(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078506
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】工具ホルダー、及び、工作機械用刃物台
(51)【国際特許分類】
B23B 29/24 20060101AFI20230531BHJP
B23B 9/08 20060101ALI20230531BHJP
B23B 7/12 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
B23B29/24 A
B23B9/08
B23B7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191653
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000107642
【氏名又は名称】スター精密株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100124958
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 建志
(74)【代理人】
【識別番号】100126077
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 亮平
(72)【発明者】
【氏名】川原▲崎▼ 徹
【テーマコード(参考)】
3C045
3C046
【Fターム(参考)】
3C045BA12
3C045BA13
3C045BA23
3C046NN00
(57)【要約】
【課題】コストアップを抑制しながらワークの加工の自由度を向上させる。
【解決手段】工作機械用刃物台(3)は、バイト40のシャンク41を固定可能な複数の並行するバイト固定溝33を有するバイトホルダー31、及び、主軸中心線AX0を中心として回転可能な主軸11に把持されたワークW1を加工する工具60を保持する工具ホルダー5とを備える。工具ホルダー5は、バイト固定溝33に固定される柄部50、及び、保持部54を備える。該保持部54は、加工軸AX4を中心として加工する工具60として、回転工具と、加工軸AX4が主軸中心線AX0に沿った非回転工具と、の少なくとも一方を保持する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイトのシャンクを固定可能な複数の並行するバイト固定溝を有するバイトホルダーを備える工作機械に使用され、主軸中心線を中心として回転可能な主軸に把持されたワークを加工する工具を保持する工具ホルダーであって、
前記バイト固定溝に固定される柄部と、
加工軸を中心として加工する前記工具として、回転工具と、前記加工軸が前記主軸中心線に沿った非回転工具と、の少なくとも一方を保持する保持部と、を備える、工具ホルダー。
【請求項2】
前記保持部は、前記バイト固定溝の向きとは異なる向きの前記加工軸を有する前記工具を保持する、請求項1に記載の工具ホルダー。
【請求項3】
前記主軸に把持された加工前の前記ワークを基点として、前記加工軸において前記バイト固定溝の延長部分と重なる位置よりも前記保持部を遠くさせる連絡部であって、前記柄部から前記保持部に繋がる連絡部をさらに備え、
前記保持部は、前記主軸に把持された加工前の前記ワークを基点として、前記工具の先端が当該保持部よりも近くなるように前記工具を保持する、請求項2に記載の工具ホルダー。
【請求項4】
前記加工軸の向きは、前記バイトホルダーにおいて前記複数のバイト固定溝を有する配置面に直交し、
前記バイト固定溝は、該バイト固定溝の横断面において開口よりも狭い底面、前記柄部に接する第一の内側面、及び、該第一の内側面とは反対側の第二の内側面を有し、
前記バイトホルダーは、前記複数のバイト固定溝を有するバイトホルダー本体、及び、一部が前記第二の内側面と前記柄部との間に入っている状態で前記バイトホルダー本体に取り付けられることにより前記柄部を前記バイト固定溝に固定させるクランプピースを含み、
前記柄部は、前記第一の内側面に接する第一の外側面、及び、該第一の外側面とは反対側の第二の外側面を有し、
前記バイト固定溝に取り付けられた前記工具ホルダーを前記配置面に沿った仮想平面に投影したときに、前記加工軸が前記第一の外側面の延長線よりも前記第二の外側面の延長線の方に近い位置にある、請求項2又は請求項3に記載の工具ホルダー。
【請求項5】
バイトのシャンクを固定可能な複数の並行するバイト固定溝を有するバイトホルダーと、
主軸中心線を中心として回転可能な主軸に把持されたワークを加工する工具を保持する工具ホルダーと、を備え、
前記工具ホルダーは、
前記バイト固定溝に固定される柄部と、
