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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078609
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】合流桝
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/10 20060101AFI20230531BHJP
【FI】
E03F5/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191807
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】田中 健人
(72)【発明者】
【氏名】正木 保弘
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063DA06
2D063DA07
(57)【要約】
【課題】コンパクトでありながら雨水から異物を除去すると共に雨水と一般排水とを合流させることができる合流桝を提供する。
【解決手段】桝内空間Sを形成する桝内空間形成部2と、雨水路3が接続されて雨水が桝内空間Sに流入する雨水流入部と、一般排水路5が接続されて一般排水が桝内空間Sに流入する一般排水流入部6とを備え、
桝内空間Sに、泥だまり11を有すると共に雨水流入部から流入する雨水を一旦受け止める雨水受止空間S1と、その雨水受止空間S1から流出する雨水と一般排水流入部6から流入する一般排水とを合流させる合流空間S2とに区画する溢流壁12を備える。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
桝内空間を形成する桝内空間形成部と、雨水路が接続されて雨水が前記桝内空間に流入する雨水流入部と、一般排水路が接続されて一般排水が前記桝内空間に流入する一般排水流入部とを備えた合流桝であって、
前記桝内空間に、泥だまりを有すると共に前記雨水流入部から流入する雨水を一旦受け止める雨水受止空間と、その雨水受止空間から流出する雨水と前記一般排水流入部から流入する一般排水とを合流させる合流空間とに区画する溢流壁を備えている合流桝。
【請求項2】
前記雨水受止空間に、前記合流空間に流入した一般排水から生じた臭いが前記雨水流入部に流れることを防止するトラップが設けられている請求項1に記載の合流桝。
【請求項3】
前記トラップは、前記雨水受止空間の底面から上方側に間隔を空けた状態で設置された仕切り板を備えて構成され、
前記仕切り板の下端が、前記溢流壁の上端より下方側に位置している請求項2に記載の合流桝。
【請求項4】
前記桝内空間形成部は、前記桝内空間を囲う外壁部分と、前記桝内空間において前記雨水受止空間を区画形成する区画壁部分とを備え、
前記外壁部分が、コンクリートにて構成され、前記区画壁部分が、鋼板にて構成されている請求項1から3の何れか一項に記載の合流桝。
【請求項5】
平面視で前記雨水受止空間と前記合流空間とが並ぶ方向を並び方向とし、平面視で前記並び方向と直交する方向を幅方向として、
前記桝内空間形成部は、前記並び方向に沿う一対の桝横側壁を前記幅方向に間隔を空けた状態で備えて、前記一対の桝横側壁の間に前記雨水受止空間及び前記合流空間を形成すると共に前記雨水受止空間及び前記合流空間の上方側に前記雨水受止空間の真上から前記合流空間の真上に亘る一般排水路接続空間を形成し、
前記一般排水流入部は、前記桝横側壁における前記一般排水路接続空間に対面する部分に備えられている請求項1から4の何れか一項に記載の合流桝。
【請求項6】
平面視で前記雨水受止空間と前記合流空間とが並ぶ方向を並び方向とし、平面視で前記並び方向と直交する方向を幅方向として、
前記桝内空間形成部は、前記並び方向に沿う一対の桝横側壁を前記幅方向に間隔を空けた状態で備えて、前記一対の桝横側壁の間に前記雨水受止空間及び前記合流空間を形成し、
