(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078625
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】ガス遮断弁
(51)【国際特許分類】
F16K 17/36 20060101AFI20230531BHJP
F23K 5/00 20060101ALI20230531BHJP
F23N 5/24 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
F16K17/36 D
F23K5/00 301C
F23N5/24 111A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191835
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇田 章義
【テーマコード(参考)】
3H061
3K003
3K068
【Fターム(参考)】
3H061AA01
3H061BB02
3H061CC26
3H061DD03
3H061EA06
3H061EA13
3H061EC02
3H061ED07
3H061GG05
3H061GG11
3K003VA03
3K003VA05
3K003VB03
3K003VC02
3K068AA01
3K068DA08
3K068DA14
(57)【要約】
【課題】供給されるガスに異物が含まれていても、ガス器具が傾いた状態になった際にはガスの流通を遮断することのできるガス遮断弁を提供する。
【解決手段】遮断機構34は、台座34aと、台座34a上に配置され、ガス器具Gの姿勢の傾きに応じて移動する可動子34bと、可動子34b上に載置され、可動子34bの移動に応じて、開放位置から閉塞位置へ移動する弁体34cとを有する。台座34aは、弁体34cが開放位置に位置しているときに可動子34bを支持する環状の支持部34a3と、支持部34a3の内周側に設けられた凹部形状の異物受け34a2とを有する。支持部34a3は、ガス流入室31内における異物受け34a2の外部の空間と内部の空間とを連通する切欠き状の開口部34a4を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス器具の姿勢が所定の姿勢に傾いた際に、前記ガス器具のガス供給路におけるガスの流通を遮断するガス遮断弁において、
前記ガス供給路に介設された弁筺と、
前記弁筺に設けられ、前記ガス器具に供給されたガスが流入するガス流入室と、
前記弁筺の前記ガス流入室よりも下流側に設けられ、前記弁筺からガスを流出させるガス流出室と、
前記ガス流入室と前記ガス流出室との間に設けられ、前記ガス流入室と前記ガス流出室とを連通している弁孔と、
前記ガス流入室の内部に設けられ、前記弁孔におけるガスの流通を遮断する遮断機構とを備え、
前記遮断機構は、台座と、前記台座上に配置され、前記ガス器具の姿勢の傾きに応じて移動する可動子と、前記可動子上に載置され、前記可動子の移動に応じて、前記弁孔を開放する開放位置から該弁孔を閉塞する閉塞位置へ移動する弁体とを有し、
前記台座は、前記弁体が前記開放位置に位置しているときに前記可動子の下方側の面に当接して前記可動子を支持する環状の支持部と、前記支持部の内周側に設けられた凹部形状の異物受けとを有し、
前記支持部は、前記ガス流入室内で、前記異物受けの外部の空間と前記異物受けの内部の空間とを連通する切欠き状の開口部を有していることを特徴とするガス遮断弁。
【請求項2】
請求項1に記載のガス遮断弁において、
前記可動子は、球体であり、
前記台座の前記可動子が当接する面は、すり鉢状の傾斜面であることを特徴とするガス遮断弁。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のガス遮断弁において、
