(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078495
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】攪拌装置とこれを用いた培養装置及び培養方法
(51)【国際特許分類】
B01F 33/40 20220101AFI20230531BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20230531BHJP
C12N 1/10 20060101ALI20230531BHJP
C12N 1/12 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
B01F13/02 A
C12M1/00 D
C12N1/10
C12N1/12 A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191626
(22)【出願日】2021-11-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】396020132
【氏名又は名称】株式会社システック
(72)【発明者】
【氏名】梶村 武志
(72)【発明者】
【氏名】冨田 正久
(72)【発明者】
【氏名】梶村 泰介
(72)【発明者】
【氏名】宮下 公一
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
4G036
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB01
4B029CC01
4B029DB11
4B065AA83X
4B065AA86X
4B065BB28
4B065BC08
4G036AC03
(57)【要約】
【課題】
本発明の課題は、液体を直接加圧して気体を一気に噴出させ効果的攪拌ができる攪拌装置とこれを用いた培養装置及び方法を提供する。
【解決手段】
本発明の攪拌装置とこれを用いた培養装置は、攪拌すべき液体に浸漬して加圧により直接液体水位を浸漬長だけ押し下げ、下部にある開口から一気に噴出させ液体を攪拌する気体押圧管を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧装置と、気体押圧管と、前記加圧装置と前記気体押圧管の間を接続する送気管と、を備え、前記気体押圧管は、前記送気管が接続された側から離れる方に、槽の中に収容され攪拌されるべき液体に浸漬する浸漬長以上の長さと、先端側に開口部又は/及び開口穴を有していて、前記気体押圧管が、前記浸漬された状態で、前記加圧装置により前記気体押圧管内に送り込んだ気体の圧力を上昇させ、前記気体押圧管内の前記液体の液水位を浸漬長以上下降させることで、前記気体を前記開口部又は/及び前記開口穴に到達させ、瞬時に前記気体を前記開口部又は/及び前記開口穴の周囲に噴出せしめることで液体を攪拌することを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
前記開口部又は/及び前記開口穴は、前記気体押圧管の前記先端側に上下又は内外に二つ以上設け、前記気体の前記噴出時において、前記上又は外の前記開口部又は/及び前記開口穴から前記気体を噴出させ、前記下又は内の前記開口部又は/及び前記開口穴は前記液体中に浸漬された状態となすことで前記気体の前記噴出を効果的にしたことを特徴とする請求項1記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記気体押圧管の外側の下端にガイドフィンを付けることで、前記噴出時に前記液体中で前記気体を横下方向へ導くことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記気体押圧管の前記液体への浸漬位置に、前記気体を内包する容積を増加するために膨らみ部を設けたことで攪拌効果を上げたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の攪拌装置。
【請求項5】
前記開口穴は、前記気体押圧管の下部に設けられ、外側ほど下がる斜め穴にしたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の攪拌装置。
【請求項6】
前記気体押圧管は、単管構成であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の攪拌装置。
【請求項7】
前記気体押圧管は、外管と前記外管の内部に配置された内管との多重管構造であることにより、前記噴出時の前記気体と前記液体の通路を分離して、前記噴出従って前記攪拌を効果的にしたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の攪拌装置。
【請求項8】
前記内管は、前記外管の先端より使用時に前記液体のあるべき側にはみ出したはみ出し構成部を備えたことを特徴とする請求項7記載の攪拌装置。
【請求項9】
前記内管と前記外管との間、又は/及び前記外管を二つに分けたものの間で、互いに接続と分離が可能な結合手段を有することで洗浄を容易にしたことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の攪拌装置。
【請求項10】
前記槽の中に複数の前記気体押圧管を配置し、前記槽の広い面積にわたって均質な攪拌を可能としたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の攪拌装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の攪拌装置を攪拌に使用したことを特徴とする培養装置。
【請求項12】
前記槽の中に、前記液体と沈殿性の培養のための栄養分を入れ、請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の攪拌装置により攪拌することで前記沈殿性の前記栄養分を均質配置に保持したことで培養と行うことを特徴とする培養方法。
【請求項13】
前記沈殿性の前記栄養分は酒粕とし、前記培養されるべきものをユーグレナとしたことを特徴とする請求項12記載の培養方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を攪拌する装置と、これを用いた培養装置及び培養方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の攪拌装置を示す図である。7-Aは、特許文献1に示されたもので、回路例3aの間歇気泡発生盤5を空気導管で槽内下部の気泡生成盤5につなぎ、気泡生成盤5から気泡を液中に吹き出すものである。7-Bは、特許文献2に示されたもので、槽内下部にある散気管8から空気を曝気し、空気を受け止める上方に凸のブレードを散気管8の上に配置することで、酸素を保持させ溶存酸素濃度の低い下部水域の酸素供給効率を高めたものである。文献1と同じく、下部から気泡を吹き出すものだが、攪拌の効率化に向けては、両者とも特別な技術的特徴は示されていない。7-Cは、特許文献3に示されたもので、槽内の液中に沈めたカルシウム材による濾過層を配置し、濾過層を上下に貫通するように上層部にロート状の送水管を設置し、攪拌羽根を配置して、処理水を上部から下部に送り、循環させて、濾過層で濾過するものであるが、液体の送付に関するものであり、気体による攪拌を主体にしたものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開H9-271651
【特許文献2】特開2001-232387
【特許文献3】特開S54-37354
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の課題は、気体の噴出によって液体の効率的攪拌を行う攪拌装置とこれを用いた培養装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下請求項に沿い記述する。
請求項1記載の発明は、攪拌装置であって、