加工軸を中心として加工する前記工具として、回転工具と、前記加工軸が前記主軸中心線に沿った非回転工具と、の少なくとも一方を保持する保持部と、を備える、工作機械用刃物台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主軸に把持されたワークを加工する工具を保持する工具ホルダー、及び、工作機械用刃物台に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械として、主軸中心線を中心として回転可能な主軸に把持されたワークを切削するための複数のバイトが並行して取り付けられたくし形刃物台を備えるNC(数値制御)旋盤が知られている。前述のくし形刃物台は、刃物台本体、及び、バイトのシャンクを固定可能な複数の並行するバイト固定溝を有するバイトホルダーを備えている。各バイト固定溝の中心軸の向きは、主軸中心線に直交する向き、例えば、X軸に沿った向きである。複数のバイト固定溝は、主軸中心線、及び、各バイト固定溝の中心軸に直交する向き、例えば、Y軸に沿った向きに並べられている。
特許文献1には、上述のようなくし形刃物台を備えるNC旋盤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
主軸に把持されたワークの加工に回転工具や穴あけ工具やタップを使用する場合、バイトホルダーとは別に刃物台本体に取り付けられたスリーブホルダーや旋回ユニットに回転工具等を取り付けることが考えられる。しかし、刃物台本体にスリーブホルダーや旋回ユニットを取り付けることは、刃物台の大型化に繋がり、刃物台のコストアップにも繋がる。
尚、上述のような問題は、旋盤に限らず、マシニングセンター等、種々の工作機械に存在する。
【0005】
本発明は、コストアップを抑制しながらワークの加工の自由度を向上させることが可能な技術を開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の工具ホルダーは、バイトのシャンクを固定可能な複数の並行するバイト固定溝を有するバイトホルダーを備える工作機械に使用され、主軸中心線を中心として回転可能な主軸に把持されたワークを加工する工具を保持する工具ホルダーであって、
前記バイト固定溝に固定される柄部と、
加工軸を中心として加工する前記工具として、回転工具と、前記加工軸が前記主軸中心線に沿った非回転工具と、の少なくとも一方を保持する保持部と、を備える、態様を有する。
【0007】
また、本発明の工作機械用刃物台は、
バイトのシャンクを固定可能な複数の並行するバイト固定溝を有するバイトホルダーと、
主軸中心線を中心として回転可能な主軸に把持されたワークを加工する工具を保持する工具ホルダーと、を備え、
前記工具ホルダーは、
前記バイト固定溝に固定される柄部と、
加工軸を中心として加工する前記工具として、回転工具と、前記加工軸が前記主軸中心線に沿った非回転工具と、の少なくとも一方を保持する保持部と、を備える、態様を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コストアップを抑制しながらワークの加工の自由度を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】工作機械の構成例を模式的に示す正面図である。
【
図2】工作機械用刃物台の要部を模式的に例示する右側面図である。
【
図3】バイトホルダーに工具ホルダーを取り付ける例を模式的に示す右側面図である。
【
図4】工作機械用刃物台の要部を模式的に例示する背面図である。
【
図5】工作機械の要部を模式的に例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0011】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、
図1~5に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
【0012】
[態様1]
本技術の一態様に係る工具ホルダー5は、バイト40のシャンク41を固定可能な複数の並行するバイト固定溝33を有するバイトホルダー31を備える工作機械(例えば旋盤1)に使用され、主軸中心線AX0を中心として回転可能な主軸11に把持されたワークW1を加工する工具60を保持する。当該工具ホルダー5は、前記バイト固定溝33に固定される柄部50、及び、保持部54を備える。該保持部54は、加工軸AX4を中心として加工する前記工具60として、回転工具と、前記加工軸AX4が前記主軸中心線AX0に沿った非回転工具と、の少なくとも一方を保持する。
【0013】
