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特開2023-78615調心嵌合装置、タイヤ製造装置、及び調心嵌合方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078615
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】調心嵌合装置、タイヤ製造装置、及び調心嵌合方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/12 20060101AFI20230531BHJP
【FI】
B29D30/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191819
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 理史
【テーマコード(参考)】
4F215
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215VA02
4F215VP01
4F215VP34
4F215VP38
4F215VQ02
4F215VR08
(57)【要約】
【課題】被取付け物と取付け部との嵌合精度を簡易な構造で向上させる調心嵌合装置を提供することを目的とする。
【解決手段】被取付け物80が嵌合されて取り付けられる取付け部12と、前記取付け部12において、前記取付け部12に対する前記被取付け物80の取付け方向に対して交差する方向に設けられ、前記取付け部12に第一の振動W1を与える第一振動発生部70Aと、前記取付け部12において、前記取付け方向から見て前記第一振動発生部70Aの位置と異なる方向に設けられ、前記取付け部12に第二の振動W2を与える第二振動発生部70Bと、を備える調心嵌合装置10。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付け物が嵌合されて取り付けられる取付け部と、
前記取付け部において、前記取付け部に対する前記被取付け物の取付け方向に対して交差する方向に設けられ、前記取付け部に第一の振動を与える第一振動発生部と、
前記取付け部において、前記取付け方向から見て前記第一振動発生部の位置と異なる方向に設けられ、前記取付け部に第二の振動を与える第二振動発生部と、
を備える調心嵌合装置。
【請求項2】
前記取付け部は、前記被取付け物が嵌合する嵌合部を有する連結部と、前記連結部を支持する本体と、を有し、
前記第一振動発生部は、前記本体の上方に配置され、前記本体を上方から押圧して前記第一の振動を与え、
前記第二振動発生部は、前記本体の側方に配置され、前記本体を側方から押圧して前記第二の振動を与える、
請求項1に記載の調心嵌合装置。
【請求項3】
前記取付け部は、前記被取付け物が嵌合する嵌合部を有する連結部と、前記連結部を支持する本体と、を有し、
前記第一振動発生部は、前記連結部の上方に配置され、前記連結部を上方から押圧して前記第一の振動を与え、
前記第二振動発生部は、前記連結部の側方に配置され、前記連結部を側方から押圧して前記第二の振動を与える、
請求項1に記載の調心嵌合装置。
【請求項4】
前記第一振動発生部は、円形の第一回転板と、前記第一回転板を前記第一回転板の中心から偏心して回転させ、前記第一回転板を前記取付け部に当接させて押圧する第一回転手段とを有し、
前記第二振動発生部は、円形の第二回転板と、前記第二回転板を前記第二回転板の中心から偏心して回転させ、前記第二回転板を前記取付け部に当接させて押圧する第二回転手段とを有している、
請求項2又は請求項3に記載の調心嵌合装置。
【請求項5】
前記第一振動発生部による前記取付け部の押圧のサイクルと、前記第二振動発生部による前記取付け部の押圧のサイクルとは、互いに周期が同一で位相が異なる、
請求項4に記載の調心嵌合装置。
【請求項6】
前記第一回転板の中心と前記第一回転板の回転中心との距離は、0.1mm以上0.2mm以下とされ、前記第一回転手段は前記第一回転板を10Hz以上100Hz以下で回転させ、
前記第二回転板の中心と前記第二回転板の回転中心との距離は、0.1mm以上0.2mm以下とされ、前記第二回転手段は前記第二回転板を10Hz以上100Hz以下で回転させる、
請求項4又は請求項5に記載の調心嵌合装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の調心嵌合装置を備え、
前記取付け部には、前記被取付け物としてタイヤ製造に用いられるコアが嵌合される、
タイヤ製造装置。
【請求項8】
被取付け物を、取付け部に嵌合させて取り付ける際に、
前記取付け部に対する前記被取付け物の取付け方向に対して交差する方向に設けられた第一振動発生部により前記取付け部に振動を与えると共に、前記取付け方向から見て前記第一振動発生部の位置と異なる方向に設けられた第二振動発生部により前記取付け部に振動を与える、調心嵌合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調心嵌合装置、タイヤ製造装置、及び調心嵌合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、軌道上を走行するそれぞれの台車3によって、軌道外の複数の作業ステーションに搬送される成型ドラム2に台車3を介して連結されて、歯車駆動機構により、成型ドラム2を駆動軸中心の周りに回転駆動させる、各作業ステーションに設けたタイヤ成型ドラムの駆動装置が開示されている。このタイヤ成型ドラムの駆動装置は、該台車3、又は該駆動装置の連結部の何れか一方に、被動側若しくは駆動側の駆動連結部の平行度を修正可能な自動調芯機構を設けてなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-082091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載の構成では噛み合い精度が低下しても駆動連結部の平行度を自動的に修正する。しかしながら、この構成では、噛み合い精度自体の低下を抑えることができない。
