(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078569
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】ビールテイスト飲料
(51)【国際特許分類】
C12C 5/02 20060101AFI20230531BHJP
C12C 7/047 20060101ALI20230531BHJP
C12C 12/04 20060101ALI20230531BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20230531BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20230531BHJP
A23L 2/54 20060101ALI20230531BHJP
C12G 3/06 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
C12C5/02
C12C7/047
C12C12/04
A23L2/00 B
A23L2/00 T
A23L2/52
A23L2/54
C12G3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191754
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】和泉原 光
(72)【発明者】
【氏名】加藤 悠一
(72)【発明者】
【氏名】岸本 智之
【テーマコード(参考)】
4B115
4B117
4B128
【Fターム(参考)】
4B115MA03
4B117LC03
4B117LG16
4B117LK08
4B117LL09
4B128CP10
4B128CP16
4B128CP23
4B128CP39
(57)【要約】
【課題】本発明は、酢酸エチルの有するフローラル様の芳香が感じられながらも、フルーティな香りや乳製品様の香りなどの不適な香りが抑制されたビールテイスト飲料及びその製造方法を提供することに関する。
【解決手段】イソα酸の含有量が0.02質量ppb以上5000質量ppb以下であり、乳酸エチルの含有量に対する酢酸エチルの含有量の質量比(酢酸エチル/乳酸エチル)が0.07以上60以下である、ビールテイスト飲料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソα酸の含有量が0.02質量ppb以上5000質量ppb以下であり、乳酸エチルの含有量に対する酢酸エチルの含有量の質量比(酢酸エチル/乳酸エチル)が0.07以上60以下である、ビールテイスト飲料。
【請求項2】
酢酸エチルの含有量が50質量ppm以上600質量ppm以下である、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
【請求項3】
乳酸エチルの含有量が10質量ppm以上700質量ppm以下である、請求項1又は2に記載のビールテイスト飲料。
【請求項4】
酢酸の含有量が300質量ppm以上6000質量ppm以下である、請求項1~3いずれかに記載のビールテイスト飲料。
【請求項5】
乳酸の含有量が500質量ppm以上12000質量ppm以下である、請求項1~4いずれかに記載のビールテイスト飲料。
【請求項6】
麦芽比率が50%以上である、請求項1~5いずれかに記載のビールテイスト飲料。
【請求項7】
イソα酸を0.02質量ppb以上5000質量ppb以下含有させる工程、並びに乳酸エチルの含有量に対する酢酸エチルの含有量の質量比(酢酸エチル/乳酸エチル)が0.07以上60以下となるように酢酸エチル及び乳酸エチルを含有させる工程を含む、ビールテイスト飲料の製造方法。
【請求項8】
イソα酸を0.02質量ppb以上5000質量ppb以下含有させる工程、並びに乳酸エチルの含有量に対する酢酸エチルの含有量の質量比(酢酸エチル/乳酸エチル)が0.07以上60以下となるように酢酸エチル及び乳酸エチルを含有させる工程を含む、ビールテイスト飲料に不適な香りを抑制する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビールテイスト飲料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の消費者の嗜好の多様化にともなって、特に華やかな香味特徴をもつビールテイスト飲料の開発が望まれている。一般的に、酢酸エチルは、フローラル様の芳香を有し、ビールテイスト飲料に含まれると華やかなビールテイスト飲料が得られることが知られている。例えば、非特許文献1には、フローラル様の芳香を有することが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】宮地秀夫著、ビール醸造技術、株式会社食品産業新聞社、1999年12月28日初版発行、412~413頁
【非特許文献2】日本醸造協会編、醸造物の成分、日本醸造協会、1999年12月発行、211頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、酢酸エチルのみではその香味が強く際立ってしまい、ビールテイスト飲料には不適なフルーティな香味を与える場合があった。また、非特許文献2によれば、酢酸エチルは、高い濃度ではビールに苦味を与えることも記載されている。このため、フローラル様の芳香が感じられながらもそれが突出しすぎず、他の香味と調和した華やかなビールテイスト飲料の提供が望まれていた。
【0005】
本発明は、酢酸エチルの有するフローラル様の芳香が感じられながらも、フルーティな香りや乳製品様の香りなどの不適な香りが抑制されたビールテイスト飲料及びその製造方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記[1]~[3]に関する。
[1]イソα酸の含有量が0.02質量ppb以上5000質量ppb以下であり、乳酸エチルの含有量に対する酢酸エチルの含有量の質量比(酢酸エチル/乳酸エチル)が0.07以上60以下である、ビールテイスト飲料。
[2]イソα酸を0.02質量ppb以上5000質量ppb以下含有させる工程、並びに乳酸エチルの含有量に対する酢酸エチルの含有量の質量比(酢酸エチル/乳酸エチル)が0.07以上60以下となるように酢酸エチル及び乳酸エチルを含有させる工程を含む、ビールテイスト飲料の製造方法。
[3]イソα酸を0.02質量ppb以上5000質量ppb以下含有させる工程、並びに乳酸エチルの含有量に対する酢酸エチルの含有量の質量比(酢酸エチル/乳酸エチル)が0.07以上60以下となるように酢酸エチル及び乳酸エチルを含有させる工程を含む、ビールテイスト飲料に不適な香りを抑制する方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、酢酸エチルの有するフローラル様の芳香が感じられながらも、フルーティな香りや乳製品様の香りなどの不適な香りが抑制されたビールテイスト飲料及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明者らが、前記課題について鋭意検討したところ、ビールテイスト飲料においてイソα酸を特定量含有させ、酢酸エチルの含有量に対する乳酸エチルの含有量の質量比(酢酸エチル/乳酸エチル)を特定範囲内とすることで、酢酸エチルの有するフローラル様の芳香が感じられながらも、ビールテイスト飲料に不適なフルーティな香りや苦味などを抑制できることを新たに見出した。このメカニズムは定かではないが乳酸エチルが酢酸エチルのビールテイスト飲料に不適なフルーティな香りや苦味などを選択的にマスキングすることで、複雑でフローラルな香りが感じやすくなるからと推定される。
【0009】
本発明のビールテイスト飲料は、イソα酸、乳酸エチル、及び酢酸エチルを含有する。
【0010】
本発明のビールテイスト飲料におけるイソα酸の含有量は、ビールらしい香味を付与する観点から、0.02質量ppb以上5000質量ppb以下であり、好ましくは0.1質量ppb以上、より好ましくは0.5質量ppb以上、更に好ましくは1質量ppb以上、更に好ましくは5質量ppb以上、更に好ましくは10質量ppb以上、更に好ましくは20質量ppb以上、更に好ましくは30質量ppb以上、更に好ましくは40質量ppb以上、更に好ましくは50質量ppb以上、更に好ましくは100質量ppb以上、更に好ましくは150質量ppb以上、更に好ましくは200質量ppb以上、更に好ましくは250質量ppb以上、更に好ましくは300質量ppb以上、更に好ましくは350質量ppb以上、更に好ましくは400質量ppb以上、更に好ましくは450質量ppb以上であり、また、好ましくは4500質量ppb以下、より好ましくは4000質量ppb以下、更に好ましくは3500質量ppb以下、更に好ましくは3000質量ppb以下、更に好ましくは2500質量ppb以下、更に好ましくは2000質量ppb以下、更に好ましくは1500質量ppb以下、更に好ましくは1000質量ppb以下、更に好ましくは950質量ppb以下、更に好ましくは900質量ppb以下、更に好ましくは850質量ppb以下、更に好ましくは800質量ppb以下、更に好ましくは750質量ppb以下、更に好ましくは700質量ppb以下、更に好ましくは650質量ppb以下、更に好ましくは600質量ppb以下、更に好ましくは550質量ppb以下である。本明細書において、イソα酸の含有量は、Comprehensive Sensomics Analysis of Hop-Derived Bitter Compounds during Storage of Beer (D. Intelmann, 2011) に記載されている方法によって測定する。イソα酸の含有量の調整は、ホップ品種、ホップの使用量、ホップの添加タイミング、ホップの添加時の温度およびその温度帯での保持時間、ホップ添加時のpH、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)等、ビール濾過の条件、希釈水の添加、炭酸水の添加等により調整することができる。また、市販のホップ加工品(イソα酸など)などでも調整することができ、量、種類、添加タイミング、添加時の温度およびその温度帯での保持時間、添加時のpH、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)等、ビール濾過の条件、希釈水の添加、炭酸水の添加等により調整することができる。ホップはペレットにしたペレットホップを用いてもよく、エキス化したエキスホップを用いてもよく、ホップ苞を用いてもよい。ホップおよびホップ加工品は単独で使用してもよく、併用してもよい。