加圧装置と、気体押圧管と、前記加圧装置と前記気体押圧管の間を接続する送気管と、を備え、前記気体押圧管は、前記送気管が接続された側から離れる方に、槽の中に収容され攪拌されるべき液体に浸漬する浸漬長以上の長さと、先端側に開口部又は/及び開口穴を有していて、前記気体押圧管が、前記浸漬された状態で、前記加圧装置により前記気体押圧管内に送り込んだ気体の圧力を上昇させ、前記気体押圧管内の前記液体の液水位を浸漬長以上下降させることで、前記気体を前記開口部又は/及び前記開口穴に到達させ、瞬時に前記気体を前記開口部又は/及び前記開口穴の周囲に噴出せしめることで液体を攪拌することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の攪拌装置において、
前記開口部又は/及び前記開口穴は、前記気体押圧管の前記先端側に上下又は内外に二つ以上設け、前記気体の前記噴出時において、前記上又は外の前記開口部又は/及び前記開口穴から前記気体を噴出させ、前記下又は内の前記開口部又は/及び前記開口穴は前記液体中に浸漬された状態となすことで前記気体の前記噴出を効果的にしたことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の攪拌装置において、
前記気体押圧管の外側の下端にガイドフィンを付けることで、前記噴出時に前記液体中で前記気体を横下方向へ導くことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の攪拌装置において、
前記気体押圧管の前記液体への浸漬位置に、前記気体を内包する容積を増加するために膨らみ部を設けたことで攪拌効果を上げたことを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の攪拌装置において、
前記開口穴は、前記気体押圧管の下部に設けられ、外側ほど下がる斜め穴にしたことを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の攪拌装置において、
前記気体押圧管は、単管構成であることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の攪拌装置において、
前記気体押圧管は、外管と前記外管の内部に配置された内管との多重管構造であることにより、前記噴出時の前記気体と前記液体の通路を分離して、前記噴出従って前記攪拌を効果的にしたことを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の攪拌装置において、
前記内管は、前記外管の先端より使用時に前記液体のあるべき側にはみ出したはみ出し構成部を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明は、請求項7又は請求項8記載の攪拌装置において、
前記内管と前記外管との間、又は/及び前記外管を二つに分けたものの間で、互いに接続と分離が可能な結合手段を有することで洗浄を容易にしたことを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の発明は、請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の攪拌装置において、前記槽の中に複数の前記気体押圧管を配置し、前記槽の広い面積にわたって均質な攪拌を可能としたことを特徴とする。
【0015】
請求項11記載の発明は、培養装置であって、
請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の攪拌装置を攪拌に使用したことを特徴とする。
【0016】
請求項12記載の発明は、培養方法であって、
前記槽の中に、前記液体と沈殿性の培養のための栄養分を入れ、請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の攪拌装置により攪拌することで前記沈殿性の前記栄養分を均質配置に保持したことで培養と行うことを特徴とする。
【0017】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の培養方法において、
前記沈殿性の前記栄養分は酒粕とし、前記培養されるべきものをユーグレナとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上の様に構成されているので、本発明による攪拌装置とこれを用いた培養装置及び方法では、単純な構成によって、液体を直接加圧して気体を一気に噴出させ、効果的に攪拌できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明にかかる攪拌装置の一実施態様を示す図である。
【
図2】本発明にかかる攪拌装置の他の一実施態様を示す図である。
【
図3】本発明にかかる攪拌装置の動作の一実施態様を示す図である。
【
図4】本発明にかかる攪拌装置の実施態様の変更例を示す図である。
【
図5】本発明にかかる攪拌装置の実施態様の変更例を示す図である。
【
図6】本発明にかかる攪拌装置の使用時の一実施態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明にかかる攪拌装置の一実施態様を示す図である。
加圧装置110と、気体押圧管120と、加圧装置110と気体押圧管120の間を接続する送気管130と、を備え、気体押圧管120は、送気管130が接続された側から離れる方に、攪拌されるべき液体に浸漬する浸漬長以上の長さと、その先端側に開口部121Aと又は/及び下記の開口穴121Bを有していて、気体押圧管120が、浸漬された状態で、加圧装置110により送り込んだ気体押圧管120内の気体の圧力を上昇させ、気体押圧管120内の液体の液水位を浸漬長以上下降させることで、気体を開口部121A又は/及び下記の開口穴121Bに到達させ、直後、気体が開口部121A又は/及び下記の開口穴121Bを越えた瞬間から瞬時に気体を開口部121A又は/及び下記の開口穴121Bの周囲に噴出せしめることで液体を攪拌することを特徴としている。加圧装置110から送気管130で槽の下部から気体泡を出す従来の装置では、送気管130の排気抵抗(気体が管内を移動するときの抵抗(通りにくさ))があるため攪拌効果が低下してしまうが、本願の装置では、その欠点はなくなって、気体押圧管120内に溜まっていき、開口部121A又は/及び下記の開口穴121Bのある位置即ち浸漬長だけ液水位が下がって、気体の噴出を直接抑えていた液体の膜(薄い層)を押し破って、気体押圧管120内に溜まった気体全量が一気に噴出する。この事情は、従来の装置ではないことである。
【0021】
攪拌力は、気体押圧管120の浸漬長の部分の容積に溜まる気体の量で決まる。
即ち、攪拌効果が、浸漬長及び浸漬長の部分の容積で決める設計ができる。
適度の時間間隔で、加圧と瞬時噴出を繰り返して攪拌を行う。尚、1-Aでは、気体押圧管120の開口部121Aとして、気体押圧管120の下部に開口穴121Bを設けている。開口穴121Bは図のように外側ほど下がる斜め穴にすると、横方向への攪拌を効果的にできる。開口穴121Bがなくとも、開口部121Aがその役目をすることができる。
1-Bには、加圧前の気体の圧力と液水位の寸法を示し、浸漬長がh0である。Hは、液槽の空間長である。1-Cでは、加圧により、液水位が浸漬長h0だけ下げられて、瞬時噴出が起こる寸前での液水位の状態における気体の圧力、液水位関係を示している。同時に、気体押圧管120の断面の面積S0と液槽の断面の面積S1も示している。1-Cの状態の直後、一気に瞬時噴出が発生し、気体押圧管120内の気体は液体側にでて、液は逆に気体押圧管120内に戻って、液水位は1-Bの状態に戻る。
【0022】
因みに、瞬時噴出直前の管内圧力は、使用時を外気に通じた条件で、以下の計算のようになる。
瞬時噴出直前の加圧力Paと空間圧Pは、槽内圧力P0、液水位差h0、管面積S0、
容器面積S=S1-S0、液上昇水位差h1として、(長さ単位はm、圧力単位は気圧)
槽内圧力は、槽内がフィルタを介し外気に通じている条件で、P0一定とする。
Pa=P0+0.1(h0+h1) (1)
h0S0=h1S=h1(S1-S0)
h1=h0S0/(S1-S0) (2)
計算例:P0=1気圧、S0(直径3cm)=7.07/10000m2、S1(直径30cm)=700/10000m2、h0=0.15m、H=0.1mとして、
h1=0.15×7.07/10000/(700/10000-7.07/10000)