前記台座の外周部は、前記ガス流入室の底面から上方に突出していることを特徴とするガス遮断弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス器具の姿勢が所定の姿勢に傾いた際に、ガス器具のガス供給路におけるガスの流通を遮断するガス遮断弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーナ等の燃焼装置を備えているガス器具としては、転倒してしまった場合等にその燃焼装置へのガスの供給を遮断するために、その内部にガス遮断弁を設けたものがある。この種のガス遮断弁としては、ガス供給路に介設された弁筐に、ガス流入室と、ガス流出室と、それらの内部の空間を連通している弁孔と、弁孔におけるガスの流通を遮断する遮断機構とを備えているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のガス遮断弁の遮断機構は、台座と、台座上に配置され、ガス器具の姿勢の傾きに応じて移動する可動子と、可動子上に載置され、可動子の移動に応じて、弁孔を開放する開放位置から弁孔を閉塞する閉塞位置へ移動する弁体とを有している。この遮断機構では、転倒等によってガス器具の姿勢が傾いてしまった際に、その傾きに応じて可動子が移動し、その移動に応じて移動した弁体によって弁孔が閉塞され、ガスの流通が遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ガス供給路には、供給ガス配管から砂粒等の微細な異物が侵入してしまうことがある。そして、その異物がガス遮断弁の内部にまで到達してしまうこともある。このとき、そのガス遮断弁が特許文献1に記載のようなガス遮断弁である場合、侵入した異物が可動子が転動する斜面に付着してしまうことがある。
【0006】
そのようにしてその斜面に異物が付着してしまうと、ガス器具の姿勢が傾いてしまった際に、その異物によって可動子の移動が制限されてしまう可能性があった。その結果、ガス器具がガスの流通を遮断すべき状態になったにもかかわらず、可動子が円滑に移動できず、ガスの流通を遮断することができなくなる可能性があった。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、供給されるガスに異物が含まれていても、ガス器具が傾いた状態になった際にはガスの流通を遮断することのできるガス遮断弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のガス遮断弁は、
ガス器具の姿勢が所定の姿勢に傾いた際に、前記ガス器具のガス供給路におけるガスの流通を遮断するガス遮断弁において、
前記ガス供給路に介設された弁筺と、
前記弁筺に設けられ、前記ガス器具に供給されたガスが流入するガス流入室と、
前記弁筺の前記ガス流入室よりも下流側に設けられ、前記弁筺からガスを流出させるガス流出室と、
前記ガス流入室と前記ガス流出室との間に設けられ、前記ガス流入室と前記ガス流出室とを連通している弁孔と、
前記ガス流入室の内部に設けられ、前記弁孔におけるガスの流通を遮断する遮断機構とを備え、
前記遮断機構は、台座と、前記台座上に配置され、前記ガス器具の姿勢の傾きに応じて移動する可動子と、前記可動子上に載置され、前記可動子の移動に応じて、前記弁孔を開放する開放位置から該弁孔を閉塞する閉塞位置へ移動する弁体とを有し、
前記台座は、前記弁体が前記開放位置に位置しているときに前記可動子の下方側の面に当接して前記可動子を支持する環状の支持部と、前記支持部の内周側に設けられた凹部形状の異物受けとを有し、
前記支持部は、前記ガス流入室内で、前記異物受けの外部の空間と前記異物受けの内部の空間とを連通する切欠き状の開口部を有していることを特徴とする。
【0009】
このように、本発明のガス遮断弁の台座は、可動子を環状の支持部で支持している。その可動子の下方側の面には、異物受けが設けられている。ガス流入室内において、異物受けの外部の空間と内部の空間とは、支持部に設けられた切欠き状の開口部によって連通されている。そのため、ガス流入室に供給されたガスは、開口部を介して、異物受けの内部にも流通する。
【0010】
これにより、供給されるガスに含まれていた砂粒等の異物が台座まで到達してしまった場合であっても、その異物は、台座の上面にとどまることなく、開口部を通って異物受けの内部にまで到達し、貯留されることになる。これにより、その異物が台座の上面(すなわち、可動子が移動する面)に付着することが抑制される。