上述した工具ホルダー5を工作機械(1)に使用すると、バイトホルダー31に固定されたバイト40に加えて、バイトホルダー31に固定された工具ホルダー5に保持された工具60(回転工具と、加工軸AX4が主軸中心線AX0に沿った非回転工具と、の少なくとも一方)でワークW1を加工することができる。従って、上記態様1は、コストアップを抑制しながらワークの加工の自由度を向上させる工具ホルダーを提供することができる。
【0014】
ここで、主軸に把持されたワークは、ガイドブッシュに保持されてもよい。
工具には、ホルダーに対して着脱容易な工具ユニットと呼ばれるものが含まれる。
回転工具は、動力源により加工軸を中心として自ら回転する工具を意味する。回転工具には、回転ドリル、エンドミル、ポリゴンカッター、等が含まれる。
加工軸が主軸中心線に沿った非回転工具には、ドリル、リーマ、タップ、等が含まれる。
加工軸は、工具が回転工具である場合には回転工具の回転中心を意味し、工具が非回転工具の場合には主軸中心線を中心としたワークの回転による加工の回転中心を意味する。非回転工具の加工軸は、主軸中心線に一致していてもよいし、主軸中心線に一致していなくてもよい。
上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0015】
[態様2]
図2~5に例示するように、前記保持部54は、前記バイト固定溝33の向き(例えば中心線AX3の向き)とは異なる向きの前記加工軸AX4を有する前記工具60を保持してもよい。これにより、バイト固定溝33の向きとは異なる向きの加工軸AX4を中心とする加工をワークW1に行うことができる。従って、本態様は、ワークの加工の自由度をさらに向上させることができる。
【0016】
[態様3]
図5に例示するように、本工具ホルダー5は、前記主軸11に把持された加工前の前記ワークW1を基点として、前記加工軸AX4において前記バイト固定溝33の延長部分34と重なる交差位置P1よりも前記保持部54を遠くさせる連絡部53であって、前記柄部50から前記保持部54に繋がる連絡部53をさらに備えていてもよい。前記保持部54は、前記主軸11に把持された加工前の前記ワークW1を基点として、前記工具60の先端63が当該保持部54よりも近くなるように前記工具60を保持してもよい。
加工前のワークW1を基点として保持部54が交差位置P1よりも遠い位置にあり、且つ、加工前のワークW1を基点として工具60の先端63が保持部54よりも近い位置にあることにより、バイト固定溝33に固定される柄部50を基点として工具60の先端63に加わるモーメントを少なくすることができる。従って、上記態様3は、ワークを精度よく加工する好適な例を提供することができる。
【0017】
[態様4]
前記加工軸AX4の向きは、前記バイトホルダー31において前記複数のバイト固定溝33を有する配置面31aに直交していてもよい。
図3,4に例示するように、前記バイト固定溝33は、該バイト固定溝33の横断面において開口33oよりも狭い底面33a、前記柄部50に接する第一の内側面33b、及び、該第一の内側面33bとは反対側の第二の内側面33cを有していてもよい。前記バイトホルダー31は、前記複数のバイト固定溝33を有するバイトホルダー本体32、及び、一部(例えば楔部36)が前記第二の内側面33cと前記柄部50との間に入っている状態で前記バイトホルダー本体32に取り付けられることにより前記柄部50を前記バイト固定溝33に固定させるクランプピース35を含んでいてもよい。前記柄部50は、前記第一の内側面33bに接する第一の外側面51、及び、該第一の外側面51とは反対側の第二の外側面52を有していてもよい。前記バイト固定溝33に取り付けられた前記工具ホルダー5を前記配置面31aに沿った仮想平面PL1に投影したときに、前記加工軸AX4が前記第一の外側面51の延長線51aよりも前記第二の外側面52の延長線52aの方に近い位置にあってもよい。
【0018】
以上より、上記仮想平面PL1においてクランプピース35の延長部分34となる空間SP1が有効に利用される。従って、上記態様4は、バイト固定溝に工具ホルダーを固定する好適な例を提供することができる。
ここで、本願における「第一」、「第二」、…は、類似点を有する複数の構成要素に含まれる各構成要素を識別するための用語であり、順番を意味しない。この付言は、以下の態様においても適用される。
【0019】
[態様5]
また、本技術の一態様に係る工作機械用刃物台(例えば刃物台3)は、バイト40のシャンク41を固定可能な複数の並行するバイト固定溝33を有するバイトホルダー31、及び、主軸中心線AX0を中心として回転可能な主軸11に把持されたワークW1を加工する工具60を保持する工具ホルダー5を備える。前記工具ホルダー5は、前記バイト固定溝33に固定される柄部50、及び、保持部54を備える。該保持部54は、加工軸AX4を中心として加工する前記工具60として、回転工具と、前記加工軸AX4が前記主軸中心線AX0に沿った非回転工具と、の少なくとも一方を保持する。