=0.15×7.07/693=0.0015m⇒水位上昇は1.5mm (3)
(3)から、Pa=1+0.1(0.15+0.0015)
=1+0.1×0.1515=1+0.01515
=1.015(気圧) (4)
P0の1気圧⇒Paの1.015気圧に昇圧で噴出限界が達成できる。
【0023】
尚、1-Aに示す開口部121Aが全開のものに対して、1-Dに示すように、気体押圧管120の下部の底部にある開口部121Aを狭い穴にしたものをしめす。更に、1-Eでは、開口部あるなしにかかわらず、側面にある開口穴121Bを上下に2段に形成し、液体位置が加圧により、上側の開口穴121B2に到達したときに、気体を開口穴121B2から噴出させ、同時に下側の開口穴121B1から液体を気体押圧管120の管内に入れる動作をさせる。このような変更案も可能である。
【0024】
図2は、本発明にかかる攪拌装置の他の一実施態様を示す図である。
図1では、気体押圧管120が単管構成であったが、
図2の2-Aにおいては、気体押圧管120は、多重管構成である。外管120Aの内部に内菅120Bが、内菅120Bの開口部121Aのある先端が外管120Aの開口部121Aのある先端と同じ高さ又は内菅120Bが外管120Aより外側に出る配置になっている方が好ましい。尚、内菅120Bの先端が外管120Aの先端より内側にあるほど、多重管の効果は低下する。
図1と同様に、気管壁下部に開口穴121Bがあってもよいし、開口穴121Bが無くとも、内菅120Bと外管120Aの間の空間がその役割をする。尚、多重管は、外管12-Aの中にある内管120Bが複数本あってもよいが、基本的には、図示のように1本で効果が達成される。
2-Bのように液槽の液体に浸漬して使う。加圧してない状態で内菅120Bの上側先端を液水位が上回るか、下に来るかは任意に選べるが、上回る位置まで浸漬する方が、液体の戻りと気体の噴出に有利になる。
【0025】
図1の単管構成も
図2の多重管構成も基本動作は同じなので、多重管構成の図を用いて、動作を
図3で説明する。
図3は、本発明にかかる攪拌装置の動作の一実施態様を示す図である。3-Aは、液槽に攪拌装置が配置された図である。A)は、加圧前で、太線で示す気体押圧管120内と槽内で同じ液水位である。B)は、加圧途中で、気体押圧管120内の液水位が下がり、その分、液槽の液水位は上がっている。C)は、気体押圧管120内の液水位が開口部121A又は開口穴121Bの位置まで下がった状態で、この直後には、D)のように、開口部121A又は開口穴121Bから気体が一気に周りの液体中に噴き出す瞬時噴出状態になり、暴発的な噴出で液体が攪拌される。多重管構成では、気体は、内菅120Bと外管120Aの間の空間を通って液体中に吹き出し、同時に液体は、内菅120Bの内側を通って、上に戻ると同時に槽内上部の気体を押し出して吐き出させる。多重管構成は、気体の通路と液体の通路が分かれているため、互いの間で勢いを低減する不都合がないが、単管構成では、液体が戻る方向と気体の流れの方向が逆であり、更に、液体が入ると気体の通路が狭められ、気体が通路を維持することと反対の効果があるため、気体を押し出す力は、多重管構成に比べて弱まる。その代わり、単管構成は、単純な点が利点である。
【0026】
動作は、両者は同じである。3-Bには、気体押圧管120内の気体の圧力Pと液水位H、噴出量Qの時間変化を3サイクル分示す。
A)状態から加圧を開始して、液水位は、B)状態で下がっていく、C)で液水位が最下点になると、その直後D)のように瞬時噴出量Qのように気体が一気に噴き出し、元のA)状態に戻っていく。瞬時噴出量Qによって攪拌が行われる。これが繰り返される。噴出の総量は、液水位の差である浸漬長h0の部分の気体押圧管120の容積で決まり、噴出力は、圧力、従って浸漬長h0で決まり、両者が攪拌効果に寄与するので、浸漬長h0と気体押圧管120の断面も大きい方がよい。尚、加圧してない状態での液水位と内管の上端位置とは、互いに制限関係はなく、瞬時噴出量は、浸漬長(液水位差)に対応する気体押圧管120又は、多重管構造では外管120Aの容積で決まる。
【0027】
図4は、本発明にかかる攪拌装置の実施態様の変更例を示す図である。
4-Aは、多重管構成のみに言えることであるが、内管120Bを外管120Aの先端よりΔ分だけはみ出したはみ出し構成部401にすることで、気体の瞬時噴出時においても、内菅120Bが液体中にあることで、液体の内管120Bへの戻りと外管120の開口部121Aの気体通路を確保したものである。4-Bは、単管構成、多重管構成に共通なもので、気体押圧管120の外側の下端にガイドフィン402を付けたものである。すなわち、気体押圧管120が単管構成では開口穴121Bの直ぐ上に、気体押圧管120が多重管構成では外管120Aの下端に、液体中で気体を横下方向へ導くガイドフィン402を付ける。
4-Cは、単管構成、多重管構成に共通なもので、気体押圧管120に膨らみ部403を設ける。すなわち、単管構成の気体押圧管120又は多重管構成の気体押圧管120の外管120Aの浸漬位置に容積を増加するために膨らみ部403を設けたものである。これは、上記した噴出の総量が気体押圧管120の浸漬長h0の部分の容積で決まることに対応している。
【0028】
図5は、本発明にかかる攪拌装置の実施態様の変更例を示す図である。
主に多重管構成においては、内菅120Bと外菅120Aを適度な期間ごとに洗浄する場合に備えて、分離構造にしたものである。5-Aの装置は、5-Bの外管120A、5-Cの送気管130及び加圧装置110、5-Dの内菅120Bに分離される。各々の間は、結合手段により結合・分離が自在であるので、洗浄などのメンテナンスを容易に行える。
尚、
図4の4-Cに示すように外管120Aの膨らみ部403で上下に分離して、結合手段により結合・分離が自在とすることもできる。勿論、結合部なし、従って、分離なしの膨らみ部403の構成でもよいことは当然である
【0029】
図6は、本発明にかかる攪拌装置の使用時の一実施態様を示す図である。
6-Aでは、液槽ごとに攪拌装置を備えている場合、6-Bは、液槽に複数の攪拌装置を適当な間隔を離して備えている場合である。攪拌装置1台が横にどの範囲まで攪拌効果があるかを考慮して配置される。各々の攪拌装置は、同時に攪拌してもよいが、6-Cのように撹拌タイミングをずらして動作してもよい。
【0030】
液槽は、ユーグレナ等の微細藻類の培養槽とし、本装置を攪拌に使用すれば培養装置とすることができる。尚、本攪拌装置は、培養のための栄養分で、酒粕などのように特に沈殿性の栄養分を使用して微細藻類、特にユーグレナを培養する場合に沈殿した酒粕を均質に攪拌する場合において有効な培養方法である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のように本発明にかかる攪拌装置とこれを用いた培養装置及び方法は、簡単な構成で極めて効果的な攪拌が可能なので、産業上利用して極めて好都合である。
【0032】
110 加圧装置
120 気体押圧管
120A 外管
120B 内管
121A 開口部
121B、 121B1、121B2 開口穴
130 送気管
401 はみ出し構成部
402 ガイドフィン
403 膨らみ部
【手続補正書】
【提出日】2022-10-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧装置と、気体押圧管と、前記加圧装置と前記気体押圧管の間を接続する送気管と、を備え、前記気体押圧管は、前記送気管が接続された側から離れる方に、槽の中に収容され攪拌されるべき液体に浸漬する浸漬長以上の長さと、先端側に開口部又は/及び開口穴を有していて、前記気体押圧管が、前記浸漬された状態で、前記加圧装置により前記気体押圧管内に送り込んだ気体の圧力を上昇させ、前記気体押圧管内の前記液体の液水位を浸漬長以上下降させることで、前記気体を前記開口部又は/及び前記開口穴に到達させ、瞬時に前記気体を前記開口部又は/及び前記開口穴の周囲に噴出せしめることで液体を攪拌することを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