【0005】
本発明は上記した問題に着目してなされたものであって、被取付け物と取付け部との嵌合精度を簡易な構造で向上させる調心嵌合装置、タイヤ製造装置、及び調心嵌合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様の調心嵌合装置は、被取付け物が嵌合されて取り付けられる取付け部と、前記取付け部において、前記取付け部に対する前記被取付け物の取付け方向に対して交差する方向に設けられ、前記取付け部に第一の振動を与える第一振動発生部と、前記取付け部において、前記取付け方向から見て前記第一振動発生部の位置と異なる方向に設けられ、前記取付け部に第二の振動を与える第二振動発生部と、を備える。
【0007】
第一態様に記載の調心嵌合装置では、取付け部を振動させることにより、被取付け物と取付け部との嵌合精度を向上させることができる。
【0008】
第二態様の調心嵌合装置は、第一態様に記載の調心嵌合装置において、前記取付け部は、前記被取付け物が嵌合する嵌合部を有する連結部と、前記連結部を支持する本体と、を有し、前記第一振動発生部は、前記本体の上方に配置され、前記本体を上方から押圧して前記第一の振動を与え、前記第二振動発生部は、前記本体の側方に配置され、前記本体を側方から押圧して前記第二の振動を与える。
【0009】
第二態様に記載の調心嵌合装置では、振動発生部を取付け部の本体に配置するため、第一振動発生部及び第二振動発生部を配置する自由度を向上させることができる。
【0010】
第三態様の調心嵌合装置は、第一態様に記載の調心嵌合装置において、前記取付け部は、前記被取付け物が嵌合する嵌合部を有する連結部と、前記連結部を支持する本体と、を有し、前記第一振動発生部は、前記連結部の上方に配置され、前記連結部を上方から押圧して前記第一の振動を与え、前記第二振動発生部は、前記連結部の側方に配置され、前記連結部を側方から押圧して前記第二の振動を与える。
【0011】
第三態様に記載の調心嵌合装置では、振動発生部を取付け部の連結部に配置するため、振動発生部を配置する自由度を向上させることができる。
【0012】
第四態様の調心嵌合装置は、第二態様又は第三態様に記載の調心嵌合装置において、前記第一振動発生部は、円形の第一回転板と、前記第一回転板を前記第一回転板の中心から偏心して回転させ、前記第一回転板を前記取付け部に当接させて押圧する第一回転手段とを有し、前記第二振動発生部は、円形の第二回転板と、前記第二回転板を前記第二回転板の中心から偏心して回転させ、前記第二回転板を前記取付け部に当接させて押圧する第二回転手段とを有している。
【0013】
第四態様に記載の調心嵌合装置では、簡易な構成により、第一の振動及び第二の振動を作り出すことができる。
【0014】
第五態様の調心嵌合装置は、第四態様に記載の調心嵌合装置において、前記第一振動発生部による前記取付け部の押圧のサイクルと、前記第二振動発生部による前記取付け部の押圧のサイクルとは、互いに周期が同一で位相が異なる。
【0015】
第五態様に記載の調心嵌合装置では、位相を異ならせることにより、取付け部の振動による変位の軌跡が楕円形又は円形となるため、嵌合精度を向上させることができる。
【0016】
第六態様の調心嵌合装置は、第四態様又は第五態様に記載の調心嵌合装置において、前記第一回転板の中心と前記第一回転板の回転中心との距離は、0.1mm以上0.2mm以下とされ、前記第一回転手段は前記第一回転板を10Hz以上100Hz以下で回転させ、前記第二回転板の中心と前記第二回転板の回転中心との距離は、0.1mm以上0.2mm以下とされ、前記第二回転手段は前記第二回転板を10Hz以上100Hz以下で回転させる。
【0017】
第六態様に記載の調心嵌合装置では、取付け部を上記の振動幅及び回転数の範囲内で振動させることによって、上記の範囲外の振動幅又は回転数の場合と比して、被取付け物と調心嵌合装置との嵌合精度を向上させることができる。
【0018】
第七態様のタイヤ製造装置は、第一態様から第六態様までのいずれか一項に記載の調心嵌合装置において、前記取付け部には、前記被取付け物としてタイヤ製造に用いられるコアが嵌合される。
【0019】
第七態様に記載のタイヤ製造装置では、コア製法に用いるコアを振動させることによって、コアと装置との嵌合精度を向上させるタイヤ製造装置を得ることができる。
【0020】
第八態様の調心嵌合方法は、被取付け物を、取付け部に嵌合させて取り付ける際に、前記取付け部に対する前記被取付け物の取付け方向に対して交差する方向に設けられた第一振動発生部により前記取付け部に振動を与えると共に、前記取付け方向から見て前記第一振動発生部の位置と異なる方向に設けられた第二振動発生部により前記取付け部に振動を与える。
【0021】
第八態様に記載の調心嵌合方法では、嵌合部を振動させることにより、被取付け物と嵌合部との嵌合精度を向上させる調心嵌合方法を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、被取付け物と取付け部との嵌合精度を簡易な構造で向上させる調心嵌合装置、タイヤ製造装置、及び調心嵌合方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のタイヤ製造装置を説明する斜視図である。
図2】本発明のタイヤ製造装置の取付け部を説明する斜視図である。
図3】本発明のタイヤ製造装置に取り付けられるコアを説明する図であり、図3Aは、コアの正面図、図3Bは、図3Aの3A-3A線に沿ったコアの断面図である。
図4】本発明のタイヤ製造装置が有する第一振動発生部及び第二振動発生部を説明する図であり、図4Aは、タイヤ製造装置の正面図、図4Bは、タイヤ製造装置の側面図である。
図5】本発明のタイヤ製造装置が有する第一振動発生部の第一回転板及び第二振動発生部の第二回転板の回転により嵌合部が振動する様子を説明する図であり、図5Aは、回転角度が0°の図、図5Bは、回転角度が90°の図、図5Cは、回転角度が180°の図、図5Dは、回転角度が270°の図である。
