(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078523
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】プログラム、記録媒体、方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/042 20060101AFI20230531BHJP
【FI】
G05B19/042
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191677
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 理子
【テーマコード(参考)】
5H220
【Fターム(参考)】
5H220AA01
5H220BB11
5H220CC07
5H220CX01
5H220JJ12
5H220JJ26
5H220JJ53
(57)【要約】
【課題】センサへのパラメータの書き込み作業の効率を向上させる。
【解決手段】プログラムは、複数のセンサそれぞれに書き込むパラメータを編集可能な態様でまとめて表示するとともに、パラメータを含む設定ファイルを生成する処理を、情報処理装置に実行させるツールプログラムと、近距離無線通信を利用して、複数のセンサそれぞれに、設定ファイルに含まれたセンサそれぞれに対応するパラメータを書き込む処理を、端末装置に実行させるアプリケーションプログラムと、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサそれぞれに書き込むパラメータを編集可能な態様でまとめて表示するとともに、前記パラメータを含む設定ファイルを生成する処理を、情報処理装置に実行させるツールプログラムと、
近距離無線通信を利用して、前記複数のセンサそれぞれに、前記設定ファイルに含まれた前記センサそれぞれに対応するパラメータを書き込む処理を、端末装置に実行させるアプリケーションプログラムと、
を含む、
プログラム。
【請求項2】
前記アプリケーションプログラムは、前記書き込む処理によってパラメータが書き込まれたセンサから、当該センサに書き込まれたパラメータを読み込んで確認する処理を、前記端末装置に実行させ、
前記アプリケーションプログラムは、1回の前記近距離無線通信の間に、前記複数のセンサのうちの1つのセンサに対する前記パラメータを書き込む処理及び前記パラメータを読み込む処理を、前記端末装置に実行させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記設定ファイルは、前記複数のセンサそれぞれのパラメータを順番に記述し、
前記パラメータを書き込む処理は、前記設定ファイルに記述されたパラメータを、その記述順に、前記複数のセンサのうちの任意に選択されたセンサに書き込む、
請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記設定ファイルは、前記複数のセンサそれぞれについてセンサID及び前記パラメータを対応付けて記述し、
前記アプリケーションプログラムは、前記パラメータを書き込む処理によってパラメータが書き込まれる前のセンサから、当該センサに書き込まれたセンサIDを読み込む処理を、前記端末装置に実行させ、
前記パラメータを書き込む処理は、前記センサIDを読み込む処理によってセンサIDが読み込まれたセンサのうち、前記設定ファイルの前記センサIDに対応する当該センサに、当該センサIDに対応する前記設定ファイル内のパラメータを書き込む、
請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項5】
前記アプリケーションプログラムは、前記パラメータを書き込む処理による書き込み結果を前記設定ファイルに反映させる処理を、前記端末装置に実行させる、
請求項1~4のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記ツールプログラムは、前記書き込み結果が反映された前記設定ファイルに基づくレポートを生成する処理を、前記情報処理装置に実行させる、
請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項8】
複数のセンサそれぞれに書き込むパラメータを編集可能な態様でまとめて表示するとともに、前記パラメータを含む設定ファイルを生成することと、
近距離無線通信を利用して、前記複数のセンサそれぞれに、前記設定ファイルに含まれた前記センサそれぞれに対応するパラメータを書き込むことと、
を含む、
方法。
【請求項9】
複数のセンサそれぞれに書き込むパラメータを編集可能な態様でまとめて表示するとともに、前記パラメータを含む設定ファイルを生成する情報処理装置と、
近距離無線通信を利用して、前記複数のセンサそれぞれに、前記設定ファイルに含まれた前記センサそれぞれに対応するパラメータを書き込む端末装置と、
を備える、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、記録媒体、方法及びシステムに関し、より特定的には、センサにパラメータを書き込むためのプログラム、記録媒体、方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
データ収集のためにプラント等に配置されるセンサが知られている(例えば非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】斎藤昌久、外2名、「産業用IoTを実現するSushi Sensor」、横河技報、Vol.61、No.1、2018年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば複数のセンサを配置する前に各センサにパラメータを書き込む作業が必要になる。作業の効率化に検討の余地がある。
【0005】
本発明の一側面は、センサへのパラメータの書き込み作業の効率を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面に係るプログラムは、複数のセンサそれぞれに書き込むパラメータを編集可能な態様でまとめて表示するとともに、パラメータを含む設定ファイルを生成する処理を、情報処理装置に実行させるツールプログラムと、近距離無線通信を利用して、複数のセンサそれぞれに、設定ファイルに含まれたセンサそれぞれに対応するパラメータを書き込む処理を、端末装置に実行させるアプリケーションプログラムと、を含む。
