(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078575
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】プラスチック容器、液体充填製品を製造する方法、及び、プラスチック容器からのアンチモンの溶出を抑制する方法
(51)【国際特許分類】
C08L 67/00 20060101AFI20230531BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20230531BHJP
B65D 1/00 20060101ALI20230531BHJP
C08K 3/11 20180101ALI20230531BHJP
【FI】
C08L67/00 ZAB
B65D1/02 100
B65D1/00 110
C08K3/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191764
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】503065955
【氏名又は名称】ニットービバレッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100140578
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】清川 巌
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 充
(72)【発明者】
【氏名】上野 達也
(72)【発明者】
【氏名】郡司 章
(72)【発明者】
【氏名】込尾 武
(72)【発明者】
【氏名】樽井 久二光
【テーマコード(参考)】
3E033
4J002
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA17
3E033BB04
3E033CA03
3E033CA07
3E033FA03
4J002CF001
4J002CF002
4J002CF061
4J002CF062
4J002DE126
4J002FD206
4J002GG01
(57)【要約】
【課題】本開示は、リサイクルされたポリエステル樹脂を含むポリエステル樹脂組成物を含みながら、アンチモンの溶出が抑制されたプラスチック容器に関する。
【解決手段】ポリエステル樹脂、及びアンチモン化合物を含有するポリエステル樹脂組成物を含む、プラスチック容器が開示される。ポリエステル樹脂のうち少なくとも一部が、リサイクルされたポリエステル樹脂である。ポリエステル樹脂組成物の固有粘度が、0.70dl/g以上0.85dl/g以下であり、ポリエスエル樹脂組成物の色座標によるL値が60.0以上90.0以下であり、ポリエステル樹脂組成物の色座標によるb値が-5.0以上5.0以下である。固有粘度がVで、L値で、b値がBであるとき、式:X=L4×|B|1/4/(1000000×V4)によって算出される値Xが76.3以上167.8以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル樹脂、及びアンチモン化合物を含有するポリエステル樹脂組成物を含む、プラスチック容器であって、
前記ポリエステル樹脂のうち少なくとも一部が、リサイクルされたポリエステル樹脂であり、
前記ポリエステル樹脂組成物の固有粘度が、0.70dl/g以上0.85dl/g以下であり、
前記ポリエステル樹脂組成物の色座標によるL値が60.0以上90.0以下であり、
前記ポリエステル樹脂組成物の色座標によるb値が-5.0以上5.0以下であり、
前記固有粘度がVで、前記L値がLで、前記b値がBであるとき、式:X=L4×|B|1/4/(1000000×V4)によって算出される値Xが76.3以上167.8以下である、プラスチック容器。
【請求項2】
前記固有粘度が0.75dl/g以上0.82dl/g以下であり、
前記L値が65.0以上80.0以下であり、
前記b値が-3.5以上3.5以下であり、
前記Xが85.6以上94.2以下である、
請求項1に記載のプラスチック容器。
【請求項3】
ホットパック充填用容器である、請求項1又は2に記載のプラスチック容器。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のプラスチック容器に、ホットパック充填によって液体を充填することを含む、液体充填製品を製造する方法。