図6】本発明のタイヤ製造装置とコアとが連結される様子を説明する断面図であり、図6Aは、コアがタイヤ製造装置に近づく図、図6Bは、コアがタイヤ製造装置の取付け部に嵌合する図、図6Cは、コアがタイヤ製造装置に連結された図である。
図7】本発明のタイヤ製造装置にコアが連結される様子を説明する図であり、図7Aは、コアを保持したロボットアームがタイヤ製造装置に近づく図、図7Bは、コアをタイヤ製造装置に連結する図、図7Cは、ロボットアームがタイヤ製造装置に連結されたコアから離れる図である。
図8】本発明の第一変形例に係るタイヤ製造装置が有する第一振動発生部及び第二振動発生部を説明する図であり、図8Aは、タイヤ製造装置の正面図、図8Bは、タイヤ製造装置の側面図である。
図9】本発明の第二変形例に係るタイヤ製造装置が有する第一振動発生部及び第二振動発生部を説明する図であり、図9Aは、タイヤ製造装置の正面図、図9Bは、タイヤ製造装置の側面図である。である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において、同一又は等価な構成要素及び部品には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0025】
また、各図に示す矢印UPは、鉛直方向であって調心嵌合装置の上方向を示し、矢印LHは、水平方向であって調心嵌合装置の幅方向左方向を示し、矢印RHは、水平方向であって調心嵌合装置の幅方向右方向を示し、矢印FRは、水平方向であって調心嵌合装置の前方向を示し、矢印RRは、水平方向であって調心嵌合装置の後方向を示す。
【0026】
また、下記の説明では、「上下方向」を、「上方向及び下方向の両方向」又は「上方向及び下方向のいずれか一方向」という意味で用いる場合がある。「左右方向」を、「右方向及び左方向の両方向」又は「右方向及び左方向のいずれか一方向」という意味で用いる場合がある。なお、「側方」は「右方向及び左方向の両方向」又は「右方向及び左方向のいずれか一方向」という意味で用いる場合がある。なお、「左右方向」は、横方向、水平方向ともいえる。「前後方向」を、「前方向及び後方向の両方向」又は「前方向及び後方向のいずれか一方向」という意味で用いる場合がある。なお、「前後方向」は、横方向、水平方向ともいえる。また、上下方向、左右方向、前後方向は、互いに交差する方向(具体的には、直交する方向)である。
【0027】
(装置概要)
図1は、本発明に係る調心嵌合装置の一例であるタイヤ製造装置10を示す図である。本発明に係るタイヤ製造装置10は、本体16及び、被装着部材が嵌合されて取り付けられる連結部14を有する取付け部12と、本体16の上方に設けられた第一振動発生部70Aと、本体16の側方に設けられた第二振動発生部70Bと、を備えている。
【0028】
また、本発明に係るタイヤ製造装置10は、図1に示すように、被装着部材の一例としてタイヤ製造に用いられるコア80と、コア80を搬送するロボットアーム90と共に、タイヤ製造に用いられる。
【0029】
なお、本発明に係るタイヤ製造装置10は、一例として、タイヤ製造の際にコア80を回転駆動させることでコア80の外周にタイヤ部品を巻き付けるコア駆動装置である。
【0030】
(取付け部12)
図2は、本発明に係るタイヤ製造装置10の取付け部12を説明する図である。図2に示すように、本発明に係る取付け部12は、コア80が嵌合する嵌合部の一例である位置決めピン40を有する連結部14と、連結部14を支持する本体16と、を有している。この取付け部12は、略直方体状の筐体60を有する本体16と、筐体60に片持ちで回転可能に支持された主軸18と、第一ブロック62Aと、第二ブロック62Bを有している。
【0031】
主軸18は、筐体60の内部に設けられた図示しない駆動装置と接続されており、駆動装置が出力する回転力を受けて回転する。
【0032】
第一ブロック62A及び第二ブロック62Bは、それぞれ筐体60の上方及び側方に設けられており、後述する第一振動発生部70A及び第二振動発生部70Bと当接される。
【0033】
(連結部14)
図2に示すように、連結部14は、正面視で円形を成し、本体16から片持ちされた主軸18に接続されており、位置決めピン40と、プラグ44と、を有している。
【0034】
プラグ44は、一例として、連結部14を正面視して同心円上に90°の角度間隔を空けて4個配置されている。
【0035】
位置決めピン40は、一例として、連結部14を正面視して、プラグ44と同心円上に、隣り合うプラグ44との間の角度間隔の1/3だけ一のプラグ44から離れた位置と、該位置に対して正面視で円周方向の反対側の位置にそれぞれ突出して設けられている。
【0036】
すなわち、位置決めピン40は、連結部14に180°の角度間隔を空けて2個配置されている。
【0037】
位置決めピン40は、一例として、連結部14を側面視して、連結部14から突出する円柱部40Cと、円柱部40Cの前方からさらに前方に向かって細くなるテーパ部40Tと、を有している。
【0038】
また、位置決めピン40が側面視して連結部14から突出する長さは、プラグ44が連結部14から突出した長さよりも長い。
【0039】
なお、位置決めピン40は、連結部14と一体に成形されていてもよく、連結部14と別体のピンが挿入されることで配置されていてもよい。
【0040】
(コア80)
図3は、本発明に係るコア80の一例を示す図であり、図3Aは、コア80の正面図、図3Bは、図3Aの3A-3A線に沿ったコア80の断面図である。
【0041】
図3A及び図3Bに示すように、コア80は、正面視で中心に孔を有した円盤状を成す中央部84と、中央部84に対して径方向外側で円環状を成す外周部82とを有している。
【0042】
中央部84には、同心円上に配置されたソケット86を有すると共に、ソケット86と同心円上に位置決め孔88が形成されている。
【0043】
なお、中央部84においてソケット86が配置され、位置決め孔88が形成された同心円は、連結部14を正面視して位置決めピン40が設けられた同心円と同径とされている。
【0044】
