(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078618
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】部品収納ケース、部品供給システム及び部品取り出し方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20230531BHJP
【FI】
H05K13/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191828
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 浩二
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353EE31
5E353HH42
5E353HH47
5E353HH80
5E353JJ43
5E353KK03
5E353KK11
5E353PP02
5E353QQ30
(57)【要約】
【課題】異なる種類の部品を扱うことがあるバルクフィーダにおいて異種部品の混在が発生することを回避できる部品収納ケースを提供する。
【解決手段】部品収納ケース10は、電子部品ECを収納し、バルクフィーダに設置して用いられる。部品収納ケース10は、ケース本体に含まれる第1ケース部材11a内に、電子部品ECの収納部15を備える。第1ケース部材11a内には、一部分を収納部15内に露出させ、バルクフィーダが備える駆動部によって回転可能に設けられた回転部材30が設けられている。回転部材30には、収納部15に収納された電子部品ECが一つずつ装填されるポケット35が設けられている。ポケット35は、回転部材30の外周面にその周方向に沿って設けられている。ポケット35に装填された電子部品ECは、部品取り出し部18を通じて部品収納ケース10内から直接取り出される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を収納し、バルクフィーダに設置して用いられる部品収納ケースであって、
ケース本体と、
前記ケース本体内に設けられ、前記部品を収納する収納部と、
少なくとも一部分を前記収納部内に露出させて前記ケース本体内に配置されるとともに、前記バルクフィーダが備える駆動部によって回転可能に設けられ、前記収納部に収納された前記部品が一つずつ装填されるポケットが外周面に設けられた回転部材と、
前記ポケットに装填された前記部品を前記ケース本体内から取り出す部品取り出し部と、
を、含む部品収納ケース。
【請求項2】
前記回転部材は、内周面に沿って部品引き込み部材が設けられている、
請求項1に記載の部品収納ケース。
【請求項3】
前記部品引き込み部材は磁石である、
請求項2に記載の部品収納ケース。
【請求項4】
前記磁石は、前記回転部材の回転方向と直交する前記回転部材の厚み方向に沿って、N極とS極とを交互に備えた、
請求項3に記載の部品収納ケース。
【請求項5】
前記磁石は、N極とS極との境界線が、前記ポケットの前記回転部材の前記厚み方向に沿う方向の中心線と一致させて設けられた、
請求項4に記載の部品収納ケース。
【請求項6】
前記ケース本体は、当該ケース本体が前記バルクフィーダに設置された状態において、当該ケース本体の外側から前記回転部材の内側に部品引き込み部材が挿入される挿入部を備えた、
請求項1に記載の部品収納ケース。
【請求項7】
前記収納部は、前記部品が前記ポケット内に引き込まれる部品引き込み位置に向かって下り斜面を形成し、前記部品引き込み位置に前記部品を供給する供給板部を備えた第1収納部を有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の部品収納ケース。
【請求項8】
前記収納部は、前記供給板部を隔てて前記第1収納部の下方に形成されるとともに、搬送経路を介して前記第1収納部と接続された第2収納部を含む、
請求項7に記載の部品収納ケース。
【請求項9】
前記搬送経路を通じて前記第2収納部内の前記部品を前記第1収納部へ移動させる空気を供給する空気供給源が接続される接続部をさらに備えた、
請求項8に記載の部品収納ケース。
【請求項10】
前記ポケットは、前記回転部材の周方向に沿って複数設けられた、請求項1から9のいずれか一項に記載の部品収納ケース。
【請求項11】
前記ポケットは、前記部品を一度に取り出すことができる前記回転部材の周方向に沿う複数列を複数のグループに分けた状態で設けられ、
前記部品取り出し部は、前記複数のグループのうち、一つのグループに属する前記ポケットの全てから前記部品を取り出すことができる開口部寸法を備えた、
請求項10に記載の部品収納ケース。
【請求項12】
前記一つのグループに属する前記ポケットが備える底面は、当該グループの周方向中心位置が前記回転部材の最頂部に位置している状態で、水平とされるように設定された、
請求項11に記載の部品収納ケース。
【請求項13】
前記一つのグループに属する前記ポケットが備える底面の垂直方向高さは、当該グループの周方向中心位置が前記回転部材の最頂部に位置している状態で、同一高さに設定された、
請求項11または12に記載の部品収納ケース。
【請求項14】
前記一つのグループに属する前記ポケットの深さは、同一深さに設定された、
請求項11または12に記載の部品収納ケース。
【請求項15】
前記部品取り出し部は、前記ケース本体が前記バルクフィーダに装着された状態で、当該バルクフィーダが備える蓋部駆動部によって開閉可能に設けられた蓋部を備えた、
請求項1から14のいずれか一項に記載の部品収納ケース。
【請求項16】
前記ケース本体は、少なくとも前記部品の前記ポケットへの装填状態が確認可能な位置が透明部材で形成された、
請求項1から15のいずれか一項に記載の部品収納ケース。
【請求項17】
前記回転部材の外周縁部と、前記ケース本体の内周壁面との最小間隔は、前記部品の長手方向寸法よりも大きい、
請求項1から16のいずれか一項に記載の部品収納ケース。
【請求項18】
部品を収納する部品収納ケースと、当該部品収納ケースが装着されるバルクフィーダとを含む部品供給システムであって、
前記部品収納ケースは、
ケース本体と、
前記ケース本体内に設けられ、前記部品を収納する収納部と、
少なくとも一部分を前記収納部内に露出させて前記ケース本体内に回転可能に設けられ、前記収納部に収納された前記部品が一つずつ装填されるポケットが外周面に設けられた回転部材と、
当該回転部材の内周面に沿って設けられ、前記ポケット内に前記部品を吸着して引き込む磁石と、
前記ポケットに装填された前記部品を前記ケース本体内から取り出す部品取り出し部と、を含み、
前記バルクフィーダは、
前記回転部材を回転させる駆動部を含む、
部品供給システム。
【請求項19】
部品を収納する部品収納ケースと、当該部品収納ケースが装着されるバルクフィーダとを含む部品供給システムであって、
前記部品収納ケースは、
ケース本体と、
前記ケース本体内に設けられ、前記部品を収納する収納部と、
少なくとも一部分を前記収納部内に露出させて前記ケース本体内に回転可能に設けられ、前記収納部に収納された前記部品が一つずつ装填されるポケットが外周面に設けられた回転部材と、
前記ポケットに装填された前記部品を前記ケース本体内から取り出す部品取り出し部と、を含み、
前記バルクフィーダは、
前記回転部材を回転させる駆動部と、
前記回転部材の内周面側に配置され、前記ポケット内に前記部品を引き込んで装填させる部品引き込み部材と、を含む、
部品供給システム。
【請求項20】
前記ポケットは、前記回転部材の周方向に沿って複数設けられた、請求項18または19に記載の部品供給システム。
【請求項21】
前記部品引き込み部材は、磁石である、
請求項19に記載の部品供給システム。
【請求項22】
前記磁石は、前記回転部材の回転方向と直交する前記回転部材の厚み方向に沿って、N極とS極とを交互に備えた、
請求項21に記載の部品供給システム。
【請求項23】
前記磁石は、N極とS極との境界線が、前記ポケットの前記回転部材の前記厚み方向に沿う方向の中心線と一致する、
請求項22に記載の部品供給システム。
【請求項24】
ケース本体内に設けられた収納部に収納された部品を、部品引き込み部材によって、前記ケース本体内に一部を前記収納部に露出させて設けられた回転部材の外周面に設けられたポケット内に引き込んで装填する装填工程と、
前記ポケットに前記部品が装填された状態の前記回転部材を回転させて、前記部品が装填された前記ポケットを、順次前記部品を取り出す部品取り出し部まで移動させる移動工程と、
前記部品取り出し部に到達した前記部品を吸着ノズルによって吸着し、前記部品を取り出す取り出し工程と、
を含む、
部品取り出し方法。
【請求項25】
前記装填工程を経た前記ポケットの様子を撮像する撮像工程と、
当該撮像工程において撮像された画像に基づいて、各ポケット内の前記部品が吸着可能であるか否かを判定する判定工程と、を備え、
前記取り出し工程において、前記判定工程において、吸着可能であると判定されたポケットに対してのみ前記吸着ノズルによる吸着を実施する、