【0011】
本発明のビールテイスト飲料における酢酸エチルの含有量は、好ましくは50質量ppm以上、より好ましくは70質量ppm以上、更に好ましくは90質量ppm以上、更に好ましくは100質量ppm以上、更に好ましくは110質量ppm以上、更に好ましくは130質量ppm以上、更に好ましくは150質量ppm以上、更に好ましくは170質量ppm以上、更に好ましくは190質量ppm以上、更に好ましくは200質量ppm以上、更に好ましくは210質量ppm以上、更に好ましくは230質量ppm以上、更に好ましくは250質量ppm以上、更に好ましくは270質量ppm以上、更に好ましくは290質量ppm以上、更に好ましくは300質量ppm以上であり、また、好ましくは600質量ppm以下、より好ましくは590質量ppm以下、更に好ましくは580質量ppm以下、更に好ましくは570質量ppm以下、更に好ましくは560質量ppm以下、更に好ましくは550質量ppm以下、更に好ましくは530質量ppm以下、更に好ましくは510質量ppm以下、更に好ましくは500質量ppm以下、更に好ましくは490質量ppm以下、更に好ましくは470質量ppm以下、更に好ましくは450質量ppm以下、更に好ましくは430質量ppm以下、更に好ましくは410質量ppm以下、更に好ましくは400質量ppm以下、更に好ましくは390質量ppm以下、更に好ましくは370質量ppm以下、更に好ましくは350質量ppm以下、更に好ましくは330質量ppm以下である。本明細書において、酢酸エチルの含有量は、ガスクロマトグラフィーによって測定する。酢酸エチルの含有量の調整は、希釈水または炭酸水の添加、酢酸エチル含有香料の添加、酢酸エチル含有香料の量、酢酸エチル含有原料の量、酢酸エチル含有原料の添加、酢酸エチルを含む原材料の種類、酢酸エチルの基質の量、酢酸エチルの基質となる原材料の量、原材料の量、原材料の種類、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽で糖化時間、仕込槽でのタンパク分解時間、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前での麦汁製造工程)でのpH、pH調整の際に使用する酸の添加量、pH調整のタイミング(仕込時、発酵時、発酵完了時、ビール濾過前、ビール濾過後など)、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)等を適宜設定して行うことができる。
【0012】
本発明のビールテイスト飲料における乳酸エチルの含有量は、好ましくは10質量ppm以上、より好ましくは20質量ppm以上、更に好ましくは30質量ppm以上、更に好ましくは40質量ppm以上、更に好ましくは50質量ppm以上、更に好ましくは70質量ppm以上、更に好ましくは90質量ppm以上、更に好ましくは100質量ppm以上、更に好ましくは110質量ppm以上、更に好ましくは130質量ppm以上、更に好ましくは150質量ppm以上、更に好ましくは170質量ppm以上、更に好ましくは190質量ppm以上、更に好ましくは200質量ppm以上、更に好ましくは210質量ppm以上、更に好ましくは230質量ppm以上、更に好ましくは250質量ppm以上、更に好ましくは270質量ppm以上、更に好ましくは290質量ppm以上であり、また、好ましくは700質量ppm以下、より好ましくは690質量ppm以下、更に好ましくは680質量ppm以下、更に好ましくは670質量ppm以下、更に好ましくは660質量ppm以下、更に好ましくは650質量ppm以下、更に好ましくは630質量ppm以下、更に好ましくは610質量ppm以下、更に好ましくは600質量ppm以下、更に好ましくは590質量ppm以下、更に好ましくは570質量ppm以下、更に好ましくは550質量ppm以下、更に好ましくは530質量ppm以下、更に好ましくは510質量ppm以下、更に好ましくは500質量ppm以下、更に好ましくは490質量ppm以下、更に好ましくは470質量ppm以下、更に好ましくは450質量ppm以下、更に好ましくは430質量ppm以下、更に好ましくは410質量ppm以下、更に好ましくは400質量ppm以下、更に好ましくは390質量ppm以下、更に好ましくは370質量ppm以下、更に好ましくは350質量ppm以下、更に好ましくは330質量ppm以下、更に好ましくは310質量ppm以下、更に好ましくは300質量ppm以下である。本明細書において、乳酸エチルの含有量は、ガスクロマトグラフィーによって測定する。乳酸エチルの含有量の調整は、希釈水または炭酸水の添加、乳酸エチル含有香料の添加、乳酸エチル含有香料の量、乳酸エチル含有原料の量、乳酸エチル含有原料の添加、乳酸エチルを含む原材料の種類、乳酸エチルの基質の量、乳酸エチルの基質となる原材料の量、原材料の量、原材料の種類、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽で糖化時間、仕込槽でのタンパク分解時間、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前での麦汁製造工程)でのpH、pH調整の際に使用する酸の添加量、pH調整のタイミング(仕込時、発酵時、発酵完了時、ビール濾過前、ビール濾過後など)、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)等を適宜設定して行うことができる。
【0013】
本発明のビールテイスト飲料における、乳酸エチルの含有量に対する酢酸エチルの含有量の質量比(酢酸エチル/乳酸エチル)は、酢酸エチルのビールテイスト飲料に不適なフルーティな香りや苦味を乳酸エチルがマスキングする観点から、0.07以上60以下であり、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.20以上、更に好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.40以上、更に好ましくは0.50以上、更に好ましくは0.60以上、更に好ましくは0.68以上、更に好ましくは0.70以上、更に好ましくは0.80以上、更に好ましくは0.90以上、更に好ましくは0.10以上であり、また、好ましくは59以下、より好ましくは58以下、更に好ましくは57以下、更に好ましくは56以下、更に好ましくは55以下、更に好ましくは54以下、更に好ましくは52以下、更に好ましくは50以下、更に好ましくは49以下、更に好ましくは46以下、更に好ましくは43以下、更に好ましくは40以下、更に好ましくは37以下、更に好ましくは34以下、更に好ましくは31以下、更に好ましくは30以下、更に好ましくは28以下、更に好ましくは25以下、更に好ましくは22以下、更に好ましくは20以下、更に好ましくは19以下、更に好ましくは16以下、更に好ましくは13以下、更に好ましくは10以下、更に好ましくは7以下、更に好ましくは5以下である。
【0014】
本発明のビールテイスト飲料における酢酸の含有量は、ビールに好適な刺激感とビールに不適なお酢様の香りとのバランスの観点から、好ましくは500質量ppm以上、より好ましくは700質量ppm以上、更に好ましくは900質量ppm以上、更に好ましくは1100質量ppm以上、更に好ましくは1300質量ppm以上、更に好ましくは1500質量ppm以上、更に好ましくは1700質量ppm以上、更に好ましくは1900質量ppm以上、更に好ましくは2100質量ppm以上、更に好ましくは2300質量ppm以上、更に好ましくは2500質量ppm以上、更に好ましくは2700質量ppm以上、更に好ましくは2900質量ppm以上であり、また、好ましくは6000質量ppm以下、より好ましくは5500質量ppm以下、更に好ましくは5300質量ppm以下、更に好ましくは5100質量ppm以下、更に好ましくは4900質量ppm以下、更に好ましくは4700質量ppm以下、更に好ましくは4500質量ppm以下、更に好ましくは4300質量ppm以下、更に好ましくは4100質量ppm以下、更に好ましくは3900質量ppm以下、更に好ましくは3700質量ppm以下、更に好ましくは3500質量ppm以下、更に好ましくは3300質量ppm以下、更に好ましくは3100質量ppm以下である。本発明のビールテイスト飲料は、酢酸ナトリウムなどの酢酸塩を含むことができる。酢酸塩を含む場合における酢酸の含有量は、酢酸及び酢酸塩の合計量である。本明細書において、酢酸の含有量は、高速液体クロマトグラフィーによって測定する。酢酸の含有量は、製造工程中における微生物の発酵による生成、または酢酸や酢酸を含む素材の添加により調整することができる。