前記雨水流入部と前記一般排水流入部とが、前記一対の桝横側壁のうちの同じ前記桝横側壁に、平面視で同じ位置で且つ上下方向に並ぶ状態で備えられている請求項1から5の何れか一項に記載の合流桝。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水と一般排水とを合流させる合流桝で、特に、桝内空間を形成する桝内空間形成部と、雨水路が接続されて雨水が前記桝内空間に流入する雨水流入部と、一般排水路が接続されて一般排水が前記桝内空間に流入する一般排水流入部とを備えた合流桝に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、桝内空間を形成する桝内空間形成部と、雨水路(雨水管51)が接続されて雨水が桝内空間に流入する雨水流入部(雨水管用接続部52)と、一般排水路が接続されて一般排水(雑排水及び汚水)が桝内空間に流入する一般排水流入部(流入管用接続部13A)とを備えた合流桝が示されている。この特許文献1の合流桝では、雨水流入部から桝内空間に雨水が流入し、一般排水流入部から桝内空間に一般排水が流入することで、桝内空間において雨水と一般排水とが合流するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4384475号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、雨水には泥等の異物が混ざっている場合が多く、合流桝で合流させる前に雨水から異物を除去するための雨水桝を設ける場合がある。しかし、合流桝に加えて雨水桝を設置すると、これらの桝を設置するための空間が大きくなる。そのため、コンパクトでありながら雨水から異物を除去すると共にその雨水と一般排水とを合流させることができる合流桝が望まれている。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、コンパクトでありながら雨水から異物を除去すると共に雨水と一般排水とを合流させることができる合流桝を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、桝内空間を形成する桝内空間形成部と、雨水路が接続されて雨水が前記桝内空間に流入する雨水流入部と、一般排水路が接続されて一般排水が前記桝内空間に流入する一般排水流入部とを備えた合流桝であって、
前記桝内空間に、泥だまりを有すると共に前記雨水流入部から流入する雨水を一旦受け止める雨水受止空間と、その雨水受止空間から流出する雨水と前記一般排水流入部から流入する一般排水とを合流させる合流空間とに区画する溢流壁を備えている点にある。
【0007】
本構成によれば、雨水受止空間と合流空間とが溢流壁によって区画されていると共に、雨水受止空間が泥だまりを有しているため、雨水流入部から雨水受止空間に流入した雨水が溢流壁を越えて合流空間に流出する際に、雨水から泥等の異物を除去することができる。そして、合流空間には溢流壁を越えた雨水に加えて一般排水流入部からの一般排水も流入しているため、この合流空間において雨水と一般排水とを合流させることができる。このように、桝内空間形成部によって形成される桝内空間を、溢流壁によって雨水受止空間と合流空間とに区画する構成であるため、コンパクトでありながら雨水から泥等の異物を除去すると共に雨水と一般排水とを合流させることができる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記雨水受止空間に、前記合流空間に流入した一般排水から生じた臭いが前記雨水流入部に流れることを防止するトラップが設けられている点にある。
【0009】
本構成によれば、雨水受止空間のトラップによって一般排水の臭いが雨水流入部に流れることが防止されるため、雨水流入部から桝内空間形成部の外部に一般排水の臭いが排出されることを防ぐことができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記トラップは、前記雨水受止空間の底面から上方側に間隔を空けた状態で設置された仕切り板を備えて構成され、
前記仕切り板の下端が、前記溢流壁の上端より下方側に位置している点にある。
【0011】
本構成によれば、仕切り板を、雨水受止空間の底面から上方側に間隔を空けた状態で且つ仕切り板の下端が溢流壁の上端より下方側に位置するように設置することで、泥だまりを形成しながら効率よくトラップを構成することができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、前記桝内空間形成部は、前記桝内空間を囲う外壁部分と、前記桝内空間において前記雨水受止空間を区画形成する区画壁部分とを備え、