請求項24に記載の部品取り出し方法。
【請求項26】
前記移動工程は、前記取り出し工程において一度に取り出し対象とすることができる前記ポケットのグループ毎に順次前記部品取り出し部に供給し、
前記撮像工程は、前記グループ毎に前記ポケットの様子を撮像し、
前記判定工程において、一つの前記グループに吸着可能であると判定されたポケットが含まれないと判定された場合に、当該グループを前記部品取り出し部に停止させることなく通過させる、
請求項25に記載の部品取り出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品収納ケース、部品供給システム及び部品取り出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バルクフィーダによって整列される電子部品を収納する部品収納ケースが種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。部品収納ケースには、部品が個別にパッケージされていないバラ状態、つまり、部品の一つ一つが独立し、それらの姿勢が不統一である状態で収納されている。部品収納ケース内に収納されている部品は、部品収納ケースがセットされたバルクフィーダ上で整列される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一つの部品収納ケースには同種の部品が収納され、一つの部品収納ケース内に異なる部品が混在することはない。しかしながら、一台のバルクフィーダが異なる種類の部品を扱う場合に従来の部品収納ケースが用いられると、バルクフィーダ内で異種部品が混在する可能性がある。例えば、一台のバルクフィーダに部品収納ケースを乗せ換えて使用したり、部品収納ケース内の部品をバルクフィーダに移し替えて使用したりすると、バルクフィーダ内で異種部品の混在が生じ得る。
【0005】
そこで、本発明の課題は、異なる種類の部品を扱うことがあるバルクフィーダにおいて異種部品の混在が発生することを回避できる部品収納ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る部品収納ケースは、部品を収納し、バルクフィーダに設置して用いられる部品収納ケースであって、ケース本体と、前記ケース本体内に設けられ、前記部品を収納する収納部と、少なくとも一部分を前記収納部内に露出させて前記ケース本体内に配置されるとともに、前記バルクフィーダが備える駆動部によって回転可能に設けられ、前記収納部に収納された前記部品が一つずつ装填されるポケットが外周面に設けられた回転部材と、前記ポケットに装填された前記部品を前記ケース本体内から取り出す部品取り出し部と、を含む。
【0007】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記回転部材は、内周面に沿って部品引き込み部材が設けられている、態様とすることができる。
【0008】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記部品引き込み部材は磁石である、態様とすることができる。
【0009】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記磁石は、前記回転部材の回転方向と直交する前記回転部材の厚み方向に沿って、N極とS極とを交互に備えた、態様とすることができる。
【0010】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記磁石は、N極とS極との境界線が、前記ポケットの前記回転部材の前記厚み方向に沿う方向の中心線と一致させて設けられた、態様とすることができる。
【0011】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記ケース本体は、当該ケース本体が前記バルクフィーダに設置された状態において、当該ケース本体の外側から前記回転部材の内側に前記部品引き込み部材が挿入される挿入部を備えた、態様とすることができる。
【0012】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記収納部は、前記部品が前記ポケット内に引き込まれる部品引き込み位置に向かって下り斜面を形成し、前記部品引き込み位置に前記部品を供給する供給板部を備えた第1収納部を有する、態様とすることができる。
【0013】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記収納部は、前記供給板部を隔てて前記第1収納部の下方に形成されるとともに、搬送経路を介して前記第1収納部と接続された第2収納部を含む、態様とすることができる。
【0014】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記搬送経路を通じて前記第2収納部内の前記部品を前記第1収納部へ移動させる空気を供給する空気供給源が接続される接続部をさらに備えた、態様とすることができる。
【0015】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記ポケットは、前記回転部材の周方向に沿って複数設けられた、態様とすることができる。
【0016】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記ポケットは、前記部品を一度に取り出すことができる前記回転部材の周方向に沿う複数列を複数のグループに分けた状態で設けられ、前記部品取り出し部は、前記複数のグループのうち、一つのグループに属する前記ポケットの全てから前記部品を取り出すことができる開口部寸法を備えた、態様とすることができる。
【0017】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記一つのグループに属する前記ポケットが備える底面は、当該グループの周方向中心位置が前記回転部材の最頂部に位置している状態で、水平とされるように設定された、態様とすることができる。
【0018】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記一つのグループに属する前記ポケットが備える底面の垂直方向高さは、当該グループの周方向中心位置が前記回転部材の最頂部に位置している状態で、同一高さに設定された、態様とすることができる。
【0019】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記一つのグループに属する前記ポケットの深さは、同一深さに設定された、態様とすることができる。
【0020】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記部品取り出し部は、前記ケース本体が前記バルクフィーダに装着された状態で、当該バルクフィーダが備える蓋部駆動部によって開閉可能に設けられた蓋部を備えた、態様とすることができる。
【0021】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記ケース本体は、少なくとも前記部品の前記ポケットへの装填状態が確認可能な位置が透明部材で形成された、態様とすることができる。
【0022】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記回転部材の外周縁部と、前記ケース本体の内周壁面との最小間隔は、前記部品の長手方向寸法よりも大きい、態様とすることができる。
【0023】
前記課題を解決するため、本発明に係る部品供給システムは、部品を収納する部品収納ケースと、当該部品収納ケースが装着されるバルクフィーダとを含む部品供給システムであって、前記部品収納ケースは、ケース本体と、前記ケース本体内に設けられ、前記部品を収納する収納部と、少なくとも一部分を前記収納部内に露出させて前記ケース本体内に回転可能に設けられ、前記収納部に収納された前記部品が一つずつ装填されるポケットが外周面に設けられた回転部材と、当該回転部材の内周面に沿って設けられ、前記ポケット内に前記部品を吸着して引き込む磁石と、前記ポケットに装填された前記部品を前記ケース本体内から取り出す部品取り出し部と、を含み、前記バルクフィーダは、前記回転部材を回転させる駆動部を含む。
【0024】
前記課題を解決するため、本発明に係る他の部品供給システムは、部品を収納する部品収納ケースと、当該部品収納ケースが装着されるバルクフィーダとを含む部品供給システムであって、前記部品収納ケースは、ケース本体と、前記ケース本体内に設けられ、前記部品を収納する収納部と、少なくとも一部分を前記収納部内に露出させて前記ケース本体内に回転可能に設けられ、前記収納部に収納された前記部品が一つずつ装填されるポケットが外周面に設けられた回転部材と、前記ポケットに装填された前記部品を前記ケース本体内から取り出す部品取り出し部と、を含み、前記バルクフィーダは、前記回転部材を回転させる駆動部と、前記回転部材の内周面側に配置され、前記ポケット内に前記部品を引き込んで装填させる部品引き込み部材と、を含む。
