(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078566
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】直曲案内装置
(51)【国際特許分類】
F16C 29/04 20060101AFI20230531BHJP
【FI】
F16C29/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191742
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000229335
【氏名又は名称】日本トムソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 都至
【テーマコード(参考)】
3J104
【Fターム(参考)】
3J104AA17
3J104AA25
3J104AA36
3J104AA64
3J104AA69
3J104AA72
3J104AA74
3J104AA78
3J104BA05
3J104BA41
3J104DA16
3J104EA04
(57)【要約】
【課題】スイング部のアームをより短くすることが可能な直曲案内装置を提供する。
【解決手段】直曲案内装置は、レールと、可動子とを備える。可動子は、フレームと、第1スイング部と、第2スイング部とを含む。第1スイング部および第2スイング部の各々は、アーム部と、第1軸受部と、第2軸受部とを含む。第1軸受部は、第1軌道部材と、第2軌道部材と、第3軌道部材と、複数の第1転動体と、複数の第2転動体とを含む。第2軸受部は、第4軌道部材と、第5軌道部材と、第3転動体とを含む。第1スイング部および第2スイング部の各々は、第2軌道部材がフレームに接続されるとともに、第2軸受部がフレームとは離れている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線部および曲線部を含むレールと、
前記レール上を移動可能な可動子と、を備え、
前記可動子は、
フレームと、
前記フレームに接続され、前記レールに接触する第1スイング部と、
前記第1スイング部から前記レールの長手方向に離間して前記フレームに接続され、前記レールに接触する第2スイング部と、を含み、
前記第1スイング部および前記第2スイング部の各々は、
前記レールの幅方向に延びるアーム部と、
前記アーム部の長手方向の中央部から見て一方側に配置される第1軸受部と、
前記アーム部の前記長手方向の前記中央部から見て他方側に配置される第2軸受部と、を含み、
前記第1軸受部は、
前記アーム部を前記レールの高さ方向に貫通し、外周面に、円環状の第1軌道面と、前記レールの高さ方向において前記第1軌道面と離れて前記アーム部を挟んで配置される円環状の第2軌道面と、を有し、前記アーム部に固定される第1軌道部材と、
前記第1軌道面に対向する円環状の第3軌道面を内周面に有し、前記フレームに接続される円環状の第2軌道部材と、
前記第2軌道面に対向する円環状の第4軌道面を内周面に有し、前記レールに接触する円環状の第1レール溝を外周面に有する第3軌道部材と、
前記第1軌道面および前記第3軌道面により規定される円環状の第1転走路に配置される複数の第1転動体と、
前記第2軌道面および前記第4軌道面により規定される円環状の第2転走路に配置される複数の第2転動体と、を含み、
前記第2軸受部は、
外周面に円環状の第5軌道面を有し、前記アーム部に固定される第4軌道部材と、
前記第5軌道面に対向する第6軌道面を内周面に有し、前記レールに接触する円環状の第2レール溝を外周面に有する第5軌道部材と、
前記第5軌道面および前記第6軌道面により規定される円環状の第3転走路に配置される第3転動体と、を含み、
前記第1スイング部および前記第2スイング部の各々は、前記第2軌道部材が前記フレームに接続されるとともに、前記第2軸受部が前記フレームとは離れている、直曲案内装置。
【請求項2】
前記第1軌道部材は、
前記アーム部を前記レールの高さ方向に貫通する軸部材と、
前記軸部材の外周面を取り囲む環状部材と、を含み、
前記軸部材の前記外周面には、第1ネジ部が形成されており、
前記環状部材の内周面には、前記第1ネジ部と噛み合う第2ネジ部が形成されており、
前記第1軌道面は、前記環状部材の外周面に形成されている、請求項1に記載の直曲案内装置。
【請求項3】
前記フレームには、前記第2軌道部材が挿入される挿入穴が形成されており、
前記第2軌道部材の外周面は、前記挿入穴の壁面に対して周方向の全体にわたって接触している、請求項1または請求項2に記載の直曲案内装置。
【請求項4】