また、ソケット86は、図3Aに示すように、コア80を正面視して同心円上に90°の角度間隔を空けて4個配置されている。すなわち、コア80のソケット86と、連結部14のプラグ44とはそれぞれ連結可能とされている。
【0045】
なお、ソケット86は、図3Bに示すように、コア80の正面側及び背面側の両側に設けられている。すなわち、ソケット86と連結されるプラグ44は、コア80の正面側及び背面側の両方から連結可能とされている。
【0046】
また、位置決め孔88は、一例として、コア80の中央部84を正面視して、ソケット86と同心円上に、隣り合うソケット86との間の角度間隔を例えば3等分する位置にそれぞれ形成されている貫通孔である。
【0047】
すなわち、位置決め孔88は、中央部84に30°の角度間隔を空けて、ソケット86が配置された箇所を除く8箇所に形成されている。
【0048】
なお、位置決め孔88の直径は、位置決めピン40の直径に対して僅かに大きい。一例として、位置決め孔88の直径と位置決めピン40の直径との差は、0.1mm以上0.2mm以下の大きさとされている。
【0049】
これにより、後述する図6に示すように、連結部14に設けられた位置決めピン40は、コア80の中央部84に形成された位置決め孔88のうち、中央部84の径方向に対称となる2つの位置決め孔88にそれぞれ嵌合可能とされるとともに、連結部14のプラグ44と、コア80の中央部84のソケット86が、連結可能とされている。
【0050】
したがって、本実施形態に係るコア80は、連結部14に取付け方向である正面方向から近接し、位置決めピン40と位置決め孔88が嵌合されながら、プラグ44とソケット86を連結されることで、取付け部12に取り付けられる。
【0051】
なお、本発明に係るコア80は、一例として、径方向及び周方向に分割される複数の部品で作られており、取付け部12に取り付けられた状態で、外周部82にタイヤ製造部品を巻き付けられることで、タイヤ製造に用いられる。
【0052】
より具体的には、コア80は、タイヤ製造装置10の連結部14に取り付けられた後、コア80の外周に未加硫のインナーライナー、スチールコード等が巻き付けられてカーカスが形成され、さらにベルト、サイドトレッド、トップトレッドなどの周知のタイヤ構成部材が張り付けられて生タイヤが製造される。
【0053】
その後、コア80と共に生タイヤは、モールドに装填されて加硫が行われ、製品タイヤが製造される。なお、加硫後には、コア80は分解されて製品タイヤから内から取り出される。
【0054】
(ロボットアーム90)
図1に示すように、ロボットアーム90は、一例としてアームの先端に、連結部14と同様に、同心円上に4個のプラグ44が設けられており、コア80のソケット86にプラグ44が連結されることでコア80を保持する保持部92を有している。
【0055】
なお、ロボットアーム90は、保持部92にコア80を保持した状態で、コア80を搬送可能とされていれば、どのような物でもよく、産業用のロボットが適宜に使用される。
【0056】
続いて、図2及び図4を適宜参照して本発明に係る第一振動発生部70A及び第二振動発生部70Bを説明する。
【0057】
図4は、本発明のタイヤ製造装置10が有している第一振動発生部70A及び第二振動発生部70Bを説明する図であり、図4Aは、タイヤ製造装置10の正面図、図4Bは、タイヤ製造装置10の側面図である。
【0058】
(第一振動発生部70A)
図2及び図4に示すように、第一振動発生部70Aは、取付け部12において、取付け部12に対するコア80の取付け方向に対して交差する方向に設けられ、取付け部12に第一の振動を与える部位である。この第一振動発生部70Aは、第一回転板72Aと、第一回転手段の一例である第一サーボモータ74Aとを有しており、本体16の筐体60の上方に設けられ、本体16を上方から押圧して第一の振動を与える。
【0059】
第一サーボモータ74Aは、図示しないエンコーダによって、回転角度を測定されながら、図示しない制御部から回転速度を制御されて回転する。すなわち、第一サーボモータ74Aは、制御部にフィードバック制御されて回転する。
【0060】
第一回転板72Aは、取付け部12を正面視して円形を成す部材であり、第一回転板72Aの中心から径方向に偏心して、第一シャフト76Aに固定されている。
【0061】
第一シャフト76Aは、第一回転板72Aを固定した状態で、第一サーボモータ74Aの出力軸に接続されている。すなわち、第一回転板72Aは、第一シャフト76Aを介して、第一サーボモータ74Aの回転に応じて、第一回転板72Aは、径方向に偏心した状態で回転する。
【0062】
なお、第一シャフト76Aは、どのような形状及び材料で形成されていてもよいが、後述する第一の振動W1を発生させる場合において、容易に弾性変形しないように形成されていることが望ましい。
【0063】
なお、第一回転板72Aは、一例として、第一回転板72Aの中心から0.1mm以上0.2mm以下の距離を有した状態で第一シャフト76Aに固定されている。換言すれば、第一回転板72Aの中心と第一回転板72Aの回転中心との距離は、0.1mm以上0.2mm以下とされている。
【0064】
また、第一回転板72Aは、筐体60の上方に設けられた第一ブロック62Aと当接した状態で固定されている。より具体的には、第一回転板72Aの中心が、第一ブロック62Aと最も離れた状態(図4における実線で示した状態)においても、第一ブロック62Aと当接している。
【0065】
このように、第一振動発生部70Aは、円形の第一回転板72Aと第一サーボモータ74Aを有し、第一サーボモータ74Aによって、第一回転板72Aを第一回転板72Aの中心から偏心して回転させ、第一回転板72Aを本体16の第一ブロック62Aに当接させて押圧する。
【0066】
なお、第一回転板72Aは、どのような材質とされていてもよいが、第一ブロック62Aよりも硬い材料で形成されていることが望ましい。換言すれば、第一回転板72Aは、第一ブロック62Aと摺動していても、第一ブロック62Aよりも先に摩耗しない硬度とされていることが望ましい。
【0067】