【0025】
上記構成の部品供給システムにおいて、前記ポケットは、前記回転部材の周方向に沿って複数設けられた、態様とすることができる。
【0026】
上記構成の部品供給システムにおいて、前記部品引き込み部材は、磁石である、態様とすることができる。
【0027】
上記構成の部品供給システムにおいて、前記磁石は、前記回転部材の回転方向と直交する前記回転部材の厚み方向に沿って、N極とS極とを交互に備えた、態様とすることができる。
【0028】
上記構成の部品供給システムにおいて、前記磁石は、N極とS極との境界線が、前記ポケットの前記回転部材の前記厚み方向に沿う方向の中心線と一致する、態様とすることができる。
【0029】
前記課題を解決するため、本発明に係る部品取り出し方法は、ケース本体内に設けられた収納部に収納された部品を、部品引き込み部材によって、前記ケース本体内に一部を前記収納部に露出させて設けられた回転部材の外周面に設けられたポケット内に引き込んで装填する装填工程と、前記ポケットに前記部品が装填された状態の前記回転部材を回転させて、前記部品が装填された前記ポケットを、順次前記部品を取り出す部品取り出し部まで移動させる移動工程と、前記部品取り出し部に到達した前記部品を吸着ノズルによって吸着し、前記部品を取り出す取り出し工程と、を含む。
【0030】
上記工程の部品取り出し方法において、前記装填行程を経た前記ポケットの様子を撮像する撮像工程と、当該撮像工程において撮像された画像に基づいて、各ポケット内の前記部品が吸着可能であるか否かを判定する判定工程と、を備え、前記取り出し工程において、前記判定工程において、吸着可能であると判定されたポケットに対してのみ前記吸着ノズルによる吸着を実施する、態様とすることができる。
【0031】
上記工程の部品取り出し方法において、前記移動工程は、前記取り出し工程において一度に取り出し対象とすることができる前記ポケットのグループ毎に順次前記部品取り出し部に供給し、前記撮像工程は、前記グループ毎に前記ポケットの様子を撮像し、前記判定工程において、一つの前記グループに吸着可能であると判定されたポケットが含まれないと判定された場合に、当該グループを前記部品取り出し部に停止させることなく通過させる、態様とすることができる。
【発明の効果】
【0032】
本明細書開示の発明によれば、異なる種類の部品を扱うことがあるバルクフィーダにおいて異種部品の混在が発生することを回避できる部品収納ケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は第1実施形態の部品収納ケースの斜視図である。
【
図2】
図2(A)から
図2(E)は第1実施形態の部品収納ケースに含まれる構成要素を示す図であり、
図2(A)は第2ケース部材の背面図、
図2(B)は回転部材の正面図、
図2(C)はバネ部材の正面図、
図2(D)はシャッタ部材の正面図、
図2(E)は第1ケース部材の正面図である。
【
図3】
図3(A)は第1実施形態の部品収納ケースの組み立て図、
図3(B)は電子部品の斜視図である。
【
図4】
図4(A)は第1実施形態の部品収納ケースが備える回転部材の側面図、
図4(B)は第1実施形態の部品収納ケースが備える磁石の側面図、
図4(C)は
図4(A)に示す回転部材の断面図である。
【
図5】
図5は第1実施形態の部品収納ケースが備える磁石のN極とS極との境界線の配置を示す説明図である。
【
図6】
図6は第1実施形態の部品収納ケースから第2ケース部材を取り外し、部品収納ケースの内部の様子を示す説明図である。
【
図7】
図7は第1実施形態の部品収納ケースが装着されるバルクフィーダの斜視図である。
【
図8】
図8は第1実施形態の部品収納ケースが装着されるバルクフィーダを備えた部品実装機を模式的に示す説明図である。
【
図9】
図9は第1実施形態の部品収納ケースをバルクフィーダに装着する様子を示す説明図である。
【
図10】
図10(A)はシャッタ部材が閉じられた状態の第1実施形態の部品収納ケースの平面図、
図10(B)はシャッタ部材が開かれた状態の第1実施形態の部品収納ケースの平面図である。
【
図11】
図11は第1実施形態の部品収納ケースから部品を取り出す際の制御の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は第2実施形態の部品収納ケースの斜視図である。
【
図13】
図13は第2実施形態の部品収納ケースの組み立て図である。
【
図14】
図14(A)は第2実施形態の部品収納ケースが備える回転部材の側面図、
図14(B)は第2実施形態のバルクフィーダが備える磁石の側面図、
図14(C)は
図14(B)に示す磁石の正面図である。
【
図15】
図15は第2実施形態の部品収納ケースから第2ケース部材を取り外し、部品収納ケースの内部の様子を示す説明図である。
【
図16】
図16は第3実施形態の部品収納ケースから第2ケース部材を取り外し、部品収納ケースの内部の様子を示す説明図である。
【
図17】
図17は第4実施形態の部品収納ケースにおいて複数列のポケットを一つのグループとして電子部品を取り出す様子を示す説明図である。
【
図18】
図18は第5実施形態の部品収納ケースにおいて複数列のポケットを一つのグループとして電子部品を取り出す様子を示す説明図である。
【
図19】
図19は第6実施形態の部品収納ケースにおいて複数列のポケットを一つのグループとして電子部品を取り出す様子を示す説明図である。
【
図20】
図20(A)はシャッタ部材が閉じられた状態の第7実施形態の部品収納ケースのバネ部材周辺を拡大して示す説明図、
図20(B)はシャッタ部材が開かれた状態の第7実施形態の部品収納ケースのバネ部材周辺を拡大して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(第1実施形態)
まず、
図1から
図11を参照して第1実施形態について説明する。
図1は第1実施形態の部品収納ケース10の斜視図である。
図2(A)から
図2(E)は部品収納ケース10に含まれる構成要素を示す図である。
図2(A)は第2ケース部材11bの背面図、
図2(B)は回転部材30の正面図、
図2(C)はバネ部材23の正面図、
図2(D)はシャッタ部材20の正面図、
図2(E)は第1ケース部材11aの正面図である。
図3(A)は部品収納ケース10の組み立て図、
図3(B)は電子部品ECの斜視図である。
図4(A)は回転部材30の側面図、
図4(B)は部品収納ケース10が備える磁石36の側面図、
図4(C)は
図4(A)に示す回転部材30の断面図である。
図5は部品収納ケース10が備える磁石36のN極とS極との境界線の配置を示す説明図である。
図6は部品収納ケース10から第2ケース部材11bを取り外し、部品収納ケース10の内部の様子を示す説明図である。
図7は第1実施形態の部品収納ケースが装着されるバルクフィーダの斜視図である。
図8は部品収納ケース10が設置されるバルクフィーダ110を備えた部品実装機100を模式的に示す説明図である。
図9は部品収納ケース10をバルクフィーダ110に装着する様子を示す説明図である。
図10(A)はシャッタ部材が閉じられた状態の第1実施形態の部品収納ケースの平面図、
図10(B)はシャッタ部材が開かれた状態の第1実施形態の部品収納ケースの平面図である。
図11は部品収納ケース10から電子部品ECを取り出す際の制御の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、部品収納ケース10の上下、前後及び左右を
図1に示すように設定して説明することとする。また、各図は、左側から見た状態を正面図としている。
【0035】
[部品収納ケースの使用形態の概略]
まず、部品収納ケース10の使用形態の概略について説明する。部品収納ケース10は、内部に部品に相当する電子部品EC(
図3(B)、
図9参照)を収納することができる。本実施形態における電子部品ECは、MLCC(Multilayer Ceramic Capacitors)であるが、部品収納ケース10は、チップレジスタ等の他の電子部品の収納に用いることもできる。部品収納ケース10は、個別にパッケージされていない多数の電子部品ECをその向きが揃っていない、いわゆるバラ状態で収納する。電子部品ECは、製造元において部品収納ケース10内に収納され、電子部品ECのユーザに納品される。部品収納ケース10は、バルクフィーダ110(
図7参照)に装着、設置される。電子部品ECは、バルクフィーダ110に設置された部品収納ケース10から直接取り出され、使用に供される。以下、部品収納ケース10、バルクフィーダ110、さらに、電子部品ECの部品収納ケース10からの取り出しについてそれぞれ詳細に説明する。
【0036】
[部品収納ケース]
図1を参照すると、部品収納ケース10は、ケース本体11と、シャッタ部材20を備える。部品収納ケース10は、上面の前側寄りに部品取り出し部18を備える。シャッタ部材20は、部品取り出し部18を開閉する。ケース本体11は、その右側に位置し、外周壁部13が設けられた第1ケース部材11aと、この第1ケース部材11aと接合される概ね板状の第2ケース部材11bとを備える。外周壁部13は、上面部分の部品取り出し部18よりも後側に傾斜部13aを備えている。シャッタ部材20は、バルクフィーダ110が備える蓋部駆動部としてのシャッタ駆動部116(