【請求項5】
ポリエステル樹脂、及びアンチモン化合物を含有するポリエステル樹脂組成物を含み、前記ポリエステル樹脂のうち少なくとも一部が、リサイクルされたポリエステル樹脂である、プラスチック容器からのアンチモンの溶出を抑制する方法であって、
当該方法が、
前記ポリエステル樹脂組成物の固有粘度が、0.70dl/g以上0.85dl/g以下であり、前記ポリエステル樹脂組成物の色座標によるL値が60.0以上90.0以下であり、前記ポリエステル樹脂組成物の色座標によるb値が-5.0以上5.0以下であり、前記固有粘度がVで、前記L値がLで、前記b値がBであるとき、式:X=L4×|B|1/4/(1000000×V4)によって算出される値Xが76.3以上167.8以下である、ポリエステル樹脂組成物、を選択することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック容器、液体充填製品を製造する方法、及び、プラスチック容器からのアンチモンの溶出を抑制する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート樹脂)は、飲料等の液体を収容する容器(例えばボトル容器)の原料として広く用いられている。
【0003】
ポリエステル樹脂の製造のために触媒として用いられたアンチモン化合物が、ポリエスエル樹脂中に僅かに残存することがある。そのため、ポリエステル樹脂製の容器からのアンチモンの流出を抑制することが検討されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-20598号公報
【特許文献2】特開2014-152250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
環境負荷軽減の観点から、リサイクルされたポリエステル樹脂を用いたプラスチック容器の製造が求められている。特に、近年、容器包装リサイクル法の施行、及び、プラスチックが循環し続ける社会の実現に向けた機運の高まりを受け、ポリエステル樹脂(主にポリエチレンテレフタレート樹脂)製の飲料容器(PETボトル)の再利用が検討されている。ところが、本発明者の検討によれば、アンチモン化合物を触媒として用いて製造されたポリエステル樹脂のリサイクル品を、原材料の全部又は一部として用いてプラスチック容器を製造すると、容器からアンチモンが溶出し易い傾向があるということが明らかとなった。
【0006】
本発明の一側面は、リサイクルされたポリエステル樹脂を含むことにより環境負荷低減に寄与するポリエステル樹脂組成物を含みながら、アンチモンの溶出が抑制されたプラスチック容器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、ポリエステル樹脂、及びアンチモン化合物を含有するポリエステル樹脂組成物を含む、プラスチック容器に関する。前記ポリエステル樹脂のうち少なくとも一部が、リサイクルされたポリエステル樹脂である。前記ポリエステル樹脂組成物の固有粘度が、0.70dl/g以上0.85dl/g以下であり、前記ポリエスエル樹脂組成物の色座標によるL値が60.0以上90.0以下であり、前記ポリエステル樹脂組成物の色座標b値が-5.0以上5.0以下である。前記固有粘度がVで、前記L値がLで、前記b値がBであるとき、式:X=L4×|B|1/4/(1000000×V4)によって算出される値Xが76.3以上167.8以下である。
【0008】
本発明者の知見によれば、特定範囲の固有粘度、L値及びb値を示すポリエステル樹脂組成物において、上記式によって算出される値Xが上記特定範囲にあると、アンチモンの溶出が効果的に抑制されたプラスチック容器が得られる。このプラスチック容器は、飲料容器として特に好適に利用可能であり、環境負荷軽減に寄与することができる。その理由について本発明者は以下のように推察する。
