヒドロゲル材料は、少なくとも約50、好ましくは少なくとも約60、より好ましくは少なくとも約70、更により好ましくは少なくとも約90barrer、最も好ましくは少なくとも約110barrerの酸素透過度を有する。シリコーンヒドロゲル材料は、約10重量%~約70重量%、好ましくは約10重量%~約65重量%、より好ましくは約10重量%~約60重量%、更により好ましくは約15重量%~約55重量%、最も好ましくは約15重量%~約50重量%の平衡含水率も有し得る。シリコーンヒドロゲル材料は、約0.3MPa~約1.8MPa、好ましくは約0.4MPa~約1.5MPa、より好ましくは約0.5MPa~約1.2MPaのバルク弾性率又はバルクヤング弾性率を更に有し得る(以下、用語「柔軟性」、「弾性率」、及び「ヤング弾性率」は、本用語が単語「表面」によって修飾されていない場合、本願ではバルク弾性率を意味するように互換的に使用される)。本発明のコンタクトレンズのシリコーンヒドロゲル材料の内部層の酸素透過度、弾性率、及び含水率は、それから内部層が誘導される予成形SiHyレンズの酸素透過度、弾性率、及び含水率を測定することにより決定することができる。外部ヒドロゲル層がはるかにより薄いため、妥当な概算として、本発明のSiHyコンタクトレンズの弾性率は、内部層のシリコーンヒドロゲル材料の弾性率であると見なすことができることを理解されたい。当業者であれば、シリコーンヒドロゲル材料又はSiHyコンタクトレンズの弾性率及び含水率を決定する方法は熟知している。例えば、全ての市販のSiHyコンタクトレンズは、報告された酸素透過度、弾性率、及び含水率の値を有する。
【0195】
本発明の様々な態様によれば、コンタクトレンズの生体適合性を保証するために、十分な着用快適性を提供し、且つ下部のレンズバルク材料が眼に曝露されることを防ぐため、外表面ヒドロゲル層、前外表面ヒドロゲル層、及び後外表面ヒドロゲル層の厚さは、本発明のコンタクトレンズの内部層又はレンズバルク材料に応じて変動する。
【0196】
内部層又はレンズバルク材料が、硬質プラスチック材料(予成形ハードコンタクトレンズ)又は硬質ガス透過性レンズ材料(すなわち予成形硬質ガス透過性コンタクトレンズ)である場合、外表面ヒドロゲル層、前外表面ヒドロゲル層、及び後外表面ヒドロゲル層の厚さは、約1.0μm~約20μm、好ましくは約2.0μm~約15μm、より好ましくは約2.0μm~約10μm、更により好ましくは約2.5μm~約8μmである。
【0197】
内部層又はレンズバルク材料が、架橋シリコーン材料(すなわち予成形シリコーンコンタクトレンズ)である場合、外表面ヒドロゲル層、前外表面ヒドロゲル層、及び後外表面ヒドロゲル層の厚さは、約2.0μm~約25μm、好ましくは約3.0μm~約25μm、より好ましくは約4.0μm~約20μm、更により好ましくは約5.0μm~約20μmである。
【0198】
内部層又はレンズバルク材料が、架橋非シリコーンヒドロゲル材料(すなわち予成形非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ)である場合、外表面ヒドロゲル層、前外表面ヒドロゲル層、及び後外表面ヒドロゲル層の厚さは、約0.25μm~約20μm、好ましくは約0.50μm~約15μm、より好ましくは約0.5μm~約10μm、更により好ましくは約0.5μm~約6μmである。
【0199】
内部層又はレンズバルク材料が、天然に湿潤性ではないシリコーンヒドロゲル材料(すなわち予成形シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ)である場合、外表面ヒドロゲル層、前外表面ヒドロゲル層、及び後外表面ヒドロゲル層の厚さは、約0.5μm~約25μm、好ましくは約1.0μm~約20μm、より好ましくは約1.0μm~約15μm、更により好ましくは約1.5μm~約10μmである。
【0200】
内部層又はレンズバルク材料が、天然に湿潤性の架橋シリコーンヒドロゲル材料(すなわち予成形シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ)である場合、外表面ヒドロゲル層、前外表面ヒドロゲル層、及び後外表面ヒドロゲル層の厚さは、約0.25μm~約20μm、好ましくは約0.5μm~約20μm、より好ましくは約0.5μm~約15μm、更により好ましくは約1.0μm~約10μmである。
【0201】
本発明のコンタクトレンズの前面及び後面外部ヒドロゲル層は、好ましくは、実質的に互いに同一であり(すなわち、外表面ヒドロゲル層になる)、且つ、予成形コンタクトレンズ上に塗布される架橋コーティングである。
【0202】
好ましい実施形態では、互いに独立した前面及び後面外部ヒドロゲル層、並びに外表面ヒドロゲル層は、少なくとも25モル%(好ましくは少なくとも35モル%、より好ましくは少なくとも45モル%、更により好ましくは少なくとも55モル%)の、アルキル(メタ)アクリルアミド(上記のうちのいずれか1つ)、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル含有アクリルモノマー(上記のうちのいずれか1つ)、N-ビニルアミドモノマー(上記のうちのいずれか1つ)、メチレン含有ピロリドンモノマー(すなわち、それぞれが3又は5位でピロリドン環に結合したメチレン基を有するピロリドン誘導体)(上記のうちのいずれか1つ)、C1~C4アルコキシエトキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー(上記のうちのいずれか1つ)、ビニルエーテルモノマー(上記のうちのいずれか1つ)、アリルエーテルモノマー(上記のうちのいずれか1つ)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される(好ましくは、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の重量平均分子量を有するC1~C4-アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ビニルアルコール、アリルアルコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、最大1500の数平均分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の重量平均分子量を有するメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ビニルアルコール、アリルアルコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、更により好ましくは、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、最大1500の数平均分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の重量平均分子量を有するメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される)少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの反復モノマー単位を含む架橋ポリマー材料である。
【0203】
好ましい実施形態では、互いに独立した前面及び後面外部ヒドロゲル層、並びに外表面ヒドロゲル層は、架橋ポリマー材料であり、少なくとも25モル%(好ましくは少なくとも35モル%、より好ましくは少なくとも45モル%、更により好ましくは少なくとも55モル%)の、好ましくは(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのホスフィリルコリン(phosphrylcholine)含有ビニルモノマーの反復モノマー単位を備える。
【0204】
好ましい実施形態では、互いに独立した前面及び後面外部ヒドロゲル層、並びに外表面ヒドロゲル層は、ポリ(エチレングリコール)鎖を含む架橋ポリマー材料である。ポリ(エチレングリコール)鎖は、好ましくは、(1)-NH2、-SH、又は-COOHの1つの唯一の官能基を有するポル(pol)(エチレングリコール)、(2)-NH2、-COOH、-SH、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される2つの末端官能基を有するポル(エチレングリコール)、(3)-NH2、-COOH、-SH、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の官能基を有するマルチアームポリ(エチレングリコール)、並びに(4)これらの組み合わせから直接誘導される。
【0205】
好ましい実施形態によれば、本発明のコンタクトレンズの前面及び後面外部ヒドロゲル層は、互いに同一であり、且つ厚さが実質的に均一であり、コンタクトレンズの縁部で一体化して内部層を完全に被覆し、また少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも約90重量%、更により好ましくは少なくとも95重量%の平衡含水率を備える。
【0206】
好ましい実施形態によれば、本発明のコンタクトレンズの外表面ヒドロゲル層は、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも約90重量%、更により好ましくは少なくとも95重量%の平衡含水率を備える。
【0207】
本発明によれば、前面及び後面外部ヒドロゲル層のそれぞれはシリコーンを実質的に含まず、好ましくはシリコーンを全く含まない。しかしながら、X線光電子分光法(XPS)を用いて外部ヒドロゲル層中のシリコンの存在又は不在を立証する場合(一般に1.5~6nmのプロービング深さ)、例えば、Goodfellowからのポリエチレンシート(1.3±0.2%)、AlconからのDAILIES(登録商標)AquaComfortPlus(商標)コンタクトレンズ(1.7±0.9%)、又はJohnson&JohnsonからのACUVUE(登録商標)Moist(2.8±0.9%)などの理論的にシリコン原子を全く含まない試料表面上でXPSによりシリコンが検出されることよって示されるように、試料は環境中のシリコンによって不可避的に汚染されることは周知される。そのため、用語「実質的にシリコンを含まない」とは、本願では、SiHyコンタクトレンズ上でXPSによって測定された表面のシリコン原子濃度が、本来的に(理論的に)シリコンを含まないとして知られる対照試料(例えばポリエチレンシート、AlconからのDAILIES(登録商標)AquaComfortPlus(商標)コンタクトレンズ、又はJohnson&JohnsonからのACUVUE(登録商標)Moist)のシリコン原子濃度の約200%未満、好ましくは約175%未満、より好ましくは約150%未満、更により好ましくは約125%未満であることを意味するように用いられる。或いは、本発明のSiHyコンタクトレンズの各外部ヒドロゲル層は、乾燥状態のコンタクトレンズのXPS分析によって測定して合計元素濃度(elemental percentage)の約5%以下、好ましくは約4%以下、更により好ましくは約3%以下のシリコン原子濃度を有することによって特徴付けされるように、実質的にシリコンを含まない。任意選択的に(好ましくないが)、僅かな割合のシリコーンが、それがコンタクトレンズの表面特性(親水性、湿潤性、及び/又は潤滑性)を著しく劣化させない限りは外部ヒドロゲル層のポリマーネットワークに組み込まれてもよいことは理解されよう。
【0208】
好ましい実施形態では、前面及び後面外部ヒドロゲル層(架橋コーティング)のそれぞれが、コンタクトレンズを指と指との間で擦った後に暗視野下で目に見える表面亀裂線を有さないことによって特徴付けされるように、高い耐指擦り性を有する。指擦りによって生じた表面亀裂は表面潤滑性を低減させる場合があり、且つ/又はシリコーンが表面上に移動すること(露出)を防ぐことができない場合があるものと考えられる。表面亀裂は、表面層中に過剰な架橋密度が存在することも示し、これは表面弾性率に影響を及ぼし得る。好ましくは、外部ヒドロゲル層(架橋コーティング)中の非シリコーンヒドロゲル材料は、熱的に誘導されたカップリング反応中にアゼチジニウム基由来の架橋を含む。
【0209】
別の好ましい実施形態では、本発明のコンタクトレンズは、その層状構造形態中に、ポリマー材料からなる2つの移行層を更に含む。2つの移行層のそれぞれは、内部層と、前面及び後面外部ヒドロゲル層のうちの1つと、の間に位置している。各移行層は厚さが実質的に均一である。各移行層の厚さは、少なくとも約0.05μm、好ましくは約0.05μm~約10μm、より好ましくは約0.1μm~約7.5μm、更により好ましくは約0.15μm~約5μmである。移行層は、コンタクトレンズの周辺縁部で一体化し、レンズ材料の内部層を完全に包囲する。
【0210】
当業者に周知されているように、本発明のコンタクトレンズの層状構造形態は、完全水和状態(すなわち、直接的に水又は緩衝生理食塩水中にある)のコンタクトレンズの断面を原子間力顕微鏡法(AFM)で分析することによって立証することができる。当業者に熟知されているように、各外部ヒドロゲル層の平均厚さはAFM画像から判定することができる。
【0211】
本発明のコンタクトレンズの2つの移行層は、本質的には、架橋コーティング(外部ヒドロゲル層)が予成形コンタクトレンズ上に塗布される前に予成形コンタクトレンズに塗布されるベース(又はプライマー若しくはアンカー)コーティング(又は層)である。移行層(ベースコーティング又はアンカー層)は、外部ヒドロゲル層を固着/付着させる役割を果たす。好ましくは、移行層は、ポリアジリジンによって架橋されたカルボキシル(COOH)含有ポリマーを含み、好ましくはポリアジリジンによって架橋されたアクリル酸若しくはメタクリル酸又はC2~C12アルキルアクリル酸のホモ又はコポリマーを含む。カルボキシル含有ポリマーがバルク材料中に浸透して、外部ヒドロゲル層内に延伸し得ることは理解されよう。レンズ材料の内部層中にこうした浸透が起きる場合、各移行層は、一体に絡み合ったカルボキシル含有ポリマーとレンズ材料とを含むことになる。
【0212】
別の好ましい実施形態では、互いに独立した前面及び後面外部ヒドロゲル層のそれぞれは、内部層に対して、少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約30%、更により好ましくは少なくとも約35%、最も好ましくは少なくとも約40%の、低減された表面弾性率を有する。
【0213】
断面全体にわたる後表面側から前表面側までの表面弾性率の任意の変化を可視化するために、断面の表面弾性率を(例えば、ナノ押込法に従い)AFMで特徴付け(画像化)することができる。完全水和状態のコンタクトレンズの断面を横切る前表面と後表面との間の最短線に沿った約0.02μm、好ましくは約0.01μmの厚さにわたり(AFM画像を検査することにより)表面弾性率中で観察される有意な変化(例えば約30%以上)は、1つの層から別の層への移行を示す。
【0214】
本発明の様々な態様の上記で説明された好ましい実施形態のうちのいずれか1つでは、本発明のコンタクトレンズは、30サイクルの手動擦り試験後に約2以下(好ましくは約1.5以下、より好ましくは約1.0以下、更により好ましくは約0.5以下)の摩擦評点を有する。
【0215】
本発明の様々な態様の上記で説明された好ましい実施形態のうちのいずれか1つでは、本発明のコンタクトレンズは、280~315ナノメートルで約10%以下(好ましくは約5%以下、より好ましくは約2.5%以下、更により好ましくは約1%以下)のUVB透過率、315~380ナノメートルで約30%以下(好ましくは約20%以下、より好ましくは約10%以下、更により好ましくは約5%以下)のUVA透過率、及び380nm~440nmで0%~約70%、好ましくは5%~約60%、より好ましくは5%~約50%、更により好ましくは5%~約40%のバイオレット透過率を有する。
【0216】
本発明のコンタクトレンズは、当業者に既知の任意の方法によって得ることができ、又は開発されるものである。
【0217】
例えば、本発明のコンタクトレンズは、約2000ダルトン以下(好ましくは250ダルトン~1500ダルトン、より好ましくは300ダルトン~1000ダルトン、更により好ましくは350ダルトン~約800ダルトン)の数平均分子量及び少なくとも2つのアジリジン基を有するポリアジリジンで予成形水勾配コンタクトレンズを中和することによって得ることができる。
【0218】
予成形水勾配コンタクトレンズは、米国特許第8480227号明細書、同第8529057号明細書、及び同第9505184号明細書、並びに米国特許出願公開第2017/0068018A1号明細書、同第2017/0068019A1号明細書、同第2017/0165932A1号明細書、同第2018/0079157A1号明細書、同第2018/0079158A1号明細書、同第2018/0081197A1号明細書、同第2018/0113236A1号明細書、及び同第2018/0120590A1号明細書で説明される手順と同様に、反応性官能基(例えばカルボキシル基)を有するポリアニオン性ポリマーのアンカー層(又はベースコーティング)を含むコンタクトレンズ前駆体を、熱架橋性親水性ポリマー材料を含む水溶液中で加熱することによって得ることができる。
【0219】
アンカー層をその上に含むコンタクトレンズ前駆体は、所望の厚さを有するポリアニオン性ポリマーのアンカー層を形成するのに十分な長さの時間だけ、予成形コンタクトレンズを約1.0~約3.0のpHのポリアニオン性ポリマー溶液に接触させることによって得ることができる。
【0220】
予成形コンタクトレンズをポリマーのコーティング溶液と接触させることは、これをコーティング溶液にディッピングすることによって、又はこれにコーティング溶液を噴霧することによって起こすことができる。1つの接触プロセスは、単にコンタクトレンズをコーティング溶液の浴槽に一定期間ディッピングさせること、又は、別の方法としては、コンタクトレンズを、一連のコーティング溶液の浴槽に、各浴槽で所定のより短い期間だけ順次にディッピングさせることを伴う。別の接触プロセスは、単にコーティング溶液を噴霧することを伴う。しかしながら、多数の代替的方法が、当業者によって計画され得る噴霧及びディッピング工程の様々な組み合わせを伴う。
【0221】
1つ以上のカルボキシル含有アクリルモノマーの反復単位(上記で説明されたもののうちいずれか1つ)を少なくとも60モル%含有する限り任意のポリアニオン性ポリマーを、予成形コンタクトレンズ上のアンカー層の形成に使用することができる。好ましいポリアニオン性ポリマーの例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(エチルアクリル酸)、ポリ(アクリル酸-co-メタクリル酸)、ポリ[エチルアクリル酸-co-(メタ)アクリル酸]、ポリ(N,N-2-アクリルアミドグリコール酸)、ポリ[(メタ)アクリル酸-co-アクリルアミド]、ポリ[(メタ)アクリル酸-co-ビニルピロリドン]、ポリ[エチルアクリル酸-co-アクリルアミド]、ポリ[エチルアクリル酸-co-ビニルピロリドン]、ポリ[(メタ)アクリル酸-co-ビニルアセテート]、ポリ[エチルアクリル酸-co-ビニルアセテート]、又はこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、ポリアニオン性ポリマーはポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、又はこれらの組み合わせである。
【0222】
本発明によれば、プラズマコーティングを有するか又は有しない予成形コンタクトレンズ上にアンカー層(又はベースコーティング)を形成するためのポリアニオン性ポリマーの数平均分子量Mnは、少なくとも約25,000ダルトン、好ましくは少なくとも約50,000ダルトン、より好ましくは約100,000ダルトン~約5,000,000ダルトンである。
【0223】
プラズマコーティングを有する又は有しない予成形コンタクトレンズ上にアンカー層(又はベースコーティング)を形成するためのポリアニオン性ポリマーの溶液は、1つ以上のポリアニオン性ポリマーを、水、水と、水と混和性の1つ以上の有機溶媒と、の混合物、有機溶媒、又は1つ以上の有機溶媒の混合物に溶解することによって調製することができる。好ましくは、ポリアニオン性ポリマーは、水と1つ以上の有機溶媒との混合物、有機溶媒、又は1つ以上の有機溶媒の混合物に溶解される。少なくとも1つの有機溶媒を含有する溶媒系は、予成形コンタクトレンズを膨潤させることができ、その結果、ポリアニオン性ポリマーの一部は、予成形コンタクトレンズ内に浸透して、アンカー層(ベースコーティング)の耐久性及び厚さを増加させることができるものと考えられる。上記の任意の有機溶媒が、ポリアニオン性ポリマーを溶解させることができる限り、ポリアニオン性ポリマー溶液の調製に用いることができる。
【0224】
ポリアニオン性ポリマーの濃度は、有機系溶液の総重量に対して約0.001重量%~約2.5重量%、好ましくは約0.002重量%~約1.5重量%、より好ましくは0.003重量%~約0.75重量%である。
【0225】
当業者には既知であるように、アンカー層(ベースコーティング)の厚さは、ポリアニオン性ポリマーの濃度、予成形コンタクトレンズとポリアニオン性ポリマー溶液との接触時間、溶媒系(例えば、1種以上の有機溶媒の量)、又はこれらの組み合わせを変化させることによって調整することができる。
【0226】
或いは、アンカー層をその上に含むコンタクトレンズ前駆体は、当業者に既知に任意のグラフト重合技術に基づいて、予成形コンタクトレンズの表面にポリアニオン性ポリマーをグラフトさせることによって得ることができる。例えば、乾燥状態の予成形コンタクトレンズを、最初に、プラズマ雰囲気中で、少なくとも1つの反応性官能基を有する化合物(例えば、一級若しくは二級アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、アズラクトン基、アジリジン基、又はイソシアネート基を有するビニルモノマー)をプラズマ処理に供して、反応性官能基を有するプラズマコーティングを形成する。プラズマ処理されたコンタクトレンズを、当業者に既知のカップリング反応条件下でのカップリング剤の存在下又は不在下で、フリーラジカル開始剤部分(例えば、熱開始剤又は光開始剤)又は好ましくはリビング重合開始剤部分(例えば、原子移動ラジカル重合(ATRP)開始剤又は可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)開始剤)と、コンタクトレンズ上のプラズマコーティングの官能基と共反応性のある官能基と、を有する化合物と反応させる。フリーラジカル開始剤部分をその上に有する得られたコンタクトレンズを、1種以上のカルボキシル含有ビニルモノマー(好ましくは、上記のカルボキシル含有アクリルモノマー)の溶液に浸漬し、これらのカルボキシル含有ビニルモノマーのフリーラジカル重合を開始させる条件に供して、カルボキシル含有ビニルモノマーのポリアニオン性ポリマーからのグラフト(graft-from polyanionic polymer)の層を形成する。
【0227】
本発明によれば、外表面ヒドロゲル層又は前面及び後面外部ヒドロゲル層(すなわち、架橋親水性コーティング)を形成するための熱架橋性親水性ポリマー材料は、架橋性基、好ましくは熱架橋性基(例えば、エポキシ基、アゼチジニウム基、又はこれらの組み合わせ)、より好ましくはアゼチジニウム基を含む。好ましくは、水溶性及び架橋性の親水性ポリマー材料は、ネットワーク内に、又はネットワークに結合した3次元ネットワーク及び熱架橋性基、好ましくはアゼチジニウム基を含む部分的に架橋されたポリマー材料である。ポリマー材料に関連する用語「部分的に架橋された」は、架橋反応中でポリマー材料を製造するための出発物質の架橋性基が完全には消費されていないことを意味する。例えば、このような熱架橋性親水性ポリマー材料は、アゼチジニウム基を含み、また、スキームIに示される架橋反応に基づく、少なくとも1つのアゼチジニウム含有ポリマーと、少なくとも1つのカルボキシル、一級アミン、二級アミン、又はチオール基を有する少なくとも1つの親水性増強剤(すなわち湿潤剤)と、の部分反応生成物であり、
【化11】
式中、X
1は、-S-*、-OC(=O)-*、又は-NR’-*であり、式中、R’は水素、又はC
1~C
20の非置換又は置換アルキル基であり、*は有機ラジカルを表す。
【0228】
任意の好適なアゼチジニウム含有ポリマーを本発明で使用することができる。アゼチジニウム含有ポリマーの例としては、エピクロロヒドリン官能化ポリアミン、アゼチジニウム含有ビニルモノマーのホモポリマー、アゼチジニウム含有ビニル系モノマーと1種以上のビニル系モノマーとのコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0229】
好ましくは、アゼチジニウム含有ポリマーはエピクロロヒドリン官能化ポリアミンである。エピクロロヒドリン官能化ポリアミンは、エピクロロヒドリンと、ポリアミンポリアミン又は二級アミノ基含有ポリマーとを反応させることによって得ることができる。例えば、ポリアミンとジカルボン酸(例えば、アジピン酸-ジエチレントリアミンコポリマー)とから誘導される重縮合体であるポリ(アルキレンイミン)又はポリ(アミドアミン)は、エピクロルヒドリンと反応してエピクロロヒドリン官能化ポリマーを形成することができ、モノ-アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はモノ-アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドのホモポリマー又はコポリマーはまた、エピクロロヒドリンと反応してエピクロロヒドリン官能化ポリアミンを形成することができ、ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミンコポリマーは、エピクロロヒドリンと反応してエピクロロヒドリン官能化ポリアミン(即ち、ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリン)を形成することができる。ポリアミン又はポリアミドアミンポリマーのエピクロロヒドリン官能化のための反応条件は、欧州特許第1465931号明細書で教示されている。好ましいエピクロロヒドリン官能化ポリアミンは、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン(PAE)、又はポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンである。
【0230】
ポリアミドアミン-エピクロロヒドリンは、例えば、HerculesからのKymene(登録商標)又はPolycup(登録商標)樹脂(エピクロロヒドリン官能化アジピン酸-ジエチレントリアミンコポリマー)などで市販されている。
【0231】
ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンは、米国特許出願公開第2016/0061995A1号明細書で説明される手順に従って調製することができる。
【0232】
アゼチジニウム含有ビニルモノマーのホモポリマー及びコポリマーは、米国特許出願公開第2013/0337160A1号明細書で説明される手順に従って得ることができる。
【0233】
任意の適切な親水性増強剤が、それらが眼科的に適合性であり、また少なくとも1つのアミノ基、少なくとも1つのカルボキシル基、及び/又は少なくとも1つのチオール基を含み、好ましくは少なくとも1つのカルボキシル基、少なくとも1つのチオール基、又はこれらの組み合わせを含む限り、本発明で使用することができる。
【0234】
親水性増強剤の好ましい分類としては、一級アミノ、二級アミノ、カルボキシル、又はチオール含有単糖類(例えば、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、1-チオールグリセロール、5-ケト-D-グルコン酸、ガラクトサミン、グルコサミン、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルコサミン酸、マンノサミン、糖酸1,4-ラクトン、サッカリド酸、ケトデオキシノヌロソン酸(Ketodeoxynonulosonic acid)、N-メチル-D-グルカミン、1-アミノ-1-デオキシ-β-D-ガラクトース、1-アミノ-1-デオキシソルビトール、1-メチルアミノ-1-デオキシソルビトール、N-アミノエチルグルコンアミド)、一級アミノ、二級アミノ、カルボキシル、又はチオール含有二糖類(例えば、コンドロイチン二糖ナトリウム塩、ジ(β-D-キシロピラノシル)アミン、ジガラクツロン酸、ヘパリン二糖、ヒアルロン酸二糖、ラクトビオン酸)、及び一級アミノ、二級アミノ、カルボキシル、又はチオール含有オリゴ糖類(例えば、カルボキシメチル-β-シクロデキストリンナトリウム塩、トリガラクツロン酸)、並びにこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0235】
親水性増強剤の別の好ましい分類は、1つ以上の(一級又は二級)アミノ、カルボキシル、及び/又はチオール基を有する親水性ポリマーである。より好ましくは、親水性増強剤としての親水性ポリマー中のアミノ(-NHR’(R’は上記で定義したとおり))、カルボキシル(-COOH)、及び/又はチオール(-SH)基の含有量は、親水性ポリマーの総重量を基準に約40重量%未満、好ましくは約30重量%未満、より好ましくは約20重量%未満、更により好ましくは約10重量%未満である。
【0236】
親水性増強剤としての親水性ポリマーの1つの好ましい部類は、例えば、カルボキシメチルセルロース(反復単位-[C6H10-mO5(CH2CO2H)m]-(式中、mは1~3である)の組成物に基づいて推定される約40%以下のカルボキシル含有量を有する)、カルボキシエチルセルロース(反復単位-[C6H10-mO5(C2H4CO2H)m]-(式中、mは1~3である)の組成物に基づいて推定される約36%以下のカルボキシル含有量を有する)、カルボキシプロピルセルロース(反復単位-[C6H10-mO5(C3H6CO2H)m]-(式中、mは1~3である)の組成物に基づいて推定される約32%以下のカルボキシル含有量を有する)、ヒアルロン酸(反復単位-(C13H20O9NCO2H)-)の組成物に基づいて推定される約11%のカルボキシル含有量を有する)、コンドロイチン硫酸(反復単位-(C12H18O13NS CO2H)-)の組成物に基づいて推定される約9.8%のカルボキシル含有量を有する)、又はこれらの組み合わせなどの(一級又は二級)アミノ、又はカルボキシル含有多糖類である。
【0237】
親水性増強剤としての親水性ポリマーの別の好ましい分類としては、モノ-アミノ(一級又は二級アミノ)、カルボキシル、又はチオール基を有するポリ(エチレングリコール)(PEG)(例えば、PEG-NH2、PEG-SH、PEG-COOH)、H2N-PEG-NH2、HOOC-PEG-COOH、HS-PEG-SH、H2N-PEG-COOH、HOOC-PEG-SH、H2N-PEG-SH、1つ以上のアミノ(一級又は二級)、カルボキシル、又はチオール基を有するマルチアームPEG、1つ以上のアミノ(一級又は二級)、カルボキシル、又はチオール基を有するPEGデンドリマー、非反応性親水性ビニルモノマーのジアミノ(一級又は二級)又はジカルボキシル末端ホモ又はコポリマー、非反応性親水性ビニルモノマーのモノアミノ(一級又は二級)又はモノカルボキシル末端ホモ又はコポリマー、(1)約60重量%以下、好ましくは約0.1重量%~約30重量%、より好ましくは約0.5重量%~約20重量%、更により好ましくは約1重量%~約15重量%の1つ以上の反応性ビニルモノマー、及び(2)少なくとも1つの非反応性親水性ビニルモノマーを含む組成物の重合生成物であるコポリマー、並びにこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0238】
本発明によれば、反応性ビニルモノマーは、カルボキシル含有ビニルモノマー、一級アミノ含有ビニルモノマー、又は二級アミノ含有ビニルモノマーであってもよい。
【0239】
好ましいカルボキシル含有ビニルモノマーの例としては、アクリル酸、メタクリルエチルアクリル酸(methacrylic ethylacrylic acid)、N-2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0240】
好ましい一級及び二級アミノ含有ビニルモノマーの例としては、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0241】