【0020】
上述した工作機械用刃物台(3)を工作機械(1)に使用すると、バイトホルダー31に固定されたバイト40に加えて、バイトホルダー31に固定された工具ホルダー5に保持された工具60(回転工具と、加工軸AX4が主軸中心線AX0に沿った非回転工具と、の少なくとも一方)でワークW1を加工することができる。従って、上記態様5は、コストアップを抑制しながらワークの加工の自由度を向上させる工作機械用刃物台を提供することができる。
【0021】
(2)工作機械の構成の具体例:
図1は、工作機械の例として旋盤1の構成を模式的に例示する正面図である。
図1には、ワークW1の手前に存在する刃物台3の位置が二点鎖線で示されている。
図2は、工作機械用刃物台の例として刃物台3の要部を模式的に例示する右側面図である。
図2には、バイトホルダー31に取り付けられるバイト40の位置が二点鎖線で示されている。
図3は、バイトホルダー31に工具ホルダー5を取り付ける様子を模式的に例示する右側面図である。
図3には、クランプピース35の取り付け位置、及び、延長線51a,52aが二点鎖線で示されている。
図4は、刃物台3の要部を模式的に例示する背面図である。
図5は、旋盤1の要部を模式的に例示する平面図である。
図5の上部には、工具ホルダー5の保持部54を左から見た図が示されている。
図4,5には、刃物台本体30の位置が二点鎖線で示されている。
【0022】
図1~5において、符号D81は上方向を示し、符号D82は下方向を示し、符号D83は左方向を示し、符号D84は右方向を示し、符号D85は手前方向を示し、符号D86は奥方向を示している。尚、これらの方向は、
図1に示す旋盤1を見る方向を基準としている。旋盤1の制御軸は、「X」で示されるX軸、「Y」で示されるY軸、及び、「Z」で示されるZ軸を含んでいる。Z軸方向は、ワークW1の回転中心となる主軸中心線AX0に沿った水平方向である。X軸方向は、Z軸と直交する水平方向である。Y軸方向は、Z軸と直交する鉛直方向である。尚、Z軸とX軸とは交差していれば直交していなくてもよく、Z軸とY軸とは交差していれば直交していなくてもよく、X軸とY軸とは交差していれば直交していなくてもよい。また、本明細書において参照される図面は、本技術を説明するための例を示しているに過ぎず、本技術を限定するものではない。各部の位置関係の説明は、例示に過ぎない。従って、左右を逆にしたり、回転方向を逆にしたり等することも、本技術に含まれる。方向や位置等の同一は、厳密な一致に限定されず、誤差により厳密な一致からずれることを含む。
【0023】
図1に示す旋盤1は、把持部12を有する主軸11を設けた主軸台10、主軸台駆動部13、ガイドブッシュ14の取付穴26を有する支持台25、刃物台3、刃物台駆動部27、NC装置90、等を備えるNC旋盤である。NC装置90は、オペレーターにより作成された加工プログラムを解釈して実行することにより、ワークW1の加工を制御する。ここで、主軸台10は、正面主軸台15と、対向主軸台とも呼ばれる背面主軸台20とを総称している。正面主軸台15には、コレット等といった把持部17を有する正面主軸16が組み込まれている。背面主軸台20には、コレット等といった把持部22を有する背面主軸21が組み込まれている。主軸11は、正面主軸16と、対向主軸とも呼ばれる背面主軸21とを総称している。把持部12は、把持部17と把持部22を総称している。主軸台駆動部13は、Z軸に沿って正面主軸台15を移動させる正面主軸台駆動部18と、少なくともZ軸に沿って背面主軸台20を移動させる背面主軸台駆動部23とを総称している。
図1に示す旋盤1は、正面主軸16がZ軸方向へ移動する主軸移動型旋盤である。
【0024】
正面主軸16は、不図示の給材機により後方から挿入された棒状のワークW1を把持部17により解放可能に把持し、ワークW1とともに主軸中心線AX1を中心として回転可能である。正面主軸16の前端16aは背面主軸21に対向し、正面主軸16の後端16bは給材機に対向している。正面主軸16は、主軸中心線AX1に沿って貫通した貫通穴16hを有している。貫通穴16hには、後方からワークW1が挿入される。尚、加工前のワークW1が短い材料である場合、正面主軸16の前端16aから把持部17にワークW1が供給されてもよい。NC装置90は、主軸中心線AX1を中心とした正面主軸16の回転、及び、把持部17の把持状態を制御する。把持部17は、例えば、コレット等により構成することができる。正面主軸台駆動部18は、NC装置90からの指令に従って正面主軸台15をZ軸方向へ移動させる。従って、正面主軸16に把持されているワークW1は、Z軸方向へ移動する。