まず、固有粘度が大きいことはポリエステル樹脂の分子鎖の絡み合い密度が大きいことを意味し、分子鎖の絡み合い密度が大きいとプラスチック容器中のアンチモンが溶出し難くなると考えられる。また、リサイクルされたポリエステル樹脂の割合が大きいと固有粘度が大きくなる傾向がある。したがって、固有粘度がある程度以上に大きいことは、アンチモンの溶出抑制及び環境負荷低減の両方に寄与し得る。一方、L値が大きいことはポリエステル樹脂の結晶化度が大きいことを意味し、結晶化度が大きいとアンチモンが溶出し難くなると考えられる。また、b値の絶対値が小さいことはポリエステル樹脂の加水分解の程度が小さいことを意味し、加水分解の程度が小さいとアンチモンが溶出し難くなると考えられる。ただし、リサイクルされたポリエステル樹脂の割合が大きいと、L値が低下し、b値の絶対値が大きくなる傾向があるため、環境負荷低減の観点からは、L値が小さく、b値の絶対値が大きいことが望ましい。これらの事情に鑑みて、アンチモンの溶出抑制及び環境負荷低減の両立の観点から、L値及びb値の両方が所定の範囲内とされる。ここで、リサイクルされたポリエステル樹脂の割合が大きいと、固有粘度の点からはアンチモンの溶出が抑制される傾向があるのに対して、L値及びb値の点からはアンチモンの溶出が抑制され難くなる傾向がある。Xの値は、これらの傾向の拮抗を特に「(L4/V4)×|B|1/4」の部分によって適切に反映すると本発明者は推察する。そして、固有粘度、L値及びb値がそれぞれ所定の範囲内にあるのと同時に、Xの値が所定の範囲内にあると、アンチモンの溶出抑制及び環境負荷低減を高度に両立することができる。なお、Xを算出するための式中、「1/1000000」の部分は、Xの値の桁数を調整するために導入されている。
【0009】
本発明の別の一側面は、上記プラスチック容器に、ホットパック充填によって液体を充填することを含む、液体充填製品を製造する方法に関する。
【0010】
本発明の更に別の一側面は、ポリエステル樹脂、及びアンチモン化合物を含有するポリエステル樹脂組成物を含む、プラスチック容器からのアンチモンの溶出を抑制する方法に関する。前記ポリエステル樹脂のうち少なくとも一部が、リサイクルされたポリエステル樹脂である、当該方法は、前記ポリエステル樹脂組成物の固有粘度が、0.70dl/g以上0.85dl/g以下であり、前記ポリエスエル樹脂組成物の色座標によるL値が60.0以上90.0以下であり、前記ポリエステル樹脂組成物の色座標b値が-5.0以上5.0以下であり、前記固有粘度がVで、前記L値がLで、前記b値がBであるとき、式:X=L4×|B|1/4/(1000000×V4)によって算出される値Xが76.3以上167.8以下である、ポリエステル樹脂組成物を選択することを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一側面によれば、リサイクルされたポリエステル樹脂を含むことにより環境負荷の低減されたポリエステル樹脂組成物を含みながら、アンチモンの溶出が抑制されたプラスチック容器を提供することができる。本発明の一側面に係るプラスチック容器は、良好な耐熱性を有し得る。固有粘度が適度に大きいことは、プラスチック容器の寸法安定性の改善にも寄与し得る。固有粘度が適度に小さいことは、プラスチック樹脂組成物の良好な流動性に寄与し、それは均一な厚さと平滑性が求められる飲料容器の成形のために特に有利である。なお、アンチモンの溶出が抑制されるとは、例えば、後述の実施例に記載の方法で測定される、プラスチック容器から、該プラスチック容器中に充填された液体へのアンチモン溶出量が、0.01mg/L未満であることを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
プラスチック容器の一例は、ポリエステル樹脂、及びアンチモン化合物を含有するポリエステル樹脂組成物から形成された樹脂成形体である。
【0014】
ポリエステル樹脂のうち少なくとも一部が、リサイクルされたポリエステル樹脂である。環境負荷低減の観点から、ポリエステル樹脂組成物中のポリエステル樹脂のうち、リサイクルされたポリエステル樹脂の割合は、20質量%以上、50質量%超、又は80質量%以上であってもよく、100質量%以下であってもよい。リサイクルされたポリエステル樹脂は、例えば、メカニカルリサイクル、又はケミカルリサイクルによって再生されたリサイクル品であることができる。ポリエステル樹脂は、例えば、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸、イソフタル酸ジメチル、パラトルイル酸メチル、ジエチレングリコール、イソフタル酸、及びテレフタル酸モノメチルから選ばれる少なくとも1種のモノマーとジオール化合物との重合体であることができる。ポリエステル樹脂の例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、及びポリトリメチレンテレフタレート樹脂が挙げられる。ポリエチレンテレフタレート樹脂は、飲料容器の用途に特に適している。
【0015】