本発明によれば、非反応性ビニルモノマーは、カルボキシル基、一級アミノ基、二級アミノ基、エポキシド基、イソシアネート基、アズラクトン基、又はアジリジン基を一切含まないビニルモノマーである。非反応性ビニルモノマーは、好ましくは、カルボキシル基若しくはアミノ基を含まない非荷電親水性ビニルモノマー(いずれの上記で説明されたものも本明細書で使用することができる)、ホスホリルコリン含有ビニルモノマー(いずれの上記で説明されたものも本明細書で使用することができる)、又はこれらの組み合わせである。
【0242】
より好ましくは、親水性増強剤としての親水性ポリマーは、
-NH2、-SH、又は-COOHの1つの唯一の官能基を有するポリ(エチレングリコール)、
-NH2、-COOH、-SH、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される2つの末端官能基を有するポリ(エチレングリコール)、
-NH2、-COOH、-SH、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の官能基を有するマルチアームポリ(エチレングリコール)、
非反応性親水性ビニルモノマーのモノアミド、モノカルボキシル、ジアミノ、又はジカルボキシル末端ホモ又はコポリマー、
(1)約0.1重量%~約30重量%、好ましくは約0.5重量%~約20重量%、より好ましくは約1重量%~約15重量%のアクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、又はそれらの組み合わせ、及び(2)アクリアミド(acryamide)、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、グリセロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、最大400ダルトンの重量平均分子量を有するC1~C4-アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ビニルアルコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの非反応性親水性ビニルモノマーを含む組成物の重合生成物であるコポリマーであり、
ここで非反応性親水性ビニルモノマーは、アルキル(メタ)アクリルアミド(上記のうちいずれか1つ)、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル含有アクリルモノマー(上記のうちのいずれか1つ)、N-ビニルアミドモノマー(上記のうちのいずれか1つ)、メチレン含有ピロリドンモノマー(すなわち、それぞれが3又は5位でピロリドン環に結合したメチレン基を有するピロリドン誘導体)(上記のうちのいずれか1つ)、C1~C4アルコキシエトキシ基を有するアクリルモノマー(上記のうちのいずれか1つ)、ビニルエーテルモノマー(上記のうちのいずれか1つ)、アリルエーテルモノマー(上記のうちのいずれか1つ)、ホスホリルコリン含有ビニルモノマー(上記のうちのいずれか1つ)及びこれらの組み合わせからなる群から選択される(好ましくは、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の重量平均分子量を有するC1~C4-アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ビニルアルコール、アリルアルコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、最大1500の数平均分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の重量平均分子量を有するメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ビニルアルコール、アリルアルコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、更により好ましくは、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、最大1500の数平均分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の重量平均分子量を有するメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0243】
官能基を有するPEG及び官能基を有するマルチアームPEGは、様々な商業的供給者、例えばCreative PEGWorks、Polyscience、及びShearwater Polymersなどから得ることができる。
【0244】
1つ以上の非反応性親水性ビニルモノマー又はホスホリルコリン含有ビニルモノマーのモノアミノ-、モノカルボキシル-、ジアミノ-、又はジカルボキシル末端ホモ又はコポリマーは、米国特許第6,218,508号明細書に記載される手順に従って調製することができる。例えば、非反応性親水性ビニルモノマーのジアミノ-又はジカルボキシル末端ホモ-又はコポリマーを調製するために、非反応性ビニルモノマー、アミノ基又はカルボキシル基を有する連鎖移動剤(例えば、2-アミノエタンチオール、2-メルカプトプロピオン酸(mercaptopropinic acid)、チオグリコール酸、チオ乳酸、又は他のヒドロキシメルカプタン、アミノメルカプタン、若しくはカルボキシル含有メルカプタン)及び任意選択的に他のビニルモノマーを、フリーラジカル開始剤の存在下で反応性ビニルモノマー(アミノ又はカルボキシル基を有する)と共重合(熱的又は化学線的に)させる。一般的に、連鎖移動剤と反応性ビニルモノマー以外の全てのビニルモノマーとのモル比は約1:5~約1:100であり、ここで連鎖移動剤と反応性ビニルモノマーとのモル比は1:1である。こうした調製では、アミノ又はカルボキシル基を有する連鎖移動剤は、得られた親水性ポリマーの分子量を制御するために用いられて、得られた親水性ポリマーの末端部を形成して、その結果、得られた親水性ポリマーに一方の末端アミノ又はカルボキシル基を付与し、一方で、反応性ビニルモノマーは、得られた親水性ポリマーにもう一方の末端カルボキシル又はアミノ基を付与する。同様に、非反応性親水性ビニルモノマーのモノアミノ-又はモノカルボキシル末端ホモ-又はコポリマーを調製するために、非反応性ビニルモノマー、アミノ又はカルボキシル基を有する連鎖移動剤(例えば、2-アミノエタンチオール、2-メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオ乳酸、又は他のヒドロキシメルカプタン、アミノメルカプタン、若しくはカルボキシル含有メルカプタン)及び任意選択的に他のビニルモノマーを、任意の反応性ビニルモノマーの不在下で共重合(熱的又は化学線的に)させる。
【0245】
非反応性親水性ビニルモノマー及び反応性ビニルモノマー(例えば、カルボキシル含有ビニルモノマー、一級アミノ基含有ビニルモノマー、又は二級アミノ基含有ビニルモノマー)を含むコポリマーは、任意の周知されるラジカル重合法に従い調製することもでき、又は商業的供給者から入手することもできる。メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン及びカルボキシル含有ビニルモノマー(又はアミノ含有ビニルモノマー)を含有するコポリマーは、NOF Corporationから得ることもでき(例えば、LIPIDURE(登録商標)-A及び-AF)、又は米国特許第9127099号明細書に記載される手順に従い調製することもできる。
【0246】
少なくとも1つのアミノ、カルボキシル、又はチオール基を有する親水性ポリマー(親水性増強剤として)の重量平均分子量Mwは、好ましくは約500~約5,000,000、より好ましくは約1,000~約2,000,000、更により好ましくは約5,000~約1,000,000ダルトンである。
【0247】
水溶性及び熱架橋性親水性ポリマー材料は、米国特許出願公開第2016/0061995A1号明細書、及び同第2013/0337160A1号明細書、並びに米国特許第8529057号明細書に開示されるプロセスに従って調製することができる。
【0248】
好ましい実施形態では、水溶性熱架橋性ポリマー材料は、少なくとも1つのアゼチジニウム含有ポリマーと、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する少なくとも1つの親水性増強剤(すなわち湿潤剤)と、を含む反応性水溶液を約35℃~約85℃の温度に加熱し、十分な期間(約8時間以下、好ましくは約5時間、より好ましくは約2時間~約4時間)温度を維持することによって得ることができる。反応性水溶液は、好ましくは約70mM~約170mM(好ましくは約90mM~約150mM、より好ましくは約100mM~約130mM)の1つ以上のイオン性化合物と、少なくとも8.0(好ましくは少なくとも8.5、より好ましくは少なくとも9.0、更により好ましくは少なくとも9.5)のpHと、を含む。反応時間は、アゼチジニウム含有ポリマーのポリマー鎖上に親水性増強剤を共有結合させるのに十分な長さであるべきだが、アゼチジニウム含有ポリマーのアゼチジニウム基を全て消費せず、またアゼチジニウム含有ポリマーと親水性増強剤との間に形成される架橋が多すぎるためにゲルを形成することがない(すなわち水溶性でない)程度に短くあるべきであることを理解されたい。得られたポリマー材料は、高度分岐構造を有し、熱架橋性アゼチジニウム基を依然として含有する軽度架橋ポリマー材料である。
【0249】
当業者は、例えば、塩基(例えばNaOH、KOH、NH4OH、又はこれらの混合物)又は酸(例えばHCl、H2SO4、H3PO4、クエン酸、酢酸、ホウ酸、又はこれらの混合物)を添加することによって反応性混合物のpHを調整するための方法を熟知している。
【0250】
本発明によれば、任意のイオン性化合物を反応性混合物中に用いることができる。好ましくは、イオン性化合物は、眼科用液剤中でイオン性張度調整剤及びイオン性緩衝剤として用いられるものである。好ましいイオン性張度調整剤の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいイオン性緩衝剤の例としては、様々なリン酸の塩(例えばNaH2PO4、Na2HPO4、Na3PO4、KH2PO4、K2HPO4、K3PO4、又はこれらの混合物)、様々なホウ酸の塩(例えば、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、又はこれらの混合物)、様々なクエン酸の塩(例えば、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三カリウム、又はこれらの混合物)、様々な炭酸の塩(例えば、Na2CO3、NaHCO3、K2CO3、KHCO3又はこれらの混合物)が挙げられる。
【0251】
水溶性熱架橋性ポリマー材料を調製するための反応性水溶液は、所望の量のアゼチジニウム含有ポリマー、少なくとも1つの反応性官能基を有する所望の量の親水性増強剤、及び所望の量のその他の成分(例えばイオン性緩衝剤、イオン性張度調整剤など)を水(又は水と少量の水溶性有機溶媒との混合物)中に溶解させて水溶液を形成し、続いて必要に応じて水溶液のpHを調整することによって調製することができる。
【0252】
本発明によれば、反応性水溶液中におけるアゼチジニウム含有ポリマーに対する親水性増強剤の濃度比は、得られた水溶性熱架橋性ポリマー材料を非水溶性(すなわち、室温で100mLの水あたり0.005g未満の溶解度)にせず、且つ、アゼチジニウム含有ポリマーのアゼチジニウム基の約99%超、好ましくは約98%、より好ましくは約97%、更により好ましくは約96%を消費しないように選択されなければならない。
【0253】
好ましい実施形態では、反応性水溶液は、0.01重量%~約10重量%(好ましくは0.05重量%~約5重量%、より好ましくは0.08重量%~約1重量%、更により好ましくは0.1重量%~約0.4重量%)のアゼチジニウム含有ポリマーと、約0.01重量%~約10重量%(好ましくは0.02重量%~約5重量%、より好ましくは0.05重量%~約2重量%、更により好ましくは0.08重量%~約1.0重量%)の少なくとも1つの反応性官能基(カルボキシル、一級アミノ、二級アミノ基)を有する親水性増強剤と、を含み、アゼチジニウム含有ポリマーと親水性増強剤との濃度比は、約1000:1~1:1000(好ましくは約500:1~約1:500、より好ましくは約250:1~約1:250、更により好ましくは約100:1~約1:100)である。
【0254】
好ましい実施形態では、水溶性熱架橋性ポリマー材料は、(i)約20重量%~約95重量%のポリアミドアミン-エピクロロヒドリン又はポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンから誘導される第1のポリマー鎖と、(ii)約5~約80重量%の、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される(好ましくはカルボキシル又はチオール基である)少なくとも1つの反応性官能基を有する少なくとも1つの親水性増強剤から誘導される親水性部分又は第2のポリマー鎖であって、親水性部分又は第2のポリマー鎖は、それぞれポリアミドアミン-エピクロロヒドリン又はポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンの1つのアゼチジニウム基(azetitdinium group)と、親水性増強剤の1つのアミノ、カルボキシル、又はチオール基と、の間に形成された1つ以上の共有結合を介して第1のポリマー鎖に共有結合する、親水性部分又は第2のポリマー鎖と、(iii)第1のポリマー鎖の一部であるか、又は第1のポリマー鎖に共有結合したペンダント若しくは末端基である、アゼチジニウム基と、を含む。化学修飾されたポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリン又は化学修飾されたポリアミドアミン-エピクロロヒドリンの組成は、上記のスキームIに示される架橋反応に従い、こうしたポリマーに使用される反応混合物の組成(反応体の総重量に基づく)によって決定される。例えば、反応混合物が、反応体の総重量に基づいて約75重量%のポリアミドアミン-エピクロロヒドリンと約25重量%の少なくとも1つの親水性増強剤とを含む場合、得られた化学修飾されたポリアミドアミン-エピクロロヒドリンは、ポリアミオアミン(polyamioamine)-エピクロロヒドリンから誘導される第1のポリマー鎖を約75重量%、及び上記の少なくとも1つの親水性増強剤から誘導される親水性部分又は第2のポリマー鎖を約25重量%含む。
【0255】
本発明によれば、アンカー層をその上に備える予成形コンタクトレンズは、水勾配コンタクトレンズを形成するために、アゼチジニウム基と、任意選択的に(であるが好ましくは)アミノ基、チオール基、カルボキシル基、又はこれらの組み合わせと、を有する熱架橋性親水性ポリマー材料を含む水溶液中で、約60℃~約140℃の温度で、熱架橋性親水性ポリマー材料を架橋し、同時に架橋した熱架橋性親水性ポリマー材料をアンカー層上に共有結合させるだけの期間加熱される。
【0256】
好ましくは、加熱工程は、密封されたレンズパッケージ内のパッケージング溶液(すなわち、pHが6.7~7.6の緩衝水溶液)である水性コーティング溶液に浸漬させた、アンカー層をその上に備えた予成形コンタクトレンズを、約115℃~約125℃の温度で約20~90分間オートクレーブすることによって実施される。オートクレーブ中、架橋反応に関与しないこれらのアゼチジニウム基は、2,3-ジヒドロキシプロピル(HO-CH2-CH(OH)-CH2-)基へと加水分解され得、また、レンズパッケージング溶液中に存在するアゼチジニウム含有ポリマー材料は、適用可能な場合は、レンズの挿入快適性を改善することが可能な非反応性ポリマー湿潤剤へと変換され得るものと考えられる。結果として、第2のコーティング水溶液はオートクレーブ後は眼科的に安全である。
【0257】
当業者は、コンタクトレンズをオートクレーブ及び保存するためのレンズパッケージ(又は容器)を熟知している。任意のレンズパッケージを本発明で用いることができる。好ましくは、レンズパッケージは、ベースとカバーとを含むブリスタパッケージであり、カバーは、ベースに対して着脱可能に封止されており、ベースは、滅菌されたパッケージング溶液及びコンタクトレンズを受容するための空洞を含む。
【0258】
レンズは、使用者に分配される前に、個々のパッケージ内に包装され、密封され、滅菌される(例えば、圧力下で少なくとも30分間、約120℃以上のオートクレーブにより)。当業者は、レンズパッケージの密封及び滅菌方法をよく理解しているであろう。
【0259】
本発明によれば、パッケージング溶液は、少なくとも1つの緩衝剤、及び当業者に既知の1つ以上の他の成分を含有する。その他の成分の例としては、等張化剤、界面活性剤、抗菌剤、防腐剤、及び潤滑剤(例えばセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0260】
パッケージング溶液は、パッケージング溶液のpHを所望の範囲、例えば、好ましくは約6.5~約7.5の生理学的に許容される範囲内に維持するのに十分な量の緩衝剤を含有する。任意の既知の生理学的に適合性の緩衝剤を用いることができる。本発明のコンタクトレンズケア組成物の構成要素として好適な緩衝剤は当業者に既知である。例は、ホウ酸、ホウ酸塩類、例えば、ホウ酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸塩、例えばクエン酸カリウム、重炭酸塩類、例えば重炭酸ナトリウム、トリス(すなわち2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール)、ビス-トリス[すなわちビス-(2-ヒドロキシエチル)-イミノ-トリス-(ヒドロキシメチル)-メタン]、ビス-トリスプロパン[すなわち1,3-ビス(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)プロパン]、ビス-アミノポリオール、トリエタノールアミン、ACES[すなわちN-(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸]、BES[すなわちN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸]、HEPES[すなわち4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸]、MES[すなわち2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸]、MOPS[すなわち3-[N-モルホリノ]-プロパンスルホン酸]、PIPES[すなわちピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸]、TES{すなわちN-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-2-アミノエタンスルホン酸}、これらの塩、リン酸緩衝液、例えばNa2HPO4、NaH2PO4、及びKH2PO4、又はこれらの混合物である。パッケージング溶液中の各緩衝剤の量は、好ましくは0.001重量%~2重量%、好ましくは0.01重量%~1重量%、最も好ましくは約0.05重量%~約0.30重量%である。
【0261】
パッケージング溶液は、約200~約450ミリオスモル(mOsm)、好ましくは約250~約350mOsmの張度を有する。パッケージング溶液の張度は、張度に影響を与える有機又は無機物質を添加することによって調整することができる。好適な目によって許容される等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセロール、プロピレングリコール、ポリオール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0262】
本発明のパッケージング溶液は、25℃で約1センチポアズ~約5センチポアズの粘度を有する。
【0263】
好ましい実施形態では、パッケージング溶液は、好ましくは、約0.01重量%~約2重量%、より好ましくは約0.05重量%~約1.5重量%、更により好ましくは約0.1重量%~約1重量%、最も好ましくは約0.2重量%~約0.5重量%のアゼチジニウム基を有する水溶性で熱架橋性の親水性ポリマー材料を含む。
【0264】
得られた水勾配コンタクトレンズは、続いて、約2000ダルトン以下の数平均分子量を有するポリアジリジンと、約0.40又は0.30マイクログラム/レンズ以下のPU(好ましくは約0.20マイクログラム/レンズ以下、より好ましくは約0.15マイクログラム/レンズ以下、更により好ましくは約0.10マイクログラム/レンズ以下、最も好ましくは約0.05マイクログラム/レンズ以下)を有する水勾配コンタクトレンズを提供するのに十分な量の少なくとも2つのアジリジン基と、を含む水溶液中で、40℃~140℃の温度で加熱することができる。好ましくは、水溶液は、レンズパッケージング溶液に関して上述した全ての必要な成分に加えて必要なポリアジリジンを含むレンズパッケージング溶液である。
【0265】
水勾配コンタクトレンズ中に存在する負電荷を中和するために任意のポリアジリジンを本発明で用いることができる。好ましいポリアジリジンの例としては、トリメチロールプロパントリス(2-メチル-1-アジリジンプロピオネート)(別称PZ-28)、ペンタエリスリトールトリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート](別称PZ-33)、トリメチロールプロパントリス(3-アジリジノプロピオネート)、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するビニルクロスリンカーと2-メチルアジリジン(又はアジリジン)とのマイケル反応生成物、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、少なくともメチル-アジリジニル基を含むポリアジリジンが本発明で用いられる。
【0266】
本発明のコンタクトレンズの代替的製造プロセスにおいては、水勾配コンタクトレンズを調製するプロセスにおいて、数平均分子量が約2000ダルトン以下のポリアジリジン及び少なくとも2つのアジリジン基の存在下で、アンカー層をその上に有するコンタクトレンズ前駆体を、熱架橋性親水性ポリマー材料(上記で説明されるもののうちいずれか1つ)を含む水溶液中で加熱する。例えば、アンカー層をその上に備える予成形コンタクトレンズを、最初にこうしたポリアジリジンを含有する溶液と室温以下で接触させて予成形コンタクトレンズにポリアジリジンを添加し、続いてアンカー層をその上に備えるポリアジリジン添加コンタクトレンズを、熱架橋性親水性ポリマー材料(上記で説明されるもののうちいずれか1つ)を含有する水溶液中で約60℃~約140℃の温度で加熱して、本発明のコンタクトレンズを形成する。或いは、アンカー層をその上に備える予成形コンタクトレンズを、熱架橋性親水性ポリマー材料(上記で説明されるもののうちいずれか1つ)及びポリアジリジンを含有する水溶液中で約60℃~約140℃の温度で加熱して、本発明のコンタクトレンズを形成する。
【0267】
本発明のコンタクトレンズを製造するためのいくつかの代替的なプロセス(alternatively processes)を実施例の項で例示する。
【0268】
本発明の様々な実施形態を、特定の用語、装置、及び方法を用いて説明してきたが、こうした記述は単に例示のみを目的とする。用いられる言葉は限定するものではなく説明する言葉である。当業者には明白であるように、当業者によれば、本発明の多くの変形及び修正が、本開示の新規な概念の趣旨及び範囲から逸脱することなく可能である。更に、本発明の様々な実施形態の態様は、以下に示すように、その全部又は一部が互換可能であってもよく、或いは任意の方法で組み合わせる、且つ/又は共に用いることが可能であることを理解されたい。
【0269】
実施形態1
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に少なくとも10秒間の水崩壊時間と、を有するコンタクトレンズであって、
コンタクトレンズは、
前表面及び反対側の後表面と、前表面から後表面への方向に、前面外部ヒドロゲル層、レンズ材料の内部層、及び後面外部ヒドロゲル層を備える層状構造形態と、を備え、
内部層は、約70重量%以下の第1の平衡含水率であって、ここで互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約0.25μm~約25μmの厚さを有する、第1の平衡含水率と、第1の平衡含水率よりも高い第2の平衡含水率と、を有し、互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも140%の水膨張率を有する、コンタクトレンズ。
【0270】
実施形態2
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に約2.0以下の摩擦評点と、を有するコンタクトレンズであって、
コンタクトレンズは、
前表面及び反対側の後表面と、前表面から後表面への方向に、前面外部ヒドロゲル層、レンズ材料の内部層、及び後面外部ヒドロゲル層を備える層状構造形態と、を備え、
内部層は、約70重量%以下の第1の平衡含水率であって、ここで互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約0.25μm~約25μmの厚さを有する、第1の平衡含水率と、第1の平衡含水率よりも高い第2の平衡含水率と、を有し、互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも140%の水膨張率を有する、コンタクトレンズ。
【0271】
実施形態3
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも170%の水膨張率を有する、実施形態1又は2に記載のコンタクトレンズ。
【0272】
実施形態4
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも200%の水膨張率を有する、実施形態1又は2に記載のコンタクトレンズ。
【0273】
実施形態5
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも250%の水膨張率を有する、実施形態1又は2に記載のコンタクトレンズ。
【0274】
実施形態6
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも300%の水膨張率を有する、実施形態1又は2に記載のコンタクトレンズ。
【0275】
実施形態7
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に少なくとも10秒間の水崩壊時間と、
内側からコンタクトレンズの前又は後表面のうちの1つにかけて増加する含水率勾配と、を有するコンタクトレンズであって、
コンタクトレンズは、前面外部ヒドロゲル層及び後面外部ヒドロゲル層で完全に被覆されたレンズバルク材料を備え、互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、完全に水和したときに約0.25μm~約25μmの厚さを有し、レンズバルク材料は約70重量%以下の第1の平衡含水率を有し、互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、第1の平衡含水率の少なくとも1.2倍であり、少なくとも80重量%である第2の平衡含水率を有する、コンタクトレンズ。
【0276】
実施形態8
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に約2.0以下の摩擦評点と、
コンタクトレンズの内側から外側へと増加する含水率勾配と、を有するコンタクトレンズであって、
コンタクトレンズは、前面外部ヒドロゲル層及び後面外部ヒドロゲル層で完全に被覆されたレンズバルク材料を備え、互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、完全に水和したときに約0.25μm~約25μmの厚さを有し、レンズバルク材料は約70重量%以下の第1の平衡含水率を有し、互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、第1の平衡含水率の少なくとも1.2倍であり、少なくとも80重量%である第2の平衡含水率を有する、コンタクトレンズ。
【0277】
実施形態9
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に少なくとも10秒間の水崩壊時間と、を有するコンタクトレンズであって、
コンタクトレンズは、
前表面及び反対側の後表面と、前表面から後表面への方向に、前面外部ヒドロゲル層、レンズ材料の内部層、及び後面外部ヒドロゲル層を備える層状構造形態と、を備え、
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層のそれぞれは、内部層と比較して少なくとも約20%の低減した表面弾性率を有するコンタクトレンズ。
【0278】
実施形態10
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に約2.0以下の摩擦評点と、を有するコンタクトレンズであって、
コンタクトレンズは、
前表面及び反対側の後表面と、前表面から後表面への方向に、前面外部ヒドロゲル層、レンズ材料の内部層、及び後面外部ヒドロゲル層を備える層状構造形態と、を備え、
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層のそれぞれは、内部層と比較して少なくとも約20%の低減した表面弾性率を有するコンタクトレンズ。
【0279】
実施形態11
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層のそれぞれは、内部層と比較して少なくとも25%の低減した表面弾性率を有する、実施形態9又は10に記載のコンタクトレンズ。
【0280】
実施形態12
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層のそれぞれは、内部層と比較して少なくとも30%の低減した表面弾性率を有する、実施形態9又は10に記載のコンタクトレンズ。
【0281】
実施形態13
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層のそれぞれは、内部層と比較して少なくとも約35%の低減した表面弾性率を有する、実施形態9又は10に記載のコンタクトレンズ。
【0282】
実施形態14
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層のそれぞれは、内部層と比較して少なくとも40%の低減した表面弾性率を有する、実施形態9又は10に記載のコンタクトレンズ。
【0283】
実施形態15
1mmのマイクロ押込プローブを用いたマイクロ押込試験で測定して約12μN/MPa以下の400nmの押込深さにおける正規化された表面圧縮力と、
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に少なくとも10秒間の水崩壊時間と、を有するコンタクトレンズであって、
コンタクトレンズは、前表面と、反対側の後表面と、層状構造形態と、を備え、層状構造形態は、前表面から後表面への方向に、前面外部ヒドロゲル層、レンズ材料の内部層、及び後面外部ヒドロゲル層を備える、コンタクトレンズ。
【0284】
実施形態16
1mmのマイクロ押込プローブを用いたマイクロ押込試験で測定して約12μN/MPa以下の400nmの押込深さにおける正規化された表面圧縮力と、
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に約2.0以下の摩擦評点と、を有するコンタクトレンズであって、
コンタクトレンズは、前表面と、反対側の後表面と、層状構造形態と、を備え、層状構造形態は、前表面から後表面への方向に、前面外部ヒドロゲル層、レンズ材料の内部層、及び後面外部ヒドロゲル層を備える、コンタクトレンズ。
【0285】
実施形態17
1mmのマイクロ押込プローブを用いたマイクロ押込試験で測定して約12μN/MPa以下の400nmの押込深さにおける正規化された表面圧縮力と、
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に少なくとも10秒間の水崩壊時間と、を有するコンタクトレンズであって、
コンタクトレンズはポリマー材料であるレンズバルク材料を備える、コンタクトレンズ。
【0286】
実施形態18