図7参照)によって開閉可能に設けられた蓋部に相当する。以下、第1ケース部材11a、第2ケース部材11b、シャッタ部材20及び回転部材30について、それぞれ詳細に説明する。
【0037】
図2(A)から
図3(A)を参照すると、部品収納ケース10は、第1ケース部材11aと第2ケース部材11bとを接合することによって形成されるケース本体11(
図1参照)内に回転部材30(
図2(B)参照)を備える。また、部品収納ケース10は、シャッタ部材20(
図2(D)参照)と、このシャッタ部材20を、部品取り出し部18を閉じる方向に付勢するバネ部材23(
図2(C)参照)とを備える。第1ケース部材11a、第2ケース部材11b、シャッタ部材20及び回転部材30は、いずれも樹脂製である。
【0038】
図2(A)を参照すると、第2ケース部材11bは、その上縁部の前方部分に前後方向に沿って延びるシャッタ案内溝11b1を備えている。また、第2ケース部材11bは、回転部材30を回転可能に支持するための軸支孔11b2を備える。
【0039】
図2(B)や
図3(A)を参照すると、回転部材30は、左側又は右側から見た状態で円形の部材である。回転部材30の断面を示す
図4(C)を参照すると、回転部材30は、中心部に位置するハブ部31と、このハブ部31から径方向に拡がるディスク部33を備える。回転部材30は、また、ディスク部33を介してハブ部31と接続されている環状のリム部32を備える。ディスク部33は、リム部32の幅方向(左右方向)の一方側(右側)に設けられており、ハブ部31とリム部32との間には、他方側(左側)において開放された空間が形成されている。
【0040】
回転部材30を上下方向や前後方向から見たときにリム部32の幅よりも左側に突出しているハブ部31の先端部は、第2ケース部材11bが備える軸支孔11b2によって支持される回転支持部31aとなる。回転部材30は、回転支持部31aが突出する側と反対側、つまり、右側に突出する歯車部34を備える。歯車部34は、後に説明するバルクフィーダ110(
図7参照)が備える駆動歯車115aと噛み合い、回転部材30を回転させる。回転部材30は、
図6に示すように第1ケース部材11aに設置される。そして、左側面から見たときに、反時計回りに回転する。
【0041】
リム部32の外周面32aには、回転部材30の周方向に沿ってポケット35が複数設けられている。また、リム部32の内周面32b側には、電子部品ECをポケット35内に引き込み、装填させる部品引き込み部材としての環状の磁石36が設けられている。ポケット35や磁石36については、後に詳細に説明する。
【0042】
図2(C)を参照すると、バネ部材23はコイルバネである。バネ部材23は金属製である。
図2(D)を参照すると、シャッタ部材20は、部品取り出し部18を塞ぐ閉塞部20aを備える。また、シャッタ部材20は、シャッタ駆動部116(
図7参照)が備える駆動ピン116dが挿入される駆動ピン係合孔21と、バネ部材23の一端側が挿し込まれるバネ保持孔22を備えている。
【0043】
図2(E)を参照すると、第1ケース部材11aが備える外周壁部13の天板部分には部品取り出し部18が設けられている。第1ケース部材11aは、その上縁部の前方部分に前後方向に沿って延びるシャッタ案内溝11a1を備えている。また、第1ケース部材11aは、回転部材30が備える歯車部34(
図2(B)、
図3(A)参照)をケース本体11の外部に露出させるための開口部11a2を備える。開口部11a2の中心点は、部品取り出し部18の中心点と一致している。また、第1ケース部材11aは、シャッタ案内溝11a1の近傍にシャッタ部材20を開閉させるための駆動ピン116d(
図7参照)が挿入される駆動ピン案内孔11a3を備える。駆動ピン案内孔11a3は、前後方向に延びる長円孔である。さらに、第1ケース部材11aは、駆動ピン案内孔11a3の近傍にバネ保持孔11a4を備える。バネ保持孔11a4には、バネ部材23の他端側が挿し込まれる。
【0044】
第1ケース部材11aは、その縁部に沿って設けられた外周壁部13を備えており、外周壁部13に囲まれた内側に電子部品ECを収納する収納部15を備えている。外周壁部13に囲まれた領域には、隔壁14が配置されている。隔壁14は、
図6に示すように、第1ケース部材11a内に収納された回転部材30の部品引き込み位置Pに向かう下り斜面を形成し、部品引き込み位置Pに電子部品ECを供給する供給板部14aを含む。収納部15は、供給板部14aによって第1収納部15aと第2収納部15bとに分けられている。つまり、供給板部14aの上側に第1収納部15aが設けられ、供給板部14aを隔てて第1収納部15aの下方に第2収納部15bが設けられている。
【0045】
隔壁14は、供給板部14aの上端部から下方に向かって延びる搬送経路形成部14bを含む。搬送経路形成部14bは、外周壁部13のうち第1ケース部材11aの後端部に位置し、上下方向に延びる部分と共に搬送経路17を形成する。搬送経路17は、第1収納部15aと第2収納部15bとを接続している。
【0046】
図6を参照すると、本実施形態における部品引き込み位置Pは、第1ケース部材11a内に収納された回転部材30の最頂部から時計回りに90°回転した位置に設定されている。供給板部14aは、第1収納部15aの底板を形成しており、その上面は、このような部品磁気込み位置に向かって傾斜する傾斜面15a1を形成している。これにより、第1収納部15a内に収納された電子部品ECは、傾斜面15a1上を滑って、順次、回転部材30側に移動することができる。つまり、供給板部14aを備えることで、電子部品ECをポケット35に対して連続的に供給することができる状態をすることができる。
【0047】
再び
図2(E)を参照すると、第2収納部15bの底板部分は、外周壁部13のうち第1ケース部材11aの下端部に位置し、前後方向に延びる部分によって形成されている。第2収納部15bの底板部分には、搬送経路17側に向かって下り斜面となっている傾斜面15b1が形成されている。傾斜面15b1の最下部であり、搬送経路17の下側に位置する部分には、バルクフィーダ110が備えるから延びる空気プラグ114b(
図7参照)が接続される接続部19が設けられている。接続部19には、電子部品ECが落下しないように、メッシュ部材19aが設けられている。接続部19に空気プラグ114bを接続し、空気を供給することで、第2収納部15b内の電子部品ECを、搬送経路17を通じて、第1収納部15aに供給することができる。
【0048】
本実施形態では、上述のように、回転部材30への部品引き込み位置Pを、回転部材30の最頂部から時計回りに90°回転した位置に設定している。電子部品ECは、このような部品引き込み位置Pに向かって傾斜する傾斜面15a1上を滑ることで回転部材30に向かって移動する。このため、供給板部14aよりも下側に位置する第2収納部15bから直接電子部品ECを回転部材30に供給することはできない。そこで、本実施形態では、第2収納部15b内に収納された電子部品ECは、搬送経路17を経由して第1収納部15a内へ搬送される。そして、電子部品ECは、その後に回転部材30に向かって移動する。本実施形態の部品収納ケース10は、第1収納部15aと第2収納部15bを備えるので、大量の電子部品ECを収納することができる。
きる。
【0049】
第1ケース部材11aは、回転部材30が収納される回転部材収納部16を備える。回転部材収納部16は、収納部15よりも前方側に位置し、開口部11a2が設けられている領域に形成されている。回転部材収納部16は収納部15と連続した空間であり、このような回転部材収納部16に回転部材30が収納されることで、回転部材30は、その一部が収納部15に露出した状態で配置される。これにより、収納部15内に収納された電子部品ECを、回転部材30に設けられたポケット35内に装填できるようになる。
図2(E)において、回転部材収納部16の左下には、部品取り出し部18から適切に取り出されなかった電子部品ECが回収される部品回収部16aが設けられている。
【0050】
ここで、
図3(B)を参照して、電子部品ECの寸法について説明する。本実施形態の電子部品ECの形状は、直方体であり、互いに直交する三方向のうち、最も寸法が大きい方向を長手方向として、その方向に沿う寸法を長さLecとする。そして、長手方向と直交する二方向のうちの一方向に沿う寸法を幅Wecとする。そして、残りの一方向に沿う寸法を高さHecとする。
【0051】
図3(A)を参照すると、回転部材30が備えるリム部32の外周面32aには、複数のポケット35が設けられている。ポケット35は、回転部材30の周方向に沿う方向を列方向とし、この列方向と直交する回転部材30の幅方向を行方向として整列して設けられている。本実施形態では、一列に含まれるポケット35を一つのグループとし、この一つのグループに含まれるポケット35から一度の取り出しタイミングで電子部品ECが部品取り出し部18から取り出される。
