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特開2023-78437同調可能広帯域幅ラジアルラインスロットアンテナ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078437
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】同調可能広帯域幅ラジアルラインスロットアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 25/00 20060101AFI20230530BHJP
   H01Q 13/22 20060101ALI20230530BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
H01Q25/00
H01Q13/22
H01Q21/06
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023052597
(22)【出願日】2023-03-29
(62)【分割の表示】P 2020539193の分割
【原出願日】2019-01-16
(31)【優先権主張番号】62/618,493
(32)【優先日】2018-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/247,398
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516247177
【氏名又は名称】カイメタ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【弁理士】
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】サゼガー モフセン
(72)【発明者】
【氏名】ナサール イブラヒム
(57)【要約】      (修正有)
【課題】同調可能ビームステアリングアンテナの動的帯域幅を拡張する。
【解決手段】アンテナは、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子を有するアパーチャ10を備える。複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子は、無線周波数(RF)放射アンテナ素子の3又は4以上のセットにグループ化されアンテナ素子グループ11を形成し、セットの各々が複数の同調状態を有し、セットの少なくとも2つに関する同調状態が共に組み合わされて、1つのモードで単一のビームを形成するように制御される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子を有するアパーチャを備えたアンテナであって、前記複数のRF放射アンテナ素子は、前記RF放射アンテナ素子の3又は4以上のセットにグループ化され、前記セットの各々が、第1モードで周波数帯域のビームを生成するように別々に制御される、アンテナ。
【請求項2】
前記アンテナ素子の各セットは、複数の同調状態を有し、前記アンテナ素子の3又は4以上のセットのうちの少なくとも2つに関する同調状態が共に組み合わされて、第2のモードでの単一ビームを形成し、前記第2モードが前記第1モードとは異なる、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記アンテナ素子の少なくとも2つのセットの各々は、前記3又は4以上のセットの中の他のセットから別々に同調される異なる共振器設定値を有する、請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
少なくとも2つのビームが同時に生成される、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記素子の3又は4以上のセットが、帯域を共有又は分割する、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記帯域は、送信及び受信サブ帯域を有するKu帯域を備える、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記複数のRF放射アンテナ素子の各々は、前記各RF放射アンテナ素子を制御するための同調可能液晶(LC)材料を備える、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記RF放射アンテナ素子の3又は4以上のセットは、互いに交互配置される、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記RF放射アンテナ素子の複数のセットのRF放射アンテナ素子は、前記アパーチャ内のグループに共に配置され、前記各グループが、前記RF放射アンテナ素子のセットの各々からの1つのRF放射アンテナ素子を備える、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記各グループは、受信サブ帯域での受信と共に使用するための2つのRF放射受信アンテナ素子と、送信サブ帯域での送信と共に使用するための1つの送信RF放射アンテナ素子とを備え、前記送信帯域は、前記2つの異なる受信帯域と異なる、請求項9に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記2つの受信サブ帯域は、別々に且つ同時に動作して、2つの受信ビームを形成する、請求項10に記載のアンテナ。
【請求項12】
前記2つの受信帯域に関連する前記素子のグループは、独立して制御されて別々に動作し、各々が前記送信帯域で動作するように組み合わせ可能であり、各組み合わせが二重受信/送信システムであるようになる、請求項10に記載のアンテナ。
【請求項13】
前記各グループにおいて、第1の受信サブ帯域と共に動作する第1の受信アンテナ素子は、送信アンテナ素子と、第2の受信サブ帯域と共に動作する第2の受信アンテナ素子との間に配置され、前記第1の受信サブ帯域は、前記第2の受信サブ帯域よりも低い周波数を有する、請求項10に記載のアンテナ。
【請求項14】
前記各グループにおいて、送信アンテナ素子は、第1の受信サブ帯域と共に動作する第1の受信アンテナ素子と、第2受信サブ帯域と共に動作する第2の受信アンテナ素子との間に存在する、請求項10に記載のアンテナ。
【請求項15】
前記各グループにおいて、第1の受信サブ帯域と共に動作する第1の受信アンテナ素子は、送信アンテナ素子と、第2の受信サブ帯域と共に動作する第2の受信アンテナ素子との間に配置され、前記第1の受信サブ帯域は、前記第2の受信サブ帯域よりも高い周波数を有する、請求項10に記載のアンテナ。
【請求項16】
前記各グループにおいて、第1の受信サブ帯域と共に動作する第1の受信アンテナ素子、送信アンテナ素子、及び第2の受信サブ帯域と共に動作する第2の受信アンテナ素子は、互いに隣接して配置され、前記送信アンテナ素子が、前記第1及び第2の受信アンテナ素子と平行な軸に沿って前記アパーチャの中心に向けてシフトされる、請求項10に記載のアンテナ。
【請求項17】
前記各グループにおいて、第1の受信サブ帯域と共に動作する第1の受信アンテナ素子、送信アンテナ素子、及び第2の受信サブ帯域と共に動作する第2の受信アンテナ素子は、互いに隣接して配置され、前記送信アンテナ素子が、前記第1及び第2の受信アンテナ素子と平行な軸に沿って前記アパーチャの中心に対して外向きにシフトされる、請求項10に記載のアンテナ。
【請求項18】
前記各グループ内の前記RF放射アンテナ素子及び前記素子のグループは、相互結合を制御するように配置される、請求項9に記載のアンテナ。
【請求項19】
複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子を有するアパーチャを備えたアンテナであって、前記複数のRF放射アンテナ素子は、前記RF放射アンテナ素子の3又は4以上のセットにグループ化され、アンテナ素子の前記セットの各々が複数の同調状態を有し、前記アンテナ素子の3又は4以上のセットのうちの少なくとも2つに関する同調状態が共に組み合わされて、1つのモードでの単一ビームを形成する、
ことを特徴とするアンテナ。
【請求項20】
前記アンテナ素子のうちの少なくとも2つのセットは、受信素子のセットを備え、同調状態が組み合わされて、単一の受信ビームを形成する、請求項19に記載のアンテナ。
【請求項21】
前記アンテナ素子の少なくとも2つのセットの各々は、前記3又は4以上のセットの中の他のセットから別々に同調される異なる共振器設定値を有する、請求項19に記載のアンテナ。
【請求項22】
前記RF放射アンテナ素子の3又は4以上のセットを使用して、少なくとも2つのビームが同時に生成される、請求項19に記載のアンテナ。
【請求項23】
前記RF放射アンテナ素子の3又は4以上のセットは、互いに交互配置される、請求項19に記載のアンテナ。
【請求項24】
前記RF放射アンテナ素子の複数のセットのRF放射アンテナ素子は、前記アパーチャ内のグループに共に配置され、前記各グループが、前記RF放射アンテナ素子のセットの各々からの1つのRF放射アンテナ素子を備える、請求項19に記載のアンテナ。
【請求項25】
前記各グループにおいて、第1の受信サブ帯域と共に動作する第1の受信アンテナ素子は、送信アンテナ素子と、第2の受信サブ帯域と共に動作する第2の受信アンテナ素子との間に配置され、前記第1の受信サブ帯域は、前記第2の受信サブ帯域よりも低い周波数を有する、請求項24に記載のアンテナ。
【請求項26】
前記各グループにおいて、送信アンテナ素子は、第1の受信サブ帯域と共に動作する第1の受信アンテナ素子と、第2受信サブ帯域と共に動作する第2の受信アンテナ素子との間に存在する、請求項24に記載のアンテナ。
【請求項27】
前記各グループにおいて、第1の受信サブ帯域と共に動作する第1の受信アンテナ素子は、送信アンテナ素子と、第2の受信サブ帯域と共に動作する第2の受信アンテナ素子との間に配置され、前記第1の受信サブ帯域は、前記第2の受信サブ帯域よりも高い周波数を有する、請求項24に記載のアンテナ。
【請求項28】
複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子を有するアパーチャを備えたアンテナ装置であって、様々なサイズの前記複数のRF放射アンテナ素子は、3又は4以上の周波数帯域においてビームを生成するためLC同調構成要素を使用して独立して制御される、
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項29】
前記複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子は、前記アパーチャに組み合わされた少なくとも3つの空間的に交互配置されたアンテナサブアレイを有する複数の電子的にステアリング可能な平面アンテナを備え、
前記複数の電子的にステアリング可能な平面アンテナは、別個の周波数で独立して且つ同時に動作し、前記少なくとも3つのアンテナサブアレイの各々は、アンテナ素子の同調可能スロット付きアレイを備える、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記少なくとも3つの空間的に交互配置されたアンテナサブアレイは、前記送信サブアレイ及び少なくとも2つの受信サブアレイのうちの少なくとも1つを備える、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記送信サブアレイ及び少なくとも2つの受信サブアレイのうちの少なくとも1つの各々のRF放射アンテナ素子は、互いに比較して異なる物理的サイズを有する、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記複数のRF放射アンテナは、前記アパーチャ内のグループに共に配置されたRF放射アンテナ素子の複数のセットを備え、前記グループの各々が、前記RF放射アンテナ素子のセットの各々からの1つのRF放射アンテナ素子を備える、請求項28に記載の装置。
【請求項33】
前記アンテナ素子の各セットは、複数の同調状態を有し、前記アンテナ素子の3又は4以上のセットのうちの少なくとも2つに関する同調状態が共に組み合わされて、1つのモードでの単一ビームを形成する、請求項28に記載の装置。
【請求項34】
前記アンテナ素子の少なくとも2つのセットは、受信素子のセットを備え、同調状態が組み合わされて、単一の受信ビームを形成する、請求項33に記載のアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、「BROAD TUNABLE BANDWIDTH RADIAL LINE SLOT ANTENNA(同調可能広帯域幅ラジアルラインスロットアンテナ)」という名称の、2018年1月17日に出願された対応の米国仮特許出願第62,618,493号及び2019年1月14日に出願された米国本特許出願第16/247,398号に対する優先権を主張し、これらを引用により組み込む。
【0002】
本発明の実施形態は、無線通信用のアンテナの分野に関し、より具体的には、本発明の実施形態は、各々が特定の周波数帯域に対して別々に且つ同時に制御されるスロットの複数のセットを使用することによる、同調可能広帯域幅を有するラジアルラインスロットアンテナに関する。
