(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078587
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】膜構造体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10N 30/076 20230101AFI20230531BHJP
H10N 30/853 20230101ALI20230531BHJP
H10N 30/079 20230101ALI20230531BHJP
C23C 14/06 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
H01L41/316
H01L41/187
H01L41/319
C23C14/06 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191779
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】522127678
【氏名又は名称】I-PEX Piezo Solutions株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187388
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 天光
(72)【発明者】
【氏名】小▲西▼ 晃雄
(72)【発明者】
【氏名】金森 広晃
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029AA06
4K029AA24
4K029BA13
4K029BA43
4K029BA50
4K029BB02
4K029BB07
4K029CA02
4K029CA05
4K029DB21
(57)【要約】
【課題】基板上に形成されたバッファ膜を有する膜構造体において、バッファ膜上に形成される金属膜又は圧電体膜の配向方向を一定方向に揃えることができる膜構造体を提供する。
【解決手段】膜構造体10は、基板11と、基板11上に形成されたバッファ膜12と、を有する。基板11は、36°~48°の回転YカットSi基板、又は、36°~48°の回転YカットSi基板よりなる基体と、基体上の絶縁層と、絶縁層上のSi膜よりなるSOI層と、を含むSOI基板、であり、SOI層の上面の結晶面のミラー指数は、基体の上面の結晶面のミラー指数と同一である。バッファ膜12は、基板11上にエピタキシャル成長したZrO
2を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されたバッファ膜と、
を有し、
前記基板は、36°~48°の回転YカットSi基板、又は、36°~48°の回転YカットSi基板よりなる基体と、前記基体上の絶縁層と、前記絶縁層上のSi膜よりなるSOI層と、を含むSOI基板、であり、
前記SOI層の上面の結晶面のミラー指数は、前記基体の上面の結晶面のミラー指数と同一であり、
前記バッファ膜は、前記基板上にエピタキシャル成長したZrO2を含む、膜構造体。
【請求項2】
前記バッファ膜上にエピタキシャル成長した金属膜を有する、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項3】
前記金属膜はPtを含む、請求項2に記載の膜構造体。
【請求項4】
前記金属膜上にエピタキシャル成長したSRO膜を有する、請求項2又は3に記載の膜構造体。
【請求項5】
前記金属膜上にエピタキシャル成長した圧電体膜を有する、請求項2又は3に記載の膜構造体。
【請求項6】
前記SRO膜上にエピタキシャル成長した圧電体膜を有する、請求項4に記載の膜構造体。
【請求項7】
前記膜構造体のインプレーンX線回折パターンにおいて、前記SRO膜のSRO(110)面をそれぞれ表す2つの回折ピークが観測される、請求項4に記載の膜構造体。
【請求項8】
前記バッファ膜上にエピタキシャル成長した圧電体膜を有する、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項9】
前記圧電体膜は、PZT、AlN、LiTaO3又はLiNbO3を含む、請求項5又は6に記載の膜構造体。
【請求項10】
前記圧電体膜は、PZTを含むPZT膜であり、
前記膜構造体のインプレーンX線回折パターンにおいて、前記PZT膜のPZT(213)面をそれぞれ表す2つの回折ピークが観測される、請求項6に記載の膜構造体。
【請求項11】
前記膜構造体のX線逆格子空間マッピングにおいて、前記PZT膜のPZT(110)面、前記基板のSi(220)面及び前記PZT膜のPZT(112)面の各々をそれぞれ表す3つの逆格子点が、Qz方向に配列されている、請求項10に記載の膜構造体。
【請求項12】
(a)基板を準備するステップ、
(b)前記基板上にバッファ膜を形成するステップ、
を有し、
前記(a)ステップでは、36°~48°の回転Yカット基板、又は、36°~48°の回転YカットSi基板よりなる基体と、前記基体上の絶縁層と、前記絶縁層上のSi膜よりなるSOI層と、を含むSOI基板、を準備し、
前記SOI層の上面の結晶面のミラー指数は、前記基体の上面の結晶面のミラー指数と同一であり、
前記(b)ステップでは、前記基板上にエピタキシャル成長したZrO2を含む前記バッファ膜を形成する、膜構造体の製造方法。
【請求項13】
(c)前記バッファ膜上にエピタキシャル成長した金属膜を形成するステップ、
を有し、
前記金属膜はPtを含む、請求項12に記載の膜構造体の製造方法。
【請求項14】
(d)前記金属膜上にエピタキシャル成長したSRO膜を形成するステップ、
を有し、
前記膜構造体のインプレーンX線回折パターンにおいて、前記SRO膜のSRO(110)面をそれぞれ表す2つの回折ピークが観測される、請求項13に記載の膜構造体の製造方法。
【請求項15】
(e)前記金属膜上にエピタキシャル成長した圧電体膜を形成するステップ、
を有し、
前記圧電体膜はPZT、AlN、LiTaO3又はLiNbO3を含む、請求項13に記載の膜構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜構造体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と、基板上に形成されたバッファ膜と、バッファ膜上に形成された金属膜と、を有する膜構造体として、シリコン(Si)基板と、Si基板上に形成された酸化ジルコニウム(ZrO2)を含むバッファ膜と、バッファ膜上に形成された白金(Pt)を含む金属膜と、を有する膜構造体が知られている。また、更に金属膜上に形成された圧電体膜を有する膜構造体が知られている。
【0003】
特開2018-81974号公報(特許文献1)には、膜構造体において、基体と、基体上の絶縁層と、絶縁層上のシリコン層と、を含む基板と、シリコン層上にエピタキシャル成長した酸化ジルコニウムを含む第1膜と、第1膜上にエピタキシャル成長した白金を含む第1導電膜と、第1導電膜上にエピタキシャル成長した圧電膜と、を有する技術が開示されている。
【0004】