【0007】
一側面に係る記録媒体は、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0008】
一側面に係る方法は、複数のセンサそれぞれに書き込むパラメータを編集可能な態様でまとめて表示するとともに、パラメータを含む設定ファイルを生成することと、近距離無線通信を利用して、複数のセンサそれぞれに、設定ファイルに含まれたセンサそれぞれに対応するパラメータを書き込むことと、を含む。
【0009】
一側面に係るシステムは、複数のセンサそれぞれに書き込むパラメータを編集可能な態様でまとめて表示するとともに、パラメータを含む設定ファイルを生成する情報処理装置と、近距離無線通信を利用して、複数のセンサそれぞれに、設定ファイルに含まれたセンサそれぞれに対応するパラメータを書き込む端末装置と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、センサへのパラメータの書き込み作業の効率を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係るシステム100の概要を示す図である。
【
図2】情報処理装置2の機能ブロックの例を示す図である。
【
図3】設定ファイルFの生成の際のツール画面の例を示す図である。
【
図4】設定ファイルFの生成の際に情報処理装置2において実行される処理(方法)の例を示すフローチャートである。
【
図5】情報処理装置2によって生成された設定ファイルFの例を示す図である。
【
図6】端末装置3の機能ブロックの例を示す図である。
【
図7】データベース33bの生成の際に端末装置3において実行される処理(方法)の例を示すフローチャートである。
【
図9】書き込み作業の際のアプリケーション画面の例を示す図である。
【
図10】第1のシナリオによる書き込み作業の際に端末装置3において実行される処理(方法)の例を示すフローチャートである。
【
図11】第2のシナリオによる書き込み作業の際に端末装置3において実行される処理(方法)の例を示すフローチャートである。
【
図12】書き込み作業完了後のデータベース33bの例を示す図である。
【
図13】更新後の設定ファイルFの例を示す図である。
【
図14】レポート生成の際のツール画面の例を示す図である。
【
図16】装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ実施形態について説明する。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係るシステム100の概要を示す図である。システム100は、複数のセンサ1にパラメータpを書き込むために用いられる。例示されるシステム100は、情報処理装置2と、端末装置3とを含む。
【0014】
センサ1は、例えば非特許文献1に示されるようなセンサである。センサ1は、システム100の構成要素であってもよいし、システム100の構成要素でなくてもよい。センサ1は、端末装置3との通信を行うための通信部11を含む。通信部11は、センサ1と端末装置3との近距離無線通信を可能にする。近距離無線通信の例は、NFC(Near Field Communication)通信である。
【0015】
センサ1は、さまざまな場所に配置され、データを収集する。配置場所の例は、プラント等である。センサ1には、情報が書き込まれる。
図1には、センサ1に書き込まれる情報として、センサ種類、センサID、タグ名、地域及びパラメータpが例示される。なお、図中のxxxは、任意の数値、文字等を模式的に示す。
【0016】
センサ種類は、センサ1の種類を示す。センサ種類の例は、温度センサ、圧力センサ、振動センサ等である。センサIDは、センサ1を個体識別するための情報である。センサIDの例は、シリアル番号、EUI(Extended Unique Identifier)等である。本開示におけるセンサIDは、シリアル番号やEUI等の複数の情報を含む意味に解されてよい。タグ名は、とくにユーザ(作業員等)がセンサ1を識別しやすくするために付与される。地域は、センサ1が配置される地域である。地域の例は、アジアにおける日本等である。
【0017】
パラメータpは、センサ1において設定される設定パラメータである。パラメータpの例は、センシングデータの外部送信間隔を規定するパラメータ、データフォーマットを規定するパラメータ等である。これら以外にもさまざまなパラメータが存在し、また、それらはセンサ種類等によって異なり得る。なお、本開示におけるパラメータpは、1つのセンサ1に書き込まれる複数のパラメータの意味に解されてよい。
【0018】
システム100では、情報処理装置2及び端末装置3の協働によって、複数のセンサ1へのパラメータpの書き込みがまとめて行われる。複数のセンサ1は、例えばプラント内の同じ区域等への配置が予定されており、配置前に一箇所にまとめて置かれた状態でパラメータpが書き込まれる。
【0019】
情報処理装置2の例は、PC等である。端末装置3の例は、スマートフォン等のモバイル端末装置である。PC等である情報処理装置2は、スマートフォン等である端末装置3よりも大画面表示が可能であり、また、ユーザ操作が容易であるといった利点を有する。一実施形態において、情報処理装置2の画面(後述のUI部21に相当)は、端末装置3の画面(後述のUI部32に相当)よりも大きくてよい。
【0020】
図1には、パラメータpの書き込みの流れが、いくつかの白抜きで模式的に示される。情報処理装置2は、パラメータpを含む設定ファイルFを生成(作成)する。端末装置3は、情報処理装置2によって生成された設定ファイルFを利用して、複数のセンサ1それぞれにパラメータpを連続で書き込む。書き込み結果が反映された設定ファイルFが、端末装置3から情報処理装置2に戻される。詳細について、
図2以降を参照して説明する。
【0021】
図2は、情報処理装置2の機能ブロックの例を示す図である。情報処理装置2は、UI部21と、記憶部22と、データ管理部23とを含む。
【0022】