尚、棒状のワークW1は、長尺な円柱状材料といった中実の材料に限定されず、長尺な円筒状材料といった中空の材料でもよい。
【0025】
背面主軸21の前端21aは、正面主軸16の前端16aと対向している。背面主軸21は、正面主軸16の前端16aから前方へ出ている加工途中のワークW1を把持部22により解放可能に把持し、ワークW1とともに主軸中心線AX2を中心として回転可能である。NC装置90は、主軸中心線AX2を中心とした背面主軸21の回転、及び、把持部22の把持状態を制御する。把持部22は、例えば、コレット等により構成することができる。背面主軸台駆動部23は、NC装置90からの指令に従って、背面主軸台20をZ軸方向へ移動させ、さらに、X軸方向又はY軸方向へ移動させる。正面主軸16と背面主軸21の両方がワークW1を把持する時、主軸中心線AX2は主軸中心線AX1に合わせられる。ここで、主軸中心線AX0は、主軸中心線AX1と主軸中心線AX2とを総称している。尚、正面主軸16についての前方は、ワークW1が正面主軸16から押し出される方向を意味し、
図1に示す例では右方向D84である。背面主軸21についての前方は、背面主軸21が正面主軸16の方へ向かう方向を意味し、
図1に示す例では左方向D83である。
【0026】
支持台25は、Z軸方向において正面主軸台15と背面主軸台20との間にあり、Z軸方向へ貫通した取付穴26を有している。
図1に示すようなガイドブッシュ使用時、ガイドブッシュ14が取付穴26に挿入されて支持台25に取り外し可能に取り付けられる。ガイドブッシュ14は、正面主軸16の貫通穴16hから前方へ突出したワークW1をZ軸方向へ摺動可能に支持する。ワークW1のうちガイドブッシュ14から背面主軸21の方(右方向D84)へ突出した部分が工具、例えば、
図2に示すバイト40や工具60により加工される。ガイドブッシュ不使用時、正面主軸16の前部が取付穴26に挿入される。ワークW1のうち正面主軸16から前方(右方向D84)へ突出した部分が工具により加工される。
【0027】
(3)工作機械用刃物台の具体例:
図2,4,5に示すように、刃物台3は、刃物台本体30、バイトホルダー31、及び、工具ホルダー5を含んでいる。刃物台本体30は、
図1に示す刃物台駆動部27により、X軸方向及びY軸方向へ移動する。刃物台駆動部27は、NC装置90からの指令に従ってX軸に沿って刃物台3を移動させるX軸駆動部、及び、NC装置90からの指令に従ってY軸に沿って刃物台3を移動させるY軸駆動部を含んでいる。刃物台3は、正面主軸16に把持されたワークW1の正面加工をバイト40と工具60の少なくとも一方で行い、正面主軸16と背面主軸21の両方に把持された正面加工後のワークW1の切断を突っ切りバイトで行う。突っ切りバイトは、バイトホルダー31に取り付けられてもよい。刃物台3は、背面主軸21に把持された突っ切り後のワークW1の背面加工をバイト40と工具60の少なくとも一方で行ってもよい。これにより、ワークW1から製品が形成される。
図示していないが、旋盤1は、背面加工専用の刃物台等、
図1に示す刃物台3以外の刃物台を備えていてもよい。
【0028】
バイトホルダー31は、バイト40のシャンク41を固定可能な複数の並行するバイト固定溝33を配置面31aに有し、バイトホルダー本体32と複数のクランプピース35を含んでいる。バイトホルダー31を備える刃物台3は、くし形刃物台といえる。
バイトホルダー本体32は、上述の複数のバイト固定溝33を有し、複数のねじSC1で刃物台本体30に取り付けられる。バイトホルダー本体32は、各ねじSC1の位置に合わせてバイト固定溝33の底面33aから裏面32bに繋がるねじ挿通穴を有している。刃物台本体30は、各ねじ挿通穴の位置に合わせてねじ穴を有している。オペレーターは、各ねじSC1を前述のねじ挿通穴に通して前述のねじ穴に螺合させると、刃物台本体30に裏面32bを向けたバイトホルダー本体32を刃物台本体30に取り付けることができる。バイトホルダー31における配置面31aは、バイトホルダー本体32において裏面32bとは反対側にあり、バイトホルダー本体32における表面といえる。
【0029】
図2,3に示すように、バイト固定溝33の中心軸AX3は、X軸に沿っている。ここで、中心軸AX3は、バイト固定溝33の底面33aの中心位置とする。複数のバイト固定溝33は、Y軸方向へ並べられている。
図3,4に示すように、各バイト固定溝33は、該バイト固定溝33の横断面において開口33oよりも狭い底面33a、該底面33aに直交する第一の内側面33b、及び、該第一の内側面33bとは反対側の第二の内側面33cを有している。ここで、バイト固定溝33の横断面の形状は、
図4に示すバイト固定溝33の形状に相当する。第一の内側面33bは、バイト40のシャンク41、又は、工具ホルダー5の柄部50に接する。第二の内側面33cは、開口33oに近付くほど第一の内側面33bから遠ざかる傾斜面を有し、楔状のクランプピース35に接する。