特開2018-81975号公報(特許文献2)には、膜構造体において、シリコン基板と、シリコン基板上に形成されたジルコニウムを含む第1膜と、第1膜上にエピタキシャル成長した酸化ジルコニウムを含む第2膜と、第2膜上にエピタキシャル成長した白金を含む第1導電膜と、第1導電膜上にエピタキシャル成長した圧電膜と、を有する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-81974号公報
【特許文献2】特開2018-81975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1及び上記特許文献2に記載された技術では、膜構造体は、シリコン層上又はシリコン基板上に形成されたZrO2を含むバッファ膜と、バッファ膜上に形成されたPtを含む金属膜と、を有する。しかしながら、シリコン層若しくはシリコン基板の種類、又は、バッファ膜の種類によっては、バッファ膜上に形成される金属膜の配向方向を一定方向に揃えにくくなる。このような場合であって、金属膜上に更に圧電体膜を形成するときは、金属膜上に形成される圧電体膜の配向方向も一定方向に揃えにくくなる。
【0007】
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、基板上に形成されたバッファ膜を有する膜構造体において、バッファ膜上に形成される金属膜又は圧電体膜の配向方向を一定方向に揃えることができる膜構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0009】
本発明の一態様としての膜構造体は、基板と、基板上に形成されたバッファ膜と、を有する。基板は、36°~48°の回転YカットSi基板、又は、36°~48°の回転YカットSi基板よりなる基体と、基体上の絶縁層と、絶縁層上のSi膜よりなるSOI層と、を含むSOI基板、であり、SOI層の上面の結晶面のミラー指数は、基体の上面の結晶面のミラー指数と同一である。バッファ膜は、基板上にエピタキシャル成長したZrO2を含む。
【0010】
また、他の一態様として、当該膜構造体は、バッファ膜上にエピタキシャル成長した金属膜を有してもよい。
【0011】
また、他の一態様として、金属膜はPtを含んでもよい。
【0012】
また、他の一態様として、当該膜構造体は、金属膜上にエピタキシャル成長したSRO膜を有してもよい。
【0013】
また、他の一態様として、当該膜構造体は、金属膜上にエピタキシャル成長した圧電体膜を有してもよい。
【0014】
また、他の一態様として、当該膜構造体は、SRO膜上にエピタキシャル成長した圧電体膜を有してもよい。
【0015】
また、他の一態様として、膜構造体のインプレーンX線回折パターンにおいて、SRO膜のSRO(110)面をそれぞれ表す2つの回折ピークが観測されてもよい。
【0016】
また、他の一態様として、当該膜構造体は、バッファ膜上にエピタキシャル成長した圧電体膜を有してもよい。
【0017】
また、他の一態様として、圧電体膜は、PZT、AlN、LiTaO3又はLiNbO3を含んでもよい。
【0018】
また、他の一態様として、圧電体膜は、PZTを含むPZT膜であり、膜構造体のインプレーンX線回折パターンにおいて、PZT膜のPZT(213)面をそれぞれ表す2つの回折ピークが観測されてもよい。
【0019】
また、他の一態様として、膜構造体のX線逆格子空間マッピングにおいて、PZT膜のPZT(110)面、基板のSi(220)面及びPZT膜のPZT(112)面の各々をそれぞれ表す3つの逆格子点が、Qz方向に配列されていてもよい。
【0020】
本発明の一態様としての膜構造体の製造方法は、基板を準備する(a)ステップと、基板上にバッファ膜を形成する(b)ステップと、を有する。(a)ステップでは、36°~48°の回転Yカット基板、又は、36°~48°の回転YカットSi基板よりなる基体と、基体上の絶縁層と、絶縁層上のSi膜よりなるSOI層と、を含むSOI基板、を準備し、SOI層の上面の結晶面のミラー指数は、基体の上面の結晶面のミラー指数と同一である。(b)ステップでは、基板上にエピタキシャル成長したZrO2を含むバッファ膜を形成する。
【0021】
また、他の一態様として、当該膜構造体の製造方法は、バッファ膜上にエピタキシャル成長した金属膜を形成する(c)ステップを有し、金属膜はPtを含んでもよい。
【0022】
また、他の一態様として、当該膜構造体の製造方法は、金属膜上にエピタキシャル成長したSRO膜を形成する(d)ステップを有し、膜構造体のインプレーンX線回折パターンにおいて、SRO膜のSRO(110)面をそれぞれ表す2つの回折ピークが観測されてもよい。
【0023】
また、他の一態様として、当該膜構造体の製造方法は、金属膜上にエピタキシャル成長した圧電体膜を形成する(e)ステップを有し、圧電体膜はPZT、AlN、LiTaO3又はLiNbO3を含んでもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様を適用することで、基板上に形成されたバッファ膜を有する膜構造体において、バッファ膜上に形成される金属膜又は圧電体膜の配向方向を一定方向に揃えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】42°の回転YカットSi基板を説明するための図である。
【
図5】実施の形態の第1変形例の膜構造体の断面図である。
【
図6】実施の形態の第2変形例の膜構造体の断面図である。
【
図7】実施の形態の成膜装置を模式的に示す平面図である。
【
図8】実施の形態の成膜装置に備えられた電子ビーム蒸着装置を模式的に示す断面図である。
【
図9】実施の形態の成膜装置に備えられたDCスパッタリング装置を模式的に示す断面図である。
【
図10】実施の形態の成膜装置に備えられたRFスパッタリング装置を模式的に示す断面図である。
【
図11】実施の形態の膜構造体の製造方法の一部のステップを示すフロー図である。
【
図12】実施の形態の膜構造体の製造工程中の断面図である。
【
図13】実施の形態の膜構造体の製造工程中の断面図である。
【
図14】実施例の膜構造体のXRD法によるω-2θスペクトルの例を示すグラフである。
【
図15】実施例の膜構造体のXRD法によるφスキャンスペクトルの例を示すグラフである。
【
図16】実施例の膜構造体のXRD法によるω-2θスペクトルの例を示すグラフである。
【
図17】実施例の膜構造体のXRD法によるφスキャンスペクトルの例を示すグラフである。
【
図18】実施例の膜構造体のX線逆格子空間マッピングの結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0028】
また本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0029】
更に、実施の形態で用いる図面においては、構造物を区別するために付したハッチング(網掛け)を図面に応じて省略する場合もある。
【0030】
なお、以下の実施の形態においてA~Bとして範囲を示す場合には、特に明示した場合を除き、A以上B以下を示すものとする。
【0031】
(実施の形態)
<膜構造体>
初めに、本発明の一実施形態である実施の形態の膜構造体について説明する。
図1は、実施の形態の膜構造体の断面図である。
図2は、42°の回転YカットSi基板を説明するための図である。