前記第2軌道部材には、前記第1転動体を前記第1転走路へ投入するための投入口が、前記第2軌道部材を径方向に貫通するように形成されており、
前記第2軌道部材は、前記投入口を塞ぐ蓋部材を含み、
前記蓋部材は、前記第1転動体に接触する蓋軌道面と、前記蓋軌道面と前記第2軌道部材の径方向において反対に位置する蓋外面と、を含み、
前記蓋外面は、前記挿入穴の前記壁面に対して接触している、請求項3に記載の直曲案内装置。
【請求項5】
前記第1スイング部および前記第2スイング部の各々を前記フレームに対して固定する固定部材をさらに備え、
前記フレームには、前記固定部材が挿入される第1固定穴が形成されており、
前記第2軌道部材には、前記第1固定穴に連通するとともに前記固定部材が挿入される第2固定穴が形成されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の直曲案内装置。
【請求項6】
前記第4軌道部材は、前記アーム部を前記レールの高さ方向に貫通しており、
前記第2軸受部は、前記アーム部のうち前記第4軌道部材が貫通する貫通穴の壁面と前記第4軌道部材の外周面との間に挿入される円環状の偏芯カラーをさらに含み、
前記偏芯カラーは、径方向の厚さが周方向にわたって変化する形状を有する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の直曲案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、直曲案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、直線レールおよび曲線レールにより構成される循環路上を可動子が移動する直曲案内装置が知られている。この種の技術が、例えば特許文献1および特許文献2に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示される直曲案内装置は、テーブルと、テーブルの下面に配置される一対のスライダと、当該下面において一対のスライダの間に配置されるキャリッジとを備えている。このキャリッジは、アームと、アームの両端に配置される一対のローラと、アームのうち一対のローラの間の部分に配置される旋回軸受とを含む。この旋回軸受は、テーブルの下面に形成される凹部に嵌め込まれる外輪と、回転軸と、当該回転軸の外周面に固定される内輪と、外輪の軌道面と内輪の軌道面との間の転走路に配置される円筒ころとを含む。上記一対のローラは、軸部材によってアームに対して固定されており、当該軸部材の先端部にはナットが締め付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/009105号
【特許文献2】米国特許第5086705号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される直曲案内装置では、アームのうち上記一対のローラの間の部分に旋回軸受が配置され、この旋回軸受がテーブルの下面に取り付けられる。このため、アームにおいて旋回軸受を配置するためのスペースを確保する必要があり、アームを短くするのが困難という課題がある。
【0006】
本開示の目的は、スイング部のアームをより短くすることが可能な直曲案内装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従った直曲案内装置は、直線部および曲線部を含むレールと、レール上を移動可能な可動子と、を備えている。可動子は、フレームと、フレームに接続され、レールに接触する第1スイング部と、第1スイング部からレールの長手方向に離間してフレームに接続され、レールに接触する第2スイング部と、を含む。第1スイング部および第2スイング部の各々は、レールの幅方向に延びるアーム部と、アーム部の長手方向の中央部から見て一方側に配置される第1軸受部と、アーム部の長手方向の中央部から見て他方側に配置される第2軸受部と、を含む。第1軸受部は、アーム部をレールの高さ方向に貫通し、外周面に、円環状の第1軌道面と、レールの高さ方向において第1軌道面と離れてアーム部を挟んで配置される円環状の第2軌道面と、を有し、アーム部に固定される第1軌道部材と、第1軌道面に対向する円環状の第3軌道面を内周面に有し、フレームに接続される円環状の第2軌道部材と、第2軌道面に対向する円環状の第4軌道面を内周面に有し、レールに接触する円環状の第1レール溝を外周面に有する第3軌道部材と、第1軌道面および第3軌道面により規定される円環状の第1転走路に配置される複数の第1転動体と、第2軌道面および第4軌道面により規定される円環状の第2転走路に配置される複数の第2転動体と、を含む。