また、一例として、第一回転板72Aの回転中心における左右方向の位置と、連結部14の中心における左右方向の位置は、正面視で同一の直線上に設けられている。
【0068】
(第二振動発生部70B)
図2及び図4に示すように、第二振動発生部70Bは、取付け部12において、取付け方向から見て第一振動発生部70Aの位置と異なる方向に設けられ、取付け部12に第二の振動を与える部位である。この第二振動発生部70Bは、第二回転板72Bと、第二回転手段の一例である第二サーボモータ74Bとを有しており、本体16の筐体60の側方に設けられ、本体16を側方から押圧して前記第二の振動を与える。
【0069】
また、第二振動発生部70Bが有する構成は、第一振動発生部70Aと同様である。すなわち、第二振動発生部70Bは、第一振動発生部70Aの構成を本体16の筐体60に対して側方に設けたものである。
【0070】
また、一例として、第二回転板72Bの回転中心における上下方向の位置と、連結部14の中心における上下方向の位置は、正面視で同一の直線上に設けられている。
【0071】
また、第一振動発生部70Aと同様に、第二回転板72Bの中心と第二回転板72Bの回転中心との距離は、0.1mm以上0.2mm以下とされている。
【0072】
そして、第一振動発生部70Aと同様に、第二振動発生部70Bは、円形の第二回転板72Bと第二サーボモータ74Bを有し、第二サーボモータ74Bによって、第二回転板72Bを第二回転板72Bの中心から偏心して回転させ、第二回転板72Bを本体16の第二ブロック62Bに当接させて押圧する。
【0073】
なお、図4Aに示すように第二回転板72Bは、正面視で、第一回転板72Aと同じ方向に偏心して第二シャフト76Bに接続されている。
【0074】
また、第一サーボモータ74A及び第二サーボモータ74Bは、一例として図示しない制御部によって回転を同期されている。
【0075】
なお、第一振動発生部70Aと呼び第二振動発生部70Bは、それぞれ正面視で、連結部14から同じ距離に設けられていることが望ましい。換言すれば、連結部14は、筐体60の上面からの長さと、側面からの長さが等しい位置に設けられていることが望ましい。
【0076】
次に、本願の第一振動発生部70A及び第二振動発生部70Bが連結部14に振動を与える様子を説明する。
【0077】
(第一の振動W1)
図4Aに示すように、第一サーボモータ74Aの駆動によって第一回転板72Aが回転され、第一回転板72Aの中心が、第一ブロック62Aに対して近づくにつれて、第一回転板72Aは、第一ブロック62Aにくい込む。
【0078】
なお、第一サーボモータ74Aは、第一回転板72Aを10Hz以上100Hz以下のサイクルで回転させることが望ましい。
【0079】
この状態では、第一ブロック62Aは、第一回転板72Aのくい込みによって、上方から下方に向かう押圧力を受ける。
【0080】
この押圧力は、本体16の筐体60を介して、嵌合部の連結部14まで伝わるため、連結部14は、上方から下方に向かって弾性変形する。
【0081】
そして、第一回転板72Aがさらに回転し、第一回転板72Aの中心が第一ブロック62Aと最も近づいた状態(図4Aにおける二点鎖線で示した状態)で、第一ブロック62Aが第一回転板72Aから受ける押圧力が最大となり、連結部14は、最も下方に変位する。
【0082】
より具体的には、第一回転板72Aが第一ブロック62Aにくい込む、第一のくい込み量d1は、第一回転板72Aの中心から第一シャフト76Aが固定される位置までの距離となる。すなわち、本実施形態において第一のくい込み量d1は、0.1mm以上0.2mm以下の量となる。
【0083】
その後、第一回転板72Aがさらに回転し、第一回転板72Aの中心が第一ブロック62Aから離れるにつれて、第一ブロック62Aが受ける押圧力が減少し、連結部14の弾性変形が解消されるため、連結部14は、次第に上方に変位する。
【0084】
そして、第一回転板72Aの中心が第一ブロック62Aから最も離れた状態において、第一回転板72Aが第一ブロック62Aに加える押圧力が最小となるため、連結部14の変形が最小となる。
【0085】
このように、第一回転板72Aが一回転することに伴って、連結部14は、上下方向に弾性変形する。すなわち、本発明における第一の振動W1とは、第一振動発生部70Aによる、連結部14を上下方向に弾性変形させる振動である。
【0086】
ここで、第一サーボモータ74Aの回転速度、すなわち第一回転板72Aが第一ブロック62Aを押圧するサイクルが変化しない状態においては、連結部14の上下方向の変形は、周期的となる。
【0087】
すなわち、第一回転板72Aを偏心させた状態で回転速度を予め定められた値にすることによって、連結部14の変形量が時間に対してサインカーブを描くように、連結部14を上下方向に振動させることができる。
【0088】
なお、本実施形態においては、第一の振動W1による連結部14の上下方向の変形量、すなわち、連結部14が上下方向に振動する振幅は、第一のくい込み量d1である、0.1mm以上0.2mm以下の量となる。
【0089】
(第二の振動W2)
第二振動発生部70Bにおいても、第一振動発生部70Aと同様に、第二サーボモータ74Bの駆動によって第二回転板72Bが回転され、第二回転板72Bの中心が、第二ブロック62Bに対して近づくにつれて、第二回転板72Bは、第二ブロック62Bにくい込む。
【0090】
すなわち、第二サーボモータ74Bは、第二回転板72Bを10Hz以上100Hz以下のサイクルで回転させることが望ましい。
【0091】
この状態では、第二ブロック62Bは、第二回転板72Bのくい込みによって、右方から左方に向かう押圧力を受ける。
【0092】
この押圧力は、本体16の筐体60を介して、嵌合部の連結部14まで伝わるため、連結部14は、右方から左方に向かって弾性変形する。
【0093】
すなわち、本発明における第二の振動W2とは、第一振動発生部70Aと同様に、第二振動発生部70Bによる、連結部14を左右方向に弾性変形させる振動である。
【0094】
したがって、第二回転板72Bを偏心させた状態で回転速度を予め定められた値にすることによって、連結部14の変形量が時間に対してサインカーブを描くように、連結部14を水平方向に振動させることができる。