【0030】
図4に示すように、クランプピース35は、バイト固定溝33に挿入される楔部36を備えている。楔部36は、クランプピース35においてバイト固定溝33の底面33aに近付くほど狭まる楔状の部位である。バイト固定溝33にバイト40のシャンク41が固定される場合、クランプピース35は、楔部36が第二の内側面33cとシャンク41との間に入っている状態でバイトホルダー本体32に複数のねじSC2で取り付けられることによりシャンク41をバイト固定溝33に固定させる。この状態のシャンク41は、第二の内側面33cから離隔しており、クランプピース35により第一の内側面33bに押し付けられている。
図2に示すように、バイト40の刃先42は、バイト40においてクランプピース35に接している面の先にある。バイト固定溝33に工具ホルダー5の柄部50が固定される場合、クランプピース35は、楔部36が第二の内側面33cと柄部50との間に入っている状態でバイトホルダー本体32に複数のねじSC2で取り付けられることにより柄部50をバイト固定溝33に固定させる。クランプピース35は、各ねじSC2の位置に合わせて表側から裏側に繋がるねじ挿通穴35aを有している。バイトホルダー本体32は、各ねじ挿通穴35aの位置に合わせてねじ穴32aを有している。オペレーターは、各ねじSC2をねじ挿通穴35aに通してねじ穴32aに螺合させると、楔部36がバイト固定溝33に挿入されたクランプピース35をバイトホルダー本体32に取り付けることができる。
【0031】
ところで、バイトホルダー31に回転工具や穴あけ工具やタップ等を取り付けることができない場合、バイトホルダー31とは別に刃物台本体30に取り付けられたスリーブホルダーや旋回ユニットに回転工具等を取り付けることが考えられる。しかし、刃物台本体30にスリーブホルダーや旋回ユニットを取り付けることは、刃物台3の大型化に繋がり、刃物台3のコストアップにも繋がる。
そこで、本具体例では、工具60として、回転工具と、加工軸AX4が主軸中心線AX0に沿った非回転工具と、の少なくとも一方を保持する工具ホルダー5をバイトホルダー31に取り付けることにより、刃物台3の大型化を抑制し、刃物台3のコストアップを抑制することにしている。
【0032】
図2~5に示すように、工具ホルダー5は、バイト固定溝33に固定される柄部50、加工軸AX4を中心として加工する工具60を着脱可能に保持する保持部54、及び、柄部50から保持部54に繋がる連絡部53を備えている。
図3に示すように、バイト固定溝33には、工具ホルダー5とバイト40とを交換可能に取り付けることができる。これは、
図2に示す全てのバイト固定溝33について、いえる。従って、バイトホルダー31に設けられた複数のバイト固定溝33のうち2以上のバイト固定溝33に工具ホルダー5を取り付けることも可能である。また、一つの工具ホルダー5に2本の柄部50を設けて2本のバイト固定溝33に前述の2本の柄部50を固定することも可能である。
さらに、一つの工具ホルダー5の保持部54が2以上の工具60を着脱可能に保持してもよい。すなわち、一つの工具ホルダー5において、保持部54は、2以上の回転工具を着脱可能に保持してもよいし、加工軸AX4が主軸中心線AX0に沿った2以上の非回転工具を着脱可能に保持してもよいし、1以上の回転工具と、加工軸AX4が主軸中心線AX0に沿った1以上の非回転工具と、を同時に保持してもよい。
【0033】
図4,5に示すように、保持部54に保持される工具60は、加工軸AX4を中心として加工する刃62を支持する胴部61を備える工具ユニットである。
図4,5に示す工具60は、加工軸AX4を中心として回転可能な刃62を支持する胴部61を備える回転ドリルユニットである。胴部61は、保持部54に保持され、エアー源や電動モーターといった駆動源(不図示)からの動力により回転する刃62を支持する。尚、回転工具としての工具60は、回転ドリルに限定されず、エンドミル、ポリゴンカッター、等でもよい。回転工具を保持する工具ユニット5は、電動スピンドルやエアースピンドル等といったフライス機能を持った工具ユニットを取り付けるためのアダプターに位置付けられる。回転工具の加工軸AX4は、回転工具の回転中心を意味する。また、工具60は、穴あけ工具、タップ、中ぐりバイト、ボーリングバイト、等、加工軸AX4が主軸中心線AX0に沿った非回転工具でもよい。穴あけ工具には、ドリル、タップ、等が挙げられる。非回転工具の加工軸AX4は、主軸中心線AX0を中心としたワークW1の回転による加工の回転中心を意味する。非回転工具の加工軸AX4は、主軸中心線AX0に合わせられてもよいし、主軸中心線AX0からずれていてもよい。例えば、主軸中心線AX0を中心としたワークW1の回転に合わせて刃物台3を回転移動させると、加工軸AX4が主軸中心線AX0からずれた偏心加工を行うことが可能である。