【背景技術】
【0003】
ラジアルラインスロットアンテナは、当技術分野で周知である。ラジアルラインスロットアンテナの例としては、Ando他による「Radial line slot antenna for 12 GHz DBS satellite reception(12GHz DBS衛星受信用のラジアルラインスロットアンテナ)」、及びYuan他による「Design and Experiments of a Novel Radial Line Slot Antenna for High-Power Microwave Applications(高出力マイクロ波用途の新規のラジアルラインスロットアンテナの設計及び実験)」に記載されているものが挙げられる。これらの論文に記載されているアンテナは、給電構造から受信した信号によって励起される複数の固定スロットを含む。スロットは、典型的には、直交ペアで配向され、送信モードでは固定円偏波が与えられ、受信モードでは反対の偏波が与えられる。
【0004】
アンテナの別の例が、「Combined antenna apertures allowing simultaneous multiple antenna functionality(同時マルチアンテナ機能を可能にする複合アンテナアパーチャ)」という名称の米国特許第9,893,435号に記載されており、この特許は、アンテナ素子の2つの空間的に交互配置されたアンテナサブアレイを有する単一の物理アンテナアパーチャを含む実施形態について記載している。アンテナの実施形態は、同じアンテナアパーチャ上で無線周波数ホログラフィを使用して送受信するためのスロットを含むアンテナ素子のサブアレイを含む。各アンテナサブアレイは、特定の周波数で独立して且つ同時に動作することができる。
【0005】
衛星アンテナ用の従来型形状因子よりも有利な形状因子を有するホログラフィックアンテナが開発されている。ホログラフィックアンテナの性能を高めると、特定の使用事例におけるホログラフィックアンテナの使用状況及び実行可能性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第9,893,435号明細書
【特許文献2】米国特許第9,905,921号明細書
【特許文献3】米国特許出願第15/881,440号明細書
【特許文献4】米国特許出願第14/550,178号明細書
【特許文献5】米国特許出願第14/610,502号明細書
【特許文献6】米国特許公開第2015/0236412号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
アンテナ、及びアンテナを使用するための方法が記載される。1つの実施形態において、アンテナは、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子を有するアパーチャを備え、複数のRF放射アンテナ素子は、RF放射アンテナ素子の3又は4以上のセットにグループ化され、各セットが、第1のモードにおいてある周波数帯域のビームを生成するように別々に制御される。
【0008】
本発明は、以下に与えられる詳細な説明及び本発明の様々な実施形態の添付図面からより完全に理解されるが、これらは、本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、単に説明及び理解のためと解釈されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】衛星アンテナアパーチャ用のアンテナ素子のレイアウトの1つの実施形態を示す図である。
図2】同調範囲にわたる衛星アンテナアパーチャ用のアンテナ素子のレイアウトの1つの実施形態の動的利得帯域幅の実施例を示す図である。
図3】3つの周波数帯域用のスロットを有する1つの実施形態に関する性能の例を示す図である。
図4A】素子の異なる配置構成を示す単位セルのレイアウトの実施形態を示す図である。
図4B】素子の異なる配置構成を示す単位セルのレイアウトの実施形態を示す図である。
図4C】素子の異なる配置構成を示す単位セルのレイアウトの実施形態を示す図である。
図4D】シフトされた送信(Tx)素子を有する配置選択肢を使用した単位セルのレイアウトの実施形態を示す図である。
図4E】シフトされた送信(Tx)素子を有する配置選択肢を使用した単位セルのレイアウトの実施形態を示す図である。
図4F】回転アンテナ素子を有する配置選択肢を使用した単位セルのレイアウトの実施形態を示す図である。
図5A】アンテナアパーチャを制御するためのプロセスの1つの実施形態のフロー図である。
図5B】アンテナアパーチャを制御するためのプロセスの1つの実施形態のフロー図である。
図5C】アンテナアパーチャを制御するためのプロセスの1つの実施形態のフロー図である。
図6】円筒状給電ホログラフィックラジアルアパーチャアンテナの1つの実施形態の概略図を示す。
図7】グランドプレーン及び再構成可能共振器層を含む1列のアンテナ素子の斜視図を示す。
図8A】同調可能共振器/スロットの1つの実施形態を示す図である。
図8B】物理的アンテナアパーチャの1つの実施形態の断面図を示す。
図9A】スロット付きアレイを形成する様々な層の1つの実施形態を示す図である。
図9B】スロット付きアレイを形成する様々な層の1つの実施形態を示す図である。
図9C】スロット付きアレイを形成する様々な層の1つの実施形態を示す図である。
図9D】スロット付きアレイを形成する様々な層の1つの実施形態を示す図である。
図10】円筒状給電アンテナ構造の1つの実施形態の側面図を示す。
図11】アンテナシステムの別の実施形態を外向き波と共に示す図である。
図12】アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示す図である。
図13】TFTパッケージの1つの実施形態を示す図である。
図14】同時送受信経路を有する通信システムの1つの実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明において、本発明のより完全な説明を提供するために数多くの詳細が示される。しかしながら、当業者であれば、本発明がこれらの特定の詳細なしに実施できることは明らかであろう。他の例では、本発明を不明確にすることのないように、周知の構造及びデバイスは、詳細にではなくブロック図の形で示される。
【0011】
本発明の実施形態は、同調可能ビームステアリングアンテナの動的帯域幅を拡張する技法を含む。また、ビームステアリングアンテナ及びこれを動作させる方法が記載される。1つの実施形態では、アンテナは、電気的に小さな無線周波数(RF)放射素子が搭載された高密度アパーチャを備える。1つの実施形態では、RF放射素子は、同調範囲にわたってほぼ一定の放射特性を達成しながら、動作周波数を同調するために液晶(LC)材料を搭載した様々なサイズを有する電気的に小さなスロットである。1つの実施形態では、様々なサイズを有するこれらの素子は、3又は4以上の周波数帯域をカバーするためのLC同調構成要素を使用して独立して制御される。
【0012】
本明細書で記載される本発明の実施形態により、アンテナの動的帯域幅がLCの同調範囲から分離される。このようにすると、LCの同調性を増加させることなく、動的帯域幅を拡張する自由度がより高くなる。このことは、アンテナの動的帯域幅がLCの同調範囲により直接決定され、また、LCの同調性又は放射素子の同調性の増加が、有意な損失及びアンテナ利得の低下をもたらす従来技術のアンテナとは対照的である。
【0013】
1つの実施形態では、RF放射素子は、複数のグループにグループ化され、各グループが、他のグループから別々に独立して制御される。各グループは、周波数帯域に割り当てられ、その周波数帯域でビームを生成する。1つの実施形態では、周波数帯域は、1又は2以上の受信帯域及び1又は2以上の送信帯域を含む。1つの実施形態では、受信帯域は、2又は3以上のサブ帯域に分割され、ここで各サブ帯域は、別々に動作することができ、各々は送信帯域と組み合わせることができる。従って、各受信サブ帯域用のアンテナ素子は、送信帯域用のアンテナ素子と同時に動作することができる。周波数帯域を分割すると、単一の素子を使用して広い同調範囲をカバーする手法と比較して効率が高くなる。1つの実施形態では、アンテナを動作させるために、コントローラは、異なる制御アルゴリズムを使用して放射特性を制御し、受信帯域の各々及び送信帯域の各々用のアンテナ素子が別々に制御されるようにする。
【0014】
1つの実施形態では、RF放射素子及び同調素子は、相互結合を低減して放射性能を改善するような方法で配置される。言い換えると、素子は、これらを互いから分離するように配置されて、アンテナ素子間で生じる可能性のある相互結合の量を低減する。1つの実施形態では、異なる周波数帯域に関連するアンテナ素子の異なるセットのアンテナ素子は、素子グループにグループ化され、これらの素子グループは、アンテナアパーチャ内に配置又は他の方法で位置付けられる。相互結合は、素子グループ内の個々の素子間にあり、また、素子の異なるグループ間の結合である。例えば、1つの実施形態では、アンテナアパーチャは、3つの帯域用のビームを生成するためのRF放射アンテナ素子の3つのセットを含み、これら3つの帯域用のRF放射アンテナ素子は、高い放射性能を維持しながら、素子グループ内の素子の相互結合間及び素子グループ自体の間の相互結合を低減するような方法で配置される。1つの実施形態では、3つの周波数帯域の各周波数帯域用の素子からの1つのRF放射素子が、グループ内に共にグループ化され、これらの3つの放射素子は、互いに隣接して平行に配置される。1つの実施形態では、同様の配置は、4又は5以上の帯域用のアンテナ素子を配列するときに使用される。
【0015】
1つの実施形態では、アンテナアパーチャは、高利得性能を達成して、受信帯域と送信帯域との間の高分離を維持するための様々な方式で変調される。1つの実施形態では、アンテナアパーチャは、独立して制御できる複数のビームを生成することができる。
【0016】
アンテナアパーチャの1つの実施形態の利点のうちの1つは、アンテナアパーチャの動作帯域幅を拡張し、アパーチャのサイズを大きくすることなく高い放射特性を維持することである。LC材料は、アンテナ動作帯域幅を制限する限定的な同調範囲を有する。1つの実施形態では、LCは、アパーチャが送信(Tx)帯域全体をカバーすることを可能にするが、1つの実施形態では約2GHzである受信(Rx)帯域全体をカバーすることはできない。例えば、LCは、2GHzRx帯域のうちの約1GHzをカバーすることができる。この制限を克服するために、放射受信素子の追加セットが、受信帯域の一部をカバーする放射素子の第1のセットに追加される。この放射受信素子の追加セットは、第1のセットの受信素子とは異なる物理的サイズを有し、受信素子の第1のセットに隣接する動作帯域幅を有するように追加される。この手法を使用すると、同調範囲は、第1の帯域の放射特性を劣化させることなく、1GHzから2GHzに改善される。1つの実施形態では、2つの受信帯域用のビームを生成する素子及び送信帯域用のビームを生成する素子は、相互結合を低減し且つ周波数範囲全体にわたって高い放射効率を維持するような方法で配置される。1つの実施形態では、アンテナは、同調可能LC材料を使用して制御できる単一又は複数の帯域モードで動作することができる。すなわち、アンテナは、マルチバンドモードでより大きな同調範囲をカバーするのに使用される受信素子の2つのセットが存在する場合など、アンテナ素子において同調可能LC材料を制御することによって異なる帯域に対してアンテナ素子のセットを使用することができ、或いは、両方が単一帯域モードと同じ動作周波数をカバーするように組み合わせてアンテナ素子のセットを使用することができる。単一帯域モード又はマルチバンドモードで動作する自由度は、マルチビームアンテナを生成するのに活用することができる。
【0017】
従って、本発明の実施形態の1つの目的は、放射特性を劣化させることなく所与の円筒状アパーチャアンテナサイズに対してより広い動的帯域幅を達成し、独立制御で複数の受信ビームを生成できるようにすることである。このようにすると、衛星コンステレーションとの接続を維持できるように「メークビフォアブレーク(make-before-break)」の概念が必要とされる場合のLEO、MEO、又はGEOコンステレーション(constellations)を含む衛星通信に対して大きな利点をもたらす。1つの実施形態では、マルチビームアンテナを用いると、ビームのうちの1つは、他の衛星接続が失われる前に、次の出現衛星を指向することができる。このようにして、受信帯域の継続を維持することができる。
【0018】
本発明の実施形態は、以下の利点のうちの1又は2以上を有し、すなわち、(1)2GHzのより広い同調範囲及び同じアパーチャサイズの場合の同調範囲にわたるほぼ一定の放射特性を有し、及び(2)マルチビームモードで動作しているときのビーム方向制御においてより多くの自由度を有する。
【0019】