UI部21は、情報処理装置2のユーザに情報を提示(表示等)したり、ユーザによる情報処理装置2の操作を受け付けたりするユーザインタフェース部(表示部、操作部等)である。例えば、UI部21は、設定ファイルFの生成時に、複数のセンサ1それぞれに書き込むパラメータpを一括で編集可能な態様でまとめて表示する。ユーザは、表示された情報を見ながらUI部21を操作して、設定ファイルFを生成する。
【0023】
記憶部22は、情報処理装置2で用いられる情報を記憶する。記憶部22に記憶される情報として、ツールプログラム22a及び設定ファイルFが例示される。ツールプログラム22aは、情報処理装置2による処理、より具体的にはUI部21及びデータ管理部23等による処理をコンピュータに実行させるプログラム(ソフトウェア)である。ツールプログラム22aの実行により、設定ファイルFを生成するためのツールが実行される。設定ファイルFは、上述のように、パラメータpを含むファイルである。
【0024】
データ管理部23は、設定ファイルFを管理する。例えば、データ管理部23は、設定ファイルF内のパラメータpのエラーチェックを行う。エラーチェックの例は、パラメータpの値が適正な範囲内であるか否か等である。さまざまなエラーチェック項目がデフォルト設定されたりユーザ操作等によって手動設定されたりしてよい。エラーチェックが行われることで、作業ミスを低減又は回避することができる。
【0025】
図3は、設定ファイルFの生成の際のツール画面の例を示す図である。情報処理装置2のUI部21は、ディスプレイ及びキーボード等として例示される。この例では、ツールは、スタートアップツールと称され表示される。ユーザ操作により、センサ種類、この例では温度センサが選択される。選択されたセンサ種類について、センサ1に対応する連番ごとに、センサID、タグ名、地域及びパラメータp等がまとめて表示される。各パラメータpには初期値が与えられており、また、編集可能である。初期値は、例えばウィザード形式で設定されてよい。情報処理装置2のユーザは、編集対象のパラメータpを選択し、そのパラメータpを変更等する。初期値が無い場合には新規入力される。当然ながら、パラメータpの編集以外にも、センサ1の追加等を含むその他さまざまな作業が可能である。なお、後述の第1のシナリオによる書き込み作業を行う場合には、センサIDは空欄でもよい。
【0026】
図4は、設定ファイルFの生成の際に情報処理装置2において実行される処理(方法)の例を示すフローチャートである。ステップS1において、ツールが起動する。記憶部22に記憶されたツールプログラム22aが実行され、ツールが起動する。パラメータpには初期値が与えられる。
【0027】
ステップS2において、各パラメータp等がまとめて表示され、編集される。UI部21は、例えば先に
図3を参照して説明したような画面を表示する。ユーザ操作により、パラメータpの変更等が行われる。
【0028】
ステップS3において、パラメータpにエラーがあるか否かが判断される。データ管理部23は、編集されたパラメータpのエラーチェックを行う。パラメータpにエラーがある場合(ステップS3:Yes)、ステップS2に処理が戻される。例えば、UI部21が、エラーに関する情報(エラーの存在、エラーの理由等)を表示し、ユーザが、エラーが解消されるようにパラメータpの変更等を行う。パラメータpにエラーが無い場合(ステップS3:No)、ステップS4に処理が進められる。
【0029】
ステップS4において、パラメータpを含む設定ファイルFが生成される。データ管理部23は、先のステップS2で編集されたパラメータpを含む設定ファイルFを生成する。生成された設定ファイルFは、記憶部22に記憶される。その後、フローチャートの処理は終了する。
【0030】
図5は、情報処理装置2によって生成された設定ファイルFの例を示す図である。設定ファイルFは、複数のセンサ1それぞれのパラメータpを順番に記述(リスト)する。この例では、設定ファイルFは、各センサ1の情報を連番で記述する。複数のセンサ1それぞれについて、番号ごとに、フラグ、センサID、タグ名、地域及びパラメータp等が対応付けて記述される。フラグは、対応するセンサ1へのパラメータpの書き込みが完了していることを示すフラグ(書き込み済みフラグ)であり、この時点ではいずれもOFF(未書き込み)である。なお、後述の第1のシナリオによる書き込み作業を行う場合には、センサIDは空欄でもよい。
【0031】
図6は、端末装置3の機能ブロックの例を示す図である。端末装置3は、センサ通信部31と、UI部32と、記憶部33と、データ管理部34とを含む。
【0032】
センサ通信部31は、センサ1の通信部11(
図1)と通信する。通信は、先にも述べたように、NFC通信等の近距離無線通信である。例えば端末装置3のユーザが端末装置3をセンサ1に近づける(かざす)ことで、センサ1と端末装置3との間での通信が確立される。以下、とくに説明がある場合を除き、NFC通信は、近距離無線通信を指し示すものとする。矛盾の無い範囲において、NFC通信及び近距離無線通信は適宜読み替えられてよい。
【0033】
UI部32は、端末装置3のユーザに情報を提示したり、ユーザによる端末装置3の操作を受け付けたりするユーザインタフェース部(表示部、操作部等)である。例えば、UI部32は、センサ1へのパラメータpの書き込みに必要な作業等をユーザに促す情報を表示する。ユーザは、表示された情報を見ながら書き込み作業を行う。なお、端末装置3のユーザは、情報処理装置2のユーザと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0034】
記憶部33は、端末装置3で用いられる情報を記憶する。記憶部33に記憶される情報として、アプリケーションプログラム33a及びデータベース33bが例示される。アプリケーションプログラム33aは、端末装置3による処理、より具体的にはセンサ通信部31、UI部32及びデータ管理部34等による処理をコンピュータに実行させるプログラム(ソフトウェア)である。アプリケーションプログラム33aの実行により、センサ1にパラメータpを書き込むためのアプリケーションが実行される。データベース33bについては後述する。
【0035】
データ管理部34は、センサ1へのパラメータpの書き込みを管理する。データ管理部34による処理のいくつかの例について説明する。
【0036】