図3及び
図4は、実施の形態の膜構造体の断面図である。
【0032】
図1に示すように、本実施の形態の膜構造体10は、Si基板である基板11と、基板上にエピタキシャル成長したZrO
2を含むバッファ膜12と、バッファ膜12上にエピタキシャル成長した金属膜13と、を有する。Siはシリコンを表し、ZrO
2は酸化ジルコニウムを表す。
【0033】
上記特許文献1及び上記特許文献2に記載された技術では、膜構造体は、シリコン層上又はシリコン基板上に形成されたZrO2を含むバッファ膜と、バッファ膜上に形成されたPtを含む金属膜と、を有する。しかしながら、シリコン層若しくはシリコン基板の種類、又は、バッファ膜の種類によっては、バッファ膜上に形成される金属膜の配向方向を一定方向に揃えにくくなる。このような場合であって、金属膜上に更に圧電体膜を形成するときは、金属膜上に形成される圧電体膜の配向方向も一定方向に揃えにくくなる。
【0034】
一方、本実施の形態の膜構造体10が有する基板11は、36°~48°の回転YカットSi基板である。
【0035】
図2に示すように、Si<110>方向に沿った軸をX軸とし、Si<100>方向に沿った軸をY軸としたとき、例えば42°の回転YカットSi基板とは、Y軸をSi<110>方向に沿ったX軸の周りに42°回転した軸であるY´軸に垂直な上面11eを有するSi基板11fである。
【0036】
基板11が、42°の回転YカットSi基板である場合、即ち基板11である回転YカットSi基板の回転角が42°である場合、後述する
図14乃至
図18を用いて説明するように、バッファ膜12は、基板11上にエピタキシャル成長したZrO
2を含み、金属膜13は、バッファ膜12上にエピタキシャル成長したPt膜を含む。これにより、バッファ膜12上に形成される金属膜13の配向方向を一定方向に揃えやすくなり、金属膜13上に形成される圧電体膜15の配向方向を一定方向に揃えやすくなり、圧電体膜15の分極方向を一定方向に揃えた膜構造体を実現することができる。
【0037】
また、基板11である回転YカットSi基板の回転角が36°以上の場合、回転角が36°未満の場合に比べ、回転角が42°から離れすぎないので、基板11が42°の回転YカットSi基板である場合と同様に、バッファ膜12は、基板11上にエピタキシャル成長したZrO2を含み、金属膜13は、バッファ膜12上にエピタキシャル成長したPt膜を含むことができる。
【0038】
また、基板11である回転YカットSi基板の回転角が48°以下の場合、回転角が48°を超える場合に比べ、回転角が42°から離れすぎないので、基板11が42°の回転YカットSi基板である場合と同様に、バッファ膜12は、基板11上にエピタキシャル成長したZrO2を含み、金属膜13は、バッファ膜12上にエピタキシャル成長したPt膜を含むことができる。
【0039】
ここで、ある膜がエピタキシャル成長しているとは、その膜が、互いに直交する3つの方向のいずれの方向にも配向、即ち三次元的に配向していることを意味する。
【0040】
図3に示すように、本実施の形態の膜構造体10が有する基板11として、Si基板に代えて、半導体基板であるSOI(Silicon On Insulator)基板を用いることもできる。即ち、本実施の形態の膜構造体10が有する基板11は、Si基板又はSOI基板である。
【0041】
基板11としてSOI基板を用いる場合、基板11は、Siよりなる基体11aと、基体11a上に形成された埋め込み酸化膜である絶縁層としてのBOX(Buried Oxide)層11bと、BOX層11b上に形成されたSOI(Silicon On Insulator)層であるSi層11cと、を含む。これにより、SOI基板上に、形状精度良く形成された複数の圧電素子を有する微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical Systems:MEMS)よりなる電子デバイスを容易に形成することができる。
【0042】
また、基板11としてSOI基板を用いる場合、基板11は、36°~48°の回転YカットSi基板よりなる基体11aと、基体11a上に形成された絶縁層であるBOX層11bと、BOX層11b上に形成されたSOI層であるSi層11cと、を含むことになる。Si層11cの上面即ち基板11の主面の結晶面のミラー指数(配向方向)は、基体11aの上面即ち基体11aの主面の結晶面のミラー指数(配向方向)と同一である。
【0043】
基体11aが、42°の回転YカットSi基板であり、Si層11cの上面即ち基板11の主面の結晶面のミラー指数(配向方向)が、基体11aの上面即ち基体11aの主面の結晶面のミラー指数(配向方向)と同一である場合、基板11が、42°の回転YカットSi基板である場合と同様に、バッファ膜12は、Si層11c上にエピタキシャル成長したZrO2を含み、金属膜13は、バッファ膜12上にエピタキシャル成長したPt膜を含む。これにより、バッファ膜12上に形成される金属膜13の配向方向を一定方向に揃えやすくなり、金属膜13上に形成される圧電体膜15の配向方向を一定方向に揃えやすくなり、圧電体膜15の分極方向を一定方向に揃えた膜構造体を実現することができる。
【0044】
また、基体11aである回転YカットSi基板の回転角が36°以上の場合、回転角が36°未満の場合に比べ、回転角が42°から離れすぎないので、基体11aが42°の回転YカットSi基板である場合と同様に、バッファ膜12は、Si層11c上にエピタキシャル成長したZrO2を含み、金属膜13は、バッファ膜12上にエピタキシャル成長したPt膜を含むことができる。
【0045】
また、基体11aである回転YカットSi基板の回転角が48°以下の場合、回転角が48°を超える場合に比べ、回転角が42°から離れすぎないので、基体11aが42°の回転YカットSi基板である場合と同様に、バッファ膜12は、Si層11c上にエピタキシャル成長したZrO2を含み、金属膜13は、バッファ膜12上にエピタキシャル成長したPt膜を含むことができる。
【0046】
好適には、金属膜13はPt膜を含む。Ptは白金を表す。
【0047】
バッファ膜12が基板11上にエピタキシャル成長したZrO2を含むことにより、金属膜13に含まれるPt膜を一定方向に配向させることができる。
【0048】
金属膜13がPt膜を含むことにより、Pt膜が一定方向に配向しているため、金属膜13上に形成される圧電体膜15の配向方向を更に一定方向に揃えやすくなる。
【0049】
好適には、圧電体膜15は、PZT、AlN、LiTaO3又はLiNbO3を含む。PZTは、Pb(Zr1-xTix)O3とも表記され、チタン酸ジルコン酸鉛を表す。AlNは窒化アルミニウムを表し、LiTaO3はタンタル酸リチウムを表し、LiNbO3はニオブ酸リチウムを表す。
【0050】
圧電体膜15がPZT、AlN、LiTaO3又はLiNbO3を含むことにより、PZT、AlN、LiTaO3又はLiNbO3の圧電定数がそれ以外の材料に比べて大きいため、圧電体膜15の圧電特性を向上させることができる。
【0051】
金属膜13がエピタキシャル成長したPt膜を含む場合、
図4に示すように、好適には、膜構造体10は、金属膜13上にエピタキシャル成長したSrRuO
3(SRO)膜即ちSRO膜14を有する。SrRuO