【0034】
図3に示すように、柄部50は、バイト固定溝33の第一の内側面33bに接する第一の外側面51、及び、該第一の外側面51とは反対側の第二の外側面52を有している。バイト固定溝33に固定された柄部50の第一の外側面51は、バイト固定溝33の底面33aに直交している。第二の外側面52は、第一の外側面51と平行であり、クランプピース35の楔部36に接する。クランプピース35は、楔部36が第二の内側面33cと柄部50との間に入っている状態でバイトホルダー本体32に取り付けられることにより柄部50をバイト固定溝33に固定させる。この状態の柄部50は、第二の内側面33cから離隔しており、クランプピース35により第一の内側面33bに押し付けられている。
【0035】
図4,5に示す保持部54は、保持部本体55とクランプリング56を含んでいる。保持部本体55は、加工軸AX4に沿って工具60を通すことが可能な貫通穴55hを有している。クランプリング56は、工具60の胴部61の外周にねじSC3で固定され、複数のねじSC4で保持部本体55に取り付けられる。オペレーターは、工具60の刃先(刃62の先端63)が設定位置となるようにクランプリング56を胴部61の外周に配置してねじSC3で固定し、胴部61の後部を貫通穴55hに通してクランプリング56を保持部本体55に複数のねじSC4で取り付ける作業を行えばよい。これにより、先端63が設定位置となるように工具60が保持部54に保持される。
【0036】
図2~5に示す保持部54は、加工軸AX4の向きがバイトホルダー31において複数のバイト固定溝33を有する配置面31aに直交するように工具60を保持する。従って、保持部54は、バイト固定溝33の中心線AX3の向きとは異なる向きの加工軸AX4を有する工具60を保持する。尚、回転工具としての工具60における加工軸AX4の向きは、中心線AX3に直交する向きに限定されず、中心線AX3及び主軸中心線AX0とは異なる向きでもよい。この場合、バイト固定溝33の向きとは異なる向きの加工軸AX4を中心とする加工をワークW1に行うことができるので、ワークW1の加工の自由度が向上する。また、回転工具としての工具60における加工軸AX4の向きは、中心軸AX3に沿った向きでもよい。
非回転工具としての工具60における加工軸AX4の向きは、主軸中心線AX0に沿った向きとされる。この場合でも、バイト固定溝33の向きに直交する向きの加工軸AX4を中心とする加工をワークW1に行うことができるので、ワークW1の加工の自由度が向上する。
【0037】
図5に示すように、柄部50から保持部54に繋がる連絡部53は、主軸11(
図1参照)に把持された加工前のワークW1を基点として、加工軸AX4においてバイト固定溝33の延長部分34と重なる交差位置P1よりも保持部54を遠くさせる。
図5に示す連絡部53は、平面視略三角形の板状であり、X軸に沿った辺に一体化された柄部50から右方向D84へ延出し、Z軸に沿った辺に一体化された保持部本体55から手前方向D85へ延出している。ここで、右方向D84は主軸11に把持された加工前のワークW1から遠ざかる方向といえ、手前方向D85は主軸中心線AX0から遠ざかる方向といえる。
【0038】
加工軸AX4がバイト固定溝33の中心線AX3に直交する等、加工軸AX4の向きがバイト固定溝33の中心線AX3の向きと異なる場合、工具60がワークW1を加工する際に大きなモーメントが工具ホルダー5に加わる。本具体例の工具ホルダー5は、平面視略三角形状の連絡部53を備えていることにより、加工軸AX4の向きがバイト固定溝33の中心線AX3の向きと異なっていても、モーメントに対する高い剛性を発揮する。これにより、ワークW1を精度よく加工することができる。
【0039】
図5に示すように、保持部54は、主軸11に把持された加工前のワークW1を基点として、工具60の先端63が当該保持部54よりも近くなるように工具60を保持している。これにより、工具60の先端63は、バイト固定溝33の延長部分34に近い位置にある。工具60の先端63は、バイトホルダー31において複数のバイト固定溝33を有する配置面31aを拡張した面と加工軸AX4との交点に略一致する位置が好ましい。これにより、工具60がワークW1を加工する際に工具ホルダー5に生じるモーメントを極力少なくさせることができ、工具ホルダー5に高い剛性を発揮させながらワークW1を精度よく加工することができる。
【0040】
ここで、
図4に示すように、バイトホルダー31において複数のバイト固定溝33を有する配置面31aに沿った仮想平面PL1を想定する。