【0011】
したがって、本発明のガス遮断弁によれば、供給されるガスに含まれる異物が台座の上面に付着することを抑制することができるので、その異物によって可動子の移動が阻害されてしまうことを抑制することができる。ひいては、ガス器具が傾いた状態になった際に、可動子が円滑に移動できるようになり、可動子上に載置されている弁体も円滑に閉塞位置へ移動して弁孔を閉塞することができるようになるので、ガスの流通を遮断することができる。
【0012】
また、本発明のガス遮断弁においては、
前記可動子は、球体であり、
前記台座の前記可動子が当接する面は、すり鉢状の傾斜面であることが好ましい。
【0013】
このように構成すると、異物が異物受けに向かって傾斜面上を転げ落ち易くなるとともに、台座の上面の傾斜面への異物の付着が抑制される。これにより、ガス器具が傾いた状態になった際に球体状の可動子がすり鉢状の傾斜面を転動することが妨げられず、可動子の転動に応じて確実に弁体を押し上げて弁孔を閉塞させることができる。
【0014】
また、本発明のガス遮断弁においては、
前記台座の外周部は、前記ガス流入室の底面から上方に突出していることが好ましい。
【0015】
このように構成すると、上方に突出している台座の外周部の一部を切り欠くだけで、容易に開口部を形成することができる。また、そのように形成された開口部は、ガス流入室内で異物受けの内部空間と異物受けの外部の空間とを水平方向に連通させるので、異物を異物受け内に導きやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係るガス遮断弁を備えているガス器具の概略構成を示す説明図。
【
図2】ガス遮断弁の断面図であり、ガス器具が通常状態である場合を示す図。
【
図3】ガス遮断弁の断面図であり、ガス器具が傾斜状態である場合を示す図。
【
図4】
図1のガス遮断弁の台座周辺の構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、実施形態に係るガス遮断弁3を備えているガス器具Gについて説明する。
【0018】
[ガス器具の全体構成]
まず、
図1を参照して、ガス器具Gの全体構成について説明する。
図1に示すように、輻射式ガスストーブ、ファンヒータ、ガスコンロ等であるガス器具Gは、バーナ1と、ガス供給源(不図示)から供給されたガスをバーナ1へと供給するガス供給路2と、ガス供給路2に介設されているガス遮断弁3、安全弁4、点火・消火操作で開閉される主弁5、及び流量調整弁6とを備えている。
【0019】
ガス遮断弁3は、その弁筺30(
図2及び
図3参照)に、ガス器具Gの外部に突出するプラグ30aを有している。ガス供給源(不図示)からのガスは、このプラグ30aを介して、弁筺30(ひいては、ガス供給路2)に供給される。
【0020】
また、ガス器具Gは、バーナ1に隣接する位置に設けられている熱電対、フレームロッド等である火炎検知センサ7と、火炎検知センサ7からの信号に基づいて失火時に安全弁4を閉弁させるコントローラ8とを備えている。
【0021】
[ガス遮断弁の構成]
次に、
図2及び
図3を参照して、ガス遮断弁3の構成について説明する。このガス遮断弁3は、ガス器具Gが傾斜した姿勢に変化してしまった際に、ガス器具Gのガス供給路2におけるガスの流通を遮断するためのものである。
【0022】
図2及び
図3に示すように、ガス遮断弁3は、ガス供給路2(
図1参照)に介設された弁筺30と、弁筺30に設けられているガス流入室31と、弁筺30のガス流入室31よりも下流側であって、ガス流入室31の上方に設けられているガス流出室32と、ガス流入室31とガス流出室32との間に設けられている連通部33と、ガス流入室31の内部に設けられている遮断機構34とを備えている。
【0023】
連通部33は、その略中央部に、ガス流入室31の内部の空間とガス流出室32の内部の空間とを連通する弁孔33aを有している。また、弁孔33aのガス流入室31側の周縁部は、後述する弁体34cが閉塞位置に移動した際に当接する弁座33bとなっている。
【0024】