前記外壁部分が、コンクリートにて構成され、前記区画壁部分が、鋼板にて構成されている点にある。
【0013】
本構成によれば、区画壁部分を鋼板にて構成することで外壁部分と区画壁部分との双方をコンクリートで構成する場合に比べて合流桝のコンパクト化が図り易くなる。
【0014】
本発明の第5特徴構成は、平面視で前記雨水受止空間と前記合流空間とが並ぶ方向を並び方向とし、平面視で前記並び方向と直交する方向を幅方向として、
前記桝内空間形成部は、前記並び方向に沿う一対の桝横側壁を前記幅方向に間隔を空けた状態で備えて、前記一対の桝横側壁の間に前記雨水受止空間及び前記合流空間を形成すると共に前記雨水受止空間及び前記合流空間の上方側に前記雨水受止空間の真上から前記合流空間の真上に亘る一般排水路接続空間を形成し、
前記一般排水流入部は、前記桝横側壁における前記一般排水路接続空間に対面する部分に備えられている点にある。
【0015】
本構成によれば、一般排水路接続空間が前記雨水受止空間の真上から前記合流空間の真上まで存在しており、この一般排水接続空間に対面する桝横側壁の部分に一般排水流入部を備えることで、一般排水流入部を雨水受止空間の上方側から合流空間の上流側に亘る任意の位置に備えることができるため、一般排水流入部を備える位置の自由度を高めることができる。
【0016】
本発明の第6特徴構成は、平面視で前記雨水受止空間と前記合流空間とが並ぶ方向を並び方向とし、平面視で前記並び方向と直交する方向を幅方向として、
前記桝内空間形成部は、前記並び方向に沿う一対の桝横側壁を前記幅方向に間隔を空けた状態で備えて、前記一対の桝横側壁の間に前記雨水受止空間及び前記合流空間を形成し、
前記雨水流入部と前記一般排水流入部とが、前記一対の桝横側壁のうちの同じ前記桝横側壁に、平面視で同じ位置で且つ上下方向に並ぶ状態で備えられている点にある。
【0017】
本構成によれば、雨水流入部と一般排水流入部とを平面視で同じ位置で且つ上下方向に並べた状態で備えることで、桝内空間形成部の外部において、雨水流入部に接続された雨水路と一般排水流入部に接続された一般排水路とを上下方向に並ぶ状態で設置できるため、雨水路と一般排水路との設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】合流桝の斜視図
図2】外壁蓋部及び区画蓋部を外した状態の合流桝の縦断斜視図
図3】合流桝の縦断側面図
図4】外壁蓋部及び区画蓋部を外した状態の合流桝の平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る合流桝の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、合流桝1の斜視図である。図2は、合流桝1の縦断斜視図であり、この図2では、図1で示していた合流桝1の外壁蓋部23及び区画蓋部29を取り外していると共に、区画横側壁25を透過した状態を示している。また、図1及び図2では、一般排水路5を一点鎖線で示し、一般排水路5における雨水路3によって隠れている部分も示している。
図1及び図2に示すように、合流桝1は、桝内空間Sを形成する直方体形状の桝内空間形成部2を備えている。また、図1から図3に示すように、合流桝1は、雨水路3が接続されて雨水が桝内空間Sに流入する雨水流入部4と、一般排水路5が接続されて一般排水が桝内空間Sに流入する一般排水流入部6とを備えている。また、合流桝1は、雨水と一般排水とを合流させた合流排水を桝内空間Sから流出させる合流排水流出部7を備えている。尚、本実施形態では、キッチンや洗面台や風呂等からの排水である雑排水とトイレからの排水である汚水との双方を一般排水としている。
【0020】
図2及び図3に示すように、桝内空間Sに、泥だまり11を有すると共に雨水流入部4から流入する雨水を一旦受け止める雨水受止空間S1と、その雨水受止空間S1から流出する雨水と一般排水流入部6から流入する一般排水とを合流させる合流空間S2とに区画する溢流壁12を備えている。