【0052】
図4(A)を参照すると、X1部を拡大して示すように、各ポケット35はリム部32の幅方向(回転部材30の周方向と直交する方向)を長手方向として設けられている。ポケット35の長手方向の寸法は、電子部品ECの長さLecに対応させて、長さLecよりも僅かに大きい寸法に設定されている。ポケット35の短手方向の寸法は、電子部品ECの幅Wecに対応させて、幅Wecよりも僅かに大きい寸法に設定されている。ポケット35の深さは、電子部品ECの高さHecに対応させて、高さHecより大きい寸法に設定されている。
【0053】
なお、例えば
図4(A)に拡大して示すように、各図に示されたポケット35は、一列内に5個並べて、つまり、5行分描かれているが、これは、描画上の都合によるものであり、実際は、さらに多くの個数のポケット35を設けることができる。
【0054】
部品収納ケース10は、上述のように、回転部材30が備えるリム部32の内周面32b側には、環状の磁石36が設けられている。磁石36を設けることで、電子部品ECを吸着してポケット35内に引き込み、装填させることができる。ここで、
図4(B)を参照すると、X2部を拡大して示すように、磁石36は、回転部材30の回転方向(周方向)と直交する回転部材の厚み方向(幅方向)に沿って、N極とS極とを交互に備えている。これにより、各ポケット35内に装填される電子部品ECの向きを揃え、整列させることができる。つまり、電子部品ECの長手方向とポケット35の長手方向とが一致するように電子部品ECの姿勢を変化させることで、電子部品ECをポケット35内に適切に装填することができる。
【0055】
ここで、
図5を参照すると、磁石36が有するN極とS極との境界線は、各ポケット35の回転部材30の厚み方向に沿う方向、つまり、長手方向の中心を通過し、回転部材30の周方向に沿って延びる中心線CLと一致させて設けられている。ポケット35内に電子部品ECが適切に装填される確率を高めることができる。
【0056】
部品収納ケース10は、
図3(A)の矢示1aのように第1ケース部材11a内に回転部材30を収納し、矢示1bのように第1ケース部材11aと第2ケース部材11bとを接合することで形成される。第1ケース部材11aと第2ケース部材11bとを接合する際、シャッタ案内溝11a1とシャッタ案内溝11b1とは対向した状態となる。シャッタ部材20は、対向するシャッタ案内溝11a1とシャッタ案内溝11b1との間に前後方向に摺動可能に支持される。このとき、第1ケース部材11aに設けられたバネ保持孔11a4とシャッタ部材20に設けられたバネ保持孔22とに保持させてバネ部材23が取り付けられる。これにより、シャッタ部材20は、部品取り出し部18を閉塞する側に付勢された状態となる。バネ部材23のバネ力は、部品収納ケース10の運搬時等、部品収納ケース10がバルクフィーダ110に装着されていない状態では、シャッタ部材20が容易に開放状態とならない強さに設定されている。つまり、シャッタ部材20は、後に説明するシャッタ駆動部116(
図7参照)を用いなければ容易に開放することができない。これにより、電子部品ECの出荷時からバルクフィーダ110に設置されるまでの間にシャッタ部材20が開放状態をされることが回避される。この結果、異種部品の混在が発生することを回避することができる。
【0057】
本実施形態において、第1ケース部材11a内に収納された回転部材30の外周縁部と、第1ケース部材11aの内周壁面との最小間隔Sは、電子部品ECの長さLecよりも大きい。
図6において、X3部を拡大して示すように、本実施形態では、回転部材30の最頂部と外周壁部13の天板部分との間の距離が最小間隔Sとなっている。このような最小間隔Sを電子部品ECの長さLecよりも大きく設定しておくことで、部品収納ケース10での電子部品ECの詰まりを抑制することができる。仮に、最小間隔Sが電子部品ECの長さLecよりも小さいと、回転部材30とケース本体11との間に電子部品ECが挟まり、回転部材30の動作を阻害する可能性がある。本実施形態であれば、このような電子部品ECの詰まりを抑制することができる。
【0058】
部品収納ケース10内への電子部品ECの導入は、
図6に示す部品導入孔13bを通じて行われる。部品導入孔13bは、第1ケース部材11aと第2ケース部材11bとの接合前に設けておいてもよいし、両者の接合後に穿設するようにしてもよい。部品導入孔13bは、所定量の電子部品ECが導入された後、封止部材13b1によって封止される。封止部材13b1は、接着剤により固定され、又は、溶着によって固定され、再度、部品導入孔13bが開封されることがないようにされている。これにより、異種部品の混在が発生することを回避することができる。なお、第1ケース部材11aと第2ケース部材11bとの接合も、接着剤を利用したり、溶着を利用したりすることで、両者が分離することがないようにされている。
【0059】
本実施形態の第1ケース部材11aと第2ケース部材は、上述のようにいずれも、樹脂製であるが、いずれも透明部材で形成されている。つまり、第1ケース部材11aと第2ケース部材は、いずれも透明樹脂製である。これにより、部品収納ケース10の外部から、ポケット35内への電子部品ECの装填状態を確認することができる。本実施形態では、後に詳説するように、撮像部130(
図8参照)によって、部品取り出し部18へ移動する前のポケット35への電子部品ECの装填状態を確認する。第1ケース部材11aと第2ケース部材11bとを透明樹脂製とすることで、撮像部130によるポケット35への電子部品ECの装填状態の確認が可能となる。なお、撮像部130によるポケット35への電子部品ECの装填状態の確認が可能な位置のみを透明部材で形成するようにしてもよい。例えば、回転部材30と対向する位置に設けられた傾斜部13aのみを窓状に透明部材で形成するようにしてもよい。
【0060】
[バルクフィーダ]
つぎに、
図7及び
図8を参照して部品収納ケース10が設置されるバルクフィーダ110について説明する。バルクフィーダ110は、
図8に示すように部品実装機(チップマウンタ)100の一部として設けられている。
図8において、バルクフィーダ110は、破線で示された領域として示されている。バルクフィーダ110に部品収納ケース10を装着した状態としたものが、部品供給システムに相当する。
【0061】
バルクフィーダ110は、部品収納ケース10の外形寸法に対応させた前後寸法及び左右寸法を備えた空間であるケース装着部111を備えている。ケース装着部111の後端上部には第1押さえ部112aが設けられている。ケース装着部111の後端側部には第2押さえ部112bが設けられている。第1押さえ部112a及び第2押さえ部112bは、いずれも板バネであり、部品収納ケース10の後端部を押さえる。第1押さえ部112a及び第2押さえ部112bは、金属製であるが、繰り返しの動作に耐え得る所望の強度を備えていれば、樹脂製であってもよい。ケース装着部111の後端部には、プランジャ113が設けられている。プランジャ113は、ケース装着部111に装着された部品収納ケース10を前方に付勢し、部品収納ケース10のガタつきを防止する。
【0062】
ケース装着部111の底面の後端部寄りの部分には、空気プラグ114bが設けられている。空気プラグ114bは、
図8に示す空気供給源114aと接続され、空気供給源114aと共に空気供給部114を形成している。空気プラグ114bは、部品収納ケース10が備える接続部19に接続される。そして、空気供給源114aが稼働することで、部品収納ケース10内に形成されている搬送経路17(
図6参照)内に空気を吹き込み、第2収納部15b内の電子部品ECを第1収納部15aへ搬送する。
【0063】
なお、空気供給部114に代えて、搬送経路17に沿って移動可能な電磁石を装備するようにしてもよい。電磁石は、搬送経路17に沿って上昇するときに通電されて磁力を発生させることで、第2収納部15b内の電子部品ECを第1収納部15aへ搬送することができる。
【0064】
バルクフィーダ110は、回転部材30の駆動部にとしての駆動モータ115によって回転する駆動歯車115aを備える。駆動歯車115aは、部品収納ケース10がケース装着部111に装着されるときに、部品収納ケース10が備える歯車部34と噛み合う。これにより、回転部材30が回転することができるようになる。駆動モータ115は、ステップ動作を行い、一度に取り出すことができるポケット35のグループ、本実施形態では、一列分ずつ、回転部材30を回転させることができる。
【0065】