【0015】
本発明のビールテイスト飲料における乳酸の含有量は、ビールに好適な余韻とビールに不適な乳製品様の香りとのバランスの観点から、好ましくは1000質量ppm以上、より好ましくは1200質量ppm以上、更に好ましくは1400質量ppm以上、更に好ましくは1600質量ppm以上、更に好ましくは1800質量ppm以上、更に好ましくは2000質量ppm以上、更に好ましくは2200質量ppm以上、更に好ましくは2400質量ppm以上、更に好ましくは2600質量ppm以上、更に好ましくは2800質量ppm以上、更に好ましくは3000質量ppm以上、更に好ましくは3200質量ppm以上、更に好ましくは3400質量ppm以上、更に好ましくは3600質量ppm以上、更に好ましくは3800質量ppm以上、更に好ましくは4000質量ppm以上、更に好ましくは4200質量ppm以上、更に好ましくは4400質量ppm以上、更に好ましくは4600質量ppm以上、更に好ましくは4800質量ppm以上であり、また、好ましくは10000質量ppm以下、より好ましくは9800質量ppm以下、更に好ましくは9600質量ppm以下、更に好ましくは9400質量ppm以下、更に好ましくは9200質量ppm以下、更に好ましくは9000質量ppm以下、更に好ましくは8800質量ppm以下、更に好ましくは8600質量ppm以下、更に好ましくは8400質量ppm以下、更に好ましくは8200質量ppm以下、更に好ましくは8000質量ppm以下、更に好ましくは7800質量ppm以下、更に好ましくは7600質量ppm以下、更に好ましくは7400質量ppm以下、更に好ましくは7200質量ppm以下、更に好ましくは7000質量ppm以下、更に好ましくは6800質量ppm以下、更に好ましくは6600質量ppm以下、更に好ましくは6400質量ppm以下、更に好ましくは6200質量ppm以下、更に好ましくは6000質量ppm以下、更に好ましくは5800質量ppm以下、更に好ましくは5600質量ppm以下、更に好ましくは5400質量ppm以下、更に好ましくは5200質量ppm以下である。本明細書において、乳酸の含有量は、高速液体クロマトグラフィーによって測定する。乳酸の含有量は、製造工程中における微生物の発酵による生成、または乳酸や乳酸を含む素材の添加により調整することができる。
【0016】
本発明のビールテイスト飲料における乳酸の含有量に対する酢酸の含有量の質量比(酢酸/乳酸)は、刺激感と余韻のバランスの観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.08以上、より好ましくは0.11以上、更に好ましくは0.14以上、更に好ましくは0.17以上、更に好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.23以上、更に好ましくは0.26以上、更に好ましくは0.29以上、更に好ましくは0.32以上、更に好ましくは0.35以上、更に好ましくは0.38以上、更に好ましくは0.41以上、更に好ましくは0.44以上、更に好ましくは0.47以上、更に好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.53以上、更に好ましくは0.56以上、更に好ましくは0.59以上であり、また、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.5以下、更に好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.5以下、更に好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.0以下、更に好ましくは0.98以下、更に好ましくは0.95以下、更に好ましくは0.92以下、更に好ましくは0.89以下、更に好ましくは0.86以下、更に好ましくは0.83以下、更に好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.77以下、更に好ましくは0.74以下、更に好ましくは0.71以下、更に好ましくは0.68以下、更に好ましくは0.65以下、更に好ましくは0.62以下である。本明細書において、乳酸の含有量に対する酢酸の含有量の質量比は、製造工程中における微生物の発酵による生成、または酢酸および乳酸、酢酸および乳酸を含む素材の添加により調整することができる。
【0017】
本発明のビールテイスト飲料における酢酸の含有量に対する酢酸エチルの含有量の質量比(酢酸エチル/酢酸)は、フルーティな香りの複雑さとビールテイスト飲料らしい刺激感のバランスの観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、更に好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.04以上、更に好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.06以上、更に好ましくは0.07以上、更に好ましくは0.08以上、更に好ましくは0.09以上であり、また、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下、更に好ましくは1.0以下、更に好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.7以下、更に好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.4以下、更に好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.2以下である。
【0018】
本発明のビールテイスト飲料における乳酸の含有量に対する乳酸エチルの含有量の質量比(乳酸エチル/乳酸)は、不適なフルーティな香りと苦味をマスキングする目的と複雑な余韻のバランスの観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.006以上、更に好ましくは0.011以上、更に好ましくは0.016以上、更に好ましくは0.021以上、更に好ましくは0.026以上、更に好ましくは0.031以上、更に好ましくは0.036以上、更に好ましくは0.041以上であり、更に好ましくは0.046以上であり、更に好ましくは0.05以上であり、また、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.65以下、更に好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.55以下、更に好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.45以下、更に好ましくは0.4以下、更に好ましくは0.35以下、更に好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.25以下、更に好ましくは0.2以下、更に好ましくは0.15以下、更に好ましくは0.1以下である。
【0019】
本発明のビールテイスト飲料における酢酸と乳酸の合計含有量に対する酢酸エチルと乳酸エチルの合計含有量の質量比((酢酸エチル+乳酸エチル)/(酢酸+乳酸))は、低すぎると酸味が浮いてしまい、高すぎるとビールに好適な刺激感や余韻が感じられにくくなり、人工的で溶媒様の香りに感じてしまう観点から、好ましくは0.004以上、より好ましくは0.009以上、更に好ましくは0.014以上、更に好ましくは0.019以上、更に好ましくは0.024以上、更に好ましくは0.029以上、更に好ましくは0.034以上、更に好ましくは0.039以上、更に好ましくは0.044以上であり、更に好ましくは0.049以上であり、更に好ましくは0.054以上、更に好ましくは0.059以上、更に好ましくは0.064以上、更に好ましくは0.069以上、更に好ましくは0.074以上であり、また、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.7以下、更に好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.4以下、更に好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.2以下、更に好ましくは0.1以下、更に好ましくは0.094以下、更に好ましくは0.089以下、更に好ましくは0.084以下、更に好ましくは0.079以下である