前記開口部又は/及び前記開口穴は、前記気体押圧管の前記先端側に上下又は内外に二つ以上設け、前記気体の前記噴出時において、前記上又は外の前記開口部又は/及び前記開口穴から前記気体を噴出させ、前記下又は内の前記開口部又は/及び前記開口穴は前記液体中に浸漬された状態となすことで前記気体の前記噴出を効果的にしたことを特徴とする請求項1記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記気体押圧管の外側の下端にガイドフィンを付けることで、前記噴出時に前記液体中で前記気体を横下方向へ導くことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記気体押圧管の前記液体への浸漬位置に、前記気体を内包する容積を増加するために膨らみ部を設けたことで攪拌効果を上げたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の攪拌装置。
【請求項5】
前記開口穴は、前記気体押圧管の下部の側壁内に設けられ、外方向ほど下がる斜め穴にしたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の攪拌装置。
【請求項6】
前記気体押圧管は、単管構成であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の攪拌装置。
【請求項7】
前記気体押圧管は、外管と前記外管の内部に配置された内管との多重管構造であることにより、前記噴出時の前記気体と前記液体の通路を分離して、前記噴出従って前記攪拌を効果的にしたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の攪拌装置。
【請求項8】
前記内管は、前記外管の先端より下側にはみ出したはみ出し構成部を備えたことを特徴とする請求項7記載の攪拌装置。
【請求項9】
前記内管と前記外管との間、又は/及び前記外管を二つに分けたものの間で、互いに接続と分離が可能な結合手段を有することで洗浄を容易にしたことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の攪拌装置。
【請求項10】
前記槽の中に複数の前記気体押圧管を配置し、前記槽の広い面積にわたって均質な攪拌を可能としたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の攪拌装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の攪拌装置を有し、攪拌に使用したことを特徴とする培養装置。
【請求項12】
前記槽の中に、前記液体と沈殿性の培養のための栄養分を入れ、請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の攪拌装置を備えて攪拌することで前記沈殿性の前記栄養分を均質配置に保持したことで培養と行うことを特徴とする培養方法。
【請求項13】
前記沈殿性の前記栄養分は酒粕とし、前記培養されるべきものをユーグレナとしたことを特徴とする請求項12記載の培養方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を攪拌する装置と、これを用いた培養装置及び培養方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の攪拌装置を示す図である。7-Aは、特許文献1に示されたもので、回路例3aの間歇気泡発生盤5を空気導管で槽内下部の気泡生成盤5につなぎ、気泡生成盤5から気泡を液中に吹き出すものである。7-Bは、特許文献2に示されたもので、槽内下部にある散気管8から空気を曝気し、空気を受け止める上方に凸のブレードを散気管8の上に配置することで、酸素を保持させ溶存酸素濃度の低い下部水域の酸素供給効率を高めたものである。文献1と同じく、下部から気泡を吹き出すものだが、攪拌の効率化に向けては、両者とも特別な技術的特徴は示されていない。7-Cは、特許文献3に示されたもので、槽内の液中に沈めたカルシウム材による濾過層を配置し、濾過層を上下に貫通するように上層部にロート状の送水管を設置し、攪拌羽根を配置して、処理水を上部から下部に送り、循環させて、濾過層で濾過するものであるが、液体の送付に関するものであり、気体による攪拌を主体にしたものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開H9-271651
【特許文献2】特開2001-232387
【特許文献3】特開S54-37354
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の課題は、気体の噴出によって液体の効率的攪拌を行う攪拌装置とこれを用いた培養装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下請求項に沿い記述する。
請求項1記載の発明は、攪拌装置であって、
加圧装置と、気体押圧管と、前記加圧装置と前記気体押圧管の間を接続する送気管と、を備え、前記気体押圧管は、前記送気管が接続された側から離れる方に、槽の中に収容され攪拌されるべき液体に浸漬する浸漬長以上の長さと、先端側に開口部又は/及び開口穴を有していて、前記気体押圧管が、前記浸漬された状態で、前記加圧装置により前記気体押圧管内に送り込んだ気体の圧力を上昇させ、前記気体押圧管内の前記液体の液水位を浸漬長以上下降させることで、前記気体を前記開口部又は/及び前記開口穴に到達させ、瞬時に前記気体を前記開口部又は/及び前記開口穴の周囲に噴出せしめることで液体を攪拌することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の攪拌装置において、
前記開口部又は/及び前記開口穴は、前記気体押圧管の前記先端側に上下又は内外に二つ以上設け、前記気体の前記噴出時において、前記上又は外の前記開口部又は/及び前記開口穴から前記気体を噴出させ、前記下又は内の前記開口部又は/及び前記開口穴は前記液体中に浸漬された状態となすことで前記気体の前記噴出を効果的にしたことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の攪拌装置において、
前記気体押圧管の外側の下端にガイドフィンを付けることで、前記噴出時に前記液体中で前記気体を横下方向へ導くことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の攪拌装置において、
前記気体押圧管の前記液体への浸漬位置に、前記気体を内包する容積を増加するために膨らみ部を設けたことで攪拌効果を上げたことを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の攪拌装置において、
前記開口穴は、前記気体押圧管の下部の側壁内に設けられ、外方向ほど下がる斜め穴にしたことを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の攪拌装置において、
前記気体押圧管は、単管構成であることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の攪拌装置において、
前記気体押圧管は、外管と前記外管の内部に配置された内管との多重管構造であることにより、前記噴出時の前記気体と前記液体の通路を分離して、前記噴出従って前記攪拌を効果的にしたことを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の攪拌装置において、
前記内管は、前記外管の先端より下側にはみ出したはみ出し構成部を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明は、請求項7又は請求項8記載の攪拌装置において、
前記内管と前記外管との間、又は/及び前記外管を二つに分けたものの間で、互いに接続と分離が可能な結合手段を有することで洗浄を容易にしたことを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の発明は、請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の攪拌装置において、前記槽の中に複数の前記気体押圧管を配置し、前記槽の広い面積にわたって均質な攪拌を可能としたことを特徴とする。
【0015】
請求項11記載の発明は、培養装置であって、