図1は、衛星アンテナアパーチャ用のRF放射アンテナ素子のレイアウトの1つの実施形態を示す。図1を参照すると、アパーチャ10は、RF放射アンテナ素子の3つのセットを含み、各セットは異なる帯域用である。1つの実施形態では、RF放射素子の各々は、以下でより詳細に説明するような、パッチ/スロットのペアを備える。1つの実施形態では、アンテナ素子の3つのセットのうちの第1のセットは、第1の周波数で受信ビームを生成するためのものであり、アンテナ素子の3つのセットのうちの第2のセットは、第2の周波数(第1の周波数とは異なる)で受信ビームを生成するためのものであり、アンテナ素子の3つのセットのうちの第3のセットは、第3の周波数(第1及び第2の周波数とは異なる)で送信ビームを生成するためのものである。複合動作モードでは、複数のグループが同じ周波数で動作することができる。
【0020】
1つの実施形態では、アンテナ素子の各セットからの1つのアンテナ素子がグループ化されて、リング状に共に配置される。例えば、アンテナ素子グループ11は、3つの素子を含み、アンテナ素子の各グループ(例えば、アンテナ素子グループ11)内の各素子は、異なる帯域をカバーするためのものである。代替の実施形態では、素子グループは、4又は5以上の素子(例えば、2つの送信素子及び2つの受信素子、3つの受信素子及び1又は2以上の送信素子、など)を含む点に留意されたい。
【0021】
1つの実施形態では、素子の各グループ(例えば、アンテナ素子グループ11)の1つの素子は、第1の受信帯域用であり、素子の各グループ(例えば、アンテナ素子グループ11)の1つの素子は、第2の受信帯域用であり、素子の各グループ(例えば、アンテナ素子グループ11)の1つの素子は、送信帯域用である。2つの受信帯域は、低帯域及び高帯域(これらの周波数で互いに対して)を含む。1つの実施形態では、各低帯域素子(本明細書ではRx1と呼ばれる)は、高帯域受信素子(本明細書ではRx2と呼ばれる)と送信素子(Tx)との間に配置される。
【0022】
1つの実施形態では、アンテナ素子グループ(例えば、アンテナ素子グループ11)は、リング12の形態で配置される。4つのリングが図1に示されているが、典型的には、アンテナ素子の遙かに多くのリングが存在する。言い換えると、本明細書で記載される技法は、4つのリングの使用に限定されるものではなく、あらゆる数のリング(例えば、5、6、...、10、20、...100など)を有することができる。更に、図1ではリングが示されているが、本明細書で記載される技法は、リングの使用に限定されるものではなく、グループの他の配置(例えば、スパイラル、グリッドなど)を使用することができる。このような配置の実施例は、「Antenna Element Placement for a Cylindrically Fed Antenna(円筒状給電アンテナのアンテナ素子配置」)」という名称の米国特許第9,905,921号に示されている。
【0023】
1つの実施形態では、配置は、素子の他のセットを有するアパーチャ上のアンテナ素子の各セットに利用可能である物理的空間に基づいて制約される。1つの実施形態では、アンテナ素子の配置に関する別の制約は、アンテナ素子を駆動するためのマトリクス駆動の使用であり、このマトリクス駆動は、アンテナ素子の各々に一意のアドレスが与えられることを必要とする。1つの実施形態では、一意のアドレスを必要とすることにより、列及び行ラインが、アンテナ素子の各々を駆動するのに使用され、従って、このようなラインの経路設定を収容するためのスペースにより配置が制約される。
【0024】
アンテナコントローラ13は、アンテナ素子のアパーチャを制御する。1つの実施形態では、アンテナコントローラ13は、サブアレイコントローラ1、サブアレイコントローラ2、サブアレイコントローラ3などを含むアンテナ素子アレイコントローラ13Aを備え、サブアレイコントローラ1-Nの各々は、特定の周波数帯域に対するビームを生成するようにアンテナ素子のセットのうちの1つを制御する。1つの実施形態では、これらのコントローラは、アンテナ素子を制御するための駆動信号を生成するマトリクス駆動制御論理回路を含む。1つの実施形態では、これらのコントローラは、素子に印加される電圧を制御して、ビームを生成する(例えば、ホログラフィック技法によってビームを生成する)。
【0025】
図2は、特定の同調範囲にわたる衛星アンテナアパーチャの1つの実施形態におけるアンテナ素子のレイアウトの1つの実施形態の動的利得帯域幅の実施例を示す。図2を参照すると、グラフ21は、低受信帯域(Rx1)によりカバーされる帯域幅を示し、グラフ22は、高受信帯域(Rx2)によりカバーされる帯域幅を示し、グラフ23は、送信帯域(Tx)によりカバーされる帯域幅を示している。
【0026】
1つの実施形態では、低受信帯域Rx1及び高受信帯域Rx2は、互いに重なり合っている。このような重なり合いは必要ではなく、受信帯域用のアンテナ素子は、他の構成において帯域が遠く離れるように制御できる点に留意されたい。更に、複数の送信帯域が存在する実施形態では、送信帯域は、これらの制御に応じて重なり合うことができ、又は重なり合わないこともある。
【0027】
1つの実施形態では、受信帯域の重なり領域において高利得を得るために、両方の隣接帯域が複合モードで使用される。これにより、単一動作モードでサブ帯域の何れかを使用するよりもより高い効率がもたらされる。
【0028】
図3は、各々が異なる周波数帯域のためのものである、素子の3つのセットを有する単一のアンテナアパーチャに関するS21振幅の実施例を示している。図3を参照すると、グラフ31は、低受信帯域Rx1に関する性能を表し、グラフ32は、低受信帯域Rx2に関する性能を表し、グラフ33は、送信帯域Txに関する性能を表している。
【0029】
広い周波数範囲で動作する1つのアンテナを有することは極めて有用であり、多くの用途で重要である点に留意されたい。1つの実施形態では、本明細書で記載される広い同調範囲のアンテナは、複数の狭い帯域幅アンテナに置き換えるのに使用され、サイズ、重量、及びコストが効果的に削減される。1つの実施形態では、アンテナは、放射素子の上部に搭載されたLC構成要素を使用して電気的に同調され、動作周波数は、同調範囲にわたって放射特性をほぼ一定に保ちながら変化する。
【0030】
1つの実施形態では、アンテナの1つの実施形態は、受信用の10.7~12.75GHz及び送信用の13.7~14.7GHzをカバーする広い周波数範囲でアンテナを動作させるように独立して同調される3つの別個の素子セットを有する。このことは、独立して制御することができる受信用の2つの放射ビーム(例えば、2つの受信帯域)を有することを可能にする。
【0031】
素子が並置されて独立して制御された状態でアンテナのパターンを制御するための異なる方法が存在する。図1に示されるアンテナアパーチャなどの1つの実施形態では、2つのRx素子が独立して且つ同時に動作して、2つのビームを生成する。1つの実施形態では、帯域のうちの1つは、帯域干渉(相互結合)を低減し、場合によっては最小にする状態に駆動される。1つの実施形態では、2つの受信帯域が共に動作して、より高い利得を有する1つのビームを形成する。この場合、素子から漏出するエネルギーは、相乗的に相互作用して1つのビームを形成する。
【0032】
アンテナ素子の配置が異なるものを含む、複数の代替の実施形態が存在する点に留意されたい。図4Aから4Cは、素子(シフトされていない)の異なる配置構成を示す単位セルのレイアウトの実施形態を示しており、図4D及び4Eは、シフトされたTx素子を有する第2の配置選択肢を使用した単位セルのレイアウトの実施形態を示している。すなわち、RF放射アンテナ素子に関する異なる配置選択肢が存在し、限定ではないが、以下を含む。
(1)選択肢1:図1及び4Aに例示されているように、低帯域素子(Rx1)が、高帯域受信アンテナ素子(Rx2)と送信アンテナ素子(Tx)との間に存在する。
(2)選択肢2:図4Bに示されているように、送信素子(Tx)が、低帯域受信アンテナ素子(Rx1)と高帯域受信アンテナ素子(Rx2)との中央に存在する。
(3)選択肢3:図4Cに示されているように、高帯域受信素子(Rx2)が、送信アンテナ素子(Tx)と低帯域アンテナ素子(Rx1)との中央に存在する。
(4)シフトされた素子:図4A~4Cの上部の3つの配置選択肢におけるアンテナ素子の何れかの配置は、相互結合を制御するためにシフトすることができる。図4D及び4Eに示されているように、Txアンテナ素子は、中心から半径方向内側又は外側にシフトすることができる。
【0033】
素子は、互いに対して等間隔に配置される必要がない点に留意されたい。素子間の相互結合がアンテナの性能を劣化(例えば、放射効率を低下)させない限り、素子は、互いに対して等間隔に配置される必要がない。1つの実施形態では、素子間の距離は、自由空間波長/10であり、素子の幅は、自由空間波長/20である。
【0034】
図4D及び4Eを参照すると、Txアンテナ素子は、素子軸に沿ってそれぞれ0.025インチ上方にシフトし、0.025インチ下方にシフトしている。このオフセットは、帯域間干渉を低減するのに役立つ点に留意されたい。代替の実施形態では、オフセットは、0.025インチから0.05インチの範囲である。他のサイズのオフセットが可能であり、使用できる点に留意されたい。
【0035】
また、隣接グループ間の素子の向きにより、結合を低減するのに役立つ点に留意されたい。例えば、互いに隣接していて異なるグループ(例えば、3つの素子の異なるセット)にある素子であって、垂直又は類似の向きである素子は、互いに類似する向きを有する素子よりも結合が少ない。
【0036】
1つの実施形態では、素子グループ(例えば、アンテナ素子グループ11)内の素子のうちの少なくとも1つは、グループ内の他の素子に対して回転している。この場合、素子は互いに平行でない。図4Fは、1つの素子が他の2つのうちの少なくとも1つに対して回転した状態にある、3つの素子の配置の実施例を示す。回転した素子の一部分は、他の素子のうちの1又は2以上により近いので、これにより相互結合の可能性が高くなる。相互結合の増大を回避するために、回転素子の周波数は、回転素子の一部分が接近している任意の素子の周波数帯域からより離れた周波数帯域から選択することができる。例えば、1つの実施形態では、Txアンテナ素子は、2つのRxアンテナ素子(例えば、Rx1及びRx2)の間にあるが、送信帯域用の動作周波数が受信帯域から遠く離れている(例えば、送信のために13.7GHz~14.7GHzの間、受信のために10.7GHz~12.75GHzの間)ので、相互結合は、アンテナ効率の低下を引き起こすように増加するものではない。
【0037】
スロットのサイズは、動作周波数に基づいて選択される点に留意されたい。従って、素子のサイズは、素子がビームを生成する帯域に基づいて変わることができる。しかしながら、サイズは、相互結合によって制限される。素子が大きいほど、相互結合の可能性が高くなることを意味する。従って、アンテナ素子のサイズは、他のアンテナ素子との相互結合に関する影響に基づいて選択される。
【0038】
1つの実施形態では、アンテナ素子の異なるセットは、受信帯域及び送信帯域のうちの1つのためのアンテナ素子が衛星と通信し、他の受信帯域が別の衛星の収集に使用されるように制御される。このことは、限定ではないが、衛星との通信中にアンテナが移動しており(例えば、移動中の車両又は船舶に取り付けられており)、アンテナが通信しているアンテナとの衛星リンクが失われつつあり、近い将来別の衛星との衛星リンクがセットアップする必要がある場合を含む、複数の用途で生じる可能性がある。
【0039】
独立し同時に制御することができるアンテナ素子の複数のセットを有すると、複数の追加の用途が提供される。用途の1つは、同調可能指向方向を有するマルチビームアンテナを生成できるようにすることである。このことは、衛星コンステレーションとの接続を維持できるように「メークビフォアブレーク(make-before-break)」の概念が必要とされる、LEO、MEO、又はGEOコンステレーションを含む衛星通信に大きな利点をもたらす。例えば、1つの実施形態では、マルチビームアンテナを用いると、ビームのうちの1つは、他の衛星接続が失われる前に、次の出現衛星を指向するように制御することができる。このようにして、受信帯域の継続を維持することができる。
【0040】
図5A~5Cは、アンテナアパーチャを制御するためのプロセスの1つの実施形態のフロー図である。この場合、アンテナアパーチャは、受信アンテナ素子の2つのセットと、送信アンテナ素子の1つのセットとを有する。図5Aを参照すると、アンテナが受信(Rx)単一帯域モードで動作している場合、アンテナアパーチャは、受信アンテナ素子の1つのセットを使用して単一受信ビームと、単一送信ビームとを生成する。このような場合、ビーム指向情報501は、受信ビームがどこを指向することになるかを指定する情報と、送信ビームがどこを指向することになるかを指定する情報とを含む。この情報は、受信アンテナ素子の第2のセットの変調がオフである間、受信アンテナ素子の第1のセットの受信変調及び送信アンテナ素子のセットの送信変調を制御する。Rx1変調502及びTx変調503は、受信及び送信変調制御信号をそれぞれコントローラ505に提供し、このコントローラは、Rx1変調502及びTx変調503を使用して、ビーム形成506を使用し受信ビーム及び送信ビームを形成する。
【0041】