第2軸受部は、外周面に円環状の第5軌道面を有し、アーム部に固定される第4軌道部材と、第5軌道面に対向する第6軌道面を内周面に有し、レールに接触する円環状の第2レール溝を外周面に有する第5軌道部材と、第5軌道面および第6軌道面により規定される円環状の第3転走路に配置される第3転動体と、を含む。第1スイング部および第2スイング部の各々は、第2軌道部材がフレームに接続されるとともに、第2軸受部がフレームとは離れている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、スイング部のアームをより短くすることが可能な直曲案内装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る直曲案内装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る直曲案内装置の構成を示す正面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る直曲案内装置においてマグネットヨークが取り外された状態を示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る直曲案内装置の第1スイング部の構成を全体的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4中の線分V-Vに沿った第1スイング部の断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2に係る直曲案内装置の構成を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2に係る直曲案内装置の構成を示す正面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2に係る直曲案内装置においてマグネットヨークが取り外された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態の概要]
本開示に従った直曲案内装置は、直線部および曲線部を含むレールと、レール上を移動可能な可動子と、を備えている。可動子は、フレームと、フレームに接続され、レールに接触する第1スイング部と、第1スイング部からレールの長手方向に離間してフレームに接続され、レールに接触する第2スイング部と、を含む。第1スイング部および第2スイング部の各々は、レールの幅方向に延びるアーム部と、アーム部の長手方向の中央部から見て一方側に配置される第1軸受部と、アーム部の長手方向の中央部から見て他方側に配置される第2軸受部と、を含む。第1軸受部は、アーム部をレールの高さ方向に貫通し、外周面に、円環状の第1軌道面と、レールの高さ方向において第1軌道面と離れてアーム部を挟んで配置される円環状の第2軌道面と、を有し、アーム部に固定される第1軌道部材と、第1軌道面に対向する円環状の第3軌道面を内周面に有し、フレームに接続される円環状の第2軌道部材と、第2軌道面に対向する円環状の第4軌道面を内周面に有し、レールに接触する円環状の第1レール溝を外周面に有する第3軌道部材と、第1軌道面および第3軌道面により規定される円環状の第1転走路に配置される複数の第1転動体と、第2軌道面および第4軌道面により規定される円環状の第2転走路に配置される複数の第2転動体と、を含む。第2軸受部は、外周面に円環状の第5軌道面を有し、アーム部に固定される第4軌道部材と、第5軌道面に対向する第6軌道面を内周面に有し、レールに接触する円環状の第2レール溝を外周面に有する第5軌道部材と、第5軌道面および第6軌道面により規定される円環状の第3転走路に配置される第3転動体と、を含む。第1スイング部および第2スイング部の各々は、第2軌道部材がフレームに接続されるとともに、第2軸受部がフレームとは離れている。
【0011】
上記直曲案内装置では、アーム部の長手方向の中央部から見て一方側に配置される第1軸受部の第2軌道部材がフレームに接続されることにより、第1スイング部および第2スイング部のそれぞれがフレームに対して片持ち状態で支持されている。このため、従来の直曲案内装置と異なり、アーム部のうち第1軸受部と第2軸受部との間に旋回軸受を配置するためのスペースを確保する必要がなくなる。したがって、上記直曲案内装置によれば、スイング部のアームをより短くすることが可能になる。
【0012】
上記直曲案内装置において、第1軌道部材は、アーム部をレールの高さ方向に貫通する軸部材と、軸部材の外周面を取り囲む環状部材と、を含んでいてもよい。軸部材の外周面には、第1ネジ部が形成されていてもよい。環状部材の内周面には、第1ネジ部と噛み合う第2ネジ部が形成されていてもよい。第1軌道面は、環状部材の外周面に形成されていてもよい。この構成によれば、軸部材および環状部材を容易に組み付けることができる。