3(SRO)は、ルテニウム酸ストロンチウムを表す。
【0052】
SROは、ペロブスカイト型構造を有する。そのため、膜構造体10が金属膜13上にエピタキシャル成長したSRO膜14を有する場合、膜構造体10が金属膜13上にエピタキシャル成長したSRO膜を有しない場合に比べて、ペロブスカイト型構造を有する複合酸化物を含む圧電体膜15を、基板11上で、更に容易にエピタキシャル成長させることができる。このような場合、膜構造体10は、SRO膜14上にエピタキシャル成長した圧電体膜15を有する。
【0053】
膜構造体10が、金属膜13上にエピタキシャル成長したSRO膜14を有する場合、後述する
図15を用いて説明するように、膜構造体のインプレーンX線回折パターンにおいて、SRO膜14のSRO(110)面をそれぞれ表す2つの回折ピークが観測される。
【0054】
その結果、SRO膜14がエピタキシャル成長していることが明らかであるので、36°~48°の回転YカットSi基板上にSRO膜14がエピタキシャル成長することを容易に確認することができる。更に、SRO膜14は、2回対称性を有することが推測される。
【0055】
また、膜構造体10が、金属膜13上にエピタキシャル成長したSRO膜14を有する場合、
図4に示すように、好適には、膜構造体10は、SRO膜14上にエピタキシャル成長した圧電体膜15であるPb(Zr
1-xTi
x)O
3(PZT)膜即ちPZTを含むPZT膜15aを有する。PZTは、チタン酸ジルコン酸鉛を表す。これにより、圧電体膜15の圧電特性を向上させることができる。
【0056】
このような場合、後述する
図17を用いて説明するように、膜構造体のインプレーンX線回折パターンにおいて、PZT膜15aのPZT(213)面をそれぞれ表す2つの回折ピークが観測される。
【0057】
その結果、PZT膜15aがエピタキシャル成長していることが明らかであるので、36°~48°の回転YカットSi基板上にPZT膜15aがエピタキシャル成長することを容易に確認することができる。更に、PZT膜15aは、2回対称性を有することが推測される。
【0058】
好適には、後述する
図18を用いて説明するように、膜構造体のX線逆格子空間マッピングにおいて、PZT膜15aのPZT(110)面、基板11のSi(220)面及びPZT膜15aのPZT(112)面の各々をそれぞれ表す3つの逆格子点が、Qz方向に配列されている。
【0059】
このような場合、PZT膜15aがエピタキシャル成長していることが確認でき、36°~48°の回転YカットSi基板上にPZT膜15aがエピタキシャル成長することを容易に確認することができる。更に、例えば42°の回転YカットSi基板の表面と42°の角度をなすSi(100)面(Si(001)面と称する)に対して垂直であるPZT膜15aのPZT(110)面と、当該Si(001)面に対して垂直であるSi(110)面と、が互いに平行であることが推測される。
【0060】
なお、バッファ膜12が、基板11上にエピタキシャル成長したZrO2を含む場合、バッファ膜12上に金属膜13が形成されていない状態で、バッファ膜12上にSRO膜14を直接エピタキシャル成長させ、更にSRO膜14上に圧電体膜15をエピタキシャル成長させることもできる。このような場合、膜構造体10は、バッファ膜12上に直接エピタキシャル成長したSRO膜14を有し、SRO膜14上にエピタキシャル成長した圧電体膜15を有する。
【0061】
<膜構造体の第1変形例>
次に、本実施の形態の膜構造体の第1変形例について説明する。本第1変形例の膜構造体10aは、バッファ膜12上に金属膜13を介さずに圧電体膜15としてPZT膜15aが形成される点で、実施の形態の膜構造体10と異なる。
図5は、実施の形態の第1変形例の膜構造体の断面図である。
【0062】
図5に示すように、本第1変形例の膜構造体10aは、Si基板である基板11と、基板上にエピタキシャル成長したZrO
2を含むバッファ膜12と、バッファ膜12上にエピタキシャル成長した圧電体膜15としてのPZT膜15aと、を有する。基板11は、36°~48°の回転YカットSi基板、又は、36°~48°の回転YカットSi基板よりなる基体11a(
図3参照)と、基体11a上のBOX層11b(
図3参照)と、BOX層11b上のSi膜よりなるSOI層であるSi層11c(
図3参照)と、を含むSOI基板、であり、Si層11cの上面の結晶面のミラー指数は、基体11aの上面の結晶面のミラー指数と同一である。
【0063】
本第1変形例でも、実施の形態と同様に、基板11が、36°~48°の回転YカットSi基板であるか、又は、Si層11c(
図3参照)の上面即ち基板11の主面の結晶面のミラー指数(配向方向)が、36°~48°の回転YカットSi基板よりなる基体11a(
図3参照)の上面即ち基体11aの主面の結晶面のミラー指数(配向方向)と同一である。これにより、バッファ膜12上に形成される圧電体膜15の配向方向を一定方向に揃えやすくなり、圧電体膜15の分極方向を一定方向に揃えた膜構造体を実現することができる。また、圧電体膜15の上面に一対の櫛型電極を形成することにより、例えば圧電特性に優れた表面弾性波(Surface Acoustic Wave:SAW)デバイスを実現することができる。なお、バッファ膜12上に金属膜13が形成されるものの、金属膜13上にSRO膜を介さずに圧電体膜15が形成されることもできる。
【0064】
<膜構造体の第2変形例>
次に、本実施の形態の膜構造体の第2変形例について説明する。
図6は、実施の形態の第2変形例の膜構造体の断面図である。
【0065】
図6に示すように、本第2変形例の膜構造体10bは、Si基板である基板11と、基板上にエピタキシャル成長したZrO
2を含むバッファ膜12と、を有する。また、基板11は、36°~48°の回転YカットSi基板である。基板11は、36°~48°の回転YカットSi基板、又は、36°~48°の回転YカットSi基板よりなる基体11a(
図3参照)と、基体11a上のBOX層11b(
図3参照)と、BOX層11b上のSi膜よりなるSOI層であるSi層11c(
図3参照)と、を含むSOI基板、であり、Si層11cの上面の結晶面のミラー指数は、基体11aの上面の結晶面のミラー指数と同一である。
【0066】
本第2変形例でも、実施の形態と同様に、基板11が、36°~48°の回転YカットSi基板であるか、又は、Si層11cの上面即ち基板11の主面の結晶面のミラー指数(配向方向)が、36°~48°の回転YカットSi基板よりなる基体11aの上面即ち基体11aの主面の結晶面のミラー指数(配向方向)と同一である。これにより、バッファ膜12上に形成される金属膜13(
図1参照)の配向方向を一定方向に揃えやすくなり、金属膜13上に形成される圧電体膜15(
図4参照)の配向方向を一定方向に揃えやすくなり、圧電体膜15の分極方向を一定方向に揃えた膜構造体を実現することができる。
【0067】
<成膜装置>
次に、実施の形態の膜構造体の製造装置としての成膜装置について説明する。当該成膜装置は、後述する
図1、
図4、
図6及び
図11乃至
図13を用いて説明する実施の形態の膜構造体の製造方法を実行するための成膜装置である。
【0068】
図7は、実施の形態の成膜装置を模式的に示す平面図である。