図5Bを参照すると、アンテナが受信(Rx)複合帯域モードで動作している場合に、アンテナアパーチャは、受信アンテナ素子の両方のセットを用いて単一の受信ビームと、単一の送信ビームを生成する。このような場合、ビーム指向情報511は、受信ビームがどこを指向するかを指定する情報と、送信ビームがどこを指向するかを指定する情報とを含む。この情報は、受信アンテナ素子の第1及び第2のセットの受信変調と、送信アンテナ素子のセットの送信変調とを制御する。Rx1変調512及びRx2変調513は、受信変調制御信号をコントローラ515に提供し、Tx変調503は、送信変調制御信号をコントローラ515に提供する。コントローラ515は、Rx1変調512及びRx2変調513を使用して受信ビームを形成し、Tx変調513を使用してビーム形成516を使用し送信ビームを形成する。
【0042】
図5Cを参照すると、アンテナが受信(Rx)マルチビームモードで動作している場合、アンテナアパーチャは、受信アンテナ素子の両方のセットを使用して2つの受信ビームと、単一の送信ビームとを生成する。このような場合、ビーム指向情報511は、受信ビームがどこを指向するかを指定する情報と、送信ビームがどこを指向するかを指定する情報とを含む。この情報は、受信アンテナ素子の第1及び第2のセットの受信変調と、送信アンテナ素子のセットの送信変調とを制御する。Rx1変調512及びRx2変調513は、受信変調制御信号をコントローラ515に提供し、Tx変調503は、送信変調制御信号をコントローラ515に提供する。コントローラ515は、Rx1変調512及びRx2変調513を使用して、異なる方向を指向する2つの受信ビームを形成し、Tx変調513を使用してビーム形成516を使用する送信ビームを形成する。
【0043】
1つの実施形態では、ユークリッド変調方式は、「Restricted Euclidean Modulation(制限付きユークリッド変調)」という名称で2018年1月26日に出願された米国特許出願第15/881,440号明細書に記載されているような、RF放射アンテナ素子を制御するのに使用される。このようなスケジュールでは、ホログラフィックビームフォーミングの一部としてビームを生成する(これは周知であり、以下でより詳細に説明する)ために、素子のセットごとに選択してその動作を制御することができる複数の利用可能な共振同調状態が存在する。例えば、1つの実施形態では、RF放射アンテナ素子の各セットは、これらの状態に関して個々に制御される16個の同調状態を有する。
【0044】
1つの実施形態では、各セットは別々に制御されて、1つのモードでその固有のビームを形成することができるが、図5Bで説明されるように、RF放射アンテナ素子のセットのうちの2又は3以上が共に使用されて、別のモードで単一ビームを形成する。1つの実施形態では、RF放射アンテナ素子の2又は3以上のセットは、単一の受信ビームを形成するように共に使用される受信アンテナ素子の2つのセットである。送信アンテナ素子の2つのセットを共に使用して、単一の送信ビームを形成できる点に留意されたい。この場合、アンテナ素子の2つのセットが、単一ビームを生成するのに使用され、素子の2つのセットからの利用可能な共振同調状態が、1つの包括的なユークリッド変調方式に共に組み合わされて、単一ビームを形成する。例えば、図5Aから5Cの受信アンテナ素子Rx1及びRx2を動作させる場合、これらのアンテナ素子の両方が異なる共振器設定値を有し、これらのアンテナ素子がそれぞれの独立した状態の各々に同調されるという点において、これらのアンテナ素子が当該観点から独立したものとなる。両方が16個の同調状態を有する場合、2つの受信アンテナ素子セットの両方が共に使用される場合、これらの受信アンテナ素子セットは、32個の同調状態を達成する。このようにすると、形成される単一の受信ビームをより忠実に定義することができる。1つの実施形態では、別のモードにおいて、図5A~5Cにおける全ての素子セットは、3つのビームが、異なる方向及び/又は偏波で全てがステアリングされてアンテナから出るように動作することができる。
【0045】
アンテナ実施形態の実施例
上述の技法は、平面アンテナと共に使用することができる。このような平面アンテナの実施形態が開示される。平面アンテナは、アンテナアパーチャ上にアンテナ素子の1又は2以上のアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナ素子は液晶セルを備える。1つの実施形態において、平面アンテナは、マトリクス駆動回路を含む円筒状給電アンテナであり、行及び列状に配置されていないアンテナ素子の各々を一意的にアドレス指定して駆動する。1つの実施形態において、アンテナ素子はリング状に配置される。
【0046】
1つの実施形態において、アンテナ素子の1又は2以上のアレイを有するアンテナアパーチャは、共に結合された複数のセグメントから構成される。セグメントの組み合わせは、共に結合されたときに、アンテナ素子の閉じた同心リングを形成する。1つの実施形態において、同心リングは、アンテナ給電部に対して同心である。
【0047】
アンテナシステムの実施例
1つの実施形態において、平面アンテナは、メタマテリアルアンテナシステムの一部である。通信衛星地上局用のメタマテリアルアンテナシステムの実施形態について説明する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、民間商用衛星通信用のKa帯域周波数又はKu帯域周波数の何れかを使用して動作する移動体プラットフォーム(例えば、航空、海上、陸上、その他)上で動作する衛星地上局(ES)の構成要素又はサブシステムである。アンテナシステムの実施形態はまた、移動体プラットフォーム上ではない地上局(例えば、固定地上局又は可搬型の地上局)で用いることもできる点に留意されたい。
【0048】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、表面散乱メタマテリアル技術を使用して、別個のアンテナを介して送受信ビームを形成してステアリングする。1つの実施形態において、アンテナシステムは、デジタル信号処理を利用してビームを電気的に形成及びステアリングするアンテナシステム(フェーズドアレイアンテナなど)とは対照的に、アナログシステムである。
【0049】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、以下の3つの機能的サブシステム、すなわち、(1)円筒波給電アーキテクチャからなる導波構造、(2)アンテナ素子の一部である波動散乱メタマテリアル単位セルのアレイ、及び(3)ホログラフィ原理を使用してメタマテリアル散乱素子から調整可能な放射場(ビーム)の形成を命令する制御構造から構成される。
【0050】
アンテナ素子
図6は、円筒状給電ホログラフィックラジアルアパーチャアンテナの1つの実施形態の概略図を示している。図6を参照すると、アンテナアパーチャは、円筒状給電アンテナの入力給電部602の周りに同心リング状に配置されたアンテナ素子603の1又は2以上のアレイ601を有する。1つの実施形態において、アンテナ素子603は、RFエネルギーを放射する無線周波数(RF)共振器である。1つの実施形態において、アンテナ素子603は、アンテナアパーチャの表面全体上に交互配置されて分散されるRxアイリス(iris)及びTxアイリスの両方を備える。このようなRxアイリス及びTxアイリス、又はスロットは、各セットが別々に且つ同時に制御される帯域のものである3又は4以上のセットからなるグループ内に存在することができる。このようなアイリスを有するアンテナ素子の実施例について、以下で更に詳細に説明する。本明細書で記載されるRF共振器は、円筒状給電部を含まないアンテナで使用できる点に留意されたい。
【0051】
1つの実施形態において、アンテナは、入力給電部602を介して円筒波給電を供給するのに使用される同軸給電部を含む。1つの実施形態において、円筒波給電アーキテクチャは、給電点から円筒状に外向きに広がる励起を中心点からアンテナに供給する。すなわち、円筒状給電アンテナは、外向きに進む同心状給電波を生成する。それでも、円筒状給電部の周りの円筒状給電アンテナの形状は、円形、正方形、又は何らかの形状とすることができる。別の実施形態では、円筒状給電アンテナは、内向きに進む給電波を生成する。このような場合には、給電波が、最も自然に円形構造から生じる。
【0052】
1つの実施形態において、アンテナ素子603は、アイリスを備え、図6のアパーチャアンテナは、同調可能液晶(LC)材料を通じてアイリスを放射する円筒状給電波からの励起を使用することによって成形される主ビームを生成するのに使用される。1つの実施形態において、アンテナは、所望の走査角度で水平又は垂直方向に偏極した電界を放射するように励起することができる。
【0053】
1つの実施形態において、アンテナ素子は、パッチアンテナのグループを備える。このパッチアンテナのグループは、散乱メタマテリアル素子のアレイを備える。1つの実施形態において、アンテナシステムにおける各散乱素子は、下部導体、誘電体基板、及び上部導体からなる単位セルの一部であり、上部導体は、この上部導体にエッチング又は堆積された相補的電気誘導型容量性共振器(「相補型電気LC」又は「CELC」)を組み込んでいる。当業者には理解されるように、液晶とは対照的に、CELCの関連でのLCは、インダクタンス・キャパシタンスを指す。
【0054】
1つの実施形態において、液晶(LC)は、散乱素子の周りのギャップに配置される。このLCは、上述の直接駆動型の実施形態によって駆動される。1つの実施形態において、液晶は、各単位セル内に封入されて、スロットに関連する下部導体をスロットのパッチに関連する上部導体から分離する。液晶は、この液晶を構成する分子の配向の関数である誘電率を有し、分子の配向(及びひいては誘電率)は、液晶の両端間のバイアス電圧を調節することによって制御することができる。1つの実施形態において、液晶は、この特性を使用して、誘導波からCELCへのエネルギー伝達のためにオン/オフスイッチを組み込む。スイッチオンになると、CELCは、電気的に小さなダイポールアンテナのように電磁波を放射する。本明細書における教示は、エネルギー伝達に関して2値的に動作する液晶を有することに限定されるものではない点に留意されたい。
【0055】
1つの実施形態において、このアンテナシステムの給電幾何形状は、アンテナ素子を波動給電の波動ベクトルに対して45度(45°)の角度で位置決めすることを可能にする。他の位置(例えば、40°の角度)を使用できる点に留意されたい。素子のこの位置により、素子によって受信されるか又は素子から送信/放射される自由空間波の制御が可能となる。1つの実施形態において、アンテナ素子は、アンテナの動作周波数の自由空間波長よりも短い素子間隔で配列される。例えば、1波長につき4つの散乱素子が存在する場合には、30GHzの送信アンテナにおける素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の4分の1)となる。
【0056】
1つの実施形態において、素子の2つのセットは、互いに垂直であり、同じ同調状態に制御された場合に等しい振幅の励起を同時に有する。給電波の励起に対してこれらを±45度回転させることにより、両方の所望の特徴が同時に達成される。一方のセットを0度回転させ、他方を90度回転させることによって垂直目標は達成されるが、等振幅励起の目標は達成されない。0度及び90度を使用して、単一構造のアンテナ素子アレイを2つの側から給電する場合に、分離を達成できる点に留意されたい。
【0057】
各単位セルからの放射パワーの量は、コントローラを使用してパッチに電圧(LCチャネルの両端の電位)を印加することによって制御される。各パッチに対するトレースは、パッチアンテナに電圧を供給するのに使用される。この電圧は、キャパシタンス及びひいては個々の素子の共振周波数を同調又は離調させて、ビーム形成を達成するのに使用される。必要とされる電圧は、使用される液晶混合物に依存する。液晶混合物の電圧同調特性は、液晶が電圧の影響を受け始める閾値電圧と、それを超える電圧の増加が液晶での大きな同調が生じなくなる飽和電圧とによって、主として説明される。これらの2つの特性パラメータは、異なる液晶混合物に対して変化することができる。
【0058】
1つの実施形態において、上記で検討したように、マトリクス駆動を使用してパッチに電圧を印加して、各セルに対して別個の接続を有することなく他の全てのセルとは別個に駆動されるようになる(直接駆動)。素子が高密度であるので、マトリクス駆動は、各セルを個々にアドレス指定するのに効率的な方法である。
【0059】
1つの実施形態において、アンテナシステム用の制御構造は、2つの主要な構成要素を有し、すなわち、アンテナシステム用のアンテナアレイコントローラ(駆動電子機器を含む)は、波動散乱構造(本明細書で記載されるものなどの表面散乱アンテナ素子)の下方にあり、マトリクス駆動スイッチングアレイは、放射を妨害しないように放射RFアレイ全体にわたって散在している。1つの実施形態において、アンテナシステム用の駆動電子機器は、各散乱素子へのACバイアス信号の振幅又はデューティサイクルを調節することによって、各散乱素子に対するバイアス電圧を調節する市販のテレビジョン装置で使用される商用の既製LCD制御装置を備える。
【0060】