【0095】
なお、本実施形態においては、第二の振動W1による連結部14の水平方向の変形量、すなわち、連結部14が水平方向に振動する振幅は、第二のくい込み量d2である、0.1mm以上0.2mm以下の量となる。
【0096】
(連結部14及び位置決めピン40の振動)
次に連結部14及び位置決めピン40の振動について、図5を適宜参照しながら説明する。
【0097】
図5は、本発明のタイヤ製造装置10が有する第一振動発生部70Aの第一回転板72A及び第二振動発生部70Bの第二回転板72Bの回転により位置決めピン40(嵌合部)が振動する様子を説明する図であり、図5Aは、回転角度が0°の図、図5Bは、回転角度が90°の図、図5Cは、回転角度が180°の図、図5Dは、回転角度が270°の図である。
【0098】
なお、図5Aから図5Dの各図において、連結部14及び位置決めピン40の位置は、実線で示されており、振動の中央となる位置は、二点鎖線で示されている。
【0099】
また、図5においては、プラグ44の図示を省略している。
【0100】
まず、図5Aに示すように、第一回転板72A及び第二回転板72Bの回転角度が0°の状態では、第一回転板72Aは第一ブロック62Aに当接している。また、第二回転板72Bは、d2の半分の量だけ、第二ブロック62Bにくい込んでいる。
【0101】
この状態では、連結部14及び位置決めピン40は、振動の中央よりもd1の半分の量だけ上方に位置する。
【0102】
次に、図5Bに示すように、第一回転板72A及び第二回転板72Bの回転角度が90°の状態では、第一回転板72Aは、d1の半分の量だけ第一ブロック62Aにくい込んでいる。また、第二回転板72Bは、第二ブロック62Bに当接している。
【0103】
この状態では、連結部14及び位置決めピン40は、振動の中央よりもd2の半分の量だけ右方に位置する。
【0104】
次に、図5Cに示すように、第一回転板72A及び第二回転板72Bの回転角度が180°の状態では、第一回転板72Aは、d1の量だけ第一ブロック62Aにくい込んでいる。また、第二回転板72Bは、d2の半分の量だけ、第二ブロック62Bにくい込んでいる。
【0105】
この状態では、連結部14及び位置決めピン40は、振動の中央よりもd1の半分の量だけ下方に位置する。
【0106】
次に、図5Dに示すように、第一回転板72A及び第二回転板72Bの回転角度が270°の状態では、第一回転板72Aは、d1の半分の量だけ第一ブロック62Aにくい込んでいる。また、第二回転板72Bは、d2の量だけ、第二ブロック62Bにくい込んでいる。
【0107】
この状態では、連結部14及び位置決めピン40は、振動の中央よりもd2の半分の量だけ左方に位置する。
【0108】
このように、第一回転板72A及び第二回転板72Bが回転することによって、連結部14及び位置決めピン40は、図5Aから図5Dの各図に示すように上下方向及び左右方向に変位する。
【0109】
そして、第一サーボモータ74A及び第二サーボモータ74Bにより、第一回転板72A及び第二回転板72Bの回転が継続することで、第一の振動及び第二の振動が、連結部14及び位置決めピン40に継続して伝えられる。
【0110】
したがって、連結部14及び位置決めピン40は、第一の振動により上下方向にd1の振幅で振動し、第二の振動により水平方向にd2の振幅で振動する。
【0111】
ここで、本発明における第一回転板72Aと第二回転板72Bが偏心する方向は、正面視で同じ方向とされている。すなわち、第一振動発生部70Aによる本体16の押圧のサイクルと、第二振動発生部70Bによる本体16の押圧のサイクルとは、互いに周期が同一で位相が90°異なる。
【0112】
したがって、第一の振動W1と第二の振動W2とが連結部14に伝えられることで、連結部14は、正面視で円形の軌跡を描いて振動する。
【0113】
(嵌合方法)
次に本発明に係る、コア80と連結部14の嵌合方法及び、コア80を連結部14に取り付ける方法を、図6及び図7を適宜参照しながら説明する。
【0114】
まず、図6及び図7は、本発明に係るコア80と連結部14の嵌合方法及びコア80を連結部14に取り付ける方法を説明する図である。
【0115】
また、図6Aは、コア80がタイヤ製造装置10に近づく様子を示す断面図、図6Bは、位置決めピン40と位置決め孔88とが嵌合される様子を示す断面図、図6Cは、プラグ44とソケット86が連結され、コア80がタイヤ製造装置10に取り付けられる様子を示す断面図である。
【0116】
なお、図6においては、ロボットアーム90の図示を省略している。すなわち、図6A及び図6Bでは、コア80は、正面FR側(図面左方)からロボットアーム90に保持されて搬送されている。
【0117】
また、図7Aは、コア80がタイヤ製造装置10に近づく様子を示す断面図、図7Bは、位置決めピン40と位置決め孔88とが嵌合される様子を示す断面図、図7Cは、プラグ44とソケット86が連結され、コア80がタイヤ製造装置10に取り付けられる様子を示す断面図である。
【0118】
まず、図6A及び図7Aに示すように、まず、ロボットアーム90は、コア80の正面側のソケット86が保持部92のプラグ44に連結され、コア80が保持部92に保持された状態で、コア80の背面側を連結部14に移動させる。
【0119】
この状態では、第一振動発生部70A及び第二振動発生部70Bは、停止している。
【0120】
そして、ロボットアーム90は、コア80の位置決め孔88が位置決めピン40のテーパ部40Tに挿入されるまで、コア80を連結部14に近づける。
【0121】
そして、位置決めピン40のテーパ部40Tがコア80の位置決め孔88に挿入された状態で、図示しない制御部は、第一サーボモータ74A及び第二サーボモータ74Bを駆動させる信号を送信し、第一振動発生部70A及び第二振動発生部70Bから第一の振動W1及び第二の振動W2を発生させる。
【0122】
第一の振動W1及び第二の振動W2が発生した状態においては、連結部14に設けられている位置決めピン40は、取付け方向、すなわち正面視で円形の軌跡を描いて振動を始める。