図8は、実施の形態の成膜装置に備えられた電子ビーム蒸着装置を模式的に示す断面図である。
図9は、実施の形態の成膜装置に備えられたDCスパッタリング装置を模式的に示す断面図である。
図10は、実施の形態の成膜装置に備えられたRFスパッタリング装置を模式的に示す断面図である。
【0069】
図7に示すように、本実施の形態の成膜装置20は、ロードロック室21と、搬送室22と、搬送ロボット23と、電子ビーム蒸着装置である蒸着室24と、DCスパッタリング装置であるスパッタ室25と、RFスパッタリング装置であるスパッタ室26と、RFスパッタリング装置であるスパッタ室27と、制御部28と、を有する。なお、
図7は、蒸着室24及び各スパッタ室が搬送室22を介して互いに接続されたマルチチャンバー装置としての成膜装置を示しているが、蒸着室24及び各スパッタ室は別々に設置されていてもよい。
【0070】
電子ビーム蒸着装置である蒸着室24は、基板11上にバッファ膜12(
図1参照)を形成するバッファ膜形成部である。DCスパッタリング装置であるスパッタ室25は、バッファ膜12上に金属膜13(
図1参照)を形成する金属膜形成部である。RFスパッタリング装置であるスパッタ室26は、金属膜13上にSRO膜14(
図4参照)を形成するSRO膜形成部である。RFスパッタリング装置であるスパッタ室27は、SRO膜14上に圧電体膜15であるPZT膜15a(
図4参照)を形成する圧電体膜形成部である。制御部28は、ロードロック室21と、搬送室22と、搬送ロボット23と、蒸着室24と、スパッタ室25と、スパッタ室26と、スパッタ室27と、の動作を制御する。制御部28は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)を備え、且つ、成膜装置20の各部を制御するプロセスコントローラ(コンピュータ)31と、ユーザインターフェース部32と、記憶部33と、を含む。
【0071】
ロードロック室21には真空ポンプ(図示は省略)が接続され、成膜処理を施す基板(例えばSiウェハ)がロードロック室21内に導入され、真空ポンプによってロードロック室21内が真空排気される。
【0072】
搬送室22は、ゲートバルブ34を介してロードロック室21に接続されている。搬送室22内には搬送ロボット23が配置されている。搬送室22には真空ポンプ(図示は省略)が接続され、その真空ポンプによって搬送室22内が真空排気される。
【0073】
図8に示すように、電子ビーム蒸着装置である蒸着室24は、成膜チャンバー41を有し、成膜チャンバー41の下部には蒸着源42が配置されている。成膜チャンバー41の上部には、基板11を保持する基板ホルダー43が配置されている。基板ホルダー43は、蒸着源42と対向配置されている。蒸着源42は、ジルコニウム(Zr)を含有する蒸着材料を収容したルツボ及び電子銃(EB gun)44を有する。ルツボには冷却機構(図示は省略)が取り付けられている。蒸着源42は、電子銃44からの電子ビームを蒸着材料に照射して加熱し、蒸着材料を蒸発させる。
【0074】
基板ホルダー43は基板11を保持する。基板ホルダー43は、回転機構45に取り付けられ、回転機構45によって基板ホルダー43を回転させることができる。また、基板ホルダー43の上部(基板11が保持される部分である下部と反対側の部分)には、基板加熱機構としての加熱ヒータ(赤外線ランプ)46が配置されている。基板ホルダー43の下面(基板の設置面)には反射板(図示は省略)が配置されている。また、基板ホルダー43は、基板温度を下げるための基板冷却機構(図示は省略)を備えている。
【0075】
成膜チャンバー41には、反応ガスを供給する反応ガス供給機構(図示は省略)が接続されている。反応ガスは例えば酸素ガス(O2)である。また、成膜チャンバー41には、成膜チャンバー41の内部圧力を所定圧力まで下げるための排気ポンプ系(図示は省略)が接続されている。
【0076】
なお、本実施の形態の成膜装置20は、バッファ膜形成部として、電子ビーム蒸着装置に代えて、ボート型蒸着装置、反応性スパッタリング装置、又は、RF型イオンプレーティング装置を有することもできる。
【0077】
図9に示すように、DCスパッタリング装置であるスパッタ室25は、チャンバー51と、チャンバー51内に設けられ、且つ、基板11を保持する基板保持部52と、を備えている。チャンバー51、基板11及び基板保持部52は、接地されている。基板保持部52は、基板11を加熱する基板加熱機構としてのヒーター(図示は省略)を有することが好ましい。
【0078】
スパッタ室25は、チャンバー51内に設けられ、且つ、スパッタリングターゲットとしてのターゲット53を保持するターゲット保持部54を備えている。ターゲット保持部54は、ターゲット保持部54に保持されたターゲット53が、基板保持部52に保持された基板11と対向するように、配置されている。また、スパッタ室25は、チャンバー51内を真空排気する真空ポンプ等の真空排気機構55と、ターゲット保持部54に電気的に接続され且つ直流電力をターゲット53に供給する電力供給機構56と、を有する。
【0079】
図10に示すように、RFスパッタリング装置であるスパッタ室26は、チャンバー61と、チャンバー61内に設けられ、且つ、基板11を保持する基板保持部62と、を備えている。チャンバー61、基板11及び基板保持部62は、接地されている。基板保持部62は、基板11を加熱するヒーター(図示は省略)を有することが好ましい。
【0080】
スパッタ室26は、チャンバー61内に設けられ、且つ、スパッタリングターゲットとしてのターゲット63を保持するターゲット保持部64を備えている。ターゲット保持部64は、ターゲット保持部64に保持されたターゲット63が、基板保持部62に保持された基板11と対向するように、配置されている。ターゲット63として、例えば比抵抗が1×107Ω・cm以上の絶縁物を含むターゲットを用いることもできる。
【0081】
スパッタ室26は、出力供給機構65を備えている。出力供給機構65として、例えば高周波電源を用いることができる。出力供給機構65は、整合器66に電気的に接続されており、整合器66は、ターゲット保持部64に電気的に接続されている。なお、出力供給機構65により高周波出力をターゲット保持部64を介してターゲット63に供給してもよく、出力供給機構65により高周波出力をターゲット63に直接供給してもよい。
【0082】
スパッタ室26は、チャンバー61内に希ガスを導入する第1のガス導入源67と、チャンバー61内に酸素(O2)ガスを導入する第2のガス導入源68と、を備えている。また、成膜装置20は、チャンバー61内を真空排気する真空ポンプ等の真空排気機構69を有する。好適には、第1のガス導入源67によってチャンバー61内に導入される希ガスは、アルゴン(Ar)ガスである。
【0083】
また、スパッタ室26は、成膜時における、第1のガス導入源67により導入されるArガスの流量と、第2のガス導入源68により導入されるO2ガスの流量との比を制御する流量制御部(図示は省略)を備えていることが好ましい。また、スパッタ室26は、成膜時におけるチャンバー61内の圧力を制御する圧力制御部(図示は省略)を備えていることが好ましい。
【0084】
また、スパッタ室26は、ターゲット63に磁場を加える磁石71と、この磁石71を回転させる回転機構72と、を備えている。