1つの実施形態において、アンテナアレイコントローラはまた、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサを包含する。制御構造はまた、プロセッサに位置及び方位情報を提供するセンサ(例えば、GPS受信機、3軸コンパス、3軸加速度計、3軸ジャイロ、3軸磁力計など)を組み込むことができる。位置及び方位情報は、地上局内の他のシステムによってプロセッサに提供することができ、及び/又はアンテナシステムの一部でないものとすることができる。
【0061】
より具体的には、アンテナアレイコントローラは、動作周波数にてどの素子がオフにされてどの素子がオンにされるか、及びどの位相及び振幅レベルにするかを制御する。素子は、電圧印加によって周波数動作に対して選択的に離調される。
【0062】
送信について、コントローラは、RFパッチに一連の電圧信号を供給して、変調パターン又は制御パターンを生成する。制御パターンは、素子を異なる状態にする。1つの実施形態において、多状態制御が使用され、ここでは、矩形波(すなわち、正弦波グレイシェード変調パターン)ではなく、様々な素子が様々なレベルにオン及びオフにされ、更に正弦波制御パターンに近似される。1つの実施形態において、一部の素子が放射し、一部の素子が放射しないのではなく、一部の素子が他の素子よりも強く放射する。可変放射は、液晶誘電率が様々な量に調節する特定の電圧レベルを印加することによって達成され、これにより、素子を可変的に離調させて一部の素子を他の素子よりも多く放射させるようにする。
【0063】
メタマテリアル素子アレイによる集束ビームの生成は、増加的干渉及び相殺的干渉の現象によって説明することができる。個々の電磁波は、自由空間で遭遇するときに同じ位相を有する場合に加え合わされ(増加的干渉)、自由空間で遭遇するときに逆位相である場合に互いに打ち消し合う(相殺的干渉)。各連続するスロットが誘導波の励起点から異なる距離に位置決めされるように、スロット付きアンテナ内のスロットが位置決めされた場合に、その素子からの散乱波は、前のスロットの散乱波と異なる位相を有することになる。スロットが、誘導波長の4分の1離間して配置されている場合には、各スロットは、前のスロットから4分の1の位相遅延で波を散乱させることになる。
【0064】
このアレイを使用すると、生成できる増加的干渉及び相殺的干渉のパターン数を増加させることができるので、理論的には、ビームは、ホログラフィの原理を使用して、アンテナアレイのボアサイト(bore sight)からプラスマイナス90度(90°)のあらゆる方向に指向することができる。従って、どのメタマテリアル単位セルがオンにされ又はオフにされるかを制御することにより(すなわち、どのセルがオンにされてどのセルがオフにされるかについてのパターンを変更することにより)、増加的干渉及び相殺的干渉の異なるパターンを生成でき、アンテナは、主ビームの方向を変えることができる。単位セルをオン及びオフにするのに必要な時間は、1つの位置から別の位置にビームを切り換えることができる速度を決定付ける。
【0065】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、アップリンクアンテナ用の1つのステアリング可能ビームと、ダウンリンクアンテナ用の1つのステアリング可能ビームとを生成する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、メタマテリアル技術を使用してビームを受信し、衛星からの信号を復号し、及び衛星に向けられる送信ビームを形成する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、デジタル信号処理を使用して、ビームを電気的に形成しステアリングするアンテナシステム(フェーズドアレイアンテナなど)とは対照的に、アナログシステムである。1つの実施形態において、アンテナシステムは、特に従来型の衛星ディッシュ受信機と比較した場合に、平面的で比較的薄型である「面」アンテナとみなされる。
【0066】
図7は、グランドプレーン及び再構成可能な共振器層を含む1列のアンテナ素子の斜視図を示している。再構成可能共振器層1230は、同調可能スロット1210のアレイを含む。同調可能スロット1210のアレイは、アンテナを所望の方向に指向するように構成することができる。同調可能スロットの各々は、液晶の両端間の電圧を変化させることによって同調/調節することができる。
【0067】
制御モジュール又はコントローラ1280は、再構成可能共振器層1230に結合されて、図8Aにおいて液晶の両端間の電圧を変化させることにより同調可能スロット1210のアレイを変調する。制御モジュール1280は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、マイクロプロセッサ、コントローラ、システム・オン・チップ(SoC)、又は他の処理論理回路を含むことができる。1つの実施形態において、制御モジュール1280は、同調可能スロット1210のアレイを駆動するために論理回路(例えば、マルチプレクサ)を含む。1つの実施形態において、制御モジュール1280は、同調可能スロット1210のアレイ上に駆動されるホログラフィック回折パターンに関する仕様を含むデータを受信する。ホログラフィック回折パターンは、アンテナと衛星との間の空間的関係に応じて生成され、この回折パターンがダウンリンクビーム(及びアンテナシステムが送信を実行する場合には、アップリンクビーム)を通信に適した方向にステアリングすることができる。各図には描かれていないが、制御モジュール1280に類似する制御モジュールは、本開示の図に記載される同調可能スロットの各アレイを駆動することができる。
【0068】
更に、無線周波数(「RF」)ホログラフィもまた、RF基準ビームがRFホログラフィック回折パターンに遭遇したときに、所望のRFビームを生成できる類似の技術を使用して実施可能である。衛星通信の場合には、基準ビームは、給電波1205(幾つかの実施形態では、約20GHz)などの給電波の形態である。給電波を放射ビームに変換するために(送信目的又は受信目的の何れかで)、所望のRFビーム(目標ビーム)と給電波(基準ビーム)との間での干渉パターンが計算される。干渉パターンは、給電波が所望のRFビーム(所望の形状及び方向を有する)に「ステアリング(steering)」されるように、同調可能スロット1210のアレイ上に回折パターンとして駆動される。言い換えると、ホログラフィック回折パターンに遭遇した給電波は、通信システムの設計要件に従って形成される目標ビームを「再構成」する。ホログラフィック回折パターンは、各素子の励起を包含し、導波路における波動方程式としてのwinと外向き波に関する波動方程式としてのwoutとを用いて、whologram=win *outによって計算される。
【0069】
図8Aは、同調可能共振器/スロット1210の1つの実施形態を示している。同調可能スロット1210は、アイリス/スロット1212と、放射パッチ1211と、アイリス1212とパッチ1211との間に配置された液晶1213とを含む。1つの実施形態において、放射パッチ1211は、アイリス1212と同じ場所に配置される。
【0070】
図8Bは、物理的アンテナアパーチャの1つの実施形態の断面図を示している。アンテナアパーチャは、グランドプレーン1245と、再構成可能共振器層1230に含まれるアイリス層1233内の金属層1236とを含む。1つの実施形態において、図8Bのアンテナアパーチャは、図8Aの複数の同調可能共振器/スロット1210を含む。アイリス/スロット1212は、金属層1236内の開口部によって定められる。図8Aの給電波1205などの給電波は、衛星通信チャネルと適合性のあるマイクロ波周波数を有することができる。給電波は、グランドプレーン1245と共振器層1230との間を伝播する。
【0071】
再構成可能共振器層1230はまた、ガスケット層1232及びパッチ層1231を含む。ガスケット層1232は、パッチ層1231とアイリス層1233との間に配置される。1つの実施形態において、スペーサは、ガスケット層1232に置き換えることができる点に留意されたい。1つの実施形態において、アイリス層1233は、金属層1236として銅層を含むプリント回路基板(PCB)である。1つの実施形態において、アイリス層1233はガラスである。アイリス層1233は、他のタイプの基板であってもよい。
【0072】
開口部は、銅層においてエッチングされて、スロット1212を形成することができる。1つの実施形態において、アイリス層1233は、導電性接合層によって図8Bの別の構造(例えば、導波路)に導電的に結合される。1つの実施形態において、アイリス層は、導電性接合層によって導電的に結合されるのではなく、代わりに非導電性接合層と相互接合される点に留意されたい。
【0073】
パッチ層1231はまた、放射パッチ1211として金属を含むPCBとすることができる。1つの実施形態において、ガスケット層1232は、金属層1236とパッチ1211との間の寸法を定める機械的離隔部(スタンドオフ)を提供するスペーサ1239を含む。1つの実施形態において、スペーサは75ミクロンであるが、他のサイズ(例えば、3mmから200mm)を使用することができる。上述のように、1つの実施形態において、図8Bのアンテナアパーチャは、図8Aのパッチ1211、液晶1213、及びアイリス1212を含む、同調可能共振器/スロット1210などの複数の同調可能共振器/スロットを備える。液晶1213用のチャンバ(chamber)は、スペーサ1239、アイリス層1233、及び金属層1236によって定められる。チャンバが液晶で充填された場合に、パッチ層1231は、スペーサ1239上に積層されて、共振器層1230内に液晶をシールすることができる。
【0074】
パッチ層1231とアイリス層1233との間の電圧は、パッチとスロット(例えば、同調可能共振器/スロット1210)と間のギャップ内の液晶を同調させるように変調することができる。液晶1213の両端間の電圧を調節することにより、スロット(例えば、同調可能共振器/スロット1210)のキャパシタンスが変化する。従って、スロット(例えば、同調可能共振器/スロット1210)のリアクタンスは、このキャパシタンスを変化させることにより変えることができる。スロット1210の共振周波数はまた、次式:
【数1】
に従って変化し、ここで、fはスロット1210の共振周波数であり、L及びCは、それぞれ、スロット1210のインダクタンス及びキャパシタンスである。スロット1210の共振周波数は、導波路を伝播する給電波1205から放射されるエネルギーに影響を与える。一例として、給電波1205が20GHzである場合には、スロット1210の共振周波数は、17GHzに調節されて(キャパシタンスを変化させることにより)、スロット1210が、給電波1205からのエネルギーを実質的に結合しないようにすることができる。或いは、スロット1210の共振周波数は、20GHzに調節されて、スロット1210が給電波1205からのエネルギーを結合してこのエネルギーを自由空間に放射するようにすることができる。所与の実施例は、2値的(完全に放射するか又は全く放射しない)であるが、スロット1210のリアクタンス及びひいてはこのスロットの共振周波数の完全グレイスケール制御は、多値範囲にわたる電圧変化を用いて実施可能である。従って、各スロット1210から放射されるエネルギーが精密に制御して、同調可能スロットのアレイによって精緻なホログラフィック回折パターンを形成できるようになる。
【0075】
1つの実施形態において、一列に並んだ同調可能スロットは、互いからλ/5だけ離間して配置される。他の間隔を使用することもできる。1つの実施形態において、一列に並んだ各同調可能スロットは、隣接する列内の最も近い同調可能スロットからλ/2だけ離間して配置され、従って、異なる列にあって向きが共通の同調可能スロットは、λ/4だけ離間して配置されるが、他の間隔(例えば、λ/5、λ/6.3)も可能である。別の実施形態では、一列に並んだ各同調可能スロットは、隣接する列内の最も近い同調可能スロットからλ/3だけ離間して配置される。
【0076】
本発明の実施形態は、2014年11月21日に出願された「Dynamic Polarization and Coupling Control from a Steerable Cylindrically Fed Holographic Antenna(ステアリング可能な円筒給電式ホログラフィックアンテナからの動的偏波及び結合制御)」という名称の米国特許出願第14/550,178号明細書、及び2015年1月30日に出願された「Ridged Waveguide Feed Structures for Reconfigurable Antenna(再構成可能アンテナのためのリッジ型導波路給電構造)」という名称の米国特許出願第14/610,502号明細書に記載されているものなどの再構成可能なメタマテリアル技術を使用する。
【0077】
図9Aから9Dは、スロット付きアレイを形成する様々な層の1つの実施形態を示している。アンテナアレイは、図1Aに示されている例示的なリングのようなリング状に位置決めされたアンテナ素子を含む。この実施例において、アンテナアレイは、2つの異なるタイプの周波数帯域に使用される2つの異なるタイプのアンテナ素子を有する点に留意されたい。