バルクフィーダ110は、シャッタ駆動部116を備える。シャッタ駆動部116は、アクチュエータ116a、レバー部材116b、回転軸部材116c及び駆動ピン116dを含む。アクチュエータ116aは、ケース装着部111の底部に設けられた凹状のアクチュエータ収納部111a内に収納されている。アクチュエータ116aの稼働部は、前後方向に往復動することができる。レバー部材116bは、ケース装着部111の内壁部に設けられたレバー部材収納部111b内に収納されている。レバー部材116bは、レバー部材収納部111b内において、矢示1cで揺動することができるように、回転軸部材116cによって軸支されている。レバー部材116bの下端部には、アクチュエータ116aの稼働部が接続されている。駆動ピン116dは、レバー部材116bの上端部に設けられている。これにより、駆動ピン116dは、アクチュエータ116aが稼働することによって概ね前後方向に往復動することができる。駆動ピン116dは、部品収納ケース10がケース装着部111に装着されたときに、駆動ピン案内孔11a3を通じて、シャッタ部材20の駆動ピン係合孔21に係合される。これにより、シャッタ部材20は、アクチュエータ116aの動作に伴って部品取り出し部18を開閉することができる。
【0066】
バルクフィーダ110は、部品収納ケース10をケース装着部111へロックした状態とするロック部材117を備える。ロック部材117は、不図示のバネ部材によって下方に向かって付勢されるとともに、ケース装着部111の上縁部に沿って前後方向に移動できるように設けられている。ロック部材117は、その前後方向の移動範囲の両端部において、位置決めされるように設けられている。ロック部材117は、前方に移動した状態とすることで、ケース装着部111に装着された部品収納ケース10の前端側を固定状態とする。
【0067】
図8を参照すると、部品実装機100は、バルクフィーダ110の他に、部品移送部120、撮像部130及び制御部140を備えている。部品移送部120は、移動レール121、スライダ122、昇降レール123及び吸着ノズル124を含む。移動レール121は、バルクフィーダ110と電子部品ECの実装対象(不図示)との間に架設されている。スライダ122は、移動レール121に沿って移動することができる。昇降レール123は、スライダ122に設けられている。吸着ノズル124は昇降レール123に沿って昇降移動可能に設けられており、後に詳説するように、バルクフィーダ110に設置された部品収納ケース10から電子部品ECを取り出すことができる。吸着ノズル124は、一度に同時に取り出すことができる電子部品ECの数に応じて準備されている。
【0068】
撮像部130は、バルクフィーダ110に設置された部品収納ケース10内の回転部材30の様子を撮像することができるように設けられている。具体的に、撮像部130は、ケース装着部111に設置された部品収納ケース10内の部品引き込み位置Pから回転部材30の最頂部までの間の各ポケット35内の様子を撮像することができるように設けられている。本実施形態の撮像部130は、傾斜部13aと対向する位置に設けられており、傾斜部13aを通じて部品収納ケース10内の様子を撮像する。
【0069】
制御部140は、バルクフィーダ110に含まれる空気供給部114、駆動モータ115及びアクチュエータ116aと電気的に接続されており、これらの動作を制御する。制御部140は、また、部品移送部120及び撮像部130と電気的に接続されており、これらの動作を制御する。また、制御部140は、撮像部130によって撮像された画像に基づいて、各ポケット35内の様子、つまり、各ポケット35内に電子部品ECが適切に装填されているか否かを判定する。そして、この判定結果に基づいて、吸着ノズル124の動作を制御する。制御部140が行う制御の内容については、後に説明する。
【0070】
ここで、
図9を参照して、部品収納ケース10のバルクフィーダ110への装着手順について説明する。部品収納ケース10がバルクフィーダ110に装着されていない状態のとき、ロック部材117は、後端側に移動させておく。部品収納ケース10をバルクフィーダ110に装着する場合、まず、矢示1eで示すように、部品収納ケース10の後端部を第1押さえ部112aと第2押さえ部112bとの間に挿し込む。ついで、部品収納ケース10の前端側をケース装着部111側に移動させるように部品収納ケース10の後端部を支点として、矢示1fのように部品収納ケース10を回転させる。このとき、歯車部34を駆動歯車115a(
図7参照)と噛み合わせる。また、駆動ピン116dを駆動ピン案内孔11a3(
図2(E)参照)を通じて駆動ピン係合孔21(
図2(D)参照)に係合させる。その後、ロック部材117を前側に移動させ、部品収納ケース10をロック状態とする。これにより、部品収納ケース10のバルクフィーダ110への装着が完了する。部品収納ケース10をバルクフィーダ110から取り外すときは、これと逆の手順を踏むことで、部品収納ケース10をバルクフィーダ110から容易に取り外すことができる。
【0071】
なお、部品収納ケース10がバルクフィーダ110に装着された状態において、駆動ピン116dを
図10(A)において実線で示すように後端側に位置させておくと、シャッタ部材20は閉じた状態とされる。一方、駆動ピン116dを
図10(B)において実線で示すように前端側に移動させると、シャッタ部材20は開いた状態とされる。これにより、部品取り出し部18が開放され、ポケット35内に装填されている電子部品ECを取り出すことができるようになる。
【0072】
[電子部品の取り出し]
つぎに、
図11に示すフローチャートを参照しつつ、バルクフィーダ110に装着された部品収納ケース10からの電子部品ECの取り出しについて説明する。なお、本実施形態の複数のポケット35が属するグループ毎に電子部品ECを部品取り出し部18へ移動させ、部品収納ケース10から電子部品ECを取り出す。このため、
図11に示すフローチャートは、一つのグループに対する制御を示している。実際に部品実装機100が稼働しているときは、複数のグループに対する制御が並行して実施されている。
【0073】
まず、部品収納ケース10を上述の要領でバルクフィーダ110に装着する。部品収納ケース10がバルクフィーダ110に装着されると、制御部140は、準備動作として、部品収納ケース10の装着時点で部品引き込み位置P(
図6参照)に位置していた箇所を撮像部130によって撮像可能な位置まで回転させる。
【0074】
部品収納ケース10の第1収納部15a内に収納されている電子部品EC(
図6参照)は、部品引き込み位置Pにおいて、磁石36の磁力によって各ポケット35内に装填される(装填工程)。このとき、電子部品ECは、磁石36の磁力によってその方向が揃えられてポケット35内に装填される。しかしながら、いくつかのポケット35に対して電子部品ECが適切に装填されない場合がある。そこで、制御部140は、ポケット35に対する電子部品ECの装填状態を確認する。
【0075】
具体的に、制御部140は、ステップS1において、駆動モータ115の1ステップ分、つまり、一列分のポケット35を撮像する(撮像工程)。
【0076】
そして、ステップS1に引き続いて行うステップS2において、制御部140は、ステップS1で撮像した画像に基づいて、各ポケット内の前記部品が吸着可能であるか否かを判定し、その結果、電子部品ECを吸着可能なポケット35が含まれているか否かを判定する(判定工程)。
【0077】
なお、制御部140は、一列分のポケット35の撮像が終了したら、回転部材30を1ステップ分ずつ、順次回転させ、撮像したグループのポケット35を部品取り出し部18まで移動させる(移動工程)。判定工程と移動工程は、同時に実施してもよい。
【0078】
制御部140は、ステップS2において否定判定(No判定)を行った場合、ステップS3へ進む。ステップS3では、判定の対象としたグループを部品取り出し部18に停止させることなく、部品取り出し部18を通過させる。ステップS2において否定判定した場合、そのグループには、取り出すことができる電子部品ECが含まれていないので、部品取り出し部18に停止させても電子部品ECを取り出すことができない。そこで、そのようなグループについては、部品取り出し部18を通過させ、全体の処理時間の短縮を図る。制御部140は、ステップS3を実行した後、処理を終了する(エンド)。
【0079】
一方、制御部140は、ステップS2において肯定判定(Yes判定)を行った場合、ステップS4へ進む。ステップS4では、判定の対象としたグループを部品取り出し部18で停止させる。部品取り出し部18では、吸着ノズル124(
図8参照)によって、電子部品ECを吸着し、電子部品ECの取り出しが行われる(取り出し工程)。
【0080】
具体的に、制御部140は、ステップS5へ進み、ステップS2において吸着可能な電子部品ECが装填されているポケット35に対応する吸着ノズル124を降下させる。吸着可能な電子部品ECが装填されているポケット35に対してのみ吸着ノズル124を降下させることで、部品実装機100の無駄な動作を省くことができる。
【0081】
制御部140は、ステップS5に引き続いて実行するステップS6において、吸着ノズル124によって電子部品ECを吸着するとともに、吸着ノズル124を上昇させて電子部品ECを部品収納ケース10から直接取り出す。制御部140は、取り出した部品を部品移送部によって所望の実装対象まで移送する。このように、本実施形態の部品収納ケース10を用いると、部品収納ケース10から直接電子部品ECが取り出されるので、異種部品の混在が回避される。
【0082】