【0085】
なお、図示は省略するが、スパッタ室27も、スパッタ室26と同様にすることができる。
【0086】
前述したように、制御部28は、CPUを備え、且つ、成膜装置20の各部を制御するプロセスコントローラ(コンピュータ)31と、ユーザインターフェース部32と、記憶部33と、を含む。
【0087】
ユーザインターフェース部32は、作業者が成膜装置20を管理するためにコマンドの入力操作を行うキーボード、及び、成膜装置20の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等から構成されている。
【0088】
記憶部33には、成膜装置20で実行される各種処理をプロセスコントローラ31の制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウエア)又は処理条件データ等が記憶されたレシピが格納されている。そして、必要に応じて、ユーザインターフェース部32からの指示等にて、任意のレシピを記憶部33から呼び出してプロセスコントローラ31に実行させることで、プロセスコントローラ31の制御下で、成膜装置20での所望の処理が行われる。
【0089】
また、制御プログラム又は処理条件データ等のレシピは、例えばハードディスク、コンパクトディスク(Compact Disc:CD)、フレキシブルディスク又は半導体メモリ等、コンピュータで読取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。このような場合、当該レシピが記録された記録媒体が、記憶部33にセットされ、記憶部33にセットされた記録媒体から、当該レシピを呼び出してプロセスコントローラ31に実行させることができる。或いは、他の装置から例えば専用回線を介して随時伝送させることにより、当該レシピをオンラインで呼び出してプロセスコントローラ31に実行させることもできる。
【0090】
<膜構造体の製造方法>
次に、
図1、
図4、
図6及び
図11乃至
図13を参照し、実施の形態の膜構造体の製造方法について説明する。
図11は、実施の形態の膜構造体の製造方法の一部のステップを示すフロー図である。
図12及び
図13は、実施の形態の膜構造体の製造工程中の断面図である。
【0091】
まず、
図6に示すように、36°~48°の回転YカットSi基板である基板11を用意即ち準備する。このとき、基板11の上面には、SiO
2膜などの酸化膜が形成されていてもよい。
【0092】
基板11が、42°の回転YカットSi基板である場合、即ち回転YカットSi基板の回転角が42°である場合、後述する
図14乃至
図18を用いて説明するように、バッファ膜12は、基板11上にエピタキシャル成長したZrO
2を含み、金属膜13は、バッファ膜12上にエピタキシャル成長したPt膜を含む。これにより、バッファ膜12に形成される金属膜13の配向方向を一定方向に揃えやすくなり、金属膜13上に形成される圧電体膜15(
図4参照)の配向方向を一定方向に揃えやすくなり、圧電体膜15の分極方向を一定方向に揃えた膜構造体を実現することができる。
【0093】
また、回転YカットSi基板の回転角が36°以上の場合、回転角が36°未満の場合に比べ、回転角が42°から離れすぎないので、42°の回転YカットSi基板である場合と同様に、バッファ膜12は、基板11上にエピタキシャル成長したZrO2を含み、金属膜13は、バッファ膜12上にエピタキシャル成長したPt膜を含むことができる。
【0094】
また、回転YカットSi基板の回転角が48°以下の場合、回転角が48°を超える場合に比べ、回転角が42°から離れすぎないので、42°の回転YカットSi基板である場合と同様に、バッファ膜12は、基板11上にエピタキシャル成長したZrO2を含み、金属膜13は、バッファ膜12上にエピタキシャル成長したPt膜を含むことができる。
【0095】
また、
図12に示すように、Si基板である基板11に代えて、SOI基板である基板11を用意即ち準備することもできる。基板11としてSOI基板を用いる場合、基板11は、36°~48°の回転YカットSi基板よりなる基体11aと、基体11a上に形成されたBOX層11bと、BOX層上に形成されたSOI層であるSi層11cと、を含むことになる。Si層11cの上面即ち基板11の主面の結晶面のミラー指数(配向方向)は、基体11aの上面即ち基体11aの主面の結晶面のミラー指数(配向方向)と同一である。
【0096】
基体11aが、42°の回転YカットSi基板であり、Si層11cの上面即ち基板11の主面の結晶面のミラー指数(配向方向)が、基体11aの上面即ち基体11aの主面の結晶面のミラー指数(配向方向)と同一である場合、基板11が、42°の回転YカットSi基板である場合と同様に、バッファ膜12は、Si層11c上にエピタキシャル成長したZrO
2を含み、金属膜13は、バッファ膜12上にエピタキシャル成長したPt膜を含む。これにより、バッファ膜12上に形成される金属膜13の配向方向を一定方向に揃えやすくなり、金属膜13上に形成される圧電体膜15(
図4参照)の配向方向を一定方向に揃えやすくなり、圧電体膜15の分極方向を一定方向に揃えた膜構造体を実現することができる。
【0097】
また、基体11aである回転YカットSi基板の回転角が36°以上の場合、回転角が36°未満の場合に比べ、回転角が42°から離れすぎないので、基体11aが42°の回転YカットSi基板である場合と同様に、バッファ膜12は、Si層11c上にエピタキシャル成長したZrO2を含み、金属膜13は、バッファ膜12上にエピタキシャル成長した金属膜を含むことができる。
【0098】
また、基体11aである回転YカットSi基板の回転角が48°以下の場合、回転角が48°を超える場合に比べ、回転角が42°から離れすぎないので、基体11aが42°の回転YカットSi基板である場合と同様に、バッファ膜12は、Si層11c上にエピタキシャル成長したZrO2を含み、金属膜13は、バッファ膜12上にエピタキシャル成長した金属膜を含むことができる。
【0099】
次に、
図6に示したように、基板11上に、バッファ膜12を形成する(
図11のステップS1)。
【0100】
このステップS1では、まず、基板11を、搬送ロボット23(
図7参照)により蒸着室24(
図7参照)に搬入し、搬入された基板11を、基板ホルダー43(
図8参照)により保持する。また、基板ホルダー43(
図8参照)により保持された基板11が一定の真空雰囲気中に配置された状態で、基板加熱機構としての加熱ヒータ46(
図8参照)により基板11を例えば700℃に加熱する。
【0101】
このステップS1では、次に、電子銃44(
図8参照)からの電子ビームを、ジルコニウム(Zr)単結晶の蒸着材料に照射して加熱し、蒸着材料を蒸発させる。このとき、蒸発したZrが例えば700℃に加熱された基板11上で酸素と反応することにより、酸化ジルコニウム(ZrO
2)膜となって成膜される。このようにして、基板11上にエピタキシャル成長したZrO
2を含むバッファ膜12を形成する。
【0102】
次に、バッファ膜12上にエピタキシャル成長した金属膜13を形成する(
図11のステップS2)。
【0103】
このステップS2では、まず、基板11上にバッファ膜12が形成された基板11を、搬送ロボット23(