ポリエステル樹脂組成物、又はこれから形成されたプラスチック容器におけるアンチモンの含有量は、ポリエステル樹脂組成物の質量、又はプラスチック容器の質量を基準として、10質量ppm以上、100質量ppm以上、155質量ppm以上、又は160質量ppm以上であってもよく、500質量ppm以下、400質量ppm以下、300質量ppm以下、又は250質量ppm以下であってもよい。アンチモンの含有量は、例えば、細断されたプラスチック容器をホットプレート上で加熱しながら硫酸及び硝酸に溶解させることと、得られた溶液を50mLに定容して測定試料を調製することと、測定試料を、誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて分析し、分析結果に基づいてアンチモンを定量することとを含む方法により、測定することができる。ポリエステル樹脂組成物、又はこれから形成されたプラスチック容器におけるポリエステル樹脂及びアンチモンの合計の含有量は、80質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上であってもよく、100質量%以下であってもよい。
【0016】
ポリエステル樹脂組成物は、固有粘度、色座標によるL値及びb値に基づいて選択することができる。具体的には、選択されるポリエステル樹脂組成物が、0.70dl/g以上0.85dl/g以下の固有粘度、60.0以上90.0以下のL値、及び、-5.0以上5.0以下のb値を有していてもよい。当業者が利用可能な流通品から、これらの要件を満たすポリエステル樹脂組成物を選択することができる。本明細書において、固有粘度は以下に記載の測定方法により測定される値を意味する。
ポリエステル樹脂組成物をフェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン(60/40質量%)の混合溶媒に溶解して、ポリエステル樹脂組成物を0.5重量%の濃度で含む溶液を調製する。調整された溶液の粘度を、ASTM D-4603-18に準拠した方法によりキャピラリー粘度計を用いて30℃で測定することにより、固有粘度を求める。
【0017】
ポリエステル樹脂組成物のL値及びb値は、ポリエステル樹脂組成物のペレットを測定試料として、色差計によって測定される。L値は明度を表し、その値が大きいほど明るいことを意味する。b値は黄~青系の色相を表し、+は黄味、-は青味を反映する。プラスチック容器を加工することにより作製したペレットを用いて、色素計によってL値及びb値を測定してもよい。
【0018】
ポリエステル樹脂組成物の固有粘度は、アンチモンの溶出抑制、プラスチック容器の成形加工性及び耐熱性の観点から、0.70dl/g以上で0.82dl/g以下、0.81dl/g以下、又は0.80dl/g以下であってもよく、0.75dl/g以上で0.85dl/g以下、0.82dl/g以下、0.81dl/g以下、又は0.80dl/g以下であってもよく、0.76dl/g以上で0.85dl/g以下、0.82dl/g以下、0.81dl/g以下、又は0.80dl/g以下であってもよく、0.77dl/g以上で0.85dl/g以下、0.82dl/g以下、0.81dl/g以下、又は0.80dl/g以下であってもよい。ポリエステル樹脂組成物中のポリエステル樹脂の分子量が大きいと、固有粘度が大きくなる傾向がある。また、ポリエステル樹脂組成物中に含まれる、リサイクルされたポリエステル樹脂の含有割合が高まると、固有粘度が大きくなる傾向がある。
【0019】
ポリエステル樹脂組成物のL値は、アンチモンの溶出抑制、及び耐熱性の観点から、60.0以上で80.0以下、又は74.0以下であってもよく、65.0以上で90.0以下、80.0以下、又は74.0以下であってもよく、66.0以上で90.0以下、80.0以下、又は74.0以下であってもよい。ポリエステル樹脂組成物中に含まれる、リサイクルされたポリエステル樹脂の含有割合が高まると、L値が小さくなる傾向がある。
【0020】
ポリエステル樹脂組成物のb値は、アンチモンの溶出抑制、及び耐熱性の観点から、-5.0以上で3.5以下、又は3.3以下であってもよく、-3.5以上で5.0以下、3.5以下、又は3.3以下であってもよく、0.5以上で5.0以下、3.5以下、又は3.3以下であってもよく、2.0以上で5.0以下、3.5以下、又は3.3以下であってもよい。ポリエステル樹脂組成物中に含まれる、リサイクルされたポリエステル樹脂の含有割合が高まると、b値が大きくなる傾向がある。
【0021】