【0013】
上記直曲案内装置において、フレームには、第2軌道部材が挿入される挿入穴が形成されていてもよい。第2軌道部材の外周面は、上記挿入穴の壁面に対して周方向の全体にわたって接触していてもよい。この構成によれば、第1スイング部および第2スイング部をフレームに対してより安定に取り付けることができる。
【0014】
上記直曲案内装置において、第2軌道部材には、第1転動体を第1転走路へ投入するための投入口が、第2軌道部材を径方向に貫通するように形成されていてもよい。第2軌道部材は、上記投入口を塞ぐ蓋部材を含んでいてもよい。蓋部材は、第1転動体に接触する蓋軌道面と、蓋軌道面と第2軌道部材の径方向において反対に位置する蓋外面と、を含んでいてもよい。蓋外面は、上記挿入穴の壁面に対して接触していてもよい。この構成によれば、蓋部材の位置が径方向にずれるのを抑制し、蓋軌道面および第3軌道面を面一またはそれに近い状態に保持することができる。
【0015】
上記直曲案内装置は、第1スイング部および第2スイング部の各々をフレームに対して固定する固定部材をさらに備えていてもよい。フレームには、固定部材が挿入される第1固定穴が形成されていてもよい。第2軌道部材には、第1固定穴に連通するとともに固定部材が挿入される第2固定穴が形成されていてもよい。この構成によれば、固定部材によって、第1スイング部および第2スイング部の各々をフレームに対してより確実に取り付けることができる。
【0016】
上記直曲案内装置において、第4軌道部材は、アーム部をレールの高さ方向に貫通していてもよい。第2軸受部は、アーム部のうち第4軌道部材が貫通する貫通穴の壁面と第4軌道部材の外周面との間に挿入される円環状の偏芯カラーをさらに含んでいてもよい。偏芯カラーは、径方向の厚さが周方向にわたって変化する形状を有していてもよい。この構成によれば、偏芯カラーを周方向に回転させることにより、第1レール溝と第2レール溝との間の距離を調整することができる。
【0017】
[実施形態の具体例]
次に、本開示の直曲案内装置の具体的な実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0018】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る直曲案内装置1の構成を、
図1~
図5に基づいて説明する。
図1は、直曲案内装置1の構成を示す斜視図である。
図2は、直曲案内装置1の構成を示す正面図である。
図3は、直曲案内装置1においてマグネットヨーク20が取り外された状態を示す平面図である。
図4は、第1スイング部31の構成を全体的に示す斜視図である。
図5は、
図4中の線分V-Vに沿った第1スイング部31の断面図である。
【0019】
図1に示すように、直曲案内装置1は、レール2と、レール2上を移動可能な可動子3とを主に備えている。レール2は、直線部2Aと、直線部2Aの端部に繋がる曲線部2Bとを含む。可動子3は、フレーム10と、マグネットヨーク20と、第1スイング部31と、第2スイング部32とを主に備えている。以下、これらの構成要素についてそれぞれ説明する。なお、本明細書におけるレール2の長手方向D1、幅方向D2および高さ方向D3は、
図1~
図5に示す方向に準じるものとする。
【0020】
図1に示すように、フレーム10は、第1フレーム部11と、第2フレーム部12とを含む。本実施の形態における第1フレーム部11および第2フレーム部12は、それぞれ四角形の板形状を有している。第2フレーム部12は、第1フレーム部11の幅方向D2の端部から第1フレーム部11に対して垂直に延びている。
【0021】
第1フレーム部11は、高さ方向D3の下側を向く第1面11A(下面)と、第1面11Aと反対側(高さ方向D3の上側、マグネットヨーク20側)を向く第2面11C(上面)とを含む。第2フレーム部12は、第2面11Cに対して垂直な面であってマグネットヨーク20側を向く第3面12Aを含む。
図1に示すように、第3面12Aのうち長手方向D1の略中央部には、幅方向D2に突出するとともに高さ方向D3に延びる第1突出部13が形成されている。
【0022】
マグネットヨーク20は、第3面12Aと反対向きに開口する形状を有している。具体的には、
図1に示すように、マグネットヨーク20は、第2面11C上に配置される第1ヨーク部20Aと、第1ヨーク部20Aに対して高さ方向D3に間隔を空けて対向する第2ヨーク部20Bと、第1ヨーク部20Aの幅方向D2の端部および第2ヨーク部20Bの幅方向D2の端部を繋ぐ第3ヨーク部20Cとを含む。第3ヨーク部20Cには、第1突出部13が挿入される凹部21が、高さ方向D3に延びるように形成されている。