図3に示すように、バイト固定溝33に取り付けられた工具ホルダー5を仮想平面PL1に投影したときに、加工軸AX4が柄部50の第一の外側面51の延長線51aよりも柄部50の第二の外側面52の延長線52aの方に近い位置にある。これにより、仮想平面PL1において、保持部54の配置は、柄部50に接するクランプピース35の方に偏っている。従って、本具体例の工具ホルダー5は、仮想平面PL1においてクランプピース35の延長部分34となる空間SP1を有効に利用することができる。
【0041】
上述した構造の保持部54を備える工具ホルダー5は、バイトホルダー31において隣のバイト固定溝33に固定されたバイト40と干渉しない。また、バイトピッチを変更する等の設計上の配慮により、隣り合う複数のバイト固定溝33のそれぞれに工具ホルダー5を固定しても工具ホルダー5同士が干渉しないようにすることも可能である。この場合、隣り合う複数のバイト固定溝33のそれぞれに工具ホルダー5を固定し、各工具ホルダー5の保持部54に保持された工具60によりワークW1を加工することが可能である。
以上例示したように、本具体例の刃物台3は、取り付け可能な工具の本数を減じることなく、多彩な加工を行うことが可能である。
【0042】
また、バイトホルダー31は、バイト40の刃先42をほぼ延長線52aに合わせてバイト40が固定されるように設計されている。従って、バイトホルダー31は、ワークW1の加工点がほぼ延長線52a上にあるときに最も高い剛性を発揮して高精度の加工を実現させるように設計されている。仮想平面PL1において、加工軸AX4が延長線52aに近い位置にあることにより、刃物台3に高い剛性を発揮させながら工具60でワークW1を精度よく加工することができる。さらに、バイト固定溝33に固定されていたバイト40の加工点(刃先42)の位置に工具60の加工点(先端63)の位置をほぼ一致させることができるので、バイト固定溝33への固定対象をバイト40から工具ホルダー5、又は、工具ホルダー5からバイト40へ変更した場合であっても、加工条件の設定を簡単に行うことができることができる。
【0043】
上述した工具ホルダー5を備える刃物台3を旋盤1に使用すると、バイトホルダー31に固定されたバイト40に加えて、バイトホルダー31に固定された工具ホルダー5に保持された工具60(回転工具や、加工軸AX4が主軸中心線AX0に沿った非回転工具)でワークW1を加工することができる。これにより、刃物台3の大型化が抑制され、刃物台3のコストアップが抑制される。
また、製品の形状が複雑である場合、スリーブホルダーや旋回ユニットに多くの工具を取り付けても、ワークW1の加工が制限される可能性がある。この場合、バイトホルダー31に固定される工具ホルダー5に工具60を保持させることにより、複雑な形状の製品を製造することが容易となる。
以上より、本具体例は、コストアップを抑制しながらワークの加工の自由度を向上させることができる。
【0044】
(4)変形例:
本技術は、種々の変形例が考えられる。
例えば、本技術を適用可能な工作機械は、旋盤に限定されず、マシニングセンター等でもよい。
旋盤1は、Z軸方向において正面主軸16が移動しない主軸固定型旋盤でもよい。この場合、刃物台3がX軸方向とY軸方向とに加えてZ軸方向へ移動することにより、本技術が適用される。
ワークW1を把持する主軸11は、正面主軸16に限定されず、背面主軸21でもよい。
【0045】
(5)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、コストアップを抑制しながらワークの加工の自由度を向上させる技術等を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1…旋盤(工作機械の例)、3…刃物台(工作機械用刃物台の例)、5…工具ホルダー、
10…主軸台、11…主軸、12…把持部、13…主軸台駆動部、
14…ガイドブッシュ、
15…正面主軸台、16…正面主軸、20…背面主軸台、21…背面主軸、
27…刃物台駆動部、
30…刃物台本体、31…バイトホルダー、31a…配置面、
32…バイトホルダー本体、32a…ねじ穴、32b…裏面、33…バイト固定溝、
33a…底面、33b…第一の内側面、33c…第二の内側面、33o…開口、
34…延長部分、
35…クランプピース、35a…ねじ挿通穴、36…楔部、
40…バイト、41…シャンク、42…刃先、
50…柄部、
51…第一の外側面、51a…延長線、52…第二の外側面、52a…延長線、
53…連絡部、
54…保持部、55…保持部本体、55h…貫通穴、56…クランプリング、
60…工具、61…胴部、62…刃、63…先端、
AX0…主軸中心線、AX3…バイト固定溝の中心線、AX4…加工軸、
P1…交差位置、
PL1…仮想平面、
SP1…空間、
W1…ワーク。