【0020】
本明細書における「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の風味をもつアルコール含有またはノンアルコールの炭酸飲料をいう。つまり、本明細書のビールテイスト飲料は、特に断わりがない場合、ビール風味の炭酸飲料を全て包含する。本明細書において「ビールテイストアルコール飲料」とは、アルコール度数が1v/v%以上のビールテイスト飲料であり、「ノンアルコールビールテイスト飲料」とは、アルコール度数が1v/v%未満のビールテイスト飲料である。本発明のビールテイスト飲料は、酵母を用いて発酵工程を経た発酵ビールテイスト飲料であってもよく、発酵工程を経ない非発酵ビールテイスト飲料であってもよい。発酵ビールテイスト飲料は上面発酵酵母を用いた発酵工程を経て醸造された上面発酵ビールテイスト飲料であってもよく、下面発酵酵母を用いた発酵工程を経て醸造された下面発酵ビールテイスト飲料であってもよい。発酵にはアルコールを生成する酵母(サッカロマイセス)や野生酵母(ブレタノマイセスなど)を用いてもよいし、アルコールを生成しない酵母(サッカロマイセスなど)、野生酵母(ブレタノマイセスなど)、乳酸発酵やグルコン酸発酵を行う菌などを用いてもよい。発酵ノンアルコールビールテイスト飲料の場合は、酵母を添加し1v/v%未満になるように発酵を停止させる方法や、発酵後に脱アルコール工程を経て1v/v%未満になるような方法で製造してもよい。
【0021】
本発明のビールテイスト飲料における原麦汁エキス(O-Ex)濃度は、好ましくは14.0w/w%以下、より好ましくは13.5w/w%以下、更に好ましくは13.0w/w%以下、更に好ましくは12.5w/w%以下、更に好ましくは12.0w/w%以下、更に好ましくは11.5w/w%以下、更に好ましくは11.0w/w%以下、更に好ましくは10.5w/w%以下、更に好ましくは10.0w/w%以下、更に好ましくは9.5w/w%以下、更に好ましくは9.0w/w%以下とすることができ、また好ましくは4.0w/w%以上、より好ましくは4.5w/w%以上、更に好ましくは5.0w/w%以上、更に好ましくは5.5w/w%以上、更に好ましくは6.0w/w%以上、更に好ましくは6.5w/w%以上、更に好ましくは7.0w/w%以上、更に好ましくは7.5w/w%以上、更に好ましくは8.0w/w%以上、更に好ましくは8.5w/w%以上である。本明細書において、原麦汁エキス(O-Ex)濃度は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂に記載されている方法によって測定する。原麦汁エキス(O-Ex)濃度の調整は、希釈水または炭酸水の添加、原材料(麦芽、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、麦汁濾過の時間、麦汁濾過のpH、煮沸時間、煮沸温度等を適宜設定して行うことができる。
【0022】
本発明のビールテイスト飲料における最終外観発酵度(LA)は80%以下、75%以下、70%以下、68%以下、66%以下、64%以下、62%以下、60%以下、58%以下、56%以下、54%以下、53%以下、52%以下にすることができる。また、20%以上、22%以上、23%以上、24%以上、26%以上、28%以上、30%以上、32%以上、34%以上、36%以上、38%以上、40%以上、42%以上、44%以上、46%以上にすることができる。本明細書において、最終外観発酵度(LA)は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂に記載されている方法によって測定する。最終外観発酵度(LA)の調整は、原材料(麦芽、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、酵素の種類、酵素(糖質分解酵素、異性化酵素等も含む)の添加量、酵素の添加のタイミング、糖化時間、糖化時のpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前までの麦汁製造工程)でのpH、麦汁濾過の時間、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間等を適宜設定して行うことができる。
【0023】
本発明のビールテイストアルコール飲料におけるアルコール度数(アルコール含有量)は、好ましくは1v/v%以上12v/v%以下であり、例えば、2v/v%以上、2.5v/v%以上、3v/v%以上、3.5v/v%以上、4v/v%以上、4.5v/v%以上、5v/v%以上、5.5v/v%以上、6v/v%以上、6.5v/v%以上、7v/v%以上とすることや、11.5v/v%以下、11v/v%以下、10.5v/v%以下、10v/v%以下、9.5v/v%以下、9v/v%以下、8.5v/v%以下、8v/v%以下、7.5v/v%以下とすることができる。本発明のノンアルコールビールテイスト飲料におけるアルコール度数(アルコール含有量)は、好ましくは1.0v/v%未満、より好ましくは0.95v/v%以下、更に好ましくは0.90v/v%以下、更に好ましくは0.85v/v%以下、更に好ましくは0.80v/v%以下、更に好ましくは0.75v/v%以下、更に好ましくは0.70v/v%以下、更に好ましくは0.60v/v%以下、更に好ましくは0.50v/v%以下、更に好ましくは0.40v/v%以下、更に好ましくは0.30v/v%以下、更に好ましくは0.20v/v%以下、更に好ましくは0.10v/v%以下、更に好ましくは0.05v/v%以下である。本明細書において、アルコール度数(アルコール含有量)は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂に記載されている方法によって測定する。アルコール度数の調整は、希釈水または炭酸水の添加、発酵前液の糖組成、酵母の種類、酵母の量、醸造アルコールの添加、蒸留アルコールの添加等を適宜設定して行うことができる。
【0024】
本発明のビールテイスト飲料におけるpHは、2.5以上、2.6以上、2.7以上、2.8以上、2.9以上、3以上、3.1以上、3.2以上、3.3以上でもよい。4.2以下、4.1以下、4以下、3.9以下、3.8以下、3.7以下、3.6以下、3.5以下、3.4以下、3.3以下、3.2以下、3以下、2.9以下でもよい。pHの調整は、酢酸または乳酸の添加量、希釈水または炭酸水の添加量等を適宜設定して行うことができる。さらに、原材料(麦芽、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽で糖化時間、仕込槽でのタンパク分解時間、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前での麦汁製造工程)でのpH、pH調整の際に使用する酸の種類(酢酸、乳酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸など)、pH調整の際に使用する酸の添加量、pH調整のタイミング(仕込時、発酵時、発酵完了時、ビール濾過前、ビール濾過後など)、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)等を適宜設定して行うこともできる。本明細書において、ビールテイスト飲料のpHは、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂の8.7 pHに記載されている方法によって測定する。
【0025】
本発明のビールテイスト飲料における色度は、例えば、5EBC以上、10EBC以上、15EBC以上、20EBC以上、25EBC以上、30EBC以上、35EBC以上、40EBC以上、45EBC以上、50EBC以上、55EBC以上、60EBC以上、65EBC以上、70EBC以上、75EBC以上、80EBC以上、85EBC以上、90EBC以上、95EBC以上、100EBC以上でも良く、120EBC以下、115EBC以下、110EBC以下、105EBC以下、100EBC以下、95EBC以下、90EBC以下、85EBC以下、80EBC以下でもよい。本明細書において、色度は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂の8.8 色度に記載されている方法によって測定する。色度の調整は、希釈水または炭酸水の添加、原材料(麦芽、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、マッシング時の温度、マッシング時のpH、マッシングの時間、麦汁濾過の時間、麦汁濾過のpH、煮沸時間、煮沸温度、カラメル色素などの色素成分の量、ビール濾過の形式(珪藻土濾過、各種膜ろ過など)、ビール濾過の濾過量等を適宜設定して行うことができる。
【0026】