また、雨水受止空間S1に、合流空間S2に流入した一般排水から生じた臭いが雨水流入部4に流れることを防止するトラップ13を設けている。トラップ13は、雨水受止空間S1の底面から上方側Z1に間隔を空けた状態で設置された仕切り板14を備えて構成されており、仕切り板14の下端が、溢流壁12の上端より下方側Z2に位置している。
【0021】
そのため、合流桝1では、雨水流入部4から桝内空間Sに流入した雨水が、桝内空間Sにおける雨水受止空間S1によって一旦受け止められ、この雨水受止空間S1において雨水に含まれている泥等の異物が泥だまり11に沈下しつつ雨水の上澄み分が溢流壁12を超えて合流空間S2に流入するようになっている。また、合流桝1において、一般排水流入部6から桝内空間Sに流入した一般排水は、桝内空間Sにおける合流空間S2に流入し、合流空間S2において一般排水と溢流壁12を超えて流入した雨水とが合流し、この雨水と一般排水とが合流した合流排水が合流排水流出部7及びこの合流排水流出部7に接続された排水管(図示せず)を通って外部に流出するようになっている。
【0022】
そして、雨水受止空間S1では、溢流壁12の上端の高さの雨水が貯留され、仕切り板14の下端は雨水受止空間S1に貯留される雨水の水面より下方側Z2に位置している。そのため、合流空間S2に流入した一般排水から生じた臭いは、溢流壁12の上端の上方側Z1に形成されている隙間(後述する流出開口部31)から雨水受止空間S1に流れるが、雨水受止空間S1に貯留している雨水によって水封されるため、この臭いが雨水流入部4に流れることが防止されている。
【0023】
次に、桝内空間形成部2について説明を加える。尚、桝内空間形成部2について説明を加えるにあたり、平面視で雨水受止空間S1と合流空間S2とが並ぶ方向を並び方向Xとし、平面視で並び方向Xと直交する方向を幅方向Yとして説明する。また、並び方向Xの一方側を前側X1、その反対側を後側X2と称し、幅方向Yの一方側を右側Y1、その反対側を左側Y2と称して説明する。
【0024】
図4に示すように、桝内空間形成部2は、並び方向Xに沿う一対の桝横側壁15を幅方向Yに間隔を空けた状態で備えて、一対の桝横側壁15の間に雨水受止空間S1及び合流空間S2を形成している。また、桝内空間形成部2は、上述のように一対の桝横側壁15を備えて、一対の桝横側壁15の間に、雨水受止空間S1及び合流空間S2に加えて、雨水受止空間S1及び合流空間S2の上方側Z1に雨水受止空間S1の真上から合流空間S2の真上に亘る一般排水路接続空間S3(図3参照)を形成している。尚、図4は、合流桝1の平面図であり、この図4では、図1で示していた合流桝1の外壁蓋部23及び区画蓋部29を取り外している。
【0025】
説明を加えると、図2から図4に示すように、桝内空間形成部2は、桝内空間Sを囲う外壁部分16と、桝内空間S内において雨水受止空間S1を区画形成する区画壁部分17とを備えている。本実施形態では、外壁部分16は、コンクリートにて構成されている。また、区画壁部分17は、鋼板にて構成されており、詳しくは、ステンレス板にて構成されている。そして、外壁部分16や区画壁部分17は直方体形状に形成されており、桝内空間形成部2における一対の桝横側壁15は、外壁部分16の一対の外壁横側壁19と区画壁部分17の一対の区画横側壁25とによって構成されている。
【0026】
図4に示すように、外壁部分16は、上述した一対の外壁横側壁19に加えて、幅方向Yに沿う外壁前側壁20と外壁後側壁21とを並び方向Xに間隔を空けた状態で備えて、これら一対の外壁横側壁19と外壁前側壁20と外壁後側壁21とによって平面視で矩形状に形成された周側壁を形成している。また、図3に示すように、外壁部分16は、外壁部分16の周側壁(一対の外壁横側壁19と外壁前側壁20と外壁後側壁21)の上下を塞ぐように外壁底部22と外壁蓋部23とを備えており、全体として直方体形状に形成して内部に桝内空間Sを形成している。
図1及び図2に示すように、本実施形態では、一対の外壁横側壁19と外壁後側壁21と外壁底部22とは一体に形成されている。外壁前側壁20は、着脱可能に外壁部分16に備えられており、例えば、一対の外壁横側壁19における前側X1の端部の間に上方側Z1から差し込むようにして装着可能に構成されている。また、外壁蓋部23は、着脱可能に外壁部分16に備えられており、例えば、一対の外壁横側壁19と外壁前側壁20と外壁後側壁21との上(外壁部分16の側壁の上)に載せるようにして装着可能に構成されている。