前記培養装置は、請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の攪拌装置を有し、攪拌に使用したことを特徴とする。
【0016】
請求項12記載の発明は、培養方法であって、
前記槽の中に、前記液体と沈殿性の培養のための栄養分を入れ、請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の攪拌装置を備えて攪拌することで前記沈殿性の前記栄養分を均質配置に保持したことで培養と行うことを特徴とする。
【0017】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の培養方法において、
前記沈殿性の前記栄養分は酒粕とし、前記培養されるべきものをユーグレナとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上の様に構成されているので、本発明による攪拌装置とこれを用いた培養装置及び方法では、単純な構成によって、液体を直接加圧して気体を一気に噴出させ、効果的に攪拌できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明にかかる攪拌装置の一実施態様を示す図である。
【
図2】本発明にかかる攪拌装置の他の一実施態様を示す図である。
【
図3】本発明にかかる攪拌装置の動作の一実施態様を示す図である。
【
図4】本発明にかかる攪拌装置の実施態様の変更例を示す図である。
【
図5】本発明にかかる攪拌装置の実施態様の変更例を示す図である。
【
図6】本発明にかかる攪拌装置の使用時の一実施態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明にかかる攪拌装置の一実施態様を示す図である。
加圧装置110と、気体押圧管120と、加圧装置110と気体押圧管120の間を接続する送気管130と、を備え、気体押圧管120は、送気管130が接続された側から離れる方に、攪拌されるべき液体に浸漬する浸漬長以上の長さと、その先端側に開口部121Aと又は/及び下記の開口穴121Bを有していて、気体押圧管120が、浸漬された状態で、加圧装置110により送り込んだ気体押圧管120内の気体の圧力を上昇させ、気体押圧管120内の液体の液水位を浸漬長以上下降させることで、気体を開口部121A又は/及び下記の開口穴121Bに到達させ、直後、気体が開口部121A又は/及び下記の開口穴121Bを越えた瞬間から瞬時に気体を開口部121A又は/及び下記の開口穴121Bの周囲に噴出せしめることで液体を攪拌することを特徴としている。加圧装置110から送気管130で槽の下部から気体泡を出す従来の装置では、送気管130の排気抵抗(気体が管内を移動するときの抵抗(通りにくさ))があるため攪拌効果が低下してしまうが、本願の装置では、その欠点はなくなって、気体押圧管120内に溜まっていき、開口部121A又は/及び下記の開口穴121Bのある位置即ち浸漬長だけ液水位が下がって、気体の噴出を直接抑えていた液体の膜(薄い層)を押し破って、気体押圧管120内に溜まった気体全量が一気に噴出する。この事情は、従来の装置ではないことである。
尚、本願では、明細書及び請求の範囲の請求項2から請求項13において記述する、「上向、下向」及び「内向、外向」の定義は以下のものとする。
定義:「攪拌される液体を槽に満たし、液の液面の上方から液面に直角に気体押圧管を挿入した使用状態で、槽の底面から液面に向かう方向が上向、液面から槽の底面に向かう方向が下向」とし、且つ、「気体押圧管を液面に平行に仮想的に切った断面上で、断面の中心点から離れる向きを外向、中心点に向かう向きを内向」とする。
【0021】
攪拌力は、気体押圧管120の浸漬長の部分の容積に溜まる気体の量で決まる。
即ち、攪拌効果が、浸漬長及び浸漬長の部分の容積で決める設計ができる。
適度の時間間隔で、加圧と瞬時噴出を繰り返して攪拌を行う。尚、1-Aでは、気体押圧管120の開口部121Aとして、気体押圧管120の下部に開口穴121Bを設けている。開口穴121Bは図のように外側ほど下がる斜め穴にすると、横方向への攪拌を効果的にできる。開口穴121Bがなくとも、開口部121Aがその役目をすることができる。
1-Bには、加圧前の気体の圧力と液水位の寸法を示し、浸漬長がh0である。Hは、液槽の空間長である。1-Cでは、加圧により、液水位が浸漬長h0だけ下げられて、瞬時噴出が起こる寸前での液水位の状態における気体の圧力、液水位関係を示している。同時に、気体押圧管120の断面の面積S0と液槽の断面の面積S1も示している。1-Cの状態の直後、一気に瞬時噴出が発生し、気体押圧管120内の気体は液体側にでて、液は逆に気体押圧管120内に戻って、液水位は1-Bの状態に戻る。
【0022】
因みに、瞬時噴出直前の管内圧力は、使用時を外気に通じた条件で、以下の計算のようになる。
瞬時噴出直前の加圧力Paと空間圧Pは、槽内圧力P0、液水位差h0、管面積S0、
容器面積S=S1-S0、液上昇水位差h1として、(長さ単位はm、圧力単位は気圧)
槽内圧力は、槽内がフィルタを介し外気に通じている条件で、P0一定とする。
Pa=P0+0.1(h0+h1) (1)
h0S0=h1S=h1(S1-S0)
h1=h0S0/(S1-S0) (2)
計算例:P0=1気圧、S0(直径3cm)=7.07/10000m2、S1(直径30cm)=700/10000m2、h0=0.15m、H=0.1mとして、
h1=0.15×7.07/10000/(700/10000-7.07/10000)
=0.15×7.07/693=0.0015m⇒水位上昇は1.5mm (3)
(3)から、Pa=1+0.1(0.15+0.0015)
=1+0.1×0.1515=1+0.01515
=1.015(気圧) (4)
P0の1気圧⇒Paの1.015気圧に昇圧で噴出限界が達成できる。
【0023】
尚、1-Aに示す開口部121Aが全開のものに対して、1-Dに示すように、気体押圧管120の下部の底部にある開口部121Aを狭い穴にしたものをしめす。更に、1-Eでは、開口部あるなしにかかわらず、側面にある開口穴121Bを上下に2段に形成し、液体位置が加圧により、上側の開口穴121B2に到達したときに、気体を開口穴121B2から噴出させ、同時に下側の開口穴121B1から液体を気体押圧管120の管内に入れる動作をさせる。このような変更案も可能である。
【0024】
図2は、本発明にかかる攪拌装置の他の一実施態様を示す図である。
図1では、気体押圧管120が単管構成であったが、
図2の2-Aにおいては、気体押圧管120は、多重管構成である。外管120Aの内部に内菅120Bが、内菅120Bの開口部121Aのある先端が外管120Aの開口部121Aのある先端と同じ高さ又は内菅120Bが外管120Aより
下側に出る配置になっている方が好ましい。尚、内菅120Bの先端が外管120Aの先端より
上側にあるほど、多重管の効果は低下する。
図1と同様に、気管壁下部に開口穴121Bがあってもよいし、開口穴121Bが無くとも、内菅120Bと外管120Aの間の空間がその役割をする。尚、多重管は、外管12-Aの中にある内管120Bが複数本あってもよいが、基本的には、図示のように1本で効果が達成される。
2-Bのように液槽の液体に浸漬して使う。加圧してない状態で内菅120Bの上側先端を液水位が上回るか、下に来るかは任意に選べるが、上回る位置まで浸漬する方が、液体の戻りと気体の噴出に有利になる。
【0025】
図1の単管構成も
図2の多重管構成も基本動作は同じなので、多重管構成の図を用いて、動作を
図3で説明する。
図3は、本発明にかかる攪拌装置の動作の一実施態様を示す図である。3-Aは、液槽に攪拌装置が配置された図である。A)は、加圧前で、太線で示す気体押圧管120内と槽内で同じ液水位である。B)は、加圧途中で、気体押圧管120内の液水位が下がり、その分、液槽の液水位は上がっている。C)は、気体押圧管120内の液水位が開口部121A又は開口穴121Bの位置まで下がった状態で、この直後には、D)のように、開口部121A又は開口穴121Bから気体が一気に周りの液体中に噴き出す瞬時噴出状態になり、暴発的な噴出で液体が攪拌される。多重管構成では、気体は、内菅120Bと外管120Aの間の空間を通って液体中に吹き出し、同時に液体は、内菅120Bの内側を通って、上に戻ると同時に槽内上部の気体を押し出して吐き出させる。多重管構成は、気体の通路と液体の通路が分かれているため、互いの間で勢いを低減する不都合がないが、単管構成では、液体が戻る方向と気体の流れの方向が逆であり、更に、液体が入ると気体の通路が狭められ、気体が通路を維持することと反対の効果があるため、気体を押し出す力は、多重管構成に比べて弱まる。その代わり、単管構成は、単純な点が利点である。
