(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078534
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 17/08 20060101AFI20230531BHJP
F25D 11/02 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
F25D17/08 308
F25D11/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191692
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】中澤 優
(72)【発明者】
【氏名】多賀 一瑳
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA07
3L045DA02
3L045EA01
3L045MA02
3L045NA07
3L045NA16
3L045PA01
3L045PA04
3L345AA02
3L345AA18
3L345AA19
3L345BB05
3L345CC01
3L345DD08
3L345EE02
3L345EE33
3L345EE53
3L345FF12
3L345FF45
3L345KK01
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】本発明は上記従来の課題を解決するものであり、過冷防止制御による野菜室の鈍冷を抑制する冷蔵庫を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の冷蔵庫は、野菜室と、野菜室を冷却する冷気を生成する冷却室と、冷却室から野菜室への冷気供給を開閉する野菜室ダンパと、野菜室の温度を検知する野菜室温度検知手段と、を備え、野菜室温度検知手段により野菜室ダンパの開閉を行って野菜室の設定温度に冷却する冷蔵庫において、野菜室温度検知手段の検知温度が野菜室ダンパを開放する温度になった場合、野菜室ダンパを開放し、所定時間経過後、野菜室温度検知手段の検知温度が所定温度以上の場合は、野菜室温度検知手段の検知温度で野菜室ダンパを開放し、所定温度以下の場合は、野菜室ダンパを閉塞する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜室と、前記野菜室を冷却する冷気を生成する冷却室と、前記冷却室から野菜室への冷気供給を開閉する野菜室ダンパと、前記野菜室の温度を検知する野菜室温度検知手段と、を備え、前記野菜室温度検知手段により前記野菜室ダンパの開閉を行って前記野菜室の設定温度に冷却する冷蔵庫において、前記野菜室温度検知手段の検知温度が前記野菜室ダンパを開放する温度になった場合、前記野菜室ダンパを開放し、所定時間経過後、前記野菜室温度検知手段の検知温度が所定温度以上の場合は、前記野菜室温度検知手段の検知温度で前記野菜室ダンパを開放し、所定温度以下の場合は、前記野菜室ダンパを閉塞することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記所定温度は前記設定温度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
圧縮機が停止した時、前記野菜室ダンパを閉塞することを特徴とする請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
野菜室を適温に温度制御するために野菜室ダンパを備え、野菜室の温度に応じて野菜室ダンパを開閉制御し、野菜室の過冷を防止しつつ温度調整するようになっている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の冷蔵庫では、野菜室の過冷を防止するために、野菜室ダンパを開くときには冷蔵室ダンパも開き、野菜室への風量を下げることで野菜室の過冷を防止するものであり、野菜室の鈍冷という課題を有している。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、過冷防止制御による野菜室の鈍冷を抑制する冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷蔵庫は、野菜室と、野菜室を冷却する冷気を生成する冷却室と、冷却室から野菜室への冷気供給を開閉する野菜室ダンパと、野菜室の温度を検知する野菜室温度検知手段と、を備え、野菜室温度検知手段により野菜室ダンパの開閉を行って野菜室の設定温度に冷却する冷蔵庫において、野菜室温度検知手段の検知温度が野菜室ダンパを開放する温度になった場合、野菜室ダンパを開放し、所定時間経過後、野菜室温度検知手段の検知温度が所定温度以上の場合は、野菜室温度検知手段の検知温度で野菜室ダンパを開放し、所定温度以下の場合は、野菜室ダンパを閉塞する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の冷蔵庫は、野菜室を適温に維持する冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の正面図
【
図2】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷気流を示す正面図
【