本発明のビールテイスト飲料における苦味価は、例えば、0.5BUs以上、1BUs以上、1.5BUs以上、2BUs以上、2.5BUs以上、3BUs以上、3.5BUs以上、4BUs以上、4.5BUs以上、5BUs以上、5.5BUs以上でも良く、15BUs以下、14BUs以下、13BUs以下、12BUs以下、11BUs以下、10BUs以下、9BUs以下、8BUs以下、7BUs以下、6BUs以下、5BUs以下、5.5BUs以下、5BUs以下、4.5BUs以下、4BUs以下、3.5BUs以下、3BUs以下でもよい。本明細書において、苦味価は、「BCOJビール分析法(2004.11.1 改訂版)8.15 苦味価」の項に記載の方法に従って測定する。具体的には、脱ガスしたサンプルに酸を加えた後イソオクタンで抽出し、得られたイソオクタン層の吸光度を、イソオクタンを対照にして275nmで計測し、ファクターを乗じて苦味価(BU)を得ることができる。苦味価は、飲料に含まれるイソα酸の含有量に依存する。ホップに含まれるα酸を異性化することによりイソα酸は得られる。イソα酸の量を制御するには、ホップ品種、ホップの使用量、ホップの添加タイミング、ホップの添加時の温度およびその温度帯での保持時間、ホップ添加時のpH、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)等、ビール濾過の条件、希釈水の添加、炭酸水の添加等により調整することができる。また、市販のホップ加工品(イソα酸など)などでも調整することができ、量、種類、添加タイミング、添加時の温度およびその温度帯での保持時間、添加時のpH、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)等、ビール濾過の条件、希釈水の添加、炭酸水の添加等により調整することができる。ホップはペレットにしたペレットホップを用いてもよく、エキス化したエキスホップを用いてもよく、ホップ苞を用いてもよい。ホップおよびホップ加工品は単独で使用してもよく、併用してもよい。
【0027】
本発明のビールテイスト飲料における全窒素量は、例えば、10mg/100mL以上、15mg/100mL以上、20mg/100mL以上、25mg/100mL以上、30mg/100mL以上、35mg/100mL以上、40mg/100mL以上、45mg/100mL以上、50mg/100mL以上、55mg/100mL以上、60mg/100mL以上、65mg/100mL以上、70mg/100mL以上、75mg/100mL以上、80mg/100mL以上、85mg/100mL以上、90mg/100mL以上、95mg/100mL以上、100mg/100mL以上、105mg/100mL以上、110mg/100mL以上、115mg/100mL以上、120mg/100mL以上でも良く、150mg/100mL以下、120mg/100mL以下、115mg/100mL以下、110mg/100mL以下、105mg/100mL以下、100mg/100mL以下、95mg/100mL以下、90mg/100mL以下、85mg/100mL以下、80mg/100mL以下、75mg/100mL以下でもよい。全窒素量はタンパク質、アミノ酸等の全ての窒素化合物の総量である。本明細書において、全窒素量は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂)8.9 全窒素に記載されている方法によって測定する。全窒素量の調整は、希釈水または炭酸水の添加、原材料(麦芽、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、酵素の種類、酵素(タンパク分解酵素等も含む)の添加量、酵素反応時の温度、酵素の添加のタイミング、仕込槽でのタンパク分解時間、仕込槽でのpH、仕込槽での温度、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前までの麦汁製造工程)でのpH、仕込工程での温度、麦汁濾過時の温度、麦汁濾過の時間、麦汁濾過時のpH、麦汁濾過の際に使用するスパージング水の量、麦汁を調製する際の各温度領域の設定温度及び保持時間、煮沸工程での煮沸時間及びpH、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)等、ビール濾過の条件を適宜設定して行うことができる。
【0028】
本発明のビールテイスト飲料における総ポリフェノール量は、例えば、20質量ppm以上、40質量ppm以上、60質量ppm以上、80質量ppm以上、100質量ppm以上、120質量ppm以上、140質量ppm以上、160質量ppm以上、180質量ppm以上、200質量ppm以上や、400質量ppm以下、380質量ppm以下、360質量ppm以下、340質量ppm以下、320質量ppm以下、300質量ppm以下、280質量ppm以下、260質量ppm以下、240質量ppm以下、220質量ppm以下とすることができる。本明細書において、総ポリフェノール量は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂)8.19 総ポリフェノールに記載されている方法によって測定する。総ポリフェノール量の調整は、希釈水または炭酸水の添加、原材料(麦芽等のポリフェノールを含む原料)の種類、原材料の量、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前での麦汁製造工程)でのpH、麦汁濾過の時間、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)等を適宜設定して行うことができる。また、本発明のビールテイスト飲料の総ポリフェノール量は、例えば、大麦麦芽、麦芽のハスク(穀皮)などのポリフェノール含有量の多い原材料の使用量を調整することによって制御できる。具体的には、ポリフェノール含有量の多い麦芽等の原材料の使用量を増やすことにより総ポリフェノール量を増加させることができる。
【0029】
本発明のビールテイスト飲料における遊離アミノ態窒素(FAN)の含有量は、1.0mg/100mL以上、2.0mg/100mL以上、3.0mg/100mL以上、4.0mg/100mL以上、5.0mg/100mL以上、6.0mg/100mL以上、7.0mg/100mL以上、8.0mg/100mL以上、9.0mg/100mL以上、10.0mg/100mL以上とすることができ、また、20.0mg/100mL以下、19.0mg/100mL以下、18.0mg/100mL以下、17.0mg/100mL以下、16.0mg/100mL以下、15.0mg/100mL以下、14.0mg/100mL以下とすることができる。本明細書において、FANの含有量は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂の8.18 遊離アミノ態窒素に記載されている方法によって測定する。FANの含有量の調整は、希釈水または炭酸水の添加、原材料(麦芽、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、酵素の種類、酵素(タンパク分解酵素等も含む)の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽でのタンパク分解時間、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前までの麦汁製造工程)でのpH、麦汁濾過の時間、麦汁を調製する際の各温度領域の設定温度及び保持時間、煮沸工程での煮沸時間及びpH、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)等を適宜設定して行うことができる。
【0030】
本発明のビールテイスト飲料における酢酸イソアミルの含有量は、例えば、1質量ppm以上、2質量ppm以上、3質量ppm以上、4質量ppm以上、5質量ppm以上、7質量ppm以上、9質量ppm以上、10質量ppm以上、20質量ppm以上、30質量ppm以上、40質量ppm以上、50質量ppm以上、60質量ppm以上、70質量ppm以上、80質量ppm以上、90質量ppm以上、100質量ppm以上や、200質量ppm以下、190質量ppm以下、180質量ppm以下、170質量ppm以下、160質量ppm以下、150質量ppm以下、140質量ppm以下、130質量ppm以下、120質量ppm以下、110質量ppm以下とすることができる。本明細書において、酢酸イソアミルの含有量は、ガスクロマトグラフィーによって測定する。酢酸イソアミルの含有量の調整は、希釈水または炭酸水の添加、酢酸イソアミル含有香料の添加、酢酸イソアミル含有香料の量、酢酸イソアミル含有原料の量、酢酸イソアミル含有原料の添加、酢酸イソアミルを含む原材料の種類、酢酸イソアミルの基質の量、酢酸イソアミルの基質となる原材料の量、原材料の量、原材料の種類、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽で糖化時間、仕込槽でのタンパク分解時間、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前での麦汁製造工程)でのpH、pH調整の際に使用する酸の添加量、pH調整のタイミング(仕込時、発酵時、発酵完了時、ビール濾過前、ビール濾過後など)、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)等を適宜設定して行うことができる。
【0031】