【0078】
図9Aは、スロットに対応する位置を有する第1のアイリス基板層の一部分を示している。図9Aを参照すると、円は、アイリス基板の底部側におけるメタライゼーション内の開放エリア/スロットであり、給電部(給電波)への素子の結合を制御するためのものである。この層は、任意選択の層であり、全ての設計で使用されるとは限らない点に留意されたい。図9Bは、スロットを包含する第2のアイリス基板層の一部分を示している。図9Cは、第2のアイリス基板層の一部分を覆うパッチを示している。図9Dは、スロット付きアレイの一部分の上面図を示している。
【0079】
図10は、円筒状給電アンテナ構造の1つの実施形態の側面図を示している。このアンテナは、二重層給電構造(すなわち、2つの給電構造層)を使用して内向き進行波を生成する。1つの実施形態において、アンテナは、円形の外形を含むが、このことは必須ではない。すなわち、非円形の内向き進行構造を使用することができる。1つの実施形態において、図10におけるアンテナ構造は、2014年11月21に出願された「Dynamic Polarization and Coupling Control from a Steerable Cylindrically Fed Holographic Antenna(ステアリング可能円筒給電式ホログラフィックアンテナからの動的偏波及び結合制御)」という名称の米国特許公開第2015/0236412号に記載されたような同軸給電部を含む。
【0080】
図10を参照すると、同軸ピン1601は、アンテナの下側レベルで場を励起するのに使用される。1つの実施形態において、同軸ピン1601は、容易に入手できる50Ω同軸ピンである。同軸ピン1601は、導電性グランドプレーン1602であるアンテナ構造の底部に結合(例えば、ボルト締め)される。
【0081】
内部導体である侵入型導体1603は、導電性グランドプレーン1602から切り離される。1つの実施形態において、導電性グランドプレーン1602及び侵入型導体1603は、互いに平行である。1つの実施形態において、グランドプレーン1602と侵入型導体1603との間の距離は、0.1インチ~0.15インチである。別の実施形態では、この距離は、λ/2とすることができ、ここで、λは、動作周波数での進行波の波長である。
【0082】
グランドプレーン1602は、スペーサ1604を介して侵入型導体1603から切り離される。1つの実施形態において、スペーサ1604は、発泡体又は空気状スペーサである。1つの実施形態において、スペーサ1604は、プラスチックスペーサを含む。
【0083】
誘電体層1605が、侵入型導体1603の上部に存在する。1つの実施形態において、誘電体層1605はプラスチックである。誘電体層1605の目的は、自由空間速度に対して進行波を減速させることである。1つの実施形態において、誘電体層1605は、自由空間に対して30%だけ進行波を減速させる。1つの実施形態において、ビーム形成に適した屈折率の範囲は、1.2~1.8であり、ここで、自由空間は、定義により1に等しい屈折率を有する。この効果を達成するのに、例えばプラスチックなどの他の誘電体スペーサ材料を使用することができる。プラスチック以外の材料は、これらの材料が所望の波減速効果を達成する限り使用できる点に留意されたい。代替的に、例えば機械加工又はリソグラフィによって定めることができる周期的サブ波長金属構造などの分散構造を有する材料は、誘電体層1605として使用することができる。
【0084】
RFアレイ1606は、誘電体1605の上部に存在する。1つの実施形態において、侵入型導体1603とRFアレイ1606との間の距離は、0.1インチ~0.15インチである。別の実施形態では、この距離は、λeff/2とすることができ、ここで、λeffは、設計周波数での媒体中の有効波長である。
【0085】
アンテナは、側部1607及び1608を含む。側部1607及び1608は、同軸ピン1601から供給される進行波を反射によって侵入型導体1603の下方の領域(スペーサ層)から侵入型導体1603の上方の領域(誘電体層)に伝播させるように角度が付けられる。1つの実施形態において、側部1607及び1608の角度は、45度の角度にある。代替の実施形態では、側部1607及び1608は、反射を達成するための連続した半径に置き換えることができる。図10は、45度の角度を有した角度付き側部を示しているが、下層給電部から上層給電部への信号伝送を達成する他の角度を使用することができる。すなわち、下側給電部内の有効波長が、上側給電部内のものと一般に異なることを考慮すると、理想的な45度の角度からの何らかの偏差を使用して、下側給電レベルから上側給電レベルへの伝送を助けることができる。例えば、別の実施形態では、45度の角度は、単一の段部に置き換えられる。アンテナの一端上の段部は、誘電体層、侵入型導体、及びスペーサ層の周りに延びる。同様の2つの段部が、これらの層の他端部に存在する。
【0086】
動作中、給電波が、同軸ピン1601から供給される場合には、この給電波は、グランドプレーン1602と侵入型導体1603との間の領域で同軸ピン1601から同心状外向きに進む。同心状外向き波は、側部1607及び1608により反射されて、侵入型導体1603とRFアレイ1606との間の領域で内向きに進む。円形外周の縁部からの反射は、この波を同相に留まらせる(すなわち、この反射は、同相反射である)。進行波は、誘電体層1605によって減速する。この時点で、進行波は、RFアレイ1606内の素子との相互作用及び励振を開始して、所望の散乱が得られる。
【0087】
進行波を終了させるため、終端部1609が、アンテナの幾何学的中心でアンテナに含まれる。1つの実施形態において、終端部1609は、ピン終端(例えば、50Ωピン)を備える。別の実施形態では、終端部1609は、未使用エネルギーを終端させて、この未使用エネルギーがアンテナの給電構造を通って反射して戻ることを阻止するRF吸収体を備える。この終端部は、RFアレイ1606の上部で使用することができる。
【0088】
図11は、アンテナシステムの別の実施形態を外向き波と共に示している。図11を参照すると、2つのグランドプレーン1610及び1611は、これらのグランドプレーンの間にある誘電体層1612(例えば、プラスチック層など)と互いに実質的に平行である。RF吸収体1619(例えば、抵抗器)は、2つのグランドプレーン1610及び1611を共に結合する。同軸ピン1615(例えば、50Ω)は、アンテナに給電する。RFアレイ1616は、誘電体層1612及びグランドプレーン1610の上部に存在する。
【0089】
動作中、給電波は、同軸ピン1615を介して給電され、同心円状外向きに進んでRFアレイ1616の素子と相互作用する。
【0090】
図10及び11の両方のアンテナにおける円筒状給電部は、アンテナのサービス角度を改善する。1つの実施形態において、プラスマイナス45度の方位角(±45°Az)及びプラスマイナス25度の仰角(±25°El)からなるサービス角度の代わりに、アンテナシステムは、全方向でボアサイトから75度(75°)のサービス角度を有する。多数の個々の放射体から構成された何らかのビーム形成アンテナと同様に、全体のアンテナ利得は、それ自体が角度に依存するものである構成素子の利得に依存する。一般的な放射素子が使用される場合には、全体のアンテナ利得は、典型的には、ビームがボアサイトから離れて指向されるにつれて減少する。ボアサイトから75度外れたところでは、約6dBの有意な利得低下が予期される。
【0091】
円筒状給電部を有するアンテナの実施形態は、1又は2以上の問題を解決する。これらは、統合分割器ネットワークを用いて給電されるアンテナと比較して給電構造を飛躍的に簡素化し、従って、全体として必要なアンテナ及びアンテナ給電量を低減すること、より粗い制御(単純なバイナリ制御にまで拡張すること)で高ビーム性能を維持することによって製造及び制御誤差に対する感度を低下させること、円筒状配向給電波が遠距離場において空間的に多様なサイドローブをもたらすので、直線的給電部と比較してより有利なサイドローブパターンを与えること、及び偏波器を必要とせずに、左旋円偏波、右旋円偏波及び直線偏波を可能にすることを含めて偏波が動的であることを可能にすること、を含む。
【0092】
波動散乱素子のアレイ
図10のRFアレイ1606及び図11のRFアレイ1616は、放射体として機能するパッチアンテナ(すなわち、散乱体)のグループを含む波動散乱サブシステムを備える。このパッチアンテナグループは、散乱メタマテリアル素子のアレイを備える。
【0093】
1つの実施形態において、アンテナシステムにおける各散乱素子は、下部導体と、誘電体基板と、相補的電気誘導型容量性共振器(「相補型電気LC」又は「CELC」)を組み込んだ上部導体とからなる単位セルの一部であり、相補的電気誘導型容量性共振器は、上部導体にエッチング又は堆積される。
【0094】
1つの実施形態において、液晶(LC)が、散乱素子の周りのギャップに注入される。液晶は、各単位セル内に封入され、スロットに関連する下部導体をそのパッチに関連する上部導体から分離する。液晶は、この液晶を構成する分子の配向の関数である誘電率を有し、分子の配向(及びひいては誘電率)は、液晶の両端間のバイアス電圧を調節することによって制御することができる。この特性を利用して、液晶は、誘導波からCELCへのエネルギー伝達のためのオン/オフスイッチとして作用する。スイッチオンになると、CELCは、電気的に小さいダイポールアンテナのような電磁波を放射する。
【0095】
LCの厚みを制御することによって、ビームスイッチング速度が増大する。下部導体と上部導体との間のギャップ(液晶の厚み)が50パーセント(50%)減少すると、速度が4倍に増大する。別の実施形態では、液晶の厚みは、約14ミリ秒(14ms)のビームスイッチング速度をもたらす。1つの実施形態において、LCは、応答性を高める当技術分野において周知の方法でドープされ、7ミリ秒(7ms)の要件を満すことができるようになる。
【0096】
CELC素子は、CELC素子の平面に平行で且つCELCギャップ補完物に垂直に印加される磁場に応答する。電圧が、メタマテリアル散乱単位セルにおいて液晶に印加されると、誘導波の磁場成分がCELCの磁気励起を誘導し、その結果、誘導波と同じ周波数の電磁波が生成される。
【0097】
単一のCELCによって生成される電磁波の位相は、誘導波ベクトル上のCELCの位置によって選択することができる。各セルは、CELCと平行な誘導波と同相の波を生成する。CELCは、波長よりも小さいので、出力波は、誘導波がCELCの下を通過するときのこの誘導波の位相と同じ位相を有する。
【0098】
1つの実施形態において、このアンテナシステムの円筒状給電幾何形状は、CELC素子を波動給電の波動ベクトルに対して45度(45°)の角度で位置決め可能になる。この素子位置により、素子から生成され又は素子によって受信される自由空間波の偏波の制御が可能になる。1つの実施形態において、CELCは、アンテナの動作周波数の自由空間波長よりも短い素子間隔で配列される。例えば、1波長当たりに4つの散乱素子が存在する場合、30GHzの送信アンテナ内の素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の4分の1)となるであろう。
【0099】
1つの実施形態において、CELCは、スロットの上方に並置されたパッチを含み、両者の間に液晶を有するパッチアンテナで実施される。この点において、メタマテリアルアンテナは、スロット付き(散乱)導波路のように作用する。スロット付き導波路に関して、出力波の位相は、誘導波に対するスロットの位置に依存する。
【0100】
セル配置
1つの実施形態において、アンテナ素子は、系統的マトリクス駆動回路が可能にするように、円筒状給電アンテナアパーチャ上に配置される。セルの配置は、マトリクス駆動のためのトランジスタの配置を含む。図12は、アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示している。図12を参照すると、行コントローラ1701は、行選択信号Row1(行1)及びRow2(行2)それぞれを介してトランジスタ1711及び1712に結合され、列コントローラ1702は、列選択信号Column1を介してトランジスタ1711及び1712に結合される。また、トランジスタ1711は、パッチへの接続1731を介してアンテナ素子1721に結合され、トランジスタ1712は、パッチへの接続1732を介してアンテナ素子1722に結合される。
【0101】
単位セルが非正規グリッド内に配置されて円筒状給電アンテナ上でマトリクス駆動回路を実現する最初の手法では、2つのステップが実行される。第1のステップにおいて、セルが同心リング上に配置され、セルの各々は、セルの傍らに配置されたトランジスタに接続され、このトランジスタが、各セルを別々に駆動するスイッチとして機能する。第2のステップにおいて、マトリクス駆動回路は、このマトリクス駆動手法が必要とするときにあらゆるトランジスタを一意のアドレスで接続するように構築される。マトリクス駆動回路は、行と列のトレースによって構築される(LCDと同様)が、セルは、リング上に配置されるので、各トランジスタに一意のアドレスを割り当てる系統的方法は存在しない。このマッピング問題は、全てのトランジスタをカバーするために極めて複雑な回路を生じさせ、経路設定を行う物理的トレースの数を著しく増加させることになる。セルが高密度であるので、これらのトレースは、カップリング効果に起因してアンテナのRF性能を妨げる。また、トレースが複雑であり実装密度が高いことに起因して、トレースの経路設定は、商業的に入手可能なレイアウトツールによって行うことができない。