データ管理部34は、情報処理装置2から設定ファイルFを取得し、設定ファイルFの情報をアプリケーション内に読み込む(取り込む)。例えば、端末装置3と情報処理装置2とが有線接続された状態で、所定フォルダを介して、端末装置3から情報処理装置2に設定ファイルFが渡される。データ管理部34は、設定ファイルFの情報と同様の情報を含むデータベース33bを生成する。データベース33bは、アプリケーション上でアクセス及び編集が可能である。
【0037】
図7は、データベース33bの生成の際に端末装置3において実行される処理(方法)の例を示すフローチャートである。ステップS11において、アプリケーションが起動する。記憶部33に記憶されたアプリケーションプログラム33aが実行され、アプリケーションが起動する。
【0038】
ステップS12において、設定ファイルエラーがあるか否かが判断される。データ管理部34は、設定ファイルFの情報をアプリケーション内に取り込めない場合、例えば上述の所定フォルダに設定ファイルFが無い等の場合に、設定ファイルエラーがあると判断する。設定ファイルエラーがある場合(ステップS12:Yes)、例えば、UI部32がエラーを表示し、フローチャートの処理が終了する。そうでない場合(ステップS12:No)、ステップS13に処理が進められる。
【0039】
ステップS13及びステップS14において、設定ファイルFが読み込まれ、データベース33bが生成される。データ管理部34は、情報処理装置2からの設定ファイルFを読み込み、設定ファイルFの情報と同様の情報を含むデータベース33bを生成する。その後、フローチャートの処理は終了する。
【0040】
図8は、データベース33bの例を示す図である。この例では、データベース33bは、各センサ1の情報を、連番で記述する。番号ごとに、フラグ、センサ種類、センサID、タグ名、地域及びパラメータp等が対応付けて記述される。また、総センサ数及び未書き込み数も記述される。総センサ数は、連番に対応するセンサ1の総数である。未書き込み数は、OFFになっているフラグの数である。
【0041】
なお、データベース33bは、設定ファイルFの情報をアプリケーション上で扱えるようにするために生成されたものともいえる。この意味において、アプリケーション上でのデータベース33bの扱いは、設定ファイルFの扱いと同視し得る。矛盾の無い範囲において、データベース33b及び設定ファイルFは適宜読み替えられてよい。
【0042】
図6に戻り、再びデータ管理部34について説明する。データ管理部34は、センサ通信部31による近距離無線通信を利用して、複数のセンサ1それぞれに、設定ファイルFに含まれたセンサ1それぞれに対応するパラメータpを書き込む。その際、データ管理部34は、そのセンサ1にパラメータpを書き込んでよいか否か判断(チェック)してよい。例えば、センサ1のセンサ種類によっては、書き込むことのできないパラメータpが存在する。温度センサに特有のパラメータpは、圧力センサや振動センサに書き込むことはできない。そういったパラメータpの書き込み、ひいてはそれに起因するエラーが低減又は回避される。
【0043】
データ管理部34は、パラメータpと一緒にタグ名もセンサ1に書き込む。タグ名が書き込まれたセンサ1は、パラメータpが書き込み済みのセンサ1であるともいえる。また、データ管理部34は、書き込み結果をデータベース33bに反映させる。例えば、データ管理部34は、データベース33b内のフラグのうち、パラメータpが書き込まれたセンサ1のフラグを、OFFからONに書き換える。
【0044】
データ管理部34は、上述のようにパラメータpを書き込んだセンサ1から、そのセンサ1に書き込まれたパラメータpを読み込む。これらのパラメータpの書き込み及び読み込みは、1回のNFC通信の間に実行されてよい。その場合、データ管理部34は、1回のNFC通信の間に、1つのセンサ1に対するパラメータpを書き込む処理及びパラメータpを読み込む処理を実行する。1回のNFC通信は、端末装置3と1つのセンサ1とのNFC通信が確立されてから解除されるまでの間に利用されるそのNFC通信を指し示す。
【0045】
センサ1に書き込まれたパラメータpを読み込むことで、データ管理部34は、センサ1にパラメータpが正しく書き込まれていることを確認する。確認は、例えば読み込んだパラメータpとデータベース33b内の対応するパラメータpとを比較することにより行われる。データ管理部34が確認作業を行うことにより、例えば端末装置3のユーザによる目視確認といった作業が不要になり、それに起因する確認ミスを低減又は回避することができる。なお、センサ1にパラメータpが正しく書き込まれていない場合には、データ管理部34は、再びパラメータpの書き込みを行ってよい(リトライしてよい)。
【0046】
データ管理部34は、センサ1へのパラメータpの書き込み結果をデータベース33bに反映させる。書き込み結果の例は、書き込みが成功したことに伴うフラグのOFFからONへの書き換え等である。書き込み結果の反映は、1つのセンサ1へのパラメータpの書き込みが終わる都度行われる。作業状態がデータベース33bに保存されるともいえる。複数のセンサ1へのパラメータpの書き込みの作業の中断や再開が可能になる。
【0047】
図9は、書き込み作業の際のアプリケーション画面の例を示す図である。この例では、アプリケーションは、スタートアップアプリと称され表示される。端末装置3のUI部32は、タッチパネルディスプレイとして例示される。
図9の(A)には、開始画面が例示される。タップ等により「Write to Sensro」が選択されると、書き込み作業(フロー)が進められる。書き込み作業中には、
図9の(B)や(C)に示されるような画面が表示される。
図9の(B)に示される例では、端末装置3のユーザに作業を促すメッセージ「パラメータを書き込むセンサに近づけてください」が表示される。端末装置3のユーザが端末装置3をセンサ1に近づけると、NFC通信が確立され、そのセンサ1にパラメータpが書き込まれる。その間は、例えば
図9の(C)に示されるように、通信中であること、及び、パラメータ書き込み中であることが表示される。書き込み作業中に「Done」が選択されると、作業が中断され、初期画面(
図9の(A))に戻る。改めて「Write to Sensor」が選択されると、作業が再開される。
【0048】