制御部140は、ステップS6を実行した後、処理を終了する(エンド)。以上で、一つのグループに対する制御が終了する。なお、
図11に示すフローチャートは、上述のように一つのグループに対する制御を示したものであるため、該当するグループに対する処理が終了した場合であっても、他のグループに対する制御は継続的に実施されている。
【0083】
制御部140は、各グループに対して
図11に示すフローチャートに基づく制御を実施するとともに、適宜、空気供給部114を作動させる。空気供給部114を作動させることで、第2収納部15b内の電子部品ECを第1収納部15aへ移動させることで電子部品ECの取り出しを継続することができる。また、制御部140は、出荷時の部品収納ケース10内の電子部品ECの収納数と、部品収納ケース10からの電子部品ECの取出し数とを比較し、その結果に基づいて電子部品ECの取り出し動作を停止させる。電子部品ECの取り出し動作の停止は、撮像部130によって撮像された画像に基づいて判断するようにしてもよい。つまり、画像に基づいて、電子部品ECが適切にポケット35に装填されていないと判断される割合が所定の割合に達したら、部品収納ケース10内の電子部品ECの取り出しが終了したと判断するようにしてもよい。
【0084】
[効果]
第1実施形態の部品収納ケース10によれば、ケース本体11内に収納部15を備え、一部分を前記収納部内に露出させて前記ケース本体内に回転可能に配置された回転部材30を備える。回転部材30の外周面32aには、周方向に沿ってポケット35が設けられ、ポケット35に装填された電子部品ECを部品取り出し部18から取り出すことができる。つまり、電子部品ECは、バルクフィーダ110に移されることがない。この結果、電子部品ECがバルクフィーダ110内に残存することがなく、バルクフィーダ110を異種部品に用いてもバルクフィーダ110において異種部品の混在が発生することがない。
【0085】
部品収納ケース10は、回転部材30の内周面32bに沿って設けられた磁石36を備える。これにより、ポケット35内に電子部品ECを引き込み、装填することができる。
【0086】
磁石36は、回転部材30の回転方向と直交する回転部材30の厚み方向に沿って、N極とS極とを交互に備えている。これにより、ポケット35に装填される電子部品ECの方向を揃え、整列させることができる。
【0087】
磁石36は、N極とS極との境界線を、ポケット35の回転部材30の厚み方向に沿う方向の中心線CLと一致させて設けられている。これにより、各ポケット35において、電子部品ECの向きを揃える作用を強めることができる。
【0088】
収納部15は、電子部品ECがポケット35内に引き込まれる部品引き込み位置Pに向かって下り斜面を形成し、部品引き込み位置Pに電子部品ECを供給する供給板部14aを備えた第1収納部15aを有する。これにより、電子部品ECをポケット35に対して連続的に供給することができる状態をすることができる。
【0089】
収納部15は、供給板部14aを隔てて第1収納部15aの下方に形成されるとともに、搬送経路17を介して第1収納部15aと接続された第2収納部15bを含む。これにより、部品収納ケース10に大量の電子部品ECを収納することができる。
【0090】
部品収納ケース10は、搬送経路17を通じて第2収納部15b内の電子部品ECを第1収納部15aへ移動させる空気を供給する空気供給源114aが接続される接続部19を備える。これにより、第2収納部15b内の電子部品ECを第1収納部15aへ搬送することができる。
【0091】
部品取り出し部18は、ケース本体11がバルクフィーダ110に装着された状態で、バルクフィーダ110が備えるシャッタ駆動部116によって開閉可能に設けられたシャッタ部材20を備えている。これにより、電子部品ECの出荷時からバルクフィーダ110に設置されるまでの間にシャッタ部材20が開放状態をされることが回避される。この結果、異種部品の混在が発生することを回避することができる。
【0092】
ケース本体11を形成する第1ケース部材11aと第2ケース部材11bとは、いずれも透明部材で形成されている。これにより、ポケット35への電子部品ECの装填状態を撮像することができる。
【0093】
回転部材30の外周縁部と、ケース本体11の内周壁面との最小間隔Sは、電子部品の長手方向寸法、つまり、長さLecよりも大きい。
部品収納ケース10での電子部品ECの詰まりを抑制することができる。
【0094】
(第2実施形態)
つぎに、
図12から
図15を参照して、第2実施形態の部品収納ケース50について説明する。
図12は第2実施形態の部品収納ケース50の斜視図である。
図13は部品収納ケース50の組み立て図である。
図14(A)は部品収納ケース50が備える回転部材の側面図、
図14(B)は第2実施形態のバルクフィーダが備える磁石の側面図、
図14(C)は
図14(B)に示す磁石の正面図である。
図15は部品収納ケース50から第2ケース部材51bを取り外し、部品収納ケース50の内部の様子を示す説明図である。以下、第1実施形態と第2実施形態との相違点を中心に説明する。第1実施形態と第2実施形態とで共通する構成要素については、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0095】
[部品収納ケース]
図12を参照すると、第2実施形態の部品収納ケース50は、第1実施形態の部品収納ケース10が備えていた第2ケース部材11bに代えて、第2ケース部材51bを備える。第2ケース部材51bは、第1実施形態の第2ケース部材11bと同様の軸支孔51b2を備えるとともに、磁石挿入孔51b3を備えている。磁石挿入孔51b3は、後に説明する磁石52の挿入部に相当する。
【0096】
図13を参照すると、第2実施形態の回転部材30には、第1実施形態において装備されていた磁石36(
図3(A)参照)が装備されていない。第2実施形態では、磁石36に代えて磁石52が用いられている。この磁石52は、部品収納ケース50に設けられたものではなく、部品収納ケース50がバルクフィーダ110に装着された状態において、磁石挿入孔51b3を通じて回転部材30の内側に配置される。
【0097】
図14(C)を参照すると、磁石52の右側や左側から見たときお形状は、扇状である。回転部材30自体は、第1実施形態に採用されたものと同一であり、
図14(A)においてX4部を拡大して示すように、リム部32の外周面32aにポケット35が設けられている。磁石52は、このような回転部材30の内側に配置されるが、第1実施形態の磁石36とは異なり、回転部材30ともに回転することはない。このため、磁石52は、バルクフィーダ110が稼働しているときであっても、その位置が変わることはない。
図14(A)や
図14(B)には、
図14(C)における矢示1iの方向から見た磁石52が示されているが、
図14(B)においてX5部を拡大して示すように、N極とS極とが交互に配されている。また、ここでは、図示を省略するが、磁石52は、磁石36と同様に、N極とS極との境界線を、ポケット35の回転部材30の厚み方向に沿う方向の中心線CLと一致させて設けられている。
【0098】
このように、磁石52は、第1実施形態の磁石36と同様の機能を発揮する。なお、磁石52の磁力は、電子部品ECがポケット35に装填されるときに発揮されていればよい。このため、電子部品ECがポケット35に装填される位置をカバーすることができればよいことから磁石52の形状は扇状とされている。
【0099】
第2実施形態では、部品収納ケース50の外部に準備された磁石52が用いられるため、部品収納ケース50の重量を低減することができる。また、部品収納ケース50を廃棄する際に磁石を取り外す手間が省かれ、便利である。
【0100】
磁石52は、バルクフィーダ110側に準備しておき、部品収納ケース50がバルクフィーダ110に装着された状態で、磁石挿入孔51b3から回転部材30内へ挿入する態様とすることができる。
【0101】
(第3実施形態)
つぎに、
図16を参照して、第3実施形態の部品収納ケース70について説明する。第3実施形態の部品収納ケース70は、第1実施形態における第1ケース部材11aに代えて、第1ケース部材71aを備える。
【0102】
第1ケース部材71aは、第1ケース部材11aが備えていた隔壁14に代えて隔壁74を備える。隔壁74は、第1ケース部材71a内を上下方向に分断しており、隔壁74の上側に収納部75内を形成している。つまり、第2実施形態では、第1実施形態における第1収納部15aに相当する領域のみを収納部75としている。隔壁74は、第1実施形態における供給板部14aとしても機能しており、その上面は、傾斜面751とされている。
【0103】
部品収納ケース内に収納する電子部品ECの数が少なくてもよい場合は、このような形態の部品収納ケース70を採用することができる。なお、部品収納ケース70では、第2収納部から第1収納部へ電子部品ECを搬送する必要がないため、第1実施形態の部品収納ケース10が備えていた接続部19も廃止されている。
【0104】
(第4実施形態)
つぎに、