図4】本発明の実施の形態1の野菜室制御のタイムチャート図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0010】
(実施の形態1)
図1~
図3は冷蔵庫の全体構成を説明する図、
図3は冷却室から野菜室への冷気供給構成を説明する図である。
【0011】
まず
図1、
図2を用いて冷蔵庫の全体構成を説明する。
【0012】
本実施の形態に係る冷蔵庫は、前方を開口した冷蔵庫本体1を備え、この冷蔵庫本体1は金属製の外箱2と、硬質樹脂製の内箱3と、前記外箱2および内箱3の間に発泡充填された発泡断熱材4とで構成してあり、仕切板5、6等によって複数の貯蔵室が仕切形成してある。また、前記冷蔵庫本体1の各貯蔵室は冷蔵庫本体1と同様の断熱構成を採用した回動式の扉7或いは引出し式の扉8、9、10、11で開閉自在としてある。
【0013】
冷蔵庫本体1内に形成した貯蔵室は、最上部の冷蔵室14と、冷蔵室14の下に設けた温度帯切り替え可能な切替室15と、切替室15の横に設けた製氷室16と、切替室15および製氷室16と最下部の野菜室17との間に設けた冷凍室18で構成している。そして、前記冷蔵室14には複数の棚板20が設けてあり、その下部には冷却温度帯の異なるパーシャル室21とチルド室22が上下二段に重ねて設けてある。
【0014】
上記冷蔵室14は、冷蔵保存するための貯蔵室で、凍らない程度の低い温度、具体的には、通常1~5℃に設定され冷却される。また、冷蔵室内に設けたパーシャル室21は微凍結保存に適した-2~-3℃に設定され、チルド室22は冷蔵室14よりも低くパーシャル室21よりは高めの1℃前後の温度に設定され冷却される。
【0015】
野菜室17は、冷蔵室14と同等もしくは若干高く温度設定される貯蔵室で、具体的には、2~7℃に設定され冷却される。この野菜室17は野菜等の収納食品から発せられる水分により高湿度となるため、局所的に冷えすぎると結露することがある。そのため、比較的高い温度に設定することで冷却量を少なくし、局所的な冷えすぎによる結露発生を抑制している。
【0016】
冷凍室18は、冷凍温度帯に設定される貯蔵室で、具体的には、通常-22~-18℃に設定され冷却されるが、冷凍保存状態向上のため、例えば-30℃や-25℃などの低温に設定され冷却されることもある。
【0017】
切替室15は、庫内の温度が変更可能な貯蔵室であり、用途に応じて冷蔵温度帯から冷凍温度帯まで切り換えることができるようになっている。
【0018】
一方、前記冷凍室18の背面には冷却室23が設けてあり、この冷却室23には冷気を生成する冷却器24と、冷気を前記各室に供給する冷却ファン25とが設置してある。そして更に冷却器24の下方にはガラス管ヒータ等で構成した除霜手段26(以下、ガラス管ヒータと称す)が設けてある。
【0019】
冷却器24は、圧縮機27と、コンデンサ(図示せず)と、放熱用の放熱パイプ(図示せず)と、キャピラリーチューブ(図示せず)とを環状に接続して冷凍サイクルを構成しており、圧縮機27によって圧縮された冷媒の循環によって冷却を行う。
【0020】
また、冷却ファン25は冷却器24の上方に設けてあり、その下流側に連なる冷蔵室ダクト28、冷凍室ダクト29、野菜室ダクト30を介して冷蔵室14、冷凍室18、野菜室17等に冷気を供給し、これら各室を冷却するようになっている。
【0021】
以下、上記冷却室23、冷蔵室14、冷凍室18、野菜室17の各室及びその冷却の構成について説明していく。
【0022】
次に冷却室と冷気供給構成について説明する。
【0023】
冷却室23は冷凍室18の背面にあって
図5に示すよう冷却室形成板31と内箱3とによって形成してあり、冷却室形成板31の上部に冷却ファン25を装着することにより冷却器24上方に冷却ファン25を位置させてある。また、冷却室形成板31の前面側には冷凍室背面板32を装着して冷却ファン25の下流側を覆い冷却室23との間に冷却ファン下流側と連通する冷凍室ダクト29を形成している。
【0024】
そして、上記冷却ファン25の下流側には冷蔵室14の冷蔵室ダクト28と、野菜室17の野菜室ダクト30が、それぞれ異なる位置で別個に独立した形で接続してある。詳述すると、前記冷却ファン下流側の上部の上面は
図2等に示すように冷蔵室14と冷凍室18を仕切る仕切板5に設けた第1冷気供給口33、冷蔵室ダンパ37を介して冷蔵室ダクト28につながっており、冷却ファン下流側の上部の側方には第2冷気供給口34を設けて野菜室ダクト30が接続してある。冷蔵室ダンパ37は冷蔵室14の設定温度に対する冷蔵室センサ(図示しない)温度に応じて開閉制御され、冷蔵室14への冷気量を調節している。
【0025】
すなわち、上記冷蔵室ダクト28と野菜室ダクト30は冷却室23に対し、それぞれ異なる位置で別個に独立した形で接続してある。そして、冷却器24で生成した冷気を冷却ファン25によって前記第1冷気供給口33と第2冷気供給口34に別個に独立した形で供給し、冷蔵室ダクト28と野菜室ダクト30へと供給する。
【0026】
なお、上記冷却器24の下方には
図6に示すように冷却器24ガラス管ヒータ26を覆う傘状断面のヒータカバー35が設置してあり、冷却室23の底面には除霜水を外部に排出する排水口36が設けてある。
【0027】
次に
図2を用いて野菜室とその冷却構成について説明する。
【0028】
野菜室17は、
図3に示すように冷凍室18下方の冷蔵庫本体1最下部に位置していて、冷凍室18と同様、下部収納ケース17aと上部収納ケース17bが扉10の引出し開閉によって出し入れ自在なるように設けてある。