遮断機構34は、ガス流入室31の底面に設けられている台座34aと、台座34a上に配置され、ガス器具Gの姿勢の傾きに応じて移動する可動子34bと、可動子34b上に載置され、可動子34bの移動に応じて移動する弁体34cとを有している。
【0025】
台座34aの可動子34bが当接する面は、すり鉢状の傾斜面34a1として形成されている。
【0026】
可動子34bは、金属等の硬質材料製の球体であり、弁筺30(すなわち、弁筺30が固定されているガス器具G)の姿勢に応じて、ガス流入室31の内部で転動可能となっている。
【0027】
台座34aと可動子34bとがこのように構成されているので、ガス器具Gが傾斜した姿勢になった際には、可動子34bは、傾斜面34a1を上るように転動する。その結果、可動子34bと上方に位置している連通部33(すなわち、弁孔33a)との距離が近づくことになる。
【0028】
弁体34cは、可動子34b上に載置される部材であり、可動子34bの移動に応じて、弁孔33aを開放する開放位置(
図2参照)と、弁座33bに当接して弁孔33aを閉塞する閉塞位置(
図3参照)とを移動自在となっている。
【0029】
弁体34cは、その断面形状が上下逆転した略T字状の部材である。弁体34cは、円盤状の当接部34c1と、当接部34c1のガス流出室32側の面の中心部に立設されている棒状の挿入部34c2と、当接部34c1のガス流出室32側で、当接部34c1と同心となる位置に設けられている環状のシール部材34c3とを有している。
【0030】
当接部34c1は、シール部材34c3とは反対側の面で、可動子34bに当接している。挿入部34c2は、連通部33の弁孔33aを通って、ガス流出室32の内部にまで延びており、その先端部は、ガス流出室32に設けられた摺動穴32aに摺動自在に挿入されている。シール部材34c3は、ゴム製の部材である。
【0031】
弁体34cは、ガス器具Gが傾斜した姿勢に変化してしまったことによって可動子34bが移動した際には、可動子34bに押上げられるとともに、摺動穴32aに案内されて、上方に移動する。そして、弁体34cが上方に移動してシール部材34c3が弁座33bに押し付けられた際には、弁孔33aが封止され、閉塞される(
図3参照)。
【0032】
このような遮断機構34を備えているガス器具Gでは、通常の使用状態(以下、この状態を「通常状態」という。)においては、遮断機構34の可動子34bが、
図2に示すような位置(すなわち、弁体34c弁座33bから十分に離れた位置)に位置する。
【0033】
その通常状態では、まず、ガス器具Gに供給されたガスは、弁筺30に設けられているプラグ30a(
図1参照)を介して、ガス流入室31に流入する。その後、ガス流入室31に流入したガスは、弁孔33aを介して、ガス流出室32に流入する。さらにその後、ガス流出室32に流入したガスは、ガス流出室32(すなわち、弁筺30)から、ガス供給路2へ流出する。
【0034】
一方、ガス器具Gが転倒等によって傾斜した姿勢になってしまった状態(以下、その状態を「傾斜状態」という。)においては、遮断機構34の可動子34bがその姿勢の傾きによって、
図3に示すような位置(すなわち、通常の状態に比べて弁孔33aに近づいた位置)に移動する。
【0035】
その傾斜状態では、弁孔33aに近づくように移動した可動子34bによって、その可動子34bに押上げられて弁体34cも移動し、弁体34cのシール部材34c3が弁座33bに当接して、弁孔33aが閉塞される。その結果、ガス流入室31に流入したガスは、弁孔33aを通過できなくなり、ガス供給路2におけるガスの流通が遮断される。
【0036】
なお、本実施形態では、弁体34cが開放位置と閉塞位置とを移動自在となるように、その弁体34cが載置されている可動子34bも移動自在となっている。これは、ガス器具Gの姿勢が通常の姿勢に戻った場合に、弁体34cが閉塞位置から開放位置に自動的に戻るように構成されているためである。
【0037】
なお、弁体34cを、開放位置から閉塞位置へのみ自動的に移動可能に構成し、閉塞位置から開放位置に戻す際には手動で戻すようにしてもよい。
【0038】
[台座の構成]