複数のセンサ1それぞれにパラメータpを書き込む具体的な手順として、いくつかのシナリオが考えられる。ユーザが或る程度の専門知識を有すること作業員等であれば、シナリオの数を絞り、複雑さを回避等することが可能である。以下では、シナリオの具体例として、第1のシナリオ及び第2のシナリオを例に挙げて説明する。
【0049】
<第1のシナリオ>
第1のシナリオでは、データベース33bに順番に記述されたパラメータpが、その記述順に、複数のセンサ1のうちの任意に選択されたセンサ1に書き込まれる。後述の第2のシナリオとは異なり、センサ1の個体識別は不要である。例えば、端末装置3のユーザは、複数のセンサ1のうち、パラメータpを書き込もうとする任意の1つのセンサ1に端末装置3を近づける。そのセンサ1と端末装置3とNFC通信を利用して、データベース33bに順番に記述された(リストされた)パラメータpのうち、フラグがOFFであって最初に記述された(リストの一番上の)パラメータpが、センサ1に書き込まれる。
【0050】
第1のシナリオが採用される場合には、データベース33b内のセンサIDは空欄であってよい。実際にセンサ1にパラメータpが書き込まれた後で、そのセンサ1に書き込まれていたセンサIDが、データベース33b内の対応する位置に追加される。
【0051】
図10は、第1のシナリオによる書き込み作業の際に端末装置3において実行される処理(方法)の例を示すフローチャートである。前提として、先に
図7を参照して説明したように、アプリケーションが起動され、データベース33bが生成されているものとする。
【0052】
ステップS21において、データベース33bの情報が読み込まれる。データ管理部34は、データベース33bの情報、例えば総センサ数、未書き込み数、パラメータp等を読み込む。
【0053】
ステップS22において、センサ1との通信が行われ(NFC通信の確立)、センサ1に書き込まれた情報が読み込まれる。端末装置3のユーザは、任意の1つのセンサ1に端末装置3を近づける。端末装置3とそのセンサ1とのNFC通信が確立され、センサ1に書き込まれた情報、例えばセンサ種類、センサID、タグ名、地域、パラメータp等が読み込まれる。なお、センサ1にパラメータpが書き込まれていない場合には、センサ1から読み込まれたタグ名やパラメータp等は空欄である。
【0054】
ステップS23において、タグ名が空欄であるか否かが判断される。データ管理部34は、センサ1から取得したタグ名が空欄であるか否を判断する。タグ名が空欄であればそのセンサ1はパラメータpが未書き込みであり、そうでなければ書き込み済みである。タグ名が空欄である場合(ステップS23:Yes)、ステップS25に処理が進められる。そうでない場合(ステップS23:No)、ステップS24に処理が進められる。
【0055】
ステップS24において、上書きをするか否かが判断される。例えば、UI部32は、このセンサ1にタグ名及びパラメータpが書き込み済みであることを表示したり、このセンサ1にパラメータpを上書すべきか否かの問い合わせを表示したりする。ユーザは、端末装置3を操作して、上書きを行うか否かを決定する。上書きする場合(ステップS24:Yes)、ステップS25に処理が進められる。そうでない場合(ステップS24:No)、ステップS22に処理が戻される。その場合、端末装置3のユーザは、別のセンサ1を選択し、そのセンサ1に端末装置3を近づける。そのセンサ1について、同様の処理が実行される。
【0056】
上述のステップS23及びステップS24の処理により、センサ1の取り違えの作業ミスを低減又は回避することができる。例えば、パラメータpが書き込み済みのセンサ1であることに気付かずにユーザがそのセンサ1にパラメータpを再び書き込んでしまうことが回避される。
【0057】
ステップS25において、リストの最初のパラメータpがセンサ1に書き込まれる。データ管理部34は、データベース33bに順番に記述されたパラメータp及びタグ名のうち、フラグがOFFの最初のパラメータp及びタグ名をセンサ1に書き込む(上書きでもよい)。先のステップS22で確立されたNFC通信が引き続き利用される。
【0058】
ステップS26において、センサ1に書き込まれたパラメータpが読み込まれる。データ管理部34は、先のステップS25でパラメータpを書き込んだセンサ1から、そのセンサ1に書き込まれたパラメータpを読み込む。センサ1にパラメータpが正しく書き込まれていることが確認される。このときに利用されるNFC通信も、先のステップS22で確立され、先のステップS25で利用されたNFC通信と同じである。書き込みが確認された後、先のステップS22で確立されこれまで利用されてきたNFC通信が解除され、1回のNFC通信が終了する。なお、センサ1にパラメータpが正しく書き込まれていない場合には、改めてステップS25の処理が実行されてよい。
【0059】
ステップS27において、書き込み結果がデータベース33bに反映される。例えば、データ管理部34は、データベース33b内のフラグのうち、先のステップS25で書き込み、ひいては先のステップS26で読み出したパラメータpに対応するフラグを、OFFからONに書き替える。データベース33b内の未書き込み数も更新される。
【0060】
ステップS28において、すべてのセンサ1へのパラメータpの書き込みが完了したか否かが判断される。例えば、データ管理部34は、データベース33b内の未書き込み数が0になった場合に、書き込みが完了したと判断する。ONになったフラグの数が総センサ数に到達した場合に書き込みが完了したと判断してもよい。判断は、端末装置3のユーザが行ってもよい。書き込みが完了した場合(ステップS28:Yes)、フローチャートの処理は終了する。そうでない場合(ステップS28:No)、ステップS21に処理が戻される。
【0061】
例えば上述のような第1のシナリオによる書き込み作業によって、パラメータpをセンサ1に連続して効率良く書き込むことができる。
【0062】
<第2のシナリオ>