【0026】
動作は、両者は同じである。3-Bには、気体押圧管120内の気体の圧力Pと液水位H、噴出量Qの時間変化を3サイクル分示す。
A)状態から加圧を開始して、液水位は、B)状態で下がっていく、C)で液水位が最下点になると、その直後D)のように瞬時噴出量Qのように気体が一気に噴き出し、元のA)状態に戻っていく。瞬時噴出量Qによって攪拌が行われる。これが繰り返される。噴出の総量は、液水位の差である浸漬長h0の部分の気体押圧管120の容積で決まり、噴出力は、圧力、従って浸漬長h0で決まり、両者が攪拌効果に寄与するので、浸漬長h0と気体押圧管120の断面も大きい方がよい。尚、加圧してない状態での液水位と内管の上端位置とは、互いに制限関係はなく、瞬時噴出量は、浸漬長(液水位差)に対応する気体押圧管120又は、多重管構造では外管120Aの容積で決まる。
【0027】
図4は、本発明にかかる攪拌装置の実施態様の変更例を示す図である。
4-Aは、多重管構成のみに言えることであるが、内管120Bを外管120Aの先端よりΔ分だけはみ出したはみ出し構成部401にすることで、気体の瞬時噴出時においても、内菅120Bが液体中にあることで、液体の内管120Bへの戻りと外管120の開口部121Aの気体通路を確保したものである。4-Bは、単管構成、多重管構成に共通なもので、気体押圧管120の外側の下端にガイドフィン402を付けたものである。すなわち、気体押圧管120が単管構成では開口穴121Bの直ぐ上に、気体押圧管120が多重管構成では外管120Aの下端に、液体中で気体を横下方向へ導くガイドフィン402を付ける。
4-Cは、単管構成、多重管構成に共通なもので、気体押圧管120に膨らみ部403を設ける。すなわち、単管構成の気体押圧管120又は多重管構成の気体押圧管120の外管120Aの浸漬位置に容積を増加するために膨らみ部403を設けたものである。これは、上記した噴出の総量が気体押圧管120の浸漬長h0の部分の容積で決まることに対応している。
【0028】
図5は、本発明にかかる攪拌装置の実施態様の変更例を示す図である。
主に多重管構成においては、内菅120Bと外菅120Aを適度な期間ごとに洗浄する場合に備えて、分離構造にしたものである。5-Aの装置は、5-Bの外管120A、5-Cの送気管130及び加圧装置110、5-Dの内菅120Bに分離される。各々の間は、結合手段により結合・分離が自在であるので、洗浄などのメンテナンスを容易に行える。
尚、
図4の4-Cに示すように外管120Aの膨らみ部403で上下に分離して、結合手段により結合・分離が自在とすることもできる。勿論、結合部なし、従って、分離なしの膨らみ部403の構成でもよいことは当然である
【0029】
図6は、本発明にかかる攪拌装置の使用時の一実施態様を示す図である。
6-Aでは、液槽ごとに攪拌装置を備えている場合、6-Bは、液槽に複数の攪拌装置を適当な間隔を離して備えている場合である。攪拌装置1台が横にどの範囲まで攪拌効果があるかを考慮して配置される。各々の攪拌装置は、同時に攪拌してもよいが、6-Cのように撹拌タイミングをずらして動作してもよい。
【0030】
液槽は、ユーグレナ等の微細藻類の培養槽とし、本装置を攪拌に使用すれば培養装置とすることができる。尚、本攪拌装置は、培養のための栄養分で、酒粕などのように特に沈殿性の栄養分を使用して微細藻類、特にユーグレナを培養する場合に沈殿した酒粕を均質に攪拌する場合において有効な培養方法である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のように本発明にかかる攪拌装置とこれを用いた培養装置及び方法は、簡単な構成で極めて効果的な攪拌が可能なので、産業上利用して極めて好都合である。
【0032】
110 加圧装置
120 気体押圧管
120A 外管
120B 内管
121A 開口部
121B、 121B1、121B2 開口穴
130 送気管
401 はみ出し構成部
402 ガイドフィン
403 膨らみ部
【手続補正書】
【提出日】2022-11-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧装置と、気体押圧管と、前記加圧装置と前記気体押圧管の間を接続する送気管と、を備え、前記気体押圧管は、前記送気管が接続された側から離れる方に、槽の中に収容され攪拌されるべき液体に浸漬する浸漬長以上の長さと、先端側に開口部又は/及び開口穴を有していて、前記気体押圧管が、前記浸漬された状態で、前記加圧装置により前記気体押圧管内に送り込んだ気体の圧力を上昇させ、前記気体押圧管内の前記液体の液水位を浸漬長以上下降させることで、前記気体を前記開口部又は/及び前記開口穴に到達させ、瞬時に前記気体を前記開口部又は/及び前記開口穴の周囲に噴出せしめることで液体を攪拌することを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
前記気体押圧管の外側の下端にガイドフィンを付けることで、前記噴出時に前記液体中で前記気体を横下方向へ導くことを特徴とする請求項1記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記気体押圧管の前記液体への浸漬位置に、前記気体を内包する容積を増加するために膨らみ部を設けたことで攪拌効果を上げたことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1つに記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記気体押圧管は、単管構成であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の攪拌装置。
【請求項5】
前記気体押圧管は、外管と前記外管の内部に配置された内管との多重管構造であることにより、前記噴出時の前記気体と前記液体の通路を分離して、前記噴出従って前記攪拌を効果的にしたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の攪拌装置。
【請求項6】
前記内管は、前記外管の先端より下側にはみ出したはみ出し構成部を備えたことを特徴とする請求項5記載の攪拌装置。
【請求項7】
前記内管と前記外管との間、又は/及び前記外管を二つに分けたものの間で、互いに接続と分離が可能な結合手段を有することで洗浄を容易にしたことを特徴とする請求項5又は請求項6記載の攪拌装置。
【請求項8】
前記槽の中に複数の前記気体押圧管を配置し、前記槽の広い面積にわたって均質な攪拌を可能としたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の攪拌装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の攪拌装置を有し、攪拌に使用したことを特徴とする培養装置。
【請求項10】
前記槽の中に、前記液体と沈殿性の培養のための栄養分を入れ、請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の攪拌装置を備えて攪拌することで前記沈殿性の前記栄養分を均質配置に保持したことで培養と行うことを特徴とする培養方法。
【請求項11】