【0023】
図1に示すように、第1ヨーク部20Aの内面(第2ヨーク部20Bに対向する面)には、第1マグネット22および第2マグネット23が長手方向D1に交互に並べて配置されている。第2ヨーク部20Bの内面(第1ヨーク部20Aに対向する面)には、第1マグネット22および第2マグネット23が長手方向D1に交互に並べて配置されている。
図1に示すように、第1ヨーク部20Aの内面に配置される第1マグネット22は、第2ヨーク部20Bの内面に配置される第2マグネット23に対して高さ方向D3に対向している。一方、第1ヨーク部20Aの内面に配置される第2マグネット23は、第2ヨーク部20Bの内面に配置される第1マグネット22に対して高さ方向D3に対向している。
【0024】
図2に示すように、マグネットヨーク20は、複数の第1ボルトB1によってフレーム10(第2フレーム部12)に対して固定されている。具体的には、第2フレーム部12および第3ヨーク部20Cには、幅方向D2に互いに連通するボルト穴が形成されている。第3ヨーク部20Cの上記ボルト穴の壁面には、第1ボルトB1の雄ネジ部と噛み合う雌ネジ部が形成されている。
【0025】
上記ボルト穴に第1ボルトB1が挿入されることにより、マグネットヨーク20がフレーム10に対して固定されている。
図2に示すように、第2フレーム部12の外面(第3面12Aと反対の面)には、第1ボルトB1の頭部が収容される凹部12Bが形成されている。第1フレーム部11には、第2ボルトB2(固定部材)が挿入される第1固定穴11Dが、第2面11C側に開口するように複数(本実施の形態では8つ)形成されている。第2ボルトB2は、第1スイング部31および第2スイング部32の各々を、フレーム10(第1フレーム部11)に対して固定するためのものである。
【0026】
第1スイング部31は、レール2に接触する部分である。
図1に示すように、第1スイング部31は、第1フレーム部11に接続されている。より具体的には、
図2に示すように、第1フレーム部11には、第1面11A側に開口するとともに高さ方向D3に所定の深さを有する挿入穴11Bが形成されている。挿入穴11Bは、高さ方向D3に見て円形を有している。第1スイング部31の一部(後述する第2軌道部材62)が挿入穴11Bに挿入されて第2ボルトB2を締め付けることにより、第1スイング部31が第1フレーム部11の第1面11A側に接続されている。
図2に示すように、第1スイング部31の先端部(フレーム10に接続される部分と反対の部分)は、第1フレーム部11の先端部よりも前側(マグネットヨーク20の開口側)に位置している。
【0027】
図3に示すように、第1フレーム部11には、挿入穴11B(
図2)に対して高さ方向D3に連通する給油穴11Eが複数(本実施の形態では2つ)形成されている。給油穴11Eは、高さ方向D3に見て、挿入穴11B(
図2)と同心で且つ挿入穴11Bよりも小径の円形状を有している。
図3に示すように、複数(本実施の形態では4つ)の第1固定穴11Dは、高さ方向D3に見て、給油穴11Eを取り囲むように形成されている。
【0028】
第2スイング部32は、第1スイング部31と同様に、レール2に接触する部分である。
図1に示すように、第2スイング部32は、第1スイング部31から長手方向D1に離間してフレーム10(第1フレーム部11)に接続されている。第2スイング部32は、第1スイング部31と同様にフレーム10に接続されているため、第2スイング部32のフレーム10への取付構造に関する説明は省略する。
【0029】
次に、第1スイング部31の構成を、
図4および
図5に基づいて詳細に説明する。
図4および
図5に示すように、第1スイング部31は、アーム部41と、第1軸受部51と、第2軸受部52とを含む。アーム部41は、幅方向D2に延びている。第1軸受部51は、アーム部41の長手方向(レール2の幅方向D2)の中央部から見て一方側(アーム部41の長手方向の一端部)に配置されている。第2軸受部52は、アーム部41の長手方向の中央部から見て他方側(アーム部41の長手方向の他端部)に配置されている。
図5に示すように、アーム部41のうち長手方向の中央部から見て一方側には、アーム部41を高さ方向D3に貫通する第1貫通穴41Aが形成されている。一方、アーム部41のうち長手方向の中央部から見て他方側には、アーム部41を高さ方向D3に貫通する第2貫通穴41Bが形成されている。
【0030】