【0123】
次に、図6B及び図7Bに示すように、ロボットアーム90は、コア80をさらに連結部14側に移動させることで、コア80の位置決め孔88に連結部14の位置決めピン40を挿入する。
【0124】
すなわち、位置決めピン40は、位置決め孔88に対して相対的に円形の軌跡を描いて振動している状態で位置決め孔88に挿入される。
【0125】
この状態では、位置決めピン40のテーパ部40T及び円柱部40Cが、振動しながら位置決め孔88の内部に接触するため、コア80は、位置決めピン40の振動に沿って、位置決めピン40の振動方向に移動する。
【0126】
ここで、位置決め孔88と位置決めピン40は、相対的に円形の軌跡を描いて振動するため、位置決め孔88と位置決めピン40との中心が合いやすくなる。
【0127】
これにより、位置決めピン40を円形の軌跡となるように振動させながら、さらに、コア80を連結部14側に移動させることによって、位置決めピン40と位置決め孔88とが嵌合されやすくなる。
【0128】
次に、図6C及び図7Cに示すように、コア80の背面側のソケット86と、連結部14のプラグ44とを連結させ、制御部は、第一サーボモータ74A及び第二サーボモータ74Bを停止させることで第一の振動W1及び第二の振動W2を停止させる。
【0129】
また、コア80の正面側のソケット86と、ロボットアーム90の保持部92のプラグ44との連結を解除することで、タイヤ製造装置10の連結部14へのコア80の取り付けが完了する。
【0130】
なお、コア80をタイヤ製造装置10に取り付けた後は、ロボットアーム90は、コア80から離れ、他のコア80の搬送に用いられる。
【0131】
また、タイヤ製造装置10に取り付けられたコア80は、後のタイヤ製造工程に用いられる。
【0132】
このように、本実施形態では、コア80を連結部14に嵌合させて取り付ける際に、連結部14に対するコア80の取付け方向に対して交差する方向に設けられた第一振動発生部70Aにより連結部14に振動を与えると共に、取り付け方向から見て第一振動発生部70Aの位置と異なる方向に設けられた第二振動発生部70Bにより連結部14に振動を与える。
【0133】
(効果)
本発明に係るタイヤ製造装置10では、嵌合部に対して上方及び側方に第一振動発生部70A及び第二振動発生部70Bを設け、第一の振動W1及び第二の振動W2を嵌合部に対して与えている。
【0134】
これにより、本発明に係るタイヤ製造装置10では、取付け部12を振動させることにより、コア80と連結部14との嵌合精度を向上させることができる。
【0135】
また、本発明に係るタイヤ製造装置10では、第一振動発生部70A及び第二振動発生部70Bを、本体16の上方及び側方に設けている。
【0136】
これにより、第一振動発生部70A及び第二振動発生部70Bを本体16に配置するため、第一振動発生部70A及び第二振動発生部70Bを配置する自由度が高くすることができる。
【0137】
また、本発明に係る第一振動発生部70Aは、第一回転板72Aと、第一回転板72Aの中心から偏心して回転させ、第一ブロック62Aに当接させて押圧する第一サーボモータ74Aであり、本発明に係る第二振動発生部70Bは、第二回転板72Bと、第二回転板72Bの中心から偏心して回転させ、第二ブロック62Bに当接させて押圧する第二サーボモータ74Bである。
【0138】
このため、本発明に係るタイヤ製造装置10では、簡易な構成により、第一の振動W1及び第二の振動W2を作り出すことが可能となる。
【0139】
また、第一振動発生部70Aの押圧のサイクルと、第二振動発生部70Bの押圧のサイクルは、互いに周期が同一で位相が異なっている。
【0140】
したがって、第一の振動W1及び第二の振動W2の位相を異ならせることにより、取付け部12の振動による変位の軌跡が円形となるため、位置決めピン40を円形の軌跡を描いて振動させていない場合と比して、位置決めピン40と位置決め孔88との嵌合精度を向上させることができる。
【0141】
また、第一回転板72Aの中心と第一回転板72Aの回転中心との距離は、0.1mm以上0.2mm以下とされ、第一サーボモータ74Aは第一回転板72Aを10Hz以上100Hz以下で回転させ、第二回転板72Bの中心と第二回転板72Bの回転中心との距離は、0.1mm以上0.2mm以下とされ、第二サーボモータ74Bは第二回転板72Bを10Hz以上100Hz以下で回転させている。
【0142】
これにより、コア製法に用いるコア80を、上記の振動幅及び回転数の範囲内で振動させることによって、上記の範囲外の振動幅又は回転数の場合と比して、コア80と装置との嵌合精度を向上させることが可能となる。
【0143】
また、コア80を連結部14に嵌合させて取り付ける際に、嵌合部に対して上方及び側方に第一振動発生部70A及び第二振動発生部70Bを設け、第一の振動W1及び第二の振動W2を嵌合部に対して与えている。
【0144】
これにより、連結部14を振動させることにより、コア80と連結部14との嵌合精度を向上させる調心嵌合方法が得られる。
【0145】
(第一変形例)
図8は、本発明に係るタイヤ製造装置10の第一変形例の図である。
【0146】
第一変形例に係るタイヤ製造装置10では、第一振動発生部70Aが、連結部14の上方に配置され、連結部14を上方から押圧して第一の振動を与え、第二振動発生部70Bは、連結部14の側方に配置され、連結部14を側方から押圧して第二の振動を与えるようになっている。第一変形例は、第一振動発生部70Aの第一回転板72A及び第二振動発生部70Bの第二回転板72Bが、嵌合部の連結部14に当接する配置とされている点で、本発明の実施形態に係る構成と異なる。
【0147】
第一変形例に係るタイヤ製造装置10では、第一振動発生部70A及び第二振動発生部70Bによる振動は、本体16の筐体60を通さず、直接的に連結部14に伝えることができる。
【0148】
したがって、第一変形例では、本発明の実施形態に係るタイヤ製造装置10と比して、振動発生部を取付け部12の嵌合部に配置するため、振動発生部を配置する自由度が高くすることができる。