前記沈殿性の前記栄養分は酒粕とし、前記培養されるべきものをユーグレナとしたことを特徴とする請求項10記載の培養方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を攪拌する装置と、これを用いた培養装置及び培養方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の攪拌装置を示す図である。7-Aは、特許文献1に示されたもので、回路例3aの間歇気泡発生盤5を空気導管で槽内下部の気泡生成盤5につなぎ、気泡生成盤5から気泡を液中に吹き出すものである。7-Bは、特許文献2に示されたもので、槽内下部にある散気管8から空気を曝気し、空気を受け止める上方に凸のブレードを散気管8の上に配置することで、酸素を保持させ溶存酸素濃度の低い下部水域の酸素供給効率を高めたものである。文献1と同じく、下部から気泡を吹き出すものだが、攪拌の効率化に向けては、両者とも特別な技術的特徴は示されていない。7-Cは、特許文献3に示されたもので、槽内の液中に沈めたカルシウム材による濾過層を配置し、濾過層を上下に貫通するように上層部にロート状の送水管を設置し、攪拌羽根を配置して、処理水を上部から下部に送り、循環させて、濾過層で濾過するものであるが、液体の送付に関するものであり、気体による攪拌を主体にしたものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開H9-271651
【特許文献2】特開2001-232387
【特許文献3】特開S54-37354
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の課題は、気体の噴出によって液体の効率的攪拌を行う攪拌装置とこれを用いた培養装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下請求項に沿い記述する。
請求項1記載の発明は、攪拌装置であって、
加圧装置と、気体押圧管と、前記加圧装置と前記気体押圧管の間を接続する送気管と、を備え、前記気体押圧管は、前記送気管が接続された側から離れる方に、槽の中に収容され攪拌されるべき液体に浸漬する浸漬長以上の長さと、先端側に開口部又は/及び開口穴を有していて、前記気体押圧管が、前記浸漬された状態で、前記加圧装置により前記気体押圧管内に送り込んだ気体の圧力を上昇させ、前記気体押圧管内の前記液体の液水位を浸漬長以上下降させることで、前記気体を前記開口部又は/及び前記開口穴に到達させ、瞬時に前記気体を前記開口部又は/及び前記開口穴の周囲に噴出せしめることで液体を攪拌することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の攪拌装置において、
前記気体押圧管の外側の下端にガイドフィンを付けることで、前記噴出時に前記液体中で前記気体を横下方向へ導くことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の攪拌装置において、
前記気体押圧管の前記液体への浸漬位置に、前記気体を内包する容積を増加するために膨らみ部を設けたことで攪拌効果を上げたことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の攪拌装置において、
前記気体押圧管は、単管構成であることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の攪拌装置において、
前記気体押圧管は、外管と前記外管の内部に配置された内管との多重管構造であることにより、前記噴出時の前記気体と前記液体の通路を分離して、前記噴出従って前記攪拌を効果的にしたことを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の攪拌装置において、
前記内管は、前記外管の先端より下側にはみ出したはみ出し構成部を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項5又は請求項6記載の攪拌装置において、
前記内管と前記外管との間、又は/及び前記外管を二つに分けたものの間で、互いに接続と分離が可能な結合手段を有することで洗浄を容易にしたことを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の攪拌装置において、前記槽の中に複数の前記気体押圧管を配置し、前記槽の広い面積にわたって均質な攪拌を可能としたことを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明は、培養装置であって、
前記培養装置は、請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の攪拌装置を有し、攪拌に使用したことを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の発明は、培養方法であって、
前記槽の中に、前記液体と沈殿性の培養のための栄養分を入れ、請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の攪拌装置を備えて攪拌することで前記沈殿性の前記栄養分を均質配置に保持したことで培養と行うことを特徴とする。
【0015】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の培養方法において、
前記沈殿性の前記栄養分は酒粕とし、前記培養されるべきものをユーグレナとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上の様に構成されているので、本発明による攪拌装置とこれを用いた培養装置及び方法では、単純な構成によって、液体を直接加圧して気体を一気に噴出させ、効果的に攪拌できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明にかかる攪拌装置の一実施態様を示す図である。
【
図2】本発明にかかる攪拌装置の他の一実施態様を示す図である。
【
図3】本発明にかかる攪拌装置の動作の一実施態様を示す図である。
【
図4】本発明にかかる攪拌装置の実施態様の変更例を示す図である。
【
図5】本発明にかかる攪拌装置の実施態様の変更例を示す図である。
【
図6】本発明にかかる攪拌装置の使用時の一実施態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明にかかる攪拌装置の一実施態様を示す図である。
加圧装置110と、気体押圧管120と、加圧装置110と気体押圧管120の間を接続する送気管130と、を備え、気体押圧管120は、送気管130が接続された側から離れる方に、攪拌されるべき液体に浸漬する浸漬長以上の長さと、その先端側に開口部121Aと又は/及び下記の開口穴121Bを有していて、気体押圧管120が、浸漬された状態で、加圧装置110により送り込んだ気体押圧管120内の気体の圧力を上昇させ、気体押圧管120内の液体の液水位を浸漬長以上下降させることで、気体を開口部121A又は/及び下記の開口穴121Bに到達させ、直後、気体が開口部121A又は/及び下記の開口穴121Bを越えた瞬間から瞬時に気体を開口部121A又は/及び下記の開口穴121Bの周囲に噴出せしめることで液体を攪拌することを特徴としている。加圧装置110から送気管130で槽の下部から気体泡を出す従来の装置では、送気管130の排気抵抗(気体が管内を移動するときの抵抗(通りにくさ))があるため攪拌効果が低下してしまうが、本願の装置では、その欠点はなくなって、気体押圧管120内に溜まっていき、開口部121A又は/及び下記の開口穴121Bのある位置即ち浸漬長だけ液水位が下がって、気体の噴出を直接抑えていた液体の膜(薄い層)を押し破って、気体押圧管120内に溜まった気体全量が一気に噴出する。この事情は、従来の装置ではないことである。
尚、本願では、明細書及び請求の範囲の請求項2から請求項13において記述する、「上向、下向」及び「内向、外向」の定義は以下のものとする。
定義:「攪拌される液体を槽に満たし、液の液面の上方から液面に直角に気体押圧管を挿入した使用状態で、槽の底面から液面に向かう方向が上向、液面から槽の底面に向かう方向が下向」とする。
【0019】
攪拌力は、気体押圧管120の浸漬長の部分の容積に溜まる気体の量で決まる。
即ち、攪拌効果が、浸漬長及び浸漬長の部分の容積で決める設計ができる。
適度の時間間隔で、加圧と瞬時噴出を繰り返して攪拌を行う。尚、1-Aでは、気体押圧管120の開口部121Aとして、気体押圧管120の下部に開口穴121Bを設けている。開口穴121Bは図のように外側ほど下がる斜め穴にすると、横方向への攪拌を効果的にできる。開口穴121Bがなくとも、開口部121Aがその役目をすることができる。