図17を参照して、第4実施形態について説明する。第1実施形態では、電子部品ECを一列ずつ、部品取り出し部18から取り出していたが、第4実施形態では、複数列を一度に部品取り出し部18から取り出す。
【0105】
第4実施形態では、第1実施形態の回転部材30がそのまま用いられており、その回転方向は、
図17において反時計回りの方向である。第4実施形態では、周方向に沿って配列されたポケット35の5列分を一つのグループとして、このグループを一度に取り出す対象としている。つまり、1列目に属するポケット35a、2列目に属するポケット35b、3列目に属するポケット35c、4列目に属するポケット35d及び5列目に属するポケット35eが一つのグループを形成している。各ポケットの底部及び開口部の中心には、それぞれ法線NLが通過している。
【0106】
また、これに対応させて、吸着ノズル124a、吸着ノズル124b、吸着ノズル124c、吸着ノズル124d及び吸着ノズル124eが準備されている。
【0107】
本実施形態では、5列のうち、中央に位置する3列目が回転部材30の最頂部に位置している状態で部品取り出し部18から電子部品ECの取り出しが行われる。このため、吸着ノズル124a~124eが同じタイミングで部品取り出し部18内に降下する。このため、部品取り出し部18の開口部寸法Lopは、5列分の電子部品ECを取り出すことができる設定されている。なお、作図の都合上、
図17には、前後方向の寸法のみが描かれているが、左右方向(紙面奥行き方向)の寸法も対象となるグループに属するポケットから一度に電子部品ECを取り出すことができる寸法に設定されている。
【0108】
このように、複数列に属するポケットを一つのグループとして、一度に取り出すことができるようにすることで、作業効率を向上させることができる。
【0109】
第4実施形態は、第1実施形態の回転部材30をそのまま利用することができる。つまり、一度に取り出すポケットのグループを単列とした場合でも、複数列とし場合であっても同一の回転部材30を用いている。
【0110】
なお、本実施形態では、5列分のポケット35を一つのグループとしているが、一つのグループに属する列の数は、これに限定されるものではなく、他の数の列としてもよい。
【0111】
(第5実施形態)
つぎに、
図18を参照して、第5実施形態について説明する。第5実施形態では、第4実施形態と同様に、複数列(5列)を一度に部品取り出し部18から取り出す。但し、第4実施形態では、第1実施形態の回転部材30がそのまま用いられていたのに対し、第5実施形態では、回転部材301が用いられている。
図18には、一つのグループに属するポケット351a、ポケット351b、ポケット351c、ポケット351d及びポケット351eが示されている。各ポケットの開口部の中心には、それぞれ法線NLが通過している。
【0112】
ポケット351aは底面351a1を備え、ポケット351bは底面351b1を備え、ポケット351cは底面351c1を備える。また、ポケット351dは底面351d1を備え、ポケット351eは底面351e1を備える。
【0113】
これらの底面351a1~351e1は、グループの周方向中心位置が最頂部に位置している状態、つまり、ポケット351cの開口部を通過する法線NLが鉛直方向と一致した状態において、水平となる。そして、各底面351a1~351e1が水平となった状態において、各底面351a1~351e1の垂直方向高さは、同じになるように設定されている。ここで垂直方向高さは、回転部材301の回転中心から各底面351a1~351e1までの垂直方向距離である。
【0114】
このグループに対する電子部品ECの取り出しは、
図18に示すように、グループの周方向中心位置が最頂部に位置している状態で行われる。このため、吸着ノズル124a~124eによって吸着される電子部品ECはいずれも水平となった底面上に載置された状態となっている。このため、吸着ノズル124a~124eによる電子部品ECの吸着を安定して実行することができる。
【0115】
また、各底面351a1~351e1の垂直方向高さが同じ状態で吸着が行われるため、吸着ノズル124a~124eの降下高さを統一することができる。これにより、各吸着ノズル124a~124eによって電子部品ECの吸着に要する時間を統一することができる。
【0116】
なお、
図18では、部品取り出し部18の描画は省略されているが、部品取り出し部18の開口部寸法Lopは、第4実施形態と同様に確保されている。
【0117】
(第6実施形態)
つぎに、
図19を参照して、第6実施形態について説明する。第6実施形態では、第4実施形態や第5実施形態と同様に、複数列(5列)を一度に部品取り出し部18から取り出す。但し、第6実施形態では、他の実施形態とは異なる回転部材302が用いられている。
図19には、一つのグループに属するポケット352a、ポケット352b、ポケット352c、ポケット352d及びポケット352eが示されている。各ポケットの開口部の中心には、それぞれ法線NLが通過している。
【0118】
ポケット352aは底面352a1を備え、ポケット352bは底面352b1を備え、ポケット352cは底面352c1を備える。また、ポケット352dは底面352d1を備え、ポケット352eは底面352e1を備える。
【0119】
これらの底面352a1~352e1は、グループの周方向中心位置が最頂部に位置している状態、つまり、ポケット352cの開口部を通過する法線NLが鉛直方向と一致した状態において、水平となる。
【0120】
また、各ポケット352a~352eの深さは同一深さDに設定されている。ここで、ポケットの深さとはポケット開口部の中心から底面までの距離である。各ポケット352a~352eの深さDは、電子部品ECを安定して装填することができる値に設定されている。
【0121】
このグループに対する電子部品ECの取り出しは、
図19に示すように、グループの周方向中心位置が最頂部に位置している状態で行われる。このため、吸着ノズル124a~124eによって吸着される電子部品ECはいずれも水平となった底面上に載置された状態となっている。このため、吸着ノズル124a~124eによる電子部品ECの吸着を安定して実行することができる。
【0122】
また、各ポケット352a~352eの深さDは、電子部品ECを安定して装填することができる値に設定されている。このため、回転部材302が回転しても、各ポケット352a~352eに装填された電子部品ECを安定して保持することができる。また、吸着ノズル124a~124eによる電子部品ECの吸着を安定して実行することができる。
【0123】
なお、
図19では、部品取り出し部18の描画は省略されているが、部品取り出し部18の開口部寸法Lopは、第4実施形態と同様に確保されている。
【0124】
(第7実施形態)
つぎに、
図20(A)及び
図20(B)を参照して、第7実施形態について説明する。第7実施形態は、第1実施形態の部品収納ケース10が備える金属製のコイルバネであるバネ部材23に代えて、樹脂製の板バネであるバネ部材203を備える。バネ部材203は、一端側を第1ケース部材11aに固定され、他端側をシャッタ部材201に当接させた状態で設けられている。
【0125】
バネ部材203は、バネ部材23と同様の機能を有するが、樹脂製であることから、リサイクル等の処理が容易となる。バネ部材23は、金属製であるため、部品収納ケース10をリサイクルなどの処理工程に回した際に、部品収納ケース10から取り外さなければならない。これに対し、樹脂製であるバネ部材203は、第1ケース部材11aから取り外すことなく処理工程に回すことができ、便利である。
【0126】
(第8実施形態)
上述の第2実施形態では、部品収納ケースの外部に準備した磁石52を用いてポケット35内へ電子部品ECを引き込むとともに、電子部品ECの向きを揃え、整列させたが、その変形例として、以下の態様を採用することもできる。
【0127】
つまり、磁石52に代えて真空吸着装置を備えた態様とすることができる。例えば、ポケット35の底面に穴を設け、回転部材30の内周部に減圧部を設ける。このような減圧部を作動させることで、電子部品ECをポケット35内に引き込むことができる。この場合、回転部材30の両側に磁石を配置することで電子部品ECの向きを揃え、整列させることができる。
【0128】
上記実施形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
【符号の説明】
【0129】
10,50,70…部品収納ケース、11…ケース本体、11a…第1ケース部材、11b…第2ケース部材、14…隔壁,14a…供給板部、15…収納部、15a…第1収納部、15a1…傾斜面、15b…第2収納部、15b1…傾斜面、17…搬送経路、18…部品取り出し部、19…接続部、20,201…シャッタ部材、23,203…バネ部材、30,301,302…回転部材、35,35a~35e,351a~351e,352a~352e…ポケット、36,52…磁石、100…部品実装機、110…バルクフィーダ、114…空気供給部、116…シャッタ駆動部、130…撮像部、140…制御部