図5に示すように、第1軸受部51は、第1軌道部材61と、第2軌道部材62と、第3軌道部材63とを含む。第1軌道部材61は、第1端部51Aと、高さ方向D3において第1端部51Aと反対の第2端部51Bとを含む。第1軌道部材61は、アーム部41を高さ方向D3に貫通し、アーム部41に固定されている。具体的には、本実施の形態における第1軌道部材61は、アーム部41を高さ方向D3に貫通する(第1貫通穴41Aに挿入される)第1スタッド71(軸部材)と、第1スタッド71の外周面を取り囲む円環状の第1ナット72(環状部材)とを含む。
【0031】
第1スタッド71は、第1貫通穴41Aに挿入される円柱状の軸部71Aと、軸部71Aよりも径が大きく且つ軸部71Aの下端部に繋がる頭部71Bとを含む。
図5に示すように、軸部71Aの外周面は、第1貫通穴41Aの壁面に対して周方向の全体にわたって接触している。軸部71Aの先端部(頭部71Bと反対の部分)の外周面には、第1ネジ部(雄ネジ部)が形成されている。第1ナット72の内周面には、上記第1ネジ部と噛み合う第2ネジ部(雌ネジ部)が周方向の全体にわたって形成されている。
【0032】
図5に示すように、第1スタッド71の内部には、第1給油路71Dが形成されている。第1給油路71Dは、軸部71Aの内部を高さ方向D3に延びる第1経路部分と、当該第1経路部分の下端部に繋がるとともに頭部71Bの内部を径方向に延びる第2経路部分とを含む。第1給油路71Dの入口には、第1グリースニップル71Cが配置されている。第1給油路71Dを介して、第1スタッド71の頭部71Bと第3軌道部材63との間に潤滑油を供給することができる。
【0033】
第1軌道部材61は、外周面に、円環状の第1軌道面61Aと、円環状の第2軌道面61Bとを有している。第2軌道面61Bは、高さ方向D3において第1軌道面61Aと離れてアーム部41を挟んで配置されている。
図5に示すように、本実施の形態では、第1軌道面61Aは、第1ナット72の外周面に形成されている。第1軌道面61Aは、高さ方向D3に沿った断面において、V字形状の溝を規定している。
【0034】
本実施の形態では、第2軌道面61Bは、第1スタッド71(頭部71B)の外周面に形成されている。
図5に示すように、第2軌道面61Bは、高さ方向D3に沿った断面において、V字形状の溝を規定している。本実施の形態では、第2軌道面61Bは、高さ方向D3に互いに離間して複数列(2列)形成されているが、これに限定されない。第2軌道面61Bは、単列で形成されていてもよい。
【0035】
第2軌道部材62(外輪)は、第1軌道面61Aよりも大きい内径を有する円環状の部材である。第2軌道部材62は、第1軌道面61Aに対して第2軌道部材62の径方向に対向する円環状の第3軌道面62Aを内周面に有している。
図5に示すように、第3軌道面62Aは、高さ方向D3に沿った断面において、第1軌道面61Aに対して対称に形成されている。第2軌道部材62には、高さ方向D3において第1給油路71Dの入口と重なる環状穴62Bが形成されている。環状穴62Bは、高さ方向D3において、給油穴11E(
図3)と重なっている。
【0036】
第2軌道部材62は、フレーム10(第1フレーム部11)に接続されている。具体的には、
図2に示すように、第2軌道部材62は、挿入穴11Bに挿入されており、複数の第2ボルトB2によって第1フレーム部11に対して固定されている。第2軌道部材62の外周面は、挿入穴11Bの壁面に対して周方向の全体にわたって接触している。
図2に示すように、第2軌道部材62の高さ方向D3における下側の端面は、フレーム10の第1面11Aと略面一になっている。
【0037】
図4に示すように、第2軌道部材62には、第1固定穴11D(
図2)に連通するとともに第2ボルトB2(
図2)が挿入される第2固定穴62Cが形成されている。第2固定穴62Cは、第2軌道部材62の端面において周方向に等間隔を空けて複数(本実施の形態では4つ)形成されている。第2固定穴62Cの壁面には、第2ボルトB2(
図2)の雄ネジ部が噛み合う雌ネジ部(図示しない)が、周方向の全体にわたって形成されている。
【0038】
第3軌道部材63は、第2軌道面61Bよりも大きい内径を有する円環状の部材である。第3軌道部材63は、第2軌道面61Bに対して第3軌道部材63の径方向に対向する円環状の第4軌道面63Aを内周面に有している。
図5に示すように、第3軌道部材63は、レール2に接触する円環状の第1レール溝63Bを外周面に有している。本実施の形態における第1レール溝63Bは、高さ方向D3に沿った断面においてV字形状の溝であるが、これに限定されない。
【0039】
第1軸受部51は、第1軌道面61Aおよび第3軌道面62Aにより規定される円環状の第1転走路に配置される複数の第1転動体81をさらに含む。本実施の形態における第1転動体81は、円筒ころであり、第1軌道面61Aおよび第3軌道面62Aのそれぞれに対して接触している。