1-Bには、加圧前の気体の圧力と液水位の寸法を示し、浸漬長がh0である。Hは、液槽の空間長である。1-Cでは、加圧により、液水位が浸漬長h0だけ下げられて、瞬時噴出が起こる寸前での液水位の状態における気体の圧力、液水位関係を示している。同時に、気体押圧管120の断面の面積S0と液槽の断面の面積S1も示している。1-Cの状態の直後、一気に瞬時噴出が発生し、気体押圧管120内の気体は液体側にでて、液は逆に気体押圧管120内に戻って、液水位は1-Bの状態に戻る。
【0020】
因みに、瞬時噴出直前の管内圧力は、使用時を外気に通じた条件で、以下の計算のようになる。
瞬時噴出直前の加圧力Paと空間圧Pは、槽内圧力P0、液水位差h0、管面積S0、
容器面積S=S1-S0、液上昇水位差h1として、(長さ単位はm、圧力単位は気圧)
槽内圧力は、槽内がフィルタを介し外気に通じている条件で、P0一定とする。
Pa=P0+0.1(h0+h1) (1)
h0S0=h1S=h1(S1-S0)
h1=h0S0/(S1-S0) (2)
計算例:P0=1気圧、S0(直径3cm)=7.07/10000m2、S1(直径30cm)=700/10000m2、h0=0.15m、H=0.1mとして、
h1=0.15×7.07/10000/(700/10000-7.07/10000)
=0.15×7.07/693=0.0015m⇒水位上昇は1.5mm (3)
(3)から、Pa=1+0.1(0.15+0.0015)
=1+0.1×0.1515=1+0.01515
=1.015(気圧) (4)
P0の1気圧⇒Paの1.015気圧に昇圧で噴出限界が達成できる。
【0021】
尚、1-Aに示す開口部121Aが全開のものに対して、1-Dに示すように、気体押圧管120の下部の底部にある開口部121Aを狭い穴にしたものをしめす。更に、1-Eでは、開口部あるなしにかかわらず、側面にある開口穴121Bを上下に2段に形成し、液体位置が加圧により、上側の開口穴121B2に到達したときに、気体を開口穴121B2から噴出させ、同時に下側の開口穴121B1から液体を気体押圧管120の管内に入れる動作をさせる。このような変更案も可能である。
【0022】
図2は、本発明にかかる攪拌装置の他の一実施態様を示す図である。
図1では、気体押圧管120が単管構成であったが、
図2の2-Aにおいては、気体押圧管120は、多重管構成である。外管120Aの内部に内菅120Bが、内菅120Bの開口部121Aのある先端が外管120Aの開口部121Aのある先端と同じ高さ又は内菅120Bが外管120Aより
下側に出る配置になっている方が好ましい。尚、内菅120Bの先端が外管120Aの先端より
上側にあるほど、多重管の効果は低下する。
図1と同様に、気管壁下部に開口穴121Bがあってもよいし、開口穴121Bが無くとも、内菅120Bと外管120Aの間の空間がその役割をする。尚、多重管は、外管12-Aの中にある内管120Bが複数本あってもよいが、基本的には、図示のように1本で効果が達成される。
2-Bのように液槽の液体に浸漬して使う。加圧してない状態で内菅120Bの上側先端を液水位が上回るか、下に来るかは任意に選べるが、上回る位置まで浸漬する方が、液体の戻りと気体の噴出に有利になる。
【0023】
図1の単管構成も
図2の多重管構成も基本動作は同じなので、多重管構成の図を用いて、動作を
図3で説明する。
図3は、本発明にかかる攪拌装置の動作の一実施態様を示す図である。3-Aは、液槽に攪拌装置が配置された図である。A)は、加圧前で、太線で示す気体押圧管120内と槽内で同じ液水位である。B)は、加圧途中で、気体押圧管120内の液水位が下がり、その分、液槽の液水位は上がっている。C)は、気体押圧管120内の液水位が開口部121A又は開口穴121Bの位置まで下がった状態で、この直後には、D)のように、開口部121A又は開口穴121Bから気体が一気に周りの液体中に噴き出す瞬時噴出状態になり、暴発的な噴出で液体が攪拌される。多重管構成では、気体は、内菅120Bと外管120Aの間の空間を通って液体中に吹き出し、同時に液体は、内菅120Bの内側を通って、上に戻ると同時に槽内上部の気体を押し出して吐き出させる。多重管構成は、気体の通路と液体の通路が分かれているため、互いの間で勢いを低減する不都合がないが、単管構成では、液体が戻る方向と気体の流れの方向が逆であり、更に、液体が入ると気体の通路が狭められ、気体が通路を維持することと反対の効果があるため、気体を押し出す力は、多重管構成に比べて弱まる。その代わり、単管構成は、単純な点が利点である。
【0024】
動作は、両者は同じである。3-Bには、気体押圧管120内の気体の圧力Pと液水位H、噴出量Qの時間変化を3サイクル分示す。
A)状態から加圧を開始して、液水位は、B)状態で下がっていく、C)で液水位が最下点になると、その直後D)のように瞬時噴出量Qのように気体が一気に噴き出し、元のA)状態に戻っていく。瞬時噴出量Qによって攪拌が行われる。これが繰り返される。噴出の総量は、液水位の差である浸漬長h0の部分の気体押圧管120の容積で決まり、噴出力は、圧力、従って浸漬長h0で決まり、両者が攪拌効果に寄与するので、浸漬長h0と気体押圧管120の断面も大きい方がよい。尚、加圧してない状態での液水位と内管の上端位置とは、互いに制限関係はなく、瞬時噴出量は、浸漬長(液水位差)に対応する気体押圧管120又は、多重管構造では外管120Aの容積で決まる。
【0025】
図4は、本発明にかかる攪拌装置の実施態様の変更例を示す図である。
4-Aは、多重管構成のみに言えることであるが、内管120Bを外管120Aの先端よりΔ分だけはみ出したはみ出し構成部401にすることで、気体の瞬時噴出時においても、内菅120Bが液体中にあることで、液体の内管120Bへの戻りと外管120の開口部121Aの気体通路を確保したものである。4-Bは、単管構成、多重管構成に共通なもので、気体押圧管120の外側の下端にガイドフィン402を付けたものである。すなわち、気体押圧管120が単管構成では開口穴121Bの直ぐ上に、気体押圧管120が多重管構成では外管120Aの下端に、液体中で気体を横下方向へ導くガイドフィン402を付ける。
4-Cは、単管構成、多重管構成に共通なもので、気体押圧管120に膨らみ部403を設ける。すなわち、単管構成の気体押圧管120又は多重管構成の気体押圧管120の外管120Aの浸漬位置に容積を増加するために膨らみ部403を設けたものである。これは、上記した噴出の総量が気体押圧管120の浸漬長h0の部分の容積で決まることに対応している。
【0026】
図5は、本発明にかかる攪拌装置の実施態様の変更例を示す図である。
主に多重管構成においては、内菅120Bと外菅120Aを適度な期間ごとに洗浄する場合に備えて、分離構造にしたものである。5-Aの装置は、5-Bの外管120A、5-Cの送気管130及び加圧装置110、5-Dの内菅120Bに分離される。各々の間は、結合手段により結合・分離が自在であるので、洗浄などのメンテナンスを容易に行える。
尚、
図4の4-Cに示すように外管120Aの膨らみ部403で上下に分離して、結合手段により結合・分離が自在とすることもできる。勿論、結合部なし、従って、分離なしの膨らみ部403の構成でもよいことは当然である
【0027】
図6は、本発明にかかる攪拌装置の使用時の一実施態様を示す図である。
6-Aでは、液槽ごとに攪拌装置を備えている場合、6-Bは、液槽に複数の攪拌装置を適当な間隔を離して備えている場合である。攪拌装置1台が横にどの範囲まで攪拌効果があるかを考慮して配置される。各々の攪拌装置は、同時に攪拌してもよいが、6-Cのように撹拌タイミングをずらして動作してもよい。
【0028】
液槽は、ユーグレナ等の微細藻類の培養槽とし、本装置を攪拌に使用すれば培養装置とすることができる。尚、本攪拌装置は、培養のための栄養分で、酒粕などのように特に沈殿性の栄養分を使用して微細藻類、特にユーグレナを培養する場合に沈殿した酒粕を均質に攪拌する場合において有効な培養方法である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように本発明にかかる攪拌装置とこれを用いた培養装置及び方法は、簡単な構成で極めて効果的な攪拌が可能なので、産業上利用して極めて好都合である。
【0030】
110 加圧装置
120 気体押圧管
120A 外管
120B 内管
121A 開口部
121B、 121B1、121B2 開口穴
130 送気管
401 はみ出し構成部
402 ガイドフィン
403 膨らみ部