本発明のビールテイスト飲料におけるイソアミルアルコールの含有量は、1.0質量ppm以上、2.0質量ppm以上、3.0質量ppm以上、4.0質量ppm以上、5.0質量ppm以上、6.0質量ppm以上、7.0質量ppm以上、8.0質量ppm以上、9.0質量ppm以上、10.0質量ppm以上、15.0質量ppm以上、20.0質量ppm以上、30.0質量ppm以上とすることができ、また、100.0質量ppm以下、90.0質量ppm以下、80.0質量ppm以下、70.0質量ppm以下、60.0質量ppm以下、50.0質量ppm以下、40.0質量ppm以下とすることができる。本明細書において、イソアミルアルコールの含有量は、ガスクロマトグラフィーによって測定する。イソアミルアルコールの含有量の調整は、希釈水または炭酸水の添加、イソアミルアルコール含有香料の添加、イソアミルアルコール含有香料の量、イソアミルアルコール含有原料の量、イソアミルアルコール含有原料の添加、イソアミルアルコールを含む原材料の種類、イソアミルアルコールの基質の量、イソアミルアルコールの基質となる原材料の量、原材料の量、原材料の種類、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽で糖化時間、仕込槽でのタンパク分解時間、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前での麦汁製造工程)でのpH、pH調整の際に使用する酸の添加量、pH調整のタイミング(仕込時、発酵時、発酵完了時、ビール濾過前、ビール濾過後など)、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)等を適宜設定して行うことができる。
【0032】
本発明のビールテイスト飲料におけるカプロン酸エチルの含有量は、1.0質量ppb以上、2.0質量ppb以上、3.0質量ppb以上、4.0質量ppb以上、5.0質量ppb以上、6.0質量ppb以上、7.0質量ppb以上、8.0質量ppb以上、9.0質量ppb以上、10.0質量ppb以上、15.0質量ppb以上、20.0質量ppb以上、25.0質量ppb以上、30.0質量ppb以上、35.0質量ppb以上、40.0質量ppb以上、45.0質量ppb以上、50.0質量ppb以上とすることができ、また、900.0質量ppb以下、800.0質量ppb以下、700.0質量ppb以下、650.0質量ppb以下、600.0質量ppb以下、550.0質量ppb以下、500.0質量ppb以下、450.0質量ppb以下、400.0質量ppb以下とすることができる。本明細書において、カプロン酸エチルの含有量は、ガスクロマトグラフィーによって測定する。カプロン酸エチルの含有量の調整は、希釈水または炭酸水の添加、カプロン酸エチル含有香料の添加、カプロン酸エチル含有香料の量、カプロン酸エチル含有原料の量、カプロン酸エチル含有原料の添加、カプロン酸エチルを含む原材料の種類、カプロン酸エチルの基質の量、カプロン酸エチルの基質となる原材料の量、原材料の量、原材料の種類、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽で糖化時間、仕込槽でのタンパク分解時間、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前での麦汁製造工程)でのpH、pH調整の際に使用する酸の添加量、pH調整のタイミング(仕込時、発酵時、発酵完了時、ビール濾過前、ビール濾過後など)、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)等を適宜設定して行うことができる。
【0033】
本発明のビールテイスト飲料における4-ビニルグアイアコール(4VG)の含有量は、例えば、1μg/L以上、50μg/L以上、100μg/L以上、150μg/L以上、200μg/L以上、250μg/L以上、300μg/L以上、350μg/L以上や、1000μg/L以下、900μg/L以下、800μg/L以下、750μg/L以下、700μg/L以下、650μg/L以下、600μg/L以下、550μg/L以下、500μg/L以下、450μg/L以下、400μg/L以下とすることができる。本明細書において、4-ビニルグアイアコールの含有量は、ガスクロマトグラフィーによって測定する。4-ビニルグアイアコールの含有量の調整は、希釈水または炭酸水の添加、4-ビニルグアイアコール含有香料の添加、4-ビニルグアイアコール含有香料の量、4-ビニルグアイアコール含有原料の量、4-ビニルグアイアコール含有原料の添加、4-ビニルグアイアコールを含む原材料の種類、4-ビニルグアイアコールの基質(フェルラ酸など)の量、4-ビニルグアイアコールの基質(フェルラ酸など)となる原材料の量、原材料の量、原材料の種類、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽で糖化時間、仕込槽でのタンパク分解時間、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前での麦汁製造工程)でのpH、pH調整の際に使用する酸の添加量、pH調整のタイミング(仕込時、発酵時、発酵完了時、ビール濾過前、ビール濾過後など)、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)等を適宜設定して行うことができる。
【0034】
本発明のビールテイスト飲料における主な原材料は、水と共に麦芽を用いてもよく、また、麦芽を用いなくてもよい。さらにホップを用いてもよく、その他に、保存料、甘味料、水溶性食物繊維、苦味料又は苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類、スピリッツ等を用いてもよい。
【0035】
麦芽とは、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦などの麦類の種子を発芽させて乾燥させ、除根したものをいい、産地や品種は、いずれのものであってもよく、大麦麦芽が好ましい。大麦麦芽は、日本のビールテイスト飲料の原料として最も一般的に用いられる麦芽の1つである。大麦には、二条大麦、六条大麦などの種類があるが、いずれを用いてもよい。さらに、通常麦芽のほか、色麦芽なども用いることができる。なお、色麦芽を用いる際には、種類の異なる色麦芽を適宜組み合わせて用いてもよいし、一種類の色麦芽を用いてもよい。
【0036】
また、麦芽と共に、麦芽以外の穀物、タンパク、酵母エキス、糖液等を用いてもよい。そのような穀物としては、例えば、麦芽には該当しない麦(大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦等)、米(白米、玄米等)、トウモロコシ(コーングリッツ等)、こうりゃん、ばれいしょ、豆(大豆、えんどう豆等)、そば、ソルガム、粟、ひえ、およびそれらから得られたデンプン、これらの抽出物(エキス)等が挙げられる。これらの中でも、トウモロコシ(コーングリッツ等)を用いることが好ましい。また、タンパクとしては、大豆タンパク、エンドウ豆タンパク、酵母エキス、これらの分解物等が挙げられる。
【0037】
なお、麦芽を用いない場合には、炭素源を含有する液糖、麦芽以外の上述の穀物等のアミノ酸含有材料(例えば、大豆たんぱく等)としての窒素源を用いたビールテイスト飲料が挙げられる。
【0038】
ホップとしては、例えば、ペレットホップ、粉末ホップ、ホップエキス等が挙げられる。また、用いるホップは、イソ化ホップ、還元ホップ等のホップ加工品を用いてもよい。
【0039】
保存料としては、例えば、安息香酸;安息香酸ナトリウム等の安息香酸塩;パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等の安息香酸エステル;二炭酸ジメチル等が挙げられる。また、保存料としては、強力サンプレザー(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、安息香酸ナトリウムと安息香酸ブチルの混合物)等の市販の製剤を用いてもよい。これらの保存料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。保存料の配合量は、好ましくは5質量ppm以上1200質量ppm以下、より好ましくは10質量ppm以上1100質量ppm以下、更に好ましくは15質量ppm以上1000質量ppm以下、より更に好ましくは20質量ppm以上900質量ppm以下である。
【0040】
甘味料としては、穀物由来のデンプンを酸または酵素等で分解した市販の糖化液、市販の水飴等の糖類、三糖類以上の糖、糖アルコール、ステビア等の天然甘味料、人工甘味料等が挙げられる。これらの糖類の形態は、溶液等の液体であってもよく、粉末等の固体であってもよい。また、デンプンの原料穀物の種類、デンプンの精製方法、および酵素や酸による加水分解等の処理条件についても特に制限はない。例えば、酵素や酸による加水分解の条件を適宜設定することにより、マルトースの比率を高めた糖類を用いてもよい。その他、スクロース、フルクトース、グルコース、マルトース、トレハロース、マルトトリオースおよびこれらの溶液(糖液)等を用いることもできる。イソマルトース、イソマルトトリオ―スなどの異性化した糖なども用いることができる。また、人工甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム(アセスルファムK)、スクラロース、ネオテーム等が挙げられる。甘味料は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