以上のような固有粘度、L値及びb値に加えて、ポリエステル樹脂組成物は、固有粘度がVで、L値がLで、b値がBであるとき、式:X=L4×|B|1/4/(1000000×V4)によって算出される値Xが76.3以上167.8以下であるという要件を満たしてもよい。アンチモンの溶出抑制、及び耐熱性の観点から、Xは76.3以上で107.3以下、又は94.2以下であってもよく、85.6以上で167.8以下、107.3以下、又は94.2以下であってもよく、81.2以上で167.8以下、107.3以下、又は94.2以下であってもよい。当業者が利用可能な流通品から、固有粘度、L値、b値及びXに関する所期の要件を満たすポリエステル樹脂組成物を選択することができる。
【0022】
以上に例示された固有粘度、L値、b値及びXに関する要件を満たすポリエステル樹脂組成物を選択し、これを成形してプラスチック容器を得ることを含む方法により、プラスチック容器からのアンチモンの溶出を抑制することができる。
【0023】
プラスチック容器は、例えば、ポリエステル樹脂組成物のブロー成形によって形成することができる。プラスチック容器の厚さはその用途等に応じて調節される。プラスチック容器が飲料容器(例えばボトル)であってもよい。ここで、飲料容器は、通常、飲料を収容する本体部と、本体部の一方の端部がテーパー状にすぼまることによって形成された口部とを有する。本体部が円筒形状又は角筒形状であってもよい。飲料容器の本体部が円筒形状である場合、その直径が5~10cmであってもよい。飲料容器の本体部が角筒形状である場合、その一辺の長さが5~10cmであってもよい。飲料容器の本体部の厚さは0.2~0.4mmであってもよい。飲料容器中の口部は、2~4cmの外径、及び0.1~1cmの厚さを有してもよい。プラスチック容器の高さは、例えば10~30cmである。優れた耐熱性を有することから、プラスチック容器を、ホットパック充填用容器(特に、ホットバック充填用飲料容器)として用いてもよい。ホットバック充填は、高温(例えば、65~95℃)の液体をプラスチック容器に充填することを含む充填方法である。充填後、プラスチック容器は、冷水シャワー等により直ちに冷却されることが多い。ホットパック充填等によって飲料等の液体製品をプラスチック容器に充填することを含む方法により、飲料製品等の各種の液体充填製品を製造することができる。
【実施例0024】
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
1.ポリエステル樹脂組成物
ポリエチレンテレフタレート樹脂のリサイクル品を含み、表1に示される固有粘度、L値、及びb値を示すリサイクル樹脂A、B及びCをポリエステル樹脂組成物として準備した。ポリエステルテレフタレート樹脂のうちリサイクル品の割合が、リサイクル樹脂A及びCでは50質量%を超え、リサイクル樹脂Bでは20質量%以上50質量%以下であった。比較のため、ポリエチレンテレフタレート樹脂として非リサイクル品のみを含むバージン樹脂も準備した。
【0025】
2.ボトル容器
各ポリエステル樹脂組成物を、日精ASB(株)社製ブロー成形機を使用して成形温度280℃にて成形することで、キャップを装着可能な口部を有する容量500mL(20℃入り味線容量)のボトル容器を作製した。
3.評価
アンチモンの溶出
清涼飲料水を上記ボトル容器にホットパック充填によって充填した。清涼飲料水が充填されたボトル容器を60℃で2週間保持した。その後、ボトル容器から取り出した清涼飲料水におけるアンチモンの濃度を水素化物発生原子吸光度法によって測定した。測定された濃度(アンチモン溶出量)の値により、アンチモンの溶出を以下の基準で評価した。
OK:0.01mg/L未満
NG:0.01mg/L以上
【0026】
耐熱性
ボトル容器に90℃の純水500mLを充填した。次いでボトル容器の口部に外径30mm、内径26mm、高さ20.1mmのポリプロピレン製キャップを隙間なく装着することにより、ボトル容器を密封した。ボトル容器及びキャップの内面を、ボトル容器が横倒しの状態で、キャップ転倒殺菌装置(シブヤマシナリー株式会社製、型番:IZN1250U)を用いて、83℃、30秒の条件で加熱殺菌した。その後、ボトル容器を観察し、以下の基準で耐熱性を評価した。
OK:ボトル容器に変形がなく、且つ、キャップから純水の漏れが生じなかった。
NG:ボトル容器に変形が発生した、又は、キャップから純水の漏れが生じた。
【0027】
【0028】
評価結果が表1に示される。実施例1又は2のポリエステル樹脂組成物を用いて作製されたボトル容器は、良好な耐熱性を有するとともに、アンチモンの溶出を抑制することが確認された。