【0149】
なお、本発明の実施形態で得られる効果は、第一変形例に係るタイヤ製造装置10においても得ることができる。
【0150】
(第二変形例)
図9は、本発明に係るタイヤ製造装置10の第二変形例の図である。
【0151】
第二変形例に係るタイヤ製造装置10は、第一ブロック62A及び第二ブロック62Bに変えて、第一側壁66Aに回転可能に支持された第一ローラ64A及び第二側壁66Bに回転可能に支持された第二ローラ64Bを備えている点で、本発明の実施形態に係る構成と異なる。
【0152】
第二変形例に係るタイヤ製造装置10では、第一回転板72Aの回転による押圧力は、第一ローラ64Aから、第一側壁66Aを通じて嵌合部に伝わる。すなわち、実施形態に係るタイヤ製造装置10と同様に、第一振動発生部70Aは、嵌合部に第一の振動W1を与えることができる。
【0153】
また、第二回転板72Bの回転による押圧力も、第一回転板72A及び第一ローラ64Aと同様に、第二ローラ64Bから第二側壁66Bを通じて嵌合部に第二の振動W2を与えることができる。
【0154】
第二変形例に係るタイヤ製造装置10では、第一回転板72A及び第二回転板72Bが第一ローラ64A及び第二ローラ64Bに当接するため、本発明の実施形態に係るタイヤ製造装置10と比して、第一ブロック62A及び第二ブロック62Bの摩耗による部品交換の頻度を低減することができる。
【0155】
また、第二変形例に係るタイヤ製造装置10では、第一回転板72A及び第二回転板72Bが第一ローラ64A及び第二ローラ64Bに当接するため、第一回転板72A及び第二回転板72Bが回転する際の摺動抵抗が低減される。
【0156】
したがって、第二変形例に係るタイヤ製造装置10では、本発明の実施形態に係るタイヤ製造装置10と比して、第一の振動W1及び第二の振動W2を発生させるために要するエネルギーを低減することができる。
【0157】
なお、本発明の実施形態で得られる効果は、第一変形例に係るタイヤ製造装置10においても得ることができる。
【0158】
(その他の変形例)
上述の説明においては、嵌合部は、本体16の筐体60の内部に設けられた駆動装置によって回転駆動されるとしたが、これに限らない。例えば、嵌合部が回転しない装置においても本発明に係る調心嵌合装置を適用することで、嵌合精度を向上させることができる。
【0159】
また、上述の説明においては、第一振動発生部70A及び第二振動発生部70Bは、本体16の上方及び側方に設けられていたが、これに限らない。例えば、第一振動発生部70Aを本体16の下方に設けることで、上下方向の振動を発生させてもよい。
【0160】
すなわち、第一振動発生部70A及び第二振動発生部70Bは、それぞれ嵌合部に対して、鉛直方向の成分を有する振動である第一の振動W1と、水平方向の成分を有する第二の振動W2を与えられればいい。
【0161】
また、上述の説明においては、第一振動発生部70A及び第二振動発生部70Bが有する第一回転板72A及び第二回転板72Bは、円板とされていたが、これに限らない。すなわち、回転することで第一ブロック62A及び第二ブロック62Bを押圧することが可能とされていればよい。
【0162】
例えば、第一回転板72A及び第二回転板72Bのような円板に変えて、正面視で楕円形状とされた板を用いてもよい。
【0163】
また、上述の説明では、第一の振動W1による押圧のサイクル及び第二の振動W2による押圧のサイクルは、同一の周期とされていたが、これに限らず、押圧のサイクルが同期していなくてもよい。
【0164】
また、上述の説明では、第一の振動W1及び第二の振動W2は、位相が90°異なるとされていたが、これに限らず、振動の位相差は90°以外とされていてもよい。
【0165】
また、上述の説明では、第一回転板72A及び第二回転板72Bは、同等の形状とされていたが、これに限らず、第一回転板72A及び第二回転板72Bの形状を異ならせることで、第一の振動W1及び第二の振動W2の振幅を異ならせてもよい。
【0166】
なお、このような変形例を採用した場合、嵌合部の振動の軌跡は、円形以外に楕円や直線、ランダム等の軌跡となるが、上記した説明以外にも、被装着部物及び嵌合部の形状に応じて、このような軌跡となる第一振動発生部70A及び第二振動発生部70Bを適宜設定することが可能である。
【0167】
また、上述の説明では、連結部14に配置された位置決めピン40の個数は2個とされていたが、これに限定されず、1個のみ配置されていてもよく、3個以上配置されていてもよい。
【0168】
また、上述の説明では、位置決めピン40は180°の角度間隔を空けて配置されていたが、これ以外の角度間隔とされていてもよい。
【0169】
すなわち、位置決めピン40の配置箇所及び個数は、コア80の中央部84に設けられた位置決め孔88と嵌合可能とされる位置及び個数とされていればよく、上記した説明以外にも、被装着部物及び嵌合部の形状に応じて、適宜設定することが可能である。
【0170】
なお、上述の説明では、被取付け物の一例をタイヤ製造に用いるコア80としていたが、これに限らず、様々に応用することが可能である。
【0171】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0172】
10 タイヤ製造装置、12 取付け部、14 連結部、16 本体、18 主軸、40 位置決めピン、40C 円柱部、40T テーパ部、44 プラグ、60 筐体、62A 第一ブロック、62B 第二ブロック、64A 第一ローラ、64B 第二ローラ、66A 第一側壁、66B 第二側壁、70A 第一振動発生部、70B 第二振動発生部、72A 第一回転板、72B 第二回転板、74A 第一サーボモータ、74B 第二サーボモータ、76A 第一シャフト、76B 第二シャフト、80 コア、82 外周部、84 中央部、86 ソケット、88 位置決め孔、90 ロボットアーム、92 保持部、W1 第一の振動、W2 第二の振動
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9