図7参照)によりスパッタ室25(
図7参照)に搬入し、搬入された基板11を、基板保持部52(
図9参照)により保持する。また、基板11が一定の真空雰囲気中に配置された状態で、基板加熱機構により基板11を例えば450~600℃に加熱する。
【0104】
このステップS2では、次に、例えばPtよりなるターゲットをDCスパッタすることにより、
図1に示したように、バッファ膜12上に、例えばPt膜を含む金属膜13を形成する。
【0105】
好適には、ステップS2では、バッファ膜12上に、Pt膜を含みエピタキシャル成長した金属膜13を形成する。
【0106】
バッファ膜12が基板11上にエピタキシャル成長したZrO
2を含むことにより、金属膜13に含まれるPt膜を一定方向に配向させることができる。また、金属膜13がPt膜を含むことにより、Pt膜が一定方向に配向しているため、金属膜13上に形成される圧電体膜15(
図4参照)の配向方向を更に一定方向に揃えやすくなる。
【0107】
ステップS2にて、エピタキシャル成長したPt膜を含む金属膜13を形成した後、
図13に示すように、好適には、金属膜13上にエピタキシャル成長したSRO膜14を形成する(
図11のステップS3)。これにより、ペロブスカイト型構造を有する複合酸化物を含む圧電体膜を、基板11上で、更に容易に、エピタキシャル成長させることができる。
【0108】
好適には、圧電体膜15は、PZT、AlN、LiTaO3又はLiNbO3を含む。圧電体膜15がPZT、AlN、LiTaO3又はLiNbO3を含むことにより、PZT、AlN、LiTaO3又はLiNbO3の圧電定数がそれ以外の材料に比べて大きいため、圧電特性を向上させることができる。
【0109】
また、ステップS3にて、金属膜13上にエピタキシャル成長したSRO膜14を形成した後、
図4に示したように、好適には、SRO膜14上にエピタキシャル成長した圧電体膜15であるPZT膜15aを形成する。これにより、圧電体膜15の圧電特性を向上させることができる。なお、実施の形態の第1変形例で
図5を用いて説明したように、バッファ膜12上に金属膜13を介さずに圧電体膜15としてのPZT膜15aを形成することもできる。
【0110】
ステップS3にて、金属膜13上にエピタキシャル成長したSRO膜14を形成する場合、後述する
図15を用いて説明するように、膜構造体のインプレーンX線回折パターンにおいて、SRO(110)面をそれぞれ表す2つの回折ピークが観測され、SRO膜14がエピタキシャル成長することを容易に確認することができる。
【0111】
また、ステップS3にて、金属膜13上にエピタキシャル成長したSRO膜14を形成した場合、好適には、SRO膜14上にエピタキシャル成長した圧電体膜15であるPZT膜15aを形成する。このような場合、後述する
図17を用いて説明するように、膜構造体のインプレーンX線回折パターンにおいて、PZT膜15aのPZT(213)面をそれぞれ表す2つの回折ピークが観測され、PZT膜15aがエピタキシャル成長することを容易に確認することができる。
【0112】
好適には、後述する
図18を用いて説明するように、膜構造体のX線逆格子空間マッピングにおいて、PZT膜15aのPZT(110)面、基板11のSi(220)面及びPZT膜15aのPZT(112)面の各々をそれぞれ表す3つの逆格子点が、Qz方向に配列されている。
【0113】
このような場合、PZT膜15aがエピタキシャル成長していることが確認でき、36°~48°の回転YカットSi基板上にPZT膜15aがエピタキシャル成長することを容易に確認することができる。更に、例えば42°の回転YカットSi基板の表面と42°の角度をなすSi(100)面(Si(001)面と称する)に対して垂直であるPZT膜15aのPZT(110)面と、当該Si(001)面に対して垂直であるSi(110)面と、が互いに平行であることが推測される。
【0114】
また、上記成膜装置20を用いて、本実施の形態の膜構造体の製造工程を実施することができる。このような場合、本実施の形態の膜構造体の製造工程における制御プログラム又は処理条件データ等のレシピは、成膜装置20に備えられる制御部28に、本実施の形態の膜構造体の製造工程を実行させるためのプログラムである。また、記憶部33にセットされ、制御プログラム又は処理条件データ等のレシピが記録された記録媒体は、成膜装置20に備えられる制御部28に、本実施の形態の膜構造体の製造工程を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体である。また、制御部28は、バッファ膜形成部、金属膜形成部及びSRO膜形成部が、本実施の形態の膜構造体の製造工程を実行するように、バッファ膜形成部(蒸着室24)、金属膜形成部(スパッタ室25)及びSRO膜形成部(スパッタ室26)の動作を制御する。
【実施例0115】
以下、実施例に基づいて本実施の形態を更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0116】
(実施例)
実施の形態で
図4を用いて説明した膜構造体10を、実施例の膜構造体として形成した。
【0117】
[膜構造体の形成]
実施例の膜構造体の形成方法について説明する。まず、基板として、42°の回転YカットSi基板を用意した。
【0118】
次に、基板としてのウェハ上に、バッファ膜として、ZrO2膜を、電子ビーム蒸着法により形成した。
【0119】
次に、ZrO2膜上に、金属膜として、Pt膜を、スパッタリング法により形成した。
【0120】
次に、Pt膜上に、SRO膜を、スパッタリング法により形成した。
【0121】
次に、SRO膜上に、PZT膜を、スパッタリング法により形成した。
【0122】
[膜構造体のω-2θスペクトル及びφスキャンスペクトル]
実施例の膜構造体について、XRD法によるω-2θスペクトル(アウトオブプレーンX線回折パターン)及びφスキャンスペクトル(インプレーンX線回折パターン)を測定した。即ち、PZT膜までが形成された実施例の膜構造体について、ω-2θスキャンによるX線回折測定(アウトオブプレーン測定)及びφスキャンによるX線回折測定(インプレーン測定)を行った。
【0123】
図14は、実施例の膜構造体のXRD法によるω-2θスペクトルの例を示すグラフである。
図14のグラフの横軸は、角度2θを示し、
図14のグラフの縦軸は、X線の強度を示している(後述する
図16においても同様)。また、
図14は、20°≦2θ≦110°の範囲を示している(後述する
図16においても同様)。なお、
図14中、M-ZrO
2は、単斜晶の結晶構造を有するZrO
2を意味する。
【0124】
図14では、面間隔(格子定数)が求められる面(測定面)と基板表面との間の角度(例えばω-θ)が0°に等しい場合を、0°で表示している(後述する
図16においても同様)。また、測定面と基板表面との間の角度が0°と異なる場合を、測定面と基板表面との間の角度である15°、30°、45°、60°、75°で表示している(後述する
図16においても同様)。なお、測定面と基板表面との間の角度が90°未満の場合は、アウトオブプレーン測定に相当し、測定面と基板表面との間の角度が90°に等しい場合は、インプレーン測定に相当する。
【0125】