1mmのマイクロ押込プローブを用いたマイクロ押込試験で測定して約12μN/MPa以下の400nmの押込深さにおける正規化された表面圧縮力と、
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に約2.0以下の摩擦評点と、を有するコンタクトレンズであって、
コンタクトレンズはポリマー材料であるレンズバルク材料を備える、コンタクトレンズ。
【0287】
実施形態19
コンタクトレンズは、約10μN/MPa以下の400nmの押込深さにおける正規化された表面圧縮力を有する、実施形態15~18のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0288】
実施形態20
コンタクトレンズは、約8μN/MPa以下の400nmの押込深さにおける正規化された表面圧縮力を有する、実施形態15~18のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0289】
実施形態21
コンタクトレンズは、約6μN/MPa以下の400nmの押込深さにおける正規化された表面圧縮力を有する、実施形態15~18のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0290】
実施形態22
コンタクトレンズは、約4μN/MPa以下の400nmの押込深さにおける正規化された表面圧縮力を有する、実施形態15~18のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0291】
実施形態23
約50%以上(好ましくは約55%以上、より好ましくは約60%以上、更により好ましくは約65%以上、最も好ましくは約70%以上)の400nmの押込深さにおける押込力の減少、すなわちΔ(IF)400nmと、
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に少なくとも10秒間の水崩壊時間と、を有するコンタクトレンズであって、
コンタクトレンズは、前表面と、反対側の後表面と、層状構造形態と、を備え、層状構造形態は、前表面から後表面への方向に、前面外部ヒドロゲル層、レンズ材料の内部層、及び後面外部ヒドロゲル層を備える、コンタクトレンズ。
【0292】
実施形態24
約50%以上(好ましくは約55%以上、より好ましくは約60%以上、更により好ましくは約65%以上、最も好ましくは約70%以上)の400nmの押込深さにおける押込力の減少、すなわちΔ(IF)400nmと、
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に約2.0以下の摩擦評点と、を有するコンタクトレンズであって、
コンタクトレンズは、前表面と、反対側の後表面と、層状構造形態と、を備え、層状構造形態は、前表面から後表面への方向に、前面外部ヒドロゲル層、レンズ材料の内部層、及び後面外部ヒドロゲル層を備える、コンタクトレンズ。
【0293】
実施形態25
約50%以上(好ましくは約55%以上、より好ましくは約60%以上、更により好ましくは約65%以上、最も好ましくは約70%以上)の400nmの押込深さにおける押込力の減少、すなわちΔ(IF)400nmと、
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に少なくとも10秒間の水崩壊時間と、を有するコンタクトレンズであって、
コンタクトレンズはポリマー材料であるレンズバルク材料を備える、コンタクトレンズ。
【0294】
実施形態26
約50%以上(好ましくは約55%以上、より好ましくは約60%以上、更により好ましくは約65%以上、最も好ましくは約70%以上)の400nmの押込深さにおける押込力の減少、すなわちΔ(IF)400nmと、
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に約2.0以下の摩擦評点と、を有するコンタクトレンズであって、
コンタクトレンズはポリマー材料であるレンズバルク材料を備える、コンタクトレンズ。
【0295】
実施形態27
Δ(IF)
400nmが、約9.0±0.9μmの先端部半径を有するプローブを用いることによってナノ押込試験で決定され、
【数11】
によって計算され、
式中、(IF)
tは、コンタクトレンズの400nmの押込深さにおける測定された押込力であり、E’はコンタクトレンズのバルク弾性率(E’)である、実施形態23~26のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0296】
実施形態28
Δ(IF)
400nmが、1mmの半球形ホウケイ酸ガラスプローブを用いることによってマイクロ押込試験で決定され、
【数12】
によって計算され、
式中、(IF)
tは、コンタクトレンズの400nmの押込深さにおける測定された押込力であり、E’はコンタクトレンズのバルク弾性率(E’)である、実施形態23~26のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0297】
実施形態29
Δ(IF)400nmは約55%以上である、実施形態23~28のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0298】
実施形態30
Δ(IF)400nmは約60%以上である、実施形態23~28のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0299】
実施形態31
Δ(IF)400nmは約65%以上である、実施形態23~28のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0300】
実施形態32
Δ(IF)400nmは約70%以上である、実施形態23~28のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0301】
実施形態33
コンタクトレンズが約0.20マイクログラム/レンズ以下のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)を有する、実施形態1~32のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0302】
実施形態34
コンタクトレンズが約0.15マイクログラム/レンズ以下のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)を有する、実施形態1~32のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0303】
実施形態35
コンタクトレンズが約0.10マイクログラム/レンズ以下のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)を有する、実施形態1~32のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0304】
実施形態36
コンタクトレンズが約0.075マイクログラム/レンズ以下のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)を有する、実施形態1~32のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0305】
実施形態37
コンタクトレンズが約0.050マイクログラム/レンズ以下のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)を有する、実施形態1~32のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0306】
実施形態38
コンタクトレンズが、30サイクルの指擦り処理後に、少なくとも10秒間の水崩壊時間を有する、実施形態1~37のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0307】
実施形態39
コンタクトレンズが、30サイクルの指擦り処理後に、少なくとも12.5秒間の水崩壊時間を有する、実施形態1~37のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0308】
実施形態40
コンタクトレンズが、30サイクルの指擦り処理後に、少なくとも15秒間の水崩壊時間を有する、実施形態1~37のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0309】
実施形態41
コンタクトレンズが、30サイクルの指擦り処理後に、少なくとも17.5秒間の水崩壊時間を有する、実施形態1~37のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0310】
実施形態42
コンタクトレンズが、30サイクルの指擦り処理後に、少なくとも20秒間の水崩壊時間を有する、実施形態1~37のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0311】
実施形態43
コンタクトレンズが、シミュレートされた研磨サイクリング処理後に、少なくとも10秒間の水崩壊時間を有する、実施形態1~37のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0312】
実施形態44
コンタクトレンズが、シミュレートされた研磨サイクリング処理後に、少なくとも12.5秒間の水崩壊時間を有する、実施形態1~37のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0313】
実施形態45
コンタクトレンズが、シミュレートされた研磨サイクリング処理後に、少なくとも15秒間の水崩壊時間を有する、実施形態1~37のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0314】
実施形態46
コンタクトレンズが、シミュレートされた研磨サイクリング処理後に、少なくとも17.5秒間の水崩壊時間を有する、実施形態1~37のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0315】
実施形態47
コンタクトレンズが、シミュレートされた研磨サイクリング処理後に、少なくとも20秒間の水崩壊時間を有する、実施形態1~37のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0316】
実施形態48
内部層又はレンズバルク材料は、本質的に硬質プラスチック材料で製造された予成形ハードコンタクトレンズである、実施形態1~47のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0317】
実施形態49
硬質プラスチック材料は架橋ポリメタクリレートである、実施形態48に記載のコンタクトレンズ。
【0318】
実施形態50
内部層又はレンズバルク材料は、本質的に硬質ガス透過性レンズ材料で製造された予成形硬質ガス透過性コンタクトレンズである、実施形態1~47のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0319】
実施形態51
互いに(each another)独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約1.0μm~約20μmの厚さを有する、実施形態48~50のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0320】
実施形態52
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約2.0μm~約15μmの厚さを有する、実施形態48~50のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0321】
実施形態53
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約2.0μm~約10μmの厚さを有する、実施形態48~50のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0322】
実施形態54
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約2.5μm~約8μmの厚さを有する、実施形態48~50のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0323】
実施形態55
内部層又はレンズバルク材料は、本質的に架橋シリコーン材料で製造された予成形ソフトシリコーンコンタクトレンズである、実施形態1~47のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0324】
実施形態56
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約2.0μm~約25μmの厚さを有する、実施形態55に記載のコンタクトレンズ。
【0325】
実施形態57
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約3.0μm~約25μmの厚さを有する、実施形態55に記載のコンタクトレンズ。
【0326】
実施形態58
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約4.0μm~約20μmの厚さを有する、実施形態55に記載のコンタクトレンズ。
【0327】
実施形態59
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約5.0μm~約20μmの厚さを有する、実施形態55に記載のコンタクトレンズ。
【0328】
実施形態60
内部層又はレンズバルク材料は、本質的に硬質ガス透過性レンズ材料から製造された中央光学帯を有し、本質的に非シリコーンヒドロゲル材料から製造された辺縁帯によって包囲される予成形ハイブリッドコンタクトレンズである、実施形態1~47のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0329】
実施形態61
内部層又はレンズバルク材料は、本質的に非シリコーンヒドロゲル材料で製造された予成形非シリコンヒドロゲルコンタクトレンズである、実施形態1~47のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0330】
実施形態62
非シリコンヒドロゲル材料は、少なくとも1つのヒドロキシル含有ビニルモノマーの反復単位を少なくとも50モル%備える、実施形態60又は61に記載のコンタクトレンズ。
【0331】
実施形態63
上記の少なくとも1つのヒドロキシル含有ビニルモノマーは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態62に記載のコンタクトレンズ。
【0332】
実施形態64
上記の少なくとも1つのヒドロキシル含有ビニルモノマーは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、及びビニルアルコールからなる群から選択される、実施形態62に記載のコンタクトレンズ。
【0333】
実施形態65
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約0.25μm~約20μmの厚さを有する、実施形態60~64のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0334】
実施形態66
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約0.50μm~約15μmの厚さを有する、実施形態60~64のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0335】
実施形態67
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約0.5μm~約10μmの厚さを有する、実施形態60~64のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0336】
実施形態68
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約0.5μm~約6μmの厚さを有する、実施形態60~64のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0337】
実施形態69
互いに独立する内部層及びレンズバルク材料は、本質的にシリコーンヒドロゲル材料から製造される予成形コンタクトレンズである、実施形態1~47のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0338】
実施形態70
シリコーンヒドロゲル材料は、少なくとも1つのポリシロキサンビニルモノマーの反復単位を備える、実施形態69に記載のコンタクトレンズ。
【0339】
実施形態71
シリコーンヒドロゲル材料は、少なくとも1つのポリシロキサンビニルクロスリンカーの反復単位を備える、実施形態69又は70に記載のコンタクトレンズ。
【0340】
実施形態72
シリコーンヒドロゲル材料は、少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの反復単位を備える、実施形態69~71のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0341】
実施形態73
シリコーンヒドロゲル材料は、少なくとも1つの親水性N-ビニルアミドモノマーの反復単位を備える、実施形態69~72のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0342】
実施形態74
シリコーンヒドロゲル材料は、少なくとも1つのポリカルボシロキサンビニルモノマーの反復単位を備える、実施形態69~73のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0343】
実施形態75
シリコーンヒドロゲル材料は、少なくとも1つのポリカルボシロキサンビニルクロスリンカーの反復単位を備える、実施形態69~74のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0344】
実施形態76
シリコーンヒドロゲル材料は、ビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル又はトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基を有する少なくとも1つのシリコーン含有ビニルモノマーの反復単位を備える、実施形態69~75のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0345】
実施形態77
シリコーンヒドロゲル材料は、1つ以上のブレンドビニルモノマーの反復単位を備える、実施形態69~76のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0346】
実施形態78
シリコーンヒドロゲル材料は、シリコーンヒドロゲル材料の内部層の乾燥重量に対して約25重量%以下の量で1つ以上のブレンドビニルモノマーの反復単位を含む、実施形態69~76のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0347】
実施形態79
シリコーンヒドロゲル材料は、シリコーンヒドロゲル材料の内部層の乾燥重量に対して約20重量%以下の量で1つ以上のブレンドビニルモノマーの反復単位を含む、実施形態69~76のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0348】
実施形態80
シリコーンヒドロゲル材料は、シリコーンヒドロゲル材料の内部層の乾燥重量に対して約15重量%以下の量で1つ以上のブレンドビニルモノマーの反復単位を含む、実施形態69~76のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0349】
実施形態81
シリコーンヒドロゲル材料は、1つ以上の非シリコーンビニル架橋剤の反復単位を備える、実施形態69~80のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0350】
実施形態82
シリコーンヒドロゲル材料は、内部層の乾燥重量に対して約1.0重量%以下の量で1つ以上の非シリコーンビニル架橋剤の反復単位を含む、実施形態69~80のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0351】
実施形態83
シリコーンヒドロゲル材料は、内部層の乾燥重量に対して約0.8重量%以下の量で1つ以上の非シリコーンビニル架橋剤の反復単位を含む、実施形態69~80のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0352】
実施形態84
シリコーンヒドロゲル材料は、内部層の乾燥重量に対して約0.05重量%~約0.6重量%の量で1つ以上の非シリコーンビニル架橋剤の反復単位を含む、実施形態69~80のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0353】
実施形態85
シリコーンヒドロゲル材料は少なくとも約50barrerの酸素透過度を有する、実施形態69~84のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0354】
実施形態86
シリコーンヒドロゲル材料は少なくとも約60barrerの酸素透過度を有する、実施形態69~84のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0355】
実施形態87
シリコーンヒドロゲル材料は少なくとも約70barrerの酸素透過度を有する、実施形態69~84のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0356】
実施形態88
シリコーンヒドロゲル材料は少なくとも約90barrerの酸素透過度を有する、実施形態69~84のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0357】
実施形態89
シリコーンヒドロゲル材料は少なくとも約110barrerの酸素透過度を有する、実施形態69~84のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0358】
実施形態90
シリコーンヒドロゲル材料は約10重量%~約70重量%の平衡含水率を有する、実施形態69~89のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0359】
実施形態91
シリコーンヒドロゲル材料は約10重量%~約65重量%の平衡含水率を有する、実施形態69~89のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0360】
実施形態92
シリコーンヒドロゲル材料は約10重量%~約60重量%の平衡含水率を有する、実施形態69~89のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0361】
実施形態93
シリコーンヒドロゲル材料は約15重量%~約55重量%の平衡含水率を有する、実施形態69~89のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0362】
実施形態94
シリコーンヒドロゲル材料は約15重量%~約50重量%の平衡含水率を有する、実施形態69~89のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0363】
実施形態95
シリコーンヒドロゲル材料は天然に湿潤性でなく、互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約0.5μm~約25μmの厚さを有する、実施形態69~94のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0364】
実施形態96
シリコーンヒドロゲル材料は天然に湿潤性でなく、互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約1.0μm~約20μmの厚さを有する、実施形態69~94のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0365】
実施形態97
シリコーンヒドロゲル材料は天然に湿潤性でなく、互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約1.0μm~約15μmの厚さを有する、実施形態69~94のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0366】
実施形態98
シリコーンヒドロゲル材料は天然に湿潤性でなく、互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約1.5μm~約10μmの厚さを有する、実施形態69~94のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0367】
実施形態99
シリコーンヒドロゲル材料は天然に湿潤性であり、互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約0.25μm~約20μmの厚さを有する、実施形態69~98のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0368】
実施形態100
シリコーンヒドロゲル材料は天然に湿潤性であり、互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約0.5μm~約20μmの厚さを有する、実施形態69~98のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0369】
実施形態101
シリコーンヒドロゲル材料は天然に湿潤性であり、互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約0.5μm~約15μmの厚さを有する、実施形態69~98のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0370】
実施形態102
シリコーンヒドロゲル材料は天然に湿潤性であり、互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が、完全に水和したときに約1.0μm~約10μmの厚さを有する、実施形態69~98のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0371】
実施形態103
互いに独立している前面及び後面外部ヒドロゲル層は、アルキル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル含有アクリルモノマー、N-ビニルアミドモノマー、メチレン含有ピロリドンモノマー、C1~C4アルコキシエトキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー、ビニルエーテルモノマー、アリルエーテルモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの反復モノマー単位を少なくとも25モル%備える架橋親水性ポリマー材料である、実施形態1~102のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0372】
実施形態104
互いに独立している前面及び後面外部ヒドロゲル層は、アルキル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル含有アクリルモノマー、N-ビニルアミドモノマー、メチレン含有ピロリドンモノマー、C1~C4アルコキシエトキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー、ビニルエーテルモノマー、アリルエーテルモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの反復モノマー単位を少なくとも35モル%備える架橋親水性ポリマー材料である、実施形態1~102のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0373】
実施形態105
互いに独立している前面及び後面外部ヒドロゲル層は、アルキル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル含有アクリルモノマー、N-ビニルアミドモノマー、メチレン含有ピロリドンモノマー、C1~C4アルコキシエトキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー、ビニルエーテルモノマー、アリルエーテルモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの反復モノマー単位を少なくとも45モル%備える架橋親水性ポリマー材料である、実施形態1~102のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0374】
実施形態106
互いに独立している前面及び後面外部ヒドロゲル層は、アルキル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル含有アクリルモノマー、N-ビニルアミドモノマー、メチレン含有ピロリドンモノマー、C1~C4アルコキシエトキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー、ビニルエーテルモノマー、アリルエーテルモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの反復モノマー単位を少なくとも55モル%備える架橋親水性ポリマー材料である、実施形態1~102のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0375】
実施形態107
互いに独立している前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも1つのホスフィリルコリン(phosphrylcholine)含有ビニルモノマーの反復モノマー単位を少なくとも25モル%備える架橋親水性ポリマー材料である、実施形態1~102のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0376】
実施形態108
互いに独立している前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも1つのホスフィリルコリン含有ビニルモノマーの反復モノマー単位を少なくとも35モル%備える架橋親水性ポリマー材料である、実施形態1~102のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0377】
実施形態109
互いに独立している前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも1つのホスフィリルコリン含有ビニルモノマーの反復モノマー単位を少なくとも45モル%備える架橋親水性ポリマー材料である、実施形態1~102のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0378】
実施形態110
互いに独立している前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも1つのホスフィリルコリン含有ビニルモノマーの反復モノマー単位を少なくとも55モル%備える架橋親水性ポリマー材料である、実施形態1~102のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0379】
実施形態111
互いに独立している前面及び後面外部ヒドロゲル層は、ポリ(エチレングリコール)鎖を備える架橋親水性ポリマー材料である、実施形態1~102のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0380】
実施形態112