ところで、ガス供給路2のガス遮断弁3の上流側には、フィルタ(不図示)が配置されており、そのフィルタが、ガス遮断弁3の内部への異物の侵入を防止している。しかし、ガス器具Gの使用環境によっては、そのフィルタを通過して、微細な異物(例えば、砂粒等)が、ガス遮断弁3の内部にまで侵入してしまうことがある。
【0039】
そして、そのようにして侵入した異物が台座34aに付着してしまうと、ガス器具Gが傾斜状態になった際に、その異物によって可動子34bの移動が制限されてしまう可能性がある。その結果、ガス器具Gがガスの流通を遮断すべき状態になったにもかかわらず、可動子34bが円滑に移動できず、ひいては、可動子34b上に載置されている弁体34cも円滑に閉塞位置へ移動して弁孔33aを閉塞することができず、ガスの流通を遮断することができなくなる可能性がある。
【0040】
そこで、ガス器具Gでは、ガス遮断弁3の可動子34bを支持する台座34aの構造を工夫することによって、台座34aに付着してしまった異物によって可動子34bの移動が阻害されてしまうことを抑制している。以下においては、
図2~
図4を参照して、台座34aについて、詳細に説明する。
【0041】
図2及び
図4に示すように、台座34aは、ガス流入室31の底面を構成する板状の部材である底板31aと一体に形成されている。台座34aは、底板31aの略中央部に位置している。これにより、弁筺30を構成する筺体部30bに底板31aを取り付けた状態では、台座34aは、連通部33の中央部に設けられている弁孔33aに対向する位置に位置する。
【0042】
台座34aの形状は、可動子34bが当接する傾斜面34a1が周縁部から中央部に向かって傾斜したすり鉢状であって、中央部に凹部形状の異物受け34a2が設けられた形状となっている。
【0043】
図2に示すように、通常状態では、台座34aに載置された可動子34bは、台座34aの径方向の中央に位置し、可動子34b上に載置されている弁体34cは、開放位置(すなわち、弁体34cのシール部材34c3が弁座33bから離間した位置)に位置する。このとき、
図2及び
図4に示すように、可動子34bの下方側は、傾斜面34a1の外周側上部である環状の支持部34a3に当接する。すなわち、通常状態では、可動子34bは、支持部34a3によって支持される。
【0044】
ここで、異物受け34a2は、台座34aの中央部に設けられているので、支持部34a3の内周側に位置している。そのため、
図2に示すように、通常状態では、異物受け34a2は、台座34aの径方向の中央に位置する可動子34bの下方側に位置する。
【0045】
図4に示すように、台座34aは、その外周縁部に、周方向に互いに間隔を存して設けられた切欠き状の開口部34a4を有している。開口部34a4は、環状の支持部34a3を分断するようにして設けられている。
【0046】
図2に示すように、開口部34a4は、通常状態であっても、ガス流入室31内において、異物受け34a2の外部の空間と異物受け34a2の内部の空間とを連通している。そのため、通常状態では、ガス流入室31に供給されたガスは、開口部34a4を介して、台座34aに支持されている可動子34bに遮られることなく、異物受け34a2の内部にも流通する。
【0047】
以上説明したように、ガス器具Gでは、供給されるガスに含まれている砂粒等の異物が台座34aの上面である傾斜面34a1にまで到達してしまった場合であっても、その異物は、傾斜面34a1にとどまることなく、開口部34a4を通って異物受け34a2の内部にまで到達し、貯留されることになる。これにより、その異物が傾斜面34a1に付着することが抑制される。
【0048】
したがって、供給されるガスに含まれる異物が傾斜面34a1に付着することを抑制することができるので、異物によって可動子34bの移動が阻害されてしまうことを抑制することができる。ひいては、ガス器具Gが傾いた姿勢となった際に、可動子34bが円滑に移動できるようになり、可動子34b上に載置されている弁体34cも円滑に閉塞位置へ移動して弁孔33aを閉塞することができるようになるので、ガスの流通を遮断することができる。
【0049】
また、
図2を参照して前述したように、ガス遮断弁3では、台座34aの上面である傾斜面34a1は、周縁部から中央部に向かって傾斜したすり鉢状となっている。