水溶性食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、大豆食物繊維、グアーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、ラミナリン、フコイジン、カラギーナン等が挙げられ、安定性や安全性等の汎用性の観点から、難消化性デキストリンまたはポリデキストロースが好ましい。
【0042】
苦味料または苦味付与剤としては、特に限定されず、ホップの他に、例えば、マンネンロウ、レイシ、姫茴香、杜松実、セージ、迷迭香、マンネンタケ、月桂樹、クワシン、柑橘抽出物、ニガキ抽出物、コーヒー抽出物、茶抽出物、ゴーヤ抽出物、ハス胚芽抽出物、キダチアロエ抽出物、マンネンロウ抽出物、レイシ抽出物、ローレル抽出物、セージ抽出物、キャラウェイ抽出物、ナリンギン、アブシンチン、ニガヨモギ、ニガヨモギ抽出物等が挙げられる。
【0043】
酸化防止剤としては、特に限定されず、通常のビールや発泡酒に酸化防止剤として用いられるものが使用でき、例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ビタミンEなどのトコフェロール類およびカテキン等が挙げられる。
【0044】
香料としては、特に限定されず、一般的なビール香料を用いることができる。ビール香料は、ビール様の風味付けのために用いるものであり、発酵により発生する醸造成分等が含まれる。ビール香料としては、エステルや高級アルコールやラクトン類、例えば、酢酸イソアミル、n-プロパノール、イソブタノール、アセトアルデヒド、カプロン酸エチル、カプリル酸エチル、イソアミルプロピオネート、リナロール、ゲラニオール、シトラール、4-ビニルグアイアコール(4-VG)、4-メチル-3-ペンテン酸、2-メチル-2-ペンテン酸、1,4-シネオール、1,8-シネオール、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、γ-デカノラクトン、γ-ウンデカラクトン、ヘキサン酸エチル、2-メチル酪酸エチル、n-酪酸エチル、ミルセン等を含むビール香料(ビール様の香りを想起させる香料))などが挙げられる。
【0045】
酸味料としては、酸味を有する物質であれば特に限定されないが、例えば、酒石酸、リン酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、フィチン酸、コハク酸、グルコノデルタラクトンまたはそれらの塩が挙げられる。これらの酸味料の中でも、酒石酸、リン酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、フィチン酸、コハク酸またはそれらの塩が好ましく、酒石酸、リン酸、クエン酸、またはそれらの塩がより好ましい。これらの酸味料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
本明細書において、スピリッツとは、麦、米、そば、トウモロコシ等の穀物を原料として、麦芽または必要により酵素剤を用いて糖化し、酵母を用いて発酵させた後、更に蒸留して得られる酒類を意味する。スピリッツの原材料である穀物としては、麦が好ましい。
【0047】
本発明のビールテイスト飲料の一態様として、容器詰飲料の態様が挙げられる。容器の例としては、ビン、ペットボトル、缶、または樽が挙げられるが、特に持ち運びが容易であるとの観点から、缶、ビン、ペットボトルが好ましい。なお、無色透明のビンやペットボトルを使用する場合、太陽光や蛍光灯の光にさらされることになるため、有色のビン、有色のペットボトル、缶、または樽が好ましい。
【0048】
本発明のビールテイスト飲料の麦芽比率は、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、42%以上、45%以上、50%以上とすることができ、また、100%以下、90%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、52%以下とすることができる。本明細書において、麦芽比率とは平成30年4月1日が施行日の酒税法および酒類行政関係法令等解釈通達に従って計算された値を意味する。
【0049】
本発明のビールテイスト飲料にコーングリッツを使用すると、ビールテイスト飲料らしいふくらみを増大させることができる。コーングリッツを使用した場合、製品にコーン、コーングリッツ、とうもろこしなどの表示がされるため、使用有無は原材料表示から確認することができる。
【0050】
本発明のビールテイスト飲料のコーングリッツ比率は、例えば、0%以上、5%以上、7.5%以上、10%以上、12.5%以上、15%以上、17.5%以上、20%以上や、50%以下、47.5%以下、45%以下、42.5%以下、40%以下、37.5%以下、35%以下、32.5%以下、30%以下、27.5%以下、25%以下、22.5%以下とすることができる。本明細書において、コーングリッツ比率とは平成30年4月1日が施行日の酒税法および酒類行政関係法令等解釈通達に従って計算された値を意味する。
【0051】
本発明に液糖を使用した場合、ビールテイスト飲料の後味をすっきりとさせることができる。液糖は、少なくともグルコース、フルクトース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、マルトテトラオース、イソマルトテトラオースを少なくとも1種以上が含有された糖のことを指し、これらを2種以上含んでいてもよい。工程中のハンドリングのしやすさの観点から液体である液糖が好ましいが、粉末(パウダー状など)や固形状などの糖を使用してもよい。粉末(パウダー状など)や固形状などの糖を使用する場合も、少なくともグルコース、フルクトース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、マルトテトラオース、イソマルトテトラオースを少なくとも1種以上が含有された糖であることが好ましく、2種以上を使用してもよい。液糖を使用した場合、製品に糖類などの表示がされるため、使用有無は原材料表示から確認することができる。
【0052】
本発明の液糖比率は、例えば、0%以上、2%以上、4%以上、6%以上、8%以上、10%以上、12%以上、14%以上、16%以上、18%以上、20%以上や、50%以下、48%以下、46%以下、44%以下、42%以下、40%以下、38%以下、36%以下、34%以下、32%以下、30%以下、28%以下、26%以下、24%以下、22%以下とすることができる。本明細書において、液糖比率とは平成30年4月1日が施行日の酒税法および酒類行政関係法令等解釈通達に従って計算された値を意味する。
【0053】
本発明のビールテイスト飲料の炭酸ガスの量は、飲料の炭酸ガス圧によって表される。典型的には、飲料の炭酸ガス圧の上限は5.0kg/cm2、4.5kg/cm2、または4.0kg/cm2であり、下限は0.20kg/cm2、0.50kg/cm2、または1.0kg/cm2であり、これらの上限および下限のいずれを組み合わせてもよい。例えば、飲料の炭酸ガス圧は、0.20kg/cm2以上5.0kg/cm2以下、0.50kg/cm2以上4.5kg/cm2以下、または、1.0kg/cm2以上4.0kg/cm2以下であってよい。本明細書において、ガス圧とは、特別な場合を除き、容器内におけるガス圧をいう。圧力の測定は、20℃にした試料をガス内圧計に固定した後、一度ガス内圧計の活栓を開いてガスを抜き、再び活栓を閉じ、ガス内圧計を振り動かして指針が一定の位置に達したときの値を読み取る方法を用いて、または市販のガス圧測定装置を用いて測定する。
【0054】
本発明のビールテイスト飲料は、必要に応じて、様々な添加物を含有してもよい。そのような添加物としては、例えば、着色料、泡形成剤、発酵促進剤、酵母エキス、ペプチド含有物等のタンパク質系物質、アミノ酸(グリシン、プロリンなど)、アミノ酸等の調味料が挙げられる。
【0055】
着色料は、飲料にビール様の色を与えるために使用するものであり、カラメル色素などを用いることができる。
【0056】
泡形成剤は、飲料にビール様の泡を形成させるため、あるいは飲料の泡を保持させるために使用するものであり、大豆サポニン、キラヤサポニン等の植物抽出サポニン系物質、コーン、大豆などの植物タンパク、およびコラーゲンペプチド等のペプチド含有物、酵母エキスなどを適宜使用することができる。
【0057】
発酵促進剤は、酵母による発酵を促進させるために使用するものであり、例えば、酵母エキス、米や麦などの糠成分、ビタミン、ミネラル剤などを単独または組み合わせて使用することができる。
【0058】
本発明のビールテイスト飲料は、イソα酸を0.02質量ppb以上5000質量ppb以下含有させる工程(工程A)、及び乳酸エチルの含有量に対する酢酸エチルの含有量の質量比(酢酸エチル/乳酸エチル)が0.07以上60以下となるように酢酸エチル及び乳酸エチルを含有させる工程(工程B)を有する以外は、いずれも一般的なビールテイスト飲料と同様にして製造できる。ここで、工程A、Bは、それぞれ製造工程中の任意の時期に行うことができる。また、工程A、Bとしては、イソα酸、酢酸エチル、乳酸エチルを添加して調整する態様や、原料や製造条件により調整する態様などが挙げられる。以下に、一般的なビールテイスト飲料の製造方法として、麦芽を原料として使用する場合と使用しない場合の製造方法を示す。