互いに独立している前面及び後面外部ヒドロゲル層は、(1)-NH2、-SH、又は-COOHの1つの唯一の官能基を有するポル(pol)(エチレングリコール)、(2)-NH2、-COOH、-SH、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される2つの末端官能基を有するポリ(エチレングリコール)、(3)-NH2、-COOH、-SH、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の官能基を有するマルチアームポリ(エチレングリコール)、又は(4)これらの組み合わせから直接誘導されるポリ(エチレングリコール)鎖を備える架橋親水性ポリマー材料である、実施形態1~102のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0381】
実施形態113
前面及び後面外部ヒドロゲル層は、互いに同一であり、厚さが実質的に均一であり、コンタクトレンズの縁部で一体化して内部層を完全に被覆する、実施形態1~112のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0382】
実施形態114
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも80重量%の平衡含水率を備える、実施形態1~113のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0383】
実施形態115
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも85重量%の平衡含水率を備える、実施形態1~113のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0384】
実施形態116
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも約90重量%の平衡含水率を備える、実施形態1~113のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0385】
実施形態117
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも95重量%の平衡含水率を備える、実施形態1~113のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0386】
実施形態118
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、シリコーンを実質的に含まない、実施形態1~117のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0387】
実施形態119
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、シリコーンを全く含まない、実施形態1~117のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0388】
実施形態120
コンタクトレンズは、ポリマー材料の2つの移行層を更に備え、2つの移行層のそれぞれは、内部層又はレンズバルク材料と、前面及び後面外部ヒドロゲル層のうちの1つと、の間に位置している、実施形態1~119のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0389】
実施形態121
2つの移行層は、コンタクトレンズの周辺縁部で一体化し、レンズ材料の内部層又はレンズバルク材料を完全に包囲する、実施形態120に記載のコンタクトレンズ。
【0390】
実施形態122
2つの移行層は、完全に水和したときに少なくとも約0.05μmの厚さを有する、実施形態120又は121に記載のコンタクトレンズ。
【0391】
実施形態123
2つの移行層は、完全に水和したときに約0.05μm~約10μmの厚さを有する、実施形態120又は121に記載のコンタクトレンズ。
【0392】
実施形態124
2つの移行層は、完全に水和したときに約0.1μm~約7.5μmの厚さを有する、実施形態120又は121に記載のコンタクトレンズ。
【0393】
実施形態125
2つの移行層は、完全に水和したときに約0.1μm~約5μmの厚さを有する、実施形態120又は121に記載のコンタクトレンズ。
【0394】
実施形態126
2つの移行層のそれぞれが、少なくとも2つのアジリジン基及び2000ダルトン以下の数平均分子量を有するポリアジリジンによって中和及び架橋されるポリアニオン性ポリマーの層である、実施形態120~125のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0395】
実施形態127
ポリアニオン性ポリマーは、1つ以上のカルボキシル含有アクリルモノマーの反復単位を少なくとも60モル%含むカルボキシル含有ポリマーである、実施形態126に記載のコンタクトレンズ。
【0396】
実施形態128
ポリアニオン性ポリマーは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(エチルアクリル酸)、ポリ(アクリル酸-co-メタクリル酸)、ポリ[エチルアクリル酸-co-(メタ)アクリル酸]、ポリ(N,N-2-アクリルアミドグリコール酸)、ポリ[(メタ)アクリル酸-co-アクリルアミド]、ポリ[(メタ)アクリル酸-co-ビニルピロリドン]、ポリ[エチルアクリル酸-co-アクリルアミド]、ポリ[エチルアクリル酸-co-ビニルピロリドン]、ポリ[(メタ)アクリル酸-co-ビニルアセテート]、ポリ[エチルアクリル酸-co-ビニルアセテート]、又はこれらの組み合わせである、実施形態126に記載のコンタクトレンズ。
【0397】
実施形態129
ポリアニオン性ポリマーは、内部層又はレンズバルク材料上にグラフト化されるグラフトポリマーであり、グラフトポリマーは、少なくとも1つのカルボキシル含有ビニルモノマーの反復単位を備える、実施形態126に記載のコンタクトレンズ。
【0398】
実施形態130
ポリアニオン性ポリマーは、内部層又はレンズバルク材料上にグラフト化されるグラフトポリマーであり、グラフトポリマーは、少なくとも1つのカルボキシル含有アクリルモノマーの反復単位を備える、実施形態127に記載のコンタクトレンズ。
【0399】
実施形態131
ポリアジリジンは、トリメチロールプロパントリス(2-メチル-1-アジリジンプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス(3-アジリジノプロピオネート)、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するビニルクロスリンカーと2-メチルアジリジン若しくはアジリジンとのマイケル反応生成物、又はこれらの組み合わせである、実施形態126~130のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0400】
実施形態132
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、内部層と比較して少なくとも約25%の低減した表面弾性率を有する、実施形態1~131のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0401】
実施形態133
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、内部層と比較して少なくとも約30%の低減した表面弾性率を有する、実施形態1~131のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0402】
実施形態134
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、内部層と比較して少なくとも約35%の低減した表面弾性率を有する、実施形態1~131のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0403】
実施形態135
互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、内部層と比較して少なくとも約40%の低減した表面弾性率を有する、実施形態1~131のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0404】
実施形態136
コンタクトレンズは30サイクルの指擦り処理後に約1.5以下の摩擦評点を有する、実施形態1~135のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0405】
実施形態137
コンタクトレンズは30サイクルの指擦り処理後に約1.0以下の摩擦評点を有する、実施形態1~135のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0406】
実施形態138
コンタクトレンズは30サイクルの指擦り処理後に約0.5以下の摩擦評点を有する、実施形態1~135のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0407】
実施形態139
前表面及び反対側の後表面と、
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に少なくとも10秒間の水崩壊時間と、
コンタクトレンズの断面の表面の前表面と後表面との間の最短線に沿って、前表面を含み、且つその近位にある前外側帯と、最短線の中央部を含み、且つその周辺にある内部帯と、後表面を含み、且つその近位にある後外側帯と、を備える断面表面弾性率プロファイル(cross-sectional surface-modulus profile)を有することを特徴とする構造形態と、を有するコンタクトレンズであって、
前外側帯は平均前表面弾性率
【数13】
を有し、一方で後外側帯は平均後表面弾性率
【数14】
を有し、内部帯は平均内部表面弾性率
【数15】
を有し、
【数16】
のうち少なくとも1つは少なくとも約20%である、コンタクトレンズ。
【0408】
実施形態140
コンタクトレンズが、30サイクルの指擦り処理後に、少なくとも10秒間の水崩壊時間を有する、実施形態139に記載のコンタクトレンズ。
【0409】
実施形態141
コンタクトレンズが、30サイクルの指擦り処理後に、少なくとも12.5秒間の水崩壊時間を有する、実施形態139に記載のコンタクトレンズ。
【0410】
実施形態142
コンタクトレンズが、30サイクルの指擦り処理後に、少なくとも15秒間の水崩壊時間を有する、実施形態139に記載のコンタクトレンズ。
【0411】
実施形態143
コンタクトレンズが、30サイクルの指擦り処理後に、少なくとも17.5秒間の水崩壊時間を有する、実施形態139に記載のコンタクトレンズ。
【0412】
実施形態144
コンタクトレンズが、30サイクルの指擦り処理後に、少なくとも20秒間の水崩壊時間を有する、実施形態139に記載のコンタクトレンズ。
【0413】
実施形態145
コンタクトレンズが、シミュレートされた研磨サイクリング処理後に、少なくとも10秒間の水崩壊時間を有する、実施形態139に記載のコンタクトレンズ。
【0414】
実施形態146
コンタクトレンズが、シミュレートされた研磨サイクリング処理後に、少なくとも12.5秒間の水崩壊時間を有する、実施形態139に記載のコンタクトレンズ。
【0415】
実施形態147
コンタクトレンズが、シミュレートされた研磨サイクリング処理後に、少なくとも15秒間の水崩壊時間を有する、実施形態139に記載のコンタクトレンズ。
【0416】
実施形態148
コンタクトレンズが、シミュレートされた研磨サイクリング処理後に、少なくとも17.5秒間の水崩壊時間を有する、実施形態139に記載のコンタクトレンズ。
【0417】
実施形態149
コンタクトレンズが、シミュレートされた研磨サイクリング処理後に、少なくとも20秒間の水崩壊時間を有する、実施形態139に記載のコンタクトレンズ。
【0418】
実施形態150
前表面及び反対側の後表面と、
約0.40マイクログラム/レンズ以下(又は約0.30マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、
30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に約2.0以下の摩擦評点と、
コンタクトレンズの断面の表面の前表面と後表面との間の最短線に沿って、前表面を含み、且つその近位にある前外側帯と、最短線の中央部を含み、且つその周辺にある内部帯と、後表面を含み、且つその近位にある後外側帯と、を備える断面表面弾性率プロファイル(cross-sectional surface-modulus profile)を有することを特徴とする構造形態と、を有するコンタクトレンズであって、
前外側帯は平均前表面弾性率
【数17】
を有し、一方で後外側帯は平均後表面弾性率
【数18】
を有し、内部帯は平均内部表面弾性率
【数19】
を有し、
【数20】
のうち少なくとも1つは少なくとも約20%である、コンタクトレンズ。
【0419】
実施形態151
コンタクトレンズは30サイクルの指擦り処理後に約2.0以下の摩擦評点を有する、実施形態150に記載のコンタクトレンズ。
【0420】
実施形態152
コンタクトレンズは30サイクルの指擦り処理後に約1.5以下の摩擦評点を有する、実施形態150に記載のコンタクトレンズ。
【0421】
実施形態153
コンタクトレンズは30サイクルの指擦り処理後に約1.0以下の摩擦評点を有する、実施形態150に記載のコンタクトレンズ。
【0422】
実施形態154
コンタクトレンズは30サイクルの指擦り処理後に約0.5以下の摩擦評点を有する、実施形態150に記載のコンタクトレンズ。
【0423】
実施形態155
コンタクトレンズはシミュレートされた研磨サイクリング処理後に約2.0以下の摩擦評点を有する、実施形態150に記載のコンタクトレンズ。
【0424】
実施形態156
コンタクトレンズはシミュレートされた研磨サイクリング処理後に約1.5以下の摩擦評点を有する、実施形態150に記載のコンタクトレンズ。
【0425】
実施形態157
コンタクトレンズはシミュレートされた研磨サイクリング処理後に約1.0以下の摩擦評点を有する、実施形態150に記載のコンタクトレンズ。
【0426】
実施形態158
コンタクトレンズはシミュレートされた研磨サイクリング処理後に約0.5以下の摩擦評点を有する、実施形態150に記載のコンタクトレンズ。
【0427】
実施形態159
【数21】
の少なくとも1つは少なくとも25%である、実施形態139~158のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0428】
実施形態160
【数22】
の少なくとも1つは少なくとも30%である、実施形態139~158のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0429】
実施形態161
【数23】
の少なくとも1つは少なくとも35%である、実施形態139~158のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0430】
実施形態162
【数24】
の少なくとも1つは少なくとも40%である、実施形態139~158のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0431】
実施形態163
コンタクトレンズが約0.20マイクログラム/レンズ以下のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)を有する、実施形態139~162のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0432】
実施形態164
コンタクトレンズが約0.15マイクログラム/レンズ以下のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)を有する、実施形態139~162のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0433】
実施形態165
コンタクトレンズが約0.10マイクログラム/レンズ以下のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)を有する、実施形態139~162のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0434】
実施形態166
コンタクトレンズが約0.075マイクログラム/レンズ以下のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)を有する、実施形態139~162のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0435】
実施形態167
コンタクトレンズが約0.050マイクログラム/レンズ以下のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)を有する、実施形態139~162のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0436】
実施形態168
コンタクトレンズは280~315ナノメートルで約10%以下(のUVB透過率、315~380ナノメートルで約30%以下のUVA透過率、及び380nm~440nmで0%~約70%のバイオレット透過率を有する、実施形態1~167のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0437】
実施形態169
コンタクトレンズは、280~315ナノメートルで約5%以下のUVB透過率を有する、実施形態168に記載のコンタクトレンズ。
【0438】
実施形態170
コンタクトレンズは、280~315ナノメートルで約2.5%以下のUVB透過率を有する、実施形態168に記載のコンタクトレンズ。
【0439】
実施形態171
コンタクトレンズは、280~315ナノメートルで約1%以下のUVB透過率を有する、実施形態168に記載のコンタクトレンズ。
【0440】
実施形態172
コンタクトレンズは、315~380ナノメートルで約20%以下のUVA透過率を有する、実施形態168~171のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0441】
実施形態173
コンタクトレンズは、315~380ナノメートルで約10%以下のUVA透過率を有する、実施形態168~171のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0442】
実施形態174
コンタクトレンズは、315~380ナノメートルで約5%以下のUVA透過率を有する、実施形態168~171のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0443】
実施形態175
コンタクトレンズは、380~440ナノメートルで5%~約60%のバイオレット透過率を有する、実施形態168~174のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0444】
実施形態176
コンタクトレンズは、380~440ナノメートルで5%~約50%のバイオレット透過率を有する、実施形態168~174のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0445】
実施形態177
コンタクトレンズは、380~440ナノメートルで約5%~約40%のバイオレット透過率を有する、実施形態168~174のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0446】
実施形態178
コンタクトレンズは、コンタクトレンズを指と指との間で10回擦った後で、暗視野下で目に見える表面亀裂線を実質的に含まない(すなわち3つ未満)、実施形態1~177のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0447】
実施形態179
コンタクトレンズは、コンタクトレンズを指と指との間で10回擦った後で、暗視野下で目に見える表面亀裂線を全く含まない、実施形態1~177のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
【0448】
上記の開示は、当業者が本発明を実践することを可能にするであろう。様々な修正、変形、及び組み合わせを本明細書で説明される様々な実施形態に施すことができる。読者が特定の実施形態及びその利点をより良好に理解できるようにするため、以下の実施例の参照が提案される。明細書及び実施例は例示的なものと見なすことが意図されている。
【実施例0449】
実施例1
化学物質
以下の実施例では、以下の略号が使用される。AMAはアリルメタクリレートを表し、NVPはN-ビニルピロリドンを表し、DMAはN,N-ジメチルアクリルアミドを表し、VMAはN-ビニル-N-メチルアセトアミドを表し、MMAはメチルメタクリレートを表し、TEGDMAはトリエチレングリコールジメタクリレートを表し、TEGDVEはトリエチレングリコールジビニルエーテルを表し、EGMAはエチレングリコールメチルエーテルメタクリレートを表し、VAZO64は2,2-ジメチル-2,2アゾジプロピオンニトリルを表し、Noblocは、Aldrichからの2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレートであり、UV28は2-{2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-[3’-メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾールを表し、RB246はReactive Blue246であり、RB247はReactive Blue247であり、TAAはtert-アミルアルコールを表し、PrOHは1-プロパノールを表し、IPAはイソプロパノールを表し、PAAはポリアクリル酸を表し、PMAAはポリメタクリル酸を表し、PAEはポリアミドアミン-エピクロロヒドリン(別称ポリアミン-エピクロロヒドリン)を表し、MPCは2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを表し、ポリ(AAm-co-AA)はポリ(アクリルアミド-co-アクリル酸)を表し、PZ-28はトリメチロールプロパントリス(2-メチル-1-アジリジンプロピオネート)を表し、PZ-33はペンタエリスリトールトリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]を表し、BTP又はビス-トリス-プロパンはビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパンを表し、トリス-HClはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンヒドロクロリドを表し、EDTAはエチレンジアミンテトラ酢酸を表し、PBSは、25℃で7.2±0.2のpHを有し、約0.044重量%のNaH
2PO
4・H
2O、約0.388重量%のNa
2HPO
42H
2O、及び約0.79重量%のNaClを含有するリン酸緩衝生理食塩水を表し、wt%は重量パーセントを表し、mSi1はモノブチル末端モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Mw:約600~800g/モル:Gelest製)を表し、D9はモノブチル末端モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Mw:約984g/モル:信越化学工業株式会社製)を表し、LM-CEPDMSは、それぞれが1つの末端メタクリレート基と1つのPDMSセグメントとの間に位置する、2つのPDMSセグメントと2つのウレタン結合との間のジウレタン結合によって結合された3つのポリジメチルシロキサン(PDMS)セグメントを有し、米国特許第8,529,057号明細書の実施例2に記載されるものと類似する方法に従って調製されるジメタクリレート末端鎖延長ポリジメチルシロキサン(Mn:約6000g/モル)を表し、「GA」マクロマーは、式(A)のジメタクリロイルオキシプロピル末端ポリシロキサン(Mn:約6,800g/モル、OH含有量:約1.2meq/g)を表し、「G4」マクロマーは、式(A)のジメタクリロイルオキシプロピル末端ポリシロキサン(Mn:約13,500g/モル、OH含有量:約1.8meq/g)を表す。
【化12】
【0450】
酸素透過度の測定
レンズ又はレンズ材料の見かけ酸素透過度(Dkapp)、見かけ酸素伝達率(Dk/t)、固有(又はエッジ補正)酸素透過度(Dkc)は、米国特許出願公開第2012/0026457A1号明細書の実施例1で説明される手順に従って決定される。
【0451】
指擦り処理
RENU(登録商標)多目的レンズケア溶液(又は別の多目的レンズケア溶液)を用いて20秒間レンズを指擦りし(使い捨てパウダーフリーラテックス手袋を着用しながら)続いて生理食塩水ですすぎ洗いする。上記の手順を、i日間のレンズケアレジームにおける日常の洗浄を模倣するi回(すなわちiサイクルの指擦り)、例えば7日間のレンズケアレジームにおける日常の洗浄及び消毒を模倣する7回(すなわち7サイクルの指擦り)、又は30日間のレンズケアレジームにおける日常の洗浄及び消毒を模倣する30回(すなわち30サイクルの指擦り)だけ繰り返す。
【0452】
シミュレートされた研磨サイクリング処理
手動サイクリングの最悪のケースシナリオをシミュレートするため、シミュレートされた研磨技法を用いて一定の圧力及びせん断条件を保証する。これを行うため、レンズを締め付けて同時にレンズをせん断するようにカスタマイズされたレンズホルダを製造する。
図3に示すようにレンズ(部品1)を、直径7.7mmの中央シャフト(部品3)が軸方向にはめ込まれたゴムインサート(部品2)の上に配置する。上部クリップ(部品4)を底部クリップ(部品5)上にクリップ留めし、これによりレンズがシリコーンガスケットに対してしっかりと保持される。続いてレンズが外部本体表面の上方に突き出て、レンズ中央部周囲のレンズの円周領域を露出させるように、中央シャフトを延伸させる。任意選択的に、研磨の可視化を改善するために一片の布地(すなわち、Twillx1622(Berkshire))を中央シャフトとコンタクトレンズとの間に配置してもよい。
【0453】
レンズホルダ全体をTaberリニア研磨システムの取り付け端部上に配置する(Taber Industries、モデル5750、http://www.taberindustries.com/linear-abraser)。追加の重りを取り付けずに、支持アーム及びレンズホルダの総重量(230g垂直力)を47mm2のコンタクトレンズ領域に適用して、49kPaを対抗面に適用させる。対抗面には、シリコーンゴムのシート(10A、4分の1インチ厚)を支持アームの下に配置し、シリコーンゴムにリザーバチャネルをクリップ留めする。続いてリザーバを室温のPBSで充填する。
【0454】
実験中に、レンズホルダを対抗面にゆっくりと下ろし、レンズを毎分75サイクルの周期数で20回研磨する(1ストロークあたり3インチ、1サイクルあたり6インチの総移動)。レンズ表面は、水崩壊時間法、潤滑性評価、及び/又はスダンブラック染色試験を用いて分析することができる。
【0455】
この技法は、典型的なコンタクトレンズが経験するものを大きく超えたせん断力を適用するが、この制御されたせん断技法(すなわちシミュレートされた研磨サイクリング処理)は、30サイクルの指擦り処理の妥当な等価物であることが判明しており、これらのコンタクトレンズが最も過酷な機械的サイクリングでさえも対処できることを保証する。
【0456】
潤滑性評価
コンタクトレンズの潤滑性は、0~4の摩擦評点尺度でレンズ表面の滑りやすさを定性的に特性評価する指感触(finger―felt)潤滑性試験を使用することによって評価される。摩擦評点が高いほど、滑りやすさ(又は潤滑性)が低い。
【0457】
市販のレンズであるDAILIES(登録商標)TOTAL1(登録商標)、ACUVUE(登録商標)OASYS(商標)、ACUVUE(登録商標)ADVANCE PLUS(商標)、DAILIES(登録商標)Aqua Comfort Plus(登録商標)、及びAIR OPTIX(登録商標)に、それぞれ0、1、2、3、及び4の摩擦評点(以後、「FR」と示される)を割り当てる。これらは、試験下のレンズの摩擦評点を決定するために標準レンズとして使用される。
【0458】
試料を、それぞれ30分間の少なくとも2回のすすぎ洗いのためにPBS内に配置し、続いて、評価の前に新鮮なPBSに移す。評価の前に、手をせっけん溶液ですすぎ洗いし、DI水でしっかりとすすぎ、続いてKimWipe(登録商標)タオルで拭う。試料を指の間で取り扱い、上述した上記標準レンズに関連して各試料に数値を割り当てる。例えば、レンズがAIR OPTIX(登録商標)レンズよりわずかに良好であると決定される場合は3の数値が割り当てられる。摩擦評点の値は、2人以上の人物によるコンタクトレンズの少なくとも2回の摩擦評点の結果を平均することによって、及び/又は1人の人物による2つ以上のコンタクトレンズ(レンズ生産の同一のバッチからの)の摩擦評点を平均することによって得られる。
【0459】
コンタクトレンズの指潤滑性(すなわち摩擦評点)は、パックから取り出したままの状態で(out-of-pack、OOP)(しかしPBS中に30分以上浸漬させた後で)、又は上記の手順に従ってiサイクル(例えば7、14、21、又は30サイクル)の指擦り処理後に、若しくはシミュレートされた研磨サイクリング処理後に、のいずれかで決定することができる。)
【0460】
表面湿潤性試験
コンタクトレンズ上の水接触角(WCA)は、コンタクトレンズの表面湿潤性の一般的な尺度である。具体的には、低い水接触角は、より高い湿潤性の表面に対応する。コンタクトレンズの動的捕捉気泡接触角は、FDS Future Digital Scientific Corp製FDS計測装置を用いて測定される。FDS機器は、前進及び後退する接触角を測定することができる。測定は、水和したコンタクトレンズ上で室温で実施される。コンタクトレンズをバイアル瓶から取り出して約40mLの新鮮なPBSに浸漬して少なくとも30分間振盪し、続いて新鮮なPBSに入れ替えて、浸漬し、別段の定めがない限り更に30分間振盪する。続いてコンタクトレンズをレンズペーパー上に置き、軽く叩いて表面の水を除去し、次に上向きのフロントカーブを有するレンズホルダ上に配置し、続いてレンズホルダの上部をねじ留めする。固定したレンズホルダを、濾過PBSで満たしたガラスセルキュベット内に配置する。ガラスセルキュベットをFDS計測器の台上に配置する。気泡をレンズ表面に分配するために台及び注射針の高さを調整する。全てのレンズに対して分配/引き上げを3サイクル繰り返して、前進及び後退接触角を得る。後退接触角を下記の実施例で報告する。
【0461】
水崩壊時間(WBUT)試験
レンズ(オートクレーブ後)の表面親水性を、水膜がレンズ表面で崩壊し始めるのに必要な時間を決定することによって評価する。10秒以上のWBUTを示すレンズは、親水性表面を有すると見なされ、眼上で十分な湿潤性(涙液膜を支持する能力)を示すことが予期される。
【0462】
軟らかなプラスチック製ピンセット(例えばMenicon製のもの)を用いてレンズをそのブリスタから取り出し、リン酸緩衝生理食塩水を含有する試験管内にレンズを配置することによって、水崩壊測定のためのレンズを調製する。この試験管は、1レンズあたり10mLのリン酸緩衝生理食塩水を含み、1試験管あたり1レンズである。試験前にレンズを終夜(少なくとも16時間)浸漬させる。
【0463】
WBUTを、室温で以下のように測定する。レンズを試験管から取り出し、PBS中に沈めた台座上に配置する。続いて台座をPBS溶液の外に引き上げ(t=0)、ビデオカメラがレンズ表面から流れ落ちる流体を監視する。レンズ表面の流体が崩壊したときに、このWBUT時間を記録する。任意選択的に、ストップウォッチを用いて、台座をPBS溶液の外に引き上げた時と、レンズ表面の流体が崩壊した時と、の間の時間を測定してもよい。台座が引き上げられると、PBSの表面下にあるレンズが引っ張られる。レンズあたり少なくとも3つの点を測定し、少なくとも3つのレンズを測定して、各レンズ群の平均WBUT測定値を得る。
【0464】
平衡含水率
コンタクトレンズの平衡含水率(EWC)は以下のように決定する。
【0465】