【0102】
1つの実施形態において、マトリクス駆動回路は、セル及びトランジスタが配置される前に事前に定められる。このことにより、各々が一意のアドレスを有する全てのセルを駆動するのに必要な最小数のトレースが確保される。この方式は、駆動回路の複雑性を軽減して経路設定を簡素化し、これによりアンテナのRF性能が向上する。
【0103】
より具体的には、1つの手法では、第1のステップにおいて、セルは、各セルの一意のアドレスを表す行及び列から構成された正方形グリッド上に配置される。第2のステップにおいて、セルは、セルのアドレス並びに第1のステップで定められた行及び列への接続性が維持されながら、グループ化されて同心円に変換される。この変換の目的は、セルをリング上に配置するだけでなく、アパーチャ全体にわたってセル間の距離及びリング間の距離を一定に保つことである。この目的を達成するために、セルをグループ化する幾つかの方法が存在する。
【0104】
1つの実施形態において、TFTパッケージは、マトリクス駆動における配置及び一意のアドレス指定を可能にするのに使用される。図13は、TFTパッケージの1つの実施形態を示している。図13を参照すると、TFT及びホールドキャパシタ1803が、入力ポート及び出力ポートと共に示されている。トレース1801に接続された2つの入力ポート及びトレース1802に接続された2つの出力ポートが存在し、行及び列を使用してTFTを共に接続する。1つの実施形態において、行のトレースと列のトレースとが90°の角度で交差して、行のトレースと列のトレースとの間の結合が低減され、場合によっては最小にされる。1つの実施形態では、行のトレース及び列のトレースは、異なる層上に存在する。
【0105】
全二重通信システムの実施例
別の実施形態では、複合アンテナアパーチャは、全二重通信システムで使用される。図14は、同時送信及び受信経路を有する通信システムの1つの実施形態のブロック図である。1つの送信経路及び1つの受信経路のみが示されているが、通信システムは、1つより多い送信経路及び/又は1つより多い受信経路を含むことができる。
【0106】
図14を参照すると、アンテナ1401は、上述のように異なる周波数で同時に送信及び受信するように独立して動作可能な2つの空間的に交互配置されたアンテナアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナ1401は、ダイプレクサ1445に結合される。この結合は、1又は2以上の給電ネットワークによるものとすることができる。1つの実施形態において、ラジアル給電アンテナの場合、ダイプレクサ1445は、2つの信号を組み合わせるものであり、アンテナ1401とダイプレクサ1445の間の接続は、両方の周波数を搬送できる単一の広帯域給電ネットワークである。
【0107】
ダイプレクサ1445は、低ノイズブロックダウンコンバータ(LNB)1427に結合され、このLNBは、当技術分野において周知の方法でノイズフィルタリング機能、ダウンコンバート機能、及び増幅機能を実行する。1つの実施形態において、LNB1427は、室外ユニット(ODU)に存在する。別の実施形態では、LNB1427は、アンテナ装置に組み込まれる。LNB1427は、コンピューティングシステム1440(例えば、コンピュータシステム、モデムなど)に結合されたモデム1460に結合される。
【0108】
モデム1460は、アナログデジタル変換器(ADC)1422を含み、このADCは、LNB1427に結合されて、ダイプレクサ1445から出力された受信信号をデジタル形式に変換する。デジタル形式に変換されると、信号は、復調器1423によって復調されて、デコーダ1424によって復号され、受信波上に符号化されたデータが得られる。次に、復号されたデータは、コントローラ1425に送られ、このコントローラが、このデータをコンピューティングシステム1440に送る。
【0109】
モデム1460はまた、コンピューティングシステム1440から送信されるデータを符号化するエンコーダ1430を含む。符号化されたデータは、変調器1431によって変調され、次に、デジタルアナログ変換器(DAC)1432によってアナログに変換される。次に、アナログ信号は、BUC(アップコンバート及び高域増幅器)1433によってフィルタリングされて、ダイプレクサ1445の1つのポートに供給される。1つの実施形態において、BUC1433は、室外ユニット(ODU)に存在する。
【0110】
当技術分野において周知の方法で動作するダイプレクサ1445は、送信信号を送信用アンテナ1401に供給する。
【0111】
コントローラ1450は、単一の複合物理的アパーチャ上のアンテナ素子の2つのアレイを含むアンテナ1401を制御する。
【0112】
通信システムは、上述の結合器/アービタを含むように変更されることになる。このような場合、結合器/アービタは、モデムの後でBUC及びLNBの前に存在する。
【0113】
図14に示されている全二重通信システムは、限定ではないが、インターネット通信、車両通信(ソフトウェア更新を含む)などを含む幾つかの用途がある点に留意されたい。
【0114】
本明細書で記載される幾つかの例示的な実施形態が存在する。
【0115】
実施例1は、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子を有するアパーチャを備えたアンテナであって、複数のRF放射アンテナ素子は、RF放射アンテナ素子の3又は4以上のセットにグループ化され、セットの各々が、第1モードで周波数帯域のビームを生成するように別々に制御される、アンテナである。
【0116】
実施例2は、アンテナ素子の各セットが複数の同調状態を有し、アンテナ素子の3又は4以上のセットのうちの少なくとも2つに関する同調状態が共に組み合わされて、第2のモードでの単一ビームを形成し、第2モードが第1モードと異なることを任意選択で含むことができる実施例1のアンテナである。
【0117】
実施例3は、アンテナ素子の少なくとも2つのセットの各々が、3又は4以上のセット中の他のセットから別々に同調される異なる共振器設定値を有することを任意選択で含むことができる実施例2のアンテナである。
【0118】
実施例4は、少なくとも2つのビームが同時に生成されることを任意選択で含むことができる実施例1のアンテナである。
【0119】
実施例5は、素子の3又は4以上のセットが帯域を共有又は分割することを任意選択で含むことができる実施例1のアンテナである。
【0120】
実施例6は、帯域が送信及び受信サブ帯域を有するKu帯域を備えることを任意選択で含むことができる実施例1のアンテナである。
【0121】
実施例7は、複数のRF放射アンテナ素子の各々が、各RF放射アンテナ素子を制御するための同調可能液晶(LC)材料を備えることを任意選択で含むことができる実施例1のアンテナである。
【0122】
実施例8は、RF放射アンテナ素子の3又は4以上のセットが互いに交互配置されることを任意選択で含むことができる実施例1のアンテナである。
【0123】
実施例9は、RF放射アンテナ素子の複数のセットのRF放射アンテナ素子が、アパーチャ内のグループに共に配置され、各グループがRF放射アンテナ素子のセットの各々からの1つのRF放射アンテナ素子を備えることを任意選択で含むことができる実施例1のアンテナである。
【0124】
実施例10は、各グループが、受信サブ帯域での受信と共に使用するための2つのRF放射受信アンテナ素子と、送信サブ帯域での送信と共に使用するための1つの送信RF放射アンテナ素子とを備え、送信帯域がこれら2つの異なる受信帯域と異なることを任意選択で含むことができる実施例9のアンテナである。
【0125】
実施例11は、2つの受信サブ帯域が別々に且つ同時に動作して、2つの受信ビームを形成することを任意選択で含むことができる実施例10のアンテナである。
【0126】
実施例12は、2つの受信帯域に関連する素子のグループが、独立して制御されて別々に動作し、各々が送信帯域で動作するように組み合わせ可能であり、各組み合わせが二重受信/送信システムであるようになることを任意選択で含むことができる実施例10のアンテナである。
【0127】
実施例13は、各グループにおいて、第1の受信サブ帯域と共に動作する第1の受信アンテナ素子が、送信アンテナ素子と、第2の受信サブ帯域と共に動作する第2の受信アンテナ素子との間に配置され、第1の受信サブ帯域が第2の受信サブ帯域よりも低い周波数を有することを任意選択で含むことができる実施例10のアンテナである。
【0128】
実施例14は、各グループにおいて、送信アンテナ素子が、第1の受信サブ帯域と共に動作する第1の受信アンテナ素子と第2受信サブ帯域と共に動作する第2の受信アンテナ素子との間に存在することを任意選択で含むことができる実施例10のアンテナである。
【0129】
実施例15は、各グループにおいて、第1の受信サブ帯域と共に動作する第1の受信アンテナ素子が、送信アンテナ素子と、第2の受信サブ帯域と共に動作する第2の受信アンテナ素子との間に配置され、第1の受信サブ帯域が、第2の受信サブ帯域よりも高い周波数を有することを任意選択で含むことができる実施例10のアンテナである。
【0130】
実施例16は、各グループにおいて、第1の受信サブ帯域と共に動作する第1の受信アンテナ素子、送信アンテナ素子、及び第2の受信サブ帯域と共に動作する第2の受信アンテナ素子が、互いに隣接して配置され、送信アンテナ素子が、第1及び第2の受信アンテナ素子と平行な軸に沿ってアパーチャの中心に向けてシフトされることを任意選択で含むことができる実施例10のアンテナである。
【0131】
実施例17は、各グループにおいて、第1の受信サブ帯域と共に動作する第1の受信アンテナ素子、送信アンテナ素子、及び第2の受信サブ帯域と共に動作する第2の受信アンテナ素子が、互いに隣接して配置され、送信アンテナ素子が、第1及び第2の受信アンテナ素子と平行な軸に沿ってアパーチャの中心に対して外向きにシフトされることを任意選択で含むことができる実施例10のアンテナである。
【0132】
実施例18は、各グループ内のRF放射アンテナ素子及び素子のグループが、相互結合を制御するように配置されることを任意選択で含むことができる実施例9のアンテナである。
【0133】
実施例19は、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子を有するアパーチャを備えたアンテナであって、複数のRF放射アンテナ素子は、RF放射アンテナ素子の3又は4以上のセットにグループ化され、アンテナ素子のセットの各々は複数の同調状態を有し、アンテナ素子の3又は4以上のセットのうちの少なくとも2つに関する同調状態が共に組み合わされて、1つのモードでの単一ビームが形成される、アンテナである。
【0134】
実施例20は、アンテナ素子のうちの少なくとも2つのセットが受信素子のセットを備え、同調状態が組み合わされて単一の受信ビームを形成することを任意選択で含むことができる実施例19のアンテナである。
【0135】
実施例21は、アンテナ素子の少なくとも2つのセットの各々が、3又は4以上のセットの中の他のセットから別々に同調される異なる共振器設定値を有することを任意選択で含むことができる実施例19のアンテナである。
【0136】
実施例22は、RF放射アンテナ素子の3又は4以上のセットを使用して少なくとも2つのビームが同時に生成されることを任意選択で含むことができる実施例19のアンテナである。
【0137】
実施例23は、RF放射アンテナ素子の3又は4以上のセットが互いに交互配置されることを任意選択で含むことができる実施例19のアンテナである。
【0138】
実施例24は、RF放射アンテナ素子の複数のセットのRF放射アンテナ素子が、アパーチャ内のグループに共に配置され、各グループがRF放射アンテナ素子のセットの各々からの1つのRF放射アンテナ素子を備えることを任意選択で含むことができる実施例19のアンテナである。
【0139】
実施例25は、各グループにおいて、第1の受信サブ帯域と共に動作する第1の受信アンテナ素子が、送信アンテナ素子と、第2の受信サブ帯域と共に動作する第2の受信アンテナ素子との間に配置され、第1の受信サブ帯域が、第2の受信サブ帯域よりも低い周波数を有することを任意選択で含むことができる実施例24のアンテナである。
【0140】
実施例26は、各グループにおいて、送信アンテナ素子が、第1の受信サブ帯域と共に動作する第1の受信アンテナ素子と第2受信サブ帯域と共に動作する第2の受信アンテナ素子との間に存在することを任意選択で含むことができる実施例24のアンテナである。
【0141】
実施例27は、各グループにおいて、第1の受信サブ帯域と共に動作する第1の受信アンテナ素子が、送信アンテナ素子と、第2の受信サブ帯域と共に動作する第2の受信アンテナ素子との間に配置され、第1の受信サブ帯域が第2の受信サブ帯域よりも高い周波数を有することを任意選択で含むことができる実施例24のアンテナである。