【0040】
図5に示すように、第2軌道部材62には、第1転動体81を上記第1転走路へ投入するための投入口が、第2軌道部材62の周方向の一部を径方向に貫通するように形成されている。この投入口は、第1蓋部材83により塞がれている。第1蓋部材83は、第1転動体81に接触する蓋軌道面(第1軌道面61Aに対して第2軌道部材62の径方向に対向する面)と、当該蓋軌道面と第2軌道部材62の径方向において反対に位置する蓋外面とを含む。蓋軌道面は、第3軌道面62Aと略面一であり、第1軌道面61Aおよび第3軌道面62Aとともに上記第1転走路を規定している。第2軌道部材62が挿入穴11Bに挿入された状態において、蓋外面は、挿入穴11Bの壁面に対して接触している。
図5に示すように、第1蓋部材83は、高さ方向D3に延びるピン84によって第2軌道部材62に対して固定されている。
【0041】
第1軸受部51は、第2軌道面61Bおよび第4軌道面63Aにより規定される円環状の第2転走路に配置される複数の第2転動体82をさらに含む。本実施の形態における第2転動体82は、円筒ころであり、第2軌道面61Bおよび第4軌道面63Aに対してそれぞれ接触している。
図5に示すように、第3軌道部材63には、第2転動体82を上記第2転走路へ投入するための投入口が形成されている。この投入口には、第2蓋部材64が配置されている。第2蓋部材64は、ピン65によって第3軌道部材63に対して固定されている。
【0042】
図5に示すように、第2軸受部52は、第4軌道部材66と、第5軌道部材68と、偏芯カラー67と、第2ナット69と、第3転動体85とを含む。第4軌道部材66は、アーム部41を高さ方向D3に貫通しており、アーム部41に固定されている。具体的には、第4軌道部材66は、アーム部41の第2貫通穴41Bに挿入される軸部66Eと、軸部66Eよりも径が大きく且つ軸部66Eの下端部に繋がる頭部66Bとを含むスタッド(第2スタッド)である。
図5に示すように、第4軌道部材66の内部には、第3転動体85に潤滑油を供給するための第2給油路66Cが形成されている。第2給油路66Cの入口には、第2グリースニップル66Dが配置されている。
【0043】
軸部66Eの先端部(頭部66Bと反対の部分)の外周面には、第3ネジ部(雄ネジ部)が形成されている。第2ナット69は、軸部66Eの外周面を取り囲む円環形状を有している。第2ナット69の内周面には、上記第3ネジ部に噛み合う第4ネジ部(雌ネジ部)が、周方向の全体にわたって形成されている。
図5に示すように、偏芯カラー67は、軸部66Eの外周面と第2貫通穴41Bの壁面との間の隙間に挿入される円環状の小径部67Aと、小径部67Aの端部から径方向の外向きに広がるフランジ部67Bとを含む。偏芯カラー67は、径方向の厚さが周方向にわたって変化する形状を有している。
【0044】
第4軌道部材66(頭部66B)は、円環状の第5軌道面66Aを外周面に有している。
図5に示すように、第5軌道面66Aは、高さ方向D3に沿った断面において、V字形状の溝を規定している。本実施の形態では、第5軌道面66Aは、高さ方向D3に互いに離間して複数列(2列)形成されているが、これに限定されない。
【0045】
第5軌道部材68は、第5軌道面66Aよりも大きい内径を有する円環状の部材である。第5軌道部材68は、第5軌道面66Aに対して第5軌道部材68の径方向に対向する第6軌道面68Aを内周面に有している。
図5に示すように、第5軌道部材68は、レール2に接触する円環状の第2レール溝68Bを外周面に有している。
【0046】
第3転動体85は、第5軌道面66Aおよび第6軌道面68Aにより規定される円環状の第3転走路に複数配置されている。本実施の形態における第3転動体85は、円筒ころであり、第5軌道面66Aおよび第6軌道面68Aのそれぞれに対して接触している。
図5に示すように、第5軌道部材68には、第3転動体85を上記第3転走路へ投入するための投入口が形成されている。この投入口には、第3蓋部材73が配置されている。第3蓋部材73は、ピン74によって第5軌道部材68に対して固定されている。
【0047】
第2スイング部32(
図1)は、基本的に第1スイング部31と同様の構成を備えており、第1スイング部31と同様にフレーム10(第1フレーム部11)に接続されている。すなわち、第1スイング部31および第2スイング部32の各々は、第2軌道部材62がフレーム10に接続されるとともに、第2軸受部52が幅方向D2においてフレーム10とは離れている。換言すると、第1スイング部31および第2スイング部32の各々は、フレーム10(第1フレーム部11)に対して片持ち状態で支持されており、フレーム10との接続部を中心として第1面11Aに平行な仮想の平面内において回動可能となっている。第2スイング部32に関する詳細な説明は省略する。