食塩水中で完全に平衡している水和ヒドロゲルコンタクトレンズ中に存在する水の量(重量%で表される)を室温で決定する。レンズを布地でブロットしてから、レンズを迅速に積み重ね、レンズの積層体を化学てんびん上にアルミニウム皿に移す。各試料皿のレンズの数は、典型的には5つである。皿及びレンズの水和重量を記録する。皿をアルミホイルで覆う。皿を100±2℃の実験室オーブン内に配置して16~18時間乾燥させる。皿及びレンズをオーブンから取り出し、デシケータ内で少なくとも30分間冷却する。デシケータから単一の皿を取り出し、アルミホイルを廃棄する。皿及び乾燥レンズ試料を化学てんびん上で秤量する。全ての更に対して繰り返す。レンズ試料の湿潤及び乾燥重量は、空の秤量皿の重量を差し引くことによって計算することができる。
【0466】
弾性率
コンタクトレンズの弾性率は、MTS insight計測器を用いて決定する。最初に、コンタクトレンズをPrecision Concept2段階カッターを用いて幅3.12mmのストリップへと切断する。6.5mmゲージ長さ内の5つの厚さ値を測定する。ストリップを計測器のグリップ上に載せ、温度を21±2℃に制御したPBS内に沈める。典型的には、試験には5Nのロードセルが用いられる。試料が崩壊するまで一定の力及び速度を試料に加える。TestWorksソフトウェアを用いて力及び変位のデータを収集する。弾性変位領域における応力の勾配又は接線対ゼロ伸び付近の歪み曲線である弾性率値をTestWorksソフトウェアによって計算する。
【0467】
コンタクトレンズ表面の機械的特性
全てのコンタクトレンズがその表面において異なる機械的特性を有し得る。具体的には、コンタクトレンズがその上にソフトヒドロゲルコーティングを有する場合。コンタクトレンズの表面付近であり、且つ表面を含む領域の機械的特性は、マイクロ押込又はナノ押込試験において変位の関数として表面圧縮力又は押込力を測定することにより特性決定することができる。
【0468】
ソフトヒドロゲルコーティングをその上に全く含まないコンタクトレンズの場合、所定の変位又は押込深さ(例えば400nm)における押込力は、バルク(ヤング)弾性率と良好に関連し(すなわち、所与の変位におけるバルク弾性率と押込力との間の線形バルク弾性率-押込力関係が存在する)、その一方で、その上にソフトヒドロゲルコーティングを有するコンタクトレンズの場合、所与の変位における押込力は、線形バルク弾性率-押込力関係に基づいて予測されるものよりも遥かに小さいことが判明している。こうした偏位は、コンタクトレンズ上のソフトヒドロゲルコーティングの良好な指標として用いることができる。
【0469】
マイクロ押込試験
400nmの押込深さにおけるコンタクトレンズの表面圧縮力は以下のマイクロ押込試験で測定する。試験対象のコンタクトレンズをすすぎ洗いして、PBS中に終夜置く。続いて、PBS内に沈めた半球形の台上にレンズを配置し、1mmの半球形ホウケイ酸ガラスプローブを備える圧力駆動式準静的トランスデューサ(quasistatic transducer)押込システム(Bruker製Hysitron(登録商標)BioSoft(商標)In-Situ Indenter)を用いて押し込みする。各実験の間で、プラズマクリーナー(例えば酸素、空気、又はアルゴンプラズマクリーナー)を用いてプローブを洗浄し、F-127 Pluronicでコーティングする(F-127のCMC、例えば約0.1重量%を超える濃度のF-127の水溶液中にディッピングすることによって)。プローブを押込システムに取り付け、典型的な荷重曲線及び除重曲線に沿って1μm/秒の一定押込速度で引き下げる(すなわち、垂直力対押込深さ)。垂直力及び変位位置(又は押込深さ)は、準静的トランスデューサによって125Hzの速度で同時に測定される。上記の手順を1レンズあたりで20回繰り返す(すなわち20回の押込)。400nmの押込深さにおける表面圧縮力(単位:マイクロニュートン(μN)単位)は、20個の押込荷重曲線のそれぞれに沿った400nmの押込深さにおける全ての垂直力を平均することによって得る。正規化された表面圧縮力(NSCF)は、400nmの押込深さにおける得られた表面圧縮力を試験下のコンタクトレンズの弾性率で割ることによって得る。
【0470】
ナノ押込試験
400nmの押込深さにおけるコンタクトレンズの押込力は以下のマイクロ押込試験で測定する。
【0471】
Optics11 Piuma装置を用いて、変位の関数として押込力を判定する。押込を実施する前に、Piumaプローブを、LifeStyle Company,Inc.(Freehold,NJ)製の無菌及び防腐剤不含有食塩水であるPuriLens(商標)Plus内で較正する。この較正は、最初に、プローブをPuriLens(商標)Plus内に沈めるが基材の表面とは係合させずに、光学センサを較正することからなる。次に、ガラススライド上に試験押込を形成することにより、第2のカンチレバー較正を実施する。レンズをPuriLens(商標)Plusですすぎ洗いして過剰なレンズパッケージ溶液を洗い流し、続いてブロット乾燥させる。次に、レンズを、フロントカーブを下に向けた状態で3D印刷したレンズホルダ内に配置する(
図4)。続いて、レンズを所定の位置に配置するため、ベースカーブにPuriLens(商標)Plusを部分的に充填するが、但し、添加されるPuriLens(商標)Plusの量は、試験中にベースカーブがオーバーフローするほど多くあるべきではない。最後に、Piumaプローブをレンズ表面のすぐ上に移動させ、ナノ押込ルーチンを製造者の典型的な手順に従って実行する。押込ルーチンは1μm/秒の速度での10μmの押込みからなり、サンプリング速度は100Hzの速度である。プローブは表面に移動し、ここでカンチレバーによって検出された第1のたわみによって接触点が決定される。
【0472】
2つの異なるPiumaプローブがデータを収集するために使用され、第1のものは、0.500N/mの剛性及び9.500μmの先端部半径を有するPiumaプローブであり、もう一方は、4.710N/mの剛性及び9.000μmの先端部半径を有するPiumaプローブである。どちらのプローブも同じ深さ(400nm)まで押し込むため、接触面積はわずかに異なる。これらの球形キャップの接触面積(Scap)は、以下の式によって計算することができ:
Scap=2πRh
式中「R」は先端部半径であり、hは押込深さである。したがって、2つのプローブ先端部は、400nmの押込深さにおける23.9μm2及び22.6μm2の接触表面積、又は5%のみの差を有する。得られる9μmの先端部の圧力は、9.5μmの先端部よりも5%だけ高くあるべきである。この小さな圧力差は、これらの先端部の間で比較される測定された力にほとんど影響を与えないはずである。
【0473】
これは、単一のタイプのPiumaプローブを全てのナノ押込実験で使用することはより望ましいということを理解するはずである。しかしながら、広範囲のバルク弾性率(例えば、0.2MPa~1.5MPa)を有するコンタクトレンズ測定値を最適化するために複数のPiumaプローブが必要である場合、約10%以下の先端部半径の差を有するPiumaプローブを使用することができる。
【0474】
押込みが実施されると、押込みの深さ及び押込力の両方が記録される。1つのレンズタイプあたり5つのレンズを試験し、1つのレンズにつき3回の測定を行い。これは、1レンズ群あたり合計で15個のデータポイントをもたらす。
【0475】
全ての生データを、MATLABを用いて処理し、Excelを用いて分析する。400nmの押込深さにおける押込力値は、最も近接した2つの力値の間を補間することによって決定する。各レンズ群について、400nmの押込深さでの全ての押込力を平均化し、400nmの押込深さにおける平均化された押込力を用いて、そのレンズ群のコンタクトレンズを特徴付けする。
【0476】
透過率
コンタクトレンズは、眼上に配置した時にレンズの形状をそのままで保持することができる特製の試料ホルダなどの中に手動で配置する。このホルダを、続いて、標準としてのPBSを含有する経路長さ1cmの石英セル内に沈める。LabSphere DRA-CA-302ビームスプリッタなどを備えるVarian Cary 3E UV-可視分光光度計などのUV/可視分光光度計をこの測定に用いることができる。透過スペクトルのパーセントを250~800nmの波長範囲で収集し、T値を0.5nm間隔で収集する。このデータをExcelのスプレッドシート上に移し、レンズがクラス1UV吸光度に適合するか否かを決定するために使用する。透過率は以下の式を用いて計算し、
【数25】
式中、発光%Tは380~780の平均%透過率である。
【0477】
ポリクオタニウム-1取り込み率(PU)の決定。
コンタクトレンズによるポリクオタニウム-1取り込み率は、PicoGreen dsDNAアッセイキット(すなわちQuanti-iT PicoGreen dsDNAキット(ThermoFisher))に基づくDNAインターカレーション法に従って決定される。コンタクトレンズによるポリクオタニウム-1取り込み率は以下のように決定される。
【0478】
5ppmのミリスタミドプロピルジメチルアミン、1000ppmのデカノイルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、83ppmのクエン酸ナトリウム脱水物、1000ppmのNaCl、1000ppmのTetronic1304、1150ppmのホウ酸ナトリウム十水和物、及び10000ppmのプロピレングリコールの成分を精製水に溶解させることにより、続いてpHを約7.8に調整することにより、基準溶液(basis solution)を調製する。
【0479】
5ppmのPQを有するように上記で調製した基準溶液に所望量を溶解し、続いて必要に応じてpHを約7.8に調整することにより、ポリクオタニウム-1(PQ)試験溶液を調製する。それぞれ範囲内の濃度を有する一連のPQ標準溶液を調製して、PQの0~6ppm(又はそれ以上)の間の較正曲線を確立する。
【0480】
コンタクトレンズを個々のレンズパッケージから取り出し、1レンズあたり25mLのPBSで30分間振盪する。PBSに浸漬させたレンズを、一定重量(すなわち、0.6kg)のペーパータオル(好ましくはKimberly Clark製W4ポリプロピレンタオルで)でブロットしてから終夜インキュベートする。
【0481】
終夜のインキュベーション実験においては24ウェルプレートを使用する。ウェルは以下のカテゴリーに分割される:それぞれが0.5mLの基準溶液、及びその中に完全に浸漬された2つのブロットされたコンタクトレンズを含有するネガティブ対照ウェル、0.5mLのポリクオタニウム-1試験溶液を含有するポジティブ対照ウェル、0.5mLのポリクオタニウム-1試験溶液、及びその中に完全に浸漬された2つのブロットされたコンタクトレンズをそれぞれ含有する試料ウェル、それぞれが0.5mLの標準溶液のうちの1つのうちの1つを含有する標準ウェル。続いて24ウェルプレートをオービタルシェーカー上で20分間振盪し、続いて室温で終夜(16~20時間)ベンチトップ上に置く。
【0482】
終夜インキュベートした24ウェルプレートの各ウェルからの25μLのアリコートを、450μLのラムダDNA溶液(1μg/mLのラムダDNA、10mMのトリス-HCl、1mMのEDTA、pH7.5)を含有する96ウェルプレート(例えばDNA LoBind(Eppendorf))のセルウェルに添加する。溶液を混合し、オービタルシェーカー上で700~800rpmで60分間インキュベートする。
【0483】
DNAインキュベートされた各セルウェルからの100μLのアリコートを、96ウェルプレート(例えば、黒色不透明、中結合(Grenier))に移す。続いて、これらのウェルのそれぞれに100μLのPicoGreen溶液(ThermoFisher、キットの指示に従いトリス-EDTA緩衝剤[10mMのトリス-HCl、1mMのEDTA、pH 7.5]で希釈した)を添加して混合する。続いて、セルウェルを250rpmのオービタルシェーカー上で5分間インキュベートする。各プレートを、PicoGreenの場合は標準的な蛍光励起及び発光波長を使用する蛍光プレートリーダー(例えば、Victor X5 Plate Reader(Perkin Elmer))で読み取る。各試料を標準曲線の線形適合と比較して、各溶液中の最終PQ濃度を得る。レンズあたりのPQ取り込み量は、インキュベーション体積を掛け、インキュベートされたレンズの数で割ることによって得られる。レンズによるPQ取り込み率は、DNAインキュベートされたポジティブ対照と試料溶液との[ポリクオタニウム-1]の差にインキュベーション容量(0.5mL)を掛けて2で割るように計算される。
【0484】
表面亀裂(SC)試験
表面亀裂を評価するための試験を以下のように実施する。レンズをパッケージから取り出す。レンズの縁を片手の親指と人差し指との間に保持することにより、レンズを穏やかに反転させる(すなわち、レンズを反転形態にする)。レンズの凹部側は、実験者の身体に面しているべきである。他方の手の親指及び/又は人差し指で、レンズ確認反転(lens confirmation inverts)まで、レンズを保持している人差し指上でレンズの頂部を穏やかに曲げる。続いて、穏やかにレンズを二等分に折り畳み、折り畳まれたレンズにわずかな圧力を加える。その後、レンズを反転させる前のその元の形態にレンズを戻し、上記の工程を繰り返す。レンズをペトリ皿に置き、暗視野実体顕微鏡を用いてレンズを検査する。レンズの表面亀裂を、最初にレンズの中心に焦点を合わせて低倍率(すなわち10~20倍)で検査し、亀裂線が識別可能でない場合は、レンズを高倍率(例えば35~45倍)で更に検査する。45倍の倍率で亀裂が観察されない場合は、レンズはゼロ(0)の表面亀裂評点を得る。亀裂が観察された場合、分割線の数を計数することによって亀裂評点が得られ、評点1は視野内に2~4の線、評点2は5~8の線、評点3は8以上の線である。
【0485】
コーティング無傷性(Intactness)試験
コンタクトレンズの表面におけるコーティングの無傷性は、以下のようにスダンブラック染色試験に従って試験することができる。コーティング(LbLコーティング、プラズマコーティング、ヒドロゲルコーティング、又は任意の他のコーティング)を有するコンタクトレンズを、スダンブラック色素溶液(約80%の鉱油と約20%のビタミンE油との混合物中のスダンブラック)に浸漬する。スダンブラック色素は、疎水性であり、疎水性材料によって、又は疎水性レンズ表面、若しくは疎水性レンズ(例えばシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ)の部分的にコーティングされた表面上の疎水性スポット上に吸着される傾向が高い。疎水性レンズ上のコーティングが無傷である場合、染色スポットは、レンズ上又はレンズ中では観察されないはずである。試験下のレンズは全て十分に水和される。レンズ表面上の目に見える微細な線は、架橋コーティングの亀裂の存在を示し得る。
【0486】
比較実施例
水勾配コンタクトレンズによる正荷電抗菌剤の取り込み率を低下させるために、米国特許出願公開第2016/0326046A1号明細書で開示される方法を本実施例で使用する。
【0487】
PMAAコーティング溶液。ポリメタクリル酸(PMAA)コーティング溶液は、一定量のPMAA(Mn:300~600kDa(Polysciences,Inc.製))を、所定容量の1-プロパノール/水(90%/10%wt/wt)混合物に溶解して約0.011重量%の濃度とすることにより調製し、pHはギ酸を用いて約2.0に調整する。
【0488】
PAE溶液-1。PAE溶液は、一定量のポリアミドアミンエピクロロヒドリン(Kymene)を、所定容量の水に溶解して約0.5重量%の濃度とすることにより調製し、pHは所望のpHに調整する(例えば2.0、3.5、7、又は9)。
【0489】
PAE溶液-2。PAE溶液は、一定量のポリアミドアミンエピクロロヒドリン(Kymene)を、所定容量の水(68重量%)と1-プロパノール(32重量%)との混合物に溶解して約0.5重量%の濃度とすることによって調製し、pHはpH2.0に調整する。
【0490】
パッケージ内コーティング(IPC)生理食塩水(IPC-1)の調製
約90モル%の2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)と、約10モル%の
【化13】
(式中、Xは-CH
2CH(OH)CH
2SCH
2CH
2NH
2又は-CH
2CH(CH
2OH)SCH
2CH
2NH
2の一価ラジカルである)と、を含有するMPC含有コポリマー(Mw:230~320kD)を、米国特許第9127099B2号明細書の実施例1~2に記載されるものと類似した手順に従って調製する。使用されるMPC含有コポリマーは、約10重量%のMPC含有コポリマーの固形分含量を含む水溶液である。
【0491】
PAE溶液(Kymene)を水溶液としてAshlandから購入し、そのままで使用する。
【0492】
IPC-1生理食塩水は以下のように調製する。約74重量%のMPC含有コポリマー溶液と、約6重量%のPAE溶液と、約20重量%のリン酸緩衝液(約0.22重量%のNaH2PO4・H2O、1.95重量%のNa2HPO4・2H2O、及び約4重量%のNaCl)と、を混合する(MPC含有コポリマー及びPAEの濃度は最終生理食塩水の約10倍である)。1NのNaOHによってpHを約7.3に調整する。水浴中の混合物を温度70℃で4時間反応させ、水溶性熱架橋性ポリマー材料(すなわち「パッケージ内架橋剤」又は「IPC剤」)を形成する。水浴から混合物を取り出し、室温の水浴内で冷却する。PBSを用いて混合物を10倍に希釈し、pHを約7.3に調整する。0.22μmのPES無菌フィルタユニットによって混合物を濾過する。
【0493】
キャスト成形シリコーンヒドロゲル(SiHy)コンタクトレンズ。SiHyコンタクトレンズ(非コーティング)を米国特許出願公開第2016/0326046A1号の実施例3に記載される手順に従いキャスト成形する。
【0494】
架橋コーティングの適用。キャスト成形したSiHyコンタクトレンズを抽出し、一連の浴槽にディッピングすることによってコーティングする。第1~第3浴槽-3つのMEK浴(それぞれ約22秒、約138秒、及び約224秒)、第4浴槽-DI水浴(約56秒)、第5~第7浴槽-表1に示す、第8浴-DI水(別段の指示がない限り約56秒)、第9-DI水(約56秒)、第10浴槽-DI水(約168秒)。別段の指示がない限り、全ての浴槽の温度は室温(すなわち約22~26℃)である。第10浴槽の後、コンタクトレンズを、0.6mLのIPC-1生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内に個別にパッケージ化する(IPC-1生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。続いて、箔を用いてブリスタを封止し、121℃で約30分間オートクレーブし、レンズ上に架橋コーティングを形成する。
【0495】
【0496】
続いて、米国特許第2016/0326046A1号明細書の実施例2に記載される手順に従って、レンズを、レンズあたりのカルボキシル基の量に関して試験し、また、実施例1に記載される手順に従い、指擦り試験にも供して潤滑性(摩擦評点)を評価する。
【0497】
対照のレンズ(C3及びC4)並びに試験レンズ(T8及びT9)は、パッケージから取り出したままの状態で、且つサイクリング-潤滑性試験を受けることなしに4の潤滑性度を有する。こうした結果は、PMAAコーティングをその上に含むレンズを加熱すると、著しくPMMAを失って、そのため熱架橋性材料と反応してヒドロゲル上部コーティングを形成するには不十分な量のPMAAしかレンズ上に残らない場合があることを示し得る。
【0498】
試験レンズ(T2及びT3)は、それぞれ3及び4のパッケージから取り出したままの状態での潤滑性度を有する。こうした結果は、高いpH(7又は9)では、PMAAは充填され、PAEはPMAAコーティング内に浸透し得ないが、PMAAコーティングの上部に層を形成することを示し得る。PAEの上部層は、下部のPMAAが熱架橋性ポリマー材料と反応してヒドロゲル上部コーティングを形成することを防ぐ。オートクレーブ中に、PAEの上部層はPMAAコーティングと架橋して潤滑性の劣る架橋コーティングを形成する。
【0499】
表2の結果は、米国特許出願公開第2016/0326046A1号明細書に開示されるアプローチは、Renuレンズケア溶液でサイクリングした後で十分な潤滑性を有し、また正荷電抗菌剤の取り込み率に顕著な低下がない水勾配コンタクトレンズを製造するには十分であり得ないことを示す。
【0500】
【0501】
実施例2
重合性組成物の調製
2つのレンズ配合物(重合性組成物)I及びIIを、表3に示す組成物(単位部を単位として)を有するように調製する。
【0502】
【0503】
列記された成分をその目標量で清浄な瓶に添加し、室温下で攪拌棒を用いて600rpmで30分間混合することによって配合物を調製する。全ての固形分が溶解した後で、2.7μmのガラスマイクロファイバフィルタ(GMF)を用いることによって配合物の濾過を実施する。
【0504】
キャスト成形シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ
レンズ配合物を室温で窒素を用いて30~35分間パージする。N2でパージされたレンズ配合物をポリプロピレン金型内に導入し、以下の硬化条件下で熱硬化させる:室温から55℃まで約7℃/分のランプ速度でランプさせる、55℃で約30分間保持し、55℃から80℃まで約7℃/分のランプ速度でランプさせる、55℃で約30分間保持する、80℃から100℃まで約7℃/分のランプ速度でランプさせる、100℃で約30分間保持する。金型を開いて成形されたレンズを金型から取り出す。
【0505】
配合物I及びIIを下記の実施例のコーティング研究に使用する。一般に、別段の指示がない限りは配合物IIを使用する。
【0506】
得られたシリコーンヒドロゲル(SiHy)コンタクトレンズは、レンズを特性評価する前に以下の成形後プロセスに供される。離型後、上記で調製したSiHyレンズを、室温で2回PBS中に約60分間浸漬する。5分間PBSですすぎ洗いした後、レンズを0.6mLのPBSと共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(又はブリスタ)(シェルあたり1レンズ)に入れる。続いて、ブリスタをホイルで密封し、約121℃で約45分間オートクレーブ処理する。SiHyレンズは、約91barrer(配合物Iの場合)又は約83barrer(配合物IIの場合)の酸素透過度(ポーラログラフ法により測定)と、約0.80MPa(配合物Iの場合)又は0.67MPa(配合物IIの場合)のバルク弾性率と、約49重量%(配合物Iの場合)又は約50重量%(配合物IIの場合)の含水率と、Alsaconレンズに対して約12.5(配合物Iの場合)又はAlsaconレンズに対して約11.0(配合物IIの場合)の相対イオン透過率と、0秒のWBUTと、4の摩擦評点と、を有する。
【0507】
実施例3
重合性組成物の調製
レンズ配合物(重合性組成物)III~VIを、表4に示す組成物(単位部を単位として)を有するように調製する。
【0508】
【0509】
列記された成分をその目標量で清浄な瓶に添加し、室温下で攪拌棒を用いて600rpmで30分間混合することによって配合物を調製する。全ての固形分が溶解した後で、2.7μmのガラスマイクロファイバフィルタを用いることによって配合物の濾過を実施する。
【0510】
キャスト成形シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ
レンズ配合物を室温で窒素を用いて30~35分間パージする。N2でパージされたレンズ配合物をポリプロピレン金型内に導入し、以下の硬化条件下でオーブン内で熱硬化させる:室温から第1の温度までランプさせ、続いて第1の硬化時間中は第1の温度で保持する、第1の温度から第2の温度にランプさせ、第2の硬化時間中は第2の温度で保持する、任意選択的に第2の温度から第3の温度にランプさせ、第3の硬化時間中は第3の温度で保持する、任意選択的に第3の温度から第4の温度までランプさせ、第4の硬化時間中は第4の温度で保持する。
【0511】
押圧ピンを備えた離型機を用いてレンズ金型を開く。レンズを、押圧ピンを用いてベースカーブ金型上に押し出し、続いて、金型をベースカーブ金型半体とフロントカーブ金型半体とに分離する。レンズをその上に備えるベースカーブ金型半体を、超音波装置(例えば、Dukaneの単一ホーン超音波装置)内に配置する。特定のエネルギー力を用いて、乾燥状態のレンズを金型から解放する。乾燥状態のレンズを設計された抽出トレイ内に装填する。或いは、フローティングオフすること(すなわち、超音波なしで例えばIPAなどの有機溶媒に浸漬すること)によって、レンズをベースカーブ金型半体から取り出すこともできる。
【0512】
得られたシリコーンヒドロゲル(SiHy)コンタクトレンズは、レンズを特性評価する前に以下の成形後プロセスに供される。離型後、上記で調製したSiHyレンズを、100%のIPAで15分間抽出し、50%/50%のIPA/水混合物中に30分間、続いてDI水中に30分間浸漬し、最後に室温で約60分間PBS生理食塩水ですすぎ洗いする。5分間PBSですすぎ洗いした後、レンズを0.6mLのPBSと共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(又はブリスタ)(シェルあたり1レンズ)に入れる。続いて、ブリスタをホイルで密封し、約121℃で約45分間オートクレーブ処理する。得られたSiHyコンタクトレンズを、以下の特性(roperties)を有するための手順に従い特性評価する。Dkc:約105barrer~118barrer、EWC:約54%~57%、弾性率:約0.45MPa~0.62MPa、WBUT:約23秒~40秒、捕捉気泡による水接触角:約47度~52度、摩擦評点:約2.0。
【0513】
実施例4
PAA水溶液の調製
ポリアクリル酸(PAA)の水溶液を適量のPAA(Mn:約450KD)を水(蒸留水又は脱イオン水)に添加することによって調製する。PAAが完全に溶解した後、約1.85%のギ酸をPAA水溶液に添加することによってpHを約2に調整する。PAAの目標濃度は約0.1重量%である。調製されたPAA水溶液を濾過して一切の微粒子又は異物を除去する。
【0514】
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
NaH2PO4・H2O、Na2HPO4・2H2Oを所定量の精製水(蒸留又は脱イオン)に溶解して、約0.044重量/重量%のNaH2PO4・H2O、約0.388重量/重量%のNa2HPO4・2H2O、及び約0.79重量/重量%のNaClの組成とすることによってリン酸緩衝生理食塩水を調製する。
【0515】
NaClを含まないリン酸緩衝液(Phosphate buffered)(PB)(PB、No NaCl)
PBSの調製と同じであるがNaClを添加しない手順を用いてPBを調製する。
【0516】
IPC-2生理食塩水
以下の濃度:約0.132重量%のポリ(AAm-co-AA)、約0.11重量%のPAE、約0.044重量%のNaH2PO4・H2O、約0.388重量%のNa2HPO4・2H2O、及び約0.79重量%のNaClを有するように、適量のポリ(AAm-co-AA)(90/10)、PAE、NaH2PO4・H2O、Na2HPO4・2H2O、及びDI(脱イオン)水中NaClを溶解/混合し、続いてpHを約7.3に調整することによって、IPC-2生理食塩水を調製する。ポリ(AAm-co-AA)(90/10)部分ナトリウム塩(partial sodium salt)、ポリ(AAm-co-AA)90/10、Mw 200,000)をPolysciences,Inc.から購入し、そのままで使用する。調製した溶液を65℃で約6時間予処理する。熱予処理の後に、IPC生理食塩水を冷却して室温に戻す。汚染微生物数の増加を防ぐために最大5ppmの過酸化水素を最終IPC生理食塩水に添加してもよく、0.22マイクロメートルの薄膜フィルタを用いてIPC生理食塩水を濾過する。
【0517】
PAAベースコーティングを含むSiHyレンズ
離型後、乾燥SiHyコンタクトレンズ(実施例2、配合物IIで調製)を適切なトレイ内に配置する。続いて、レンズを含むトレイを、1つのPAA浴に120分間か、又は2つの逐次的なPAA浴で、第1の浴に30分間ディップし、第2の浴に90分間ディップするかのどちらかで、PAA溶液に所定の時間浸漬させる。PAAディップ溶液を室温よりも高く、例えば40℃に加熱する。ディップ工程中のPAA溶液の適切な流れを確保するために十分な攪拌(例えば水平方向の振盪又は上下運動)を用いてもよい。
【0518】
PAAのディップ後、最大約1時間、通常は室温で、PBを含む浴槽にレンズを移す。ディップ工程中のPBの適切な流れを確保するために十分な攪拌(例えば水平方向の振盪又は上下運動)を用いてもよい。
【0519】
続いて、約5~10分間、通常は室温で、水を含む浴槽にレンズを移す。ディップ工程中の水の適切な流れを確保するために十分な攪拌(例えば水平方向の振盪又は上下運動)を用いてもよい。
【0520】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
上記のように調製された、PAAベースコーティングをその上に有するSiHyレンズを、0.55mL又は0.65mLのIPC-2生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル内に入れる(シェルあたり1レンズ)(生理食塩水の約半分は、レンズを挿入する前に添加してもよい)。続いてブリスタをホイルで密封し、約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。
【0521】
水勾配SiHyコンタクトレンズの表面特性
得られた水勾配SiHyコンタクトレンズは、パッケージから取り出したままの状態で潤滑性であり(1の摩擦評点を有する)、10秒を超えるWBUTと、約30度の液滴(静的)による水接触角と、を有する。
【0522】
実施例5
この実施例では、実施例4で調製した水勾配コンタクトレンズを使用する。これらは、約9μg/レンズのPU(ポリクオタニウム-1取り込み率)を有すると決定される。
【0523】
ポリアジリジン水溶液の調製
単にPZ-28をPBSに添加し、pHを約7.5に調整することによって1重量%PZ-28溶液を調製し、単にPZ-33をPBSに添加し、pHを約7.5に調整することによって1重量%PZ-33溶液を調製する。
【0524】
水勾配コンタクトレンズによるPUの減少
実施例4で調製した水勾配コンタクトレンズを、0.55mL又は0.65mLの1%PZ-28溶液と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェルに個別に再パッケージングし(シェルあたり1レンズ)、約121℃で約45分間オートクレーブ処理する。得られたレンズは依然として潤滑性であり(1の摩擦評点を有する)、PUが0.56μg/レンズであり、すなわちPUの減少が93.8%である
【数26】
。
【0525】
実施例4で調製した水勾配コンタクトレンズを、0.55mL又は0.65mLの1%PZ-33溶液と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェルに個別に再パッケージングし(シェルあたり1レンズ)、約121℃で約45分間オートクレーブ処理する。得られたレンズは依然として潤滑性であり(1の摩擦評点)、PUが1.95μg/レンズであり、すなわちPUの減少が78.3%である。
【0526】
実施例6
PMAA溶液の調製
ポリメタクリル酸(PMAA)の溶液は、適量のPMAA(Mn:約400~700kDa(PolyMaterials,Inc.製))を、IPA/水(50/50体積比)混合物に添加して約0.12重量%の濃度とすることによって調製する。PMAAが完全に溶解した後、ギ酸をPMAA溶液に添加することによってpHを約2に調整する。調製されたPMAA溶液を濾過して一切の微粒子又は異物を除去する。
【0527】
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
PBSは、実施例4に記載の手順に従って調製する。
【0528】
NaClを含まないリン酸緩衝液(PB)(PB、No NaCl)
PBは、実施例4に記載の手順に従って調製する。
【0529】
ポリアジリジン水溶液の調製
単にPZ-28をPBSに添加し、pHを約7.5に調整することによって1重量%PZ-28溶液を調製し、単にPZ-33をPBSに添加し、pHを約7.5に調整することによって1重量%PZ-33溶液を調製する。
【0530】
IPC-3生理食塩水
約90モル%の2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)と、約10モル%の