第2のシナリオでは、データベース33bのパラメータpのうち、NFC通信が確立されたセンサ1に対応するパラメータpが抽出され、そのセンサ1に書き込まれる。そのために、センサ1から読み込まれたセンサIDに基づくセンサ1の個体識別も行われる。例えば、端末装置3のユーザは、複数のセンサ1のうち、パラメータpを書き込もうとする任意の1つのセンサ1に端末装置3を近づける。そのセンサ1と端末装置3とのNFC通信を利用して、データ管理部34は、そのセンサ1(すなわちパラメータpを書き込む前のセンサ1)から、当該センサ1に書き込まれたセンサIDを読み込む。データ管理部34は、センサIDを読み込んだセンサ1のうち、データベース33bのセンサIDに対応する当該センサ1に、当該センサIDに対応するデータベース33b内のパラメータpを書き込む。
【0063】
図11は、第2のシナリオによる書き込み作業の際に端末装置3において実行される処理(方法)の例を示すフローチャートである。ステップS31及びステップS32の処理は、先に説明した
図10のステップS21及びステップS22の処理と同様である。データベース33bの情報が読み込まれる。また、センサ1との通信が行われ、センサ1に書き込まれた情報(センサIDを含む)が読み込まれる。
【0064】
ステップS33において、データベース33b内の対応するフラグがOFFであるか否かが判断される。データ管理部34は、データベース33b内のフラグのうち、先のステップS32で取得したセンサ1のセンサIDと同じセンサIDに対応するフラグがOFFであるか否かを判断する。フラグがOFFの場合(ステップS33:Yes)、ステップS35に処理が進められる。そうでない場合(ステップS33:No)、ステップS34に処理が進められる。
【0065】
ステップS34において、エラーが表示される。例えば、UI部32は、センサ1にパラメータpが書き込み済みであることを表示する。その後、ステップS32に処理が戻される。端末装置3のユーザは、別のセンサ1を選択し、そのセンサ1に端末装置3を近づける。そのセンサ1について、同様の処理が実行される。
【0066】
ステップS35及びステップS36の処理は、先に説明した
図10のステップS23及びステップS24の処理と同様である。タグ名が空欄であるか否かが判断され、また、上書きするか否かが判断される。タグ名が空欄の場合(ステップS35:Yes)、ステップS37に処理が進められる。
【0067】
ステップS37において、対応するパラメータpがセンサ1に書き込まれる。データ管理部34は、先のステップS32においてセンサIDを読み込んだセンサ1に、当該センサIDに対応するデータベース33b内のパラメータp及びタグ名を書き込む。センサIDによるチェック機能を兼ねた書き込みが行われる。
【0068】
ステップS38~ステップS40の処理は、先に説明した
図10のステップS26~ステップS28の処理と同様である。センサ1に書き込まれたパラメータpの読み込み、確認が行われ、また、書き込み結果がデータベース33bに反映される。すべてのセンサ1へのパラメータpの書き込みが完了すると、フローチャートの処理は終了する。
【0069】
例えば上述のような第2のシナリオによる書き込み作業によって、パラメータpをセンサ1に連続して効率良く書き込むことができる。
【0070】
図12は、書き込み作業完了後のデータベース33bの例を示す図である。先に説明した
図8に示されるデータベース33bからは、書き込み結果が反映される点において相違する。例えば、フラグがOFFからONに書き換えられ、また、未書き込み数が更新される。端末装置3のデータ管理部34(
図6)は、データベース33bに基づいて、設定ファイルFを更新する。設定ファイルFにも、センサ1へのパラメータpの書き込み結果が反映される。
【0071】
図13は、更新後の設定ファイルFの例を示す図である。先に説明した
図5に示される設定ファイルFからは、書き込み結果が反映される点において相違する。例えば、フラグがOFFからONに書き換えられる。
【0072】
更新後の設定ファイルFは、端末装置3から情報処理装置2に戻される(
図1)。例えば先に説明した所定フォルダを介して、設定ファイルFが端末装置3から情報処理装置2に渡される。更新後の設定ファイルFは、情報処理装置2の記憶部22(
図2)に記憶される。元の設定ファイルFが上書きされてもよいし、別ファイルとして保存されてもよい。
【0073】
情報処理装置2のデータ管理部23は、更新後の設定ファイルF内のパラメータpのエラーチェックを行ってもよい。先の設定ファイルFの生成時のエラーチェックを含めたダブルチェックが可能である。また、データ管理部23は、更新後の設定ファイルFに基づくレポートを生成する。レポートの生成は、設定ファイルFの生成と同様に、スタートアップツール上で行われてよい。
【0074】
図14は、レポート生成の際のツール画面の例を示す図である。更新後の設定ファイルFに基づくレポートが生成され、表示される。画面の上側には、各センサ1へのパラメータpの書き込み結果が示される。この例では、センサ1に対応する連番ごとに、書き込み成否、センサID、タグ名、地域及びパラメータp等がまとめて表示される。書き込み成否=OKは、パラメータpの書き込みが成功したことを示す。なお、書き込みが失敗した場合は、書き込み成否=NGとなる。画面の下側には、全体の結果を示すサマリが表示される。この例では、或る地域(例えばアジアの日本等)についての、対象センサ数、書き込み済みセンサ数等が整理されて表示される。
【0075】
以上で説明したシステム100によれば、情報処理装置2上のツール(スタートアップツール)により、複数のセンサ1のパラメータpを含む設定ファイルFが予め生成される。設定ファイルFを利用して、端末装置3上のアプリケーション(スタートアップアプリケーション)により、各センサ1にパラメータpが連続で書き込まれる。例えば第1のシナリオによる書き込み作業では、センサ1の個体識別を行うことなく、設定ファイルFの記述順(リスト順)にパラメータpがセンサ1に書き込まれる。第2のシナリオによる書き込み作業では、センサIDからセンサ1の個体識別が行われ、設定ファイルF内の(データベース33b内の)対応するパラメータpが抽出され、センサ1に書き込まれる。書き込み作業の状態が設定ファイルFに(データベース33bに)保存されるので、作業の中断や再開も可能である。書き込み結果が設定ファイルFに反映されるので、各センサ1へのパラメータpの書き込み成否、書き込まれたパラメータp等の確認も行える。例えば情報処理装置2上のツールでレポートを生成して表示することができる。
【0076】