図14に示す例では、測定面と基板表面との間の角度が30°近傍で、Si基板のSi(220)面の回折ピークで軸立てを行った後、測定面と基板表面との間の角度を0°、15°、30°、45°、60°、75°と変化させて6つのω-2θスペクトルを測定した結果を示している。
【0126】
図14に示す6つのω-2θスペクトルにおいて、Si(220)面及びSi(440)面の回折ピークに加えて、ZrO
2(111)面、SRO(110)面、Pt(111)面、SRO(220)の回折ピークが観測された。具体的には、測定面と基板表面との間の角度が0°のときに、ZrO
2(111)面及びPt(111)面の回折ピークが観測され、測定面と基板表面との間の角度が30°のときに、SRO(110)面、Si(220)面、SRO(220)面及びSi(440)面の回折ピークが観測された。このように、6つのω-2θスペクトルにおいて、観測される回折ピークが全く異なっていた。
【0127】
従って、実施例の膜構造体において、Si基板上に、ZrO2膜、Pt膜及びSRO膜が形成されていることが確認された。また、実施例の膜構造体が有するZrO2膜、Pt膜及びSRO膜の各々は、互いに直交する3つの方向のいずれの方向にも配向、即ち三次元的に配向しており、エピタキシャル成長していることが確認された。
【0128】
図15は、実施例の膜構造体のXRD法によるφスキャンスペクトルの例を示すグラフである。
図15のグラフの横軸は、角度φを示し、
図15のグラフの縦軸は、X線の強度を示している(後述する
図17においても同様)。また、
図15は、0°≦φ≦360°の範囲を示している(後述する
図17においても同様)。
【0129】
図15に示す例では、測定面と基板表面との間の角度が90°近傍(インプレーン測定)で、2θがSRO(110)面の回折ピークに対応した角度に等しくなるように調整した状態で、φスキャンを行っている。
【0130】
図15に示すφスキャンにおいて、φ=266°の角度位置にPt(220)面を表す1つの回折ピークが観測され、φ=195°及びφ=337°の2つの角度位置(角度差Δφ=142°)の各々にSRO(110)面をそれぞれ表す2つの回折ピークが観測された。従って、Si基板上にPt膜がエピタキシャル成長し、Pt膜上にSRO膜がエピタキシャル成長していることが明らかになった。更に、SRO膜は、2回対称性を有することが推測される。
【0131】
図16は、実施例の膜構造体のXRD法によるω-2θスペクトルの例を示すグラフである。
図16に示す例では、測定面と基板表面との間の角度が45°近傍で、PZT膜のPZT(213)面の回折ピークで軸立てを行った後、測定面と基板表面との間の角度を0°、15°、30°、45°、60°、75°と変化させて6つのω-2θスペクトルを測定した結果を示している。
【0132】
図16に示す6つのω-2θスペクトルにおいて、PZT(110)面、Pt(111)面、PZT(112)面、PZT(213)面及びPZT(104)面の回折ピークが観測された。具体的には、測定面と基板表面との間の角度が0°のときに、Pt(111)面の回折ピークが観測され、測定面と基板表面との間の角度が15°のときに、PZT(112)面の回折ピークが観測された。また、測定面と基板表面との間の角度が30°のときに、PZT(110)面の回折ピークが観測され、測定面と基板表面との間の角度が45°のときに、PZT(213)面の回折ピークが観測され、測定面と基板表面との間の角度が75°のときに、PZT(104)面の回折ピークが観測された。このように、6つのω-2θスペクトルにおいて、観測される回折ピークが全く異なっていた。
【0133】
従って、実施例の膜構造体において、Pt膜及びPZT膜が形成されていることが確認された。また、実施例の膜構造体が有するPt膜及びPZT膜は、互いに直交する3つの方向のいずれの方向にも配向、即ち三次元的に配向しており、エピタキシャル成長していることが確認された。
【0134】
図17は、実施例の膜構造体のXRD法によるφスキャンスペクトルの例を示すグラフである。
図17に示す例では、測定面と基板表面との間の角度が90°近傍(インプレーン測定)で、2θがPZT(213)面の回折ピークに対応した角度に等しくなるように調整した状態で、φスキャンを行っている。
【0135】
図17に示すφスキャンにおいて、PZT(213)面を表す2つの回折ピークが観測された。従って、PZT膜がエピタキシャル成長していることが明らかになった。更に、PZT膜は、2回対称性を有することが推測される。
【0136】
[膜構造体のX線逆格子空間マッピング]
次に、実施例の膜構造体について、X線逆格子空間マッピングを行った。X線逆格子空間マッピングは、測定する膜を立体的に観測し、格子定数の揺らぎや格子面の傾きを確認するものである。
【0137】
図18は、実施例の膜構造体のX線逆格子空間マッピングの結果を示すグラフである。
図18の横軸は、実空間における42°の回転YカットSi基板の表面と42°の角度をなすSi基板のSi(100)面(Si(001)面と称する)に平行な方向の格子定数に対応した逆格子空間の方向であるQx方向を表し、
図18の縦軸は、実空間におけるSi(001)面に垂直な方向に対応した逆格子空間の方向であるQz方向を表している。
【0138】
図18に示すように、実施例の膜構造体のX線逆格子空間マッピングにおいて、各逆格子点は、原点を中心として環状に分布しておらず、点として分布している。このことから、実施例の膜構造体が有する各層は、互いに直交する3つの方向のいずれの方向にも配向、即ち三次元的に配向しており、エピタキシャル成長していることが確認された。
【0139】
また、
図18に示すように、実施例の膜構造体のX線逆格子空間マッピングにおいて、PZT膜のPZT(110)面、基板のSi(220)面及びPZT膜のPZT(112)面の各々をそれぞれ表す3つの逆格子点が、Qz方向に配列されている。このことから、実施例の膜構造体が有するPZT膜は、エピタキシャル成長していることが確認された。更に、42°の回転YカットSi基板の表面と42°の角度をなすSi基板のSi(100)面(Si(001)面と称する)に対して垂直なPZT膜のPZT(110)面と、当該Si(001)面に対して垂直であるSi(110)面と、が互いに平行であることが推測される。
【0140】
なお、実施例では、42°の回転YカットSi基板を用いた。しかし、詳細な説明は省略するものの、42°の回転YカットSi基板に代えて、36°の回転YカットSi基板及び48°の回転YカットSi基板を用いた場合、及び、基板11として
図3を用いて説明したSOI基板を用いた場合にも、42°の回転YカットSi基板を用いた場合と略同様の結果が得られた。そのため、36°~48°の回転YカットSi基板のいずれのカット角のSi基板を用いた場合、及び、基板11として
図3を用いて説明したSOI基板を用いた場合でも、略同様の結果が得られることが確認された。
【0141】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0142】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0143】
例えば、前述の各実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。