【化14】
(式中、Xは-CH
2CH(OH)CH
2SCH
2CH
2NH
2又は-CH
2CH(CH
2OH)SCH
2CH
2NH
2の一価ラジカルである)と、を含有するMPC含有コポリマー(Mw:230-320kD)を、米国特許第9127099B2号明細書の実施例1~2に記載されるものと類似した手順に従って調製する。使用されるMPC含有コポリマーは、約10重量%のMPC含有コポリマーの固形分含量を含む水溶液である。
【0531】
PAE溶液(Kymene)を水溶液としてAshlandから購入し、そのままで使用する。
【0532】
IPC-3生理食塩水は以下のように調製する。約74.3重量%のMPC含有コポリマー溶液と、約3.7重量%のPAE溶液と、約22重量%のリン酸緩衝液(約0.22重量%のNaH2PO4・H2O、1.95重量%のNa2HPO4・2H2O、及び約4重量%のNaCl)と、を混合する(MPC含有コポリマー及びPAEの濃度は最終生理食塩水の約10倍である)。1NのNaOHによってpHを約7.3に調整する。水浴中の混合物を温度70℃で4時間反応させ、水溶性熱架橋性ポリマー材料(すなわち「パッケージ内架橋剤」又は「IPC剤」)を形成する。水浴から混合物を取り出し、室温の水浴内で冷却する。PBSを用いて混合物を10倍に希釈し、pHを約7.3に調整する。0.22μmのPES無菌フィルタユニットによって混合物を濾過する。
【0533】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにイソプロパノール(IPA)で180分間抽出し、上記で調製したPMAA溶液中で約1時間ディップコーティングし、PBSで約60分間すすぎ洗いし、続いて0.6mLのIPC-3生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-3生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。
【0534】
得られた水勾配SiHyコンタクトレンズはかなり潤滑性であり(2の摩擦評点を有する)、WBUTは10秒超であり、PU(ポリクオタニウム-1取り込み率)は1.2μg/レンズである。
【0535】
水勾配コンタクトレンズによるPU取り込み率の低減
上記で調製した水勾配コンタクトレンズを、0.55mL又は0.65mLの1%PZ-28溶液と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェルに個別に再パッケージングし(シェルあたり1レンズ)、約121℃で約45分間オートクレーブ処理する。得られたレンズは依然としてかなり潤滑性であり(約1.7の摩擦評点を有する)、PUが0.06μg/レンズであり、すなわちPUの減少が95%である
【数27】
。
【0536】
上記で調製した水勾配コンタクトレンズを、0.55mL又は0.65mLの1%PZ-33溶液と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェルに個別に再パッケージングし(シェルあたり1レンズ)、約121℃で約45分間オートクレーブ処理する。得られたレンズは依然として潤滑性であり(約1.0の摩擦評点)、PUが0.32μg/レンズであり、すなわちPUの減少が73.3%である。
【0537】
実施例7
この実施例では、米国特許第8480227号明細書の実施例19に記載される手順に従って調製された水勾配コンタクトレンズを使用する。水勾配SiHyコンタクトレンズは、約32重量%の含水率と、約146barrerの酸素透過度と、約0.76MPaのバルク弾性率と、約6の相対イオン透過度(Alsaconレンズと比較して)と、0の摩擦評点と、20秒を超えるWBUTと、約34~47度の水接触角(静的液滴によって)と、約11μg/レンズのPUと、をそれぞれ有する。
【0538】
BTP溶液の調製
BTPを脱イオン(DI)又は蒸留水に溶解して0.03%の濃度にし、続いてpHを7.5に調整することにより、ビス-トリス-プロパン(BTP)溶液を調製する。
【0539】
ポリアジリジン水溶液の調製
PZ-28濃度が0.1重量%、0.2重量%、又は0.3重量%のPZ-28BTP緩衝溶液を、単にPZ-28をBTP溶液に添加し、pHを約7.4に調整することによって調製する。
【0540】
PZ-28濃度が0.1重量%のPZ-28ホフェート(phophate)緩衝溶液を、単にPZ-28をPBSに添加し、pHを約7.5に調整することによって調製する。
【0541】
水勾配コンタクトレンズによるPU取り込み率の低減
上記で調製した水勾配コンタクトレンズを、0.55mLの上記で調製した0.1%PZ-28BTP緩衝溶液と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェルに個別に再パッケージングし(シェルあたり1レンズ)、約121℃で約45分間オートクレーブ処理する。得られたレンズは依然として潤滑性であり(0の摩擦評点を有する)、PUが1.2μg/レンズであり、すなわちPUの減少が89.1%である
【数28】
。
【0542】
上記で調製した水勾配コンタクトレンズを、0.55mLの0.2%PZ-28BTP緩衝溶液と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェルに個別に再パッケージングし(シェルあたり1レンズ)、約121℃で約45分間オートクレーブ処理する。得られたレンズは依然として潤滑性であり(0の摩擦評点)、PUが0.4μg/レンズであり、すなわちPUの減少が96.4%である。
【0543】
上記で調製した水勾配コンタクトレンズを、0.55mLの0.3%PZ-28BTP緩衝溶液と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェルに個別に再パッケージングし(シェルあたり1レンズ)、約121℃で約45分間オートクレーブ処理する。得られたレンズは依然として潤滑性であり(0の摩擦評点)、PUが0.3μg/レンズであり、すなわちPUの減少が97.3%である。
【0544】
上記で調製した水勾配コンタクトレンズを、0.55mLの上記で調製した0.1%PZ-28リン酸緩衝溶液と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェルに個別に再パッケージングし(シェルあたり1レンズ)、約121℃で約45分間オートクレーブ処理する。得られたレンズは依然として潤滑性であり(0の摩擦評点を有する)、PUが0.6μg/レンズであり、すなわちPUの減少が94.5%である。
【0545】
実施例8
この実施例では、実施例4で調製した水勾配コンタクトレンズを使用する。これらは、約9μg/レンズのPUを有すると決定される。
【0546】
BTP溶液の調製
BTPをDI(又は蒸留)水に溶解して0.03重量%の濃度にし、続いてpHを7.5に調整することにより、ビス-トリス-プロパン溶液を調製する。
【0547】
ポリアジリジン水溶液の調製
PZ-28濃度が0.1%、0.2%、又は0.3%のPZ-28溶液を、単にPZ-28をBTP溶液に添加し、pHを約7.5に調整することによって調製する。
【0548】
水勾配コンタクトレンズによるPU取り込み率の低減
実施例4で調製した水勾配コンタクトレンズを、上記で調製した0.55mLの0.1%PZ-28溶液と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェルに個別に再パッケージングし(シェルあたり1レンズ)、約121℃で約45分間オートクレーブ処理する。得られたレンズは依然として潤滑性であり(0の摩擦評点を有する)、PUが0.42μg/レンズであり、すなわちPUの減少が95.3%である
【数29】
。
【0549】
実施例4で調製した水勾配コンタクトレンズを、上記で調製した0.55mLの0.2%PZ-28溶液と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェルに個別に再パッケージングし(シェルあたり1レンズ)、約121℃で約45分間オートクレーブ処理する。得られたレンズは依然として潤滑性であり(0の摩擦評点)、PUが0.3μg/レンズであり、すなわちPUの減少が96.7%である。
【0550】
実施例4で調製した水勾配コンタクトレンズを、上記で調製した0.55mLの0.3%PZ-28溶液と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェルに個別に再パッケージングし(シェルあたり1レンズ)、約121℃で約45分間オートクレーブ処理する。得られたレンズは依然として潤滑性であり(0の摩擦評点)、PUが0.05μg/レンズであり、すなわちPUの減少が99.4%である。
【0551】
実施例9
PAAコーティング溶液の調製
PAAコーティング溶液を、適量のPAA(Mn:約450KD)を50/50の水-IPA混合物に添加することによって調製する。PAAが完全に溶解した後、約1.85%のギ酸をPAA水溶液に添加することによってpHを約2に調整する。PAAの目標濃度は約0.1重量%である。調製されたPAAコーティング溶液を濾過して一切の微粒子又は異物を除去する。
【0552】
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
NaH2PO4・H2O、Na2HPO4・2H2Oを所定量の精製水(蒸留又は脱イオン)に溶解して、約0.044重量/重量%のNaH2PO4・H2O、約0.388重量/重量%のNa2HPO4・2H2O、及び約0.79重量/重量%のNaClの組成とすることによってリン酸緩衝生理食塩水を調製する。
【0553】
NaClを含まないリン酸緩衝液(PB)(PB、No NaCl)
PBSの調製と同じであるがNaClを添加しない手順を用いてPBを調製する。
【0554】
ポリアジリジン水溶液の調製
PZ-28濃度が0.125%、0.25%、又は0.5%のPZ-28溶液を、単にPZ-28をDI水に添加し、pHを約7.4に調整することによって調製する。
【0555】
PAAコーティングSiHyコンタクトレンズのPZによるPUの減少
離型後、乾燥SiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにイソプロパノール(IPA)で180分間抽出し、上記で調製したPAA溶液中で約30分間ディップコーティングし、PBで2回、それぞれ約15分間すすぎ洗いし、続いて上記で調製したPZ-28溶液に約60℃で約2時間浸漬させる。PZ-28のディッピング工程の後、レンズを再びPBで2回すすぎ洗いし(それぞれ15分間)、続いて表5に示す様々な試験に供する。
【0556】
【0557】
表5の結果は、様々なPZディップ処理の後、PAAコーティングSiHyコンタクトレンズによるポリクオタニウム(Polyquartenium)-1取り込み率は、約60℃(比較的高温)でのPZ-28のアジリジン基とレンズ表面のPAAコーティング中の-COOH基との反応に起因して、PZ-28により大幅に減少し得ることを示している。約0.125重量%の濃度であっても、PZ-28は、PAAコーティングSiHyレンズによるポリクアトニウム(Polyquartnium)-1取り込み率(PU)を著しく減少させることができるが、一方で潤滑性に悪影響を及ぼす。
【0558】
表6は、PUを低減するPZ-28の効力に対するPZ-28ディッピング温度の効果を評価するための、室温及び45℃で約1時間の、0.25重量%のPZ-28によるPAAコーティングSiHyコンタクトレンズの処理の結果を示す。表6は、室温(RT)でPZのディップを実施した場合と比較して、45℃でPZ-28の効力が著しく改善していることを示す。ポリクアトニウム-1取り込み率の減少は、45℃でディップを実施した場合の約93%と比較すると、室温で約55%である。これは、RTを超える高温ではPZ-28の効力が増加することを示す。
【0559】
【0560】
実施例10
PMAA溶液の調製
ポリメタクリル酸(PMAA)コーティング溶液は、一定量のPMAA(Mn:400~700kDa(PolyMaterials, Inc.製))を、所定容量の1-プロパノール/水(25/75体積比)混合物に溶解して約0.06重量%の濃度とすることにより調製し、pHはギ酸(典型的には最終溶液中に約1.8重量%)を用いて約2.0に調整する。
【0561】
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
PBSは、実施例4に記載の手順に従って調製する。
【0562】
NaClを含まないリン酸緩衝液(PB)(PB、No NaCl)
PBは、実施例4に記載の手順に従って調製する。
【0563】
IPC生理食塩水(IPC-4、IPC-5、IPC-6、及びIPC-7)
IPC-3生理食塩水を、実施例6に記載される手順に従って調製する。
【0564】
それぞれ0.05重量%、0.1重量%、0.5重量%、及び1重量%のPZ-28濃度を有する4つのIPC生理食塩水(IPC-4~IPC-7)を、所望量のPZ-28をIPC-3生理食塩水に添加し、続いてpHを7.5に調整することによって調製する。汚染微生物数の増加を防ぐために最大5ppmの過酸化水素を各IPC生理食塩水に添加してもよく、0.22マイクロメートルの薄膜フィルタを用いて各IPC生理食塩水を濾過する。
【0565】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにイソプロパノール(IPA)で180分間抽出し、上記で調製したPMAA溶液中で約1時間ディップコーティングし、PBSで約60分間すすぎ洗いし、続いて0.6mLの上記で調製されたIPC-3~IPC-7生理食塩水のうちの1つと共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。
【0566】
得られた水勾配SiHyコンタクトレンズはかなり潤滑性であり(約0の摩擦評点を有する)、WBUTは20秒超であり、静的液滴による水接触角は40である。それらは、IPC-3生理食塩水(0重量% PZ-28)、IPC-4生理食塩水(0.05重量% PZ-28))、IPC-5生理食塩水(0.1重量%のPZ-28))、IPC-6生理食塩水(0.5重量%mpPZ-28))、及びIPC-7生理食塩水(1.0重量%のPZ-28)からそれぞれ調製された水勾配コンタクトレンズについて、それぞれ0.5、0.19、0.19、0、及び0のPUを有すると決定される。
【0567】
実施例11
PAAコーティング溶液の調製
PAAコーティング溶液は、表7に示される含水率を有する水-IPA混合物中に適量のPAA(Mn:約450KD)を添加して、表7に示される所望のPAA濃度とすることによって調製する。PAAが完全に溶解した後で、約1.85%のギ酸をPAA水溶液に添加することによってpHを約2に調整する。調製されたPAAコーティング溶液を濾過して一切の微粒子又は異物を除去する。
【0568】
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
PBSは、実施例4に記載の手順に従って調製する。
【0569】
NaClを含まないリン酸緩衝液(PB)(PB、No NaCl)
PBは、実施例4に記載の手順に従って調製する。
【0570】
ポリ(MPC-co-AEM)(96/4wt/wt)の調製
コポリマーのポリ(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン-co-2-アミノエチルメタクリレート))(96/4重量/重量)(すなわちポリ(MPC-co-AEM)は、約96重量%のMPCと、約4重量%のAEMと、約0.02重量%のVazo56[2、2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩]と、約0.1重量%の連鎖移動剤(HS-CH2CH2OH)と、を含む重合性組成物を、水中で、約60℃で約2時間、次いで20℃で約2時間熱重合することにより調製される。得られたポリ(MPC-co-AEM)(固形分含有量が約10%の水溶液)は、約0.22meq/gのアミン官能価、及び約160kDaのMnを有すると決定される。
【0571】
得られたコポリマーは、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン(PAE)との反応で水溶性熱架橋性ポリマー材料(すなわち「パッケージ内架橋剤」又は「IPC剤」)を調製するための親水性増強剤として使用される。PAE溶液(Kymene)を水溶液としてAshlandから購入し、そのままで使用する。
【0572】
IPC-8生理食塩水
IPC-8生理食塩水は以下のように調製する。上記で調製した77重量/重量%のポリ(MPC-co-AEM)水溶液、6.1重量/重量%のPAE、及び16.9重量/重量%のリン酸緩衝液(約128mMのリン酸ナトリウム塩及び約4重量%のNaCl)を混合する(ポリ(MPC-co-AEM)及びPAEの濃度は最終生理食塩水の約10倍である)。1NのNaOHによってpHを約7.3に調整する。水浴中の混合物を温度70℃で3時間反応させる。水浴から混合物を取り出し、室温の水浴内で冷却する。混合物を、リン酸緩衝液(約33mMのリン酸ナトリウム塩及び0.77重量%のNaCl)で10倍に希釈し、pHを約7.3に調整する。0.22μmのPES無菌フィルタユニットによって混合物を濾過する。
【0573】
IPC-9生理食塩水
IPC-9生理食塩水は、PZ-28をIPC-8生理食塩水に添加して、PZ-28濃度を0.2重量%とすることによって調製される。汚染微生物数の増加を防ぐために最大5ppmの過酸化水素を各IPC生理食塩水に添加してもよく、0.22マイクロメートルの薄膜フィルタを用いて各IPC生理食塩水を濾過する。
【0574】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにイソプロパノール(IPA)で180分間抽出し、上記で調製したPAA溶液中で、表7で指定された時間ディップコーティングし、PBで2回、それぞれ約30分間すすぎ洗いし、続いて0.6mLの上記で調製されたIPC-8生理食塩水又はIPC-9生理食塩水のうちのいずれかと共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。
【0575】
得られた水勾配SiHyコンタクトレンズは潤滑性であり(約0の摩擦評点を有する)、WBUTは20秒超であり、静的液滴による水接触角は約40度である。これらは、表7に示されたPUを有すると決定される。
【0576】
【0577】
実施例12
PMAAコーティング溶液
ポリメタクリル酸(PMAA)コーティング溶液は、一定量のPMAA(Mn:400~700kDa(PolyMaterials,Inc.製))を、所定容量の1-プロパノール/水(49%/51%重量/重量)混合物に溶解して約0.06重量%の濃度とすることにより調製し、pHはギ酸(典型的には最終溶液中に約1.8重量%)を用いて約2.0に調整する。
【0578】
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
PBSは、実施例4に記載の手順に従って調製する。
【0579】
NaClを含まないリン酸緩衝液(PB)(PB、No NaCl)
PBは、実施例4に記載の手順に従って調製する。
【0580】
BTP溶液の調製
BTPをDI(又は蒸留)水に溶解して300ppm%の濃度にし、続いてpHを7.5に調整することにより、ビス-トリス-プロパン溶液を調製する。
【0581】
ポリアジリジン水溶液の調製
PZ-28濃度が0.15%のPZ-28溶液を、単にPZ-28を上記で調製したBTP溶液に添加し、pHを約7.4に調整することによって調製する。
【0582】
ポリ(MPC-co-AEM)(96/4重量/重量)の調製
ポリ(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン-co-2-アミノエチルメタクリレート)(96/4重量/重量)(すなわちポリ(MPC-co-AEM)は、実施例11に記載の手順に従って調製する。
【0583】
IPC-10生理食塩水
IPC-10生理食塩水は以下のように調製する。上記で調製した77重量/重量%のポリ(MPC-co-AEM)水溶液、6.1重量/重量%のPAE、及び16.9重量/重量%のリン酸緩衝液(約128mMのリン酸ナトリウム塩及び約4重量%のNaCl)を混合する(ポリ(MPC-co-AEM)及びPAEの濃度は最終生理食塩水の約10倍である)。1NのNaOHによってpHを約7.3に調整する。水浴中の混合物を温度70℃で3時間反応させる。水浴から混合物を取り出し、室温の水浴内で冷却する。混合物を、リン酸緩衝液(約33mMのリン酸ナトリウム塩及び0.77重量%のNaCl)で5倍に希釈し、pHを約7.3に調整する。0.22μmのPES無菌フィルタユニットによって混合物を濾過する。
【0584】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにイソプロパノール(IPA)で180分間抽出し、上記で調製したPMAA溶液中で約1時間ディップコーティングし、PBで2回、それぞれ約30分間すすぎ洗いし、続いてPZ-28溶液と上記で調製されたIPC-10生理食塩水との混合物0.6mL(レンズを挿入する前に0.3mLのPZ-28溶液を添加し、続いて0.3mLのIPC-10を添加して混合する)と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。
【0585】
得られた水勾配SiHyコンタクトレンズは、パッケージから取り出してすぐの状態、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後(すなわち30サイクルの指擦り処理に相当する)のいずれかで潤滑性であり(約0の摩擦評点を有する)、シミュレートされた研磨サイクリング処理後(すなわち30サイクルの指擦り処理に相当する)のWBUTは約17秒であり、ポリクオタニウム-1の取り込みは検出されない。表面亀裂は観察されない。
【0586】
実施例13
PAAコーティング溶液
PAAコーティング溶液は、一定量のPAA(Mn:約450kDa(Polysciences,Inc.製))を、所定容量の1-プロパノール/水(10%/90%重量/重量)混合物に溶解して約250ppmの濃度とすることにより調製し、pHはギ酸(典型的には最終溶液中に約1.87重量%)を用いて約2.0に調整する。
【0587】
NaClを含まないリン酸緩衝液(PB)(PB、No NaCl)
PBは、実施例4に記載の手順に従って調製する。
【0588】
BTP+PG希釈緩衝液
1.95グラムのBTP、15.25グラムのプロピレングリコール(PG)、及び300グラムのDI水を均一になるまで混合する。約1.75グラムの5NのHClを添加し、約30分間混合させる。5NのHClを使用して、pHを7.4±0.1に調整する。
【0589】
BTP溶液の調製
ビス-トリス-プロパン溶液は、100グラムのDI(又は蒸留)水に0.14グラムのBTPを溶解させることによって調製する。pHの調整は必要ない。
【0590】
ポリアジリジン水溶液の調製
PZ-28濃度が0.2重量%又は0.3重量%のPZ-28溶液を、単にPZ-28をDI水に添加することによって調製し、pHは調整しない。
【0591】
ポリ(MPC-co-AEM)(96/4重量/重量)の調製
ポリ(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン-co-2-アミノエチルメタクリレート)(96/4重量/重量)(すなわちポリ(MPC-co-AEM)は、実施例11に記載の手順に従って調製する。
【0592】
IPC-11生理食塩水
IPC-11生理食塩水は以下のように調製する。74.3重量/重量%の上記で調製したポリ(MPC-co-AEM)水溶液、6.0重量/重量%のPAE、及び19.7重量/重量%のBTP溶液を混合する。1NのNaOHによってpHを8±0.1に調整する。水浴中の混合物を温度70℃で4時間反応させる。水浴から混合物を取り出し、室温の水浴内で冷却する。混合物を、1~4重量比(1部の反応混合物及び4部のBTP+PG希釈緩衝液)のBTP+PG希釈緩衝液で希釈し、pHを7.4±0.1に調整する。混合物を5μmのフィルタカプセル(Satorius品番号#:5051342P5-00-B)によって滅菌ボトル内に濾過し、冷蔵庫で保管する。
【0593】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにIPAで2回抽出し(1回目は30分間、2回目は150分間)、50/50体積比のIPA/水混合物中に約30分間ディップし、上記で調製されたPAAコーティング溶液中に約20分間ディップコーティングし、PBで2回、それぞれ約30分間すすぎ洗いし、続いてPZ-28溶液と上記で調製されたIPC-11生理食塩水との混合物0.6mLと共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(レンズを挿入する前に0.3mLのIPC-11を添加し、続いて0.3mLのPZ-28溶液を添加し、密封後に混合する)。密封されたレンズパッケージは、表8で指定された時間、120℃未満の温度でステージング(staged)(すなわちオーブン内に静置される)。ステージング後、密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。
【0594】
表8は、得られた水勾配SiHyコンタクトレンズのいくつかの特性を報告している。
【0595】
【0596】
実施例14
PMAAコーティング溶液
PMAAコーティング溶液は、一定量のPMAA(Mn:約644kDa(PolyMaterials,Inc.製))を水/イソプロパノール(IPA)混合物(48.1重量%のIPA/50重量%の水)に溶解して濃度を約600ppmにすることによって調製し、pHはギ酸(典型的には最終溶液中に約1.87重量%)を用いて約2.0に調整する。
【0597】
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
PBSは、実施例4に記載の手順に従って調製する。
【0598】
NaClを含まないリン酸緩衝液(PB)(PB、No NaCl)
PBは、実施例4に記載の手順に従って調製する。
【0599】
ポリ(MPC-co-AEM)(96/4重量/重量)の調製
ポリ(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン-co-2-アミノエチルメタクリレート)(96/4重量/重量)(すなわちポリ(MPC-co-AEM)は、実施例11に記載の手順に従って調製する。
【0600】
IPC-12生理食塩水
IPC-12生理食塩水の反応混合物を、IPC-8に関して実施例11に記載されたものと同じように調製する。混合物を、リン酸緩衝液(約33mMのリン酸ナトリウム塩及び0.77重量%のNaCl)で5倍に希釈し(すなわち、1重量部の反応混合物及び4重量部のリン酸緩衝液)、0.15重量%のクエン酸ナトリウム二水和物を添加する。最後に、pHを約7.3に調整する。0.22μmのPES無菌フィルタユニットによって混合物を濾過する。
【0601】
IPC-13生理食塩水
PBSをPBに置き換えることを除いてIPC-12に記載されるものと同じ反応混合物を調製し、反応時間は5時間とする。同量のクエン酸ナトリウム二水和物、pH調整、及び無菌濾過。
【0602】
IPC-14生理食塩水
MPC含有コポリマーを実施例11で調製されたポリ(MPC-co-AEM)に置き換えることを除いて、IPC-3で説明されたものと同じ反応混合物。希釈、クエン酸ナトリウム二水和物の添加、pH調整、及び無菌濾過は、IPC-12で示されるものと同じである。
【0603】
IPC-15生理食塩水
反応のためのPBSをPBで置き換えることを除いてIPC-14で説明されたものと同じ反応混合物。希釈、クエン酸ナトリウム二水和物の添加、pH調整、及び無菌濾過は、IPC-14で示されるものと同じである。
【0604】
ポリアジリジン水溶液の調製
PZ-28濃度が0.3重量%又は0.4重量%のPZ-28溶液を、単にPZ-28をDI水に添加することによって調製し、pHは調整しない。
【0605】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにIPAで2回抽出し(1回目は35分間、2回目は145分間)、上記で調製したPMAAコーティング溶液中で約50分間ディップコーティングし、PBで2回、それぞれ約25分間すすぎ洗いし、続いてPZ-28溶液と上記で調製された様々なIPC生理食塩水との混合物0.6mLと共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(例えば、レンズを挿入する前にIPC-12~IPC-15のうちの1つを0.3mL添加し、続いて0.3mLのPZ-28溶液(又はPZを含まない水)を添加し、密封後に混合する)。密閉されたレンズパッケージを、室温で約4時間ステージングする(即ち、オーブン内に静置する)。ステージング後、密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。
【0606】
表9は、得られた水勾配SiHyコンタクトレンズのいくつかの特性を報告している。
【0607】
【0608】
実施例15
PAAコーティング溶液の調製
PAAコーティング溶液は、適量のPAAを水-IPA混合物(例えば、50/50又は90/10重量/重量)中に添加することによって調製する。PAAが完全に溶解した後で、約1.8%のギ酸をPAA水溶液に添加することによってpHを約2に調整する。PAAの目標濃度は約0.025重量%である。調製されたPAAコーティング溶液を濾過して一切の微粒子又は異物を除去する。
【0609】
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
NaH2PO4・H2O、Na2HPO42H2Oを所定量の精製水(蒸留又は脱イオン)に溶解して、約0.22重量/重量%のNaH2PO4・H2O、約1.95重量/重量%のNa2HPO42H2O、及び約3.97重量/重量%のNaClの組成とすることによってリン酸緩衝生理食塩水を調製する。
【0610】
IPC生理食塩水
実施例11で調製したIPC-8及びIPC-9生理食塩水をこの実施例で使用する。
【0611】
IPC-16生理食塩水は以下のように調製する。実施例11で調製した77.0重量/重量%のポリ(MPC-co-AEM)水溶液、6.7重量/重量%のPAE、及び16.3重量/重量%のリン酸緩衝液(約128mMのリン酸ナトリウム塩及び約4重量%のNaCl)を混合する(ポリ(MPC-co-AEM)及びPAEの濃度は最終生理食塩水の約10倍である)。1NのNaOHによってpHを約7.3に調整する。水浴中の混合物を温度約70℃で3時間反応させる。水浴から混合物を取り出し、室温の水浴内で冷却する。混合物を、リン酸緩衝液(約33mMのリン酸ナトリウム塩及び0.77重量%のNaCl)で10倍に希釈し(すなわち、1重量部の反応混合物及び9重量部のリン酸緩衝液)、pHを約7.3に調整する。0.22μmのPES無菌フィルタユニットによって混合物を濾過する。
【0612】
IPC-17生理食塩水は、上記で調製したIPC-16に0.2重量%のPZ-28を添加することによって調製する。
【0613】
IPC-18生理食塩水は、実施例13で調製したIPC-11に0.2重量%のPZ-28を添加することによって調製する。
【0614】
PAAコーティングSiHyコンタクトレンズのPZによるPUの減少
離型後、乾燥SiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにイソプロパノール(IPA)で180分間抽出し、上記で調製したPAA溶液に約5及び10分間ディップコーティングし、PBで2回、それぞれ約30分間すすぎ洗いする。続いて、レンズを、上記で調製したIPC生理食塩水のうちの1つ(0.2重量%のPZ-28を含むもの、又はPZ-28を含まないもののいずれか)と共にパッケージングする。ポリクオタニウム-1取り込み率及び表面亀裂の結果を以下の表にまとめる。
【0615】
【0616】
実施例16
IPC-19生理食塩水
以下の成分を、以下の濃度で室温の容器中で混合する。7.5重量%の実施例11で調製したポリ(MPC-co-AEM)(96/4重量/重量)、1.58重量%のPAE、及び0.03重量%のBTP、並びに残部のDI水。5NのHClを使用して、最終pHを8±0.1に調整する。混合物を70℃の浴中に4時間置く。予備反応後、これらを室温に冷却し、続いて0.61重量%のBTP、4.8重量%のプロピレングリコール、及び残部のDI水からなる希釈緩衝液を使用して5倍に希釈する(pHを7.4に調整)。この生理食塩水を、Sartorius製の5μmのカプセルフィルタを使用して濾過し、続いて、パッケージングレンズで更に使用するまで、直ちに冷蔵庫に保存する。この調製生理食塩水は、残留電荷のためのCary60技術を用いて測定して、3050±200uEq/Lの電荷密度を有する。