【0048】
以上の通り、本実施の形態に係る直曲案内装置1では、アーム部41の長手方向の中央部から見て一方側に配置される第1軸受部51の第2軌道部材62がフレーム10に接続されることにより、第1スイング部31および第2スイング部32のそれぞれがフレーム10に対して片持ち状態で支持されている。このため、上記直曲案内装置1では、アーム部41のうち第1軸受部51と第2軸受部52との間に旋回軸受を配置するためのスペースを確保する必要がなくなる。したがって、上記直曲案内装置1によれば、スイング部のアームをより短くすることができる。
【0049】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る直曲案内装置4の構成を、
図6~
図8に基づいて説明する。実施の形態2に係る直曲案内装置4は、基本的に上記実施の形態1に係る直曲案内装置1と同様の構成を備え且つ同様の効果を奏するものであるが、フレーム10の形状において異なっている。以下、上記実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0050】
図6は、直曲案内装置4の構成を示す斜視図である。
図7は、直曲案内装置4の構成を示す正面図である。
図8は、直曲案内装置4においてマグネットヨーク20が取り外された状態を示す平面図である。
【0051】
図6に示すように、実施の形態2におけるフレーム10は、第1フレーム部11、第2フレーム部12および第1突出部13に加えて、第2突出部14をさらに含む。第2突出部14は、第2フレーム部12のうち第1突出部13が設けられる面と反対の面に設けられている。
図6に示すように、第2突出部14は、幅方向D2において第1突出部13と反対向きに突出するとともに、高さ方向D3に延びている。
【0052】
(その他実施の形態)
ここで、その他実施の形態について説明する。
【0053】
上記実施の形態1では、第1軌道部材61が第1スタッド71および第1ナット72の2つの部材により構成される場合を一例として説明したが、これに限定されない。第1軌道部材は、単一の部材により構成されていてもよい。
【0054】
上記実施の形態1では、第2軌道部材62が挿入穴11Bに挿入される場合を一例として説明したが、これに限定されない。例えば、第1面11Aから高さ方向D3の下向きにボルト(図示しない)が突出し、当該ボルトが第2固定穴62C(
図4)に挿入されてもよい。
【0055】
上記実施の形態1では、第2ボルトB2によって第2軌道部材62がフレーム10に対して固定される場合を一例として説明したが、これに限定されない。例えば、第2軌道部材62が挿入穴11Bに対して圧入されてもよい。
【0056】
上記実施の形態1では、第2軸受部52が偏芯カラー67を含む場合を一例として説明したが、偏芯カラー67が省略されてもよい。
【0057】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
1,4 直曲案内装置、2 レール、2A 直線部、2B 曲線部、3 可動子、10 フレーム、11 第1フレーム部、11A 第1面、11B 挿入穴、11C 第2面、11D 第1固定穴、11E 給油穴、12 第2フレーム部、12A 第3面、12B 凹部、13 第1突出部、14 第2突出部、20 マグネットヨーク、20A 第1ヨーク部、20B 第2ヨーク部、20C 第3ヨーク部、21 凹部、22 第1マグネット、23 第2マグネット、31 第1スイング部、32 第2スイング部、41 アーム部、41A 第1貫通穴、41B 第2貫通穴、51 第1軸受部、51A 第1端部、51B 第2端部、52 第2軸受部、61 第1軌道部材、61A 第1軌道面、61B 第2軌道面、62 第2軌道部材、62A 第3軌道面、62B 環状穴、62C 第2固定穴、63 第3軌道部材、63A 第4軌道面、63B 第1レール溝、64 第2蓋部材、65,74,84 ピン、66 第4軌道部材、66A 第5軌道面、66B 頭部、66C 第2給油路、66D 第2グリースニップル、66E 軸部、67 偏芯カラー、67A 小径部、67B フランジ部、68 第5軌道部材、68A 第6軌道面、68B 第2レール溝、69 第2ナット、71 第1スタッド、71A 軸部、71B 頭部、71C 第1グリースニップル、71D 第1給油路、72 第1ナット、73 第3蓋部材、81 第1転動体、82 第2転動体、83 第1蓋部材、85 第3転動体、B1 第1ボルト、B2 第2ボルト、D1 長手方向、D2 幅方向、D3 高さ方向。