【0027】
図4に示すように、区画壁部分17は、上述した一対の区画横側壁25に加えて、幅方向Yに沿う区画前側壁26と区画後側壁27とを並び方向Xに間隔を空けた状態で備えて、これら一対の区画横側壁25と区画前側壁26と区画後側壁27とによって平面視で矩形状に形成された周側壁を形成している。また、図3に示すように、区画壁部分17は、区画壁部分17の周側壁(一対の区画横側壁25と区画前側壁26と区画後側壁27)の上下を塞ぐように区画底部28と区画蓋部29とを備え、全体として直方体形状に形成して内部に雨水受止空間S1を形成している。
図2及び図3に示すように、本実施形態では、一対の区画横側壁25と区画前側壁26と区画後側壁27と区画底部28とは溶接等によって一体化されている。区画蓋部29は、着脱可能に区画壁部分17に備えられており、例えば、一対の区画横側壁25と区画前側壁26と区画後側壁27との上(区画壁部分17の側壁の上)に載せるようにして装着可能に構成されている。
【0028】
区画壁部分17は、桝内空間Sにおいて後側X2に寄せると共に下方側Z2に寄せた状態で設置されており、外壁後側壁21に接していると共に外壁底部22に接している。また、区画壁部分17の幅方向Yの幅は、外壁部分16の幅方向Yの内幅に応じた大きさとなっており、区画壁部分17は、一対の外壁横側壁19の双方に接している。このように区画壁部分17を桝内空間Sに設置することで、桝内空間Sにおける区画壁部分17の前側X1の部分によって合流空間S2が形成され、桝内空間Sにおける合流空間S2の上方側Z1の部分及び区画壁部分17の上方側Z1の部分によって一般排水路接続空間S3が形成されている。
【0029】
図2及び図3に示すように、区画前側壁26の上部には、雨水受止空間S1の雨水が合流空間S2に流出するための流出開口部31が形成されている。本実施形態では、区画前側壁26は、一対の区画横側壁25より低い高さに形成されて区画前側壁26の上端と区画蓋部29の下面との間に隙間が形成されており、この隙間によって流出開口部31が形成されている。区画前側壁26は、雨水受止空間S1と合流空間S2とを区画しており、雨水受止空間S1からあふれた雨水が流出開口部31を通って雨水受止空間S1に流動するようになっている。つまり、区画前側壁26は、雨水受止空間S1と合流空間S2とを区画する溢流壁12として機能している。
【0030】
図2及び図3に示すように、雨水流入部4は、一対の桝横側壁15における雨水受止空間S1に対面する部分に備えられている。説明を加えると、雨水流入部4は、一対の桝横側壁15のうちの一方(本実施形態では、右側Y1の桝横側壁15)に備えられている。また、雨水流入部4は、一方の桝横側壁15における雨水受止空間S1に対面する部分であって、仕切り板14に対して後側X2で且つ溢流壁12の上端より上方側Z1に備えられている。本実施形態では、区画壁部分17の一方の区画横側壁25(右側Y1の区画横側壁25)における仕切り板14より後側X2で且つ溢流壁12の上端より上方側Z1に開口を形成すると共に、外壁部分16の一方の外壁横側壁19(右側Y1の外壁横側壁19)における区画横側壁25の開口と並び方向X及び上下方向Zで同じ位置に開口を形成することで雨水流入部4が形成されている。
この雨水流入部4には、桝内空間形成部2の外部に設置されている雨水路3が接続されている。雨水路3からの雨水は雨水流入部4を通ってこの雨水流入部4から直接に雨水受止空間S1における仕切り板14より後側X2の部分に流入する。尚、雨水路3は側溝によって構成されている。
【0031】
また、区画壁部分17には、幅方向Y及び上下方向Zに沿う姿勢の仕切り板14が備えられている。この仕切り板14は、区画底部28の底面から上方側Z1に間隔を空けた状態で設置されており、仕切り板14の下端と区画底部28の上面との間に連通開口部32が形成されている。
また、雨水受止空間S1では、区画前側壁26の上端の高さまで雨水が貯留されるが、仕切り板14の下端は、区画前側壁26の上端より下方側Z2に位置しており、仕切り板14の下端は雨水受止空間S1に貯留される雨水内に位置する。そのため、合流空間S2に流入した一般排水から生じた臭いが、雨水受止空間S1に貯留している雨水によって水封され、仕切り板14より後側X2に流れることが仕切り板14によって規制されるため、この臭いが仕切り板14より後側X2に設けられている雨水流入部4に流れることが防止されている。