【0617】
実施例17
PMAAコーティング溶液
実施例14で調製したPMAAコーティング溶液をこの実施例で使用する。
【0618】
BTP+PG希釈緩衝液
0.846グラムのBTP、6.6グラムのプロピレングリコール(PG)、及び300グラムのDi水を均一になるまで混合する。約1.75グラムの5NのHClを添加し、約30分間混合させる。5NのHClを使用して、pHを7.4±0.1に調整する。
【0619】
BTP+グリセロール希釈緩衝液
0.846グラムのBTP、7.8グラムのグリセロール、及び300グラムのDi水を均一になるまで混合する。約1.75グラムの5NのHClを添加し、約30分間混合させる。5NのHClを使用して、pHを7.4±0.1に調整する。
【0620】
BTP+NaCl希釈緩衝液
0.846グラムのBTP、2.55グラムの塩化ナトリウム(NaCl)、及び300グラムのDi水を均一になるまで混合する。約1.75グラムの5NのHClを添加し、約30分間混合させる。5NのHClを使用して、pHを7.4±0.1に調整する。
【0621】
BTP溶液の調製
実施例13で調製したビス-トリス-プロパン溶液をこの実施例で使用する。
【0622】
ポリアジリジン水溶液の調製
PZ-28濃度が0.24重量%のPZ溶液Iは、単にPZ-28をBTP+PG希釈緩衝液に添加することによって調製する。
【0623】
PZ-28濃度が0.24重量%のPZ溶液IIは、単にPZ-28をBTP+グリセロール希釈緩衝液に添加することによって調製する。
【0624】
PZ-28濃度が0.24重量%のPZ溶液IIIは、単にPZ-28をBTP+NaCl希釈緩衝液に添加することによって調製する。
【0625】
IPC生理食塩水
実施例11で調製したIPC-8をこの実施例で使用する。
【0626】
IPC-20生理食塩水は、実施例13で調製されたIPC-11をDI水と1:1の比で混合することによって調製する。
【0627】
IPC-21生理食塩水は、実施例13で調製したIPC-11(予備反応後にIPC-11のための反応混合物を希釈するためにBTP+グリセロールも使用する)を、BTP+グリセロール希釈緩衝液と1:1の比で混合することによって調製する。
【0628】
IPC-22生理食塩水は、実施例13で調製したIPC-11(予備反応後のIPC-11のための反応混合物を希釈するためにこの実施例で先に調製したBTP+PG希釈緩衝液も使用する)を、上記で調製したPZ溶液Iと1:1の比で混合することによって調製する。
【0629】
IPC-23生理食塩水は、実施例13で調製したIPC-11(予備反応後にIPC-11のための反応混合物を希釈するためにBTP+グリセロールも使用する)を、上記で調製したPZ溶液IIと1:1の比で混合することによって調製する。
【0630】
IPC-24生理食塩水は、実施例13で調製したIPC-11(予備反応後にIPC-11のための反応混合物を希釈するためにBTP+NaClも使用する)を、上記で調製したPZ溶液IIIと1:1の比で混合することによって調製する。
【0631】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにIPAで2回抽出し(1回目は30分間、2回目は150分間)、50/50体積比のIPA/水混合物中に約30分間ディップし、上記で調製されたPMAAコーティング溶液中に約20分間ディップコーティングし、PBで2回、それぞれ約30分間すすぎ洗いし、続いてPZ溶液と上記で調製されたIPC生理食塩水との混合物0.6mLと共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(レンズを挿入する前に0.3mLのIPC生理食塩水を添加し、続いて0.3mLのPZ溶液を添加し、密封後に混合する)。密封されたレンズパッケージを、それぞれ1回のオートクレーブサイクル(45分)、5回のオートクレーブサイクル(225分)、10回のオートクレーブサイクル(450分)、及び15回のオートクレーブサイクル(675分)の間、121℃でオートクレーブ処理する。複数のオートクレーブサイクルは、加速貯蔵寿命試験での熱安定性(又はSiHyレンズの貯蔵寿命)を決定することが意図されている。得られたレンズのレンズ寸法を測定し、表11に報告する。
【0632】
表11は、パッケージング溶液がリン酸塩系である場合、オートクレーブサイクルの回数が増加するにつれて、直径及びBCE(ベース曲率当量(base curvature equivalent))が増加し、パッケージング溶液がBTP系である場合、オートクレーブサイクルの回数が増加するにつれて、直径又はBCEはわずかに又は最小の変化で減少することを示す。これは、BTP緩衝液が、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの貯蔵寿命にわたる寸法/メトロ(metro)を安定させ得ることを示す。
【0633】
【0634】
実施例18
PMAAコーティング溶液
PMAAコーティング溶液は、一定量のPMAA(Mn:約644kDa(PolyMaterials,Inc.製))を水/イソプロパノール(IPA)混合物(48.1重量%のIPA/50重量%の水)に溶解して濃度を約600ppmにすることによって調製し、pHはギ酸(典型的には最終溶液中に約1.87重量%)を用いて約2.0に調整する。
【0635】
別のPMAAコーティング溶液は、一定量のPMAA(Mn:約644kDa(PolyMaterials,Inc.製))を水/n-プロパノール(PrOH)混合物(48.1重量%のPrOH/50重量%の水)に溶解して濃度を約600ppmにすることによって調製し、pHはギ酸(典型的には最終溶液中に約1.87重量%)を用いて約2.0に調整する。
【0636】
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
PBSは、実施例4に記載の手順に従って調製する。
【0637】
NaClを含まないリン酸緩衝液(PB)(PB、No NaCl)
PBは、実施例4に記載の手順に従って調製する。
【0638】
IPC-15生理食塩水
実施例14で調製したIPC-15生理食塩水をこの実施例で使用する。
【0639】
ポリアジリジン水溶液の調製
PZ-28濃度が0.3重量%のPZ-28溶液を、単にPZ-28をDI水に添加することによって調製し、pHは調整しない。
【0640】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにIPAで3回抽出し(1回目は40分間、2回目は115分間、3回目は25分間)、上記で調製したPMAAコーティング溶液中で約55分間ディップコーティングし、PBで2回、それぞれ約25分間すすぎ洗いし、続いてPZ-28溶液と上記で調製されたIPC-15生理食塩水との混合物0.6mLと共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(例えば、レンズを挿入する前に0.3mLのIPC-15を添加し、続いて0.3mLのPZ-28溶液を添加し、密封後に混合する)。密閉されたレンズパッケージを、室温で約4時間ステージングする。ステージング後、密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。新しいIPAを用いて同じコーティング溶液を更にもう2回再使用し、新しいIPAコーティング溶液に関して上記で説明する手順に従ってレンズをコーティング及び調製する。
【0641】
別の一組のレンズを、抽出溶媒としてn-プロパノール(PrOH)を使用し、且つPrOHを使用して調製したPMAAコーティング溶液を使用して処理した。更に、コーティング溶液を上記で説明したように2回再使用し、レンズを上記の手順に従って調製する。
【0642】
得られた水勾配SiHyコンタクトレンズの重要な特性のいくつかを以下に要約する。結果は、抽出及びコーティング溶液溶媒としてのIPA又はPrOHから行われた場合、コーティング溶液の少なくとも3回の再使用を示している。全てのレンズは、レンズケア溶液としてrenuを使用してヘビーサイクラー(heavy cycler)で14回サイクリングした後に、優れた長時間持続する潤滑性を示す。シミュレートされた研磨サイクリング処理後(30サイクルの指擦り処理に相当する)のWBUT測定値、及び更にはシミュレートされた研磨サイクリング処理後(30サイクルの指擦り処理に相当する)のレンズのスダンブラック染色(結果は示さず)も、この研究成果を更に裏付ける。
【0643】
【0644】
実施例19
水勾配SiHyコンタクトレンズの調製
この実施例では、米国特許第8480227号明細書の実施例19に記載される手順に従って調製されたPAAベースコーティングをその上に備えるSiHyコンタクトレンズを使用する。得られたPAAコーティングSiHyコンタクトレンズは、約32重量%の含水率、約146barrerの酸素透過度、約0.76MPaのバルク弾性率、及び約6の相対イオン透過度(Alsaconレンズと比較して)を有する。PAAコーティングSiHyコンタクトレンズを、約0.55mLの実施例11で調製されたIPC-9生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)に個別にパッケージング/密封する。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。得られた水勾配SiHyコンタクトレンズは、0の摩擦評点と、パッケージから取り出したままの状態のレンズで測定して約28秒のWBUTと、シミュレートされた研磨サイクリング処理後(すなわち30サイクルの指擦り処理に相当する)のレンズで測定して約20秒のWBUTと、約0.06μg/レンズの平均PUと、を有する。
【0645】
試料の調製:
AFM試験は、水和状態及び乾燥状態の上記で調製した水勾配SiHyコンタクトレンズで実施した。レンズをブリスタパック(密封及びオートクレーブ処理された)から取り出し、剃刀刃で1つの水勾配コンタクトレンズを2つの等しい半体に切断する(すなわちコンタクトレンズの中心を通って切断する)ことによって2つの断面を得る。レンズの断面片はそれぞれ、米国特許第8480227号明細書の
図7に示されるように、金属クランプ内に垂直に装着され、レンズの断面片のレンズ縁部が金属クランプから1~2mmだけクランプ縁部の上方に突出することにより、AFMチップ(
図7のレンズ断面の上方にある)がそれを走査することが可能となる。装着された断面組立体をPBSに浸漬して、これが完全に水和することを確実にする。乾燥状態のレンズ上でAFMを実施するため、レンズを、50℃のオーブン中で終夜(少なくとも18時間)乾燥させる。
【0646】
AFM実験:
すべてのAFM測定は、Bruker Inc.製Dimension Icon(登録商標)機器を使用して実施される。試料は、PeakForce QNM(商標)タッピング撮像モードを使用し、ScanAsyst-Fluidプローブを使用して撮像される。新たに較正されたプローブが、試料の撮像のために使用される。各断面を最初に光学顕微鏡で検査して、外表面ヒドロゲル層を含む断面のAFM撮像のための良好な位置を特定する。各断面で、試料上の3つのランダムな位置から少なくとも3つの20μm×20μmのAFM画像が収集される。外表面ヒドロゲル層の厚さを決定するため、最終的にはより高い解像度(5μm×5μm又は10μm×10μm)での更なるAFM画像が、外表面ヒドロゲル層を明確に示す領域上で収集されるであろう。試験対象の水勾配コンタクトレンズの各群で、3つの異なる断面(3つの複製)からのデータが収集されるであろう。
【0647】
データ分析は、Bruker,Inc.製NanoScope Analysis Software ver.1.4を用いて実施する。全ての高解像度AFM画像は、試料の曲率を除去するために均一に平坦化される。外表面ヒドロゲル層の先頭部とレンズ断面の縁部との間の距離を測定することにより、高解像度画像に対して約20回のランダムな厚さ測定を実施する。試料の同じ群の全ての複製から個別の測定値をプールして平均化し、水勾配コンタクトレンズのこの群の外表面ヒドロゲル層の最終厚さを得る。
【0648】
高解像度AFM画像の分析に基づいて、水勾配コンタクトレンズの外表面ヒドロゲル層(PZで中和された移行層を除く)は、完全水和状態で2.6マイクロメートルの厚さ及び乾燥状態で0.7マイクロメートルの厚さを有することが見出される。試験中の水勾配コンタクトレンズ上の外表面ヒドロゲル層の水膨張率(WSR)
【数30】
、式中、L
Wetは完全水和状態のSiHyコンタクトレンズの外表面ヒドロゲル層の平均厚さであり、L
Dryは乾燥状態のSiHyコンタクトレンズのその外表面ヒドロゲル層の平均厚さである)は、376%であると計算される。
【0649】
実施例20
実施例1に記載される手順に従って、マイクロ押込試験を、いくつかの異なるコンタクトレンズ:ACUVUE2(登録商標)(Johnson&Johnsonから市販)、ACUVUE(登録商標)Oasys(Johns&Johnsonから市販される非コーティングSiHyレンズ)、Biofinity(登録商標)(CooperVisionから市販される非コーティングSiHyレンズ)、MyDay(登録商標)(CooperVisionから市販される非コーティングSiHyレンズ)、AIROPTIX(登録商標)Night&Day(登録商標)(Alconから市販されるプラズマコーティングSiHyレンズ)、実施例3のコーティングを含まない天然に湿潤性のSiHyレンズ、実施例13の水勾配SiHyレンズ(IPC-11+パッケージング溶液としての0.1重量%のPZ-28)、及び実施例15の水勾配SiHyコンタクトレンズ(パッケージング溶液としてIPC-18)のために実施した。市販のコンタクトレンズのバルク弾性率(E’)は、製造者によって作成されたデータである(Contact Lens&Anterior Eye 33(2010),210-214のG.Youngの記事の表1、「CooperVision Biofinity Is Fastest Growing Contact Lens Brand In The U.S.」と題する2013年6月17日付のCooperVisionのプレスリリース、「CooperVision Introduces MyDay(登録商標) Lenses in the U.S.」と題する2015年6月25日付のCooperVisionのプレスリリースを参照されたい)。実施例3のSiHyレンズのバルク弾性率は、実施例1に記載の手順に従って決定される。400nmの押込深さにおける表面圧縮力(SCF)及び400nmの押込深さにおける正規化表面圧縮力(NSCF)を表13に報告する。
【0650】
【0651】
図5は、コンタクトレンズのバルク(ヤング)弾性率の関数としての、400nmの押込深さにおける押込力(即ち、400nmの押込深さでの表面圧縮力)を示す。400nmの押込深さにおける押込力は、ヒドロゲルコーティングをその上に有さないこれらのコンタクトレンズ(Acuvue2、Biofinity、MyDay、Night&Day、Oasys、及び実施例3のレンズを含む)に関するバルク弾性率との良好な線形適合を示す。これは、これらの材料が全て類似のポアソン比を有することを意味する。最良の線形適合はy=13.98x+0.62,R
2=0.99である。
【0652】
しかしながら、実施例13及び15の水勾配コンタクトレンズ(それぞれヒドロゲルコーティングをその上に有する)は同じ傾向に従わず、線形適合の傾向から予測されるものよりもはるかに小さな押込力値を有する。実施例13及び15の水勾配コンタクトレンズは、下記の式に基づいて計算されるように、それぞれ約66%及び約69%の、400nmの押込深さにおける押込力の減少を有し、
【数31】
式中、(IF)
tは、400nmの押込深さにおける水勾配コンタクトレンズの測定された押込力であり、E’は水勾配コンタクトレンズのバルク弾性率である。
【0653】
実施例21
溶液PMAA-1
溶液PMAA-1は、ポリメタクリル酸(PMAA)の溶液であり、これは、適量のPMAA(Mn:約400~600kDa(ProChem製))をPrOH/水(50重量%の水)混合物に添加して、約0.04重量%の濃度とすることによって調製される。PMAAが完全に溶解した後、ギ酸をPMAA溶液に添加することによってpHを約2に調整する。調製されたPMAA溶液を濾過して一切の微粒子又は異物を除去する。
【0654】
IPC生理食塩水を調製するためのリン酸緩衝生理食塩水溶液(PBS-1)
NaH2PO4・H2O、Na2HPO42H2Oを所定量の精製水(蒸留又は脱イオン)に溶解して、約0.174重量/重量%のNaH2PO4・H2O、約0.711重量/重量%のNa2HPO4・2H2O、及び約1.920重量/重量%のNaClの組成とすることによってPBS-1を調製する。
【0655】
IPC生理食塩水(IPC-25)
コポリマーのポリ(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン-co-2-アミノエチルメタクリレート))(96/4重量/重量)(すなわちポリ(MPC-co-AEM)は、約96重量%のMPCと、約4重量%のAEMと、約0.02重量%のVazo56[2、2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩]と、約0.1重量%の連鎖移動剤(HS-CH2CH2OH)と、を含む重合性組成物を、水中で、約60℃で約2時間、次いで20℃で約2時間熱重合することにより調製される。得られたポリ(MPC-co-AEM)(固形分含有量が約10%の水溶液)は、約0.22meq/gのアミン官能価を有すると決定される。
【0656】
約75重量%の上記で調製したポリ(MPC-co-AEM)溶液、約4.6重量%のPAE溶液(Ashlandから水溶液として購入し、そのままで使用した)、約20重量%のリン酸塩溶液(約0.22重量のNaH2PO4・H2O、0.9重量%のNa2HPO4・2H2O)を混合し、1NのNaOHによってpHを約7.3に調整する。水浴中の混合物を60℃で4時間反応させ、水溶性熱架橋性ポリマー材料(すなわち「パッケージ内架橋剤」又は「IPC剤」)を形成する。水浴から混合物を取り出し、室温の水浴内で冷却する。PBS-1及び水を用いて混合物を約10倍に希釈し、必要に応じてpHを約7.3に調整する。最終的なIPC生理食塩水はまた、低濃度の過酸化物(例えば5ppm)及びクエン酸ナトリウム二水和物(例えば、0.07%)を含有してもよい。0.22μmのPES無菌フィルタユニットによって混合物を濾過する。
【0657】
リン酸緩衝溶液(PB:約15mM、pH:約7.8)
PBは、NaH2PO4・H2O及びNa2HPO4・2H2Oを所与の体積の精製水(蒸留又は脱イオン)中に溶解して、約0.028重量/体積%のNaH2PO4・H2O、及び約0.231重量/体積%のNa2HPO4・2H2Oの組成とし、最終溶液pHを約7.8とすることによって調製する。
【0658】
水勾配SiHyコンタクトレンズ(レンズ21-1)(対照)の調製
水勾配SiHyコンタクトレンズ(レンズ21-1)は、以下のようにベースコーティングを形成するための唯一のディップコーティング工程を含む方法に従って調製する。
【0659】
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで180分間抽出し、上記で調製したPMAA-1中で約50分又は1時間ディップコーティングし、PrOH/水(55/45)中で約25分間すすぎ洗いし、PBで約50~60分間すすぎ洗いし、続いて0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。
【0660】
水勾配SiHyコンタクトレンズ(レンズ21-2)の調製
水勾配SiHyコンタクトレンズ(レンズ21-2)は、以下のように、ベースコーティングを形成するため、少なくとも2つのディップコーティング工程と、ディップコーティング工程の各対の間に1つの緩衝生理食塩水すすぎ工程と、を含む方法に従って調製される。
【0661】
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで180分間抽出し、上記で調製されたPMAA-1中で約25分間ディップコーティングし、PB中で約10分間すすぎ洗いし、脱イオン(DI)H2O中で約10分間すすぎ洗いし、続いて再びPMAA-1中で約25分間ディップコーティングし、PBで2回、それぞれ25分間すすぎ洗いする。続いて、0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。
【0662】
得られた水勾配SiHyコンタクトレンズの特性評価
得られた水勾配SiHyコンタクトレンズを、実施例1に記載の手順に従い、摩擦評点による潤滑性、PU、及びスダンブラック(SB)染色試験によるコーティングの無傷性の特性に関して試験する。WBUTは、以下の修正を含んだ実施例に記載される手順に従い測定する。レンズを試験管から取り出し、PBS中に沈めた台座上に配置する、続いて台座をPBS溶液の外に引き上げ(t=0)、ビデオカメラがレンズ表面から流れ落ちる流体を監視する、レンズ表面の流体が崩壊したときに、このWBUT時間を記録する。任意選択的に、ストップウォッチを用いて、台座をPBS溶液の外に引き上げた時と、レンズ表面の流体が崩壊した時と、の間の時間を測定してもよい。台座が引き上げられると、PBSの表面下にあるレンズが引っ張られる。レンズあたり少なくとも3つの点を測定し、少なくとも3つのレンズを測定して、各レンズ群の平均WBUT測定値を得る。
【0663】
レンズを、実施例1に記載される手順に従って、パッケージから取り出したままの状態で(DOOP)、又は30サイクルの指擦り処理(30 DRT)に供した後に、若しくはシミュレートされた研磨サイクリング処理(SACT)に供した後に試験する。結果を表14で報告する。
【0664】
【0665】
表14の結果は、両方の方法が、良好な潤滑性(約0の摩擦評点)を有する水勾配SiHyコンタクトレンズを生成できることを示す。しかし、本発明の方法は、30サイクルの指擦り処理後のスダンブラック染色試験を合格すること(SB染色なし)によって、且つ、シミュレートされた研磨サイクリング処理後により長いWBUTを有することによって示されるように、対照法によって製造されたレンズと比較してより耐久性の高いヒドロゲルコーティングをその上に有する水勾配コンタクトレンズ(レンズ21-2)を製造するように使用することができる。
【0666】
実施例22
SBC溶液:0.1%重炭酸ナトリウムすすぎ溶液
SBCすすぎ溶液は、約0.1重量/重量%のNaHCO3の組成を有するように、所与の体積の精製水(蒸留又は脱イオン)中に重炭酸ナトリウムを溶解させることによって調製される。
【0667】
水勾配SiHyコンタクトレンズ(レンズ22-1)(対照)の調製
水勾配SiHyコンタクトレンズ(レンズ22-1)は、以下のようにベースコーティングを形成するための唯一のディップコーティング工程を含む方法に従って調製する。
【0668】
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで180分間抽出し、実施例21で調製したPMAA-1中で約50分又は1時間ディップコーティングし、SBC中で約50~60分間すすぎ洗いし、続いて実施例21で調製した0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。
【0669】
水勾配SiHyコンタクトレンズ(レンズ22-2)の調製
水勾配SiHyコンタクトレンズ(レンズ22-2)は、以下のように、ベースコーティングを形成するため、少なくとも2つのディップコーティング工程と、ディップコーティング工程の各対の間に1つの生理食塩水すすぎ工程と、を含む方法に従って調製される。
【0670】
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにn-プロパノール(nPA)で180分間抽出し、実施例21で調製されたPMAA-1中で約25分間ディップコーティングし、SBC中で約10分間すすぎ洗いし、DI H2O中で約10分間すすぎ洗いし、続いて再びPMAA-1中で約25分間ディップコーティングし、SBCで2回、それぞれ25分間すすぎ洗いする。続いて、0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。
【0671】
得られた水勾配SiHyコンタクトレンズの特性評価
得られた水勾配SiHyコンタクトレンズを、実施例1に記載の手順に従い、摩擦評点による潤滑性、PU、及びスダンブラック(SB)染色試験によるコーティングの無傷性の特性に関して試験する。WBUTは、実施例21に記載の手順に従って測定する。
【0672】
レンズを、実施例1に記載される手順に従って、パッケージから取り出したままの状態で(DOOP)、又は30サイクルの指擦り処理(30 DRT)に供した後に試験する。結果を表15で報告する。
【0673】
【0674】
表15の結果は、両方の方法が、良好な潤滑性(約0の摩擦評点)を有する水勾配SiHyコンタクトレンズを生成できることを示す。しかし、本発明の方法は、30サイクルの指擦り処理後のスダンブラック染色試験を合格すること(SB染色なし)によって示されるように、対照法によって製造されたレンズと比較してより耐久性の高いヒドロゲルコーティングをその上に有する水勾配コンタクトレンズ(レンズ22-2)を製造するように使用することができる。
【0675】
実施例23
PMAA溶液(PMAA-2):
ポリメタクリル酸(PMAA)の溶液は、適量のPMAA(Mn:約400~600kDa(ProChem製))をPrOH/水(50重量%の水)混合物に添加して、約0.04重量%の濃度とすることによって調製される。PMAAが完全に溶解した後、硫酸をPMAA溶液に添加することによってpHを約2に調整する。調製されたPMAA溶液を濾過して一切の微粒子又は異物を除去する。
【0676】
SBC溶液:0.1%重炭酸ナトリウムすすぎ溶液
SBCすすぎ溶液は、約0.1重量/重量%のNaHCO3の組成を有するように、所与の体積の精製水(蒸留又は脱イオン)中に重炭酸ナトリウムを溶解させることによって調製される。
【0677】
水勾配SiHyコンタクトレンズ(レンズ23-1)(対照)の調製
水勾配SiHyコンタクトレンズ(レンズ23-1)は、以下のようにベースコーティングを形成するための唯一のディップコーティング工程を含む方法に従って調製する。
【0678】
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで180分間抽出し、上記で調製したPMAA-2中で約50分又は1時間ディップコーティングし、SBC中で約50~60分間すすぎ洗いし、続いて0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。
【0679】
水勾配SiHyコンタクトレンズ(レンズ23-2)の調製
水勾配SiHyコンタクトレンズ(レンズ23-2)は、以下のように、ベースコーティングを形成するため、少なくとも2つのディップコーティング工程と、ディップコーティング工程の各対の間に1つの生理食塩水すすぎ工程と、を含む方法に従って調製される。
【0680】
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで180分間抽出し、上記で調製されたPMAA-2中で約25分間ディップコーティングし、SBC中で約10分間すすぎ洗いし、DI H2O中で約10分間すすぎ洗いし、続いて再びPMAA-2中で約25分間ディップコーティングし、SBCで2回、それぞれ25分間すすぎ洗いする。続いて、0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。
【0681】
得られた水勾配SiHyコンタクトレンズの特性評価
得られた水勾配SiHyコンタクトレンズを、実施例1に記載の手順に従い、摩擦評点による潤滑性、PU、及びスダンブラック(SB)染色試験によるコーティングの無傷性の特性に関して試験する。WBUTは、実施例21に記載の手順に従って測定する。
【0682】
レンズを、実施例1に記載される手順に従って、パッケージから取り出したままの状態で(DOOP)、又は30サイクルの指擦り処理(30 DRT)に供した後に、若しくはシミュレートされた研磨サイクリング処理(SACT)に供した後に試験する。結果を表16で報告する。
【0683】
【0684】
表16の結果は、両方の方法が、良好な潤滑性(約0の摩擦評点)を有する水勾配SiHyコンタクトレンズを生成できることを示す。しかし、本発明の方法は、30サイクルの指擦り処理後のスダンブラック染色試験を合格すること(SB染色なし)によって、且つ、シミュレートされた研磨サイクリング処理後により長いWBUTを有することによって示されるように、対照法によって製造されたレンズと比較してより耐久性の高いヒドロゲルコーティングをその上に有する水勾配コンタクトレンズ(レンズ23-2)を製造するように使用することができる。
【0685】
実施例24
PMAA溶液(PMAA-2):
ポリメタクリル酸(PMAA)の溶液は、適量のPMAA(Mn:約400~600kDa(ProChem製))をnPA/水(50重量%の水)混合物に添加して、約0.04重量%の濃度とすることによって調製される。PMAAが完全に溶解した後、硫酸をPMAA溶液に添加することによってpHを約2に調整する。調製されたPMAA溶液を濾過して一切の微粒子又は異物を除去する。
【0686】
SBC溶液:0.1%重炭酸ナトリウムすすぎ溶液
SBCすすぎ溶液は、約0.1重量/重量%のNaHCO3の組成を有するように、所与の体積の精製水(蒸留又は脱イオン)中に重炭酸ナトリウムを溶解させることによって調製される。
【0687】
水勾配SiHyコンタクトレンズ(レンズ24-1)の調製
水勾配SiHyコンタクトレンズ(レンズ24-1)は、以下のように、ベースコーティングを形成するため、少なくとも2つのディップコーティング工程と、ディップコーティング工程の各対の間に1つの生理食塩水すすぎ工程と、を含む方法に従って調製される。
【0688】
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで180分間抽出し、上記で調製されたPMAA-2中で約25分間ディップコーティングし、SBC中で約10分間すすぎ洗いし、DI H2O中で約10分間すすぎ洗いし、続いて再びPMAA-2中で約25分間ディップコーティングし、SBCで2回、それぞれ25分間すすぎ洗いする。続いて、実施例21で調製された0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。
【0689】
水勾配SiHyコンタクトレンズ(レンズ24-2)
水勾配SiHyコンタクトレンズ(レンズ24-2)は、以下のように、ベースコーティングを形成するため、少なくとも2つのディップコーティング工程と、ディップコーティング工程の各対の間に1つの生理食塩水すすぎ工程と、を含む方法に従って調製される。
【0690】
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで180分間抽出し、上記で調製されたPMAA-2中で約25分間ディップコーティングし、SBC中で約20分間すすぎ洗いし、DI H2O中で約10分間すすぎ洗いし、続いて再びPMAA-2中で25分間ディップコーティングし、SBCで2回、それぞれ25分間すすぎ洗いする。続いて、0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。
【0691】
得られた水勾配SiHyコンタクトレンズの特性評価
得られた水勾配SiHyコンタクトレンズを、実施例1に記載の手順に従い、摩擦評点による潤滑性、PU、及びスダンブラック(SB)染色試験によるコーティングの無傷性の特性に関して試験する。WBUTは、実施例21に記載の手順に従って測定する。
【0692】
レンズを、実施例1に記載される手順に従って、パッケージから取り出したままの状態で(DOOP)、又は30サイクルの指擦り処理(30 DRT)に供した後に、若しくはシミュレートされた研磨サイクリング処理(SACT)に供した後に試験する。結果を表17で報告する。
【0693】
【0694】
表17の結果は、2つのディップコーティング工程の間により長い生理食塩水すすぎ工程を含む方法に従って製造されるレンズ24-2に対するシミュレートされた研磨サイクリング試験の後により長いWBUTを有することによって示されるように、生理食塩水すすぎ工程の持続時間が、耐久性にある程度の影響を及ぼし得ることを示す。