【0142】
実施例28は、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子を有するアパーチャを備えたアンテナであって、様々なサイズの複数のRF放射アンテナ素子は、3又は4以上の周波数帯域でのビームを生成するためのLC同調構成要素を使用して独立して制御される、アンテナである。
【0143】
実施例29は、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子が、アパーチャに組み合わされた少なくとも3つの空間的に交互配置されたアンテナサブアレイを有する複数の電子的にステアリング可能な平面アンテナを備え、複数の電子的にステアリング可能な平面アンテナが、別個の周波数で独立して且つ同時に動作し、少なくとも3つのアンテナサブアレイの各々が、アンテナ素子の同調可能スロット付きアレイを備えることを任意選択で含むことができる実施例28のアンテナである。
【0144】
実施例30は、少なくとも3つの空間的に交互配置されたアンテナサブアレイが、送信サブアレイ及び少なくとも2つの受信サブアレイのうちの少なくとも1つを備えることを任意選択で含むことができる実施例29のアンテナである。
【0145】
実施例31は、送信サブアレイ及び少なくとも2つの受信サブアレイのうちの少なくとも1つの各々のRF放射アンテナ素子が、互いに比較して異なる物理的サイズを有することを任意選択で含むことができる実施例30のアンテナである。
【0146】
実施例32は、複数のRF放射アンテナが、アパーチャ内のグループに共に配置されたRF放射アンテナ素子の複数のセットを備え、グループの各々が、RF放射アンテナ素子のセットの各々からの1つのRF放射アンテナ素子を備えることを任意選択で含むことができる実施例28のアンテナである。
【0147】
実施例33は、アンテナ素子の各セットが複数の同調状態を有し、アンテナ素子の3又は4以上のセットのうちの少なくとも2つに関する同調状態が共に組み合わされて、1つのモードでの単一ビームを形成することを任意選択で含むことができる実施例28のアンテナである。
【0148】
実施例34は、アンテナ素子の少なくとも2つのセットが受信素子のセットを備え、同調状態が組み合わされて、単一の受信ビームを形成することを任意選択で含むことができる実施例33のアンテナである。
【0149】
以上の詳細な説明の幾つかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズム及び記号表現の観点で提示されている。これらのアルゴリズム的記述及び表現は、データ処理技術分野の当業者により、自らの作業の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるのに使用される手段である。アルゴリズムは、本明細書では一般的に、所望の結果に至る自己矛盾のない一連のステップであると考えられる。これらのステップは、物理量の物理的操作を必要とするものである。必須ではないが、通常、これらの量は、格納、転送、結合、比較、及び他の操作が可能な電気信号又は磁気信号の形式を取る。これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、用語、又は数字などと言及することは、主として共通使用という理由で時に好都合であることが判っている。
【0150】
しかしながら、これらの用語及び類似の用語は、全て適切な物理量に関連付けられるものとし、且つこれらの量に付与される好都合なラベルに過ぎない点に留意されたい。以下の説明から明らかなように、別途明記しない限り、説明全体を通して、「処理する」又は「演算する」又は「計算する」又は「決定する」又は「表示する」などのような用語を利用した説明は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的な(電子的な)量として表されるデータをそのコンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のこのような情報ストレージ、送信又は表示デバイス内の物理量として同様に表される別のデータに操作及び変換するコンピュータシステム又は類似の電子コンピュータデバイスの動作及び処理を指すことが認められる。
【0151】
本発明はまた、本明細書の動作を実行するための装置に関する。この装置は、必要とされる目的のために特別に構成することができ、或いはコンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に起動又は再構成される汎用コンピュータを備えることができる。このようなコンピュータプログラムは、限定ではないが、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、及び光磁気ディスクを含む任意タイプのディスク、読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気又は光カード、又は電子命令の格納に適するあらゆるタイプの媒体のようなコンピュータ可読ストレージ媒体に格納することができ、各々がコンピュータシステムバスに結合される。
【0152】
本明細書に提示したアルゴリズム及び表示は、何れの特定のコンピュータ又は他の装置とも本質的に関連付けられたものではない。様々な汎用システムを本明細書の教示によるプログラムと共に使用することができ、又は必要とされる方法ステップを実行するより特殊化された装置を構成することが有利であることが判明する場合がある。様々なこれらのシステムに必要とされる構造は、以下の説明から明らかであろう。これに加えて、本発明は、何れの特定のプログラミング言語に関連して説明されていない。様々なプログラミング言語を使用して、本明細書に説明した本発明の教示を実施することができることが認められるであろう。
【0153】
機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって可読の形式の情報を格納又は送信するための何らかの機構を含む。例えば、機械可読媒体は、読取専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスクストレージ媒体、光学ストレージ媒体、フラッシュメモリデバイスなどを含む。
【0154】
本発明の多くの改変及び修正が前述の説明を読んだ後で疑いなく当業者には明らかになるであろうが、例証によって図示及び説明された何れの特定の実施形態も限定として捉えられるものではない点を理解されたい。従って、様々な実施形態の詳細事項への言及は、本発明にとって基本的なものとみなされる特徴のみを記載する請求項の範囲を限定するものではない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-03-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子を有するアパーチャであって、前記複数のRF放射アンテナ素子は、RF放射アンテナ素子の3以上のセットを含み、RF放射アンテナ素子の前記3以上のセットのうちの各セットからの異なるRF放射アンテナ素子は、異なるグループとして前記アパーチャ内に一緒に配置され、RF放射アンテナ素子の前記3以上のセットのうちの、RF放射アンテナ素子の2つのセットは、第1のモードにおける単一のビームと、前記第1のモードとは異なる第2のモードにおける2つのビームを生成するように個別に制御される、アパーチャを備えたアンテナ。
【請求項2】
RF放射アンテナ素子の前記2つのセットは、前記第1のモードにおける単一の受信ビームと前記第2のモードにおける2つの受信ビームを形成するために一緒に用いられる受信アンテナ素子の2つのセットである、
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
素子の前記2つのセットからの利用可能な共振同調状態は、共に組み合わされて、前記単一の受信ビームを形成する、
請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
素子の前記2つのセットからの利用可能な共振同調状態は、1つの包括的なユークリッド変調方式で共に組み合わされて、前記単一の受信ビームを形成する、
請求項2に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記2つのビームのうちの第1のビームは、第1の衛星を指向することができ、前記2つのビームのうちの第2は、第2の衛星を指向する、
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記2つのビームは、2つの受信ビームであり、さらに、第1の衛星は、次の出現衛星であり、前記第2の衛星との衛星接続は、メークビフォアブレーク状況の一部として失われようとしている、
請求項5に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記第2のモードにおいて、前記2つのセットは、独立に制御されて2つの受信ビームを生成し、RF放射アンテナ素子の少なくとも1つの他のセットは、送信ビームを生成する、
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項8】
ビーム指向情報は、前記2つの受信ビームと前記送信ビームがどこを指向すべきかを特定し、前記ビーム指向情報は、受信アンテナ素子の第1及び第2のセットの前記受信変調及び送信アンテナ素子の前記セットの前記送信変調を制御し、前記受信変調は、異なる方向に指向する前記2つのビームを形成する、
請求項7に記載のアンテナ。
【請求項9】
アンテナ素子の各セットは、複数の同調状態を有し、アンテナ素子の前記2つのセットの同調状態は、共に組み合わされて、第1のモードにおける前記単一のビームを形成する、
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項10】
アンテナ素子の少なくとも2つのセットの各々は、RF放射アンテナ素子の前記3以上のセットのうちの他のセットから別々に同調される異なる共振設定値を有する、
請求項2に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記2つのビームは、同時に生成される、
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項12】
前記複数のRF放射アンテナ素子の各々は、前記各RF放射アンテナ素子を制御するための同調可能液晶(LC)材料を備える、
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項13】
RF放射アンテナ素子の前記3以上のセットは、互いに交互配置される、
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項14】
複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子を有するアパーチャであって、前記複数のRF放射アンテナ素子は、前記複数のRF放射アンテナ素子の3以上のセットにグループ化され、各セットが別々に制御され、RF放射アンテナ素子の前記3以上のセットのうちのRF放射アンテナ素子の2つのセットは、別々に制御されて第1のモードにおける単一のビームと、前記第1のモードとは異なる第2のモードにおける2つのビームとを生成する、アパーチャと、
前記複数のRF放射アンテナ素子を制御するコントローラであって、前記第1のモードにおいて、前記コントローラは、1つの受信ビームを生成するために2つのセットを独立に制御し、送信ビームを生成するためにRF放射アンテナ素子の少なくとも1つの他のセットを制御するように動作可能であり、前記第2のモードにおいて、前記コントローラは、2つのビームを生成するために2つのセットを独立に制御し、前記送信ビームを生成するためにRF放射アンテナ素子の少なくとも1つの他のセットを制御するように動作可能である、コントローラと、
を備えたアンテナ。
【請求項15】
素子の前記2つのセットからの利用可能な共振同調状態は、共に組み合わされて、前記単一の受信ビームを形成する、
請求項14に記載のアンテナ。
【請求項16】
素子の前記2つのセットからの利用可能な共振同調状態は、1つの包括的なユークリッド変調方式で共に組み合わされて、前記単一の受信ビームを形成する、
請求項14に記載のアンテナ。
【請求項17】
前記2つの受信ビームのうちの第1のビームは、第1の衛星を指向することができ、前記2つの受信ビームのうちの第2は、第2の衛星を指向する、
請求項14に記載のアンテナ。
【請求項18】
第1の衛星は、次の出現衛星であり、前記第2の衛星との衛星接続は、メークビフォアブレーク状況の一部として失われようとしている、
請求項17に記載のアンテナ。
【請求項19】
RF放射アンテナ素子の前記複数のセットのうちのRF放射アンテナ素子は、前記アパーチャ内のグループに一緒に配置され、各グループは、RF放射アンテナ素子のセットの各々からの1つのRF放射アンテナ素子を含む、
請求項14に記載のアンテナ。
【請求項20】
各グループ及び素子の前記グループ内のRF放射アンテナ素子は、相互結合を制御するように配置される、
請求項34に記載のアンテナ。
【外国語明細書】