【0050】
そのため、異物が異物受け34a2に受かって傾斜面34a1上を転げ落ち易くなっており、また、傾斜面34a1への異物の付着が抑制されている。これにより、ガス器具Gが傾斜状態になった際に球体状の可動子34bがすり鉢状の傾斜面34a1を転動することが妨げられず、可動子34bの転動に応じて確実に弁体34cを押し上げて弁孔33aを閉塞させることができる。
【0051】
また、
図2に示すように、ガス遮断弁3では、台座34aの外周部分が、底板31aから上方に突出した形状となっている。
【0052】
そのため、上方に突出している台座34aの外周部分の一部を切り欠くだけで、容易に開口部34a4を形成している。また、そのように形成された開口部34a4は、ガス流入室31内で異物受け34a2の内部空間と異物受け34a2の外部の空間とを水平方向に連通させるので、異物を異物受け34a2内に導きやすくなっている。
【0053】
しかし、本発明のガス遮断弁は、このような構成に限定されるものではなく、台座の上面の形状は、例えば、水平面等に設けられた異物受けと、切り欠き状の開口部が設けられた支持部とを有しているものであればよい。また、台座の傾斜面の外周部を、ガス流入室の底面と一致する高さ、又は底面よりも低い位置に形成してもよい。その場合、開口部を支持部よりも低い位置まで切り欠けばよい。
【0054】
[その他の実施形態]
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
【0055】
例えば、上記実施形態では、
図2に示すように、台座34aは、ガス流入室31の底面を構成する板状の部材である底板31aと一体に形成されている。しかし、本発明の台座は、このような構成に限定されるものではなく、可動子を配置可能なものであればよい。そのため、例えば、台座と底板とを別体としてもよい。
【0056】
また、例えば、上記実施形態では、
図2に示すように、可動子34bとして、球体の部材を採用している。しかし、本発明の可動子は、ガス器具の姿勢の傾きに応じて移動するものであればよい。そのため、可動子が載置される台座の形状等に応じて、その形状は適宜設定してよい。
【0057】
また、上記実施形態では、
図4に示すように、切欠き状の開口部34a4は、4つ設けられている。しかし、本発明の開口部は、このような構成に限定されるものではなく、少なくとも1つ設けられていればよい。
【0058】
また、上記実施形態では、
図2~
図4に示すように、切欠き状の開口部34a4は、環状の支持部34a3を分断し、さらに、異物受け34a2の内周面から台座34aの外周面にまで届くような形状となっている。しかし、本発明の開口部は、そのような構成に限定されるものではなく、ガス流入室内で、異物受けの外部の空間と異物受けの内部の空間とを連通する切欠き状のものであればよい。
【0059】
そのため、例えば、開口部の形状は、傾斜面を分断する(すなわち、通常状態の可動子の外側の位置まで到達する)ものの、台座の最外周までは到達せず、異物受けから傾斜面の半ばまでを切り欠いたような形状であってもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、
図2,
図3に示すように、異物受け34a2は、台座34aの中央部に設けられている。しかし、本発明の異物受けは、そのような構成に限定されるものではなく、支持部の内周側に設けられていればよい。そのため、例えば、異物受けは、台座の中央部からずれた位置であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…バーナ、2…ガス供給路、3…ガス遮断弁、4…安全弁、5…主弁、6…流量調整弁、7…火炎検知センサ、8…コントローラ、30…弁筺、30a…プラグ、30b…筺体部、31…ガス流入室、31a…底板、32…ガス流出室、32a…摺動穴、33…連通部、33a…弁孔、33b…弁座、34…遮断機構、34a…台座、34a1…傾斜面、34a2…異物受け、34a3…支持部、34a4…開口部、34b…可動子、34c…弁体、34c1…当接部、34c2…挿入部、34c3…シール部材、G…ガス器具。