【0695】
実施例25
重合性組成物の調製
レンズ配合物(重合性組成物)は、以下の組成(単位部)を有するように調製される:MSi1(34)、GA(6)、NVP(40)、MMA(9)、EGMA(10.2)、TEGDMA(0.4)、AMA(0.1)、Norbloc(1.8)、Vazo 64(0.5)、RB 247(0.01)、及びTAA(1)。列記された成分をその目標量で清浄な瓶に添加し、室温下で攪拌棒を用いて600rpmで30分間混合することによって配合物を調製する。全ての固形分が溶解した後で、2.7μmのガラスマイクロファイバフィルタ(GMF)を用いることによって配合物の濾過を実施する。
【0696】
キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ
SiHyコンタクトレンズは、実施例4に記載されるとおりにキャスト成形する。
【0697】
非コーティングのSiHyコンタクトレンズの特性評価
得られたSiHyコンタクトレンズを、レンズの特性評価の前に、実施例4に記載される成形後プロセスに供する。SiHyレンズは、約93barrerの酸素透過度、約0.69MPaのバルク弾性率、約52重量%の含水率、0秒のWBUT、及び4の摩擦評点を有する。
【0698】
PAAベースコーティングを含むSiHyレンズ
それぞれPAAベースコーティングをその上に有するSiHyコンタクトレンズは、実施例4に記載されたとおりに調製する。
【0699】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
上記のように調製された、PAAベースコーティングをその上に有するSiHyコンタクトレンズを、実施例4で調製された0.55mL又は0.65mLのIPC-2生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル内に入れる(シェルあたり1レンズ)(生理食塩水の約半分は、レンズを挿入する前に添加してもよい)。続いてブリスタをホイルで密封し、約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。
【0700】
水勾配SiHyコンタクトレンズの表面特性
得られた水勾配SiHyコンタクトレンズは、パッケージから取り出したままの状態で潤滑性であり(1の摩擦評点を有する)、10秒を超えるWBUTと、約30度の液滴(静的)による水接触角と、約9μg/レンズのPU(ポリクオタニウム-1取り込み率)と、を有する。
【0701】
実施例26
PMAA溶液(PMAA-1)
ポリメタクリル酸(PMAA)の溶液は、適量のPMAA(Mn:約400~600kDa(ProChem製))をPrOH/水(50重量%の水)混合物に添加して、約0.04重量%の濃度とすることによって調製される。PMAAが完全に溶解した後、ギ酸をPMAA溶液に添加することによってpHを約2に調整する。調製されたPMAA溶液を濾過して一切の微粒子又は異物を除去する。
【0702】
リン酸緩衝溶液PB-1a、-1b、及び-1c
約7.1のpH、及び約23mMのリン酸塩を有するPB-1aは、約0.236%のNa2HPO4・2H2O、及び0.134%のNaH2PO4・H2Oを水に溶解させることによって調製される。約7.1のpH、及び約11.5mMのリン酸塩を有するPB-1bは、約0.118%のNa2HPO4・2H2O、及び0.067%のNaH2PO4・H2Oを水に溶解させることによって調製される。約7.1のpH、及び約5.8mMのリン酸塩を有するPB-1cは、約0.059%のNa2HPO4・2H2O、及び0.034%のNaH2PO4・H2Oを水に溶解させることによって調製される。
【0703】
IPC生理食塩水を調製するためのリン酸緩衝生理食塩水溶液(PBS-1)
NaH2PO4・H2O、Na2HPO4・2H2Oを所定量の精製水(蒸留又は脱イオン)に溶解して、約0.174重量/重量%のNaH2PO4・H2O、約0.711重量/重量%のNa2HPO4・2H2O、及び約1.920重量/重量%のNaClの組成とすることによってPBS-1を調製する。
【0704】
IPC生理食塩水(IPC-25)
実施例21で調製したIPC-25生理食塩水をこの実施例で使用する。
【0705】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで180分間抽出し、上記で調製したPMAA-1中で約50分又は1時間ディップコーティングし、nPA/水(55/45)中で約25分間すすぎ洗いし、上記で調製したPB-1a、又はPB-1b、又はPB-1cで約50~60分間すすぎ洗いし、続いて0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。
【0706】
得られた水勾配SiHyコンタクトレンズはかなり滑らかであり(0の摩擦評点を有する)、それぞれPB-1a、PB-1b、PB-1cですすぎ洗いした場合、ジオプター-3.00を有するレンズの場合は、0.35±0.03、0.43±0.04、0.52±0.07μg/レンズ、及びジオプター-12.00を有するレンズの場合は0.21±0.02、0.26±0.00、0.52±0.07μg/レンズのPU(ポリクオタニウム-1取り込み率)である。
【0707】
実施例27
リン酸緩衝溶液PB-2a、-2b、及び-2c
約7.5のpH、及び約23mMのリン酸塩を有するPB-2aは、約0.312%のNa2HPO4・2H2O、及び0.076%のNaH2PO4・H2Oを水に溶解させることによって調製される。約7.5のpH、及び約11.5mMのリン酸塩を有するPB-2bは、約0.156%のNa2HPO4・2H2O、及び0.038%のNaH2PO4・H2Oを水に溶解させることによって調製される。約7.5のpH、及び約5.8mMのリン酸塩を有するPB-2cは、約0.078%のNa2HPO4・2H2O、及び0.019%のNaH2PO4・H2Oを水に溶解させることによって調製される。
【0708】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで180分間抽出し、実施例26で調製したPMAA-1中で約50分又は1時間ディップコーティングし、PrOH/水(55/45)中で約25分間すすぎ洗いし、上記で調製したPB-2a、PB-2b、PB-2cで約50~60分間すすぎ洗いし、続いて実施例26で調製した0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。得られた水勾配SiHyコンタクトレンズはかなり滑らかであり(0の摩擦評点を有する)、それぞれPB-2a、PB-2b、PB-2cですすぎ洗いした場合、ジオプター-3.00を有するレンズの場合は、0.24±0.13、0.32±0.05、0.38±0.05μg/レンズ、及びジオプター-12.00を有するレンズの場合は0.11±0.03、0.16±0.04、0.18±0.01μg/レンズのPU(ポリクオタニウム-1取り込み率)である。
【0709】
実施例28
リン酸緩衝溶液(PB-3)
Di水中の約0.077重量/重量%のNaH2PO4・H2O、約0.48重量/重量%のNa2HPO4・2H2OによってPB-3(約23mM、pH約7.4)を調製する。
【0710】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで180分間抽出し、実施例26で調製したPMAA-1溶液中で約50分又は1時間ディップコーティングし、PrOH/水(55体積%/45体積%)中で約25分間すすぎ洗いし、上記で調製したPB-3で約50~60分間すすぎ洗いし、続いて実施例26で調製した0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。得られた水勾配SiHyコンタクトレンズはかなり滑らかであり(0の摩擦評点を有する)、PU(ポリクオタニウム-1取り込み率)は0.19±0.06μg/レンズである(n=6)。
【0711】
実施例29
PMAA溶液(PMAA-2)
ポリメタクリル酸(PMAA)の溶液は、適量のPMAA-2(Mn:約400~600kDa(ProChem製))をPrOH/水(60重量%の水)混合物に添加して、約0.04重量%の濃度とすることによって調製される。PMAAが完全に溶解した後、ギ酸をPMAA溶液に添加することによってpHを約2に調整する。調製されたPMAA溶液を濾過して一切の微粒子又は異物を除去する。
【0712】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで180分間抽出し、上記で調製したPMAA-2溶液中で約50分又は1時間ディップコーティングし、PrOH/水(60体積%/40体積%)中で約25分間すすぎ洗いし、実施例28で調製したPB-3で約50~60分間すすぎ洗いし、続いて実施例26で調製した0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。得られた水勾配SiHyコンタクトレンズはかなり滑らかであり(0の摩擦評点を有する)、PU(ポリクオタニウム-1取り込み率)は0.20±0.04μg/レンズである(n=6)。
【0713】
実施例30
リン酸緩衝溶液(PB-4:約15mM、pH:約8.2)
NaH2PO4・H2O、及びNa2HPO4・2H2Oを所定量の精製水(蒸留又は脱イオン)に溶解して、約0.044重量/重量%のNaH2PO4・H2O、及び約0.388重量/重量%のNa2HPO4・2H2Oの組成とすることによってPB-4を調製する。完全に溶解した後、添加によってpHを8.2に調整する。
【0714】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで180分間抽出し、実施例26で調製したPMAA-1溶液中で約50分又は1時間ディップコーティングし、上記で調製したPB-4で約50~60分間すすぎ洗いし、続いて実施例26で調製した0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。得られた水勾配SiHyコンタクトレンズはかなり滑らかであり(0の摩擦評点を有する)、PU(ポリクオタニウム-1取り込み率)は0.13±0.05μg/レンズである(n=12)。
【0715】
実施例31
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで180分間抽出し、実施例26で調製したPMAA-1溶液中で約50分又は1時間ディップコーティングし、実施例28で調製したPB-3で約50~60分間すすぎ洗いし、続いて実施例26で調製した0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。得られた水勾配SiHyコンタクトレンズはかなり滑らかであり(0の摩擦評点を有する)、PU(ポリクオタニウム-1取り込み率)は0.38±0.04μg/レンズである(n=12)。
【0716】
実施例32
PMAA溶液(PMAA-3)の調製
異なるPMAA原料(Mw:約800kDa(GEO Specialty Chemicals,Inc製))を用いることを除けば実施例26で示されたものと同じ調製手順。
【0717】
IPC生理食塩水を調製するためのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)
実施例26と同じ手順を用いて調製する。
【0718】
リン酸緩衝溶液(PB-5:15mM、pH:7.8)
NaH2PO4・H2O、及びNa2HPO4・2H2Oを所定量の精製水(蒸留又は 脱イオン)に溶解して、約0.028重量/体積%のNaH2PO4・H2O、及び約0.231重量/体積%のNa2HPO4・2H2Oの組成とし、最終溶液pHを約7.8することによってPB-5を調製する。
【0719】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで180分間抽出し、上記で調製したPMAA-3溶液中で約50分又は1時間ディップコーティングし、PrOH/水(55体積%/45体積%)中で約25分間すすぎ洗いし、上記で調製したPB-5で約50~60分間すすぎ洗いし、続いて実施例26で調製した0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング及び密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。得られた水勾配SiHyコンタクトレンズはかなり滑らかであり(0の摩擦評点を有する)、PU(ポリクオタニウム-1取り込み率)は0.17±0.04μg/レンズである(n=18)。
【0720】
実施例33
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで210分間抽出し、実施例32で調製したPMAA-3溶液中で約70~80分間ディップコーティングし、PrOH/水(50体積%/50体積%)中で約25分間すすぎ洗いし、実施例32で調製したPB-5で約50~60分間すすぎ洗いし、上記の溶液の温度は全て21~23℃である。続いて、レンズを、実施例26で調製された0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。得られた水勾配SiHyコンタクトレンズは0.40±0.05μg/レンズのPU(ポリクオタニウム-1取り込み率)を有する(n=6)。
【0721】
実施例34
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで210分間抽出し、実施例32で調製したPMAA-3溶液中で約70~80分間ディップコーティングし、PrOH/水(50体積%/50体積%)中で約25分間すすぎ洗いし、実施例32で調製したPB-5で約50~60分すすぎ洗いし、上記の溶液の温度は全て24~26℃である。続いて、レンズを、実施例26で調製された0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。得られた水勾配SiHyコンタクトレンズは0.37±0.07μg/レンズのPU(ポリクオタニウム-1取り込み率)を有する(n=6)。
【0722】
実施例35
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで210分間抽出し、実施例32で調製したPMAA-3溶液中で約70~80分間ディップコーティングし、PrOH/水(50/50)中で約25分間すすぎ洗いし、実施例32で調製したPB-5で約50~60分間すすぎ洗いし、上記の溶液の温度は全て18~20℃である。続いて、レンズを、実施例26で調製された0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。得られた水勾配SiHyコンタクトレンズは0.33±0.07μg/レンズのPU(ポリクオタニウム-1取り込み率)を有する(n=6)。
【0723】
実施例36
リン酸緩衝(PB-6)
NaH2PO4・H2O、及びNa2HPO4・2H2Oを所定量の精製水(蒸留又は脱イオン)に溶解して、約0.041重量/体積%のNaH2PO4・H2O、及び約0.214重量/体積%のNa2HPO4・2H2Oの組成とすることによってPB-6を調製する。
【0724】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで210分間抽出し、実施例32で調製したPMAA-3溶液中で約70~80分間ディップコーティングし、PrOH及びPMAA溶液の温度は24~26℃である。続いてPrOH/水(50体積%/50体積%)中で約25分間すすぎ洗いし、上記で調製したPB-6で約50~60分間すすぎ洗いし、すすぎ及びPB溶液の温度は21~23℃である。続いて、レンズを、実施例26で調製された0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。得られた水勾配SiHyコンタクトレンズはかなり滑らかであり(0の摩擦評点を有する)、PU(ポリクオタニウム-1取り込み率)は0.46±0.09μg/レンズである(n=6)。
【0725】
実施例37
IPC生理食塩水(IPC-26)
75重量%の実施例26で調製したMPC含有コポリマー溶液と、約4重量%のPAE溶液と、約15重量%のリン酸塩溶液(約0.31重量%のNaH2PO4・H2O、1.24重量%のNa2HPO4・2H2O)と、を混合し、1NのNaOHによってpHを約7.3に調整する。水浴中の混合物を62℃~63℃で4時間15分間反応させ、水溶性熱架橋性ポリマー材料(すなわち「パッケージ内架橋剤」又は「IPC剤」)を形成する。水浴から混合物を取り出し、室温の水浴内で冷却する。実施例26で調製したPBS-1及び水を用いて混合物を約10倍に希釈し、必要に応じてpHを約7.3に調整する。最終的なIPC生理食塩水はまた、低濃度の過酸化物(例えば5ppm)及びクエン酸ナトリウム二水和物(例えば、0.07%)を含有してもよい。0.22μmのPES無菌フィルタユニットによって混合物を濾過する。
【0726】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで210分間抽出し、実施例32で調製したPMAA-3溶液中で約70~80分間ディップコーティングし、PrOH及びPMAA溶液の温度は24~26℃である。続いてPrOH/水(50/50)中で約25分間すすぎ洗いし、実施例36で調製したPB-6で約50~60分間すすぎ洗いし、すすぎ及びPB溶液の温度は21~23℃である。続いて、レンズを、0.65mLのIPC-26生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-26生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。得られた水勾配SiHyコンタクトレンズはかなり滑らかであり(0の摩擦評点を有する)、PU(ポリクオタニウム-1取り込み率)は0.43±0.06μg/レンズである(n=6)。
【0727】
実施例38
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで180分間抽出し、実施例32で調製したPMAA-3溶液中で約50~60分間ディップコーティングする。PrOH/水(55体積%/45体積%)中で約25分間すすぎ洗いし、続いて実施例32で調製したPB-5で約50~60分間すすぎ洗いする。PrOH、PMAA、及びすすぎ溶液の温度は約21~23℃であり、PB溶液の温度は約24~26℃である。続いて、レンズを、実施例26で調製された0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。得られた水勾配SiHyコンタクトレンズはかなり滑らかであり(0の摩擦評点を有する)、PU(ポリクオタニウム-1取り込み率)は0.27±0.03μg/レンズである(n=6)。
【0728】
実施例39
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで180分間抽出し、実施例32で調製したPMAA-3溶液中で約50~60分間ディップコーティングする。PrOH/水(55/45)中で約25分間すすぎ洗いし、続いて実施例32で調製したPB-5で約50~60分間すすぎ洗いする。PrOH、PMAA、及びすすぎ溶液の温度は約21~23℃であり、PB溶液の温度は約17~19℃である。続いて、レンズを、実施例26で調製された0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。得られた水勾配SiHyコンタクトレンズはかなり滑らかであり(0の摩擦評点を有する)、PU(ポリクオタニウム-1取り込み率)は0.16±0.01μg/レンズである(n=6)。
【0729】
実施例40
SBC溶液:0.1%重炭酸ナトリウムすすぎ溶液
SBCすすぎ溶液は、約0.1重量/重量%のNaHCO3の組成を有するように、所与の体積の精製水(蒸留又は脱イオン)中に重炭酸ナトリウムを溶解させることによって調製される。最終pHを5NのNaOHを用いて8.6に調整する。
【0730】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで180分間抽出し、実施例26で調製したPMAA-1溶液中で約50分ディップコーティングし、SBCで約50分間すすぎ洗いし、続いて実施例26で調製した0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。得られた水勾配SiHyコンタクトレンズはかなり滑らかであり(0の摩擦評点を有する)、PU(ポリクオタニウム-1取り込み率)は0.25±0.04μg/レンズである(n=6)。
【0731】
実施例41
PMAA溶液(PMAA-4)の調製
PMAAを使用することが0.02%であることを除いて、実施例26に示すものと同じ調製手順。
【0732】
SBC-1溶液:0.1%重炭酸ナトリウムすすぎ溶液
SBC-1すすぎ溶液は、約0.1重量/重量%のNaHCO3の組成を有するように、所与の体積の精製水(蒸留又は脱イオン)中に重炭酸ナトリウムを溶解させることによって調製される。最終pHを5NのNaOHを用いて約9に調整する。
【0733】
水勾配SiHyコンタクトレンズ
離型後、キャスト成形されたSiHyコンタクトレンズ(実施例3で調製)を、レンズ抽出のためにPrOHで180分間抽出し、上記で調製したPMAA-4溶液中で約50分ディップコーティングし、上記で調製したSBC-1で約50分間すすぎ洗いし、続いて実施例26で調製した0.65mLのIPC-25生理食塩水と共にポリプロピレンのレンズパッケージングシェル(ブリスタ)内にパッケージング/密封する(IPC-25生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に添加する)。密封したレンズパッケージを約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわち、ヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コーティングの均一性又は無傷性はスダンブラック色素試験によって試験され、コーティングはスダンブラック色素試験を合格した。得られた水勾配SiHyコンタクトレンズはかなり滑らかであり(0の摩擦評点を有する)、PU(ポリクオタニウム-1取り込み率)は0.13±0.04μg/レンズである(n=3)。
【0734】
実施例42
ナノ押込試験を、実施例1に記載される手順に従って、ヒドロゲルコーティングをその上に全く含まない8つの異なるコンタクトレンズ、及び4つの水勾配SiHyコンタクトレンズ:ACUVUE2(登録商標)(Johnson &Johnsonから市販される非コーティング非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ)、ACUVUE(登録商標)Oasys(Johns&Johnsonから市販される非コーティングSiHyコンタクトレンズ)、Biofinity(登録商標)(CooperVisionから市販される非コーティングSiHyコンタクトレンズ)、MyDay(登録商標)(CooperVisionから市販される非コーティングSiHyコンタクトレンズ)、表面処理を全く施していないdelefilcon Aレンズ(Alcon製DAILIES(登録商標)TOTAL1(登録商標)のSiHyレンズ本体)、AIROPTIX(登録商標)Night&Day(登録商標)(Alconから市販されるプラズマコーティングSiHyコンタクトレンズ)、実施例3の表面処理を全く施していない天然に湿潤性のSiHyコンタクトレンズ、実施例25の非コーティングSiHyコンタクトレンズ、DAILIES(登録商標)TOTAL1(登録商標)(Alconから市販される水勾配SiHyコンタクトレンズ)、実施例25の水勾配SiHyコンタクトレンズ、実施例28の水勾配SiHyレンズ、及び実施例29の水勾配SiHyコンタクトレンズを用いて実施した。試験されたコンタクトレンズの全てが-3.00ジオプターの屈折力を有する。市販のSiHyコンタクトレンズのバルク弾性率(E’)は、製造者によって作成されたデータである(全て参照により全体が本願に組み込まれる、Contact Lens&Anterior Eye 33(2010),210-214のG.Youngの記事の表1、「CooperVision Biofinity Is Fastest Growing Contact Lens Brand In The U.S.」と題する2013年6月17日付のCooperVisionのプレスリリース、「CooperVision Introduces MyDay(登録商標) Lenses in the U.S.」と題する2015年6月25日付のCooperVisionのプレスリリースを参照されたい)。delefilcon A並びに実施例3及び25の非コーティングSiHyレンズ、並びに実施例25、28、及び29の水勾配SiHyコンタクトレンズのバルク弾性率は、実施例1に記載の手順に従って決定される。
【0735】
Biofinity(登録商標)、実施例3の非コーティングSiHyコンタクトレンズ、delefilcon Aレンズ、DAILIES(登録商標)TOTAL1(登録商標)、並びに実施例25、28、及び29の水勾配SiHyコンタクトレンズのナノ押込試験を、9.5μmの先端部半径及び0.500N/mの剛性を有するPiumaプローブを用いて実施し、ACUVUE2(登録商標)、MyDay(登録商標)、AIROPTIX(登録商標)Night&Day(登録商標)、ACUVUE(登録商標)Oasys、及び実施例25の非コーティングSiHyコンタクトレンズのナノ押込試験を、9.0μmの先端部半径及び4.710N/mの剛性を有するPiumaプローブを用いて実施する。
【0736】
400nmの押込深さにおける平均押込力(IF)tを表18に報告する。
【0737】
【0738】
図6は、コンタクトレンズのバルク(ヤング)弾性率の関数としての、400nmの押込深さにおける押込力(即ち、400nmの押込深さでの表面圧縮力)を示す。400nmの押込深さにおける押込力は、ヒドロゲルコーティングをその上に含まないコンタクトレンズに関するバルク弾性率との良好な線形適合を示す。これは、これらの材料が全て類似のポアソン比を有することを意味する。最良の線形適合はY=2.12X-0.38、R
2=0.92である。
【0739】
しかしながら、水勾配コンタクトレンズ(それぞれヒドロゲルコーティングをその上に有する)は同じ傾向に従わず、線形適合の傾向から予測されるものよりもはるかに低い押込力値を有する。表19は、以下の式に基づいて計算された、水勾配コンタクトレンズに関する、400nmの押込深さにおける押込力の減少の値を示し、
【数32】
式中、(IF)
tは、400nmの押込深さにおける水勾配コンタクトレンズの測定された押込力であり、E’は水勾配コンタクトレンズのバルク弾性率である。
【0740】
【0741】
これらの結果は、ヒドロゲルコーティングが、ヒドロゲルコーティングをその上に全く含まない他のコンタクトレンズと比較してレンズ上でより柔軟な表面を形成し、一方で、レンズバルクは高い弾性率を維持することを示す。
【0742】
本明細書の上記で引用された全ての刊行物、特許、及び特許出願公開公報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
前記シリコーンヒドロゲル材料は、少なくとも1つのポリシロキサンビニルモノマー及び/又は少なくとも1つのポリシロキサンビニルクロスリンカーの反復単位と、少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの反復単位と、を備える、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
前記シリコーンヒドロゲル材料は、ビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル又はトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基を有する少なくとも1つのシリコーン含有ビニルモノマーの反復単位を備える、請求項12~14のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
前記内部層又は前記レンズバルク材料は、本質的に硬質ガス透過性レンズ材料から製造された中央光学帯を有し、本質的に非シリコーンヒドロゲル材料から製造された辺縁帯によって包囲された予成形ハイブリッドコンタクトレンズであり、
前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、互いに独立して、完全に水和したときに0.25μm~20μmの厚さを有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
前記前面及び後面外部ヒドロゲル層は、互いに同一であり、厚さが実質的に均一であり、前記コンタクトレンズの縁部で一体化して前記内部層を完全に被覆する、請求項1~29のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
前記2つの移行層のそれぞれが、少なくとも2つのアジリジン基及び2000ダルトン以下の数平均分子量を有するポリアジリジンによって中和及び架橋されるポリアニオン性ポリマーの層である、請求項33~35のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
前記ポリアニオン性ポリマーは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(エチルアクリル酸)、ポリ(アクリル酸-co-メタクリル酸)、ポリ[エチルアクリル酸-co-(メタ)アクリル酸]、ポリ(N,N-2-アクリルアミドグリコール酸)、ポリ[(メタ)アクリル酸-co-アクリルアミド]、ポリ[(メタ)アクリル酸-co-ビニルピロリドン]、ポリ[エチルアクリル酸-co-アクリルアミド]、ポリ[エチルアクリル酸-co-ビニルピロリドン]、ポリ[(メタ)アクリル酸-co-ビニルアセテート]、ポリ[エチルアクリル酸-co-ビニルアセテート]、又はこれらの組み合わせである、請求項36に記載のコンタクトレンズ。
前記ポリアジリジンは、トリメチロールプロパントリス(2-メチル-1-アジリジンプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス(3-アジリジノプロピオネート)、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するビニルクロスリンカーと2-メチルアジリジン若しくはアジリジンとのマイケル反応生成物、又はこれらの組み合わせである、請求項36~40のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
本発明は、一態様では、約0.40又は0.30マイクログラム/レンズ以下(好ましくは約0.20マイクログラム/レンズ以下、より好ましくは約0.15マイクログラム/レンズ以下、更により好ましくは約0.10マイクログラム/レンズ以下、最も好ましくは約0.05マイクログラム/レンズ以下)のポリクオタニウム-1取り込み率(「PU」)と、30サイクルの指擦り処理後、又はシミュレートされた研磨サイクリング処理後に、少なくとも10秒間(好ましくは少なくとも12.5秒間、より好ましくは少なくとも15秒間、更により好ましくは少なくとも17.5秒間、最も好ましくは少なくとも20秒間)の水崩壊時間を有することを特徴とする長時間持続する表面親水性及び湿潤性、並びに/又は2.0以下(好ましくは約1.5以下、より好ましくは約1.0以下、更により好ましくは約0.5以下)の摩擦評点を有することを特徴とする長時間持続する潤滑性と、を有するコンタクトレンズを提供し、コンタクトレンズは、前表面及び反対側の後表面と、前表面から後表面への方向に、前面外部ヒドロゲル層、レンズ材料の内部層、及び後面外部ヒドロゲル層を備える層状構造形態と、を備え、内部層は、約70重量%以下の第1の平衡含水率を有し、互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層が約0.25μm~約25μmの厚さと、第1の平衡含水率よりも高い第2の平衡含水率と、を有し、互いに独立する前面及び後面外部ヒドロゲル層は、少なくとも140%(好ましくは少なくとも170%、より好ましくは少なくとも200%、更により好ましくは少なくとも250%、最も好ましくは少なくとも300%)の水膨張率を有する。好ましくは、コンタクトレンズは、コンタクトレンズを指と指との間で10回擦った後で、暗視野下で目に見える表面亀裂線を実質的に含まない(すなわち3つ未満)か、又は好ましくは全く含まない。