従来技術の一例と対比して説明する。例えば、従来は、スマートフォンを用いて、以下のようにしてセンサにパラメータを書き込んでいた。まず、ユーザは、スマートフォンをセンサ1に近づけ、NFC通信を利用して、センサに書き込まれたパラメータを読み込む。次に、ユーザは、スマートフォンを操作して、リストをみながら手動でパラメータを編集する。最後に、ユーザは、再びスマートフォンをセンサに近づけ、NFC通信を利用してセンサにパラメータを書き込む。これらの作業には、次のような問題がある。
【0077】
1つ目の問題点は、パラメータを設定するためには、2回のNFC通信が必要になり、その分、作業時間が長くなることである。例えば1回のNFC通信に、10秒~30秒あるいはそれ以上の時間を要することもあり、作業時間に与える影響は少なくない。第2の問題点は、スマートフォンでは、画面が小さいため、全てのパラメータが1画面に表示されないことである。例えばページ切り替えが必要になる。また、パラメータの変更はユーザがリストを目視確認しながら作業現場にて手動で行う。そのため時間がかかり、ミスも発生しやすい。3つ目の問題点は、パラメータがセンサに正しく書き込まれたかどうかを確認するために、改めてユーザがスマートフォンを利用して、センサに書き込まれたパラメータを読み込み、目視確認しなければならないことである。そのため確認ミスが発生しやすい。これらの問題点の少なくとも1つが、システム100によって対処され得る。
【0078】
1つ目の問題点については、システム100では、1回のNFC通信の間に、センサ1へのパラメータpの書き込み及びパラメータpの読み出しが行われる。2回のNFC通信を要する場合よりも、作業時間を短くすることができる。2つ目の問題点については、システム100では、スマートフォン等の端末装置3ではなく、PC等の情報処理装置2上でツールが実行され、パラメータpが編集される。より大きな画面で一度に多くの情報を表示することができるため、視認性が高められる。操作性も高められる。その結果、パラメータpの編集等に要する作業時間が短縮され、ミスも低減又は回避される。3つ目の問題点については、システム100では、設定ファイルF(データベース33b)を利用することで、端末装置3上のアプリケーションが、センサ1に書き込まれたパラメータpを自動的に読み込んで確認する。従って、ユーザの目視確認等に起因する確認ミスが低減又は回避される。
【0079】
他にも、システム100によれば、端末装置3上のアプリケーションが、例えばセンサ1にタグ名が書き込み済みであるか否かの判断等を行うことで、センサ1の取り違えが低減又は回避される。また、ユーザがある程度の専門性を有する作業員等に限定される場合には、第1のシナリオや第2のシナリオのように書き込み作業のためのシナリオを絞ることで、複雑さの回避等が可能である。ユーザの操作を簡易にしつつ作業ミスの確認を自動で行うことが出来るようになると同時に、作業時間の短縮も実現できる。なお、ツールプログラム22a及びアプリケーションプログラム33aは、一体のプログラムファイルとして提供されてもよいし、別々のプログラムファイルとして提供されてもよい。
【0080】
<変形例>
開示される技術は上記実施形態に限定されない。一実施形態において、端末装置3の機能が複数の装置にわたって分散して設けられてよい。
図15を参照して説明する。
【0081】
図15は、端末装置3の変形例を示す図である。この例では、端末装置3は、装置3A及び装置3Bを含む。これまで説明した端末装置3のセンサ通信部31、UI部32及び記憶部33の機能のうち、センサ通信部31が装置3Aによって実現され、UI部32及び記憶部33が装置3Bによって実現される。例えば、装置3Aは、LoRaWAN(登録商標)のゲートウェイであってよい。装置3Bは、情報処理装置2や装置3Aからみた上位の装置(上位PC等)ともいえる。装置3Bは、例えばネットワークを介して情報処理装置2及び装置3Aと通信可能なサーバ装置(クラウドサーバ装置)であってよい。このような構成の端末装置3によっても、これまで説明したように、情報処理装置2によって生成された設定ファイルFを利用して、センサ1にパラメータpを書き込むことができる。複数のセンサ1は、いずれも装置3Aの通信範囲内に置かれており、任意に選択されたセンサ1から順に、パラメータpが書き込まれる。センサ1の選択に、ユーザの操作は介在しなくてもよい。上位システムからのセンサ1へのパラメータpの書き込みが可能である。
【0082】
<装置のハードウェア構成の例>
図16は、装置のハードウェア構成の例を示す図である。例示されるようなコンピュータ4が、これまで説明した情報処理装置2、端末装置3等として機能する。装置のハードウェア構成として、バス等で相互に接続される通信装置4a、表示装置4b、記憶装置4c、メモリ4d及びプロセッサ4e等が例示される。記憶装置4cの例は、HDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等である。なお、メモリ4dは、記憶装置4cに含まれてもよい。
【0083】
通信装置4aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他の装置との通信を可能にする。表示装置4bは、例えばタッチパネルやディスプレイなどである。記憶装置4cは、記憶部22、記憶部33等として機能する。
【0084】
例えば、プロセッサ4eは、
図2のツールプログラム22aを記憶装置4c等から読み込んで(読み出して)メモリ4dに展開することで、情報処理装置2による処理をコンピュータに実行させる。また、プロセッサ4eは、
図6のアプリケーションプログラム33aを記憶装置4c等から読み込んでメモリ4dに展開することで、端末装置3による処理をコンピュータに実行させる。
【0085】
ツールプログラム22aやアプリケーションプログラム33a等のプログラムは、インターネットなどのネットワークを介してまとめて又は別々に配布することができる。また、それらのプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体にまとめて又は別々に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み込まれることによって実行することができる。
【0086】
以上で説明した技術は、例えば次のように特定される。開示される技術の1つは、プログラムである。
図1~