【0029】
この第2冷気供給口34は既述した通り、冷蔵室14への冷気供給口となる第1冷気供給口33とは別個に独立した形で形成してある。すなわち、第2冷気供給口34は冷却室23の上方に位置する冷蔵室14と冷凍室18とを仕切る仕切板5より下方、即ち冷凍室18の背面投影面積内であって、前記冷却ファン25と略同じ高さ位置の冷却ファン下流側部分に設けてある。そして、この第2冷気供給口34に接続した野菜室ダクト30の下端は野菜室17の上部に開口していて、野菜室17に冷気を供給するようになっている。
【0030】
上記野菜室ダクト30はその上端部の側部を開口74させて第2冷気供給口34に突き合わせ接続してあり、この接続部近傍、具体的には冷却ファン25と略同じ高さ位置範囲に野菜室ダンパ75を組み込んである。
【0031】
またこの野菜室ダンパ75は、冷蔵室戻りダクト58の前面に形成した野菜室ダクト通路部となる凹状溝58bに嵌め込み、この状態の冷蔵室戻りダクト58の凹状溝58b前面に野菜室ダクト30を嵌め込み装着することにより冷蔵室戻りダクト58と野菜室ダクト30との間で挟持固定してある。
【0032】
そして、上記野菜室ダクト30および冷蔵室戻りダクト58は発泡スチロール等の弾性力を有する材料で形成してあり、その弾性力によって両者間の気密性を確保すると同時に野菜室ダンパ75の気密性も確保する構成としてある。
【0033】
なお、野菜室ダンパ75は野菜ダンパ駆動用モータユニット76によって駆動されるダンパ片75aが野菜室ダクト30を流れる冷気と逆の方向、この例では上向きに開くように構成してある。これは前記した冷蔵室ダクト28のダンパ開き方向とは反対の方向である。
【0034】
また、野菜室17内には、野菜室の扉10に固定された扉フレームに支持されて前方に引き出される下部収納ケース17aと下部収納ケース17aの上面を覆うように下部収納ケース17aの側面上部フランジに支持される上部収納ケース17bとを備えており、上下収納ケース間はそれぞれシール性を高めた構造で、下部収納ケース17aの前壁部には湿度調整フィルタ105が形成され、内部に収納される野菜、果物等から発生する水分の蒸散を抑制して野菜、果物等の保鮮性を高めることができる。上部収納ケース17bの前壁部にも同様の湿度調整フィルタ105が配置している。
【0035】
また野菜室17の後部で、下部収納ケース17aの後方右側に冷気を吐出する冷気吐出口100と、野菜室17の上部で、上部収納ケース17bの手前前方左側に冷気を吸込む冷気吸込み口101が配置しており、冷気は冷気吸込み口101から吸込みダクト113を通って冷却器24へ戻る。上部収納ケース17bは下部収納ケース17aの上部に配置されている。上部収納ケース17bの上面開口部の周縁部の前部には天面部である仕切板6との空間をシールする前シール部102と、上面開口部の周縁部の後部には後シール部103を形成し、後シール部103は、仕切板6の後方に形成した冷却室23と下部の野菜室を断熱区画する区画壁104との空間をシールする構成になっている。
【0036】
また吸込みダクト113内には野菜室温度を検知する野菜室温度検知手段である野菜室温度センサ114が設置されており、野菜室の設定温度に対する検知温度に応じて野菜室ダンパ75を制御し冷気量を調節している。
【0037】
図4で、デフロスト後や負荷投入後の高負荷時は
図4のように野菜室内温度が上昇する。野菜室温度センサ114は野菜室内が設定温度以上を検知し、野菜室ダンパ75を開放し室内を冷却する。
【0038】
野菜室ダンパ75が開放している時間が、所定時間Mv(例えば15分間)連続で開放している場合、その時点の野菜室温度センサ114の温度が、所定温度Tv(例えば12℃)以上であれば野菜室温度センサ114の検知温度に基づいて野菜室ダンパ75を開放し、野菜室17の冷却を続ける。
【0039】
冷却を続けるが、
図4のように圧縮機27が冷凍室センサ(図示しない)に基づいて運転を停止すると、野菜室ダンパ75は閉塞する。
【0040】
また所定温度Tv以下の場合は、野菜室ダンパ75を閉塞し、野菜室17へ冷気吐出するのを一旦停止する。
【0041】
一旦停止後、圧縮機27の運転に基づいて、野菜室ダンパ75を開放し、所定時間Mv後に、野菜室温度センサ114の検知温度が所定温度Tvと比較して、上記と同様の制御を繰り返しながら、野菜室の設定温度(例えば6℃)へ冷却していく。
【0042】
特に冷凍室18の下部に野菜室17を配置し、野菜室17の天面の吸込みダクト113内に野菜室温度センサ114を配置して、野菜室温度センサ114が冷凍室18の熱影響を受けやすい場合に有効である。
【0043】
これによって、野菜室17の過冷を抑制し、適温に冷却することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、野菜室に湿度センサを備えた冷蔵庫において、野菜室内の湿度を検出する湿度センサと、野菜室内に微細ミストを噴霧する静電霧化装置と、を備え、野菜室ダンパは開閉制御され、ダンパが閉じて、湿度センサの検出湿度が所定湿度以上の場合、静電霧化装置に通電されるものであり、家庭用および業務用など様々な種類および大きさの間冷式の冷蔵庫に適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
17 野菜室
24 冷却器
25 冷却ファン
75 野菜室ダンパ
114 野菜室温度センサ