【0059】
麦芽を原料として使用して製造されるアルコールを含有するビールテイスト飲料は、まず、麦芽等の麦の他、必要に応じて他の穀物、でんぷん、糖類、苦味料、又は着色料などの原料及び水を含む混合物に、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加し、糊化、糖化を行なわせ、ろ過し、糖化液とする。必要に応じてホップや苦味料などを糖化液に加えて煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク質などの固形分を取り除く。この糖化液の代替として、麦芽エキスに温水を加えたものにホップを加えて煮沸してもよい。ホップは煮沸開始から煮沸終了前のどの段階で混合してもよい。糖化工程、煮沸工程、固形分除去工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。発酵・貯酒工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。得られた発酵液を濾過し、得られた濾過液に炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のビールテイスト飲料を得る。なお、アルコール成分として、さらに、穀物に由来するスピリッツを添加してもよい。スピリッツとは、麦、米、そば、とうもろこし等の穀物を原料として、酵母を用いて発酵させた後、更に蒸留して得られる酒類を意味する。スピリッツの原材料である穀物としては麦が好ましい。前記各工程において工程A、Bは、充填までのどの工程で行ってもよいが、酵母の発酵によってビールに好適な香味が増大することから、発酵工程以前において行うことが好ましい。
【0060】
麦芽を原料として使用せずに製造されるアルコールを含有するビールテイスト飲料は、炭素源を含有する液糖、麦又は麦芽以外のアミノ酸含有材料としての窒素源、ホップ、色素等を、温水と共に混合し、液糖溶液とする。該液糖溶液は、煮沸する。原料としてホップを用いる場合、ホップは煮沸開始前ではなく、煮沸中に、該液糖溶液に混合してもよい。この糖化液の代替として、麦芽以外の原料を用いたエキスに温水を加えたものにホップを加えて煮沸してもよい。ホップは煮沸開始から煮沸終了前のどの段階で混合してもよい。発酵・貯酒工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。得られた発酵液を濾過し、得られた濾過液に炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のビールテイスト飲料を得る。なお、アルコール成分として、さらに、穀物に由来するスピリッツを添加してもよい。前記各工程において工程A、Bは、充填までのどの工程で行ってもよいが、酵母の発酵によってビールに好適な香味が増大することから、発酵工程以前において行うことが好ましい。
【0061】
非発酵かつアルコールを含有するビールテイスト飲料は、麦芽を使用する、しないに限らず、原料用アルコールなどを加えることにより最終製品のアルコール分を調整したものでもよい。原料用アルコールの添加は、糖化工程から充填工程までのどの工程で行ってもよい。なお、アルコール成分として、さらに、穀物に由来するスピリッツを添加してもよい。前記各工程において酵素処理工程は充填までのどの工程で行ってもよいが、プリン体除去効率の観点から、原料調合後の工程において行うことが好ましい。前記各工程において工程A、Bは、充填までのどの工程で行ってもよい。
【0062】
麦芽を原料として使用して製造されるノンアルコールビールテイスト飲料は、まず、麦芽等の麦の他、必要に応じて他の穀物、でんぷん、糖類、苦味料、又は着色料などの原料及び水を含む混合物に、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加し、糊化、糖化を行なわせ、ろ過し、糖化液とする。必要に応じてホップや苦味料などを糖化液に加えて煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク質などの固形分を取り除く。この糖化液の代替として、麦芽エキスに温水を加えたものにホップを加えて煮沸してもよい。ホップは煮沸開始から煮沸終了前のどの段階で混合してもよい。糖化工程、煮沸工程、固形分除去工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。煮沸後、冷却し、得られた麦汁に香料、酸味料、カラメル色素などの色素、酸化防止剤、苦味料、甘味料、アミノ酸原料などを添加し、濾過し、得られた濾過液に炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のノンアルコールビールテイスト飲料を得る。前記各工程において工程A、Bは、充填までのどの工程で行ってもよい。
【0063】
麦芽を原料として使用しないノンアルコールビールテイスト飲料を製造する場合には、まず、炭素源を含有する液糖、麦又は麦芽以外のアミノ酸含有材料としての窒素源、ホップ、色素等を、温水と共に混合し、液糖溶液とする。該液糖溶液は、煮沸する。原料としてホップを用いる場合、ホップは煮沸開始前ではなく、煮沸中に、該液糖溶液に混合してもよい。煮沸後、冷却し、得られた麦汁に香料、酸味料、カラメル色素などの色素、酸化防止剤、苦味料、甘味料、アミノ酸原料などを添加し、濾過し、得られた液糖溶液に対して、炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のノンアルコールビールテイスト飲料を得る。前記各工程において工程A、Bは、充填までのどの工程で行ってもよい。
【0064】
また、本発明の製造方法で得られたビールテイスト飲料は、ビールテイスト飲料に不適な香りを抑制することができるものである。従って、本発明はビールテイスト飲料に不適な香りを抑制する方法についても提供するものである。なお、本発明の不適な香りの抑制方法における工程の詳細は、本発明の製造方法と同様である。
【実施例0065】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0066】
<ビールテイスト飲料の調製>
実施例1~28、比較例1~6
表1~3に示す比率となるように麦芽およびコーングリッツを温水が入った仕込槽に投入した後、段階的に温度を上げて保持し、ろ過して麦芽粕を除去し、麦汁を得た。その後、当該麦汁を煮沸釜に投入して、ホップを添加し、また必要に応じて表1~3に記載の麦芽比率になるように糖液を添加して煮沸処理を行った。煮沸処理後、固液分離処理を行い、得られた清澄な麦汁を冷却した後、酸素による通気を実施することで酵母添加前の発酵前液を得た。このようにして得られた発酵前液にビール醸造用酵母を添加し、所定の発酵温度及び発酵時間にて発酵させ、さらに約1週間の熟成期間を経た後、酵母をろ過で除去した。その後、オリジナルエキスが表1~3に記載の値になるように、必要に応じてエキス調整水および各成分を添加して調製して、ビールテイスト飲料をそれぞれ得た。なお、それぞれの実施例及び比較例において、ホップの添加量及び添加のタイミング、麦汁を調製する際の各温度領域の設定温度及び保持時間等を適宜設定し、表1~3に示すイソα酸含有量になるようにそれぞれ調整した。また、酢酸、乳酸、酢酸エチル、乳酸エチルの含有量については、酵母の種類や発酵条件を適宜設定した上で、必要に応じて添加し、表1~3に示す含有量となるようにそれぞれ調整した。
【0067】
<ビールテイスト飲料に不適なフルーティな香り>
各実施例・比較例のビールテイスト飲料を4℃まで冷却した後、6人の専門パネラーが試飲し、下記基準により5段階で評価した。平均値を表1~3に示す。なお、評価前に、予め、評価が「2」となるサンプルを用意し、各パネラー間での基準の統一を図った。
(不適なフルーティな香りの評価基準)
「1」:明確に感じる。
「1.5」:感じる。
「2」:あまり感じない。
「2.5」:ほとんど感じない。
「3」:全く感じない。
【0068】
<ビールテイスト飲料に不適な乳製品様の香り>
各実施例・比較例のビールテイスト飲料を4℃まで冷却した後、6人の専門パネラーが試飲し、下記基準により5段階で評価した。平均値を表1~3に示す。なお、評価前に、予め、評価が「2」となるサンプルを用意し、各パネラー間での基準の統一を図った。
(不適な乳製品様の香りの評価基準)
「1」:明確に感じる。
「1.5」:感じる。
「2」:あまり感じない。
「2.5」:ほとんど感じない。
「3」:全く感じない。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
表1~3に示すように、乳酸エチルの含有量に対する酢酸エチルの含有量の質量比(酢酸エチル/乳酸エチル)を特定範囲内とし、イソα酸を特定量含有させた実施例1~28では、いずれも酢酸エチルの有するフローラル様の芳香が感じられながらも、フルーティな香りや乳製品様の香りなどの不適な香りが抑制されたものであった。
本発明によれば、酢酸エチルの有するフローラル様の芳香が感じられながらも、フルーティな香りや乳製品様の香りなどの不適な香りが抑制された新たなテイストのビールテイスト飲料を提供できる。