尚、区画底部28の上面が、雨水受止空間S1の底面に相当する。また、区画前側壁26における流出開口部31の下端を形成する部分が、溢流壁12の上端に相当する。
【0032】
図2から図4に示すように、一般排水流入部6は、一対の桝横側壁15における一般排水路接続空間S3に対面する部分に備えられている。説明を加えると、一般排水流入部6は、一対の桝横側壁15のうちの一方(本実施形態では、右側Y1の桝横側壁15)における一般排水路接続空間S3に対面する部分に備えられている。また、一般排水流入部6は、一方の桝横側壁15における、並び方向Xで雨水流入部4と同じ箇所に備えられている。本実施形態では、一般排水流入部6と雨水流入部4とは、一対の桝横側壁15のうちの同じ桝横側壁15(右側Y1の桝横側壁15)に、平面視で同じ位置で且つ上下方向Zに並ぶ状態で備えられている。
一般排水流入部6には、桝内空間形成部2の外部に設置されている一般排水路5が接続されていると共に、桝内空間形成部2の内部に設置されている桝内排水路34が接続されている。一般排水路5からの一般排水は一般排水流入部6と桝内排水路34とを通って、桝内排水路34の先端から合流空間S2に流入する。尚、一般排水路5及び桝内排水路34は排水管によって構成されている。また、一般排水路5は、雨水路3の上方側Z1に平面視で雨水路3と重なるように設置されている。
【0033】
上述の如く構成された合流桝1は、桝内空間形成部2によって形成される桝内空間Sを、溢流壁12によって泥だまり11を有する雨水受止空間S1と合流空間S2とに区画する構成であるため、コンパクトでありながら雨水から泥等の異物を除去すると共に雨水と一般排水とを合流させることができる。
【0034】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0035】
(1)上記実施形態では、雨水流入部4と一般排水流入部6とを、一対の桝横側壁15のうちの同じ桝横側壁15に、平面視で同じ位置で且つ上下方向Zに並ぶ状態で備える構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、雨水流入部4を一対の桝横側壁15の一方に備え、一般排水流入部6を一対の桝横側壁15の他方に備える等、桝内空間形成部2における雨水流入部4や一般排水流入部6を備える位置を適宜変更してもよく、雨水流入部4と一般排水流入部6との位置関係を適宜変更してもよい。
【0036】
(2)上記実施形態では、外壁部分16をコンクリートで構成し、区画壁部分17を鋼板で構成する例を説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、外壁部分16と区画壁部分17との双方を鋼板で構成して外壁部分16と区画壁部分17とを一体形成する、又は、外壁部分16と区画壁部分17とのうちの一方又は双方を塩化ビニル樹脂によって構成する等、外壁部分16や区画壁部分17の材質は適宜変更してもよい。また、上記実施形態では、鋼板で構成した区画壁部分17として、ステンレス板で構成した区画壁部分17を例として説明したが、区画壁部分17を、ステンレス板以外の鋼板で構成してもよい。
【0037】
(3)上記実施形態では、雨水受止空間S1にトラップ13を設けたが、一般排水の臭いが少ない場合等において、雨水受止空間S1にトラップ13を備えなくてもよい。また、雨水受止空間S1にトラップ13を設けた場合において、トラップ13の構成は適宜変更してもよい。
【0038】
(4)上記実施形態では、桝内空間形成部2の外形を直方体形状としたが、桝内空間形成部2の外形を円柱形状とする等、桝内空間形成部2の外形は適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 合流桝
2 桝内空間形成部
3 雨水路
4 雨水流入部
5 一般排水路
6 一般排水流入部
11 泥だまり
12 溢流壁
13 トラップ
14 仕切り板
15 桝横側壁
16 外壁部分
17 区画壁部分
S 桝内空間
S1 雨水受止空間
S2 合流空間
S3 一般排水路接続空間
X 並び方向
Y 幅方向
Z1 上方側
Z2 下方側
図1
図2
図3
図4