図16を参照して説明したように、プログラムは、ツールプログラム22aと、アプリケーションプログラム33aとを含む。ツールプログラム22aは、複数のセンサ1それぞれに書き込むパラメータpを編集可能な態様でまとめて表示するとともに、パラメータpを含む設定ファイルFを生成する処理(ステップS2、ステップS4)を、情報処理装置2に実行させる。アプリケーションプログラム33aは、近距離無線通信を利用して、複数のセンサ1それぞれに、設定ファイルFに含まれたセンサ1それぞれに対応するパラメータpを書き込む処理(ステップS25、ステップS37)を、端末装置3に実行させる。
【0087】
上記のプログラムによれば、パラメータpの編集が、端末装置3ではなく、情報処理装置2上で行われる。例えば情報処理装置2がPC等であり端末装置3がスマートフォン等である場合には、情報処理装置2において、端末装置3の場合よりも多くの情報を一度に表示できる。視認性が高められ、また、操作性も高められる。パラメータpの編集に要する作業時間が短縮され、また、作業ミスも低減又は回避される。端末装置3によって、近距離無線通信を利用して、設定ファイルFに含まれるパラメータpがセンサ1に書き込まれる。このようにして、センサ1へのパラメータpの書き込み作業の効率を向上させることが可能になる。
【0088】
アプリケーションプログラム33aは、書き込む処理によってパラメータpが書き込まれたセンサ1から、当該センサ1に書き込まれたパラメータpを読み込んで確認する処理(ステップS26、ステップS38)を、端末装置3に実行させ、アプリケーションプログラム33aは、1回の近距離無線通信の間に、複数のセンサ1のうちの1つのセンサ1に対するパラメータpを書き込む処理及びパラメータpを読み込む処理(ステップS25及びステップS26、ステップS37及びステップS38)を、端末装置3に実行させてよい。センサ1にパラメータpが正しく書き込まれたことをユーザが目視確認する必要がなく、それに起因する確認ミスを低減又は回避することができる。また、1回の近距離無線通信の間に処理が完了するので、例えば2回の近距離無線通信を行う場合よりも、作業時間を短くすることができる。
【0089】
図5、
図8及び
図10等を参照して説明したように、設定ファイルFは、複数のセンサ1それぞれのパラメータpを順番に記述し、パラメータpを書き込む処理は、設定ファイルFに記述されたパラメータpを、その記述順に、複数のセンサ1のうちの任意に選択されたセンサ1に書き込んでよい(ステップS25)。例えばこのような第1のシナリオによる書き込み作業によって、パラメータpをセンサ1に連続して効率良く書き込むことができる。
【0090】
図5、
図8及び
図11等を参照して説明したように、設定ファイルFは、複数のセンサ1それぞれについてセンサID及びパラメータpを対応付けて記述し、アプリケーションプログラム33aは、パラメータpを書き込む処理によってパラメータpが書き込まれる前のセンサ1から、当該センサ1に書き込まれたセンサIDを読み込む処理(ステップS32)を、端末装置3に実行させ、パラメータpを書き込む処理は、センサIDを読み込む処理によってセンサIDが読み込まれたセンサ1のうち、設定ファイルF(データベース33b)のセンサIDに対応する当該センサ1に、当該センサIDに対応する設定ファイルF内のパラメータpを書き込んでよい(ステップS37)。例えばこのような第2のシナリオによる書き込み作業によって、パラメータpをセンサ1に連続して効率良く書き込むことができる。また、センサIDによるチェック機能を兼ねた書き込みが可能になる。
【0091】
図10~
図13等を参照して説明したように、アプリケーションプログラム33aは、パラメータpを書き込む処理による書き込み結果を設定ファイルF(データベース33b)に反映させる処理(ステップS27、ステップS39)を、端末装置3に実行させてよい。書き込みの作業状態が保存されるので、作業の中断や再開が可能になる。
【0092】
図14等を参照して説明したように、ツールプログラム22aは、書き込み結果が反映された設定ファイルFに基づくレポートを生成する処理を、情報処理装置2に実行させてよい。各センサ1へのパラメータpの書き込み成否、書き込まれたパラメータp等の確認が行える。
【0093】
図16等を参照して説明した記録媒体も、開示される技術の1つである。記録媒体は、上述のプログラム、すなわちツールプログラム22aやアプリケーションプログラム33aを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0094】
図4、
図10及び
図11等を参照して説明した方法も、開示される技術の1つである。方法は、複数のセンサ1それぞれに書き込むパラメータpを編集可能な態様でまとめて表示するとともに、パラメータpを含む設定ファイルFを生成すること(ステップS2、ステップS4)と、近距離無線通信を利用して、複数のセンサ1それぞれに、設定ファイルFに含まれたセンサ1それぞれに対応するパラメータpを書き込むこと(ステップS25、ステップS37)と、を含む。このような方法によっても、これまで説明したように、センサ1へのパラメータpの書き込み作業の効率を向上させることが可能になる。
【0095】
図1及び
図15等を参照して説明したシステム100も、開示される技術の1つである。システム100は、情報処理装置2と、端末装置3と、を備える。情報処理装置2は、複数のセンサ1それぞれに書き込むパラメータpを編集可能な態様でまとめて表示するとともに、パラメータpを含む設定ファイルFを生成する。端末装置3は、近距離無線通信を利用して、複数のセンサ1それぞれに、設定ファイルFに含まれたセンサ1それぞれに対応するパラメータpを書き込む。このようなシステム100によっても、これまで説明したように、センサ1へのパラメータpの書き込み作業の効率を向上させることが可能になる。
【符号の説明】
【0096】
1 センサ
2 情報処理装置
21 UI部
22 記憶部
22a ツールプログラム
23 データ管理部
3 端末装置
31 センサ通信部
32 UI部
33 記憶部
33a アプリケーションプログラム
33b データベース
34 データ管理部
3A 装置
3B 装置
4 コンピュータ
4a 通信装置
4b 表示装置
4c 記憶装置
4d メモリ
4e プロセッサ
F 設定ファイル
p パラメータ